オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【金乱】轟嵐磊落、けもの道

連動 【金乱】轟嵐磊落、けもの道 佐嶋 ちよみ

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1500(EX)
ジャンル
金乱 バトル 
参加人数
126~12人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/07/02 23:00
完成予定
2020/07/22 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●手を伸ばせ、爪を磨け
 『CODE:Ariadne』、陽動班。
 敗北も撤退も許されない。救出班を支えるための、命知らずの任務だ。
 かといって死ぬことだって許されない。
 幾層も部隊を編成し、『倒せないナイトメア』に抗うべく送り出された。


 インソムニア『酒池肉林』は、そこに居るだけで免疫力が半減する凶悪な空間だ。
 嗅覚を狂わせる甘ったるい香りが充満し、視覚を遮る黄金の霧は風を巻き起こそうが振り払えない。
 何もかもがライセンサーに不利な中、潜入調査の積み重ねで地理的情報は確実なものとなっていた。
 救うべき人々が何処にいるか。そこから逆算し、陽動作戦の効果的なポイント。退路の確保。
 遭遇したナイトメアたちは驚異的な回復力をもち、現時点では撃破不可という判断が賢明。
 ならば。
 戦闘継続困難となる前に、次に控える戦闘部隊が前線に出る。
 『控え部隊』が敵に悟られては一斉に包囲され圧殺される未来であるから、ある程度の距離を取り通信機で状況確認を怠らずに霧の中を進んでいった。
 やがて、黄金の樹木が疎らに生える地域へ突入した。
 過去の報告では、持ち帰った木の枝は『酒池肉林から出た途端に消滅した』とある。
 枝を折ることができるからには触れられるだろうけれど、実態を伴わない存在は不気味である。
 枝を折る時点で、幻覚を見せられている可能性もある。
 身を隠すほど幹は太くなく、しかし茂る金色の葉は視界を遮り、どうしたものか。



●希望の道を抉じ開けるために
「……今日は霧が騒がしいな」
 木々の奥から、ふざけた声が響いた。
 見えぬ霧の向こうに人影が朧げに浮かび上がる。
 何もかもが煌びやかな風景の中で異質な、機能性重視のワークウェア姿の黒髪青年が姿を見せた。
「奴は……エルゴマンサー!」
「たしか、名はスティーヴ……」
「格闘バカの!」
「勢いあまってインソムニアの外まで出てきたことのある、純正格闘バカの!!」
「全部聞こえてんだけど」
 ライセンサーたちへ怒るでも呆れるでもなく朗らかに笑いながら、スティーヴ(lz0110)はウェアの上半身を脱いで袖を腰で結ぶ。
 黒のアンダーシャツの下からでも、 引き締まったしなやかな体躯が見て取れた。
「懲りないね。所持品を勝手に持ち帰るなって言ったの伝わってない?」
 愛嬌のあるタレ目がちな緑の瞳は、剣呑だ。
 つい先日、彼が『肉林』を食したことは確認されている。その後、どのように能力上昇したかまでは不明。
「潰されたいならさぁ、それでもいいよ。OK、相手になろう」
 周辺を徘徊していたのは、スティーヴだけではなかった。
 過去データにある、槍を手にした小鬼……魍魎が3体と。
 鼠の頭部をした、恰幅のいい僧侶が1体。巨大な黄金の数珠を手にしている。
 スティーヴは個人の手勢を連れておらず、同行しているのはバルペオル管理のナイトメアという情報も得ている。
 時にはスティーヴが指示を出すまでもなく『酒池肉林』維持に必要な行動選択をとる、ということも。
(……霧の向こうへ逃げられたら、動きを掴むのは無理だぞ)
(50m以内に、こいつらの存在を確認し続ける必要があるってわけか)
(こっちから出向いて攻撃を受け続けるプレイか。もえるな)
(録音・後方部隊へ拡散しました)
(まって)
 部隊が素早く陣形を整えるところへ、スティーヴが飛び込んで鋭い蹴りを放つ。
 半月を描くよう空気を切り裂き、エネルギー波を飛ばす。巻き込まれた木々が、はらはらと崩れた。
「来たな! お前の弱点は把握済みだ!」
 後方に控えていたネメシスフォースの一人が、免疫低下の術を掛けた。
「動けなくすれば、どうってことはない」
 続くもう一人が行動不能を付与。連携ばっちり、ガッチリはまる。
 その間、攻め立てる魍魎たちについては気合で乗り切った。
「……!? なんだ、これは」
 スイと音なく移動してきた鼠頭が、数珠をふるう。輪が直径2mほどまでに広がり、壁役を担う者たちを打ち据えた。
 威力は、さほどでもない。しかし、これは――
「シールドが弱まってる……」
「【防御低下】か!」
 抵抗値の半減する霧の地で、変調付与の攻撃は非常に厄介だ。
「まあ、誰でも学習するわけで。何度も同じパターンでハメ殺しされるのはイヤだよねー」
 パキン、と拳の鳴る音。
 ほんの少しだけ体力を犠牲にし、スティーヴは免疫低下も行動不能も自力で解除した。
「うそだろ……」
 防御が下げられたところへ。1人のライセンサーへ狙いを定め、スティーヴが怒涛の三連撃を繰り出す。
 回避を試みたが、一発目が入ると続きはほぼ自動的に決まってしまう。
 そしてライセンサー側が次の手を試みる前に、鼠頭がスイと退がる。意外と動きが俊敏だ。
 数珠が1つ外れ、集団の中心へ着弾・金の光が炸裂する。やはり威力は高くない、が――
 じわじわと、シールドが溶かされていくような不快感。【継続ダメージ】だと把握した。

「まだ戦う? 諦めて帰る? 肉林になる道もあるけど。あんたたちならすぐには死なないさ、良い夢見れるよ」

 今日は、なにやら騒がしい。
 お前らだけに時間を割いてる場合じゃなさそうだ。
 純正格闘バカでもエルゴマンサー、異変は感じ取っているようだ。

「そうだな……『俺たちはすぐには死なない』!!」
 意識不明重体となった仲間を抱え、1人が叫んだ。
 後続部隊とスイッチするまで耐え凌ぐ。それだけは譲れない。
 戦いに必要な情報はすべて共有できているはずだ。

「この霧は泣いている!! スティーヴ、これまでの報いを受けろ!!」

 一騎当千のエルゴマンサーを足止め出来たなら、救出班の大きな助けとなるはず。
 ド下手な挑発をかましたライセンサーは回し蹴りからの拳二撃で沈んだが、これが作戦の口火となることを願って。


 後続の部隊は、すぐそこまで近づいている。



●任務内容
敵全てを15T引付け
※退路確保や離脱の備えは不要
※PC半数以上戦闘不能で任務失敗

●状況
『酒池肉林』全体効果は特設ページ要参照
OP部隊とスイッチ完了から戦闘開始
PCはマップから南へ5スクエア離れた位置を最前線とし、任意地点からスタート
戦闘開始直前、1つだけ能力上昇系スキルのみ使用可能


▲□□▲◆□▲北
□ア▲□□▲□↑
▲□□★□イ▲
□□▲□□▲□↓
▲□□▲ウ□▲南

樹木は同パターンで東西南北どこまでも広がっている、表示マップ外も戦域
□…1スクエア
★…スティーヴ、樹木の傍ら
◆…鉄鼠
ア~ウ…魍魎
▲…樹木、身を隠すほど太さはない、被弾すると崩れる
  葉が視界を遮り、樹木越しの攻撃に命中マイナス補正

