オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. ナーイアスの棲む場所

ナーイアスの棲む場所 九里原十三里

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
冒険 防衛 
参加人数
73~8人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/07/08 20:00
完成予定
2020/07/18 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●精霊の湖
 エオニア王国の北部から中部に位置する村「ノルトブローゼ」はローマ時代の遺跡を今も数多く残す、歴史ロマンにあふれた土地である。
 それらの多くはナイトメア襲撃の影響などで発掘が進まず、長く放置されたままになっていたが、ライセンサー達の活躍もあり、王国の復興の動きが進む中で発掘調査や保全が進んでいる。
 さらに王国で行われたイベントや「ステラ国際空港」のリニューアルオープンなどがきっかけとなり、最近では海外から訪れる観光客も少しずつ増加していた。

「兄ちゃん、足は大丈夫なのかい? アグネテから聞いたら、まだ病み上がりだっていうじゃねえか」
 ノルトブローゼの村長キリクス・リデスは森の中を歩きながら、後ろをついてくる文化人類学者の弓長十斗(z0084)を振り返った。
 十斗はまだ少し歩きにくそうにしながらも、「大丈夫です」と返事をした。
「エルゴマンサーに金属の杭でブッスリ足の甲をやられましたから、暫く痛くて大変でしたけど、もういいかげん仕事に復帰しないとなまってしまいますから。リハビリとしてちょうどいいです」
「そうかい、気を付けてくれよ? ほらここらへん、木の根っことか出っ張ってて足場が悪ぃじゃん? ライセンサーの兄ちゃん姉ちゃんたちも、周りよく見て歩けよ」
 キリクスはそう言って同行したライセンサー達の事も気遣う。
 今から向かうのはノルトブローゼの森の中にある湖だった。
 ここは以前、ファッションブランド「ROMET」等の企画により撮影現場となっており、ライセンサー達の中には訪れた事のある者もいる。
 だが道中は山道であり、若干ハードなピクニックコースになっていた。

「山林協会とドニス大臣に相談して、木道を整備してもらおうかって話は一応してんだわ。けど、ここは昔っから水の精霊『ナーイアス』様が住むっていう話があるじゃん? 一応、神聖な場所なわけよ」
 森の中を歩きながら、キリクスはそう説明する。
 大きな荷物を背負ったキリクスは今年で62歳になるというが、森を歩き慣れているらしく、息も切らさず元気に進んでいく。
「まず、湖で泳いだら絶対にだめじゃん? あとは、周りの森も『水源の森』つって、雨水を蓄える役割もしてるんだわ。木もあんまりやたらと切っちまったら湖が枯れる原因になるわけ。エオニアは小さい島だから、真水が無くなっちまったら一大事じゃん?」
 ノルトブローゼは昔から水源の森を守りながら、湖の水を生活用水として使ってきた。
 湖に住む精霊はその守り神とみなされてきたのだとキリクスはいう。
「村長のお話の通り、地元の神聖な場所ですので、今までノルトブローゼでは湖の中の調査が行われたことはありませんでした。ですが……見てください」
 森を抜け、湖畔に出ると、同行していた地元の考古学者アグネテ・ディエスが湖の中を指さした。
 すると透き通った水の中に、何やら建物のようなものが浮かび上がって見えたのだ。

●水底に沈むもの
「これは、昔から夏至の前後にしか見る事が出来ない、この湖に沈む古代の建物なんです。ノルトブローゼでは『ナーイアス神殿』と呼ばれています」
 アグネテはそう言った。
 大きな石を積み上げて作られた建物にはノルトブローゼの他の遺跡と同様、古代ローマ時代の特徴がみられた。
 ノルトブローゼでは今回、地元民とエオニア王国担当者が何度も話し合いを進めた結果、特別にこの水中神殿の調査を行う事が決まったのだという。
「俺もほかの村の爺婆どもも、最初はみんな反対したんだぜ。だけど、1回は正式な調査が入ったほうがいいってアグネテはいうし、もし湖の中にナイトメアがいて観光客に食いついたら嫌じゃん? だから、あんたらSALFにも協力してもらって、遺跡と湖をよく調べようと思うんだわ」
 キリクスはそう言うと、「どっこいせ」と背負ってきた荷物を下ろした。
 そこにはリネン生地で作られた古代ギリシャを思わせる服が何着も入っていた。

