オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 節分 水上豆合戦!

節分 水上豆合戦! STANZA

形態
イベント
難易度
普通
価格
1000(EX)
ジャンル
冒険 コメディ 
参加人数
251~25人
予約人数
10010100
基本報酬
100000G
100SP
1000EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
4
締切
2019/02/02 23:00
完成予定
2019/02/15 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-



 茨城県の東の海には、ライセンサー育成校・久遠ヶ原学園が建つ人工島がある。
 その浜辺から100mほど沖合にある岩礁に、久遠ヶ原神社という手のひらサイズの小さな神社があった。
 そう、先日の初詣で寒中水泳などというアホなイベントをやらかしたローカル神社だ。

 その神社がまた、懲りずにアホなことをやらかそうとしている。

「……水上豆合戦……?」
 たまたま立ち寄ったSALF本部で声をかけられたラック(lz0008)は、すぐさま首を振った。
 詳しい説明を聞かなくてもわかる、それがなんかヤバい感じのアレだということは。
 しかし相手は人の話を聞かないことにかけては定評のあるオバチャン族、しかもそれが身内だったりした日には、こちらが一言も言い返せないままに物事が決まってしまうのが常である。
「ほら、何しろ神事だからさ。こういうのは盛り上がってナンボだろ? あんたも盛り上げに協力しとくれよ、ね?」
 そのオバチャン、ラックの母方の祖母である綿貫 松香(わたぬき まつか)は、自分の目線よりも上にある孫の肩をぽんぽんと叩いた。
「難しいことじゃないんだよ、やることは普通の豆まきと一緒さ。ただちょっと、海の上でやるってだけでね」
「ちょっとじゃねぇだろ、それ」
 ささやかな抵抗を試みるも、オバチャンの耳にはカスりもしない。
「あ、そうそうユキ坊、あんた女の子から子羊ちゃんって呼ばれてんだって?」
「ばーちゃん」
「よかったねぇ、あんた無愛想だから誰にも構ってもらえないんじゃないかって心配だったんだけどさ」
「ばーちゃん!」
「この調子で友達いっぱい出来ると良いねぇ、あ、彼女とかも出来ちゃったりして?」
「ばーちゃん!!」
「ん? 何だいユキ坊?」
 しれっと笑顔で首を傾げる祖母に、既に疲労困憊の孫息子。
「……その名前で呼ぶなって……あと、ちゃんは付けられてねーから、まだ」
「うん、時間の問題だね♪」
 ダメだ、この人には勝てない……のはわかってたけど、改めて認識を新たにした。
 祖母最強。
「……で? 結局俺は何すりゃ良いの?」
「おや、引き受けてくれるのかいユキ坊? あんたホントに良い子だねぇ」
 選択肢が「はい」と「イエス」と「OK」しかないのだから、他に返事のしようがない。
 だがそれを用意した張本人は、さも嬉しそうにラックの頭を撫でた——ちょっと背伸びをしながら。
「これで撫でやすいように屈むとかさ、そういう気を利かせるようになってくれたら完璧なんだけどねぇ、そこらへんの気遣いがまだまだだねぇ」
「小遣いくれんなら大人しく撫でられてやる」
「お年玉あげたろ?」
「コイン型のチョコな、ジャラジャラと」
「豪勢だろ?」
「……ああ、うん、もういい……豆まきの説明だけ、頼むわ」
「おっと、そうだったね」

 場所は初詣で泳いだ、あの海。
 木のタライ舟に乗って、神社を挟んで「鬼チーム」と「福の神チーム」に分かれる。
 合図で互いに豆をぶつけ合い、大体3分くらいの制限時間いっぱいまで戦う。
 その場で投げても近付いて投げてもいいが、タライ舟はとんでもなく漕ぎにくい上に非常に不安定で、乗ったままクシャミしただけでひっくり返ると言われている。
 豆をぶつけるというより、タライを狙って投げ入れる感じ。
 終了後、相手のタライの中に入っている豆が多いチームの勝ち。
 自分のタライに入れられた豆が少ないほど自軍に有利なので、わざとタライをひっくり返して全部ぶちまける戦法もあるが、当然自分は海にドボン。
 タライに入った豆を投げ返してもいいが、拾う時にバランスを崩しても海にドボン。
 鬼が勝てば、今年は「チカラこそパワー」な一年に。
 福の神が勝てば「ノリと勢いで幸運を引き寄せる」一年になるという。

「ね、簡単だろ?」
「要は海の上でやる追いかけ玉入れ、みたいなもんか?」
「まあ追いかけっこは多分ムリだろうけどねぇ」
 何しろあのタライ舟は漕いでも進まないしクルクル回るし、あっという間にひっくり返るし。
「……それって海に落ちるの前提なんじゃ……」
「浜辺で見てるギャラリーにとっちゃ、それが面白いんだよ。ま、せいぜい派手に落っこちたまえよ、うん」
「……あの、泳げないんだけど、俺」
「だーいじょぶだいじょぶ、落ちてもすぐタライにつかまりゃいいんだし? それに少しは鍛えられたんだろ、こないだの水泳でさ!」
「とりあえず、浮かべる程度には」
「うん、じゃあ問題なし! どーんと行っといで!」

 どーーーん!

 思いっきり背中を押され、真冬の海へと送り出されるラック。
「あの、これドライスーツとか、そういうのは……」
「男なら褌一丁!」

 ……ですよねー……。


タライ舟に乗って豆まきしようぜ、二月の海で!
以上!


・場所
寒中水泳初詣を行った海(「新年カウントダウン、からの寒中水泳初詣!」の場所)

・服装
水着、またはそれに準ずるもの(見えちゃイカンところが見えない服装)
神事につきドライスーツやウェットスーツなど、神様に「本気度が見えねえよ!」と思われそうな装備は却下

・豆
最初に一升枡に山盛り一杯分が支給される
なくなれば神社(海から突き出た岩礁)に設けられた補給所で補給可能

・タライ舟
直径1mほどの木製のタライ
木製のオール一本付属
鬼チームは赤、福の神は青の塗装

・落下判定
立ち上がる・豆を投げる・重心移動など、何かアクションを起こす都度ダイスで判定
抵抗の数値が偶数か奇数かで判断
抵抗値が奇数なら1D100で奇数が出れば成功、落ちずに済む
偶数なら1D100で偶数が出れば成功
座った状態ならいくらか安定する(ダイスの振り直し可能)
イマジナリーリンクによる「応援パワー」も有効

・復活
海に落ちても投げる豆がある限り何度でも復活可能

・チーム分け
「鬼チーム(赤)」と「福の神チーム(青)」
人数の偏りOK(足りない分はモブNPCで補填)

・掛け声
鬼チーム→「福は外!」
福の神チーム→「鬼は外!」
他、好きなように叫んで良し

・勝敗
終了後の計量で判定
人数に偏りがある場合はチームの平均値×不足人数分を加算
プレイング補正あり(面白い・アホすぎる等、MSの独断による)
なお水分はザルにあげて切る程度(つまり計量自体がわりと適当)

・終了後
計量を終えた豆は料理に使用、豆ご飯などにして参加者に振舞われる

・その他
神事への協力ということでバイト代が支給される


アドリブOKの場合は、想定外のPCさんとの会話や豆バトルが発生する可能性あり
(絶対にNGという場合を除いて、軽いアドリブは常時発生)

※OPや解説で明記されていない部分についての解釈はお任せします
※設定や世界観の範囲内で、ご自由にお楽しみください

お世話になっております、STANZAです。

ルールは一応ありますが、楽しく騒いで海に落ちればOK的なシナリオです。
チームプレイ、妨害、因果応報で自滅など、何でもアリ。

寒中水泳シナリオは場所や雰囲気の確認にどうぞ(未読OK)

なおラックは褌ではなく普通にサーフパンツで「鬼チーム」に参加します。
弄り、集中砲火歓迎。もちろんスルーでも構いません。

では、よろしくお願いいたします。

福の神チームで参加
服装は神事なので褌で。

豆はたらいから落ちて邪魔な人が乗ってないところを狙って投擲。
座ったままで落ちないようにしながら地味に豆入れの数を稼ぐ。

おっこちたらわぷわぷしてぜーはーぜーはーと頑張って戻る

  • アンバランス・グラマラス
    月魅森 恋雫la0029
    人間13才|ネメシスフォース×セイント

■基本情報
・組分:[鬼]チーム
・服装:[上:白][下:赤]の[巫女装束カラーのビキニ]
・特記:[温感クリーム(=[塗る懐炉])]を購入し[下腹部][手首/足首]等に塗っておく

■行動
・[体型(=胸)]の関係上、非常に[重心が高い]為、おそらく[始まってすぐ]に転覆
・後、[自分では確実に転覆する]と結論、[裏返った盥]を[ビート版]の様に使い[泳いで]行動
・[盥]の上に[豆の入った升]を乗せ、片手で[盥]に捕まり、もう片方の手で投げる
・接近したら[升]ごと流し込む
・終了寸前に、何とか[乗れる]か試す

  • 二月の海は泳ぐもの
    カーディスla0046
    ヴァルキュリア10才|グラップラー×スピリットウォーリア

アドリブ歓迎
事前に体が濡れると大変な事になるので防水スプレーをシューっと

水着
耐水ネクタイと猫柄のトランクス水着

【豆鬼2】
鬼は外!猫は内!特に黒猫は内!!
我が鍵しっぽにかけて!黒猫に勝利を!!(目的が迷子

豆まき!頑張りますわ!
ふふーり私の重心は低いので(短足)タライの安定感は抜群です!(多分

豆まき
唸れ!黒猫パワー!!
猫はーうちー!
升に入った豆と一緒に海水を掬い相手のタライへシューーっ!!ですわ(転覆狙い

豆がなくなったら迅速にほじゅーです

  • 空の目
    好野 渚la0076
    人間25才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

「ふむ、これも真の漢になる為の修行か

●行動
【鬼チーム】
水着:若干尺が足りない赤褌(色々危険が危ない
「神事というならばやはりそれに準ずる姿でなければな

最終的にタライの中に豆が無ければいいのであればタライを壊せば豆は入らないのでは?思考に行き着き自チームのタライ破壊に勤しむ(自分含む
「ふむ、POWERこそ力ならば力を示そうではないか!
咲き乱れる赤乱発・レールガンも使用
海に落ちても使用

ラックが溺れているようなら助ける(つもりで追い咲き乱れる赤(うっかりだから仕方ない)
「む、溺れているのか!真の漢として助けねば!
「しまった全力移動で助けるつもりが赤を使ってしまった

  • 夢見る力で世界は動く
    月居 渉la0081
    人間18才|ネメシスフォース×グラップラー

赤【豆鬼1】
潔くサーフパンツのみ。若いから平気…いや寒いだろ(真顔)

身内アドバイス受け、こももんがと連携
「アスハさんは残しておくとヤバいらしい…先に狙っとこう」
※なお狙ったらもっとヤバいという説は意図的に隠された模様
落ちても泣かない

・割箸と輪ゴムで即席パチンコ作り、胡座体勢でアスハ及び【豆鬼2】狙う
・こももんがを肩車して豆を投げさせ、自身は安定姿勢を保つ
ひっくり返りそうなら豆ごとこももんがをブン投げた後自爆
・人のいない方向へレールガンを放ち、反動でタライをサーフボードの如く滑走させ接近
全力で豆をぶちまける

