オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】Birth of Death

連動 【堕天】Birth of Death きりん

形態
ショート
難易度
危険
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 バトル 防衛 救出 
参加人数
154~15人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2019/09/06 08:00
完成予定
2019/09/16 08:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●Death has come
 確かに、インソムニアは一つまだ残っていた。
 だが、エヌイーはネザーで倒れ、バルアスなどのエルゴマンサーたちも多くがライセンサーたちの活躍により倒されたはずだった。
 ロシアに残るはエンピレオインソムニアのみ。
 士気が上がっていたSALFの喉元に突き付けられた、エヌイーの復活と同じく復活したエルゴマンサーたちの一斉蜂起という凶報。
 それは、ロシアに住む人々を混乱の渦に叩き落とした。
 夏も終わりに近付き、秋の気配が漂い気温が低下してきた頃。
 ネザーインソムニアにほど近い、ロシアの地方都市の住宅街。
 エルゴマンサー・バルアス。
 その姿は、とあるマンションの屋上にあった。
 たくさんの人間がバルアスの眼下に存在していた。
 バルアスは空を見上げる。
 空にはどんよりとした黒い雲が広がっている。

「……雨が降る」

 呟き通り、やがて雫がバルアスの頬を濡らし、やがて道路のアスファルトを激しく叩き始めた。

「ちょうどいい。目くらましになる」

 唇を邪悪に釣り上げたバルアスが、何かをすると。
 雨に混じって、猛毒の雨が地上に降り注ぐ。
 浴びた人間たちは身体中を青黒く変色させながら次々に倒れていった。

「早く来い。でなければ死んでしまうぞ」

 長い一日が始まった。


●A Day of Mourning
 ロシア支部で、けたたましく警報が鳴り響く。
 緊急事態を告げる警報だ。
 SALFロシア支部への通信とインカムによるライセンサー同士の通信が、ロシア中で錯綜していた。

「本部に連絡しろ! 一人でも多く、ライセンサーをロシアに派遣するよう伝えるのだ! 事は一刻を争う!」

 上司が指示を出すのを聞きながら、支部のオペレーターは役目を果たす。
 機器を操作し、初動対応のため懸命に動いているライセンサーたちの姿を映像に映し出した。

「状況を報告してください!」
『負傷者多数! 奴さん、雨に紛れさせて毒の雨を降り注がせてやがる! このままだと死人が出るぞ!』
「救急車を向かわせます! それまで持ち応えられますか!?」
『……この場の全員でかかれば何とかなるかもしれねぇが、俺たちが生きて帰れるかは正直分からねぇ! それでもやるしかねぇならやってみるが、どうする!』
 オペレーターは上司へ振り向く。
 上司は重々しく頷いた。
 通信を再開したオペレーターは現地のライセンサーたちに指示を告げる。

「……住民の命が第一です。そのためには、絶対にエルゴマンサーを抑えなければなりません。とはいえ、SALFとしてはあなた方に死ねと命令することはできません。直に本部からの応援も駆け付けるはずです。死なない程度に粘り、撤退してください」
『相変わらず、優しいこって』

 通信機越しに聞こえる声は、どことなくからかうような雰囲気を孕んでいた。


●It's time for a rematch
 通信を終了し、指揮を執るライセンサーが同僚たちを振り返る。

「こういう時、ライセンサーで良かったなぁって思うよな。SALFは軍隊みたいに『死ね』とは絶対に命令しねぇ。……まあ、だからこそ命を賭けたくなるんだが」

 ライセンサーは全員の顔を見回す。

「良い面構えだ。死なない程度に命を張ろうぜ」

 一気に駆け出したライセンサーたちが、猛毒の雨の中に飛び出していく。

「セイント! 支援を頼む!」
「分かりました!」

 抵抗力が上昇し、猛毒の雨を弾く。

『バルアスのマーカーを確認! マンションの屋上にいます! 接敵予想時間まであと三十秒!』
「了解! 分かったなてめぇら! 全員武装展開しろ! ゼルクナイトは前だ! 自前で回避低下、命中力アップをかけられる奴はそれも忘れるなよ!」

 盾を構えたライセンサーたちを最前列に、ライセンサーたちが階段を駆け上がり突き進んでいく。
 屋上に飛び出て展開したライセンサーたちに対し、バルアスは振り向き失望の色を目に浮かべる。

「奴らではない……か。雪辱を果たせると思ったのだがな。まあいい。まずはお前たちを血祭に上げるとしよう!」

 強烈な敵意がバルアスから膨れ上がる。

「はあああああああああ!」

 スピリットウォーリアの女ライセンサーが、大剣を振り被り飛び掛かる。
 大剣と二本の鎌が激しく斬り結ばれた。

「がっ!?」

 その途中でバルアスが苦悶の声を上げる。
 胸元の赤い宝石を穿つように女ライセンサーが足で蹴りを叩き込んでいた。

「もう一度冥府に沈め、エルゴマンサー!」

 後退し胸元を抑えよろめいたバルアスへ、女ライセンサーが追撃する。
 だが大剣がリジェクションフィールドを中和しバルアスの鎌で受け止められた瞬間、バルアスの胸元で輝く赤い宝玉から白い閃光が放たれ、女ライセンサーに直撃した。
 驚愕の表情を浮かべた女ライセンサーが、たちまち石化していく。
 同時にリジェクションフィールドが再展開されていった。

「畜生! 攻撃に反応するカウンターか! だが連発はできねぇはずだ! 畳み掛けろ!」

 次々とライセンサーたちが近接攻撃、遠隔攻撃、知覚攻撃を合わせ波状攻撃を仕掛けるが、その全てにリジェクションフィールドは反応し再展開を繰り返していく。

「ふん。エルゴマンサー全てが既定の枠に当て嵌まるとは思わんことだ」
「解除を急げ! 奴を観察しろ! 何の代償もタイムラグもなしに連発できるなんて、そんな便利なスキルがあるわけねぇ! 何か裏があるはずだ!」

 石化の解除を繰り返しながら、ライセンサーたちはバルアスとの戦闘を続行する。
 神経を擦り減らす消耗戦の中、ついにライセンサーたちは気付いた。
 胸元の赤い宝玉。
 最初に石化された女ライセンサーが攻撃した時もそうだったが、そこを攻撃した時のみ、カウンターが発動しないのだ。

「赤い宝玉だ! あそこを狙え!」
「ちぃっ!」

 鎌で攻撃を斬り払うバルアスだったが、いくつか直撃を受け赤い宝玉に罅が入る。

「ぐっ……だが、無駄だ!」

 ライセンサーたちの攻撃はあと一歩届かない。
 バルアスのリジェクションフィールドが出力限界を突破し、赤く輝き始めた。

「また無敵になろうってのか!」
『……バルアスのエネルギー反応が前回の数値を越え急激に上昇しています! 防御ではありません! これは攻撃です! 数値さらに増大!』
「逃げることなどできぬように、周辺全て吹き飛ばしてやろう。死ぬがいい!」

 オペレーターの通信が、バルアスの言葉が、ライセンサーたちに危機を知らせる。
 だが、発動する少し前にイマジナリードライブの光が走る。
 二つの影が戦場に飛び込んできた。
 交互に振るわれる銀閃と、鳴り響く鋼の音色。
 硬直したバルアスの背後で、それぞれ己の剣と大剣を振り抜いた姿勢でアーサーと三保 カンナが静止していた。
 そして──赤い宝玉がついに砕け散る。

「三十秒もあれば再生する! 僅かにお前たちの寿命が延びただけだ!」

 攻撃をキャンセルされたばかりか膝をつきしばらく動けなくなり、無防備さを晒すバルアスだったが、宣言通り砕け散った赤い宝玉が元に戻っていく。
 総攻撃をかけたいライセンサーたちだったが、それまでに石化したメンバーが多く戦力が足りない。

「十分だ。それだけあれば、仕切り直しができる」
「私たちはこの人たちを助けに来ただけ。本命は、ほら、今から来るよ」
「何……?」

 二人が言う本命。
 それはつまり、あなたたちのことだ。

●概要
 戦闘シナリオです。
 各地で復活したエルゴマンサーの一人であるバルアスもまた、復活を果たしました。
 彼から住民を守り、撤退してください。


●達成条件
・住民の犠牲を3人以下に抑える


●フィールド
[基本情報]
縦:10sq 横:10sq 高さ:地上7sq
種類:地上 天候:雨 時刻:昼 風:無
戦場Image:住宅街

[解説]
一軒家やマンションが立ち並ぶ住宅街の一角です。
中央を道路が縦断しており、西に一軒家が、東にマンションが並んでいます。
坂道や階段など高低差が多く、実際の移動にかかる距離や時間はデータ通りとは限りません。
あちこちで住民が逃げ惑っています。

[設置物]
マンション……高さ6sq。
一軒家……高さ7m。

[NPC]
住民……一般人。たくさんいますが、戦えません。


●状況
 PCは北、バルアスは南にいます。
 二手に別れ、バルアスを抑える班と住民を助ける班に分かれるといいでしょう。
 南側にも住民がいるので、すぐに接敵し注意を引く必要があります。


