オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【FI】La Danse Macabre

連動 【FI】La Danse Macabre ことね桃

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1500(EX)
ジャンル
FI バトル 続編予定  
参加人数
104~10人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/05/13 20:00
完成予定
2020/06/02 20:00
機体使用
関連シナリオ
死を招く煌露

●死者の貌は空を舞う

 それはあまりにも奇妙な物体だった。
 鷲の如き強靭な翼、野獣の如き屈強な胴、そして人間のデスマスクを被らせたような無機質な顔。
 ――巨大な死の鳥が群れとなって宙を舞う。
「ぐぅ……ぐぇっ、ぐぁっ」
 喘ぐような声に知性の色はなく、奴らはただまっすぐに人が行き交う街へと向かう。
 その根底には生まれた時から根付いた強烈な空腹感と捕食者としての本能だけが渦巻いていた。
 奴らはナイトメアであれど、地球に巣食ったナイトメアとは思考が異なるもの。
 限りなく生命を喰らい、満つることなき腹を刹那に膨らませ、無数の星を滅ぼしていく愚鈍な存在。
 だからこそいくつもの種を滅ぼし、
 自らを生命の頂点と信じて星々を旅する傲慢さを誇りとさえしているのだが――。


●SALF宮城県支部にて

「現在、異形のナイトメアが宮城県沖から都市部に向けて接近中。
 ナイトメアは全長10m、6体の群れを成しております。
 至急アサルトコアでの出撃が可能なライセンサーは対応を願います!」
 支部全体に響き渡るサイレンと職員の声。
 その場にいるライセンサーは咄嗟に書類へサインを施し、アサルトコア乗り込んだ。
「全く……何だってんだ。ここ数カ月、次々と新しい敵が現れやがる」
「そんだけあっちも必死なんだろ。ま、喰われないようにこっちもブチかましてやろうや」
 彼らは確認のため通信を交わし、モニターとカメラワークも調整する。
 ――何の問題もない。後は敵を斃すだけだ。


●気まぐれな男

「……よし、まだ連中は襲来していないな。砲撃用意、真っ先に落とすぞ!」
 ライセンサーは目的地である海辺に到着するなり、奴らを撃ち落とさんと銃を構えた。
 空の向こうではくすんだ巨体が悠々と翼を広げ、こちらをじいっと見下ろしている。
 そこでライセンサーは砲撃で弾幕を張り、敵が動けなくなったところを叩き落とす――つもりだったのだが。
 突然目の前に白い霧が集ったかと思いきや、大柄な男が空中に姿を現わした。
 宮城県ならびにその近郊で奔放に破壊活動を繰り返すエルゴマンサー劉 俊傑(lz0113)が顕現したのである。
「劉! こいつらはお前の手引きか!?」
 ライセンサーのひとりが咄嗟に剣を構え、奴の背に突きつける。
 すると劉は皮肉げに笑い、その太い腕に氷を纏わせた。
「奴らと俺が同類だと? 随分と失礼なことを言ってくれるな」
 邪悪な力を纏った氷弾が飛翔体の一体を撃ち抜く。その突然の出来事にライセンサーは息を呑んだ。
「あれはお前の仲間……じゃないのか?」
「奴らの名はインベーダー。種の根源はナイトメアなれど、俺の属する存在とは全くの別物だ。
 餌を喰らうことにしか興味がない畜生ども……生きる価値もないクズだ」
 そう言って劉は唾を吐く。同類と見做されては汚らわしいとでも言いたげに。
「俺はヒトの死ぬ意義を探し、ヒトを殺す。一方で連中は何も考えずに生命を咀嚼する以外に能がない。
 それは俺にとってひどく不愉快なことだ。俺の観察対象を奪う奴らは全て……殺す!」
 たちまち空間に漲る殺意に一瞬怯む飛翔体。
 それにあわせ、ライセンサーは劉の攻撃を受けた一体に向けて集中的に砲撃した。
 ――ギィエエエエエエッ!!?
 耳を引き裂かんとする金切り声が響き渡り、血肉が空中で爆散する。その時、劉が僅かに嗤った。
「どうだ、今回は共闘といかないか。俺にこの地は居心地が良くてな。まだ失う気にはならないのさ」
「……! またこの街を虫どもに襲わせる気か、貴様!」
「ああ、そうだとも。可愛い虫を育てるには寂れた区域と生命が無数に行き交う街が隣り合うこの地が相応しい。以前お前達が示した生命への執着……それを俺を手にするため、何度朽ちようともここを我が子の巣とする」
 それはひどく傲慢な計画だ。
 劉を放置すればまた街を襲撃され、人々の死を目の当たりにすることになる。
 しかしここで確実に異形を倒すためには奴の力を利用するのも間違いとは言えず――。
「まぁ、俺としてはこの前の続きをしても構わないがな。
 奴らとお前ら、同時に遊んでやるぐらいはいつでもしてやる」
 そう言って腕に巨大な大斧を形成する劉。
 防御特化のアサルトコアでさえ
 一撃でアラートを鳴らすほどの威力を誇る得物にライセンサーは顔を強張らせた。
(……どうする。今、三つ巴の戦をやるか。
 それとも一時的といえど奴の力を借りて異形を即時殲滅べきか……)
 彼らは大型の刀を備えたMS-01Jを見た。
 そのコクピットには劉に婚約者を奪われた菫青(lz0106)が搭乗しており、彼を黙って睨んでいる。
 しかしその表情に焦燥はなく、ただ倒すべきものを見定めているように見えた。
(菫青は俺達に戦の行方を預けようとしている……それならば俺達は)
 ライセンサー達は浜辺に降り立つ異形達に得物を向けると、一斉に機体を駆けさせた。

目的:インベーダー5体の殲滅

戦場:宮城県東部に広がる浜辺。
 周囲の住民は避難済みで、建造物も少ないため比較的自由に動くことができる。
 インベーダーは海側へ着陸。
 長時間飛行の影響でしばらくは短時間しか飛行できないため地上戦が主となる。

敵情報:
 インベーダー…突如出現した謎のナイトメア。知性は低いが、3ラウンド程度の飛行が可能。
  主な攻撃手段は巨体での圧し掛かり(近距離大ダメージ+行動阻止効果あり)
  鋭い羽根をナイフのように投げる(遠距離中ダメージ)
  奇怪な叫び声によるシールド破壊(範囲小ダメージ+攻撃力低下効果あり)
  オープニングで集中攻撃を受けたため1体は落ちたが、基本的な身体能力は高い。

 劉俊傑…地球側のエルゴマンサー。人間に酷似した姿と知性、そして酷薄ながら感情を持つ。
  一方でかつて縁深かった菫青への執着は薄れつつある。
  なお彼と戦闘をするか共闘するかは自由だが、
  その戦闘力は非常に高いので戦闘を前提とする場合は十分な装備を心がけるよう推奨する。
  基本的には大気中の水を凍らせることで武器や防壁、足場を作り、空中を駆ける能力を持つ。
  攻撃手段は氷の大斧(近距離超ダメージ)、
  氷の弾幕(範囲中距離無差別攻撃)、氷の弾丸(遠距離大ダメージ)。
  防壁には幻影を映す効果があり、
  破壊は容易いものの完全に粉砕しないかぎりは劉の姿を無数に映し出す隠れ蓑となる。

登場NPC
 菫青…以前と同じくMS-01Jに搭乗。大太刀を主に扱い、ダイブ・モードを使用可能。
  ライフルも所有するが命中率は高くない。
  劉への憎悪には折り合いをつけたつもりでいるが、その内面は未だ不明。

いつも大変お世話になっております、ことね桃です。
さて、混沌とする戦場・地球にやって参りました「インベーダー」!
奴らの狙いは単純明快、この世界の命を喰らいつくすこと。
その尖兵を倒すために出撃した皆様ですが、戦の前に奇妙な支援者が現れました。
エルゴマンサー劉との因縁、そして戦いの行方は……。
全ての運命がかけられたこの一戦、ぜひお力をお貸しください!