久遠ヶ原の2月の海、半端ないな…と遠い目になりつつ豆ご飯食べる

  • 投擲物
    こももんがla0183
    ヴァルキュリア10才|ネメシスフォース×セイント

赤【豆鬼1】
水着:スク水系なら何でも(
「どうきゅぃ!」
どうもこうもなかった(

敵は青の中でも【豆鬼2】の面子
中でも、アスハって人はヤバい
何でか分かんないけど、本能が叫ぶきゅぃ……
「わたる! あの人は真っ先に潰せって、なんか本能が叫ぶきゅぃ!」
ヴァルキュリアに本能とは(

ヴァルキュリアは身長が低い
つまり!バランスがいい!重心的な問題で!(ドヤァ
とにかく相手の体にぶつけつつ相手のタライの中に豆をぶち込む
え?ぶつける必要ない?気のせいきゅぃ。確実性をとりましたきゅぃ(

わたるに投げられそうなら鳴きつつ相手に特攻
「わたる、こももんがは豆じゃきゅぃぁー!?」

アドリブ歓迎

「前から思っていたが、この国の行事は中々クレイジーだよね」(準備運動しながら)

青チームに参加。
男は黙ってトランクス一丁だ。褌は締め方が分からない。
2月?冬の海??些末事だな(

この行事、とにかく敵も味方も落ちて落とせばいいってとだろう?
なら派手に行こうじゃないか。豆をビニール袋に入れ、己の安全性を一切無視し派手に相手へ投げる。遠けりゃ相手に向かってフレイムロード。桶は狙わず回避や当たった衝撃での転落誘う。
落ちたら敵味方関係なく近くの桶をひっくり返し奪う。なんなら敵チームまで泳いで乗りこみ至近距離から豆を投げる。豆の補充も泳いでいく。
味方が派手に敵を落としたら、タライの中に海水入れて沈めてもいいかもな。サドンデスできちまうよ((

終わった後急激な寒気からの、次の日高熱で寝込むまでがワンセット。

相手の豆は祝福で弾いたりするかもな。たまに(

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

アドリブ絡み歓迎、気合は充分
「大事なのは!ノリと勢いと気合いとビートです!
青チーム所属

寿の文字がプリントされた褌、上は一応さらし巻き巻き
…その、Iは浮かべないので、腕に浮輪だけ着けても良いでしょうか
基本的にはお豆さんを地道にぽぽいぽい投げます
赤いタライ船さんの乗り主さんが落ちた時にタライを横領してしまえば、たくさんいれられる…!?
盗んだタライと自分のタライで走り出します!
心が疲れたりシールドがべっこべこな味方にはスキル使用
「まだ貴方の力が必要なのです!
補給所で出会ってしまった赤チームの人には豆を補充させまいとタックルして海へダイブ
「ここから先はいかせませーん!(どぼーん

観光案内的な名目を上げつつ、観戦
水着はスク水(紺、ゼッケンには「むこうの」と書く)
舟では別記以外は座る

【豆鬼1】【豆鬼2】を中心にスマフォで撮影(ジップロックで防水)して後日出荷用に梱包
(動画データをメール送信でも可)
撮影ポイントは神事前にわちゃわちゃしてるのと最中の乱戦模様、神事後の慰労ムード

他方の動向も観光案内的な「賑やかさ」「楽しさ」「神事の厳粛さ」が伝わる場面であれば撮影
これは別途主催者側にわたす資料なのでお色気は厳禁

鬼】
神事…なら、仕方ない…(こくり

初詣で強くなると決意したので頑張りたい
だが対人恐怖症で、頑張りたいと恐怖が拮抗しテンパる
仙火の声かけに「ひぁいっ!(裏返る声

青和柄サーフパンツ着用
舟には体育座り
味方も苦手年代が多く動きがかなりぎこちない
仙火に守られたのに気づき、頑張らなければと“役”で臨むも
「福はぁ外って言ってるでしょぉ!
選んだ役はテンパってオネェ
更に慌て升ごと投げたり

落水時は津軽育ちの自己暗示発動
最後は味方の豆を減らそうと『~銀』で仙火、ラック+味方1名を狙う
当てる気はなく回避行動で舟をひっくり返す意図
「ご、ごめん…!

計量に家事技
味方分徹底的に水切る

【豆鬼2】福の神チームに参加
水着は黒のサーフパンツを着用
「褌ではなくても行動で本気である事を証明すればいいかな」

訓練目的で参加したけど、なんだか当初想定していた以上の何かが起きそうな予感もする
「こういうのをカオスな予感って言うのかな」(苦笑しつつ)

【豆鬼1】鬼チームのメンバーを重点的に狙い投豆
相手の攻撃は避けたいところだけど、状況的に回避は難しい
なら俺が選べ手段はひとつ
「倒れたり沈められたりするまでの間に、ひとつでも多く豆を投げる事!」
防御を捨てた全力攻撃スタイル

行事が終わったら温かい珈琲を淹れて皆さんに振る舞いたいですね

  • 戦場のActress
    三代 梓la2064
    人間34才|スピリットウォーリア×グラップラー

◆心情
頑張る……さっむ!やっぱり主催者の正気を疑うわコレ

◆行動
本気で特殊メイクする
女優上がりの本気、見せてあげるわ(
船幽霊のコスしてたらい舟に乗り込む
外見的にはさらし巻きに薄手の木綿襦袢
まっすぐ補給場までタライを押して泳いで行って、タライいっぱいに豆を補給する
オールは邪魔だからポイ
あとは手近な相手チームのタライに枡で豆を移し替える
「うらめしや〜〜──じゃない、鬼は〜外!」

寒いから多分震えてる
唇もちょっと血色悪いかもしれない
それも……雰囲気でしょ?(もはや肝試し)

負けそうになったらタライごと相手にぶちまける

こぼれたら掬って塩豆にして食べる

アドリブ等歓迎

福の神チーム
【心情】「ホホウ・・・中々に珍妙な行事ですな?」
フクロウの体型に合わせてオーダーメイドした水着を身に纏い、首をクルクル回す
【目的】水上豆合戦
【行動】
タライの真ん中に腰掛け、翼を広げて風を受けヨットのように推進
敵チームが接近して来たら翼でタライをガードして相手が転倒するのを待つ
転倒したら相手のタライを回収、自分の豆とマス一杯の海水を投入してからタライを放流する
「福は内・・・ですかな?」
またヨットモードになって神社へ向い、豆を回収

以下、これを繰り返す

終了後、豆を齧りつつ
「・・・ホウ?豆を投げるのを忘れていましたな」

  • 弱点看破
    Canonla2422
    放浪者19才|スピリットウォーリア×グラップラー

鬼チームで参加
服装は裾縛りのシャツとショーパンの水着

バランス悪かろうと盥の上で堂々と仁王立ちしてる
ルールはふわっとしたとこだけ認識して敵に豆ぶつければいいという思ってる
バランス保てる限りは全力で振りかぶって豆を相手に投げつける
「福は…あー…何だったか?ま、いいや。死ねオラぁ!

バランス崩したら盛大に水柱上げる位盛大にひっくり返って敵味方問わず巻き込む
浮上する時に盥に復帰しようとして近くの別の人の乗ってる盥ひっくり返す(本人に悪気はない
「ん?あー、悪ぃ悪ぃ間違ったわ

アドリブ歓迎

  • 白の守護者
    音切 奏la2594
    放浪者17才|ゼルクナイト×セイント

【福】
水着はビキニ(パッド付(貧乳気にしてる

舞踊を活かしタライでバランスとる
鬼チームの仙火様は因縁のライバルです!(一方的
「仙火様の活躍もここまでですわ!私にやられてしまいなさい!」
ロードリーオーラに決めポーズで仙火様に宣戦布告
(注目集めて袋叩き(だが得意気
「ふふっやはり姫である私は目立ってしまう運命!!」(さらに決めポーズ(どぼん
仙火様に救出されて悔しがり
「姫若様は私にリンクしてくれましたので実質私の勝ちでは!愛は私が受け取りました!!」(寒い(半泣き(負け惜しみ

チームが負けないよう射程内仲間のタライそばにエクストラバッシュ
波を起こして仲間ひっくり返し計測不能とす

  • 夜桜佳人
    アキレイアla2618
    放浪者16才|グラップラー×スピリットウォーリア

海での勝負か。斬り合うわけではないが、これはこれで楽しめそうだな。
しかし水着とやらを身に付けなければならないようだが…
まぁ、これでいいだろう(衣服を脱ぎ、さらし・ふんどしで参戦)

まずは基本に忠実に、例の掛け声と共にタライへ豆を投げ入れるか。
落下後はタライに掴まり、少し海というものに慣れておこう(あまり泳いだ経験がない)
味方チームのタライに入っている豆の数は、投げ合いながらも可能な限り把握しておくか。
終了が近づいたら、豆が多く入っている味方の後ろまで泳いでいき、勢いよくタライを引っくり返して回ろう。

  • 煉獄を征く者
    志多 龍一la2673
    人間31才|スピリットウォーリア×スナイパー

鬼チーム(赤)所属

ふざけたイベントだ、だがまぁ勝ちゃいいんだろ?

▪️準備
ハンドスピナーを褌内に仕込む

▪️行動
ターゲットはEXIS未装備で単独行動している相手
接近の後、ハンドスピナーで殴りかかりタライを強奪、あわよくば気絶させる
自身のタライは破壊
威力不足ならパワクラ使用
味方に奪ったタライに豆を入れさせる。不足する場合は補給場まで行き、補給しつつ豆を入れまくる
海に落ちた場合は泳いで行動、余裕ある時だけタライに復帰
敵から妨害あれば奪ったタライ死守専念、味方に協力要請
終了間際、負けてそうなら味方にパワクラして豆を海に全部落とす

アドリブ歓迎

>ジムで鍛えた成果を示せと母が勝手に参加登録を<

◆普通の水着&上着@鬼チーム
空に浮かべたリンク元の旧知の友に生還を誓う‥が筋肉に釘付け
「なっ、何だあの筋肉…強そう…かっこいい…

ラックを身を挺して守る&豆バトル
「ラックさん、宝探しでは母さんが迷惑かけたね…何があろうと君を守るよ
「帰りたいッ!」/掛け声

途中でタライ内の豆に気付き慌てて捨てる
味方に同行動を勧める…がオールで偶然にも敵・味方ごと物理的解決をしてしまう
謝罪後両名を保健所連行

心情
「ワナパクの奴…本当なんだろうな…命の危険を感じるんだが…」

準備
褌に着替え、入念に準備体操

行動
鬼チームで参加
「ははは!やるからには全力だ!チカラこそパワーだ!!」
座った状態で両手の指で豆を弾き乱射
相手チームが密集しているなら、掌いっぱいに豆を握り、腰を思い切り捻り、振りかぶって散弾銃のようにぶん投げる
※海に落ちても構わない覚悟で全力投球
「褌x炎帝x握力=豆散弾!!!!」
最終手段は、落ちても豆さえあれば復活できるというルールを逆手に取り、1つだけ残し全部の豆を持って近場の敵チームタライへダイブし、至近距離から全豆をタライに投げ入れる※バスケのダンクシュートの要領
「これが!炎帝豆ダイブだぁぁぁ!!」

終了後は暖かい恰好で豆料理を食べる。
「なぁ…最初から食うだけじゃダメだったのか?死ぬかと思ったぜ…。あとワナパク!全然怪我治らねぇじゃねぇか!」
楽し気に笑い文句を言う

ラックに花名三人衆との話を聞き爆笑←
「俺がお前に振られたなんて信じる奴がいたのかよ!
「お前、楓に遊ばれてんなぁ
ま、あいつらが迷惑かけたみたいだしな。今回は子羊君を助けてやるぜ?


