オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【祝夏祭】未来へ繋ぐ夏の一刻

【祝夏祭】未来へ繋ぐ夏の一刻 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/08/12 20:00
完成予定
2020/08/24 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●ワーカーホリックの休暇申請
「今週末の土日は休みますね」
 そうアイザックが言った瞬間、エオニア支部の皆が立ち上がり、何故か拍手が沸き起こった。

「え? どうしたの? 土日休むって普通……ですよね?」
 本来普通だ。その普通を半年もやってこなかったアイザックが異常だ。
「よくわからないけど……お先に失礼します」

 金曜の仕事も定時で終わらせ、向かう先はカフェバー『止まり木』だ。
 あの店を作ったのも、昨年の夏。仲間達と一緒に作った想い出が、アイザックの心を温かくする。
 もうじき一周年かと思うと、感慨も湧く。
 今週末は自分の為に、貸し切りにさせて欲しいと頼んである。やりたいことがあるのだ。


●もしも、未来があるのなら
 土曜日。買い込んだ材料や荷物を運び込み、掃除をして、機材をセッティングしていく。
 もうじき招いた仲間達が来るはずだ。
 また一緒にバカンスを過ごせるのが、楽しみで仕方が無い。
 この店で過ごしたクリスマス。あの家族のような奇跡の時間を、また味わいたい。

 家族と考えて、ふと、溜息をつく。
 いつか自分も、戦いの果てに死ぬから、特別な人は作らないと決めていた……はずだった。過去形。
 そこまで考え、仲間達の顔が浮かんで苦笑いを浮かべた。今は簡単に死ぬって言ったら、怒りそうな仲間達がいる。

「アフリカを取り戻す。その夢が叶ったら、その先を考えても良いのかな」

 カイロインソムニアが陥落し、アフリカの一部とはいえ、人類の手に取り戻せた。
 自分が生きている間に、アフリカ奪還の夢が叶うかもしれない。
 もしも夢が叶ったら……その先、どう生きれば良いのだろう?
 そこで、いつもアイザックの思考はストップしてしまう。
 そもそも戦争が終わった後、自分が生きているなどと考えたことがなかったのだ。

「でも……そろそろ考えても良いかもね」

 6月のランテルナで聞いた話を思いだす。戦争が終わった後の夢を叶えるために、アフリカでの戦いを頑張る。
 そういう考え方は素敵だと思った。
 戦争が終わったら素敵な相手探しをしてみようかと話もした。
 アイザックは『家族』を大切にする。故に恋人を作るなら、家族になってくれる人がいい。
 しかし、それ以外、何も決めてない。

「う……ん。どうしようかな……」

 もし、戦争が終わったら?
 エジプトへ旅行に行くのも良いだろう。考古学者に憧れた子供の頃、夢だったエジプトの遺跡探検をしてみたい。
 SALFの仕事も事務だけなら在宅ワークも可能だ。英国の実家に戻って、のんびり田舎暮らしをしながら、仕事を続けても良い。
 あるいは……ここ『止まり木』で店番をしつつ、人手が足りない時だけ、エオニア支部を手伝っても良いだろう。
 他にも、アイザックの未来には無限の可能性がある。

「皆に聞いて見ようかな」

 もしも、戦いが終わって平和になったら。何をしたいか。どんな生活を送りたいか。
 仲間達の夢を聞いて、自分の夢を考える助けにしても良いかもしれない。

 そんな事を考えながら、掃除をして、店内を見渡す。
 入口には小鳥の絵とミーベルをあしらった、止まり木の看板があった。
 暖炉は、今眠っている。
 きちんと手入れされたアンティークの椅子やテーブルには、パッチワークのクロスがかけられている。
 コルクボードに貼られた写真。店の説明用カード。客達が想い出を綴ったノート(経典あり)が置かれている。
 キッチンには手作りのエプロンがあり、壁に貼られたポスターとタペストリーも賑やかだ。
 ダーツにチェスにピアノと、娯楽も多い。

 王女のフィギュアと並ぶ、花冠を乗せたくまのぬいぐるみと目が合った。
 6月にやってきた新しき隣人は、すっかりこの店に馴染んでいる。
 この店で、どんどん想い出が積み重なって行く。それが嬉しい。
 今日もまた、大切な想い出がここに加わるだろう。


●夏のホームパーティー
 アイザックから「夏のパーティーをしよう」と誘われた皆はお昼前に店に到着した。
 以前来た人なら、驚くだろう。『止まり木』の庭が綺麗に整備され、庭へ続く大きなガラスの扉が、開け放たれていた。
 ガラス戸と庭の間にウッドデッキがあり、日よけのサンルーフも設置されている。

「皆、来てくれてありがとう。夏だし、今回は外も良いかなって思ってね」

 キッチンスペースに限りがあるから、全員で一度にキッチンに立てない。
 しかしアウトドアのキッチン道具と、店内のキッチンを分ければ、同時に全員で料理も可能だ。
 庭の片隅にアウトドア道具達が置かれている。バーベキューコンロや、ダッチオーブン、キャンプクッカーなど、調理器具も揃っている。
 ウッドデッキや庭には、テーブルと椅子がセッティングされていた。

 店内の様子も違う。ガラス戸近くにピアノが移動され、店内はだいぶ広々としていた。
 この位置で演奏したら、外まで音が流れてくるだろう。

「夜は星が綺麗なんだ。皆で星を眺めながら食事や話をするのも良いよね。ふふ、外でやるチェスやダーツも楽しいかも知れないよ」

 店内の片隅に、布団や寝袋が用意されている。クリスマスの時のように、泊まりたい人が泊まれるように。
 皆で夜更かししながら喋る夜も楽しいだろう。

「また、皆で家族のような時を過ごそう」

 アイザックは、久しぶりにリラックスした笑顔を浮かべて、そう言った。
 暑い日差しが輝く中、楽しげな声とピアノの音は、初夏の風に乗って、エオニアの空を舞う。夜は星が瞬く。
 みんなで煌めくような夏の想い出を作ろう。

●目的
 皆で仲良くホームパーティーをする

●NPC
アイザック・ケイン
 ワーカーホリックなライセンサーだが、久しぶりに自主的に休暇を取った。
 集まった皆で、家族のように仲良く過ごす一日を希望している。
 得意料理はパンケーキ。紅茶とカクテル作りも上手い。プレでリクエストがあれば、PCイメージのお茶やお酒を作ります。

●行動
以下の3つの内容をプレに記載ください。プレは絞ってやりたいことをしっかり書く方が、描写も濃くなる。

・準備
 パーティー前の準備。
 料理を手伝っても、キャンプの火の番でぼーっと立ってるもあり。
 料理は店内と外、どちらでも可。
 店内の方が冷蔵庫やオーブンなど機材は充実している。
 外にもアウトドア用の調理器具の準備あり。

・食事
 サマーパーティー。これがメイン。何をして過ごすか。余興をやりたい人は自由にどうぞ。
 料理の準備ができたら、食べて、飲んで、歌ったり、パーティータイム。
 ピアノも自由。ダーツやチェスも外に持ち出し可能。

・夢
 アイザックが「もしもナイトメアを倒して平和になったら、何がしたい?」と聞きます。
 プレ字数があれば回答をプレに記載してください。
 皆さんのアドバイスが、アイザックの未来を変えるかもしれません。


●状況
 エオニア王国のカフェバー『止まり木』で、リプレイは土曜の午前中スタート。
 料理の準備をして、昼から夜にかけての時間にのんびりパーティータイム。
 昼は日差しが眩しい程の晴れ。夜は星空が綺麗。

 パーティーに必要な機材や材料は、アイザックのポケットマネーで用意可能。
 3000円ルールや、装備品で持ってくるのも可。
 パーティーが終わった後、止まり木に泊まれますが、全員で雑魚寝です。