「これね、村の祭で使う服なんだわ。神様や精霊様と対話するために、まずこれを着てみんなでハーブを焚いた煙を浴びてくれ」
 ハーブはセージやローズマリー、サボリー、若いミーベルの葉や種の中の仁(じん)を乾燥させたものだとキリクスはいう。
 先ほどの服を着てから、これらのハーブを香炉で炊いたものを全身に浴びるのだ。
 どうやら日本でいう「お清め」のようなものらしい。
「湖に人が入るとナーイアス様を怒らせるかもしれないじゃん? だけどノルトブローゼの祭ではハーブの煙を浴びると『一日だけ精霊の仲間になった』とみなされるんだわ」
 煙を浴びた後はお清め用の服のまま、もしくはSALFが用意した潜水用具を着け、湖の中に入って調査を開始して欲しいとキリクスは言った。
 アグネテや十斗も今回は調査に参加するに当たり、ライセンサー達とともにこのお清めを行うようだ。

「単なる気休めに思えるかもしれませんが、私もノルトブローゼの神聖視されている場所の調査に入る時は、こういったしきたりにもできる限り従う事にしているんです」
 そうアグネテは話す。
「発掘調査だけをするより、今まで知らなかったノルトブローゼの隠れた文化を理解出来たり、新しい発見があったりもするんです。なにより、こういうのってなんだか楽しくないですか?」
 任務も大事だが、今回はライセンサー達にもノルトブローゼの文化を楽しむつもりで参加して欲しいとアグネテは言った。
 だがこの湖に入って調査が行われた事はいまだかつてない。
 あの湖の中には一体何があるのか全くわからないのだ。

 そして、キリクスがハーブを香炉に入れて煙を出し始めた時だった。
「うわ! 今、何か跳ねましたよ!!」
 湖を見ていた十斗がそう声を上げた。
 大きな水音が響き渡り、巨大な魚が一瞬、鱗をギラリと光らせ湖面に飛びあがったのだ。
 見えたのは緑の体にギザギザの背びれを持ったスポーツフィッシングでおなじみの「ブラックバス」によく似た魚だった。
 しかし普通のブラックバスが大きくても60cm前後であるのに対し、先ほど見えた魚影の大きさは軽く5mを超えていた。
 明らかにナイトメアの類である。

「そ、そういえば何十年か前にブラックバスを飼ってた奴が湖に1匹放したって言ってたが、まさかあれがあんなんなっちまってたのか……?」
 キリクスにもこれは想定外だったらしく、呆然としていた。
 恐らく「湖で泳いではいけない」という決まりを村人がずっと守ってきた結果、今まであの巨大魚が存在する事が明るみにならなかったのだろう。
 しかし今回は湖の周りに人が多く集まったため、潜んでいたナイトメアが「人間の匂い」を嗅ぎ付けたのかもしれない。
「村長、さっきの魚は湖の奥に逃げたようです。あっちには何があるんですか?」
 十斗がそう聞くと、キリクスは巨大魚が逃げた方は丈の長い水草や葦が生い茂る沼地のようになっており、湖の魚やカエルなどがよく卵を産んでいるという。
 もしかしたらそこが、先ほどの巨大魚の巣なのかもしれない。

 ライセンサー達は遺跡の調査を手伝う者と、巨大魚を退治する者に別れ、湖に入ることになった。
 地元民や訪れる者たちの安全を確保し貴重な遺跡を守るため、今回も重要な任務になりそうだ。

 湖の水全部抜……くのはできないので、頑張ってブラックバス捕まえてください。
 目標は以下の通りになります(メイン目標達成で「成功」になります)

<メイン目標>「巨大ブラックバスを退治する」、「最後まで水中遺跡調査の護衛をする」
<サブ目標>「ナーイアス神殿から遺物を発見する」

●できること

【1】巨大ブラックバスを退治
(※以下はPL向け情報)
 ・いるのは一匹だけです(卵産んでるとかもありません)
 ・1ターンに20スクエア移動できる能力があります(湖の幅が最大で21スクエアなので「水中でロックオンされたら一気にこられる」感じ。湖岸におびき寄せるなどする手が有効?)
 ・攻撃は「丸呑み」のみです。飲み込まれた場合、その時点で物理ダメージ100を受けます。さらに、【移動不能】、【継続ダメージ】が飲み込まれた状態が解消されるまで続きます(吐き出される、ブラックバスが死ぬなど)

【2】水中遺跡調査の護衛をする(ここに専念する人が1人以上必要です)
 ・アグネテや十斗の護衛をしつつ、一緒に水に入って遺跡を調べてください
 ・遺跡は水深5mくらいの場所に沈んでいます
 ・道具は用意されています。相応しい一般スキルを使用するといいことあるかも……?
(【1D100】で出目がよかったりクリティカルしたら、発見者としてノルトブローゼの記録に名前が残ります!

