オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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【祝夏祭】少年と祭りの思い出を 久遠由純

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
日常 
参加人数
53~6人
予約人数
10010100
基本報酬
160000G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2020/08/13 12:00
完成予定
2020/08/23 12:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●貧しい村にて
 地中海に浮かぶ小さな島国エオニア。
 西部の海辺に程近い村は五年前の襲撃で壊滅状態になり、また一から頑張って村人達が以前の生活を取り戻そうとしている。
 そこにヨナタンという12歳の少年は住んでいた。
 茶色いくせっ毛がボリューミーな少年で、襲撃の際両親や兄弟を亡くしながらも、近所の人に面倒を見てもらいつつ一人で健気に生活している。
 以前は家族を喪った悲しみのあまり放浪者を憎んでいたが、今はわだかまりも消え『放浪者だから』と区別することなくライセンサーとして信頼するようになった。

 そんなヨナタンも、今年も催される『ミーベルステファノス』には興味津々で――。

●皆で行こう!
「去年も行きたかったんだけど、ここから首都は遠いからさ、誰でも全員が行けるって訳じゃなくて。車持ってる人と、一台だけどっかから手配したバスは、定員が一杯だったんだ」
 去年を思い出しながら残念そうに語るヨナタン。
「でも、今年はおれも行けるんだな! 嬉しい! ありがとう、エルルーク!」
 目を輝かせて目の前の放浪者ライセンサー、エルルーク=フォルフォルに笑顔を見せる。
 エルルークは薄い水色の肌に青緑色の髪と瞳、耳の所に翼のようなものが生え、立派な尾羽がある鳥めいた姿の見るからに放浪者で、ヨナタンと初めて会った時は彼に毛嫌いされていた。しかし、エルルーク自身試練を乗り越えることでヨナタンの心を変え、他のライセンサー達の活躍もあり、信頼を得ることができたのだった。
 それ以来、エルルークは時折エオニアのこの村に寄っては、ヨナタンの様子を見に来たりしている。
 今回はエオニアとSALFで祭りがあるということで、ヨナタンを誘ってみることにしたのだ。
「今年はこんな催しがあるらしいぞ」
 エルルークがSALFのエオニア支部でもらったチラシをヨナタンに見せる。
「見せてみせて! ……へえー、色んな食べ物のお店が出たり、フェス? があったり、SALFだとゲームみたいのとかもできるんだな、すげー!」
 ワクワクが止まらないといった表情でチラシを一生懸命見ていたヨナタンは、
「あっ、これ行きたい!」
 とチラシの一点を指さす。

 それは、『女神像(レプリカ)に願い事を書いたミーベルのシールを貼ろう!』

 というものだった。
 ミーベルステファノスの由来となった逸話にちなんで、ミーベルシールで女神に願いを託すということらしい。
 ヨナタンにも何か願い事があるのだろうか。
 いや、きっとたくさんあるに違いない。
 小さな願いも大きな願いも。彼にはまだまだ未来があるのだから。
 微笑ましく思いながらエルルークが応える。
「いいじゃないか、一緒に行こう。でも、お祭りってたくさんの人が集まるんだろう? 僕も去年のお祭りは行ってないから、勝手が良く分からないな……」
「あ、じゃあさ、他のライセンサーも呼ぼうよ! おれ、ライセンサーと一緒に回りたい! それでいっぱい思い出作りたいんだ!」
 あんなに放浪者を嫌っていたヨナタンがこんなことを言ってくれるようになるとは。
 エルルークは胸がいっぱいになり、彼の希望をかなえてやりたいと思った。
「ヨナタン……。そうか、分かった。一緒に行ってくれる人を探そう」
「うん!」
 ヨナタンは満面の笑みでうなずいた。

 SALFに依頼を出して誰かがそれに応えてくれるまでの間、二人は祭りでしたいことなどを決めておくことにした。
「まずは女神像で願い事貼って~、それからやっぱり屋台は回りたいよな! 俺も今年はお祭りに行けるんだって隣のおじさんに話したら、お小遣いくれたんだ! おれミーベルアイス食べたい! エルルークは?」
「そうだな、僕はタコヤキかな? 食べたことないものにチャレンジしてみたいな」
「タコヤキ? おれ食べたことない! 食べてみたいな~! あとそれとさ、皆で写真とか撮ってさ、記念になるお土産も買いたい!」
「はは、やること一杯だな」
 なんて言いながらも実の所エルルークもこちらの世界の祭りは初めてなので、内心結構楽しみだったりする。
「すっごく楽しみ! 早く行きたいな!」
 そんなふうに二人は楽し気に、祭りを回る計画を立てるのだった。