「余裕みたいだし、何体か任せてもいいわよね?」
大口叩いたんだもの、そのぐらいやってよ。と、銃口で劉に近い2体ぐらい指しつつ。

「一体は受け持つわ。その間に他のを集中攻撃で片付けちゃって」
大外の一体に狙いを定め、接近。
射撃で牽制しながら接近し、ジャミングの射程に入ったら使用。
更に踏み込んでキャリアーバスター抜いて格闘戦に持ち込む。
「倒しちゃっていいんでしょ?とか言えりゃいいんだけどさ。…さすがに未知の敵じゃ…」
それでも、倒せそうなら押し切る気満々。

仕掛けたインベーダーがこちらを完全に標的として捉えたら”黄金の城”を使用し、足を止めて殴り合う。
圧し掛かりについては回避、ないしキャリアーバスターでいなす。
「は…?冗談じゃないっつーの!」

ダメージとBSはブリュンヒルドで対処。
余裕のある時にラインの黄金を使ってシールド維持。
圧し掛かるような動きを見せたらジャミングを撃ち込んで回避行動。


「まだ飛べ…!?逃がすわけないでしょ!」
飛ぼうとするならこちらも飛んで追撃。
スラスター全開にして上を取り、自機とキャリアーバスターの質量ぶつけて叩き落す。


インベーダーと劉の戦闘データ採取はしっかりやってます。

「…っとに…厄介事ばっか増えるわね…」
戦闘終了後、煙草に火をつけて。

  • 雛鳥の紅緒
    ツギハギla0529
    ヴァルキュリア18才|セイント×ゼルクナイト

「化物同士で壊し合うなら人様に迷惑の掛からない所でやって欲しいわ

劉に
「今回は共闘してやるわ、クソ化物。ただ慣れ合う気もないし互いの範囲攻撃に巻き込まれるのを避ける為に互いに半分ずつ担当して離れてやるわよ、クソ化物

菫青に
「手伝うって言っておきながら毎回我慢させてごめんね、戦友。この戦闘が終わったら一杯奢るわ。だからちゃんと生きて帰るのよ
「前衛の数は足りてるしまずはライフルでお願い。んで、前衛の誰かが緊急時には前みたく前に出てフォローをお願いね、戦友

中衛で前衛を抜けてきた敵を足止め
「行かせないわよ、化物!

希望者にスポットライト

生命力半分以下の味方にメディカライザー
「私より先に壊させないわよ、戦友!
複数いる際はマーメイドテール
「纏めて癒すわ、近寄って!

手番時スキルを使う必要が無ければ遅延
最後まで遅延させたら八咫烏で攻撃
「攻撃は苦手なんだけど

劉の様子を観察し裏切りとインベーダーの市街地の突破を警戒
裏切りか突破が起きたら皆に知らせる

  • 我が脚は昏き氷を砕く光刃
    柳生 響la0630
    人間16才|グラップラー×セイント

※アドリブ大歓迎!

【目的】
インベーダーの殲滅

【行動】
XN-01で出撃

接敵前にコード「666」を使用してから、敵を攻撃
敵は周囲と合わせて1体の敵を集中攻撃する

位置取りは劉 俊傑(lz0113)の範囲攻撃に巻き込まれた際は
回避しようとせずに防御する

むしろアトンドリ・エスペリエの威力が上がるので、
少しくらいなら受けても良いかもしれない

範囲攻撃に巻き込まれたら
「劉さん、ちょっとは加減してよね!」

敵の様子を見て
「劉さん、もっと高威力な技無いの!
 あいつらピンピンしてるよ!」

劉 俊傑に野次を飛ばし続ける


生命が減ってきたら、積極的にアトンドリ・エスペリエを使用

心情
敵の敵は味方…なんて言いたげですが。どちらも敵に違いありません
目的
インベーダーの殲滅
公道
友軍補助を主体に行う
友軍に追従し、後方に陣取る
友軍と通信を密に行い、情報共有

作戦開始時は紅迅さん搭乗SJ-03に追従し、SJ-03のスキル「グランドスラム」に対し補助エネルギーS型を使用して補助
上記スキルを全て消費するまで繰り返す

全て消費後は、友軍の後方に陣取って防衛戦を突破しようとする敵を狙い友軍誤射に注意しつつバズーカで射撃
同じく射撃を行う友軍の中で一番火力が高い方に対して、補助弾薬壱型を使用してリロード補助
敵及び劉の攻撃範囲に入らないよう留意し、突出しないよう位置取る

飛行しようとするインベーダーがいた場合、友軍に警告
その敵の進路を阻害するようにバルカンで弾幕形成
自身を含め友軍でシールド値50%以下になったACに対して、射程まで接近し緊急修復セットを使用

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

劉さん♪今日は利害の一致ということで共闘しましょう♪決着は嫌でもつけることになりそうですし♪

目的
「キンセイさん♪堪えて下さいね…。人命を救うことが最優先です!決着はいずれ…♪」
劉にインベーダーの相手をさせつつ後方から味方への砲撃支援
劉へは攻撃を行わず、劉の戦闘能力を観察し記録
大まかな能力値やスキル効果を数値化可能かデータを本部へ送る

戦闘は自身の長射程を生かし、後方へ下がり自働装填モードを起動しての敵射程外からの援護射撃
劉と味方巻き込まないならグランドスラムで敵を焼き払う
頭部(首)腕部(首)脚部(首)胴部(首)と色々な首へ射撃を振り分け、攻撃部位の予測を困難にする
「焼き払います♪全身は首♪」

突出した個体を砲撃し、市街地へ近付けない
「一歩も近付けさせませんよぅ♪」

基本は味方と集中撃破だが、味方の側面や背後に回り込もうとするインベーダーへ牽制射撃(首を吹き飛ばす)
「たまには射撃戦もいいですね♪」

肉薄された場合、斬艦刀へ装備を換装し白兵戦
「装甲は薄いですがそれなりの火力はあるんですよ♪それに白兵戦は得意科目です♪」

敵からの攻撃は斬艦刀か、装甲の厚い部分で角度を付けて滑らせるように受ける
「ふふ♪劉さん!貴方みたいな方、嫌いではありませんよ♪いずれ刈りますけれど♪」

また変なナイトメアが出てきたのです、誰と敵対していようと、どちらにしろ邪魔なのです。


劉は態度は気に入らないけど、前は合格点くれたので今回は一緒に戦うのです、共闘する相手を後ろからやる気はないのです。

海岸線で味方と協力して戦うのです、劉が戦ってる奴以外を狙うのです。

インベーダー相手は正面からは分が悪いのです、移動攻撃でトリステスでサイドに回りながら撃っていくのです、動く時も顔を狙って目眩まししながら動くのです。

時折、方向やリズムを変えて読まれないようにするのです。

敵の意識がアンリから離れた時に近づいて横合いから【鬼羅・蠧虚滅鉄威天拏狼】を打ち込みそのままぶん殴り続けるのです。

ワンパターンにならないように攻撃の箇所やリズムをどんどん変えていくのです、大剣で殴るのです、攻撃されそうになったら回りながら斬りつけるのです。

敵の体制が崩れたら【野獣咆哮】でそのまま畳み掛けて圧殺するのです!その後刃の部分を持って鍔の部分でハンマー攻撃で顔面を潰すのです

  • 弔歌を貴方に
    S=Fla3106
    放浪者56才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

