オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【銀梅花】煌めく光の中で

【銀梅花】煌めく光の中で 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
恋愛 日常 
参加人数
64~8人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/06/25 20:00
完成予定
2020/07/09 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●華燭の典
 地中海に浮かぶ美しい島国・エオニア王国。その中央付近に位置するノルトプローゼという村がある。そこにリゾート施設ランテルナは存在する。
 ローズガーデンは一年中薔薇を楽しめるが、やはり初夏の薔薇は特別だ。色とりどりの薔薇が咲き乱れるここで、結婚式をあげるのは、恋人達の夢だろう。
「夢の海外ウェディングは、観光事業の大きな売りになるでしょう」
 若き女性実業家のオルハ・バートンはそう語る。
 今のエオニアは豪華な挙式をできるほど豊かな人は少ない。海外から「エオニアで結婚式を挙げたい」というお客様が増える方が歓迎だ。
「豪華な挙式の写真を撮影し、カタログやネットで公開したいのです」
 その為のモデルをライセンサーに頼みたいという。オルハはすまなさそうに頭を下げる。
「……それで、その申し訳ないのですが……あまり報酬がだせなくて。写真が報酬ということでお願いします」
 メイクに着付けに照明にと、撮影だけでだいぶ出費が嵩む。だから無料でモデルをしてくれそうなライセンサーにお願いしようということになったらしい。
 その代わりというわけではありませんが……といいつつ語る。
「もし、正式に挙式をしたいというカップルがいらっしゃったら、スタッフ一同、最高の挙式を演出させて頂きます」
 撮影モデルのお仕事ではなく、希望者がいれば挙式もできる。
 永遠を誓うお二人の記念日を最高の演出で飾りたい。そう言って、オルハは笑顔を浮かべた。


●クラシカルチャペル
 ゴシック風の荘厳な佇まいの石造りのチャペル。伝統的でアンティークな雰囲気を醸し出しているが、作られたのは最近らしい。
 チャペル内はわざと少し暗めに設定され、天上にはステンドグラスの薔薇窓があしらわれている。ステンドグラスから差し込む光が、室内を照らし厳かな雰囲気を醸し出していた。
 椅子や調度品はアンティーク風の木で誂えてあり、ヴァージンロードは深紅のカーペットが敷かれている。


●ガーデンウェディング
 澄み渡る青空と、初夏の薔薇咲く花園に、爽やかな風が駆け抜ける。
 緑豊かな開放感に溢れた、野外でのガーデンウェディング。
 薔薇園の中でも芝生が開けた場所に、挙式用の宣誓台や緑のアーチが設置されている。
 野外だからこそできる、ゲストが風船を飛ばしたり、ライスシャワーやフラワーシャワーも魅力的だ。


 初夏の煌めく光の中で、二種類の挙式プランが用意されている。
 オーソドックスなチャペル式、現代的で流行のガーデンウェディング。
 どちらにするか、モデルの希望次第とのこと。
 貴方はどちらの挙式で、想い出を残したい?

●目的
 昼の部の挙式撮影

※このシナリオは『昼間』限定の撮影となります。夕方~夜がご希望の方は秋雨MSのシナリオへどうぞ!


●場所
 2人1組で挙式風景の写真撮影モデルをしてもらいます。プレで同行者指定をしてください
 場所は以下の3つから1つプレで指定してください

・クラシカルチャペル(略称:古式)
 古典的でアンティークなキリスト教風の結婚式向け。

・ガーデンウェディング(略称:庭式)
 野外で緑に囲まれてあげる挙式。人前式など、宗派を問わない自由な挙式が楽しめる。


●状況
 プレを提出した時点で「撮影をしたもの」と見做します
 写真撮影をメインにしても良いですし、写真を撮り終えた後の、挙式や、ドレス姿で式場デートをメインにしてもOK
 挙式は正式な婚姻も、挙式ごっこも可
 挙式希望者は、演出上必要な場合のみ、スタッフがモブ牧師やモブゲストになります
 プレイングは絞ってやりたいことをしっかり書く方が、描写も濃くなる

 シナリオ内で正式な結婚をしたい。既に結婚してるけどまた結婚式を挙げたい
 結婚にはまだ早すぎるけど恋人と結婚式ごっこしたい。モデルの仕事を言い訳をに意中の人と写真を撮りたい
 単純に美しい景色とドレスの写真を残したい
 どれでもOK
 万が一、お目当ての方と一緒に参加できなかった場合は、相談卓でペアを探して2人1組の写真撮影の仕事をしてください

 お砂糖書きたい、雪芽泉琉です。ジュンブラという事でシナリオ内で挙式できるようにしてみました。
 必ず二人一組で、もしカップルの片方しか参加できなかった場合は、相談卓で一緒に行動する方を探して頂く事になります。
 素敵なプレイングをお待ちしております

▼心情
……モデルの依頼、ねぇ? え? お前だけじゃなくて俺も、か? 仕方ない、なぁ(

▼同行者
幼馴染兼恋人の水無瀬 奏(la0244

▼行動
クラシカルチャペルでの撮影
衣装は、白のタキシードに首から黒い紐に通した銀梅花モチーフのリングを掛けている
「んむ? とても似合ってる、よ(頭を撫でながら

撮影はカメラマンの要求に応えつつ、奏の演技指導にも応えつつ
あくまで自然体で奏を綺麗に撮ってもらえれば俺は満足←
「……はいはい、こんな感じ?

