オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】奈落からの亡命者

連動 【堕天】奈落からの亡命者 ガンマ

形態
ショート
難易度
普通
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 バトル 救出  
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2019/04/07 20:00
完成予定
2019/04/24 20:00
機体使用
関連シナリオ
-

●四月のスクランブル
 良く晴れた日のことだ。
 ロシア近海に、謎の巨大人型兵器が出現。
 それはアサルトコアに類似していて――複数のナイトメアに、追われていた。

「――緊急出動だ! アサルトコア部隊を要請する!」

 SALF北方部隊長、ハシモフ・ロンヌスの低い声が通信機越しに轟いた。
「北方インソムニア『ネザー』から脱出したと思しきライセンサーが、アサルトコアに類似した兵器に搭乗し、複数のナイトメアより逃走している。
 ……詳細は一切不明! 現在調査中! それを解明する為にも、件の巨大兵器の回収およびパイロットの救出、及び追跡ナイトメアの掃討が必須である!」

 ――インソムニア『ネザー』とは何か。
 ロシアに位置する、謎めいたナイトメア要塞だ。
 数か月前に極秘にSALFより潜入調査部隊が派遣され、そして誰も帰らなかった。
 ……と思われたが。
 初めての生還者が現れた。それこそが、かの巨大兵器に搭乗しているライセンサーであるという。
 彼女の名はソラリス。女性型のヴァルキュリアだ。

「ソラリスとのコンタクト、繋がりました! 通信開始――」
 作戦の為の資料が次々と送られる中、オペレーターが声を張る。件の巨大兵器内部にいると思しき、ソラリスとの通信がなんとか行えるようになったようだ。
 緊張の指先がボリュームを上げる、と。

『――痛い』

 ノイズだらけの中、聞こえたのは震えた声で――

『いたい 痛い 痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!! 助けてッ 助けて誰か助けて! 痛い! 痛い!! もうやめてゆるして怖い痛いやめて壊さないでこわれるたすけて痛いだれかたすけて―― 』

 ぶつ、と通信が途絶え。
 オペレータールームが静まえり返る。
 まるで拷問の只中のような、錯乱した乙女の絶叫。

「なに、これ……」
 オペレーターは顔を青くし、辛うじて呟いた。
 あの兵器の中で……一体、何が起きている?

「状況は理解したなッ!!」

 静寂を破ったのは、ハシモフの大声だった。
「今は未だ、何も分かっていない。であるからこそ! 掴み取りに行くのだ! 諸君、頼んだぞ!」


●青い海と青い空
「アサルトコア、発進準備始め! ハッチ解放! 接続アーム展開!」
「イマジナリードライブ出力開始――イマジナリーシールド展開確認――完了!」
「接続アーム内部圧力上昇……80……90……出力グリーンゾーン! ポイント45、58、21確認……了解」
「接続アーム、接続確認! カタパルト接続確認、準備完了!」
「アサルトコア、発進どうぞ!!」
 出撃準備が整ったことを伝えるアナウンスが、君達の耳に届く。
 一機、また一機と、SALF所有空母のカタパルトによって鋼の人形が射出され、ブースターを噴かせて大空を舞う――。

 空と海、二つの青に挟まれて。
 まもなく君達の目に『目標』が映る。

 それは同時に、『目標』からも君達が見えているということで。

「う……あぁ、……」
 混濁した意識。倒錯した思考。
 ソラリスは、悪夢の只中、見えたモノに手を伸ばす――……。

●目標
 ソラリスの救助、及び謎の巨大人型兵器の回収
 ナイトメアの撃退

●登場
ナイトメア『テンペスト』*6
 戦闘機のような外見。
 三体ずつの二チームで戦闘行動を行う。
 機動力に非常に優れる。
 白兵戦闘手段は持たない。物理・知覚射撃攻撃を行う。
 使い分けはまちまちだが、相手の防御の弱い方を学習して行使する傾向にある。
・ドッグファイト
 アクティブスキル。命中判定の際、対象の回避を大きくマイナスした状態で対決を行う。
・フルファイア
 アクティブスキル。対象の防御値を大きくカットした状態でダメージを算出する。
 このスキルを使用したナイトメアは、次のターン通常攻撃とスキル攻撃を行えない。
・リフレッシュ
 パッシブスキル。不利な状態異常やバッドステータスが付与された際、生命力を1d6点消費することで、直ちにそれを解除する。

謎の巨大人型兵器
 アサルトコアに類似。ナイトメアでない。
 戦闘行動は行わない。ふらふらと飛行するのみ。

ソラリス
 女性型ヴァルキュリア。
 上記の謎機体に搭乗しているようだ。
 錯乱状態、意志疎通不可能。
 機体から脱出させればあるいは……。(ただし能動的脱出不可能)

●状況
 ロシア近海、日中、快晴。
 PC部隊とソラリス及び敵部隊が相対したところからリプレイ開始。
 PC以外の人間が戦域に紛れ込むことはない。

 このシナリオでは、常にプレーンブースター使用状態(飛行状態)として扱う。
 全員にブースター用外付けバッテリーが支給されている。
 ブースターの使用回数が0になった時、メイン行動フェーズを全て消費することで、ブースターの使用回数制限を3に戻す。この効果は1シナリオ1回のみ。