●敵
バルアス……1体
[基本情報]
成長度:エルゴマンサー 身長:2m 体型:筋肉質 髪の色:白 肌の色:黒
移動力:5 通常攻撃:ツインサイズ/物理/射程2/2回攻撃 スキル:ベノムレイン/ペトロフィールド/カラミティバースト

[解説]
エルゴマンサー『ネザー=エンピレオ』、通称エヌイーの分体のうちの一体。

[スキル解説]
・ベノムレイン……射程5範囲4。猛毒の雨を降らし、範囲内の全員に継続ダメージ(効果値4)を与えます。
・ペトロフィールド……攻撃に反応して石化による行動不能(効果値5)を与える付加効果を持ったリジェクションフィールドを展開します。中和されますが、大本となる部位を破壊しない限り何度でも再展開されます。
・カラミティバースト……周囲8。出力限界を超えて展開したリジェクションフィールドを爆発させ、広範囲を吹き飛ばし知覚ダメージを与えます。

初めまして、こんにちは。
マスターのきりんです。
どうバルアスの封じ込めを行うかが救助成功の鍵となります。
バルアスの攻撃とその対策はOPに散りばめられていますので、そこから推測してください。
アーサーとカンナのスキルは全力移動、ヒール、プロテクトフィールドです。
全力移動は固定ですが、他二つはゼルクナイトとセイントのアクティブスキル全てから指定して変更することもできます。
それでは楽しんでくださいね。

▼心情
バルアス、再び、戻って来た、か。

▼行動
バルアス対応班
避難組とは通信共有

バルアスに接敵するまでは全力移動で移動
(途中で一般人が居たら通信共有した避難組の仲間に連絡する)

バルアスに接敵したらエリアスナイプ発動
エリアスナイプを発動したら赤い宝玉を狙って射撃
赤い宝玉を粉砕したら可能なら仲間と共に射撃で同時攻撃
同時攻撃できない場合は仲間とタイミングを遅らせてからバルアスの腹を狙い射撃
赤い宝玉復活→再び赤い宝玉を狙う→粉砕で同時攻撃かタイミングを遅らせて腹狙い射撃(避難完了撤退するまで繰り返す
「バルアス!撃ち込ませて貰う、ぞ!
「狙うは、赤い宝玉、か!

エリアスナイプ残量0で通常射撃で攻撃
最大射程を維持しながら、バルアスの行動をよく見ながら着いていき射撃

仲間とは連携重視で行動
リロードのタイミングには注意しながら戦闘をする

避難組の住民の避難が終わった連絡を受けたらその次のバルアスの赤い宝玉破壊をしてから仲間と共に撤退開始
撤退時は全力移動で撤退をする

  • 新たなる道
    黄昏 空la0099
    放浪者18才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

担当:バルアス対応

1.宝玉狙いの攻撃
2.宝玉破壊後は宝玉復活までの間本体への攻撃
3.宝玉復活後は再び1へ

まずは敵の硬直回復前に現場へ全力移動で急行
NPCの通った道を参考に
森野さんの攻撃に続き他の皆と同時に宝玉を攻撃
全力移動後の攻撃は爪での攻撃を
敵近くから自ターン開始時は直剣に変更し攻撃
敵が硬直状態になったら大剣に変更しキーンエッジで本体攻撃

敵の奥の手(カラミティバースト)に備えウォールスキンを一回分温存
温存分を抜き、ウォールスキンで敵の二回攻撃の被害軽減
可能なら二回攻撃の内の一回は大剣の刃でガードし被害軽減
(処理として無理ならばウォールスキンでの被害軽減を優先)
宝玉狙うの困難な場合自分が敵片手を自分が徹底マーク
味方の宝玉攻撃を支援
奥の手使いそうな兆候をOPに続きオペレーターに観測してもらい兆候あれば報告依頼
その際はキーンエッジで宝玉攻撃

アーサー・カンナ両名のスキル編成:全力移動、ヒール、ホーリーライト

先遣隊NPCの行動:リーダーに住民全員をエリア外へ撤退させる旨説明
個人的には可能であれば先遣隊には住民の撤退支援を依頼してみる
住民の数が不明な以上、人手は多く欲しい
避難完了が早ければ早いほど敵を相手にする時間が少なく済む
長期戦はこちらが圧倒的に不利

住民撤退完了連絡後、次の敵硬直時に全力移動で撤退
行動不能友軍有なら抱えて撤退

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「貴方もエヌイーのうちの一人…だったんですね
目的】住民の犠牲出さない!撤退までバルアスさん(以下バル)抑える
準備】皆と通信機で連絡可にしておく
カッパを着ずに手に持ち頭から被り移動時に毒雨当たるの防ぐ
行動】私はバル対応
初期は爪装備でまず人々に避難呼びかけつつ全力移動でバルの元へ
「私達が皆さんを守りますから、ライセンサーの指示に従い避難して下さい!
→エリア外へ誘導
毒雨被害で苦しんでる人にカッパ被せ

バルの所到着後回避優先で動き周り挑発しつつ周りに住民いない皆で囲める広い所や毒雨が屋内で使えぬなら屋内へ誘導
「また私達に倒されにきました?
包囲後は盾に持替え攻撃はせず威圧使いつつ盾押しつけ視界と移動阻害
近くに住民いれば即盾に持替え避難まで盾で進路塞ぐ

カラミティB極力放たせないが兆候時は宝石攻撃し動き止め
「敵の奥義が放つ前の隙を狙って…止めます!
→旋空連牙使い1撃は本命の宝石へ必ず当てる様狙う(宝石破砕に威力必要なら鉈に持替で

BSは高抵抗で耐え、気絶は仁王立で耐えつつ一旦下がり回復して貰う→回復次第復帰
避難組から住民撤退完了の連絡後、反応揃えバルの宝石目掛け同時攻撃
「3、2、1、今!
→宝石破壊し動き停止→全力移動で撤退

NPCはPC味方石化時、ホーリーライトを掛ける役割。避難組の手が回らない一般人がいた場合、誘導に当たってもらう
バルアス対応
全力移動で接近
「またお会いしましたね、エルゴマンサー。地獄へお帰りください」
バルアスにロードリーオーラ掛け注意引き+挑発しこちらに意識を向けさせつつ交戦
ベノムレイン警戒→住民に向けて放とうとした場合は射線を妨害
敵攻撃→注視成功時はジャイアントシールド換装で、味方の同時攻撃をサポート
自攻撃→宝玉破壊成功後、ビクトリア使用、ヘビィバッシュ
味方石化時は、バルアスとの間に入り狙われないよう射線妨害

「止まりなさい。エルゴマンサーともあろうものがか弱い一般人の盾が無いと戦えないとでも言うのですか?」

カラミティバースト発動
発動タイミングをオペレーターに警戒してもらう。赤く輝き始めた際はビクトリア換装、宝玉狙いでヘビィバッシュ

避難組任務達成時、ビクトリア換装、宝玉を狙って一撃し追撃と見せかけてから撤退、撤退を味方に呼び掛け

  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

方針:バルアスと戦闘指揮を引いている間に住民を避難させ、撤退する。

ポジション:バルアス対応班。後衛。

行動:他のバルアス対応班と速度を合わせ、全力移動でバルアスとの距離を詰める。
途中で避難前の住民を見つけた場合は、避難誘導班に人数と場所を通信で連絡する。

バルアスと接敵後は、射程ぎりぎりで可能な限り散開。
意識を散らすように弾幕を張りつつ、支援射撃、心射撃で行動を抑制。
こちらの射撃を無視するようなら、隙をついて宝玉を狙って射撃する。
また、接近戦組が攻撃する際も、タイミングを合わせて弾幕を張り、
徹底的に相手の邪魔や意識の分散を狙う。

避難中の住民に攻撃が向きそうな場合、
宝玉を狙うなど、こちらに注意を向けようとする

  • 我が脚は昏き氷を砕く光刃
    柳生 響la0630
    人間16才|グラップラー×セイント

【心情】
「やっぱりバルアスくんも生き返ったかぁ」

【目的】
一般人の救出

【準備】
SALFに放送を依頼
内容は「救助が来るまで屋内で待機していて下さい」

【行動】
一般人の避難誘導組に参加
バルアス班とも連絡を取り合い、バルアスの現在地、挙動には注意しておく

西側→南側→東側の順番に回り、逃げ遅れた一般人が居ないか確認
一般人を発見した場合は、避難場所を教える
「街の北側にキャリアが停泊してる
 そこまで、逃げるんだ」

何よりも大勢の人間がパニックになる事が恐ろしい
冷静に毅然とした態度で話しかける
「大丈夫、すぐに帰ってこれるさ」と安心させる様に微笑む

移動時は全力移動を使用(撤退時の為に1回分は残しておく)

一般人の避難が終われば、撤退支援の為にバルアス班の元へ向かう
状態異常にかかっている者が居ればホーリーライトを使用

機会があれば明王練気でバルアスの宝玉を狙う

【心情】
「カンナちゃん、アーサーちゃん、来たわよ!ここはユリアお姉様達を頼りなさい!」
「武人ぶってもダメよ、バルアス。一般人を巻き添えにする気満々じゃない。エヌイーの分体ってのも納得だわ」