※質問卓設置可

 夏だ! 祭りだ! エオニアだ!
 今年の夏もエオニアでバカンスな雪芽泉琉です

 もはや恒例になりつつあるカフェ『止まり木』です。夏のパーティータイムをお楽しみください
 アイザックは家庭的なパーティーを好むタイプなので、参加者みんなで仲良く過ごせる一日になると喜ぶと思います
 どんな一日にするか、相談卓で相談する時間も、楽しんでいただければ

 素敵なプレイングをお待ちしております

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

■準備
「…もう一年。そんな前のことになるのか…
時間が経つのも早いもの
開店一周年を祝して持ち込んだ裁縫道具で新しい飾り用のタペストリーを作成
「遺跡も、見つかったし…この辺り、いれても…いいかも。資料、あるかな
従業員用のエプロンも汚れや解れてる箇所があるかチェック
腕に負った傷(詳細は基礎設定に記載)が元で暫く細かい作業ができなかったからか前来た時より時間がかかる
終われば部屋の飾り付け手伝いとトウレンとの連弾の打ち合わせ
きらきら星変奏曲は弾いてる所を見た事があるので提案を推す
誕生会について一周年記念と合同で祝われる事になるとは思ってなくてどこか他人事な様子
■食事
止まり木のパーティで作られる料理は勿論、今回はBBQも楽しみ
準備は任せきりなのでお礼をたくさん
「…肉…マシュマロ…!
「料理、楽しみにしてた…
適当なタイミングで連弾を披露
(やっぱり、見たことあると違うな…。真似する方がやりやすい
アイザックにイメージのお茶をリクエスト
■夢
「…考えて、ない。戦ってた方が楽で、生き残るかも、わからないから…。戦いが終わったら、なんて…全然…
「できること、仕事にする…なら、こうして物を作るとか、かな…
心の中で「それが許されたらの話だけど」と加える

  • 夢見る力で世界は動く
    月居 渉la0081
    人間18才|ネメシスフォース×グラップラー

本日はお招きありがとうございます!
(アイザックさんがちゃんとお休み取ってる…ほんとに良かった…)

●準備
桃簾さんに祭莉くん、そして紬ちゃんが8月生まれってことだし、一緒に祝っちゃおう!
手作りアイスもあるから、アイスケーキにしてもいいかも
BBQは普通に焼くものの他に、ホイルでの包み焼きをいくつか用意する
アヒージョ、じゃがバター、トマトとチーズに鮭とキノコ…余ったら後でおつまみにもなるかな

●食事
止まり木一周年おめでとう!今月のお誕生日さんもおめでとー!
ピアノに合わせてハッピーバースデーを歌い、乾杯でお祝い
ミーベルを始めとした果物を用意、余興を兼ねて飾り切りを披露
キッチンボードにフルーツの花を咲かせる
アイスに盛ってもかわいいよ

「平和になったら何をする?」
いつか自分の店を持ちたいっていうか、カフェをやりたいな
バイトでメニュー考えたり料理したり、お客さんと話すのすっごい楽しいし

止まり木で、こうして過ごす時間がすごい楽しくて
だからいつか、ここみたいにみんなが羽根を伸ばせるカフェを作りたい
で、そこにアイザックさんたちを招待できたら、いいなあって、ね!

アド絡み可
心情
「アイクのお店、なのよね。とっても素敵な場所…
祝うべき場所、祝うべき方。ぜひ祝わせてほしいわ。

行動
>準備
アイスを作ったり軽食を準備したり、室内で準備ね。
お店もみんなもお祝いするんだもの。
少し凝って飾り切りしてみようかしら。
お給仕で慣れてるし、渉さんと協力できればいいわね。

>食事
おめでたい日だし、思いっきり祝いましょ!
桃簾さん、紬さん、祭莉さんにはプレゼントを。
だいぶ悩んだけれど、大切にしてもらえると嬉しいわ。

BBQでお肉もだけど、折角だしお菓子もね。
リンゴとかの果物をアルミホイルで包んでじっくり焼いて、シナモンをかけて…
簡単だけど、おやつにはいいんじゃない?
アイスを載せるのもいいわよね。
歌と踊りを楽しみながら、穏やかに過ごしましょ。

夜は花火ね。
こっちに来てからの文化だけど、綺麗で好きよ。
星空と花火と、上も下もきらきら瞬いて…ふふ、とっても素敵ね。

>夢
…もともと、貴族の端くれで騎士としてやってきたけれど。
平和になった後は、穏やかな生活を望んでもいいのかしら。
お師匠様みたいに強く優しく、そう在れるように…今度は、私が。
後に続く人を、育てられるように。

ケートス家の再興もありね。
お師匠様はもういないし、妹も自分のことがあるみたいだけれど…
でもそうすると、アーシャさまのこともあるし…悩ましいわ。

夜はお泊まり
漸くお休みを取ってくださったと聞いて、安心しました
楽しい時間を過ごしましょう

■準備
店内でアイスティー、カプレーゼにピンチョスなど摘まめる軽食用意
アイス作りのお手伝い
パーティ仕様に内装を整え、夏の花で彩る

■パーティ
カフェ内でお誕生日のお祝い
止まり木の一周年に、そしてお誕生日の皆さんに
この場所が出来てもう1年なのですね…素敵な想い出が沢山詰まった大切な場所になりました
誕生日の歌と別に、もう一曲歌わせて頂きますね
止まり木が、皆さんが、これからも素敵な日々を歩めるように
歌うのは、空に浮かぶ星をめぐる歌、この場所で繋がった縁の巡りあわせに掛けて
楽しむ様子を写真に収めコルクボードに足す

外ではBBQと手持ち花火を楽しむ
食後のアイスには女神の雫をかけて。皆さんもどうぞ
未成年の方には、ミーベルのコンポートを添えて
線香花火の競争、皆さんでしませんか
花火は線香花火が一番好きですね、音も光も不思議でつい惹かれます

■夢
星を眺めながら余韻に浸って、少々お酒
飲みたりなくて…アイザックさんも如何ですか?
夢について、初めて考えました
私自身は、大切な人と日々平和なお茶の時間を過ごせれば充分幸せだけれど
今を生きる子供達や、誰かの為に心身を削る全てのひとが夢を持てる世界が訪れたなら
大切な人の、皆さんの、そして貴方の夢が叶うことが、私の夢
こうして止まり木で時々集まって今何してる?なんて聞いたり、此れまで出会ったひと達の幸せな姿を見られたら…嬉しいですね
貴方は、平和になってもお仕事を沢山していそうな気もしますけれど、と笑って
己の心のままに路を選んで、どんな未来でも応援します

星巡りの歌を小さく口遊みながら「ではおやすみなさい、良い夢を」をと一礼
どうぞ余り夜更かしはせずに、寝坊すると寝顔の写真が増えますよ

  • ちょっとだけ現実主義
    桐生 柊也la0503
    人間15才|セイント×スナイパー

ケインさんが自分から休暇って、やっと余裕が出来たって事かな?
やることは余り変わらない気もするけど

【準備】
折角誕生祝い&1周年祝いも兼ねるので室内の機材を使ってケーキを焼く
バーベキューがメインだと大きなケーキは運ぶのも食べるのも大変そうなので
8月生まれの人+1周年の数だけやや小さめのホールケーキ
(でも全員が充分食べられる程度)
定番のスポンジにクリームと薄く切ったミーベルを飾り付け
薄い板チョコに「おめでとう」と「1周年」の文字をクリームで書いてプレートに
時間が余ればバーベキューの準備を手伝う