 こんにちはガンマです。
 波乱の予感。特設ページもあわせてどうぞ。
 よろしくお願い申し上げます。

【心情】
「私もやるときだってやるんだ!」
「ソラリスさん、絶対に助けてあげるから!」
【目的】
ソラリスの救助及びナイトメアの撃破
【準備】
通信機はつねにつけ、他の参加者たちと常時連絡を取れるようにする。
【行動】
救出班としてソラリスの救助を担当する
迎撃班と別行動をし他の救出班と共にソラリスの救出を試みる
プレーンブースターによる飛行ですばやく巨大人型兵器の所まで距離を詰めたり空母までの誘導に使ったりする
ブースターのバッテリーが切れたら予備のバッテリーを使い使用回数を回復
その際謎の巨大人型兵器は破棄レベルにならないようにかつ乗っているソラリスが危険な状態になる可能性があるため、その兵器に対しては攻撃はしない
巨大人型兵器に関しては救助の成功率を高めるため足場を確保するように空母の床にに下ろし救助活動をする
ソラリスを救出するまでは例えナイトメアや巨大人型兵器に妨害されても救出に執念する
ダメージを受けると判断した場合は思念式展開装甲を使い自身の防御力を高めカバーリング
救助に成功したらソラリス及び巨大人型兵器をSALF所有空母までつれていく
もしまだ迎撃班がナイトメアと戦闘していた場合はG37アサルトライフルで遠距離から援護射撃で応戦する
戦い終わったら参加者に花音がソラリスや参加者にヒールを使い回復させる

  • メシのメシア
    モーリーla0149
    放浪者18才|セイント×ネメシスフォース

■心情
戦場で背中を預け合える仲間
窮地に陥っても、きっと味方の援護があるはず
そんな仲間たちとの信頼関係があるから、ボク達は戦場で戦えるんだ
だから、仲間の窮地には全力で助ける
ノコノコ族戦士の誇りに賭けてね!

■目的
敵の追撃を阻止し、ソラリス救出班の行動を援護する

■行動
味方機とは通信機で連絡を取り合うよ
ボクは【迎撃B班】
ナイトメアの三体ずつ一編隊のうち、片側を抑えるよ
「こちらモーリー。敵を目視で確認!これより攻撃を開始するよっ!」
「さぁ、ノコノコZ-RR、ボクに力を貸して!ノコノコ☆イマージン☆コンバット☆モード起動だよ!」
。(想像力の強さがライセンサーの強さ。ならば、盛り上げ上手で気分を高揚させるのがN☆I☆C☆Mだよ!いま考えたよ)

飛行状態が解除されたらプレーンブースターを再使用して再飛行
「ココで落ちるわけにはいかないよっ!」

●戦闘
敵ナイトメアに肉薄→スキル【ファングブースト】を使用してリーネアで斬撃!
「敵は白兵戦はやってこないみたい?なら、懐に飛び込んじゃえば!」
「くらえ!ノコノコ☆スラーッシュ!!」

救出班とソラリス機にナイトメアを近寄らせない事が最重要!
敵を落とせないにしても、まとわりついて救出班とソラリス機を追わせないよ!
シールドが持つ限りは、体当たりしてでも止めてみせる!

メインフェーズを消費で使用回数を回復

  • スポークスマン
    鈴鴨la0379
    ヴァルキュリア15才|ネメシスフォース×スナイパー

【心情】
「切迫した状況と判断しました。要救助者の離脱を優先。支援します」
【目的】
ソラリスの救助、謎の巨大人型兵器の回収、ナイトメアの撃退
【準備】
各参加者との通信を確認
【行動】
全体方針はエレーナ(la1815)のプレイングに準拠、自身は迎撃A班として行動
序盤は謎の巨大人型兵器及びソラリスの確保、離脱を優先

アサルトライフルでの射撃支援が主行動
最初の弾切れはサブとの持ち替えで対応、以後は持ち替えごとにリロード
ソラリスを狙い防衛線を抜けた敵は最優先で対応
抜けたその背を狙ってファングブーストで命中を底上げした射撃を叩き込む
移動力は射程でカバー、不必要なブーストは控え回避時や追撃時に集中使用
機動型ACの味方の戦闘空域が射程内に入るように位置取り味方の背後を取った敵を優先攻撃
敵の狙いが同班の味方に向いていると判断出来る場合はスキル使用の上攻撃、敵の数を減らすこと優先

敵との高度差に注意し見失わないことを意識し現在の標的、敵位置情報を味方と共有しあう
自班担当分が撃退完了後は他班の救援に回る

B班として動く
全体方針に従う

「数か月前に潜入して、今、脱出か……。
捕らえられ、隙を見て敵機を使って逃走できたのか?
それともずっと見つからずに潜み続けて、敵機を奪う機会に恵まれて脱出したのか?
他のメンバーは生きているのか、死んでいるのか?
聞き出したい情報は山ほどあるが、あのお嬢ちゃんは、正気を取り戻せるのか?」

敵は3機ずつ動いていて、迎撃するこちらは4機ずつ動いているため、各個撃破で1機ずつ確実に減らしていく方向で動く
飛行位置の調整が難しいようなので、突っ込み過ぎないようにして、バルカンの射程を利用して調整する

テンペストは、戦闘機の中にナイトメアが乗っているのではなく、戦闘機自体がナイトメア?

