オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  3. 【祝夏祭】海辺に佇む薔薇の楽園

【祝夏祭】海辺に佇む薔薇の楽園 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
日常 
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/08/15 20:00
完成予定
2020/08/27 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●東西が交わる街
 エオニア王国の南東部の海沿いにアルガミラという街があった。
 17世紀頃、オスマントルコはエオニアの隣であるクレタやトルコ、北アフリカ全域を支配に治める大帝国を築いていた。
 その頃イスラム商人達が作った建物や文化が、今もなおアルガミラに名残をとどめ、西洋と東洋が混じり合う不思議な町並みを作りあげていた。
 エオニア王国は、この町の観光事業に最近力を入れている。
 その1つが薔薇の楽園──ワルド・ジャンナと呼ばれるリゾートホテルだ。
 海沿いにある、イスラム建築様式で建てられた美しい館で。宿泊・日帰り入浴・食事を楽しめる。
 海に遊びに来た旅行客目当てでもあるらしい。


●英雄達へのご褒美
 ミーベルステファノスはライセンサーへのご褒美だ。エオニアの英雄達を労うようにと王女よりお願いがあり、この街でもライセンサーを持てなす準備をしていた。
 初夏の頃にアルガミラに遊びに来た、来栖 由美佳(lz0048)と澪河 葵(lz0067)は、すっかりこの町が気に入った。
 ワルド・ジャンナの話を聞いて、まず由美佳が飛びついた。
「疲れた体に、エステって最高ね」
 由美佳はゼーゲン社で開発をし、カイロ攻略戦の為の兵器を用意し、八面六臂の活躍をして、疲れ切っていた。
「アルガミラ……食べ物が美味い街だったが。こんなものもあるのか……」
 疲れを癒やし、英気を養う。戦死の休息と聞いて葵もやってきたのだが、葵は戸惑いを隠せない。

 ワルド・ジャンナの目玉は、薔薇風呂らしい。
 イスラム圏らしい幾何学紋様のモザイクが鮮やかな浴室内に、薔薇が浮かぶお風呂。間近に見える海の景色と相まって、まさに楽園と呼ぶべき美しさだ。
 イスラム式エステ、ハマム浴も人気が高い。
 専用のベッドに横になると、下から薔薇やハーブの香りがする蒸気が上ってきて、体全体を温め発汗を促し、血行をよくしてくれる。
 美容だけでなく、疲労回復効果もあって、疲れたライセンサーにぴったりだ。

 風呂上がりはワルド・ジャンナのレストランを楽しむのも良いだろう。
 美しい絨毯の上にイスラム刺繍のクッションが多数置かれ、寝転びながら料理や飲み物を楽しめるイスラム式だ。
 イスラム建築の特徴である、アーチの連なりの向こうに、青い海が見える。
 冷房が効いてるのか、適度に涼しく、ときおり浜風がふわりと頬を撫でる。

 レストランにはワルド・ジャンナならではの食べ物が、豊富に揃っていた。
「薔薇水……薔薇の香りをした水を飲む!」
 葵は想像しただけで、体中に甘い香りが充満しそうで、くらくらした。
 しかし、ものは試しと、差し出された薔薇ドリンクを口にする。
 ふわっと香る薔薇の香り。砂糖で甘みを加えレモン果汁をたらし、炭酸の爽快感と合わさって、予想外に飲みやすい。
「薔薇水はそのまま飲むだけでなく、料理やデザートにいれたり、化粧水にも使える。女性に嬉しい美容成分たっぷりです」
 薔薇を香料として扱う伝統は、サーサーン朝ペルシャまで遡る、イスラム圏では伝統あるものらしい。
 イスラム式の伝統的なローズオイルを作成する過程で、薔薇水も多く生まれる。
 アルガミラでは香水ようのローズオイルがたくさん作られるため、薔薇水も豊富にある。
 これはノンアルコールだが、薔薇水を使ったカクテルも用意可能だ。

