オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【AP】ケモノですもの!

【AP】ケモノですもの! STANZA

形態
イベント
難易度
普通
価格
1000(EX)
ジャンル
冒険 コメディ 夢 
参加人数
251~25人
予約人数
10010100
基本報酬
100000G
100SP
1000EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
4
締切
2019/04/07 23:00
完成予定
2019/04/20 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-



 ワッフル・クロワッサン(lz0018)は、もふもふのウサギ型ヴァルキュリアだ。
 とは言えその姿は本物のウサギには程遠い。
 デフォルメMAXのぬいぐるみのような、下腹がダブついた魅惑の洋ナシ体型に短い手足が付いた、ぽてぽてと危なっかしく立って歩く身長150cm程度の——

「わふ!?」
 しかし今、自室の鏡に映るワッフルの姿はデフォルメの欠片もないリアルウサギそのものだった。
「わふ、どうなったのふ!? 本物のウサギになっちゃったのふ!?」
 しかし言葉を話すことは出来るようだ。
 記憶も思考も、元のワッフルと変わりない。
 ただ姿だけが変化しているらしい。
「これは夢のふ?」
 ワッフルは、ちょこんと座っていたベッドから飛び降りる。
 体が軽い。
 試しに跳ねてみると、サイドテーブルに軽々と乗ることが出来た。
「すごいのふ! まるで夢みたいふ!」
 いや、夢みたいではなく本当に夢だ、そうに違いない。
 しかしこれが夢ならば。
「さめないうちに、いろいろやってみたいのふ!」
 まずはこの軽くて小さな体で大草原を思い切り走り回ってみたい。
 あとは——
「にんじん……のふ」
 お菓子よりニンジンが食べたいという衝動が、むくむくと湧き上がって来る。
 逆に、傍らの籠に山盛りになったチョコに対しては本能が危険信号を発していた。
 なんだかずっと昔から本物のウサギだったような気分になってくる。
「……っていうことは……たいへんのふ、うしゃぎはさみしいと死んじゃうのふ! おともだちを見つけるのふ!」
 どこからか仕入れた「ウサギは寂しいと死んでしまう」という偽情報を元にそう考えるに至ったワッフルは、部屋からの脱出を図る。
 ドアは普段から鍵などかけていないが、リアル兎の手でドアノブは回せない。
 しかし幸い窓は開いていた。
 まだ開けっ放しで寝るには寒い季節だが、そこは夢だからと納得して窓枠に飛び乗る。
 外を見ると、すぐ下に地面がある。
 その先には一面の草原が広がっていた。
「おぉ、さすが夢のふ! つごーよくできてるのふ!」
 ワッフルは身軽に飛び降りると、ふかふかの草の感触を足で確かめる。
 目の前にはどこまでも続く草原。
 さあ、冒険の始まりだ。

 もしかしたら、他のみんなもケモノになっている、かも……?


エイプリルフールの夢依頼です。
夢なので、いつも以上に何でもアリ、想像力の限りに好き勝手やっちゃってください。

・基本設定
同行者とは同じ夢を共有している
目が覚めた後は綺麗に忘れても、夢として覚えていてもOK
もちろんリアル世界には一切の影響を与えない
舞台は好きに選べる
夢なので一貫性とか気にしない
物理法則も多分適当だがリアルに拘りたい場合はそれも良し

・出来ることの例
リアルなケモノになってケモノライフを満喫する
猫になって日向ぼっこでゴロゴロしたりパトロールしたりケンカしてみたり集会してみたり
犬になって雪原を駆け回ってみたり、ネズミになって猫を追いかけ回してみたり、野生の王国で弱肉強食してみたり、複数で協力して動物園から大脱走、などなどお好きなように
ケモノ以外でも爬虫類や魚など生き物であれば何でもOK
獣人的な非リアルケモノでも構わない
リアルケモノだけどヒトの言葉はわかる・話せる、本物より大きい・小さい、など非リアル設定も可能
変身せずに本来の自分のままでも構わない
互いの同意があれば、PC同士で飼い主とペットの関係や、釣り人と魚の勝負などもOK
終わった後は全て「……という夢を見たんだ」になるので、希望があれば死亡も可能だがもちろんリアルに影響はない
他、思いついたことは何でも試してみるのじゃ

・その他
「アドリブ歓迎」「詳細お任せ」等の指示があると、嬉々として弄り倒します
指示がなくてもアドリブと弄りは入る仕様ですが、そもそも参加表明をされた時点で覚悟完了ですよね?
(それでも絶対に譲れないものがある場合は、プレに注意書きをお願いします)

・NPC
ワッフルはフリー素材ですので、一緒に遊んでいただいても放置でも構いません
OPには出ていませんが、お好みでラックも召喚可能です(動物は何が似合うでしょうね?)
なお夢空間ですので、呼ばれればどこにでも出没します
複数同時存在も何のその、だって夢だもの

お世話になっております、STANZAです。

お待たせしました——って、果たして待たれていたのか、そもそも需要はあるのか、色々と不安はありますが、ともあれ——夢オチ依頼です。
最初は全員で猫になる予定でしたが、OPでワッフルを絡める都合もあって全生物対応となりました。
最も詳しいのは「お付き合い歴=ほぼ年齢」のお猫様ですが、他の動物もそれなりに行けると思います。

では、よろしくお願いいたします。

  • 竜殺し
    七瀬 葵la0069
    放浪者14才|ネメシスフォース×セイント

※アドリブ、他PCとの絡みご自由に※

変化する動物:イエネコ
猫種:日本猫
毛色:三毛(黒、白、茶)
年齢:1歳未満(仔猫と成猫の中間くらい)

やる事:
香箱座りで日向ぼっこしつつお昼寝。
気が向いたら小動物を追っかけ回す。食べるのではなく興味を惹かれて遊ぶために、ただし相手がどう思うかは知らん。捕獲したら腕で挟んで猫キック連打、まさに猫。

大体、猫っぽい事を猫らしくやる。うんちとおしっこは除く。

「にゃー(……ん、猫、なら、日向ぼっこ)」
「……(スヤァ)」
「にゃ、にゃーん?(……ん、ああいう小さいの、玩具に、いいかも?)」

アドリブ絡み歓迎

▼心情
俺は今日は水無瀬さんペンギンの飼い主らしい、よ

▼同行者
幼馴染の水無瀬さんペンギン(la0244)

▼行動
フリーダムなペンギンの飼い主
水無瀬さんペンギンを呼んでみる
「ん、近うよれー(

ペンギンショーをやってみる
なかなかいうことを訊かない→お魚あげて全力で頭を撫でつつ
結局、滑り台へ行く水無瀬さんペンギンを眺めて
「頑張ってペンギンショー、だ
「結局、滑り台、ですか(

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】
はわ、ペンギンさんになったよ!

目的】
ペンギンさんになって遊ぶ!

同行】
幼馴染の吉良川くん(la0075)
→今回は飼い主(言われた通りにするとはいっていない←

行動】
気ままに自由にペンギンさん~
水中を自由にすいす~い
おなかがすいたら、おさかながつがつっ

飼い主さんが呼んだら気が向いたら行く←
ペンギンショー?おさかなさんくれたらやるー
あっ、あっちのすべり台面白そう!(おさかなだけ貰って滑り台へ←

■状況
・同行者:藤丘 月世(la2890)/一緒にお休みしていた際に[同じ夢]を見た状態
・舞台:[人間]が[獣人]に置き換わっている[現代風]の世界

・種類:[牛の獣人/ホルスタイン種]
・[角][尻尾]等の[牛の特徴]が生え、[獣人]らしく[牛柄の毛皮]に覆われている
・[本来の体格]に[牛]の特徴が加わり、[身長]が伸びて全体的にふっくら、[胸]は更に巨大に

■行動
・気づいたら[獣人の姿]だった為、状況を確認
・後[藤丘様]と一緒に[ファッションビル]へ/[服][下着]等を選ぶ際に[大きいとサイズが少ない][デザイン以外に強度を見た方が良い]等の助言をしつつ楽しむ

  • GLORIOUS DRIVE
    白玉 纏la0406
    ヴァルキュリア18才|ゼルクナイト×グラップラー

【心情、目的】
夢ということで、自分の将来の夢である人型姿で楽しむ。
「さぁ、普段もっふもっふされる分今回はあたしがしてやるっす!」(手をワキワキさせつつ)
【行動】
「アドリブ歓迎」「詳細お任せ」、同指示がプレイングにある人と交流
普段ウサギぬいぐるみボディなので、今回は人型ボディ(未来希望図、身長160cm少々程)の姿で遊んでみる
(依頼参加のため、今回依頼限定で基本イラスト、マイページトップの姿が変更されています、姿はそちらを参照)
「ふおぉぉ!?普段と感覚信号が違う気がして…なんか、すっごいっす!もっふもっふ、ふっかふかっすぅ!!」(抱きついたりしつつ)

  • 太陽の守護者
    V・V・Vla0555
    ヴァルキュリア16才|ゼルクナイト×セイント

※アドリブ歓迎
両手に乗る程度のもこもこふぁんしーなデフォルメひつじ
色はほんのりピンク色で赤いリボンで女子力表現!

我、もふもふを心から愛する者だが、自らがもふもふとなる日が来ようとは…!(夢です)
天気も良い事だし、お散歩でもしよう♪
同じもふ仲間と出会えるやもしれんしな!

あの白いもふもふうさぎはワッフル殿!ワッフル殿ではあるまいか!!
ご機嫌麗しゅうワッフル殿!ファオだ!故あってひつじの身だが、我だよ!!(突撃もふーん
ひなたぼっこをすると、おひさまでもふもふが更にもふくなる~

森にはどんなもふもふがいるだろう
…はっ!?狼…!我は食べても美味しくないぞ!
いやあああ!!(夢オチ

  • 更級心刀流剣士
    更級 翼la0667
    人間16才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

え?これはどういうことですか!?
夢…ですよね…?

同行者は猫化した暁 大和(la3248)さん
僕はジャンガリアンハムスター(パールホワイト)に。

飼い主がオリから出した隙をつき、外に出ようとする大和さんの頭に飛び乗り。
(着地成功です♪)

初めての外に興味津々。
自力で移動しなくていいのでゆったり。
大きな車、子供に驚く。
大和さんが喧嘩中は体毛にしがみつき、振り落とされないように。
(こ、怖い…)
喧嘩のせいで外の世界をほとんど楽しめず。

リアルな夢でした…。大和さんも同じ夢を見ていたのでしょうか?