通常の戦闘機なら、機体中央の前部、操縦席のある部分を狙うものだが……
飛行している翼部分を狙うか
見る/聞く/考える/通信/受信等を司る箇所があるなら、そこを狙っていこう

  • スターゲイザー
    エドウィナla0837
    放浪者12才|ネメシスフォース×セイント

「やはり空は良いな……早く、ずっと飛べるようにならないだろうか」

テンペストの目的を探る
特に、こちらと遭遇した時の反応を観察
「猟犬か番犬か、或いは牧羊犬か。」
目標をこちらに切り替えるタイミングなどから、行動の優先度などを推測する

「ええい、悠然と飛びよって……羨ましいな!こっちにもああいう機体来ないかなぁ!」
敵の出鼻を挫いたり味方の隙をカバーしたりと、周囲に合わせながら妨害をメインに動く
「今回は殲滅ではなく撃退、更に言うなら防衛だ。そこのところ忘れるなよ」
ダイブモードは致命的な攻撃への回避・妨害や、手負いの敵へのトドメに使用
但し緊急離脱時用に1回は残す

外付けバッテリーは2つ目のブースターが残り1回になった時点で使用し、ギリギリに使う味方のフォローに回る

救助班に応援や対応が必要で、B班に1人抜ける余裕があると判断できる場合、
一旦B班を抜け救助班のカバーへ
「了解した。……すまない、しばらくこっちは頼む」

撤収が必要な場合、機動力を活かして殿を担当
牽制を入れつつ離脱を図るが、どうしても無理そうなら最悪自分は見捨てさせる
「言ってる場合か!時間の無駄だ失せろ!」
母艦の撤収が済んだなら離脱を試みつつ、途中で見切りをつけて機体ごと海に突っ込み海中で脱出
あとは文字通り流れに身を任す
「ああクソ、やるしかないのか!海も嫌いじゃないけどさぁ!」

【心情】
 「……不明機体に生存者……無事だとよいのですが」
【目的】
ソラリス様の救出
【行動】
下記にある【全体方針】と編成内容に従う。
テンペストへは基本ソラリス様に近づかせないよう弾丸ばらまいて牽制
隙あれば推進器を狙うように剣で攻撃
ソラリス様を狙う相手優先、場合によりスキル使用して庇う
帰還後、ソラリス様にヒール・医療で手当を手伝う

【全体方針】
全員通信機の設定を行い、それぞれの班に完全に囚われず連絡し合い協力できるところは協力する。
①:迎撃AB班はテンペストが救出活動の邪魔をしない様に迎撃。
 ⇒テンペストの2編隊にそれぞれ迎撃A班・迎撃B班で当たる。
②:救出班が救出対象に取り付き救出活動を行う。
③-A:無事に救出できれば、状況をみて救出班はそのまま離脱か迎撃班に加勢か判断し、行動する。
③-B:救出がうまくいかない場合、謎機体を2機で担いで戦線を離脱する。
 ⇒迎撃AB班は③の後、戦況をみて迎撃続行か戦線離脱かを判断し、行動する。

【迎撃A班】
・ストークス la2165
・ポチ la2813
・鈴鴨 la0379
・エレーナ la1815
【迎撃B班】
・クリカラ la2920
・モーリー la0149
・エドウィナ la0837
・ケネス la0430
【救出班】
・神埼 la0020
・九十七 la3323

『謎の機体と苦痛を訴える少女か、面白組み合わせのうえ人型で航空戦か』
『宴を始めよう、大輪を咲かせるのはどちらかな』

A班対応
殲滅戦ではなく救出がメインなので救出がなるまでは距離を一定に保っての遅滞行動に徹する
移動がネックになるので移動距離は敵の
頭を抑える意味合いで上方に移動する形で移動の距離を調整し、上方からの弾幕射撃で敵の注意を引き足止めを行う、
また上方からの急降下の一撃離脱の格闘攻撃を加える、効果があるか不明だが太陽を背にした状態で行う
効果が無い可能性は考慮して行う

可能な範囲でマニューバ機動を取り入れた動きで対処を行ったりする
(回避行動や裏周り的なマニューバ)

可能なら自身より下方に位置する僚機が居た場合、敵との位置関係を伝えサポートを行う
位置の関係から単機になる可能性が高いが、連携は常に考えて行動する
『連携は足並みを揃えたものばかりでもない』

  • 牙持つ闇
    花咲 ポチla2813
    放浪者14才|ネメシスフォース×スナイパー

◆目的
迎撃A班でナイトメアの片方のチームを担当

できるだけ急ぎ敵の元へ
ソラリスと敵の間に割り込み
ソラリスに被害が出る前に撃破する

◆行動
敵がソラリスを撃墜or連れ戻す
のどちらを目的にしているか見定める
具体的にはソラリス攻撃時に殺すか無力化目的かで判断

敵が妨害に来たPC達を優先して攻撃するなら
そのまま敵を引き付けソラリスと救助班が離れる時間を稼ぐ

敵がこちらを無視しソラリスを追うなら
ソラリスに近い敵から優先的に倒す

敵を攻撃できる距離に入ったら
毎ターンダイブモードを発動
多少無理してでも早めに敵の数を減らす
敵は一機ずつ集中攻撃

敵に機動力で勝てるなら
敵の上部か背後をとりぶつかるようにして貫く
機動力で負けてるならすれ違いざまに貫く

◆注意
”ソラリスが”こちらを攻撃して来る場合
武器を持つ機体の手のみを破壊
無力化して強引に組み付き
ブースターの出力勝負で動けなくして
救助班がソラリスをコックピットから引きずり出すのを待つ

◆その他
敵が逃げるなら無理に追わない
ソラリスが逃げたら追って捕まえる
機体は頑張って持ち帰る

空母にも戦域に急ぐ様に要請
機体が海に落ちたら救助してもらう

絡み・アドリブ・称号歓迎

【迎撃B班】
全速で移動しソラリス機とナイトメア間に割って入り、バルカン砲にて威嚇射撃を開始、弾幕を持って追撃を阻む。
以後ソラリス機に向かおうとするナイトメアの鼻先に向かって弾幕を形成し追撃を阻止。
撃墜は仲間に任せて敵の行動阻害を優先事項として行動する。

