オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. パラサイト・アテナ

パラサイト・アテナ 影絵 企我

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1000
ジャンル
バトル 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
210000G
210SP
2100EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/05/01 20:00
完成予定
2019/05/16 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●新たなる名前
「そうか。キラービーが現れてしまったか。存外に早かったな」
 スマートフォンを見つめながら、内藤 メア(lz0058)は事もなげに呟く。壁際にもたれかかった青年、来栖恭一郎はむっと眉間に皺を寄せる。
「相変わらず愉しそうに言うもんですね。お陰で合衆国南部はてんやわんやですよ」
「しかし面白いものは面白い。ナイトメアは科学的な意味では、この地球上の生命がいかにして存在しているかを理解し、身を以て模倣することすら可能なのだ。擬態という意味ではなく」
 メアは口を回しながらゲームに興じていた。レトロタイプのソーシャルゲーム。ドロップで掻き集めた弱いキャラクターを纏めてレギュラーメンバーに喰わせる。そうしてメンバーは経験値を得て強くなっていく。そんな、嘗て腐るほど日本で流行ったタイプのゲームだ。
「数十年分の観察データを私は穴が開くほど読み込み、断片的に示されたナイトメアに関する生態を繋ぎ合わせて幾つか仮説を立てて観察してきたが、こうまで“おかしな”ナイトメアに出くわす機会はそうないだろうな。そもそもナイトメアは生まれがDランクでも頑張ればAランクまで強くなれるのだ。ソーシャルゲームと違って、いや……人間と違って、生まれを気にする必要はない。突然変異はさして意味を持たないだろう」
「ではなぜ、今回のように突然変異を起こすナイトメアが出てきたんですかね」
 隣では助手が真面目にデータをまとめ続けている。メアは不敵に笑みを浮かべた。
「趣味だろうな。向こうにも私のような奴がいるんだろう」
「メア博士のような?」
 恭一郎が怪訝な顔をすると、彼女はにっこり笑った。スマートフォンの画面を彼に向かって突き出す。
「ああ。遊び半分で深淵を覗き込もうとする奴がいるのさ」
 渋々恭一郎が画面を覗き込むと、そこには堅固な白い盾と槍を構えた女神が立っていた。
「正式名称を決めたぞ。あいつは今日からキラービーではない。『パラサイト・アテナ』だ。格好いいだろう」

「……」

●寄生する女神
 眼が一つ潰れた女王蜂が、ヒメバチの群れを引き連れ住宅街へと飛来する。警告するようにカチカチと顎を鳴らしながら、翅で幾重にも重なるノイズを操り、群れを飛び回らせる。人々は悲鳴を上げ、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った。女王も一歩踏み出し、眼の前で腰を抜かした男の身体に針を突き立てる。尻尾の先から、自らの小さな分身を送り込んでいく。男は突然頭を抱えて悲鳴を上げた。
 散会した蜂の群れは、次々に人々へ襲い掛かり、その肉体へ幼生を産み付けていく。ただぼんやりと漂い、獲物を見つけてようやく動き出すような間抜けさはもう無い。一糸乱れぬ統率力で積極的に獲物を探り出し、女王の尖兵を増やしにかかっていた。

『事態は急を要します。直ちに作戦行動へ移ってください』

 君達が手にした通信機に向かって、慌ただしくオペレーターが声を吹き込んで来る。女王はSALFの警戒網を掻い潜って街を奇襲した。対応は間に合わず、偶々近くを訪れていた君達、たったの10人に街の運命は託される事となってしまったのである。

『出現したのは“パラサイト・アテナ”。最近その活動が盛んに記録されているナイトメア、ヒメバチの突然変異種にして、リーダー的存在です。言葉は発しませんが、非常に知能が高く、数十体のヒメバチを同時並行で指揮できるほどの能力を持っているほか、部下を率いたその堅固な防御力も特徴と言えるでしょう』
 君達は街へ向かって、あらゆる移動手段で向かっていた。車、自転車、或いは徒歩。最初から用事で街に居合わせていたという事もあるかもしれない。
『今回の目標は全滅です。彼らの巣と思われる地点の座標は確保していますが、女王が暴れ回っている限り、その対応に追われてその地へ向かう余裕がありません。ここで一度敵を根絶し、巣へ向かう準備を整えてください』

『では、皆さんのご武運をお祈りしています』

 君達の内の誰かが、どうにか女王の前まで辿り着く。女王は震える男の襟首を掴み、ぐいと君達の眼の前に突き出した。男は頭を抱えて悲鳴を上げる。一瞬にして変形したそこから、新たな蜂が飛び出してきた。四対の眼を光らせ、蜂はカチカチと顎を鳴らす。
 苦闘の幕が開けようとしていた。

目標 ナイトメアの全滅
失敗条件 PCの半数が戦闘不能に陥る

登場敵
☆パラサイト・アテナ×1
 女王のようなシルエットを持つハチ型ナイトメア。多少負傷しているが、まだまだ脅威。
●分類
 A-SS-3
●能力
 攻撃及び命中高、飛行可能
●基礎攻撃
 単体/物理/白兵、命中時、継続ダメージ(3)を付与
●スキル
・産卵
 自らの幼体を産み付ける。[無限に使用可能]
・号令
 自らの部下に命令を下す。[指揮下のナイトメアに、攻撃先の指定などを行う]
・女王
 彼女の命令は絶対。[指揮下のナイトメアは注視無効]