【食事】
相変わらず食べるよりも給仕・裏方がメイン
ケーキには蝋燭を何本か立てて吹き消して貰う
1周年の分は少し大きな蝋燭を中央に1本、此方はケインさんでも皆ででも

【夢】
具体的な事はまだ無いけど自立して一人で生きていきたいですね
恋人とか家族とかには興味無いです
僕は程々の距離を保った関係が一番良いと思ってますし
親って存在は圧力や同調の権力でしかありませんでしたから
まあ今のところ両親それぞれの相手と駆け落ちしてるし
取り敢えず帰ってきそうに無いから良いけどこれがいつまでも続く訳ないし
この状況が終わるまでには自立の目処を付けて
具体的に何をしたいかはそれからですね
平和になってもライセンサーの仕事は無くならないっていうか
別の意味で増えそうだから続けるのも良いかな

【心情】
ハロー、アイザックさん。サマーパーティーへのお誘い、サンクスよ
今回は8月の誕生日の人が多いのね、あたしからも祝わせて貰うわ

【目的】
止まり木でサマーパーティーを楽しむ

【準備】
準備:店内
BBQ用の焚き火台は、安価で持ち運びしやすいスタンド型ファイアグリルを提案

【行動】
料理3で、ミーベルや夏の旬のフルーツを使ったフルーツパフェを作る
バースデーケーキは任せるわ、あたしは別の料理を作るわね
1日でケーキに、パフェに、BBQね…。まあ、運動すればカロリーは何とかなるでしょ

BBQでは肉を焼く。

8月の誕生日の人達を祝う。舞踊3を使い、音楽に合わせてダンスを踊る
どんな曲調やリズムの踊りでも任せなさい!レッツ・ダンシング!


あたしの夢?そうね~、世界中の人々を魅了するモデルになることかしら。どうせなら、やれるうちに行けるところまで行っておきたいのよね
それに歌って踊るアイドル業も結構イケるって分かったから、アルバムも増やしていきたいわ
お仕事的な意味での夢は既にある程度叶ってるとも言えるから…そこから、それらを少しでも長く継続し続けられることかな

【心情】
アイザックが自主的に休暇を取って招待までしてくれるなんて。
クリスマスの『休暇任務の監視役』が遠い過去みたく思えるわ。

【目的】
皆で仲良くホームパーティーをする

【行動】
<準備>
「これだけ人数いれば多めに作ってもすぐ無くなりそうね」
屋外でアウトドア用の調理器具を使いBBQの準備をする。
何を置いてもまず肉と厚切りステーキ、スペアリブ、鳥串焼き、
季節の夏野菜からナス、トウモロコシ、ピーマン等を用意する。

<食事>
「エジプト解放と仲間の誕生日、アイザックの成長を祝って乾杯!」
「私は作れないけど、アイザックのイメージならジン・トニックね」
「ほらあそこ。デネブ、ベガ、アルタイル、夏の大三角が見えるわ」
自身はビールで乾杯、食べて飲んで時間を楽しむ。リクエスト希望、
こちらからはアイザックのイメージにジン・トニックを挙げてみる。
夜は持ち込んだ花火を遊びつつ、夏の夜空から星座を探して過ごす。

<夢>
平和になったら?そうねえ…アフリカから、絵描き旅行をしたいわ。
デッドフレイ、ヴィクトリアの滝、この目で本物を見てみたいの。
SALFは辞めて、何か美術に関わる仕事について生活したいかな。
たっくさん絵を描いて…ひとつでも100年先に残る絵を描けたら。
なんて、簡単じゃあないでしょうけどね。夢なの。

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

■準備
手持ち花火を購入、持込み
料理は未だ不得手なので、BBQ材料をざっくり切る、串に刺す等の簡単な作業を手伝う
「これくらいなら、わたくしにも出来ます(ふんす
アイザック直伝のアイスもせっせと作る

合間に祭莉とピアノ練習
「クリスマスは楽しかったですね。今回も頑張りましょう(微笑

■食事
「この店も間もなく一周年…つまり1歳の誕生日ですので、皆で祝いましょう
加えて己を含めた8月生れも祝い、祭莉とバースデー曲の連弾
皆で歌って祝う

BBQや作られた料理を楽しむ
「わたくしが刺しました(どやぁ
アイスケーキには目を輝かせ、自分が作ったアイスも「どうぞ」と配る
紬の進化系マシュマロも楽しみ
アイザックにお茶リクエスト

星が綺麗なので、祭莉と再び連弾『きらきら星変奏曲』
楽しそうに鍵盤で指が踊る
弾き終えたら持参の手持ち花火を皆と
「線香花火の耐久レースは、夏の風物詩だと聞きました(真顔
線香花火以外もあります

■夢
アメイジング・グレイスを静かに弾きつつ答える
「任務で関わった人を慰めたくて弾いた曲です
故郷にピアノは無く、その時に初めて触れましたので…それは下手で(苦笑
今は大分上達しましたが、最初のキッカケは彼です」

故郷は常春で電気も機械もない世界
「アイスも無く地球で初めて知りました…故郷の皆にも食べさせたい
道が拓けたならわたくしは故郷へ帰ります
それまでにもっと沢山のことを知りたい…それがわたくしの夢
知ることは力になると思います
貴方も自身の願いを知ると良いでしょう(微笑」

──アイザック。貴方のこれからの生に喜びあれ

弾き終えて
「アイスの素晴らしさは夢でなく必ず広めます(ぐっ
ロトルア、アルゼンチン、確かにアイザック直伝アイスは人の心を解き癒した
支部長任命は諦めてない

宿泊希望
夜中起き、一人星空を見上げ故郷世界を想う「必ず帰ります…

  • 止まり木店員
    点喰 紬la2065
    人間11才|ネメシスフォース×スナイパー

準備
ミーベルジュース少量
粉ゼラチン・砂糖・卵・コーンスターチ

始めはキッチンや野外の火の回りの準備の小物や食材の段取りを手伝い
それぞれが使えるようになったらキッチンの片隅かテーブルで
材料とボウル、泡だて器を借りてマシュマロ種づくり
ミーベルジュースで染めたピンクとプレーンの白二色
「にゃんにゃん、ふにふににくきう~
謎の歌付きで混ぜ作業を頑張る
出来たらそーっと串にさし、庭の火を借りてあぶる
「焼きマシュマロ、冬からグレードアップです…
妙にどや顔で焼く

8月生まれのため、お店やほかの同月生まれの方をお祝いをしつつ祝われる側
「おめでとうございます!それとありがとうございます…なんだか照れちゃいますね
相変わらずサイズに見合わない健啖っぷり
お行儀はよいけどもりもりといただきます
「ん~~美味しい…!

