オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  3. 楽しんで! 紫陽花祭り

楽しんで! 紫陽花祭り 和倉眞吹

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
123~12人
予約人数
10010100
基本報酬
180000G
180SP
1800EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/06/01 12:00
完成予定
2020/06/21 12:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

 そこは、先日まで閉園していた紫陽花園だった。
 なぜ閉園していたかと言えば、紫陽花に擬態したナイトメアがいくつも発見された所為である。
 実害はない――とは言えなかった。何しろ、精神浸食された来園者の内、カップルがいくつも破局したのだ。花言葉の一つ――『移り気』になぞらえるように。

「もちろん、ライセンサーの皆様が尽力してくださったので、ナイトメアはもう駆逐済みです。そう園のホームページでも告知してるんですが、浸透したジンクスのほうが根強いらしくて……」
 そろそろ六月。梅雨の頃、見頃を迎えるというのに、紫陽花園は未だに閑古鳥が鳴いているという。
 閑古鳥とは、実際にはカッコウを指すので、このままでは今度はカッコウ擬態のナイトメアでも出るんじゃないか、と園では半ば本気で怯えているようだ。
「そういうわけで、ぜひライセンサーの来園を依頼したいそうです。とにかくもう、この園は安全だとSALFがアピールしてくれれば客足が戻るのではないかという意見が、園運営陣から出たそうで……ちょうど、この週末に紫陽花祭りも開催される頃合いなんだそうです。お手透きの方はぜひ、足を運んでください」
 宜しくお願いします、とオペレーターの女性は、その場に集まったライセンサーたちに頭を下げた。

▼目的
紫陽花園で祭りを楽しむ。
それによって、一般人にも園が安全であることをアピールする。

▼園案内
・日本某所にある。
規模は、二万平方m。紫陽花の品種は、六十種類。
遊歩道に沿って、品種ごとにエリアが分かれており、合間合間には、休憩所を兼ねた東屋がある。

▼催し物(ポスターより)
6月某日 9時開場
※雨天でも、小雨程度なら中止はありません。雨にけぶる紫陽花をお楽しみ下さい。

・模擬店…花のないエリアに、軽食の店が色々。ドリンクの店もあり。
紫陽花をテーマにした飲食店も。例えば、紫陽花ソフトクリームなど(注:本当に紫陽花が入っている訳ではない)。
・土産店…紫陽花の苗や、紫陽花にちなんだグッズ売場(例:紫陽花をかたどったキーホルダー、アクセサリーなど)。
・日本茶を振る舞う休憩所…日本茶と、お茶請けの菓子が無料で味わえます。

▼備考
・とにかく紫陽花鑑賞を楽しんで下さい。それが一番です。
・上記に記してある店以外でも、ご自由にプレイングにお書き下さい。あまりにも紫陽花園内にあるお店や祭りのイベントとして外れている、などがなければ採用致します。
・買い物によってアイテムが増えたり、通貨が減ることはありません。

ご無沙汰しております。和倉です。
またまたお祭りっぽいシナリオです。
紫陽花園をゆるりとお楽しみ下さいませ。

プレイングを書いて頂く際のお願いです。

・誰が読んでも分かる文章を心掛ける
・プレイング提出時点で所持していないスキル、武器等は使用しない
・スキル、武器等はできれば正式名称で表記する
・公式作品のパロディは描写を控える

をご留意頂けると嬉しいです。

それでは、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

▼心情
……紫陽花、か。そうだな、たくさんの人が紫陽花を楽しめると良いのだけれど

▼同行者
水無瀬 奏

▼行動
少し雨が降っている中、奏と共に紫陽花園の紫陽花を見て回る
深緑の傘を持ち、俺は普段着で参加
紫陽花を見ながら
「……確かに綺麗、だな。雨の中で見る方が紫陽花は映える、ねぇ?

様々なポーズを紫陽花の前で取ったり、鼻歌交じりで歩んで楽しむ奏をスマホで動画撮影をしてやる
動画撮影したものは奏にシェアして送る
「……ほら、良く撮れてる、よ(煙草咥えて吸いながら

雨が上がって虹が出て
「虹と紫陽花の組み合わせも良いもんだ、な(こっそりと奏と一緒にスマホのカメラで撮る

紫陽花のソフトクリームが気になる奏にソフトクリームを買ってやる
「……気になる、か? 買ってやる、よ

俺は甘いものは苦手なので紫陽花の花びらが入ったお茶を飲む←
「ほむん? 美味いなら良かった、な(奏の頭撫でつつ

色々撮れた動画はミュージックビデオ風に編集して奏の歌も一緒にミキシングしたものを利用しつつネットに公開するように準備
「……だねぇ、みんなが楽しめる場所であると良いよ、な

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「こんなステキな紫陽花園だもん。みんなにも来てもらいたいね!
同行】鳴くん(la0075)
目的】鳴くんと紫陽花園を楽しく回りながら、紫陽花園のPRもするよ!
行動】当日は雨が少し降っている想定
「とってもキレイなアジサイだね!
白と蒼のスポーティなレインウェア姿で、カラフルな花柄のアンブレラをもって参加
紫陽花の写真をスマホ等で撮ってSNSに画像をアップし園の安全と美しい紫陽花をPR!

「こんなステキな場所なら、歌う場所としても最適だね!
くるっと一回転したり、軽やかなステップを踏んだり、ちょっと鼻歌まじりに歩んだりした、雨の日の紫陽花園を楽しむ姿を鳴くんに動画撮影して貰うよ!

雨が上がって…
「わぁ、見て。虹だよ! こんな素敵な虹が見えるなんて今日は運がいいね!
一通り見て回ったら模擬店で休憩
「紫陽花のソフトクリームってどんなものだろう…?
「買ってくれるの? ありがとうっ!
「味はミント…かな? おいしいよ!

