オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【花雪】儚く舞い散るバレンシアの雪

【花雪】儚く舞い散るバレンシアの雪 monel

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
コメディ 
参加人数
73~7人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2019/02/12 20:00
完成予定
2019/02/22 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-




 街頭から、あるいは珈琲香る喫茶店の奥の棚から。密やかに情報が日常に溶けていく。
 ほんの少しの異変。違う色を魅せる空は、気付く者は勿論のこと、知らぬままの人の心さえも妖しく騒めかせて。

『……いて天気です。南欧一帯に異常ともいえる規模の降雪が観測され、各地に影響が……』

――常ならぬこの街に、貴方はどんな物語を見るのだろうか。





 雪合戦か、もうそんな季節なんだな。などとそのライセンサーはSALF本部の掲示板に貼り出されたポスターをぼんやりと見てから二度見した。
「何で雪合戦……?」
「その着眼点、興味がおありですね?」
 突然柔らかく肩を触られ、耳元に囁かれたライセンサーはピクリと肩を震わせる。
「必要な人とは必要な時に出会える。まさにこの世はファビュラスですね。」
 ライセンサーが振り向くと、筋肉を主張するファッショナブル、という最先端な雰囲気を醸し出すスーツを着込み、男らしさを主張しつつしつこく無いエレガントな髭が印象的な、いぶし銀な年頃の男性が立っていた。
 マッシヴに洗練された筋肉、どこまでも主張し過ぎない柔らかな物腰、そしてやたらとセクシーな囁き声が濃い存在感を主張していた。

「失礼、興奮のあまり名乗りが遅れました」
 唖然として見つめるライセンサーの様子に、妖しい男は胸元から優雅な動きで華麗なカードを取り出す。
「私の名前はチコ。チコ・カノ。このイベントのブランドコーディネーターとしてSALFにお願いに来たのです」
 実態がよくわからないが偉そうな肩書に、受け取った者を包み込むような芳醇な香水を感じさせる名刺、そして無駄に洗練された佇まい。
 全てがチコの怪しさを増幅させていた。

「どうです?」
 チコの目線に誘われるようにライセンサーはポスターに目を向ける。
 雪山で雪合戦をする若い男女が描かれているが、よく見ると遠くで色々飛んでいる。槍やライフル、それに人間……!?
 その絵の異常性に気づいた時、チコが髭が頬をくすぐるほど近くで声をかけて来た。
「わかりますか? この、どこまでも透き通った白銀の世界。中を舞う雪を纏った戦士達。これこそ、パシオン!」
 急激にテンションを上げてくるチコは両腕を天井に掲げて、震える我が身を抱きしめる。

 反射的に一歩距離をとったライセンサーに向かって、チコは朗らかに微笑みかけ、蕩けそうな表情でポスターを見つめる。
「これは決して色物のおふざけ等ではありません。ヒトの根源的な生存能力を追い求める競技なのですよ」
「競技?」
 後ずさりしていたライセンサーが思わず問いかける。
 チコは、とりあえず職質されない程度の微笑に戻り、簡潔に告げる。
「雪さえ付いていれば何でもありのバトルロワイヤルでございます」
「思いっきりイロモノじゃねーか!!」
 ライセンサーの激しいツッコミがSALF内に響いたとか響かなかったとか。

「あ、現地では雪男が出るとか噂がありますが、まあ乱入なんてしてこないでしょうから気にしなくても良いでしょう」
 髭を一撫でして紳士的に微笑むチコに、ライセンサーは、何故ここで意味不明な情報をつけたすんだ、と思ったが、先ほどのツッコミに気力を使い果たして何も言えなかった。

●競技概要


 雪"合戦"です。
 最後まで立っているのは誰か、貴方の生存戦略が試されています。
 レギュレーションを守れば何でもOKです。
 ・雪が付いていない物を投げるのはNG
 ・雪が付いていればOK、直接の殴打は美しくありません
 ・雪原の華となって派手に散りましょう