最後に好きなポーズで撮影するといわれて
「んむぅ? じゃあ、迷うけど、お姫様抱っこ、で!(ひょい、とお姫様抱っこして
「……良いかな?

「そうだな? いつかまた今度は本当の結婚式が出来ると良い、な?

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

◆目的
写真撮影
ガーデンウェディング
◆準備
オーソドックスなタキシード、桜壱さんとお揃いのブートニア
髪は正装に合わせて整える
「あー、綺麗だね。よく似合ってるよ」
「あんまり跳ねないで、ちょっとゆっくり歩いてご覧。そうそう、いい感じ」
中身の変わらない様子には微笑ましく思いつつ
髪をちょっと直したりしてあげる
「じゃあ庭の方かな。すごく綺麗だったし!」
◆行動
「いつも通りでいいと思うよ。目線もうんと高いから歩きにくいだろうし、手繋ごっか」
子鹿の様子に笑いを耐えつつ手を繋ぎ支える
ちょっと背伸びをしたようなのも微笑ましい
「大丈夫、だいじょーぶ。ガーデンウェディングなんだから多少は心得てるよきっと。
ほらあっちの薔薇がすごく綺麗。歩けるかい?」
周りへ意識を向けさせ緊張を和らげるようによく話しかける
戦場に出ることも多いのだ。綺麗な服を着たり背伸びをしたり、そういうのも大事だと思う
(しかし、いつかはちゃんとあの機体に見合う精神に成長して)
(誰かと結婚するのかな……すごいな)
心なしか感心しつつ、今は今の成長を胸に刻んでおく
「お色直ししちゃう? じゃあ桜壱さんもカクテルドレスを着るんだよ。赤なんかいいんじゃない?」
「あ、カメラマンさん! 桜壱さんのこの角度のを1枚よろしく!」
良い写真は分けてもらい、いくつかは桜型を作る会社の部署へ送り
残りは家のアルバムに貼る予定

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

●心情
「こう、何と言うのでしょう、うきうきそわそわしてしまいますね!
●目的
写真撮影!
●準備
いつもの機体では着られないドレスが多かったので、思い切って大人の桜型機体をレンタル
「先生!見て下さい先生!!!
※ただし中身はいつものまま
ドレスはオーソドックスなAラインを選択
「…んーふふ…!(にまにましながら鏡前でくるりと回る
髪を直してもらったらお返しにと襟元やお髭をちょいちょい触る
撮影は庭式を選択
「く、クラシカルの方はですね!厳かでこう…緊張が緊張してしまうのでぇ
●行動
「わあああ…!お庭とっても綺麗ですよ!!
慣れないヒールのある靴で若干子鹿の様に歩いている
「こここ転んだら服が大変なので…(ぷるぷる
「先生もとってもかっこいいです!白いタキシードもありましたよ、後で着てみませんか!
「薔薇園もとっても綺麗なのでこう、その中に佇む先生の写真も欲しいです!
むふふ!しながら先生とカメラマンさんを連れ回す
お色直しも「先生のお目目の色!」と喜んでする
「お、大人っぽさが…あっぷあっぷしたのでは…?(どやぁ
一緒に写る時は腕にぎゅうとしがみつく
「今のように身長が無いと、腕を組むのは難しいので!
どこか微笑ましげに見ている先生に照れ照れしつつ
「(いつか先生がお婿さんに行く時も、Iは一緒に連れてってもらえるでしょうか)
思いつつも口には出さず、じっと見つめてみる

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「エオニアで、モデルの依頼があるみたい! 鳴くん、一緒に参加しようよ!
目的】鳴くんとの思い出づくりも兼ねて結婚式のモデルになるよ!
同行者】鳴くん
行動】クラシカルチャペルでの撮影
衣装はシンプルな白のウェディングドレスで、少し大人っぽく
銀梅花のペアリングを右手の薬指にはめてる
「どう?似合うかな…?

アイドルらしく撮影はカメラマンの要求にきっちり応えるよ
自然体な感じで、うまくカメラ目線に合わせたり、あえて外したり
「鳴くんは、こんな感じで!
鳴くんにちょっと演技指導したり(

最後に好きなポーズで撮影すると言われて
「どんなポーズで撮影してもらう…?
「はわ、お姫さま抱っこで!?
「…うん、いいよ(照れ

「いつかこんな素敵な場所で結婚式を挙げようね!