「騎士として仲間に手出しを許すわけにはいかんのでな、ここで墜ち果てろ」

迎撃のためできるだけソラリス機よりの後方で弾幕を形成する。

「それにしてもネザーか。あの機体からその深淵の一端を覗くことは叶うのやら。叶っても逆にこちらが覗きこまれて浸食されたというオチは避けたいところだが」

救出班がソラリス機を空母まで誘導した後は空母との通信(ソラリス機の状況確認)を密にしつつ。できるだけ空母に近い側で迎撃戦を行い、何かあれば剣に持ち替えて、ソラリス機の手足を斬り飛ばしに行けるよう準備しておく。

【行動】
・神崎様(la0020)と共に救助班として行動
・ソラリス様救助及び不明機体(以降目標と呼称)の回収が任務ですの
・目標迄飛行後、蛇行にて移動距離等を調整しつつ目標へ接近
・目標接触時に左右どちらかの手で目標を保持、進行方向を空母側へ向け牽引
・空母側へは目標誘導中と救出作業準備依頼を連絡
・通信可能であればソラリス様へ常時通信し呼びかけ、敵の目的や状況等の情報収集
・空母到達後は救出作業に参加、救助・収容完了の後戦闘に復帰ですの


【戦闘】
・主な戦闘行動は迎撃班に任せ、射程内の敵へは空いた側の手での援護射撃に留めますの
・が、九十七ちゃンと殺り合おうってンなら!ブッッッ■■してやらァァァ!
・敵が目標奪還を意図し迎撃班の防衛線を突破の際は、神崎様に目標の誘導護衛が委託可能であれば戦闘開始
・1機のみ突破の場合「ファングブースト」発動し正面より吶喊、敵攻撃に反撃しつつそのまま突進し近接攻撃を敢行
・複数機突破の際は「ファングブースト」使用、先行する敵へ射撃を集中し、敵攻撃は上昇や自由落下を含む縦方向への機動にて回避試行
・まともにカチ合わず、迎撃班の到着までの時間稼ぎですの
・迎撃中も目標との距離が離れ過ぎぬよう留意
・目標への攻撃や接触には身を挺して庇いますの

行動台詞他アドリブOKですの

謎の機体に疑惑の生存者…、
今は正体がどうであれ、戦う敵ぞ悪ですの…!

●B/BLUE 01

 海と空。

 二つの青に挟まれて、十機の鋼の人形が空を行く。
 本来アサルトコアは陸戦を想定された兵器だ、空中戦は想定されていない。あくまでも「跳躍程度の短時間な飛行」と称されている程度の機能であるプレーンブースターを酷使して、巨大兵器達は翼なく飛んでいる――それはある種、歪ですらあるだろう。
 だがエドウィナ(la0837)は、この青い世界に目を細めるのだ。
「やはり空は良いな……早く、ずっと飛べるようにならないだろうか」
 そしてその為には、この星の数多の空を支配しているナイトメアを駆逐せねばならない。
 今回の戦いも、いずれ来る自由な空の為の、塵のような努力の一つなのだろう。

 ――見えました、と神崎 花音(la0020)が言った。

 彼女の声は通信機によって、全アサルトコアのコックピットに響く。
 一同が見やる先にはこちらに近付きつつある黒点――ソラリスが搭乗している謎の巨大人型兵器と、ナイトメア『テンペスト』六体。目標だ。

「……不明機体に生存者……無事だとよいのですが」
 幼い手でHN-01『ジリッツァ』の武骨な操縦桿を握るエレーナ フェドロワ(la1815)が怪訝げに呟く。
「謎の機体と苦痛を訴える少女か、面白組み合わせのうえ人型で航空戦――ヒーロー物にありそうなネタまみれの展開だな」
 対照的に口元をいつものように笑ませているのはヴラム ストークス(la2165)だ。これまたギラガースとは対照的な細身の機体であるMS-01J飛燕で空を駆け、こう締めくくる。
「さて、苦痛に喘ぐ姫君を救出と」
 ソラリスがただならぬ状況であることは、既にブリーフィングルームで聴いてしまっている。
 鈴鴨(la0379)は自らと同じ名を付けた機体FF-01『鈴鴨』を駆りながら、表情を引き締めた。
「切迫した状況と判断しました。要救助者の離脱を優先。支援します」

 ソラリスの救助、及び謎の巨大人型兵器の回収。テンペストの撃退。
 それが此度のオーダーである。

「さあ、鬼が出るか蛇が出るか……」
 花咲 ポチ(la2813)が薄く微笑む。
「罠でないと良いのだが」
 そう呟いてから、クリカラ=ドラグレイズ(la2920)は唇を引き結ぶ。
「数か月前に潜入して、今、脱出か……」
 仲間に続きつつ、ケネス・スタンリー・オティエノ(la0430)は片手運転をしながらもう片手で顎を擦った。

 捕らえられ、隙を見て敵機を使って逃走できたのか?
 それともずっと見つからずに潜み続けて、敵機を奪う機会に恵まれて脱出したのか?
 他のメンバーは生きているのか、死んでいるのか?

「……聞き出したい情報は山ほどあるが、あのお嬢ちゃんは、正気を取り戻せるのか?」
 疑惑は募る。不安は残る。疑問はそこかしこにある。
 十八 九十七(la3323)は深呼吸をひとつ。
「今は正体がどうであれ、戦う敵ぞ悪ですの……!」
 そう、疑問点は多い。
 だがモーリー(la0149)にとって、すべきことは単純明快だった。
「戦場で背中を預け合える仲間――窮地に陥っても、きっと味方の援護があるはず。そんな仲間たちとの信頼関係があるから、ボク達は戦場で戦えるんだ」
 キッ、と乙女は正面を見澄まして。