千隼に笑顔で「同じチームか?よろしくな!
ラックと千隼をアリーガードで守る
狙ってきた敵には逆に気合で近づいて宵闇斬→集中攻撃
テンパる千隼に驚く

奏は何だか楓をかなり気に入ってんだよなー(男だと思ってる事は知らない
何故か「貴方には負けませんからね!」って言われたし、ここは受けて立つぜ!
豆を投げようとするが自滅する奏にぽかん
「だ、大丈夫か…?」気遣い救出

千隼の銀でラックと落下し「何すんだよ!(汗

役:救急班
溺れた人等を救急ちゅー命します

◉準備
各種味のリップクリーム
錆防止のサンオイル

◉行動
・溺れた人⇒人工呼吸
特に口はありませんが、空気送風部に唇状にリップ
ぶちゅー
檸檬・苺・葡萄・蜜柑味と各種味を揃えてます

・冷えた人⇒ボディ暖め寄り添い
起きた時にはシーツでボディ隠しておよよっ
初めてだったのに……寝取られ感

・怪我した人
テントの中で治療
外からは怪しい光や機械音
中ではまっとうな治療?

溺れる人が居ない(動きが硬直している)と
海岸から岩をタライに向けて投げて沈めてみましょう
仕事がないと暇なので
イレギュラー攻撃です

  • ぽんこつふれんず
    ワナパクla2874
    放浪者14才|スピリットウォーリア×グラップラー

【準備】
所属:福の神チーム
服装:虎縞のチューブトップと腰布

福の神チームなのに虎縞。深く考えていない。戦いがワナパクを呼んでいる。

「さあさあ合戦ぞ!我に豆を当てられる猛者は居るか!?」
タライの上で立ち上がりビシッとポーズを決める。(または決めようとして落ちる)

豆は基本的に人を狙って投げつける。豆の力がケガを治すというマンガの知識を鵜呑みにしているため、特にケガ人を狙う傾向がある。
「鬼め、喰らうが良いわ!どっせえええええい!」

海に落ちてもすぐ這い上がりゾンビのように復活する。

  • 愛を知らない伝導者
    アイリスla2888
    放浪者18才|スピリットウォーリア×グラップラー

アドリブOK
心情
……2月に、水上なんですね
よくわかりませんが、この世界は突拍子もないことをするんですね……
服装
ラバー製スイムスーツ(首から足の付け根まで)+眼帯

【豆鬼1】
あの赤いの(A・R)はなんかむかつきます

豆は補給可ならば……
モブたちの後ろについてって接近

モブと敵陣PCが戦い始めたらモブを壁に
「一発一発戦うなど、面倒です」
升を敵(A・R)に向かって大きく振りかぶり、豆を一斉掃射
「福は外!」

一発投げたら補給地点に戻って補給
を繰り返す

終了後
「悪は滅びました……」
福ですが…勝敗など関係なく

豆ごはん美味しいです
もっきゅもっきゅと大量に食べます

なんで久遠ヶ原と名の付く場所は、どこも”こう”なんだ…?

鬼チーム所属。

自分のタライにビニール袋を敷く。
袋の口を広げ、タライに投げ入れられた豆がその袋に入るように。
競技開始したら、落ちたくないんで大人しくして、わざと豆を受ける。
終了直前になったら、袋ごと中に溜まった豆をまとめて相手チームのタライに投げる。
これのどこが豆まきだって? そんなの知ったこっちゃない!(ぁ
(そして、重い物投げたらきっと大きくバランス崩れる)

豆だけだと味気ないから炊き込みご飯にしよう。
(豆ご飯を炊く容器のうちいくつかに、予め準備してた野菜や調味料なども入れる)

アドリブOK

  • アメージングすしや
    A・Rla3033
    放浪者54才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

全編アドリブ

「2月の海か…何もかも懐かしい…」(白い褌たなびかせて唇真っ青)

福の神チーム
【豆鬼2】
豆が残っているなら落ちてもセーフ‥つまり!!タライをボード代わりに泳げばOK!!
タライに豆を一杯詰んで、敵味方問わず豆を売り渡す、戦場を渡り歩く死の商人ならぬ豆の商人化
「豆―豆はいらんかねー早く来ないと逝っちゃうよー」
【豆鬼2】の仲間が沈みそうなら、豆を渡して復活を促す。
試合終了直前には乗ってる豆を全部鎮めようとするけどきっと邪魔される

豆鬼1のメンツがいれば、魂が敵だと叫んでいるレベル。
沈むときは親指を立てて溶鉱炉に沈むように
アイルノットバック

 その日、空は青く晴れ渡り、陽の光は遮るものもなく地上に降り注いでいた。
 しかし上空にはこの冬一番と言われる猛烈な寒気が居座っていたのだ。
 そして容赦なく吹き付ける北風。

 つまり寒い。
 めっちゃ寒い。

 なのに、何故に彼らは殆ど裸に近い格好で浜辺に立ち、ガタガタと震えているのか。
 決まっている、ここが久遠ヶ原だから——ではなく、神事だからだ。

 そう、神事なのだから仕方がない。
 相手は神様なのだから、どんな無茶振りでも受けて立つしかないのだ。
 それを超えた先にある、かもしれない、御利益のために。

 だが、それでもやはり……思わざるを得ない。
「なんで久遠ヶ原と名の付く場所は、どこも『こう』なんだ……?」
 そう呟いた、詠代 静流(la2992)のように。

 静流は諦めと投げやりに懐かしさのスパイスを効かせたような眼差しを海に向ける。
 名は体を表すとは、こういうことを言うのだろうか。
 こうだから久遠ヶ原なのか、久遠ヶ原と名付けられたからこうなったのか、因果関係は定かではないが。

 或いは白い褌を北風にたなびかせ、唇を真っ青にしたA・R(la3033)——アスハが、ガチガチと鳴る歯の隙間から零したように。
「2月の海か……何もかも懐かしい……」
 初めてなのに懐かしい、知らないはずなのに知っている。
 それは魂の奥底に刻まれた本能。

 そう、全ては久遠ヶ原に始まり久遠ヶ原に還る。
 久遠ヶ原こそが始原の存在、母なる海。
 つまり目の前に広がるこの海そこが久遠ヶ原。
 ならばその懐に抱かれることに何の躊躇いがあろうか。

 寒い?
 気のせいだ。



●選ばれし者たち・鬼チーム

「神事……なら、仕方ない……」
 浜辺に立つ各務 千隼(la0276)は、決意を込めて小さくひとつ頷いた——つもりだったのに、その頷きは「こくり」とひとつでは終わらなかった。
 こくり、こく、こくこくかくかく……がくがくぶるぶる。
 気合で律し、寒風の中でも青い和柄のサーフパンツ一丁で微動だにせず立っていたその体は、頷く動作ひとつで脆くも崩れ去った。
 動くことを許された筋肉は、全力で振動することによって死に物狂いで体温を上げようとする。
 それくらい、寒かった。
 初詣で泳いだ時を軽く上回る寒さだ。
 しかし、あの時に決意したのだ。
 強くなると。
 だから頑張る、頑張り、たい、けど。
(……人……多い……)
 人数そのものは初詣の方が多かったけれど、あれは個人参加だからまだ気が楽だった。
 しかし今日は団体戦、しかも見知った顔もちらほら見かけるから無視を決め込むわけにも——
「よう、千隼も同じチームか? よろしくな!」
「ひぁいっ!」
 不知火 仙火(la2785)に笑顔で声をかけられ、裏返る声と一足先に泳ぎまくる視線。
「悪い、脅かしたか?」
「あ、いや……これは、その……」
 頑張りたい気持ちとおうち帰りたい気持ちが拮抗してテンパってるだけです。
「そういや千隼は会うの初めてだっけ? こいつラック、同じチームだからよろしくな」
 雑に紹介されたラックは、少し引き気味になりながら「あ、ども……」と小さく頭を下げる。
 その様子は噂に聞く傍若無人で豪快なイメージとはだいぶ違っていた。
 仙火にはそこそこ慣れているようだが、自分や他の者に対する態度はぎこちない。
 特に同年代が相手だと、男女を問わず口数少なく逃げ腰になるこの感じには覚えがあるどころか、今まさに自分がそれで。
 ラックの中に相通じるものを感じた千隼の脳裏で、アイドルっぽい謎の歌がリピート再生される。

 きっと二人は似た者同士、感じるシンパシー交わすチラ見♪
 だけど声はかけられないよ、だって僕らシャイなボーイズ♪

 ぐるぐる回るフレーズを打ち砕いたのは、仙火の笑い声だった。
「俺がお前に振られたなんて信じる奴がいたのかよ!」
 何かがツボに入ったらしく、腹を抱えて笑っている。
「つーかさ、子羊君って……お前、あいつに遊ばれてんなぁ」
 仙火はひとしきり笑うと、目尻に滲んだ涙を拭いてラックの肩を叩いた。
「ま、あいつらが迷惑かけたみたいだしな。今回は子羊君を助けてやるぜ?」
「迷惑、とかじゃねーけど……だからおたくまで子羊とか呼ぶなっての、助けてくれんじゃねーのかよ」
「助けるぜ? 今回の豆まきでは、な!」
 だが花名三人娘から助けるとは言ってないし、助けられるとも思えない。
「ま、そこは諦めろ」
 まだ何か言いたげなラックの頭をぽんぽんと叩き、仙火は羽織っていた上着を脱いで準備運動を始める。
「ほら、ラックも千隼も準備運動は念入りにしとけよ! どうせ海には落ちるんだからな!」
 なお二月の海で泳ぐことに関しては特にコメントはないらしい。
 だって久遠ヶ原ですもの。
 潔く海パン一丁になったその背に——
「ん? 誰か見てんな?」
 突き刺さる視線に振り返れば、音切 奏(la2594)が「貴方には負けません」オーラを全開にしてガンを飛ばしていた。
「そういや俺、なんかあいつにライバル視されてんだけど……なんでだ?」
 仙火としては全く心当たりがない。
 奏が自分の幼馴染を随分と気に入っていることには気付いていたが、彼女を男だと勘違いしていることなど知る由もなかった。
「ま、なんかわかんねーけど勝負しようってんなら受けて立つぜ!」
 その言葉にサムズアッップで答えた奏は、立てた親指をゆっくりと下に向ける。
 ボッコボコにしてやんぜ、という意思表示だった。

「ワナパクの奴……本当なんだろうな……命の危険を感じるんだが……」
 褌一丁で入念に準備体操を行うヴォルフガング・ブレイズ(la2784)の動きは、どこかギクシャクとぎこちない。
 それもそのはず、彼は今、本来ならば病院のベッドで安静にしていなければならない状態なのだ。
 それが何故、こんなところで寒風に晒されているかと言えば——
「知っておるか、炎殿。この豆というものには人の怪我を治す不思議な力があるのだぞ」
 きっかけは、ワナパク(la2874)のその一言だった。
 ヴォルフガングは知らない、それがとある漫画の描写を鵜呑みにしたトンデモ知識だということを。
 だから信じた。
 豆にはどんな怪我人でも全快させる不思議な力があると。
 それなら普通に豆を食べれば良いとお思いか。
 しかし普通の豆にそんな力がないことくらい、ヴォルフガングも知っている。
 だからきっと、この神事で投げられた豆にこそ神の力が宿り、特別な豆として効力を発揮するのだ。
 そうに違いない。多分、きっと。
「神は自ら助く者を助くと言うからな」
 助かる前に死にそうな気もするけど、きっと気のせいだ。
「信じてるぞ、ワナパク……」
 信じて、良いんだよな?