夢については堂々とした人生目標的な…
「お家を継いで、立派な指物師になることです。
技術もそうですが、ちゃぁんと稼げるようになりますっ。
昔の日本ならいざ知らず、『工業』から『工芸』になった以上
平和で余裕がある世の中でない限り、指物師だけじゃなく
仕上げの職人さんも通した箪笥とか、売れないので!死活問題ですっ
野心とシビアさたっぷり

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

アウトドア用品の準備担当

「燃えている火が見えるものもあった方が楽しいですよね
バーベキューコンロとは別に火の見えるタイプのファイヤーグリル(焚き火台)用意
コンロは室内出入口に近い場所に設置(室内との動線意識
火元の傍にはセージのお香焚いて虫除け(魔除けの効果もあるらしい
「楽しい時間を過ごせる様に

食事に使うバーベキューコンロを先に火入れ
コンロは調理の火力や燃焼時間から炭使用
市販の着火剤も使い素早く火付け、火を安定させる

焚き火は、速さより火が起きるまでの工程や雰囲気優先
(薪を小割にするところからでも気にしない
市販の着火剤不使用で自分で木を削って着火剤作成
小割の先端を鳥の羽毛の様に薄く削ったフェザースティック
焚き火台の上に小さく櫓を作り数本のスティックと削りカスもセット、そこにメタルマッチで着火した点火用ステックを差し込み、焚き火台の櫓に火を付ける

焚き火台の番をしつつ串に刺したソーセージやチーズを炙る
「焚き火で炙るって、調理とは別になんか楽しいじゃないですか


→夢の話
「ここ(とまり木)ができた頃とあまり変わらないです
祖父と同じ、立派なペン職人になること(家の跡継ぎ
その為に、有名な工房を回ってみたい

祖父に教わりつつ上機嫌で修行先を口利きしてやると言ってくるのは、私が祖父と同じ仕事を生業にすると言ってるからだろう
「私の夢を喜ぶ家族がいるから、これからも頑張ろうと思います


「本日はお招きありがとうございます!」
 月居 渉(la0081)は元気よくアイザックに挨拶。
「自分から休みをとったんですよね?」
「ここで皆と過ごしたかったから」
 仕事中毒のアイザックがここまで来たと感動。
(アイザックさんがちゃんとお休み取ってる。ほんとに良かった……)
 来栖・望(la0468)も思わず目を丸くした。
「漸くお休みを取ってくださったと聞いて、安心しました。楽しい時間を過ごしましょう」
「いつも心配かけてるね。ありがとう」
 ジュリア・ガッティ(la0883)も嬉しそうに微笑む。
「アイザックが自主的に休暇を取って招待までしてくれるなんて。クリスマスのが遠い過去みたく思えるわ」
「あれがあったから、また止まり木に来たかったんだ」
「わたしも! 止まり木に来たかったです」
 点喰 紬(la2065)はこの店の名付け親。思い入れは深い。
「アイザック。万年筆の調子はどうですか?」
 都築 聖史(la2730)はアイザックの万年筆の主治医だ。
「うん、凄く良いよ。毎日使ってる」
「毎日使ってあげることが、一番ですからね」
 後で念の為調子を見ると約束。
「ケインさんが自分から休暇って、やっと余裕が出来たって事かな?」
 桐生 柊也(la0503)は呟く。SALFが大変な状況なら休まないだろう。
「エジプトの事後処理に、西アフリカの調査。やることは山積みだけどね」
「やることは余り変わらないですね」
 アフリカ奪還に向けて仕事は終わらない。

 ミラ・ケートス(la0103)は小さく溜息をつく。噂には聞いていたがこの目で見るのは初めてだ。
「アイクのお店、なのよね。とっても素敵な場所……」
「ほとんど来られない名ばかり店長だけどね」
 リラックスして見えてミラは嬉しく微笑んだ。
 ユリア・スメラギ(la0717)も気さくに挨拶。
「ハロー、アイザックさん。サマーパーティーへのお誘い、サンクスよ」
「ハロー、ユリア君。来てくれてありがとう」
 ユリアも初めての止まり木だが、今日は楽しみたい。

 常陸 祭莉(la0023)は感慨深く呟く。
「……もう一年。そんな前のことになるのか……」
 去年の夏、店を作るのに携わった。時間が経つのも早いもの。
(……あれから色んなことがあった)
 顔の傷跡を撫で思う。あの戦いから生きて帰って、止まり木にこれたのが奇跡だ。

 桃簾(la0911)はにっこり微笑む。
「この店も間もなく一周年……つまり1歳の誕生日ですので、皆で祝いましょう」
「誕生日祝い……! わたしもやりたいですっ」
 紬がはいっと手をあげると、渉も手をあげる。
「止まり木の誕生日と一緒に、8月生れの誕生日も一緒に祝わない?」
「8月生まれの者は手をあげなさい」
 桃簾が宣言し手をあげると紬と祭莉も手を上げた。アイザックが嬉しそうに微笑む。
「止まり木と3人の誕生日祝い。凄く良いね」
「祝うべき場所、祝うべき方。ぜひ祝わせてほしいわ」
 ミラも微笑み頷く。
「祭莉。また連弾できますか? 誕生日祝いの演奏をしましょう」
「……ん。やりたい」
 以前より音楽に興味を持って積極的になってきた。ピアノが弾けるのが嬉しい。
 ユリアはひらりと舞うような仕草をする。
「今回は8月の誕生日の人が多いのね、あたしからも祝いの舞いを踊らせて貰うわ」
 モデル業を営み、アイドル部に所属し、踊りが得意だ。
 こうして皆が楽しむ一日が始まった。



 祭莉は裁縫道具を取り出し、エプロンの汚れや解れをチェック。まだ使われているのが嬉しい。新しいエプロンと開店一周年を祝した新しいタペストリーを作ろう。
「遺跡も、見つかったし……この辺り、いれても……いいかも。資料、あるかな」
 アイザックは遺跡の写真を出して並べた。
「エオニアの復興という感じだね」
 黙々作業を続けるが以前より時間がかかる。
 腕に負った傷を直す間、しばらく細かい作業ができなかった。少し感覚が鈍っている。焦らず丁寧に、写真を見ながら刺繍を進める。遠目に桃簾と紬を観察しこっそり布を選んだ。

 ユリアは1つ提案。
「バーベキュー用のコンロは、スタンド型ファイアグリルを使いましょう」
「こちらで準備しておきます」
 聖史は頷いてコンロの火入れ作業。火力や燃焼時間を考えると炭が良い。室内と外の導線になるコンロをウッドデッキ近くに設置。安定して燃えるよう炭の置き方も工夫し、市販の着火剤で素早く火付け。
 桃簾と紬は一生懸命野菜を切って串に刺していた。
「これくらいなら、わたくしにも出来ます」
「次は、これをお願いします」
 紬が切った野菜を恭しく差し出し、桃簾はふんすと刺していく。
 聖史がコンロの傍で焚いた、虫除けのセージのお香の匂いが漂った。
「……良い香りがします」
 紬がすんすん鼻を鳴らすと、聖史は微笑んだ。
「魔除けの効果もあるらしいです」
「わわわ、それならみんな安心ですっ!」
「楽しい時間を過ごせる様にしたいですからね」
 優しいセージの香りと炭の匂いに包まれた。

 ミラは近所の雑貨屋に走って、贈り物を買って戻り準備開始。渉に問う。
「アイスはたくさん作って良いのかしら?」
「アイスケーキにしてもいいかも」
 ミラが作るアイスを材料に、渉はアイスケーキを作り出す。
「桐生さんもケーキを作るんですか?」
「誕生日の人と、止まり木の分。外で食べるなら小ぶりな方が持ち運びにいいと思います」
「バースデーケーキは任せるわ、あたしは別の料理を作るわ」
 ユリアは別の準備を始める。柊也は4つのホールケーキを作りつつ問う。
「何を作るのですか?」
「ビューティフルなパフェよ」
 柊也は焼いて冷ましたスポンジケーキに、クリームと薄く切ったミーベルを飾り付ける。
 ケーキの上に飾る薄い板チョコプレートには「おめでとう」と「1周年」の文字を書いた。
 渉は感心して声をあげた。
「うわあ、美味しそうですね」
「ありがとうございます」
 出来映えは悪くないようだ。ケーキを冷蔵庫にしまった。
 ミラはフルーツを切る。包丁だけで器用に皮を生かして華やかに。
「お店もみんなもお祝いするんだもの。少し凝って飾り切りしてみようかしら」
 渉も目を輝かせる。
「綺麗ですね」
「渉さんの料理に、花を添えられるかしら?」
「もちろん。俺も後で切りますね」
 果物の花にユリアは目をとめた。
「それ、使わせて貰っても良いかしら?」
「どうぞ。何に使うの?」
「フルーツパフェを作るわ」
 得意の料理の腕をふるい、ミーベルや夏のフルーツを使ったパフェを作る。
「1日でケーキに、パフェに、BBQね……。まあ、運動すればカロリーは何とかなるでしょ」
 モデルとして体型維持は欠かせない。