アドリブ歓迎します。

【VOL】
▼動物
フルーツバット
▼役柄
お腹が空いたものには果物をあげる、心優しいオオコウモリ
ダイエット中の動物にもあげてしまうので、少し厄介な存在?
エヴァ・サラマンドラさん(la2692)のカピバラさんがお腹を空かしているようなので、果物をあげてしまう
ダイエットを推奨しているジゼル・ヴィーラ仔猫さん(la2695)には注意されそう?
優しさの押し売り?孫に大量に食べさせ太らせてしまう祖母のような…?
都合が悪くなると飛んで逃げます
飛ぶ方法を聞かれた場合「気合です」としか答えない
▼台詞
「お腹減ってますか?それではリンゴをあげましょう」
「ああ何て可哀想!キャベツをあげましょう」

【VOL】タグで集まり
アドリブ&絡みOKです
◆動物
カピバラ
◆性質
怠惰/よく食う/口癖「だるい」「太ってねえよ」
◆行動
丸い身体で日々を過ごす眼帯つけた赤毛のカピバラ
怠け切った毎日を過ごしているので、仔猫のジズ(ジゼル・ヴィーラ:la2695)に怒られっ放し
ダルさの塊
ジズにトレーニングと称して、強制的に旅に出させられる
難しい話は寝て、面倒な事は「めんどい」とダルそう
エサをくれる奴は神
◆補足
ジゼル仔猫は常に背に乗せてる
カナン(la2740)とは丸いネズミ同士で仲が悪く「太った口論」で取っ組み合いをする
ンダルカ(la2750)は余計な事をしばしば言うので、怒って転がす

【VOL】
●動物:ロシアンブルーの仔猫
●行動:カピバラエヴァ(エヴァ・サラマンドラ/la2692)を旅に連れて行く
タグ【VOL】メンバーの動物との引き合わせ役で、怠惰なエヴァに勉強やトレーニングをさせる
※ある意味ジゼルとエヴァの物語?内容や展開はアドリブ歓迎です(メンバー承諾済みです)
●対応
常にエヴァの背中に乗って移動
エヴァカピバラがぐずったら、横面に猫パンチ
含蓄のある話に感心し、行動力のあるものを尊敬する
エヴァとは動物も年齢も違えど親子のよう
エヴァのお尻を叩いて急かしたり
「いいから早く行くわよ」
「寝るな!」
「走れ!走りなさい!」
※野生の王国に何故かいる家猫です

【VOL】
◆動物:カラス
精神論や武士道を語り出すカラス
◆行動:師匠
ジゼル・ヴィーラ(la2695)仔猫より請われ、エヴァ・サラマンドラ(la2692)カピバラに武士道精神を授ける
武士道には百の掟があるというが、鴉ゆえに6までしか数えられず、6つめから1つめに戻る
それが原因で無限ループする事もあり、本人に自覚が無い為、話しがとにかく長い
「よいか、心というものは…」
「そもそも、武士道というものは…」
「6、武士とは高潔であるべし――1、武士とは心強く在るべし」エンドレス
カラスらしく自分勝手に喋り、エヴァ達の状況はお構いなしで喋り倒す
エヴァ達がいなくなっていても喋っている

  • 騎士団の絆
    カナンla2740
    放浪者21才|スピリットウォーリア×グラップラー

【VOL】
◆目的
夢で動物になる
◆動物
愛くるしい顔して喧嘩っ早いウォンバット
◆性格
カピバラのエヴァ・サラマンドラ(la2692)とやたらと張り合うウォンバットのカナン
やたらケンカ腰で、どっちが太ってるかの論争をすぐに始め、すぐに取っ組み合いになる
丸いものが二匹でじゃれ合うさまは、可愛いのか見苦しいのか
そのくせエヴァについて回り「ストーカー」呼ばわりでもキレてしまう
◆口調
「うっせーよアンコ体型」
「丸いのはおまえだ」
「こういう生き物なんだから仕方ないだろ」(メタ発言

【VOL】
◆動物
愛らしいハリネズミ
◆性格
関西弁を喋り、元気で明るい
口が悪い、脳天気な考えなしとも?
神出鬼没でいつの間にかいる
余計な事を言っては相手を怒らせて、丸くなって転がされてピンボールみたいにされる
エヴァ(la2692)カピバラちゃんやカナン(la2740)ウォンバットが体型を気にしてるのに毎回「丸い」発言をする
ジゼル・ヴィーラ(la2695)子猫ちゃんがエヴァカピバラちゃんを乗りこなしていて実は羨ましい
◆キメ台詞
「食べてばっかしやから丸なんねん
「同じゆるキャラでもうちみたいにユルカワ系やないとな、ブサカワ系はアカンで
「ウォンバットは丸いけども、フンは四角い

【VOL】
▼動物:クロヒョウ
▼性質
鈍臭いものは食わない、高潔なクロヒョウ
曰く「ノロマを食うと自分もそうなる」
故にエヴァ・サラマンドラ(la2692)の怠惰なカピバラは食わない
▼行動
ジゼル・ヴィーラ(la2695)仔猫のトレーニングの頼みもあり「運動しろ」と脅しエヴァを走らせる
ジゼルとは同じネコ科の動物という事で仲間意識有り
故にジゼル(仔猫)の頼みを聞き、エヴァ(カピバラ)を食わない
「黒い身体は出来損ないの証だそうだが、闇に紛れて獲物を狙う分には便利だ」
「言う事を聞かんと食ってしまうぞ」
イオス・バジリスカ(la3327)のコブラとは友人だが、エヴァ達を食う事を禁止する

目的:
動物になって楽しくアニマルライフ!
夢オチなんだしアドリブは大歓迎!

行動:
目が覚めたらニホンオオカミになってた!
それも他の種と比べてすごく大きいさいきょーオオカミ!
しかも人の言葉もわかるし喋れる!すごい!さすがさいきょーだ!

という事で凄い速度で雪原大疾走してみたり、
せっかくなので雪山の頂上を目指して猛ダッシュしてみたりする。
もちろん強そうなやつがいたら勝負を挑んでみたりもする。

山頂についたら空に向かって勢いよくジャンプ!
さいきょーなのできっと空も飛べるに違いない!

アドリブ歓迎
さくらの飼い主。不知火邸(日本家屋)に住む
様子がおかしい猫を不思議がりラックに電話
「猫に反抗期ってあったか?
子供の頃、屋敷に迷い込んだ三毛猫を飼ってたから飼う心得はあるつもりなんだが
「獣人と猫の違い…そうだ、着物の柄が気に入らねえとか?
和箪笥から色々着物を出してみる
オムライスを作り昼食。デザートの苺でご機嫌とり
頭を撫で「お前は俺の猫なんだから、少しは甘えてこいよ
夜はベッドの隣をぽんぽん叩いて来るよう促す
「猫と寝ると温かいんだよなー
寝静まったさくらにやれやれ

実は最初から夢だと自覚済
(こいつは責任感が強いし姉気質だし、こうでもしないと甘えられないだろうからな

アドリブ歓迎
気が付けば仙火の飼い猫になっていました
しかも獣人。見た目は猫耳と尻尾が着いた人間
着物姿なのですがまさか着せられていませんよね…!?
ラックに「私は猫ではありません!耳と尻尾は生えていますが!
苺が好きです。魚も好きです…っ!?思考が猫寄りに!
オムライスと苺に大満足。この男、本当に料理が上手ですね(ぎりぃ
苺がもっと欲しいのですが体に悪いと言われ耳ぺたり
「甘える…ですか
誰かに甘えるのは慣れていません…けど、どうせ夢ですし…
布団に誘われ驚愕するが、自分が猫である事思い出し恐る恐る隣に
「逆です。私が貴方を湯たんぽにします
寄り添ってうとうと
…甘やかされている気がしますね

年代物の瀟洒な椅子に深く座り、脚を組んだ男。
様々な書類を置いた机に肩肘をつき、続く握った手に顎の横を乗せて目を瞑る。
デスクライトに照らされる中身が少なくなった赤ワインの瓶とグラス。
もう片手で開いた本は脚の上に置かれており、浅く寝息を立てる……。

――首がかくっと落ち掛けて目を覚め、軽く首を振りながら瞼の上を軽く押さえる。
何か遙か高みから動物が動く夢でも見ていた気もするが、ほとんど覚えていない。
喉の渇きにワイン瓶に手を伸ばすが、その軽さに肩を竦めて、胸元から煙草を取り出して咥える。
火を点け深く吸うと、ゆっくりと細く長い紫煙をふぅーっと燻らせるのであった。

  • 吾輩は猫である
    三四郎la2826
    ヴァルキュリア10才|グラップラー×ネメシスフォース

🐈猫
なぁ~んっ(みな、やっと猫になったのであるなっ!
んなぁお(色々教えてやるのである
みゃぁご(毛並みは大事であるぞ
にゃぁぅ(尻尾も大事である!

🐈準備
ボスとして教えてやるのである

🐈行動
みながやっと猫になったのである
毛並を舐めて整えてやったり
小さいの咥えて移動したり
横になってお腹で暖めてやりながら寝たり
狩りの仕方を教えてやるのである!
喧嘩になりそうな時はもふ前足でやんわり止めるである
吾輩、ボスであるからなっ!

🐈備考
毛並ある=猫
いつも通り猫

⚙形状
ロボ型犬、アイボ
1mぐらいと大き目

⚙心情
ばうっ(自分はケモノを守る機械だ。諸君を守ろう)

⚙行動
ぎっちょんぎっちょんっ、モーター音を立てて動くロボ犬。
人の行動や言動から、危険と判断した場合は胴体からテーザー銃が出てくる。
時間が来るとコンセント前で座り、尻尾をコンセントに差して充電。
寝るケモノには毛布を咥えて掛けてやる。
人も子供の場合、前足を揃え間にタイヤ、後ろ脚はそれぞれタイヤが出て自動三輪車に。
最大時速5㎞での走行が可能。
絡みは自由に。

  • にせちち
    藤丘 月世la2890
    人間10才|グラップラー×ゼルクナイト


【同行者】
天紙垂 結梨(la0340)
関係:憧れ&お姉ちゃん的存在

【行動】
結梨さんと一緒に寝て夢を見る
夢の中で、まず体の違和感を覚え、まずは自分の姿を確認「…これは、すごい、です」
基本的には結梨さんと一緒に行動
元の姿では出来なかった事を色々したいのでファッションビルなどに行く
そして服装とか下着などの試着をしたい
「これが、胸のある人の、特権…ふふ」
その他は相手のプレに合わせる

夢から覚めたくないと思う月世であった

【VOL】
●獣
黄色の羽毛が愛らしいカナリア
●役
歌ばっかり歌ってるカナリア
でもすごい音痴
でもすごい楽しそうに歌うので、誰も注意しない
超ポジティブで、歌を否定されても理解しない
相手の態度に鈍感
●話
エヴァ・サラマンドラさん(la2692)ジゼル・ヴィーラさん(la2695)と対話
「丸い」という言葉が最近のお気に入りで、その歌を自作で歌い、エヴァさん(カピバラ)から抗議を受ける
「ごめんなさい!」と元気よく謝るが、トリ頭なのですぐにまた歌い出す
●歌
「ラララーあなたはなんて丸いのでしょうー♪」
「ルルルーごはんが美味しくてーこんなに丸々とー♪」
どれもエヴァさんを怒らせそう?