○同行者
天野一羽(la3440)

○撮影の直前(クラシカルチャペル)
「あら、一羽くん。すごく緊張してますよ。」
「……やっぱり、ちょっと無理やり誘っちゃいましたか?」
「あらあら。綺麗だなんて。ありがとうざいます。一羽くんも素敵ですよ。」
撮影の前、緊張しないように少しふたりで話でもしては、というスタッフの心遣いで二人きり。

「不思議ですね。異国で出会って、依頼やお出かけに一緒に行くようになって、結婚式のような撮影なんて。これじゃ、まるで……。」
恋人みたい。そう言いかけて、「そんな感じ」に見えるような時間を過ごしてきたことに(やっと)気づく。
思えば、花嫁姿で撮影なんて、一人でも気恥ずかしい。男性となんて言わずもがな。
でも、可愛い花婿さんと向かい合う今は、甘酸っぱい気持ちや温かい気持ちが胸にじんわりと。

「ね、一羽くん。写真、素敵に撮りましょうね。」
「よろしくお願いしますね、旦那さま。」
くすくす笑って、一羽の手を優しく握る。頬が少し赤い。

○ヤロスラーヴァの恋愛観
欧米人によくいる、愛の告白より積み重ねた時間で恋人になるタイプ。

○衣装
「華やかなプリンセスラインも好きですけど、実際に着るならこちらでしょうか。」
落ち着いたオフホワイトのマーメイドラインのドレス。
長身のヤロスラーヴァに良く似合う

  • 気付いてないでしょう?
    天野 一羽la3440
    人間20才|ネメシスフォース×セイント

【エオニア再び】
ええっ!? け……結婚式!?
はぁ……。撮影か。いや、だから大丈夫って訳じゃなくってね。
うう、お泊りの次は結婚って……。
※そこだけ聞くと順調に結ばれた感

【恋する相手と】
うう、やっぱり緊張する……。
ウェディングドレス姿のヤローチカとふたりって……。
※しかも一羽はタキシード
教会かぁ。前はランテルナのローズガーデンに行ったけど、こういう所も似合うなぁ。

……えっ!?
や、やっぱり緊張してるかな……??
そんな、無理矢理だなんて!!
ヤローチカこそ、ボクなんか相手でよかったのかなぁ……。
いや、だって、その、ヤローチカ……。とっても、えっと、綺麗で……。(真っ赤)
うん。すごく、綺麗……。

……!?(手を握られて)
ヤローチカ……。
※見上げて視線を交わし、一羽からもおずおずと握り返す
旦那さまって……。う、わかった。写真、撮ってもらおっか。

●二人で歩んできた道
 頼みたいことがあると聞いて、天野 一羽(la3440)がやってきたのはランテルナ。2月に来たばかりで、あの時のことを思い出すだけで赤くなる。それなのに……。
「ええっ!?  け……結婚式!?」
 ヤロスラーヴァ・ベルスカヤ(la2922)の頼み事が結婚式と聞き、一羽は思わず驚きの声をあげ俯いた。真っ赤になってるだろう顔を隠すように。
 憧れの綺麗なお姉さん。そう思ってはいたけれど、いつも天然に振り回されるだけで、自分なんて相手にされていないかと思っていたのに。いきなり結婚式とは。

「挙式写真の撮影モデルのお仕事なのですが……やっぱり、ちょっと無理やり誘っちゃいましたか?」
 落ちてきた声が寂しそうで、慌てて顔をあげた。
「そんな、無理矢理だなんて!! ヤローチカこそ、ボクなんか相手でよかったのかなぁ……」
「こんなお誘いできるの一羽くんだけですし」
「ええ! そ、それは……嬉しい……撮影モデルの仕事、か」

 仕事と聞いて、ほっと息を吐きつつ、一羽は内心モヤモヤする。
(はぁ……。撮影か。いや、だから大丈夫って訳じゃなくってね。うう、お泊りの次は結婚って……)
 バレンタインの頃には、ここランテルナのスイートルームで二人きりで過ごしたのだ。
 これでまだ付き合ってないとか、嘘だろというくらいの二人だが、ヤローチカはいつもどおりにのんびりマイペースだ。
 ドキドキそわそわしつつの衣装選び。一羽はなんでも良いかなと思っていたのだが、ヤローチカが新郎用の衣装選びもしたいと乗り気だった。
「一羽くんなら、これが似合うんじゃないかしら?」
 純白のタキシードを見せられて、慌てふためいた。
「こ、こんな華やかなの僕に、似合わないし……普通の黒で……」
「せっかくのモデルさんですから、ほらほら」

 押し切られて仕方なく試着室に向かう。
 ヤローチカにとって、女性の親友の服選びはいつものことだが男物の服選びは新鮮だ。ウキウキと自分のドレスも選んでいく。
「華やかなプリンセスラインも好きですけど、実際に着るならこちらでしょうか」
 長身のヤローチカに良く似合う、落ち着いたオフホワイトのマーメイドラインのドレスを選んだ。
 ラインはシンプルだが、刺繍やレースがワンポイントの華やかさを出している。シルクのロンググローブと、レースがたっぷりのマリアベールを合わせて。