撮影した映像の方は歌唱3の歌唱力も活かしてオリジナルの曲をつくり
鳴くんにアイドルらしいミュージックビデオ風に編集して貰って後日ネットに公開するね
「たくさんの人たちが、ここの良さを知ってくれるといいなぁ

レニla1573と同行
関係:同じ小隊の仲間、任務でも一緒の時間が長いので
仲間というよりも秘書というかそんなもう少し近い感じには思っている

・行動
レニに誘われお祭りへ
いつもは大人しいと思っていたけれどこういう催しが好きだったりと活動的な一面にちょっと驚いていたりする
レニの浴衣姿には
「元々の清楚な君自身と相まって綺麗じゃないか」
とほめる

道中は人混みが多そうならはぐれないように手を握る
紫陽花を見て回りながら道中に出てる模擬店などを回りエスコート
少し歩き疲れてそうな感じならお茶ということで休憩
彼女の母国は知らないが、日本の文化を簡単に説明しながら
楽しそうにしているレニを見て戦争がなければもう少し多くの時間をこうして笑顔でいられたのかもしれない
そんなことを思う

その後また鑑賞を再開し、途中で鼻緒が切れてしまったレニを背負う
軽いな、と思った少し後に背中に当たる柔らかい感触に
レニは結構スタイルがいいというかそんなことも感じていたりする

帰り際、簪なんかの土産があればレニに似合うものを見繕いプレゼント
こういうお年頃の女の子はおしゃれしてかわいくなければいけない
そんなことを言いつつ背負って帰路に就く

帰り道、彼女がこの先を笑顔で生きていけるように
必ず生かしてこの戦争を乗り越えよう
そんな小さな決意を胸に秘めながら

それにしても。雨…か。
重体明けのリハビリに…って依頼を選ンだのは良いケド
雨が降って来るなンてツイてねー。
嫌な思い出ばかりが頭ン中、素通りしやがる…
勝手に人様の頭ン中に出て来ンなっつの!
(1人、思いつつも傘も差さずに紫陽花の只中をぼんやりと進む)

「…ん?あ、ああ…サンクス
突然現れた透き通るような視線に声を掛けられ、立ち止まる
ユキヤ、と言うらしい傘を差し出した人物
いつの間にか俺の手中にある傘の中に彼が入るようにしながら答える
「俺、か…俺はヤナギ…、ヤナギ・エリューナク
少しこの奇妙な縁に従って、一緒に歩いてみる

「紫陽花の所為じゃねェよな…此処で別れたヤツら
「どんな感情かは知れねーケド、人は移ろい行くモノだ
「それを互いに認められなかった…それだけだろうさ
「『移り気』な紫陽花だって根っこを見りゃぁ、確り根付いてる
「大切な人の大切な部分が
「近過ぎて見えなくなるのかも、な…

「俺、か?どうだろうな(苦笑
「ユキヤ、アンタはどうだ?
「俺なら…
(フと頭を過るのは自身に何処か似た、もう見たくもないアイツの…)
「どっちか1つ、だな

「ナンパ?!俺を、か(笑
「ナンパする趣味はあるケド、される趣味は無ェゼ?
「特に女子から以外はお断りだ…って、双子の妹……よし、乗った!

ああ。いつの間にか、雨が…止んでいる。

  • 黒の目撃者
    レニla1573
    人間14才|セイント×ネメシスフォース

【同行者】橘 達也(la0341)

橘さんを誘って、紫陽花祭りを楽しみます。
「お祭りがあるそうなのですが、良ければご一緒にいきません、か?」とがんばってお願いしてみました。

浴衣を着ていきます。
「始めて着ました…変じゃないですか?」
ぎこちなく回ってみて確認してもらいます。

こういう場所は初めてなのですが、とても楽しそうで、内心ワクワクそわそわしつつもここに居ても良いのか不安になりながらもついていきます。
が、橘さんにリードしてもらっている内にすっかり不安も溶けてしまいます。
「紫陽花…というのですよね?とても…綺麗です。」
途中、慣れないからか下駄の鼻緒が切れてしまい、負ぶわれる事に…
(男の人の背中…とても広いのですね)
と、ドキドキしてます。

「今日はありがとうございました。とても…楽しかったです」
普段しないから少しぎこちなくなってしまうけれど、素直な気持ちと共に微笑んでありがとうを告げますね。

  • 疾きこと風の如く
    涅槃la2201
    放浪者36才|グラップラー×スピリットウォーリア

紫陽花を鑑賞するでござるよ。

成程成程、聞けば聞くほど由々しき事態でござるな。
花が見頃を迎えようとするこの時期に、来客が見込めない。
つまりは収入が得られない!金が!!嗚呼、金が入ってこないっ!!

――――失礼したでござるな。
とまれこの手の植物園に不穏な噂が流れてしまっては、非常によろしくない。
ここはこの涅槃、一肌脱ぐでござるよ。

一旦浸透した風評やジンクスを、無かったことにするのは中々に難しいかと。
ここは新たな巷談の上書きによって、改めて客引きを行おうではござらんか。

拙者は園内を散策の上、見栄えの良いスポット、綺麗に咲いている花を撮影するでござる。
その上でそれらを紫陽花園のホームページに『ライセンサーが選んだ希望の紫陽花』
のような形で掲載してもらうのでござる。
実際に足を運んだ際に、それらの花々を探してもらい、そこからの更なる拡散を狙う手法でござるな。
他の者にもいくつかお気に入りを選んでもらって、ちょっとしたコメント付きで掲載するイメージで。

薄曇りの日にも映え、言わずもがな雨降る日にも、その瑞々しい青色を見せてくれる紫陽花。
どうせならば一人でも多くの者に見てもらいたいでござるからな。

さあて、拙者はもう一回り見てくるでござるよ。

  • この名を誇る
    黒帳 子夜la3066
    放浪者21才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

「また紫陽花の季節がやって参りましたねぇ

○行動
遊歩道を歩いて紫陽花鑑賞
途中の東屋で休憩

物珍しいものや前の世界では見たことのない品種を楽しむ
「ああ、こういった種類もあるのですねぇ
「前の世界では見られなかったものを見るとは、長生きするものです
今日来れなかった甥に語れるように
2人で来られるようにと当たりをつけて

東屋では茶が美味しく、紫陽花の美しさを眺めながらもあり、ついつい長居してしまう
お茶請けも風味を味わいつつ茶を

あとは模擬店や土産店を眺め、キーホルダーを土産店で買って終了

(小雨の降る中紫陽花を観て回る中ヤナギさん(la1009)を偶然見掛る(初対面

濡れてますよ。傘、入りますか?…と言っても僕だと身長的に差して差しあげられないでしょうですけれど(笑
僕はユキヤ・ディールスと言います。お名前伺っても?

移り気…紫陽花の花言葉。ここで別れる事になってしまった人達はどんな感情を持ったのでしょうね。

…近過ぎて、ですか。最適な距離が大切…でも、きっとその距離は永遠に、誰にも分らないのでしょうね。

ヤナギさんは如何ですか?移り気ですか?
例えば、どちらも大切が故、大切な2つのどちらかか、どちらも傷付くとしても、2つを行ったり来たりしますか?
それとも2つの大切なモノを、より大切だと想える方を考え、そしてどちらか1つだけを選びますか?

僕ですか?僕はどちらも選びませんよ。ヤナギさんの言葉を借りれば、人は移ろうモノですから(微笑み
ふふ、そう答えると思ってました。イメージ通りの方ですね(笑

ご一緒してくれたお蔭でとても楽しめました。相合傘も有り難う御座います(笑

またお会い出来ると嬉しいので連絡先とか教えて頂けますか?ふふ、軽いナンパですよ。
双子の妹が居ますから、妹を紹介する条件なら如何ですか?

