オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【FI】戦場の中心で、愛をさけぶ

連動 【FI】戦場の中心で、愛をさけぶ 近藤豊

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
FI バトル 防衛  
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
220000G
220SP
2200EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/05/18 20:00
完成予定
2020/05/28 20:00
機体使用
関連シナリオ
-

 新システム――『リムネラ』。
 歌唱に込められた想いを増幅させ、対象に影響を与える事が可能。アサルトコアに搭載する事で大規模な戦時行動において戦略的な転換を促す事を期待されている。
 このシステムが開発されるまでには紆余曲折があった。
 ジョゼ社で発案された本システムはレオポルト社との共同開発へと発展。さらに放浪者ペンバートンの協力を得て課題であった重量の軽減もクリア。いよいよ実戦に近い形でのデータ収集が必要となった。

「いやー、ついにリムネラを搭載したフリーダが動く日が来たな」
 ジョゼ社の技術担当ホセは感慨深くアサルトコアを見上げた。
 試作アサルトコア『フリーダ』。
 リムネラを搭載した特殊な機体は、歌唱により後方支援を行う事を念頭に置いて開発されている。機体デザインはレオポルト社が担当。元々究極の機体を追求して職人の手によって丹精込めて制作するレオポルト社だ。見た目も白を基調とした精錬された立ち姿だ。
「白鳥と女性をイメージされているそうです。操縦者を歌い手というより神降ろしの踊り子とみたのかもしれません。東洋ではそのような存在もあると聞いた事があります」
 海猫隊預かりの補佐官マーク・マイヤーは手元の資料を読み上げながら報告する。
 レオポルト社が今回の共同開発に応じたのは異例中の異例だ。
 量産性を行わない高級路線を独自で突き進むレオポルト社と安価で現実路線、その上独創性の強いジョゼ社は開発コンセプトから大きく異なる。それでも共同開発路線を取ったのもアサルトコアの将来性に加えて欧州でもナイトメアの行動が活発すると予想されているからかもしれない。
「踊り子か。戦場に舞う白鳥が、戦士達を助けるなんてロマンチックじゃねぇか」
「顔に似合わないセリフだペン」
 ホセの言葉にペンバートンはスナック菓子を頬張りながら呟いた。
 今回、二社の共同開発だけではなく、放浪者の技術もフリーダには使われている。放浪者が得意とするのは重力と斥力の操作だ。この技術を流用する事でリムネラの重量を通常軽減。アサルトコアに積み込む事が可能なレベルにまで抑える事ができたのだ。
「うるせぇ! 細ぇ事は気にすんな!」
「でも、どうしてフリーダなんて名前にしたペン? どういう意味だペン?」
 ペンバートンは首を傾げる。
 ジョゼ社は元々アサルトコアに女性名を冠する事がお約束となっている。このフリーダもその例に漏れず女性名なのだが、ペンバートンは名前の由来を聞かされていなかった。
 ホセは軽くため息をついた。
「フリーダって女流画家がいたんだよ。彼女はどんな困難に見舞われようと諦めずに自分を貫いた。俺一人ではできなかった新機体だ。今回の共同開発は、みんなが諦めなかったからこそできた機体だと思ってよ。その画家の名前を付けたんだ」
 ホセ一人ではリムネラを完成させる事はできなかった。
 多くの者が諦めずに完成を目指したからこそ、フリーダは今日この日を迎えられた。
 ホセはその諦めなかった姿勢を、南米出身の女流画家になぞられて機体を命名したようだ。
 その話を聞きながら、ペンバートンは新たなスナック菓子の袋を開いた。
「……やっぱり顔に似合わない事は、言わない方がいいペン」


「やっと見つけたぞ、海猫隊」
 先日、お台場で敗北したドクター吉乃川。
 何だかんだとしぶとく生き残る吉乃川は、執念で海猫隊の痕跡を欧州で発見した。残念ながらニャートマン軍曹(lz0051)は見当たらないが、海猫隊が関与している事は間違いない。
「猫軍曹がいない事は残念だが、ここを叩けば奴の悔しい顔が見られるに違いない。ならば、積極的に動くべきだな」
 幸いにも太平洋インソムニア『ルルイエ』司令官のハオヘアより賜った技術はまだまだある。ちょうど試作機として製作していた機械型ナイトメアが存在する。これらを使ってあの白い機体を壊せば――。
「待っておれ、猫軍曹。今、吠え面をかかせてやるからな」