  • 慧眼
    暁 大和la3248
    放浪者29才|グラップラー×ゼルクナイト

【心情】
ケモノになるのも悪くない

【目的】
ケモノライフ満喫

【同行者】
更級 翼(la0667)

【行動】
ケモノはイエネコの中で大きな品種のメインクーン。
子猫の頃から家の外に出たことが無い。
飼い主が鍵を締め忘れた窓から脱走。初めて外を探検。
同行の翼は頭の上。

塀に飛び乗り、横切る車にビビり、子供に追いかけられたり。
(外は危険なところなのだな…)
野良猫にガン飛ばされたら「シャー!」と威嚇し戦闘開始。
猫パンチ、猫キックで攻撃。やられたら百倍返し。
喧嘩初勝利に満足して帰宅。

夢から覚めたら、翼とこんな夢を見たと話を。

※アドリブ大歓迎

【VOL】
動物:ドクハキコブラ
役目:登場して来る動物をエサとして狙う

ルルルヴァ(la2766/クロヒョウ)とは何故か仲が良い(元の因縁そのまま)
狡賢く、旅をするエヴァ・サラマンドラ(la2692/カピバラ)らをからかいに現れる
脅かしたり威圧したり、割と嫌な悪役
以下のような、エヴァ達を食べるつもりの発言をする上、冗談に聞こえない
「美味そうだな。わりと本気だが?」
「そろそろ飯の時間だ。おお、お誂え向きに」
「俺の毒は3m飛んで、目に入れば見えなくなる」(豆知識)
「丸々として食いでがありそうだ」
◆ルルルヴァに「食っちまいましょうよ」と毎回提案/ルルルヴァの言う事には従う

  • 焼肉万歳
    むいむいla3344
    放浪者10才|スピリットウォーリア×グラップラー

●変化
なんか白いいもむし(見た目はむいむいのままながら腹ばいでもぞもぞ移動)
●性質と物語
むいむい鳴きながら、もりもりと畑の野菜を食い散らかす害虫
現代社会の殺虫剤は効かず人々を恐怖のずんどこに陥れるが、野菜嫌いの子供達からは喝采
今回キャベツを食い散らかし、ここが群馬県の嬬恋村なら滅ぶレベル
ニュースでも持ち切り「なんか怪獣映画にあんなの出てこなかった?」とコメントを頂く事も
呼び方は過去の範例よりの「ムスラ」派と鳴き声を活かすべきとの「ムイラ」で二分
食うだけ食ってやがて繭になる(繭は無敵でベースの砲撃も弾く)
そしてとうとう繭が破れる日がやって来る
何が出てくるかはアドリブ大歓迎です

●プロローグ?

 Noli me Tanger(la2823)は年代物の瀟洒な椅子に深く座り、脚を組んでいた。
 間接照明で控えめに照らされた室内は物音ひとつしない。
 じっと動かないその姿は眠っているようにも見えたが、目は開けている。
 目を開けたまま寝ているのかもしれないが、そうではなかった。
 書類の山に占領された机に残された僅かばかりのスペースには、赤ワインのボトルとグラスが置かれている。
 デスクライトに照らされたその中身はかなり少なくなっていた。
 彼はその傍らに片肘をつき、軽く握った手の甲に顎を預ける。
 もう片方の手は脚の上に開いて置かれた本のページに添えられていたが、彼の目はその文字を追うこともなく閉じられた。
 やがて浅く静かな寝息が漏れ始める。

 それは彼が見た夢だったのかもしれない。
 或いは他の誰かの夢を、意図せず覗き見てしまったのかもしれない。

 いずれにしても、それはとても不思議な——


●キャベツ畑の闖入者

 それは、なんか白い謎生物だった。
 現実世界ではむいむい(la3344)という、むいむい言いながらもぞもぞ動き回る白くて丸い謎生物だったそれは、白くて丸い謎生物のまま、むいむい鳴きながら腹ばいでもぞもぞ動き回る何かになっていた。
 見た目は……そう、巨大ないもむし。
 むいむい鳴きながら畑の野菜をもりもり食い散らかすむいむいは、あっという間に害虫認定された。
「むいむい」
 害虫むいむいは春先に出回るブロッコリーやアスパラガス、菜の花にソラマメなど、とにかく何でも食い散らかす。
 むいむいが通った跡は根っこも残らないと言われて恐れられる反面、片付け不要ですぐに次の作付けが出来るとヤケクソに開き直って歓迎する声もちらほら。
 だって仕方ないじゃない、現代社会の殺虫剤も劇薬も何ひとつ効かないんですもの。
 むいむいはもりもり食べて、ずんずん大きくなっていく。
 なお食べるだけで、出るものはない。
 全てを体内に溜め込んでるんだから、そりゃ大きくもなるよねっていう。
 そんなこんなで人々を恐怖のずんどこに陥れるむいむいだったが、野菜嫌いの子供達からは喝采を浴びていた。
 しかもなんかカワイイし、ぷにぷにもっちりでマシュマロみたいだし。
 そう言えば昔の洋モノ映画にそんな敵キャラが出てくるのあったよね、いやそれより国産映画にもっと似てるのがいた気がする。
『なんか怪獣映画にあんなの出てこなかった?』
 テレビの街頭インタビューやネットのコメントでそんな意見が出るや、ニュースのコメンテイターが便乗して某怪獣映画に関してうんちくを垂れる始末。
 そして遂に、それは甘くて美味しい柔らか春キャベツに目を付けた。
「むいむい」
 迫り来る巨大な影に人はなすすべもなく、群馬県の高原キャベツで有名な某村だったら滅ぶレベルで食い尽くしていく。
 そんな深刻すぎる被害にも関わらず、ニュースで取り上げられるのは「呼び方問題」のみ。
 過去の範例よりの「ムスラ」派と鳴き声を活かすべきとの「ムイラ」派で世論も国会も二分され、それでいいのか日本国民。
 そんな騒ぎをよそに、食うだけ食ったむいむいはキャベツ畑の真ん中で繭を作った。
 この隙に倒してしまおうと国際協力のもとに人類は総攻撃を仕掛けるが、白い繭は傷ひとつ付かない無敵仕様。
 そしてとうとう、繭が破れる日がやって来る。
 中から現れたのは——

 おっとここでCMだ!
 チャンネルはそのまま!


●もーもーショッピングタイム

 野菜を食い荒らす謎生物の出現に、世間は上を下への大騒ぎだった。
 しかし、その「世間」は狭い。
 どう転んでも影響を受けない地域では、今日も通常通りの平穏な一日が始まろうとしていた。

「……え、これは……?」
 目が覚めた時、藤丘 月世(la2890)は自分の体に違和感を覚えた。
 体が重い、特に胸のあたりが。
 まるで特大の漬物石(しかも柔らかい)が二つ、どーんと乗せられているようで、起き上がろうとしても上半身が言うことをきかない。
 やっとの思いで起き上がると、目の前に大きな鏡があった。
 そこに映っているのは——
「……これは、すごい、です」
 胸部装甲が、すごいことになっていた。
 いや、他にも色々とすごいのだが、月世としてはそれが最重要と言うかそこしか目に入らないと言うか。
 夢を見ている自覚はあった。
「今日は、結梨さんと一緒の、お休みで……」
 憧れのお姉ちゃん、天紙垂 結梨(la0340)の部屋に遊びに来て、そのままお泊りになったことまでは覚えている。
「二人で一緒の、ベッドに、寝て……そう、言えば。結梨さん、は?」
 ベッドにはいない。
 だがキッチンに人の気配がした。

「藤丘様、お目覚めになられたのですねぇ」
 いつもの声がして、結梨が振り返る。
 だがその姿はどう見ても、いつもの結梨ではなかった。
「どうなさいましたぁ? このコーディネート、おかしかったでしょうかぁ?」
 おかしくはない……いや、やっぱりおかしいのだろうか。
 だって、目の前にいる結梨は、牛さんなんですもの。
「結梨、さん……!?」
 昨夜は最後に食事をしてからベッドに入るまで、充分な時間があったはずだ。
 それとも結梨だけこっそり寝る前に何か食べたのだろうか……ほら、食べてすぐ寝ると牛になるって言うし。
 だが、そうではなかった。
「藤丘様、寝ぼけていらっしゃるのでしょうかぁ。私達、元からこの姿……牛の獣人ではありませんかぁ」
 牛の獣人。しかもホルスタイン種。
 改めて鏡を見れば、月世の頭にも結梨と同じような角が生え、首から下は牛柄の毛皮で覆われている。
 お尻の下では牛の尻尾がぷるんぷるんと、勝手に左右に振られていた。
 体型はぽっちゃりふっくら、身長も伸びて結梨と同じくらいになっているが、その結梨も更に伸びているので、頭の角が天井に突き刺さりそうだ。
 そして毛皮に包まれていても、はっきりわかる巨大な乳。
「すごい、です」
 遂に手に入れた、憧れのないすばでぃ。
 常日頃から募る「お姉ちゃんみたいなスタイルになりたい」という思いが暴走したのだろうか。
 さすが夢。
 しかし暴走だろうと何だろうと大きいことは良いことだ。
「では、お食事が終わりましたらショッピングに参りましょうかぁ」
「行きます」
 月世は目を輝かせ、ワンコのように尻尾をぶんぶん振った。
 元の体型では着られなかった、あんな服やこんな服。
 出来なかったあれこれ。
 それを今こそ、憧れのお姉ちゃんと一緒に!
 嫌でもテンション爆上がりの月世ちゃんだった。

 牛の獣人と言っても、その姿の他には人間と変わったところはない。
 肉も野菜も普通に食べるし、牛乳だって飲む。
 人間が獣人に置き換わっただけで、環境も社会の仕組みも、何もかも現実と同じだった。
「色々な、獣人さんが、いるのですね」
 猫の獣人、犬の獣人、メジャーなものから絶滅種まで、雑多なケモノ達が街を歩いている。
 やがて二人は大きなファッションビルに入って行った。
 毛皮があるなら服なんて着なくていいじゃない、と思うかもしれないが、そこは女の子。
「大きいサイズの、コーナー……」
「そうは言っても、ここまで大きいとなかなかサイズがないのですよねぇ。デザインも小さいサイズの方が豊富ですし、可愛いものが多いですしぃ」
 つまり普段の結梨にとっては選択肢の広い月世の方が羨ましい部分もあるのだが、月世の憧れはそんなことでは止められなかった。
 服に下着に、靴にアクセサリ。欲望は止まらない。
「デザインも重要ですがぁ、それ以外に強度も見た方が良いですよぉ」
 縫製が甘いと乳圧に耐えきれずにバーンとなったりしますから、ええ。
「これが、胸のある人の、特権……ふふ」
 普段なら胸の余った部分に自分がもうひとり入れそうな服を試着して、月世は鏡の前でポーズをとってみる。
「あ、あの、結梨さん。二人で、お揃い……どうです、か!」
 今なら出来る、この夢の中なら。
 覚めたくない。
 いっそこっちが現実になれ……!