  • これからも隣で
    珠興 凪la3804
    人間20才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

同行
若葉la3805

目的
若葉と紫陽花祭りデートを楽しむ

行動
紫陽花園の魅力を収めた写真を紫陽花園とSALFに渡しSNSでの安全アピールを提案

▼紫陽花鑑賞
「うわぁ…!これだけあると壮観だね」
「これも紫陽花なんだ」
珍しい種類に目をキラキラ
「そういえば、ハートの形の紫陽花もあるって聞いたことあるよ」
デートスポットを調べてて見つけたのは内緒
「あった!」
見つけ喜びハート型と一緒に記念撮影
「これ、アピールに使えないかな」
左手の指輪が見えるように手を重ねハート紫陽花と一緒に写す
それをSNSに投稿したら、幸せなイメージで悪いジンクスを上書きできるんじゃないか
「宝探しみたいでいいね」
微笑み指を絡め、手を繋いで進む

▼模擬店で休憩
紫陽花ソーダも綺麗…二人で迷うのも楽しい
色々買って分け合う
「じゃあソフトは持っとくよ」
撮影に協力
「っ溶けてる!」(あたふた
食べさせたり食べさせてもらったり
「こっちもどうぞ♪」

▼お土産
所属小隊の兄妹への土産選び
「こういうのも似合いそう」
「それもいいね!」
兄にはシンプルで可愛すぎないイヤーカフ、妹には華やかなイヤリングを購入

「僕もいいなって思ってたんだ」
お揃いの紫陽花ストラップを買う
スマホにつけ、眺め嬉しそうに笑う

同行
凪la3804

目的
凪と紫陽花祭りデートを楽しむ

行動
綺麗に咲く紫陽花や紫陽花テーマの食べ物・グッズなど、園の魅力を収めた写真を紫陽花園とSALFに渡しSNSでの安全アピールを提案

▼紫陽花鑑賞
「うわぁ…綺麗!色んな種類があるんだね
綺麗に咲き誇る紫陽花の花に目を奪われる
「この園にもあるかな?
凪と一緒にのんびりハート紫陽花を探しつつ色とりどりの花々を観て回る
「あ、あれっ!
ハートの紫陽花を見つけ喜ぶ
記念にと二人一緒に幸せいっぱいな1枚を撮る
「いいね、そうしよう♪
SNS用に重ねた左手とハート紫陽花を一緒に撮影
「これなら何処か分からないし探す楽しみもできるよね
微笑み手を繋ぎ進む

▼模擬店で休憩
紫陽花ソフトやゼリーも綺麗で美味しそう…色々買いシェア
「食べる前に撮っていい?
綺麗に映るように構図考え撮影
「…ソフトがっ!(慌て
食べさせたり食べさせてもらったり
「ふふ…美味しい♪

▼お土産
所属小隊の兄妹へのお土産を凪と探す
「いいね、絶対似合う(想像し笑顔
「あとは…これとか?
兄には綺麗なイヤーカフ、妹には可愛らしいイヤリングを購入
「俺達も何か買わない?例えば、お揃いのストラップとか
購入したストラップをスマホにつけ笑顔、お揃いが嬉しい

紫陽花は、その色が変わる事で「移り気」という花言葉があるようね
でも、何事も良し悪しは表裏一体
カップルの破局もナイトメアの所為とはいえ、二人の間に不仲が起きたのは事実だけれど
本当に好きな相手なら、やっぱりよりを戻したいって思うものだと思うのね
気分を一新して、新しい自分や縁に出会う為の切欠作りに、と考えてはもらえたらいいわね

蒼をベースに、紫陽花が描かれた着物と、髪飾りで髪を結い上げた和風スタイルで赴く

後でSNSというものに、撮影した画像を感想添えてアップロードして公表すれば、世間の人達にも認知されやすいかしらね
普段は宣伝程度しか使っていないお店のアカウント、こういう時に使ってみましょう
所謂「映える」という写し方、上手にできているか分からないけれど
好きなものを、綺麗に撮れたって自分でも思えるように映していけばいいわね、きっと

紫陽花園の雰囲気が伝わるよう遠景と、花や、買ってみた紫陽花ソフトクリームなどピックアップものを色々撮影

あら…雨が降ってきたみたい
休憩所でお茶とお茶菓子をいただきながら、ひとやすみ
雨に煙るような、ふんわりとした紫陽花庭園も素敵ね…幻想的、というのかしら
誘われるように雨の庭園に佇む
雨音に耳を澄まし、雫で色を増す花の美しさにそっと笑む

今日の記念に、紫陽花の鉢を一つ購入
お店の人にお世話の仕方を習う
来年は僕も咲かせてみるわ♪

「ほう、はなか。なんてはなか?」
物知らずエルレーンはもちろん紫陽花など知らない。いろんな方法で楽しんでみよう。
とりあえずは食べてみる。すべてはそこからだ。
「むらさきいろのはなは どうゆうあじがするのか?なぞい たべてみう」
紫陽花は色とりどり。色によって味の違いがあるかも試す。

どちらかといえば花を愛でるというよりは喰い気の方が強い(ヴァルキュリアのくせに)
なので、花を食べた後は、模擬店めぐり!とにかく目についたものでいけそうなものは口に入れてみる
「ナイトメアいがいは とりあえずたべてみう」
このままだとヤバいものも食べそうなので、何かお店の人のおすすめを食べさせ、それをラーニングさせてあげてください。
土産物屋に行くことがあるかもしれない。
その場合は…紫陽花系お土産も口に入れてしまうだろう、誰かが止めない限り。
「なんだこれ わかんないからたべてみう」
最後に、「食べてみて一番おいしかったもの」を食べに行こう。
たくさんおいしそうに食べて見せれば、宣伝になるかもしれない…しね!
「これはいい もっとたべう!」

「成程成程、聞けば聞くほど由々しき事態でござるな」
 オペレーターの説明を聞いた涅槃(la2201)は、一人納得したように、うんうんと頷いている。
 花が見頃を迎えようとするこの時期に、来客が見込めない――つまりは収入が得られない!
 この結論に達すると、涅槃の中の商人モードにスイッチが入ってしまった。
「金が!! 嗚呼、金が入ってこないっ!!」
 つい口に出して叫んでしまい、周囲からの、何とも表現し難い視線を浴びる羽目になる。
「――失礼したでござるな」
 ゴホン、と咳払いを一つして、思索に戻る。
 とまれこの手の植物園に不穏な噂が流れてしまっては、非常によろしくない。
「ここはこの涅槃、一肌脱ぐでござるよ」
 一人ごちるように締め括ると、涅槃はひとまずミーティングルームをあとにした。