☆βアテナ×1(PL情報)
 女王を一回り弱体化させたナイトメア。目の少なさや翅の小ささなどから見て取れる。
●分類
 A-SS-2
●能力及び基礎攻撃
 アテナと同傾向
●スキル
・イージス
 女王を守るためだけに生まれた存在。[アリーガードと同効果]

☆ヒメバチ×10+α
 人に寄生し数を増やし、徒党で居住区を席巻する厄介なナイトメア。最近巣が見つかった。
●分類
 A-SS-1
●能力
 全体的に低め。2sqまで浮遊可能
●基礎攻撃
 単体/物理/白兵、命中時、継続ダメージ(1)を付与
●スキル
・産卵
 自らの幼体を産み付ける。[1個体につき2度まで使用可能]
・毒吐き
 口吻から消化液に似た毒を吐き出して攻撃する。[単体/物理/射撃(射程2)、命中時、命中ダウン(1)]

舞台
☆住宅街
→広さ1km四方程度の区画。中央に学校その他の施設が集められ、道路が蜘蛛の巣状に延び戸建ての住宅が立ち並んでいる。
→住民は突然の急襲によって避難もままならない状態。外に逃げたり家に篭ったり、取り留めのない行動をしている。
→ヒメバチは増殖中。アテナは中央の病院そばに陣取っている。
→現在住宅街には200人ほどの人間がいる。

TIPS(PL情報)
☆目標:ナイトメアの全滅。
☆ヒメバチはフリー状態では想像力に誘引される。
☆ヒメバチの幼体の成長条件は重要な要素となりうる。

影絵企我です。

再び難しいミッションとなりました。これを切り抜ければ、いよいよ蜂に攻勢を仕掛けるターンが巡ってくるかも……しれません。勝利の為には、時に非情な決断を下す必要がある事をお忘れなく。

では、よろしくお願いします。

(意識を『切り替え』ながら)
目の前で見せつけるなんて、随分と悪趣味な真似してくれるんだね…。
嗚呼でも、お陰で余計な事を考えずに…ここで確実に狩る事だけを、それだけに全力を尽くす事が出来るよ


◆行動
パラサイト・アテナ対応
可能なら初期位置を交戦可能状態の距離で

パラサイト・アテナ殲滅の為に、先ずは護衛に回るβアテナ排除から。
初手で威圧による明確な殺意をパラサイト・アテナ含めて叩き込み、攻撃の勢い削ぐのと同時に女王に対する脅威認識(無視するなら女王を狙うという意志表示)を植え付け狙い
その後、女王狙って崩撃を叩き込み、βアテナの割り込み(カバーリング)誘発からの防御崩し狙う。護衛を潰すなら、直接狙うよりも護衛対象を狙った方が攻撃を確実に叩き込めるからね。自らの身を挺して守るのが護衛の役目、ならその習性を逆手に取ればいい。

護衛であるβアテナを排除する事が出来たら、パラサイト・アテナへ。
温存していたキーンエッジの一撃を以て、相手の回避や防御行動よりも早く叩き込む。一度目の斬撃で針含む腹部を、二度目で首を狙う

恐怖の感情から生まれる絶望の想像…それを利用しているのだとすれば
経験はあります、それに対抗する術は「希望」でした
己が己である為、囚われない為に、勝利のイメージを描いて出来る事をします

■行動
インカム常時オン
A班でアテナ対応
通信で得られた情報を纏めて常にBC班と共有
地図を見ながら敵の配置と移動のマッピングを作る
蜂の動きを予測し移動可能な方角の確認、A班への増援ヒメバチの奇襲・挟み撃ちにも警戒

■戦闘
杖で回復での支援に集中しますが、不要時には攻撃の補助を行う
・回復
生命の少ない味方に対してヒール
継続ダメージ付与時にはHライト
味方に産卵を使用されたら審判の雨雫を使用し、駆除を試みる
狙われる可能性を考慮し、成るべく盾役から離れぬよう声を掛けながら全体の状況把握に努め
アテナの動きを観察・共有して産卵を優先的に防げるようにする
味方が背を狙われた時には注意を促し、届けば殴って攻撃の軌道を反らす
・攻撃
βアテナ>女王の優先順
遠距離からライフルを使用し翅狙い、機動力を削ぐ
翅を潰したら杖に変更、近距離に切り替えて脚狙い
後、頭を中心に狙い女王は指示を出している器官に集中して攻撃

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

女王蜂をアテナとなど
都市守護神はわたくし達です
悪夢の思惑通りにはさせません

■行動
街外より通信受け自転車で急行
サンフィッシャーと合流し彼のバイクに同乗
被害抑制にヒメバチ捜索・駆除を担当

学校体育館を拠点とする通信受け、道路外周から順に内へ蜂捜索
回りつつ、逃げ惑う住民に屋内避難を呼掛け
「わたくし達はライセンサーです。災いを断ち貴方達を必ず護ります
「恐れは災いを呼び育てます。貴方自身を、わたくし達を信じて
悠然と微笑絶やさず、住民の不安が少しでも和らぐよう
焦り不安は伝播する故

