オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【OL】インソムニアからの脱出

連動 【OL】インソムニアからの脱出 津山佑弥

形態
ショート
難易度
危険
価格
1500(EX)
ジャンル
OL 冒険 バトル 特務 
参加人数
104~10人
予約人数
10010100
基本報酬
250000G
250SP
2500EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2019/05/22 16:00
完成予定
2019/06/06 16:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●虎穴に入らずんば
「まず、この作戦は『インソムニアに少人数で潜入する』という非常に危険なものになります。それを覚悟の上で聴いてください」
 オペレーターは言葉通り神妙な面持ちで口を開く。

 すべては、ナイトメアに捕らわれた後に奇跡的に逃れることに成功した少女――セレスト・アッカーの証言から始まった。
 不自然に霧が覆うエリア。その霧を更に囲む、膜のようなもの。
 ニュージーランドに上陸してから今までにない情報である上、ナイトメアは膜を抜けて彼女を中に連れ込もうとしたという。
 攫った目的は分からないが、彼女が指し示した方角的にもその先にはインソムニアがあると見て間違いはないだろう。
 問題は、その霧。中は全く見通せない為、インソムニアの形状を掴むこともままならない。
 そこで、だ。
「皆さんにはそれぞれ民間人を装ってある程度バラバラに動いてもらい、あえてナイトメアに捕まる『フリ』をして頂きます」
 セレストの話によれば、捕まった後に意識を持っていかれたという。この地域特有のナイトメアであるフェイントママルズの投げた実の効果である可能性が高い。それから彼女を連行したのも、こちらはストームシープだろう。
 無防備かつ無抵抗な民間人を装って捕まり、膜と、霧の向こう側のインソムニアに入り込む、というわけだ。
「インソムニアの中に少なくともエルゴマンサーはいるでしょうが、それ以外に何があるかは現状分かりません。無闇な戦闘は避けた方が無難でしょう」

●冷凍睡眠
 かくしてライセンサーたちは、狙い通りにナイトメアに捕まった。
 最初から意識を手放していない者もいたが、それでも昏倒するフリをした。

 膜は、予想はされていたがやはりリジェクション・フィールドであるようだった。これなら、EXISでもごく短時間なら無力化可能だ。
 霧はそれ自体には毒性などはないようだが、中に入っても全く視界は晴れず、果たして物理的に払えるものかは分からない。

 霧の中に入ったストームシープが少し進むと、やがて扉が見えてきた。
 近寄ると自動で扉が開き――ライセンサーたちは、ストームシープの上に載せられままインソムニアへと突入する。
 赤々とした照明によりそれなりにはっきりと見える。外周は円形。天井の形状からするとどうやらドーム状の建築物らしい。
 内部構造は、というと、入ってすぐに分かったのはナイトメアの培養施設らしきものだ。試験管ベイビーよろしく、培養槽の中に出来かけのナイトメアが浮いている。具体的にどうやってナイトメアが培養されているのかは謎だが。ちなみに施設のいたるところには天井に向かって柱が伸びており、その柱の上の方にはフェイントママルズがいるようだ。
 顔を動かさずにちらりと視線を横に向けると、ガラス張り(実際ガラスなのかは不明だが)の壁の向こうには制御用のコンソールや画面のようなものが見えた。

 ストームシープはそれらの施設には目もくれず、壁を隔てずに一番奥にあったベルトコンベアーで地下へと向かう。上るには階段が横に据え付けられていた。
 地下に降りたナイトメアは、壁に隔てられていないエリアへとそのまま歩みを進め、やがて止まった。
 プシュウ、と何か大きなものから空気が抜けるような音がする。
 どうやらこれ以上の演技は無意味だ。
 ライセンサーたちは、一人、また一人とストームシープから飛び降り――はっきりと、それを見た。

 彼らが目にしたものは、整然と並べられた無数の小型シェルターだった。非常に密度が高く、数え切れる気などしない。
 そしてそれがコールドスリープ装置であることは、それぞれの丸窓の奥の静かな寝顔から理解出来た。

 ――おそらくこれまでに攫われてきたニュージーランドの人々だろう。
 ここに安置されている理由は、今は細かく考える余裕はないが。

 一人のライセンサーが、周囲を見渡す。
 地上同様ガラス張りになっている壁の一角。
 その向こうには、ドス黒く巨大な八角錐の物体が見えた。その物体に接続された管のうち数本は、地上の制御室へと繋がっているようだ。
 明らかに怪しいのだが、壁を破れるのでもなければコールドスリープ施設と違って扉のあるエリアを通過しないとあそこにはいけないようだ。
 そしてライセンサーたちはまだココに来て、エルゴマンサーの姿を見ていない。

 ライセンサーたちを民間人だと判断してここまで連れてきたものをはじめ、ストームシープやマンティスといったナイトメアたちが少しずつ囲い込み始める。
 動き出すにあたっての判断と決断がそろそろ必要だった。

●侵入者
「……言ったそばから入ってきてんじゃんか、ライセンサー」
「そうねえ。どうやって、は考えるまでもないんだけど、そもそも何でその方法を思いついたのかは気になるところね」
 地下エリア、例の「扉を挟んだ」向こう側。
 二人のエルゴマンサー、ラディスラヴァ・べチュカとヘクター・ウォールは顔を見合わせる。前者は肩を竦め、後者はとても嫌そうな顔をした。
「少数で入ってきたみたいだけど……逃さないでしょ?」
「当たり前だ。もっとめんどくさいことになっちまう」
 そう吐き捨てながらも、ヘクターは身の丈よりも長い砲身を持つ砲を担いだ。
 それを見てラディスラヴァは言う。
「私はここに残るわよ」
「そうしてくれ。『アレ』を探りに来る命知らずが居ないとも限らないし、居なかったら追ってきてくれると助かる」
「可愛いヘクターの頼みじゃ断れないわね」
「……もういい。行く」
 仏頂面を浮かべたまま、ヘクターは居住区を出た。

!重要!
※本依頼における事前提示情報は、「●虎穴に入らずんば」のみ。「●冷凍睡眠」の情報を現地で把握した後の状況開始。
※上記以外は全てPL情報。
※本依頼に記載があっても持ち帰ることが出来なかった情報は、以後の【OL】作戦において事前に入手出来ていないものとする。