「とってもキレイなアジサイだね!」
 朝から少し雨の降る中、吉良川 鳴(la0075)と共に、件の紫陽花園を訪れた水無瀬 奏(la0244)は、白と蒼のレインウェア姿で、ターンした。その手に持った、カラフルな花柄のアンブレラが、まるで紫陽花園に咲く花が踊るようにクルリと回る。
「……紫陽花、か」
「こんなステキな紫陽花園だもん。みんなにも来て貰いたいね!」
 今日は、楽しむほかに、園の安全と美しい紫陽花をPRしなければならない。その為に、奏は紫陽花の写真をスマホなどで撮って、SNSに画像をアップするつもりだった。
「そうだな、たくさんの人が紫陽花を楽しめると良いのだけど」
 普段着姿で、深緑の傘を手にした鳴も、紫陽花に目をやる。
「……確かに綺麗、だな。雨の中で見るほうが紫陽花は映える、ねぇ?」

 鳴のそんな呟きを、知ってか知らずか。
(それにしても)
 憂鬱極まりない気分で一人ごちていたのは、ヤナギ・エリューナク(la1009)だ。
(雨……か)
 重体明けのリハビリがてら、依頼を選んだのはよかったが、雨が降っているなんてツイてない。こんな日は、嫌な思い出ばかりが脳裏を去来する。
(……クソッ! 勝手に人様の頭ン中に出て来ンなっつの!)
 苛立ったように側頭部を掻き毟りながら、傘も差さずに紫陽花の只中をぼんやりと進んでいると、
「濡れてますよ」
 と声を掛けられ、ヤナギは足を止めた。
「……ん?」
 目を上げると、透き通るような視線の主が、傘を差し掛けるような仕草をしているのが見える。
「傘、入りますか?」
「あ、ああ……サンクス」
 ヤナギは反射で、戸惑ったような謝意を口にする。
「……と言っても、僕だと身長的に差してあげられない感じですけど」
 言いながら、ユキヤ・ディールス(la3442)は微笑した。
 ユキヤは、小雨そぼ降る中、紫陽花を見て回っていたところ、偶然この長身の青年を目にし、声を掛けたのだ。
「僕は、ユキヤ・ディールスと言います。お名前、伺っても?」
 自然、ユキヤと名乗った青年より身長の高い自分が傘を受け取る形になったヤナギは、ユキヤを傘の下に招じ入れながら答える。
「俺、か……俺はヤナギ……、ヤナギ・エリューナク」
「ヤナギさんですか。よろしく」
 物怖じせず挨拶する相手との奇妙な縁に従い、ヤナギはしばしユキヤと共に歩いてみることにした。

「お祭りがあるそうなのですが、よければご一緒に行きません、か?」
 いつもは大人しいと思っていたレニ(la1573)に、どこか必死の面持ちで言われた時、橘 達也(la0341)は少なからず驚いた。
 こういう催しが好きだとは、活動的な一面もあったものだと、意外に思っている。が、レニ本人としては、『がんばってお願いしてみた』という心情であったのを達也は知らない。
 ライセンサーになって配属されてから、右往左往していたレニに、優しくしてくれたのがこの達也だ。以来、レニは達也を兄のように思い、ついつい頼りがちになっている。
 今日は、日頃世話になっている彼に、お礼も兼ねて楽しんで貰いたいと思って声を掛けたのだ。
「初めて着ました……変じゃないですか?」
 言葉通り、初めて着た浴衣姿で、達也の前でぎこちなく回って見せる。
 すると達也は、
「元々の清楚な君自身と相まって綺麗じゃないか」
 と褒めてくれた。

「また紫陽花の季節がやって参りましたねぇ……」
 ぽつりと呟きながら、黒帳 子夜(la3066)は遊歩道を一人で歩いていた。
 紫陽花と一口に言っても、最近では様々な種類があり、物珍しいものが多い。
「ああ、こういった種類もあるのですねぇ」
 中には、前にいた世界では見たことのない品種がある。
「前の世界では見られなかったものを見るとは、長生きするものです」
 楽しげに言うと、ゆったりと周囲を見回し、場所の当たりを付ける。今日は来られなかった甥に、話して聞かせる為と、次に一緒に来る為だ。
 うん、と一人納得するように頷くと、子夜は緩やかに歩みを再開した。

「うわぁ……! これだけあると壮観だね」
 この日、皆月 若葉(la3805)と共に園を訪れた珠興 凪(la3804)は、一面の紫陽花畑と言ってもいい光景に、歓声を上げた。
「うわぁ……本当だ、綺麗!」
 若葉も凪と同様に、綺麗に咲き誇る紫陽花の花に目を奪われ、感嘆の声を漏らす。
「色んな種類があるんだね」
「これも紫陽花なんだ」
 珍しい種類に、凪は目をキラキラさせたまま、「そういえば」と若葉を振り返った。
「ハートの形の紫陽花もあるって聞いたことあるよ」
 デートスポットを調べていて見つけたのは、内緒だ。
 それに気付かないまま、若葉は「へえ」と目を丸くした。
「この園にもあるかな?」
 凪と一緒にのんびりハート紫陽花を探しつつ、色とりどりの花々を観て回っていると、やがてそれらしい紫陽花の咲いた一角が目に入る。
「あ、あれっ!」
「あった!」
 凪も気付いたらしく、同時に声を上げた。
 大喜びでハート紫陽花を背景に、二人一緒に幸せいっぱいな一枚を撮ったあと、凪はふと思い付いた。
「これ、アピールに使えないかな」
 今回、園で祭りデートを楽しむのも主体だが、半分はSALFの任務でもある。二人は、綺麗に咲く紫陽花や紫陽花テーマの食べ物・グッズなど、園の魅力を納めた写真を紫陽花園とSALFに渡して、SNSでの安全アピールを提案することにしていた。
「左手の指輪が見えるように手を重ねて、ハート紫陽花と一緒に写そうよ。それをSNSに投稿したら、幸せなイメージで悪いジンクスを上書きできるんじゃないかな」
「いいね、そうしよう♪」
 二人は試行錯誤しながら、SNS用に、重ねた左手と薬指の婚約指輪が、ハート紫陽花と一緒に写り込むようにして撮影した。
「これならぱっと見にはどこか分からないし、探す楽しみもできるよね」
「うん。宝探しみたいでいいね」
 若葉と凪は、微笑み合って手を繋ぐ。人が少ないのをいいことに、遠慮なく恋人繋ぎで指先を絡めると、並んで先へ進んだ。