※ヨナタン、エルルークと一緒に祭りを回り、ミーベルステファノスを楽しんでください。

〈回るルート〉
1.首都の片隅にある広場で、ミーベルをかたどったシールに願い事を書いて、女神像に貼る。
 ・女神像は高さ2.5mくらい。
 ・広場の入口でシールを購入、隣にある机で願い事を書いて女神様の像に貼ろう!
2.屋台を軽く回る。
 ・ミーベルを使ったスイーツから定番の粉物まで、色々な屋台があるよ!(ありそうなものならあることにしていただいてOK)
3.土産屋で写真を撮ってキーホルダーにしてもらう。
 ・皆で写真を撮って、その場でクリアキーホルダーに加工してもらえるよ!(四角型、ミーベル型、楕円型とあります)
 ・誰かとツーショットなどももちろんあり。
 ・パルテニア王女様の等身大パネルもあるよ!
 ・その他お土産用の雑貨も売ってるよ!(売ってそうなものなら売ってることにしていただいてOK)

 上記を参考に、それぞれの場所での行動を自由に書いてくださいね。

〈知っておくといいかもなこと〉
・ヨナタン、エルルークと絡んでくださるのは大歓迎ですが、一緒にいるというていであれば、無理に二人と絡む必要はありません。
・絡みOKと書いてくださった方には、ヨナタンやエルルークが「迷子になりそう、待って~」とか「一緒に写真撮ろう」とか言ってくるかもしれません。
・ちなみに、ヨナタンの願い事は『ナイトメアがいなくなりますように』と『もっとたくさんのライセンサーと仲良しになれますように』、エルルークの願い事は『この世界を守れますように』です。
・ご希望の方はエオニアの民族衣装の貸し出しアリ。(着替えてから回ることになります)
・ヨナタンとエルルークについては、『とある放浪者の試練 前編 後編』を参考にしていただけるとありがたいです。

こんにちは、久遠由純です。

去年に引き続きエオニアのお祭り【祝夏祭】に参加させていただきました。
今年は戦闘なしのシナリオです。
ヨナタン、エルルークと仲良くしていただけるとめっちゃ嬉しいです。そして自由にお祭りを楽しんでもらえたらなあ、と思います。

よろしくお願いします。

  • 寡兵よく大群を破る
    神上・桜la0412
    人間10才|ネメシスフォース×セイント

・戦闘の合間に気を休める為に参加。
色々と観て回り楽しもうと考える。
「今日はまったりと楽しむとするかのぉ」

【1】
日本の七夕に似てるな、と思いつつシールを購入。
出来るだけ高い所に張ろうと精一杯背伸びして貼り付けるが…そも、もとの背が低いので…(
願い事は小隊の皆の健康と武運を祈る。…後、こっそりと自分の料理の腕があがるように。見つかったらわたわたと言い訳。
「べ、別に我の料理は今でも最高じゃがな!じゃがもっと上手くなった方がよいからのっ」

【2】
予想より色んな屋台がある事に驚きつつも色々と見て回る。
皆と手分けしてたくさん食べようと思いつつ。
何か綺麗なスイーツがあれば全力で確保。美少女には美しいスイーツが映えるとかなんとか。
「粉物も別に好きじゃがの!我ほどの美少女となれば何を食べても絵になるものじゃて」

【3】
小隊員へのお土産を購入。もふもふの縫いぐるみやら木でできた剣やらペナントやら。
その後、写真を撮ってキーホルダーに。自分だけの写真を撮った後、どうせならヨナタン、エルルークも含めて依頼参加者全員で写真を撮りキーホルダーにしないか提案。
今回のお祭りの記念に皆で持っていられるように。
ちなみに自分の写真だけのキーホルダーは小隊の仲のいい相手へ渡す予定だとか。
「せっかくじゃしここで記念を作るのもよいのではないかの」

