オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【祝夏祭】甘き香りの立ち上る

【祝夏祭】甘き香りの立ち上る 秋雨

形態
イベント
難易度
易しい
価格
500
ジャンル
日常 
参加人数
191~25人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
80SP
800EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
3
締切
2020/08/14 20:00
完成予定
2020/08/29 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-



 ミーベルステファノス──エオニア王国にて昨年復活された伝統の祭りを知っているだろうか。王女パルテニアが声を上げ、ライセンサーたちが手を貸して生まれ変わった祭りである。
 もともとの祭りは柔らかい果実を投げてぶつけ合うもの。けれども昨年の──今年も見違えるほど、とは言わないが──王国の財政状況はお世辞にも豊かとは言えず、食料となる果実をそのように消費する余裕などなかったのだ。
 それでも王国の文化を守るためにと考えられたのは、果実を真似たペイント弾。投げられる役目を負わずに済んだ果実たちは、美味しく沢山の料理へと変えた。ミーベルと呼ばれるエオニア王国特産の果実は柔らかく甘く、そのままは勿論ジャムやデザートにももってこいの食材である。

 そして今年もまた、ミーベルステファノスがやってくる。この1年で多大な働きを残したライセンサーたちを労わりたいと王女が願ったのだ。
 勿論願っただけで叶う程現実は甘くない。そしてエオニア王国もまた、自身らだけで世界中にいるライセンサーを労わることは難しい。故に今年はSALFと共にミーベルステファノスを催すこととなったのだった。




「ミーベルフェスティバル?」
 そう聞き返したライセンサーに、受付嬢はええと頷いた。ただいまエオニア王国ではミーベルステファノスなる伝統の祭りが催されているが、その中でもミーベルフェスティバルという小さなイベントがあるのだそうだ。
「ミーベルはエオニア王国特産の果実なんですが、これを使った料理やお土産を売るのですって」
 産地直送のミーベルは勿論、それを用いたアイスやクレープ、ジュース。お土産ならばジャムや菓子、フレーバーティーなども用意されているのだそうだ。ミーベルをふんだんに使う、売るという事で地元農家やパティシエといった面々が張り切っているのである。
 今回は首都の大きめなホールを借り上げているらしい。夏の暑さからいくらか守られた室内ならば食品も傷みにくく、また参加者たちも過ごしやすいことだろう。聞けばイートインスペースもしっかり用意されているそうで、買ったものも落ち着いて食べることが出来る。
 いいなぁと受付嬢は呟いた。ライセンサーだから招待されているのである。ただの人間が行くのであれば、それ相応の旅費と日数が必要になる訳で。
「皆さん、私の代わりに楽しんできてください!」
 そしてあわよくばお土産を──とまでは流石に言わなかったが。その瞳は何よりも如実であった。

●すること
 ミーベルフェスティバルを楽しもう!

●ミーベルフェスティバル
 ミーベルステファノスの一環で催されたイベントです。
 涼しい大ホールでミーベルに関する飲食物・お土産を購入することができます。(アイテムとしては付与されません)
 果物を使った飲食物であれば大抵のものが売られているでしょう。アルコールだけはありませんのでご注意を。
 イートインもテイクアウトも可能ですが、描写はホール内のみとします。

 エオニア王国ということでこんにちは、或いは初めまして。秋雨です。
 ミーベルはタルトとか美味しそうだなぁと思ったりしています。甘いタルト、美味しそう。
 勿論会場にはその他にも沢山の料理や飲料が販売されていますので、どうぞ見て回ってくださいね!
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

同行:優人(la3778)
自分の中で幸せの象徴になりつつある友人

「そうだね……ここはエオニアだけど……」
優人の言葉に律儀に突っ込みを入れつつ、確かに幸せな空間だなーと思う
ふわふわしていても武術家としての動きを忘れていない姿を見て暖かい気持ちになったり
(そういうところ、好きだなあ)

購入したお菓子をイートインに持ち込んで、感想を言い合ったりしながら一緒に食べる
彼が自分を偽らず、ありのまま楽しんでいる姿を見て、嬉しくて自然と笑顔になる
「こちらこそ、いつもありがとう」
共に過ごす時間があるから、厳しい戦いも、苦しい過去も乗り越えようと思えた
感謝しつつ、この幸せな時間を目一杯楽しむ

▼心情
……エオニアに行く機会も増えた、ねぇ? 