 細かいことは置いておいて、審査員の感性にビビッと来たら勝ちです。
 この大会は初の試みですので、観客は入れずに録画配信のみとなります。所謂パイロット版です。


●よくある質問


Q:つまり何をしたらいいの?
A:雪合戦で戦い、最後の一人になるまでその存在感を主張してください。

Q:スキルや攻撃が当たるとダメージを受けますか?
A:吹っ飛んだり気絶したり血反吐吐いたりしますが、間に雪があるので実質ダメージゼロです。

Q:雪男って乱入してくるの?
A:乱入してきます。でも紳士的に雪合戦を楽しみます。

Q:雪男ってナイトメア?
A:ぶっちゃけ放浪者です。

Q:ゴリラじゃないの?
A:質問の意図がわかりません。

Q:雪合戦の正式ルール知ってるの?
A:知りません。

Q:雪ってどれくらい積もってるの?
A:いっぱい!

Q:何か一言
A:雪崩には気をつけて!

こんにちは、monelです。

雪なんて年に一度積もればいいぐらいの土地住みなので、雪はなんていうか僕らを柔らかく包み込んでくれる、などという思い込みを捨てきれません。
危険ですね、はい。

雪合戦楽しんで下さい。

■方針
・合戦は真面目に、負けそうになったら潔く派手に

■準備
・服装:[白くて暖かい服][手袋]を着用
・[携帯端末]の電源は切る
・「空瓶を用意([携帯品]の[ウォッカ]を使用)」→「[オイルライター]用の[オイル]を入れる」→「新聞紙(無ければ[手帳]のページ)を丸めて蓋をし、はみ出させた着火点を設定」→「メイドの嗜み:[火炎瓶]完成」/出来れば[購入品]を素材に複数用意

■行動
・[雪]に触れた時点で、まず[羞恥心]と[躊躇]を投げ捨てる
・開始と同時に[全力移動]で大きく距離を取る/一応[雪]をつける迄攻撃出来ない筈
・[岩]等の自然物を探して隠れて[雪]を握り[火炎瓶]全てに擦りつける/[準備中]に誰かが来たら[盾]で防ぎつつ再度逃走→隠れる
・一通り[雪]の準備が終わったら[主戦場]の様子を見、ある程度潰し合ってくれるのを待つ
・[動きが無くなる/他に「様子見」が多い等][半分近くまで減る]等の条件で[盾]を構えて近づき、[火炎瓶]に着火して投げる
・相手の攻撃は出来るだけ[盾]で防ぎつつ[火炎瓶]で攻撃、十分な[雪]が[盾]に着いたら[フリスビー]の様に投擲し次の[盾]を取り出す
・最後の[盾]は投げず、[火炎瓶]が尽きたら以降は[石]や[相手の投げた品を拾う]等で攻撃
・力尽きる際は映像になることを踏まえ、何故か[サービスシーン]的に服が破れる

  • ジャイアントシールド師範
    朱槻 南la0703
    人間18才|グラップラー×スピリットウォーリア

「わーい♪雪だ〜♪」(DIVE!!からのゴロゴロ〜

生き残る→自分一人→残りは○んでる(延びてる)→つまりみんなやっつけちゃえばいい
...よし○そう♪

「さぁ...戦争をしよう」(どうやって掴んでるのか分からないが片手で(武器と所持品欄にあるもの全ての)大量の武器を持つ

【基本的行動】
○す。狙ったら起き上がらなくなるまで徹底的に
目的が生き残るよりも「いかに大量に倒すか」になる
雪が付いた武器を投げる。ジャイアントシールドはブーメランみたいに投げる。守る物が凶器になる瞬間である。

「ねぇ待ってよー♪ちょっとだけ(バキューン)して(バキューン)してから(バキューン)させて欲しいだけでいいからぁ〜♪」(いい感じの効果音でかくしてあげてください。内容が放送出来る範疇を超えています。


雪男?ヤりに行く

【もし雪崩が起きた時】
ジャイアントシールドをそり代わりにして麓まで滑る

散る時はどこかのヒーロー殺しのように立って気絶

アドリブ超大歓迎

  • ブリキのカメ
    Nonamela1052
    ヴァルキュリア10才|ゼルクナイト×セイント

ひょおおおおう!!!あれも雪これも雪!!ぜーんぶ雪ですぞおおおおお!!!!
これはもー我やりますぞ?やりますぞ??ちゃんとハウトゥー雪遊びなるものを読んできましたからなこれぇーーーっ!!!
雪合戦ももちろん知っておりますぞ!!こう雪玉を投げる…え、ちがう?((