望、有佐の情報共有
移動は周辺観察可能な速度
後部座席で空中、屋内侵入も考え破損窓・開放ままの扉等に注意、異常発見で確認
被害者発見時は潜ませ、ジャンヌへ回収要請連絡、口紅で目印残す
言えば産卵し用済み
蜂も新たな苗床優先すると予測し蜂駆除を急ぐ
想像力に惹かれる蜂
ならば民の絶望超えた希望を、全てを救う未来を想像し蜂招く

蜂発見時、多数で応援要請
上空個体はSMG射撃
蜂隊列に応じ篭手で龍震虎咆、Bクロス
パワーTは大剣に換装
死角は仲間とカバーし合い、早期殲滅目指す
蜂攻撃は回避
戦う様も民の希望となるよう微笑んで
全滅まで捜索駆除継続

【C】負傷者対応
学校の体育館に負傷者集め二人同時に【審判の雨雫】をかけることを基本方針
ただし不測の事態あれば搬送中単独で審判、処分し「救える者だけでも救う」事も意識
…覚悟はする、だが諦めとは違う。最後まで一人でも多く救う為に奔走

まず車で病院に寄りライセンサーの能力による特殊な処置が必要と説明、負傷者回収と治療に必要な器具と薬品借り受け
町地図入手しジャンヌ君と合流、自分の車は乗り捨て、負傷者に全力で助けると励まし声掛け苦痛を緩和する措置、可能なら麻酔の後荷台に運び、自身も荷台で様子見と警戒

「怪我人は者はこちらで搬送します。動ける人は屋内に避難を!敵には我々が全力で対処します!」
SNSなども活用し広く負傷者回収呼びかけと避難促し

来栖くんからの情報も元に避難渋滞も考慮し回収ルート模索
情報分析し襲撃時系列整理、なるべく先に襲われた被害者から回収
分析結果は仲間にも共有、敵全体の行動分析に役立ててもらう

人を襲うヒメバチ発見、及びヒメバチ襲来時は距離のある内に銃を順に使い落とす。戦闘後リロード
包囲時は撃破担当に連絡しつつ突破方向に射線集中、負傷者を庇いながら突破、適宜ヒール

前回経験を踏まえ時間計測と患者観察、最大限回収しつつも余裕もって間に合うタイミングで体育館に戻る。帰還時ヨハネスさんに連絡、彼が到着したらアイリスくんと重ねて魔導書用い【審判の雨雫】

心情
……男は一瞬で変形した。その理由が何かあるはずだ
幼体は何を糧に成長した? 悲鳴を上げたのは苦痛からか? 
否、絶望による叫びであろう
それならば俺達が希望にならねばならぬな
安全を確保して繁殖を防ぐとしよう

目的
女王と配下の足止め
敵の繁殖能力の根源を探る

行動
A班:アテナと交戦して足止め後に撃破する
敵を観察し攻撃の癖を覚える
基本的に防御に集中し耐える
弾く受け流すなど多様な防御手段を取る
針は特に警戒して盾で受ける
攻撃時は連携を重視し十字砲火を狙う
羽・足を狙い機動力を削いだ後に頭を狙う
味方損傷と敵攻撃力から庇う味方を決める
敵・味方の位置と回数を考慮しLオーラを使い女王を釘付けにする
Aガードで庇える位置を考慮して動く
味方が危険な時は庇う
通常移動は銃を持ち接敵時は盾を持つ
緊急時は全力移動で支援に入る
味方と通信して女王の能力使用時の仕草と配下の行動を確認する
援軍からの挟撃に備えた陣形を取る
能力の射程・行使に必要な器官を探る
得た情報から産卵→孵化の条件を調べる

台詞
「貴様が戦うべき相手はここにいるぞ。俺を倒さねば未来はない」
女王を束縛し状況の把握を妨げる
「情報を欠いた命令は、愚策に成り果てる」
「自己防衛を優先すれば、配下を呼び寄せるしかあるまい」
「絶対の命令権は部下の判断を奪う諸刃の剣だ」

アテナ対応
前衛の後ろで狙撃銃をそっと撫で
(私は強くあらねばなりません
まだ両親に届きはしない。けれど今ここで“本物の光”で在りたい
蟲の成長条件が恐怖であるならば人々に希望を示したい

拳銃弾切れ→もう一丁に変更。再装填は仲間の攻撃中に
蟲の数と陣形、一般人の数を把握
一般人を逃しつつエリアスナイプ。射程7からアテナを射撃→βを確認
「成程、近衛兵ですか
刀に変更し射程4までアテナ(+β)に接近
初手で火力を見せる事で攻撃先指定先を私にさせ回復役の望を守る
もし一般人に向かうようなら別班に連絡し対応依頼
蟲は回避しつつ龍震虎咆で纏めて攻撃
纏わりつく蟲の数が二体以下になったら拳銃でエリアスナイプ
蟲を避けつつ、仲間の背後からアテナを不意打ち射撃
再度刀に変更し接近してアテナ二体に龍震虎咆
優勢とまではいかずとも攻めの姿勢を維持し続ける
「信じて下さい。あの敵は私達が倒します。必ず助けますから!
「希望を捨てないで下さい!