▼同行者
幼馴染兼恋人の水無瀬 奏(la0244

▼行動
奏と一緒に会場を廻りながら問題なければSNSに写真などをアップしていく
可能なだけ奏と見たことがない料理などを味わってみる
「……ふむ?
「確かに変わってるけど、美味い、な?(奏の頭撫でつつ

フレーバーティーやフレーバーティーのお供になりそうな菓子は物色して土産にする
「これは、土産向きかもしれない、な

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

桜壱さん(la0205)と屋台巡り

「へえ、なんでもあるね。どれも美味そう……」
「ミーベルって日本じゃ全然手に入んないもんな。折角の機会だ、少しずついっぱい食べよう」
はぐれないように手を繋いで一緒にうろうろ
気になったっぽいものを買っては分けっこして食べる
「ジャム、お土産にいくつか買っておこうか」

いろいろ買ってイートコーナーがあればテーブルに並べ
「そうだなー、俺はそっちのフレッシュミーベルのタルト、結構好きかも」
「桜壱さんはどれが好き?」
美味しそうに食べる姿を見ると此方まで嬉しくなる

人と一緒に食べるものはとても美味しいから
(一緒に食べれるならそれだけで美味い……)

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

「んーふふ、甘い甘い香りがたくさんしますねぇ!
▼行動
先生:la0108と一緒に美味しい物巡り!
「去年はずっと作る方だったので、食べられて嬉しいですっ
お土産は勿論、あれもそれも食べたくて会場内をうっきうきうろうろ
「ジャム!いいですね、明日の先生の朝ごはんは食パンです!
「コンポートゼリーケーキにアイス!
「や、焼きミーベル…?(ふおお
「先生フルーツ好きですものね!どれが美味しいですか?I、それから食べたいです!
「I!Iはです)、このシャーベットが好きなのです
果肉もごろごろ入ってて最高ですよ!

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「いろんなお料理やお土産があるんだね!
目的】鳴くんとミーベルフェスティバルを楽しむよ!
同行】恋人の鳴くん(la0075
行動】鳴くんと会場を回りつつ、問題なければスマホで写真を撮ってSNSにアップ
「こうして呼んでもらったお礼に、エオニアのよいところを宣伝しないとね!
せっかくの場なので、食べたことのないものに挑戦したりするね!
「これ何だろう…?
「おいしいよ!
挑戦した食べ物の感想もアップ!

優しく甘い香りの中。ゆっくりと流れる時間。
「有難う。あら、本当!美味しい(微笑
一口貰ったタルトはとても甘くて…今まで食べたどんなお菓子より美味しい。
それはきっと、彼女と一緒に居るから。彼女と一緒に分け合える幸せだから。
「ふふ…ユキナは良い食べっぷりね
「作った人も…ミーベルも。喜んでるわ、きっと

「…え?そうね、作れると思うわ
「こんなに美しく、美味しくはないだろうけれど
「でも。きっと
「大事な人には、ね
最近のお菓子は…大抵、ユキナとのお茶の時に作っている気がする。

美味しそうに食べるユキナ。幸せな時間。
けれど何処かでこの幸せな顔をあたしが作り出したいと思うのは…何故かしら。

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

同行:瑛士(la2663)

「ミーベルのスイーツが沢山ですね。クレープにタルト、レアチーズにシフォンケーキ、プティングも買いましょう」
普段は量を食べぬようなスイーツを嬉しそうに購入
瑛士とイートインコーナーへ
アイスを買ってないだと?と訝しむ瑛士をそこに置き、もう少し買うと再度

戻って来た手には購入したスイーツと同数のアイス
「これを全部に乗せます。乗せればそれはアイス。アイスならばわたくしは幾らでも食べられます」
アイスは無限理論
乗せるのを阻止しようとする瑛士と攻防戦
「クレープには普通でしょう
「溶けかけのマリアージュも良いのです

最終的に瑛士の分にはアイス乗せしないことで手打ち

「ケイさん、コレ如何ですか?美味しいですよ?
私が美味しいと思うモノ、ケイさんにも食べて貰いたい。
分け合えるのは嬉しいと思う。ケイさんとならという前置きはいるけれど。
「ケイさんは小食ですね
「あ、これも下さい

…そう言えば、ケイさんはお菓子作りも上手だった筈。紅茶は色々貰った事があるけれど。
「ケイさんは、コレとかアレとかみたいなお菓子、作れるのですか?

やっぱりケイさんは凄い…一緒に居て良いのかとふと不安がよぎった気がしたけど。
「あ、これも下さい
それでもお腹は空く。

ケイさんと一緒。お菓子も美味しい。これは幸せというモノなのだろうか。
この気持ちは私だけが感じているのだろうか。

同行:桃簾(la0911)

まぁいいや、これだけあれば桃ちゃんもアイス”だけ”ってことはなくなるでしょう
そう思ってた時期が僕にもありました
いやだって、どれも”完成された”料理じゃない

僕は食べる量を買いつつ今日は普通にスイーツ食べる雰囲気に”見える”桃ちゃんに安堵
いや、量おかしいけど
そんなわけでイートインに腰掛けたら桃ちゃんが全部にアイス乗せるとか言い出すわけですよ。はちみつか!
いやちがう、そうじゃない、スイーツってそういう食べ方しないから!
素材の味って言葉ご存じ?
説得を試みるけれど確かにクレープにアイスっていうのはあるわ(納得

結局は僕の分はノーアイスということで

アドリブ、絡み歓迎です!