●敵情報
スティーヴ
 武器は使わない格闘技スタイル、『肉林』を食し全能力が上昇している
 視野に死角なし、蹴り・突きを交えたデフォルト3連攻撃
 同戦域ナイトメアへ【暴走】(2)付与
 変調を受けた場合、瞳が赤化・攻撃力と命中率が上昇
・月虹 物理・範囲(3) 下から上へ半月状に蹴り上げ、鋭いエネルギー波を飛ばす
・流星 3射程以上の攻撃へ、疾走してカウンター攻撃・同時攻撃にも対応
・斜陽 2射程以内の攻撃を往なして和らげる
・旋嵐 付与された状態変化を、クリーンナップステップにて『生命(効果値合計)d6消費』で解除
    →例:効果値(4)、(2)の変調付与の場合:生命6d6消費

以下、共通事項
 成熟態・【暴走】(2)状態:自力解除不可
鉄鼠×1
 精神型 自身を攻撃した相手を積極的に狙う
 スキルは命中成否に関係なく対抗判定で変調付与
・知覚白兵、射程2範囲(3)    【防御低下】(5)付与
・知覚射撃、射程6着弾点範囲(3) 【継続ダメージ】(5)付与
 
魍魎×3
 攻撃型 孤立した対象へ複数で襲い掛かる
・物理白兵、射程2単体、槍による攻撃
・知覚白兵、直線範囲10、槍から雷撃を放つ

こんにちは、佐嶋です
敵数は減り参加人数が増えたことで、成功の目は……目……

作戦が非常に重要ですので、相談5日としています
オープニングにも考えようによってはヒントとなるものがありますので、お目通しいただければと思います
それでは皆様、ご武運を!!

  • 竜殺し
    七瀬 葵la0069
    放浪者14才|ネメシスフォース×セイント

※アドリブ、セリフ作成ご自由に

「……ん、倒せない相手、めんどくさい」(基本火力至上主義の脳筋ゆえ)

■基本方針
魍魎の足止め、行動阻害
魔法陣の効果は効果値を有する全スキルに摘要

セイクリッドガーデンは出来るだけ多くの味方が効果を受ける事が出来るように使う
(戦域が狭いので使用前に声掛け)

鉄鼠対応の味方の位置に留意し、極力味方を狙った範囲BS攻撃に巻き込まれないようにする
スティーヴへの対応は味方に任せて魍魎対応に注力

■戦闘方針
可能な限り最大数の魍魎を射程に収める事が出来るよう位置取り【影腐弐式】を使用
味方の引きつけで1スクエアに複数の魍魎が集中している場合【影腐】
→移動能力を低下させる事で、戦場を動き回らせたり死角からの攻撃が出来ないようにする

「……ん、倒せない、なら、動けないように、する」
「伍式魔導弾改装填。詠唱式読込、術式展開。影腐弐式、起動」

敵の攻撃は基本的に盾で【受け】回避はしない
セイクリッドガーデンによる【継続回復】以上のダメージを受ける場合、攻撃属性に応じて【日像鏡】【日矛鏡】を使用してダメージを抑える

「……ん、盾の内側、安全地帯」
 →身長と盾のサイズから、全身がほぼ隠れる=正面からの攻撃に関しては受け止めやすい
「真経津鏡、展開」
「使用回数に、制限はあるけど、かなり固くなる、よ」

(フランス語で雪の意味がある『ネージュ』と名付けた白い子猫のことを考えながら)
世話をしてあげる人が居なくなったら、あの子が困っちゃうもんね。
…必ず生きて帰るから。

今回私は鉄鼠の対応を行う。
白野さんたちと協力して鉄鼠を引き付け、スティーヴや魍魎の対応をする味方の邪魔をさせない。

味方がスティーヴや魍魎を引き付ける予定なので、それらの敵を避けつつ鉄鼠に向かう。
スティーヴの射程には入らない。
魍魎に狙われないよう味方の近くに位置取りつつ、味方と直線に並ばないように。
これらの敵の位置が視界に入るような位置取りを常に意識し、背後から狙われないように注意。

鉄鼠に移動攻撃のスキルで射撃して引き付け、他の敵らと引き離す方向に移動。
鉄鼠にBSが掛かっていないなら、銃装備で支援射撃のスキルを使って【行動妨害】を付与。
BSが掛かっている状態の時は、大鷲の爪翼で攻撃して引き付ける。
今回は銃のリロードはせず、リロード間隔が残ってる銃に持ち替え対応。

攻撃する際は、鉄鼠の数珠の破壊を狙ってみる。

敵の攻撃は回避。回避力が足りないなら飛雀幻舞も使用。
少し前までは回避も白兵戦も苦手な方だったけど…ようやく、実戦でも通用するぐらいにはなれたかしらね。

話は聞いています。人を喰ったそうですね。
…そうですか。

目標
『敵全て』の引付け


事前 軽功での移動上昇

通信機で常時音拾い続け状況把握
他担当と距離が離れております

方針に従い、ス>魍で対応
鼠・魍魎が酒池肉林の成熟態であり、又バルペオルの配下であります
必ずしもスティーヴの指示が必要なわけではない
10sqが魍魎の射程内で、下手すれば鼠の範囲内でもあることは頭の隅に

武具 小太刀
攻撃読ませぬよう時折近接拳銃
飛雀:スティーヴ赤>緑目優先
スティーヴの前でも横でも後でも。急追さえ可能なら
軽功効果切れ→一度スティーヴより手番後に
その時のスティーヴの動向により応戦か再度軽功か判断
全移は通常で足りない場合

此方の戦域が10sqでも彼方は違う
離れた人を視認可能・逃げられれば見えない
スティーヴにせよ魍魎にせよ有事の際誰も追わない・追えないなら追走、抑え
その際他も逃げること懸念し残った敵は警戒してもらう
誰かが追うなら自分が残る
敵散開するならバランス取ります

■行動
開始直前、自身を含めた希望者に『桜東』で防御アップ、効果が切れたら再度使用する

魍魎・スティーヴ対応
魍魎の抑えがメイン
武器:盾
全体の補助・回復>攻撃
回復不要時はフラッシュシールドを横に凪ぐように振るう、又は爆発を利用して攻撃し敵の気を引く
樹木の折れていない枝が近くにあれば枝の後ろへ入り敵からの攻撃緩和
スティーヴが此方へ来ることも警戒し
もしも射程範囲内に近付いたら、盾を構えて攻撃を直に受けないように防御

回復>壁役の補助>味方を庇う
常に味方同士が直線上にならないように立ち位置に注意
スティーヴの周辺に固まらないよう立ち回り、スティーヴ対応の背を護る
月虹に巻き込まれないように注意
全体を確認しながら抑えの少ない魍魎側へ常に回り、生命の少ない味方との間に入り庇っていく

■回復
回復役と連携、常に全体の状況に気を配り、一定以上の生命を保つことを目標
シールド損傷の激しい味方1名+自身の損傷2割で『ツイン』
複数が損傷4割で『天祐』
2名以上変調付与で『天啓』

〇目的
全ての敵を15T引付ける

〇行動
スティーヴが誰よりも早く動き此方の陣形崩しに来ないか警戒し盾構え攻撃に備える
マップ東寄り横から周り込みスティーヴの背後に回り逃がさないようにする

基本スティーヴから4sq以内且つcloverla0874と逆位置にいる
味方と位置が直線にならないように注意
また突如魍魎や鉄鼠が横槍にくる、スティーヴが横槍に行く可能性常に考え
可能な限り盾と体で阻止

流星防ぐ為攻撃せず回復役に務めるが回復範囲・タイミング被らぬ様要連携
常に攻撃して気を引く為味方誰も攻撃しない隙/前衛味方気絶時
→スティーヴに接近し盾でインパクトウォール、味方守り回復時間等を稼ぐ
※味方が魍魎のヘルプに向かう場合その穴を埋める為前衛へ
自身はスティーヴから離れない