【目的】
民間人の全員救出後、撤退

【準備】
民間人の避難方向確認
攻撃時、他PCとの同時攻撃で命中精度アップ狙う作戦
バルアスの進路妨害するように移動、占有スクエア作り意識

【同行者】
対バルアス班

【行動】
前衛、対バルアス
メイン装備大剣、民間人の離脱完了まで交戦して時間稼ぎ後撤退
撤退時に行動不能・生命力0以下の仲間いたら運ぶ

バルアスの下へ向かったり、撤退する際に全力移動
「この悪路を走破するには、ESブーストよ!」

大剣で宝玉を狙い、破壊したら本体へ攻撃。狙いにくい場合は爪に装備変更
誤って本体に当たった場合は、抵抗で反撃無効化
「その宝玉、見るからに怪しいのよね~」
「残念ね、あたしはお前の毒や石化は対策済みよ」

味方ダメージは盾装備の福音の雨雫、被ダメ大きければ天恵の雨雫で回復
「詠唱略!レインリリー!」
「濡れた神翼の羽、一帯に舞え!ディバイン・リリー!」

味方の状態異常はホーリーライトで治療
「万一に備えて用意してきてよかったわ…煌めけ陽光!サンベリーナ!」

  • 命懸け写メガール
    姫華月 雅la1487
    人間16才|グラップラー×ゼルクナイト

「へいへーい!エルゴマンサー出たからってやることは一つ!ひたすらインスタ映え狙うこと!!へぇーい!!」

同行者
コレットla0420…コレぴー
空la0099…空さん
聖史la2730…つっくん

行動
バルアス対応
基本的にコレぴーと一緒に回避最優先しひたすらシャメのフラッシュたきまくって視界の中をうろちょろして【ロードリーオーラ】でひたすらヘイト集める

「って、あ、あー!かまかまマンじゃん!!やっべ、もーお前しつこいから嫌いー。そんなんじゃもてないぞ~☆」
「ねーねー、女の子に当たってばかりいるのって超絶ダサいよ?止めた方がいいってマジで」
「てかさ、無敵の防御(笑)どうしたの?w無敵とかwセンス小学生じゃんwww」


相変わらずめっちゃ煽り台詞全開でひたすら回避に専念
今度はさらにヘイト集めやすくするためについでに味方の攻撃タイミングで膝かっくんを狙う

特に味方疲弊時には【ロードリーオーラ】使用し確実に自分に意識向けさせ回復を図る

対策
リアクション全回避
ペトロフィールド(笑)は攻撃を一切行わない。ひたすら顔面にフラッシュ炊いたり
煽り台詞全開、膝かっくんする(膝が石化するならもうやらない()
ベノムレインは回避出来れば回避だけど基本食らって回復受けに行く
カラミティバースト発動前に杖に変え【リリーブ】で受けきる

勿論ついでだがコレぴーの戦闘中のどや顔も写メる

●心情
人命第一!必ず全員助けるよ!
●目的:目標
敷地内住民の救助後撤退:犠牲者0
●準備
バスタオルを大量に持込
キャリアー連絡、敷地外周囲を回るように住民回収依頼、積めるだけ住民を積め一度避難し、元の位置へ
救急車に、負傷者をエリア外へ逃がす際東西南北どの位置にいるか連絡しその場所へ向かうよう依頼要請
●行動
避難誘導班として斬華さんと行動、バルアス班が突撃確認後全力移動使用、南へ進み住民の避難誘導
住民との対話時常に話術使用、パニックを抑え落ち着かせ雨を避けるよう指示しエリア外へ避難誘導
先行NPCと連絡、南建物内に住民が残っているなら手分けして部屋を回り避難指示
負傷者がいる時はタオルで包み一旦東のマンション群の屋根のある所へ移動させる、緊急である場合医療と救急セットを使用、応急処置をし向かっている救急車へ連絡、エリア外東へ来るよう手配
負傷者多数なら動ける住民、先行し戦線離脱したNPCに協力要請、負傷者を同様に東へ運搬
救急車到着の連絡後負傷者を迅速に救急車へと運ぶ
南の住民避難が済んだ後、避難誘導組み全体へ連絡、避難遅延所へ向かいつつ逃げ遅れた住民へ道路を使い北へ逃げるよう指示

雨は全部避ける位の気持ちで

バルアス班誘導失敗時、囮として接触、時間稼ぎ

全域避難完了後、バルアス班へ連絡

  • 常在料理人
    森野 紫苑la2123
    放浪者26才|スピリットウォーリア×グラップラー

アドリブ歓迎!

心情:「こっからは俺達が引き受けた!アンタら避難と誘導を頼む!」

目的:住民の犠牲を最少にする為、バルアスを抑え込む

準備:OP同様バルアスのエネルギー反応が増大したら警告するようオペレーターに指示(※)

行動:アーサーとカンナのルートを辿り全力移動でバルアスを奇襲
道中で住民を見かけら座標を通信で共有

宝玉破壊状態のバルアス本体に攻撃し反応を確認・周知
・反撃無「流石に反撃は無いようだな!」
・反撃有「この状態でも反撃が来るのかよ!?注意しろ!」
・他、特異な反応「何か様子がおかしいぞ!総員警戒!」

バルアスが行動可能状態で十分命中回避が狙えると判断したら槍に換装
行動不能なら斧で旋空連牙

宝玉が復活したら敢えて宝玉では無く武器を狙う
カチ上げてガードを開けさせる、鍔迫り合いに持ち込む等して他方が宝玉を狙いやすくする
「今だ、やれ!」
間際まで石化が効かないことは隠して不意を突く

※オペレーターの警告があったら(可能ならターン最後に)斧のキーンエッジで宝玉を砕く

住民の避難完了の報告を受けたら、次の宝玉破壊で撤退「潮時だ、撤退するぞ!」
但し最後っ屁を警戒して自分だけ撤退を1ターン遅らせ、牽制で頭部にライフル1発撃ち込んでから撤退
負傷等で逃げ遅れてる者が居たら担いで全力移動でエリア外まで逃走

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

心情
さてと…今回は人命救助!行きますよぅ!千羽矢ちゃん♪

準備
可能なら大きいレジャーシートとタオル多数用意

目的
住民の救助

同行
雨崎 千羽矢

行動
住民救助担当
「アーサーちゃん!カンナちゃんも気を付けてね♪」
バルアス対応班がバルアスへ向かったのを確認後、見つからない様に全力移動で南の住民保護に向かう
千羽矢と手分けして救助者を探索し近場のフィールド外へ誘導

レジャーシートあるなら自分で歩ける住民は複数人でシートを傘代わりに被って避難
衰弱している人には救急キットでの治療やタオルを渡し体を拭かせ保温させる
石化している人や毒で動けない人は数が少なければシートを担架代わりに運搬しつつ避難誘導
多いなら千羽矢と共に住民に協力を要請
「お願いします!動けない人を一緒に搬送して下さいな!」
シートないならシート使用部分以外共通で迅速に避難指示
「千羽矢ちゃん!急ぎましょう!」

インカムで別救助班と避難状況を共有
南避難完了後危険な場所から優先して救助

常にバルアスの動向を視覚と音、インカムで戦況を確認し住民を危険に晒すことは避ける
バルアス対応班を無視してこちらに向かってくる場合、戦闘を避ける為、避難指示の強度を上げるが、間に合わないなら盾に持ち替え防御、住民の盾になり食い止める
宝玉が割れていないなら狙って攻撃
バルアス班が来たら離脱、避難誘導へ復帰

建物内はオペレーターに避難状況を確認し、不明か居るなら一部屋ずつ手分けして避難説得

全力移動は千羽矢と合わせ、移動が足りない場合に積極的に使用

同行時、避難方針は千羽矢に従う

分断・別れた場合も基本行動は同じくフィールド外安全圏へ誘導

生命5割以下で審判>盾ヒール
二人負傷で盾ツインヒール

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

南側・要救助者の避難優先

初手、通常移動で南直行
先行する森野 紫苑(la2123)から連絡を受けた住民の回収・誘導と、それ以外の住民の捜索

ベノムレインを避ける為、屋根のある場所に一時避難を促す
「雨に当たらなければ安全です。屋根の下に入ってお待ち下さい。必ず助けます!