「補佐官、敵襲です! 敵性アサルトコアらしき影が多数。30分後にはここへ到着します!」
「!」
 レオポルト社の技術担当がかけこんできた。
 フリーダがあるこの施設は基地ではなく、レオポルト支社が所有する研究施設だ。一度ナイトメアに集団で狙われた場合、施設を防衛する設備はこの施設にはない。
「SALFの救援は?」
「打診中ですが、間に合うかは……」
「くっ、そうですか」
 口を濁すマーク。
 既に欧州のSALFには救援要請を行っているが、地中海沿岸部から少し離れた内陸部に存在している。今からSALFが緊急出動しても間に合う保証はない。
 最悪、到着した段階で基地もフリーダも破壊されている恐れもある。
 そんな中、ホセとペンバートンだけは落ち着いていた。
「そんなのやる事は決まっているペン」
「ああ。それしかねぇな。
 マーク、周辺のライセンサー達を呼び出してくれ。緊急依頼だ。内容はフリーダの実戦データ収集に対するフリーダ護衛依頼だ」
 ホセが提案してきたのは思い切った打診であった。
 周辺にいるライセンサーへ緊急要請すると共にフリーダの実戦データを集めようというのだ。幸い打診すれば応じてくれるライセンサーはいるかもしれないが、同時にフリーダの実戦データを集めようというのは無茶過ぎる。
「ホセさん、それはあまりにも……」
「どうせ戦場に出る機体だペン。この機会に調べるのが一番だペン。俺達を救ってくれたライセンサーなら、きっとうまくやってくれるペン」
「そういうこった。こいつがうまくいけば、ロールアウトもそう遠くねぇ」
 ホセはこの機会にニヤリのほくそ笑む。
「会敵もミッションの内だ。ライセンサーへの手配をよろしく頼むぜ」

目的:
新機体『フリーダ』を護衛しつつ、敵の襲撃を撃退する。

概要:
地中海から少し山間に入った場所にあるレオポルト社の研究施設。森林地帯に囲まれる場所で試作アサルトコア『フリーダ』の起動実験を行う予定であった。だが、ナイトメアがこの場所を嗅ぎ付けて攻撃を仕掛けてきた。ホセは急遽周辺のライセンサーへ緊急依頼を打診。フリーダを護衛しながらデータ収集に協力要請であった。研究施設はナイトメアから施設を守る装備がない。ライセンサー達は研究施設を出てフリーダを守りながら森林地帯で交戦する事になる。

味方:
試作アサルトコア『フリーダ』×1
歌唱に込められた想いを増幅させて対象に影響を与えるシステム『リムネラ』を搭載した新型機。特殊なコックピットで搭乗者が歌う事で様々な効果を味方や敵にもたらす事が可能。希望すれば参加ライセンサーがフリーダに搭乗可能。但し、誰もいなければ興味本位でペンバートンが音痴な歌を披露します。接近用兵器としてワンドを装備。
・使用可能スキル
スラブ舞曲第8番
力強い音楽で味方の防御力を上昇させる。

威風堂々第1番
周囲の味方を鼓舞して攻撃力を上昇させる。

アメージング・グレイス
美しい旋律で周囲の味方のイマジナリーシールドを回復させる。

敵:
・機械型ナイトメア(大)×複数
サイズM。異世界の技術を用いて作られた機械型ナイトメアで、アサルトコア戦闘を意識した大型のナイトメア。スラスターでの高速移動が可能。盾とアサルトライフル、接近戦用ナイフを装備。汎用型に生産されたようだが、装甲に問題を抱えている。

・機械型ナイトメア(アーマー型)×1
サイズS。トラックに手足が生えたような外見のアサルトコアで、頭になる部分にはドクター吉乃川が剥き出しで搭乗。機械型ナイトメアが一定数撃破された段階で登場し、現場から逃走を図ります。速度はアサルトコア程度。