●減点行為
 地元の聖なる場所であり、自然が大事に守られている場所のため、必要以上の自然破壊はマイナスとなる場合があります(例:卵があるかもしれないので水草を全てイマジナリードライブで焼き払う)

1ターンに20スクエアは多分、マグロとかと同じくらいです。
ブラックバスが食べれるかどうかは……やりたい人いたら試してください。

  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

★心情
(十斗さん、もう水に入ったりして大丈夫なのかな……?)
仕事中毒なのでは、と人のことは言えない感想を抱いていたり。

★行動
【2】
湖に入る前のお清めは真面目にやる
地元の人達にとって神聖な場所に入らせて貰うからには、しきたりは守らなければいけないと思うので
「……何だか独特の香りですね」
純粋にこういう儀式みたなのはワクワクして好きなのもある

潜る時は潜水用具を身に付ける
護衛対象の二人から離れないよう、一緒に泳ぎながら探索
どういう順序で探索するかは専門家である二人に任せるが、まずは入口を探す必要があるかなー、とか、『神殿』と呼ばれるからには儀式を行うような部屋とかを探すべきかな、等の軽い方針は自分でも考えておく
遺跡内は暗いと思うので、暗視や探索・追跡を使って建物の全容を把握しながら探索
(どうしてこんな大きな建物が、水の底にあるんだろう。沈んだのか、敢えて水中に作ったのか)
過去の出来事に思いを馳せたりしつつ
探索を終えたら、把握した内部情報を元に地図とかを作れたら良いなと思う

ブラックバス以外にも脅威になるような生物やナイトメアが居ないか常に警戒
何かあればアリーガードで庇い、生物系はカーズミストで動きを止める
建物や自然を傷付けないように注意を払い、水草などもあまり引きちぎったりしないように気を付ける

アド絡み歓迎

(弓長殿の様子に、ふゆが怒っているのをひしひしと感じるのだが…ひとまず見守っておくか)

事件の場に居た為、病み上がりの彼はとても心配
冬呼は更に心配だろうと思う
心配と、特別な国となったエオニアの為に働けるならと受けた任務

「神聖な地というのは、龍の山や精霊の森など私の故郷世界にもあったな
ゆえに清めのしきたりも理解
「しかし想定外…いや、懸念も皆無ではなかったからこその私達か。あれは引受けた

【1】
全攻撃、追加詠唱で射程+2
攻撃は識別で敵のみ対象、周囲に被害出ぬよう注意

浅い場所、腿まで水に浸かり、黒バス誘き寄せの囮に
魚影確認で岸へ後退しつつ、Jポットで引き撃ち
水際、味方攻撃中に魚の横~後方へ回り込み、ゼロブラストで陸へ打上げ試みる
森に被害出ぬ範囲までゼロブラ続行で湖から引離し
Jポットで鰓撃ち
デモンズブレイド追撃

湖へ逃走時
Bライフルに換装、チェーンスライドで黒バス撃ち魚の上に移動
(Cスラ届かぬ距離で既に継続ダメ付与時は、即メテオロン)
「そう簡単に逃がすか
振落されぬよう背に千鳥突刺し、そのままデモブレ攻撃
継続ダメ付与後はメテオロン
岸へはBライフル換装Cスライドで戻る

丸呑みされた場合
内部でデモブレ →メテオロンの流れ
内部より陸へ向けゼロブレも試みる
冬呼は絶対に丸呑みさせない許さない

「水中での行動は体力を使う。弓長殿は確り休むのだぞ…

【行動】
【1】巨大ブラックバスを退治
・湖の端っこでわざと音を立てて飛び掛かってくるのを誘い躱す『飛雀舞踊』使用
・あわよくば地上に打ち上げる
・スキルは惜しまずつかいボコボコにする
・湖の中を泳ぐことは避ける




  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|ネメシスフォース×グラップラー

【1】対応
「…オツカレサマデス」
弓長先生の容態が気になり、じーっと見る
同じジャンルの研究者なので、気持ちはよく分かるものの
命あっての、なので心配。イヤーオコッテナイデスヨ(怒ってる)ほど程にはする。

「尊いとされるものへの敬意は大切だものね」
湖へ行く前の儀式については興味深く見つつ参加
「歴史に、前向きに興味を持ってる方が多くてほっとするのだよね。
SALF…こう、研究者倫理的な観点で」