●オオカミはもこもこ羊の夢を見るか

 目が覚めたら、雪室 チルル(la2769)はニホンオオカミになっていた!
 それも他の種と比べてすごく大きいさいきょーオオカミ!
 しかも人の言葉もわかるし喋れる! すごい! さすがさいきょーだ!
「あたいこそ しんの アニマルだ!」
 チルルオオカミは吠えた。
 その鋭く高いさいきょーな声が、どこまでも続く雪原にこだまする。
 返って来る声は、ない。
 だってニホンオオカミはもう、チルルの他に残っていないから。
「だって、あたいがさいきょーだから!」
 さいきょーとは孤独な存在である。
 頂点に立つのはただひとり、孤独こそがさいきょーの証。
「寂しくなんかない! だってこの広い雪原全部、独り占め出来るんだから!」
 チルルは走った。
 雪を蹴散らし、雪まみれになって、雪の中を転がるように。
 かと思えば体に着いた雪を吹き飛ばす勢いでスピードを上げ、風よりも疾く駆け抜けてみたり。
「あたいには誰も追い付けないわ! 風も、音も、光の速さだって!」
 目指すはあの雪山の頂上!
 猛ダッシュで駆け上がり「ほっぷ すてっぷ!」てっぺんから空に向かって大ジャーーーンプ!
「あたいはオオカミだけど、きっと空も飛べるはず! だってさいきょーだから!」
 気合いで飛んだ(跳んだ?)その先には、別世界が広がっていた。

 眩しい太陽に照らされた、緑の草原。
 そこには小さな小さな、ちぎれて飛んだ綿毛のような雲が浮かんでいた。

 いや、雲に見えたのは小さなもこもこ羊だった。
 羊は丈の低い草の中に、ひとりぽつんと佇んでいた。
(我、もふもふを心から愛する者だが、自らがもふもふとなる日が来ようとは……!)
 V・V・V(la0555)——ファオは今、羊になっていた。
 それも両手に乗るサイズのもこもこふぁんしーなデフォルメひつじだ。
 色はほんのりピンク色、赤いリボンは抑えきれない女子力の発露!
 彼女はこれが夢だと理解していた、多分。
 理解はしたが、すぐに忘れた。
 羊は頭の良い生き物だが、その頭の良さは人間が目指す方向とはちょっぴり違うのだ。
 また、何が大事かという優先順位も人間とは異なる。
 よって、これが夢か現か幻か、そんなことはどーでもいいのだった。
(天気も良い事だし、お散歩でもしよう♪ 同じもふ仲間と出会えるやもしれんしな!)
 というわけで、気が付いたらこんなどこまでも広い草原の只中で、ぽつんとひとりぼっち。
(べ、べつに寂しくなどないぞ!)
 寂しくはないが、せっかくのもこもこふぁんしーなデフォルメひつじが誰にも見てもらえないのは勿体ない。
 誰ぞおらぬか、今ここで姿を見せれば、このもふもふを存分にもふもふする権利を与えて——
(む? あの白いもふもふうさぎはワッフル殿! ワッフル殿ではあるまいか!!)
 そうだ、見違えるほどスリムで敏捷になってはいるが、友の姿を見間違うはずがない!
(ご機嫌麗しゅうワッフル殿!)
 もこもこもこもこ、ファオひつじはワッフルに駆け寄った。
(わふ? ひつじさんのふ?)
(ファオだ! 故あってひつじの身だが、我だよ!!)
 突撃もふーん!
(わふぅ!?)
 もふもふ同士がぶつかり合って、もふもふ転がり団子になってころころころりん。
 そのままふたりで草原に大の字になって、ぽかぽかのお日様に干されてみる。
(天気の良い日に干された布団の気持ちがわかる気がするぞ!)
(ほっかほかのふ〜)
(うむ、もふもふが更にもふくなるな!)   
 干した布団はどうしてあんなに良い匂いがするのだろう、などとぼんやり思いながら、うとうとと……
(はっ! 昼寝などしている場合ではないぞワッフル殿!)
 せっかくもふもふになったのだから、この世界を色々と探検してみよう。
(森にはどんなもふもふがいるだろうな!)
 リスとかモモンガとか、オコジョとか、ナキウサギとか。
 タヌキはいいけど、キツネはちょっと怖いかもしれない。
 クマやオオカミも遠慮したい——
(……はっ!?)
 噂をすれば、オオカミの影。
(我は食べても美味しくないぞ! このウサギもきっと美味しくないぞ!)
 逃げなければと思うものの、足が言うことを聞かない。
(いやあああ!!)

(食べないよ!)
(……え?)
 恐る恐る目を開けたファオひつじの前にいたのは、大きなニホンオオカミだった。
(あたいはさいきょーのオオカミよ! さいきょーの獲物はやっぱりさいきょーでなきゃ!)
 つまり小動物は眼中にない、と。
(それより、このあたりで強そうなやつ見なかった?)
 クマとかトラとかサーベルタイガーとかマンモスとか。
(いないのね。じゃあ探しに行くわよ!)
 言うやいなや、チルルオオカミはファオひつじとワッフルをくわえて、自分の背中にぽーんと投げ上げた。
(な、何をするのだ!?)
(二人にはあたいのさいきょー伝説を見届けてもらうわ!)
 ほら、孤独は別に気にならないけど、さいきょーであることを証明するにはやっぱり証人がいないとね!
 自分で自分がさいきょーであると思えばさいきょーとか、強さとは己との戦いとか、色々あるけどそこはそれ。
 そんなわけで、彼らは真のさいきょーを求める武者修行の旅に出たのでした。


●やせいのおうこく

 ここは弱肉強食、戦わなければ生き残れないシビアな世界——

「だるい」
「だーるーいー」
「めんどい、エサが来い」

 一日中だるんだるんごろんごろんしている怠惰なカピバラ、エヴァ・サラマンドラ(la2692)に代表されるこれが、ここに暮らす生き物の実態である。
 ユルい。

「ちょっと待ちなさい」
 しかし、ここでロシアンブルーの仔猫、ジゼル・ヴィーラ(la2695)からカメラ目線でダメ出しがあった。
 なお野生の王国に家猫がいる不思議についてはノーコメントで。
 ジゼルはまん丸いボールのようなエヴァの体を前足でぺしぺし叩く。
「こんな怠惰の塊がこの世界の代表だと思われるのは心外です」
 いや、代表であることは間違いない、多分。
 真っ赤な毛皮に黒い眼帯の組み合わせはかなりクールだ、彼女がカピバラであるという事実とそれに伴う一般的なイメージを差し引いたとしても、多分。
 鋭い眼光もボスらしい威厳に満ちている、その気になれば、多分。
 しかし、その丸々ころころとした体型と怠惰な性格が、全てを台無しにしていた。
 おまけにこのカピバラ、体の大きさに比べて器が小さい。
「あんたまた太ったんじゃね?」
 愛くるしい顔で毒を吐くウォンバット、カナン(la2740)の挑発にホイホイ乗せられ喧嘩ざんまいの日々。
「いや毒じゃねぇし事実だし」
「太ってねえよ、そっちのが丸いだろ」
「うっせーよアンコ体型、丸いのはおまえだ」
「あたしがアンコならあんたは饅頭か、だが覚えておくがいい、饅頭で大事なのは中身だ」
「アンコだってガワがなけりゃただのアンコだろ、温泉饅頭は饅頭だから人気なんだぞ、ただの温泉アンコなんざ誰が買うか」
 寄ると触るとこの調子で、しかし仲が悪いのかと言えば——
「悪いな、最悪だ」
「ああ、こいつは天敵だ」
 そう言いながら、何故かいつも一緒にいる不思議。
 そもそもカピバラは南米、ウォンバットはオーストラリアやタスマニアに生息する生き物だ。
 本来は出会うはずのない生き物なのだが、出会ってしまったのが運の尽き。
「カピバラとウォンバットて、よう間違われるやんな?」
 横から口を出したのは愛らしいハリネズミ、ンダルカ=ノクトゥナ(la2750)だ。
「どっちも丸いネズミ同士やし、あれやな、同族嫌ぅお……っ!?」
 ぺちん、ころんころん。
 カピバラとウォンバットの息の合った攻撃で転がされるハリネズミ、しかしメゲない。
「ええ連携やな、実は仲良しさ……へぶっ!?」
 ぺちん、ころんころんころん。
 なお正確にはカピバラはネズミの仲間だが、ウォンバットはコアラに近い生き物である——が、こまけぇことはいいんだよ。
「どっちも食べてばっかしやからそない丸なんねん」
「待て、それは聞き捨てならねーぞ」
 ウォンバットがハリネズミをひっくり返して、柔らかいお腹をぐりぐりする。
「あ、やめてそこ弱いねんやめてやめてマジやめて」
「こいつが丸いのは確かにぐーたら食ってばっかりいるせいだが、あたしは違うぞ。つか元々こういう生き物なんだから仕方ないだろ」
「それ言うたらカピバラかて元々丸い……いや、あの丸さは確かに尋常やな——」
 ぺちっ、ころんころん。
 カピバラの一撃でウォンバットの足の下から弾き出されたハリネズミ。
 救出されたようにも見えるが、多分それは違う、しかし結果オーライだ。
「丸さが尋常じゃないのはどっちもどっちだから」
 不毛な議論に業を煮やしたジゼル仔猫が、エヴァカピバラとカナンウォンバットの目の前にべしっと写真を叩き付けた。
 仔猫が何故そんなものを持っているのか、野生の王国には不思議なことがいっぱいだ。
「これが本来の、カピバラとウォンバットのあるべき姿よ」
 細い。長方形だ。ちゃんと足が見える。
 それに比べてこちらの二頭は……丸い。ただ丸いとしか言いようがないほど丸い。
「しかしあれやな、こんだけ丸いとそれなりにかぁいらしいもんやけど、痩せたらあかんのとちゃうか?」
 ハリネズミは写真と目の前の二頭を見比べて、しみじみと頷いた。
「同じゆるキャラでもうちみたいにユルカワ系やないとな、ブサカワ系はアカン——でぇぇぇぇ……!」
 ばちこーん!
 ンダルカハリネズミはお星様になりました。
「ということで」
 ジゼル仔猫が宣言する。
「今から怠惰なエヴァを鍛え直すわ」
 具体的にはトレーニングを兼ねた武者修行の旅っぽい何かって全然具体的じゃないけど大体そんな感じで。
「めんどい」
「いいから早く行くわよ」
 ジゼル仔猫は問答無用でエヴァカピバラの背中に飛び乗った。
「だーるーいー、うごきたくないー」
 駄駄を捏ねるその横っ面に、容赦のない猫パンチが飛ぶ!