<追加解説>
※注意
フリーダのスキルは試作のものです。後日変更される可能性があります。またスキルの名称からクラシックを歌唱する必要はありません。想いが力になる為、別の曲でも効果は発揮します。

近藤豊です。
フリーダに騎乗される場合、自分のアサルトコアは持ち込めません。また誰も乗らなければペンバートンがスナック菓子の油だらけの手で搭乗します。
それでは、バックヘンデルを肴にお待ちしています。

  • 竜殺し
    七瀬 葵la0069
    放浪者14才|ネメシスフォース×セイント

※アドリブ、セリフ作成などご自由に

「重量、軽減できる、なら、AC本体の重量を、軽くすれば、永続的に飛べるACが、作れる?」
「キャリアーに、随伴できる、飛行型は、必須」

■フリーダ搭乗
「某ドラゴンなボールに出てくる、悪役を、思い出す、名前」
「歌を、ずっと、歌ってると、喉乾くから、ドリンク必須」

■行動
基本的に後方での支援を行い、直接戦闘は回避。戦闘行動は味方に任せる
支援範囲内に出来るだけ多くのACが入るようにして、スキルは全部使用。

○スラブ舞曲第8番→燃え系アニソン
 敵の火力が味方機の防御を大幅に貫通する(生命が一撃で100以上減少)する場合、主使用
○威風堂々1番→別の燃え系アニソン
 上記以外の時に主使用
○アメージング・グレース→落ち着く系アニソン
 複数機の生命が半減した際に纏めて回復

「歌うのは、それなりに、得意、だよ」
「ん、データ、取るのに、必要だし、ね」
「集中して歌いながら、戦うのは、難しそう。ダンスなら、出来る、かもしれない」
「らーららー♪ ん、喉の調子は、悪くない、ね。今から、歌う、よ」

■その他
「えと、歌う人も、いるけど、楽器を演奏する人も、いるから、歌以外でも、機能すると良い、かも」

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「敵を倒しつつ、新型機体のデータ収集…、大変そうですけど、やってみます!
目的】フリーダを守りつつ敵撃退/フリーダの実践データ収集
行動】私の機体は歌で行動を補助する機構がついているので、リムネラが使用される際はコーラス的な感じで歌支援「そちらの歌にあわせて歌いますね!
なるべくフリーダが八咫鏡の効果範囲内(5Sq)に収まる位置で戦い、フリーダが攻撃されたら八咫鏡で防ぐ
但しスラブ舞曲や威風堂々の効果範囲を確認する為、これらのスキルが使用される際は一度離れて徐々に近づき効果範囲や持続時間等確認
スラブ舞曲効果時とない時の威力の差を大剣攻撃で確認(敵がロボなら動きにパターンがありそうなので同じ条件で攻撃できそう?
仲間との連携重視で全力移動や飛行等も使い3次元機動意識し敵の死角から攻撃を意識的に行う

威風堂々効果時とない時であえて攻撃を受け、防御効果のデータ収集→後手必撃でカウンターを放ち敵は倒す
敵が一直線に並んでるなら須佐之男を放つ(味方巻込まぬ様位置取り注意
敵密集時は予め仲間に通信で知らせた上で月読命で攻撃→敵防御力下がった所で仲間に攻撃して貰う

生命減少時アメージングGで回復をお願い
遠い敵はキャノンで攻撃

撤退する吉乃川博士へ「海猫隊はいつでもお相手します!(広報官として宣伝(

【心情】
それじゃ、フリーダとリムネラのテストは七瀬ちゃんに頼むわ。完成した時が楽しみね
ディース、ソーティー!