  • GLORIOUS DRIVE
    向原 大那la0585
    人間18才|スピリットウォーリア×グラップラー

【心情】
ミーベルステファノスを楽しむ、って依頼もあるんすね。
戦闘ばっかも疲れるから、こういうのもたまにはいいっす。

【目的】
ヨナタン、エルルーク、他の皆とミーベルステファノスを楽しむっす。

【行動】
※ヨナタンとエルルークに絡む。他PCとの絡みもOK。

「ヨナタンははじめましてっす。自分、向原大那っす。よろしく!」
「エルルークはフィンランドで会ったきりっすね。元気そうで何より」
あの時と比べたら落ち着いてきているようだし、楽しそうな雰囲気もあるっす。

回るルートは全部っす。皆で一緒に。
女神像に貼るシールには「最強のライセンサーになりたい」と書くっす。
長身を活かし、できるだけ高いところにペタリ。
「ヨナタンの願い事、叶うといいっすね。エルルークはこの世界に馴染んだみたいで」

屋台ではたこ焼き食う。
「熱いけど美味いっすよ。外はカリッと中はトローリ、入っているタコも美味いっす」
ミーベルアイスも食うっす。これ、どんな味なんすかね?

土産屋では、全員集合の写真を撮影してもらうっす。良い記念になるっす。
「エルルーク、自分と一緒に写真撮るっす」
2人だけの写真も撮影。一度だけとはいえ、一緒に戦った仲間っすから。
この写真をミーベル型のクリアキーホルダーにするっす。

久しぶりだね、2人とも。
俺のことは武蔵でいいよ。
(ヨナへ)今日は何でもご馳走するよ。任せとけ(笑。隣のおじさんには、お小遣いでお土産を買うといい。
(エルへ)俺はエオニアの衣装にしてみたけど、あんたもどう?

▼願い事は…
皆が書いているのを傍で微笑みつつ見ている
書かないの?と誰かに問われ、漸くシールに書きつけて貼る
「女神なら、異世界の文字も読めるだろうさ(意味深な微笑

▼屋台をハシゴ
元気に何でも食べまくる大食い
「串焼き食べつつ)俺は鳥が好きだ。見て良し、聞いて良し、触れて良し、味も良し(無邪気に笑
「エルがギョッとしたら)鳥になりたいと、子どもの頃よく思ったものさ。親父殿は俺を束縛しなかったけど、周囲の目も声も煩わしい時があったから(苦笑
「それも美味しそうだな。もう1つくださ~い!(ジェラート食べ終えたばかりだがヨナのミーベルアイス見て注文」
カラオケ会場あれば「俺もいい?(マイクなしで異世界の歌を独唱

別れ際「求めよ、さらば得られん…輝く未来を(ヨナが嫌がらなければ。そっとハグ

【心情】
ミーベルステファノス中のエオニアで受けられる依頼が
あるかと思ってみたら、知った名前を見つけるなんてね。

【目的】
ヨナタン、エルルーク、ライセンサー(PC)と
一緒に祭りを回り、ミーベルステファノスを楽しむ。

【行動】
「エルルーク、こんにちは。ヨナタンは覚えてるかしら」
「武蔵介(la0849)も久しぶり。あの時以来ね」
『とある放浪者の試練 前編 後編』参加。祝夏祭中の
エオニアに滞在していたところ、今回の依頼を見つけた。

「たくさん願い事が貼ってあるわねえ」
女神像には『素敵な風景と仲間を守れますように』と
願い事をミーベルをかたどったシールに書いて貼る。

「タコヤ…キ?ええと、日本のソウルフードだったかしら」
屋台では夏の定番カキ氷、ミーベルのシロップを氷にかけ、
小さく切ったミーベルの実がそのまま添えてある。
冷えたミーベルの実と、ミーベル味の甘い氷を味わえる。

「ヨナタン、何か良いお土産は見つかった?」
土産屋ではヨナタン・エルルークら(PC参加は自由)と
写真をとり、自分の分は四角型でキーホルダーにしてもらう。
お土産はミーベルのワインを買っていく。

絡みOK(NPC、PC問わず自由に絡んでください)

  • 情熱カレーで元気よ届け
    岩波レイナla3845
    人間16才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

ヨナタンとエルルーク、他の皆も始めまして、ね。き、緊張なんかしてないんだからねっ!さ、皆で楽しく行くわよっ!!
「初めましてね。な、仲良く…その…と、友達になってあげても良いんだからねっ!