「史跡のお堀とかの、外来生物駆除番組思い出しちゃった」
ナイトメアをみて驚きつつぽつり、気を取り直して戦闘態勢に
可能なスキルは全て識別行使
アウィンさんに囮を頼み、湖付近で待機
ナイトメアが接近したらまずはダメージを与えるためレールガン
「見た目をあてにし過ぎもよくないけど、そのままなら
目の後ろと鰓、尾の付根辺りが狙いどこかな!」
味方へ提言しつつ鯉に接近、陸への打ち上げや足止めが聞いているなら
目の後ろ狙いで氷閉ざす銀行使
距離が離れている、また味方が呑まれた場合は尾の付根狙い

  • 闇のブローカー
    Y・Ela3784
    人間28才|ゼルクナイト×グラップラー

水の精霊のお仲間なんて、恐縮してしまいますねぇ
私自身は都市伝説や伝承に類するミームを想像力の核としますが…
ナーイアス様に近づけば、何か、得るものがあるでしょうか

●行動
【2】
少し躊躇った後、お清め服のまま水へ
普段は(醜い傷痕だらけなので)絶対に素肌を晒さないのですけれど…
今回は形から、という事で

アグネテさん、十斗さん、氷夜さんとは3sq以内の距離を維持しつつ行動
万一、誰かが敵に攻撃されればプロトコルVDで防護
次にプロトコルJFで動きを止め、距離を取ります
攻撃はバトラーグローブ、絡め取り、締め付ける様に
対抗判定は防御
間違っても遺跡を巻き込まない様、いざとなれば自分が囮になってでも敵を遺跡から離します

調査時には探索・追跡を併用しつつ、まずは全体の大きさや形から掌握
或いは壁に意味のある絵や字がないか等
次いで、深くまで潜って入り口や空間がないかを探します
特定の時期にしか見れない、湖に沈む、水霊を祀る神殿…というと
寧ろ沈んでいるのが正しい姿なのでしょうかねぇ
絵や像…神体、或いは記録の様な物がないか探しつつ、見つけても敬意を払い、触れずにおきます
神聖な遺物に触れるには、些か手が汚れておりまして…

●その他
銀龍さん、氷夜さんはそれぞれ信頼するお仲間

痕跡が残ると色々と困る身分でして、
何か発見できても、命名は皆さんにお願い致します

【2】
名前が残るのかァ。オモシロそーじゃン。ガンバルぞォー!

・ワクワクお宝探し気分。魚の群れや生物に目移りしつつ、透明度の高い自然の景色の中を泳ぎながら水中散歩。水の冷たさが肌に心地よい
スゲーキモチイイ♪

周辺警戒
水の中ではジェスチャーで意思疎通
護衛対象の安全優先

戦闘
遺跡・環境の保持の為、攻撃の角度や射撃方向に注意
ヨランダの動きに合わせ連携
味方のカバーリングの瞬間に合わせ、横からバス攻撃。水抵抗を考え、槍を銛のように突く
コンボと連牙で三連突き
09やM-9VでCC撃ち行動不能付与

魚解剖の知識で、エラ隙間や腹部等、柔らかい部位狙う(腹内の人間注意
自分が呑まれた時は内部からフィストでコンボと連牙の三連打し吐き出させ

>遺跡
潜水道具:水中ライト活用
探索用い調査
壁や水底等の苔や堆積物を払い、埋もれた場所探す
依頼人の指示があれば調査手伝う
槍の柄用い、岩動かす。石等の隙間に何かがあれば、ダイビング用の指示棒で引っ掻けて取る
大物発見時は水中笛で知らせる

>バス
・携帯品刃物活用
喰えるなら喰うケド…。水は綺麗だし臭みは少ねえのかな?
血抜きし、頭は残して5枚下ろしにする
デケェ鱗。キラキラしてるぜ。欲しい?(自分は持ち帰る
・捌いた身はハーブ焼きにしてご飯に

  • 落涙刃文の剣鬼
    銀龍la4012
    放浪者16才|グラップラー×スピリットウォーリア

アドリブ何
◎心情
綺麗な湖。こんなところにもナイトメアが潜んでいるのか。
◎準備
インカムで情報共有
◎目的
巨大ブラックバスを退治する
※なるべく湖や遺跡への被害を出さないように注意する
◎交友
ヨランダ=エデン(la3784)信頼する友人。彼女に対しては仕事中でも若干口調が梁らかくなる。
雨月 氷夜(la3833)幾度か一緒に戦った戦友。割りと信頼している。
◎行動
【1】
まずは『龍眼』で索敵を行う
目標起点は敵が逃げたと思わしき湖の奥の方
見つければみんなに伝える
不発ならもう一度『龍眼』を使用して、それでも見つけられなければ諦める