【目的】
ナイトメアの全滅
施設とフリーダの護衛

【準備】
フリーダのスキルの効果範囲チェック
施設に敵が接近した場合に備え、全力移動準備や残弾数チェック
リロードは余裕ある時行う
敵は集中攻撃で確実に倒す
フリーダのスキル合わせ歌う

【同行者】
七瀬葵、水無瀬奏

【行動】
フリーダの護衛として、ナイトメアを主に射撃武器で迎撃。敵がフリーダを射程内に収めた場合、その敵を優先して掃討。キャリアーバスターの射程範囲内ならフォイアーヴェルク(スキル切れや瀕死の敵なら通常攻撃)で倒す
…その盾、灼熱の薔薇の斬撃には意味ないわよ!

複数敵がスパークグレネードで巻き込めるなら発射。味方巻き込み避ける

トリプルファイアは少数敵へ集中的に撃ち込む
八咫烏、トライ・フォーメーション!

『護衛、務める』
【目的】
フリーダの援護、敵の殲滅
【行動】
メインを持って移動。敵がサブの射程に入り次第持ち替え
移動する必要が出た場合はメインに持ち替え
それ以外は固定砲台として戦闘
自動装填モード使用後、砲撃スキル及び通常攻撃を用いる
敵多数巻き込むように砲撃スキル使用
砲撃スキルを使い切った場合徹甲弾装填し再び砲撃スキル使用
味方を巻き込む可能性がない場合は貫通徹甲弾>徹甲榴弾
巻き込む可能性ある場合はサブ武器による射撃
狙う敵の優先度はフリーダを狙ってるorフリーダの近く>味方が攻撃してる
とにかく数を減らすこと優先
味方の被害が大きくなってきた場合、アクセの緊急修復使用。フリーダの耐久優先回復

  • 寡黙な翡翠
    LUCKla3613
    放浪者29才|グラップラー×ゼルクナイト

「直衛は存在するな。であれば、俺は突っ込んで叩くとするか」
「しかし面白いACが出たな。興味はあるが…」眺めるだけにしておく。

敵が最も多い位置に飛行や全力移動を駆使して突撃
「ん。またお前か、ドクター」あぁ、あの時の。みたいな反応(
可能な限り多くの敵を巻き込み、到着地点で開幕ウルトラノヴァ
ひたすら付近の敵を攻撃し、数を減らすことに注力
基本近接で攻撃するが届かない敵に攻撃する必要がある場合はトリステスで攻撃

その後機動力勝負になるなら突出した敵に追いすがり攻撃して回る
「速さならば俺も自信がある。勝負してみるか」
必要ならば全力移動やアンブッシュリーバーも使用し、常に移動しながら戦闘を行う
被ダメはさほど気にせず、しかし機能停止に陥らないよう引き際は誤らない

ドクターが逃げ出すならその場で追って一発殴るか撃つ事を試みる
「これは要らん茶々に対する仕置きだ。貰っておけ」

ペンバートンはじっと見てみる。丸くて可愛い…気がする。
自己紹介もする。
「……その手で本やら資料やらを触るんじゃないぞ。後で読みづらくなって困るのはお前自身だ」
手は拭いて差し上げたい(

  • 闇のブローカー
    Y・Ela3784
    人間28才|ゼルクナイト×グラップラー

軍曹さんの関心を引くためにわざわざ新型アサルトコアを攻撃するだなんて…
よっぽど、軍曹さんがお好きなんですねぇ

フリーダのリムネラ・システムにも興味があります
アサルトコアの操縦はあまり得意では有りませんが、あれを応用すれば…
私も、何か貢献できるようになるかも
まぁ、私…歌唱はぜんぜんだめなんですけれども~

●行動
フリーダの直近で護衛に当たります
森林地帯なので、なるべく森や斜面などを背後にした、守りやすい位置を選ぶよう進言

機動力のある敵の様ですので、いくつかはフリーダに接近するかもしれません
ニードルライフルで近い敵から射撃し、フリーダが直接攻撃を受ける状況になれば、
思念式拡散波動で標的を自分に変更

使い込んだ機体ではないので、一度に多数の注視を集めすぎない様にしないといけませんね
ロシア製の兵器には少し苦い想い出があるのですけれど、まぁ、今はこの子を信じましょう~
と嘯きつつ思念式展開装甲も併用