混乱する住民に優しく声掛け
ライセンサーが対応してることを伝え落ち着かせる
ジャイアントシールドを傘に雨を避けて住人と一緒に戦闘地域外まで移動
動けない状態の住民は背負う・担ぐ
人数が多い場合、住宅街にもあるコンビニ・公共施設等わかりやすい建物に一時的に移動
場所を他の避難誘導担当に連絡、誘導の応援要請

他の避難誘導と合流、引き継ぎ完了後、バルアス対応に合流

戦闘時
仲間の状態を把握し、戦闘での人数有利、撤退開始までの継戦能力維持に注力
遅延行動が主体
仲間後方での回復支援(戦闘不能者を出さない
回復系支援者が行動不能時は通常行動で早期回復

スキル発生時の前動作等、仲間に伝える(レイン妨害優先

仲間行動不能でホーリーライト
優先順位→回復系支援>白兵戦闘者>射撃戦闘者
気絶者、行動不能者への追撃警戒
気絶者の早期回復支援(緊急治療セットで応急手当等

残生命5割でヒール
(仲間の範囲回復で補えない部分をカバー

撤退時、全力移動使用
石化状態・重体者を運搬時、スピラルバックラーで雨除け(追撃警戒

>心情
「ボクは、ボクに出来る事を…一人でも多く、助けましょう」
自分には大きな力はないけれど、出来る事がないわけじゃない
なら自分に出来る事を、今はすればいい
少しづつ出来る事を増やして行こう

>準備
可能であれば住宅街の地図を把握しておく
避難誘導組とそれぞれの行動や誘導先の確認・擦り合わせ
向っている救急車の台数等

>行動
「みんなが、頑張っているんだ…この時間を、無駄にしちゃダメだ」
「大丈夫、ですか?落ち着いて、聞いてください」
避難誘導組
東→南→西へと住民が取り残されていないか声をかけつつ確認していく/全力移動
西まで回って確認が終わったら連絡
残っていた場合はマップ外へと誘導
その際出来るだけ優しく、雨には注意するようにと伝える
歩ける人には自分で歩いてもらい、自力で歩行が不可能な場合は抱えていく
一人では対処できない人数の場合は早急に近くにいる避難組へ連絡

アドリブ可。行動等に齟齬があるようでしたら皆さんにあわせます

  • 必殺ビンタ
    アンタレスla2909
    放浪者20才|グラップラー×スピリットウォーリア

「面倒なのが復活したわね…しかも前と違って市街地とか厄介な所で」
今回は倒すのは無理そうね…住民の命を最優先に、ね。

【行動】
開始と同時に全力移動でバルアスのいる建物周辺に向かう
バルアス対応班へインカムのマイクをONのままにしてもらい、音声から毒雨を打つタイミングを予測・または撃ったタイミングを確認

路上で毒で倒れている住民がいないか確認、いたら屋根のある場所まで移動させる
周辺の住人へ屋根のある場所入る、敵の対応にライセンサーが来ていることを大声で周知する
住人が落ち着いたら毒雨は雨に交じってくるので屋根の下なら安心と説明
「敵はライセンサーが抑えるわ!皆は雨に当たらないようについてきて!」

屋根伝いに一番近いMAP外の方へ避難誘導を開始
毒状態の住人は担ぎ人数が多ければ住人に協力を依頼、さらしや褌で体を固定
屋根から外れて移動する場合はインカムから毒雨が放たれていないか確認し住民に大丈夫だと声をかけながら先陣を切って行く
突発的な毒雨は盾で防ぎ住民は屋根の下へ向かわせ、石化を受けたら近くの味方に救援要請

住民避難後、残っていないか他の避難班と確認
毒雨範囲外なら屋根に上って声掛けし確認、対応班へ避難完了と撤退の開始を伝える
必要であれば援護に向かう、スキル賜与し回避メインで獣靴のヒット&アウェイで翻弄し味方の立て直しの隙を作る
「撤退開始!さっさとずらかるわよ!」

【心情】助けられなかった命を背負う覚悟はしたが、助ける事を妥協する気は無い
【目的】取り残された・逃げ遅れた住民をより多く発見、避難誘導する
【行動】
■事前準備
双眼鏡を確保しておく

■救助アナウンス
使用可能なあらゆる手段でフィールド一帯の住民へ<話術>を使用してアナウンスを行い冷静な避難を呼びかける
「こちらはSALFです。ライセンサーの指示に従い落ち着いて避難してください!
自力避難が難しい場合はSALFへの連絡や何か合図を、必ず我々が見つけ出します!」

■住民捜索・避難誘導指示
フィールドを見渡せる中央付近のビルの屋上から<探索・追跡>と双眼鏡を使用し住民を探し発見次第付近のライセンサーへ最短ルートを伝え保護を依頼
「要救発見、ルートを指定する。向かってくれ!」
また、建物の倒壊、バルアスの挙動等を考慮に入れ安全な避難経路を指示してメンバーの避難誘導を助ける
「その先は建物が崩れて通れない、迂回した方が良い」

■情報ハブ
現地全メンバーの状況や避難状況、住民情報をSALFオペレーターと共有。常に最新の情報を伝える
「オペレーター、安否確認が取れてない住人情報出せるか? その住人の居住範囲を優先で調べる」
避難誘導が完了した場合は即座に撤退アナウンス
「目的は達した、各員撤収!」

■他
ビルの移動や撤退は<全力移動>で素早く行う
立ってる者は誰でも使い捜索・誘導の手を増やす(例:アーサー、カンナ、OPに登場したライセンサー

※絡み・アドリブ歓迎

●混乱に満ちた街に、絶望の雨が降る
 ロシアの街は暗雲に包まれ雨の中にあった。
 火災こそ起きていないものの、あちこちの崩れた建物や、クラッシュした車で塞がれた中央道路、険しい坂道や急な階段が多い住宅地の立地条件が重なり、乗り物に乗っての侵入は困難を極める。
 だが、スキルを使えばそんな悪路すらも踏破してしまえるのが、ライセンサーというものだ。

「急げ! 時間がないぞ!」
「ああもう、これ、役に立ちません!」

 先行したアーサーや三保 カンナが走った道を辿りイマジナリードライブを足に纏って疾走する森野 紫苑(la2123)の後から、毒の雨に晒されすぐに穴だらけになったレインコートを投げ捨てた水無瀬 奏(la0244)が追いかける。

「間に合うかな!?」
「間に合わせるのよ!」

 さらに追走する黄昏 空(la0099)とユリア・スメラギ(la0717)の二人も、紫苑と奏の後にぴったりついている。

「いざとなった、ら……援護、するか、ら」
「俺もだ。銃撃支援は任せてくれ」

 狙撃手である吉良川 鳴(la0075)、白神 凪(la0559)がその後に続く。

「やば……もう見えないし」

 一番初めに走り出したはずなのに、続々と追い抜かれていった姫華月 雅(la1487)が、障害物だらけの中央道路を走り抜けていく。

「先に行きます!」
「あっ、コレぴー」

 雅の後ろから、コレット・アストレア(la0420)が一声かけて通り過ぎていった。
 その際、マンションに辿り着くまでの道路で、住民が何人か倒れているのを紫苑とユリアが見つけていた。

「一人倒れているわよ!」
「こっちもだ!」

 鳴と凪もそれぞれ見かけて救助班の面々に報告する。

「先……急ぐ、から」
「回収頼むぞ!」

 続く救助班の面々に後を託し、バルアスの相手をするため彼らはマンションの階段を駆け上がっていく。
 雅を追い抜きアンタレス(la2909)、雨崎 千羽矢(la1885)、紅迅 斬華(la2548)の三名が到着し、救助と避難誘導を開始した。

「ライセンサーが来たわよ! 聞こえていたら返事をして!」
「倒れている人たちを早く運ばないと! 動ける人はこっちに集まって!」
「これから避難経路を指示しますので慌てず騒がず移動してくださいね!」

 事前に報告を受けていたお陰で、迅速に動くことができる。
 いつの間にやら最後尾になっていた雅には、都築 聖史(la2730)が並走していた。
 聖史を見た雅がパッと表情を輝かせる。

「……良かった私だけじゃない!」
「申し訳ないけど、私は敢えて使ってないだけなんだよね」
「うわーん私もセットしてくれば良かった! 出遅れるぅ!」

 同じ小隊ということで慣れた口調の聖史に対し、雅はやけくそになって半笑いでウソ泣きをした。
 マンション到着にはもう少しかかりそうだった。
 一方で、柳生 響(la0630)はインカムでSALFオペレーターに通信を試みていた。

「SALFの方で全域に放送をかけることってできないかな?」
『……さすがに無理ですね。あなた方のインカムになら通信できますが、それが限界です』
「そっかー。じゃあどうしようかな……」
『市内全域に放送したいなら、役所に向かってみるのはどうでしょう』

 オペレーターの提案に、響は聞き返す。

「役所? どうして?」

 インカム越しに、書類を捲る音がした。

『調べたところ、そちらの都市は日本と同じような防災用の無線が設置されていました。ですので、役所に行けば全域に放送できるはずです。もう人はいないようですが、ライセンサーなら緊急時に中に入る分には問題ないでしょう』
「分かった、行ってみる!」
『あ、ボクもついていっていいかな?』

 オペレーターと響の通信に割り込む声があった。
 ノイズ=ブラックベルベット(la2831)である。

「構わないけど、どうして?」
『地理が知りたくてコンビニで地図を探していたんだけど、適当なのがなくてさ。さすがに役所にならあるかと思って』
『なら俺も行こう。放送しておくのは良い考えだと思うぞ」

 さらにフィドル・チェイサー(la3294)からも通信が入る。
 フィドルはそのままオペレーターと話し始めた。

『後は住民情報をどうにか知ることができれば完璧なんだが……オペレーター、何かいい知恵はないか?』
『そうですね……役所を探せば日本の戸籍謄本や住民票に当たるものが見つかるのではないでしょうか』
『分かった。探してみよう』