…同時に覚悟も決めています
(大義の為…鉄の女の言葉を思い出します
間に合わない場合一般人に見えないよう配慮し蟲が出てくる前に始末
嘘つきでも、不殺でなくなっても。あの敵を逃す事は許されません

β撃破後、アテナにブレイクショット
仲間の攻撃に繋げつつ刀に変更
「貴方も、絶望してみたらどうですか?
翅を、分身を植えた尻尾を。人を掴んだ手を
確実に斬り落とす

【心情】
「彼方の行い、許すことはできませんっ」
凜っと蜂さんに立ち向かいます。

【目的】
ヒメバチに幼体を産み付けられた人を助け励まして集めて駆除です。

【準備】
有佐おじ様の準備がすぐに済みますようにお手伝い。

【同行者】
井木有佐(la0921):有佐おじ様
同じUFO小隊の仲間ですので、ちょっと人見知りせずにすみます。

【行動】
連絡や情報、推測でナビ地図とにらめっこしながら初めての車の運転です。オートマ車でお願いします。
「あっ、そこを左曲がります」
蜂がいれば近付いて本の角で一撃、高い位置なら弓矢です。邪魔になる物は斧で破壊、小柄なのにパワフルで躊躇いがなく。飛び込んで患者さんを急いで運んできます。
「もう大丈夫です。今から治療の場所に移動します」
不安であろう患者さんを励まして元気づけます。
後は安全運転ですけど急いでですね。
蜂が襲ってきたら「そのまま進みます」とスキルを使って無事に通り抜ける事を最優先です。

同時に、蜂の行動の経路や動き方に昆虫の習性が残っているのでしたら、他の蜂の位置が大体判るかもしれません。遠くの蜂の動きをよく見ましょう。
「有佐おじ様、右手の方向に別の蜂が産卵しているかもしれません」

⚙心情
敬礼『自分はYVR-055-R1・機甲支援外装サンフィッシャー。諸君の行動に協力しよう』
⚙準備
インカムは内臓
街地図データをインストール
⚙役割
ヒメバチ捜索・駆除
⚙目標
いち早い駆除とその後の女王蜂討伐
⚙同行
桃簾(la0911)
⚙行動
桃簾をバイクに乗せ移動
『目標点は座標データで頼む』
『左に体重を掛けるといい』
道路を最善の速度でスムーズに素早く移動
到着時間を短縮するが、搭乗者に不快や不安がないように
『ライドオン!』
敵性体発見に合わせ桃簾に合わせ行動
桃簾が十全な攻勢力を発揮できるように周囲の敵の牽制や防護を積極的に
盾で守り、槍で突き態勢崩し、狙撃や射撃による牽制
特に盾を得意とし、かちあげ、はたき落とし、縁での首狩り、針を弾く
敵性体排除できれば「次に行く」とまた移動開始
『少し揺れるからしがみつくといい』
場合によってショートカットもする
蜂であれば行動範囲があるかもしれない。
『本機の損耗は気にする必要はない。AIさえ無事なら機体換装で元に戻る』

アドリブ絡み歓迎

「こっちに来たついでに、せっかくだから観光してたのに…まあ、こればっかりは人任せにはできないからな
「救助なんて面倒臭いけど、見つけた以上仕方ない
「ナイトメアだな、死ね
バイクで街を駆けながら見つけたハチをエクストラバッシュで逐一駆除
一般人を見つけたらロードリーオーラで攻撃を引き受けて倒す
「殺してみろ!僕はここにいるぞ!
「さっさと行け、邪魔だ。どこかの建物にでも隠れていろ
駆除済みの地域は通信で仲間と共有
怪我人を見つけたら回収しやすいようにしておき
回収班に連絡

有佐(la0921)から連絡があり次第体育館へ急行
「やあ、待たせたね。頼ってくれて嬉しいよ
「まあ僕のことは気にするなよ、この手は汚すためにあるんだからね。…前回のことがあって僕も反省したんだ、未来ある者に心の傷を残すべきではないと
審判の雨雫を使用しても手遅れだった場合の『処分』を引き受ける
もし手抜かりがあって自分も産卵されていたら、審判の範囲内に入っておく
幻想之刃で『処分すべきもの』を纏めて薙ぎ払う
「残念ながら手遅れだ、尊い犠牲になってくれ
「お疲れさま、さあ次にいこうか
手を汚してもけろっとしている
(驚いたな…さすがに、ここまで何の感慨も湧かないとは思わなかった。…守るべきものを失って手に入れた、間違った強さ、か…

◆方針
負傷者を集める体育館にて待機
審判の雨雫を重ねる事による寄生蜂の除去を狙う
不測の事態の時には単独での行使や排除しきれなかった場合の処分も心掛ける

◆行動(C班
体育館内での被害者の運搬
味方との通信での情報共有を行う

幼体の成長に必要な要素は恐怖という仮説について
説明に納得しているのでそれを前提に行動
確定情報ではないが迷うよりはまし

未知に対しての不安ほど恐怖をあおるものはないだろう
ゆえに対処法がある事を明言する
前回の方法で成功している事は事実

待つのも苦痛だろう
ただでさえ怪我だけでも苦しいのに得体のしれないものが体内で蠢いている
余裕ができれば家族や友人の安否を心配するかもしれない
対処法があると希望を説明しても時間とともにその希望も薄れるだろう