フリーダ直近まで敵が接近した場合は、こちらから距離を詰めて格闘戦に持ち込みます
パリングで反撃しながら足止めしつつ、味方と連携して一機ずつ潰していきましょう

ドクター吉乃川にについては…まぁ、元気な御仁ですこと
深追いするつもりもないのですが…あぁ、目立つ操縦席ですねぇ~
視界に入ってきたら、うっかりニードルを打ち込んでしまうかも
「あら、ごめんあそばせ」

 ――出撃前。
「その手で本やら資料やらを触るんじゃないぞ。後で読みづらくなって困るのはお前自身だ」
 試作アサルトコアへ乗り込もうとする放浪者のペンバートン。
 彼の手をウェットティッシュで拭き取るLUCK(la3613)。
 ペンバートンは興味本位でアサルトコアの操縦に名乗りを上げるが、乗り込む直前までポテトチップスを食べていた事にLUCKは気にしていたのだ。
 せっかくの試作機。その操縦席を油だらけにするにはあまりに勿体ない。
「大丈夫だペン。その時はその時だペン」
「そうは言うが、今日ぐらいは綺麗にしておいてやれ。試作機が狙われているって心配している奴もいるぐらいだからな」
 LUCKは視線を後方へ促した。
 そこには開発者の一人であるジョゼ社技術担当のホセが、熱い視線を向けていた。
 レオポルト社と共同開発を進めていた試作アサルトコア――フリーダ。
 フリーダは歌い手の想いを増幅させる事で、対象に様々な効果をもたらす新システム『リムネラ』を搭載している。この新兵器開発を嗅ぎ付けたのか、レオポルト社の研究所をナイトメアが襲撃してきたのだ。
「せっかくの新機体ですから、大切に扱って下さい。今はこの一機したありませんから」
「分かったペン」
 丸々と太ったペンバートンは、ヨランダ=エデン(la3784)の言葉に従った。
 反論するだけ面倒と考えたのかもしれないが、技術者の考えを理解してくれたと信じたい。
(それにしても見ようによっては丸くて可愛い……)
 離れているペンバートンを見つめながら、LUCKは心の中でそう呟いていた。


 そして、試作機フリーダの前でペンバートンを待つ者がいた。
「ん。待ってた」
 七瀬 葵(la0069)はペンバートンに声をかける。
 今回のナイトメアによる襲撃は想定外の出来事であるが、ホセもただでは転ばない。
 リムネラの実戦データを集める機会と考えたホセは、周辺のライセンサーに緊急依頼を打診。フリーダの実戦データ収集と護衛依頼を打診したのだ。
「悪かったペン。それより操縦は頭に叩き込んだペン?」
「ん、勿論」
 強く頷く葵。
 フリーダの大きな特徴は『歌唱に込められた想いを増幅させて対象に様々な効果をもたらす』事だ。つまり、操縦者はフリーダの中で歌唱する事になる。既存機体とは感覚が異なる部分があるのだ。
 葵はしっかり予習も完了している。
「これが、フリーダ」
 葵とペンバートンを見送るようにフェーヤ・ニクス(la3240)は上を見上げていた。
 この白い機体――複数のスピーカーを装備しながらも、デザイン的に異質さを感じさせない。手にはマイクの形をモチーフにした接近戦用ワンドが握られている。
 フェーヤの目には白鳥というよりもアイドルのように見える。
 そんなフェーヤに触れる事無く、葵は早々にフリーダへと乗り込んだ。
「歌を、ずっと、歌っていると、喉渇くから、ドリンク必須」
「やったペン! 俺のコーラも準備してあるペン!」
 葵が準備していた飲み物。
 事前リサーチでペンバートンが気に入っていたコーラもフリーダへ持ち込んでいる。
「ところで」
 フリーダの操縦席へ上がる最中、葵はペンバートンに問いかけた。
「重要、軽減できる、なら、アサルトコア本体の重量を、軽くすれば、永続的に飛べるアサルトコアが、作れる?」
 葵はペンバートンがリムネラに使っている重力と斥力の制御を行えば永続的な飛行が可能となるアサルトコアが作れないかと持ちかけたのだ。
 それに対してペンバートンは腕を組んで悩む。
「簡単じゃないペン。リムネラはシステムの軽量化だけだったから使えたペンが、この世界のアサルトコアって兵器は軽くするだけではなく、移動もするペン。移動となればそこに推進力も必要だペン」
 ペンバートンによればアサルトコアを軽量化する事はできても戦闘に使えるかは別問題らしい。
 稼働に関わる制御系はすべて再検証する必要がある上、前に進む推進をスラスターで利用すれば相応のエネルギーを消費する事になる。将来的に飛行するアサルトコアが完成するかもしれないが、永続的に飛行できるかは分からない。
「まあ、夢は必要だペン。そうした夢を持たなければ夢は形にならないペン」
 普段は面倒臭がるペンバートン。
 操縦席に座る葵の膝上へ腰掛ける。
 スクリーンに映し出される外部の風景。
 葵は、フリーダの初陣を前に大きく息を吐いた。