◆心
ミーベルフェスを目一杯楽しむ

◆行動
ミーベルって初めて食べるんですが…どんな味なんでしょう…?
色んなお菓子を見て、少量ずつ食べて回る
生のミーベルを買って帰れるなら、いくつか買って帰りたい…
…あ!あの受付のお姉さんにも、色んなお菓子を少しずつ買ってお土産にしましょう♪

  • この名を誇る
    黒帳 子夜la3066
    放浪者21才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

「甘い香りがいたしますねぇ。心躍るというもの

○行動
義理の甥の白野飛鳥(la3468)と同行

ミーベルのアイスをイートインスペースで楽しみ、土産を見て回る
個人的な目当ての品はミーベルのジャムとフレーバーティー
ジャムは紅茶に入れても美味しいかもしれないとフレーバーティーとは別の楽しみ方をと

「今まで果物は、どちらかといえば花を愛でたり料理を作ったりする事が主でしたから。少しずつではありますが、見るだけでなく飛鳥さんと食べる事でも時間を共有出来る事が嬉しくありますねぇ
「……味はまだ分かりませんので、甘い香りを楽しみつつ、ですが

  • 気付いてないでしょう?
    天野 一羽la3440
    人間20才|ネメシスフォース×セイント

【すみれちゃんと】
……え?う、うん。(手をつなぐ)
(カップルかぁ。小さい頃は手なんて普通につないでたけど。)

【かき氷】
おいしそうだね。食べてみよっか。(←ベンチ的なとこで食べ始める)
すごい、シロップに果肉が混ざってる。ミーベルを漬けてただけじゃないんだね。
甘いは甘いんだけど、ミーベルが甘酸っぱいから、しつこい甘さじゃなくてかき氷にいいかも。

>あーん
……えっ!?
(す、すみれちゃん。案外こういうの好きなのかな?普段は人前だと照れて嫌がるけど。)
……う。あ、あーん……。(観念して口を開く)

  • 羽ばたく導きの鳥
    白野 飛鳥la3468
    放浪者21才|グラップラー×セイント

「わくわくしますね。ゆっくり回っていきましょうか

○行動
義伯母の黒帳子夜(la3066)と同行

イートインでミーベルのタルトを楽しんだ後伯母とお土産巡りへ
自分土産にジュース或いはミーベルそのものを購入。帰った後に料理で使ったりジュースはアルコールで割って飲んだりと楽しみたい
こういう料理もあるのかと参考にしたりも

「トバリさんは食べる事よりもお茶を飲む事の方が好きですからね
「談笑しながらご飯の時間を共にするのも十分楽しいです。でも、この甘い匂いが好きとか、そういったお話もできるなら話題が増えてもっと嬉しくなりますね
「(無理のない範囲で楽しめますように)

  • 友情は我が力
    文室 優人la3778
    人間22才|グラップラー×スピリットウォーリア

同行:霜月 愁(la0034)
友人と思い切りフェスを楽しみに

「そっか…桃源郷ってここか…」
雰囲気と甘い香りに、のっけから幸せふわふわモード
浮き上がりそうな覚束ない足取りだが、そんなんでも武術家の芯はあるのか他人にぶつかりそうになったら僅かな体捌きですっと避ける

見た目の可愛らしさに惹かれた菓子を、最初だけそっと、けど、愁を見て微笑ってから、次々と手に取り
イートインで色んな種類を分け合って食べる
自分のありのままを認めてくれた友人の前だから、今は恥ずかしがらず自分を偽らず
激闘続きやその他の事情も今日は忘れて、只管楽しくて幸せなひとときを
「いつもお疲れ様…それから、有難うな」

  • これからも隣で
    珠興 凪la3804
    人間20才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

若葉(la3805)と楽しく店を回る
「お店もたくさんだね。どこから見る?
わくわくしてる若葉が可愛い
「うん、食べよう♪あとクレープも食べたい
「何かな?なんだかいい匂いがするね
微笑み返し手を繋いで向かう

「並べてみるとけっこうあるね?
ジャムが添えられたスコーンにアイスティー
イートインのテーブルの上はミーベル料理でいっぱい…うん、二人でならいける!
「ふふ、美味しいね♪
幸せいっぱいに笑う
若葉の口元に手を伸ばし
「付いてる
クリームを拭うのを口実にして触れる
「それ気に入った?うん、一緒に作ろう
「ミーベルも買って帰らないとだね
食べつつ次に行く店を相談、楽しく過ごす

凪(la3804)と店を回る
「うわぁ…賑やかだね!
目を輝せわくわく
「受付のお姉さんお勧めのタルトは食べたいな
「…向こうのは何だろう?
行ってみようよ!と微笑んで凪に手を差出す
色々少しずつ購入

「さすがに少し買い過ぎた?
タルトにクレープに冷製パスタ
イートインのテーブルにミーベル料理がずらり…ま、二人ならいけるよね!
「ふふ…美味しいっ♪
幸せそうな笑みが零れる
伸ばされた手に目を丸くし
「…ありがと
決まり悪げに照れ笑い
「ねぇ、これ家でも作ってみようよ
「ミーベルなら…このお店がよさそうだったね
「お土産にジュースとドライフルーツも買おう
食べつつパンフレットを眺め楽しく過ごす