スティーヴを見失いそうになった場合、弓で攻撃。流星使わせてでも逃がさない
届かないなら追いかける

味方自身生命力半分以下且つ範囲内→神恵の雨雫>天祐の雨雫
※他回復スキルと重複しないよう生命力と範囲管理

「うふふ、この間はどうも。悔しかったからリベンジに来たのだわ
「今度は私と踊りましょう?
「あなたの蹴りで私を踏みつぶせるかしら? 勝負なのだわ!
挑発を混ぜて気を引いたりする

  • 四つ葉の白い花
    cloverla0874
    ヴァルキュリア17才|ゼルクナイト×セイント

◆心情
…えっ?!
足が綺麗で健康的な巨乳美女のエルゴマンサーとのプレイだって
俺聞いてたんだけど…(誤情報
んー…スティーブ…すてぃ…す……あっ、すっちー!
純情可憐なクール美少年のclover君でっす、よろしくーっ。

◆準備
リフレクトキャッスルかけてもらう。

◆行動
「んー…ライカとは真逆で、どっちかっていうとエルザナ寄り?」
「今日の俺はいつもよりいい声だから惚れてくれても……あ、やっぱいいです(エイカ【徒桜】」

目標:敵全てを15T引付け。
盾役・回復重視。

最速行動心がけてムギホとペアで。
ムギホの初撃によるスティーブから攻撃を庇う為にアーリーガード。
上記を目的とする為、初手はウの真西(樹木)へ移動。

以降、スティーブ・魍魎対応に。
複数人への攻撃には幻想之壁、単体への攻撃はアーリーガード。
同じく盾役であるシオンとは庇う仲間が被らないように位置に注意。
セイクリッドガーデンと肉林の回復の効果を期待しつつ、
回復スキルは可能な限り温存(セイントと盾役の生命3割以下で優先的に使用
スティーブがマップ外に行きそうな雰囲気であれば意識を引くためにエイカ【徒桜】
(スティーブのみ)

※アドリブ可・作戦に齟齬がある場合は合わせます。

心情
『前回の借りを返したい所だが作戦成功の為に最善を尽くすとしよう』
奴の動きは素早く攻撃も苛烈だ
その能力は高く地の利も敵にあるの
ならばこそ、盤面を覆す一手を決める足掛かりとなろう

目的
戦況に応じて味方を護りきり時間を稼ぐ
スティーヴの行動を妨げる

行動
初手★対応、最も接近し易い位置から近づく
★の能力上昇による誤差を確認しつつ戦い耐えられる限界を見極める
赤化後は要警戒、状況により魍魎の攻撃も防ぐ
敵攻撃は盾で受け流す
敵能力・思考から戦術的な癖を分析し最適な対応を模索する
消耗戦を覚悟し敵攻撃は可能な限り受ける
火力支援を受けながら後衛の接近・被害を抑える
戦況・周囲の位置取りを把握し陣形を模索する
味方が危険な時は幻想之壁・Aガードで庇う
周囲の損傷から効率良く回復する
長期戦を考慮し味方・敵のスキル残数警戒し把握

台詞
「本来の実力と語るならば今度こそ俺を攻め崩してみるが良い」
『直線状に並ぶのは厳しいが穴が開けば敵はそこから入り込む……』
状況により巨大盾を活用し後衛への接近を妨害する
『敵の耐久値は底上げされている。状況により守りを捨てて来るはずだ』
戦況の要所を予測してスキルを使う
『数の有利を失う訳にはいかぬ。僅かでも持ちこたえさせるのが勝利の鍵となろう』

【アドリブOK】
「リベンジと行くか…色々あるしな」
【目的】
・最低限の時間は稼ぐ
・リベンジ+α
【行動】
・戦闘前に、受け流しを使用し回避を上げる。
 効果が切れない様に定期的に使用。

・スティーヴの流星を警戒し、射程2以内の戦闘に努める。
 スティーヴが戦闘エリア(依頼)外に行こうとした時は
 拳銃で魔弾「フルディング」で流星を使用させ引き戻す。
「”逃げるのか?”」

・対スティーヴ
 時間稼ぎとして相手をする。籠手をメイン、拳銃をサブにして戦闘。
 明王練気or魔弾「フルディング」で確実に当て、敵の気を引きつつ挑発+会話で時間を稼ぐ。

 敵の攻撃に対しては、ゼルクに守ってもらう以外は、炎熱幻影『陽炎』で回避を試みる。
 それ以外は、受け流しの回避を底上げした状態で回避。

「ボコボコにされたリベンジだ。アンタも強くなってるんだろうが」
「俺も少しは強くなったんでな…どの程度、追いついたか確かめたい」
「アンタも好きだろ?そういうの、それとも俺じゃ”不足”か?」

◆行動
スティーヴ真南から開始
行動順はcloverの直後に、ウの西、樹木がある場所まで移動
スティーヴへエンディミオンで攻撃、先手を取って味方が包囲形成するまでのターゲットとなる

味方合流以降は盾へ持ち替えそのまま北側へ浸透、鉄鼠へ向かう
常に鉄鼠とスティーヴの双方を視界に入れるよう移動
鉄鼠へ最長射程から攻撃し、引き撃ちしながら後退
鉄鼠とスティーヴの距離を引き剥がすよう立ち回る
立ち位置は同行味方から離れすぎず、いざという時はアリーガード範囲内に収まることを重視

鉄鼠+魍魎×1以上が射程内にいる場合には惑い写す青および支援射撃で行動を妨害
特に魍魎を受け持つアンタレスが必要以上の攻撃に晒されぬよう支援する
上記を満たさない場合はFc召喚し鉄鼠のヘイトを担当、行動を妨害
エンディミオンで鉄鼠の数珠破壊を試みる

スティーヴの月虹警戒し、不用意に範囲内へ入らない
スキル切れ時槍で攻撃

  • 必殺ビンタ
    アンタレスla2909
    放浪者20才|グラップラー×スピリットウォーリア

「前回はやられたけど今回はやりきってあのバカに目に物見せてやるわ!」

【行動】
魍魎アの直下から開始
軽功使用しイとウにイルカ銃と神銃で攻撃し気を引きつつ先行して孤立し魍魎を引き付ける
引き付けたら鉄鼠からは離れスティーブ(以降Sとす)からは少し近い位置まで誘導して攻撃を開始

回避しつつ敵の目を衝いて潰す、膝を潰すなど回復される前提で少しでも行動に支障が出そうな部位を攻撃、傷ついた無理な体勢からも反撃は来るので気を緩めず
距離はなるべく全ての魍魎を近きに置き自身から味方へ目標を移す敵を最優先で攻撃し常に自身へ気を引き付けさせる
無視して他へ向かう敵に疾風使用し連続で攻撃

鉄鼠のBSは防御低下は無視、継続ダメは複数掛かったら味方に解除要請

S乱入して危険時は幽隠で回避しつつ味方の援護を待ちつつ纏めて相手する
月虹を受けない様味方とはSを挟んで別方向へ
魍魎がいれば足場や肉盾かわりにSの攻撃を避けたり受けさせたり活用
Sが強化状態で味方が押されている場合、旋嵐で特定の変調のみを消して有利に運んでいる場合は軽功で接近し活殺で変調をすべて解除

  • 小さきアトラス
    佐和 千昂la3236
    放浪者12才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

そういえばこの人()最初は日本で見たんだっけ
その時に乗ってた船は無くなった筈だけど…
(カピバラスに乗ったり服を頭に括り付けて泳いだりして海を渡るスティーヴを想像)

魍魎・スティーヴ対応
事前にフィールディング使用
初期には最前に立つ人から少し斜め後ろ程度で
なるべく敵の範囲(3)に一度に巻き込まれ難く孤立もしない距離を保ちつつ動く
スティーヴは戦闘馬鹿かもしれないけど単純馬鹿じゃない
日本まで来たのも知識と経験の為っぽいし
火力のみで押すよりも多彩なやり方をした方が興味を引いておけるだろうか?

