オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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【銀梅花】白い花の1日 猫又ものと

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
恋愛 日常 
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/06/22 12:00
完成予定
2020/07/12 12:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

 エオニア王国。
 地中海に浮かぶ美しい島国である。
 その国は一度、ナイトメアの襲撃を受けて崩壊ししたものの、紆余曲折を経て再び国としての復興を目指し歩み始めた。
 今日、ライセンサー達が足を踏み入れようとしている場所も、復興の一環として作られた場所であった。
 そして、6月。ブライダルシーズンを迎えたこの島国は、白い愛らしい花で覆われる。


 ――時は少し遡る。
「あーー。やっちまったわ」
「あら。あなたその怪我どうしたの?」
「ちょっと前の依頼で頑張りすぎてさ。この通りだよ。3C作戦頑張ろうと思ってたんだけどなぁ」
「そういうことありますよね。最近ナイトメアとの戦いも激化してますし……」
「本当ね。こうも忙しいとお肌が荒れちゃうわ」
「それなー。そろそろ武器もメンテナンスしてやらないとかなぁ」
 いつもと変わらぬ賑やかなSALFのオフィス。SALFのオペレーターがその一角でぐったりとしている一団に声をかける。
「皆さん、こんにちは! どうしました? お疲れ気味です?」
「ちょっとねー。最近戦い続きだったからね」
「本当、ナイトメアってキリなく沸いてくるものね」
 オペレーターの問いに、肩を竦めるライセンサー達。それに、彼女も納得したように頷く。
「大規模作戦や、細々したナイトメアの対応や、困っている人たちを助けたり……本当、毎日色々ありますものね。お疲れ様です。……そうだ。皆さんお疲れみたいですし、いっそ、今日これから休暇にしちゃったらどうです?」
「ん? でも、依頼もあるしな……」
「お休みして、体調を整えるのもお仕事のうちですよ? 疲れ過ぎたら力も出ませんし。たまに1日くらい休んだってバチ当たりませんよ。ね?」
「そうね。たまにはいいかもね……」
 オペレーターの労いにうんうんと頷くライセンサー達。
 彼女はにっこりと笑うと、1枚の紙を彼らに差し出す。
「はい! そんな皆さんに朗報です! エオニア王国のランテルナでブライダルシーズンの催しがあるそうですよ!」
「へ? エオニア王国? ランテルナ??」
「はい。以前ナイトメアに襲われて、一度壊滅した国なんですが、復興も進んでいて……ランテルナも、その一環で作られたリゾート施設なんです」

 国賓がやって来ても良いようにと作られた白壁に青いドーム屋根のコテージには天蓋付きのベッドがあるゆったりとした寝室、天窓のあるタイル張りの大きな風呂があるらしい。
 また、ローズガーデンは1年通してバラが咲き乱れ、その一角には石造りの遺跡も存在する。
 そして、6月はブライダルシーズンにちなんで、エオニアは真っ白いマートルの花々に覆われる。
 白い花と青いリボンで飾られたエオニアは、カップルは勿論、お一人様にも楽しめるプランが用意されているらしい。
 そんなオペレーターの説明に、ライセンサー達の身も自然と前に出る。

「随分と素敵な場所なのね」
「でも花じゃ腹は膨れないよなぁ」
「ちょっと! 何でそういう色気のないこというんです!?」
「あはは。そう仰ると思いました! セントラルキッチンでは、マートルの白い花にちなんだメニューが沢山出るそうですよ。食いしん坊さんにもばっちりです」
 おおお……! と感嘆の声をあげるライセンサー達にオペレーターの女性はパチンとウィンクをした。
「ランテルナのスタッフの皆さん、皆様のお越しをお待ちしているそうなのでご都合がつく方は是非、遊びに行って差し上げてください! 行かれる方はここにお名前書いてくださいね!」
 オペレーターから差し出された紙を見つめて、どうしようかなと考えるライセンサー達。
 仕事も終わったし、ランテルナでのんびり羽根を伸ばすのもいいかもしれない――。
 ハンターは羽ペンを手に取ると、自分の名前を書き込んだ。

 時はブライダルシーズン。ライセンサー達の、ランテルナでの1日が始まる。

さて、今回は事件ではありません。
厳しい冒険の合間。
エオニア王国のランテルナでのひと時をお楽しみ下さいませ。
晴れた空に釣られてお散歩に行くもよし、用意されたお料理を食い倒れるもよし。
この機会に思い人に思いを告げてみるのもよし。お友達と遊びに行くのもよし。
一人ぶらぶら、白いマートルの花を眺めるのも楽しそうですね。
明確にやりたいことがある方向けの自由度の高いシナリオです。

