オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【祝夏祭】終祭festival

【祝夏祭】終祭festival 雪芽泉琉

形態
イベント
難易度
易しい
価格
1000(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
251~25人
予約人数
10010100
基本報酬
90000G
90SP
900EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
4
締切
2020/08/18 20:00
完成予定
2020/09/07 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●過去より未来を向いて
「お久しぶりです。王女様」
「緒音であったか? 久しいな。元気……ではないようであるな」

 王女パルテニアは、緒音の不審な様子に小首を傾げる。緒音は耐えきれずに、大きく頭を下げた。

「申し訳ありません。SALFのライセンサーのせいで、エオニアが……」

 5年前、カリアスというライセンサーがナイトメア側に情報提供をした。そのせいでエオニア襲撃事件が発生した。
 カリアス捕縛に関わった緒音は、王女に合わせる顔がない程、項垂れていた。

「気にするでない。ライセンサーにも色んな者がいるのであろう。その者は我も憎いとは思う。しかし、我は知っておる。それ以上に素晴らしいライセンサーがたくさんいる。SALFを憎む気持ちはない」

 緒音が顔をあげると、王女は優しく微笑んでいた。幼い少女に気をつかわせてしまったと反省する。

「そのライセンサーは、きっかけに過ぎぬ。真にエオニアの敵であったエルゴマンサーは討伐されたと聞いた」
「パラノマイというカイロの司令官ですね」
「うむ。ライセンサーは我が国の仇を討ってくれたのである。その戦勝を祝う方が、大事である」

 過去に俯くより、未来を見つめて。人々に幸せな知らせを届けたい。前向きな王女の姿勢に緒音は心打たれた。

「こたび、そなたを呼び出したのは他でもない。ライブをやらぬか? 夏フェスをまたやるのだ!」

 昨年のミーベルステファノスでは、最後の締めくくりにライセンサー達が祭りでライブをした。
 あの祭りを王女はたいそう気に入っており、またやりたいと願っていたのだ。
 今年の1月、緒音はエオニアの海でライブを企画し、その中継も王女は楽しんで見た。

「冬のライブも素晴らしかったが、ネット中継だったのが残念だ。やはりライブはこの目で、直接見たいではないか」

 冬の海は寒すぎて風邪を引くと窘められたが、夏の海なら問題あるまいと、秘書を説得した。
 重い責務を背負った王女様の、密かな楽しみ。それを叶えてあげることが罪滅ぼしになる。そう緒音は思った。

「王女様のお願い。喜んで引き受けさせて頂きます」

 緒音は明るい笑顔を浮かべて頷いた。


●オネーサンにお任せ
 元より緒音はアイディアマンで、ライセンサーのイメージアップ企画をいくつも手がけてきた。
 ライブイベントの主催は、緒音の得意分野だ。久しぶりに明るく元気に、張り切って仕切り出す。
 必要機材の貸し出し申請から、物品管理まで、何でもオネーサンにおまかせ。

「歌ったり踊ったり、美味しいもの食べたり。とにかくみんなが楽しい祭りになれば良いのよ。祭りの様子は撮影してネットにも流せるわ。ライセンサーは皆の憧れってイメージがあると良いわよね」

 緒音はピンクのルージュを引いた唇から、楽しげに説明していく。表情は生き生きしていた。
 メインステージとサブステージで、自由にパフォーマンスをして欲しい。
 客が楽しめる屋台も欲しい。料理も自由だ。エオニアに、ちなんだものだけでなく、各国の料理がある方が楽しいかも知れない。
 客は砂浜に座ってライブを見る。そんなフランクで自由なイベントだ。

「裏方は、どーんと、オネーサンに任せて。皆が楽しめる、素敵なイベントにしましょうね」

 緒音がどんと胸を叩いて皆を安心させる隣で、雛姫はふんわり微笑む。

「フェスって初めてなので、とても楽しみです」

 お嬢様育ちの箱入り娘。ライセンサーになってから、多少は常識を身につけ、運動をするようになったとはいえ、元々不器用で運動音痴。
 ライセンサーになってから、久遠ヶ原学園に通い始めたが、それまで学校に行ったことがなかったといえば、世間知らずぶりもわかるだろう。
 つまり、イベントでは足手まといでしかない。

「えっと……花岡さんが。うちの執事さんですが。皆さんの邪魔をしないように、大人しく客として遊びに行ってくださいと言われたの。だから、お手伝いはできませんが、フェスを楽しみにしていますね」

 グッジョブ花岡。九条家に使えてうん十年の老執事の言う事に間違いは無い。
 花岡作成の『雛姫お嬢様の取扱説明書』によると、指示すれば大人しく言うことを聞く。何かやらせるときには、誰かお目付役がいるほうがいい。包丁も、熱いものも、危険物に触らせるべからず。絶対にやらかす。

「お友達と一緒のお祭りは、初めてなので、とっても、楽しみです」

 執事にディスられているとも知らず。何を着ようか、水着は恥ずかしいけど、涼しい格好が良いかなと、雛姫は呑気に悩んでいた。
 緒音もサイリウム片手にライブを楽しんだり、美味しい酒を飲むつもりらしい。


●今年の夏は一度きり
 輝く太陽、照りつける日差し。夏の終わりの砂浜は、太陽の光は熱いけれど、海風は心地よくカラッとしていた。
 そこが地中海風なのだろう。

 海をバックに砂浜の上には特設ライヴセットが作られている。照明や音響、スクリーンまでついた、SALFが用意した実に立派なものだ。
 立派なのはメインステージだけで、他のステージはただの海と砂浜。……それでもこれは夏フェスだ!!
 砂浜に屋台が並び、ミーベル料理がや、異国の見知らぬ料理が良い香りを漂わせ、人々の心を捉えて離さない。
 夏だから、海だから、水着近い露出度高い服装の客が多かった。
 エオニアの民はライセンサー達のライブを楽しみに、賑やかに屋台を回り、開始をワクワク待っている。

 それは去年と同じ。でも集まる人達の創意工夫次第で、去年と全く違うお祭りになるかもしれない。

「ふぇす! であるな」

 パルテニアはライヴセットの裏側、特等席に座って楽しみに開始を待っていた。
 王女としてではなく、一人の少女として、ライブが待ちきれないと、思わず足がバタバタしてしまう。

 今日は祭りの最終日。このライブがミーベルステファノスの締めくくりになるだろう。
 夏の想い出を、音楽に乗せて、浜風よ吹け。

●目的
夏フェスの成功

●NPC
・緒音 遥
 男疑惑のある、アラサーの美人オペレーター。医師免許持ち。
 当日は会場を巡回し、PC達の手伝いつつ、お酒を飲んだりライブも楽しみたい

・九条雛姫
 緒音と親しいライセンサー。祭りの客としてうろうろしてる

・スタッフ×50
 地元の一般人スタッフが、裏方仕事専門で手伝います。指示が無くてもPCのサポートに徹する

 葵、由美佳、アイザックもプレで同行指定があれば、客としてリプレイ登場可能です

●行動
 祭りを盛り上げる為、パフォーマンスか屋台に協力してください。交代で遊びに行くのも可

 歌、踊り、楽器、演技など、パフォーマンス内容は自由。屋台で料理を作って振る舞うも可

 場所はエオニア王国の海岸
 砂浜の上に作られた大掛かりな野外ライブ用の特設セットが設営されてる(OP画像がイメージ)
 観客は立ち見か、砂浜に座って屋台の食物を食べながら見る


 以下の三つから、選択肢を一つ選んでプレに書いてください

・【メイン】
 メインステージ、フェスの目玉。照明、音響、スクリーンを駆使した演出が可能
 一つしかないが、時間を区切って複数グループの使用は可

・【サブ】
 サブステージ。海と砂浜以外何もありません。マイクやスピーカーや楽器を持ってきて置くのはできる
 海でパフォーマンスもOKですが、客は砂浜から見物するので、海中や沖に出ると見えない

・【屋台】
 ミーベルだけでなく、色んな国々の料理の出店可能。地中海では物珍しい料理も喜ばれるでしょう


●状況
 時間は昼の12から日没の18時まで。
 衣装は自由。客は水着など露出度が高い、解放的な服が多く、夏の海にふさわしいファッションの方が似合う
 ショーの演出でわざと海に合わない服を着るのも問題ない
 必要な機材は緒音が可能な範囲で用意します

※裏方禁止ではありませんが優先度は低い
 メイン>>屋台=サブ>>>>>>>>裏方

※質問卓設置可

 こんにちわ、久しぶりのライブ依頼に、祭り魂がうずく雪芽泉琉です

 昨年の「閉幕festival」と形式は同じです
 しかし参加者やプレイングが変われば、去年とは全く違うライブ・祭りになるかもしれません
 雪芽担当の登録味方NPCとの絡みは自由です。プレに記載があれば描写します

 【祝夏祭】連動も最終日。最後に弾けて遊んで終わりましょう
 素敵なプレイングをお待ちしております

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

【屋台】
ツユ(la2804)と人形焼き屋を出店
ミラ(la0103)に客引きを手伝ってもらう
梅雨を思わせる犬の型を使い梅雨を看板犬にして営業
肉球スタンプをつける台紙とインク
粉物は喉が渇きやすいのでついでにレモネード
「ツユが有名になって、いっぱい人集めたら…ツユの会社に評価してもらえる。そして、この位置…チョータローたちのステージが、見られる…。お得…
「こんな、ケガしてステージ…行けないと、思うしね…。これぐらいが、ちょうどいい…
ミラがアイザックと同行したそうにしてたら「休憩、していいよ…」と促す
営業と同時にステージを眺めてライブを楽しむ

▼心情
……さて、頑張ります、かねぇ?

▼同行者
幼馴染兼恋人の水無瀬 奏(la0244
NPCの九条雛姫(lz0047(一部のみ

▼行動
【メイン】参加
奏と雛姫の歌う曲をシンセサイザーで弾く
2人の歌を最大限に活かすようにシンセサイザーで音を操りメリハリをつけて弾く
歌のサビの部分だけ合わせて軽くハモりつつ2人の歌の邪魔にならないように気を付けながら俺も歌う

自分たちのステージが終わったら、俺は音響関係の手伝いに廻る
音がうまく出ないなら音を調整したりしてスタッフにもアドバイス
「……ふむ? ここは音をもっと調整すると良い

最後のアンコールはシンセサイザーで曲を弾くか音響担当、で

アド絡み可
【屋台】
○心情
「歌って踊って、賑やかでとっても楽しいわ!