本来は親身に根気強く言葉をかけるのだろうが
動じない精神力を持つがゆえに言葉に必死さが足りていない事は自覚している
自分の言葉で感情に訴えられるかは疑わしい

だから歌う事で訴えかける
苦しい時こそ楽しい事で気を紛らわす
呻き声で満ちた空間よりは気は休まるものと確信する
仮説が正しければ気分転換が効果的な可能性は高い

◆行動(緊急
治療の為の待機だが護衛も兼ねる
ヒメバチの接近を感知or報告が入ったら臨戦態勢へ移行
引き付けてからの魔斧による幻想之刃で薙ぎ払う
前回女王が指揮した動きを経験しているので動きに知性が感じられない場合は
ロードリーオーラ(歌に王気を乗せる想像力)を組み込んで一般人への被害を減らす

審判の雨雫(魔本)単独使用時
討ち漏らした場合に幻想之刃の使用を躊躇わない
傷口からエネルギーが水のように染み込んで悪夢のみを切り裂くという想像力を乗せる
事前に雨を具現したのだから水は想像しやすくなっているはず

救える者だけでも救う為に躊躇わない
感傷など後で十分
例え子供相手だとしても

●堅城の女王
 槍を構える女王蜂、羽化した兵隊蜂を交互に見比べ、ナハト・シュヴェーアト(la0450)は剣を抜き放つ。IMDが起動、刃は黒々と染まっていく。
「目の前で見せつけるなんて、随分と悪趣味な真似してくれるんだね」
 意識が“切り替わっていく”。目の前の獰猛な悪を狩る事のみに全力を注ぐため。殺意で二匹の蜂を圧しながら、ナハトは素早く女王へ踏み込んでいく。割り込んできた兵隊蜂。彼女は軽く腰を落とし、蜂の腹を目掛けて鋭い横薙ぎを叩き込んだ。全て狙い通りである。
 重心のバランスを崩してよろめく兵隊蜂。拳銃を構え、その隙から日暮 さくら(la2809)は女王に狙いを定めた。
(私は強くあらねばなりません。まだ両親に届きはしない。けれど今ここで、“本物の光”で在りたい)
 蜂の成長条件は『宿主の恐怖』。それが仲間達と達した共通理解。ならば人々に希望を示し、少しでも成長を抑え込む。さくらは女王の顔面目掛けて引き金を引いた。
「信じてください。この敵は私達が倒します。必ず助けますから!」
 住宅街全てに響き渡らせるつもりで、彼女は叫んだ。
「希望を捨てないでください!」

 少女の声が響く。桃簾(la0911)は背後で聞きつつ、機甲支援外装サンフィッシャー(la2842)の駆る巨大なツアラーバイクに乗っていた。
(全く、女王蜂をアテナなどと。都市守護神はわたくし達です)
 悪趣味な博士に毒づきつつ、桃簾は後部席の手すりを握りしめる。機甲はエンジン音に交えて声を発した。
『左に曲がる。落ちないようしがみつくといい』
「ええ」
 蜘蛛の巣状の道路を進むと、つんと鼻を突く臭いが漂ってきた。道路の真ん中で小型のヒメバチが一体、血みどろの肉塊に覆い被さっている。桃簾は眉をしかめた。
「あれが!」
『羽化した後に肉も喰らう……なるほど、あまりにも悪趣味だ』
 エンジン音に気付いたヒメバチは、ふわりと舞い上がった。蜂は背を向け、一目散に路地へ飛び込む。
「逃げます!」
『掴まれ、揺れるぞ』
 機甲は一気にバイクを傾ける。ドリフトにタイヤが悲鳴を上げるが、彼は構わず路地の中へと突っ込んだ。

 翅を激しく打ち鳴らしながら、女王は宙へと飛び上がる。ぴったりと身を伏せ、毒針を構えて突っ込んで来る。シオン・エルロード(la1531)は盾を正面に構えると、女王の突撃を真っ向から受け止めた。
(幼体は男の絶望を糧に成長したのだろう。ならば俺達が希望にならねばならん)
 盾を振るって女王の身を受け流すと、シオンはオーラを纏って将器を見せつける。女王は顎を打ち鳴らし、彼へ肉薄した。
「貴様が戦うべき相手はここにいるぞ。俺を倒さねば未来はない」
 女王が翅を鳴らすと、何処からともなくふらふらとヒメバチが飛んでくる。ヒメバチは女王を取り囲み、纏まってシオンを威嚇する。
「絶対の命令権は、部下の判断を奪う諸刃の剣だ。そして情報を欠いた命令は、愚策に成り果てる。……貴様は分かっているか?」
 来栖・望(la0468)は杖を掲げてシオンのシールドを修復する。兵隊蜂は素早く望へ踏み込み、甲殻に包まれた拳を突き出した。杖の柄で彼女は受け止めると、蜂の脇へ踏み込みながら、杖の頭で兵隊蜂の横っ面を殴りつける。
「忠義心は評価しますが、『護る為だけに在る』とは、何処か悲しさもありますね」
 努めて冷静に、彼女は振舞う。この街を包む、恐怖から生まれる絶望。それを抑え込むために、勝利のイメージを思い描く。
「倒れぬ盾を、守る力を支える為に、私は最後まで倒れません」
 互いに打ち合う。揃って数歩後退る。再び構えを取った蜂に、望は静かに尋ねた。
「貴方に、それが出来ますか」