「敵を撃破しつつ、新型機体のデータ収集。……大変そうですけど!」
 フリーダの前に滑り込んだ水無瀬 奏(la0244)のFS-X『都牟羽』。
 フリーダに傷を付けないとばかりに鎮守礼装『八咫鏡』を展開する。折りたたみ型シールドスパイクが迫る敵の行く手を阻む。
 更に、八咫鏡が届かない範囲にはユリア・スメラギ(la0717)がFF-01『ディース』で立ちはだかる。
「それじゃ、フリーダとリムネラのテストは七瀬ちゃんに頼むわ。ディース、ソーティー!」
 キャリアーバスターを構えて敵の襲来に備える。
 今回、任務にはフリーダの実験データ収集支援が盛り込まれている。つまり、フリーダがリムネラを通して発動した効果をその身で体感する必要がある。ユリアもこのフリーダに対して大きな機体を寄せている。
 もし、フリーダが完成してロールアウトに漕ぎ着ければ、アサルトコア戦闘の在り方に変革が及ぼせるかもしれない。
「歌うのは、それなりに、得意、だよ」
 早速歌い始める葵。
 その曲目は――。
「おお! ジャパニメーションのワンバスターじゃねぇか! なかなか熱い選曲じゃねぇか!」
 後方からホセが通信機で話し掛けてきた。
 どうやらタダの脳筋技術者ではなく、日本のアニメにも精通しているらしい。
「ちょうどいい、俺が曲をかけてやるぜ」
「ん、ありがと」
 ホセが曲を保持していた事もあり、フリーダの機体に取り付けられたスピーカーから周囲に向けてワンバスターのオープニングが鳴り響く。
 強いビートが周囲の仲間達へと繋がり、激しい鼓動と同時に魂が揺さぶられる。
 奏は自分の体に明らかな変化が起こっている事に気付いた。
「これは!?」
「激しい曲調に合わせて気持ちがグッと持ち上げられる。これなら……」
 ユリアは浮遊砲台「八咫烏」を展開。接近する機械型ナイトメアの進路に配置する。
 敵もこちらの居場所に気付いたのだろう。スラスターを全開にさせて真っ直ぐにこちらへ近づいてくる。
 敵の接近を察知して八咫烏が集中砲火。スラスターの勢いはあっても、機械型ナイトメアは移動速度を落とさざるを得ない。
 ――そこへ。
「いけぇ!」
 一気に間合いを詰めたディース。
 キャリアーバスターの一刀が機械型ナイトメアの胴体を捉える。振り抜かれた刃は、機械型ナイトメアの体を両断する。だが、注目すべきはユリアの体に伝わった感覚だ。
「いつもと違うわ。手応えが軽い。これならもっと戦える」
 葵が発動したのは威風堂々。
 対象の攻撃力を引き上げる能力があるのだが、ユリアはその効果を実感していた。
 これは強敵を前にしても十分に役立てる。
「本当ですか? それなら私も」
 ユリアに続いて奏も前に出る。
 機械型ナイトメアは周辺に展開しながらフリーダを目指している。言い換えれば、敵の移動パターンが読めれば待ち伏せは容易だ。
 直近のナイトメアに向かって接近した都牟羽は、すれ違い様にキャリアーバスターの一撃を叩き込む。一刀で胴体と腰が分離するナイトメア。地面に転がり、派手な爆発を起こす。
 しかし、奏は爆発を気にする余裕はない。
「軽いです。これならもっと戦えそうです」
 戦いの中でありながら、歓喜する奏。
 フリーダの初支援は成功と言えそうだ。
「やったペン。この調子で歌いまくるペン」
「……ん」
 葵は新しいドリンクで喉を潤しながら頷いた。