 着替えをしながら、一羽は一人悶々と考える。
(うう、やっぱり緊張する……。ウェディングドレス姿のヤローチカとふたりって……。)
 モデルの仕事とはいえ、恋する相手と挙式写真だ。緊張しないはずもない。
 着替えて出てくると、ベールを纏った純白のドレス姿のヤローチカの姿に、一目で言葉を失った。
 シルクのマーメイドドレスは身長とスタイルの良さを引き出し、ベールは大人っぽい色気を醸し出している。
 昨年の空の結婚式のモニターの仕事でもウェディングドレス姿は見た。でもあの時よりも、清楚で厳かで。
 マートルと百合と青薔薇のブーケを持つ姿は、本当に薔薇の花嫁かと錯覚して息が止まりそうだ。

「あら、一羽くん。すごく緊張してますよ」
「……えっ!? や、やっぱり緊張してるかな……??」
「やっぱり撮影モデルの仕事は、嫌でしたか?」
「そんなことないよ! いや、だって、その、ヤローチカ……。とっても、えっと、綺麗で……。うん。すごく、綺麗……」

 思わず真っ赤になって慌てる一羽の姿の微笑ましさに、仄かにお姉さん心がくすぐられる。

「あらあら。綺麗だなんて。ありがとうざいます。一羽くんも素敵ですよ。やっぱり一羽くんは白が似合いますね」

 今、ここにいるのは二人きり。スタッフは遠く離れた別室にいる。撮影の前、緊張しないようにふたりきりで少し話をさせてあげよう。そういう心遣いだ。
 ヤローチカはお姉さんらしくリードするように、一羽の手を取った。

「ほら、手が震えてますよ」
「……!? ヤローチカ……」

 手袋越しに手を繋がれて、一羽くんの心臓が跳ねた。ゆっくりと上を向いて、ヤローチカの目を見つめ返す。
 いつもどおり優しい笑顔だけれど、少しだけ違う気がして、そっと握り返す。
 小指と小指が触れあって、その間に赤い糸が見える気がした。

 一瞬で今までの二人の時間が、頭を過ぎる。
 4月のイタリアのナポリ。ジェラード祭りの最中、遺跡とアーモンド並木の間で、2人は偶然出会った。桜のようなアーモンドの花の下で、綺麗なお姉さんと二人きりに一羽はドキドキ緊張した。
 フランスのアルザス地方では、森の中で行われる夏至の祭りで再会した。海外旅行で、2度も偶然出会うなんて、運命かと思うほど驚いた。妖精のドレスを身に纏ったヤローチカは美しく、シェイクスピア談義にも花が咲いた。
 空飛ぶキャリアーでモニター体験の仕事では、友人を紹介してもらった。綺麗なお姉さん2人に挟まれて、一羽はまたどぎまぎしてしまって。
 秋の紅葉のお茶会に招かれた事もあった。着物を着こなすヤローチカの姿に驚いて。一方ヤローチカの方は年頃の近い女の子と並ぶ一羽を見て、お似合いだなぁなどと呑気に思っていたり。
 茶道の作法を習っている合間に、ふと「ヤローチカで良いですよ」とあだ名で呼ぶことを許され、驚き、慌て。でもそれでまた2人の距離が一歩縮まった。
 そして2月のバレンタインではスイートルームに二人きりでお泊まり。

「不思議ですね。異国で出会って、任務やお出かけに一緒に行くようになって、結婚式のような撮影なんて。これじゃ、まるで……」

 ──恋人みたい。

 そうヤローチカは言いかけて、最後の言葉を飲み込んだ。
 やっと気づいた。今まで過ごした二人の時間は、恋人同士のような出来事ばかりだったたことに。
 ヤローチカの白い肌が、ほんのり薔薇色に染まる。
 意識してしまうと、花嫁姿で撮影なんて一人でも気恥ずかしい。男性となんて言わずもがな。他の男性だったらとても無理だ。
(でも、一羽くんなら……)
 可愛い花婿さんと向かいあい、見つめ合う。甘酸っぱい気持ちや温かい気持ちが、胸にじんわりと染み渡っていく。
(いつの間にか、恋していたのですね)
 愛の告白は口にしたこともない。積み重ねた時間で恋人になる。ヤローチカはそういうタイプである。

「よろしくお願いしますね、旦那さま」
「旦那さまって……。う、わかった。写真、撮ってもらおっか」

(これ、いつものヤローチカの気づいて無いパターンじゃない? よね!? まさか、僕の事、男扱いしてくれてる? いや、そんなわけ……)
 頭の中でぐるぐる悶々して、悩み出す一羽。その表情はくるくる変わる。
 その微笑ましい様子にくすくす笑って、一羽の手を優しく握り返す。緊張しすぎた一羽は、気づかなかった。ヤローチカの頬が少し赤いことに。

 二人きりの衣装室からでて、チャペルへ向かう。
 空は青く透き通り、甘い薔薇の香りが漂っている。

「教会かぁ。前はランテルナのローズガーデンに行ったけど、こういう所も似合うなぁ」

 白人の綺麗なお姉さんなヤローチカには、チャペルが良く似合っている。
 チャペル前で写真撮影。ヤローチカは自然と腕を絡めて、ぴとっとくっつく。

「ヤローチカ!?」
「ね、一羽くん。写真、素敵に撮りましょうね」

 ヤローチカ的には、可愛らしいいい子から、恋人寄りに意識が変わったので、積極的にぐぐっと動く。
 そうとは知らない一羽は戸惑うけれど、不思議とそれは心地よい。
 愛称で呼ぶようになってから、気づかないうちに一羽の話し方がより親しく変わってきている。