○行動
祭莉さん&梅雨さんと行動
人形焼きを作るのは二人に任せ営業にまわる
臨時でSNS開設、梅雨さん&人形焼きの可愛く映える写真を投稿
梅雨さんもふもふかわいいです
同時にリアルでも動き知り合いから知り合いへ拡散して店の知名度上げる
「お祭りだし見てる人もいるだろうから、こう言う手もありよね!
梅雨さんの可愛さも拡散されている気がするけどたぶん気のせい(

リアル&SNSで宣伝しつつ自身も楽しむ
屋台をまわって美味しいもの楽しいもの探す
もちろんステージのショーも
普段触れない世界なだけに新鮮で惹かれる

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

【メイン】
日暮さん(la2809)と演奏
ピアノ

「花の風」
曲は重厚なバラード
広い音域で重ね響かせ、祈るようにゆったりと
徐々に強く、想いを込めて
「あなたが植えた種がこうして芽吹き、花を咲かせる」
「だから守ろう。この場所が明日もその先もあり続けるように」
「共に」

盛り上げたと思えばふっと音数を減らし
ヴァイオリンメインのパートもしっかりと作る
しっかりと、けれども楽しそうに
王女への感謝と労いを込める
これは戦士としての、守り手としての曲
そして明日からもこの世界を守るライセンサーへ向けて

最後のアンコールにも参加
こちらは目一杯楽しい、明るい曲を笑いながら演奏し盛り上げる

【屋台】
夜明け前からステージがよく見える場所を確保。
「此処だけは譲れないんだ。悪いね」

お祭り中ずっと行っていた細工飴屋台の最終日出張版。
フィッシャーやミーベル、ACの飴の他、新作のミニチュアパルデニア姫とパルデニア姫(胸までのリアル)もお披露目。やはりトリを飾るのは姫さんじゃないとな(

前日までに作っておいた既製品の他、勿論実演販売も行う。
使う飴はエオニアの薔薇飴と塩飴の2種類。暑いから塩分補給で塩飴がお勧めだよ。

今後更に戦いは激化するだろうが‥強くしたたかに生き残ってほしいね。良い国だよ。

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

【サブ】
「宴ーーー!(きゃーっ!
出番までは医療アンドロイドとして砂浜のお客さん達の体調管理に走り回る
「今日もとても暑いので水分補給しっかりです!
次Iも出るので、もし良ければ見ていってくださいっ🌸
演目はタップダンス
ラップのついたヒップホップ曲と、明るいジャズ曲に会わせた2曲
ヒップホップはTシャツにジーンズ、キャップ
ジャズ時にぽい!と脱ぐとミニスカドレスに見えなくもない水着に早変わり
跳ねたり回ったり、軽快にステップを打ち鳴らします!

先生:la0108やお友達のステージは見に行きたい所
ケヴィンさん:la0192の出店にも買いに行く
「ふーふふ、うきうき!(ぴょん!

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「昨年以上のミーベルステファノスのライブにしよう!
目的】皆と楽しくパフォーマンスしてメインステージを盛り上げるよ!
同行】恋人の鳴くん、雛ちゃん(一部のみ
行動】【メイン】参加
雛ちゃん誘いワンパート一緒に歌うよ
雛ちゃんには祭りより前に一緒に歌うお願いして
依頼の合間に一緒に予め衣装の用意や歌の練習しておくね
「たくさんの人の前で歌うのも貴重な経験だよ!
→二人でお揃いの和風テイストの衣装で、鳴くんのシンセサイザーに合わせ和風でテクノっぽい歌を
「エオニアの人にも日本のことを知ってもらいたいね!

私はその後、会場の一体感高め私達に親近感持って貰う為、歌の途中で観客席に降り
鳴くんの曲に合わせ観客の人達にマイクを向け一緒に歌う(王女様にもマイク向けたり

私がメインの時以外はバックダンサーやコーラスでお手伝い
最後アンコール等に合わせ【メイン】参加の希望者全員で一緒に歌うよ!

同行音切奏la2594都築聖史la2730
パレオ付きのビキニ水着と麦わら帽子
https://game.wtrpg11.com/omc/1030719_1_g.png
サブで砂浜で歌う
準備:マイク
金乱の大規模作戦で歌ったことがきっかけで歌うことに興味を持った
「私が知っている歌…少ないのですが、前に聞いてとてもいいなって思った曲を一曲」
歌唱3で浜辺の歌をしっとりと歌う。しかし一人で歌うのが恥ずかしくなり、同行者二人を誘いに屋台へ行く
「や、やっぱり人に見られるのは恥ずかしいですね…」
屋台に行った所でサンドイッチを山ほど食べる。
「ふふ、歌った後の食事はおいしいものですね!」

同行:la1531/シオンさん

【屋台】
動きやすいラフな格好で、飲物の提供をします
ミーベルのジュースをはじめ、スムージーやアイスティーなど各種揃えましたよ
お天気もとても良いですから、楽しむ合間の水分補給や休憩にどうぞ

賑やかな空気や音楽は、その中に居るだけでとてもわくわくします
お祭りも、終わってしまうのが惜しいですね…貴方とも、出来ればもっと色々と回りたかったのですけれど
…そうですね、こうして一緒に出店をするのも想い出になりますし、次回の楽しみも増えますから
嬉しそうに笑いかけて

出店を終えた後は、ゆっくりと二人の時間も過ごしましょう

  • ちょっとだけ現実主義
    桐生 柊也la0503
    人間15才|セイント×スナイパー

【屋台】
お祭りの法被に捻り鉢巻き
小型の綿菓子機を持ち込んで綿飴&綿飴ドリンクの屋台
ドリンクは紅茶とソーダの2種類
綿飴が溶けるので元になるドリンクは甘くないものを
飲み物の上にストローに絡めた綿菓子を乗せるだけだけど
パチパチと溶けていくのが面白いと思う
要望があれば砕いたキャンディを振って星のようにキラキラと
その場で綿飴を作りふわっと雲のように振って見せたりしつつ呼び込み
「雲みたいに不思議な食感の甘い飴、如何ですか」

祭りと綿飴は似てると誰が言ったかな?
保存できないその場の夢
だからこそ『記憶』よりも『思い出』になると
だから忘れても何かの拍子に感触が蘇って懐かしくなるのだと

【メイン】
「ステージで踊りを?cloverさんとなら喜んで♪
cloverさんla0874に誘われ一緒に踊る
エオニアの花祭りに参加した時の事を思いだし、その時の曲(明るい三拍子のワルツ)で踊り
踊った花畑をスクリーンやライトで再現
二人お揃いのマートルの花冠に頭に、肩だしの白いワンピースを纏う
☆杖無でも立てるよう、両手両足がイメージ通り動かせるよう補助具装着
→補助具は白い蔦や花が指先迄覆い支えるような見た目

老化による触覚を喪失する前に最後に踊ったのがエオニアの花祭りだったわ
もう踊れない、踊らないと決めていた。けれど踊ろうと誘われて、嬉しい自分がいたの
妖精の血は音や歌を聞いても、もう私に踊れと囁かない。少し悲しくて寂しいわね
不安は沢山。けれど友人の声が、存在が私の心を踊りたいのだと騒がせるから

「ダンスは心で踊るの。笑って。きっと伝わるのだわ♪
「私の方こそ、誘ってくれてありがとう。私とても幸せなのだわ♪
「ふふっ、とても素敵なワルツだったのだわ♪

最後、アンコールに応えた全員パフォーマンス絶対参加!

【心情】
エオニアのみんな、また会えて嬉しいわ!ユリア・スメラギよ♪
ナイスバディとスウィートボイスで、視線をあたしに釘付けにしてあげるわ…ふふっ

【目的】
夏フェスを成功させる

【準備】
髪型ツインテール&アイドル衣装
初めはソロ、アンコールで参加

【同行者】
水無瀬奏(アンコール)

【行動】
1:メイン
初めはソロで参加。舞踊3と歌唱3で、アメリカンなジャズ&ロックのボーカルとダンス
Hey!ミュージック、スタート!あたしのオリジナルテーマ『Helianthus and Sunlight』、歌い上げるわ!

アンコールが来たら、奏ちゃんの呼び掛けに応えダンス&ボーカル

同行:ヤナギ(la1009
【メイン】にて2人で演奏を行う

担当:ボーカル
曲調などはヤナギのプレ参照
服装:煌びやかな模様の入った黒基調の和ゴス(ロングスカート

色っぽく艶やかに、けれど激しさを以て歌う
要所要所で鈴を鳴らす
走ったりはしないが、曲に合わせ舞い踊るようなパフォーマンスは入れる
シルエットが美しく映えるような動きとする

歌詞(サビ~ラスト
夜空に咲いた 華が散り逝く
しかれど其れに 哀しさなど無く
感ずるは 唯 唯 上々たる潔さ
さぁ 打ち上がれ あの華の如く
艶やかに魅せて 其の瞳に焼き付けて
消えない痕を 残して

アンコール参加
メイン時とは打って変わり、楽しそうに

  • 四つ葉の白い花
    cloverla0874
    ヴァルキュリア17才|ゼルクナイト×セイント

◆準備
本体メンテ中の為、四葉モード(代替の女の子ボディ)での参加。
外見が違うだけで、性格に特に変化はない。
マートルの花冠に真っ白なワンピースと所謂双子コーデ。

◆行動
同行:アルバおねーさん(la0549
【メイン】明るい三拍子のワルツに合わせてアルバと一緒に踊る。
花畑をスクリーンやライトで再現してもらう。
ラストに全員で何かするのであればそちらも参加。

四葉のクローバーには『幸せ』を意味する言葉があるんだよね。
つまり、俺の“かれーなわるつ”を見ればきっと『幸せ』になれるんじゃない?
四葉のcloverの名に恥じぬ『幸せ』を届けに来ましたよーっ。

アルバおねーさん、強引に連れてきちゃってごめんね。
でも、俺が辛かった時に何度も助けてくれたの嬉しくて…
だから『幸せ』を贈りたかったんだ。
一番近くで踊ってるから、きっと一番『幸せ』が届くよ!
いつも助けてくれてありがとう♪

(終了後)
…あぁーっ!
緊張した恥ずかしかった踊り間違えたあああっ!!
うわああんっ(泣

※アドリブ可

【心情】
ステージよりは屋台かしら。
料理はそんなにだけど、簡単なイタリア料理を披露しましょう。

【目的】
夏フェスの成功

【行動】
「揚げたてよ。座って食べるなら紙皿、持ち歩くならナプキンね」
「ビールは気にしない♪母も良くビール缶を片手に揚げていたわ」
【屋台】に参加する。イタリア版の天ぷら、フリットを出し物にする。
魚介、野菜等をビール・小麦粉・塩の衣にくぐらせて油で揚げるだけ。
ビールはメレンゲの代用、アルコールは揮発するので子供でも大丈夫、
余ったビールはジュリア本人が頂きます。
知人やアイザックが同じエリアに居るなら、故郷の味をお裾分けする。

【メイン】参加
同行:ケイ(la0743
2人でバンド
担当はベース/コーラス、他楽器は予め打込みで用意
歌詞はケイのプレ参照
服装は白シャツ黒タイに袴

「…手前ェらー!もっと来いよ!
「夏は今しか無ェンだゼー?

曲調
和テイストを組み込んだメタルサウンド
速いテンポのベースで曲を牽引
うねるような音階で色っぽさを出していく
演出
出だしは白バックに2人のシルエット
イントロ終了と同時に暗転、サビまでは暗闇とスポットライトのみ
サビからは一転し色鮮やかに
目まぐるしく色んな色のライトがくるくると回り、さながら花火のよう
曲終わりはいきなり暗転、ぷつりと切れるように

アンコールもベース参加

心情
「地球温暖化は深刻だ。水分補給は欠くべからずだな」
最近は40度を超える日もある
炎天下、水分を取らねば熱中症になろう
フェスでは健康管理も重要だ

目的
客の体調を護る為に飲料販売

行動
恋人:来栖望【望】
屋台でフルーツジュースを販売
加工食品ゆえに管理に注意
ペットボトル品・塩飴・冷却グッズなども準備

台詞
「水分の補給は充分か?」
「これを持って行くが良い。そして、休暇を存分に愉しめ」
遥と雛姫に飲料を手渡す
『……気分転換になると良いのだがな』
遠くから聞こえる音も悪くない
「俺達が愉しむのは次の機会としよう」
帰る前に予約したディナーに誘う

  • 白の守護者
    音切 奏la2594
    放浪者17才|ゼルクナイト×セイント

▼同行
コレット様
聖史様

▼行動
【屋台】
バルペオルに食い破られたお腹も綺麗に治りましたし、食べまくりますわよ!
聖史様が作ってくれたチーズステーキサンドイッチの味見役をします!(めっちゃ食う
やはりお肉は大事ですわ!病院食にもステーキを所望致します!(むしゃあ
お肉にチーズは奇跡の組み合わせ!さすが聖史様!