ランテルナ内部にある場所であれば基本どこでも行けますが、支配人室など入れない場所あります。
また、行先を複数書かれると全て描写しきれない可能性がありますので、どこか1点に絞って戴けるととても助かります。

■描写について
同行指定などがない限り、お一人様づつ区切って描写します。
また、同行される方がいらっしゃる場合、その方のIDと、【友人】【恋人】など関係性をお書き添え戴けると大変助かります。

■ご注意
白紙は描写できませんのでご注意ください。
依頼に参加した時点で「ランテルナで過ごすよ!」などと一言プレイングを送信しておくことをお勧めします。

お世話になっております。猫又です。

九里原さんと雪芽さんにお誘い戴きまして【銀梅花】連動参戦と相成りました!
今回はブライダルシーズンのフリーアタックシナリオをお届けします。
冒険ではなく、猫又版ノベル的なリプレイです。
バレンタインの日、ランテルナで皆様はどんな1日を過ごされるのでしょうか。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

同行:橘 六花la0083
関係性:夫婦

事前準備
園内で買える(もしくは貰える)薔薇一本
※演出として

心情
前来たときは時期が若干ずれていたが……今回は適格か

ブライダルシーズンのランテルナのバラに覆われた石造りの遺跡に向かう

遺跡の近辺についたら、人気を確認……なさそうなことを確認してから
六花に一言入れてから横抱きに抱き上げる
「いつかみたいに、薔薇の香りを纏ってきたか?」
道すがら、周りの花の香り。前来たとき、そしていつか記憶を思い出し少し赤面しつつ

抱いたまま、強引に遺跡まで連れて行き、綺麗そう石造りの上に六花を座らせて視線を合わせる
「……999本はまだ用意できないから、な」
用意した薔薇を差し出す
「……これだけあっても埋もれない、花、だ」
約束した通り
「何度だって見つけてやる」
どれだけ生まれ変わろうと、どれだけ離れようと
六花を俺が受け止めるように、俺を受け止められるのもきっと六花しかいないのだろうから、な

  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|ネメシスフォース×スナイパー

朏魄 司(la0008)
関係:夫婦
呼び方:司
いつもの日常を穏やかに過す

○準備
以前バレンタインの時期に来たときに購入した薔薇のアロマをつけていく。

○行動
旦那様とデートね。
今度はしっかり一緒に来ることができたわ。
しかも良い時期に来れたわね。
どんなエスコートをしてくれるのかしら?
彼に腕を絡めて微笑みながらついていくわ。
私からのお誘いなのだけれど、プランとコースはお任せ。

どんな風にエスコートしてくれるのかと思ったら・・・
予想以上で、不覚にも頬が熱い…
「ええ、楽しみに待ってるわ。大好きよ、司」
欲しい時に、予想以上の言葉をくれる…
かつてと今は違うし、これから先も変わっていくものはあると思う。
けど、この想いはきっと変わらない…

・休養ついでに一人で街を散策する。
花で彩られた街を楽しみつつ、知り合いへのお土産も探していく。
「忙しいお仕事ばっかりだと疲れてしまいますし、たまにはまったりするのもいいものですね~。お花も綺麗ですし~」

・綺麗な花に癒やされつつゆったりと散策。時折、何もない所で地面に頭突きかましつつもそれはいつものことなので気にせず。
花の匂いや飾り付けを楽しみつつも、飾り付けについては今後の参考にする為にメモもしていく。
今後、小隊基地を飾り付けたりするのに役に立つかもしれないので。
途中、式がやってるようなら見学。自分もこんな式がしたいな、と思いつつ。
お土産はお花やら食べ物やら良さそうな物を選んでいく。
ついでに自分用にちょっとしたアクセサリとかも。
「あはは~、また転んでしまいました~。ちょっと地面がへこんでしまったような~。…き、気のせいという事にしておきましょうか~」
「この飾り付け、いいですね~。今度、基地の方でもやってみましょうか~?」
「結婚式、いいですね~。ジューンブライド…私もあんな式をしてみたいところですが、その為には平和にしないとですね~」

同行者:涙島 麗琉(la1574)