「はてさて・・・どんな状況になってるのやら」
大剣を掲げたFF-01で出撃。

エルゴマンサーの様子を尻目にインベーダーの撃破を狙う。
「どっちが性質が悪いんだかな。まあいまは倒すのに専念しねえと、か」
大剣を盾のようにかざしながら敵に接近していく。
敵は空を飛んでいることを考えても、自分の機体は囮を勤めるべきだろう。
防御を固めながら闇雲に突撃して注意を引くように。
こちらの射程にはいってくるならすかさずコンパクトに武器を振るって『ストームファング』を使用。

ダメージが大きくなってきたら一度仲間から離れるように大きく離脱。
逃げたように思わせて追撃を誘い、来たなら反転し飛び込んでの『アグレッシブトルネード』
これを使うためにも仲間を射程に巻き込まないように離れる。

エルゴマンサーの動きには注目しておこう。
いつか闘う事もあるだろうから、な。
その動きがほめられるべきものであれば敵であっても賞賛する。

  • 比翼となりし黒鴉
    アクイレギアla3245
    放浪者17才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

(…淑華ねーちゃんが何もしないのに俺が先になって噛みつくわけにはいかねぇ。今は勝てる相手でもなさそーだしな)
劉に何か言われたら「あ゛ぁ?うっせーぞ霧野郎。時と場合によってやってイイことと悪い事の区別位つけてるってだけの話だよ。テメェと違って空気位読めンの、俺ぁ」噛みついた勢いで殴りたくならないよう低く静かに
劉には攻撃しない。攻撃手段や防御手段、威力や癖等観察するに留め次回以降への情報とする
派手な動きや演出にはごまかされないよう冷静に観察

使えるものは使う。劉の攻撃を十分に利用するが弾幕の範囲内には絶対に入らないことだけ注意

菫青の近くでカバーしつつ戦闘
「淑華ねーちゃん、今度のACはちょっと堅めのやつだから防御任せてくれよな!…けっこー高かったんだよコレ…」ちょっと遠い目(
基本的に動きを合わせ、後衛にいる場合ライフル、前衛に出る場合剣で対応
八咫鏡の範囲内に菫青を収めて動き、スキルを使わず射線の妨害で対応できるよう少し前に出るが敵の圧し掛かりの範囲内には極力入らない
剣装備時に攻撃を受けた場合敵が間合い内にいれば後手必撃でカウンター
あとはひたすら撃つし殴る!
「空気は読むけどなァ!腹立つのは変わんねぇんだよ八つ当たりだオラぶっ飛べ!!」

終了後
「ねーちゃん大丈夫?俺役に立ったー?」えへ。
劉には塩対応「さっさと帰ったら?俺、今テメェの相手するキブンじゃねーの」

  • 竜殺し
    杉 小虎la3711
    人間18才|グラップラー×ゼルクナイト

「ナイトメアの次はインベーダーなんてその内、エイリアンやプレデターとかも来るんじゃないかしら」
ナイトメアが一枚岩じゃないことを知って何やら複雑な心境の武闘派お嬢様の杉 小虎である。
殴って黙らせられる敵は少ないほうがいいに決まっている。
でも戦争を終わらせられることを考えるなら敵は多様な方がいい。今は人類に対する敵対者しかいなくても、人類側に加担するナイトメア勢力がいるかもしれないのだから・・・。

とまれ、今はインベーダーを倒すことに集中する。敵の敵は味方などというが、インベーダーは明らかに味方ではない、ひいき目に見ても共通の敵というところ。
劉は倒すべき敵であるが、今はあなたは殺さないでおいて上げてよくってよ。くらいが妥協点。

拠点防衛用の大型ライフル「雷公鞭」の試射も兼ねて天照の「神槍・Ri書文」で出撃する。
皆と足並みをそろえて、劉には攻撃せずインベーダーのみを相手にする。

十絶陣をすだれのように展開して盾と盾の隙間から銃口を突き出して防備をかためる簡易銃座を作成。じりじりと戦線を押し上げて一匹たりとも抜かせやしない。
近接戦ともなれば十絶陣を腕にまといて大型のナックルガードとし、須佐之男によるバリア螺旋パンチでぶっ飛ばす。攻防一体の攻撃を展開。
味方の攻撃が集中する敵に照準を合わせて一体一体丁寧に撃墜していく。戦力不明なところを暴くようにいろいろ試す予定。

エルゴマンサーにも色々いんだねぇ。
共食いしてくれればそれに越したことないんだけど…仕方ない
向こうの劉っていったっけ、あいつがこのあたりのボスエネミー
…お手並み拝見と行きましょ

・行動
敵1体に味方の戦力を集中させて数を減らしていくという方針
なので、状況に応じて

損傷時は逐次回復


・敵が飛行する場合
複数でも1体に絞り集中砲火を打診
これにより、飛行終了の条件となる
一度の攻撃で残り生命50%を超えるダメージ
を満たし墜落を狙う


・1体以外を劉と味方PCに任せられる
標的の1体へ【移動攻撃】を使用しながら一気に詰め殴り合い
向こうの攻撃に【後手必撃】を積極的に使い最初の1体を想定できる最速で潰しに行く
【後手必撃】の回数切れ後は味方の射線の邪魔になり、かつこちらの攻撃命中に大きな支障がなければ【移動攻撃】で攻撃、離れる。近づく、攻撃。等を繰り替えし攻撃しやすくする
味方が既に張り付いて近接ができない場合は武装を切り替え射撃での支援に
敵撃破後に足止めをしている味方の消耗が激しい場合はこちらで足止めを引き継ぎ対応

・こちらが1対1で時間を稼いだほうがいい場合
自機も囮として1機受け持つ
この時敵との距離や向こうが攻撃を切り替えてくる時の条件、癖やモーションを観察
情報は共有しておく