照れながらステージから戻って来たコレット様は可愛いです
「ふふっとても素敵でしたわ。さすが大規模の歌姫ですわね!」
客寄せのために屋台で歌うコレット様に合わせて踊りを披露
私踊りは得意ですの!姫として当然の技能ですからね!(どやぁ)
しっとりとした曲に合わせて優雅なステップを

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

コレット・アストレア(la0420(二人で屋台を運営(予定
音切 奏(la2594(アストレアの友達
↑二人は「令嬢コンビ」

【屋台】
アストレアは歌込みの宣伝メイン
聖旨はアストレアの留守に屋台守る

焼いた薄切りの牛肉と玉ねぎの上にチーズを乗せ、長いロールパンに挟んだ
「チーズステーキサンドイッチ」で出店
飲み物はアイスコーヒーと水を用意(珈琲はアストレアが作った

→音切
実際に合うのは今年の1月頃ぶり
「活躍は聞いてます。大規模の傷は大丈夫ですか?
「音切の口にあうかどうか(サンド差し出しつつ
調理を褒められたら素直に喜ぶ

戻ったアストレアに「宣伝してきました?
一人は恥ずかしいと言うアストレアに
「じゃ、ここで歌えばいいですよ(客引きになります(((

まかない以上に食べるアストレアに呆れつつ
それ以上に食べる音切もいて、客も来て休む暇なし気味になる
「アストレアも(ドリンクだけでいいので)こっちも手伝って下さい

  • 悲しき願い
    梅雨la2804
    ヴァルキュリア10才|ネメシスフォース×セイント

同行:祭莉(la0023)
アドリブ、絡みはどなたとでも歓迎
もふもふも大歓迎

夏っぽい衣装といえばアロハ!
アロハを着て、人形焼屋の看板犬として愛想を売りまくる
子供たちにもふもふもふもふしてもらえるだろう
包み紙に自分の肉球でスタンプをしてかわいくする
「これは自分も楽しく感じる。このなんとも言えないスタンプの感触がやめられない
「ライブというのはあまり見た事がないが…音の振動で腹がひっくり返りそうだ。これは面白いな
「祭莉たちも味見をするといい。どんな味か知りたい。

終始楽しく、ゆらゆらとしっぽを振っている

ステージ前に葵と由美佳とお喋り
ワルド・ジャンナで食べたシシカバブを買い三人で食べる
「鳥太郎とデュエットします。是非聴きに来て下さいね」
二人にも聴いて欲しいです

【メイン】
化野 鳥太郎(la0108)と一緒に「花の風」を演奏
互いの音を響かせ合い、物語を紡ぐように奏でる
エオニア王国の人々が日々の歩みを止めず復興へと向かって行けるように
ライセンサーがそんな人々を守り続けられるように
共に、これからも――
静かな祈りを込めてゆったりと、次第に力強く
ピアノメインパートを際立たせ、ヴァイオリンメインパートも高らかに
鳥太郎の音に聴き入りながら自身も楽しむ

最後のアンコールにも参加し演奏

アドリブ、絡み大歓迎

◆準備
竪琴
ステージ衣装(エオニアの民族衣裳+花冠)
沢山の花

◆行動
メインステージにて竪琴の演奏(希望は夕方くらいの時間帯)
鎮魂の祈りと希望、未来(明日)は幸せで満ちている、そんな思いを込めて奏でる
1曲目は静かでゆったりとした曲
2曲目は夏らしく爽やかに+エルフ語(鈴の様な、鐘の音の様な不思議な音で聴こえる)の歌
(↑が難しい場合は歌なしでOK)
3曲目はエオニアの伝統舞踊曲を会場の雰囲気に合わせてアレンジ
(↑無ければ西洋の国の舞踊曲)
華やかに、明るい雰囲気で締め括る
裏方さんに手伝ってもらってフラワーシャワーを会場に!
◆空き時間は知り合いのいる屋台巡

【屋台】
同行:ふゆ、柞原殿

冬呼と共にクレープ作り等の屋台内を担当
開店前に手順も覚えておき、その後も指示にスムーズに対応出来るよう頑張る
「早く完売させて飲もう(頷く
「チョコソースだな、了解した
二人でエオニアに来られたことが嬉しく幸せオーラほわほわ
「接客慣れしているな、柞原殿は…(感心
手伝いの礼に典にクレープ贈呈

完売閉店後
冬呼と二人で緒音に合流、飲む(日本酒、ワインどーん!
肴になりそうな品も屋台で買込んで
まずはずっと気にしていた事を
「…先日は、危急の事態だったと言え女性を殴るなど、大変申し訳なかった(深々礼
そして今後の話
「結婚式にというのは本気なので宜しく頼む
それと実は医者を目指していて…緒音殿は医師免許をお持ちだろう?
先輩として今後相談に乗って貰えたら嬉しい」
地球で生きる道を選び、冬呼と少しでも長く生きたいと願う
緒音には時々『俺』とも言う

雛姫にも声掛け
一連の依頼の労いと冬呼の紹介
「頼もしくなったな。彼とはまた会うだろうが…きっと良い道を見出せると信じよう
「彼女は婚約者。九条殿とも紫陽花寺で会っているか。あれが出会いだった

アド絡み歓迎

  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|ネメシスフォース×グラップラー

同行
アウィンさん(la3388)婚約者
柞原さん(la3876)知人

【屋台】日本タイプのクレープ
甘味系はホイップとチョコ、ミーベル、イチゴ、バナナを組合せ、総菜系はツナサラダ
「お酒のために頑張ろう、おー
場の盛り上げが任務だが、遊び…というか飲みたさもあり気合を入れる
材料在庫を見つつせっせとクレープを焼く
「チョコソースがそろそろ、準備お願い

タネ材料切れ閉店後、こそっと持ってきたチーズとスモークサーモンを
クレープの皮で巻いておつまみ作成後きちんと店じまい
アウィンさんと二人で緒音さんに合流、お酒にそえて出す
任務報告書と近況伝聞で心配するも、楽しくしようと努める
「日頃の労いですし、ぱっと飲みましょ
話の流れで直接近況を聞ければなおヨシ!

婚約者からあれこれ自分の為、との話がでると
ぽやっと頬を紅くする

そのまま頬がぽやぽやさせて雛姫さんにお話しをしに行く
アウィンさんとの今の関係を直接は話していなかったので
「実は、そういう事になりまして…びっくりだよね
照れくさそうに報告

  • Homme Fatale
    柞原 典la3876
    人間29才|セイント×ネメシスフォース

【屋台】
神取嬢さん(la3621)ノルデンさん(la3388)とこの手伝い

事前
各屋台のメニュー情報をタブレット等に纏め
横丁の出前サービス的なものを緒音に提案
「座っとるとこに、各店のもん配達出来たら便利やん? スタッフはおるし」

今までのエオニア任務等で構築した人脈(別名:逆ナン成果の連絡先)でSNSに随時夏フェス情報拡散

手伝い
屋台外で客引き、接客、会計等を担当
「美味しいクレープあるんやけど、どない?
「仲睦まじさに肖れるかもしれへんよ(微笑
元営業の本気を少し出したろ(
散華で花弁演出も

終了後、屋台ぶらっと回って、ステージ見ながら飲む
去年もやったし緒音嬢さんとこ行こ

●祭りが始まる前に
 夏の日差しが降り注ぐ砂浜に、多くの客がこれから訪れる。
 祭りの始まりに向け、慌ただしく準備が進む。

 舞台上のスクリーンには昨年のミーベルステファノスの映像が流れ、『決意へ捧ぐ果冠のアリア』や『女神の祝福』が流された。
 ライブの合間に流すようだ。

 柞原 典(la3876)は屋台のメニュー情報をタブレットに纏め、緒音に横丁の出前サービスを提案。
「座っとるとこに、各店のもん配達出来たら便利やん? スタッフはおるし」
「それはよいわね。手配しておくわ」
「おおきに。また後でなぁ」
 仕事の後の飲みの約束を入れつつ、SNSに写真をアップして夏フェス情報を拡散。
 エオニアに何度も訪れ、構築した人脈(逆ナンの成果)がある。

 屋台にライブに、各自が準備を進め、祭りの始まりを、今か今かと待ち望む。
 今年の夏は一度きり。
 最高に熱い夏フェスを楽しもう。


●暑さにご用心。
「海ーーー! 宴ーーー!」
 きゃーっ! とはしゃぐ桜壱(la0205)は左目の桜を瞬かせながら、砂浜を駆け回る。
「はっ! Iも皆さんのお役にたちます!」
 子供のようにはしゃいでしまうけれど、れっきとした医療アンドロイド。体調不良の客がいないか見て回る。
「今日もとても暑いので水分補給しっかりです!」
「地球温暖化は深刻だ。炎天下、水分を取らねば熱中症になろう。水分補給は欠くべからずだな」
 桜壱の言葉に頷いて、シオン・エルロード(la1531)は塩飴・冷却グッズを用意して渡す。今日は客の体調を護る騎士なのだ。
 まめまめしく体調を案じる主の姿を見て、来栖・望(la0468)は思わず頬が緩む。
 昨年も愛しい人と想い出を残した海。今年もまたあんな時間を過ごせたら……。
「望、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「うむ。民を思いやるだけでなく、我らも熱中症に気をつけねばなるまい。しかし……」
 シオンは望の姿をまじまじと見る。今日の望は爽やかな白シャツに黒のクロップドパンツと動きやすいラフな服装だ。
「望にしては珍しいが……たまには良い物だな」
「あ、ありがとうございます。あの……主もお似合いです」
 シオンもカジュアルなシャツとパンツ姿で、普段の豪奢な服装とのギャップにドキドキが止まらない。
 夏の日差しより、熱いかもしれない。熱中症じゃないのに火照りそうだ。
「この飲み物をいただいてもよいでしょうか?」
 桜壱に問われ、望は慌てて我に返る。
「はい。お天気もとても良いですから、楽しむ合間の水分補給や休憩にどうぞ」
「ありがとうございます。Iもダンスを踊るので、もし良ければ見ていってくださいっ」
 元気よく、ぶんぶん手を振って桜壱は去って行く。
 気持ちを切り替えて、望はテキパキとミーベルのジュース、スムージーやアイスティーを作る。
 できあがった飲み物をシオンが管理する。熱さで飲み物が痛んでしまわないか、温度や時間に気を配る。
 身長の低い子供の方が熱中症になりやすい。子供が通りかかる度に顔色を確認して、呼び止める。
「水分の補給は充分か?」
「ありがとう」
 子供がミーベルスムージーを受け取って、笑顔で手を振って去って行く。見送る主の背中を、そっと望は眺めていた。