 通信が終わると、響が確認を取る。

「じゃあ、三人で行くんだね!」
『ですね』
『そういうことになるかな』

 目的地を決め、響、ノイズ、フィドルの三人は合流を果たした。


●再戦の時は今
 階段を駆け上がり、紫苑は屋上へと続く扉を蹴破った。
 雨が屋上の床を激しく叩いている。
 バルアスが正面で蹲っており、そのバルアスを複数のライセンサーたちが取り囲んでいる。
 その中には、アーサーとカンナの姿もあった。

「見つけたぞ、バルアス!」

 突入した紫苑はデザイアックスを振り被り、ふっと消え去る。
 それは、鋭い踏み込みによる急激な加速によって齎された一時的な目の錯覚だ。

「おらぁ!」

 斧刃はバルアスの頬に食い込み、バルアスの顔が横に向く。
 遠心力を乗せられて振り切られた斧は、一回転してさらに勢いを増し、もう一度バルアスを襲う。
 今度は胴に直撃した。
 ダンプカー同士が正面衝突を起こしたかのような激突音と共に、蹲っていたバルアスが吹っ飛んだ。
 特に再生中の宝玉を狙ったわけではないが、反撃は飛んでこない。

「事前情報は間違っていないようだな!」
「私たちもいますよ!」
「最初から全力で行く!」

 さらに開け放たれた扉から、奏と空が突っ込んできた。
 共に大鷲の爪翼を装着した二人は、即席の体術戦を仕掛ける。

「初撃は私が!」
「合わせるよ!」

 奏が吹っ飛んだバルアスの向こう側に回り込み、踏み込んで真上に蹴り上げると肘の翼型大型刃を抉り込むように叩き込み、即座に身体を回転させ後ろ回し蹴りで空の方へ蹴り飛ばした。
 迎え撃つ空は吹っ飛んでくるバルアスの前でしっかりと地面を踏み締め、引き足から突き手まで一本のつっかえ棒のように真っ直ぐ伸ばして迎え撃つ。

「ぐふっ!?」

 バルアスはその勢いそのまま杭に突き刺さるかの如く空の拳に激突し、その衝撃を全て受けた。
 そして一瞬空中で静止する。
 落ちるまでの間、僅かな時間バルアスは見た。
 足から腰、腰から腕、腕から拳へと捻りと回転により正しく力を伝えられた渾身の正拳突きが、空から放たれるのを。
 何かの爆発が起きたかのような轟音が鳴り響き、錐揉み回転しながら再びバルアスが飛んでいく。
 そして猛追した奏と空が追いつき、手甲三本爪にバルアスの身体を引っ掛ける。

「「せーのっ!」」

 同時に降り上げられた爪翼に合わせてバルアスが宙を舞い、投げ飛ばされて飛んでいく。
 その先には、奏と空が猛攻を仕掛けていた間に追いついていたユリアが佇んでいた。

「また会ったわね、バルアス! けれど、アンコールはもう結構よ!」
「お前は──」

 何かを言おうとしたバルアスの声は、円柱状に噴出するユリアのイマジナリードライブによってかき消される。
 氷華の大剣を握り締め、ユリアの身体は躍動する。
 流星群の如くいくつもの光が煌めいた。
 それらは全て、大剣が描く斬撃の線だ。
 瞬間的に、三本、四本、五本と一度に振るわれる斬線が増えていく。
 大剣を振り切ったユリアが身を翻すと同時に奏と空も戻ってきて三人で地上へと続く階段への道を妨害するかのように集まった。
 そしてその行為は、バルアスから後続の姿を隠し不意を突くことにも繋がる。
 銃撃が完全に死角になった状態から放たれ、バルアスに直撃する。

「すぐ動き出されては厄介なんでな。もうしばらくそうしていて貰おうか」

 硝煙を漂わせるV-70のストックを肩と頬に当て、奏、空、ユリアの背後に凪が佇んでいた。
 もう一人の狙撃手である鳴が、一撃必殺のイメージを研ぎ澄ましながら注目されていないことをいいことに側面へ回り込み、マンションの給水タンクだろうか障害物の陰に隠れ絶好の狙撃位置を確保する。

「調子に乗りおって……! だが直に再生が終わる! その時に地獄を見せてやろう! ……ぐっ!?」

 身体に力を籠めようとしたバルアスは、逆に力が抜けていくのを感じていた。
 凪の弾丸に籠められた毒のイメージが身体を麻痺させたのだ。
 万全の状態ならば絶対に掛からなかっただろうが、宝玉が再生中で身動き取れなかったことと不意討ちを受けたことの二つの要因が悪い意味で重なってしまった。
 ライセンサーたちにとってしてみれば、幸運だったとも言える。
 とはいえ、稼いだ時間は僅かなものだ。
 しかしそのお陰で、バルアスが動き出す前にコレットが追いついた。

「現世にあなたの居場所はありません! 地獄へ叩き返してあげます!」
「くは……くははっはは……はははははははは! いいぞ! 見覚えのある顔がいくつもやってきた!」
「黙りなさい!」

 歓喜の哄笑を上げたバルアスに、コレットはイメージを植え付け引き付けようと試みる。

「まずはお前から仕留めようか!」
「望むところです!」

 自分に対する敵意を隠そうともしないバルアスに、コレットは注意を引くのに成功したと判断し、バルアスが麻痺から復帰するまでの時間を利用してジャイアントシールドを掲げ備える。

「私たちは石化を解除して態勢を整えるぞ!」
「分かったよ!」

 アーサーとカンナが、行動不能に陥っていたライセンサーたちを聖なる光のイメージで元に戻していく。
 そのライセンサーたちのリーダー各であるライセンサーに、バルアスを見据えたまま空が話しかけた。

「申し訳ないんだけど、避難誘導に手が必要なんだ。手伝いを任せたい。いいかな?」
「分かった。お前たち、行くぞ!」
『ありがとう! 降りてくる途中でマンションの中も誰か逃げ遅れてないか探ってくれると助かるよ!』

 インカムから千羽矢からも通信が来た。
 そして、ようやく宝玉の再生が終わり、バルアスが麻痺からも復帰を果たす。
 本当の戦いが始まった。


●住民を避難させよ
 千羽矢は、バルアスとの戦闘が屋上で始まっているマンションの周辺で、アンタレスや斬華と協力して避難誘導を始めていた。

「向こうの方も今のところは上手くいっているみたいね!」

 通信に注意を払い、バルアスとの戦いを追いながら、アンタレスがタイミングを計る。
 既に背には褌やさらしで作ったおんぶ紐で毒の雨を浴びた怪我人を背負っている。
 重傷だが、救急車で病院に搬送すれば助かる。その程度の怪我だ。
 しかし毒によりじわじわと体力を奪われているので、放置したら死んでしまうかもしれず、早期の搬送が望まれた。

『ぐっ、これは!?』
『気を付けて! 雨に毒が混じってるわよ!』

 屋上からコレットとユリアの声が通信に乗って響いてくる。
 どうやら雨に混じっていたバルアスの毒を浴びてしまい、コレットが負傷したようだ。
 とはいえ、ユリアが解除できるので当面は問題ないだろう。

(屋上に毒の雨が降っている……それは、裏を返せば今なら私たちの真上に毒の雨が降らないということ。つまり好機!)

 即座に判断を下す。

「行くわよ!」

 アンタレスは普通の雨に打たれながら怪我人を背負い移送を開始した。
 そこへライセンサーたちが複数人駆け下りてきて、怪我人を背負う。

「手伝おう!」
「助かるわ!」

 一気に人手が増えたことで、人数が多く時間が掛かりそうだった怪我人の移送状況は、劇的な改善が見込まれた。
 移送の途中で雅と聖史と合流し、役割が違う雅は先へ進み聖史が残る。

「思っていたより人数が足りていますね。これなら私たちは毒の雨を警戒した方が良さそうです」
「そうね。そうしようかしら」

 同じことを考えていたアンタレスも聖史に同調し、屋根の下から屋根の下へと移動しつつ、その間はジャイアントシールドを掲げて傘にすることにした。
 EXISが搭載された大型のこの盾なら、毒の雨が降ったとしても十分に防いでくれるだろう。
 かなり重く歩みが遅くなることが難点なものの、元より怪我人がいる身ではそれほど早くは移動できないので問題ない。

「救急車を呼んでおくね! 私たちが乗ってきたキャリアーも持ってこよう! 連絡するよ!」
「ありがとう! 任せるわ!」
「行きましょう、千羽矢ちゃん!」

 街の周囲を回って逃げてきた住民を収容するよう千羽矢が伝え、その後斬華と一緒に駆け出す。
 此処の手は足りている。ならば別の場所で避難誘導を行った方が、結果的に死者を減らせるはずだ。
 ジャイアントシールドをしまった聖史がアンタレスへ声をかける。