■成功条件
▼PCが一人でも帰還(前提)
▼持ち帰った情報の精度により判定が上下(精度次第では失敗判定有)

■インソムニア情報
▼地上1F・地下1Fの円形施設、半径は50sq
ガラス張りの壁は破壊不可
▼地下
コールドスリープ施設が東半分を占める、スタート地点は円の中心付近
西は階段に近い扉を挟んでエルゴマンサーの居住区があり、更にその奥(円の南西部)には謎の八角錐がある
階段は北端にあり、コールドスリープ施設との間に壁はない
▼地上
地上から外に出る扉にロックはかかっていないが、エルゴマンサーが制御コンソールを操作するとロックがかかる
PCの操作による制御は不可、コンソールを破壊して操作不能にすることは可(破壊によってロックがかかることはない)
PCがコンソールを操作すると八角錐の情報を1ターンに1つ、最大4つ得ることが出来る(操作は1人のみ可能)
制御室は円の南から西にかけての1/4を占め、それ以外は全て培養施設
制御室に通じる扉は円のほぼ中心と南端にあり、屋外への扉は南東端にある
▼霧
・払っても晴れない(すぐ濃霧に戻る)
・扉から10sqでリジェクション・フィールド付近に辿り着く

■敵情報
▼ヘクター
当初は居住区にいるが、状況開始後すぐにPCに接近開始
基本的には目についたPCを追うが、居住区に入り込むPCがいれば最優先で追う
範囲攻撃がデフォルト、動きはそれほど速くない
▼ラディスラヴァ
ヘクターが地上へ上った後、居住区から出てくる
非常に身軽であるが積極的に戦闘を仕掛ける気はないようだ

■その他
リジェクション・フィールド外への通信は不可
参加者同士の通信は可

▼ストームシープ
地下・地上・屋外(霧)いずれにも徘徊
PCを載せてきた個体も含まれている
▼フェイントママルズ
培養施設に立つ柱の上に張り付いている
▼マンティス
地下及び屋外(霧)に徘徊

<マスターより>
どうも、津山です。

PL情報とは「事前には分からず、行動を起こすことにより初めてPCが理解するもの」です。
その「行動」をどうするか。それを踏まえた上の難易度です。
全力でどうぞ。

皆様のご参加をお待ちしています。

  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|ネメシスフォース×スナイパー

行きはヨイヨイ帰りは怖い、ね。
なんとか帰りましょ。

◯行動
地上班で行動。
狭められようとしている包囲を『全力移動』て抜けていく。
ちらっと見えたコンソール近くまで走り陽動する様にコンソールには入らずに地上までの道を検分。
同時にそこまで目に付いた道筋と建築物を『暗記』により記憶。

スマートホンなどの通信は常に入れておいて状況確認。
敵が迷わず私達を追尾してくるなら何か見張ってるものがあるはず。
ナイトメアの視界を共有なんて事になったらお手上げだけど、機械的なものなら頭上と見慣れない物体を見かけたら注意。
敵がどこからどれだけ現れるかなど注意して観察。
その流れから逃走経路を常に確認し、数ルート考えておく。

地下にいった仲間が1人でも途絶えたり、倒されたという情報を受け取ったら地上に来てる人間で合流して逃走。
残った『全力移動』の全てを使用。
戦闘は極力避けるけれど、
合流において敵が邪魔であるならば『レールガン』で薙ぎ払う。
壁があり、ロングフォースが届く位置まで来た
『ロングフォース』による破壊を試みる。
自分より先に誰かが反応し名乗りをあげるなら任せる。
コンソール操作をしたレイラを中央において守る様に展開。
無事に逃げ延びたらスケッチやメモなどに残す。

  • 星々を結ぶ絆
    水樹 蒼la0097
    人間20才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情
敵の本拠地ですし、無事にここまで来られただけ、まだいいほうですね!
あとは、情報をもって脱出するだけでいいのですから!

行動
地下対応班、前衛
ナイトメア優先狙い。ヘクターの射線の向き、射程、スキル等には注意し味方と同時に反攻撃を受けないよう、ただしフォローが可能なように動く
インカムで全員と常に情報共有

初手:敵がすでに密集している場合、階段側ナイトメアを地上班が移動しやすくなるよう大嵐屠でまとめて攻撃。3体以上攻撃できない際は通常攻撃で道を作る
2手目以降:敵数が増え過ぎて味方への攻撃が過剰にならないよう間引き優先。数が多く3体以上巻き込み可能な際は大嵐屠又はパワークラッシュ使用、スキル自体はどちらか発動回数1回は残す
状況次第で敵数が増加しない場合はヘクターにも攻撃。接近し懐に入り込み、多方向から連携波状攻撃を意識

ヘクターが居住区入口から25Sqに到達:居住区入口へ向かい全力移動使用、ヘクター地上への移動を取りやめるか確認。効果ありなら居住区突入作戦続行だが、効果なしなら再度ヘクターへ向かって全力移動し、ヘクターの足止め継続。居住区組の全滅時撤退
居住区突入時:八角錐目指し全力移動かつメイン行動も移動に費やす。敵がいること自体は想定して、突入時から八角錐無事到着のため盾を装備して防御専念。接近だけで情報判明すれば共有。不明の場合や到着までに居住区内に自身のみとなった場合、分からないものでもよいものではないと想定できるため、八角錐及び八角錐につながるケーブルの破壊を試み、残しておいた範囲攻撃スキルを使用して攻撃。
そもそも入口で突入阻止された場合、ラディスラヴァなら会話で時間を稼ぎつつ会話自体で味方に情報共有。能力、スキル情報、目的等少しでも今後につなげられるよう行動
その後、可能なら脱出のため地上へ

「…寝てない、寝てないわ……

地下残留
インカム使用
ヘクター登場直後味方巻き込まぬよう『咲き乱れる赤使用・範囲で顔面を焼く
ヘクターの意識を此方に向けるように
「ずいぶんお顔が真っ赤ね、どうしたの?
以降ナイトメア対応、少しずつヘクターを居住区扉から引き離すように誘導、地上対応側とは別方面、方面は他の地下と合わせる
使用スキル
使いきり
咲き乱れる赤→ハイフォース→フォースアロー
咲き乱れる赤は巻き込みを2体以上、味方前衛を巻き込まぬように放つ
水樹等ナイトメア対応の攻撃対象に可能な限り重ねるように攻撃
狙い・地下の情報を抜いて脱出路を作っているとヘクターに『思考させる』ように階段側の敵を攻撃する