敵が強化されるリスクはあるけど地味に嫌がらせ的に
なるべくなら両者複数を巻き込んで以前に対した時には自分は使わなかった青
距離に依っては嘘を使用(使用の際は注意を引かないよう無言)
両方を巻き込めない場合は青はスティーヴ、嘘は魍魎を主として使う
こっちにだけ能力低下を付与されるのは癪という訳でも無いけど
不能系やダメージ系とは違い影響度合いがすぐにはわかりにくい変調に対して
すぐに解除するか大して影響は無いと無視するか見ておきたい
以前使われた時は解除出来ない以前に気にしてない感じだったけど今度は?
特に命中を下げることが出来ていれば攻撃力が強化されても
急所に上手く当たらない回数が増えてくれれば時間稼ぎが多少は楽になる
その合間に銃に持ち替え引きつけ役に集中している魍魎を攻撃

  • 羽ばたく導きの鳥
    白野 飛鳥la3468
    放浪者21才|グラップラー×セイント

「簡単に潰されない……潰されてたまるか

○行動
初期位置最前線
事前に来栖さんのリフレクトキャッスルをかけてもらう

15T引き付け及び可能な限りの戦闘不能者0目標
自身は対鉄鼠を基本

基本
敵の動向把握(視認出来る位置
敵攻撃及び味方範囲攻撃は可能な限り回避
判明事はインカムで連絡
接近戦は日本刀
距離有時和弓やセレブロを距離に応じて使用
味方とフォローし合える距離意識
味方、特に対応敵同じ人のリロード中は援護
生命5割以下或いは残り1~3撃で倒れそうな場合にヒールや赤蛍火使用
防御低下優先でホーリーライト(継続ダメージも一緒にかかっている場合はこちらも解除

対鉄鼠
セレブロや和弓等で誘き寄せスティーヴらから遠ざける、或いは知覚射撃等で離れたところを日本刀込みで攻撃、押しとどめる(スティーヴへの流れ弾に注意
可能な限りスティーヴ・魍魎班と離れた位置取りを目指す
数珠の個数確認及び残数確認
数珠の破壊試みる
(1つ外れたという描写より無くなれば少なくとも継続ダメージの方の発動影響?)

対スティーヴ及び魍魎
飛び込んできた場合背後に注意しつつ回避
日本刀で応戦しつつスティーヴ・魍魎班到着まで耐える
到着後は再度鉄鼠引き離し鉄鼠相手

(スティーヴがどこかに向かいそうな時対応者いない場合和弓やセレブロで攻撃、流星発動させて引き寄せる


 第一陣からの情報が、EXISインカムを通じて絶えず流れてくる。
(前回の借りを返したい所だが、作戦成功の為に最善を尽くすとしよう)
 シオン・エルロード(la1531)は酒池肉林を駆けながら、自分のとるべき位置を選び出す。
 味方を守り抜ける位置を。状況次第では、スティーヴの行動を妨げる位置を。
「背中は私が護ります。1人でも多くの方が、立って居られるように支えます」
 『桜東の風』――よりそうこころ。
 来栖・望(la0468)の想いは深切の風となり、周囲の仲間たちを護り包み込んだ。
「ありがとー、望おねーさん! いいね、桜の香りっ。テンションあがるー!!」
 前方を行くclover(la0874)が、元気よく左手をブンブン振った。
「護りは万全っ。脚が綺麗で健康的な巨乳美女のエルゴマンサーとのプレイ、張り切っていくよーー!!!」
(えっ)
(えっ)
(えっ)
 息まくcloverの、それは誤情報であると誰もが思ったが、様々な考えからその場での訂正は控えられた。
 もしかしたら実の姿はそうなのかもしれないし、いたいけな少年の希望をここで折るのは如何かと思ったし、あながち間違ってはいないかもしれない。
「そうですか」
 流れを読まぬタイミングでマクガフィン(la0428)が言葉を音にしたので、更に動揺が走る。
(話は聞いています。人を喰ったそうですね)
 人が魚や野菜を食すように、ナイトメアにとって必要な行為である、とはいえ。
 それを防ぐのがライセンサー、すなわち『英雄』の役割であり、彼らが英雄であるよう動くことが、この世界における『マクガフィン』の任務であれば。
「少し、離れます」
 軽功で機動力を上げたマクガフィンは、本隊から距離を置いたところへ初動位置を定めた。
 あらゆる『万が一』を想定し、いつでも対応できるよう。
「魍魎も鉄鼠も……スティーヴも。わたしたちの想定通りに動くとは限らない、のだわ」
 マクガフィンの行動へ理解を示し、アルバ・フィオーレ(la0549)は最前線で盾を構えてcloverとは逆サイドである東側を固める。
 アルバの寿命は、カウントダウンを始めた。その繊細な手からは触覚が喪われている。
 それでも、意志は確りと在る。
 盾に手を括りつけ、押し進む。
 どんな横槍が入ろうとも、全身で食い止め全身で仲間を護る。盾も、回復もこなしてみせる。
「……ん、倒せない相手、めんどくさい」
 こちらが火力をぶつければ興味を持つ、というわけでもないようで。
 七瀬 葵(la0069)は先の戦いを思い返して呟きを落とした。
 爆炎一発で蒸発しちゃえば、早いのに。
「……ん、使えるのは、火力だけ、じゃない」 
 攻めるだけが能力ではなく、守るだけでもなく。
 葵には葵の、戦い方がある。今日は、それでいく。
「前回はやられたけど、今回はやりきってあのバカに目に物見せてやるわ!」
 煮え湯を飲まされた。アンタレス(la2909)から悔しさが消えることはない。
 軽功を発動し、中央よりやや西側に位置を。
 その真っ直ぐ先には魍魎が1体いると、情報が入っている。
(避けるだけがスタイルではないのよ)
 これまでの交戦で、アンタレスの能力に魍魎が全くついてこれないことは把握している。
 あれから更に肉林を喰らって超強力化している可能性もあるが、動作の基本に変わりがないなら彼女の『敵じゃない』。
 かといって、躱すだけでは彼らにとってもまた『敵として認識されない』、スルーされる可能性もある。
 確実に引付け、時間を稼ぐには手立てを講じる必要がある。
「お願いね。……気を付けてね」
「ええ」
 自分たちには策がある。とはいえ。
 ムギホ・イイヅカ(la2846)が、アンタレスへ案じる声を。アンタレスは余裕の笑みで応じた。
 こちらにしてみれば、ムギホの行動こそ心配――いや、初手に限って言えば心配は不要、だろうか。
 ムギホと肩を並べるcloverへ視線を移せば、頼もしいサムズアップが返ってきた。
(そういえば、あの人(仮)……最初は日本で見たんだっけ。その時に乗ってた船は無くなった筈だけど……)
 佐和 千昂(la3236)は、関西の地方都市で起きた戦いを思い起こしていた。
 ――便利な船を分けてもらって、あちこち巡ってたんだ
 その船は、エンジン部分が故障し乗り捨てられていた。
 ほどなくして次に姿を見せたのは東京・お台場。なぜかカピバラ的ナイトメア・カピバラスに乗って。
(…………)
 少年は、カピバラスに乗ったり服を頭に括り付けて泳いだりして海を渡るスティーヴを想像してみる。
 東京から中国内陸部までは、さぞ長旅だっただろう。
(船よりは便利なのかな、カピバラス)
 水陸両用のナイトメアを得たから、船は不要になったのだろうか。
 いや、たぶん考察すべきは今そこじゃない。我に返り、千昂はフィールディングを発動して守りを固めた。
「簡単に潰されない……潰されてたまるか」
 白野 飛鳥(la3468)は桜東の風を纏い、これまでの戦いを振り返る。
 痛打を浴び続けた。苦い記憶だ。しかし、それを理由に逃げたくはない。幾度でも立ち向かおう。
 飛鳥だから、できる戦いがあると思うから。刀のような、しなやかさと鋭さをもって、今一度戦いを挑む。
「ええ。私たち、それぞれにできる戦いがあると思う」
 狙撃手として腕を磨いてきたソレイユ・フラム(la0139)にとって、遠距離攻撃へ即座にカウンターを決めてくるスティーヴは相性が悪いと感じていた。
 中距離での立ち回りを得手とする飛鳥も然り。
 けれど、戦場の敵は彼だけではない。
 脅威はエルゴマンサーだけではない。
(待っててね、ネージュ。……必ず生きて帰るから)
 ソレイユの脳裏に、フランス語で『雪』と名付けた白い子猫の姿がよぎる。
 初めて、自分の責任で世話をすると決めた存在。小さな命。
 そのぬくもりを再び抱きしめるまで、ソレイユは倒れるわけにはいかない。
「リベンジと行くか……色々あるしな」
 ソレイユへ呼応するように、ネムリアス=レスティングス(la1966)は戦闘態勢を整えた。
 受け流しを発動し、仮面の青年は刃を構える。
 初戦では、狙撃手として痛い目を見た。
 雪辱を晴らしたいと考えていた頃に、とある姉弟と出会った。
 それは奇妙な縁で――縁が、導いているのだとしたら。
 そろそろ、こちらへ流れが来てもいいはずだ。
 せめて、あの2人をこれ以上は悲しませない為に。