成程!全身全霊で雪をブッパすればよいのですなー!!我こっちの方が好みですぞー!!
そうと決まれば!!!我が雪玉になればよいのです!!!!
雪をべったべったべったゴロンゴロンゴロン!!!!!!
程よく雪が付いたら全力移動でさらに加速!!でっかい雪玉になってレッツらごーですぞー!!
前が見えない?ノンノンノープログレムですぞ!我が進む方が前ですからな!!!
ヒャッハー雪ガっセーン!!!(ごろろろろおろろろおろろろろおろろろおろろろおろ)

ぶっ飛ばされるときは派手なホームランを所望しますな!!
我キッラーン!と星になりますからして!!!それも雪をまき散らして!レッツ!シューティングスターーーーですぞぉーーーーー!!!

スキルはそう、ロードリーオーラで我に雪がまとわりつくなら使いたいところですぞー。
雪よ!!!我と一つに!我は雪で雪は我!!!最強の雪玉NO☆NA☆ME B☆LLなのです!!!!!超!!えきさいてぃんっ!!!(覚えた言葉を使いたいお年頃)

雪合戦さいこうですぞーーーーーー!!!!!

※アドリブ可

これがスノージハード(雪合戦の事)アルか…僕も負けない様に頑張るアル!

●行動
名乗りを見て自分も名乗りをあげる
「なるほどアル。ジハードではネームオン(名乗り)が相手への礼儀アルね。それなら僕もアル!
「刮目するアル!我こそはこの白銀が統べるジハードに舞い降りた黒き衣を纏いし舞踏の†堕天使†漆黒オブザデッドアル!世界を魅了する氷雪の舞、その目にしかと刻むアル!
舞踊2にて雪の上に華麗に決めポーズを決めつつ舞う
名乗り中は攻撃したら駄目だって先輩が言ってたアル!駄目アル!辞めるアル!でもそれも華麗に避けてみせるアル!

漆黒のアイドル服で雪原に物凄く目立つ
馬鹿なのかな?ってレベルで目立つが本人は全く気がつかない
相手に接近して旋空連牙使用(雪を持って殴る新しいスタンス
「君が負けを認めるまで僕は殴るのを辞めないアル!
なんかこんもりしてる所には龍震虎咆使用
「僕の中に溢れる力を今解き放つアル!轟け!龍震虎咆アル!

雪崩発生で主武器ジャイアントシールドに変換
ジャイアントシールドに乗ってスノーボード
「アイヤー!スノージハードは斯も過酷な競技アルね!
そのままダイレクトアタック(盾に雪がついていれば弾である)

常にアイドルらしく煌びやかに舞ながら奮闘する
舞踊2は事ある毎に使用
アイドルとして優雅たれ
笑顔と挨拶も忘れない
アイドルは笑顔が武器

(雪合戦で遊びたいけれど皆の遊んでいるお顔も撮りたいわ!どうすれば…!)
考えた結果岩等台の上にカメラを置き定点だが撮影することに
カメラは防水防塵防振の安心仕様
状況に応じてよく撮れる方向へちょこちょこカメラを移動させる


人に向けて攻撃することに躊躇いがなかったわけではないが(ライセンサーだもの!きっと大丈夫よね!)とライセンサーの力を信じる
ルールに則りジャイアントシールドの上に少しだけ雪を乗せブーメランのように水平に投げる
「うふふ!トレイとシールドは投げる物だと誰か言っていた気がするの!」
以降は鏃に雪をくっつけて飛ばす
飛んで来るものは出来る限り避ける