(これは……)
 LUCKのXN-01は、敢えて敵陣の中へ突進していた。
 フリーダの効果を体感する為には、スラブ舞曲第8番で防御力を上げて敵の攻撃を受ける必要がある。
 そう考えたLUCKはスラスターで接近する敵に向かって突出してみる事にしたのだ。
 だが、敵のアサルトライフルで攻撃を浴びても、いつものようなダメージ量を受けない。普段よりも無理が効く感覚だが、防御力は上がっているように感じられる。
「最初はアニメソングを歌っているだけだと思ったが……」
「遊んでいる暇はありませんわよ」
 防御力を実感しているLUCKの後方からヨランダが呼び掛ける。
 ヨランダは森林地帯である事を利用して護衛対象のフリーダと共に守備しやすい森の斜面を背後に位置取っていた。敵は森林地帯を大きく展開しているが、フリーダを狙っている事が分かれば対応は難しくない。
「1時方向、二機向かってる」
 大きく回り込んだ機械型アサルトコアを発見したLUCK。
 今から移動しても撃墜には間に合わない。
 フリーダ近くで迎撃する他ないと判断したLUCKは、後方へ対応を促した。
「лучник、援護する。任せて」
 特殊砲台「FS51」を展開しながら、フェーヤはSJ-03『ルーチニク(лучник)』を前進させる。
 ナイトメアが目標地点へ通過した瞬間――徹甲榴弾を発射。
 フリーダへ接近する機械型ナイトメアに向かって砲撃する。
 大きな発射音。次の瞬間、地震のような震動と共に地面を激しく吹き飛ばす。射程距離外だったが、牽制の一発だ。これでいい。二機の隊列を崩す事に成功。敵の間に距離が生じる。
「よそ見していてよろしいので?」
 先行しているナイトメアに対して、ヨランダのHN-01『Obj-SASQUATCH』はニードルライフルの照準で狙いを定める。
 既に数体撃破する事でヨランダも気付いた事があった。機械型ナイトメアは機動性は比較的高いものの、防御力に大きな難がある。胴体部分を狙い撃てば比較的簡単に稼働不能へ持ち込める。
 さらにこちらにはフリーダがいる。リムネラで攻撃力を上昇させれば一撃で葬り去る事も不可能ではない。
「危ない、ですわよ」
 撃ち出されるニードル弾頭。
 数発が胴体にヒット。激しく揺れるナイトメア。
 だが、完全に仕留めた訳ではない。辛うじてアサルトライフルでの抵抗を試みる。ヨランダは反射的に前へ進み、ナイトメアと肉薄する。
 銃弾が数発命中するも、フリーダは構わず前へ。
 同時にブースター付きのナックルB.B.Kの一撃がナイトメアの胸部へ炸裂。大きな爆発と共にナイトメアは後方へと投げ出される。
「鬼強ヨランダと呼んで下さいませ。略して……まあ、いいですわ」
 敵を完全に沈黙させたヨランダ。
 一方、フェーヤも残る一機を完全に捉えていた。
「狙った獲物、逃がさない」
 接近するナイトメアは十分に射程距離内。
 自動装填で徹甲榴弾は発射の時を待っている。先の一発は牽制の意味が強かったが、今回は違う。確実に敵を葬り去る為の一発。
 確実に当てて潰していく――射手の名の下に。
 再びの砲撃。空気を震わせた一撃は、ナイトメアの胸部を貫通。大穴を開けられたナイトメアは、その地点で大きな爆発に見舞われる。
「この威力……」
「確かに威力の向上を感じ取れますわ」
 ヨランダもフェーヤも、ナイトメアとの交戦で攻撃力の向上がはっきりと分かる。
 やはりフリーダの効果は明確な存在すると言えそうだ。