・敵を誘き寄せる
仲間が誘き寄せて足止めをしてくれるので、その隙に側面から攻撃を行う
『龍閃』による文字通り目にも止まらぬ抜刀術でヒレの切断を狙う
「こんなに大きいと三枚におろすのも一苦労しそうだな」
そのまま仲間が足止めをしてくれている間に出来るだけ攻撃を叩き込んでダメージを与えていく
チャンスを無駄にせず『龍閃』で減少した生命を糧にして『ソウルインパクト』を使い止めをさす

・飲み込まれたら?
飲み込まれた時の固定ダメージと持続ダメージを利用して『ソウルインパクト』を内部から発動、渾身の力でお腹を引き裂いて脱出する
※全身ずぶ濡れのベトベトだと思うので戦闘後は泣きそうな表情になっている
「今日は厄日だわ…」


「この煙……何だか独特の香りですね。お祭の日はみんなでこうして煙を浴びるんですか?」
 霜月 愁(la0034)は湧き上がる煙を手ですくうようにしながら、楽しそうに自身の体に浴びる。
 その隣で、ヨランダ=エデン(la3784)は傷跡だらけの腕を軽く庇うようにしながら「少し恐縮してしまいますねぇ」と呟いた。
「これで精霊様のお仲間だなんて。私自身、都市伝説や伝承に類するミームを想像力の核としますが……ナーイアス様に近づけば、何か、得るものがあるでしょうか」
「そうねー。ていうか、ここにいる全員、水に入るんだよね?」
 神取 冬呼(la3621)がそう言いながら、弓長十斗(lz0084)の方をじとっと見た。
 十斗がその視線に気づき、首を傾げる。
「神取教授? どうしました?」
「別にー。ナンデモナイデスヨー」
 病み上がりで泳ぐ気満々の十斗に一言いいたいような顔だが……早く現場復帰したいという気持ちは分かるのか、冬呼は黙って睨んでいるだけだった。
 そんな様子に気づいたらしいアウィン・ノルデン(la3388)が「まぁ」と苦笑する。
「龍の山や精霊の森など、神聖な地は私の故郷の世界にもあった。本来は泳いではいけない場所にナイトメアとは想定外……いや、懸念が皆無ではなかったからこその私達か。とにかく、あれは引受けた」
 準備を整え、ライセンサー達はいざ湖へ。
 ミリア・ラスティソード(la3398)は湖の湖岸側から回り込み、ブラックバスを探した。
「銀龍さん、この辺だっけー? ボクの姿見える?」
 インカム越しに呼びかけながら、ミリアが葦の向こうから湖に向かって手を振る。
 湖を泳いで近づいていた銀龍(la4012)が「手が見えた」と返事をした。
「こっちの声、聞こえないか? そこをかき分ければ湖岸に出られるはずだ」
『えっと……あ、見えた!』
「私達もそちらに真っすぐ向かっている。ブラックバスがこの辺りにいるならもうすぐ、私の『龍眼』にかかるはずだ」
 銀龍の目が鋭く光る。
 するとその時、湖面に浮かぶ水草の中から僅かに気泡が上がった。
「いた! 来るぞ!」
 ゆらり、と現れた魚影に、銀龍が声を上げる。
 アウィンもそれを確認し、ミリアのいるほうへ動いた。
「こちらへ引き寄せる! 撃つぞ!」
 バスターライフルGR-117を構えたアウィンが魚影に照準を合わせ、引き金を引く。
 ジャックポットの威力を含んだ弾丸が命中し、湖面に大きな水柱が上がった。
「今見えたよ、アレだね! 史跡のお堀とかの、外来生物駆除番組思い出すなぁ」
 冬呼は岸側からアウィンの攻撃の命中を確認すると、すぐさま魚影めがけ、凍り閉ざす銀の氷の槍を浴びせかける。
 しかしブラックバスは次なる攻撃を避けるように水中に深く沈んだ。
 そして湖側から追い込もうとするライセンサー達を猛スピードですり抜け、遺跡の方に向かって逃げ出した。
「ヨランダ! ブラックバスがそっちに行ったわ!」
 銀龍がインカムに向かってそう叫ぶ。
 通信越しに、ヨランダが「了解」と返事した。
「氷夜さん、こっちに来ますよ」
「了解了解。お、スゲー、見ろよヨランダ、フツーの魚もぶったまげて逃げてきたぜ!」
 遺跡の周りを気持ちよさそうに泳いでいた雨月 氷夜(la3833)が、マスやハヤなどの群れが慌てて逃げ惑うのを指さした。
 巨大魚の暴走は湖の生き物にもやはり脅威なのだろう。
「アグネテさんや十斗さんはまだ湖に入っては危ないですね。愁さん、そちらはお願いします」
 ヨランダはそうインカムに向かって声をかけると、バトラー・グローブを装着した拳を握りしめ、構えた。
 すると次の瞬間、ブラックバスが大きく湖面で跳ね、大きく口を開けて前方にいる氷夜に向かって飛び掛かった。
「動かないで!」
 氷夜がブラックバスの標的になったのを確認したヨランダは、素早くその前に移動し、庇った。
 ヨランダはそのままブラックバスに飲み込まれてしまうかのように見えたが――どうやら失敗だったらしい。
 僅かに横に逸れ、大きな水柱を上げて湖面に落ちた。
「残念! 空振りだ!」
 セイクリッドスピアを振りかざし、氷夜はブラックバスの鰓蓋めがけて銛のように突き立てる。
 思わぬ反撃に遭い、ブラックバスもここに来てはまずいと思ったのだろう。
 湖の岸辺で十斗とアグネテの傍に待機していた愁は、ブラックバスが再び遺跡から遠ざかり、ミリア達のいる葦原のほうへ向かうのを見た。
「あまり狩りの上手い魚ではないようですね……ですが、気を付けてください!」
 愁はそう、インカムに向かって湖の奥にいる仲間に注意を促した。