 羊肉をスパイスにつけた串焼きのシシカバブ。焼き鯖を野菜と一緒にパンに挟みレモン汁をかけた鯖サンド。ミーベルはもちろん、マンゴー、オレンジ、レモン、ブドウ、スイカにメロンとフルーツも豊富だ。
 エオニアの伝統料理「空と海と大地の交わるところ」も、ここアルガミラでは少し変わっている。
 本来であれば、鳥肉、魚、野菜が入った煮込み料理で、胡椒を振りかけるシンプルなものだったのだが。
 アルガミラ式では、鳥肉だけでなくマトンが入るらしい。新鮮な魚介類や野菜ももちろん、胡椒だけではなく、多様なスパイスが効いた複雑な味わいが美味しい。
 白いふわふわパンに、焼いた肉や野菜をたっぷり挟んだドネルケバブや、伸びるトルコアイスは野外に持って行って食べられそうだ。

 ワルド・ジャンナのロビーにはお土産が買えるショップも存在する。
 モザイクガラスの香水瓶に入ったローズオイル、エオニアが力を入れている真珠のアクセサリー、真珠貝の貝殻を使った螺鈿細工の雑貨と、見ているだけでも美しい物がならぶ。
 お手頃なものだと イスラムらしい美しい文様のタイルは、コースターや鍋敷きに使っても綺麗。
 薔薇飴や薔薇ジャムなど、お菓子類も豊富だ。ペットボトル入りの薔薇水も売られてて、飲用・美容品用、兼用可能。


●薔薇の海辺で
 ワルド・ジャンナを出るとすぐの所に、海岸がある。
 抜けるような青空。白い砂浜の向こうに広がる青い海。サンゴ礁の生み出す独特の色彩が、とても美しい。
 日差しは強いが、日本の夏よりからりとして、頬を撫でる海風が心地よい。
 夏の海ということで海水浴に来る客も多いようだが、ワルド・ジャンナは客向けのプライベートビーチがあり、他より静かで、のんびりできた。
 砂浜のウッドチェアに寝そべって、薔薇水や、フルーツジュース、カクテルを楽しみ、お腹がすけばレストランでテイクアウトしたドネルケバブやアイスをぱくり。

「海が近いのはいいな。マリンスポーツの手配とかできないのか?」
 エステよりアウトドア派の葵の希望に、ワルド・ジャンナの支配人は申し訳なさそうに頭をさげる。
「今、ミーベルステファノスの最中でしょう。観光客も増大していて、マリンスポーツのインストラクターや機材は、全部予約でいっぱいなんです」
「なるほど……それは残念だ。だが、砂浜で海水浴くらいなら、問題あるまい」
「もちろん! 海水浴用の設備なら、うちにもあります。浮き輪やシュノーケル程度の道具なら用意できます。それに夜には花火があがります」
「花火?」
 ミーベルステファノスの一環として、この街では海で花火大会をやるらしい。
 夜の海辺で花火を眺めるのも悪くない。

 潮騒が聞こえる。
 ワルド・ジャンナから漂う仄かな薔薇の香りと、海の匂いが溶け合って、海風も甘くて塩辛い。
 ウッドチェアに寝そべって、のんびりしても、水着を着て海水浴を楽しんでも良い。
 あるいは、夕暮れの海辺を歩いたり。砂浜に寝転んで、夜空の星を楽しんだり。


 ここは東西の交わる街・アルガミラ。
 薔薇の楽園で、夏の一時を楽しみませんか?

●目的
 ワルド・ジャンナ付近で遊ぶ

●NPC
・来栖 由美佳
 SALF技師。ストレスが貯まると悪戯癖がある。今日は休暇を存分に楽しんで、ストレス発散する予定。故に悪戯はない
 疲れた体を癒やすため、薔薇風呂やハマム浴が楽しみ。美味しい物を食べたい

・澪河 葵
 アウトドア派なライセンサー。美男子に間違われるくらい凜々しい
 風呂より海が気になる。海水浴がしたい。花火も気になる。美味しい物を食べたい


●行動
 以下の3つから自由に選べます。欲張るより、絞って書く方が、描写も濃くなる

・薔薇風呂
 風呂場は男女別です。ハマム浴ができるエステルームは男女兼用。寝っ転がったままお喋りできます
 注文すれば、風呂場にも飲み物持ち込み可。美しい海を眺めて、のんびりゆったり浸かれる

・レストラン&ショップ
 絨毯が敷かれ、クッションが置かれた床で食べる、アラビアスタイルのレストラン
 OPにあるようなメニューを、寝っ転がったり、座り込んで食べます
 ホテルのロビーでお土産も買えます。