 黄金の樹木が微かに揺れる。
 自分たちの到着に気づいた先発隊が、東西に散開し撤退したのだ。
 ――あとは頼んだ!!
 インカム越しに声が届く。
 樹木の向こうには、傷一つないナイトメアたちの姿があった。




 見知った顔を確認したスティーヴが軽く目を見開く。
 その間にも、cloverは一気に距離を詰めた!
「脚が綺麗で健康的な巨乳美女のおねーさんじゃないッ!!?」
「へ!?」
 そんなことを叫ばれ接近されたら、誰でも動揺すると思う。
「──あなたは、けものなんかじゃない。人を喰らう、鬼だ。バケモノはバケモノらしく、暮明にいないとね?」
 cloverと軌道を同じくしながら、スティーヴと正対したムギホが魔杖より攻撃を放つ!
「びっくりした、俺の耳がバグったかと思った。まっとうな罵声があってよかったー」
 スティーヴの表情が強張ったのも一瞬。
 攻撃には即座に反応し、エネルギー波を右手で軽く往なしてから浅く息を吐いた。
「蹴り技が華麗で健康的な胸筋のおにーさんだったね、残念!」
「当たらずとも遠からずだった……? あっ。純情可憐なクール美少年のclover君でっす、よろしくーっ」
「スティーヴおにーさんでーす、よろしくー」
「んー……スティーブ……すてぃ……す………あっ、すっちー!」
「今はフライトアテンダントって言うんだっけ」
(これだけで1時間は稼げる気がするなぁ……。そうもいかないだろうけど)
 のんきな会話を展開するcloverとスティーヴを眺めて、ムギホは毒気を抜かれそうになる。
 刹那、西側の樹木が一斉に揺れた。アンタレスが駆け抜け、スティーヴの背を通し東側の魍魎へ弾丸を放つ!
 それを皮切りに、にわかに戦場が動き出した。
 黄金樹木の向こうから、輪から外れた数珠の1珠が飛んでくる。
 金色のそれはムギホ達のすぐ西側で爆発し、範囲にはアンタレスも含まれていた。
「なるほどね……っ」
 金色の光による攻撃は回避した。けれど、シールドが侵食されている。アンタレスは顔をしかめた。
(先に動かれた! ……でも、今からでも少しでも減らせるなら)
 飛鳥は武器を和弓に持ち替える。
 霧のせいで視認は難しいが、攻撃の放たれた位置から逆算して最長射程で、狙いを定める。
 穿つは鉄鼠の『数珠』。爆発攻撃を放つたびに1つ消費するのなら、数珠を破壊してしまえば技を繰り出せなくなるのでは。

 ここで、『数珠』に関する豆知識を披露したく思う。
 起源は諸説あり、現在は宗派によっても様々であり、何をして『本来』と語るかは難しいけれど。
 本連数珠:108珠
 数珠は108つの珠から成るものが基本で、簡略化し片手で持つ場合には54、42、27、21、14で作られるという。
 現代では伝統的な数にこだわらずに作ったり、そもそもナイトメアが律儀に則るかといえば話は別であるが。
 何を言いたいかというと。

『珠を破壊できても、際限がないのかしら……?』
「そうかもしれませんね……」
 数珠そのものを破壊するなら、狙うべくは珠ではなく繋ぐ糸。その難度を考えれば眩暈がする。
 霧の影響で、30m以上離れてしまうと狙いもつけにくい。
 胴体など的を大きくした方が、当てるだけなら意義はあるだろう。
 ただ、攻撃起点である数珠を狙い続けることでストレスを与えるという意味では、単純な攻撃より効果的か。
 手ごたえを訊ねるソレイユへ、飛鳥が考えを伝えた。
『そうね。ねじ伏せる必要は、ないのよね。振り回されないで行きましょう』
 飛鳥の初動が早いお陰で、ソレイユは冷静さを取り戻す。
(急がなきゃ。白野さんに追いついて、鉄鼠をこれ以上は好きにさせない)
 一歩、大きく踏み出したところで――周囲の霧が、大きく震えた。ように感じた。

「あれ……?」
「すっちー、こういうのハジメテだったりする?」
 他のライセンサーが接近する前に。
 今まで、さんざん魍魎を使い物にさせなくしていたアンタレスが気にならないではなかったが、眼前のムギホを潰しに掛かったスティーヴは、その攻撃をcloverが受け止めていることに純粋に驚いていた。
 作戦はシンプルだ。
 『ほぼほぼ確実にムギホが狙われる状況』を作り上げた上で、これでもかと防御を盛ったcloverによるアリーガード。
 場が混戦であれば、範囲攻撃を放ったかもしれない。
 しかし、まだ集ったのが少数で。
 看過するには深く入り込んでいて。
 なおかつ真正面から殴ってきた相手がいるわけで。
 ――誰を狙う?
 ――ムギホでしょ?
「女の子に手を上げようとするなんて、すっちー最低っ!」
「俺が最初に喰ったのはロシアの軍人」
 力と力のせめぎ合い。スティーヴの一撃は非常に重いが、cloverも男の子だ、耐えてみせる。
「それで格闘術ってのを知って興味をもってさ。近接格闘を身に着けてる奴らを片っ端から喰っていった」
 三撃目。これも、cloverは耐え抜く。
「女にも、強い奴はいる。たくさんいる。男だから女だからってのは、相手に失礼だと思うよ」
 振り切った脚を戻し、スティーヴは満更でもない笑みを浮かべた。
(シアとシェンファには……会わすことは出来ないかな)
 ムギホは話を聞きながら、スティーヴの擬態主の従姉弟である姉弟を思った。
 彼女たちは従兄の『スティーヴ・ロウ』の消息を案じていた。
 そして、彼が捕食され『エルゴマンサー・スティーヴ』となったことも知ってしまった。
 姿だけでも一目、残っている記憶の欠片でも、なんて夢も希望も許さない姿が、ムギホの前にある。
(バケモノだ)
 わかっていた。再認識した。何一つ容赦はいらない。