「一応ついていきます。笠役はどちらにもいた方がいいでしょう」
「そうね。お願いしてもいい?」
「勿論です。では」

 軽く一礼し、聖史が千羽矢と斬華の後を追いかけていった。
 重傷者はバルアスがいたマンションの周辺に集中していたようで、アンタレスが他のライセンサーたちと共にそれらを運んでいった今では、すぐにでも運び出さなければならない怪我人はいない。
 とはいえそれも毒の雨を浴びれば覆る。

「こっち、こっちだよ!」
「慌てないでくださいね!」

 誘導を続ける千羽矢と斬華は、蹲る住民を見つけた。
 毒の雨を浴びたのかと一瞬警戒した千羽矢と斬華は、慌てて周囲を見回す。
 それが示す意味は、近くにバルアスがいてもおかしくないということだからだ。
 しかしどうも、毒ではなく転んだことによる怪我で動けなくなっているようだった。

「痛い……痛いよ……!」
「落ち着いて。大丈夫だよ。絶対助かるから。ね?」

 穏やかな語り口で話しかけ、千羽矢が医療知識を総動員して斬華と一緒に救急治療セットで応急処置を済ませ落ち着かせると、二人でてきぱきとレジャーシートを広げる。

「千羽矢ちゃん、準備できましたよ!」
「乗せるから手伝って!」
「分かりました!」

 千羽矢と斬華はレジャーシートの上に怪我人を寝かせ、バスタオルでぐるぐる巻きにして保温する。
 毒の雨はバスタオル程度では防ぎようがないだろうが、雨自体で体温を奪われることはこれでいくらかは防げるだろう。

「先を急ごう!」
「ええ、そうしましょう!」

 レジャーシートの四つ角をそれぞれ二人で持って持ち上げると、人一人分の重さによる負荷が腕にかかる。
 結構な重さだが、普通の人間でも鍛えているならこの程度は運べる。
 ライセンサーである千羽矢と斬華にとっては言うまでもない。

「毒の雨は私が警戒しておきます」
「助かるよ!」
「なら運ぶのは私たちでやりますね!」

 運ばれる怪我人の頭上を覆うように、聖史はジャイアンントシールドを掲げた。
 その時、遠くで爆音が響き雨だというのに炎が上がった。
 千羽矢も斬華も聖史も顔を強張らせ、即座に怪我人を庇う姿勢を取ったが、よく考えれば今のはバルアスがいるマンションの方角からではなかった。

『何!? 今の音!? まさかそっちじゃないわよね!?』

 インカムから慌てたアンタレスの声が聞こえた。
 どうやら爆発源は彼女とも関係がないらしい。

『ごめーん……それボクだぁ』

 しょんぼりとした響の声がインカムから響いた。

『大丈夫? 何があったの?』
『落ちてたバイクで走り出したらバイクが爆発した』
『アンタ何やってんの!?』
『いや、避難誘導に全体放送かけようと役所に向かってたら、まだ走らせられそうなバイク見つけてつい……。戦ってもないのにシールド削れちゃった』

 響とアンタレスの通信を聞く千羽矢と斬華の間で、何とも言えない雰囲気が流れる。

「……コントかな?」
「緊迫している状況のはずなのに、和んじゃいますねぇ……」

 半笑いを浮かべる二人の背後で聖史が咳をする。

「まあ、先を急ぎましょう」

 気を取り直し、千羽矢と斬華、聖史の三人は搬送を再開した。
 一方、不本意ながらも盛大に乗っていたバイクを爆破した響は、ノイズとフィドルを加え三人で、想像力の光を足に纏い役所目指して疾走を続けていた。

「さすがにアクロバティックに移動をし過ぎたかな……」
「シールド損傷以外の怪我が無くて良かったですよ」
「転がってたバイクだからな。雨で分かりにくかったが、オイルか何かが漏れてたのかもしれん」

 三者三様に話しながらも、走る速度は落ちない。

「今のうちに、役所で用を済ませた後の動きを確認しておくぞ。俺はビルの上から見張って全体の道路状況を調べる。双眼鏡があれば良かったんだが、無いからな。住民の発見は頼むぞ」
「東から南を経由して西へ向かいます。地理については詳しくないので教えてくださいね」
「ボクは逆かな。西から南、そこから東に行くよ。なるべく二人で広範囲をカバーできるように動こう」

 ノイズと響の予定を聞いたフィドルは、二人へ尋ねる。

「最初に南へは行かないのか?」
「手は足りてるんじゃないかな? それに、広範囲に怪我人が散らばっている可能性もあるし」
「あの毒の雨は強力そうです。特に住民には劇毒でしょう。浴びている人がいたら、すぐに病院に搬送する必要があるはずです」
「……なるほどな」

 響とノイズの返答を聞いて頷いたフィドルは、走るのに集中する。
 そのまま駆け抜けた三人は、役所へと到着した。


●知性というもの
 どう見ても、バルアスはコレットに引き付けられているようにしか、戦闘に参加していた者たちの目には見えなかった。
 実際バルアスはコレットばかり攻撃していたし、コレットは後衛の宿命として打たれ弱い鳴や凪をバルアスからよく守っていた。
 抵抗されたり時間切れで効果が切れることはコレットも警戒していたから、すぐに再使用する心構えはできていた。
 しかしどちらの兆候も全くなかったバルアスが突然コレットどころか奏や空、ユリアすら無視し、鳴と凪を狙ってきたのは予想外と言って良かった。

「鳴くん、危ない!」

 慌てて追いかける奏だったが、鳴はバルアスを最大射程で狙えるよう位置取りしていたし、凪も自分の射程ぎりぎりに位置取りしていた。
 しかしその動きは、外ならぬ鳴の制止によって止められる。

「俺、は、いい……! 向こうの方、が、危な、い……!」

 凪と違い、鳴は攻撃のために一度間を置くため、その間に後退して完全にバルアスの鎌の間合いから脱することができていた。
 毒の雨は逃れようがないものの、浴びたところですぐ死ぬような代物ではない。
 問題は鎌だった。
 後衛にとっては高過ぎる威力の二連撃。
 前回それで痛撃を受けていた鳴は十分に警戒しており、攻撃範囲内に留まるのを最低限に留めていた。
 警戒していたのは勿論凪も同じだったが、凪は常に準備に時間が必要な一点の狙撃よりも継続的に弾幕を張ることを優先しており、その分攻撃範囲内に留まることが多かった。
 凪の銃の射程とバルアスの移動速度と鎌の射程を足して比べた場合、バルアスの方が勝る。
 つまり、凪が攻撃可能範囲にバルアスを捉え弾幕を張り続けている間、バルアスもまた鳴を攻撃可能範囲に捉え続けていたのだ。

「させるか!」
「遅い!」

 凪が毒弾を撃ち込むものの、鎌の一閃で斬り払われる。
 やはり、宝玉健在時、しかも真正面からでは全く通じない。

「まずは一人……あの時の借りを返すぞ!」
「がっ!?」

 初撃は何とか銃で受け直撃を避けたものの、鎌のもう一撃を受け凪が床に沈む。
 一撃でシールドが砕け散り重傷を負わされた。
 二撃ともまともに受けていたらこの程度では済まなかったろう。

「……大丈夫、死なせはしないわ!」

 助けようとユリアが駆け出した。
 バルアスは凪を捨て置き、鳴を視界に捉える。

「止めはいつでも刺せる……。さあ、次はお前だ!」
「鳴くんを……やらせるもんかああああああああ!」

 絶叫と共に想像力に包まれた奏が、バルアスに向けて襲い掛かる。
 振り向いたバルアスがにやりと笑った。

「奴を狙うと知ればそう来ると思ったぞ!」

 全力で首刈り大鉈を振り下ろした奏は、攻撃の意思そのものを刈り取られたように、勢いを殺され上体が大きく流れるのを感じ戸惑う。
 いなされたのだと気付くのに数瞬を要した。
 そして反転して扉の方に振り返ったのに、奏の視界からバルアスがいない。
 扉は閉まったままだから、マンションの中に入ったわけでもない。

「……しまった! 逆を取られた!?」

 凪の下へ到着していたユリアが振り返って目を見開く。
 背後を見た奏は、扉とは反対方向に逆走するバルアスの姿を認めた。
 バルアスは鳴と凪を狙うことによって奏やユリアを引き付け、奏の攻撃を受け様に交差法ですり抜けてやり過ごしたのである。
 幸いまだ動いていなかったコレットの対応が間に合いバルアスと激しく斬り結ぶ。
 とはいえジャイアントシールドのままでは間に合わず、ブレイズソード「ビクトリア」を引き抜いていたが。

「どうして……! まだ効いているはずなのに、私を無視してあんな動きを!?」
「エルゴマンサーの知性を見くびるな!」

 両手の鎌に大剣の刃を叩きつけ、コレットとバルアスは鍔迫りながら睨み合う。

「同じ手は二度食わん! そのスキルは既に見ている! あの時は不覚を取ったが、だからこそ策の一つや二つくらい考えるさ! そもそもあれば、行動を強制するものではない! 知性がある敵が相手であればあるほど、裏をかかれる危険性も高くなる! 覚えておけ!」