・最後に
会話できるなら劉とやらに聞いてみる
なんでよりのもよって子に虫選んだの

●妖との共闘

 5体の奇怪な大鳥が浜辺の砂を波打つように踏みつけながら着陸を果たす中、S=F(la3106)が戦場に到着。FF-01、ドラグーンの内部で苦く呟いた。
「はてさて、どんな状況なのやら。ナイトメア同士の殺し合いとは奇妙なもんだな。勝手に全滅してくれるならこっちは願ったり叶ったりなんだが……」
「そうね。化物同⼠で壊し合うなら⼈様に迷惑の掛からない所でやって欲しいわ」
 彼に同調するツギハギは長らく劉と劉が生み出してきた虫達と戦ってきたライセンサーだ。
 だからこそ彼女は空中でインベーダーを蹴り上げる劉に向かい、SJ-02S、愛称JUNKのスピーカーから渋々と音声を送った。
「今回は共闘してやるわ、クソ化物。ただ慣れ合う気もないし互いの範囲攻撃に巻き込まれるのを避ける為に互いに半分ずつ担当して離れてやるわよ、クソ化物」
 それに対し軽く鼻を鳴らした劉へティアナ・L・ベイリー(la0015)はSL-Xことカタフニアの持つ銃口を、奴にほど近いインベーダー2体へ向けた。
「まあ……半分であれ何体であれ余裕みたいだし、そのまま何体か任せてもいいわよね︖ あれだけの⼤⼝叩いたんだもの、そのぐらいやってよ」
「構わん。元々俺一人で潰そうと決めていた連中だ、お前らも好きにやるがいい」
「それなら上等。いい、皆。大外の1体はあたしが受け持つわ。その間に他のを集中攻撃で⽚付けちゃって」
 そこで後方に陣取ったレイヴ リンクス(la2313)が「Positive,good luck」と返すも、彼は黙してトリガーへ指を掛けた。
(敵の敵は味⽅……なんて⾔いたげですが。どちらも敵に違いありません。劉を撃つ気がなくとも、万が一ということを考えれば)
 無論それが杞憂となればいい。しかしレイヴは不穏な気配を否定するのは時期尚早と考えていた。
(劉の目的はともかく、能力の殆どが現状で不明。それなら僕は裏方に徹し、彼らの能力や脅威判定を行うべきか)
 幸い、彼の傍には紅迅 斬華(la2548)のSJ-03こと灰燼首滅如来が既に巨砲を構えている。
 レイヴは斬華をはじめとした仲間達の支援をするべく敵を広く視界に収めた。
 一方、アクイレギア(la3245)は劉をFS-Xのコクピットの中から睨みつけるも、ふいに目線を逸らした。
(……菫青、いや淑華ねーちゃんがここで堪えてんのに俺が先になって噛みつくわけにはいかねぇ。今は勝てる相⼿でもなさそーだしな……ここは放っとくっきゃねーか)
 菫青機は敏捷性と攻撃性に長けるも、耐久性に欠ける玄人向けの機体だ。
 無理をさせるわけにはいかないとアクイレギアは操縦桿を強く握り直す。すると。
「どうした、レギア。ため息など戦場に相応しくないぞ」
「あ、マイクに音拾われちゃってたか。淑華ねーちゃん、今度のアサルトコアはちょっと堅めのやつだから防御任せてくれよな! ……実はけっこー⾼くてさコレ……」
「ああ、ロールアウトされてから間もない機体か。ならば大きな力となろう。頼りにしている。共にこの地を守り抜くぞ、レギア」
「ん、俺がねーちゃんも街も守ってやる! だから安心して戦ってくれよな!」
 明るく覇気に溢れるも、どこかほんの少し哀愁の帯びた声。
 きっと生活を切り詰め出撃を重ね、ようやく入手した機体なのだろう。
 そんなふたりのやり取りに安堵しながら斬華が菫青に通信を繋ぐ。
「キンセイさん♪ 堪えて下さいね……。⼈命を救うことが最優先です! 決着はいずれ……♪」
「ああ、何としても死守するぞ。……心遣いに感謝する、斬華。例えここにいるモノが何であれ、我々は気を緩めるわけにはいかないのだからな」
「ええ♪ その意気です♪ さて、私も準備しないと……。あ、劉さん♪ 今⽇は利害の⼀致ということで共闘しましょう♪ 決着は嫌でもつけることになりそうですし♪」
 斬華は発射の反動に備え自動装填モードに移行しつつ、劉に声を掛けた。
 菫青とともに視線を向けたその先で劉が僅かに口元を引き上げる。答えはそれで十分だ。
 いつかは互いの首を奪い合うこととなる――それだけは間違いないのだから。
 その頃、柳⽣ 響(la0630)はXN-01こと通称夜煌のコード「666」を発動させた。
 途端に爆発するがごとく高まる戦闘衝動。鼻から血がつうと流れると、響はそれを乱暴に袖口で拭い不敵に笑う。
「未知の敵が5体……か。いいね、戦い甲斐があるじゃないか。そうだろう、夜煌?」
 当然ながら夜煌は言葉を返さない。その代わりとばかりに駆動音が高まるや、彼女は「わかってるじゃないか」と愛おしげにコンソールを撫でた。
 一方で北条 柊(la3904)はFS-X、愛称白雪の内部で前のめりの姿勢をとると「ふぅん」と感慨深げに息を漏らす。
「エルゴマンサーにも⾊々いんだねぇ。共⾷いしてくれればそれに越したことないんだけど……仕⽅ないか」
 その呟きを傍受した、杉 ⼩⻁(la3711)は彼に冗談めいたメッセージを送った。
「ナイトメアの次はインベーダーなんてその内、SF映画の悪役宇宙人も来るんじゃないかしら」
 しかしそこまで打ち込んだところで小虎の指が止まった。
 武闘派お嬢様の小虎にはナイトメアが一枚岩と呼べる集団ではないと知ったことが大きな衝撃だったのだ。
(殴って黙らせられる敵は少ないほうがいい。でも終戦を願うなら敵は多様な⽅が……今は敵対者しかいなくても、いつか⼈類に加担するナイトメアと出逢える可能性があるかもしれないから……)
 顏には出さずとも、今回の出来事に困惑する小虎。それを察した柊は彼女の迷いを断ち切るように溌溂と問う。
「向こうの劉っていったっけ、あいつがこのあたりのボスエネミーなんだよね? お⼿並み拝⾒と⾏きましょ」
「え、ええ。どうやらこの地域を奪う気は確かなようです。北条様、ご油断召さらずに」
「ありがと。ま、精々やるだけやってみるよ」
 飄々と返し、白雪を前進させる柊。小虎のMS-01J、愛称百鬼丸も負けじと浮遊装甲「十絶陣」を簾の如く展開。浜辺から敵を抜かせるものかと隙のない動きで歩み出す。
 それと同時にアンリエッタ・賽松(la3087)も大剣を備えた愛称「虐待おじさん」ことXN-01で前に出た。
 アンリの目標は劉の守備範囲から外れたインベーダーの駆逐だ。
(また変なナイトメアが出てきたのです。誰と敵対していようと、どちらにしろ邪魔なのです。……劉は態度は気に⼊らないけど、前は合格点くれたので今回は⼀緒に戦うのです。共闘する相⼿を後ろからやる気はないのです)
 アンリという少女は己が気に食わぬ相手が何者であろうと迷いなく力を揮う娘だ。
 ゆえに――このインベーダーという不愉快なモノの破壊プロセスを冷静に考えていた。