(やっぱりヤロスラーヴァのことが好きだな……)
 改めてしみじみ思う。波長も合うし、綺麗なのはもちろんのこと、ふんわり包容力があって、緊張している自分のことを気にかけてくれる年上の彼女。
 思えばいつも、自分のことを優しく気にかけてくれていたと思う。
(今まで天然ボケは多々あったけど……今日もその天然ボケじゃないといいな)
 少しでも自分を男として意識して貰えたら。そう思う。
 チャペル前の撮影を終え、扉が開く。厳かな雰囲気が漂うヴァージンロードを二人で歩く。
 いつもより、近い距離で。心の距離も縮めて。そんな二人をステンドグラスの光が包み込んでいた。


●幼馴染みから恋人へ
 青空の下で水無瀬 奏(la0244)は深呼吸する。久しぶりに吸うランテルナの空気は、薔薇の香りを纏っていた。
 何度もエオニアに訪れ、まるでここが第二の故郷のように、親しみを感じる。
「エオニアで、モデルの依頼があるみたい! 鳴くん、一緒に参加しようよ!」
「……モデルの依頼、ねぇ? え? お前だけじゃなくて俺も、か? 仕方ない、なぁ」
 楽しげにはしゃぐ奏が愛らしく、吉良川 鳴(la0075)は目を細めた。仕方ないとぼやきつつ、内心まんざらでもない。
 ランテルナで2月に二人の時間を過ごした時は、幼馴染み止まりだったが、今は恋人になったのだから。デートらしい時間を過ごすのも悪くない。

 ここに至るまで、二人の間に歴史がある。鳴は昔、奏の家に居候をしていた。幼馴染みだったのだ。
 水無瀬家の兄妹と一緒に過ごす時間が、鳴は嫌いじゃなかった。けれど、時と共に複雑な感情を抱き始め、奏へ告げることができず家を出た。
 奏は意地を張って喧嘩していた間に、何も言わずに出て行った鳴に、悔しさを感じて。再会してもしばらく名字で呼び合うような、よそよそしい時期もあった。
 けれど氷のようにギクシャクした二人の関係は、少しづつ雪解け幼馴染みらしい親しさに戻った。
 アイドルになりたい奏と、裏方、ミキサー担当の鳴は同じアイドル部に所属して。奏のステージを何度も手伝った。
 そんな二人の歩みを経て、ランテルナの祭りで鳴は奏に告白し、今は互いに唯一の存在だ。

 アイドルとしてプロ意識の高い奏は、モデルの仕事に張り切って衣装選び。でも仕事以外の理由もある。
(鳴くんとの思い出づくりも兼ねて結婚式のモデルになるよ!)
 長い幼馴染み期間を経て結ばれたのだから、これから想い出を重ねていきたい。
 いつものアイドル衣装なら可愛い系を選ぶけれど、今日はシンプルな白のウェディングドレス。
 胸元の飾りは控えめだが、バックのトーレーンがたっぷりで、レースがあしらわれた裾も軽やか。首から肩にかけて大きく露出した部分に、華奢で繊細なネックレスをあしらって。左手にもネックレスと同じデザインのアクセサリーを身につける。
 少し大人っぽく、いつもの自分と違う姿を恋人に見せたい。
 最後に銀梅花のペアリングを右手の薬指にはめて微笑む。この指輪を鳴が贈って告白し2人は結ばれた宝物だ。
 結婚式なら左手かもしれないけど、まだ付き合い初めで早すぎる気がして。右手に。

 鳴は白のタキシードに着替えるとき、ふと思う。
「……ほむん? これはつけてて、良い?」
 黒い紐に通した銀梅花モチーフのリング。奏とお揃いで、エオニアの市場で買った大切な品だ。
 しかし黒い紐というのはカジュアルで、タキシードとちょっと不釣り合いな気もする。
 そっと服の下に身につけて。仕事の撮影が終わってから、二人きりの時にだけ見せよう。
 深紅のネクタイをキリリとしめて、大切な想い出を内側に忍ばせた。


 身支度を調え終わって2人は待ち合わせ。奏は深呼吸をして鳴の前に立つ。指輪をはめた右手を差し出しつつ、恥ずかしげに聞いた。
「どう? 似合うかな……?」
「んむ? とても似合ってる、よ」
 奏の頭を撫でながら鳴が微笑む。奏の頭を撫でるのが鳴の癖で。いつものことだが、それが心地よくて落ち着いた。
 二人の表情が視線と和らぐ。
 奏のブーケを鳴が預かって、鳴の胸元に奏がブートニアをさす。これも2人お揃いの青薔薇とマートルで彩られている。
「……薔薇が綺麗だね。あの日も綺麗だったよね」
「……だねぇ」
 2人が思い浮かべるのは、夜の薔薇園でチョコを渡した、甘いバレンタインの日。まだあの時は付き合って無くて。
 ずいぶん前衛的な見た目のチョコに、思わず苦笑いを浮かべて。鳴としてはさりげなく告白したつもりだったのだけど、天真爛漫な奏は気づいてないようで。