 お互い引かず押し合い、同時に弾かれ飛び退る。
 コレットは中央に、バルアスは端へと着地した。

「もう逃げ場はありません! 追い詰めましたよ!」
「それはどうかな?」

 バルアスはビルの屋上から身を投げ出した。

「なっ!?」

 慌てて駆け寄ろうとするコレットよりも、他の奏や空、鳴よりも、ユリアが一番思い切りが良かった。
 高い能力で多くの被害を許容できる余裕が、判断の速さに差を生んだのだ。

「逃がさない!」

 想像力の花を疾走する軌跡から咲き誇らせ花の道を作りながら、バルアスを追って宙に身を躍らせる。
 空中でユリアとバルアスが相対する。

「私を無視した代償を払って貰うわ!」
「お前の強さは知っている! 来るならお前だと思っていたぞ!」

 お互い空中で、派手な動きは取れない。
 回避動作も取れず、出来るのはせいぜいが身体を動かして攻撃が当たる場所を変える程度だ。
 だが両者とも、その程度で充分だった。
 二人は戦いながら落下していく。
 首を狙うバルアスの右の鎌をユリアが左肩を竦めることでずらして弾いたと思えば、反撃に振るわれた大剣の刃がバルアスの胸を貫かんと最短距離で突き出され、割り込んだ左の鎌に受け止められる。
 返す刃で振り抜かれた左の鎌がユリアの太腿の動脈を切断して致命傷を負わさんと襲い掛かり、ユリアが咄嗟に引き上げた足の脛の横側に当てさせて防ぐ。
 左上から右下へとユリアが大きく切り返して股間から正中線に沿って刃を斬り上げ、しかしそれもバルアスが咄嗟に内股を締めたことにより、股と股の間で止まった。
 鎌の一撃がユリアの髪に引っかかり、シールドを削らせる。

「取った!」
「まだよ!」

 そのままマンションへの壁へとユリアを投げつけたバルアスだったが、ユリアは衝撃で壁面を大きく凹ませながらも足から壁に着地し、それ以上に力を籠めて壁面を蹴り抜きバルアスへと襲い掛かる。
 大剣を警戒して鎌を振るったバルアスだったが、ユリアは目測以上に距離を詰めぶつかるように左手でバルアスの首を掴んだ。

「何!?」
「言ったわよね! 代償、貰うって!」

 ユリアの繊手に想像の光が集まり、凄まじい力を生み出してバルアスを砲丸投げの砲丸のように投げ下ろし、自らも落下速度を乗せた全身全霊の振り下ろしで追撃した。

「ちぃっ!」

 全身を道路に叩きつけられたバルアスだったが、続くユリアの振り下ろしを即座に飛び退いて避け、逃走を再開させる。

「待ちなさい!」

 轟音を立て道路にクレーターを作り出したユリアが追走する。

「いかん、見失っちまう! 追いかけるぞ!」

 我に返った紫苑が想像力を足に籠め、墜落するかのような勢いで壁を駆け下りる。
 シールドに相応の負担がかかるものの、時間が惜しかった。

「オレたちも続こう!」
「はい!」

 空とコレットも飛び降り、数秒の自由落下を経て着地する。
 だが奏だけは後に続けなかった。
 幼馴染の鳴が残っている。
 奏自身は少し無理すれば耐えられる着地も、鳴とて全損はしないだろうがかなりの衝撃になるだろう。
 それに、凪も運ばなければならない。

「大丈、夫。ちゃんと、シールドは張り直されてる」

 凪の状態を調べた鳴が頷いた。
 どうやら先の一瞬で、ユリアが回復させてくれたらしい。
 怒涛の展開だったので誰も見ている暇が無かった。

「一人、じゃ、歩けな、い。肩を貸す、から、手伝っ、て」
「うん、分かったよ」

 肩の下に頭を入れ、鳴と奏は凪を立ち上がらせる。

「……すまん。ドジ踏んじまった」

 意識は取り戻していたらしく、凪が血を吐くように言葉を絞り出す。

「仕方ありませんよ。今回は相手が上だったと思いましょう」
「それ、に、今回の目的、は、倒すこと、じゃない」
「そう……だな。犠牲者の数を抑えて撤退できれば、俺たちの勝ちだ」

 二人に肩を貸されながら、おぼつかない足取りで凪が階段を降りていった。


●不滅の血薔薇
 雅は目を擦り、まじまじと目前の光景を眺める。

「おっかしぃーなぁー。私の気のせいじゃなければ、何故か目の前にエルゴマンサーがいる気がするぅ」
「しまった、挟まれたか!」
「ちょうどいいわ! 手伝って!」
「よく分かんないけど分かった!」

 なし崩しに、雅はユリアと協力してバルアスを前後から強襲する形となった。

「あーっ! いつかの鎌男じゃん! 女から逃げてやんの、ププーかっこわるー」

 雅はイメージを植え付けると注意を引くことを試み、だが逃走を優先するバルアスの動きを完全に制することはできず、すれ違い様に右手の鎌による良い一撃を後頭部に貰った。
 イメージの盾越しでも凄まじい衝撃だった。

「ぎゃっ!?」

 目の奥に星を飛ばしながら雅が悲鳴を上げて倒れ、しかしユリアの羽のように散らされる神々しい癒しの雫ですぐにシールドを再展開して起き上がり、バルアスと目を合わせる。

「貴様あの時の……生憎だが時間がない、死ね!」
「ぎゃー! 危ない!」
「大丈夫!?」

 反対側から攻撃を仕掛けるユリアのお陰で何とか続くもう片方の鎌を避け、雅は綱渡りの如き回避を続ける。
 前回のように逃げ回って時間を稼ごうとした雅だったが、虚実を織り交ぜるバルアスの攻撃の違いを読み切れず、展開したイメージの盾が辛うじて間に合ったもののもう一度手痛い一撃を喰らった。

「ぐふっ!? で、でも時間は稼げたもんねー……」
「誰か! 負傷者が出たわ! 人を寄越してちょうだい! あたしはその間バルアスを止める!」

 シールドが消失し重傷を負う雅を背後に庇い、ユリアは通信で助けを呼び一騎打ちに臨む。
 ユリアの救援要請に対し、響とフィドルから即座に通信が帰ってくる。

『行きたいけど、ボクたちまだ役所にいる! すぐには行けないよ!』
『すまん、放送用の機械の操作に手間取ってな、もう少しかかりそうだ!』
『誰か、ユリアに加勢できる!? いくら強いっていっても、一人で戦わせるのは危ないわよ!』

 通信越しに、アンタレスの真剣な声をユリアは聞いた。
 アンタレスは住民の救助と避難誘導を担当していたはずだ。
 それを放り出すわけにもいかないので、救援に向かえる者がいないか探してくれているのだろう。
 そしてアンタレスの危惧は現実になり、倒れていた雅を人質に取られてしまう。

「抵抗するな。通信にも答えるな。破ったらこの女を殺す」
「どこまで下種なのよ……!」

 形成は逆転した。

『急ぐよ、状況が変わったみたい!』
『分かりました! 待っててください、すぐ行きますから!』

 通信の内容で、千羽矢と斬華が向かってくれているのが分かる。

『よくも雅を……!』
『私も向かっています!!』

 聖史とコレットも同じのようだ。

『おい、大丈夫か! 返事をしろよ!』
『ユリアさん! ユリアさん!?』
『お願い、答えて!』

 ユリアを追いかけているのであろう、紫苑、空、奏もユリアの身を案じてくれている。
 だが今は応えられない。
 唇を引き結び、ユリアは目の前の地面に氷華の大剣を突き刺した。
 嬲られる。
 少しずつ、だが着実に、シールドが傷付けられて消耗していく。

「思い知らせてやるわ」

 少しずつ、ユリアの視界が闇に閉ざされていく。

「その驕りの報いを、後で絶対に支払わせてあげる──」

 ユリアのシールド残量、残り──僅か。
 流星が、集う。

「させないんだからあああああああああ!!!!!!!!」

 目に気炎を、そして身体中から陽炎の如き想像力のオーラを纏い、ブレードトンファーを携え閃光のように千羽矢が突撃してくる。

「私もいますよ! ちょりゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 同時に上空から、氷華の大剣を振り被り斬華が降ってきた。

「絶対に取り返す……!」
「この星乙女の名に賭けて、非道は絶対に許しません……!」

 反射的に雅を盾にしようとしたバルアスだったが、それより先に聖史とコレットが痛撃を浴びせ横から掻っ攫っていった。
 バルアスを守るものはもう、何もない。

「ゴミどもがあああああああああああ!!!!!!!」

 怒声を上げるバルアスに、千羽矢がトンファーの刃で斬りつけると、猛然とラッシュを繰り出した。

「ゴミはあなただよ……! 心底軽蔑したよ! そんな強さ、私が求めるものじゃない!」
「な、にぃいいいいいいいいい!?」

 バルアスは千羽矢の一挙手一投足を、全く追えなくなっていた。
 千羽矢はどこまでも加速していく。
 一撃が二撃となり、二撃が三撃となり、三撃が四撃となり、振るうトンファーが次々増えていく。
 行きつく先は、速さの極致。
 分身する。
 残像が残像を呼び、斬撃が斬撃を齎し、千羽矢の全力が嵐のように全方位からバルアスへと襲い掛かる。