・海岸
 ワルド・ジャンナを出てすぐの所に、プライベートビーチがあり、のんびり静かに海水浴が楽しめます
 浮き輪やシュノーケルの貸し出し可。レストランから、テイクアウトした料理や飲み物を、砂浜で食べるのもあり
 日没後に一時間程度花火大会あり

●状況
 場所はエオニア王国の南東部の街アルガミラにあるリゾート施設・ワルド・ジャンナ
 時間は昼前からスタート。リプレイは夜の花火大会頃まで
 海沿いの立地なので、自由な時間に海に遊びにいける
 NPC二人はプレで指定があれば、同行可能です。足りない部分があれば、アドリブでNPCが補うかもしれません

 ハマム浴で疲労回復したい、雪芽泉琉です
 せめて温泉行きたい! けど今旅行は難しいので、代わりに葵さん達にアルガミラ旅行をしてもらいます

 エオニアで薔薇といえばランテルナなのですが、薔薇の歴史はイスラム圏でも長いのです
 ランテルナとはちょっと違う、イスラムな薔薇文化を楽しんでください
 やることは自由なので、戦いの合間に、のんびり休日を楽しんでください

 素敵なプレイングをお待ちしております

温泉!薔薇風呂!!癒しプレイ!
ハマムで汗も流す。デトックスだ!!!

基本風呂とレストランの往復。
ここ最近、やれ中国だアフリカだヨーロッパだと世界中から大規模招集かかりっぱなしだからな。
ここらでゆっくりしておくのも悪くない‥と自分に良い分けしながら贅沢な時間を過ごす。
特に連れはいない。心身を休める時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。

ハマム欲で身体の何かだめそうな諸々を流してから薔薇風呂へ。
今時期の海は綺麗だろうからね、のんびり浸かろう。

ゆっくり体を休めたらレストランでアルガミラ飯。
空と海と大地の交わる所を中心に食べる。以前屋台で作っていたのと大分違うらしいから楽しみだ。
薔薇水は気に入ったらボトルで購入。基本ノンアルコールなのがありがたい。

飯を食ったら再度薔薇風呂へ。
昼と夜の二つの景色を楽しみながら浸かる温泉とか最高では???心身ともに癒されちまうな。
花火も薔薇風呂から眺める。可能なら薔薇風呂に入りながら売店の薔薇水で水分補給し薔薇三昧。

葵と由美佳とアウィンと同行してレストランで食事
まるで千夜一夜物語のようで楽しみ
「それにしても……由美佳が悪戯をしていないと何だか調子が狂いますね」←

薔薇の香りにふわふわします。これが場酔いというものでしょうか?
「葵、お勧めの料理はどれですか?
寝転がって食べるのは驚きましたが次第に楽しむように
近況報告をしながら食事に舌鼓。串焼きのシシカバブはジューシー
アウィンの恋愛話にも興味深々
葵と由美佳が元気だと嬉しい。まるで元の世界にいるようで
葵がこの世界に来て既に一年以上
「任務にも慣れたと思いますが、寂しくは無いですか?
私は最初とても寂しかったですと苦笑。笑って話せるのも成長ですね、きっと
後で女子三人お揃いでお土産を買いましょう(お任せ)

蛍と鈴蘭と夜の花火の時にばったり
蛍は両親の友人で先達。鈴蘭は初対面ですが不思議と両親の友人の面影が
「蛍と同じ世界出身です。時間軸はずれているのですが…
鈴蘭は蛍の想い人らしいのでしっかり見定めなければ←

お外はワンピース市中周りやホテル
海は水着はワンピースにパーカー
「んー…だいじょーぶ?(容姿を確認するために鏡やガラスの前クルクル
おそろいの鏡も、そっとポケットに忍ばせるの

澪河おねーちゃんが先に出てても平気
ホテルや街でいるものを買って後から合流します

「うーみー…(見た目ではわからないがテンション高め
おねーちゃんが海を楽しんでるところを、のんびり見てるの
「お姉、ちゃん…かっこ…いい、の…
あと…(自分の体さすさす(澪河のプロポーション見て羨望
(でも、澪河おねーちゃんに悟られると恥ずかしいのっ