 ミリアは膝まで水に浸かり、ブラックバスを挑発するように湖面を叩きながら相手が此方に向かってくるのを待った。
「来たよ来たよ! そのまま……そのままこっち!」
 勢いを失わないまま、ブラックバスはミリアのいる岸付近に向かって突っ込んできた。
 相手との間合いが詰まるのを待って、ミリアは湖に向かって飛び出していく。
「今度は逃がさないよ!」
 高速で繰り出された正中線三連撃がブラックバスの頭部を強かに殴りつける。
 ブラックバスは大きな水音を立て、深いほうに逃れようと身を捩った。
 だが今度はその反対側から回り込んだ銀龍が斬龍刀「宵空」の柄に手を置き、目にもとまらぬ速さで抜刀した。
「こんなに大きいと……三枚におろすのも一苦労しそうだな!」
 銀龍はブラックバスの大きな鰭を切り落とすべく、龍閃の一撃を以って斬りつける。
 だがその硬い身体は剣の威力を耐えしのぎ、僅かに刀傷を受けたにとどまった。
「簡単に切り伏せられる相手ではなさそうだな……! 陸の方へ追い込むぞ!」
 アウィンはブラックバスの前方に回り込み、銀の魔弾「セレブロ」を構える。
 そして至近距離からゼロブラストの威力を叩き込んだ。
「思ったより硬そうだし、見た目をあてにし過ぎもよくないけど、ダメージを与えるなら目の後ろと鰓、尾の付根辺りが狙いどこかな!」 
冬呼は味方に向かってそう声をかけながら、ブラックバスを逃がさないように動き、ブラックバスの目の後ろを狙って氷閉ざす銀の氷の槍を叩き落す。
「銀龍さんとアウィンさんの攻撃も、多分少しは効いてるはずだよ!」
 次第に岸側に追い込まれるブラックバス――だがその時、追い込まれた巨大魚は思わぬ行動に出た。
 身を反転させるように思い切り飛び上がると、大きく口を開け、退路を塞ぐように立っていた銀龍に踊りかかったのである。
「ああっ、大変……!!」
 ミリアは銀龍を飲み込み、再び湖の深いほうへ逃れようとするブラックバスを阻止すべく、その前方に回り込み、頭部を強かに殴りつけた。
 呑まれた銀龍もその大きな腹の中で身を捩り、刀で切りつける。
(中からお腹を割けば……外に!)
 ソウルインパクトの威力が胃壁へと叩き込まれる。
 だがナイトメアゆえの驚異的な頑丈さが刀の威力を殺し、ブラックバスはその攻撃を耐えた。
「ふゆ、不用意に近づくな! 俺が行く!」
 大事な恋人を飲み込むことは許さない――アウィンは冬呼を庇うように飛び出すと、雷刀「千鳥」をブラックバスの背に向かって突き立てる。
 ブラックバスの真下にはデモンズブレイドの冥府の沼が出現し、幻影の刃がその体を斬りつけた。
「ミリアさん、そっち浅いよね?! 多分、このまま突けば……!」
 冬呼はブラックバスの動きが鈍ったのを見ると、その尾の付け根を狙い、氷閉ざす銀の槍を落とす。
 大きな体を捩り、ブラックバスは暴れるが岸近くに追い込まれたその巨体には既に水の深さが足りず、緑がかった黒い身体は横倒しになった。
 ミリアはこれを逃さず、ブラックバスに容赦なく殴りかかる。
「ふゆこせんせーナイス! 銀龍さん、聞こえる?! 大丈夫?!」
 胃の中の銀龍は、外からミリアらが呼ぶ声を聞いた。
 そして再び力を振り絞り、ブラックバスの体内を破るべく刀を振るった。
(今度……こそ!)
 ソウルインパクトの威力が叩き込まれると同時に、ブラックバスが大きく口を開けた。
 そして巨体が大きく跳ね上がると同時に、銀龍の体が水の上に吐き出され、大きな水柱が上がる。
「出ら……れた……? 魚は……」
 銀龍は水面に浮きあがり、顔を上げる。
 するとそこには、弱弱しく口を開け閉めする巨大魚の姿があった。
「アウィンさん、まだ生きてる?」
「ああ、だがもう泳げはしないだろう」
 冬呼とアウィンはブラックバスがついに力尽きたのを確認した。
 湖からナイトメアの脅威が去った事は遺跡調査を行う者たちにも伝えられ、少し休憩した後に遺跡への潜水が再開された。 