【優先】
水樹及び芳野生命半減時、ハイヒールをそれぞれに使用。
優先度水樹>芳野

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

インカム使用、早めに外部との連絡が可能か確認
自身が以下行動で得た情報は常に地上班(田村・レイラ・橘)に伝え共有
ツインヒールは地上班生命30%以下もしくは自身生命40%以下で使用
BSに罹患した地上班は解除まで担ぎ走る

▼スタート地点→培養室
スタート地点からは地下班行動開始と合わせ全力移動で一気に離れる
地上組を敵攻撃から守れる様、敵が多い方向に位置取りつつ足並みを揃える形で移動

▼培養室→制御室
移動に加え行動フェーズその他でも移動を試みる
敵が固まっている箇所は極力迂回
制御室内に敵がいない様であれば全力移動で羊を振り切り中央扉から入り、侵入されぬ様扉位置で敵を抑える
扉付近に敵が固まってる場合はオーラ使用し他3人が入る隙を作る
入る際に羊の突進で硝子壁が破壊されないか強度確認

▼制御室
内に敵がいた場合、情報取得を邪魔させない様にオーラ使いヘイト集め
地下で見た八角錐のちょうど真上と言う事から、エレベーターや錐の情報の有無を確認
撤退合図が出たら、敵に操作させない事を目的に破壊

▼制御室→出口
出口側制御室扉から全力移動
エルゴ追跡確認時は足止め

▼出口→霧の外
出る前に霧の払えない性質を確認
3人の背後を守る形でタイミングを合わせ全力移動
走る直線上に敵がいた場合or壁に3人が到達した時に3sq下がり
霧中極力広く注視がかかる様にオーラ使用

▼霧の外
脱出できたら地上班を夫々別方向へ逃げる様誘導
自身は出口から真正面の方向へ逃走
エルゴが霧外に出てきて他3人を追おうとした場合は引き返し声掛け煽り逃げ逃走時間を稼ぐ

行動:
味方を逃がす事を優先
敵を妨害する場合追いつけない時は全力移動使用

初ターン
味方が地上に向かい敵が味方を追撃をする場合
正面に回り攻撃して妨害
敵が地上まで出た場合は味方に向かった敵の種と数をインカムで連絡
敵が動かない場合ヘクターに突撃


次のターンからヘクターに正面から突撃
他の狙われてる味方の視線遮る
移動で届かない時は全力移動後攻撃
ヘクターが自分に意識を向けたら付かず離れず移動し敵の間合い計る
他の味方にヘクターが向かう素振りを見せれば遮り
味方負傷時はヒールを積極的に使い
ヘクターに邪魔な存在だとアピールし意識向ける
ツインヒールは敵の範囲攻撃後など消耗激しい時使用

能力が不明な段階で味方とヘクターを前後で挟撃する位置取り
敵の情報はインカムで味方に伝達
攻撃やスキルを受けた時の威力
範囲攻撃あるか射程はいくつか簡潔に伝達
範囲攻撃判明後は味方とヒール可能範囲で距離取る

戦闘中ヘクターと会話
「僕とデートしませんか!お触りしていい?」
ヘクターの発言を復唱するよう話
敵の発言から情報の引き出しと味方への通達
味方が居住区に向かいヘクターが追撃する時
ナイトメア対応できる人が一人以下の場合
自分がナイトメア対応に回る
余裕がある場合ヘクター追撃

味方が脱出する連絡を受けた際
最後まで敵にすがりつき味方追撃妨害
「ライセンサー道とは!死ぬ事と見つけたり!

今度こそ、手を届かせるんだから…!(お守り代わりの組紐に触れ

【地下組
常にヘクターの動向は視界の端に、その攻撃は優先で避ける
開始直後に他者の行動に乗じ潜伏
「来た方向に扉があったはず…何かあるかも
コールドスリープ装置やナイトメアの死体を隠れ蓑に隙を見て居住区侵入
居住区侵入までに見付かれば再潜伏、不可能ならナイトメア対応に切替
基本は回避、倒しきれそうなら攻撃、生命半分↓で自ヒール
時間を稼ぎ他のタイミングと合わせ居住区突入


【居住区侵入後
他と別ルート
八角錐・ラディスラヴァ等の新規情報を得次第インカムに
・未発見で侵入時
隠れながら八角錐目指し進み、ラディスラヴァが動いたらあえて気配を漏らし八角錐と反対側へ、他の囮となる
・発見で突入時
八角錐まで全力移動、可能な限り調べて必要なら残りのスキルを全て使用で破壊
↑不可なら他の囮となるべくナイトメア乃至エルゴマンサーを引き付け

  • 雛鳥の導き手
    芳野la2976
    放浪者10才|スピリットウォーリア×スナイパー

アドリブ◎
●心情
帰る気はあるけど最優先は誰かを帰すこと
司令と戦るのは楽しそうやけど勝てそうにない
●行動
同行者、外部と通信を試みインカムとスマホの使用範囲確認
インカムは常に通信状態
判明したことは逐一報告
搬送される途中エルゴマンサーを見なかった→地下居住区にいる?→足止めに地下残留居住区侵入&調査
常に敵の襲撃を意識
こちらの動向を監視するカメラの存在有?→発見したら弓で破壊
ヘクター発見→気づかれたら話しかけつつあれば遮蔽物を利用して逃げ回り戦闘を長引かせる目的で動く
判明したデータや考察要素は報告
「態々首魁のお出ましとは余程大事なもんがあるかえ?
「ラディスラヴァやっけ、あやつはどこ?恋人かえ?
「あんさんお名前は?
武器観察→射撃範囲攻撃と推測
クララの赤の後に意識向く機会を狙いキーンエッジで武器と持つ手を狙い攻撃
効果に関係なく距離を取る
蟷螂&羊は倒すがヘクターはスキルの存在とラディスラヴァの加勢を警戒し深追いしない
地上の封鎖に出向かない→あの八角錐はかなり重要?
破壊を仄めかし注意を引く
実際は進行方向に入れても近づかない