行動/小隊仲間の麗琉を誘って、ランテルナのリゾート地で楽しい時間を過ごすよ。

理由/ブライダルというのにはまだ縁遠いけど、戦いも続いてたし、一時の平和な時を一緒に過ごせたらなって思って(にこっ)。

手段/現地に到着してチェックインをした後は、何処に行こうか案内なんかをにらめっこ、行きたい場所を話し合う時間も旅行の醍醐味だなって。
「ここに来るまでに街のあちこちで見えた白い花も綺麗だし、ローズガーデンなんてのも有るみたい…麗琉は何処か気になる場所あるかな?」

 麗琉の意見を取り入れて、まずは遺跡を見る為にローズガーデンへ。
「バラも気になるし、遺跡はこの世界の過去を知る事も出来てとても愉しみだよ」

 しっかりカメラも用意してあちこちを撮影したり、現地の人に2人一緒に写して貰ったり。
「(こうしてるとボク達って、どんな風に見えるのかな?・ドキドキ」

 一通り遺跡やバラを愉しんだ後は、セントラルキッチンで、白い花にちなんだメニューを一緒に愉しんだり。
「こうしてみると、国を上げて結婚ムードだし…戦いのない平和な時間は、ほんとに素敵だね。これを日常に出来る様に、僕ももっと頑張りたいな……そしていつか(見つめて微笑)」

 後、飾ってあるウェディングドレスを一緒に眺めながら。
「とてもよく似合いそう…どう?体験で着れるみたいだけど、着てみる?」

「あ、そ、その…こんなきれいな場所に誘ってくれて…う、嬉しいのですけど…///その…///い、いえっ!何でもないですっ!!///」

同行者
羽鈴 しっぽla1535

行動
二人で観光…というかもはやデート
最初にランテルナ遺跡観光、ローマ時代の施設や大浴場等色々見て回る
「これだけの設備がこんなにも綺麗なまま残っているってとっても凄いですよね!…これまでも大きな襲撃とかあったと聞きましたけど、それでも私達や先人のライセンサーのおかげでこうして守れているって思うと、こうして一緒に歩く時間もかけがえのない大切なものなんだなって…」
「…っあ!ご、ごめんなさい、辛気臭い話になっちゃって…も、もっといろんなとこ見て回りましょう!」

時には二人で写真撮ったり
(…わ、私、隣にいて大丈夫かな…は、恥ずかしいよ///)

遺跡やバラなど楽しんだら食事
「え、えっと…その///そうですねっ///こここ、こうして///これからも食事、で、出来るといいですよねっ///で、でもっ///ま、まだ私その///学生だから///あの///その///」
完全に雰囲気で勘違いしテンパる

最後にウェディングドレスの試着、勿論大人用は合わないので子供っぽいもので
「…ど、どう…ですか?///ま、まだ身長が足りないけど…」
その後そっと唇重ねて

「…今度着る時は、本物…ですからね。約束ですよ///」

ランテルナにお邪魔するのは二度目ね
何度来ても、上質な癒しの空間は素晴らしいわ…此処に住んでしまいたいくらい
でも、こうした場所はとっておきの時に来るのが一番思い出深くて、特別な場所になるのでしょうね
僕にはまだ、6月の花嫁は当分先の話だけれど
幸せそうな比翼の鳥達の様子を見ているだけでも、この雰囲気を楽しむ事はできるわ
…ママも、あの人と出会ってあんな日々を過した事も、あったのかしら
今となっては確かめようもないけれど、昔のママの思い出にも…女性としての愛に満ちた時間があったのなら、僕が生まれてきた意味も……
(母親の写真の入ったペンダントブローチを、ぎゅ、と握り締め、銀梅花の花弁に触れる)

今回は、ローズガーデンを巡ってみるの
綺麗に咲き誇る花は、此処をお世話してくれる庭師さん達や従業員さんの思い入れの賜物ね
まるで御伽噺の庭のよう
記念に写真を撮ってみたり、気に入った薔薇をスケッチしてみたり
神秘的な遺跡群や、異国情緒溢れる建築物を眺めながら、インスピレーションのままに曲や歌詞を書き留めてみる