 変調攻撃を仕掛けてくる鉄鼠。
 集中攻撃がわずらわしい魍魎。
 エルゴマンサー・スティーヴ。
 この三種を、如何に相手取るか……分断し、各々の得意とするフィールドへ引き付けるか。
 それが今回の作戦の軸とされていた。
 鉄鼠は、攻撃を仕掛けた相手を狙いやすいという情報から、飛鳥やソレイユがアプローチを試みる。
 魍魎はスティーヴを中心に見て東西に分かれているため『孤立した敵を狙う』特性を引っ張り出すのはやや難儀するだろう。
 スティーヴの抑え込みに専念する仲間を妨げない形で、魍魎の動きを鈍らせることが望ましい。
(……で、良い、はず)
 葵は事前の作戦と現状をすり合わせ、魍魎が動き出す前に術式を発動する。
「……ん、倒せない、なら、動けないように、する」
 魍魎は、まだ動き出していない。
 単純な距離で言うと、鉄鼠を追った飛鳥が東側2体の近くにいる。
 『魍魎は、孤立した対象へ複数で襲い掛かる』という習性は、この場合どう動く?
 眼前の飛鳥を放置して、遠方のアンタレスを狙うだろうか?
(めんどくさい)
 瞬間瞬間の判断を要される戦場で、葵は迷いを6文字で切り捨てた。
「伍式魔導弾改装填。詠唱式読込、術式展開。影腐弐式、起動」
 葵がツイと指先を伸ばす。展開された多重円形魔法陣から無数の黒鎖が射出し、東側の魍魎たちに絡みついた。
 手ごたえあり。
「そのまま、抑えを頼むぜ!」
 黄金の景色の中、蒼炎が疾走する。
 中央ラインを突っ切り、魍魎の横をすり抜け、cloverたちをも追い抜いて、
「ボコボコにされたリベンジだ。アンタも強くなってるんだろうが」
 一瞬にしてスティーヴの懐へ入り込んだネムリアスが、爪翼による鋭い連撃を繰り出した!
 同じ速度で、腕の内側をスティーヴが裏拳ではじく。
「いいねぇ、遠くからコソコソ撃つだけが能じゃなかったんだ」
「狙撃も立派な技術であって戦術よ!!!」
 スナイパーというジョブを侮辱されたと感じたソレイユが、心外とばかりに声を飛ばした。
「そうそ。その『戦術』を、わざわざ外したんだよな。へえええ」
「……俺も少しは強くなったんでな……どの程度、追いついたか確かめたい」
 含みのあるスティーヴの返しへ、至近距離でネムリアスが睨みつける。
「うふふ、この間はどうも。悔しかったからリベンジに来たのだわ」
 花のように柔らかな声が、スティーヴの鼓膜を揺らした。
 金から春色のグラデーションを描く髪先を揺らし、アルバが側面すぐへ回り込む。
 スティーヴの背を襲うように。あるいは他のナイトメアとスティーヴの合流を遮るように。
「今度は私と踊りましょう?」
「俺、もしかしてモテ期きてる?」
 おそらく:かなり。方向:殺意。
 周囲で魍魎が動き出した。最北の1体はアンタレスを。
 移動力を抑え込まれた東の2体は、槍から立て続けに雷撃を放ち飛鳥を襲う。
「白野さん、大丈夫!?」
「直撃したのは1つだけです、ソレイユさんはそのまま鉄鼠を狙ってください」
「わかったわ!」
 消し飛んだ樹木を越えて、ソレイユはリボルバーを構える。
 近づくほどに、霧の妨害が薄れてゆく。
 よく見えてくる、敵の位置も。味方の位置も。
 ――魍魎に狙われないように
 ――直線攻撃を誘導しないように
 ――エルゴマンサーの射程に入らないように
 ――背後を取られないように
 そんな都合のいい場所なんて、どこにもない。
「要望の欲張りパックは、集中の妨げになるわね……」
 心がけは大切だが、縛られすぎてはよくない。
『俺たちがいることを忘れてもらっては困る。存分に力を発揮するがいい』
『後ろを信じてください』
 シオンと望の声が重なって届く。
「ありがとう……、私はここよ!!」
 移動攻撃で位置を変えながら、ソレイユが鉄鼠の手元を狙撃した。
 数珠の珠が1つ弾け飛ぶ。
「この場は俺が請け負う。回復はしてやれんが、2人へ攻撃は届かせない」
 飛鳥とソレイユを、スティーヴから守る位置にシオンが到着した。

(スティーヴは戦闘馬鹿かもしれないけど、単純馬鹿じゃない。日本まで来たのも知識と経験の為っぽいし)
 交戦状況を頭に叩き込みながら、交戦の記憶を手繰りながら、千昂は敵の次の手を考える。
 『盾による防御を持たない相手』『攻撃対象は自分以外であっても、驚異的な攻撃力を持つ相手』これらを優先的に狙ってきたように思う。
 結果論ではあるが、いずれもいわゆる『狙撃手』が多い。
 酒池肉林内のナイトメアを倒せないという前提なら、自分たちが火力を発揮する必然性は乏しい。
(それなら、物珍しい攻撃をする相手はどうだろう)
 火力のみで押すよりも、多彩なやり方をした方が興味を引いておけるだろうか?
 スティーヴの真正面をムギホとclover。側面をネムリアスとアルバが抑え込んでいる。
 西側後方には葵。
 葵の位置よりやや東寄りへ進みながら、千昂は戦線中央へ薄い水の膜を張り巡らせた。
 東の魍魎も範囲に含むが、効果は全て外れる。
(抵抗……少し、上がってるのかな)
 自分が仕掛けたことに、スティーヴは気づいているだろうか。気に留めるだろうか。
 持久戦は、幕を開けたばかり。




 甘ったるい霧の香りに、ヒリヒリした殺気が混じる。スティーヴは口角を上げた。
「『リベンジ』、ね」
「アンタも好きだろ? そういうの。それとも俺じゃ『不足』か?」
 退屈はさせないからよ。
 ネムリアスが動きを見せる、それより先に。スティーヴの背後から鉄鼠が飛び出てくる。
 ソレイユ・アルバ・ネムリアス・ムギホ・cloverを範囲に含め、拡張した数珠を鞭のように旋回した。
「そーだね。『好き』に、したらいい。俺とアンタらとは目的が違うだろうさ」
「目的?」
「俺にはこのインソムニアを守る義務はないし。ちょっと気に入ったから置いてもらってるだけでさ」
 置いてもらってる義理で、大事にされているものくらいは守る。郷に入れば郷に従う。
「肉林ひとつひとつの顔なんて覚えちゃいない。アンタたちにとっては、それがどれだけ大事であってもね」
「……へえ」
 目くらましの小さな突きから入る連撃を、ネムリアスが躱しきる。とはいえ、風圧でシールドがいくらか削られた。
(……肉弾戦を得意とするエルゴマンサーは初めて相対します)
 その様を、望は目に焼きつける。
 動きに無駄はなく、技の繰り出しが速い。予備動作からの予測は難しい。
 対するネムリアスの動きも俊敏であるから、シールド回復のタイミングは重要だと感じた。
 いつでも動けるよう、支えられるよう、彼らの応酬を見守る。