気絶前は地上に逃げるよう促す
地上組が脱出に動いたら全力移動で怪談に向かう
進行方向を敵が塞いだら大嵐屠で切り開く
霧の中を抜けるように全力移動を一回残して培養装置を遮蔽物にしつつ全力移動と敵がいない時メイン行動を移動に使って逃げる

  • ノリノリライバー
    田村 ケイla3000
    放浪者24才|スナイパー×ゼルクナイト

「鬼も蛇も羊も大盤振る舞い。中々派手な遠足ね、好きよ」
地上/脱出組
基本的には情報収集と脱出優先
全力移動は階段へのスタートダッシュ、制御室から出口、出口から霧の外で1回ずつ共通。
残り1回は培養室~制御室まで敵を蒔く乃至引きはがす>制御室まで15sq以内で状況に応じ使用。
インカム通信フルオープン。常に地下組の情報とリアルタイムで受け取りスマホメモに打ち込んでいく。
会話や報告で地下組生存者確認。応答者3人以下でコンソール情報諦め、嫌がらせで破壊&脱出に移行。転んでもタダで死なないのがライセンサーだ。
その際インカムで全員に通達し実行。
ポイントバレット適時使用。


地下~階段時、下から敵追撃(特にマンティス)あれば先頭を心射撃で足止め。使用は1度きり。他は脱出用に取っておく。
培養室の柱や培養槽に隠れ、望遠鏡で敵の位置探りつつ羊とコアラの視界に入らぬよう、なるべく最短距離で制御室へ。敵と戦闘極力避ける。
隠れてる最中余裕あれば周囲の構造や培養槽のナイトメアと共にテヘペロちゃん自撮り。普通にアップのナイトメアベビーも風景写真も撮る。

制御室到着後、内部敵いたら討伐。味方が引きつけた敵の眼をゼロ距離からぶち抜きあわよくば頭ごと破壊。
敵いなければ情報奪取完了か脱出条件満たすまで出口と別方向の扉前で待機。敵と目があったら壁を叩く、派手パラパラ踊る等で培養室の敵引きつけ脱出時の負担減らす。

脱出時、扉出る前にざっとルート上のコアラ&羊位置確認し最短ルート予測。
柱や培養槽遮蔽にしながら出口まで逃走。
霧~外は迷子ならぬ用直線の行動に限定すること提案。参人でレイラ囲む形で境目まで移動&攻撃しバラバラに脱出。
途中敵いて桜壱残る場合境目向かいつつ彼を銃射程内収める位置残り、ロードリーオーラ後彼の此方へのルート上敵心射撃で動き止め桜壱逃す>共に脱出の順に優先「帰るまでが遠足よ

アドリブ絡歓迎

心情
「さぁ…命がけのチップや綺麗に舞わせてもらおかねぇ

準備
早急に戦闘区域離脱し潜伏
インカムで作戦行動は随時打ち合わせしつつ動く

行動
散開時一旦地上側は行くと見せかけ潜伏
味方戦闘及び行動に乗じて全力移動でバレないように居住区へ
以降移動時から探索・追跡及び停止時は隠蔽使用
腕時計で経過時間等も把握
物陰に隠れながら戦闘を避け八角錐に向かう
道中携帯品トランプを番号順に隠し簡易マップとして纏めながらダメ元で設置していく(フェイク利用も想定)トランプがなくなれば手帳のページを千切り可能な限りマッピング
目標地点が同じのレンネとは2体目のエルゴマンサー接触時まで可能な限り一緒に動く
2体目のエルゴマンサー接触時地上班に全体にすぐ連絡
会話が可能な敵が現れた際は名前や好み、性質を会話で可能な限り引き出し味方へ伝える
移動ができれば全力移動使用しつつ距離をとり隠れ情報を可能な限り収集
この時点で味方とは別ルートでどちらかが辿り着けばいいくらいの形

八角錐まで到達できれば物を調べ破壊可能であればアシッドショット
「蜘蛛糸に絡められなくてもせめて爪痕くらいは…ね

開幕時力ずくでナイトメアの囲みを突破、一拍置いてヘクターと誰かがぶつかってから移動を開始、ヘクターを躱して全力移動×1で階段に向かい地上に移動。
地上に出た後は通常移動(移動中にスマホを操作してタイマーを12ターンでセット。)で真ん中の扉から制御室に入りコンソールに向かう。(この時コンソールが複数あるかどうか確認し、予備機があるなら即座に狙撃して破壊できるよう位置を確認。コンソールに付いたら操作し情報を取得、ついでに扉の操作についても確認する)
「これは、扉の操作もこの機械で行っていますか。破壊しておかないといけませんね」
地下班が3人になる、もしくは情報4つ取得ないしヘクターが階段に向かった報告に合わせてコンソールをすべて破壊、急いで南端の扉に向かい培養区へ移動。
培養区に出たら全力移動×2を行使して外への扉に向かう。(この時培養器の物陰にタイマーを起動させたスマホを仕掛けておく)
「スマホの音でエルゴマンサーを誘引できるといいのですが」
情報を確実に届けるために他の者を囮にしてでも脱出を優先する。
「よろしくお願いしますね、小さな騎士さん」(桜壱に向かって微笑みながら)
外に出たら全力移動を使って南に向かい脱出、もし霧の中でナイトメアに出くわしたら敵頭部にポイントショットを撃ちこみ怯ませてから離脱する。
「どうでしたか?私たちスオミの、人類の意地は?」笑いながら虚空に向かってインソムニアに問いかけ。
「……残った皆様、どうかご無事で」