〇雪崩
カメラの回収を最優先。埋もれても構わない。埋もれたらフレイムロードで雪を除け地上に出る

〇雪男乱入
「まあ!ごr…えっ雪男なの?初めて見たわ!」
雪男の顔も撮りたいと頑張る

  • 白の守護者
    音切 奏la2594
    放浪者17才|ゼルクナイト×セイント

武器に雪をつけておく
録画しているカメラの場所は事前チェック

自分以外全て敵
こういう場合、最初は身を潜めて攻撃するのがよいのでしょうけど
「姫がこそこそなんてしていられませんわ!」
王族とは!皆の前に立ち、前線で戦い抜くもの!
私を慕う民にこそこそ戦う姿なんて見せられません!
「さぁ私にやられたい者から立ち向かってきなさい!」
王に相応しい武器、獅子刀を構えてロードリーオーラ
(攻撃を引き寄せると不利と分かっているが、かっこよさとパフォーマンス重視
立ち向かってきた者の攻撃を刀でいなす
近距離攻撃の者であればそのままライトバッシュ
遠距離攻撃の者であれば攻撃方向から潜伏方向割り出し盾で攻撃防ぎながら近づきライトバッシュ
1人倒したら次も同じように倒す
「私に勝とうなんて無謀だと知りなさい。」

(…と本人はかっこよく戦うつもりだがボコボコにされてよい)
(派手にやられて潰れ「ぴぎゃっ」と変な悲鳴)(高貴さの欠片もない

雪男のことは忘れてた
「ゴ、ゴリラのナイトメアの乱入が!?」
取り合えずライトバッシュで良いですか?
ゴリラが自分を無視するようならロードリーオーラでアピール
「どう考えても最初に襲うべきは可愛くて美しくて強い姫の私でしょう!」
まったく獣の目は節穴なのかしら!

生命半分以下でヒール

  • アメージングすしや
    A・Rla3033
    放浪者54才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

神は言った。
雪が全ての罪を洗い流すと。
具体的にはダメージとか負傷とか今まで積み重ねてきたキャラとかその辺り

合戦なのでとりあえず名乗り口上。
「とおからん者は雪に聞け。近くば寄って雪を観よ!我こそは五十路で冷えると関節が痛むA・R!そろそろ腰もヤバイ!!温湿布大事!!冷え性は大敵!!」
ウェア姿でホワチャー!!と槍を構えてみる。見た目から入るスタイル。
そして隙だらけでぶつけられる、知ってる。あ、チョっ、待っ…冷たっ!?

せいぞーん!せんりゃくー!!
1.白い服着て雪の中に紛れるステルスミッション
メディクスコートを羽織り、チャージングランスで雪の中全力移動。ククク、これでバレることもあるまい。(こんもりしてる
足元から近寄ってパワークラッシy…スノー!舞い散る雪で敵を攻撃!視界が悪くて当たらなくても泣かない。

2.フォース(アロー)を信じよ。フォース(アロー)と共にあれ。
フォース(アロー)を信じて雪玉を打つ。固めた雪玉をシャドウグレイブで一本足打法。目指せ3冠王。

3.乗るしかない、このビッグウェーブ(雪崩)に!!
ラウンド盾使用。そりの要領で雪崩を乗りこなそうとする。小さい気もするが、投げ出さないこと信じぬくことが大事って歌でも言ってた。

雪男と獣度を争う
最後は雪の上で頭突っ込んでスケキヨ状態

心より 楽しむ一時 過ぎ去って
雪の冷たさ 現実を知る(辞世の句




「わぁ〜い♪ 雪だ〜♪」
「ひょおお! ぜんぶ雪ですぞー!」
 見渡す限りの雪景色に朱槻 南(la0703)とNoname(la1052)は無邪気に身を投げ出す。
 楽しげにコロコロと転がりだした二人は転がるほどに勢いを増して、悲鳴と共に見えなくなっていった。
 そんな二人の悲鳴を聞き流して、ライセンサー達は来たる戦いのための準備を進める。
 天紙垂 結梨(la0340)は持参した袋の中で何かを一心不乱に組み立てている。
 漆黒 オブザデッド(la1155)と音切 奏(la2594)は空中から狙うドローンカメラの位置を確認し、写りの良さそうなポジションを選んでいる。