 もう一つ思い出した。
 去年の8月。キャリアーの中で星空を眺めるイベントに二人は参加した。奏はペンギンの着ぐるみパジャマを着て、北極星をアイドルスターに擬えて、あの星のように輝きたいと笑う。それはとても愛らしかった。
 負けん気が強くて、突っ走ってしまうあまりから回る。そんな奏が少しだけ素直になって、鳴に頼って甘える姿は、愛おしくくすぐったい。
 2人は楽しく時間を何度も過ごす間に、恋人同士になった。

 ──あの日2人が胸の内に秘めた願いは叶った。

「鳴くん。もう……何も言わずに、いなくなったりしないよね?」
「……ん、奏が俺を嫌いになるまでは、かな」
 そんな日は来ないよと奏は笑った。改めて誓い合って、2人は手を繋いでチャペルへと歩き出す。

 厳かな雰囲気が漂うチャペル内に、薔薇窓から太陽の光が差し込む。ステンドグラスの色を纏った光は七色に輝いた。
 奏の白いドレスを七色の光が染める姿は、まるでスポットライトを浴びたアイドルのようだった。
 2人でゆっくりとヴァージンロードを歩く姿。誓いの儀式をする姿。最高に美しく、誰もが憧れる結婚式に見えるように。ライティングまで意識して、完璧に写真に残していく。

「次はカメラ目線でお願いします」 
「はい!」
 カメラマンの要求にきっちり応える、奏の姿はアイドルらしく。カメラ目線に合わせたり、あえて外したり。どれも絵になる構図ばかりだ。
 撮影しつつ奏は鳴に演技指導も行う。
「鳴くんは、こんな感じで! ちょっと顎を引き気味で、斜め前を向いて、視線だけ私の方に」
 あくまで自然体で、奏を綺麗に撮ってもらえれば満足なのになと思いつつ、鳴は仕方ないなと要望通りにしてみる。
「……はいはい、こんな感じ?」
「お二人とも良い感じですね。撮りますよ」
 そうして何枚か撮るうちに、しだいに鳴も慣れてきた。もはや指導はいらない。2人の緊張も解けて、互いを愛おしく想う気持ちが、自然と幸せなカップルの雰囲気になって。
 ありのままの自然体でも、絵になる恋人だ。
 全ての写真を撮り終えて、チャペルを出る。空はまだ明るく、気持ちの良い季候だ。

「撮影の仕事はこれでOKです。良い写真がたくさん取れましたよ。ありがとうございます。記念に好きなポーズで一枚どうです?」

 思わずは目を合わせ、奏は小首を傾げた。仕事ではなく、恋人としての想い出の一枚、何が良いか迷ってしまう。
「どんなポーズで撮影してもらう……?」
 奏が迷っているうちに、鳴は窮屈な襟元を崩していた。ちらりと想い出の指輪を通した黒い紐が見える。はっと奏が気づいて、はにかむような笑顔を浮かべる。
「んむぅ? じゃあ、迷うけど、お姫様抱っこ、で!」
 そう言って、鳴は奏をひょい、と抱き上げた。急に抱き上げられ、奏は思わず慌ててわたわたしてしまう。
「はわ、お姫さま抱っこで!?」
「……良いかな?」
 嫌なら降ろすけど? という問いに鳴の服をぎゅっと掴んで、奏はこくりと小さく頷いた。
「……うん、いいよ」
 頬を赤く染めつつ、奏の金色の瞳が見つめ、鳴の翡翠の瞳も見つめ返す。2人の視線が絡み合って、自然と笑みが零れて、初夏の爽やかな風に吹かれて、ドレスの裾が軽やかに舞う。

 その最高の瞬間を写真が切り取った。今日一番、二人が輝いた写真。

 最高の一枚を写真に収め、鳴の腕の中で奏はチャペルを見上げる。
「いつかこんな素敵な場所で結婚式を挙げようね!」
「そうだな? いつかまた今度は本当の結婚式が出来ると良い、な?」

 自分の腕の中で無邪気に笑う奏が愛おしくて、鳴は奏にそっとキスを落とした。
「……鳴くん!」
 不意打ちのキスに、奏は思わずぷしゅーと顔を真っ赤にしてしまう。そんな姿が可愛いらしくて、思わずまたキスを落とした。
 気づけば撮影スタッフは撤収しており、二人きり。
 何度も口づけを交わす。唇を重ねる程に、震えて顔を真っ赤にする奏が愛おしい。
「んむぅ? 可愛くて良き!」
「……」
 恥ずかしさと嬉しさと幸せ。色んなことでいっぱいになりすぎて、言葉にできないぶん、奏はぎゅっと鳴に抱きついた。