●孤立無援
「寝てない……寝てないわ……」
 クララ・グラディス(la0188)は頭を振る。実際寝ていたかどうかは兎も角、ある程度の時間ナイトメアの上で横になっていたのだから何らおかしいことはない。
「今度こそ、手を届かせるんだから……!」
 ここまで来たらもうやるしかない。イリスリルヤ・レンネ(la2945)は、お守り代わりの組紐に触れながら自分に言い聞かせるように呟いた。
「さぁ……命がけのチップや。綺麗に舞わせてもらおかねぇ」
 状況を見渡し、蜘蝶院 麗奈(la3314)が嘯く。
 ストームシープやマンティスがわらわらとライセンサーの周りに集ってきており、早速とばかりにストームシープ――先程までライセンサーを載せていたもののうち数体が、彼女たちに向かって突進を始めるようと睨みつけていた。
 が、それよりもライセンサーの動き出しの方が早い。
「敵の本拠地ですし、無事にここまで来られただけ、まだいいほうですね!
 あとは、情報をもって脱出するだけでいいのですから!」
 水樹 蒼(la0097)はあくまで前向きだ。徐にストームシープに向かって移動し始めると、振り回したデザイアアックスが彼女の移動の経路上にいた羊たちを薙ぎ払っていく。
 彼女の言っていることはその通りだが、「だけ」がなかなかに難しいミッションでもある。
 それでも悲観的になるライセンサーは、もちろんここにはいない。
 蒼が作った風穴を、レイラ=ハユハ(la3373)、田村 ケイ(la3000)、橘 六花(la0083)、桜壱(la0205)といった面々が全力移動で一気に駆け抜ける。薙ぎ払ったといってもすぐにナイトメアの圧は強くなったが、桜壱が味方を守るように位置取りをしながら移動した為、途中の被害は最小限で済む。
「よろしくお願いしますね、小さな騎士さん」
「Iは、希望を守る盾になれるよう頑張ります!」
 今回の作戦において、情報を持って帰る役割を果たす三人を守るのが桜壱の役目だ。レイラが桜壱に微笑みかけると、彼も言葉通り今一度気合を込めた。
 それにしても、孤立無援とはまさにこのことである。
「鬼も蛇も羊も大盤振る舞い。中々派手な遠足ね。好きよ」
「行きはヨイヨイ帰りは怖い、ね。何とか帰りましょ」
 ケイや六花がそう言って肩を竦めていると、

「どこに帰るって?」

 広大な敷地の中を反響して、そんな少年の声が聞こえた。
「……あれは」
 最初にその人影に気がついたのは、レイラだった。
 未だ距離はあるが、確かに少年の姿がある。その肩には、やたら長い砲身の砲を担いでいる。
 と思ったそばから、少年の砲から何かが放たれた。
「危険です!」
 桜壱が叫び、全力移動で進んでいた他の三人は咄嗟に回避行動を取る。
 直後、つい先程までの四人の立ち位置のちょうど中間あたりで火柱があがる。その燃焼はある程度広がったところで勝手に消えた。
 素材も分からないインソムニアの床だが、たったそれだけの攻撃で黒く焦げているのが分かる。あまり何度も食らっていい攻撃ではないのは間違いない。
「全く、こちとらインソムニアの中をあんまり荒らしたくないんだよ。
 だからといって逃すのもめんどくせえし、さっさと潰れてくれない?」
 声は反響してよく聞こえるが、声音は言葉の通りテンションが低い。心底面倒だと思っているらしい。
 幸いだったのは、風穴を抜けた関係上、少年の位置と全力移動で駆け抜けた者たちの位置、そしてそれ以外のライセンサーの者たちの位置が三角関係にあったことである。
 いち早く次の行動に映ったのはクララだ。
 ピンポイントで少年だけを狙うように咲き乱れる赤を放つ。お返しとばかりに燃え広がった炎は、実際に効いたかどうかは不明だが少年の顔を若干焼いた。
「ずいぶんお顔が真っ赤ね、どうしたの?」
「お前……」
 少年の意識がクララに向く。それはつまり、全力移動で移動した者たちから注意が逸れるということ。
 地上へ向かう仲間たちへと再度攻撃させてはならない。
「態々首魁のお出ましとはよほど大事なもんがあるかえ?」
 芳野(la2976)は意識をこちらへ向け続ける意味合いも込め尋ねる。
「……首魁は僕じゃない」
 少年は答えながら、今度は残ったライセンサーたちへと砲を向けた。
 もちろんそんなやり取りの間にも、残った――ナイトメア側からすれば『取り残された』ように見えるライセンサーたちをめがけ、ストームシープやマンティスが接近している。
 少年はそんなナイトメアの存在を気にかけることなく砲を放つ。
 直前に、ストームシープが放った羊毛のようなものがクララや蒼を巻き込んでいた。動きを止められた二人を、砲が生み出した炎が焼く。
 一方で、事前に移動して射程から逃れていた芳野は問いかけを続ける。
「ラディスラヴァやっけ、あやつはどこ? 恋人かえ?」
「……どこにいるか教える義理はないし、アレが恋人? ただの上司だ。
 それとも人間はアレか、望んでもないのに自分を無闇矢鱈と愛でてくる上司に対して恋愛感情なんてものを持てるのか?」
 正直ちょっと嫌だったのだろう。声音が不機嫌さを増した。
 すると、
「へえ! じゃあ恋人いないんだ! 僕とデートしませんか! お触りしていい?」
 ちょうど少年に突撃していた五月女 真央(la0802)が、一気呵成に言葉を紡ぐ。ちなみにパッと見女子にしか見えない真央だが、生物学上はれっきとした男である。ただし今回突入したライセンサーの中で、ヴァルキュリアである桜壱を除くと周りは皆女性ばかりなこともあって、この状況で初見で真央を男だと見抜ける者はそうそういないだろう。
「デート? お触り? 何を言っているんだお前は……」
 杖の一撃を砲で受けながらも、少年は戸惑った様子である。距離を取ろうとしても、真央はすかさずついてくる。
「モテとるやないの。あんさん、名前は?」
 芳野が追い打ちの問いを投げかけると、少年は舌打ちしてから答えた。
「……どうせ名乗らなくてもしつこく訊いてくるんだろう。
 ヘクターだ。ヘクター・ウォール」
「ヘクター! いい名前ですね!」
 言いながらも真央は、ようやく移動困難な状態から立ち直りつつあった蒼のシールドを修復する。ちなみにこのあたりのやりとりは、インカム越しに全員把握している。
 真央がしつこく食い下がってくるのをいなしながら、かつクララや芳野といった自分を挑発するような行動を取ってきた者たちを射程に収めようとするうち、ヘクターは自然に自らが出てきた部屋の入口から遠ざかっていた。
(今なら……!)
 それを見越した蒼がその入口に向かって全力移動するも、ヘクターはその部屋に入られることは特に意に介さないようだった。思考を切り替え、蒼もまたヘクターの足止めに向かう。
 その時、
「いい加減鬱陶しい……!!」
 真央に向かって砲を向けたヘクターが、至近距離から一射を放つ。
 それまでに放っていた範囲攻撃とは異なる。射程の程は不明だが、ドス黒い炎の渦は真央のシールドを激しく焼いた。
 一撃でシールドを破壊するに至ったその直後、真央は自らにシールドを張り直す。追撃はさせないとばかりに蒼は二人の間に割って入った。
 その周りのナイトメアはといえば、クララが咲き乱れる赤で焼き、彼女に突撃しようとしたマンティスを芳野が防御不可の一閃を見舞っていく。