  • 薔薇花園のツンデレラ
    矢花 すみれla3882
    ヴァルキュリア20才|セイント×グラップラー

同行:
天野一羽(la3440)

……あのね。ほら、私たちアレじゃん。
その、フィアンセなんだし。あれよ、手ぐらいつなぎなさいよ。

何食べる:
あ、ミーベルのかき氷だって。ふーん、シロップにミーベル使ってるんだ。
おー、氷がふわふわじゃない。
もんのすごいミーベル味じゃない、これ。胡散臭いメロンシロップとかと全然違うわね。

……。ほら、その、口開けなさいよ。(いわゆる「あーん」。やらせたくせに顔真っ赤)

すごいわ、ありとあらゆるミーベルスイーツをおなかいっぱい楽しめるのね…!
この日の為に、甘いもの我慢してきたの
量は沢山食べられないけど、少しずつ、できるだけ沢山の種類の料理を食べるのだわ(ぐっ

ミーベルのコンポートと生クリームたっぷりのパンケーキ
ミニタルトに、クレープ、シャーベット、ロールケーキにジュレ
甘いものって不思議ね
メインディッシュとは別腹と言うけれど、美味しいものはいくらでも食べられてしまう気がするわ
…ううん、帰ったら運動しなくちゃなのだわ…(ほふ

お土産には、ミーベルのフレーバーティーとジャムを
これをお家でいただきながら、エオニアをいつでも感じられるわね…♪

◆心情◆
ミーベルワインが美味くて好きなんだけど、今回は売ってないらしい。
残念だ、ああ残念だ。

◆行動◆
ミーベルを使ったお菓子を自分でも作りたいんだけど、
加工用のミーベルは売ってないだろうか。
暫く探してみてあったら買って帰るが、なければ
ミーベルのジャムとフレーバーティーを買って帰る。

会場では、クレープにジュースを買って食う。
やっぱりミーベルは美味いな。
腹に余裕があれば、ミーベルのアイスも食おう。
俺は割と甘党なんだ。美味い物は皆等しく嬉しいもんだ。