「人を攻撃するのは怖いけど……大丈夫よね、ライセンサーだもの!」
 春風 山吹(la2495)は自分を落ち着かせるように自前のカメラをベストな位置に固定しようと何度もアングルを調整している。
 そんな面子を眺め、白い物が混じってきた(雪かもしれない)赤髪を棚引かせ、A・R(la3033)は一人、大自然に神を感じて佇んでいた。





「皆さん自由でファビュラスです。それでは『雪合戦』開始です!」
 どこからかチコの開始の合図が響き渡る。

「とおからん者は雪に聞け。近くば寄って雪を観よ! 我こそは五十路で冷えると関節が痛むA・R! そろそろ腰もヤバイ!」
 温湿布大事! 冷え性は大敵! この世代は大体集まると健康の話が始まる!
 そんな堂々と愚痴を口上するA・Rの襟口に、狙い澄ませた雪玉がぽふりとぶつけられる。
「ひゃっ、冷たっ! ちょっ、待っ!」
 ぽふぽふと続け様に雪を投げるのはNomane。この日のためにハウトゥー雪遊び全8巻を熟読してきた成果を見せ付けんと張り切っている。

「なるほどアル。スノージハードではネームオンが礼儀アルね」
 A・Rの勇姿に応えようと漆黒は華麗に舞いながら所々でポーズを決めて、名乗りを上げる。
「刮目するアル! 我こそはこの白銀が統べるジハードに舞い降りた黒き衣を纏いし……」
「戦争だぁっ」
 漆黒の名乗りを遮るように、カートゥーンアニメのように片手に剣や斧やハンマーなどをこれでもかとばかりにジャキンッと持った朱槻が問答無用で武器を投げつけてくる。
 雪がほんのりついてるのでセーフだ!
「駄目アル! 辞めるアル! 名乗り中は攻撃したら駄目だって先輩が言ってたアル!」
 華麗に舞いながら雪玉(インザソード)を避ける漆黒だったが、クリティカルな不運に見舞われて雪玉(ハンマー型)をまともに喰らって吹っ飛んでいく。
 人ってこんなに飛ぶんですね。観戦会場ではワイヤーアクションのように飛んでいく漆黒の姿がスロー再生されて大賑わいだ!

「私を差し置いて目立とうとした罰ですわ!」
 音切は両手を腰に仁王立ちで口上を始める。
「姫たるもの隠れたりはしませんわ! さぁ私にやられたい者から立ち向かってきなさい!」
 王族とは! 皆の前に立ち、前線で戦い抜くもの!
 その想いをぶつけるように王者の風格を見せつける!

 王者に怯えるように雪を纏わせた武器で攻撃して来た者を華麗にサーベルでいなして優雅とも思える自然な動きで返り討ちにする……と一瞬のうちに妄想を広げて、満足そうに呟く。
「私に勝とうなど無謀だと知りなサバババッ!」
 幸せな妄想は巨大な雪玉に遮られた。
 自分の知ってる雪合戦と違う、と察したNomaneが起死回生の大技、自らを雪玉に見立てた大雪転がりの術で突撃してきたのだった。
 塊の魂となった雪玉はNomaneと音切の悲鳴を飲み込んで転がり続ける。

「ちょっと! それじゃ顔が見えないの!」
 雪玉でベストショットが撮れない苛立ちは、春風に力を与える。構えるだけで並みのライセンサーでは身動きも出来なくするほどのジャイアントシールドの重みも忘れ、軽々とスイングする様はまるで雪玉を投げる幼子のように無邪気だった。
 ジャイアントにスイングしてジャストミートしたジャイアントシールドに雪塊は煌めきと共に蒼穹の彼方へと消えていった。

 開始早々に戦場から距離を取り、物陰に隠れて様子を伺っていた天紙垂の背後に、ボトボトと落ちてくるナニカ。
「なんですぅ」
 雪にまみれた雪だるまのような状態でよろよろと立ち上がるナニカに、落ち着いた様子で仕込んでいた火炎瓶を投げつける。
「ぴぎゃぁっ!」
 カシャンと瓶が割れると同時に雪だるまから火だるまに早変わりした音切は、哀れな悲鳴と共に雪を転げ回って火を消すのだった。