●飴細工と人形焼き
「……ベストポジション……先に、とられた……」
「此処だけは譲れないんだ。悪いね」
 ケヴィン(la0192)はこのライブのために、朝一で屋台の場所取りを始めてしまったくらいの勢いだ。
 文句を言う常陸 祭莉(la0023)もライブが楽しみである。二人のお目当ては同じ。
「……この位置……チョータローたちのステージが、見られる……。お得……」
「今年はステージに立たないんだな」
「こんな、ケガしてステージ……行けないと、思うしね……。これぐらいが、ちょうどいい……」
 そう言いながら、頬を撫でる。くっきりと残った傷跡は未だ慣れない。
 目を細めてステージを眺め思い出す。去年の夏はあの上にいた。あの日が夢みたいだ。
 黄昏れる祭莉に慰めるように、梅雨(la2804)が足下にすり寄る。夏っぽい衣装といえばアロハ! というわけでアロハ姿の看板犬。
「ふぇす? は初めてだが、祭莉は楽しみなのか?」
「……うん」
 最近は演奏する側も意欲的になってきたが、今日は一番好きなピアノだから。しっかり聞く側で楽しみたい。
「歌って踊って、賑やかでとっても楽しいわ! 今日はお手伝いさせて貰うわね」
 ミラ・ケートス(la0103)も南国の陽気にそわそわしながら、祭莉のお手伝い。今日ここに来ているだろうあの人を思い浮かべるだけで落ち着かない。
 そんな三人がやるのは人形焼き屋だ。
 祭莉が焼いて、ミラが客引きをし、梅雨が看板犬としてサービスする。
「人形焼きはいかが?」
 祭りのわくわく気分のせいか、ミラの笑顔が弾け、祭莉も頬が緩む。皆が楽しそうで、梅雨は見ているだけで思わずしっぽがゆらゆら。

 その隣でケヴィンがやるのは飴細工屋台。夏の祭り中、ずっとやっていた。名状しがたき何かを生み出したこともあったが、それはご愛敬。
 屋台の店先に事前に作っておいた精巧な飴細工を飾っていく。無難なミーベル型から、フィギュアのように緻密なフィッシャー社長やアサルトコアの飴まである。
 そこに並ぶのは新作のミニチュアパルデニア姫とパルデニア姫の胸像。これは初お披露目だ。
「やはりトリを飾るのは姫さんじゃないとな」
「……人間みたいだ」
 飴細工をじっと見上げる梅雨の耳が、驚いてぴんとたつ。
「……食べるのもったいない。でも、溶けそう」
 祭莉のツッコミももっともで、炎天下の屋台で何故溶けないのか。
 きっと、何か、秘密があるんだ。……たぶん。
「それは企業秘密ってことで」
 ケヴィンがニヤリと笑った所で声があがった。
「あーー! わんちゃんだ!」
 子供が梅雨目がけて駆け寄ってくる。触りたそうにそわそわしているから、梅雨は肉球で、ぽんぽんと手を叩く。触っても良いんだよとばかりに。
「撫でて良いんだ!」
「すみません」
 ぎゅっと抱きついてもふもふ。子供を追いかけ親がやってきたので、ミラがさっと写真を見せる。
「今人形焼きを買うと、肉球スタンプもついてくるわ」
 肉球スタンプの言葉に子供は目を輝かせ「買って買って」とねだり出す。
「じゃあ1ついただくわ」
「……まいどあり」
 祭莉がせっせと袋に詰める間に、梅雨はぺたぺたスタンプを押していく。
「……人形焼きは二人に任せて大丈夫そうね」
 ミラは臨時SNSを開設。人形焼きや梅雨の写真をとっていく。
『梅雨さんもふもふかわいいです』
 コメントを投稿。知り合いを探して、店の情報拡散の協力を集う。店の知名度上げるため、営業に出かけよう。


●綿飴とフリット
 お祭りの法被に捻り鉢巻き姿の桐生 柊也(la0503)は小型の綿菓子機を持ち込んで、綿飴と綿飴ドリンクの屋台を始める。
 飲み物は紅茶とソーダの2種類用意してある。
「綿飴?」
「はい。日本の屋台では定番です。そちらは……」
「フリットよ。イタリア版の天ぷらね」
 柊也の隣に店をだすのはジュリア・ガッティ(la0883)だ。
「料理はそんなにだけど、簡単なイタリア料理ならね」
「美味しそうです。ですが揚げ物というのは暑いのでは?」
「ええ、暑いからビールも美味しいわ」
 フリットの衣にビールをいれることで、サクッとさせるのがフリットのコツだ。揚げるとアルコールは揮発するので子供でも大丈夫。
 そして残ったビールはジュリアが飲む。
「ビールは気にしない♪ 母も良くビール缶を片手に揚げていたわ」
「では、酒の合間にこれもどうぞ」
「ありがとう。パチパチ弾けるのが楽しいわね」
 綿飴を乗せた冷たいアイスティーを差し出すと、乾いた喉にごくごく染みる。
「おかえしにどう? 揚げたてよ」
「いただきます。魚……かな? 美味しいです」
「エオニアは海の幸が豊富みたいだから。それに野菜もあるわ」
 塩気の効いたフリットを食べた後、綿飴ティーを飲むと、甘い、しょっぱいの連鎖で、思いのほか好相性。
「これは……良い立地だったかもしれませんね」
 日本とイタリアのセット販売でよく売れそうだと柊也は考える。


●双子妖精のワルツ
  clover(la0874)はステージ裏で、アルバ・フィオーレ(la0549)へ手を差し伸べる。
「アルバおねーさん。俺と踊ってくれない?」
「ステージで踊りを? cloverさんとなら喜んで♪」
 手をとって、暗いステージの上を2人は歩く。今日のcloverは四葉モードの女の子ボディ。
 二人の少女はマートルの花冠と、真っ白な肩だしワンピースを身につけて、双子のようにお揃いだ。
 バックスクリーンには花畑の村が映し出された。

 トップバッターの登場に拍手で向かえる観客へ、cloverは大きく声をあげる。
「四葉のcloverの名に恥じぬ『幸せ』を届けに来ましたよーっ」
 真夏の海に春を届けるように、幸せよ、広がれ。願いを込めて少女達は向かい合う。

 ポロン。優しいピアノの旋律が柔らかく響く。その音だけでアルバは気づいた。大切なお友達が応援してくれている。cloverも恥ずかしげに微笑みながら頷いた。
 大丈夫、俺がいるよと想いを込めて。
 踊るのが怖いアルバの気持ちが薄れ、自然と足が動いた。

 優しいスポットライトの光が二人の少女を照らし出し、明るい三拍子のワルツに合わせ、くるり、くるりと踊る。
 弱ったアルバが踊れるよう補助具が支える。指先まで白い蔦や花が覆い支えるその姿は、花の妖精のようだ。
 映像を見上げアルバは思い出す。6月に踊った街の風景だ。
「……最後に踊ったのがエオニアの花祭りだったわ」
 懐かしさを噛みしめるアルバへ、cloverはおずおずと尋ねる。
「アルバおねーさん、強引に連れてきちゃってごめんね」
「私の方こそ、誘ってくれてありがとう。私とても幸せなのだわ♪」
 花のようにふわりと微笑んで、囁くようにアルバは呟く。
「踊らないと決めていた。けれど踊ろうと誘われて、嬉しい自分がいたの」
 6月。あれがラストダンスだと覚悟した。妖精の血は音や歌を聞いても、もう踊れと囁かない。少し悲しくて寂しい。
 けれどcloverに誘われ、今、また踊れた。それが嬉しい。
 不安は沢山。けれど友人の声が、存在が私の心を踊りたいのだと騒がせる。
「俺が辛かった時に何度も助けてくれたの嬉しくて……だから『幸せ』を贈りたかったんだ」
「幸せ……」
 目をぱちぱちさせて驚くアルバの手を引いて、cloverがリードしてくるりと回ると、スカートの裾がふわりと靡く。
 スポットライトの色が変わる度に、白い服の色が変わる。
 金、橙、青、ピンク。二人の髪や瞳の色に染まっていく。
 cloverが緊張して見えたから、アルバはぎゅっと手を握って微笑む。
「ダンスは心で踊るの。笑って。きっと伝わるのだわ♪」
「そうだね。四葉のクローバーには『幸せ』を意味する言葉があるんだよね。つまり、俺の“かれーなわるつ”を見ればきっと『幸せ』になれるんじゃない?」
 観客達は、愛らしき妖精達の舞いに、静かに魅入られていた。ライトがちらちらと舞い、まるで花の花弁のようだ。
「一番近くで踊ってるから、きっとアルバおねーさんに一番『幸せ』が届くよ! いつも助けてくれてありがとう♪」
「こちらこそ、いつもありがとうだわ」
 誰かの幸せを祈る踊りではなく。自分が楽しむ踊り。それもまた良い。
 二人の少女は微笑み、踊る。幸せよ。伝われ、伝われ、届け!

 舞台袖に戻った瞬間、cloverは膝から崩れ落ちる。
「……あぁーっ! 緊張した。恥ずかしかった、踊り間違えたあああっ!! うわああんっ」
 顔を真っ赤にして今にも泣き出しそうなcloverの頭を、アルバはぽんぽんと撫でた。
「ふふっ、とても素敵なワルツだったのだわ♪ わたしに幸せは届いたのだわ」
 cloverの想いは、確かに伝わった。目をこすって涙を拭いはにかみ微笑む。
 アルバに幸せが届いたなら、それでよい。


●和風アイドルユニット
 舞台裏では次のユニットが準備をしていた。
「雛ちゃん、大丈夫?」
「は、はい……」
 緊張でがたがた震える雛姫へ水無瀬 奏(la0244)は明るく笑いかける。
「たくさんの人の前で歌うのも貴重な経験だよ!」
「でも、私の歌で良いのでしょうか?」
 心配そうな雛姫の手を、奏はぎゅっと握りしめた。
「いっぱい練習したもの。大丈夫だよ。昨年以上のミーベルステファノスのライブにしよう!」
 奏は雛姫をステージへ誘う。2人で歌うために。
 お揃いの和風ドレスは、奏が青で、雛姫が緑。夏の風のように爽やかな装いだ。これも今日の為に用意していた。
「……さて、頑張ります、かねぇ?」
 吉良川 鳴(la0075)は二人の歌に彩りを添えるよう、シンセサイザーを弾く。

 雛姫の手をとって、暗いステージを歩く奏は、雛姫の耳元に囁いた。
「エオニアの人にも日本のことを知ってもらいたいね!」
「日本文化……そうですね」
 舞台で踊り歌う経験など、雛姫にはない。けれど琴や日舞は習った。
 雛姫が深呼吸で落ち着いた頃を見計らって、鳴がシンセサイザーで軽快な音を鳴らす。
 和とポップが入り交じる、和風テクノだ。

 ぱっとライトがついて、スクリーンに日本の四季が映し出される。
 雛姫が棒立ちで歌う。その周りを奏は軽やかに踊りながら、余裕の笑顔で歌う。
 雛姫に合わせて奏は歌い、鳴も細やかに音量調整をする。奏と雛姫のユニゾンが溶け合った。
 2人の歌を最大限に活かすよう、メリハリをつけて鍵盤を叩く鳴の表情も、どこか明るい。
 歌のサビに鳴のハモりが加わる。あくまで二人のお手伝い。邪魔にならないように気を付ける。
 三人の声が会場を包み込む。