幸せと笑顔の数だけ生まれる華が、少しずつ世界を満たしていく始まりの国
優しい世界を夢見る、薔薇の妖精の願いを綴った詩を

少し、おなかが空いてしまったかも
セントラルキッチンでお料理いただいてこようっと…♪

「……いい時期に来られたわね」
「そうだな」
 街のあちこちに見られる白い花に目を細める橘 六花(la0083)に、頷き返す朏魄 司(la0008)。
 以前、妻とバレンタインの頃にここに来たことがあったが、その時は催事と時期がずれていた。
 その時も良かったが、催事ともなれば華やかで――こういうのもなかなかに良い、と思う。
 とても嬉しそうにしている六花が見られただけでも、この時期を選んで来た甲斐があったというものだ。
 夫から注がれる目線に気付いたのか、六花が首を傾げた。
「司、どうかした?」
「いや。六花、足は疲れてないか?」
「大丈夫よ。司の言う場所ならどこだってついて行くわ」
「それは心強いな」
 くすくすと笑い合う2人。
 ――そう、六花は、今日『ランテルナに行く』ということ以外、具体的な行先を聞いていない。
 そもそも司をここに誘ったのは自分だったのだが、『プランは任せてくれ』と彼が言い出したのだ。
 申し出を受けない理由はなかったし、正直、司がどんなエスコートをしてくれるのかとても楽しみだった。
 司はどんどん歩いて、白い薔薇で飾られた華やかな街並みも、豪華な店が立ち並ぶ大通りも気に留めることなく通り過ぎていく。
 中心部から離れ、いよいよ人気がなくなって来たところで、司は目線で素早く周囲を確認した。
 ――人の気配はなし、と。よし。
「司、どうかした? そろそろ到着?」
「いや。まだだが……六花、足が疲れただろう」
 先程と同じ会話。
 司は意味がないことはしない人だ。
 きっとこのやり取りにも何か意味があるのだろう。
 六花は微笑んで首を傾げる。
「……疲れた、と言ったら何かあるのかしら」
「そうだな。こうしようか。……奥様、ちょっと失礼」
 不意に屈みこむ司。六花の背と膝裏に手を添えると、そのまま軽々と抱き上げる。
 ふと、彼女から漂う甘い香り。
 この香りは確か――。
「……薔薇の香りを纏ってきたか?」
「ええ。この間一緒に来た時にアロマを買ったでしょう? それをつけてみたの」
「そうか……」
 腕の中で微笑む六花。恥ずかしがっているのか、頬が薔薇色に染まっている。
 そして漂う薔薇の甘い香りは、否応なしに以前ここに来た時のことを思い起こさせた。
 司は自分の頬も熱くなるのを感じながらも、そのまま歩き続けて――。
 一体どれくらいそうして歩いていただろう。
 遺跡へと足を踏み入れた司は、綺麗な白い石の上に、そっと妻を降ろして座らせた。
「ありがとう、司。重かったでしょう?」
「いや、全然。それより……これを君に」
 跪き、彼女に目線を合わせる司。差し出された一輪の白い薔薇に、六花は目を見開く。
「司……?」
「……まだ約束は果たせないんだが」
 真面目な顔で言う司。
 ――そう。以前ここに来た時に、いつか六花に999本の薔薇を贈ると話した。
 999本の薔薇には、『何度生まれ変わってもあなたを愛す』という意味があると聞いた。
 その言葉の通りにしたいと思った。
 そして、1輪の薔薇の意味は『私にはあなたしかいません』。
 沢山の花の中にあっても埋もれない花。
 そんな輝きを持つ彼女に出会えたから――。
「どれだけ生まれ変わろうと、どれだけ離れようと、必ず、何度だって見つけてやるから。999本の中の1本目、受け取ってくれるか?」
「……ええ。勿論よ。とても嬉しいわ」
 予想以上の熱烈な愛の言葉に、みるみる顔を赤くする六花。
 普段は硬派で口数も少ないくせに、欲しい時に、予想以上の言葉をくれる……。
 白い薔薇の花言葉は『約束』だ。
 司はこうして、改めて誓いを立ててくれているのだろう。
 ――かつてと今は違う。
 これから先、変わっていくものはあると思う。
 それでも。この想いだけはきっと変わらない。そう信じることが出来るから。
「……ありがとう、司。大好きよ」
「ああ、俺もだ」
 首に腕を回して来る六花を抱きとめる司。
 こうして、俺が彼女を受け止めるように。
 俺を受け止められるのも、きっと六花しかいないのだろうから。
 『六花』という世界に一つしかない花を手にした男は、ふと幸せそうに微笑んだ。