 こうして、種族も年齢も違えど親子のような二頭の長い旅が始まったのだった。

「……で、なんであんたが一緒なんだよ饅頭」
「そいつはこっちの台詞だぜ、あたしの行くとこに付いて来んじゃねーよアンコ」
 実はカナンウォンバットもジゼル仔猫がお気に入りで、ジゼルがエヴァカピバラばかり気にかけるのが面白くないとか、自分も構ってほしいとか、そんなことは思ってるけど口には出さないカナンの乙女心。
「ふ、ストーカーか」
「んだとゴルァ!」
 そして始まる取っ組み合い、丸いものが二匹でじゃれ合うさまは、可愛いのか見苦しいのか。
「見苦しい」
 緊急避難したジゼルが紫の瞳をすぅっと細めた。
「その元気があるなら走れ! 走りなさい!」
 その一喝に、二頭はぴたりと動きを止める。
「ここからあの森の入口まで、どちらが先に辿り着けるか競争です。勝った方には今日一日、私の乗り物となる名誉を与えましょう」
 さすが仔猫、自分の利用価値を完璧に理解している。
 そう、可愛い子猫を背中に乗せることは全ての生き物の憧れ、ステイタス。
 計算通り、二頭は猛然と駆け出した……いや、転がり出した。
 だって転がる方が速いもの。

「なるほど、奴らを鍛え直す……か」
 二頭の転がり去る姿を見送り、黒い影が呟く。
 それはクロヒョウ、ルルルヴァ(la2766)の姿だった。
「あれだけ丸ければ、さぞ鍛え甲斐があることだろうな」
「ああ、ほんと丸々として食いでがありそうだ」
 その足元でトグロを巻くのはドクハキコブラのイオス=バジリスカ(la3327)だ。
「ねえ、食っちまいましょうよ」
「だめだ、あんな鈍臭いもの……ノロマを食うと自分もそうなってしまうだろう」
 高潔なクロヒョウは獲物も厳選するのだ。
 命のやりとりに相応しいバトルを経て得た勝利の味こそ、己を心身ともに強くする良き糧となる。
 上げ膳据膳は堕落の始まりだ。
 それに、今はちゃっかり自分の背に乗っている仔猫との約束でもある。
「同じ猫科として、その頼みを無下にも出来ん」
「義理堅いことだな」
 イオスコブラとしては正直知ったこっちゃないのだが、他ならぬルルルヴァヒョウの望みとあれば従うに吝かではない。
 とは言え悪役には悪役の矜持というものがあるのだ。
「食わなければいいんだよな、食わなければ」
 へっへっへ。

 そして二頭の競争の結果は。
「鼻の差であたしの勝ちだな」
「ほう、アンコに鼻があるとは知らなかったぜ」
 審判のいない勝負は、案の定どちらも勝ちを譲らない。
「よぉし、はっきり白黒つけようじゃねーか!」
 相変わらず拳で決着つける気満々のカナンウォンバット、しかしエヴァカピバラは既に気力の限界を超えていた。
「だーるーーー」
 考えてみたら、別に張り合うようなことでもなかった気がする。
 ってゆーか仔猫でも乗せると重いし怠いし、考えてみたらこれ負けたほうがラクじゃね?
 しかし、そこには目撃者がいたのだ。
「トゥルルララーこんにちはご機嫌よろしゅうー♪」
 木の梢から聞こえて来るその声は黄色の羽毛が愛らしいカナリア、リオ・ファニング(la3170)のものだ。
「ラララーあなたはなんて丸いのでしょうー♪」
 リオカナリアは最近「丸い」という言葉がお気に入りだった。
 気に入りすぎて自分で歌まで作ってしまった。
 それがこの「まんまるソング」である。
 ただし、彼女は音痴だった。すっごい音痴だった。
 でも超ポジティブで、すっごい楽しそうに歌う彼女には、誰も真実を告げることが出来なかった。
 告げられたとしても、きっと理解はしないだろう……だって超ポジティブだから。
 しかし歌の良し悪しはともかく、その内容には黙っていられないカピバラさんだった。怠惰なのに。
「丸くねえよ!」
 太いとか丸いとか、ダイエットする気は無いのに言葉だけは気になるのだった。
「ごめんなさい! 気にしていたのですね!」
 悪いところは素直に謝る、でも学習はしない。だってトリ頭ですもの。
「ルルルーごはんが美味しくてーこんなに丸々とー♪」
 再び陽気に歌い出したリオカナリアに、カピバラさんは再びのご立腹……かと思いきや。
「腹減った、餌が来い」
 電池切れた、動けない。
「せっかくのダイエットの機会や、もうちーと気合い入れて頑張りやー?」
 この声は、お星様になったンダルカハリネズミ!
「ふふん、うちは神出鬼没が身上やで? どこにでもおる愛されマスコット、それがうちや!」
 どうやって戻ったか?
「それはやね、こう体を丸めてピンボールみたいにお星様に跳ね返ってやね、いやあ丸いって便利やわ、エヴァカピバラちゃんみたく重いとよう跳ね返らんけど、うちみたいに小さくて丸——」
 ぺちん、ころんころーん。
 無言で転がされるハリネズミ、こっちも懲りないやつだった。
「ウォンバットは丸いけども、フンは四角いんや——でっ!?」
 ぺちこーん。
 そんな彼らの頭上から、聖母のごとき声が響く。
「お腹減ってますか? それではリンゴをあげましょう」
 それはお腹が空いたものには果物をあげる心優しいオオコウモリ、フルーツバットのカミラ・ディフェンバッハ(la2481)だった。
「ダイエットは明日からと言いますし、お腹が減ってはダイエットも出来ませんわ」
 カミラにとって空腹は最大の悲劇。
 しかしお腹が満たされていれば全てが丸く収まるという、ごはん万能主義。
「オレンジにキウイ、バナナもありますよ。そう、丸くなるのです……心も、体も、世の中の全てが」
 なんというやさしいせかい。
「なんだ神か、女神だな」
 しかしここは野生の王国、優しさとは無縁の厳しい掟が支配する世界なのだ、多分。
 その掟の99%はジゼル仔猫によって作られている気がしないでもないけれど。
「エヴァカピバラを甘やかしては困ります」
 ルルルヴァヒョウの背に乗って颯爽と登場したジゼル仔猫が苦言を呈する。
(クロヒョウのやつ、なんて羨ましい……!)
 カナンウォンバットは内心でハンカチを噛むが、そんなことしてる場合じゃなかった。
 クロヒョウはこの野生の王国で頂点に立つ捕食者、しかも傍に恐ろしい毒ヘビを従えているではないか!
「ちょ、これあたしらが餌になるパターンか!?」
「その通り……そろそろ飯の時間だ」
 イオスコブラがシュウシュウ音を立てながら近付いて来る。
「おお、お誂え向きに丸々と太った餌がいるじゃないか、しかも二匹も」
 じゅるり。
「美味そうだな。わりと本気だが? なあルルルヴァ、食っちまいましょうよ」
「そうだな」
 高潔なクロヒョウは、深々と頷いた。
 鈍臭いものは食わないのではなかったのか、ジゼル仔猫との約束は?
 しかしジゼルがじっと動かないことろを見ると……そこには何か裏があるらしい。
 だが狙われた二頭のまんまるに、そんな裏事情はわからない。
「黒い身体は出来損ないの証だそうだが、闇に紛れて獲物を狙う分には便利だ」
「俺の毒は3m飛んで、目に入れば見えなくなる」
 そんな豆知識を披露しつつ、二頭はじわりと獲物に迫る。
 しかし!
「だるい」
 カピバラさん、危機感ゼロどころかマイナス120%!
「フルーツ食ったら眠くなった」
「寝るな!」
 痺れを切らしたジゼル仔猫がその背に飛び移り、お尻をぺんぺん叩く。
 しかしエヴァは見透かしていた。
「どうせヤラセなんだろ?」
 怠惰だが頭は切れる、いやダラけるために全力を尽くす、それが彼女なのだ。
 だがそれで引き下がるほどルルルヴァヒョウは甘くなかった。
「言う事を聞かんと食ってしまうぞ」
 ばん!
 エヴァの丸い体すれすれに、鋭い爪の付いた前足を叩き付ける。
「いやいや、わかってるから、冗談……、冗談、だよな?」
 あれ、目が笑ってない?
 ジュッ!
 ドクハキコブラが射出した毒が、足元の草をたちまち萎れさせる。
「え、なんかヤバいこれヤバい毛皮に飛んだ! 水! 温泉!」
「ええなあ、うちもああしてエヴァカピバラちゃん乗りこなしてみたいわー」
 なんて言ってる場合じゃなかった。
 走るカピバラ、追うクロヒョウ、そして空にはカナリア。
「ルララー丸くてころころ追いかけっこ楽しそうー♪」
「楽しくねえよ!」
「楽しくないのに走らされているのですか? ああ何て可哀想!」
 ぼとり、カピバラの行く手にキャベツの葉が一枚落とされる。
「ならばせめてエネルギーの補給を忘れずに……はい、キャベツをあげましょう」
 エヴァカピバラは食べ物と見れば飛び付かずにはいられない。
 脊髄反射で拾って食べながら走る。
 一枚、また一枚と、どこかに導くように落とされるキャベツの葉、しかし特に意味はなかった。
 フルーツバットはただ、誰かに何かを食べさせるのが大好きなだけなのだ。
 周りの状況も相手の都合も目に入らず、孫に大量に食べさせ太らせてしまう祖母のような、或いは優しさの押し売りのような。
「あらあら、もうキャベツがなくなってしまいましたわ。それではさようならー」
「帰るんかい!」
 そして最後のキャベツが落とされたのは、崖っぷちのぎりぎりだった。
 カピバラは急に止まれない、キャベツの葉を咥えたまま谷底に真っ逆さま——
「え、哺乳類が飛ぶ方法ですか? それはもちろん……気合です」
 それでは今度こそさようならー。

 エヴァカピバラは気合いで飛べ……るわけがない!

 しかし!
 ばっさばっさと音がして上空から舞い降りる黒い影!
「エレト師匠!」
 それは精神論や武士道を語り出す師匠カラス、エレト・ライラ・イグノーツァ(la2700)だった。
 エレトカラスは両足でカピバラをがっしと捕まえ——
「すまん無理だ、重すぎる」
 だがそこは師匠、謎の武士道パワーで引っ張り上げる……のは無理でも、なんとかソフトランディングに成功、すごいぞ武士道!
「師匠、お願いがあります。その武士道パワーをこの怠惰なエヴァカピバラに授け、内面から生まれ変わらせてはいただけないでしょうか」
「うむ、任せておけ」
 思いっきり安請け合いしたエレトカラスは、木の枝に留まって話し始める。
「よいか、心というものは……」
「ぐぅ」
 開始3秒で寝入ったカピバラ、しかし師匠は気にしない。
「そもそも、武士道というものは……」
「寝るな! 有難いお話の最中に居眠りとは何事か!」
 ジゼル仔猫はカピバラのぷよぷよ脇腹をつねりつつ、真剣に耳を傾ける。
「ふむふむ、これはなんと含蓄に富んだ……」
「武士道には百の掟がある。まず1、武士とは心強く在るべし」
 あれ、でもそこはさっきも聞いたような……?
「6、武士とは高潔であるべし——1、武士とは心強く在るべし」
 この師匠、カラスである。
 カラスゆえに6までしか数えられず、6つめから1つめに戻るという悪癖を抱えていた。
 更に、カラスは鳥である。
 鳥ゆえに自分の話を覚えておらず、結果として無限ループの罠に陥るのが常だった。
 つまり話がとにかく長い、長い上にカラスらしく自分勝手に喋り倒し、相手が寝ていようが右から左に聞き流そうが、お構いなし。

 仲間達がこの場所を探し当てて迎えに来て、礼を言って立ち去っても、エレトカラスはマイペースに講釈を垂れ続けるのだった。

 え? カピバラさんのダイエット?
 それは……うん、ほら、丸い方が可愛いし——へぶっ!