 間奏で、雛姫が歌を辞めて、日舞の舞いを踊り出すと、奏はステージから飛び出した。
 観客席に降りて、観客にマイクを向ける。
「みんな! 準備は良いかな!」
 歌を見るだけじゃない。一緒に歌って、会場の一体感高めたい。私達に親近感持ってもらいたい。
 奏の呼びかけに、大きな返事が返ってくる。
 奏が歌うと、観客が釣られて歌い出す。奏は舞うように華麗にステージに戻り、今度は舞台裏へ。
 特等席に座る王女へマイクを向けた
「パティちゃんも一緒に」
「わ、我も?」
 ぱっと立ち上がり、舞台袖から観客を眺める。笑顔で楽しそうに歌っている。それが嬉しくて王女は小さく歌を口ずさむ。
 最後に雛姫の元へ戻ると、踊り疲れて震えていた。
「もう少し。頑張れるよね?」
「は、はい!」
 二人は歌う。アイドルの輝きを、平和の尊さを、明るい笑顔に乗せて。
 正義の味方ライセンサーで、皆に憧れられる、きらきらしたアイドル。それが奏の目指す道。

 歌い終えて舞台裏に戻ってくると、雛姫はぷるぷる座り込む。
「……もう、無理。アイドルって……凄いですね」
「正義の味方を目指す雛ちゃんは、アイドルとしての素質もありそう!」
「奏さんは凄いですね。間近で見ても眩しくて、綺麗で」
 舞台の上であれだけ歌って踊って、客の元まで走って行って、疲れを見せず笑顔を失わない。奏の輝きが眩しい。
「……お疲れ様。奏」
「鳴君もありがとう」
 互いに何も言わなくても合わせてくれる。そう信じられる間だから、思い切りできた。

 鳴はステージを終えた後、音響関係の手伝いに廻る。スタッフが困っていた。音響の調子が悪く、音がうまく出ないらしい。
「……ふむ? ここは音をもっと調整すると良い」
 音を調整したり、スタッフにアドバイスしたり。
「ありがとうございます。こちらも見て頂いても良いですか?」
「んむぅ。大丈夫、かねぇ」
 請われて機材の様子を見に行く。忙しなく鳴の裏方の仕事は続く。


●赤薔薇のパフォーマンス
 薔薇の刺繍が施されたワインレッドのミニスカアイドル衣装に、金髪のツインテールを靡かせて。ユリア・スメラギ(la0717)はステージの上から華やかさを届ける。

「エオニアのみんな、また会えて嬉しいわ! ユリア・スメラギよ♪」

 手を振りながらにっこり笑うユリアへ、歓声が沸き起こる。
 今年の冬にここでライブをしたときは、ライセンサーしかいなかったが、ネット配信を通じて皆見ていた。

「ナイスバディとスウィートボイスで、視線をあたしに釘付けにしてあげるわ……ふふっ」

 セクシーに髪をかき上げウィンク。照明がぱっと切り替わり、黄色い光がユリアの赤を引き立たせる。
 スクリーンには青空の下で咲き誇る、向日葵畑が映し出された。

「Hey! ミュージック、スタート! あたしのオリジナルテーマ『Helianthus and Sunlight』、歌い上げるわ!」

 ぱっと手をあげるとアメリカンな音楽が流れ始めた。
 ジャズ&ロックの軽快な音楽に合わせて、細い手足がしなやかに伸び、くるりと回るたびに、光の花弁が舞い散る。
 リズミカルな音楽に合わせて、軽快にステップを踏むと、客がリズムに合わせて拍手する。
 浜風に乗って、ユリアの声が伸び、広がっていく。
 歌にダンスに忙しいのに、輝くような笑顔を振りまいて。
 太陽のように明るく、艶やかに、ユリアのパフォーマンスは祭りを彩った。

「みんな! 最後まで祭りを楽しんでいってね」

 ひらりと軽やかに手を振って、舞台を降りていく。最後まで華やかで艶やかな一輪の薔薇のように。


●甘いクレープ屋開店
 アウィン・ノルデン(la3388)は神取 冬呼(la3621)と典と一緒にクレープの屋台。
 開店前に打ち合わせ、冬呼が焼いて、アウィンが包み、典が客引き、接客、会計担当。
「お酒のために頑張ろう、おー」
「早く完売させて飲もう」
「飲むのもええな。元営業の本気を少し出したろ」
 働いた後の飲み会を楽しみに、3人で頑張っていきまっしょ。
「美味しいクレープあるんやけど、どない?」
 典が余所行きの笑みで手招くと、お嬢様方がホイホイ立ち止まる。アウィンは思わず感心した。
「接客慣れしているな、柞原殿は……」
「おおきに。会社員時代に鍛えたんや」
 絶対それだけじゃない。
「……典さん?」
 客として祭りを満喫していたマーガレット(la2896)は、知り合いを見つけて思わず立ち止まる。
「嬢さんやないか。クレープ、どない? サービスしとくわ」
「あら、素敵ですね。何があるのかしら?」
 冬呼がはいっと手をあげる、
「甘味系はホイップとチョコ、ミーベル、イチゴ、バナナを組合せ。総菜系はツナサラダもありますよ」
「甘いのが良いですね。せっかくだからミーベルをお願いしましょうか」
「チョコソースおまけしておきますね。あ……チョコソースがそろそろきれそう、準備お願い」
「チョコソースだな、了解した」
 阿吽の呼吸でアウィンはせっせと用意する。冬呼との想い出の地・エオニアに来られたことが嬉しくて、2人の間に幸せオーラがほわほわ漂う。
「……仲良いんですね」
「仲睦まじさに肖れるかもしれへんよ」
 微笑を浮かべる典に、頷きつつふと気づく。
「よかったら、これでお店を彩れないでしょうか?」
 マーガレットが取り出したのは色とりどりの花弁。
「おや、綺麗やね」
「この後ステージで竪琴を演奏するので、その演出用の残りです」
「嬢さんの晴れ姿、楽しみやなぁ」
「待たせてすまない」
「ありがとうございます」
 アウィンが差し出したクレープを受け取って、かぷりと齧り付く。甘酸っぱさが口に広がる。
「美味しいです。皆さん頑張ってください」
「竪琴の演奏も、お気張りや」
 手をひらひらさせつつ去って行くマーガレットを見送り、典は花弁を空に撒く。
 ひらひらと空を舞う花弁たちが、新しい客を呼び寄せた。


●歌と踊りとサンドイッチ
 コレット・アストレア(la0420)はマイクを片手に砂浜に佇む。
 青のビキニに白いパレオを重ね、麦わら帽子を被った爽やかな渚の人魚姫。
 すっと息を吸って思い浮かべる。中国で酒池肉林に囚われた人々を解放するために歌った。あれがきっかけで最近歌に興味がでてきた。
「私が知っている歌……少ないのですが、前に聞いてとてもいいなって思った曲を一曲」
 浜辺を歩きながら昔を想う、日本の童謡だ。
 アカペラで涼やかに響く歌声に、人々が足を止めて聞き惚れる。
 多くの人の注目を集め始めると、一人で歌うのが恥ずかしくなってきた。
「や、やっぱり人に見られるのは恥ずかしいですね……」
 コレットは頬を染めて、友人達の元へ向かった。

 都築 聖史(la2730)は薄切りの牛肉を手早く焼きながら、戻って来たコレットに問いかける。
「宣伝してきました?」
「あ……すみません。一人で歌うのが恥ずかしすぎて」
 店の宣伝も兼ねて歌うはずだったのだが、忘れてつい逃げてしまった。
 音切 奏(la2594)は屋台を巡って仕入れた食べ物を食べつつ、微笑む。実は客に紛れてコレットが歌う姿を見ていた。
「照れるコレット様は可愛いですね。ふふっとても素敵でしたわ。さすが大規模の歌姫ですわね!」
「うぅ……奏さん。一人は恥ずかしいのです」
「でしたら、私が一緒に踊りましょうか。私踊りは得意ですの!姫として当然の技能ですからね!」
 どやぁ顔で胸を張る奏の姿に、安心してほっと息を吐く。
「じゃ、ここで歌えばいいですよ」
 店の前で歌う方が客引きに向いていると聖史も提案し、店前で即席ライブの開始だ。

 すぅと息を吸って歌い出す。コレットがしっとりと美声を響かせると、奏は優雅なステップで舞う。2人の姫君にそっと寄り添うように聖史がハモる。
 友人達が一緒だと想うと、一人の時より心強くて、コレットも思い切って歌える。
 伸び伸びとした歌声に合わせ、奏は艶やかに舞う。紫から桃色へと変化する長い髪が、浜風に揺れて、まるで大輪の花のようだ。
 ──世界で一番、私が可愛い。
 そう堂々と胸を張って奏はステップを踏む。

 2人のライブで注目を集め、屋台へ客が集まってきた。
 聖史はテキパキ肉と玉ねぎの上にチーズを乗せ、長いロールパンに挟む。
「チーズステーキサンドイッチです。どうぞ」
「美味しい!」
 テキパキ客を捌き終えた頃に、奏とコレットが戻ってきた。
「一踊りすると汗をかきますね」
「アイスコーヒーと水がありますよ。コーヒーはアストレアが入れてくれました」
「コレット様が。それはいただきますわ」
 コレットもからからの喉に水分補給。
 その合間に料理を作りつつ、聖史は奏に問う。
「活躍は聞いてます。中国での傷は大丈夫ですか?」
 会うのは久しぶりだが、奏の噂は聞いている。中国の大きな戦いで、アサルトコアで駆けぬけ、強敵に立ち向かい深手を負ったと。
 姫を貫き、挑み続けた名誉の勲章だ。
「大丈夫ですわ。バルペオルに食い破られたお腹も綺麗に治りましたし、食べまくりますわよ!」
 誇り高き姫君だが、今日は食いしん坊モード。踊っている間に、屋台で食べた分のカロリーは消費した。
 聖史はくすりと微笑み、2人分のサンドイッチを差し出す。
「音切の口にあうかどうか。アストレアもどうぞ」
「ありがとうございます」
「聖史様が作ってくださったなら、美味しいに決まってますわ」
 そう言ったかと思うと、豪快に齧りつく。
「ん……美味しい! お肉にチーズは奇跡の組み合わせ! さすが聖史様!」
「ふふ、歌った後の食事はおいしいものですね!」
 奏とコレットに褒められ、聖史は素直に喜びの笑顔を浮かべる。
 すぐにおかわりを要求され、せっせとサンドイッチを作るが、どんどん2人の胃袋に消えていった。
「これは……まかないの域を超えているのでは?」
 コレットの食べっぷりに呆れつつ、それ以上に奏が食べるので、仕方ないかと諦めた。
「やはりお肉は大事ですわ! 病院食にもステーキを所望致します!」
 むしゃあと食べる奏の姿が、あまりにも美味しそうに見えるのか、客も増えていく。
「アストレアも飲み物だけでいいので、こっちも手伝って下さい」
「はい。わかりました」
 喫茶店を営むコレットはテキパキとコーヒーを入れていく。2人の息があった仕事ぶりで、客も捌ききれた。
 そんな頃、アイザックがやってきた。
「聖史君? 出店をやってたんだ。聖史君は料理上手だから美味しそうだな」
「褒められると照れます、ケイン。祭りを楽しんでますか?」
「うん。とっても楽しいね。サンドイッチ貰っても良い」
「はい。どうぞ」
 聖史とアイザックの親しげな様子に、コレットを見て気遣う。
「よろしければ店番代わりましょうか?」
「いえ……それは」
 コレットの提案を否定しかけて、新たな客の登場に固まった。
「久しぶりだな、聖史。サンドイッチを1つ頼む」
 葵の顔を見て聖史は思わず目を逸らし、視界に由美佳を見つけて、途端に表情が冷たくなる。
「私だけ、態度が違うわね……」
 由美佳の悪戯兵器で幼女にさせらた。その恨み許すまじ。あの時は葵にも迷惑をかけた。思い出すだけでいたたまれない。
「はい。どうぞ。すみません。仕込みに戻ります」
 耳まで赤くしながら肉マシマシサンドイッチを葵に押しつけ、聖史は裏方に引っ込んだ。