 渉も次は料理に取りかかる。
「コンロ使っても良いですか?」
「こちらは火を使わないものですから。どうぞ」
 望はふんわり微笑みチーズを切りカプレーゼ作り。
「桃モッツァレラ! 懐かしいな」
「去年を思い出しまして」
 開店時作ったレシピは止まり木の定番料理だ。
「アイザックさんお酒飲みますよね。おつまみになるものが良いかな」
 渉は鮭とキノコにバターを乗せてホイルに包む。ミニトマトとエビやオリーブのアヒージョにバゲットを付け、じゃがバターを温め。
「トマトとチーズに鮭とキノコ……余ったのどうしようかな」
「ピンチョスに使っても良いですか?」
「どうぞ!」
 ミーベルを生ハムで巻き、トマトやオリーブに串を刺す望の元へ桃簾が来た。
「頼みがあります」
「私にできることでしたら」
「冷凍庫を開けてください」
 クーラーボックスに入らないほど、せっせとアイスの大量生産した。
 メイドらしく恭しい所作で扉を開けると、どや顔で冷凍庫につめつめ。
「ミーベルジャムも、アイスに入れますか?」
「もちろんです」
 次はミーベルアイスの量産にいそしむ。

 紬はキッチンの片隅で作業中。溶かした粉ゼラチン、砂糖、卵、コーンスターチをボウルに入れ、マシュマロ作り。
 クリスマスに食べた焼きマシュマロは美味しかった。今度は手作りに挑戦。
 泡だて器でそーっと混ぜ、半分はミーベルジュースを少し入れて混ぜる。
「にゃんにゃん、ふにふににくきう~」
 謎の歌を歌いながら、楽しげに頑張ってまぜまぜ。ピンクと白の二色の種ができあがり。
 次は整形の時間です。ハート型のシリコン型に流し込み、絞り金で絞ってとんがり帽子。色々作って冷蔵庫へ。
「手伝いましょうか?」
「お願いしますっ!」
 整形は柊也に任せ、冷蔵庫で固まったマシュマロをそーっと串に刺していく。白とピンク、ハートと帽子。可愛くできて大満足。溶けないようにまた冷蔵庫へ。

 望はアイスティーの作り置き。夏の花で店を彩ると、祭莉がタペストリーを壁につける。
「……花、綺麗。これも……隣に」
「壁が賑やかになっていきますね」
「……ん。どんどん、増えてく」
 写真もタペストリーも増えた。店の歴史を2人で噛みしめる。
 桃簾が祭莉の袖を引く。ピアノの練習だ。
「……きらきら星変奏曲、どうかな? ……弾いてるの、見たこと、ある」
「クリスマスは楽しかったですね。今回も頑張りましょう」
 桃簾は優しく微笑み、祭莉はこくりと頷く。
 誕生日と止まり木一周年記念を合同で祝わうと思ってなかった。祭莉はまだどこか他人事だ。

 聖史は焚き火の準備。市販の着火剤を使わない。火が起きるまでの工程や雰囲気を楽しみたいから。
「燃えている火が見えるものもあった方が楽しいですよね」
「ワクワクするね」
 聖史が薪割りから始めたのに、アイザックは感心した。ナイフで木材を削って着火用の道具も作る。
「自分でやるとフェザースティックも作れます」
 焚き火台の上に小さく櫓を作り、数本のスティックと削りカスもセット。メタルマッチで着火した点火用ステックを差し込み、焚き火台の櫓に火を付けた。
「これで火をつけるの?」
 ジュリアも興味津々。山登りが好きな友人がいたら喜びそうだ。
 ジュリアは肉を切って下ごしらえ。骨付き肉に下味を付けて焼いておく。クッカーで煮込んでスペアリブに。
 BBQの準備も終わり、いよいよパーティーの始まりだ。



 乾杯の前に渉は祭莉と桃簾と紬にグラスを渡す。
 誕生日のサプライズで、お祝いカクテルをアイザックに頼んだ。
「1年を過ごして、イメージもまた変わってるんじゃないかなって思って」
「ありがとうございますっ」
 紬は礼を言う。渉もどんなカクテルかわくわくだ。

 ウッドデッキに皆で集まりグラスを手にして。
「止まり木一周年おめでとう! 今月のお誕生日さんもおめでとー!」
「「おめでとう」」
 皆の声が重なり合い、乾杯のグラスがパーティーの始まりを告げた。

 紬はレモンスライスとチェリーが乗った可愛らしいカクテル。
「猫のカクテル、トム・コリンズ。ジンの代わりにジンジャーエールだけど」
「猫!」
 本来は猫のラベルのジンを使う。ジンジャーエールとレモンの香りが爽やかだ。
「大人になったら、本物の猫のカクテルを作るよ」
「ふわぁ……美味しい。大人になる楽しみが、1つ増えましたっ」

 ラムレーズンが沈むカクテルを祭莉は眺める。
「ダイキリ。本当はラム酒だけど、ラムレーズンで」
 ちびりと飲むと甘いライムとラムレーズンの香りが広がる。一年後は本物が飲めるかも。
「ダイキリの意味は『希望』祭莉君が頑張ったから希望が生まれた。これからも良い未来になると良いね」
 傷跡の理由を知らないが過酷な戦いをくぐり抜けた努力を認めたい。

 桃簾はラム、アプリコットブランデーライムジュース、オレンジのカクテル。
「ヴィーナス。桃簾君の夢は女神じゃなくて、教祖だけど」
「甘酸っぱくて美味しいです。これはアイスに合います」
 アイスの合間にカクテルくぴー。

「おめでたい日だし、思いっきり祝いましょ!」
 ミラは3人に贈り物を渡す。祭莉は黒猫のピンバッジ。紬は茶トラ猫のヘアピン。桃簾は天使のブローチ。
「だいぶ悩んだけれど、大切にしてもらえると嬉しいわ」
「……ん、ありがと」
「ありがとうございますっ」
「ミラ。ありがとうございます」
 祭莉は刺繍の合間に贈り物を作った。
「……ボクも、2人に……」
 桃簾はアイスに合うランチョンマット。紬は工具入れの袋。お揃いの猫刺繍入り。猫友達にぴったり。
「綺麗です。ありがとう。祭莉」
「わあ! 猫の刺繍入り。可愛い」
 想いのこもった贈り物にほんわか。

 ジュリアはアイザックへ改めて乾杯。
「エジプト解放と仲間の誕生日、アイザックの成長を祝って乾杯!」
「あはは、僕の成長が入るんだ。でもエジプトの解放。ほんと嬉しいよね」
「まだ終わりじゃないけど、上手く言ってほっとしてるわ」
 6月。戦いの前の不安を零した者同士、しみじみと勝利の余韻を味わう。
 アフリカ奪還はまだこれから。その夢に向かって頑張るために今日は英気を養う。

 いよいよBBQ開始。ユリアがコンロ前に立つ。
「肉を焼くのはあたしに任せて」
 手慣れた手つきで鳥串焼きを焼いていく。
 ジュリアはナス、トウモロコシ、ピーマンと季節の夏野菜串をどんどん焼く。
「これだけ人数いれば多めに作ってもすぐ無くなりそうね」
「僕が焼きましょうか?」
「お願い」
 柊也に野菜焼きを任せ、厚切りステーキを焼く。塩コショウで下味をつけた肉が、じゅわと焼けると香ばしい香りがする。
 聖史は焚き火台の番をしつつ、串に刺したソーセージやチーズを炙っていた。
「良い匂いですね」
「そっちも美味しそうね」
「焚き火で炙るって、調理とは別になんか楽しいじゃないですか」
「コンロとは違った味わいがあるわ」