 記録担当が転がされたため、ここから先は白紙となっていた。


●たのしいぺんぎんらいふ

(はわ、ペンギンさんになったよ!)
 水無瀬 奏(la0244)はペンギンになった自分に関して、特に違和感はなかった。
 むしろ人間体の方が夢だった気さえしてくる。
(そう、私はペンギンアイドル! 歌って踊って世界を平和にするよ!)
 くるりと一回転して片手を上げ、華麗にポーズを決めた——つもりが、ぺちぺちのたのた、その場でもそもそ動いてぴこっと羽根を広げただけの動作になったのは、ペンギンだから仕方ない。(でもリアルペンギンに出来ることなら何でも出来るよ!)
 奏ペンギン、かなぺんには飼い主がいた。
 リアル世界では幼馴染だった、吉良川 鳴(la0075)である。
 なんかそういう設定になっているらしい。
 奏の夢に引きずられた感が半端ないが、それならそれで楽しんでみようという流されスタンスで、鳴はとりあえずかなぺんを呼んでみる。
「ん、近うよれー」
 しかし、かなぺんは動かない。
「あれ、俺には懐いてるんじゃなかった、の」
 懐いてはいる。
 むしろ飼い主大好きだ。
(だっておさかなくれて、なでなでしてくれるから!)
 だがお魚もなでなでもない時は気分次第。
 つまり今は気が乗らない。
 基本フリーダムなところは飼い主に似たのだと、かなぺんは主張している模様。
 何故か自宅に設置された巨大な透明アクリル水槽で自由にすいすい泳ぎまわり、お腹が空いたら魚をねだり、がつがつ食べてよく眠る、それが正しいペンギンライフ。
「でも、働かざる者食うべからず、だよね」
 お魚代も安くない、って言うか不漁だ何だと結構お値段が張るのだ。
 そんなわけで、自分の食い扶持は自分で稼ごう。アイドルだし?
「頑張ってペンギンショー、だ」
(ペンギンショー? おさかなさんくれたらやるー)
 かなぺんはジェスチャーでやる気を示す。
 しかしやる気があるからといって、飼い主の言うことを聞くとは限らない。
「まずは、華麗な飛び込み……とか?」
 はいジャンプ台に飛び乗ってー段差10センチくらいだからねー楽に上がれ……上がりたくない?
「ほら、魚……」
(おさかなくれるならやるー)
「食べたら、ここ上がって、飛び込んで……」
(もっと! もっとちょーだい!)
「これ食べたら、やる?」
(おさかな、おさかな!)
 しかし、ペンギンはフリーダムな生き物である。
(さっきいっぱい泳いだし、もうおなかいっぱいだし。お昼寝するー)
「ちょ、まだ何も……」
 全く芸をしてくれないかなぺんに、鳴はちらりと鞭を見せた。
「言うこときかないとこれでど突き倒すよ?」
(いや! それキライ!)
 それ使ったら家出する、もっとフリーダムになる。
 そして飼い主はかなぺんのいない寂しさに枕を濡らすといい。
 かなぺんも寂しいから、きっとすぐ戻ってくるけどね。
「じゃ、ほら……なでなで」
(わぁい、なでなでしてもらったー)
 仕方なく飴と鞭から飴全振りに作戦変更すると、気を良くしたかなぺんは……
(あっ、あっちのすべり台面白そう!)
「結局、滑り台、ですか」
 しかも滑らずに歩いてるし。
「まあ、いいけど」
 一応は上手く出来たということで、ご褒美に首にミスティローズ色のリボンを結んであげよう。
「アイドルはオシャレしないと、ね」
 そして頬にキスを——
(おさかな! おさかなは!?)
「いて、いてて!」
 くちばしで突っつかれた。
 甘噛みならぬ甘つつきだけど。
「花より団子、か。」
 まあ、ペンギンですし?
(おさかなのおだんご? おいしそう!)
 微妙にズレた意思疎通が、もどかしくもあり楽しくもあり。
「はい、じゃあ最後の一匹……」
 しかし、そこに現れたもふもふの影!
 それは——


●にゃんだほーわーるど

 三四郎(la2826)は猫である。
 リアルでも猫だが、ここでもやっぱり猫だった。
「うなぉ〜ん(美味しそうなお魚なのである!」
 その声に鳴が顔を上げると、いつの間にか塀の上に貫禄のあるもふもふ猫が座っていた。
「あれ、三四郎さんはそのまま、なんだ?」
「うなっ(吾輩いつでもどこでも吾輩以外の何者でもないのである!」
 夢の中でもやっぱり言葉は通じない。
 けれどいつも通り、ニュアンスは何となくわかる。
 しかし奏には、はっきりと言葉として聞こえていた。
 だってペンギンは猫だから。
 と言うか毛並みのあるものは、犬でも猿でも雉でも全て猫だ。
 桃太郎のお供は全部猫だ。
(三四郎さんもお魚が欲しいのですか?)
(吾輩が食べるのではなく、新しく猫になった者への手土産なのである! 何事も最初が肝心であるからな!)
 そういうことならと、かなぺんは貰った魚を三四郎に差し出した。
(お刺身にも出来る鮮度のいいお魚ですよ)
(ありがたく頂戴するのである。この恩義はいつか必ず返すのである)
 美味しそうな魚をくわえ、悠々と去って行く三四郎。
 その後ろ姿を見送りながら、鳴はかなぺんの頭を撫でた。
「好物、分けてあげるなんてえらい、ね」
 フリーダムでもいい、その優しさがきっと世界を救う気がするから。

 七瀬 葵(la0069)は、七瀬の家で暮らす日本猫だ。
 黒、白、茶色がバランス良く配された三毛の毛色と、細くて長い尻尾、それに青い瞳がチャームポイント。
 夏と秋と冬は覚えているけれど、春というものはまだ知らない、そんなお年頃。
 葵は今日も、七瀬家の開け放たれた窓辺の特等席で、香箱座りで日向ぼっこを楽しんでいた。
「にゃー(……ん、猫、なら、日向ぼっこ」
 風が優しく、日差しが暖かい。
 丸めていた体が自然に伸びていく。
「にゃぅん(これが、春……」
 あったかい。きもちいい。しあわせ。
 ねこでよかった。
「……(スヤァ」
 いつの間にか眠ってしまった。
 しかし猫の眠りは浅く、ちょっとした刺激で耳がぴくりと動く。
 萌え始めたばかりの芝生の庭に数羽の小鳥が舞い降りて、何かをせっせとついばんでいる。
「にゃ、にゃーん?(……ん、ああいう小さいの、玩具に、いいかも?」
 そっと起き上がり、ぐーんと伸びをして、あくびで気合を入れて。
 狩りは上手いほうだ、いつも飼い主に遊んでもらう時は3回に1回くらい捕まえられるし、いつも「上手い」と褒めてくれるから。
 けれど実際の狩りは、少し勝手が違っていた。
 勢いよく庭に飛び降りた瞬間、小鳥達は石でも投げ込まれたように一斉に飛び立ってしまった。
「にゃうん?(なんで、だろ……」
 不思議そうに首をかしげる葵の耳に、ヒトではない誰かの声が聞こえてきた。
「なぁ〜んっ(みな、やっと猫になったのであるなっ!」
 見れば、生け垣の下から顔を出しているお魚くわえたドラネコならぬ三四郎。
 彼はこのあたりのボス猫だが、ボスと聞いて想像するような貫禄たっぷりのコワモテではない——確かに胴回りの貫禄はたっぷりむっちりだが。
「んなぁお(新入りには色々教えてやるのである、とにかくまずはお近付きのしるしであるな」
 ごそごそと生垣をくぐり抜けた三四郎は、運んで来た魚を葵の目の前に置いた。
「にゃ?(なに、これ?」
「うにゃん(新鮮なお魚である! 知り合いの猫に譲ってもらったのである」
 しかし葵は魚をじっと見ているだけで、匂いを嗅ごうともしない。
「うにゃ(これ、動かない」
「にゃう(玩具ではないのである、食べ物である」
 だが葵は生まれてこのかたカリカリとパッカンしか食べたことがなかった。
「にゃにゃ(吾輩が手本を見せるのである!」
 三四郎は器用に骨を避けて、魚の身を美味そうに食べ始める。
 それを見ていたら、葵の口の中にじわりと唾が湧いて来た。
 恐る恐る、真似して食べてみる。
「うみゃっ(美味しい……」
 どうしよう、もうカリカリには戻れないかも?
「みゃぁご(食べたら毛づくろいである。毛並みは大事であるぞ」
 毛並みを整えたら、次は狩りの練習だ!