 そこへちょうど日暮 さくら(la2809)が通りかかった。
「先日ぶりです。葵、由美佳」
「ああ、さくらも来ていたのか」
「鳥太郎とデュエットします。是非聴きに来て下さいね」
「もちろん、聞かせて貰うわ。ねえ、それ」
 由美佳がさくらの手に持つシシカバブに目をとめる。
「はい。アルガミラ式の料理の出店があったので」
「良いわね。葵さん、食べにいかない?」
「ではステージが始まるまで、私が案内します」
 さくら、葵、由美佳は出店を歩いて周る。

「シシカバブ! まだ食べていませんわ」
 まだ見ぬ、食べ物の話を聞き、食欲旺盛な姫君・奏は歩き出す。
 出店の全てを食べ尽くす、食い道楽の旅へ。


●花の風、共に、紡ぐ
 曲が始まる前、照明の落ちたステージ上でピアノの化野 鳥太郎(la0108)とヴァイオリンのさくらはアイコンタクトで音合わせ。
 最後の調律を終えて頷き合うと、そっと触れるように鍵盤の上で指が踊り出す。
 ぽろん。
 ふわりと香るような旋律に、深みのあるヴァイオリンの音色が重なって、スクリーンには風に舞う花が映し出された。
 演奏するのは化野が作った「花の風」。重々しい低音から始まる重厚なバラードだ。
 大きな手を生かして化野は幅広い音域をカバーし、深い低音に透き通るような高音を重ねていく。さくらは甘やかな音色を乗せてのびのびと弾く。
 ピアノとヴァイオリン。互いの音を響かせ合い、物語を紡ぐように。

『あなたが植えた種がこうして芽吹き、花を咲かせる』

 化野は歌いながら、特等席に座るパルテニアをちらりと見る。パルテニアへの感謝と労いの想いを込めた曲。
 その想いが通じたのか、王女は目を輝かせていた。思わず足がぴょこぴょこ動きそうなほど。楽しげな様子を見て、化野は徐々に音量を上げていく。
 ダイナミックに全身を使って演奏し、豊かな情感が多彩な色を紡いでいく。遠く、遠く遥か彼方まで、強くピアノを響かせ、ドラマティックに盛り上げていく。

『だから守ろう。この場所が明日もその先もあり続けるように』

 これは戦士としての、守り手としての曲。化野だけでなく、明日からもこの世界を守るライセンサーへ向けて、エールを送る。
 ピアノを弾く化野の表情は真剣で、音と真正面から向き合うプロの目だ。化野の奏でる音に聴き入りながら、さくらは音を楽しむ。
 皆を包み込む様に、まあるく柔らかな音が会場を包み込む。2人の音が溶け合って、調和した。

『共に』

 その歌声の後、化野はふっと音数を減らし譲る。ヴァイオリンソロの始まりだ。
 ヴァイオリンの音色がダイナミックに変化した。素早く弓を動かす早弾きに、熱がこもり高らかに奏でる。薄紫の髪が激しく揺れ、陽の光を浴びてきらきら輝く。
 さくらも音色に、強い想いをこめていた。
 エオニア王国の人々が、日々の歩みを止めず復興へと向かって行けるように。
 ライセンサーがそんな人々を守り続けられるように。
 さくらは弾きながら一歩づつ、ピアノへ歩みを進める。化野はさくらの演奏を目を細めて見守り、寄り添うように音を紡ぐ。
 あと一歩の距離まで近づいて、2人は視線を合わせて歌う。

『共に』

 2人は静かな祈りを音と歌にこめて、2人で最後のサビをゆったり奏でる。
 ピアノとヴァイオリンが調和して、音の色彩が鮮やかに会場を染めていく。
 さくらの花弁が舞い踊るように、照明がちらちらと瞬き、スクリーンの薔薇と混ざり合う。
 
 共に、これからも──。

 ライセンサーも、エオニアも、世界の人々も、共に歩むという想い、願いは観客に伝わった。
 静かに曲が終わった瞬間、わっと歓声があがり、拍手が巻き起こる。


●ライブの余韻と桜のダンス
 ケヴィンは演奏中、店を臨時休業にして聞き入っていた。必ず聴くと決めていた。楽しみすぎてはしゃぐ気持ちを、ぐっと心の中に押し込んで、じっと眺める。
 祭莉も眩しげに目を細め、ステージに魅入られた。
「……チョータローのピアノ。良い」
「先生のピアノ、Iも好きです!」
 桜壱は演奏を聞き終えて、思わずぴょんと飛び上がるほど、感動していた。
「ふーふふ、うきうき!」
「おーお。ご機嫌だな。ほい」
「ありがとうございます!」
 ケヴィンに差し出された飴細工を受け取って、くるくると回る。プログラムに刻まれた演奏の余韻に浸って、ピアノに合わせて踊るように。

「Iも踊ります!」
「……がんばれ」
 祭莉はこくりと頷き、見守る構え。

 Tシャツにジーンズ、キャップを被った桜壱は、木箱を並べた即席の台に上に飛び乗った。
 軽やかにリズミカルに、足音がメロディを刻む。タップダンスだ。
 ズンズン、チャ。ズンズン、チャ。
 全身を大きくつかって、跳ねたり回ったり、軽快にステップを打ち鳴らす。

「よーよー。エオニア、遊びな!」

 陽気なヒップホップとラップに合わせ、手拍子も合間に入れて、人々を引き込むと、釣られたように皆が手拍子を打ち始める。
 パン、パン、ズンズン、チャ!
 被ってた帽子を空に放り投げ、ぴたっとポーズを決めて踊り終えると、拍手が舞い上がる。

 その間に、桜壱は服をぽいっと脱ぎすてた。早変わりで現れたのは、ミニスカドレス風の水着だ。
 ラフなヒップホップからうって変わって、シックなジャズに。
 タタ、タタン、タン、タタン。
 音に舞い、スカートがひらりはためく。
 去年、ステージに立ったとき、音を楽しむのが音楽だと知ったから。今日を全力で楽しんで。それが皆に届けとばかりに、表情が生き生きと輝く。
 ぴょんと飛び上がって着地し、くるりと一回転。
「楽しい一日になりますように!」
 踊り終え、観客達に手をふりふり。

 桜壱のダンスで集まった人々へ、ケヴィンは売り込みをかける。
「さあさあ、暑いから塩分補給に塩飴がお勧めだよ。綺麗なお姉さんには薔薇飴もお似合いさ」
 売り込みの為のお愛想くらいお手の物。お嬢様方から、次々と頼まれる注文を捌きながら願う。
(今後更に戦いは激化するだろうが……強くしたたかに生き残ってほしいね。良い国だよ)
 エオニアでいくつもの想い出が花咲いた。願わくば、この国の平和が長く続きますように。


●泡沫の綿飴、上機嫌フリット、早じまいクレープ
 柊也はふわっと雪のような綿飴を作り、流れる雲のように振って呼び込み。
「雲みたいに不思議な食感の甘い飴、如何ですか」
「ソーダください!」
 お小遣いを握りしめて、柊也の店へやってきた少年は、乗せられた綿菓子に目を輝かせた。
「ふわー。雲みたい」
「星を飾りましょうか?」
 思い切り頷かれ、砕いたキャンディを綿菓子の上に振って、星のようにキラキラと。
 受け取った少年はパチパチ弾けるのを目を輝かせて見守った。
 その様子を見守りつつ、ぽつりと呟く。
「祭りと綿飴は似てると誰が言ったかな?」
 保存できないその場の夢。
 だからこそ『記憶』よりも『思い出』になる。だから忘れても、何かの拍子に感触が蘇って、懐かしくなるのだと。
 泡沫の夢のように儚く消え、甘い想い出を残して去って行く。

 その隣でジュリアは、ビールを飲みつつ上機嫌に、どんどんフリットをあげていく。
 魚介や野菜に衣にくぐらせて。油で揚げるだけ。手早くからりとあがったフリットを、油切りしている時だった。
「ジュリア君、柊也君、お店をやってたんだね」
「アイザック。いらっしゃい」
 ジュリアが手に持つグラスに目をとめて、アイザックはにっこり笑った。
「ふふ、ビール飲みながら料理も良いね」
「これは……フリットを上げるのに必要なの」
「柊也君、紅茶味を2つ頼んでも良いかな」
「わかりました」
 柊也はこくりと頷いて、てきぱき2人分の綿飴ドリンクを作っていく。アイザックは1つをジュリアに差し出した。
「僕に付き合って、飲んでくれる?」
 そんなに心配されるほど、酔っているだろうかと思いつつ、素直に紅茶を受け取った。
「じゃあ、故郷の味をお裾分け。座って食べるなら紙皿、持ち歩くならナプキンね」
「美味しそう。持ち歩いて食べようかな。お店が終わった後で飲もうね」
 仕事終わりのビールを楽しむなら、仕事中のビールはほどほどにしておいた方が美味しいかもしれない。
「飲み仲間が欲しかったのかしら?」
「うん。だから今はまだ飲み過ぎないように、ってね」
「アイザックはもう既にいっぱい酒を飲んでそうね」
「うん。何杯飲んだか、もう思い出せないな」
 笑いながら去って行くアイザックを見て、柊也はぽつりと呟く。
「珍しく休みを満喫してますね」
「そうね。良い傾向だわ」
 どこか浮かれて、ふわふわしているアイザックを見る機会は少ない。
 たぶん、きっと、この後アフリカで激しい戦いが待っているのだろう。
 けれど今日だけは、楽しい時間を過ごしてほしい。

 アウィンが在庫チェックをしていて気づいた。
「そろそろ材料がなくなってきたな」
「店じまいにしようか!」
「せやねぇ。売り上げ数えとこ」
 冬呼はクレープ生地に、こそっと持ってきたチーズとスモークサーモンを乗せて、くるくるっと纏めておつまみ作成。
 アウィンは手伝ってくれた礼に、典にミーベルクレープを作った。
「甘い物が嫌いでないと良いのだが」
「おおきにな。いただくわ。緒音嬢さんとこ行くんやない? 俺も行かせてなー」
「もちろん。飲み仲間が増えるのは歓迎だ」
「じゃあ、おつまみ増やしちゃおう! とその前に」
 仕事終わりに、ぽふっとアウィンに抱きつき冬呼は吸う。疲れたから充電だ。アウィンの表情が優しく、甘くなる。
「……ふゆ」
 金勘定に忙しく、見てなかったという振りをしつつ、典は思う。
(邪魔になるやろかと思うたけど、俺がいてもお構いなしやなぁ。仲睦まじいのはええことやなぁ)
 