 4人が女王蜂の気を引いている隙に、井木 有佐(la0921)は病院に飛び込む。カウンターの影に受付の女を見つけると、鋭く叫んだ。
「“ヒメバチ”の負傷にはライセンサーが対応する必要がある。負傷者がいれば直ちにアリーナへ集合させてくれ! ついでに治療用具や薬品の準備も頼む!」
 女が頷いたのを確かめると、有佐は病院の非常口から再び外に飛び出す。一台のバンが停められ、運転席にはシスター・ジャンヌ(la2827)が外に顔を覗かせた。
「準備できてます、有佐おじ様!」
「すまない!」
 有佐は助手席に飛び込む。シートベルトなんか巻いてる暇は無い。ジャンヌは早速車を転がし始めた。カーナビと睨めっこだが、気合で心は奮っていた。
「かの行い、赦すことはできませんっ」
「ああ、この状況に絶対抗ってみせよう」
 頷くと、有佐はメガホンを構えた。周囲を見渡し、彼は叫ぶ。
「怪我人はこちらで搬送します。まだ無事で、動ける人は屋内に避難を! 敵には我々が全力で対処します! 決して諦めないでください!」

 ヒメバチを追い立てる傍ら、桃簾は柱の影やごみ箱の影で縮こまっている人々に歩み寄る。そっと跪き、視線を合わせて訴えかけた。
「わたくし達はライセンサーです。災いを断ち貴方達を必ず護ります。どうか落ち着いて、屋内に避難してください」
 彼女が言うと、人々はばらばらと逃げ出していく。しかし、シャツを血に染めた一人の男だけが相変わらず蹲っていた。その腹は妙に脈打っている。埋め込まれた。そう悟った桃簾は、そっと肩に手を乗せる。
「恐れが幼生を育てる事になります。どうか、貴方自身を、わたくし達を信じて」
 しかし、男は浅く息をしながら、ただ首を小さく振り続けるばかりだった。
「……でしたら、少し眠って貰います。可能性があるとすれば、それだけですから」
 男は訳も分からないまま頷く。桃簾は素早く男の喉元に手を掛ける。頸動脈を堰き止め、10秒と立たないうちに気を失わせた。
 じっと腹を見る。男が気を失うと、腹の脈打ちも止まっていた。
「宿主が眠れば、蟲もまた眠る……と」
『効果的な手段に違いない。周知を行おう』
 機甲の耳元に埋め込まれたインカムが、うっすらと光を放った。

 暗い路地の中で、ヨハネス・リントヴルム(la3074)は溜め息をつく。
「こっちに来たついでに、せっかくだから観光してたのに……まあ、こればっかりは人任せにはできないからな」
 鈍い羽音と共に、何処からか飛んできたヒメバチがやってくる。蜂が方向を転じる前に、大剣を抜いて襲い掛かった。
「ナイトメアだな、死ね」
 鋭い刃が敵を捉える。正面から真っ二つに断ち割られると、ヒメバチはバラバラになって地面に散らばった。体液が飛び散った瞬間、傍で小さな悲鳴が聞こえた。振り返ると、体液を浴びた少女が縮こまっている。ヨハネスは澱んだ眼で少女を見下ろす。
「さっさと行け、邪魔だ。どこかの建物にでも隠れていろ」
 少女は気圧され、悲鳴を上げて逃げていく。ヨハネスはその背中をじっと見つめていた。

「気絶させればと言っても……この数は少々厳しいね」
 地区運営のアリーナ。待ち構えているアイリス・L・レイバルド(la3254)の前で、続々と運ばれてくる患者の様子を窺っていた。恐怖は連鎖し増幅する。蟲毒のように。集められた人々は、震えて互いを腫れ物のように扱っていた。
 来るな。近づくな。まるで互いが化け物であるかのように、人々は叫び合った。ヒメバチが現れてから時が経ち、人々は嫌というほどヒメバチの脅威を思い知っているのだ。
「案ずることはない。SALFは既に対処方法を突き止めている。恐れずとも皆助ける。だから、恐れてはいけない」
 彼女はあくまで冷静に語り掛ける。しかし、人々は余計に怯えるばかりだ。その方法が完璧でない事も、彼らはとっくに知っていた。ライセンサーに対するやり場のない怒りさえも湧きあがり、負の感情が渦巻き始める。
(さて、これはどうしたものか)
 味方の見立て通りなら、これは絶望的な状況だ。いつ新たなヒメバチが生まれてもおかしくない。しかし、アイリスは弱きに寄り添う言葉を知らない。彼らの恐怖を慮るだけの弱さを、彼女は持っていない。
 だから、アイリスは歌った。
「“――天を仰げ、かの光は我らの胸に輝きを与えるだろう”」
 こんな時に何故歌うのか。しかも言葉は彼女の世界のそれ。誰一人として言葉の意味は理解できなかった。
 けれど、だからこそ人々に思考の空白を生み出した。その思考の空白を押し広げるように、圧倒的な声色で歌い続ける。
 彼女の歌が、人々の命をギリギリのところで繋ぎ止めていた。