「ふむ、これも真の漢になる為の修行か」
 真の漢を目指す好野 渚(la0076)の腰には、きりりと締めた赤褌。
「神事というならばやはりそれに準ずる姿でなければな」
 褌の緩みは心の緩み、キツめに締め上げれば心も体もシャキッと引き締まる。
 若干尺が足りない危うさはあるものの、万が一の場合は事故で許されるはずだ、多分。

 事故と言えば、シグニット・ミッドフォード(la2773)の参加理由は事故のようなものだった。
「ジムで鍛えた成果を示せと母が勝手に参加登録を……!」
 ごく普通のシンプルな水着の上から上着を羽織り、しっかりと前をかき合わせたシグニット。
 かたくなに肌を見せようとしないのは、ジムで鍛えた成果がイマイチだったせいか、それとも単に寒いからか。
 両の手で腕をさすり足踏みをして、カチカチと歯を鳴らしながら見上げた空に浮かぶ、雲よりも白い歯を光らせた友の姿。
「かか、必ず……生きて……かか、帰る……、……ん?」
 見上げるうちに、アイコンのように顔だけだったイメージがバストアップからウェストアップに、果ては全身図までアップグレード。
 空に浮かんだ友は、諸肌脱いで——
「なっ、何だあの筋肉……強そう……かっこいい……」
 ぽわ〜ん。
 そう、チカラこそパワー、筋肉こそ正義!
 友の筋肉に魅せられたシグニットは、豪快に上着を脱ぎ捨てる!
「——さむっ!!?」
 見上げた空はただ、冷たく晴れ渡るばかりだった。

「とにかく敵に豆ぶつければいいんだよな!」
 Canon(la2422)は裾を縛ったシャツにショートパンツ姿での参戦だった。
 大丈夫、ルールは確認した——ふわっと大雑把に、なんとなく。
「こまけーことはいいんだよって、そーゆーヤツだろ、コレ?」
 はい、その通りでございます。

「ふざけたイベントだ、だがまぁ勝ちゃいいんだろ?」
 志多 龍一(la2673)は、金糸に龍の刺繍が踊る派手な褌を身に着けていた。
 風に舞う前垂れの背後にちらりと見え隠れする股間は、かなりご立派な様子に膨らんでいる。
 しかし、その形はどう見ても本来の中身ではない、ような。
 そう、彼はそこにハンドスピナーを隠し持っていたのだ!
「EXISの装備禁止とは言ってねぇよな?」
 だが堂々と持ち込むことは避けた、この謙虚な態度。
 周囲への配慮と神への畏敬の念を忘れない、龍一は紳士である。
 騙し討ちしたいだけとか言うな、気付いてても言うな。

「海での勝負か。斬り合うわけではないが、これはこれで楽しめそうだな」
 アキレイア(la2618)には、水泳という行為に親しんだ経験が殆どない。
 だから真冬の海で泳ぐといわれても、そういうものかと素直に受け入れていた。
「しかし水着とやらを身に付けなければならないようだが……」
 そんなものは着たことがないし、もちろん持ってもいない。
 だが周囲を見渡せば褌姿の男衆がちらほらと。
 なるほど、あれなら和装愛好者として日頃から慣れ親しんでいる。
「まぁ、これでいいだろう」
 下は褌、上はさらし。
 これぞ伝統的な和の水着だ。

「これならきっと、寒くないはずですね」
 月魅森 恋雫(la0029)は、上は白、下が赤の巫女装束カラーのビキニを身につけていた。
 だが、それだけではない。
 彼女は他に、目には見えないステルス水着を纏っているのだ。
 その正体は下腹部や手首、足首など肌の露出部に塗りたくった、コンビニで手に入れた温感クリーム。
 本来それは手足の先など冷えやすい部分に塗り、血行を良くすることによってじんわりと温める効果を狙ったものだ。
 塗った上から靴下や手袋などを着ければなお効果的だろう。
 だがクリームそのものが熱を持つわけではないし、冷気を遮断する効果があるわけでもないし、ましてや防水効果があるわけでもない。
 それでも。
「想定される用量の三倍くらい塗れば、きっと……」
 注意書きに「用法・用量を守って正しく使いましょう」と書かれていた気もするけれど、世の中は正しさだけでは出来ていない、それが現実。
 時には掟破りの冒険も必要ですよね。

「……これで良し」
 静流は自分のタライに何やら細工を施していた。
 と言っても大きなビニール袋を広げて敷いただけで、防水加工というわけでもなさそうだ。
 その細工に何の意味があるのか、効果のほどは?
 答えはこのあとすぐ!


●選ばれし者たち・福の神チーム

「っくしゅ!」
 ワナパクが盛大にクシャミをしたのは寒さのせいか、それとも敵味方に分かれた友が何かを噂しているのか。
 ま、どっちでもいい。
 虎縞のチューブトップと腰布という出で立ちで、ワナパクは海に向かって立つ。
 深く考えずに選んだそのコーデはどう見ても鬼だし、実際に額から角も生えているが、所属は福の神チームだ。
「戦いが我を呼んでいる!」
 だが、これは敵を滅ぼすための戦いではない。
 救うための戦いだ。
「豆にはケガを治すチカラがあるのだからな!」
 信じるものは救われる、多分。

「ひえ、さむいなあ。これが神事っていうんだからこの国も変わってるなあ」
 アシュレー・ウォルサム(la0006)は、寒さに震えながら開始の合図を待っていた。
 神事だからと褌一丁で気合を入れる、その心構えや良し。
 だがひとつ、訂正させていただきたいことがある。
 変わっているのはこの国ではない。
 この国の中の、久遠ヶ原学園というごく限られた一部が、ほんの少し変わっているだけなのだ。
 そう、ほんの少しだけ、ごく僅かに。

「前から思っていたが、この国の行事は中々クレイジーだよね」
 準備運動をしながら呟く「男は黙ってトランクス一丁」のケヴィン(la0192)は、本当は褌でキメたかったけど締め方が分からなかった。
 いや、だから違うって、クレイジーなのはこの国じゃなくて久遠ヶ原……それも、ほんの少し変わってるだけなんだってば。
 まったく、この風評被害はどこから来たのか。
 なんですと、風評じゃなくて事実?
 そんなはずは……!

「大事なのは! ノリと勢いと気合いとビートです!」
 だから桜壱(la0205)は福の神チームに決めた。
 福の神らしく寿の文字がプリントされた褌に、上には一応さらしを巻いて。
 気合い充分な桜壱はしかし、ちらりと不安げな視線を主催者に向ける。
「……その、Iは浮かべないので、腕に浮輪だけ着けても良いでしょうか」
 いいよいいよ、出来ないものを無理にやれとか、神様そんな無茶言わないからね。
 サポートや道具があれば出来ることなら、大いに利用すべし。
 というわけで、腕と言わず胴体に、がっつり救命用の浮き輪を装備した桜壱は、もしもの時の救命ボート的なことも出来ます、多分。

「頑張る……さっむ!」
 颯爽と表明した三代 梓(la2064)の決意は、開始前に光の速さで逃げ出した。
「やっぱり主催者の正気を疑うわコレ」
 なお元旦の寒中水泳を経験してなお冬の海に挑もうとする己の正気は、つゆほども疑っていない模様。
 そんな彼女は、毛布を体に巻きつけて頭からすっぽりとフードを被っていた。
 寒いからではない……いや、寒いけど。
 それよりも、今はその身を隠さねばならぬ深い事情があるのだ。
「女優上がりの本気、見せてあげるわ」
 乞うご期待!

「ホホウ……中々に珍妙な行事ですな?」
 ミューズ=デ=シャルヴィール(la2307)は、フクロウの体型に合わせたオーダーメイドの水着を身に纏い、首をクルクル回していた。
 全身を羽毛で覆われた鳥型獣人に水着は必要なのかと疑問に思わないでもないけれど、律儀に対応していただきありがとうございます。
 どんな水着か想像もつきませんが、きっとフクロウ紳士に似合うダンディな一品なのでしょう。

 そして仙火にガンを飛ばしていた奏は、胸部装甲を若干補強したビキニを着用していた。
 別にそこが薄いことを気にしているわけでは……!


●選ばれし者たち・豆鬼と救急班

 向野・A・黒子(la0227) は胸に「むこうの」と書かれたゼッケンが付いた紺のスク水に身を包み、わちゃわちゃしている「豆鬼」達にビデオカメラを向けていた。
 豆鬼とは、一応は神事として鬼と福の神に分かれて参加しているものの、実際はある特定の人物や集団しか目に入らない、そんな参加者たちのことである。

「どうきゅぃ!」
 鬼チーム所属の豆鬼、こももんが(la0183)はそのデフォルメされまくったももんがの着ぐるみボディをスク水に包み、得意げに胸を張る。
 その姿は……どうと言われても、どうもこうもなかった。
 うん、よく考えたら着ぐるみボディに水着はいらないよね、ごめん。
 でも意外とこういうジャンルもアリかもしれないよ?

 月居 渉(la0081)は潔くサーフパンツのみで、北風吹きすさぶ冬の浜辺に立っていた。
 開始までは上着を羽織るなどして防寒対策を取る者もいるが、渉はそんな軟弱なことはしない。
「余裕余裕、若いから平気……いや寒いだろ」
 前言撤回、ちょっと毛布かぶっていいですか。
 一瞬で凍りついた表情は笑顔のまま、真顔になりたくても表情筋が動かない。
 それくらい寒い。
 なのにこれから海に入るとか有り得ないんだけど、なんでみんな平気な顔してるの?

「……2月に、水上なんですね」
 アイリス(la2888)は首から足の付け根まで覆うラバー製のスイムスーツに身を包み、右目をいつもの眼帯で覆っていた。
「よくわかりませんが、この世界は突拍子もないことをするんですね……」
 ああ、ここでもそのような誤った認識が。
 ノットこの世界、イエス久遠ヶ原。
 久遠ヶ原がおかしいのは……はい、その通りですね。

「豆まき! 頑張りますわ!」
 福の神チーム所属の豆鬼、カーディス(la0046)もまた水着が必要ないタイプだった……が、きちんと猫柄のトランクス水着を着用している。えらい。
 胸元には耐水ネクタイが揺れている。お洒落さんだ。
 そして黒い毛並は防水スプレーの効果でピカピカツヤツヤに輝いていた。
 そのぬいぐるみボディは水を含めば確実に沈む。
 しかし、だからといって一瞬たりとも参加を躊躇うことはなかった。
 何故なら魂が叫んでいるから。
 本能が泳げと命じているから。
 防水スプレーが仕事をしてくれると信じているから。

「褌ではなくても行動で本気である事を証明すればいいかな」
 各務 与一(la0444)は黒のサーフパンツで戦いに挑もうとしていた。
 彼にとって、これはあくまで訓練の一環……だったはずなのだが。
 何故だろう、なんだか当初想定していた以上の何かが起きそうな予感もすると苦笑する。
「こういうのをカオスな予感って言うのかな」
 それはきっと、当たっている。

 心に二月の海が棲む男、アスハもまた福の神チーム所属の豆鬼だった。

「以上、チーム豆鬼の紹介でした」
 黒子が解説のナレーションを入れる。

 そして救急班には殺戮機械バーサーカー(la2836)。
「私がいるからには何も心配はいりません。どうぞ心置きなく溺れてください」
 溺れないなら沈めます、仕事がないと暇ですからね!