●吠える異形ども

 巨大な脚で地を蹴り、ヒトの匂いが残る町へ突撃せんとするインベーダー。
 その動きを真っ先に止めたのは小虎の十絶陣。
 硬質な盾が最前衛のインベーダーの胸元を抉り、奴らが突破せんとする勢いを瞬時に殺したのだ。
(本来はこれを利用して簡易銃座を誂え、「雷公鞭」の試射を行うつもりでいたのですけれど……已むを得ないですわね)
 実は今回の戦で拠点防衛用ライフルの使用を考えていたのだが、諸事情から装備を変更せざるを得なかった小虎である。彼女は次回こそはと小さく唇を噛みながら、堂々とインベーダーの前に立ち塞がった。一歩もここから先を通すまじと。
 その隙にティアナが宣言通り大外の1体にスナイパーライフルを構え牽制の姿勢を誇示しながら接近。射程内に入り込んだ瞬間に火炎弾を発射し、インベーダーの青白い顔面を灼いた。
 だが焼失したのは表皮のみ。筋骨剥き出しの顔がティアナへにたりと笑みを向ける。
「くっ、これで表皮だけとかフィジカル半端ないじゃない! 倒しちゃっていいんでしょ︖ とか⾔えりゃいいんだけどさ。……さすがに未知の敵じゃ……ちっと苦しいか」
 思わず咥え煙草を噛みしめればティアナの口腔に苦みが奔る。しかし今はただ、仲間を信じて足止めをするしかない。
 その時、斬華から全機へアラートサインが放たれた。どうやら彼女の「準備」が整ったらしい。
「前衛の皆さーん♪ これからグランドスラムを発射しまーす♪ 爆破範囲内から総員退避をお願いしますねー♪ あ、一応劉さんもですよー」
 幸い戦は始まったばかりで突出した者はいない。
 補佐役のレイヴがレーダーを確認し「範囲内、総員退避を確認」と通信するや、キャノン「ロウシュヴァウスト」の追加爆薬にセットされたブースターが大きく唸りをあげた。
「武器が刀であろうと銃であろうと関係ありません♪ 焼き払います♪ 全⾝は⾸♪ 私に必要なのは敵の首……なんですからぁあああッ!!」
 片膝を地に着けた灰燼首滅如来の巨砲から轟、と音を立ててグレネードが飛翔する。
 その狙いは頭部(⾸)、腕部(⾸)、脚部(⾸)、胴部(⾸)。様々な「⾸」と名のつく部位へ射撃を振り分け、攻撃部位の予測を困難にした。
 その轟音にインベーダーどもは回避を試み羽ばたいたが間に合わず、巨大な火炎のドームに巻き込まれていく。
『ぐええええええぇっ!!?』
 当然のごとく首どころか全身を焼かれ、断末魔に似た悲鳴をあげるインベーダー。
 その烈しくあり華やかでもある戦ぶりにレイヴがたまらずコールした。
「スプラッシュツー! グッドヒット、グッドヒット!」
 このまま勢いを守り通せばきっと勝てるはず。彼は斬華機へ期待をこめて補助エネルギーS型を提供する。
 だがそれでも奴らの生命の火は消えはしない。
 斬華の望み通り奴らの首の肉は骨が露出するほど剥がれ落ちていたが、肝心の五体は欠損に至っていないのである。
 まずはライセンサーの防衛線を越えるべく、先鋒の1体が最前衛に立つ小虎の百鬼丸へ飛び掛かった!
「このっ……往生際の悪い!」
 咄嗟に十絶陣で重圧をいなそうとするも、相手の力は予想以上だ。
 百鬼丸へ遮二無二体重をかけ、盾ごと地に圧しつける。
 次いで別の個体が無防備になった百鬼丸を叩き潰そうと体を反り返す。
 このままでは危ない――小虎が背筋に冷たいものを感じた瞬間、夜煌が黒い光の粒子を撒き散らしながら吶喊。
 巨大な杭打機でアンブッシュリーバーを繰り出し、百鬼丸を抑え込むインベーダーを海側へ突き落さんばかりの勢いで吹き飛ばした。
 同時に百鬼丸は機体を横転、敵の攻撃を辛うじて躱して身を起こす。
「助かりましたわ、これでまた武芸を魅せられようというものです」
「ん、間に合って良かったよ。……で、インベーダーさん? 悪いけどさあ、お前達に好き勝手させるわけにはいかないんだよねえ!」
 テンション高く大見得をきる響はそのまま空中にいる劉を見上げ声を張った。
「劉さん、こういう時こそ⾼威⼒な技出しなよ! あいつらピンピンしてるよ!?」
 その声音には明らかに煽るような弾みがあった。それに対し劉は煽りを敢えて受け「ああ。望み通り、一斉に相手をしてやろう」と応える。
 その時、響は気がついた。空中のみならず海からも水が舞い上がり、劉のもとへ集まっていることに。
(そういえば劉の攻撃は氷に由来するものが多かった。でもそれはもしかして自身で完結できる能力ではなく、環境に依存する……例えば砂漠のように完全に乾燥した空間では使えないもの……?)
 彼女はそこで今まで劉が戦場に直接交戦したのが水辺の近くに限られていたことを思い出す。
 海の傍の旧工業地帯と此処、それ以外は手下であるナイトメアに戦を任せ高みの見物に洒落こんでいただけだ。
 そこでふと一つの案が思いついた時――無数の青が宙で煌いた。
「あれは……くっ!」
 どうやら思考に耽っている間に氷の弾幕が放出されたらしい。
 咄嗟に防御の態勢をとり、百鬼丸を庇うも2体のイマジナリーシールドが大きく削り取られていく。
 同時にインベーダーにも無数の氷粒が降り注ぎ、リジェクションフィールドの一部を完全に剥ぎ取っていたが。
「ちょ、劉さん! 範囲攻撃するなら周りを見てやってよ!! せめてちょっとは加減するとかさ!」
「ほう? 奴らを此処で食い止めるなら広範囲で一網打尽にするのが適当だろう。首狩りの女がそうしたようにな」
「あれは事前通達してたから全然別! 報連相は仕事の基本ッ! ほんっと、空気が読めないんだから! 次はもっとガツンと、でもきちんと周りを見てよね!!」
 傷つきながらも威勢よく野次を飛ばす響。
 これは彼女なりの作戦である。今まで実力を見せなかった劉の手のうちを暴くための。
 その時、中衛に控えるツギハギが「纏めて癒すわ、近寄って!」と叫んだ。
 しかし響は百鬼丸の背を押すのみでそのまま前線に残る。
「戦友、無理はいけないわ。早く戻って!」
「いや、多少傷ついた方が夜煌は本領を発揮できるんだ。その代わり小虎さんは守りの要。ボクの分までしっかり治療して頂戴ね」
 響は斬艦刀「破軍」の柄に手を掛けながらなおも前進する。機体の傷など名誉であると誇示するように――。
 そこでツギハギは響の無事を願いつつ、百鬼丸へメディカライザーを投擲した。
「私より先に壊させないわよ、戦友!」
その温かな想像力は百鬼丸を前線に戻すに十分すぎるほどの癒しを与える。
 と、その時。菫青機が大太刀を手に大きく前進した。小虎が前線に戻るまで時間を稼ぐつもりなのか。
 ツギハギは慌てて菫青を呼び止めた。
「戦友、その機体は然程改良していないんでしょう!? 危険よ! 今回は前衛の数は⾜りてるし、まずはライフルでお願い。で、前衛の誰かが緊急時には前みたく前に出てフォローをお願いするわ」
「……っ、了解した。最善を尽くそう」
 どこか悔し気な応答。それは菫青機の危うさを理解しているがゆえのものだ。
 力及ばぬゆえの苦渋。
 その辛さを長年の戦いでツギハギは幾度も体験しているからこそ朧気な記憶が淡く蘇り、胸が痛む。
「……⼿伝うって⾔っておきながら毎回我慢させてごめんね、戦友。この戦闘が終わったら⼀杯奢るわ。だからちゃんと⽣きて帰るのよ」
「ツギハギ、お前が謝る必要はない。この機体はそもそも相手を識ってこそ戦力を発揮できるものだからな。……それより先のアサルトコア戦では危機に陥らせ、すまなかった。今回はこそ己が役割を果たしてみせる」
 そう返すと通信が切れ、菫青は響の鉄杭を受けたインベーダーに銃弾を見舞う。その様子に安堵したツギハギは再び仲間達のシールド維持状況を確認した。
 一方、アンリはインベーダーと正面からぶつかるのは危険と判断し、動きを読まれぬよう変則的なステップを踏みながら最寄りのインベーダーへ接近する。
(命中精度は落ちますけど、真っ向勝負よりはリスクが少ないはず。まずは顔を潰して真っ当に反応できなくさせれば……!)
 彼女は遠隔狙撃ユニット「トリステス」を展開し、上空から敵の顔――特に目を狙う。
 複数の狙撃銃ユニットが音を立て、アンリが「Fire」と呟くと同時に鋭い銃声がいくつも重なった。
 すると武骨な弾丸が剥き出しの額を割り、敵の巨体をぐらつかせる。その間にインベーダーの脇へ滑り込み、大剣に手を掛けた。
(あと少し……もう少し近づけばあの業が使えるです。こうやってナイトメアを倒し続ければきっといつか大きな力が手に入るから……!)
 アンリは自分なりの正義を貫くために戦っているのだ。それがかつて失ったモノ達への救済、そして最善の未来に繋がると信じて。
 それと時同じくして。S=Fは「どっちが性質が悪いんだかな。まあいまは倒すのに専念しねえと、か」と独り言ちると⼤剣を盾のように翳した。
 現状のインベーダーは飛行していないが、件の圧し掛かりや再度の飛翔を考えると油断はできない。
 だからこそS=Fは自身が囮を勤めるべきと判断し、目立つように剣を閃かせては敵陣へ闇雲に突撃する。
 それを見たインベーダーは金属板のごとき羽を発射、ドラグーンのシールドを引き剥がすように削った。
 残りの2体もへらりと笑みを浮かべてドラグーンに迫る。もしや百鬼丸へ見舞った圧し掛かりを狙っているのか!?
(随分な歓迎ぶりじゃねえか。だがな、こっちにだって算段ってのがあるんだよ!)
 S=Fは大剣を振り下ろすと脳裏に破壊の象徴――竜巻を『想像』した。
「全てを呑み込め、アグレッシブトルネードッ!!」
 剣先が旋風の如く舞い、インベーダーの胸から顔を幾重にも斬り裂く。その一撃一撃は軽くとも重なれば。
「ぐぉおおぉおっ!?」
 インベーダーの足が止まり、血の如き液体が砂地を穢す。そこで一体が悲鳴の如き奇妙な叫びをあげた。
 文字にすることも叶わぬ音――それがドラグーンの、夜煌の、そして百鬼丸のシールドを僅かに削り、攻めの手を緩ませる。
(攻撃力を抑える力も持ってんのか、こいつら。このままじゃぶっちゃけヤバいね。とにかく一体でも先に潰さないとジリ貧で劉だけ生還とか笑えない結果になる!)
 柊は全力で駆け、B.B.K-5を嵌めたマニピュレーターで最も損傷度の高いインベーダーの腹をストレートに打ち抜く。
 そして怯ませた隙にアンリと逆の方向へ身を滑らせた。
(ここまで体を抉ったのなら映像データも十分な情報になるはず。今のうちに……!)
 ――柊は手早くこれまでの戦闘データを本部に転送すると再び拳を構えた。いつ相手がこちらに組みつこうとも叩き伏せられるように。
 その間にアクイレギアが菫青を庇うように立ち、ライフル「ベンティスカ」で最も手近なインベーダーの喉元の傷を深めるように抉る。
 破壊力なら剣の方が強い。しかし此処を動くことは彼にはできなかった――守りたいものがあるのだから。
「俺は霧野郎と違って空気は読むけどなァ! 腹⽴つのは変わんねぇんだよッ。⼋つ当たりだオラぶっ⾶べ!!」
 相変わらず敵に対する叫びは口汚いことこの上ないが、それが士気を上げているのも事実。
 インベーダーはそれに僅かに慄くように後退した。