では、いただきます。



 涼しい室内には甘い香りが満ちている。涼しさを求めてか、それとも甘さを求めてか、大ホールには多くの人々が集まっていた。

「そっか……桃源郷ってここか……」
「そうだね……ここはエオニアだけど……」
 ふわふわ夢見心地な文室 優人(la3778)に突っ込みを入れた霜月 愁(la0034)は辺りを見回す。鼻腔を満たすのはミーベルの甘い香りだ。誰も彼もが幸せそうな顔をしているここは確かに桃源郷かもしれない。
 優人はそんな人々をわずかな体捌きで避けて行き、目当ての店へ向かっていく。どんな状態にあっても武術家としての動きを忘れない彼の姿に、愁は口端へ微かな笑みを滲ませた。
(そういうところ、好きだなあ)
 彼の後を追っていけば、そっと優人が商品へ手を伸ばす。手に取ったそれを見下ろした彼は、次に愁を見下ろして。ふっと笑ったかと思うと、何かを吹っ切ったように次々商品を選び始めた。
「多いね」
「2人で食べるなら十分だろう? いや、もう少し欲しいかな」
 手元の溢れそうな菓子を見下ろしながら、けれどもこれ以上は持てないので会計を済ませる。イートインコーナーで2人分の席を見つけると、愁と優人はテーブルへ先ほど購入した菓子を広げた。
「いいなこれ、優しい甘さだ」
「こっちはふわふわしてるよ」
 お互いに食べたものの感想を言い合い勧める2人。その表情には次第に笑顔が浮かぶ。
 ありのままを認めてくれた人の前だから、と偽る事ない優人の姿が愁にとってはこれ以上なく嬉しくて、胸が温かくなる。
 今も、そしてこれからも世界の各所で激戦が起こり、一個人としても様々な事情はのしかかってくるだろう。けれども今ばかりはそんなことも忘れてしまいそうなほどに平和で。
「いつもお疲れ様……それから、有難うな」
「こちらこそ、いつもありがとう」
 苦しい過去も、これから向かってくるであろう厳しい戦いもこうした時間があれば乗り越えようと思える。いつか更なる試練が待ち受けていたとしても進めるように──只々平和で幸せなひと時を、共に。
「……エオニアに行く機会も増えた、ねぇ?」
 吉良川 鳴(la0075)がおぉ、と会場を見渡す最中、水無瀬 奏(la0244)はキラキラと瞳を輝かせる。会場には甘い香りが満ちているが、菓子だけではなくジュースやちょっとした料理も売っているようだ。
「写真、撮って大丈夫みたいだね!」
「撮って、SNSに上げよう、か?」
 2人は携帯を取り出すと、それぞれのショップへ許可をとった上で商品をカメラに映していく。小さいながらも凝った装飾は流石職人と言うべきだろう。
「こうして呼んでもらったお礼に、エオニアのよいところを宣伝しないとね!」
 うきうきと写真を撮ってはSNSへと上げていた奏は、気になる料理に足を止める。鳴くん、と名を呼ぶとカメラを構えていた鳴が視線を向けた。
「これ何だろう……?」
「……ふむ?」
 顔を見合わせる2人。店員に聞いてみても良いが、百聞は一見に如かずとも言う。レッツチャレンジ! と商品を購入した2人はせーのでかぶりついた。
「……あ、おいしい? おいしいよ!」
「確かに変わってるけど、美味い、な?」
 目を丸くして顔を上げる奏。その頭を撫でながら鳴も頷く。これは感想もSNSにアップすれば集客が見込めるかもしれない。やはり聞くと感じるでは大違いであった。
「オペレーターの人たちにも何か買って行ってあげたいね」
「ん……あれとか、は?」
 鳴が示したのは茶葉の専門店出張所。エオニアで採れる茶葉の他、ミーベルを使ったフレーバーティーやお茶請けも売っているようだ。
「良さそう! どれがいいかな」
 どれも良い匂い、と奏は用意されていた少量の茶葉から香りを堪能する。鳴はその姿を見て小さく目を細めた。
(オペレーターだけじゃなくて、俺たちの土産として買っても良いかも、な)
 こっそり買ったら奏は喜ぶだろうか──なんて。
(ミーベルってどんな味なんでしょう……?)
 入った瞬間から香るミーベルの甘い香りにマーガレット(la2896)は瞳をぱちぱちと瞬かせる。不思議な色合いの瞳に映るのは瑞々しく実ったミーベルの果物だ。
(これがミーベル……)
 どうやら飲食物だけでなく、生のミーベルも売っているらしい。あとで買いに来ようと決めてマーガレットは人々の流れに乗る。
 ショップは多くあり、売る商品も様々。ミーベルを絞ったジュースもあれば、果肉を練り込んだケーキやクッキー、ジャムなども売っている。そんな数々の内から菓子を少しずつ買ったマーガレットは、イートインコーナーへ移ると菓子を口の中へひょいぱくり。
「……!」
 瞬間、マーガレットの瞳が輝く。香りも十分だが、その甘さも然り。ミーベルとはこのような味なのかと感動しながらぱくぱく食べるうちに、買った菓子はすっかりなくなっていて。小腹も菓子で丁度良い具合に埋まったようである。