「紫陽花の所為じゃねェよな……此処で別れたヤツら」
 歩いていたヤナギがそうポツリと漏らしたので、ユキヤは隣を見上げた。
「移り気……それが紫陽花の花言葉ですからね」
 直後、パシャ、というシャッター音が、前方から響く。どこかで誰かが写真を撮っているのだろう、とぼんやり思った直後。
「花言葉の由来は、色が変わることから来ているようね」
 一瞬、紫陽花が答えたように思えて、ユキヤは目を瞬いた。が、よく見るとそれは一人の少女だった。
 蒼をベースに、紫陽花が描かれた着物を着ている為か、まるで通路にもう一株、紫陽花が植わっているように錯覚していたらしい。
「でも、何事も善し悪しは表裏一体」
 彼女は、自身が手にした携帯端末で撮ったらしい画像に目を落としながら言葉を継いだ。
「カップルの破局もナイトメアの所為とは言え、二人の間に不仲が起きたのは事実だけれど」
 言いながら、彼女が顔を上げる。その動きに従い、結い上げられた髪の先で、髪飾りが小さく揺れた。
「本当に好きな相手なら、やっぱりよりを戻したいって思うものだと思うのね」
 その言い分は、彼女の幼い外見には似合わぬほど大人びていて、ヤナギもしばし唖然として彼女を見つめる。
 しかし、少女――ツィー・プラニスフェル(la3995)は、二人の反応には頓着なく微笑した。
「気分を一新して、せめて新しい自分や縁に出会う為の切っ掛け作りに、と考えて貰えたらいいわね」
 独白のように、言うだけ言ってしまうと、ツィーは二人に背を向ける。
 しばし、彼女の後ろ姿を見送ったユキヤは、改めて口を開いた。
「……ここで別れることになってしまった人達は、どんな感情を持ったのでしょうね」
「どんな感情かは知れねーケド、人は移ろい行くモノだ」
 ヤナギは、どこか投げやりに言いながら、先刻の少女が撮っていたであろう紫陽花に視線を投げる。
「それを互いに認められなかった……それだけだろうさ」
 それに、と挟んでヤナギは続けた。
「『移り気』な紫陽花だって、根っこを見りゃぁ、確り根付いてる。さっきのガキの言い分を借りれば、それでもヨリを戻せなかった連中は、大切な人の大切な部分が……近過ぎて見えなくなってたのかも、な……」
「……近過ぎて、ですか」
 ユキヤは、ヤナギの言葉を復唱する。
「最適な距離が必要……でもきっと、その距離は永遠に誰にも分からないのでしょうね」
 言葉の真意は、変わらず微笑を含んだユキヤの表情からは読めない。そう思っていると、ユキヤは紫陽花に向けていた視線を、ヤナギの顔へ転じた。
「ヤナギさんは如何ですか? 移り気ですか?」
「俺、か?」
 不意に問われて、少し考える間に、ユキヤの問いが重ねられる。
「例えば、どちらの大切が故、大切な二つのどちらかか、どちらも傷付くとしても、二つの間を行ったり来たりしますか? それとも、二つの大切なモノを、より大切だと想えるほうを考え、そしてどちらか一つだけを選びますか?」
「……どうだろうな」
 覚えず、苦笑が漏れる。
「ユキヤ、アンタはどうだ?」
「僕ですか?」
 反問されて、ユキヤは瞬時キョトンとしたように目を丸くした。が、すぐにまた、その顔には微笑が浮かぶ。
「僕はどちらも選びませんよ。ヤナギさんの言葉を借りれば、人は移ろうモノですから」
「成程」
「それで? ヤナギさんはどうです?」
「俺なら……」
 考えると、フ、と頭を過るものがある。自身に何処か似た――
(もう見たくもないアイツの……)
 そこまで考えて、小さく首を振る。
「……どっちか一つ、だな」
 迷った時間に反して、きっぱりと言うと、ユキヤはまた「ふふっ」と小さく笑った。
「そう答えると思ってました。イメージ通りの方ですね」

 その頃、エルレーン・バルハザード(la4271)は、端から見るとぼんやりしているように取れる様子で、園内のある場所に立っていた。
「ほう、はなか。なんてはなか?」
 まだ知識量の多くないエルレーンは、もちろん、目の前にある花が『紫陽花』という名だということも知らない。
 傍に誰か付いているわけでもないので、彼女の疑問に答える者もいない。よって、エルレーンは自身の疑問に自分で答えを出すことにした。
 色んな方法で楽しんでみよう、と。
 取り敢えずは食べてみる。すべてはそこからだ。
「むらさきいろのはなは どうゆうあじがするのか? なぞい たべてみう」
 紫陽花は色とりどりだ。色によって足の違いがあるかも試してみよう。
 端から紫陽花を食べ始めるエルレーンを止める者はない。今はまだ。

「こんなステキな場所なら、歌う場所としても最適だね!」
 奏は、雨の日の紫陽花園を舞台に、随所でターンを決めたり、軽やかなステップを踏んだり、ちょっと鼻歌交じりに歩んだりしていた。
 それを、鳴はスマホで動画撮影している。
 やがて、撮影が一段落したのか、鳴のスマホから奏のそれに、撮影した動画がシェアされて送られてきた。
「……ほら、よく撮れてる、よ」
 煙草を咥えて吸いながら、スマホを見るよう促す鳴に、奏は笑顔で頷いた。

 浴衣のみならず、こうした場所は初めてのレニは、とても楽しそうな空気に内心ワクワクそわそわしていた。が、同時に、ここにいてもいいのか不安になりながら、達也に付いていく。
 達也のほうは、同じ小隊の仲間で任務でも一緒の時間が長く、仲間というより彼女の秘書的ポジションにいる気分で、エスコートしていた。
 道中、少し人が多そうな場所は、はぐれないよう彼女の手を引く。
 彼女の母国のことは知らないが、日本の文化を簡単に説明しながら、紫陽花を見て回った。
「紫陽花……というのですよね?」
「そうだ」
「とても……綺麗です」
 達也にリードされている内に、いつしかレニの不安もすっかり溶けていた。
 楽しそうにしているレニを見て、達也の心は少し痛んだ。
 ナイトメアとの戦いが始まったのは、もちろん達也の責任ではない。だが、戦争がなければ、彼女ももう少し多くの時間を、こうして笑顔でいられたのかも知れない。
 そんなことを思っていると、レニが首を傾げた。
「どうか……しましたか?」
「いや……何でもない」
 達也は首を振って、近くにある模擬店を示した。
「疲れてないか? 少し、休憩しよう」