 そうしている間に、ヘクターの注意は完全に地下に残ったライセンサーたちに向いていた。
 最初に全力移動で移動した四人――レイラ、ケイ、六花、桜壱は、迫ってくるナイトメアをかわしながらも階段へと向かっていった。

●インソムニアの秘密
 ヘクターの襲撃を迎撃する格好になったライセンサーたちだったが、地下に残った全員がそうしたわけではない。
 仲間たちの行動に乗じて、イリスリルヤと麗奈は地上に抜けた者たちよりも先んじてヘクターの注意から外れていた。
「来た方向に扉があったはず……何かあるかも」
 ヘクターが出てきた扉、そして、ガラス越しに見えた八角錐の物体。得られるものはあるはず。
 コールドスリープ装置やナイトメアの死体を隠れ蓑にしながら潜伏して進み、二人は扉の前まで辿り着くことに成功した。

 扉を開くと、空間の雰囲気が一変した。
 赤い照明に照らされた、目に見えて危険な雰囲気の漂っていたこれまでとは違い、薄青の照明、金属製と思われる壁や床といった、よく言えば近未来的、言い換えればどこか冷たい雰囲気の部屋がそこにはあった。
 大きな違いはもう二つ。一つは、部屋の奥の方にはベッドや机、モニターと思われるものがあること。ここは誰かの――おそらく先程遭遇したヘクターだと思われる――居住空間であるらしい。もう一つの違いは、それ故なのか、ここには他のナイトメアの姿は一切見当たらないことだ。
 入ってきた扉から見て真奥には、もう一つ両開きの扉がある。この先は八角錐か、その前にまだ何かあるのかは分からないが、ひとまずこの場所では安全に調査が出来そうだ。
 麗奈は(それまでにもそうしてきたように)トランプを用いてマッピングを行った後、モニター操作用と思われるコンソールに手を当てた。
 どうやらスリープモードにあったらしく、モニターがすぐに明るくなる。映し出されたのは、とある別の施設だった。
 地上1階建の研究所然とした建築物。もう少し操作すると、中に仕掛けられた防犯カメラの映像が見えるようになった。
通路の幅はやたら広く、そこをストームシープなどのナイトメアが闊歩しているものの、構造自体は割とシンプルだ。入口から入って真っ直ぐに進むと十字路があり、左右の道はそのままフロアの各部屋に通じる扉がある。やはり研究所のようなものらしく、各部屋にはよく分からない実験設備のようなものが設置されている。人影はない代わりに、ナイトメアが滞在している部屋もあるのが分かる。真っ直ぐに進むと地下へ下る階段があるようだが、この先に何があるのかは今映っている防犯カメラの映像だけでは分からなかった。
「なんでしょう、ここ……」
「ここから直接管理できるようやし、何かに使うんやろうけど……正直これだけだとわけわからんねぇ」
 部屋の隅からかけられたイリスリルヤの声に、麗奈はそう答える。と言っても、二人の会話はインカム越しで、声のボリュームもごく小さいものだ。
「部屋の中は他になんかあった?」
 尋ねると、イリスリルヤは「いえ、特に……」少し戸惑いがちに答える。
「多分基本的にただの寝室なのでしょう。目ぼしいものはありませんでした」
「そう。じゃあ、次いこか」
 麗奈はそう言ってから、今得た情報をインカムで地上班に伝えた。部屋の外でナイトメアと激戦を繰り広げている面子に送っても、集中を切らすだけになりかねない。
「……その、さっき出てきたのがエルゴマンサーだっていうことは」
「……まだ何かいるやろねぇ、奥に。いくら何でもノーガードにはしないやろうし」」
 それぞれに息を潜めながら扉に近づいていると、
「呼んだ?」
「!?」
 思いがけない展開が起こった。
 扉が向こうから開き、中から一人の女性が出てきたのである。扉の奥の照明はこのインソムニアの中で最も明るく、差し込んだ光は極力気配を殺しながら進んでいた二人の姿も照らし出してしまう。
 女性は唖然とした二人に向かって、妖艶に笑いかける。
「直接対面するのは初めてかしらね、ライセンサーさん。
 もしかしたら映像か何かで顔くらいは割れているかもしれないけど、一応自己紹介をしておこうかしら。
 ――ラディスラヴァ・べチュカ。エルゴマンサーよ」

 ブロンドの髪を軽くかき上げたエルゴマンサーの後ろには、いかにも怪しい巨大な八角錐の一部が見えた。

 ■

 レイラ、ケイ、六花、桜壱の四人は地上への階段を駆け上がる。
 ヘクターこそ追っては来なかったが、だからといって邪魔が入ってこないわけではない。
 マンティスとストームシープの一部が列をなして階段をわらわらと上ってくる。
「全く、鬱陶しいわね」
 狭い階段。ライセンサーの中では最後尾を走っていたケイが、一度後ろを振り向いた。
 持ち替えたサブマシンガンから放たれた弾丸が、ナイトメアの列の先頭を走っていたマンティスの頭上を射抜く。すると身動きが取れなくなったマンティスは、その場に横倒しになるような形になって後方のナイトメアの進路を塞いだ。
 決して倒したわけではないしほんの一時凌ぎでしかないが、それでも十分だ。成果を見届けるとケイは踵を返して仲間たちの後を追った。

 地上へと上りきってしまえば、制御室だと思われる部屋へ向かう扉の一つはすぐに発見できた。
 しかしながらフロア面積がやたら広大だけに、当然そこに辿り着くまでの間にもナイトメアが居る。
 地下の仲間たちが時間を稼いでいる間に情報を集める必要がある。ちらりと見えたコンソールに辿り着くまではなるべく戦闘は避けたかった。前方の様子を探り、柱の下に身を隠しながら移動する。真上に居るフェイントママルズからは死角になっていたし、周囲の柱全てに張り付いているわけでもないようだった。そうやって周辺を観察して進みながらも、六花は最終的な逃走ルートを複数考えたりもしていた。
 ナイトメアの密度が密度である為、全く察知されずに、ということこそ出来なかったが、四人は必要最低限の移動で部屋への扉を潜ることに成功した。