夜は、澪河おねーちゃんと花火、見れるかな?
見れるなら、きれいに見える場所がいいの

花火の後ろに隠れてる空の星
あの中に放浪者のおねーちゃんの世界があるといいのに
そうすれば、おねーちゃんが元の世界の使命?を果たして帰っちゃっても、いつでも遊びにこれるのに
寿華も、行きたい時に遊びに行けるのに

「世界、さん…は…いじわる、なの…


アドリブ・絡みOK

エオニアも首都やノルトブローゼ、ステラと赴いたが、アルガミラの街は初めてか
他の街村とは全く違う文化が興味深い
いつかこの街にも彼女と訪れたいものだ

■行動
レストランでさくら達に同席し食事
イスラム式の食事は初めて
普段の椅子を使った食事や姿勢の良さから、つい背筋のぴんと伸びた姿勢で座る
「さくら殿は様になっているな

好き嫌い無いので料理は色々と
去年、王女と共に作った『空と海と大地の交わるところ』アルガミラ式も食べたい
勿論アルコールは外せない、薔薇水使用のカクテルも試す
アルガミラ特産の酒があればそれも
「トルコアイス…(誰かが脳裏に(

来栖へ近況報告など
「6月より彼女と一緒に暮らしている。私なりに大切に…出来ていると良いのだが
「ワルド・ジャンナ…ランテルナとはまた違った薔薇の園だな
「ランテルナの方には何度も。いずれ彼方でも式を挙げたいと考える程度には、思い出深い場所となった
来栖に質問、女性目線の考えを知りたい
「パートナーと暮らす上で、貴女が大切にしていることは何だろうか?
「そうか、肝に銘じる

ショップで恋人への土産を沢山購入
螺鈿細工の小物、タイル、薔薇水にジャム

花火は酒とつまみをお供に見物
彼女と見れないのが残念

アド絡み歓迎

  • 煉獄を征く者
    ルシオラla3496
    放浪者23才|ゼルクナイト×グラップラー

同行:鈴蘭さん(la3693)
日中は浜辺で海水浴
水着着用
折角の避暑地、海辺でのびのび遊んで欲しいと思いながらも心配癖は抜けない
「いいですか、浅い所といっても油断は禁物です。溺れたり、熱中症の危険は何時でも潜んでいますからね
昼食はレストランからテイクアウトした鯖サンド、ドネルケバブ、フルーツの盛り合わせにフルーツドリンク
一度に全部食べ切るつもりではなく疲れてお腹が空いた休憩時、一緒におやつ代わりに食べれるように
ただし自分向けに辛味をきかせたドネルケバブは食べさせないよう死守
保護者として見守るつもりでいたが次第に若い少女のように乗り気に
水のかけ合いをしたり砂作りに誘ったり
「鈴蘭さん、砂のお城を作ってみませんか?こう見えて結構得意なんですよ
夜は一緒に花火を観覧中にさくら(la2809)とばったり
いつか鈴蘭くんと会えればという話をしていたが突然の事なので狼狽
すぐに落ち着きは取り戻す
「一緒に戦ったリンカーの娘さんです…ほら、鈴蘭さんも粗相がないように…
「で、デートでは…ないです…

  • 成長中?
    路傍の毒la3693
    放浪者10才|スナイパー×ゼルクナイト

●同行
ルシオラさん、さくらさん
海岸にて

●昼
服装は水着+パーカー
「夏の海とは、やはり美しいものですね!」
ルシオラさんとレストランのテイクアウトを持って海岸へ
「海鮮パスタ美味しいです」
「これ、ミーベルのシャーベットらしいですよ。一口どうですか?」
ルシオラさんの表情はころころと変わる
それはなんだか、とても嬉しいことなのでにこにこしてしまう

どこまでもどこまでも青い海を見る
知っているような気もするし、知らないもののような気もする
「ルシオラさんは、海は好きですか?」
「いえ、とても楽しそうに見えましたので!」

●夜
「花火だそうです。射角はこっち、遮蔽物を避けて、きっとこの辺りが穴場!」
花火を見る位置を事前に選定
そんな折、夜にばったりさくらさんに出会う
「初めまして、でしょうか。路傍の毒と申します、鈴蘭とでも呼んでください」
どこかで会ったことがある気がする。別の世界かもしれないし、よく似た人かもしれない
その視線の真剣さを見る。横顔の美しさを、今度こそは覚えておこう