●畳み込むように、折り重ねるように

 小虎は明らかに百鬼丸の出力が下がっているのを認識しながらも、それでも闘志を失わなかった。
 武家の娘としての誇りが彼女の背をしかと支えているのである。
(今はインベーダーを倒すことに集中しましょう。敵の敵は味⽅などとはいうが、インベーダーは明らかに味⽅ではない。贔屓⽬に⾒ても共通の敵。劉も倒すべき敵ではありますが、今はあなたは殺さないでおいてあげてよくってよ……!)
 劉の立ち位置を確認するや、百鬼丸はマグネターを装着。奴の周辺を避けつつ一気に敵陣を駆け抜けた。無双の拳がインベーダーの羽を折り、胸を潰し、脚を削り落とす。
「デッドペトネーション……いえ、我流で申さば『バリア螺旋パンチ』。出力が衰えているのならば、打ち抜く数を稼ぐまで……お気に召されて?」
 あまりにも激しい打撃の連続。それに対し損傷の激しかった一体がついに崩れ落ちた。
「がっ……!?」
 肉がぼろぼろと乾き落ち、骨が小石のように崩れていく。
 無意識に体を強張らせたインベーダー4体に向け、アンリは「このままの勢いで潰していくです!」と奮起した。
 かたや敵の誘引を担うティアナは「あと3体……仲間達が倒してくれればあたし達の我慢も報われる。だからもうひと頑張り頼むわよ、カタフニア!」と呟き、インベーダー2体へ特殊兵装『ジャミング』を射出。
 ジャミングから放出された特殊電磁波はインベーダーの体を破壊するだけではなく、リジェクションフィールドにノイズのような干渉を与える。
 敵の認識力を衰えさせる業――これは仲間達の出力を奪った敵に対するティアナなりの意趣返しだ。
 一方で斬華は自軍と敵軍が乱れる戦場を見据えるとブースター付きの弾薬から手を放した。
「グランドスラムの出番はこれまででしょうか。もっとも残りも全て首を撃てばいいだけのこと♪ サポート感謝します、レイヴさん。これから一緒に支援に努めましょうねっ♪」
 そう言って彼女はロウシュヴァウストから高威力の弾丸を放ち、最も突出した1体にヒットさせる。その狂暴な炸裂たるや胸元から首を強引に引き千切り、首から上を見事に灰燼とした。
「たまには射撃戦もいいですね♪ さて、ここからは⼀歩も町には近付けさせませんよぅ♪ ……って、あら?」
 彼女が驚いたのは首を失ったはずのインベーダーが理性を失ったかのようにバタバタと駆けまわり、手当たり次第に攻撃を始めたことである。
 もしかして核は首以外にあるのだろうか。レイヴは訝しげな視線を向け、ジャイアントハンターで奴の胴を撃ち抜いた。すると腹から肉がどろっと剥がれ落ち、骨が露出する。
(Hit……身体の崩壊を確認。次のタイミングで落とします!)
 だが奴は地獄への道連れとでも考えたのか斬華に向けて吶喊し、そのまま全体重をかけて灰燼首滅如来を圧した。
「……っ! 全く、これだからナイトメアは困ったさんなんですよね♪」
 少し困ったような顔ながら、四肢を押さえる敵を弾こうと機体を揺らす斬華。
 当然レイヴも力任せにそれを排除しようとしたが――突然上空から氷の槍が落下し、首なきインベーダーをミンチ状に粉砕した。
「劉……?」
 レイヴが思わず顔を上げるも、劉はいつものように空中で腕を組んだまま敵を睨みつけている。
 しかし彼の周囲に展開されていた氷の壁が消えていることから――答えは明確だった。
(なるほど、彼の攻撃にはスピリットウォーリアの一部スキルのように、守りを破壊力に転化するものがある。それならば多数のアサルトコアで攻め、余裕を奪えば彼を一時的に無防備にできるでしょうか)
 そうレイヴが思いついた瞬間、劉の眼鏡が胡乱気に彼を見下ろす。彼はその視線の冷たさに慌ててトリガーへ指をかけ直した。