あたしは一応『1/3』メインで行動予定よ。

1:ヨナタンは『ナイトメアがいなくなりますように』と『もっとたくさんのライセンサーと仲良しになれますように』で、エルルークは『この世界を守れますように』
なによ、あたしと願い事殆ど被ってるじゃないのっ!まあ、あたしはと、取り合えず『友達が出来ますように(出来れば沢山』
「何か書いたかって?ひ、秘密に決まってるでしょ!
ホントに叶えば嬉しいんだけどね…当るも八卦、当らぬも八卦よ!…って違うわよ!願い事叶えるためには、先ず、あたしが頑張らないと。

2:たこ焼きも食べたいけど。1個位ならくれるかしら…。
「そんなに美味しいなら、あたしが…その、味見してあげても良いわよ!

3:記念に皆で写真撮りたいわっ♪…なんて言えるわけないでしょ!!誰か言わないかしら…。って、ナイスよ!良く言ったわ!!
「ま、仕方ないわね。さ、皆で撮って貰うわよ!
キーホルダーになるのね。何だか嬉しい。こっそり宝物にして、何時も持ち歩こ…。

●ライセンサーと一緒
 依頼を受けたライセンサーの中には、ヨナタンとエルルークが見知った顔もいた。
「エルルーク、こんにちは。ヨナタンは覚えてるかしら」
 ジュリア・ガッティ(la0883)が二人に片手を上げる。
 褐色の肌に青い瞳が印象的なジュリアは祝夏祭中のエオニアに滞在していた所、偶然この依頼を目にしたので受けることにした。
 将来は美術に関わって生きて行きたいと思っているジュリアにとって、エオニアという国の景観や文化は魅力的なのかもしれない。
「武蔵介も久しぶりね」
 腰まである金髪を揺らしてジュリアは葛城 武蔵介(la0849)に振り向いた。
「そうだね。ジュリアに二人も久しぶり」
 優し気な笑顔で葛城は挨拶する。
 見た目は茶髪に同じ色の目で爽やかな印象の青年だが、葛城は放浪者だ。人の心の闇を理解し、受け止め、否定しないという自分の中のルールに従いヨナタンの感情を解きほぐし、彼と良い関係を築いてきた。
「ジュリアねーちゃんもカツラギも来てくれてありがとう!」
 ヨナタンは顔を輝かせて二人に駆け寄る。
「君達にはいつも世話になってしまっているな」
 エルルークも二人に挨拶を返しながら、感謝の眼差しを向けた。
「今日は堅苦しいのはナシだ。俺のことは武蔵でいいよ」
「ムサシ? 分かった! へへ」
 より葛城との距離が縮まった気がして、ヨナタンは嬉しそうだ。エルルークにもその気持ちがよく分かった。
「じゃあ、僕も武蔵と呼ばせてもらう」
「ああ、改めてよろしく」

「ヨナタンははじめましてっす。自分、向原大那っす。よろしく!」
 はきはきした声で言ったのは、やたら身長の高い女子向原 大那(la0585)。
 ショートカットの黒髪とくりくりした赤い目の顔は表情豊かだ。その長身のせいかバレー部やバスケ部の助っ人ができる程の体育会系で、口調や性格も男っぽかったりする。
「今日はよろしくな!」
 ヨナタンと挨拶を交わした向原はエルルークを少しの間見つめ、ふ、と微笑んだ。
「エルルークはフィンランドで会ったきりっすね。元気そうで何より。あの時と比べたら今は落ち着いているようだし、楽しそうな雰囲気もあるっす」
「いや……、あの時は本当に迷惑をかけてしまった。武蔵やジュリアのおかげもあって、今は我を忘れるようなことはないから、大丈夫だ」
 恐縮しているエルルークからは張り詰めたような感じがなくなり、向原は良かった、と安心した。
 エルルークもあれから色々経験を積んで、今があるのだろう。
「ヨナタンとエルルーク、他の皆も初めまして、ね。き、緊張なんかしてないんだからねっ!」
 とか言いつつも、岩波レイナ(la3845)は緊張のせいで若干声が裏返ってしまった。
 青い髪に金の瞳がどこか猫を思わせる岩波は、性格も猫のようにゴリゴリのツンデレだった。子供の頃から人見知りのため、それを拗らせた結果だ。それでも困っている人を助けずにはいられない、優しい少女である。
「な、仲良く……その……と、友達になってあげてもいいんだからねっ!」
「本当!? やったぁ! 今日はお祭りすっごく楽しくなりそうだな!」
 ヨナタンに素直に受け止められ、岩波は照れ臭いやらくすぐったいやら。こういうのにはあまり慣れていないのだ。
「戦いの続く合間に休むのも良い。今日は皆でまったりと楽しむとするかのぉ」
 うんうん、と神上・桜(la0412)が一人うなずく。
 見かけはヨナタンより年下の少女にしか見えないが、言うことは大人びている。古風な口調や黒い瞳に切りそろえられた長い黒髪、和服を愛用しているところなど、実は良い所のお嬢様らしい。
「じゃあ早速行こうぜ!」