(これは自分用のお土産にも買いましょうかぁ……生ミーベルも買わないといけないし、)
 そこでマーガレット、はたと気づく。残念がっていた受付の女性にも土産として買っていけば喜ばれるかもしれない。少しずつ、アソートにして渡してみよう!
 足取り軽く向かっていたマーガレットはふと視線を巡らせる。
「加工用のミーベルは、と……」
 その理由は人混みに遮られながらもショップを見渡す日下部 槐(la4252)の言葉が聞こえたが故。彼もまた調理するためのミーベルを探しているようだ。
「あちらにありましたよぉ」
「お、そうなのか」
 マーガレットが声をかけると槐は示された方向を見て頷く。彼もまたミーベルを買うのは後回しにするようで、足がそちらへすぐさま向かう気配はない。マーガレットは彼が行った時に良いミーベルが残っていますように、と心の内で小さく祈った。
 一方の槐はやはり加工用ミーベルは後回しに、会場を回る。暫く探すつもりだったが、教えてもらえたのは行幸だろう。
(本当はミーベルワインがあったらよ良かったんだが)
 とてもとても残念だが、ないものは仕方がない。槐はワインの代わりにジュースを買い、目に留まったクレープも持って端へ寄る。ここまで人がいれば食べ歩きなどできようはずもない。さりとてクレープひとつにイートインスペースを取ってしまうのも、といった具合だ。
(ん、やっぱり美味いな)
 クレープを味わいながら、槐は次買うデザートの算段を付ける。アイスも良いし、ゼリーも甘くて美味しそうだ。甘党には実に至福の空間である。
 うわぁと目を輝かせる皆月 若葉(la3805)に珠興 凪(la3804)はくすりと笑みを浮かべた。可愛い。婚約者がとてもかわいい。
「どこから見る?」
「そうだなあ。あ、受付のお姉さんがお勧めしてたタルトは食べたい」
 いいねと頷いた凪と若葉はまずタルトのショップへ。売り切れる前にゲットしておかなければと仲良く並ぶ。
「凪は? 何が食べたいの?」
「クレープかな。ほら、あそこの」
 指差した凪に次はそっちへ行こうかと若葉は微笑み、タルトを購入すると手を差し出す。躊躇いなく手を取った凪はクレープを購入し、イートインスペースへ──向かう最中、ふわりと香ったより甘い香りに立ち止まった。若葉も気づいたようで、2人は顔を見合わせる。
「何だろう?」
「いい匂いがするね」
 行ってみようかと向かった先はなんとパスタのショップ。香っていたのはミーベルソースらしい。見慣れぬ料理に思わずそれも買って、今度こそイートインスペースへ移動だ。
「流石に少し買い過ぎた?」
 ずらりとテーブルに並べられたミーベル料理だが、2人ならきっと行けるはず。各々好きなものから手に取って口へ持っていけば、思わず笑顔があふれる。
「ふふ、美味しいね♪」
 ミーベルのアイスティーを飲みながら凪もスコーンを口元へ。甘いミーベルジャムがスコーンに合っている。
「うん、美味しいっ♪」
 頷いた若葉は不意に伸ばされた手へドキッと胸を鳴らせる。凪の手は若葉の口元へ伸び、
「付いてる」
 タルトのクリームを口元から拭った。くすりと笑う凪に、若葉はほんのちょっと決まり悪げの照れ笑い。触れられたのが嬉しかったなんて、それを口実に触れたかったなんてお互いに言わないけれど。2人の胸中に揃ってあるのは幸せだ。
「ねぇ、これ家でも作ってみようよ」
「それじゃあミーベルも買って帰らないとだね」
 お茶を飲みながらパンフレットへ手を伸ばす。2人で見られるように広げ、加工用の生ミーベルはどこだっただろうと視線を巡らせる。
「あ、お土産にジュースとドライフルーツも買おう」
「いいね。あ、そうしたらその前に──」
 次は、その次は。計画を練るのもまた、楽しいひと時だ。
「んーふふ、甘い甘い香りがたくさんしますねぇ!」
 桜壱(la0205)の左眼にミーベルのマークが浮かぶ。隣を歩く化野 鳥太郎(la0108)はほぉ、と感心したようにショップを眺めた。
「へえ、なんでもあるね。どれも美味そう……」
 人々が集まってくるのは道理だろう。他国から取材などあるのかもしれない。まさに復興の足掛かりだ。
「先生! 今日のIは、疑似的に食事を楽しむ付与パーツが装着されています!」
「お、じゃあ桜壱さんも一緒に食べられるのか」
 そりゃ嬉しいね、と鳥太郎が笑みを浮かべれば桜壱もにっこり。ヴァルキュリア──アンドロイドである桜壱が食事を取るには専用のパーツが必要なのだ。それを用意してやってきたのは、去年食べることができなかったこともある。
「桜壱さんは作る方だったんだっけ?」
「はい! なので今日はとても嬉しいですっ」
 まだ食べていないながらも桜壱は喜びを表すように左眼へ桜乱舞を映す。ともすれば飛び出して行ってしまいそうな桜壱へ、鳥太郎は手を差し出した。
「折角の機会だ、少しずついっぱい食べよう」
 はぐれないようにと手を繋いだ2人は、桜壱を先導としてうろうろとショップ間を歩いていく。