 暁 大和(la3248)は、ふっさふさの毛を持つ大型の猫、メインクーンだ。
 小麦色のベースに黒い縞模様が入った体はしなやかで強靭、瞳の色は柔らかな茶色だが顔つきは精悍で、地域のボス猫にもなれる器と言って良いだろう。
 だがその血統書付きの血筋ゆえに、彼は生まれてから一度も家の外に出たことがなかった。
 いつも窓辺に座り、ただ往来を眺めるばかり。
 だが、彼は窓の開け方を覚えた。
 前足で引っ掛けて、横にスライドさせればいいのだ。
 鍵を外すのはまだ無理だが、飼い主が鍵をかけ忘れた時——そう、今が脱走のチャンスだ。
 飼い主は気付いていない。
 パールホワイトのジャンガリアンハムスター、更級 翼(la0667)を檻から出して遊ばせようとしている。
 なおふたりはネコとネズミだが、それほどサイズに差がない頃からの仲良しだ。
(え? これはどういうことですか!?)
 生真面目な翼は夢の中でも生真面目で、まずは自分の境遇に驚いた。
 次いで大和が猫になっていることに驚いた。
(夢……ですよね……?)
 そうだ、そうに違いない。
 夢ならいつか覚めるはず、ならばそれまで楽しもう。
 檻から出された翼は、周囲の状況を瞬時に理解した。
(大和さんが脱走しようとしている!?)
 これは……乗っからねば!
 便乗と物理、両方の意味で!
 翼は跳んだ、大和の頭をめがけてムササビのように。
(なんだ、おまえも来るのか?)
 返事の代わりに、翼は大和の頭にしっかりとしがみつく。
(おまえ、俺以上に自由のない暮らしだからな)
 外の世界に憧れる、その気持ちはわかる。
(しっかりつかまってろよ)
 そう言って、大和は飼い主の手を間一髪ですり抜け、跳躍。
 塀に飛び乗り、身軽に駆け抜けて行く。
(おぉ、これが外の世界ですか……)
 初めての経験に、翼は大和以上に興味津々な様子であたりをきょろきょろ。
 自力で移動しなくていいからラクチンだし、ゆったり景色を楽しむことが出来る……が、速い。
 まるでリニアモーターカーに乗っている気分だ。
 しかし、快適な旅行は長くは続かなかった。
 猛スピードで走り抜ける車にふたりで仲良くビビり、子供に追いかけられては木に駆け登り、子供が諦めたかと思えば今度は下で犬が吠えまくる。
(外は危険なところなのだな……)
 枝から屋根に飛び移ってみれば、先客の野良猫にガンを飛ばされ——
「シャー!(やんのかオラァ!」
 大和は喧嘩は素人だが体はデカい、体じゅうの毛と尻尾を膨らませれば相手の三倍くらいに見える。
 その迫力に相手が怯んだ隙に先制の猫パンチ!
 しかし相手もその程度では引き下がらず、低い姿勢から飛びかかって噛みつき攻撃!
 大和はそれを猫キックで蹴り飛ばし、百倍返しで噛みつき返す!
(こ、怖い……振り落とされる……!)
 二匹が団子になって取っ組み合う中、頭上の翼は必死にしがみついていた。
 しかし。
「にゃおぉん!(一昨日きやがれ!」
 初喧嘩、初勝利。
 満足そうに毛繕いを始めた大和は、ふと違和感を覚えた。
 頭が微妙に軽くなっている気が……
(おい、翼?)
 返事がない。
 頭を振っても叩いても、落ちて来ない。
(翼、どこだ!?)
 見える範囲のどこにも、その姿はなかった。

 ぎっちょん、ぎっちょん。
 モーター音を立てて、ロボ犬が歩く。
 それはペットロボット「WANBO」となった機甲支援外装サンフィッシャー(la2842)の姿だった。
 体長は1m程度と、WANBOにしては少し大きめなサンフィッシャーは、ケモノ社会の困りごとを解決するロボ犬のおまわりさんだ。
「ばうっ(自分はケモノを守る機械だ。諸君を守ろう」
 ケモノ同士の喧嘩の仲裁から人間による虐待への制裁、迷子の案内まで、その業務内容は多岐にわたる。
 人の行動や言動からケモノに危険が及ぶと判断した場合は、胴体に仕込んだテーザー銃で無力化という実力行使にも出るが、時には人の子供と遊んでやることもある。
「ばうわうっ(人の子供はケモノよりも未発達で脆弱なものだ。庇護の対象たり得る」
 前足を揃えた間と後ろ脚にそれぞれタイヤが付いた自動三輪車に変形し、背中に子供を乗せて最大時速5㎞の安全運転で走ることもあった。
 そして、落し物の持ち主を探すことも。
「わう?(む、道の真ん中に何かが落ちている」
 近付いて見れば、それは目を回したジャンガリアンハムスターだった。
 目を覚ませば事情も聞けるのだろうが、今は「落し物」として僅かな手がかりから落とし主を探すしかない。
 よく見ると、ハムスターは両手に細くて柔らかい毛の束をしっかりと握りしめていた。
「ばうっ(これは猫の毛!」
 猫絡みの問題なら、あのひとに訊けばいい。
 さて、今日はどの辺りをパトロールしているのか——

「ねんがんの ひとがたぼでぃを てにいれたっすーーー!」
 白玉 纏(la0406)は身長160cm強、出るところはそれなりに出て、引っ込むところはきゅっと締まったボディラインが健康的で活発な印象を与える、人間の女の子になっていた。
 そう、これが、これこそが、纏が本来手に入れるはずだったもの。
「わかってるっすよ、これは夢っす。でも夢だからこそ、夢であるからこそ! 思いっきり楽しむっすよ!」
 今、纏の目線は普段の倍の高さにある。
 そこから見える世界は広かった。
 いや、高さだけで言えば、友の肩の上や頭の上から見える風景とさほど変わらない。
 しかし。
「ふおぉ、なんかみんなちっさいっす!」
 家の生垣もポストも電柱も、お散歩中の犬や猫も、全てがスケールダウンしていた。
「ぷち巨人な気分っすね!」
 ところで、この世界に知り合いはいないのだろうか。
「ちょっとぶらぶら歩いてみるっす!」
 犬も歩けば棒に当たる、纏が歩くと……さて、何に当たるのだろう。

 日暮 さくら(la2809)は猫になっていた。
 しかも不知火 仙火(la2785)の飼い猫という些か不本意な立場で、おまけに獣人。
 いや、獣人と言うには一部のケモナーからクレームが来そうな、普段の自分に猫耳と尻尾が着いただけの姿で。
(本来なら私の方が飼い主として、あの腑抜けを鍛え直すべきでしょう)
 なのにどうしてこうなった。
 そしてこの着物は。
 夕暮れ色に流れるような桜の花びらが舞うそのデザインには合格点を付けても良いが、自分で着た覚えはない。
(まさか着せられていませんよね……!?)
 そんな疑心に満ちた目でじっと見返すさくら猫に、仙火は首を傾げていた。
「どうした? なんか様子がおかしい……つーか機嫌悪そうだな」
 何か猫の機嫌を損ねるようなことをしただろうかと、仙火は思い返してみる。
 子供の頃に屋敷に迷い込んだ三毛猫を飼っていたから、飼う心得はあるつもりだ。
 と言うか、その猫は今も実家で元気にしているはずだと思うと、ちょっと帰りたくなってくる。
 いや、それは置いといて。
「ちょっと詳しそうな奴に訊いてみるか」
 仙火はラックに連絡を取ろうと、スマホを取り出した。
 ラックは携帯もスマホも持っていないと聞いているし、そもそも仙火は連絡先を知らない。
 だがこれは夢だ。
 そう、仙火はこれが夢だとわかっているのだ。
 画面を見ると、そこに見慣れない肉球アイコンが現れていた。
「これだな」
 躊躇なくタップすると——
『みゃーん』
 可愛らしい声と共に、画面いっぱいに映し出される猫裏。
 猫裏とは、お腹の側から見た猫のことだ。
 押し付けられたピンクの肉球、ふんふん鳴らしながら近づくやはりピンクの鼻。
 どうやら下に置かれたスマホを猫が覗き込んでいるようだが、その猫の柄は全体的に赤っぽく、頭のてっぺんに緑色のメッシュが入っている。
「その配色……まさかラックか? 本物の猫になっちまったのか!?」
『みゃうん』
 しかも子猫だ、さすが夢。
「あー、無理を承知で訊くが……猫に反抗期ってあったか?」
『みゃ?』
 そうだね、わかんないよね、子猫だもんね。
 と、そこに大きなキジ三毛の姿が映った。
『にゃぉん(何やら込み入った話のようであるな、今からそちらに行くのである』
 キジ三毛の言っていることは、なんとなくわかった。
「え? こっち来るって……?」

 来た。
 大きなキジ三毛と、キジ三毛にくわえて運ばれて来た赤毛の子猫、それに子猫の面影を残す若い三毛猫の三匹が、広い庭をとことこと横切って。
「にゃぁぅ(尻尾も大事である! ぴんと立てて元気に挨拶するである!」
「ああ、えーと……ようこそ?」
「にゃおん!(うむ、立派な日本家屋であるな! 広い縁側に畳の座敷、庭も広くて登りやすい木が多い、猫の住処として申し分ないのである!」
 三四郎と名乗った(と思われる)キジ三毛は、後ろに控えた若い猫を葵と紹介した(気がする)。
 咥えて運んで来た子猫は、いつのまにか現れて、何故かそこに落ちていた誰かのスマホをぺちぺち弄っていたそうだ。さすが夢。
 三四郎の顎から解放された子猫が、縁側で寛ぐさくら猫のもとに一目散に駆け寄って行く……が、縁側は高くて登れない!
(あ、子猫にはちょっと高すぎますよね……)
 着物の裾をよじ登られる前に、さくら猫がひょいと抱き上げて膝に乗せる。
(ええと、ラック……ですよね?)
(うん!)
 ああ良かった、猫同士なら話が通じる。
 飼い主には鳴き声にしか聞こえないようだけれど。
(聞いてくださいラック、この男が私を猫扱いするのです)
(さくりゃ、ねこだよね?)
(いいえ、私は猫ではありません! 耳と尻尾は生えていますが!)
 なお、その尻尾は着物の後ろに入った特製のスリットから外に出ています。
(苺が好きです。魚も好きで……、……っ!? 思考が猫寄りに!)
(いちご? いちごって、なに?)
(苺というのは……気が利く飼い主であれば、こちらの要望を察して出してくれるのですが)
 気が利かない認定された仙火は察しも悪いらしく、まださくら猫の機嫌が悪いものと思い込んでいた。
「獣人と猫の違い……そうだ、着物の柄が気に入らねえとか?」
 ラックのアドバイスには期待出来ないと、自分で色々と模索してみる仙火。
 和箪笥から引っ張り出された色とりどりの着物で、縁側がカラフルな布の海になる。
 猫達がそれを喜ばないはずがなかった。
「みゃ!」
 ラックが布にダイヴすると、葵もなんだか楽しそうだとそれに続く。
 二匹はめくれた布の下に潜り込んだり、丸まった布を抱え込んで猫キックしてみたり、とにかくやたらと走り回ってみたり。
「うなん(若い者は元気であるな。良いことである」
 三四郎はごろーんと横になって、二匹が遊ぶ様子を眺めている。
「ああ、毛が付く、糸がほつれる! さくら、こいつらと遊んでやってくれ!」
 転げ回る二匹をさくらに押し付け、仙火は慌て着物を片付けたが、多分もう手遅れな気がする。