「わ~。凄いです。綺麗です~! あっ。あっちのお花も綺麗です~!」
 街並みをキョロキョロと見渡す大崎・愛菜(la0926)。
 街のそこかしこに様々な花が飾られていて、その美しさについつい目移りしてしまう。
「漂って来る花の香りも上品ですね~。あ! この花飾り、今後の参考になるかもしれないです……!」
 いそいそとメモを取り出して色々と書き込みをする愛菜。
 えっと、花の種類と配色、それからリボンの形、と。
 忘れないようにしなきゃ……!
 ――あれ? 何か急に地面が近くなった?
 メモを見ていた筈が、何故か頭が地面にコンニチハしている状況に小首を傾げる。
 どうやらまた転んでしまったらしい。いつもの癖に、彼女から笑いが漏れる。
「また転んでしまいました~。……ちょっと地面がへこんでしまったような~。き、気のせいという事にしておきましょうか~」
 心なしか削れてしまったような気がする石畳を誤魔化すように撫でる愛菜。
 そこに、慌てた様子の店員が駆け寄って来た。
「……お客様、大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」
「あ~! すみませんご心配おかけして! 大丈夫ですよ~。私、すぐ転んでしまう性質なんです~」
「沢山歩いてお疲れになったのでは? どうぞこちらに座って休まれて行ってください」
「あ、ありがとうございます~」
 店先にある椅子を勧めてくれた店員にぺこりと頭を下げた彼女。
 どうやら、ここは花屋であるらしい。置かれた花がどれも美しくセンスがいい理由を思い当たって、愛菜はこくこくと頷く。
「この飾り付け、いいですね~。今度、基地の方でもやってみましょうか~?」
 ついでに、親切にしてもらったお礼に、ここでお土産を買って行こう。
 そんなことを考えていた愛菜の髪を撫でるように吹き抜ける風。
 漂う花の甘い香り。揺れる花の向こうに、道行く人々から花びらを振りかけられている花嫁の姿が見えた。
「わぁ……! あれ、確かフラワーシャワーって言うんでしたっけ~。結婚式、いいですね~」
 ジューンブライド。私もいつかあんな式をしてみたいな……。
 ――その為には、まず。世界を平和にしないと。
 周囲に満ちる薔薇の香りと共に、大事な決意が愛菜の胸に灯った。


 ――えーと。一体何がどうしてこうなったんだっけ??