「だから、仲間の窮地には全力で助ける。ノコノコ族戦士の誇りに賭けてね!」

 ――青に囲まれ、戦いが始まる。



●B/BLUE 02

「それでは……作戦通りに」

 エレーナのひときわ幼い声が各員のコックピットに響く。
 緊迫した状況、無策で突っ込むは愚の骨頂。ゆえにライセンサーは綿密に連携を取り合い、素早く三つのチームに分かれて散開した。

 迎撃班。AB二つに分かれる、テンペストを抑える担当。
 A班――鈴鴨、エレーナ、ヴラム、ポチ。
 B班――モーリー、ケネス、エドウィナ、クリカラ。

 救出班。ソラリス及び謎の巨大人型兵器の確保及び救出。
 花音、九十七。

「ソラリスさん、絶対に助けてあげるから!」
 花音はブリーフィングルームで聴いたソラリスの悲鳴を思い出しながら、力強く言った。HN-01のブースターを噴かせ、一気にソラリスへと手を伸ばそうとする。
 だがその動作を是としないかのように、テンペストが三機編隊ずつに分かれて急加速。左右から挟撃するように襲いかかって来る。

「想定済み、ですわ」

 ポチがそう告げたように、テンペストがこちらを妨害するように行動することは想定済み。AB両班が、テンペストの前にそれぞれ立ち塞がる。数ではこちらが上、そう容易くは突破できぬ筈だ。
 ならばとテンペスト達は、眼前の標的へと機銃のような部位を向けた。まずは様子見のつもりか、弾丸がアサルトコアに向けてばらまかれる。
 無理に空中戦に挑んでいるアサルトコアに対し、向こうは形状からして空戦特化。回避は流石に厳しいか。各機が展開したイマジナリーシールドに弾丸の雨が次々とぶつかり、光が散る。
「ちぃっ!」
 地上、そして生身とはまるで勝手が違う状況にエドウィナは唇を噛む。
「ええい、悠然と飛びよって……羨ましいな! こっちにもああいう機体来ないかなぁ!」
 今度アンケートに「戦闘機か空戦特化アサルトコアの導入を」と書いてやる。そう決意しながら立体的に飛行するナイトメアを顔ごと動かして目で追い、エドウィナはMS-01J『Nguyen Mauria』でそれを追う。
 手にはアサルトソード「リーネア」、全長二メートルを超す大剣は、アサルトコアが握れば軽量なる片手剣。操縦桿に搭載されたEXISから想像力の伝達する――巨大な機械が、巨体に見合わぬ鋭さで剣を揮う。
 その切っ先は当てて倒す為ではなく、進ませないための牽制だ。空で翼を翻すテンペストは宙返りし、回避の代わりに警戒をアサルトコアへと向ける。
「今回は殲滅ではなく撃退、更に言うなら防衛だ。そこのところ忘れるなよ」
「Roger.無理なくやっていきますか、っと」
 飄々と答えたのはケネスだ。重厚な機体HN-01に装着したC-203アサルトバルカンをテンペストへ向ける。
 それに合わせるように、クリカラも同じ機体・同じ武装で敵機を狙った。
「騎士として仲間に手出しを許すわけにはいかんのでな、ここで墜ち果てろ」

 ――弾幕展開。

 澄み渡った四月の空に、絶え間なき銃声と十字の銃火が瞬き響く。
 焼けつく星のような弾丸はテンペストに追い縋り、軌跡を撃ち抜く。救助班の方へは向かわせぬように。

「こちらモーリー。敵を目視で確認! これより攻撃を開始するよっ!」

 そんなテンペストへ、肉迫するのはモーリーだ。
「さぁ、ノコノコZ-RR、ボクに力を貸して! ノコノコ☆イマージン☆コンバット☆モード起動だよ!」
 説明しよう! 想像力の強さがライセンサーの強さならば、盛り上げ上手で気分を高揚させるのがN☆I☆C☆Mなのである! 今考えたのである!

「どりゃー! ストロング強い攻撃アターック!」

 脊髄反射で言葉を発しながら、モーリーはアサルトコア用片手剣リーネアを一閃。噛み付く牙のごとくブーストされた一撃は、彼女のロケットのような想いをそのままに的確にテンペストを捕えた。強烈な一撃が、戦闘機の外殻を裂く。
(ストロング強い攻撃アタック……)
 いろいろツッコミ所のあるモーリーの技名はさておき。テンペストを観察し続けていたケネスは「ふむ」と片眉を上げた。
「戦闘機自体がナイトメア、と考えてよさそうだな」
 モーリーが切り裂いた部位は、人間が考える戦闘機であればコックピットの部位。だがテンペストは平然と動いているし、裂けた傷からパイロットのようなモノは見えず、金属と肉が混ざったような不気味な中身が覗いているのみ。また、通信機のようなものも見当たらなかった。
 なので本来の戦闘機ならば通用する「コックピットさえ破壊すれば」という戦法はテンペストには通じない、ということだ。
 それからナイトメア同士の意思疎通については……これは異次元のファンタジーのサイエンスフィクションということで、今の人類にはどうしようもない。
「であるならば、狙うとすれば翼か推進器部位……尤も機動においては向こうに分があるゆえ、無理に部位狙いをするよりは、という気はするがな」
 情報を共有されたクリカラが、バルカンの弾幕を展開しつつ通信機を介して言う。空中においては命中精度も下がる、その状況で無理に精密性を求められる部位狙いはあまり得策ではなさそうだ。
 エドウィナはそれらを聞きながら――それ以上に、引っかかる点について眉根を寄せていた。

(――『加速した』)

 そう。
 ライセンサー達が接近した時。
 テンペストは『急加速』して、アサルトコアへと向かってきたのだ。

(本気のスピードで、ソラリスを追っていなかった……!)