●初夏の庭で歩く道の先
 初夏の薔薇咲くランテルナにおりたったて、桜壱(la0205)はきょろきょろと薔薇園を見渡す。
「こう、何と言うのでしょう、うきうきそわそわしてしまいますね!」
 弾むように楽しげな声は、いつもの桜壱と同じなのだけれど、今日はちょっと様子が違う。
 子供のサイズでは着られないドレスが多かったから、思い切って大人の桜型機体をレンタルした。
 見た目は美しい大人の女性なのに、言動はいつも通り変わらない桜壱の様子に、化野 鳥太郎(la0108)はほっと心が和んでしまう。

「先生! 着替えてきます!!」
「うん。行っておいで」
 転びそうな勢いで駆け出す桜壱を見送って、化野は思う。
 女性の服の支度は時間がかかるだろうから、少しだけ撮影場所の下見をしておこう。
 慣れてない機体、慣れてない服。たぶん、きっと、転びそうになるから、歩きやすい場所を選んでエスコートしてあげるために。

 ピュアホワイトのシンプルなAラインのドレスと、綺麗に結い上げてもらった桜色の髪には、青薔薇が咲く。薄化粧をしてもらった姿は、どこからどう見ても大人のレディだ。
「……んーふふ……!」
 大人っぽいドレス姿に思わず、桜壱はにまにましながら鏡前で、裾を摘まんでくるりと回る。
 ひらひらと何枚も重なるパニエがふくらんだ。歩きやすいショートトレーンが、可憐に揺れる所をふぉー!! っと眺めて。
 そのはしゃぎぶりは、子供らしい愛らしさを忍ばせていた。

 化野はオーソドックスな黒のタキシードを着込み、髪もそれに相応しくセットしてもらった。その胸には桜壱とお揃いのブートニア。白いマートル、黄色いマーガレット、桜色の薔薇のつぼみを青いリボンで包んで。
 マーガレットはどこか向日葵を思わせて。昨年の夏、エオニアで一緒にステージでピアノを弾いた時を思い出した。
 二人で過ごした色んな想い出が、脳内に浮かび上がる。
 子供らしく遊ぶ姿ばかりではなく、戦場で戦う姿も見ている。傷ついてもなお、桜壱は前向きで、でもそれが少し苦しい。

「先生! 見て下さい先生!!!」
 今にもぴょんぴょん跳ねそうな勢いで、ドレス姿の桜壱がやってくる。ドレスの裾が、ひらりと揺れた。
 その手に持ったブーケは、化野とお揃いだ。
「あー、綺麗だね。よく似合ってるよ」
 笑顔を浮かべつつ、走ったためにこぼれ落ちそうな桜壱の髪飾りを弄って、しっかり固定してあげる。
「先生も。とってもかっこいいです!」
 髪を直してもらったらお返しにと、襟元やお髭をちょいちょい触って。むふんとどやぁ顔をしてしまう。
 今のこの姿なら、化野の隣に立つに相応しい大人の女性だろうと自信ありげに。

 スタッフからチャペルとガーデン、どちらを選ぶかと聞かれ、桜壱はむむむと考え、眉を下げる。
「く、クラシカルの方はですね! 厳かでこう……緊張が緊張してしまうのでぇ」
 慣れない機体とヒールだったから、歩きやすさを優先して短め丈のドレスを選んでいた。ガーデンウェディングに映えるだろう。
「じゃあ庭の方かな。すごく綺麗だったし!」
「はい!」
 嬉しげに花丸笑顔を浮かべる桜壱と共に、化野は歩き出す。しかし慣れないヒール靴。桜壱はまるで生まれたての子鹿の様にぷるぷる歩いてしまう。

「こここ転んだら服が大変なので……」
「いつも通りでいいと思うよ。目線もうんと高いから歩きにくいだろうし、手繋ごっか」
 ぷるぷる震える桜壱の姿が子鹿のようで、思わず笑ってしまいそうになるのを、化野はぐっと堪える。手をそっと握ってエスコート。
 すると桜壱の震えが治まり、すっと背筋が伸びる。
 この大きな手があれば、何があっても大丈夫。そう信頼できるから。
「大丈夫、だいじょーぶ。ガーデンウェディングなんだから、多少は心得てるよきっと」
「はい! 今日も良い天気ですし、きっとお庭も綺麗なのです!」
 慣れないヒールでぷるぷるしつつ、綺麗な庭での写真撮影への期待にワクワク歩き出す。