「先生! コンポートゼリーケーキが!」
「や、焼きミーベル……!」
「アイスです!」
 あれもこれもと目を輝かせる桜壱の勢いについていきながら、鳥太郎は笑って買いまわる。とはいえアイスは説けてしまうので、一旦イートインスペースへ退避だ。
「さあ、どれから食べようか?」
 鳥太郎に問われた桜壱はうんうんとテーブルへ広げられたそれらを見て唸る。あまりにも悩み過ぎて結局アイスが解けてしまいそうで、鳥太郎は苦笑いしながらアイスを桜壱の前へ押し出した。ご満悦の感情を見せた桜壱は、次食べるものを鳥太郎のおすすめでと告げる。
「そうだなー、俺はそっちのフレッシュミーベルのタルト、結構好きかも」
 桜壱がアイスを食べている間に数品摘まんでいた鳥太郎はタルトを指す。桜壱は納得したように頷いた。
「先生フルーツ好きですものね!」
 それじゃあそれを頂きます、とタルトの一切れを自分の前へ持って行く桜壱。その幸せそうな表情に鳥太郎は柔らかく微笑む。
 もちろん、どれだって美味しいのだけれど。何より食事を美味しくする要因は人だ。
(一緒に食べれるならそれだけで美味い……)
「? 先生、Iに何かついていますか?」
 見つめられていたことに気付いた桜壱が鳥太郎を見返す。鳥太郎は笑って「口元にクリームがついてる」と告げたのだった。
「……あのね。ほら、私たちアレじゃん」
「……え?」
 矢花 すみれ(la3882)の言葉の真意が掴めず天野 一羽(la3440)は小首を傾げる。アレ、とは。
「そのフィアンセなんだし。あれよ、手ぐらいつなぎなさいよ」
 思っていても、望みは口にしなければわからない。そこまで言われてようやく一羽は理解したようにすみれの手を取った。その温もりに2人とも小さくドキリと心が跳ねる。
(カップルかぁ。小さい頃は手なんて普通につないでたけど)
 幼馴染からカップル──フィアンセ的な、特別な立場へ。このドキドキも、それだけと言えないのが特別故だろう。
「あ、見て。ミーベルのかき氷だって」
 すみれが視線を向けたのはふわふわのかき氷。甘そうなシロップはミーベルを使用しており、果肉も混ざっているらしい。
 食べてみようか、と一羽はひとつかき氷を購入する。人混みを避けてイートインスペースのベンチへ腰かけると、2人は順番こに食べ始めた。
「もんのすごいミーベル味ね」
 胡散臭いメロンシロップとは違うわ、と呟くすみれの横で一羽も目を丸くする。ミーベルを漬けただけでこんな味にはならないだろう。その製法は秘密なのだろうが、ほんの少しばかり気になってしまう。
「ねえ」
「ん?」
「……その、口開けなさいよ」
 すみれの方を見ると、彼女が持ったスプーンは一羽の方を向いていて。これはいわゆる──あーん、というやつである。
「……う。あ、あーん……」
 引かないすみれに観念して口を開く一羽。人前だと照れて嫌がりそうだと思っていたばかりに意外だったが──実のところ、的外れでもなさそうだ。
「……すみれちゃん。顔、真っ赤だよ」
「だ、だって……!」
 指摘されて慌てるすみれ。甘酸っぱい2人の恋路が進展するのはまだまだ先、かもしれない。
「甘い香りがいたしますねぇ」
「ええ、わくわくしますね」
 黒帳 子夜(la3066)と白野 飛鳥(la3468)は目の前に広がる菓子や飲食物、香りに高揚感を感じながら足を進めていた。途中でミーベルのアイスを購入してイートインスペースへ寄ったら、それぞれ自分用のお土産を物色しに行く。
「トバリさんは……ジャムと茶葉ですか?」
 飛鳥は子夜の手元を見て問いかける。確かに食べる事より茶を飲む方が好きな義伯母にとってはそれらの方が楽しめるのだろう。
「ええ。ジャムは紅茶に入れても美味しいかもしれないと思って」
 いいですねと笑った飛鳥の手元にはミーベルの果物が入った袋。帰ってからそのまま食べても良いし、何かの料理に使っても良い。折角だからここでどんな料理に使われているか見るのも良いだろう。
「見るだけではなく、飛鳥さんと食べる事でも時間を共有出来る事が嬉しくありますねぇ」
 これまで果物と言えば、子夜はその花を愛でたり料理を作る方が主であった。そんな彼女にとって一緒に食事をするということはまた新鮮なことだろう。
「この甘い匂いが好きとか、そういったお話もできるなら話題がもっと増えますね」
 共有という言葉に飛鳥は頷く。同じことをして、それも同じものを食べて話せるのならより嬉しいことだろう。勿論、普通に談笑して食事の時間を共にしても十分すぎる程に楽しいけれど。
 そんな飛鳥の言葉に、子夜は小さく苦笑いを浮かべる。残念ながら、子夜が感じられるのはチャノキと呼ばれるものを使用したもののみだから。それでも食べ続けていれば、そのうちわかるようになるだろうか。
「……まずは甘い香りを楽しみつつ、ですね」
「ええ」
 少しずつ、無理のない範囲で子夜が楽しめるようにと飛鳥は小さく心の内で呟いた。