(こんなに綺麗な世界だからこそ、忘れてしまっては勿体ない)
かつての自分もそう思ったのだろうか。
それはもう、わからないこと


 桃源 寿華(la3140)は白ワンピースで、鏡を手にくるくる身だしなみ確認。
「んー……だいじょーぶ?」
 葵とお揃いの螺鈿細工の鏡を見て、寿華は笑みを浮かべた。鏡をそっとポケットに忍ばせ街へ行く。

「夏の海とは、やはり美しいものですね!」
 水着とパーカーに身を包んだ路傍の毒(la3693)――鈴蘭はサンゴ礁の作る独特な海の色合いに目を輝かせた。
「いいですか、浅い所といっても油断は禁物です。溺れたり、熱中症の危険は何時でも潜んでいますからね」
 水着姿のルシオラ(la3496)は保護者のように、つい口出ししてしまう。
 折角の避暑地、海辺でのびのび遊んで欲しいと思いながらも心配癖は抜けないようだ。友人が危険な目に合わないように見守りたい。
「先にお昼にしましょうか」
 ルシオラは浜辺にレジャーシートを敷き、日よけのパラソルを立て、テイクアウトした鯖サンド、ドネルケバブ、フルーツの盛り合わせ、ミーベルジュースをおいていく。
「うわぁ……美味しそうな物がいっぱいですね!」
「一度に全部食べ切れなくても、疲れた休憩中におやつ代わりに食べれます」
 鈴蘭は新鮮な魚介類の味に舌鼓。
「海鮮パスタ美味しいです」
「鯖サンドも初めて食べますが、美味しいです」
 思わず笑みが零れ、はっと気づいてドネルケバブを鈴蘭から引き離す。自分向けに辛味をきかせた物を食べさせるわけにはいかない。
 一口食べてみたが、だいぶ舌が痺れて驚く。
「これ、ミーベルのシャーベットらしいですよ。一口どうですか?」
「いただきます」
 舌が痺れた所に冷たく甘い物は美味しくて頬が緩む。
 ルシオラの表情がころころ変わる様を鈴蘭は好ましげに眺めていた。
 しっかり者のルシオラも好きだが、自然体に楽しんでくれる姿が、なんだか、とても嬉しいことで、思わず自分もにこにこしてしまう。
 どこまでもどこまでも青い海を眺め、鈴蘭は思う。この景色を知っているような気もするし、知らないもののような気もする。何度も世界を渡り歩いた先でも、見てきたのだろうか。
「鈴蘭さん、砂のお城を作ってみませんか? こう見えて結構得意なんですよ」
「もちろん、良いですよ」
 ルシオラが手を伸ばし、その手をとって立ち上がる。
 波打ち際で砂の城作り。最初は二人で作っていたが、ちょっと悪戯心がうずいた。一生懸命作業中のルシオラへ、鈴蘭は海水を手で掬って投げかける。
「そーれっ」
「あっ! もうっ」
 お返しとばかりに水を投げ返す。きらきら輝くような笑顔で、若い少女のようにうきうきと笑うルシオラが眩しい。鈴蘭も自然と笑みが零れる。
「ルシオラさんは、海は好きですか?」
「え……いえ、別に」
 はしゃぎすぎただろうかと急に恥ずかしくなる。
「いえ、とても楽しそうに見えましたので!」
 海は嫌いじゃない。でもそれ以上に、2人でこうしていられる時間が楽しい。そんなこと、恥ずかしくて言えない。心の底に沈めた欲を見られてしまいそうだ。
「ルシオラさん。お腹がすきました。おやつにしましょう!」
「仕方が無いですね。手を洗ってからですよ」
 鈴蘭が手を引いて、ルシオラを誘う。
 今は保護者として面倒を見る。それだけで良いとルシオラは心に言い聞かせた。