●合戦の時、来たる

 久遠ヶ原神社を挟み、海に浮かんだ赤と青のタライ舟。
 名もなきモブを含めた両陣営が配置を終えると、神事に相応しく法螺貝の音が響き渡る。
 それを合図に、左右から一斉にタライ舟が押し寄せ……押し寄せ、ない。
 波と風に翻弄され、木の葉のように舞うタライ。
 そして開始三秒で最初の犠牲者が!

「……きゃっ!?」
 恋雫はタライの上でなるべく重心を低くして座っていた。
 だがそれでも、安定を得ることは出来なかったのだ——その胸部装甲ゆえに。
 タライ舟は逆さに置いた起き上がり小法師のように、あっという間にクルリと反転、恋雫はあえなく真冬の海に放り出された。
 大丈夫、温感クリームがあるから寒くな——
「普通に、寒いです……!」
 まあこれで寒さを感じなかったら神様に「本気度が見えねぇ!」とお叱りを受けそうだから、神事としては結果オーライ。
 恋雫は慌てて舟に戻ろうとするが、何度か試したところで潔く見切りをつけた。
「これはどうやっても確実に転覆しますね」
 胸が重すぎるせいで重心が高く、揺れない地面の上でも足元が不安定になることがあるのだ。
 タライに乗って無事でいられるはずもないと、早々に悟った恋雫は水上への復帰を諦めた。
 その代わりに。
「このまま伏せておけば、空気をたっぷり含んで良いビート板になりそうですね」
 とりあえず、まずは転んだ拍子にぶちまけた豆を補充しなければ。

(……大きすぎるのも、それはそれで大変そうですわね……)
 敵陣からその様子を見ていた奏は、自分の控えめな胸にそっと手を当てる。
 小さくて良かった、ひんぬーばんざい——なんて思うか!
 高さが欲しい、せめてビキニのブラにパッドの入る余地がなくなる程度には。
(ああ、でも……)
 姫若様が『小さくて可愛いね、僕は好きだよ(きらりんっ』などと言ってくれたなら。
 それでこの胸は唯一無二の最適解となれるのだ。
(そのためには、やはり……)
 奴を倒さねばならぬと、奏は炎の眼差しを仙火に向ける。
 あの因縁のライバルさえ倒せば、全てが丸く収まるに違いない。
 恋する乙女の思考回路は短絡にして複雑な混戦模様。
「仙火様の活躍もここまでですわ! 私にやられてしまいなさい!」
「いや、俺まだ何も……」
 ロックオンされた仙火は未だに進行方向が定まらないタライ舟と悪戦苦闘の最中で、とても豆を投げる余裕などない。
「いいえ、仙火様のこれまでの全ての所業に対してですわ!」
 そんな無茶な。
 しかし乙女の暴走は止まらない。
 姫の嗜みとして身につけた舞踏スキルでバランスをとり、タライの上で仁王立ち!
 ロードリーオーラに決めポーズで、豆の代わりに宣戦布告を叩きつける!
 しかし、それは周囲の敵の目も惹きつける諸刃の刃。
 四方八方から飛んでくる豆、豆、豆!
「ふふっやはり姫である私は目立ってしまう運命!!」
 得意になって更に華麗なるポーズを決めようとする奏、しかしコメディの神はそんな美味しいチャンスを見逃さなかった。
 どぼーん!
「……なんなんだ、あれは……」
 一連の出来事を茫然と見守りつつも、良い的が出来たと容赦なく豆を投げつけようとしていた仙火は、途中でその手を止めた。
「だ、大丈夫か……?」
 武士の情けと救助の手を差し伸べようとする、が——

 ここは戦場、情に流される者に勝機はない。
「2月? 冬の海?? 些末事だな」
 開始五秒でタライに乗ることを諦めたケヴィンが、仙火の背後からするすると近付いて来る。
 本人はタライの陰に隠れるように泳いでいるため、遠目には無人のタライが流されているようにしか見えないが。
 海中から伸びた手が、タライに入った豆に伸びる。
 その豆は小さなビニールに小分けされていた。
(そう、普通に投げたんじゃ豆がばらけてエネルギーのロスが大きくなる……だが、これなら!)
 散弾銃より狙撃銃の方が一発の威力が大きく射程が長いのと同じ理屈だ、多分。
(この行事、とにかく敵も味方も落ちて落とせばいいってことだろう? なら派手に行こうじゃないか)
 己の安全性は一切無視、いやもう落ちてるから何も怖くない!
「喰らえ、鬼はーそとぉ!」
 豆袋は仙火の後頭部にクリーンヒット!
「でっ!?」
 だが仙火は運と根性でその衝撃を耐え、タライ舟の安定を維持する。
 そして未だ自ら上がれずジタバタしている奏に手を差し伸べた。
「ほらよ、掴まれ」
 素直に助けを受けた奏は自分のタライの上で蹲り、半泣きになりながら歯をガチガチ鳴らして虚勢を張った。
「姫若様は私にリンクしてくれましたので実質私の勝ちでは! 愛は私が受け取りました!!」
 負け惜しみである。
 しかし何だろう、この威嚇するレッサーパンダのような可愛らしさは。
 うん、さすが姫にございます。

「さあさあ合戦ぞ! 我に豆を当てられる猛者は居るぶはぁっ!?」
 タライの上で立ち上がりビシッとポーズを決め、ようとしたワナパクは、豆に当たるまでもなく自滅した。
 だが、ワナパクは不滅だ!
 海に落ちてもゾンビのように何度でも蘇る、この額に輝く一本角がある限り!
「む、怪我人発見!」
 タライに這い上がったワナパクは、ヴォルフガングの姿を見つけて立ち上がり——どぼん!
 もう一度這い上がり、今度こそ!
「鬼め、喰らうが良いわ! どっせえええええい!」
 そしてその怪我を治してから再び我に挑戦——どぼん!
「ふははははは! 勢い余って自滅とは、なんとも情けない姿ではないかワナパクよ!」
 豆とはこうして投げるものだと、ヴォルフガングはタライに這い上がったワナパクに向けて豆を撃つ——具体的には、どっかりと座ったまま両手の指で豆を弾くという方法で。
「ははは! やるからには全力だ! チカラこそパワーだ!!」
 見よ、この指マシンガンの威力!
「笑止! その鼻○ソを弾くような攻撃の、どこが全力であると申すか! そうか、やはりまだ怪我が癒えておらぬのだな!」
 しかし安心するが良い、この豆を喰らえばたちどころに全快するであろう!
「だから大人しく食うが良い!」
 そう、これは敵に塩を送るにも等しい行為。
 しかしそんなワナパクの優しさは、容赦ない反撃によって封じられてしまった!
 ヴォルフガングは掌いっぱいに豆を握り、腰を思い切り捻り、振りかぶって——
「褌x炎帝x握力=豆散弾!!!!」
 海に落ちても構わない覚悟の全力投球は、ワナパクとその周囲に群がるモブを巻き込み散弾銃のように炸裂!
「ぐぬぬ、人の心がわからぬとは、さすが鬼!」
 しかしその報いか、鬼は海にドボン!
 その頭上から追い討ちをかけるように降り注ぐ豆の雨! ※治療行為です

「ふむ、POWERこそ力ならば力を示そうではないか!」
 渚は考えた。
 力を示すにしても、示し方というものがある。
 闇雲にひけらかすだけでは効果が薄いケースも多い。
 まず、何のために力を示すのか。
 決まっている、勝利のためだ。
 では勝利のために示す力とは何か。
 この戦いの勝利条件は?
「最終的に自軍のタライの中に豆が無ければいい、ということだったな」
 ならばガードを固めることで、その目的は達せられよう。
 しかし専守防衛で力を示すことが出来るのか。
 それに、どんなに固く守ったところで流れ豆のひとつやふたつは入ってしまうだろう。
「……そうなると、やはり……」
 これしかない。
 結論に達した渚は、隣に浮かぶ赤いモブタライに向けてフォースアローずどーん!
 そう、タライを壊せば豆は入らない!
 なんという確実で合理的な判断!
「すまんな、これも勝利のためだ——泳げ!」
 ずどーん!
 心を鬼にして自チームのタライ破壊に勤しむ渚。
 なお特に注意書きがない限りスキル使用の際に反動は生じない……ということを、寒中水泳で学習した。
 つまり反動のないスキルを使い続ける限り、バランスを崩してひっくり返る危険は低いということだ。
 あ、もちろん自分のタライも壊しますよ、一番最後にね!

「なにも必死で追いかけたりする必要はないよね、疲れるし危ないし……」
 というわけで、アシュレーは地味〜に、しかし確実に、自軍の点数を稼いでいた。
 そう、乗り手が落ちて無人になったタライは妨害にも遭わず反撃もされず、一方的に豆投げ放題。
 風と波に乗って流れて来る赤のタライに、そっと豆を置くだけでいい。
 座ったままで、動作を小さくゆっくりと、ナマケモノのように。
 しかし!
「その赤タライ、もらった!」
 炸裂する渚のレールガン、木っ端微塵の赤タライ、巻き添えで吹っ飛ばされるアシュレー!
「うわあぁぁぁ……!?」
 どぼーーーん!
「わぷ!? た、タライ! 俺のタライ! 命綱! どこだ!?」
 わぷわぷしながら海面に顔を出し、アシュレーは自分のタライを探す。
 しかし青い海に青いタライ、保護色で見えない!
「ちょっとこれ、この色分け、鬼チームに有利すぎない!?」
 あ、でも流れタライを見付けやすいのは赤い方か。
 それなりにバランスは取れているのか。
 半ばパニックになりながらも頭の隅で冷静に考えつつ、アシュレーは何とか青いタライに這い上がった。
 わぷわぷぜーはー、げほげほガクブル。
 自分のタライではないかもしれないが、気にする余裕は既にない。
 落ちたことで開き直り、アシュレーはアグレッシヴにモードチェンジ!
「お、おにはぁーそとぉぉーーーっ!」
 若干どころか多分にやけくそ気味に、手当たり次第に豆を投げつける。
「は、はは……楽しくなってきた……!」
 それは俗に豆合戦ハイと呼ばれる現象で、脳内のβエンドルフィン濃度がどーのこーの以下略。