(い、……たくない、のが余計に腹立つんだけど)
 事前情報通り、鉄鼠の攻撃そのものに威力はほとんどない。
 ムギホは回避こそできなかったが充分に受け止め切れたこととシールド能力が下がったことを感じ取る。
『……ん、次手。結界展開。庭を、目指して』
「そうさせてもらうよ」
 葵からの通信は、セイクリッドガーデン発動予告。位置情報は敵に気取られないメッセージで。
 ムギホは盾に持ち替えながら指定箇所へ移動、東側の魍魎たちも含めて惑い写す青を発動する。
(あ、掛かった。抵抗値は、圧倒的上昇ってわけじゃないのかな)
 後方から全体を視界に収めていた千昂が、スティーヴの瞳が赤化したことを確認。
(回避してもシールド削られるくらいだし……火力に特化してるのはあるかも)
 cloverは三連攻撃を受け止め切った。
 ネムリアスは回避しても風圧で削られた。
 防御と回避、得意分野の違う二者からなんとなく浮かび上がるものがある。
 敵が常にすべて、全力を出していればの計算だが。
「防御低下と継続ダメージ……重複すると厄介ですね」
「思ったより、ここの回復効果も大きいよ。何が狙いなんだろうね、気味が悪いや」
 飛鳥はスティーヴを警戒しながら立ち位置を変え、ムギホに掛けられた変調をホーリーライトで解除する。
 継続ダメージに関しては、酒池肉林の回復効果で多少の相殺を見込めそうだ。
 が、それを当てにしていれば防御低下による集中攻撃で大打撃を受けかねない。
 対鉄鼠班も体勢が整い始めてきた。自分たちへの攻撃が、スティーヴを抑え込む仲間達へ及ばないように動くことが肝要と考える。


「聞こえてるか」
 言いながら、ネムリアスが連続攻撃を繰り出した。
「シアとシェンファは、此処には来ない。俺達が止めたからな……」
 まるで組手のように、教本のように、両手の刃は柔らかに往なされる。届かない。折り込み済みだ。
「だから、安心しろよ。あの2人は、こんな紛い物の救いなんかに頼らず前に進めるからさ」
「聞こえてる。ずいぶんと気にするんだな、あの姉弟がなんだっていうの?」
「『喰われた方』に言ってんだよ!」
 その綺麗な型は、どうやって習得した? 鍛えられた体は?
 持ち主の魂は、本当に体を離れてしまったか。
 ネムリアスの叫びを、エルゴマンサーは鼻で笑った。
(んー……ライカとは真逆で、どっちかっていうとエルザナ寄り?)
 庇える回数は限られている、状況を読みながらcloverは過去の交戦経験を引き出して敵の能力や思考パターンについて考えていた。
 たぶん、遠距離攻撃を使うくらいなら自分で飛んでいった方が早いタイプ。
 だから――……
「忘れないで。忘れないわ。魂に刻まれた色は消えないのよ?」
 好きにさせない。
 側面から、アルバがインパクトウォールを叩き込む!
「肉体を失ったら宿ってるものは消えるだろー。よくわかんないけど」
 俺の中にもそばにも擬態主はいないよ。記憶はあっても奥底に沈んでる。
 精神論が全く通じない相手は、盾によるプレスを片足を引くことで威力を和らげた。


 動きを鈍化させられた東の魍魎が、飛鳥たちへ雷撃を飛ばす。
 シオンが盾となり、距離を詰めた望の雨雫が降り注ぐ。
 ソレイユは絶え間なく鉄鼠の手元を狙撃し、そのタイミングで葵がセイクリッドガーデンを展開する。
「数の有利を失う訳にはいかぬ。僅かでも持ちこたえさせるのが勝利の鍵となろう」
「私達は簡単には倒れません、そして私が倒れさせません」
 振り向かずともわかる望の声だ。シオンは口元に笑みを浮かべた。
 西のアンタレスは槍による突進を避けながら、勢いを利用して獣爪で視界を潰す。
「痛覚ってどうなってるのかしらね? 視覚は? 一瞬でも暗転する気分はどう? 何度でも体験させてあげる」
 ワタシと遊んでくれるかしら。
 冗談めかした言葉で、宝石のような赤い瞳で、アンタレスは戯れるように魍魎を相手取る。
 他2体は葵が移動力を大幅に下げているので、ここまでは来れない。それはそれで充分な結果だ。
 ナイトメアたちをスティーヴから引き剥がし、あのバカを相手取るメンバーが不要な危険に晒されなければいいのだから。
(きれーなおねーさんは、全てを許される……)
 幾度も幾度も幾度も幾度も、折って潰して踏み抜いて。
 自身は傷一つ負わぬ女性の姿を見て、cloverは何かに目覚めそうになった。




「これは効くかな」
 解き途絶える嘘。リジェクションフィールドに干渉する技。
 千昂が声を発すると同時に、スティーヴと目が合った。
(……気づいた? 来るかな)
 ナイトメアが超回復する酒池肉林では、防御低下なんて向こうには痛くも痒くもないかもしれない。
 でも、鬱陶しいかもしれない。
 そもそも低下していることすら気づかないかも――と思っていたが、少なくともエルゴマンサーは認識しているようだ。
 現時点で、スティーヴが遠距離攻撃を所持しているという情報はない。
 範囲攻撃をその場で繰り出しても千昂には届かない。
 この場合の、判断は――

 瞳が緑へ戻る。ただし、宿る殺気は深くなる。脚に力が籠められる。

 黄金の景色の中、黒が揺れる。
 アルバの壁を抜いて距離を取ろうとしたエルゴマンサーの首筋に、ヒタリと小太刀が当てられた。
「――お前は、邪魔ですね」
 英雄が英雄である為には。
 『彼ら』が務めを果たす為には。
 敵種ごとに引き寄せようにもままならない混戦状態にあって、機動力を維持し遠距離から状況をとらえ続けていたマクガフィンは、風より疾く動きを見せた。
 もしもスティーヴがあと一歩、深く踏み出していたら小太刀が皮膚を裂いていただろう。
「視線と手数が合わないと思った」
 スティーヴは両手を挙げるしぐさを見せてから、マクガフィンの腕を内側から突いて武器を外させる。バックステップでわずかな距離を取る。
 間髪入れず、マクガフィンは装束の裾から拳銃を取り出す。
「お前は喰いごたえがありそうだ。……思い出した。日本で、物陰から付きまとい続けてた女だ」
「すっちー、言い方ってあると思う」
 どん引きしながらcloverは呟いた。
「お前もリベンジか? 結局は一発で沈んでたもんなあ。あの蒼いのみたいに、少しは避けれるようになった?」
 マクガフィンは、言葉の一切を発しない。敵の判断材料を増やす気はない。
(これだけで更に1時間は稼げる気がするな……)
 逃走するかと思ったら、そうでもないのか。マクガフィンへ興味を抱いたのか。
 ネムリアスは脱力しそうになるのをこらえつつ、スティーヴが足を止めた隙に抑えへ向かう。