「温泉! 薔薇風呂!! 癒しプレイ! ハマムで汗も流す。デトックスだ!!!」
 行きつけの銭湯があるくらいケヴィン(la0192)は風呂好きだ。
「やれ中国だアフリカだヨーロッパだと世界中から大規模招集かかりっぱなしだからな。ここらでゆっくりしておくのも悪くない」
 風呂場で体を洗ってさっぱりしてからハマム浴。
 専用のベッドに寝そべると、下から良い香りの蒸気が上ってきて、体の内側から暖まっていく。
「寝っ転がるだけで疲れがとれるのは良いね」
 全身から汗をしっかり流し、疲れもデトックス。
「心身を休める時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ」
 1人の時間を楽しめるのも大人の余裕だ。
 汗を流したら水分補給。薔薇水を片手に腰に手をあてて、風呂上がりの牛乳の如く、ごくごく一気に飲み干す。
「ぷはーっ。すっごい薔薇の香り。汗を流した後ならこれも悪くないね」
 口から薔薇の香りを漂わせつつ、薔薇風呂へGO。
 風呂場はモザイクタイルで美しく彩られ、夏の海はきらきらと輝いていた。
「この景色を満喫しながら、のんびり浸かろう」
 薔薇の花びらが浮かぶ風呂は程良い湯加減。まさに薔薇三昧。
 浜風が肌を撫で、波の音だけが響く、静かな風呂がが心地よい。鼻歌を歌いたくなるくらいだが、少し腹も減った。
「飯、その後風呂ってのも良いかね」
 ゆっくり浸かってからレストランへ。
「空と海と大地の交わる所と、あと何かお勧めを頼むよ」
 以前祭りの屋台で食べた素材の良さをいかしたのと違うらしい。アルガミラ式はスパイスの香りが漂った。
「すげースパイス。辛いのか?」
 口にすると辛さはほどほど。とにかく香りが良くマトンの臭みを感じない。
「これはこれで美味いな」
 ピリ辛串焼きシシカバブに齧り付き、薔薇水をごくごく。酒を飲まない身にノンアルコールはありがたい。
「はー美味かった」
 食べながらごろ寝ができるのも、格式張ったレストランよりずっと気楽だ。思う存分食っちゃ寝すると、アーチの先の海は夕暮れ色に染まってる。
「夜の風呂も綺麗かねぇ。こりゃ心身ともに癒されちまうな」
 風呂から花火もばっちり見えるらしいと売店で聞き、薔薇水を手にまた風呂へ。



「首都やノルトブローゼ、ステラと赴いたが、アルガミラの街は初めてか」
 アウィン・ノルデン(la3388)はポツリと呟く。
「ワルド・ジャンナ……ランテルナとはまた違った薔薇の園だな。いつかこの街にも彼女と訪れたいものだ」
 エオニアにイスラム文化という特殊性が興味深い。最愛の彼女なら笑顔で文化の解説をするだろうと思い浮かべ自然と頬が緩む。