 テンペスト共は追いつこうと思えばソラリスに追い付けたはずだ。
 更に、追跡中にソラリスを攻撃しようと思ったらできたはずだ。

(ソラリスを攻撃できない理由がある……? いや、だったら鹵獲に適したナイトメアを寄越せばよかったろうに)

 テンペストの行動にしたってそうだ。
 遮二無二、ライセンサーを振り切ってソラリス撃墜に躍起になる様子もなし。かといってソラリスの方を無視するわけでもなし。
 穿った見方をすれば「ライセンサーをほどほどに本気にさせるかのように」、ソラリスの方へ抜けようとする素振りを――まるでフェイントのようにしかけながら、こちらと相対しているのだ。

 ――頑張らないと仲間を目の前で殺しちゃうよ。
 ――だから頑張って挑んできてね。

 まるで、まるでそんな風に囁かれているような。
 ぞっ、と嫌な予感がしてきた。
 何が、何が目的なんだ?
 奴等は何を目論んでいる?
 ソラリスを救助させること? なぜ? 罠? 一体……何が?

「……猟犬か番犬か、或いは牧羊犬か」

 エドウィナは口角を歪めるように吊った。
 もしくは犬ですらない、生贄山羊だとでも言うのか、あるいはトロイアの木馬か。



●B/BLUE 03
 同時進行――迎撃A班。

「宴を始めよう、大輪を咲かせるのはどちらかな」

 MS-01Jのコックピット内、ヴラムは目元を細く笑ませる。ステゴロしてナンボと考える彼にとって正直、アサルトコアに興味はない。とはいえ仕事は仕事だ。上空に駆け上がる鉄人形が、C-203アサルトバルカンを唸らせる。ナイトメアの機動を阻害し、戦域から離脱させない。
 テンペストは人間と同じ知覚器官、すなわち目で見ているわけではないようで、太陽を背にする戦法は特に効果的ではなさそうだ。

 交差する弾丸――

「――速い……」
 音を立てて、鈴鴨のイマジナリーシールドにテンペストの機銃が次々と着弾する。その度に鈴鴨の精神にノイズが走る。ドッグファイト――後方からの急襲を仕掛けてきたナイトメアに口元を歪ませつつ、鈴鴨は振り返り様にB02アサルトライフルを敵機に向けた。
「仲間を助けたいのです。邪魔をしないで下さい」
 マズルフラッシュ。放たれる弾丸は、テンペストの表面に立て続けに火花を散らしていく。
「敵機、上昇……! 強襲に備えて下さい……!」
 目まぐるしく移ろう戦局を視界に捉えつつ、エレーナが通信を行う。顔を上げる少女の双眸に、三機のテンペストが映っていた。
「了解――喰らい付きますわ。“ドッグファイト”と洒落込みましょう?」
 答えたのはポチだ。
「ダイブ・モード、起動――」
 イマジナリードライブ伝達状況を一気に高める。飛燕のアイカメラが赤く残光を引き、急上昇。かかるGもなんのそのと、ポチがアサルトランス「マフルート」を構える姿は流星のごとく。
「……支援、します……!」
 その攻勢を確実なものとする為に、エレーナの判断は早い。火を噴くアサルトライフルがテンペストの翼に体に弾痕を残す。

 ――がきょ、と。

 ポチの巨大なる槍は噛み付く牙の如く、テンペスト一機を貫いた。
 薄い機体はたちまちに割れ、火花と血のようなものを吹き出しながら、海へと墜落していく。
「おぉ、やるねぇ。お手柄だ」
 弾幕は途切れさせることなく、ヴラムがヒュウと口笛を吹いた。
「ブースターの使用制限切れの前に、決着を付けたいですね」
 残った二機が急降下体勢に入ったのを見つつ、身構える鈴鴨が言った。
 エレーナは頷きつつ、通信機を介して仲間に呼びかける。

「……救出班、そちらの状況は、いかがですか……?」
「順調……と思いたいところですの!」

 答えたのは九十七だ。
 彼女と花音は、ソラリスの搭乗している人型兵器を戦域から引き離しつつある。移動力のある九十七が巨体の腕を引っ張り、花音がしんがりを務めるように後方に位置、テンペストのもしもの襲来に備えていた。
 ソラリス側から何かしらの応答はない。一同が総じて懸念していた人型兵器の暴走やらも、事前に観測されていた「戦闘行為は行わない」という推測が外れることはなく杞憂に終わっている。身構えていた者らが、そのプランを実行に移す必要性はなさそうだ。
「ソラリスさん、気を失ってるのかな……無事だといいんだけど……」
 花音は謎の兵器に気を配りつつ、心配げに呟いた。幾度か二人はソラリスに呼びかけたものの、ソラリスからは沈黙が続いている。仲間の姿を見て安心して気が途切れた……のならば良いのだが。
「さぁ……ともあれ、大人しくしてくれているのは助かりますの」
 九十七は彼方の海上に待機している空母をじっと見澄ましている。危険を承知でギリギリまで戦域に船を寄せてくれた乗組員達の勇気に報いねばなるまい。
(この調子なら、もうすぐ到着――)
「九十七さんっ! 敵機接近!」
 花音が叫んだ。トラブルとは、安堵の瞬間に通り魔めいてやって来る。

 ひゅるひゅると飛び回るナイトメア。迎撃A班によって一機が撃墜されたのを確認するや、迎撃B班側の内の一機が猛加速したのだ。
 迎撃B班、近接白兵型のモーリーは懸命にテンペストに追い縋っていたが、彼女の体は一つ、対するテンペストは三機。全機に肉薄することは物理的に不可能だ。
「ぶ、分身さえできればぁーっ!」
 歯噛みするモーリー。
「逃げるか貴様ッ――!」
 クリカラも咄嗟にバルカンを撃つも、離脱したテンペストは被弾しながらも止まらない。

 ――高速でテンペストは救出班を追跡する。
 刹那のことだ。悪夢の尖兵は所有する攻撃手段を一斉に開放する。フルファイアが一向に迫る!