●救済者の底意地
 ドアを蹴り開け、ジャンヌは斧を担いでヒメバチの背後へ飛び込む。咄嗟に逃げようとするハチだったが、一歩間に合わなかった。
「消えろよ!」
 鋭い斧の一撃が、ヒメバチの背中を捉えた。翅が一枚ちぎれ飛び、ヒメバチは地面にどさりと落ちる。その場でバタついているヒメバチは放っておき、彼女は怪我人を脇に担いでバンへと引っ張っていく。
「……な、何とかなりました……」
 ジャンヌはバンの後部席に怪我人を担ぎ込むと、再び運転席に乗り込む。有佐はジャンヌの胸元越しにバタつくヒメバチを狙い、その銃弾で止めを刺した。
「行こう。多分これ以上は間に合わなくなる。ヨハネスさんにも連絡だ」
「了解ですっ」
 彼女はアクセルを踏み込むと、アリーナへと一直線に走らせた。

 ナハトが兵隊蜂を袈裟懸けに斬りつけようとする。蜂は左腕を合わせてきた。ナハトは咄嗟に身を翻し、狙いをその胴へ切り替えた。蜂はピタリと固まる。
「……こいつめ」
 しかし、刃は飛び込んできた下っ端が受け止めていた。女王は翅を広げ、針を構えて一直線に飛び込んで来る。シオンが横から盾を構えて突っ込み、強引に女王の切っ先を逸らした。
「この俺を無視できるとは思わん事だな」
 敵味方入り乱れる戦場。さくらは刀を抜き放つと、摺り足で間合いを詰める。刃が桜色に輝き、はらりと花弁の幻影が舞い落ちた。
「斬ります!」
 鋭く刀を振り上げた瞬間、駆け抜けた太刀風が桜の花びらと共に蜂の群れを切り裂いた。
「そうだ。自己防衛を優先すれば、配下を呼び寄せるしかあるまい」
 部下を盾にして身を守る女王の正面に、シオンが再び立ちはだかる。巨大な盾を押し付け、女王の視界を覆った。周りの蜂は、闇雲にシオンを攻撃し続ける。
 望はライフルを取り出すと、女王目掛けてじっと狙いを定めた。兵隊蜂はその射線に割り込もうとするが、両脇から飛び込んできたさくらとナハトが一斉に刀を振り下ろし、頭と体を三つにバラしてしまった。
「……そこです」
 引き金を引く。突き抜けた一発が、女王の翅を一枚抉った。

 町中に響き渡っていた低周波のノイズが乱れる。その瞬間、ライセンサーから夢中で逃げ回っていたヒメバチがぼんやりと宙に浮かんだ。桃簾が短機関銃を構えると、ヒメバチは不意に反応して振り向く。桃簾は笑みを深めた。
「……チャンスのようですね」
『自分が援護へ入る。その隙に敵性体の駆除を』
 サンフィッシャーは盾を構えると、次々飛んでくるヒメバチに対峙した。急降下してきた蜂の針を盾で受け止めると、空いた手で蜂の頭を掴み、地面に叩きつける。タイヤを唸らせながらその場で回転、盾の縁でヒメバチの翅を切り裂いた。
 二人のIMDが稼働率を上げていくほどに、ヒメバチはどんどん群れ集まってくる。しかし、彼らにとっては望むところだ。
「しかと見なさい。民の絶望を越える希望、全てを救う未来を」
 腰に提げた篭手を嵌めると、全身を捻って力強く一歩踏み込む。突き出した掌の先から燐光が放たれ、群がるヒメバチに直撃した。羽根やら脚やらもぎ取れて、群れは次々に墜落していく。
『これ以上逃がしはしない。全て我々が迎え撃つ』

 さくらは弾倉の空っぽになった銃を放り捨てると、一足飛びで女王の懐に飛び込む。
「貴方も、絶望してみたらいかがです?」
 女王が咄嗟に毒針を突き出す。さくらは半身になって切っ先を躱すと、擦れ違いざまに刃を振り抜いた。切っ先が毒針の節を的確に捉え、女王の針を真っ二つに折った。女王は愕然と顎を開く。女王は慌てて後退りするが、ナハトはその間合いへ既に踏み込んでいた。彼女の振り被る大太刀が、陽光浴びてぎらついた。
「私の刃の間合いに踏み込んだ時点で、逃げられると思うな蟲風情」
 宙へ跳び上がると、頭上越しに背後へ回り込む。女王が振り返る間もなく、ナハトはその身を翻し、女王の腰を刎ねた。ぐらりと傾ぎ、女王の上半身が地面に転がり落ちる。身を翻すと、再び刀を振り上げる。
「お前の針が眷属を生み出す為にあるなら、私の刃はお前を屠り殺すために在るのだから」
 上半身だけで暴れる女王の首を、ナハトはその一刀で切り落とした。
「……女王は討たれましたか」
 望は杖で地面を打つ。降り注ぐ慈雨が、ライセンサー達のシールドを癒していった。