 と、そこに来客があった。
「こんにちは、お邪魔するっすー!」
「本日の猫集会はここだと聞いた」
 纏とロボ犬おまわりさんのサンフィッシャーだ。
「おまわりさんに、ここに来ればもふもふし放題って聞いたっす!」
「自分は落し物の調査に」
 サンフィッシャーが落し物のジャンガリアンハムスターを縁側にそっと置くと、それはもぞもぞと動き出した。
(はっ! ここは……大和さんはどこに!?)
 覚醒した翼は慌てて自分が置かれた状況を確認する。
 見回せば周りは見覚えのない顔ばかり。
 そして思い出した、普通の猫にとってハムスターは格好の玩具であることを。
(た、たすけてぇぇ!)
 しかし、葵の肉球がその体をしっかりと押さえ付ける!
(食べられる!)
(食べない、遊ぶ。……ほら、動け)
 前足をそっと離して解放すると、翼は一目散に逃げようとする——が、そこをまたぺちんと押さえてコロンと転がされ、追いかけられてはまた捕まえられて。
(楽しい)
(こっちは全然楽しくありませんから!)
 助けて大和さーん!
 その声が聞こえたのか、庭に飛び込んで来た大きな影。
(翼、無事か!)
(大和さん!)
 感動の再会もそこそこに、大和は葵に向き直った。
(どこのどいつか知らねえが千倍返しだ!)
(え、なに。……このひと、なんで、怒ってる?)
 今ひとつ状況が飲み込めていない葵に、大和は問答無用で猫パンチ——
 しかし!
(そこまで、なのである)
 そっ。
 大きな肉球が、両者の額にそっと乗せられる。
(若い者が失礼をしたであるな。しかしここは、この吾輩に免じて許してやってほしいのでる)
 それを聞いて、大和は自分にしがみついてきた翼に尋ねた。
(おまえ、怪我はないのか)
(怖かったけど、大丈夫です……大和さんこそ怪我は?)
(ない。……吹っ飛ばして、悪かったな)
(でも、こうして探しに来てくれたたんですから)
 お互い無事に会えたのだから、それだけでもう全部チャラだ。
(……あれは、玩具ではない。覚えた)
 葵もひとつ学習して、一件落着。
 そこで、さっきからうずうずわきわきしていた纏が爆発した。
「さぁ、普段もっふもっふされる分今回はあたしがしてやるっす!」
 まずは普段からお世話になっているケモ仲間、まるまるもふもふの三四郎から。
「三四郎さん流石ボスの貫禄っす、敬意を込めて触らせていただ……ふおぉぉ!?」
 何だ、この異次元のモフみ。
「普段と感覚信号が違う気がして……なんか、すっごいっす! もっふもっふ、ふっかふかっすぅ!!」
 これが人間の体……そしてこれが、真のもふもふ!
 このお肉ぎっしりのずっしりとした重さもまた良し、ちょっとやそっとでは潰れそうもない安心感もまた癒しみ深き。
「抱き枕に良さそうっす、添い寝してほしいっす!」
 ぎゅうぎゅう抱きしめてみる。
「ああ、この抗いがたきもふもふの誘惑、人間がトリコになるのも無理ないっす!」
 もふもふとはこんなに尊いものだったのか。
「三四郎さん、お礼にあたしの肩に乗っかって良いっすよ!」
「うなぉ(では遠慮なく乗せてもらうのである!」
 ずしり。
「うっ!? け、結構重いっすね!」
 現実の纏と三四郎の重さは大体同じくらい、ということは、いつも快く乗っけてくれる皆にもこんな負担を強いていたのか。
「いや、でもこのモフみ……そして首筋に感じる腹毛の暖かさ……これは肩こりと引き換えにして余りあるっす!」
 うん、これは乗せる方のメリットも大きい、寧ろ乗せる方が嬉しい。
 よって今後も遠慮なく乗っかって問題ないと見た。
「次は葵さんをモフらせてもらうっす!」
 おぉ、これはまた若い猫特有のしなやかでツヤツヤすべすべの毛並みが心地良い!
 そして子猫のラックはぽよぽよほにゃほにゃで、ちょっと力を入れると潰してしまいそうな危うさがスリリング、だけどこの柔らかさがたまらない!
「はわぁ〜……」
 決めた、もうとっくに決めてるけど決意を新たにした。
「あたしは絶対に、人型ボディを手にいれてみせるっす! このモフみを堪能するために!」
 なんか微妙に方向がズレたけど、辿り着くところは同じだから問題ないネ!

 纏がもふもふを味わい尽くした頃、仙火が料理の皿を手に現れた。
「そろそろ腹へっただろ、皆でメシにしようぜ」
 はい、特製オムライスどーん!
「なんか色々客が増えたけど、遠慮なく食ってくれ。あ、キャットフードとかの方がいいのか?」
「うなぅ!(吾輩はオムライスで問題ないのである! 遠慮なくいただくのである!」
「そう思ってタマネギ抜きで作ってきたぜ」
 猫にネギ類は厳禁だからな!
「そっちのわんこはオイルか何かか?」
「ばうっ(いえ、自分はコンセントを少々拝借できればと」
 サンフィッシャーは座敷に上がり、コンセントの前でお座りした。
「へえ、尻尾をコンセントに差して充電すんのか」
 仙火が皆の世話を焼く様子を見ながら、さくら猫はオムライスを一口。
(タマネギのないオムライスなんて……え、美味しい)
 美味しくなかったら文句を言ってやろうと思っていたのに、気が付けばあっという間に一皿ぺろりと平らげてしまった。
「一緒に食べられるようにレシピを工夫してみたんだ。ケチャップにもタマネギ入ってるからな、トマトピューレで作ったんだぜ?」
 他にも塩分と香辛料を控えたり、冷めても美味しいようになど、色々と猫仕様に。
(この男、本当に料理が上手ですね(ぎりぃ)
 悔しいが、認めざるを得まい。
「そら、デザートの苺だ」
(これはご機嫌取りのつもりでしょうか……仕方ありません、ここは素直に取られてあげましょう)
 だから、もっとちょーだい。
「そんなに食べたら体に悪いだろ」
(確かに、苺は猫の食べ物ではありませんが)
 ぺたりと耳を寝かせたさくら猫の頭を、仙火が撫でる。
「お前は俺の猫なんだから、少しは甘えてこいよ」
(甘える……ですか)
 甘え方がわからない、というわけではない。
 けれど、慣れていないから最初のきっかけがどうにも掴めなくて。
 問答無用で図々しく膝に乗って来た、この赤い子猫のようにすれば良いのだろうか。
 気が付けば、お腹が膨れた猫たちは縁側で日向ぼっこしながら寝息を立てていた。
 三四郎は纏の腕枕で、翼は丸まった大和の毛に埋もれて、葵はどーんと纏の胸に乗っかって。
 皆の体に毛布をかけてやり、サンフィッシャーもまた傍らで眠りにつく。
「よし、俺達も寝るか」
 気が付けば辺りはすっかり日が暮れて、ベッドの上で仙火が呼んでいる。
「ほら、ここ」
 ベッドの脇を一人分あけて、ここに来いとぽんぽん叩いて——
(え?)
 ああ、いや、自分は今、猫だった。
 耳と尻尾が生えただけで全身ほぼ人間だが、猫として扱われている。
 ならば妙な下心はないのだろうし、従うのも当然、なのだろうか。
(……どうせ夢ですし……)
 どうやらさくらにも、これが夢である自覚があったらしい。
 さくらは膝の子猫をボスに預け、恐る恐る仙火の隣に潜り込むと、背中を向けて丸くなった。
「猫と寝ると温かいんだよなー」
「逆です。私が貴方を湯たんぽにします」
「あ、そう……って、おまえ喋れたのか!?」
「……誰が喋れないと言いました」
 そう言い放ち、背中を向けたまま寝息を立て始める。
「……やれやれ……」
 寝たふりなのは、気配でわかる。
(こいつは責任感が強いし姉気質だし、こうでもしないと甘えられないだろうからな)
 これでも充分に甘えているとは言い難いが、まあこの程度で良しとしよう。
(……甘やかされている気がしますね)
 さくらはさくらでそんなことを思いつつ、しかし背中の暖かさに誘われて、瞼がだんだん重くなり——


●むいむい、目覚める

 遂にその時が来た。
 巨大な白い繭にヒビが入り、中で蠢く何かが見える。
 その体は野菜を食べて大きくなった。
 その心は繭への攻撃を受けて、人類への憎悪を肥大させた。
 このままでは最強最悪の生物兵器が生まれてしまう!
 闇雲に攻撃を仕掛けた人類の自業自得という説もあるが、そこはそれ。
 とりあえず人類を救うため、誰か立ち上がってくれ!

 その時、三四郎の耳がピクリと動いた。
 助けを求める声が彼を呼ぶ!
「にゃおぉん(皆の者、出撃である!」
 かなぺんは三四郎に大事なお魚をくれた。
 そのかなぺんは、飼い主である人間が大好きだ。
 仙火という人間にも一宿一飯の恩がある。
 ならば、その恩を今ここで返そう、人類を守るという壮大なスケールで!

 巨大な繭のもとに、世界中から猫が集まって来る。
 初喧嘩の勝利に気を良くした大和も、頭に翼を乗せて意気揚々と乗り込んで来る。
「こいつがあたいが探し求めていたライバルね!」
 オオカミも猫だ、生きとし生けるもの全て猫だ、地球は猫の惑星だ。
 だが、ここでの勝負は猫パンチでも猫キックでもない。

 ゴロ……ゴロゴロ……

 三四郎が喉を鳴らし始める。
 続いて周りの猫達も、ハムスターも、ヒツジもロボ犬も、やれば出来る、だって猫だもの!
 猫が喉を鳴らすゴロゴロ音は、全ての傷付いたものを癒す。
 体の傷も、心の傷も、溜め込んだ憎悪も、お肉も、何もかも綺麗に消してくれるのだ。

 ゴロゴロゴロゴロ……
 巨大な繭が、次第に小さくなっていく。

 ゴロゴロゴロゴロ……
 小さく縮んだ繭が二つに割れて、現れたのは体長80cmほどの真っ白な——

「むいむい」

 むいむいは、こうして生まれた。


●エピローグ?

「——っ!」
 手の甲で支えた首が、かくりと落ちかけて、Noli me Tangerは目を覚ました。
 軽く首を振りながら、片手で瞼の上を軽く押さえる。
 時計を見れば、寝落ちてからさほどの時間は経っていないようだ。
 何か遙か高みから動物が動く夢を見ていた気もするが、ほとんど覚えていない。
 喉の渇きを覚えてワインの瓶に手を伸ばすが、その軽さに肩を竦める。
 代わりに胸元から煙草を取り出した。
 咥えた煙草に火を点け深く吸うと、彼はゆっくりと細く長い紫煙をふぅーっと燻らせるのであった。


●という夢を見たんだ

「リアルな夢でした……」
 夢から覚めた翼は自分の体が人間に戻っていることを確かめると、大和も同じ夢を見ていたのだろうかと、その部屋を訪ねてみた。
「ああ、そうらしいな」
 目覚めたばかりの大和もまた、手足や耳を確かめながら答える。
「ケモノになるのも悪くない、なにしろ喧嘩にも勝ったしな」
「そうですか。大和さんが楽しかったなら、それが何よりです」
 自分はその喧嘩のせいで外の世界をほとんど楽しめなかったのだが——まあ、それはそれ。
 もし次があれば、今度はのんびりと楽しんでみたい。
 そんなことを思いながら、翼はヒトの目線で朝の街を眺めるのだった。

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