 アウィンは日暮 さくら(la2809)に誘われ、葵と由美佳の4人でレストランで食事する。
 さくらはワルド・ジャンナを見渡して、イスラム建築の美しさに、うっとり微笑む。
「まるで千夜一夜物語のようです」
「イスラム式の食事は初めてだ」
 育ちの良さ、姿勢の良さ故に、アウィンはつい背筋がぴんと伸びた姿勢で座ってしまう。正座しそうな勢いだ。
 その生真面目さに微笑みつつ、さくらは問いかける。
「それにしても……由美佳が悪戯をしていないと何だか調子が狂いますね」
「最近の連戦続きで皆ピリピリしてるもの、流石に自重するわ」
 由美佳の返答に頷き、葵へ目を向ける。
「葵、お勧めの料理はどれですか?」
「シシカバブと鯖サンドも美味かった」
 互いに近況報告をしながら食べ始めると話題も弾む。
 さくらはシシカバブをぱくりと食べる。ジューシーな味が口の中に広がり、ぴりりとした所で薔薇水を飲む。
「薔薇の香りにふわふわします。これが場酔いというものでしょうか?」
 寝転がって食べる風習に最初は驚いたさくらだが、次第に慣れて上品さを損ねずに、ゆったり寝そべった。
「さくら殿は様になっているな」
「郷に入っては郷に従えと言います」
 アウィンは姿勢を崩せず、そのまま『空と海と大地の交わるところ』アルガミラ式を食べた。昨年王女と共に作った想い出の一品だ。
「マトンとスパイスが変わっているな。これはこれで美味い」
 スパイスの香りに支配された口に、薔薇水のカクテルを流し込むと、すっきり洗い流され食欲が増す。
「アルガミラ特産の酒があればよかったのだが……」
「イスラム圏は飲酒禁止だものね」
 由美佳も薔薇水のカクテルをちびりと飲みつつ言う。他の産地で作られたワインやミーベル酒しかないらしい。
「イスラム……トルコアイス……」
 脳裏に掠めた人がいたが、持ち帰れるはずもなく諦めた。
「来栖殿に近況報告したい」
「何かしら?」
「6月より彼女と一緒に暮らしている。私なりに大切に……出来ていると良いのだが」
「恋の話ですか」
 さくらは恋愛話に興味深々で食いつく。由美佳は素直に微笑んだ。
「おめでとう。順調なの?」
「ランテルナに何度も行き。いずれ彼方でも式を挙げたいと考える程度には、エオニアは思い出深い場所となった」
 思い出すだけで、つい微笑んでしまいそうになり、表情を引き締める。
「既婚者の来栖殿に聞きたい。パートナーと暮らす上で、貴女が大切にしていることは何だろうか?」
「依存しすぎないことかな。あの人はいくらでも甘えさせてくれるけど、それにかまけてたら、ダメになっちゃいそうだから。でもやっぱり、辛いときに甘えさせてくれたら嬉しいよねえ」
「そうか、肝に銘じる」
「まあ、そんなに気負う必要もなさそうだけど」

 さくらは姉のように慕う葵が気になった。この世界に来て一年以上経つが大丈夫か。
「任務にも慣れたと思いますが、寂しくは無いですか?」
「寂しさを感じる余裕もないほどに忙しい」
 明日からまた仕事らしい。
「葵らしいですね。私は最初とても寂しかったです。笑って話せるのも成長ですね、きっと」
 苦笑を浮かべつつ、この世界に来たばかりの頃を思い浮かべ、感慨にふけった。
 食事を堪能した後、4人は土産を買いに行く。

 アウィンは恋人の為に、真剣な表情で品定め。
「螺鈿細工の小物はどれも美しい。タイルも独特な文様が興味深く、薔薇水にジャムも良いな……」
 何もかも買って帰りそうな勢いで、愛しい人へ贈り物を選ぶ。

「以前この街で何を買ったのですか?」
 さくらの問いに葵は鏡と答える。
「鏡。それも良いですね。」
「今度は真珠アクセサリーも良いわね。葵さんもどう?」
「いや、由美佳さん。私はそういう物はつけない……それに高い」
 さくらは2人が名前で呼び合っているのに驚いた。いつの間に仲良くなったのか。
 元気そうで嬉しい。まるで元の世界にいるような懐かしさを感じた。
「葵。お手頃な物でしたら、モザイクタイルのコースターはどうですか?」
「む……それくらいなら」
「この柄が綺麗です。葵なら涼しげな青も……」
 どの柄が良いかと相談する時間も楽しい。



「うーみー……」
 白のワンピース水着に水色のパーカーの寿華は、海を眺め葵を待った。葵と他の人の邪魔はしたくないし、人見知りだ。
「ごめん、寿華。待たせた?」
 振り向いて目に入ったのは、スポーティーな黒のタンキニの葵。
「お姉、ちゃん……かっこ……いい、の……」
「ありがとう。寿華も似合ってる」
「あと……」
 体をさすさすしつつ見比べる。プロポーション抜群な葵が羨ましい。
(でも、澪河おねーちゃんに悟られると恥ずかしいのっ)
 褒められて照れつつ、んとビーチボールを差し出す。
「……あとで、一緒に遊んで欲しい、の」
「後でいいの?」
「……うん。おねーちゃんが、泳ぐの……見たいの」
「じゃ、行ってくるね」
 寿華に手を振り海へ。葵のしなやかな泳ぎを寿華はぼーっと眺める。内心ウキウキ楽しみだ。
(おねーちゃん、楽しそう)
 一緒に海で遊んだり、花火を見たり。それだけで幸せ。
「お待たせ」
「……ん。頑張る、の」
 ボールをえいっと葵に投げると、ぽんと柔らかに返される。慌てて取ろうとして、こてりと砂浜に転んだ。
「大丈夫?」
「ん……でも、負けない……の!」
 非力な寿華は一生懸命ボールを投げるが、あまり飛ばずにヘロヘロ。
「つ、つかまえた……!」
 ボールを捕まえたつもりが、腕にあたって飛んでいく。葵が寿華に合わせて優しくボールを投げてるのがわかるから、嬉しくて、嬉しくて。
「……おねーちゃん、大好き」
 ぽつりと呟いた言葉は、誰にも聞かれずに、浜風に乗って消えた。
「夜は、澪河おねーちゃんと花火、見れるかな?」
「いいよ」
 嬉しくて寿華は思わずぴょんと跳ねる。
「きれいに見える場所がいいの」