 紬はマシュマロを見せてむふんと得意げ。
「これも後で焼きますっ!」
 祭莉の目が微かに輝く。
「……肉…マシュマロ……!」
「肉焼けたわよ!」
「料理、楽しみにしてた……」
 ユリアから鳥串焼きを受け取って祭莉は齧りつく。
「……美味しい」
「ん~~スペアリブが、美味しい……!」
 紬は頬が膨らむくらいもぐもぐ。お行儀良く気持ちの良い食いっぷりだ。
「わたくしが刺しました」
 桃簾は野菜串を手にどやぁ顔。刺しただけだけどもぐもぐ。
「ステーキ美味いですね!」
 厚切りステーキを頬張って感動する渉の横で、聖史は炙りベーコンの試食をしつつ、アイザックに渡した。
「酒のつまみになると思います」
「うわぁ……美味しそう。香ばしい匂い」
 熱々言いながらエールをぐびり。ジュリアも一緒にビールをぐびり。
「ん……美味しい。このアヒージョやじゃがバターもお酒に合うわ」
「どれも美味しいわね。いくらでも食べられそう」
 ミラは健啖家ぶりを発揮してもぐもぐ。
「カプレーゼやピンチョスはワインに合うわね。とっても美味しいわ!」
 ユリアも楽しそうに料理を食べる。
「お口にあってよかったです」
「これもどうぞ」
 渉は仕上げにレモンを加えたホイル焼きを差し出す。望は食べて舌鼓。
「とても美味しいです」
 食事の合間に望は写真を撮って回る。今日の楽しさをコルクボードに足すのだ。
 柊也は相変わらず自分が食べるより裏方志望。
 食べ終わった皿を下げ、冷蔵庫に入れておいた料理を持ってくる。

 ジュリアはアイザックに酒のリクエスト。
「私は作れないけど、アイザックのイメージならジン・トニックね。私の分も一緒に作ってくれない?」
 ジン・トニックの意味は強い意志、いつも希望を捨てない貴方へ。アイザックは目を輝かせた。
「ありがとう。とても嬉しいな」
 ウィスキーにレモン、ライム、シロップ、炭酸を混ぜて。
「カリフォルニアレモネード。意味は『永遠の感謝』」
「……感謝?」
「初めて会った時、僕と家族にありがとうって言ってくれたの、忘れられないくらい嬉しいんだ」
 家族を弔ってくれた。戦い続けた日々に感謝され、どれほど救われたか。
「互いに感謝して不思議ね」
 照れくさく微笑んで2人で乾杯。甘酸っぱい味が口に広がった。

 肉と野菜を堪能したらデザートタイム。
 紬はマシュマロ串を取り出した。
「焼きマシュマロ、冬からグレードアップです……」
「「焼きマシュマロ」」
 望と桃簾は目を合わせてきゃっと喜ぶ。
「白とピンクが綺麗ですね」
「形が可愛いです。紬」
 焚き火の前に立ってあぶってみる。
「むむむ。成功ですっ!」
 紬は妙にどや顔で焼いていく。
 祭莉も焼き目のついた頃合いで食べる。
「……あふあふ。でも、美味しい」
「あたしも、ひとつ頂くわ」
 ユリアもマシュマロもぐもぐ。カロリーは気にしちゃダメ。

 余興を兼ねて、渉はミーベルや果物を包丁でくるくる切って花を咲かせる。飾り切りだ。紬も微笑む。
「綺麗ですっ」
「アイスに盛ってもかわいいよ」
「ケーキを持ってきますね」
 柊也はケーキに蝋燭を立て、人数分の皿を用意した。アイスケーキの脇に渉は果物の花を乗せ、キッチンボードにも飾る。
「アイスケーキ!」
 桃簾は目を輝かせ、望と一緒に冷凍庫にGO。
「どうぞ。食べなさい」
 皆にアイスを下賜して回る。
「アイスケーキは溶けやすいので、先に切りますね」
 柊也が切って、聖史が配るのを手伝う。溶けないうちにいただきます。
 ミラは果物をホイルで包んで焼き、シナモンをかける。上にアイスを乗せてとろり。
「BBQでお肉もだけど、折角だしお菓子もね。簡単だけどおやつにはいいんじゃない」
「これもデリシャスだわ」
 ユリアはにっこり笑顔。肉の合間に食べる果物は最高だ。
「良かったらこっちも食べて」
 美しいパフェにミラは思わず目を奪われた。
「とっても綺麗ね。頂くわ」
 アイザックもアイスと果物焼きを楽しむ。
「これ美味しいね。紅茶が欲しくなる」
「アイスティーをどうぞ」
 すかさず望が差し出した。
「私も貰おうかしら。お酒ばかりだと酔いそう」
 ほろ酔いジュリアはアイスティーを飲みつつアイスをぱくり。
 望は瓶を持ってきて問いかける。
「アイスに女神の雫もいかですか。未成年の方には、ミーベルのコンポートを」
「それ去年僕があげたの?」
「はい。一周年に相応しいかと」
「嬉しいな」
 止まり木の開店時に配られた高級ミーベルリキュールだ。
「懐かしい味がします」
 聖史も一年前を思い出しつつ、女神の雫をかけたアイスを口にする。
「これお菓子作りにもよさそう。買って帰りたいわね」
 ユリアは女神の雫アイスに舌鼓を打つ。

 柊也はミニホールケーキを持ってきた。誕生日の人に1つづつ、アイザックに1つ。少し蝋燭が大きい。
「止まり木一周年祝いなので、ケインさんでも皆ででも」
「皆がいいな。僕だけの店じゃないから」
 ケーキが並んだ所で、祭莉と桃簾はピアノを弾く。曲はハッピーバースデー。
 初夏の爽やかな風に乗って皆がのびのび歌う。ピアノの音色に乗せて、歌声が重なって溶けていく。
 気づけば自然と笑顔が浮かび、心から誕生を祝い、止まり木の未来を祝福する。
 歌い終えてアイザックは見渡す。目だけで伝わった。
「せーの!」
 かけ声と共に皆の息が1つとなって蝋燭の火を吹き消した。



 賑やかに飲み食いする内に、空は夕焼け色に染まっていく。
 アイザックは皆に夢の話を聞いていた。

 祭莉は答える。
「……考えて、ない。戦ってた方が楽で、生き残るかも、わからないから……。戦いが終わったら、なんて……全然……」
「僕も戦ってる方が楽だね」
 少しでも助けになればと、一生懸命考えて。エプロンをチラリと見た。
「できること、仕事にする……なら、こうして物を作るとか、かな……」
 心の中で「それが許されたらの話だけど」とつけ加えながら。
 罪の意識を抱え、他者を優先するから、自分の欲を出すことに躊躇いがある。

 柊也は夢と聞いても冷静だ。
「具体的な事はまだ無いけど自立して一人で生きていきたいですね。恋人とか家族とかには興味無いです」
「そうなんだ」
「まあ今のところ両親それぞれの相手と駆け落ちしてるし。取り敢えず帰ってきそうに無いから良いけど、これがいつまでも続く訳ないし、この状況が終わるまでには自立の目処を付けて、具体的に何をしたいかはそれからですね」
「柊也君の家族の話、初めて聞いた。教えてくれてありがとう」
「いえ。ですから、僕は程々の距離を保った関係が一番良いと思ってます。親って存在は圧力や同調の権力でしかありませんでしたから」
「家族に拘らなくても良いんだね」
 アイザックも問題な親に悩む子供がいるのは解ってる。だから素直に聞く。
「平和になってもライセンサーの仕事は無くならないっていうか。別の意味で増えそうだから続けるのも良いかな」
「たぶんSALFの仕事はなくならないから、僕も残って良いかなとも思う」
「人の争いにSALFは介入しますか?」
「解らない。ナイトメアと戦うための組織だからね」
 人同士の争いにSALFが対応するか難しい問題だ。