 ■

 一方その頃、再び地下。
「こちら蜘蝶院。二人目のエルゴマンサーに遭遇した。……ラディスラヴァや」
「その口ぶりだと、やっぱり存在はバレてたかしら」
 インカム越しに仲間に情報を伝える麗奈の様子を見て、ラディスラヴァはくすりと嗤う。
「名古屋で暗躍してたのは、SALFの上層部が掴んでた。その後ニュージーランド方面に移動しとったってのも。ホントにここに居るかは、実際こうして見るまで確信は持てんかったけど」
「意外とちゃんと見てるのねぇ。必死に喘いでいた割には。
 ――で、アナタは冷静なようだけど、そちらはどうかしら?」
 ラディスラヴァが視線を投げた先には、何か錯乱した様子のイリスリルヤが居た。
「来ないで! 死にたくない!」
 彼女は居住区の壁近くにあったものを壊しながら、出入口近くまで後退る。
「ただのナイトメアなんて嫌、エルゴマンサーになりたくてこの作戦を利用しました……どうすればなれますか?」
 逃げ場がなくなったと悟るや否や、怯えた目つきのままラディスラヴァを見た。
 ――無論、演技である。
 本心ではないともしかしたら既に見抜かれているかもしれないが、たとえ茶番であっても意識を自分に向けさせることが重要なのだ。
「信じられないなら……彼らを倒せばいいですか?」
 イリスリルヤは今は閉めた扉を指差す。その向こうでは仲間たちがヘクターと戦っていた。
「そんなことしなくて――」
 いいわ、と言いかけたラディスラヴァの横を、麗奈が全力移動で通過した。

 クリーム色の壁紙に彩られた、一見インソムニア内部とは思えないラディスラヴァの居室。その一角に、八角錐は佇んでいた。
 こうなった以上、あまり調査に手間取ってはいられない。最短で確認すべきことを確認に入る。
「蜘蛛糸に絡められなくてもせめて爪痕くらいは……ね」
 麗奈はアシッドショットを放つ。
 当然ながら、命中はした。アシッドショットの効果である毒が効いたかどうかは分からないが……小さく、ほんの小さくだが、八角錐の一部が欠けたような気がした。
 EXISの攻撃が、効く。これを壊すことは可能だ。
 それを素早く地上班に伝達した直後、後ろから何かが刺さったような鋭い痛みが走った。
 厳密に言えばシールドに守られているので物理的にはまだ刺さってはいないのだが、それに等しい感触だ。
 しかも一箇所ではない。両手足。まるで見えない壁に磔にされたかのように、動けない。
「何をしているの?」
 少しだけ不機嫌になった様子のラディスラヴァが、回り込んで麗奈の顔を覗き込んだ。
「だめよ。こんなに大事なものを壊したら。人間にとって大事なものがあるように、私たちにはこれが必要なの。
 ……外でヘクターが撃ってる人たちもそうだけど、ちょっとお仕置きが必要そうね」
「お仕置き……?」
「いま、私たちには研究材料が必要なの。私たちに対抗しようとしているライセンサー、その力の源、というね」
「はっ。私らをモルモットにでもするつもり?」
 ここまできたらもう笑うしかない。麗奈が冗談交じりに言うと、ラディスラヴァはこれまでに見せなかった獰猛さを含む笑みで
「そうよ」
 とだけ肯いた。
 その様子にさしもの麗奈も息を呑んだ後、「そうだ、レンネ」後ろを見ることもままならないまま、イリスリルヤの所在を伺う。
「あっちは茶番が気に入らなかったから、物理的に壁に磔にしちゃった」
「すみません……」
 イリスリルヤの謝罪の言葉には、若干力がない。結構良い感じのダメージをもらったらしい。
「……そか、どうやら私らが動けるのはここまでみたいやな」
 麗奈はまた小さく笑った。磔にされた効果は薄れようとしているが、だからといってこの状況でこんな能力を使われては脱出はままならないだろう。
「怖いとか思わないの?」
「所詮は放浪者。あたしはどこでも舞い踊るだけよ」
 ラディスラヴァに尋ねられてそう答えた時、八角錐が一瞬青く光った。
 何なのかと麗奈やイリスリルヤも思ったが、何よりそれに怪訝な表情を浮かべたのはラディスラヴァだった。
「上でコンソールを操作している……?」
 ――拙い。
 そう二人が考えたのと、ラディスラヴァが踵を返したのは同時だ。
 そしてラディスラヴァの行動速度は、常軌を逸していた。次の瞬間には既に、居住区の扉を開け放っていたのだ。
「ヘクター! さっさと片付けて中の二人を見張っていて! 私は上に行く!」
「は!?」
「コンソールで情報が抜かれてる!」
 扉の外でそんなエルゴマンサー同士のやりとりが行われた後、ラディスラヴァの気配は急激に遠ざかっていった。

 ■

 レイラがコンソールを叩くと、目の前のモニターのバックライトが点灯した。
 そこに例の八角錐が大きく映し出され――。
「INSOMNIA CORE(インソムニア・コア)……?」
 最上部に表示された、八角錐の名称を示すであろうそれを思わず読み上げた後、レイラは映像の中の八角錐――インソムニア・コアにいくつかのモニタリング項目があることに気がついた。
 コンソールの形状自体はそれほど複雑なものでなく、選択などの基本的な操作を把握するまでにそれほど時間は要さなかった。彼女はまずモニタリング項目のうちの一つを選択する。
『100%/System All Green』――外の霧のことを示しているらしい。
 霧はこのインソムニア・コアが作り出しているものらしく、物理的に払えるとは思わない方がいいのかもしれない。

 レイラが調べている間にも、背後では戦闘が続いている。
 といっても柱がない制御室では、ナイトメアはストームシープだけだ。それも(制御室の機能に気を遣ってなのか)地下や培養室に比べ密度は薄い。
「余所見厳禁!Iが、貴方達の敵です!」
 桜壱がロードリーオーラでヘイトを集め、ケイがその羊の目をゼロ距離射撃で撃ち抜いた。
 一方で六花はオーラから逃れレイラに近付こうとするシープの一団を、レールガンでまとめてふっ飛ばす。
 その六花の視界の端に映るモニターの表示は、また変わっていた。レイラが操作したのだろう。
『Nightmare Transference System:Green』――ナイトメア転移システム。
 かつて、シヴァレース・ヘッジ博士が唱えたインソムニアの役割についての推論のひとつが、『異次元からの転移装置』であった。その推論にほぼ等しいものであると言える。