「うう……一生懸命洗ったのにまだ生臭い……今日は厄日だわ」
 丸呑みされていた銀龍は髪も身体も魚の体液でドロドロになり、焚火の前で半泣きになっていた。
 氷夜はそれを見て「オツカレ」と声をかける。
「けど、鱗とかキラキラして結構キレーだぜ? 欲しい?」
「要らないわよ……あと氷夜、多分仕留めたナイトメアはSALFが資料として回収するから持って帰れないと思うわよ」
「げ、マジぃ? せっかく頑張って5枚卸しにしたのに!」
 結局、「その場で味見できるくらいの分は食べてもいい」という事に。
 白身の部分にハーブと塩を刷り込み、ブラックバスのハーブ焼きが完成した。
「うん、水キレイだから臭みもねえし、全然食えるけど……硬ぇな、カツオブシみてぇ」
 ハーブ焼きを試した氷夜は、スルメを齧っている時のような顔をしながらそんな感想を口にした。
「銀龍が腹ん中で刀振り回しても破れなかったくらいだからしゃあねえか。よし、じゃあそろそろ調査再開?」
「じゃあ、行きましょうか。十斗さん達が、暗くなると遺跡が見えなくなるから早くしたほうが良いって言ってます」
 愁はそう言いながら、潜水具を装着し、作業の準備をする。
 十斗やアグネテは遺跡全体の細かい撮影を行うため、遺物の回収などはライセンサー達に任せられるようだ。
「まずは……建物の入口とかってどこなんでしょう? 『神殿』と呼ばれるからには儀式を行うような部屋とかを探すべきかな、と思うのですが」
 そう愁が言うと、ヨランダが「そうですね」と頷いた。
「湖の水深が5mくらいで……建物の高さは見た感じですと、3mくらいでしょうか? とりあえず、あの空間から中に入れそうですね」
 水中ライトで照らしながら、2人は湖の中に潜り、石でできたアーチ状の遺構をくぐる。
 一方の氷夜は遺構についた水苔や堆積物を払いながら、周囲の魚などを観察しつつ、遺跡の周囲を調べ始めた。
(お、逃げてたマスとかも戻ってきたな。水がスゲーキモチイイ♪ ん? どーすんの、ここ撮る?)
 カメラを持った十斗が近づいて来たのに気づき、氷夜は水中で手を振る。
 するとその反対側から、建物内部に入った愁とヨランダが戻ってきた。
(屋根がなくて、思ったよりは明るい……でも、どうしてこんな大きな建物が、水の底にあるんだろう。沈んだというより、敢えて水中に作ったみたいに見える)
 愁は自分が見た景色をもとに、頭の中で地図を思い描いた。
 十斗のパソコンを覗き込むと、建物の高さや遺構の位置を落とし込み、詳細な全体図を作ろうとしているようだった。
「なるほど……データを3Dの画像に起こせるんですね。あ、十斗さんはもう、潜らないんですか?」
「はい。奥の遺構の高さを図りたいと言ったら、氷夜さんがやってくれるというので」
「その方がいいですよ、病み上がりなんですから。ねぇ?」
 愁が焚火の傍で休憩していたアウィンに声をかけると、「そうだな」と笑った。
 隣の冬呼も黙って大きく頷いている。
「水中での行動は体力を使う。弓長殿はもうこの辺で潜るのはやめておいたほうが良いな」
 アウィンがそう言うと、十斗は「そうします」と言って作業に戻った。
 その向こうではキリクスが不慣れな手つきでタブレットを操作し、調査の様子を映した動画をネット上に公開する準備をしている。
「こういうの、見たがる人がいるじゃん? だから、ノルトブローゼで作ってるページにね」
「先月は『ハーデース地下神殿』の動画を上げたんですね。なんだか歴史に、前向きに興味を持ってる方が多くてほっとします。SALF……こう、研究者倫理的な観点で」
 冬呼はキリクスと話をしながらそんな事を口にした。
 湖のこの遺跡も、エオニアだけではなく全世界に関心を持つ人々がいるだろう。