 ユリアは明るく楽しそうに笑う。
「あたしの夢? そうね~、世界中の人々を魅了するモデルになることかしら。どうせなら、やれるうちに行けるところまで行っておきたいのよね」
「華やかで凄いね」
「お仕事的な意味での夢は既にある程度叶ってるとも言えるから……そこから、それらを少しでも長く継続し続けられることかな」
「継続が難しい世界なんだ」
「それに歌って踊るアイドル業も結構イケるって分かったから、アルバムも増やしていきたいわ」
 花の命は儚く短い。年をとったら別の魅力もあるけれど、今の自分の姿を形に残したい。写真に映像にライブに、人々を魅了し続けたい。
「ユリア君が活躍するのを、応援してるよ」
「良かったら今度ライブを見に来て。エオニアでやるのよ」
「うん。楽しみだね」
 夏の海に、艶やかな花が咲くのだろう。

 紬は堂々とした人生目標を持っていた。
「お家を継いで、立派な指物師になることです」
「目標があるんだね。凄い!」
「技術もそうですが、ちゃぁんと稼げるようになりますっ。昔の日本ならいざ知らず、『工業』から『工芸』になった以上、平和で余裕がある世の中でない限り、指物師だけじゃなく。仕上げの職人さんも通した箪笥とか、売れないので! 死活問題ですっ」
 幼い見た目とは裏腹に、野心とシビアさたっぷり語る。
「伝統は残って欲しいな。紬君が作る物を見てみたい」
「日本の工芸に興味あるのですか?」
「国を問わず、伝統文化は興味深いよ。教えてくれる?」
「はい!!」
 紬は思わず目が輝かせ指物の魅力を語り出す。

 ミラは夢と問われ悩む。
「……もともと、貴族の端くれで騎士としてやってきたけれど。平和になった後は、穏やかな生活を望んでもいいのかしら。お師匠様みたいに強く優しく、そう在れるように……今度は、私が。後に続く人を、育てられるように」
「後に続く人を育てて見守るのも楽しいよ」
 アイザックは新人ライセンサーを見守ってきた。
「ケートス家の再興もありね。お師匠様はもういないし、妹も自分のことがあるみたいだけれど……でもそうすると……悩ましいわ」
「家の伝統を守りたい。素敵な願いだね」
 ミラははっと顔を赤くして俯く。
「それとね。もしできるなら……大切な人と、いつまでも穏やかに過ごしたいって願うのはだめかしら」
 おずおずと見上げると、微笑むアイザックと目が合った。
「大切な人と出会えると良いね。あ、もういるのかな?」
「い、いないわ!」
 慌てて首を振った。
(私の目の前にいる貴方が大切な人なの……って言いたいけど、あと一歩、踏み出す勇気が持てないの)

 ジュリアはカクテルを飲みつつ答える。
「平和になったら? そうねえ……アフリカから、絵描き旅行をしたいわ。デッドフレイ、ヴィクトリアの滝、この目で本物を見てみたいの」
「いいな。僕もアフリカの雄大な景色見てみたいよ」
「SALFは辞めて、何か美術に関わる仕事について生活したいかな。たっくさん絵を描いて……ひとつでも100年先に残る絵を描けたら。なんて、簡単じゃあないでしょうけどね。夢なの」
「ジュリア君の目に映る滝と本物は違って、それを絵にするのは大切なことだよ」
「そうかしら?」
「少なくとも僕は見てみたい。できれば描いてる所も見たいな」
「描く所を?」
「邪魔かな? 休憩にお茶くらい淹れるよ」
「……見られてると緊張するかも。でもお茶は魅力的ね」
 アフリカで飲むお茶は、また別の味がするかもしれない。

 問われて渉は考える。
「いつか自分の店を持ちたいっていうか、カフェをやりたいな。バイトでメニュー考えたり料理したり、お客さんと話すのすっごい楽しいし」
「バイトも楽しそうだね」
「はい、それに止まり木で、こうして過ごす時間がすごい楽しくて、だからいつか、ここみたいにみんなが羽根を伸ばせるカフェを作りたいんです」
 居場所を作って、皆が訪れるのを待つ。そういう穏やかな日々を過ごしたいと渉は願う。
「とっても素敵な夢だね」
「そこにアイザックさんたちを招待できたら、いいなあって、ね!」
「招待してくれるの? 嬉しいな。是非遊びに行くよ」
 2人で笑いながら、将来の店の話が弾む。
「今日のカクテル。皆イメージにあってて凄かったです」
「大人になったらやってみる? 教えようか?」
「良いんですか?」
 いつか渉の店ができたなら、皆のためにカクテルを作ってみたい。



 日が落ち夜空に星が輝く頃、桃簾は手持ち花火を真顔で取り出した。
「線香花火の耐久レースは、夏の風物詩だと聞きました」
「線香花火の競争、皆さんでしませんか」
 望も提案して参加者を募る。
「やりますっ!」
「……やる」
「みんなでやろう!」
「線香花火? 初めてやるね」
「良いわね。私も参加させて」
「ナイスなアイディアね。あたしもやるわ」
 紬、祭莉、渉、アイザック、ジュリア、ユリアが次々と参戦し、ミラもその隣で花火を持つ。
 聖史と柊也は一瞬迷い、苦笑しながら花火の輪に交じる。全員で線香花火大会だ。
 望がぽつりと呟く。
「花火は線香花火が一番好きですね、音も光も不思議でつい惹かれます」
「不思議な味わいがあるね」
 アイザックも頷き、じーっと火の玉を見つめる。次々と落ちていく中、最後まで残ったのは柊也だ。
「なかなか落ちないものですね」
「凄いですね! これ良かったら。あまり食べてなかったみたいだから」
 渉は柊也へフルーツを飾ったアイスを進呈。勝者への贈り物。

 手持ち花火を持って、皆でわーわー花火を始める。ミラはアイザックに問う。
「花火初めてなのね」
「打ち上げ花火は見たことあるけどね」
「私もこっちに来てからの文化だけど、綺麗で好きよ。星空と花火と、上も下もきらきら瞬いて……ふふ、とっても素敵ね」
「うん。とても綺麗だ」
 花火と星を眺めるアイザックの横顔を、ミラはじっと見つめた。
 ジュリアが星空を指さす。
「星が綺麗に見えるわね。ほらあそこ。デネブ、ベガ、アルタイル、夏の大三角が見えるわ」
「本当だ。星座もくっきり見えるね。凄い」
 アイザック瞳を輝かせた。
「アイクは星が好きなの?」
「うん。星も星座も、歴史を感じる物は全部」
「ギリシャ神話の絵画も多いから、私も馴染み深いわ」
「星の神話ってどんなお話かしら?」
 3人で星の話が続く。

 花火が終わる頃、静けさの中パチパチと木の爆ぜる音に耳を傾け、聖史とアイザックは燃える炎を眺めた。
「不思議と心が落ち着くね」
「祖先がこうしていたからかもしれません」
 夢について聖史は悩ましげに語る。
「ここができた頃とあまり変わらないです。祖父と同じ、立派なペン職人になる。その為に、有名な工房を回ってみたいです」
 祖父に修行先を口利きしてやると言われるらしい。
「私が祖父と同じ仕事を生業にするのが嬉しいのでしょうか」
「父と同じ仕事をするって言ったら嬉しそうだったな」
 子供が自分の夢を継いでくれるのが嬉しい。
「私の夢を喜ぶ家族がいるから、これからも頑張ろうと思います」
「聖史君がペン職人になるなら、ずっと面倒見て貰えるね」
 先ほど万年筆をチェックしたが状態は悪くなかった。大切にしているからだろう。
 誰かの大切な物を守れる。そんな夢も悪くないと聖史は思う。