「私も、やるときだってやるんだ!」

 ソラリスや九十七を護るべく、射線に立ちはだかるのは花音のHN-01だった。
「イマジナリーシールド増幅展開、出力開始――!」
 武骨なる鋼の人形が掌をかざす。思念式展開装甲が開かれて――そこへ立て続けにミサイルが着弾し、閃光と共に大爆発が起きた。
「きゃああぁあああっっ!」
 少女の悲鳴がノイズ交じりに響く。いかに重厚な機体といえど、飽和攻撃が直撃すればただでは済まない。想像の盾の亀裂は、そのまま花音の精神の亀裂となる。
「神崎様!」
「まだ、平気っ……!」
 そんな花音の呻く声に、九十七は爆煙の向こうに見える敵機に歯列を剥いた。爆発、目の前で傷付く仲間、それは九十七にとって忌まわしき記憶を掘り返す――

「九十七ちゃンと殺り合おうってンなら! ブッッッ■■してやらァァァ!」

 FF-01月光改陸〔μήνις〕、「激憤」と「月」の意味を持つ機体に、九十七の想いが満ち滾る。アサルトランス「マフルート」を手に、『後悔の光なくして輝けぬ怒りの月光』はテンペストに吶喊した。貫く一撃は牙のごとく、迎撃B班によるダメージが蓄積していたナイトメアの体を粉砕する。
 ふ、と九十七は息を吐いた。花音は小さくはないダメージを受けたものの任務続行可能だ。アイコンタクトの後、二人は再びソラリスを空母へ運ぶべくブースターを噴かせる。



●B/BLUE 04
 ほ、とエレーナは安堵の息を吐いた。救出班は無事に危機を乗り越え、任務を続けている。戦域からは十二分に離れた。敵機の数も減った。
「……戦闘専念、可能かと」
「了解。――鈴鴨、殲滅戦に移行します」
 鈴鴨はそう答えながら、弾切れしたアサルトライフルを新たなものへと素早く持ち替える。
 彼はシューティングゲームの機体をモチーフに作成されたAIだ。ゆえに、空戦は望むところ。
「ファングブースト起動……行きます――!」
 鈴鴨の出典はゲームだ。平和な世界にこそある娯楽だ。だからこそ彼は平和を愛する。平和の為に戦う。ゲームという娯楽を謳歌できる世界を作る為に。
 アサルトライフルの引き金を引く。飛べる時間が制限している以上、絶対に外す訳にはいかない。鈴鴨の確固たる想いは力となり、弾丸にいっそうの推進力を生んだ。それは最初から容赦をしなかったポチの槍によって負傷が蓄積していたナイトメアを、見事に撃墜してみせる。
(あと一機……!)
 ナイトメアの撃墜を確認しながら、エレーナはB班が対応する残り一機のテンペストを赤い瞳で追った。途端、それは加速してエレーナが操るジリッツァの死点に現れる。
「っ――!」
 イマジナリーシールドを咄嗟に展開する。そこにぶつかるのは機銃の急襲だ。精神に響く衝撃に、エレーナは唇を噛む。
 が。
「――今です……!」
 俯けた顔を上げながら声を走らせた。攻撃をしたということは対象に気を向けているということだ。つまりは好機!
「お任せあれ」
 答えたのはヴラムだ。テンペストの上方より、重力と推進力を乗せて――ナイトメアの体にリーネアを突き立てる。立て続けに悪夢を貫いたのはポチのマフルートだ。
 コックピットの中、ポチはニッコリと笑う。
「オーバーキルで、ごめんあそばせ?」

 ――得物が引き抜かれる。
 砕かれたナイトメアが、海へと落ちた。

「支援! 頼む!」
「委細承知――!」
 迎撃B班。エドウィナのNguyen Mauria、クリカラのブロッケンが息を揃える。
 クリカラの援護射撃と共に、エドウィナはテンペストに狙いを定めた。
「ダイブ・モード――起動!」
 焼け付くほどに加速する。想像の力を切っ先に込めて、一閃するは必殺の一撃。それは回避せんとしたテンペストの動きを完全に見切り、両断に伏した。
「ラストワン。とっとと済ませようぜ」
 撃墜を横目に、ケネスは最後の一気に視線を戻した。アサルトコアでの実戦は初めてだが、まあどうにかなるものだなと思いながら――リロードを終えたバルカンを敵機に向けた。
 弾丸の交差。
 最後の一機にはモーリーが肉迫し相手取っている。テンペストのフルファイアは、凄まじい音を立てて真正面至近距離に居るノコノコZ-RRのイマジナリーシールドに大きな傷を与えた。
「くっ……でも、ココで落ちるわけにはいかないよっ!」
 体が軋むような心地に歯を食い縛りながら、モーリーはテンペストとのゼロレンジを保つ。白兵戦を行わない相手ならば、懐に飛び込めばいい。間近に向けられる銃口に恐れはない。なぜならモーリーは誇り高きノコノコ族の戦士だからだ!