 一方、この日涅槃も朝からこの園に訪れ、園内を散策していた。
 見栄えの良いスポットや、綺麗に咲いている花を端から撮影して回っている。
 一旦浸透した風評やジンクスを、無かったことにするのは中々に難しい。ここは新たな巷話の上書きによって、改めて客寄せを行ってはどうか、というのが涅槃の考えだ。
 もっとも、皆考えることは大体似たり寄ったりのようで、すぐ傍で同様にシャッター音がパシャリと響いた。
「後でSNSというものに、撮影した画像を感想添えてアップロードして公表すれば、世間の人達にも認知されやすいかしらね……」
 撮った画像を確認しながらのツィーの呟きに、「拙者もまったく同意見でござるよ」と答えた者がいる。
 顔を上げると、視線の先には狐面の男がいた。
「……きみもSALFのライセンサーですの?」
「左様左様。拙者、涅槃と申す」
「ツィー・プラニスフェルですわ。それで、同意見とはどういうことですの?」
「いや、写真撮影をした上で、それらを紫陽花園のホームページに掲載して貰うのでござるよ。『ライセンサーが選んだ希望の紫陽花』のような形にすれば完璧」
 うんうん、と自分の意見に頷いた涅槃は、またもどこか商人スイッチが入ってしまっているようだ。
「そうすれば、実際に足を運んでくれる者も増えるでござろう。そうして来てくれた新規の客に、ライセンサーチョイスの花々を探して貰い、そこからの更なる拡散を狙う手法でござるな。他の者にもいくつかお気に入りを選んで貰って、ちょっとしたコメント付きで掲載するイメージでござるが、どうでござろう」
「悪くないと思いますわ」
 答えながら、ツィーは視線を端末の画面へ戻した。
「もし他のライセンサーに出会ったら伝えておきますわ。僕も、普段は宣伝程度しか使っていないお店のアカウント、こういう時に使ってみようと思っていますの」
「成程成程、それも妙案でござるな」
 うんうん、とまたも首を縦に振りながら、涅槃は腕組みした。
「所謂『映える』という写し方、上手にできているか分からないけれど……」
 涅槃の言葉を聞いているのかいないのか、淡々と呟きながら、ツィーは歩みを再開している。
「好きなものを、綺麗に撮れたって自分でも思えるように写していけばいいわね、きっと」
 彼女の顔に浮かんだ微笑は見えなかったが、涅槃も微笑ましい気分でツィーの背を見送った。
 薄曇りの日にも映え、言わずもがな雨降る日にも、その瑞々しい青色を見せてくれる紫陽花。
「……どうせならば一人でも多くの者に見て貰いたいでござるからな」
 それらの花々に、ツィーが身に纏った浴衣が溶け込んでいくのをしばし眺め、涅槃は一つ息を吐く。
「さあて、拙者ももう一回り見てくるでござるよ」

 休憩に模擬店へ立ち寄った若葉と凪は、席に着いてからもう十分もメニューと睨めっこしていた。
 何しろ目移りするようなラインナップなのだ。
「紫陽花ソフトとゼリーも綺麗で美味しそう……」
「紫陽花ソーダも綺麗だよ。どうしよう……迷うなぁ」
 二人であれこれ迷うのも楽しいが、これでは永久にオーダーできなくなりそうだ。
「じゃあ、全部頼んでシェアしない?」
「あ、そうしよう」
 結局、紫陽花ソフトと紫陽花ゼリー、紫陽花ソーダを注文して分け合うことにした。
 程なくオーダーした品が、テーブルに並ぶ。
「食べる前に撮っていい?」
「じゃあ、ソフトは持っとくよ」
 凪にソフトを預け、ゼリーとソーダを綺麗に映えるように構図を考える。その辺は、凪も協力してああだこうだと頭を捻った。
 一通り撮影して、ホッと息を吐いたところで目を上げて、若葉はギョッと目を剥いた。
「……ソフトがっ!」
 慌てた若葉の叫びに、凪も自身が手にしていたソフトに視線を移し、惨事に気付く。
「っ溶けてる!」
 凪はあたふたしながら慌ててアイス部分に口を付け、若葉は備え付けのナプキンで凪の手から溶けだしたソフトを拭った。
 溶けるソフトと格闘するようにどうにか二人で平らげたあと、やっと落ち着いて残りの二つと向き合う。
「ふふ……美味しい♪」
 二人はそれぞれ目の前にある甘味を食べて、にんまりと微笑み合った。
「こっちも美味しいよ」
「じゃ、ちょっと食べさせて」
「いいよ。はい、あーん」
 ゼリーを口に入れて貰い、咀嚼した凪は「これも美味しいね」と言って笑いつつ、ソーダの上に浮いているアイスをすくって若葉に差し出す。
「こっちもどうぞ♪」
「あーん」
 パクリと若葉が凪の持った匙を口に含んだ直後、模擬店内に新たな客が現れた。エルレーンだった。
「いらっしゃいませ」
 女性店員が出迎えたエルレーンの口の端には、花弁の欠片がくっついている。
 どちらかと言えば、花を愛でるというよりは、(ヴァルキュリアだというのに)食い気のほうが強い彼女は、端から花を食べたあと、目に付いた模擬店に乗り込んできたのだ。
「お好きな席へどうぞ」
 若葉と凪が来店した時と同じ台詞を言われたエルレーンだが、ほとんど聞いていない。
 店内を見回して、目に付いたものでいけそうなものは口に入れてみる気満々だ。
 彼女は手始めにメニューを手に取り、あんぐりと口を開いた。
「おっ、おおおお客様っっ!?」
「うわぁああ、ストップーっっ!!」
 慌てて若葉と凪も立ち上がる。
 制止された為か、エルレーンは取り敢えずメニューを食べようとしていた動きを中断し、若葉と凪のほうへ目を向ける。
「……なにか?」
「えぇえっと、何かじゃなくって!」
「何でメニューを食べようとするんですっっ!?」
 エルレーンからすれば、質問の意図がよく分からない。
「ナイトメアいがいは とりあえずたべてみう」
 このぼんやりとした様子、舌っ足らずな話し方――そして、言葉の内容。若葉と凪にはよくは分からないが、二人にも確かに理解できたことがある。
 この相手は、食べ物とそうでないものの区別が、恐らく付いていない。つまり、放置は危険だ。このままではヤバい。
「……ひとまず、ここに座ってください」
 若葉が言い、凪は「取り敢えず、お勧めの品を彼女にお願いできますか」と店員に頼んだ。
「お名前は?」
「エルレーン いう」
「そうか。俺は皆月若葉。若葉でいいよ」
「僕は、珠興凪。凪でいい」
 すると、エルレーンは、二人を交互に示しながら「わかば なぎ」と確認するように復唱した。
 程なく、店員が「個人的なお勧めですが」と断りを入れて、紫陽花ケーキを運んできた。
「これ たべえうのか」
「そう、これは食べ物だよ。召し上がれ」
 若葉が優しく言うと、エルレーンはケーキを鷲掴みにしてかぶりついた。そうして、パッと顔を輝かせる。
「……これはいい もっとたべう!」
「そっか、よかった」
 彼女を少し店員に任せると、若葉と凪は顔を見合わせた。
「……どうする? 彼女」
「どうするも何も……」
 このまま放置したら、またおかしなものを口に入れ兼ねない。出会って数分経たない内に、二人にそれを理解させるだけのことを、彼女はしているのだ。
 と、その時。
「きゃあぁあ、お客様っっ!」
 店員の悲鳴に振り返ると、ケーキを平らげたエルレーンはそのまま皿を口に入れんとするところだった。
 やっぱり放っておけない。
 それを、目と目で確認し合った若葉と凪は、そっと溜息を吐いた。