「くっ。なんだ、あの機体は。私のナイトメア軍団が早々に撃退されるとは」
 劣勢を感じ取ったドクター吉乃川。
 危険が自らにも及ぶと考え、早々に撤退を開始する。
 いつでも逃げられるようにアーマー型の機械型ナイトメアで逃走を図る。頭部は剥き出しの状態だが、性能はそこまで悪くはない。
 このまま無事に逃げ切れれば……。
「ん。またお前か、ドクター」
「え? ……ゲェ!」
 いつの間にか吉乃川のすぐ後ろにLUCKのXN-01が肉薄していた。
 LUCKは突出する中で今回の奇襲を画策していた敵を探していた。この為にアンブッシュリーパーでナイトメアを撃破しながら、前へと出続けていたのだ。
「性懲りもなく現れるとはな」
「ドクター? あのドクター吉乃川ですか?」
 海猫隊広報官を担う奏が吉乃川に反応する。
 最近、海猫隊を執拗に狙う吉乃川を厄介に感じてはいるが、襲ってくるのであれば相手にしない訳にはいかない。
 奏は海猫隊としてしっかりと宣言する。
「海猫隊はいつでもお相手します!」
「おのれ、次こそは倒して……ん!? そこにいるのはハオヘア様を倒した……」
「まあ、それはそれとしてだ」
 XN-01は遠隔狙撃ユニット「トリステス」を構えている。
 照準には遠ざかっていく吉乃川の姿が収められていた。
「これは要らん茶々に対する仕置きだ。貰っておけ」
「ひぃ! 海猫隊! 絶対にゆるさ……」
 吉乃川が言い切る前に、吉乃川が乗ったナイトメアは爆発。
 トリステスの銃弾が見事命中したようだ。


「ん、概ね、成功」
 戦いの後、葵はホセに口頭での簡単な報告を済ませる。
 詳細な結果は採取した戦闘データを解析するが、操縦者への負担は本人の口から聞きたいところだ。
「体調もそれ程悪い訳じゃなさそうだな」
「ペンバートン、重かった」
 しれっと葵の膝上に居座っていたペンバートン。
 面倒臭がりで移動も浮遊ユニットを利用している為、体重は他の放浪者よりもずっと重い。それが葵の足に乗り続けているのだから、かなりの負担と言って良いだろう。
「あー、それはすまなかったな」
「こら、勝手に謝るなペン。それよりさっさと戦闘データを解析開始するペン。この結果を分析すればリムネラの調整も行えるペン」
 研究者でもあるペンバートンは意気揚々と研究室へ飛んでいく。
 ホセも移動しようとした瞬間、ユリアが呼び止めた。
 吉乃川の最後の言葉からの推測だが、ハオヘアを倒した因縁で吉乃川に目を付けられた可能性がある。弟を殺されたナイトメアへの復讐の為にライセンサーになったユリアだが、今度は狙われる立場になったようだ。
「ちょっといい?」
「なんだ?」
「フリーダは量産までのどの程度の時間が必要?」
 ユリアはフリーダに期待していた。
 予定ではナイトメアに対してトリプルファイアなどを駆使して全力を出すつもりだった。しかし、フリーダの支援もあって負担は軽減。敵の装甲が薄い事もあるが、全力を出し切る必要は感じられなかった。今後激化するナイトメアとの戦いにフリーダが早期にロールアウトできれば戦略的に大きな転換期を迎えるかもしれない。
「どうだろうなぁ。今回のデータで新たな課題が見つかるかもしれねぇ。特に支援スキルを発動した際の効果が十分に発揮できるか、とかな。ただ、そう遠い未来じゃねぇよ。それだけは断言できる」

成功度
成功
拍手数
4

現在の拍手ポイント:0

あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
拍手1回につき拍手ポイントを1消費します。

MVP一覧

MVPはいませんでした。

重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧

リンク参加者一覧


スレッド一覧

スレッドタイトル(レス数)最新投稿日時