「ノコノコ族の誇りにかけて! くらえ! ノコノコ☆スラーッシュ!!」

 乙女はリーネアを握り直し、最後のファングブーストを起動する。ノコノコZ-RRは大上段に剣を構えると――逃す隙も与えずに、振り下ろす。
 確かな手応えが伝わった。砕かれたテンペストはバラバラと、海の青へと落ちて行く――……。



●B/BLUE 05
 救出班は無事に空母へと到達した。物言わぬ人型兵器を注意深く甲板へと下ろす。
 九十七が予め救出作業準備を空母の者らに要請していた為、手際に滞りはない。

 ――しかし、どうソラリスをサルベージしたものか。

 誰しもに一抹の不安がある。罠を始めかの機体に危険があるのではないか、だ。
「なにかあれば私が護ります!」
「……オーライ、オペを開始しましょうかねぃ」
 花音と九十七は頷き合う。思念式展開装甲をいつでも展開できるように身構える花音を傍ら、九十七は謎の機体に視線を巡らせた。
「基本構造自体は、アサルトコアとそう変わらなさそうな感じですね……」
 花音が言う。アサルトコアに似ている、というよりは人型兵器を造ればまあ大体こういう構造になるか、というか。そんな印象を受ける。もう一つ間近で改めて見て気付いたのが、どうもこの機体は完成品というよりはテスト機のような未完成さを感じる、という点か。装甲も所々が仮付けである。
「ちょいと失礼して……はあ、爆弾処理のような気持ちですの」
 九十七はそう言いながら、ニーミスの指先を慎重に操作しつつ、緊張の最中、ハッチをこじ開ける――そうすれば露わになったのは、コックピット内でぐったりと項垂れているヴァルキュリアの乙女、ソラリスだ。
「ひどい……!」
 花音が息を飲む。その体はこれでもかと損傷していた。九十七も眉根を寄せる。
 ひとまず――罠やらの気配はなさそうで、待機していた面々がソラリスを搬送すべくと動き出す。

 ……事態は最中に起きた。

 めき、と亀裂が走る音。
 誰もが音の出所、謎の機体に振り返った。その瞬間、「ばきり」と音を立てて謎の機体の一部が割れる。それは未完成品が無理矢理に飛んだがゆえの負荷による劣化が理由だったのだが、一同をギョッとさせるには十二分で――

 いや、そんなことよりも、だ。
 問題は、割れた部位よりこぼれ落ち甲板に「べしゃり」とブチまけられた、幾つかのモノである。

「――う、っ……!」
 あまりに悍ましい光景に、花音は両手で口を押さえた。

 死体だ。
 人間の死体だ。
 苦悶の顔のまま事切れている、薬液付けの、幾人かの――。

「な んですの、これ……」
 九十七も絶句する。完全に思考が止まってしまう。
「嘘……まさか、嘘でしょ、これって……人間を燃料に……?」
 真っ青な顔をして花音が呟く。九十七はその可能性を否定できず、ただ目を見開く他にない。

 ――静まり返る甲板。

「ごめん……なさい……」
 最中に聞こえたのは、震えるソラリスの声だった。
「私……知っていたのに……あれが……人間を使い潰して動くモノって……知っていたのに……! 自分が生き延びるために……ネザーから逃げるために……私は……私は……なんて……ことを……!」
 指も千切れパーツがむき出しになってしまった手で、ヴァルキュリアは顔を覆った。
「ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして――」
 涙を流せぬ機械の嗚咽が、青い海に響き続ける……。



●B/BLUE 06
 情報は、テンペストの殲滅を終えた迎撃班にも共有された。
 空も海も静まり返っている。
「……プリティーなヴァルキュリアガールが、そこまでいたぶられてるなんて」
 一番最初に口を開いたのはケネスだった。コックピットの中で大げさな動作で肩を竦める。世界平和を祈るほどできた人間ではないが、今しがた伝えられた状況がどれだけ世界にとってヤバいかは理解できた。
「だって、ネザーから戻ってきたってこたぁ、ああいうのが他にもネザーにあるってことだろ?」
「そうであるならば、一体どれだけの人間が、犠牲に……」
 呟く鈴鴨の声は重い。
「……そのネザーっていうインソムニア、早くぶっつぶさないとね!」
 モーリーは義憤に柳眉を吊り上げる。
「凄く……嫌な予感が、するな」
 エドウィナは顔をしかめた。気付いてしまったテンペストの行動しかり、任務が成功したというのにモヤモヤした感情が拭い去れない。
「同感ですわ。さてはて、どうなることやら」
 彼方北方の水平線を見やりながら、ポチが答えた。
 エレーナは深呼吸をひとつすると、改めて仲間達を見渡した。損傷はあるものの致命的なものはない、空母に戻り治療を受ければ、港に着く頃には全快しているだろう。ナイトメアも全て撃墜した。そして、ソラリスと例の機体についての回収も達成した……。
 これから起きること、予想されることは、決して幸せなものではないのだろうが、今は。
「……皆様。戻りましょう、か……」

 ――残ったエネルギーでブースターを噴かせ、一同は空母へと向かう。

 最中、クリカラはコックピット内でひとり呟いた。
「それにしてもネザーか。あの機体からその深淵の一端を覗くことは叶うのやら。叶っても逆にこちらが覗きこまれて浸食されたというオチは避けたいところだが」

 ほどなくして総員が無事に帰艦する。
 ソラリスについては空母にて治療を受けているという。命にこそ別状はないが、肉体以上に精神面でのショックがあまりに大きいようだ。
 例の人型兵器についての解析等は帰港してから行われる。判明したことはいずれSALF内で発表されることだろう。
 今できることは、空母が無事に港に着くまで身を休めることのみだ。

 ソラリスについては治療中ゆえ、まだ面会は叶わない。まだそのような精神状態でないと、ヴラムは乗組員から伝えられた。
「そうかい」
 しばらく『待つ』ことが続きそうだ。ヴラムは肩を竦めた。
 見舞いが可能になれば、花でも贈ろう。彼は水平線を眺めながらそう思う。ガーベラがいい。ピンクとオレンジ色の。確か、かの花の花言葉は……。



●N/E

「無事に到着したようですね。素晴らしい」



『了』

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