 羽鈴 しっぽ(la1535)と涙島 麗琉(la1574)、2人の頭に同時にそんな疑問が過ぎる。
 ……そう。今日は二人でランテルナに遊びに来た。
 最近戦いも続いていて疲れたし、束の間の平和な時を一緒に過ごせたらいいな……なんて考えて。
 現地に到着して、ガイドブックを見ながらどこに行こうかと話し合って、お互いの意見を取り入れて、ローズガーデンやセントラルキッチン、あと遺跡も行ってみよー!! なんて盛り上がって――いざ街に繰り出してみたら、そこは本当に真っ白な装飾に覆われていて、想像以上にブライダル一色の世界だった。
 そういえば、ブライダルフェアが開催中であることは、ホテルのポスターで見た気がする。
 何となく気恥ずかしい気持ちで並んで歩いていたら、ローズガーデンに向かう途中にウェディングコスチューム体験コーナーなんていう罠……いやいや、場所があったのだ。
 しっぽと麗琉が『素敵だねえ』なんて言いながら眺めていたのも悪かったのかもしれない。
 2人をカップルと勘違いした店員さん達に掴まって、2人揃ってあれよあれよという間に着替えさせられて、この状況がある。
「あの……。しっぽさん」
「うん」
「ま、まだちょっと身長足りない気がするんですけど、ど、どうですか? 似合ってますか……?」
「あ、うん」
 ウェディングドレス姿の麗琉を直視できずに、完全に目が泳いでいるしっぽ。
 確かに彼女は小柄であったけれども、高めの位置でウエストをきゅっと締め、自然な形で広がるドレスは麗琉にとても良く似合っていたし、細身の身体を引き立てるデザインで……正直ドキドキしてしまって、直視出来ないのだ。
 麗琉としては、白のタキシード姿のしっぽがあまりにもカッコ良くて完全に気後れしてしまっていた。
 こんな綺麗な場所に誘って、連れて来てくれてとても感謝しているし嬉しいけれど……。
 ……わ、私、しっぽさんの隣にいて大丈夫なんだろうか。
 見ての通りお子様体型だし、ちんくしゃだし。
 ――ドレスを着せて貰えたのも嬉しいけれど、しっぽさんずっと挙動不審だし。
 やっぱり迷惑だったのかな……。
 段々気持ちが萎んでいく麗琉。
 そわそわしていたしっぽはガシッと彼女の手を掴むと、その顔を覗き込んだ。
「あの! 麗琉!!」
「は、はい!?」
「あのね、ドレスすごく似合ってるし、正直僕釣り合ってないんじゃないかって心配になるレベルだし、綺麗だし素敵だし……ごめん。何か上手い表現が見つからないや」
 一気にまくし立てたしっぽ。その顔がみるみる赤くなっていくのに釣られるように、麗琉の顔も朱に染まる。
 ――良かった。似合ってるって思ってくれてたんだ。
 だったら、少しは期待してもいいんですよね……?
 彼女は花のように顔を綻ばせて、背の高い彼を見上げる。
「……しっぽさんもタキシード、すごく似合ってますよ」
「そ、そうかな? ありがとう。えっとえっと……僕ももっと頑張るから、またいつかドレス着てくれる?!」
「……え? それはいいですけど……そのお相手はしっぽさんでいいですよね?」
「うん。勿論」
「今度着る時は、本物……ですからね?」
「あ、うん。本物……うん。お互い本物を着よう」
 お互い真っ赤になりながら微笑み合う二人。
 甘い雰囲気は、しっぽから聞こえて来た盛大な腹の虫の音で遮られた。
「……こんな時にごめん」
「いえ。私もお腹ぺこぺこです。そろそろ着替えて、ご飯食べに行きましょう?」
「そうだね。ローズガーデンもまだだったし」
「ええ。先人のライセンサーさんが守って下さった街並みもゆっくり見たいですしね」
「そうだ。アクセサリーショップにも寄ろうよ。今日の記念に、何か贈らせて?」
「えっ。それは何だか申し訳ないですよ……!」
「いいんだよ。僕がそうしたいんだ。……折角だし、この格好も写真撮って貰おうか。すみませーん!」
 しっぽのエスコートに、顔から火が出そうになる麗琉。
 それでも、何だかとても幸せで……。
 今でも十分楽しいけれど、今日1日更に楽しく過ごせそうな予感に、麗琉の頬が自覚なく緩んだ。


 抜けるような青い空。白亜の街並みを彩る白い花々。
 二度目になるランテルナ。その美しい光景に、ツィー・プラニスフェル(la3995)からため息が漏れる。
 街並みも勿論美しいが、ローズガーデンもまた見事だ。
 形が整い、色とりどりに咲き誇る薔薇の園。
 あまりにも美しく作り込まれたそれは、何だか現実味がなくておとぎ話の世界のようだ。
「何度来ても、上質な癒しの空間は素晴らしいわ……。此処に住んでしまいたいくらい」
 独り言ちるツィー。
 でも、こういう場所はとっておきの時に来た方が、思い出に残る特別になるものなのかもしれない――。
 そんな事を考えながら、薔薇に目線を移す彼女。
 綺麗に咲き誇る数々の花は、ここの手入れに注力している人々の努力と思い入れの賜物だ。
 薔薇や銀梅花に覆われた遺跡や異国情緒溢れる建築物を見ていると、心に色々なものが溢れて来る。

 ――そう。こんな歌はどうかしら。
 幸せと笑顔の数だけ生まれる華が、少しずつ世界を満たしていく始まりの国。
 優しい世界を夢見る、薔薇の妖精の願いを綴った詩――。

 そんなフィーの思考を破る人々の声。教会から聞こえる祝福の音色。垣間見える幸せそうな比翼の鳥達に、彼女が目を細める。

 ――僕のママもあの人と出会って、あんな日々を過した事もあったのかしら。
 若くして命の花を散らした母親。
 酒場の歌姫であった彼女がどうやってあの人と出会ったのか、どういった時間を過ごしたのか――今となっては確かめようもないけれど。
 ママの人生にも……女性としての愛に満ちた時間があったのなら、僕が生まれてきた意味も、きっと……。

 胸元のペンダントをギュッと握り締めるフィー。
 答えを求めるように、銀梅花の花弁に触れる。

 ――ねえ、ママ。僕もいつか、ママのように自分だけの歌を唄えるようになるから。
 だから、どうか――。

「よし。セントラルキッチンで美味しいお料理戴きましょ♪」
 切り替えるように空を見上げたフィー。
 軽い足取りで、薔薇園を駆け抜けて行った。

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