●看板犬と人形焼き屋
 人形焼き屋の前に、子供達が群がっていた。
「スタンプください!」
 人形焼きの包み紙に、梅雨の肉球スタンプが可愛らしくあしらわれている。そのスタンプを押す姿が子供に人気なのだ。
 アロハを着た看板犬は、スタンプ台にむぎゅっと手を置き、ぽんぽんと押していく。
「これは自分も楽しく感じる。このなんとも言えないスタンプの感触がやめられない」
「わんちゃん、ありがとう!」
 笑顔の子供達が次々と、むぎゅっと、もふもふと、梅雨に抱きついた。
 子供がじゃれるように、思う存分梅雨をもふもふする姿を見て、祭莉はぽつりと呟く。
「ツユが有名になって、いっぱい人集めたら……ツユの会社に評価してもらえる」
 梅雨を想う祭莉の気持ちが嬉しくて、思わずしっぽをゆらゆら。
「祭莉たちも味見をするといい。どんな味か知りたい」
「……ん。はい」
 人形焼きを手のひらにのせて差し出すと。梅雨はパクッと食らいつく。
 営業から戻って来たミラが、人形焼きを食べる梅雨の写真をとる。SNSに梅雨の写真をあげるたびに、拡散されていく。
「お祭りだし見てる人もいるだろうから、こう言う手もありよね!」
 梅雨の可愛さも拡散されている気がするけど……たぶん気のせい。
 祭莉も一緒に人形焼きを食べ、渇いた喉にレモネードを流し込む。甘酸っぱい味わいが爽やかだ。
 梅雨が砂浜に座り込み、聞こえてくる音楽にあわせしっぽをゆらす。
「ライブというのはあまり見た事がないが……音の振動で腹がひっくり返りそうだ。これは面白いな」
 そわそわむずむず落ち着かないけど、嫌な感じでは無く、むしろ好ましい。


●言葉にできない、伝わらないもどかしさ
 ふと人混みの中にアイザックを見つけた。ただそれだけでミラの胸が弾む。零れそうな溜息を飲み込んだ。
 祭莉はミラの様子に気づいた。その背を押すように祭莉は焼きたての人形焼きを差し出す。
「休憩、していいよ……」
「あ、ありがとう」
 受け取ってぱたぱたと駆け出すミラを、祭莉と梅雨は見送った。

「アイク。こんにちわ」
「こんにちわ。ミラ君のSNS見てたよ。可愛い人形焼き屋さんだね」
「よかったらどうぞ」
 ほかほかの人形焼きを差し出した。
「ありがとう。日本のお菓子だね」
 美味しそうに食べる姿を見て、ミラはえいっと勇気を出す。
「よかったら……一緒に屋台を回ってもよいかしら?」
「もちろん」
 明るい日差しが降り注ぐ砂浜で、並んで歩くのはデートみたいで、ドキドキする。
「生ライブは初めてで、凄いね」
「ええ、迫力が違うわね。普段触れない世界だから、新鮮で惹かれるわ」
「知らないことを知るのは楽しいね」
 楽しげに笑うアイザックを見て、ミラはぎゅっと覚悟する。
(二人になる機会もあまりないし、私を見てくれているのかも心配だけど……踏み出さなきゃ、始まらないわよね)
「じゃあ、新しいものを探しに行きましょう」
 2人で屋台巡りをしながら、どの店が良いか話が弾む。
 アイザックの前だと、ミラはいつも緊張してしまうけれど。今日は音を楽しみ、食を楽しみ。祭りの賑やかさに自然と笑みが零れて。
「ミラ君、いつもよりイキイキしているね」
「そ、そうかしら?」
「いつも僕に何か言いたそうにしてる気がして」
 ミラは思わず胸を押さえてぷるぷる首を横に振る。
「ミラ君が困っていることがあるなら、先輩として力になりたいんだ。だから遠慮せず言ってね」
 『先輩』の言葉にミラはぎゅっと唇を噛みしめる。どれだけ胸の奥で想いを募らせても、伝わらないもどかしさ。
 俯いてレモネードを口にする。甘酸っぱさに塩気が混じった。


●渚に想いを残す恋模様
「望さん、シオンさん!」
 親しい人の顔を見かけ、雛姫の顔にぱっと笑顔の花が咲く。
「雛姫さん、こんにちわ。涼し気な格好も似合いますね……楽しんでいるようで良かった」
「はい。ライブというのは初めですが、凄いです! 遥さんも凄くて」
「イベント企画はオネーサンの得意分野よ」
 無邪気に笑う雛姫と、ぱちんとウィンクして見せる緒音の姿を見て、シオンはほっと胸を撫で下ろす。
(……気分転換になっているなら、良いのだがな)
 志鷹紅葉を巡る騒動に、この2人がずいぶん心を痛めていたのを間近で見た。少しでも2人を労いたいと思っていた。笑顔で祭りを楽しんでいるのを見て、思わず口元が綻ぶ。
「これを持って行くが良い。そして、休暇を存分に愉しめ」
「わあ! 美味しそうです」
「新鮮な果物で作るジュース良いわね」
 シオンの差し出した飲み物を嬉しそうに受け取って去って行く。
 その背を見送っていた望は、見慣れた人を見つけて手を振る。
「アイザックさん、休憩がてらお飲み物を如何ですか?」
「望君、シオン君、こんにちわ。頂くよ」
「久しいな。相変わらず忙しくしておったのか?」
「うん、最近は少し落ち着いたかな。また忙しくなるけどね」
「これから忙しくなるなら、今日はゆっくり楽しむと良い」
 望がアイスティーを差し出して微笑む。
「どうぞ素敵なひとときを!」
「ありがとう」
 客が途切れて、望はそっと祭りの空気を味わう。遠くから賑やかな空気や音楽が流れてきて、その中に包まれているようだ。
「皆さんが楽しそうに過ごすのを見ていると、とてもわくわくします」
「遠くから聞こえる音も悪くない」
「……そうですね、こうして一緒に出店をするのも想い出になりますし、次回の楽しみも増えますから」
 望は嬉しそうに笑いかけ、優しく微笑むシオンと目と目が合う。きゅっとシオンのシャツを掴んで呟く。
「お祭りも、終わってしまうのが惜しいですね……貴方とも、出来ればもっと色々と回りたかったのですけれど」
「俺達が愉しむのは次の機会としよう。さて、そろそろ店じまいにせぬか? 少しくらい海を歩く時間も作れよう」
「はい」
 ふんわり微笑んで、望はパタパタと出店を畳む。
 出店を遠目に、潮騒を聞きながら、手を繋いで海岸を歩く。
 ゆっくり過ごす2人だけの時間が尊く、夕暮れが近づく気配に心がざわめく。
 もう少し今日という時間を過ごしたかった。名残惜しい。そんな望の寂しさを見透かしたようにシオンは囁く。
「ディナーの予約をしている。帰りに寄って帰らぬか?」
「はい。シオンさんと一緒なら、何処へでも」
 望の頬が赤かったのは、夕焼けのせいだけではないだろう。
 恋人達は幸せそうに微笑みあい、語り合い、浜辺を後にする。
 2人の残した足跡を、波が浚って消していく。儚いからこそ尊い。
 今日という日が過ぎ去っても、この砂浜に2人の想い出を刻みたい。


●夕暮れの精霊
 夕暮れの光が海を、砂浜を赤く染めていく。
 エオニアの民族衣裳を身に纏い、花冠を被ったマーガレットは竪琴を手に、ステージの中央に立っていた。
 スタッフがステージ上から、ひらひらと花を振らせる中、そっと弦を弾いて奏ではじめる。
 ぽろん。
 真珠が零れ落ちるように、静かにゆったりと紡がれる優しい音。戦禍に散った人々への鎮魂の祈りを込めて。優しい子守歌のように。
 1曲目を終えるとすぅと深呼吸をして、夏らしく陽気で爽やかな音を紡ぎ出す。竪琴に合わせてマーガレットは歌う。
 それはエルフ語で、鈴の様な、鐘の音の様な、不思議な音で、意味がわからなくても聴いていて心地よい。
 マーガレットは想い、願う。未来は、明日は、幸せで満ちている。希望はそこにある。
 降り注ぐフラワーシャワーは風に乗って、会場へ広がっていく。
 観客に明るい気分が満たされていくのを感じて、最後の曲を奏でた。
 エオニアの伝統舞踊曲だ。フェスの雰囲気に合わせて現代的にアレンジされているが、エオニアの民にとって聞き馴染みのある曲。
 思わず踊りたくなるほどに、心浮き立つ。
 マーガレットは竪琴をかき鳴らし、華やかに、明るい雰囲気で締め括る。
 演奏を終えて立ち上がって礼をすると、観客から声援と拍手が送られた。


●花火メタル
 日が暮れて、空に一番星が瞬き始める頃、最後の演奏が始まる。
 ヤナギ・エリューナク(la1009)は白シャツ黒タイに袴をあわせ、ケイ・リヒャルト(la0743)は煌びやかな刺繍の入ったロングスカートで、黒いの和洋折衷のゴシック衣装。
 照明が消えた薄暗いステージから、観客席を眺め、ケイはぽつりと呟く
「……祭りが終わる……寂しさかしらね」
「まだまだ終わらねぇってとこ、見せてやろうか」

 舞台の上。白い背景に2人のシルエットが映し出された。
 これから始まる曲を待ち望むように、客席がしんと静まりかえる。
 打ち込みのドラムがビートを刻み、三味線の旋律が混じる。和風とメタルが入り交じったイントロが響き渡る。
 イントロ終了と同時に舞台は暗転。暗闇の中、ぱっとスポットライトが2人を照らした。
 吠えるように、激しさを以てケイが歌い始めた。

『夜空に咲いた 華が散り逝く』

 黒と白の世界で、メタルのサウンドに合わせ、ヤナギは激しく体を揺すりながら、ベースをかき鳴らす。
 手に鈴を持ったケイは、色っぽく艶やかに髪をゆらして。
 夜空を指さすと、花火が打ち上がるような爆音が轟く。
 歌声が遠くまで響き渡る。歌とベース音がぶつかり合って、激しい火花のようだ。
 ケイの表情はクールで、ミステリアスで。対照的にヤナギの表情は激しく嗤っていた。

『しかれど其れに 哀しさなど無く』

 客の寂しさなど吹き飛ばす。そんな勢いでテンポが速いベース音が曲を引っ張っていく。
 ケイが持つ鈴が、リズムを刻んで音を多彩に広げていく。
 2人の奏でる音が、砂浜を駆け抜け、海の向こうまで轟く。
 ヤナギが目で語る。もっと、もっと、激しく、吹き飛ばせと煽るように。
 艶やかな笑みでケイは返し、爆発するような歌声を響かせる。

『感ずるは 唯 唯 上々たる潔さ』

 どんどん激しくなる曲調に合わせ、ケイは舞い踊る。しなやかに伸びる手足のシルエットが、白いキャンバスに美しく映え、艶っぽい彩りを添えていった。
 サビ前に、瞬きのようなベースソロ。激しくかき鳴らしながら、ヤナギは吠えた。

「……手前ェらー! もっと来いよ!」

 ビートを刻んで翻弄し、メロディを織り込んで音で魅了し、心を煽りたてるヤナギの叫びに、息を呑んで魅入っていた客は、曲に合わせて歓声をあげ、激しく飛ぶ。
 サビが近づいていく。ベースのサウンドは、うねるような音階で色っぽさを出していく。
 モノクロの世界が一点、色鮮やかな照明が降り注いだ。

『さぁ 打ち上がれ あの華の如く』

 目まぐるしく色んな色のライトがくるくると回り、さながら花火のように眩しい。

『艶やかに魅せて 其の瞳に焼き付けて』

 2人の歌が、演奏が、夜空に届けと激しく高ぶる。
 それに応じるように、観客は激しく体を揺らしながら声援を送る。

『消えない痕を 残して』

 歌い終えたケイが鈴を鳴らしながら舞い踊り、ヤナギはベースをかき鳴らしながら叫ぶ。

「夏は今しか無ェンだゼー?」

 今を楽しめ、名残惜しんでる場合じゃ無いと。
 最後の一音が終わった直後、ぷつりと切れるように、ステージはいきなり暗転。
 2人の姿は闇に消えた。花火が儚く消えるように、火花のような2人は忽然と消えた。