 毛布の担架に乗せて、有佐とジャンヌはアリーナへと被害者たちを担ぎ込んできた。彼らは青褪め、浅く息を続けている。
「これで40人と少しだ。これ以上猶予はないし、処置を始めよう」
「やあ、待たせたね。頼ってくれて嬉しいよ」
 鞘に納めた大剣を背中に担いだまま、ヨハネスがふらりと現れる。有佐は耳元まで歩み寄り、こっそりと話した。
「すまない、大変な役割を負わせてしまう」
「僕のことは気にするなよ。この手は汚すために在るんだからね。……前回のことがあって僕も反省したんだ、未来ある者に心の傷を残すべきではないと」
 うらぶれた笑みを浮かべるヨハネスを見遣り、有佐も小さく顔を曇らせる。
「俺も覚悟はしているつもりだが……でも、そもそも雨を降らせたまま“そう”するというのは難しい。頼らせてもらうよ」
 魔導書を取り出すと、アイリスは怪我人の真ん中に立って振り返った。
「準備は出来ているよ」
「ありがとう。……始めよう」
 有佐も本を取り出し、その魔導書に刻まれた文字を見つめる。生を死に、死を生に裏返らせる種々の伝説的儀式が記されている。意地でも救いきる。その決意をIMDに込めて、その手を天へ突きあげた。
 煌き、白黒の雨が降り注ぐ。黒い雫が人々の傷口に沁みこみ、潜伏する幼生を脅かす。1匹、また1匹と、二人の雨に堪えきれず死んでいく。
 しかしそれでも、救いきれない者はいた。腹を突き破り、蟲が中から這い出そうとする。人々は一斉に悲鳴を上げた。
「残念ながら手遅れだ。尊い犠牲になってくれ」
 ヨハネスはぽつりと呟き、一気に大剣を振り抜いた。剣に纏わる闇が広がり、宿主ごとヒメバチを縊り殺した。容赦ない『処理』に、人々は言葉を失う。
 しかし、ヨハネスは眉一つ動かさない。大剣を担いで、ぐるりと人々を見渡した。
「そんな目をするなよ。彼らは必死にやったんだ。恨むなら……まあ僕一人を恨めばいいんじゃないかな。僕は別に気にしないしさ、そんなの」
 有無を言わさぬ気色に、人々は黙り込むしかなかった。

●メキシコへ
 桃簾はオーラを纏わせた大剣を振り抜き、吸い寄せられてきたヒメバチを纏めて吹き飛ばす。転がる蟲の残骸を見渡し、彼女は溜め息をついた。
「これで全てですか」
『結果的に20体以上を仕留める事になった。この短時間に……ここまで殖えるか』
 機甲はモニターを見つめ、ぽつりと呟いた。

 望はインカムを指で押さえて頷き、シオンへくるりと向き直った。
「桃簾さんから報告が入りました。全ナイトメアを無事に片付けられたようです」
「彼らも大儀だったな。単体は大したことが無いとは言え、わずか二人で多数のナイトメアに相対する為になったわけだからな」
 シオンは盾を地面に突き立て天を仰ぐ。荒涼とした風が吹き流れていった。
「……結果的に厳しい状況になってしまいましたね」
 望は主に寄り添う。ヒメバチの被害者は72人、うち、無事に処置が間に合った者が41人、“処理”された者が5人、何処とも知れず羽化した者が26人。小さいと言える被害ではなかった。
「分隊規模の参加者でこの程度に抑え、アテナも含めて駆除できた。それだけでも幸いだったという他ない。甚だ遺憾ではあるが、悔やんだところで前には進めん」
 主の言葉に望は頷く。生き残った者の希望を支えるためには、足を止めることなく戦い続けるしかないのだ。

「あの蜂が出た戦場は、いつもこうなのですか」
 『処理』を見たジャンヌは青い顔で有佐に尋ねる。彼はじっと地図を見つめていた。
「ああ。これ以上は好きにさせられない……」
「そこがこの蜂の巣というわけですね」
 ナハトは有佐の地図を覗き込む。彼は頷いた。嘗て墜落したセスナ機の運転手が住んでいた居住区が示されている。
「ここを探れば、きっと何かのチャンスが掴めるはずだ」

 ヨハネスは己の掌を見つめる。いつもと変わらない手だ。
(驚いたな……さすがに、ここまで何の感慨も湧かないとは思わなかった。……守るべきものを失って手に入れた強さっていうのが、これか)
 間違っていると人は言うのかもしれないが、彼は他人事のように感じていた。

(大義の為……)
 さくらはかつての世界で聞かされた言葉を思い起こす。この世界で自らの手からぼろぼろと命が零れ落ちていく様を見せつけられて、ようやくその言葉の真意を噛みしめていた。
(最大多数を守ろうと足掻いて、そこから零れた命を自らの罪として胸に刻む。それが大義に生きるという事)
 苦しい生き方だ。しかし逃げるつもりはない。
(……必ずや、根を断ってみせましょう)


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