 ぽぽいぽーい。
 相手のタライに地道にお豆を投げ入れていた桜壱は、しかし気付いてしまった。
 あ、これそういうファミリー向けの穏やかなアレじゃないや……と。
 山の上から転がる丸太に乗るとか、巨大な山車を引き回すとか、ガチで命がけなタイプの神事だ。
 ならば、どうするか。
「赤いタライ船さんの乗り主さんが落ちた時にタライを横領してしまえば、たくさんいれられる……!?」
 漂ってきた野良タライを鹵獲して、自分のタライに連結!
 なお道具はないので連結器は自分自身、手で押さえているだけとも言う。
「盗んだタライで走り出すのです! Iは永遠の10歳ですが!」
 しかし普通に乗っているだけでも漕ぎにくいのに、鹵獲タライを連行するのは至難の技だ。
「……むぅ……この水に浮かんだ二つのタライ……Iはこれと同じような光景をどこかで見たことがあるのです」
 そう、それは忍者が使う水蜘蛛の術!
「両方のタライに片方ずつ足を乗せて……」
 こうして歩けば水の上でもスイスイ——
「ひゃわわわ……っ!?」
 どぼーん。

「何だあいつら、堂々とEXIS持ち込みやがって」
 潔く一切の装備を外し、ただハンドスピナーだけを——しかも褌に仕込んで——持ち込んだ自分が謙虚すぎたのだろうか。
 しかし龍一に後悔はない。
 彼の狙いは元々、強そうなスキルや武具をてんこ盛りにした、レベルの高い者達ではないのだ。
 そう、徹底して弱者を狙う、それが彼の流儀だ。
 龍一は真っ正直に何も装備せずに戦場に出てきた哀れな獲物を狩る。
 スルスルと音もなく接近し、接近……
「くっ、何だこの舟!? ちっとも進まねぇ!?」
 クルクル回るタライと戦う龍一の頭上から、容赦なく降り注ぐ豆!
「鬼はー外!」
 ばらばらばらー!
「……こんなもん……やってられっかーーー!」
 ブチ切れた龍一は、ちゃぶ台返しならぬタライ返し!
 自らタライをぶちまけ、ついでにぶっ壊して海に飛び込んだ。
「百倍返しだオラァ!」
 豆を投げた相手をロックオン、褌から取り出したハンドスピナーで殴りかかる!
「沈めゴルァ!」
 威力が足りねぇ? ならパワークラッシュだ!
 ひっくり返してタライを強奪、近くにいた鬼チームのモブに命じる。
「てめぇら、こいつに豆を入れろ! ありったけだ!」
 なに、もう豆がない?
 だったら補給所で満杯にしてやんぜ!

 Canonはタライの上で堂々と仁王立ちしていた。
 バランスが悪いとか関係ない、座り込むとか有り得ない。
「攻撃は最大の防御、いっくぜぇーーーっ!」
 大きく振りかぶってピッチャー第一球、投げ——
「ん? 確か掛け声あったよな?」
 ふわっと聞いた気がするあれは……
「福は……あー……何だったか? ま、いいや。死ねオラぁ!」
 腕を思い切り後ろに引いて、反対の足を高く上げ——どぼーーーん!
「うひゃーーーつめてーーーっ! あっははは……!」
 盛大に水飛沫を上げて海に落ち、楽しそうに笑い声を上げる。
 え? なんか周囲が巻き込まれてる?
 5人くらいひっくり返った?
「いいじゃん、楽しいことはみんなでやろーぜ!」
 バシャバシャ泳いでタライに戻り、その縁に手をかける。
「どっこい……ん?」
 どぼーん!
 あれ、誰か落ちた?
 もしかして乗り手が健在なやつだったかな?
 と、ひっくり返ったタライの下からブクブクと泡が立ち……
「う〜ら〜め〜し〜や〜〜〜〜〜」
「おぉ!?」
 なんか出た!

 その「なんか」は梓だった。
 さらし巻きに薄手の木綿襦袢、そして顔には気合いの入りまくった特殊メイク。
 今、彼女は船幽霊だった。
「知らない人もいるかもしれないから解説するわね」
 船幽霊、それは水難事故で命を落とした者の成れの果てと言われている。
 生きた人間を自分達の仲間に引き入れるため、柄杓で海水を汲み入れて船を沈没させるのだとか。
「あくまでスタイルよ、スタイル」
 タライ舟を沈めようとは考えていない、結果的に沈むことはあるとしても。
 彼女の目的は豆をぶつけることにあらず、豆の大量補給にあり。
 補給所まで一直線に泳いでタライいっぱいに豆を補給し、それを柄杓ならぬ升で掬ってザザー……というのが筋書きだった。
 邪魔なオールをポイして自ら海に飛び込み、タライを押して泳ぐ。
「だって律儀に漕いでたらちっとも進めないじゃない」
 陽が出ている分だけ真夜中の海より暖かいと自分に言い聞かせ——実際は気温水温共に元日よりも低いという客観的なデータもポイだ。
 思い込みと自己暗示を武器に、補給所を目指して梓は泳ぐ。
 しかしその途中で、事故は起きた。

 ここで撮影クルー黒子が撮った映像を見返してみよう。
 まず、Canonが周囲を巻き込んで派手に落ちる。
 タライに這い上がろうとして、そこに乗っていた誰かを落とす。
 その誰かはたまたま近くを泳いでいた船幽霊、梓を巻き添えに海中に沈む。
 そして今。
「う〜ら〜め〜し〜や〜〜〜〜〜」
 浮き上がった船幽霊が、画面いっぱいに映し出された。
 その肌は血の気がなく目は落ち窪み、唇は青く、濡れた髪は顔に張り付き——もしかして、特殊メイクは必要なかった?
「じゃない、鬼は〜外! ……でもない!」
 投げる豆がなかった。
 最初に支給された豆は事故の弾みで海の藻屑と消えた。
「補給しなきゃ!」
 波間に浮かぶタライと升を回収し、船幽霊は大急ぎで補給所に向かうのだった。

 その姿を見送ったCanonは、タライに取り縋って喘ぐ被害者その6くらいの誰かに——えーと、何するんだっけ。
 あ、そうそう、ひっくり返した侘びを入れるんだった。
「あー、悪ぃ悪ぃ間違ったわ」
 事故だよ事故、悪気はないからね。
 タライの中身をぶちまけることで、ちゃんと味方に貢献してるし。

「……ホウ、良い風ですな……」
 タライの真ん中にちんまりと座ったミューズは、思い切り広げた両翼で風を受けていた。
 こうすれば、漕がなくてもタライは前に進む。
 ヨットのように風を切って、スイスイと……スイスイ、戦場から離れて行く。
「風向きが逆でしたな」
 しかし慌てることはない、帆の角度を工夫することで、ヨットは風に逆らって進むことも出来るのだ。
 巧みな翼さばきで戦場に戻ったミューズは、果敢にも敵の真っ只中に突っ込んで行く。
 当然のように降り注ぐ豆、しかし!
「ホホウ、ここは翼ガードの出番ですな?」
 翼を広げてカバーを作り、あるいはぺしっと弾き返し、ミューズは守りに徹する。
 だが、ただ守っているわけではない。
 ばしゃん、どぼん!
 次々と上がる水音に、ミューズは羽の間からちらりと周囲を見る。
「……ホウ……自滅しましたな……」
 そう、この時を待っていたのだ。
 投擲の際にバランスを崩し、水に落ちた乗り手がパニックに陥っている間にタライを回収。
 そこに自分の豆とマス一杯の海水を投入し、そっと放流。
「福は内……ですかな?」
 さて、豆がなくなったから補給に行こうか。
 ヨットモードで、すぃーっとな。

「まずは基本に忠実に、だな」
 アキレイアは「福は外」の掛け声と共に、青いタライに豆を投げ入れようとする。
 福は外、つまり福の神は出て行けと追い出すのは気が引けるが、それが習わしと言うなら従うまでだ。
 が、初めて乗ったタライ舟は予想を超えるバランスの悪さで——
 どぼーん!
「ふむ、さすがに冷たい……が、行動に支障が出るほどではないか」
 アキレイアはまだ知らない。
 その冷たさが、じわじわと体力を奪う毒の如きトラップであることを。
「落ちたついでだ、少し海というものに慣れておこう」
 タライの縁につかまり、バタ足の練習のようにバチャバチャバチャ……
 しかし、そこにタライクラッシャー渚が乱入!
「赤のタライ、滅ぶべし!」
 ずどぉん!

「ラックさん、宝探しでは母さんが迷惑かけたね」
 シグニットに声をかけられたラックは、何のことかと首を傾げた。
「ほら……いただろ、雪像でアサルトコア作って……」
「ああ、優勝したあのオバチャンか!」
 そうです、そのオバチャンが母です。
「いや、別に迷惑はかけられてねーし……どっちかっつーと助けてもらった方だし」
「ほんとに? いや、でも僕の気が済まないから……今日は何があろうと君を守るよ」
 そう言って、シグニットはラックの前に仁王立ちしつつ豆を投げつける。
「帰りたいッ!」
「え?」
「……あっ! いけない、つい本音が……」
 鬼チームだから、掛け声は「福は外」だっけ。
「いや、これ母さんが勝手に申し込んだやつでさ……」
「……あー……俺もばーちゃんによくやられるっつーか、今回もそんなよーなモンだし」
「もしかして、ちょっと似てるのかな。僕の母さんとラックさんのお祖母さん」
「かもな」
 などと話しながらも、二人の手は休みなく動き続ける。
 しかし、その死角から大量の豆が!
 だがその位置には仙火がいた!
「ラック、危ねぇ!」
 身代わりに豆を受ける仙火、4人分の応援パワーがその彼を支える!
「この程度じゃ俺は倒せないぜ!」
 続けて千隼を狙う攻撃もカバーだ!
「あ、ありが、と……」
 体育座りで殆ど微動だにせず固まっていた千隼は、仙火に守られたことに気付いて、これではいかんと立ち上がる——いや、物理的には体育座りのままだが、心理的に。
(強くなるって、決めたんだ……!)
 なのに気が付けばまた、苦手意識が決意を鈍らせていた。
(苦手なものは、苦手なままで構わない。苦手なままでも強くなれる)
 千隼には特別な魔法が使えるのだから——そう、これまでに演じた「役」を借りるという魔法が。
 今この状況に最も相応しい役、それは。
「福はぁ外って言ってるでしょぉ!」
 オネェだった。
「……え?」
 仙火は驚いているし、テンパった結果のチョイスだが、実際オネェは強い。
 心にオネェが住む人は、どんな逆境にも負けず人生の荒波を易々と超えて行けるのだ。
「やぁだもぉ! こっち来ないでってぇ言ってるのにぃ!」
 えーい! 升ごと投げちゃえー!
 その反動で海に落ちても慌てない。
「あたし津軽育ちですもの、こんなのへっちゃらよ!」
 竜飛崎に打ち寄せる荒波はこんなものじゃないわ。
 真冬に泳いだことはないけど、きっと多分!