 花火のように激しく、唐突にあっけなく終わる刺激的な演出に、観客は声を失った。
 時間差で轟くような歓声をあげる。
 もっと、もっと聞かせてくれ。まだ夏は終わらない。まだ今日は終わらない。


●アンコール
 観客に望まれたなら、答えないわけにはいかない。
 アンコールの時間だ。
 今日メインステージに立った皆が壇上にあがる。
 化野が皆を見回し、準備は良いかと目で囁く。
 ケイとヤナギは、今激しいパフォーマンスを終えたばかりだ。2人は息を整え頷いた。まだまだイケると、唇の端をあげる。

 化野の軽快なピアノと、鳴のシンセサイザーが、ワルツのように重なり合う。
 さくらの艶やかなヴァイオリンの音色が、重なり合ってハーモニーを奏でた。
 ヤナギのベースが音を支え、マーガレットの竪琴が繊細に彩る。
 双子の妖精のように、アルバとcloverが、ステージの中央でくるくると踊り。
 奏とユリアは明るく歌い出す。

「♪夏の想い出を 音楽に乗せて 浜風よ吹け!♪」

 2人が舞台中を踊って駆け抜ける間に、ケイは楽しげに歌い上げる。
 皆がイキイキと歌い、踊り、演奏する様を見て、化野は楽しくて仕方が無いといわんばかりに笑いながら、目一杯楽しい、明るい曲を引き続ける。
 1人、2人、と歌声が増えていき、やがて全員が歌い出す。
 特等席から立ち上がり、パルテニアも一緒になって歌う。

 ふっと化野は演奏を片手に切り替え、片手で手招きをする。
 おいで、おいでと誘うように。
 招かれて王女は壇上にあがる。奏が隣に寄り添って、歌いながら中央へ導く。
 観客達もみんな歌っていた。明るく、楽しく、イキイキと。
 去年もそうだった。パルテニアはこの笑顔が見たくて、たまらなかった。
 最後のサビまで歌いきり、とびっきりの笑顔を浮かべる。

 歌い終えて歓声をあげる客に向かって、王女はめいいっぱい叫ぶ。
「フェスは楽しい!」
「「楽しい!!」」
 演者のかけ声に合わせて、観客も返す。
 一夏の想い出を、音と浜風に乗せて、祭りの熱狂と溶け合って。
 いつまでも、いつまでも、終わらない拍手は、音を楽しむ、フェスを彩った全ての演者達へ捧げる、贈り物。


●祭りの終わり
 ライブが終わる頃には、すっかり日が暮れていた。
 しかし祭りの名残を惜しむように、いまだ砂浜には多くの人が集い、食べて、飲んで、話題に花を咲かせて、祭りを楽しんでいた。

 緒音を見つけたアウィンと冬呼と典は、砂浜に置かれた木のテーブルにつく。
 アウィンが日本酒とワインをどーん! と置くと、冬呼は手作りおつまみをどさっと並べる。典も屋台で肴になりそうな品を見繕ってきた。
 乾杯のその前に、アウィンが深々と頭を下げる。
「……先日は、危急の事態だったと言え女性を殴るなど、大変申し訳なかった」
 任務のことを、ずっと気にしていた。頭に血が上った緒音を止めるためとはいえ、謝罪すべきだと。
「もう、気にしないで。殴り合って深める絆もあるわよ」
「……緒音殿らしいな」
「湿っぽい話は終わり。じゃあ、夏を祝して、乾杯!」
「ようわからんけど、乾杯やな!」
 アウィンと緒音の間にあった事を典は知らない。けれどそれで良い。湿っぽくなるより、楽しく飲めば良いだろう。
 冬呼も直接目にしていない。アウィンから話を聞き、報告書に目を通しただけだ。緒音を心配する気持ちもあるけれど、それより楽しくしようと努める。
「日頃の労いですし、ぱっと飲みましょ」
 4つのグラスがコツンとぶつかって、ワイワイと飲み始める。
「緒音嬢さんと飲むのも、二度目やろか。冬とはまた違った良さがあるなぁ」
「寒い季節の熱い酒も良いけど、真夏にキンキンに冷えた酒も貯まらないわね」
「そうそう。美味い肴があると、さらにええなぁ」
 冬呼が作ったチーズとスモークサーモンのクレープ巻きを食べていたら、声がかかる。
「典さん。こんばんわ」
 ふんわり微笑むマーガレットがやってきたのだ。
「嬢さん、お疲れさん。良い演奏やったなぁ」
「私も竪琴は初めて聞いたわ。不思議な歌声も素敵ね」
 典や緒音に褒められ、マーガレットは恥ずかしげに微笑む。
「うふふ……気に入っていただけて嬉しいですねぇ……」

 賑やかに楽しんでいる間に、雛姫がやってくる。
「えっと……飲み会、でしょうか?」
 未成年が混じっても良い物だろうかと悩みつつ、しかし楽しそうだし混じりたい。
 冬呼が自分の隣をぽんぽんと叩き招く。
「一緒に食べましょう」
「飲み物なら、僕からこちらを」
 柊也がやってきて、綿飴をのせた紅茶を差し出すと、雛姫の表情がぱっと輝く。
「わぁ……可愛い。ありがとうございます。柊也さん」
「肴にフリットも追加ね」
「僕も混ぜて貰おうかな」
 ジュリアとアイザックもやってきて、どんどん人が増えていく。
「何度目かわからないけど、乾杯!」
 ジュリアとアイザックはエールを、柊也は紅茶を手にして、グラスを掲げる。
 ごくごくエールを一気飲みしたアイザックを見て、柊也は机にあったタブレットを手に取る。
「これで追加を頼めるようです」
「座ったまま届けて貰えるのは良いわね。私も頼んじゃおうかしら」
 ジュリアも交えて3人でタブレットを覗き込む。

 アウィンは雛姫に声を掛けた。
「頼もしくなったな」
「そう……でしょうか? まだ、割り切れない部分もあって」
「彼とはまた会うだろうが……きっと良い道を見出せると信じよう」
「はい。ありがとうございます」
 恥ずかしげに微笑んで、それから冬呼の方へ目を向ける。
「彼女は婚約者。九条殿とも紫陽花寺で会っているか」
「はい。お久しぶりです」
「あれが出会いだった」
 冬呼は照れくさそうに頬に手を当て、ごにょごにょと言葉を付け足す。
「実は、そういう事になりまして……びっくりだよね」
「わぁ……素敵。お似合いです」
「……ありがとう」
 雛姫と冬呼が久しぶりの再会を楽しむ間に、アウィンは緒音に報告をする。
「この前も言ったが、結婚式にというのは本気なので宜しく頼む」
「もちろん。2人の恋のキューピットになれたなら嬉しいもの」
「それと実は医者を目指していて……緒音殿は医師免許をお持ちだろう? 先輩として今後、相談に乗って貰えたら嬉しい」
「医者を目指すのね。私も医学部に通いながら、合間にライセンサーの仕事してたのよ。懐かしいわ」
「ライセンサーと兼業を?」
「現場で負傷者手当をしたら、実地訓練になって一石二鳥よ」
 自分で力になれることがあれば、任せておけと緒音はどんと胸をはる。
「俺は地球で生きる道を選ぶと覚悟した。ふゆには少しでも長く生きてほしい」
「大切な人のために医師になるのね。素敵だわ」
 どれほど愛おしく想っているか、アウィンの言葉が熱を帯びる度に、冬呼はぽやっと頬を紅くする。
 思わず酒をぐいと飲み、頬がぽやぽやさせて、照れ隠しのように冬呼は雛姫に話しかけた。

 続々と集まってきた仲間達が合流する。
「楽器を弾けるとは、凄いな」
「ピアノと息ぴったりだったわね」
「鳥太郎が合わせるのが上手いのです」
 さくら、葵、由美佳が楽しげにライブの感想を語り合っている。
 それを聖史の視線が追っていた。
「聖史君、ここで良いの?」
 アイザックが聖史に問う。
「ここが、良いです。落ち着きますから」
 葵と話したいが、由美佳とは顔を合わせたくない複雑な気分だ。
 それにジュリアや柊也の顔を見ると、止まり木を思い出す。
「聖史様は食べたりないのですわ」
 奏は屋台を買い占めそうな勢いで、山のような食料を買い漁り、テーブルの上にどんと置いてた。
「都築さん。お疲れ様でした。これ美味しかったのでどうぞ!」
 コレットは、一押し品をお裾分け。
「……美味しいですね」
 コレットと聖史は同じ部隊で戦い抜いた戦友だから、リラックスして食を楽しんだ。

 一方、ライブを終えた化野を労うように、祭莉は人形焼きを並べ、ケヴィンは飴細工を飾る。梅雨は歓迎するようにしっぽをパタパタ振った。桜壱もぴょこっと椅子の上に乗って、買ってきた飲み物を並べた。
「……お疲れ」
「お疲れさん。化野君」
「先生! 飲み物をどうぞ!」
 化野が席につくと向かいにケヴィンが座り、両脇に祭莉と桜壱がやってくる。
「ありがとね。いや……楽しかった。やっぱりライブは良いね」
 からからの喉にレモネードを流し込み、ふぅと一息つく。疲れた体にレモンの甘酸っぱさが染みる。
「鳥太郎さん。演奏してくれて、ありがとうなのだわ」
「アルバさんも、良い踊りだったね」
 アルバはふんわり花のように微笑んで礼をいう。今度こそラストダンスかもしれない。踊りを彩った演奏に感謝する。
「アルバおねーさん。飲み物もってこようか?」
「ありがとう。cloverさん」
 最近のアルバの体調を考えれば、無理しすぎただろうと労るように、cloverはせっせと食べ物や料理を運ぶ。

「やっぱり、カナちゃんと一緒のライブは良いわね」
「ユリアさんが一緒だと心強いですね。鳴君もありがと」
「……ん……まあ、いつものことだし?」
 ユリア、奏、鳴が楽しげにライブの話題を口にする。
 テーブルの上に置かれたタブレットに気づいたユリアは、にっこり笑う。
「このタブレットで注文できるのね。ナイスアイディアだわ」
「……お腹が空いた……かもしれない、ね。奏が」
「それは鳴君でしょ!」
 くすくす笑う鳴にからかわれ、奏はすねてみせる。

 賑やかな人々から距離を置き、砂浜に座り込んで、ケイとヤナギは星空を眺めつつ、酒を飲んでいた。
 2人の演奏が、夜空に浮かぶ花火のように、今も瞬いているだろう。
「……良い夜だな」
「そうね……」
 長い付き合いだから、言葉はいらない。ただ祭りの空気に酔って、酒を楽しむだけで良い。


 夜空に星が瞬いて、祭りの熱を冷ますように、潮風が砂浜を駆け抜ける。
 グロリアスベースとエオニアで、様々な催しが行われ、皆が思い思いに、夏を満喫し、祭りを楽しんだ。
 それも今日で終わり。戦士達の休日が終わる。
 これからまた激しい戦いに赴く物もいるかもしれない。
 けれど、今日という日を、皆が忘れない。楽しい祭りをまた過ごすため、平和を守って、生きて帰ろうと。

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