(……ああ。いつの間にか……)
 園出口に辿り着く頃、ふと見上げると雨は止んでいた。
 梅雨時だけに、束の間の晴れ間かも知れないが。
「ご一緒してくれたお蔭で楽しめました」
 不意に、下のほうから声が聞こえ、視線をそちらへ転じると、ユキヤが微笑して手を差し出していた。
「相合傘も、有り難う御座います」
「あ、ああ……」
 相合傘、という単語が引っかかったが、ヤナギはひとまず、手にしていた傘を畳んでユキヤに返した。
「またお会い出来ると嬉しいので、連絡先とか教えて頂けますか?」
「ん? ああ」
 惰性のように携帯端末を取り出すと、ユキヤが今度は悪戯っぽく笑った。
「ふふ、軽いナンパですよ」
「は? ナンパ!?」
 ヤナギは一瞬目を剥いて、次に吹き出した。
「俺を、か、あっはは……ナンパする趣味はあるケド、される趣味は無ぇぜ?」
 特に女子から以外はお断りだ、と言い掛けたヤナギの言葉にかぶせるように、ユキヤが口を開く。
「双子の妹がいるんですよ。妹を紹介する条件なら如何ですか?」
「って、双子の妹……よし、乗った!」
 こうしてある意味まんまと、ヤナギはユキヤとのアドレス交換に応じたのだった。

「わぁ、見て。虹だよ!」
 雨の上がったあとのおまけのように、空に描かれた七色の半円を奏が指さす。
「こんな素敵な虹が見えるなんて、今日は運がいいね!」
 満面の笑顔で振り返った奏に、「そうだな」と答えながら鳴はスマホを取り出した。
「虹と紫陽花の組み合わせも良いもんだ、な」
 それらを背景に、奏をこっそり撮影したのは内緒だ。
 ちょうど、紫陽花は一通り見て回ったあとだった。まるでそこに待っていたかのようにあった模擬店で売られているソフトクリームに、奏の目は吸い寄せられる。
「紫陽花のソフトクリームってどんなものだろう……?」
「……気になる、か? 買ってやる、よ」
「ホント!? ありがとうっ!」
 同じ模擬店で、甘いものが苦手な鳴は紫陽花の花弁が入ったお茶をオーダーし、ソフトクリームは奏に渡してやる。
 嬉しそうにそれを受け取った奏は、傍に設えられた長いベンチへ鳴と歩みながら、早速一口ソフトクリームに口を付ける。
「味はミント……かな?」
「ほむん?」
「美味しいよ!」
「そっか。美味いなら良かった、な」
 奏の頭を撫でてやりつつ、ベンチに腰を下ろした。
 座ったついでに、色々撮影した動画映像をチェックしつつ、ネット公開する際どういう形にするかを相談する。
「じゃあ、アイドルっぽいミュージックビデオ風に編集して貰える? その間に奏もスキル歌唱力も生かしてオリジナルの曲作っとくから」
「りょーかい。じゃ、ミキシングは奏の歌待ち、で……俺もネット公開の準備は進めとく、よ」
「うん」
 奏は破顔して頷くと、まだ虹の名残の残る空を改めて見上げた。
「たくさんの人たちが、ここの良さを知ってくれるといいなぁ」
 鳴も自然、奏の横顔から空へ視線を転じる。
「……だねぇ、みんなが楽しめる場所であると良いよ、な」

「……きゃっ!」
 ひと休憩済んで、鑑賞を再開しようと歩き始めてすぐ、身体を傾がせたレニは小さく悲鳴を上げた。
 何かにつまづいたのかと足下を確認する。どうやら、慣れない所為か下駄の鼻緒が切れてしまっているようだ。
「あーあ……」
 へにょりと眉尻を下げて溜息を吐くと、達也が滑らかな動きでレニの前に膝を突いた。
「肩に掴まって」
「は、はい……すみません」
 達也は微笑で答えると、片足で立たせたレニの下駄を拾い上げ、調べる。
「この場での修復は難しいな……負ぶされ」
「えっ? で、でも」
「気にするな。ほら」
 突然のことに戸惑うレニに、達也は自身の背を示す。
 やや躊躇ったが、レニは結局彼の好意に甘えることにした。
「し、失礼します」
 断りを入れて、怖ず怖ずと達也の背に手を伸ばす。
(男の人の背中……とても広いのですね)
 内心、ドキドキしているレニを余所に、立ち上がった達也は達也で、『軽いな』などと率直な感想を脳裏で呟いた。
 その少しあとには、背中に当たる柔らかい感触に、
(レニは結構スタイルがいいんだな)
 などということも感じた。

 ツィーは紫陽花園の雰囲気が伝わるよう遠景と、花や、買ってみた紫陽花ソフトクリームなど、ピックアップものを色々と撮影して歩いていた。
 途中、雨は止んでいたのだが、わずかな晴れ間だったのか、またシトシトと滴が落ちてくるのを感じて、顔を上げる。
(あら……雨が降ってきたみたい)
 近くにあった、東屋のような休憩所で、一休みすることにした。赤い布が敷かれた広めのベンチに腰を下ろす。
 やがて、園のスタッフだろう女性が現れて、お茶と茶菓子を供してくれた。
 温かい茶碗を取って一口啜り、そっと息を吐く。
 顔を上げると、雨に煙るような、ふんわりとした紫陽花園の風景が目に入る。
「美味しいですね」
 ふと、横合いから声を掛けられ、ツィーはそちらへ視線を向けた。
 そこには、書生のような衣服を纏った、性別判断の付き辛い人物が座している。
「はい?」
 小首を傾げた少女に、子夜は無意識に話し掛けていた。
「いえ……紫陽花も美しいし、お茶は美味しく、お茶請けの風味も味わい深い。ついつい長居してしまっていけませんね」
「本当に……」
 ツィーは微笑すると、茶器をそっとベンチに戻して立ち上がる。そして、何かに誘われるように雨の降る庭園に歩を進めた。
「素敵ね……幻想的、というのかしら」
 そこに佇んだツィーは、雨を受けるように掌を差し伸べる。
 雨音に耳を澄まし、雫で色を増す花の美しさに、そっと微笑した。