 わちゃわちゃしている隙にA・Rは白衣を羽織って乗馬槍を構える。
「ククク、これが年輪を重ねた生存戦略というものだ」
 槍を構えて地を滑るように全力移動を始めると、やがて雪の中に潜り、その姿は見えなくなっていった。
 その前方に立つのは漆黒のアイドル。一瞬意識が飛んでいたなどと感じさせないステップで雪の上を滑るように華麗に舞い踊る。
「僕の中に溢れる力を今解き放つアル! 轟け! 龍震虎咆アル!」
 漆黒の全てが込められた一撃は、モコモコと雪の中をゆっくり迫ってくるA・Rに狙いを定めて解き放たれる。
 そう、雪の中という酷く動き難い地形では移動消費量がハンパない上に、押しのけた雪は上に逃げてどこにいるのか丸見え、つまり狙い撃ち放題なのだ!
 狙いすまされた一撃が放たれると同時に、A・Rも槍を振り回してパワークラッシュを放つ。
 二人のワザマエにより、爆発したように激しく舞い上がる雪煙。
 その奥で戦慄いているのはジャイアントシールドを構えたユキケムリスレイヤー=サンこと春風だった。
「トレイとシールドは投げるものだって誰かが言ってた気がするの!」
 薄っすらと雪のついたジャイアントシールドは軽々と中を舞い、ブーメランのようにA・Rと漆黒を跳ね飛ばして春風の元に戻ってくる。
 人に攻撃を向けるのを躊躇っていた少女の姿はどこにいったというのか。
「ようやくゆっくり撮影出来るの」
 カシャカシャと撮影する音が響いた後には、満足気な春風が立っていた。


「ねぇ待ってよー♪ ちょっとだけ(ボファッ)して(ドゴーン)してから(ドゴゴゴゴードファッ)させて貰うだけでいいからぁ〜♪」
 火炎瓶を放ったせいで朱槻に狙いを定められた天紙垂は、次々と火炎瓶を投げつけるが、雪を纏った朱槻は炎を踏みしめて近づいてくる。
「そんなに逃げないでよ♪ だ・か・ら〜……さっさとくたばりあがれやぁ!! お”ら”ぁ”!!」
 ゴウゴウと燃立つ雪原を背景に、朱槻は軽々とジャイアントシールドを振り回して、やはりブーメランのように投げつけた。
「そうはいかないのですぅ」
 対する天紙垂はラウンドシールドをフリスビーのように次々と投げて、ジャイアントシールドの重さを数で跳ね返す。
 ジャグリングのように飛び交うラウンドシールドとふぉんふぉんと重低音を響かせて宙を舞うジャイアントシールド。
 雪合戦って凄い。

「酷い目にあったわ……」
 黒焦げになった雪(?)を払って立ち上がった音切はヒールでシールドを補修する。
「戻って来ましたぞー!」
 Nomaneの叫び声と共に、さっきよりもふた周りほど大きくなった雪塊の魂が盾を投げ合う朱槻と天紙垂を跳ね飛ばし、キョトンとした表情を浮かべて雪の塊を見上げた音切をペチッと巻き込んで谷へと落ちていった。





「君がっ、負けをっ、認めるまでっ、僕はっ、殴るのをっ、やめないアルっ!」
 ぼすぼすと雪を握りしめた拳を漆黒は振るい続ける。

 きっかけはA・Rだった。
 静かに目を閉じ、自分の中にあるというフォースを信じ、フォースと共に雪玉を打てば、きっとフォースアローとなって飛んでいく。
 イメージトレーニングは完璧だ、と一本足で薙刀を肩に担ぐように持ち上げる。
 片手で放り投げた雪玉が落ちてくるのに合わせて、打つべし!
 誤算だったのは、薙刀の先に雪をつけ忘れた事だった。雪が付いていない薙刀はただの刃物だ。
 フォースと共に雪玉をスパッと両断したA・Rは手応えのなさに態勢を崩して片膝をついてしまう。
 フルスイングは腰を、ほら、アレだ。
 その間に、無駄に優雅な舞を見せつけながら近づいて来た漆黒が両手に握りしめた雪で、A・Rに旋空連牙を放つ。
 押し潰すように密着した二連撃はA・Rの腰に致命的なダメージを与えたのか、仰向けに倒れたA・Rにまたがった漆黒は両拳を振るい続けたのだ。