 というわけで、皆はミーベルステファノスでにぎわっている首都へと繰り出すのだった。

●女神像
 民族衣装で回ることも可能だと聞き、公式行事でアガピオス王子が着ているものに似た、エオニアの民族衣装に身を包む葛城と色違いのエルルーク。
「二人共似合ってるな!」
 祭りらしい装いの二人を連れて、ヨナタン達は目的の女神像の立つ広場に到着した。

 出入り口のミーベルシール売り場や願い事を書く机には、人が途切れることなく入れ替わって行く。
 皆も並んでシールを買い、机に移動した。
「日本の七夕に似ているのぉ。さて、我は小隊の皆の健康と武運を祈ろうか」
 神上がペンを取る。
「自分はもちろん、『最強のライセンサーになりたい』っすね!」
 向原も若干荒っぽい字で願い事を書いた。
 ジュリアは『素敵な風景と仲間を守れますように』、エルルークは『この世界を守れますように』と記し、ヨナタンはミーベルシールを二枚買っていて、『ナイトメアがいなくなりますように』と、『もっとたくさんのライセンサーと仲良くなれますように』を丁寧に書いていた。
「レイナはなんて書いたんだ?」
 ヨナタンに手元を覗き込まれた岩波は、咄嗟にシールを隠す。
「ひ、秘密に決まってるでしょ!」
「え~」
 実は『友達ができますように(できればたくさん)』というヨナタンと変わらない願いだなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。
 でも、この願いを叶えるためにはまず自分が頑張らないと、ということも理解している。岩波は自己分析と努力ができる子なのだ。
 そんな皆の願い事を、葛城は微笑ましく眺めていた。
「武蔵介は書かないの?」
 ジュリアに問われ、葛城はようやくペンを取って書き始める。
 が、それは地球の言語ではなかった。
「? 武蔵、それは君の世界の文字か?」
 エルルークの質問に、葛城は意味深な微笑みを返す。
「女神なら、異世界の文字も読めるだろうさ」
 この世界の女神には叶えられない願いだとしても。届くといい、と淡い思いを抱いて。

「たくさん願い事が貼ってあるわねえ」
 ジュリアの言う通り、女神像は人々が大体手の届く胸元辺りまで、何枚もシールが重なってまるで服のようになっていた。
 皆もそれらの上に場所を見つけてシールを貼る。
 向原が自分の身長を活かして女神の頭部に貼り、横で精一杯背伸びしている神上をひょいと抱き上げてやった。
「手伝ってあげるっすよ」
「す、すまんの」
「あっ、いいなー、おれも女神様の頭にはりたい!」
「よし、じゃあヨナタンは俺が」
 羨ましがったヨナタンを葛城が肩車してやる。
 神上とヨナタンは女神の冠の位置にシールを貼れてご満悦だった。
「あれ? あんたの願いごと、さっきと違くない? 『料理の腕が上がりますように』?」
「はあっ、それはぁっ」
 こっそり書いた願いをヨナタンに指摘されてしまった神上はわたわたと慌てだす。
「べ、別に我の料理は今でも最高じゃがな! もっと上手くなった方がよいからのっ」
 要するに上手くなりたいらしい。
(解るわっ!)
 壊滅的に料理が下手な岩波が心の中でグッと拳を握り共感していた。