 エルレーンを放置しなくて正解だった。
 というのは、若葉と凪の共通の認識であった。
 とにかく、油断すると何でも口に入れようとするのだ。紫陽花をまた端から口に入れるのを止め、模擬店を端から回って備品を口に入れるのを止めしている内に、土産物屋に行き着いた。
「……寄ろうとは思ってたからちょうど良かったけど」
 所属小隊の兄妹への土産を、探そうと思っていたのだ。
 その時、エルレーンは店内をキョロキョロと見回し、目に付いたキーホルダーを手に取った。紫陽花モチーフのものだ。
「なんだこれ わかんないからたべてみう」
「うわぁああ、ダメダメダメ――――ッッ!!」
 あーん、と口を開けてキーホルダーを掲げたエルレーンにストップを掛ける二人の叫びは、ほとんど悲鳴だ。
 間一髪制止は間に合い、エルレーンはピタリと動きを止めた。
「だめなのか」
「そうっ、ダメ。ダメなの、食べ物じゃないの」
 若葉は肩で息をしながらエルレーンを押さえ、凪は店員に「すみません、しばらく彼女、見ていてくれますか」と頼んだ。迂闊に目を離せない。
 しばしの休憩に、エルレーンを店員に託すと、二人はやっと土産選びに入った。
「これとかどうかな」
 アクセサリーエリアであれこれ悩んでいた凪は、手にしていたイヤリングの類を若葉に見せる。
「いいね、絶対似合う」
 兄妹がそれらを身に着けたところを想像し、若葉は思わず笑顔になった。
「こういうのも似合いそう」
「あとは……これとか?」
「それもいいね!」
 結局迷った末に、二人はそれぞれ兄妹に土産を購入することにした。
 凪は、兄にはシンプルで可愛すぎないイヤーカフ、妹には華やかなイヤリングを購入した。
 他方、若葉は、兄に綺麗なイヤーカフと、妹には可愛らしいイヤリングをと手に取る。
「ねえ、俺達も何か買わない? 例えば、お揃いのストラップとか」
「うん、僕もそうできたらいいなって思ってたんだ」
 紫陽花ストラップも纏めて購入し、互いにプレゼントはそれぞれしまうと、ストラップはスマホに付ける。
 揃いのストラップが付いたスマホと、互いの顔を見合わせると、二人は満面の笑顔になった。
 更に、若葉は合間にプライベートの写真もたくさん撮っていた。気付けば、凪の笑顔の写真がスマホに一杯になっているのに、苦笑する。
 後半、思わぬハプニングもあったりしたが、それはそれでいい思い出だと思う。
「さて……と。俺達はそろそろ引き上げるけど、エルレーンはどうする?」
 店員に預けていたエルレーンに訊くと、エルレーンは一瞬考え込む様子を見せた。
「いちばんおいしいもの もういっかいたべう!」
「一番……美味しいもの?」
 凪が首を傾げると、エルレーンが猛然と首を縦に振る。
「けーき いう おいしい!」
「あー……」
 若葉と凪は、合点した。
 彼女と一番最初に会った模擬店で、彼女が食べていた、紫陽花ケーキだ。
「……ここまで来たら付き合おうか」
「だね」
 美味しそうにたくさん食べていれば、その様子を、今日来ている数少ない一般客も目にするだろう。そうすれば、その内の何人かがそれを拡散してくれる可能性もある。
 若葉と凪は、苦笑して肩を竦め合うと、エルレーンと共に土産物屋をあとにした。

 東屋の休憩所で一緒になったツィーと子夜は、そのあと何となく一緒に行動していた。
 共に模擬店を回り、最後に辿り着いた土産物屋で、子夜はキーホルダーを一つ求めた。
「ツィー様は何を?」
「僕はこれですわ。今日の記念に一鉢買って行こうと思いますの」
 ツィーが示したのは、紫陽花の鉢だ。
「来年は僕も咲かせてみるわ♪」
「成程。それもまた、よいことですねぇ」
 その後、子夜と、店の人に世話の仕方を習うというツィーは、微笑み合って別れた。

「さーて!」
 ソフトクリームや、ほかの模擬店で売っていた食べ物を二、三つついて満足した奏は、立ち上がって大きく伸びをした。
「鳴くん、もう一回りしない?」
「ん? ああ」
 いいよ、と言い掛ける鳴の回答を見越していたのか、言い終えるのを待たずに駆け出そうとした奏は、どうした弾みか躓いて転倒してしまった。
「はわ、わぶっ!」
 悲鳴を上げてひっくり返った奏に駆け寄った鳴は、「全く……」と呆れたように言いながら、彼女を抱き上げた。
「え、ひゃっ」
 所謂お姫様抱っこをされた奏は、またも悲鳴を上げる。
 それには頓着せずに、元のベンチへ奏を座らせた鳴は、彼女の頭をポフポフと優しく叩きながら、顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
「え、あ、うんっ」
「……怪我はない?」
「怪我はないよ、大丈夫」
 別の意味で大丈夫じゃない、とは思うが、理由を訊かれたら上手く説明はできないだろう。
 友達以上恋人未満な幼馴染みの距離が、こんな時、顔に熱を昇らせる。
 赤くなった頬を見られないように、奏は熱を持った場所に指先を当てて俯いた。

 帰り際、立ち寄った土産物屋で買ったものを、達也はベンチで待たせていたレニに差し出した。
「えっ、あの……」
 達也が手にしていたのは、紫陽花の飾りの付いた簪だ。
「こういうお年頃の女の子はおしゃれしてかわいくなければいけない」
 戸惑うレニの髪にそっと挿してやると、思った通りよく似合う。
「そろそろ帰るか」
 言いながら、またレニを背負って、達也は立ち上がった。
「あ、あの……」
「うん?」
「今日は、ありがとうございました。とても……楽しかったです」
 普段、中々言わない言葉なので、少しぎこちなくなってしまう。しかし、面と向かっていないおかげでか、素直な気持ちと共に礼を述べることに成功すると、自然と笑みが浮かんだ。
 日頃のお礼をするつもりで誘ったのに、結局自分のほうが楽しんでしまったような感があり、それは申し訳なく思ったけれど。
 その様を、直接見ずとも感じ取ったのか、達也は「そうか」と返す。
「楽しめたのなら、よかった」
 彼女から見えない角度にある顔に、達也もまた微笑を浮かべた。
 彼女が、この先を笑顔で生きていけるように、必ず生かしてこの戦争を乗り越えよう。
 小さな決意を胸に秘めながら、達也はレニを背に、帰途に就いた。

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