 だが、ふと肉厚のしっとりと温かい温もりに拳を包み込まれて、漆黒は顔を上げる。
 驚いて振り向いた漆黒の目に飛び込んできたのは、黒い胸板を誇示するように見せつけるゴリr……雪男だ。
「な、なに……」
 哀しげに首を振るゴリ雪の視線を追って、漆黒は自らの過ちに気付く。握りしめた雪がもうすぐ溶けて無くなるところだった。
 力強く頷く雪リラに促されるように視線を向けると、ゴ雪ラの手にはしっかりと雪がまとわりついていた。
「そうか、キミもスノージハードの戦士アルね」
 心が交わった気がした。
 そして、雪を纏った拳に漆黒は吹っ飛ばされた。

「雪を纏った以上、戦場に立ったものとみなす」
 よっこらしょと立ち上がったA・Rは雪男ーー面倒なので以後ゴリラとするーーゴリラの野性味に触発され、纏っていた白衣を脱ぎ捨てる。
 現れたのは鍛え上げられた筋肉と少し弛んだ肌、そして腰に貼られた温湿布。
 ペチペチペチと胸を叩いて野性味アピールを仕掛けるA・Rに対抗するように、ドコドコドコとゴリラも胸を叩き出す。
 するとどうだろう、あちこちから雪を押しのけるようにして、胸を叩くゴリラ達が現れた!
 ドラミングにドラミングを重ね地響きを起こすここはまさに地上の楽園!
「まあ、ゴr……雪男なの? 初めて見たわ!」
 そんなゴリラと初老の男の顔面造形に興奮を抑えきれない春風により、シャッターを切る音が絶妙なハーモニーを生み出していた。
 こうなると雪の上は便利だ。
 どんな角度で身を投げ出しても優しく包み込んでくれる。
 受け身も取らずにダイブし、転がり、滑り、飛び上がる。
 様々な角度からの顔面造形を納めたカメラを春風は大事に握りしめるのだった。

 その頃、盾対盾の戦いに決着がついていた。決定的だったのは、雪の運搬量であった。
 小さなラウンドシールドではどれだけ数を重ねても、ジャイアントシールドが運んでくる大量な雪には負けてしまう。
 徐々に埋まっていく天紙垂は、手数で挽回しようと頑張っていたが、やがて雪に埋もれて動かなくなってしまった。
「あはっ♪ (ドコドコドコ)をぶち(カシャカシャッ)したかったけど埋まっちゃった♪ 代わりに(ドンドコドンドコ)しがいのある(カシャカシャッ)がたくさんいるじゃなぁい♪」
 一仕事終えて良い表情を浮かべていた朱槻は、ワラワラと現れてきたゴリラ達に向かってジャイアントシールドを持ち上げる。
 とにかくゴリラ達と春風が盛り上がりすぎて、色々聞こえない。

 その直前、王者の風格を身に纏った音切が、崖をよじ登って這い上がって来た。
「半裸のお爺さんよりも、どう考えても最初に襲うべきは可愛くて美しくて強い姫の私でしょう!」
 雪まみれになっても気高さは忘れない。
 まさに不死身の復活劇に気を取られ、ジャイアントシールドを投げる直前に朱槻は音切を見てしまう。
 そのせいで妙にスナップの効いたジャイアントシールドは、鋭角な軌道を描いて音切へと向かって飛んでいった。
「なんなのぉぉぉ!」
 哀れ音切、その勢いに恐れをなして自ら飛び降り再びのフィールドアウト。