「みんなの願いが叶うといいなー!」
 女神像を見上げるヨナタンの言葉に、皆も心からそう願うのだった。

●屋台巡り
 大通りでは道の両側に屋台が並んでおり、人がたくさん行き来していた。
「おぉ、色々な屋台があるの! 皆で手分けしてたくさん食べるのじゃ!」
 屋台の数と種類に驚きながらも、神上はすでに目移りしている。
「ヨナタン、今日は何でもご馳走するよ」
 葛城が太っ腹な申し出をすると、ヨナタンは目を大きくさせて喜んだ。
「えッ、いいの!?」
「ああ、任せとけ。隣のおじさんには、もらったお小遣いでお土産を買うといい」
「ありがとうムサシ! じゃあじゃあ、あれ食べたい!」
 ヨナタンは早速、スパイシーに焼いた肉をパンに挟んだものを売っている屋台に走り出す。
「俺も頼もうか」
 ヨナタンと葛城は仲良く同じものを頼み、神上はブルーやグリーンのキラキラしたフローズンドリンクにアイスとミーベルで飾られたスイーツを買って来た。
「粉物も好きじゃがの! 我ほどの美少女となれば何を食べても絵になるのじゃて」
「綺麗なドリンクね。私はカキ氷にしたわ。夏の定番ね」
 ジュリアはミーベルシロップのかかったカキ氷をチョイス。
「シロップの爽やかな甘さと、この添えてあるミーベルの果実がいいわね」
 カキ氷に舌鼓を打ち、向原とエルルークが買ったものに目を留める。
「二人はタコヤ……キ? ええと、日本のソウルフードだったかしら」
「そうっす。自分はノーマルで、エルルークのはエビチーズっす」
 興味深そうにじっと自分のたこ焼きを見つめているエルルークに手本を示すように、向原は自分のたこ焼きを一つ食べる。箸で二つに割って、冷ましつつぱくり。
「熱いけど美味いっすよ。外はカリッと中はトロ~リ、入ってるタコも美味いっす」
 エルルークも真似して、
「はふっ、……うん、僕のはタコじゃなくてエビだが、チーズと合うな」

(たこ焼き、一個くらいならくれるかしら……)
 岩波は迷っていた。
 食べ物をシェアするというのは『友達』を感じられる行為の一つ。やってみたい……が、自分から言い出せない。
(でも、頑張らないとっ……!)
 さっきの決意を思い出して発した言葉は。
「そ、そんなに美味しいなら、あたしが……その、味見してあげてもいいわよ!」
 ツンデレ丸出しなセリフだった。
 しかし二人は快諾してくれる。
「もちろん、美味しいから君も食べてみてくれ」
「自分のもどうぞっす」
「あ、ありがと……! ん、ホント、美味しいわね!」
 岩波は嬉しさに叫び出したいのを堪えながらたこ焼きを頬張った。

「ミーベルアイスください!」
 葛城と一緒にあれこれと食べ歩いたヨナタンは、デザートにミーベルアイスを頼む。
「それも美味しそうだな。もう一つくださ~い!」
 さっきジェラートを食べたばかりの葛城だが、ヨナタンのアイスを見て自分も注文する。
「ミーベルアイス最高! おれもうお腹いっぱいだよ。全部おいしかった!」
「そうか。それなら良かった」
 満足気なヨナタンに微笑みながら、葛城はさらに鳥の串焼き屋台にも寄って、串焼きを購入。
 その華奢にも見える身体のどこにそんな食欲があるのかと思えるほど、葛城は大食漢なのだ。
「君がそんなに大食いだったとは知らなかったな」
 感心したように言うエルルークに、葛城は食べながら答える。
「俺は鳥が好きだ。見て良し、聞いて良し、触れて良し、味も良し」
 ははは、と無邪気に笑う。
「あ、あんたに言うのはマズかったかな?」
「いや、僕もこの世界では食用の鳥がいるのを知っているから平気だ」
「俺は、鳥になりたいと子供の頃よく思ったものさ。親父殿は俺を束縛しなかったけど、周囲の目も声も煩わしい時があったから」
 葛城は笑みを苦笑に変える。
「……色々複雑な経験をしてきたんだな」
 エルルークが静かに言葉を紡ぐと、どこからか楽器を奏でる音が聞こえて来た。通りの一角で演奏しているらしい。