 祭莉は頃合いを見計らいピアノへ。
「……トウレン。自由に、やって」
「任せます」
 鍵盤に指を置いて無言で2人目を合わせ、すっと深呼吸をし、ポロンと一音流れる。
 星が綺麗な夜を祝福するように、『きらきら星変奏曲』だ。
 主旋律に寄り添うように祭莉は弾き始める。それは何度も見てきた彼と同じ。
(やっぱり、見たことあると違うな……。真似する方がやりやすい)
 楽しそうに鍵盤で指が踊る桃簾に合わせ、曲調がどんどん変化し、華やかになっていく。
 優しい音が星空に溶け、夜風が心地よく肌を撫でる。
 静かにピアノの音に耳を傾ける人、小さく歌を口ずさむ人、皆が星の輝きとピアノの旋律を楽しんだ。

 ユリアがすっと立ち上がる。
「よかったら、誕生日の人達へ祝いの踊りをさせて。伴奏してもらえないかしら?」
「……ん。でも弾ける曲、少ない」
「どんな曲調やリズムの踊りでも任せなさい! レッツ・ダンシング!」
 祭莉は何とか記憶にある曲を弾き出す。
 どんな音楽でも合わせるプロ根性でダンスを踊る。
 音に乗って、ユリアの手足がしなやかに伸び、華麗にターンを決める。
 焚き火の火と星空の光が、ユリアのダイナミックな舞に、色気と美しさを彩った。踊り終えると、拍手が沸き起こる。
「サンクス。これからの一年が、素敵な日々になりますように」
 祝福の投げキッスをしながら、火照った身体を冷やすようにアイスティーを飲む。

「止まり木の一周年に、そしてお誕生日の皆さんに、もう一曲歌わせて頂きますね」
 望は焚き火の側に立ち、囁くように優しく柔らかに口ずさむ。
 空に浮かぶ星をめぐる歌。此処で繋がった縁の巡りあわせに掛け、星が瞬くように輝く未来になればと願いを込めて。
「この場所が出来てもう1年なのですね……素敵な想い出が沢山詰まった大切な場所になりました」
 何度も来た人も、初めての人も、この店は温かく迎え入れてくれる。
「止まり木が、皆さんが、これからも素敵な日々を歩めますように」
 微笑んでお辞儀をすると、拍手が起こった。

「任務で関わった人を慰めたくて弾いた曲です」
 桃簾は静かにアメイジング・グレイス弾く。
「故郷にピアノは無く、その時に初めて触れましたので……それは下手で。今は大分上達しましたが、最初のキッカケは彼です」
 色んな物に出会って、苦い想い出も糧にして、日々成長していく。常春で電気も機械もない故郷を思い浮かべる。
「アイスは地球で初めて知りました……故郷の皆にも食べさせたい」
「故郷に帰ると決めているんだね」
 迷い無く即答した。
「道が拓けたならわたくしは故郷へ帰ります。それまでにもっと沢山のことを知りたい……それがわたくしの夢。知ることは力になると思います。貴方も自身の願いを知ると良いでしょう」
 ──アイザック。貴方のこれからの生に喜びあれ
「ありがとう」
「アイスの素晴らしさは夢でなく必ず広めます」
 ぐっと握り拳で決意表明。
「貴方はエオニア支部長です。アイス教の功労者ですから」
「経典に名前が刻まれるの」
「はい」
「でもいつまでエオニアにいるかわからないよ。この店をアイス教支部にしたら」
 まだ支部長は承諾しない。でもエオニア支部設立はお墨付き。



 楽しい宴も終わりを迎え、皆で後片付け。
 聖史は最後に火の後片付けしながら思い耽る。もしも戦いが終わったら、戦う前の生活に戻る。それが少し悩ましい。
「聖史君、どうしたの?」
 気づくとアイザックが隣にいた。
「新しい夢を話す人と比べて、自分は立ち止まってしまうようにも感じて……あの頃と変わらない夢でも先に進めば見方も変わるのかもしれないけど」
 他の人の語る、輝くような夢が眩しくて。
「迷い方がおかしいですよね、私」
「夢の形は人それぞれ。その迷いも含めて、好きにしたら良いと思うよ」
 迷うなと否定はしない。悩んだ末に決めた未来もまた輝かしい。

 ミラはずっと悩んでいた。
(初めて殿方に唇を捧げたいけど……もう、しっかりするのよ!)
 えいっと思い切って言ってみる。
「ねぇ、アイク。今夜だけでいいの。ここに泊って、アイクの隣にいさせてもらえないかしら」
 心臓の鼓動が煩い。返事を聞くのが怖い。
「いいよ。元々そのつもりだったし」
「……え?」
「人数分、寝袋や毛布用意してあるよ。皆で泊まろう」
 そういう意味ではないと言う勇気がミラになかった。
 泊まりと聞いて渉と紬が喜んだ。
「わーい。また夜更かししてお喋りしましょうね」
「お喋り楽しみです!」
「……頑張って、夜更かしする」
 そういう祭莉は既に眠そうだ。
「夏用のブランケットがあった方が良いでしょうか?」
 店に布団を敷き詰めて、柊也は寝る準備を整える。
「クリスマスと同じ。懐かしいわね」
「前もここで皆で寝たのかしら?」
「ええ」
 ジュリアがユリアに、クリスマスの日の話をする。
 ごろんと寝転んで、喋り。祭莉が寝落ち、紬も目を瞑った。

 皆が寝始める中、望は酒を飲みながら、星を眺め余韻に浸った。
「飲みたりなくて……アイザックさんも如何ですか?」
「もちろん」
「夢について、初めて考えました。私自身は、大切な人と日々平和なお茶の時間を過ごせれば充分幸せだけれど」
「うん」
「今を生きる子供達や、誰かの為に心身を削る全てのひとが夢を持てる世界が訪れたなら、大切な人の、皆さんの、そして貴方の夢が叶うことが、私の夢」
「僕の夢?」
「己の心のままに路を選んで、どんな未来でも応援します」
 いつだって望はアイザックの味方をする。
「ありがとう。望君に言って貰えると心強いね」
「こうして止まり木で時々集まって今何してる? なんて聞いたり、此れまで出会ったひと達の幸せな姿を見られたら……嬉しいですね」
「それぞれの道を選んで、帰ってくる居場所だと良いね」
「貴方は、平和になってもお仕事を沢山していそうな気もしますけれど」
 思わず笑みが零れ、釣られて2人で笑う。
 望は星巡りの歌を小さく口遊む。歌に耳を傾け酒を飲み、アイザックはぽつりと呟く。
「……妹がいたら、こんな感じかな」
「え?」
「ごめん。忘れて」
 慌てて否定して照れたように目を逸らす。望は驚いたが忘れてと願うならそうしよう。
「ではおやすみなさい、良い夢を。どうぞ余り夜更かしはせずに、寝坊すると寝顔の写真が増えますよ」
「それは、困るな」
 くすくす微笑んで部屋に戻った。

 皆が寝静まった真夜中。桃簾はふと目が覚めてしまった。
 一人星空を見上げ、故郷を想いだし呟く。
「必ず帰ります……」
 例えこの店がどれほど居心地良くても。

 皆の寝顔は穏やかで、幸せで。今日の楽しさが伝わってくる。
 夢に旅立ち、時に羽を休める為に戻ってくる。決して色焦ることはない、輝くような想い出が残して。
 それが止まり木だ。

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