 そして調査が進む中、水面に上がってきた氷夜が「でたでた!」と声を上げた。
「見てこれ! これ、金じゃねえの?! 金!」
 氷夜が見つけたのは、銀で女性の姿の象眼が施された金製の首飾りの一部だった。
 堆積物や瓦礫を取り除くと、留め金や大きな飾りなど、流されずに残った金製のパーツがいくつも見つかった。
「へぇ、この黒いとこが銀か……じゃあこの女が『ナーイアス』?」
 この氷夜が発見した首飾りは「ナーイアスの首飾り」としてノルトブローゼの資料に記される事になった。
 だが続いて湖底で重要な発見をしたヨランダは諸々の事情を理由に自分の名を記すことを固辞した。
「痕跡が残ると色々と困る身分でして……ですが、あの場所でナーイアス様達とお会いできただけでも十分でしょう?」
 ヨランダは水草の生い茂る湖底の中庭で、美しい女性像の群れを発見した。
 ほとんど壊れずに湖底に沈み、光の差し込む中に浮かび上がったその姿はまるで歌うようだった――ヨランダはそう、口にした。
 発見されたこの「水の精ナーイアスの群像」は撮影などを行った後、発見者を匿名にして記録されることとなった。
「アグネテさん、僕思うんですが……この湖自体、人の手で造られたものですよね?」
 愁は湖を泳ぎ、神殿の周囲をぐるりと確認しながらそう口にした。
 入り口から神殿内部までの位置を確認していた愁は、倒木や水草に覆われていた神殿の外門から建物へのアプローチの遺構を発見していた。
 その過程で、湖岸に岩石などによる養生の痕跡が確認され、この場所が大きな人造湖であることがほぼ確実となった。
「この湖は飲料水の確保や田畑への灌漑を行うために、古代エオニアの人々が造ったものなのでしょうね。そして言い伝え通り、ナーイアスは湖を守る守り神とされたのでしょう」
 アグネテはそう結論付けた。
「愁さんの見つけたこの『ナーイアス神殿外門』の彫刻からは、古代ノルトブローゼの人々の『祈り』が感じられます」
 そこにはナーイアス達の姿と共に、野菜や果物を収穫し、ワインを楽しむ人々の姿があった。
 これからも、この美しい湖が大切にされ、ノルトブローゼの人々が平和で豊かに暮らせますように――人々のそんな祈りを、水底のナーイアスは今も静かに聞いているのかもしれない。

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参加者一覧

  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|
    ゼルクナイト×ネメシスフォース
  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 アウィンla3388
    放浪者24才|
    ネメシスフォース×スナイパー
  • ひとときの安らぎを胸に
    ミリア・ラスティソードla3398
    人間15才|
    グラップラー×ゼルクナイト
  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|
    ネメシスフォース×グラップラー
  • 闇のブローカー
    Y・Ela3784
    人間28才|
    ゼルクナイト×グラップラー
  • Outer Layer
    雨月 氷夜la3833
    人間20才|
    スナイパー×グラップラー
  • 落涙刃文の剣鬼
    銀龍la4012
    放浪者16才|
    グラップラー×スピリットウォーリア

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