 スティーヴの移動に伴い、鉄鼠が北へ意識を向けた。
「させるか!」
 飛鳥が『黒帳』を抜いた。黒い刀身は、拡張しかけた数珠の繋ぎ目に入る。
(切れないっ、けどっ……!!)
「白野さん、そのままでいて!!」
 銃から爪翼へ装備を切り替えたソレイユが、数珠への攻撃に加勢する。
 飛鳥の刀が繋ぎを、ソレイユの爪が珠を強く引く。
「もうひと押しかなぁ? それが千切れたら、どうするんだろうねぇ」
 ソロモン72柱の悪魔は序列41位、『Focalor』。
 ムギホの召喚術『Fc』が、鉄鼠自体を下へ強く強く引き込む!
「これで最後だ」
 数珠が、弾けて飛び散る。その威力全てを、シオンが引き受けた。
「……ふん、大した敵ではないな」
「油断はなりませんよ」
「わかっている」
 望が天啓を発動し、周囲の味方に掛けられた変調を一気に解除する。
(敵の耐久値は底上げされている。状況により守りを捨てて来るはずだ。数珠という武具を失い、鉄鼠はどう出る?)
 スティーヴの動きは、マクガフィンの加勢によりほぼ確実に抑え込まれた。
 藪をつつかぬ限り、こちらへ飛び出してくる可能性は低い。が、皆無でもない。
 この場を護る『盾』として、シオン・エルロードは顔を上げあらゆる状況へ備えた。


「真経津鏡、展開」
 ナイトメアたちの中では鉄鼠が頭一つ抜けた知能らしい。魍魎の行動はそのままで、結果的に孤立した形となった葵に文字通り矛先が向けられる。
 『対知覚障壁展開装置【日像鏡】』を前に、集中攻撃も涙ぐましい程度の威力。
「なんか、因果な銃だよね」
 『流星(ミチオール)』という名の狙撃銃へ持ち替えた千昂が、葵とは別角度から魍魎に攻撃を仕掛ける。
 これでスティーヴを攻撃すれば、流星が飛んでくるわけだ。
「向こうから距離を取ってくれたみたいだけど……わざとなのかな」
 他のメンバーが狙撃をするよう仕向けてる?
 ……ライセンサーだって馬鹿じゃない。
 襲われるとわかっていて仕掛やしない。
(僕たちの目的は、撃破じゃないんだし)
 千昂は最後の『惑い写す青』を発動し、魍魎たちを包み込む。
(全く効かない敵じゃない、命中率を下げるのは有効だね)
 倒せないとわかっている以上、ただダラダラと戦っても仕方がないので。
 再びの遭遇に備え、集められる限りのデータを集めることが有益であると少年は考えている。




「あなたの蹴りで私を踏みつぶせるかしら? 勝負なのだわ!」
「あっぶなーい!! 今日の俺はいつもよりいい声だから、惚れてくれても……あ、やっぱいいです」
 アルバの護りは強固だとわかっていても、眼前で綺麗なお姉さんが襲われるのを眺めっぱなしは美少年として嫌なんです。
 アルバへ振り向いたスティーヴの周囲に白い桜の花弁が舞う。エイカ【徒桜】が見せる、cloverが咲かせた幻想の花。
 蹴りのモーションの最中に、瞳が鮮やかな赤へ変化する。
 注視によって意識を妨げることはできず、変調を受けた効果のみが上乗せされる。

「これがワタシの仕事であって、それ自体に全く不満はないしきっちりこなせることは確かだから喜んで引き受けるけれど、それはそれとして今日という日は一発くれてやらないと気が済まないのよわかるでしょう?」

 一息にまくし立てて、魍魎をすり抜けアンタレスが割り込んだ。
 一瞬という名のスクエアが占有過密状態である。
 白い小さな手が、鞭のようにしなる。
「薬毒同源。たっぷり味わいなさい」

 パァン!!!

 実に良いビンタ音が、戦場に響き渡った。




 スティーヴを北側へ移動させ、ほぼ完全に近い形で『自由にさせなかった』功績は、非常に大きい。
 その様子は通信機から救助班にも共有され、彼らは落ち着いて任務にあたることができた。
 また、各種ナイトメアを分散させていたことからも後続班がスムーズに対処をスタートするに至る。

 ライセンサーたちは、後続班や救助班からの報告を受けながら、明るい表情で黄金の景色を駆けていた。
 誰一人、欠けることなく。
 誰か一人でも欠けていたら、きっと為しえなかっただろう成果をもって。
「全員無事か。何よりの戦果だ」
「ええ。ですが、まだ、終わりませんよ。このインソムニアを壊し、囚われた人々が解放されるまでは」
「わかっている」
 シオンと望は、視線を交わして表情を和らげた。
「木の枝や葉は……特別な効果は何もないのね」
 軽く齧り吐き出してから、アンタレスは『酒池肉林から出ると消失した』という報告の意味を理解する。
 折れた枝も、感触はあるけれどバルペオルによる高度な幻覚なのだろう。
 目には見える。見えてしまえば、触れると考える。その先入観から、きっと。実際は当人が知るところだろうけれど。
(匂いも、視覚も……ワタシたちの意識へ働き掛けているってこと?)
 今、仮定できるのはここまで。
(少し前までは回避も白兵戦も苦手な方だったけど……ようやく、実戦でも通用するぐらいにはなれたかしらね)
 ソレイユは、近接戦での感触を幾度も思い起こしていた。
 後顧の憂いなく専念できるよう、シオンや望のサポート、飛鳥との連携があったから本来以上の力を出せたとも思っている。
 でも、それが自分の中に眠っていることを知った。
「……よかった。よかったです」
 飛鳥が、かすれ声で。並走しながら、ソレイユが何度も頷いた。
「リベンジ、できたかしら?」
「にっこにこ笑って、手ー振ってたけどな。今頃、外に出てまで奪い返してた人間たちが続々と救出されてんの。アイツ気づいてないぜ、きっと」
 アルバへ、ネムリアスが笑い交じりで答える。
「助けられりゃ良いんだよ……。大事なのは、命だ」
「そうね……」
「……ん、次、は、蒸発させる」
 人々を多く救出できれば、酒池肉林内のナイトメアたちの超回復を止めることができるかもしれないという。
 敵の動きを止めたり耐えたりばかりでなく、今度こそ葵の得意分野たる火力至上でサクサク進められるのではないだろうか。
(蒸発しそう)
 心の中で、cloverがウンウンと頷いた。
(無事に……凌げたんだ)
 使うことのなかったロケットランチャーを背負い、ムギホは肩透かしを受けたような、何とも言えない感情を抱いていた。
 いざとなったら、これでスティーヴを引き付ける覚悟をしていた。重体になろうが構わないと思っていた。
「皆様は、英雄ゆえに。作戦を無事に後続へ繋げたこと、安堵致しました」
「えいゆう?」
 複雑な表情をしていたムギホの耳元で、マクガフィンが独り言のような言葉を落とした。
 マクガフィン。そうだ。彼女だ。彼女が。
「情報を集めるなら、大人数が良いですよね。たぶん」
 救出班が向かっている方向には、こちらとは全く違うナイトメアが出現しているというから、酒池肉林攻略戦ではどんな敵をどれだけ相手にするかはわからないけど。
 データを整理しながら、千昂がやはり独り言のように。
「あのひと(仮)は、しゃしゃり出るんじゃないですか? インソムニアを守る義務はないけど肉林を守る義理はある、なんて、どっちなのってこと言ってましたし」
 アリアドネ作戦が、結果的にスティーヴのメンツを潰す結果となったなら。
「日本では関西だったり東京だったり、出没する場所の繋がりは見えませんでしたけど。ここは長いみたいなので、放り出したりしないんじゃないかなぁ」
 だから、きっと、今日の戦いの結果は。
 自分たちが思っているよりきっとずっと、大きな意味を持つんじゃないだろうか。



 魔境に潜む、けもののひとつ。
 それを倒す導きの糸は見えたか。
 逃げるしかなかったこの道を、勝利のために再び進む準備はいいか。
 いつか必ず、辿り着く。
 倒してみせる。
 黄金の景色の中、霧は各所で騒がしく揺れる。



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