 音切が復活していたという事は、当然Nomaneもいるわけで。
 谷底から這い上がって戦場よりも更に上に登り、満を持しての再登場。もちろん、極大の雪だるまになっている。
「我は雪で雪は我! 最強の雪玉NO☆NA☆ME B☆LLなのです! 超!!えきさいてぃんっ!!!」
 ゴロゴロと雪を巻き込んで更に更に大きくなっていくNomaneに、ライセンサーとゴリラ達は目が離せない。
 だが、皆の注目がNomaneに集まっている間に雪から這い出てくる影が一つ。
「これくらいでは終わらないですぅ」
 雪まみれになった天紙垂が手にしているのは、特大級の火炎瓶。
「みんな燃えてしまうですぅ!」
 その瞬間、山は燃えた。





 さて、雪山、特に新雪が降り積もったばかりの雪山では気をつけないといけない事がある。
 そう、雪崩である。
 激しい爆発を起こしたり辺り一面火の海にしたりするのは危険なのでやめましょう。

 突如響いて来た地響きにライセンサー達は、巨大な雪玉になったNomaneが豆粒に見えるほどの雪の壁が迫ってくるのを、ただ見つめる事しか出来なかった。
 見る間に視界を埋め尽くす雪の暴力がライセンサー達を襲う!

 ラウンドシールドで果敢に雪崩に挑みかかった天紙垂は、その超重量の直撃を受けて、服が散り散りになってしまう。
 残念ながら一瞬で雪崩に飲み込まれてしまい、その一瞬も雪煙で大事な所が見えなかった。

 ヒールの回数だけ何度でも復活する音切が、高笑いを響かせながら崖をよじ登っていたが、圧倒的な雪崩の存在感に誰にも気づかれる事なく雪に埋もれていく……いや、春風が音切の良い表情をカメラに収めていた。
 二人ともあっという間に消えてしまったが。

 この自然の猛威を乗りこなそうとしているもの達もいた。
 Nomaneは雪崩の雪をも取り込んでその雪玉は小さな丘程に大きくなっており、更に拡大を続けている。
 ただし、雪玉の中心で動くこともままならないNomaneはやがて考えることをやめた。

 雪崩の上で盾を使ってバランスを保っているのは、朱槻と漆黒、そしてA・R……あ、ラウンドシールドの上で体操座りをしていたA・Rはバランスを崩して頭から雪に突っ込み、両足を高々と突き出したまま動かなくなった。
 やはり、安定性に優れたジャイアントシールドでなければこの雪は乗りこなせないのだろう。
「キャハハッ♪」
 朱槻はハイテンションで叫んでいるが、そこに漆黒の影が!
「スノージハードは斯も過酷な競技アルね!」
 雪が付いていれば則ち雪玉。雪合戦はまだ終わっていないのだ!
 サーフィンの要領でジャイアントシールドを乗りこなした漆黒は朱槻を踏み潰す。
「勝っ……へぶっ!」
 だが、それと同時にバタフライで雪崩を泳ぎきったゴリラ達に呑み込まれるように、漆黒も雪に沈んでいった。

 そして、誰も居なくなった。

 いや、雪が、動いている!?
 ボコッと静かになった雪面に大きな穴が空き、白い手が突き出される。
「あー、びっくりなの。カメラ壊れちゃうかと思ったの」
 カメラを駄目にしたくない一心で、雪を溶かして登って来た春風だった。
 雪が溶け、春風が吹いた。


 なお、トライアルは大成功だったが、危険すぎるとして雪合戦が禁止されたのは言うまでも無い。

成功度
大成功
拍手数
8

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重体者一覧

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参加者一覧

  • 献身メイドさん
    天紙垂 結梨la0340
    人間16才|
    ゼルクナイト×セイント
  • ジャイアントシールド師範
    朱槻 南la0703
    人間18才|
    グラップラー×スピリットウォーリア
  • ブリキのカメ
    Nonamela1052
    ヴァルキュリア10才|
    ゼルクナイト×セイント
  • G.S.S.A
    漆黒 オブザデッドla1155
    ヴァルキュリア19才|
    グラップラー×スナイパー
  • 想い出のカメラマン
    春風 山吹la2495
    人間16才|
    セイント×スナイパー
  • 白の守護者
    音切 奏la2594
    放浪者17才|
    ゼルクナイト×セイント
  • アメージングすしや
    A・Rla3033
    放浪者54才|
    ネメシスフォース×スピリットウォーリア

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