 日が暮れて、そろそろ花火が始まる時間。鈴蘭とルシオらは浜辺を歩いていた。
「花火だそうです。射角はこっち、遮蔽物を避けて、きっとこの辺りが穴場!」
 ホテルで事前に見所を聞いていた。楽しげにルシオラの手を引いてエスコート。
「……ほ、ルシオラ?」
 ばったり出会ったさくらはうっかり本名を言いかけて、ルシオラに軽く睨まれる。2人は姉と妹のように親しい関係だが、もう一人は知らない。

 いつか鈴蘭と会わせると言っていたが、突然すぎてルシオラは狼狽した。すーはーと深呼吸して落ち着く。
「一緒に戦った戦友の娘さんです……ほら、鈴蘭さんも粗相がないように……」
「初めまして、でしょうか。路傍の毒と申します、鈴蘭とでも呼んでください」
「初めまして。貴方が……」
 話には聞いていたが、ついマジマジと見てしまう。初対面のはずが、不思議と両親の友人の面影が似ていた。
「蛍と同じ世界出身です。時間軸はずれているのですが……」
 鈴蘭は蛍の想い人らしい、しっかり見定めなければ。キリッ。
「……デートですか?」
「で、デートでは……ないです……」
 さくらの耳打ちにルシオラは慌てて否定する。
 鈴蘭はぼんやりと二人の様子を眺めた。
 さくらとどこかで会ったことがある気がする。別の世界かもしれないし、よく似た別の人かもしれない。
 けれど視線の真剣さを、ルシオラへ話しかける横顔の美しさを、今度こそは覚えておこう。
 その時、空で弾ける音がした。
「花火ですっ!」
 鈴蘭は夜空を指さし、微笑んだ。
 釣られてルシオラとさくらも夜空を見上げる。花火の美しさに三人は目を輝かせ、楽しげに笑った。
 鈴蘭は眩しそうに目を細める。
(こんなに綺麗な世界だからこそ、忘れてしまっては勿体ない)
 かつての自分もそう思ったのだろうか。それはもう、わからないこと。



 葵と寿華も手を繋いで浜辺を歩き、花火を眺める。
「……きれ、い」
「うん。綺麗だね」
(おねーちゃんが、綺麗)
 葵の横顔に見とれ、星を見て溜息を零す。
「世界、さん……は……いじわる、なの……」
 葵は任務を終えたら元の世界に帰ってしまう。
「あの星の中に、おねーちゃんの、世界があるといいのに……」
 夜空の星々を眺め願う。
(それなら、いつでも遊びにこれるし、行きたい時に遊びに行けるのに)
「私のいた世界は、他の世界と繋がってた」
「え……」
「だから世界が違ってもまた会えるよ」
 その言葉は優しく響いた。
「……おねーちゃんに、あげる」
 街で買ってきたイスラム式のお守りハムサ。寿華とお揃いだ。
「ありがとう」
 葵の笑顔を忘れたくないと思った。


 アウィンはのんびり酒とつまみをお供に花火見物。隣に彼女がいないのが残念だ。
「次は……一緒に」
 そう願いながら、花火が上がる音に耳を傾け、酔いに身を任せた。

「昼と夜の景色を楽しみながら浸かる温泉とか最高では???」
 薔薇風呂をほかほか楽しみつつ、ケヴィンは夜空の花火を眺める。

 皆が一夏の想い出をアルガミラに残し、花火のように休日が終わるのを惜しんだ。

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