 澄み渡る青空と、初夏の薔薇咲く花園の一角に緑の芝生が広がった。芝生の上に白いカーペットが敷かれ、その先に挙式用の宣誓台がある。手前には植物でできた緑のアーチが設置されていた。
「わあああ……! お庭とっても綺麗ですよ!!」
 芝生の周囲を薔薇園が囲っている。遠くにはランテルナの白く美しい建物や、遺跡のシルエットまで見えて、どこを切り取っても絵になる。
 美しさと感動のあまりぴょんと跳ねそうになって、止められる。
「あんまり跳ねないで、ちょっとゆっくり歩いてご覧。そうそう、いい感じ」
 化野にそう言われ、桜壱は跳ねないように、ドレスを踏まないように、背筋を伸ばして、緊張しながらそっと歩く。その姿は優美にも見える。
 今度は緊張しすぎだなと、和らげるようにそっと化野は話しかけた。
「ほらあっちの薔薇がすごく綺麗。歩けるかい?」
「はい! 薔薇園もとっても綺麗なのでこう、その中に佇む先生の写真も欲しいです!」
「そりゃ良いねぇ」
 薔薇園を背景に2人が並び立つ。桜壱は化野の腕にぎゅうとしがみついた。
「今のように身長が無いと、腕を組むのは難しいので!」
「いつもの桜壱さんも素敵だけど、たまにはこういうのも新鮮だね」
 むふふと喜ぶ笑顔で、2人仲良く青空の下で写真を一枚。
 楽しげな桜壱の様子を見て化野は思う。最近は大変な戦争ばかり続く。たまには綺麗な服を着たり、背伸びをしたり、そういうの時間が桜壱にとって大事だと思う。

 親目線になった気分で色々考えてしまう。
(しかし、いつかはちゃんとあの機体に見合う精神に成長して)
 2人でヴァージンロードを歩くとつい想像してしまう。
(誰かと結婚するのかな……すごいな)
 その時桜壱の隣に立つのは、どんな人なのか。その時自分は祝いの場にいられるのだろうか。
 未来を思い浮かべ、なんともいえない、じんと痺れる様な感情に蓋をして、今の桜壱の成長を胸に刻んでおく。

 ヴァージンロードの端まで辿り着き、緑のアーチをくぐって宣誓台の前に辿り着く。その時ふと桜壱は思った。
(いつか先生がお婿さんに行く時も、Iは一緒に連れてってもらえるでしょうか)
 思いつつも口には出さず、隣に立つ化野をじっと見つめてみる。寂しいような嬉しいような、複雑な笑みを浮かべた化野の横顔に思わず見とれた。
 その視線に気づいた化野が問いかける。
「どうしたの?」
 問われて慌てて首を横に振り、ふと思いついた事を口にする。
「先生もとってもかっこいいです! 白いタキシードもありましたよ、後で着てみませんか!」
「お色直ししちゃう? じゃあ桜壱さんもカクテルドレスを着るんだよ。赤なんかいいんじゃない?」
「お色直しも、先生のお目目の色!」
 桜壱の瞳の中で、桜の花が瞬いた。嬉しくて仕方が無いのだろう。

 だいぶ歩いたし、着替えつつ小休止も良いかもしれない。
 2人は黒から白へ、白から赤へ、お色直しをして庭に舞い戻る。
 純白のAラインより大人っぽいシルエットの深紅のドレスは、まるで薔薇のようだ。思わず化野も見とれてしまったのだが、どやぁと浮かべる表情はいつもの桜壱そのものだ。
「お、大人っぽさが……あっぷあっぷしたのでは……?」
「うんうん。とっても綺麗だよ」
「むふふ! 今度は遺跡を背景にも良いですね!」
 化野の手を引いて、あっちあっちと指を差す。2人の後をカメラマンが追いかけ、あちこちで撮り直す。
 生き生きとはしゃぐ桜壱の姿が微笑ましくて、思わず化野の表情が緩む。
 それを見て、はしゃぎすぎただろうか? と思い、照れ照れする桜壱。
 大人っぽく背伸びしようとしたり、子供のように無邪気にはしゃいだり。桜壱の表情は目まぐるしく変わるが、どれも愛らしく絵になった。

 そうして楽しい時間を過ごすうちに、少しづつ夕暮れが近づいてきた。青から薄い紫色へ、空がグラデーションを生み出し始めた頃、化野は最後の一枚を頼む。

「あ、カメラマンさん! 桜壱さんのこの角度のを1枚よろしく!」

 今日一日ずっと見ていて、大人版桜壱が一番よく映る角度を知った。
 ほんの少し暗くなり始めて、大人っぽさを感じる影が彩る桜壱の姿を、瞼の裏にも焼き付けて。
 想い出の写真を残すように、心のアルバムに刻みつけよう。

 全ての写真を撮り終えて、着替えた後に撮った写真を見せて貰う。

「これも、良いね。こっちも綺麗だ」
「先生もかっこいいです!」

 2人で仲良く見比べつつ、特によかった写真を分けて貰う。
 桜壱を生み出した会社の部署へ『こんなに大人になりました』という成長記録のように送ろう。
 残りは家のアルバムに貼る。何冊目になるかもわからないアルバムだが、楽しい想い出は、いくらでもあって良い。きっとこれからも増えていくのだろう。
 積み重なった写真の厚みが、想い出の結晶だ。




 初夏の煌めく光の中で、様々な写真が写された。
 それは挙式カタログの1ページに残る、素晴らしい写真ばかりで。ランテルナのオーナー、オルハ・バートンも大喜びだ。
「皆さんご協力ありがとうございました」
 良い写真が撮れたのは、どの組も親しい間柄だから、その仲の良さが滲み出たのだろう。
 幸せに包まれた人の笑顔こそ、誰もが憧れる挙式姿だ。
 きっとランテルナで挙式を夢見る人が増えるだろう。そう思える良い写真ばかりだった。

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