「あっ」
 レイラが声を上げたのは、制御室内のナイトメアの掃討が粗方済み、ケイが脱出路に使う扉の前に立った時だった。
「どうしたの?」
 レイラに近づいた六花は、彼女が指差すモニターの一角を見てハッとする。
『Rejection Field:Green』
「ここのリジェクション・フィールド……もしかして」
 六花の言いかけた言葉に、レイラは肯く。
「外の霧もそうですが、下の八角錐、いえ、インソムニア・コアが作っているみたいです」
「つまりそのコアを破壊すれば、リジェクション・フィールドも消えて」
「外部からの破壊が可能になる、ということになりそうですね」
 これはインソムニア攻略において、一番直接的で大きな成果だ。インソムニア・コアは文字通り核であると同時に、人類が突くべき弱点でもある。

 抜きたい情報は全部抜いた。あとは脱出するだけなのだが――油断ならない情報が入ってきた。
『気ぃ付けや……そっちに、ラディスラヴァが向かってるわ』
 芳野からの通信である。

●脱出
「……そういうことかよ」
 凄まじい速度でラディスラヴァが走り去った後、ヘクターは露骨に苛立った様子でまだ立っていたライセンサーたちを見た。
 周囲のナイトメアの邪魔もあって、地下でヘクターと戦っていたライセンサーたちは既に倒れているか満身創痍になっていた。

 ヘクターはストームシープやマンティスにも構わず、範囲に複数収められると判断するとすぐに砲を撃ってきた。ただそれだけなら範囲に収まらないようにすることも可能だったろうが、問題はストームシープの羊毛だ。移動できないライセンサーの近くまで動いてしまった別のライセンサーを、また羊毛が拘束する。そして砲で焼く。
 もちろんそんなことが何度も繰り返されたわけではないが、一撃で相当にシールドを持っていかれる。
 加えて、真央が序盤に受けたドス黒い炎の渦は範囲攻撃ではない分更に威力が絶大だった。ライセンサーたちは複数人がヒールを持っていたが、これを受けると一回のヒールでは到底間に合わないくらいのシールドの損傷を受けてしまう。結局あの後もヘクターに接近しまくった真央は二度目の一撃に耐えきれなかった。
 もう一つ、ヘクターには変わった特徴があった。
「自分のフィールドを、他のナイトメアにもやっとる……?」
 四人の中ではヘクターの動きをやや遠目で見ていた芳野が気づく。
 ヘクター自身、エルゴマンサー故というよりも個人の特徴として兎に角頑丈だった。見た目上傷ついているように見えても、動きには全く変化が見られない。
 そんな彼の強力なリジェクション・フィールドを、彼の近くにいる他のナイトメアも持つことが出来るらしく、クララがハイフォースを撃った時もそのナイトメアには効き目が悪かった。。ヘクターが砲を撃つ時にナイトメアがいるのを構わないのもこれが理由なのかもしれない。

 何せ多勢に無勢である上、そんな能力を持っている相手では時間稼ぎ以上は難しい。
「ライセンサー道とは! 死ぬ事と見つけたり!」
 最後までヘクターにすがりついた真央がまず倒れた後、次に接近していた蒼が真央同様に大火力の一撃に伏した。
 クララに関しては羊毛により動きが止められている時に、ストームシープもろとも焼き尽くす砲の一撃で昏倒するに至った。
 最後に残ったのが芳野、そしてラディスラヴァとヘクターのやりとりが行われたのがちょうどその状況ができた時であった。

 かくして、芳野からの通信を受けて地上にいた四人は顔を見合わせた。
「ラディスラヴァ? ヘクターじゃなくて?」
『どうやら皆がそこで情報抜いてるのを察知したようやねえ……すごい速さで階段上っていったわ。
 地下の方はもう無理や。戦えるのは儂しか残っとらんし、ヘクターはラディスラヴァと入れ違いに八角錐の方に向かった二人の方に向かいよった』
「……わかりました。ごめんなさい。先に行きますね」
『なに、こうなるのも覚悟の上や。あんさんらが無事に戻れればそれでええ』
 レイラが謝ると、芳野はからからと笑った。

「これは、扉の操作もこの機械で行っていますか。破壊しておかないといけませんね」
 ケイを除いた三人がかりでコンソールを破壊し、四人は制御室を出る。
 唯一自由になった芳野は脱出の為に移動するとは言っていたが、ラディスラヴァの行動速度を聞く限り彼女に遅れを取っての脱出は困難なはずだ。それは芳野自身も分かっているだろう。
 だから四人は、すぐに外へと繋がる扉を目指した。ケイや六花が考えていた複数のルートのうち、最短ルートで。
 もう少しで脱出――その筈だった。

「逃さないわよ」
「……!!!」
 もう追ってきたのか。
 少し後方に、女の声が聞こえた。振り返るまでもなくラディスラヴァであることが分かった。
 ここで真っ先に決断を下したのは、桜壱だった。
 もう後数メートル進めば外。最後尾を走っていた桜壱は、唐突に後ろを振り返ったのだ。
「全部丸っと取り返すんです!」
 その為に。
 今は、一番優先すべきこと――情報を持ち帰るという目標を成す為に。
 ラディスラヴァが伸ばしてきた手――形こそ人のままだが、大きさや伸びた腕の長さがもはやありえない――が、仲間たちを掴まないように盾で防いだ。
 エルゴマンサーは力でねじ伏せるでなく、あくまで絡め取る主義らしい。止められた手はそのまま桜壱の体を絡め取る。
 そしてインソムニアの中に放り込もうとするのだが――ここは桜壱が耐えた。
 その間に、レイラ、ケイ、六花の三人は霧の中に姿を消した。

 霧の中、三人はレイラを中心に一団となって一気に駆け抜ける。
 霧を脱出し、インソムニアを覆うリジェクション・フィールドの外に脱出した後は、一度散開してそれぞれ帰還の途についた。

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