●連動する闘志

 アンリは焦りを感じ始めたインベーダーが翼を広げたのを見とめるや、逃がさないとばかりに駆けた。
 彼女は真っ先に奴の後ろ足を爪先で強引に掬いあげ、バランスを崩した瞬間に蹴り込むような姿勢を見せながら超装甲大剣を力いっぱい叩き込む。
「逃げようなんて甘い考えは捨てた方が正解です。戦いは生か死、それ以外の結果なんてないんですからっ!!」
 ⻤羅・蠧虚滅鉄威天拏狼――それは姿勢の立て直しすら許さない懲罰の業。
 インベーダーは呆気なく翼をもがれ、地べたに腹を打ちつけた。
 そこに響がアトンドリ・エスペリエを叩き込む。
 己の傷を破壊力に上乗せする破滅の衝撃波――夜煌は漆黒のオーラと煌きをもってインベーダーの全身を破砕した。
「はぁ……はぁ……やっぱこれ、ガチで脳にクるね……。ヤる時は最高にイケるのに、終わった瞬間は頭ン中が空になる……」
 コード「666」を拡張したシステムを運用した攻撃は闘志を最大限に引き出すも操縦者への負担もまた、少なくないらしい。
 鼻から流れ落ちる血を手の甲で拭い、響は残り2体のインベーダーを睨みつけた。
 その頃、S=Fはダメージの蓄積したドラグーンをじりじりと後退させながら、隙を見せたインベーダーへ小気味よい刀筋でストームファングを見舞った。
 たちまちリジェクションフィールドの力が弱まる敵を見て彼は口角をほんの少し吊り上げる。
「守りを奪われりゃあと少しってやつだ。……それまで耐えてくれよ、ドラグーン」
 その願いに応える者がいた。
「ああ、あんたのことも愛機も守ってやんよ。いくぜ、ねーちゃん!」
「了解。ダイブ・モード確認、必ず当ててみせる!」
 アクイレギアと菫青が息を合わせて発砲。インベーダーの体を斜の十字に撃ち抜き、動きを鈍らせた。
 同時にツギハギも「攻撃は苦手なんだけど……ここまで来られちゃ仕方ないわね。抜かせないわよ、八咫烏!」と浮遊砲台からエネルギー波を放つ。
 続いて柊が飛び込むも、インベーダーは断末魔に似た悲鳴を上げてアクイレギア、柊、菫青、アンリ、ツギハギ機のイマジナリーシールドを剥がした。
 その威力たるや先ほどの叫びと異なり、まさに命をかけた威力といってもおかしくないものだった。
 しかし柊は耳に残る痛みを堪えながらもマニピュレーターを構える。
「くっ……さすがだね。だけどさ、僕らだってただ殺されるだけなんかじゃない。生きるためにお前を倒すしかないんだっ!」
 B.B.K-05のブースターは既に全開だ。凄まじい音とともに拳が唸り、宙を裂く。
 そして――「ぐぁあああああっ!」――無残な悲鳴と同時にインベーダーは砂浜に崩れ落ちた。


●最後の飛翔、最恐の狂気

 ティアナが抑え続けていた最後の一体は彼女の懸命な戦いぶりにより大きな傷を負っていたが、それでもなお翼を広げて体を宙に浮かせた。
「……っ、逃がしませんわよ!」
 小虎が帰巣によって宙を舞い、十絶陣を壁のように展開。インベーダーの行く手を塞ぐ。
 それと同時にティアナはここでケリをつけんとSBs-01白鳥のスラスターを全開にした。
「キャリアーバスターでの斬撃をこれだけ受けてもまだまだ⾶べ……!? 逃がすわけないでしょ! 冗談じゃないっつーの!」
 前方の小虎と後方のティアナ。両者に挟まれては逃げることは困難だ。
 そこで守りの比較的薄いティアナに突撃せんと突っ込むインベーダー。ティアナは(狙い通り!)とほくそ笑んだ。
「一緒に堕ちてやろうじゃないの! 消えるのはあんただけだけどねぇえっ!!」
 キャリアーバスターを構えたカタフニアがその身ごとインベーダーを叩き落とすべく衝突する。
 空中でのインパクトと地面に落ちた衝撃は守りの堅いカタフニアに大きなダメージを与えたが作動には問題ない。
 動かぬインベーダーをじろりと観察しながら半身を起こすティアナ。それを庇うように前に出たレイヴは慎重にバルカンを構えた。
(もしこれが遺骸ならSALFでのインベーダー研究に使用できるはず。願わくばこのまま回収したいところですが……)
 一方、斬華も斬艦刀に得物を持ち替え、じりじりと迫った。
(もし回収するにもとどめは必要でしょう。特に首が急所でないのなら、首を落としても問題はないはずですし♪ 後は必要な分だけ各部位を確保するだけです♪)
 ――と、その時。インベーダーが突然跳ね上がるように身を起こすとレイヴに羽根を撃ち込んだ。
「つぅっ……!」
「っ、相変わらずしぶとい奴ね!」
 ティアナが体勢を整えようと操縦桿を何度も前後させたその瞬間。
「……獣には獣を。アンリは『全てを壊し、新生させる』ためにあるのです……!」
 アンリの呟きが静かに響き、野獣の如き禍々しい音が黒の機体から猛烈な熱とともに放たれる。
 野獣咆哮――コード「666」と酷似したプログラムだが、その苛烈さは搭乗者に戦意高揚ではなく荒れ狂う怒りと猛烈な痛みを与える苦痛そのものである。
「この痛みはアンリだけのものじゃない。これはもっと大切な……お前はそれを受けて死ねぇえええええッ!!」
 超装甲大剣が唸りを上げる。
 峰で体を砕き、そこから捻るようにして刀身で肉体を割っていく。まるで悪鬼羅刹の如き戦働きだ。
「ぐ……あぁああああ……」
 ぐちゃり。内臓があるであろう部位から鈍い輝きが漏れ、消える。それが奴の核だったのだろうか。
 いずれにせよそれがなんだったのかは不明だ。
 アンリ機から熱が放出される頃には奴はただの砂粒と化していたのだから。