 それに触発されたのか、葛城がそっと歌い出した。
 始めは優しい低音で、盛り上がりは伸びやかで深いバリトン、そして余韻のある終わり。
 どこかで聞いたことがあるような、でも誰も知らない言葉の、誰も知らない旋律の歌。

 思いがけない葛城の熱唱に、エルルークもヨナタンも唖然としていた。
 そんな二人の表情にクスリと笑って、葛城は
「未来は始まったばかりって歌だよ。あんた達にピッタリだと思ったんだけどどうだった?」
「何と言うか……とても心に響いたよ。不思議な気持ちになった」
「ムサシ、すげー! 歌上手いんだな! もっと聞かせて!」
「はは、また今度な。ホラ、ちゃんと前を見ないと人にぶつかるぞ」
 葛城は気を付けてやりながらヨナタンと並んで、歩調を合わせて歩き出す。
 その二人の姿はまるで、若い父親と息子のようだった。

●お土産は
 ヨナタンが最後に皆を案内して来たのは、土産屋だ。
「ここで写真撮ると、キーホルダーにしてくれるんだって!」
(えッ、皆で撮りたいわっ♪……なんて言えるわけないでしょ!!)
 岩波が分かりやすく葛藤していると、神上が提案してくれた。
「せっかくじゃしここで記念を作るのも良いのではないかの? 全員で撮ろうではないか」
「本当!?」
(ナイスよ! よく言ってくれたわ!!)
 ヨナタンが喜びの声を上げ、心中でガッツポーズする岩波。彼女が人見知りを克服するのは、もう少し努力が必要そうだ。
 全員が賛成してくれたので、ヨナタン達は土産屋の店員に言って全員揃った写真を撮ってもらった。
 他にも神上は自分オンリーの写真を撮り、小隊の仲のいい相手に渡すキーホルダーを作ってもらう。
 向原はエルルークとのツーショットを撮った。
「一度だけとはいえ、一緒に戦った仲間っすから。ミーベル型のキーホルダーにするっす」
「光栄だよ、ありがとう」

 キーホルダーになるまでの間、皆は店内で土産を物色していた。
「ヨナタン、何か良いお土産は見つかった? ちなみに、私はミーベルワインよ」
 ジュリアがヨナタンに声をかけると、ヨナタンはお菓子と雑貨を選んでいるところだった。
「えっとねー、このミーベルチョコと、隣のおじさんにはこのマグカップどうかな? ミーベルちゃんがかいてあるんだ!」
「あらかわいい。きっとおじさんも喜んでくれるわ。エルルークは?」
 エルルークはミーベルの絵付けがされたボウル型のお皿を持っている。
「ああ、最近飼い始めた犬用にどうかと思って」
「あの子犬ね。いいじゃない。と、桜はまたたくさん買ったわね」
「小隊の皆への土産なのじゃ!」
 神上は両手にもふもふのミーベルちゃんぬいぐるみやら木刀やらペナントやらを抱えていた。

「皆、キーホルダー完成したよ」
 買い物をし終わった頃、葛城が皆に出来上がったキーホルダーを配ってくれた。
「わ~やったあ! 学校でみんなに自慢しよ!」
 ヨナタンはその出来栄えにはしゃぎ、エルルークも嬉しそうにキーホルダーを見ている。
 これは皆との友情の証、思い出の品だ。
 その嬉しさは岩波も同じで、喜びをひっそりと胸にしまい、一人
(こっそり宝物にして、いつも持ち歩こ……)
 と思ったりするのだった。


「今日はめちゃめちゃ楽しかった! おれ、今日のこと絶対忘れないよ!」
「お祭りは初めてだったけど、僕もすごく楽しかったよ。ありがとう」
 別れ際、ヨナタンとエルルークが皆に礼を言った。
「求めよ、さらば得られん……輝く未来を」
 葛城がそっとヨナタンをハグする。こんな時代だけど夢や願いをあきらめないで欲しいという思いを込めて。
 ヨナタンは嫌がらずに軽く抱き返しながら、父親や兄弟のことを思い出していた。
 きっと、葛城達が願い事を叶えてくれるだろう、とヨナタンは信じる。
「私達も楽しかったし、いい息抜きになったわ」
 ジュリアの言葉に神上達も笑顔でうなずいた。

 皆束の間の祭りを大いに楽しみ、またすぐに赴かねばならないであろう戦場で戦い抜く活力を得たのだった――。

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