 これだけあれば桃簾(la0911)とてアイスだけということはあるまいと──そう思っていた時期が磐堂 瑛士(la2663)もあった。あったのだ。
(いやだって、どれも”完成された”料理じゃない)
 途中でアイスをぶちこむ可能性は否めないが、さしもの桃簾とて完成品とアイスを混ぜるような真似はしないだろうと瑛士は高を括っていた。お分かりであろう、フラグである。
 各自で食べる分を買い込んだ2人はイートインコーナーへ行き、席を確保する。桃簾の並べるクレープに足ると、レアチーズ、プディング、シフォンケーキ──アイス0%に瑛士が訝しみつつ『普通にスイーツを食べるのか』と安堵するも束の間。
「少し待っていて下さい」
「え?」
 大量の菓子を置いて行った桃簾に瑛士は唖然とする。だがしかし、ここで無人になるわけにもいかない。
(というか、桃ちゃんこんなに食べるの?)
 どう考えたって量がおかしいのだが、女性には別腹なるものがある。桃簾の別腹はアイス専用かと思われていたが、そうではなかったのかもしれない。
 ──そんなわけなかった。
「桃ちゃん? その手に持っているのは」
「アイスですよ?」
 ほどなくして戻ってきた桃簾の両手には大量のアイス。いやそんな、まさか。
「これを全部に乗せます」
「はちみつか!」
「乗せればそれはアイス。アイスならばわたくしは幾らでも食べられます」
 ドヤ顔の桃簾にいやいやと首を振る瑛士。普通はそんな食べ方しない。アイスはアイスだしスイーツはスイーツなのである。
「クレープには普通でしょう」
「クレープだって……いやあるわ」
 とうっかり桃簾のペースに呑まれそうな瑛士だが、せめて自らの分はノーアイスでと手を打つ。ここまで来ては完全阻止というわけにもいかない。せめて自分の分は! 素材の味を!
「ふむ……良いでしょう」
 頷いた桃簾はいそいそとアイスを全てのスイーツへ載せ、嬉しそうにそれを平らげていく。アイスならば幾らでも──その言葉を体現する食べっぷりであった。
「ケイさん、コレ如何ですか?」
 美味しいですよ、と勧めてくれるユキナ・ディールス(la1795)にケイ・リヒャルト(la0743)は有難うと微笑む。人は多いけれど、イートインコーナーはしっかりと席数が確保されていて、窮屈に感じることもない。優しく甘い香りの中、平和でゆったりとしたひと時だ。
「あら、本当! 美味しい」
 一口分けてもらったタルトに笑みを零すケイ。ユキナは無表情だけれど、彼女の笑顔を見ていると胸が温かくなる。
(ケイさんとなら、分け合えることがこんなに嬉しいなんて)
 この気持ちは何だろう。自分が美味しいと思うものを、ケイにも食べて欲しい──共有したいという思いは。
 そしてそれが共有された時、より一層美味しく感じられるのは2人共通の不思議だった。
(きっと、彼女と一緒にいるから……ううん、一緒に分け合える幸せだから)
 だからきっとこれまでで最もおいしく感じるのだろう、とケイは思う。残念ながら、自分はあまり沢山食べられないのだけれど。
「小食ですね」
「ふふ。ユキナは良い食べっぷりね」
 もうお腹いっぱい、と零したケイの目の前でどんどん購入した菓子が消費されていく。きっと作ったパティシエも、ミーベルだって喜んでいることだろう。
「……ケイさんは、コレとかアレとかみたいなお菓子、作れるのですか?」
 ふとユキナが質問すれば、ケイは虚を突かれたように目を瞬かせる。そして食べ終わった菓子の残骸と、まだ食べ終わっていない菓子と、そしてスペースの向こう側にあるショップの方を眺めた。
「そうね、作れると思うわ。こんなに美しく、美味しくはないだろうけれど」
 材料があれば似たようなものは出来るだろう。そう告げたケイにユキナはひとつ目を瞬かせ、「やっぱり凄い」と呟いた。
 一瞬ユキナの胸に去来したのは──不安。一緒に居て良いのだろうか、それに足る存在だろうか。しかしそんな思いは『空腹』という強烈な感情に流されていって。
「あ、これも下さい」
 未だ衰えることのない食べっぷりにケイは微笑んで「どうぞ」と菓子をそちらへ押し出す。ケイが最近菓子を作る時、ユキナとお茶をする時が大抵だと彼女はきっと知らないだろう。
(これが幸せというモノなのだろうか)
 ケイと一緒で、菓子も美味しくて。ユキナはこの想いをケイも感じているだろうかと考える。それも先ほどと同じように吐き出してしまえばすぐ解決するのだけれど、どうしてかそこまで考えが至らない様で。
 ユキナもまた何も言わず、ユキナとの幸せな時間に浸る。けれど彼女を幸せにしているのは菓子のように見えて──。
(この幸せな顔をあたしが作り出したいと思うのは……何故かしら)
 互いに小さな疑問を燻らせて、されど幸せな時間はまだ終わらない。
「すごい……すごいわ……!」
 ツィー・プラニスフェル(la3995)は目の前に広げられたスイーツの数々へ目を輝かせる。少しずつ、様々な菓子が並べられたテーブルはまるで宝物を広げたようだ。
 ミーベルフェス。ありとあらゆるミーベルスイーツを楽しめる場と聞けば、訪れないはずもなく。ツィーはこの日の為に甘味を我慢してまで備えていたのだ。
 まず手を伸ばしたのはパンケーキ。ミーベルのコンポートが入っており、たっぷりの生クリームがつけられた一品だ。食べ始めればシャーベットやタルト、クレープと止まることはなく、まるで幾らでも食べられそうな気がしてくる。
(メインディッシュとは別腹と言うけれど……いえ、)
 ロールケーキもぺろりと平らげたツィーはほふ、と息をつく。食べたものはどこかへ消える訳ではなく、ツィーのお腹にしっかり収まっている。帰ったならばこの贅沢の分、しっかり運動しなくてはならないだろう。

 しっかり食べた後にお土産を、と回るライセンサーの姿もある。折角エオニアに来たのだ、他人様だって自分用だってお土産のひとつも買いたいもの。桜壱と鳥太郎は再びショップをめぐっていた。
「あ、あれいいな。ジャム。いくつか買っておこうか」
「いいですね、明日の先生のご飯は食パンです!」
 自分たち用のお土産も確保して、2人はにっと笑みを浮かべた。
「ふふ、これでエオニアをいつでも感じられるわね……♪」
 ツィーはフレーバーティーとジャムを買いこんでにっこり。自分用のお土産である。
「奏」
 帰り道、呼ばれた奏は鳴の方を向いて──その唇に熱を受けた。
「……っ!?」
「……また、機会があればエオニアに行こう、な?」
 不意打ちの行為に顔を赤くした奏の頭をぽむ、と鳴が撫でる。両頬を押さえた奏はちらりと鳴を見上げ、嬉しそうに笑った。
「うん! また来ようね!」

 ミーベルフェスティバルは盛況にて幕を閉じる。売り上げも上々、それらは復興の資金として充てられるらしい。
 なによりも──これだけの幸せが詰まっていれば、売上云々を抜きにしても企画した甲斐があったというものであった。

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