「わたる! あの人は真っ先に潰せって、なんか本能が叫ぶきゅぃ!」
 こももんがの円らな瞳に映るのは、アスハの姿。
 敵は福の神チームの中でも御三家と(勝手に)呼ばれる、カーディス、与一、アスハの三人。
「中でも、あのアスハって人は特にヤバいきゅぃ。何でか分かんないけど、本能が叫ぶきゅぃ……」
 ヴァルキュリアの本能とは何か、ちょっと問い詰めてみたい気もするが、今は目の前の戦いに集中しよう。
 なお狙ったらもっとヤバいという説は意図的に隠された模様。

 そんな彼らに近付く怪しい青タライがひとつ。
 中身は——
「私ですのよ!」
 黒猫カーディスはデフォルメされたぬいぐるみボディである。
 ぬいぐるみの手足は短い。
「ふふーり、つまり重心が低いのです! タライの安定感は抜群ですのよ!」
 しかし頭は大きかった。
「ふおぉ!? 転んだら起き上がれませんの!」
 だが問題はない、10kgの体重ではタライが斜めに傾く程度、他に力が加わらない限り転覆の恐れはない!
「重心の低さではこももんがも負けてないきゅぃ!」
 見よ、この短い手足(ドヤァ!
「しかも足腰鍛えてるから頭が大きくても安定してるきゅぃ!」
 あ、ごめんなさい嘘です渉にタライ支えてもらってるんです。
「わたる、手を離しちゃだめきゅぃ!」
「え、でもこれじゃ豆がぶつけられないし」
 両手塞がってるんだけど。
「だったらこうするきゅぃ!」
 ぴょーん!
 こももんがは渉の肩に飛び移った!
「わたる、肩車するきゅぃ! 攻撃はこももんがに任せるきゅぃ!」
「お、おう」
 とりあえずリクエストにお応えして、渉は胡座をかいて安定姿勢。
「これで高さも充分きゅぃ! 福は外きゅぃー!」
「なんの、猫は液体にもなれますのよ!」
 そこに何の意味があるのかと?
 意味などないし、実際は液体っぽく見えるだけだけど良いじゃない、言ってみたかったんですもの!
「唸れ! 黒猫パワー!! 場外ホームラン!!!」
 手にしたオールで豆を打ち返す!
 派手に動いても転覆しないサイズゆえの大技だ!
「鬼は外! 猫は内! 特に黒猫は内!! 我が鍵しっぽにかけて! 黒猫に勝利を!!」
 目的が迷子だが気にしない、この海に本来の目的を覚えている者が何人いると言うのか。
「猫はーうちー!」
 じゃばー!
 升に入った豆と一緒に海水を掬い、相手のタライへシューーっ!!
「ちょ、沈むだろ!?」
「それが狙いですわ! 海のモズクになると良いですの!」
 と、その瞬間。
 海上を一陣の風が吹き抜けた——いや、風ではない。これは威圧感?

「……来たきゅぃ!」
 こももんがの脳裏に、今にもでっかいサメか殺人アンドロイドが現れそうなBGMが鳴り響く。
 そう、あれが噂のA・R、元の世界ではアメフラシとかなんとか呼ばれて畏れられたと言われているが、基礎設定なんもないから全く関係ない別人かもしれない謎の人だ。
「アスハさんは残しておくとヤバいらしい……先に狙っとこう」
 渉は胡座をかいた姿勢のまま、割箸と輪ゴムで作った即席パチンコに豆をセットする。
 これなら安定姿勢を保ったまま攻撃が出来るはずだ。
「正直、あんまりヤバそうには見えないけどな……」
 渉の目に映ったアスハは、タライに乗ってクルクル回る面白おかしいオジサンだった。
 背中を丸め、歯を鳴らし、かじかむ手でオールを握り、必死に漕いでいるが、舟は少しも進まない。
 おまけに妙に喫水が深く、沈みかかっているようにも見える。
 ここまで無事に進んで来られたのは風と波の悪戯による偶然としか思えなかった。
「……それがシロートのアカサタナきゅぃ……」
 こももんががゴクリと唾を飲み込んだ。
「あの姿は本性を隠す隠れ蓑、奴はまだ10回くらい変身を残してるきゅぃ!」
「そんなに!?」
 それは確かにヤバい。
 なんか色んな意味でヤバい。
「今のうちに完膚なきまでに叩き潰すきゅぃ! 変身を残したまま海の底に沈むといいきゅぃ!」
 ふくはーそとぉ!
 手にした豆を思い切り投げつけるこももんが!
 狙いはもちろんアスハ本体だ。
「え? ぶつける必要ない? 気のせいきゅぃ。確実性をとりましたきゅぃ」
 追い討ちをかけるように炸裂する渉のパチンコ!
 しかしアスハは微動だにしない!
 そりゃそうだよね、豆だもんね、普通の。
 しかし、ここで伏兵が現れた!
「赤い福の神……覚悟するのです!」
 戦闘開始の直後、モブに呑まれて姿が見えなくなっていたアイリスだ!
 黒子のカメラも向かないままにモブと共に散ったかと思われたアイリスが、ここに復活!
「動画ならあるぜ?」
 さすが黒子さん、ちゃんと撮ってありました。
 ということで、ここで少しアイリスさんの軌跡を振り返ってみましょう。

 開始直後、アイリスはモブを盾に前進する。
「あの赤いのはなんかむかつきます」
 こももんがとはまた別の理由で、アイリスもまたアスハを狙っていた。
「赤いくせに福の神チームというのが、さらにむかつきます」
 鬼チームでいいじゃない、赤いんだから。ややこしいことしないでよ。
 あとやっぱり本能が叫んでる、あれは絶対に善きものではないと。
「一発一発戦うなど、面倒です」
 この豆は全て、真の敵を削るもの。
 その時まで力を温存するために、モブよ私の壁になれ。

 そして今、モニタはライブ映像に切り替わる。
 アイリスは青タライの赤い人に向かって大きく升を振りかぶり、一斉掃射!
「福は外!」
 反動で水没しても悔いはない、豆を補給すれば復活は可能なのだ。
「補充に行って来ます」
 しかし、ここでアスハが口を開いた。
「豆というのは、これのことかね?」
 タライの足元、カモフラージュの布ををめくると、そこにはびっしりと敷き詰められた豆が……!
 そう、沈みかかっていたのは、満載された豆のせいだったのだ!
「補給所の豆は全ていただいた。豆が欲しくば土下座して頼むが良い、だが渡さん!」
 貴様らは敵だ、魂が叫ぶレベルの!
 そしてアスハは自らタライを降りて海に入る。
 ここで中身をぶちまけないとか、ダイスの神様に賄賂でも贈ったのだろうか。
 それはともかく、豆が残っているなら落ちてもセーフ……つまり!! タライをボード代わりに泳げばOK!!
 そしてアスハはタライに豆を一杯詰めて敵味方問わず売り渡す、戦場を渡り歩く死の商人ならぬ豆の商人と化した。
「豆ー豆はいらんかねー早く来ないと逝っちゃうよーでも鬼には売らないよー」
 まずい、このままでは鬼チームは誰ひとりとして復活が出来なくなってしまう!
「わたる、追いかけるきゅぃ!」
 こももんがは渉の髪を引っ張って、手綱代わりに指示を出す。
「んなこと言われても……!」
 思い通りに進めるなら苦労はないのだ。
「こうなったら……」
「わたる、何するきゅぃ!?」
 渉は肩に乗せたこももんがをひっぺがした。
「残った豆全部、こももんがに託す!」
「わたる何言ってるきゅぃ何してるきゅぃ!?」
 はい、豆を持たせたこももんがを投げようとしています。
「行け! 行ってあの豆を奪い返して来い!」
 しかし振りかぶったその時、思わぬ邪魔が!
「まあ、一応同じチームだしね」
 うっかり射線に入ってしまった与一は、同じチームとは言えアスハを助けるつもりはなかった。
 そんな余裕はないと思っていたし、助けられるとも思えなかった。
 しかしこんな状況になってしまったからには仕方がない。
「助けてもカオス、助けなくてもカオス……それに、どう頑張っても回避は難しい」
 ならば選べる手段はひとつ。
「倒れたり沈められたりするまでの間に、ひとつでも多く豆を投げる事!」
 ついでに恩を売っておく、買ってもらえるとは思えないけど!
「全力! 鬼は外ぉぉぉ!!」
 タライがひっくり返るその寸前まで、与一は豆を投げる手を休めなかった。
 その捨て身の攻撃は、危ういバランスを保っていた渉の足元を掬う!
 しかし渉は転覆の直前、ありったけの気力と根性を振り絞って、こももんがをブン投げた!
「これが俺達の、最後の希望だぁぁーーーっ!」
 どぼーん。
「わたる、こももんがは豆じゃきゅぃぁーーー!?」
 ちゃぽん。
 ぷかぁ。
「……ぷはぁ!」
 狙いが定まらず不発に終わったこももんが弾はしかし、自力で泳いで目標に向かう!
 アスハのタライにつかまり、よいしょとよじ登り——
「この豆はこももんががいただいたきゅぃ!」
 タライの上で仁王立ち!
 しかし!
「それで?」
 こももんがを乗せたまま、アスハは悠然と泳ぎ出す。
「豆ー豆はいらんかねー早く来ないと逝っちゃうよー」

 一方こちらは豆の補給所。
「なに!? 豆が一粒もねぇだと!?」
 龍一が額に青筋を立てて文句を言っていた。
「自分のタライに詰め込んだ後、残った豆を海にぶちまけて行った、ですって!?」
 何その悪魔も裸足で逃げ出す悪辣な所業と、船幽霊も怒り心頭。
 祟るか、ここは本気で祟ってやるか。
 今なら出来る気がするよ。
「そいつは沈めるしかねぇな、敵味方とか関係ねぇ」
 龍一もわりと悪辣な手段を使っていた気がするが、そこはそれ。
 しかしここは久遠ヶ原、運営の方もなんか色々わかってた。
「あー豆がなくなったのねーはいはい慌てない、今補充するからねー」
 豆問題、解決。
 かくして豆を補充した戦士達は、再び海へと戻って行く。
 だが、その前に立ち塞がる者がいた!
「あ、船幽霊さんは味方なのですね」
 どうぞお通りください。
「でもそこの貴方は鬼チームだったはずです。なのに何故、青いタライにいっぱいの豆を抱えているのです?」
 桜壱はピンと来た。
「さては貴方も盗んだタライで走り出す人ですね!」
 わかる、わかるよ。
 自分も赤いタライを引っ張ってここまで泳いで来たから——同じことをするつもりで。
「でも、そうはさせないのです! ここから先はいかせませーん!」
 喰らえ渾身のタックル!
 しかし、勢い余ってそのまま海にどぼーん!
「因果応報だな」
 青タライいっぱいの豆を抱えて悠々と引き上げる龍一。
 そう、因果は巡る……いつか彼の上にも。


●ラスト三十秒の死闘

「はい、残り三十秒となりましたーやりきってない方はどうぞお急ぎくださーい」
 のんびりとしたアナウンスとは裏腹に、戦場の緊迫度は一気に跳ね上がった。

「ちょっと、これ今補充してきたばっかりなのよ!?」
 船幽霊は焦った。
 焦りのあまり、船幽霊らしからぬ機敏な動作で神出鬼没、手当たり次第に豆を入れ始めた。
「うらめし鬼は外! はい次!」
 寒さにガタガタと震え、唇は真っ青、しかし焦りのためか目だけは血走り爛々と輝いている。
 雰囲気満点どころか、もはや肝試し。
「えぇい、もうめんどくさい! 全部喰らえーっ!」
 最後にはタライごと相手にぶちまける、ブチギレ船幽霊。
 久遠ヶ原の海に怪異が出るという都市伝説は、ここから始まったとか。

「もうそんな時間かよ!?」
 仙火は根性で敵に近付き宵闇斬で動きを止めると、集中攻撃という名の頭から豆ざばー。
「よく考えたら投げる必要ないよな?」
 むしろ置きに行った方が確実と気付いた時にはカウントダウンが始まっていた!
「仙火さん、ラックさんも……いつの間にかタライに豆が!」
 シグニットに指摘され、慌てる二人。
「でも落ち着いて、まだ大丈夫だから……ほら、こうして捨てれば——」
 そこで何故オールを持ち出したのか、理由は本人にもわからない。
 普通に考えれば手で掻き出した方が早いだろう。
 しかしやはり、彼もまた終了間際でテンパっていたのだ。
 タライの豆を掻き出そうとして振るったオールは、何がどうなったのか隣のラックに直撃!
 意外なほどのパワーでその身体を吹っ飛ばした!
 そう、シグニットの半分は優しさで出来ている、しかしもう半分はパワーで出来ていた……かもしれない!
 慌てて救助の手を差し伸べようとした直後、今度は頭上から氷の槍が!
 それを避けようとした仙火と共にシグニットも海にどぼん、そしてラックに追い討ち!
「何すんだよ!」
「ご、ごめん……!」
 いや、当てる気はなかったんだけど、って言うか避けてくれるだろうなって。
 その回避行動でバランスを崩せば、舟もろともひっくり返る。
 それで豆をぶちまけてしまえ、という千隼の目論見そのものは成功したわけだが。
「もう少しマシな方法はなかったのかよ!?」
 言われてみれば、ごもっとも。
「む、ラックは溺れているのか! 真の漢として助けねば!」
 そこに現れた赤タライクラッシャー渚、しかしここは救助優先の全力移動——
 ずどぉーん!
「む?」
 なんか出た?
「しまった全力移動で助けるつもりが赤を使ってしまった」
 追い咲き乱れる赤発動、でもうっかりだから仕方ない。
 ついでに千隼のタライも壊しておいたぜ!