●エルゴマンサーとの問答、そして決意

 最後のインベーダーが倒れたその時――全員は深く安堵の息を吐いた。
 あの劉でさえ人間を救うために力を揮ったのだから、その緊張感たるや尋常ではなかったことを物語っている。
 その奮闘ぶりにS=Fは「お前がヒトであったならとここまで思ったことはないぞ、エルゴマンサー」としみじみと天を仰いだ。
「それは誉め言葉と解釈して良いのか? もっともヒトは我々にとって餌であり進化の糧。お前達と同等となるのは御免だな」
「それが残念なんだよ。お前達は生命を喰らいながらも他者の全てを否定する。それはお前達の進化に対する否定にもなっていないか? そもそもお前達は何を求めて存在しているんだ?」
「さぁな。お上の考えていることには興味がないんでね。ただ、俺は俺が欲しいだけだ。そうだな……例えば仮面の男、お前は自分がたしかに此処にあると断言できるのか? 先日の言動から鑑みるに、お前も己に揺らぎを感じているのではないか?」
 その言葉にS=Fは声を詰まらせた。そこで彼の代わりとばかりにアクイレギアが嫌悪感丸出しで劉に対峙する。
「なんつーかさ、テメェのソンザイイギとかなんとか、そういうのはどうでもいいっつーの。ただテメェがいるから苦しむ人間がいる……それが俺は気に食わねえんだよ」
「それはあの女のことか? あれは俺に基づく全てを放棄すると言った。そうなった以上、あの女は俺を構成できん。餌にしかならんよ」
 この無神経さにアクイレギアは殴りかかりたい衝動を懸命に抑え、低く声を放った。
「あぁ︖ 何ふざけたこと抜かしやがる霧野郎。時と場合によってやってイイことと悪い事の区別位つけろ。テメェと違って空気読めンの、俺ぁ。それよりさっさと帰ったら? 俺、テメェの相⼿するキブンじゃねーの」
 な、と目配せするように後方の菫青機に振り返るアクイレギア。即座に「肯定する」とサインが届くと彼は「ねーちゃんもそうだってよ。テメェ、やっぱいらねーよ」と鼻を鳴らした。
 一方で斬華は楽しそうに微笑む。
「ふふ♪ 劉さん! 今回は借りができちゃったみたいですね♪ 私、貴⽅みたいな⽅、嫌いではありませんよ♪ いずれ刈りますけれど♪ それまでその首、大切になさってくださいね。他の方に獲られちゃ嫌です♪」
「ああ、お前こそな。多くのナイトメアの首を狩った業深き女の首はさぞ美しいオブジェとなるだろうさ」
 なんとも物騒な対話だが、本人達にとっては愉快らしい。視線を合わせては挑発するように目を細めあう。
 続いて正気に戻ったアンリは痛みの治まった体を擦りながら淡々と告げた。
「この前、合格点くれた分は返したのです。……ナイトメアが⼈を喰うのは⽣きるための⼿段。だからアンリは別に咎めないのです。でもアンリは世界に反逆してぶち壊すのは⼈間の⼿でやるべきだと思っているからナイトメアは邪魔なのです」
「ほう、世界に反逆だと? 人間の一部にこの世界を憎む者がいるというのか」
「まぁ、こんなご時世ですし。泥水啜って生きてきた人間の中にはそんな考えを持つのもいるってことです。……次会うときは共闘でなく、殺し合いであることを願うのです」
 そう告げたアンリは劉にマニピュレーターで指鉄砲を作った。
「BANG!」
 掛け声とともに指先を弾き上げる虐待おじさん。そのいとけなさに微笑んでから、柊は劉に向き合った。
「そういや、さ。なんでよりにもよって⼦に⾍選んだの?」
 それに対し劉は当然とばかりに顎髭を撫でる。
「優れた繁殖力、主への忠実性、無慈悲な暴力……大量破壊兵器、そして次代の支配者としてこれ以上相応しいものはあるか?」
 すると柊の顔が晴れ晴れとした表情に変わった。その裏には苛烈な感情が渦巻いているのだが――それを隠すように軽妙に。
「なーる。それなら今度は気兼ねなく思いっきりブン殴れるな。劉、次は本気でやらせてもらうよ。やはりお前は人類の敵。後腐れなく倒せそうだ」
 これらの問答を見届けたツギハギはため息を吐くと改めて劉を睨みつけた。
「⽤が済んだらとっとと帰りなさい、クソ化物。それと次こそは戦友の恋⼈の姿と想いを返して貰うわ。お前は何も理解できず誰にもなれず無為に壊れるのがお似合いよ、クソ化物」
「機械の娘はそこまで俺を憎むか、面白い」
「面白い、ですって?」
「憎しみは相手の存在を認識している証だ。少年の嫌悪、青年の義憤、幼き娘の殺意、首狩りの女の欲、拳の娘の闘志……それらもまた俺を構成していく」
 そう言い残し、姿を空間に濁し始める劉。響は咄嗟に夜煌の腕を伸ばした。
「なぁ、⼀緒に戦うのも、結構楽しいもんだろ。楽しめたのなら、『ヒトの死ぬ意義』ってのに少しは近づいてると思うぜ︖ こいつはヒトの⽣きる意味を探してる奴からのアドバイスだ」
『そうか……それなら今回も合格点だな』
 その瞬間夜煌の指先に何かが触れる。微かな、それでも確かな重みに響は小さく頷いた。
(たしかにお前は敵だ。倒すしかないってわかってる。……それならお前が満足して消えていける戦いをしよう。それがお前を識ったボクなりの仁義だ)

 その頃、ティアナはコクピットを開放するや煙草に火をつけて通信端末にデータを打ち込んでいた。
 インベーダーの耐久性と攻撃性、劉の戦闘能力とコアの存在――そして彼の力の根源となる空間の条件を次々と入力していく。
「……っとに……厄介事ばっか増えるわね……。でも劉に対して勝機が見えてきた。それだけは本部に胸を張って伝えられるわ」
 一通り入力し、送信ボタンをタップする。その様子を見上げていたツギハギが「戦友、打ち上げに行かない? 全員の情報の確認も兼ねて。レギアが美味しい豆料理の店を教えてくれたのよ」と声を弾ませた。
「確認、か。それならOK。丁度小腹も空いていたしね。ああ、そういえば豆料理って南米系? それともアジア系?」
 そう言ってカタフニアを再起動させるティアナ。
 町への被害はなく、荒れた砂浜も波に打たれるごとに本来の姿を取り戻すだろう。それが今はただ、嬉しい。
 一方、ツギハギはティアナに店のデータを送信すると菫青に「そういえばピアス開けたのね。似合ってるわ、戦友」と声をかけた。
「髪、短いから……せめて耳元だけでもと思って」
「それはいい傾向よ。客観視と向上心、それは心が健康な証拠だから。あ、短髪なら首周りのお洒落も楽しいわよ。今度一緒に何か探す?」
 その言葉にアクイレギアは難解そうに頭を掻くも、明るく笑った。
「あー、俺はそういうのよくわかんねーけど。ねーちゃんが最近イイ感じだって思ってるな。でさ、ねーちゃん⼤丈夫? 俺役に⽴ったー?」
「ええ、機体性能を活かした守りが頼もしかったわ。訓練の賜物かしら。……今回もずっと助けられてばかりだったわね。次は私もアサルトコアを新調して皆と肩を並べるわ」
 その声に思わず「えへ」と笑みを漏らすアクイレギア。支部が見えてくると彼は「よし、豆食いまくるぞー!」と意気込んだ。
 しかし菫青に「肉と魚も食べなさいよ。でないといつか体が燃料不足を起こすんだから。特に年を重ねた頃にね」と説教され――とほほと肩を落としたのは言うまでもない。

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