 伏せたタライの底に升を置き、両手でつかまって泳ぐ恋雫は、相手を見つけては升から豆を取っては投げ取っては投げ、接近すれば升で直接流し込み、そして最終盤。
「もう一度だけ、試してみましょうか……」
 これで乗れなかったら諦めどぼーん!

「そろそろ、頃合いか」
 じっと静かにタライに座り、雌伏の時を過ごしていた静流。
 しかし遂に、彼が目覚める時が来た。
 タライの中にはされるがままに投げ入れられた、大量の豆。
 しかし問題ない、むしろこれこそが静流の武器。
 静流は慎重に立ち上がり、底に敷いていたビニール袋を手繰り寄せる。
 手応えは充分。
 反撃で転落する危険も犯さず補給に行く手間もなく、ただ座っているだけで向こうから飛び込んで来た豆。
 それを纏めて袋の口を縛り、よいしょと担ぐ。
 ただ投げるだけでは飛距離が出ないと、ハンマー投げの要領でブンと一振り。
 そう、これが静流の豆まきだ。
「これのどこが豆まきだって? そんなの知ったこっちゃない!」
 だって久遠ヶ原ですもの!
 勢いを付けて、相手のタライを目掛けて投げる!
 そして当然、自分も落ちる!
(わかってたさ、こんなもの投げたらきっと大きくバランス崩れるってことくらい)
 だが後悔はない。むしろ清々しい。
 やりきった戦士は、満足げに微笑みながら海の底に沈むのだった。

「海に落ちても豆さえあれば復活できるという話だったな!」
 ヴォルフガングはそのルールを逆手に取り、一粒だけ残した豆を海パンのゴムに挟んで、残りを全て鷲掴み!
 そのままタライからジャンプ、あーんどダイブ!
 バスケのダンクシュートの要領で、敵のタライに全てをぶちまける!
「これが! 炎帝豆ダイブだぁぁぁ!!」
 しかし帰るタライは既にない。

「なるほど、残ってる豆が少ない方が勝ち、だからタライを全部ぶっ壊しゃいいってことか!」
「そうだ、残り三十秒を切ったこの時点で、残ったタライは——」
 Canonに状況を説明するアキレイアは、波間に浮かぶ赤いタライを指し示す。
「中にある豆は微々たるもの、今のところこちらが圧倒的に勝っている。だが勝負は」
「下駄を履くまでわかんねーってことだな!」
 そう、相手も恐らく気付いているだろう。
 ならば最後に自爆を狙うはず。
「一粒でも多く残った方が負け、ならば一粒も残さず海に還すのだ」
「っしゃ、任せろ!」
 というわけで、ヴォルフガングのタライもどっかーん。
 渚のタライもどっかーん。
「……壊せと言った覚えはないのだが……まあいい」
 アキレイアは手近なタライに後ろから近付き、底にへばりついた乗員もとろも盛大にひっくり返すのだった。

「もう時間がありませんわ!」
 奏は手近な青タライに向けてエクストラバッシュ!
 大丈夫ヒトは狙わない、ただちょっと波を起こしてタライをひっくり返すだけだから!
「これも勝利のためですわ、悪く思わないでくださいませ」
 さて、残るタライは——

 ケヴィンは終始一貫、徹頭徹尾、我が道をゴーイング。
 近ければ豆を投げ入れ、遠ければフレイムロードでぶっ飛ばす。
「これくらい避けられんだろ、ライセンサーなんだから」
 避けてバランスを崩したことで転落を誘う、それがケヴィンの優しさ。
 落ちたら敵味方関係なく近くの桶をひっくり返して奪う。優しさ、とは。
 赤い豆商人から闇豆を手に入れることも厭わず、それでも足りなければ自ら泳いで補充に行き、泳いだついでに敵陣に切り込んで至近距離から豆を投げまくり——
 とにかく、はしゃいでいた。
 派手に落っこちた敵の元に泳いで行って、無人のタライに海水を入れてサドンデスとか、もはやただの嫌がらせレベル。
「……ケヴィンさん、後でバチが当たったりしなければいいのですが」
 その様子を少し心配そうに眺める桜壱は、盗んだタライに満載した豆を死守しつつ、心が折れかけた仲間をホーリーライトの光で照らす。
「もう少し頑張ってください、まだ貴方の力が必要なのです!」
 大丈夫、いくら敵が自軍のタライを壊しても、まだここに大量の豆がある。
 これさえ守りきれば、きっと勝てる。
「一緒に守るのです!」
 しかし、そこに迫り来るケヴィンの魔の手!
「悪いな桜壱さん。これも神事のためだ、落ちてくれ!」
 投げられた豆にバランスを崩し、ひっくり返る桜壱と巻き添えを喰らった見知らぬモブ!
 そして——
「無人のタライはひっくり返すものー!」
 そーれ、ざっぱーん!
「あーーーーーーっ!!!」

 ここで、終了の法螺貝が鳴り響いた。


●戦い終わって

「……ホウ? 豆を投げるのを忘れていましたな」
 余った豆を齧りつつ、結果発表を待っていたミューズは、ふと気付いて首をクルリと回す。
 だが投げるのも置くのも大した違いはない。
 それよりも結果だ。

「えー、計量の結果を申し上げます!」
 そのアナウンスに水を打ったように静まり返る一同。
「って言うか、計量なんて無理! だって一粒も残ってないし、赤タライ一個だけ残して全部ぶっ壊れてるし!」
 そう、千隼が水切り技を披露するまでもなかった。
 鬼チームには豆の一粒も残らず、対する福の神チームはいくつかのタライにパラパラと豆が残っていた。
「よって、全力でぶっ壊した鬼チームの勝ちとします!」
 今年はチカラこそパワーだ!
 なんかもうタライ壊し合戦になってたけど気にしない!

「さて、豆ご飯を作るんだったな」
 調理場に顔を出した静流が調理の手伝いを買って出る。
「豆だけだと味気ないから、これで……」
 豆ご飯用の炊飯器、そのいくつかに持って来た野菜や調味料などを入れる。
 あとは待つだけで、美味しい豆入り炊き込みご飯の完成だ。

「これ、いい具合に塩味が効いてるわよ?」
 元船幽霊が差し出したのは、海に溢れた豆で作った塩豆。
 大丈夫だよ、食べたら眷属になっちゃうとか、そんなことはないからねー。

「なぁ……最初から食うだけじゃダメだったのか? 死ぬかと思ったぜ……」
 わりと無茶をした重体患者は、暖かい毛布にくるまりながら豆ご飯をせっせと口に運ぶ。
「あとワナパク! 全然怪我治らねぇじゃねぇか!」
 文句を言いながらも、ヴォルフガングの声と表情は実に楽しげだった。

「豆ごはん美味しいです」
 アイリスは出されたものをもっきゅもっきゅと大量に食べる。
「久遠ヶ原の2月の海、半端ないな……」
 渉は遠い目をしながら、こももんがはイチゴはないのかと膨れつつ、与一は温かい珈琲を淹れて振舞いながら、それぞれに食事を楽しむ。
 え、誰か忘れてないかって?
 気のせいでは?


●救急班の活躍

 戦いの終盤、豆商人アスハは敵に囲まれていた。
「それ以上近寄ると、この青タライに満載の豆をぶちまけるよ?」
 近寄らなくてもやるけどな!
 しかし事態は意外な形で終焉を迎える。
 空から岩が降って来たのだ。
 それはタライを粉砕し、アスハを沈め……
「アイルノットバック」
 親指を立てて溶鉱炉に沈む彼の姿には涙を禁じ得なかったが誰も泣いてない。
「悪は滅びました……」
 アイリスが呟く。
 福だけど、勝敗とか関係ない。

 そしてもう一箇所、奪ったタライの死守に専念していた龍一の頭上にも。

 それは天罰である。
「言いましたでしょう、溺れないなら沈めると」
 自分を暇にしたあなた達が悪いのだと、開き直ったバーサーカーは自ら患者を作り出した。
 要救助者は、天誅で海に沈んだアスハと龍一、そして善意のシグニットに連行されたラックの三人、そしてモブ達。
「いや、俺は元気だから!」
「いいえ、額に擦り傷がありますね」
 治療してあげましょうと、ラックを引きずり込んだテントの中から漏れる怪しい光や機械音。
 それはまるで改造手術のようで——あの、せめて正義の心は残してあげてくださいね。
「溺れたお二人には人工呼吸です」
 特に口はないが、空気の送風部に唇状にリップクリームを塗って……ぶちゅー。
「すみません、最初にお好みの味を伺うべきだったのでしょうが」
 気絶していたので、とりあえず初恋の檸檬味にしておきました。
 他にも苺・葡萄・蜜柑味と各種ございます。
「お二人とも身体が冷えきっていますから、添い寝で温めましょう」
 ボディを温め、そっと寄り添い……
「あっ、良かった気が付かれました……きゃっ」
 患者が目覚めれば、シーツでボディ隠しておよよっ。
「初めてだったのに……」
 あなたたち、責任とってくださる?
 そしてもうひとり、いつのまにか水をたっぷり含んで沈んでいたカーディスは、頭と足を持ってぎゅーっと!
「ミギャアアアア(断末魔」
 はい乾きましたー。


 以上、撮影と編集は向野・A・黒子の責任でお届けしました。
 観光案内的な「賑やかさ」「楽しさ」「神事の厳粛さ」が伝わる資料となっていることと存じます。
 この資料を以後の観光振興策にお役立ていただければ幸いです。


 なお、はしゃぎすぎたケヴィンは桜壱を気遣いながらも自分は調子こいて濡れた体のまま豆ご飯を楽しみ、直後に猛烈な寒気に襲われ——
 翌日から高熱で寝込むことになったそうな。

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