「あなたなんか……私の速さに、置いていかれちゃえ!」

 全ての千羽矢がトンファーを振り切った姿勢の一人へと収束し、バルアスの宝玉に無数の罅が入る。
 正確無比に、狙いを全て宝玉に一極集中していたのだ。
 だが、バルアスもやはりエルゴマンサーという名の強者。
 千羽矢から斬華へと攻撃の主体が切り替わるその瞬間、千羽矢に反撃を仕掛けていた。
 両手の鎌で千羽矢の両手のブレードトンファーと互角の打ち合いを繰り広げる。

「──げふっ!?」
「我らは──成長する!」

 繰り出されたのは、バルアスの左足。
 先にユリアにやられたことを千羽矢へやり返すかのように、バルアスの足先が千羽矢の腹にめり込んだ。
 さらに服を掴まれ、盾にされた。
 これで千羽矢は脱出できない。
 バルアスの頭上にまで迫っていた斬華の表情が凍り付く。
 その瞳が、攻撃を捨てて千羽矢を助けるか、それともこのまま攻め立てるかの選択を迫られ揺れる。

(私は、どうしたら……)

 瞳を向けて、斬華は言葉を失う。
 千羽矢は気丈な笑みを向けていた。
 やれと、その目が告げていた。

「大丈夫。私、避けるよ」

 斬華の迷いが消える。

(……千羽矢ちゃん。あなたを、信じる!)

 大剣に雹が集う。
 千羽矢、コレット、聖史など、周囲の味方全ての傷を癒しながら、裁きの雹が首刈りの刃を作る。
 途切れかけた攻撃が繋がっていく。
 走り込んできた輝きがバルアスを掴む。
 ユリアだ。
 先ほどの斬華の癒しは、彼女にまで届いていた。
 さらに聖史が即時修復を重ね盤石にする。

「貴様、まだ……!」
「さっきは、よくもやってくれたわね!」

 ワインレッドに染まった髪を靡かせ、同じ色の眉の下でハイライトが消えた瞳に激情の火を灯している。
 戒めを振り解き、千羽矢がその場から飛び退く。

「地獄に──」
「ヴァニッシュよ、バルアス!」

 二本の氷華の大剣が閃く。
 宝玉が砕かれ、その首は身体から離れて空を飛んだ。


●悪夢は続くよ何度でも
 紫苑、奏、空の三人が合流すると、既にバルアスは死体になっていた。

「おいおい、倒したのか?」
「何とかね……あー、さすがに疲れたわ」

 長時間一人で相手をしていたユリアが姿を元に戻し大の字になってその場に倒れた。

「だ、大丈夫!?」
「も、もしかして見えないだけでどこかに怪我が!?」

 慌てて奏と空が駆け寄る中、寝転がったままくすくすとユリアが笑い出した。
 顔を見合わせた紫苑と奏、空は目と目で会話する。
 やがておずおずと奏が話しかけた。

「どうしたの?」
「別に……。ここまでエルゴマンサーといい勝負できるようになったのねって思ったら、ちょっと嬉しくなっちゃったのよ」
『お疲れ様。何とか無事に済んだようね。こっちの救助活動も順調よ。とりあえず見つけた範囲内でっていうだけだから、全体で見たらどうか分からないけど』

 アンタレスからの通信が入る。

『それは大丈夫だ。役所での作業が終わって俺たちも避難誘導に参加している。マンションの上から見ているから、逃げ遅れがいれば分かる。放送もしたし、無線を聞いて動けるなら全員逃げてくれるだろう。アーサーやカンナ、他のライセンサーたちも建物の中とか俺じゃ見えない場所を虱潰しに探して回ってくれてるみたいだな』
『それに、住民の情報もばっちり手に入れました。これで照会できますよ』
『ふっふっふ。ボクたちも、地味かもしれないけど凄く重要な役目を果たしたんだからね?』

 フィドルとノイズ、そしてちょっぴり自慢げな響の声が聞こえた。

「最後まで気を抜かずに行こうぜ。重体になっちまった二人も回収しねぇと」
「あ、凪さんは鳴くんと私で運びました」
「雅さんは私と聖史君で運びますね」

 最後にまだ何かないか警戒する紫苑へ、奏とコレットがそれぞれ答えた。

『……ん?』

 インカムから、フィドルの怪訝そうな声と目を擦るような音が聞こえた。

『……おい、バルアスって倒したんだよな?』
「そうよ。あたしと斬華姉さんで止めを刺したわ。確実にね。それがどうかしたの?」

 ユリアがきょとんした表情で通信に答える。

『バルアスらしき人影が歩いているのを見つけた』
「は? 冗談だよね?」

 思わず真顔になって千羽矢が聞き返す。

『……本当のようです。こちらでもバルアスのマーカーが一度消失し、もう一度別の場所に出現したのを確認しました』
「……マジかよ」

 オペレーターの声に、紫苑が顔を覆って呻く。

『とりあえず、奴の後を追ってみる。皆も警戒してくれ』

 フィドルからの通信が切れた。
 やがて再度繋がる。

『ノイズが見つけた地図と照合してみたんだが、どうやらキャリアーの方に向かっているみたいだ。破壊されたら全部無駄になるどころか、俺たちまで帰れなくなるぞ』
『高エネルギー反応の増大を確認しました! 既にキャリアーは攻撃範囲内のようです!』

 推測を裏付けるかのような悲鳴のようなオペレーターの声が響いた。

『急ぐのよ、全員走りなさい!』

 焦ったアンタレスの駆け出す音が通信の向こうから聞こえた。


●キャリアーを守れ!
 全速力で戻ったお陰で、何とか辿り着く前に爆破されるなどという事態にはならずに済んだ。

「案外早かったな。これでお前たちに一泡吹かせられると思っていたのだが」
「もう復活したのね……。実質的に不死身ってわけ……!」

 剣呑な表情を向けるユリアに、重々しくバルアスは頷いた。

「そういうことだ。我々は個々の人格と自我を有してはいるが、結局は奴の分体に過ぎん。本体たるネザー=エンピレオが死なない限り、何度でも蘇る」
『エネルギー反応さらに増大中! 出力限界を突破しました! このままでは発動を止められません!』

 悲鳴のようなオペレーターの声が、危機を知らせる。

「くそ、させるか!」
「折角守ったんです……!」
「やらせない!」

 紫苑、奏、空の三人が飛び出し、バルアスに飛び掛かる。
 大鷲の爪翼の三本爪で引っ掻き腕部大型刃で鎌の腕に斬りつけ紫苑が強引にガードを崩すと、すかさず奏も襲い掛かり、同じ大鷲の爪翼を宝玉目掛けて振るう。
 左右から爪翼がバルアスを狙う。
 さらに空も加勢し爪翼のトライアングルが形成された。

「最後の最後で、この展開か!」

 フィドルもまた宝玉目掛けて銃撃を撃ち込み、妨害を行う。

「させるかー!」
「やらせないわよ!」

 響とアンタレスも続き宝玉を次々攻撃する。
 特に響のデザイアアックスによる二連撃はかなり効果的だったものの耐えられ、発動を止められない。

「ここまで来たのに……!」

 コレットの狙いを定めた一撃が重くとも、宝玉狙いは読まれやすく防がれる。
 攻撃可能な者たちの行動が終わった。

『発動までもう時間がありません!』

 悲鳴のようなオペレーターの通信に、ユリアは覚悟を決めた。

「こうなったら、あたしたちのシールドで受け止めるわよ! 耐えられそうなら盾を持って一緒に前に出て! そうでないならあたしたちの後ろに! 怪我人も後ろにね!」

 一行はキャリアーを守るべく、即座に陣形を組む。
 ユリアを中央に、コレットやアンタレス、聖史のジャイアントシールドが、キャリアーへの衝撃を防ごうと堅牢な防壁のように並べられる。
 大爆発が起き、大地が揺れた。
 やがて煙が晴れ、多少損傷が見られるものの、キャリアーは無事な姿を見せる。
 オペレーターが被害を報告する。

『損害許容範囲! 飛行に支障ありません!』

 だが、庇った一行の被害は大きい。
 立っていたのは耐えきったユリアと斬華、シールドを全損させ気絶しかけるものの歯を食い縛り堪えた奏と、気絶まではしなかったコレットと聖史だけだった。
 他は範囲内の全員が気絶か重体になっている。
 だが陣形の組み方が良かったので、再起不能者や死者は出さずに済んだ。

「二度は防げまい! これで終わりだ!」

 しかしバルアスの発動準備をもう誰も止められない。
 たった一人を除いて。

(……ごめん。鳴くん。私……)

 泣きそうになる奏に、その鳴から通信があった。

『諦めない、で。俺が、止めるか、ら。頭を下げ、て』

 奏は考えるよりも早くそうしていた。
 目を丸く見開き、全く状況が呑み込めていないようだった。
 それでも応じたのは、絆の為せる業か。
 銃声が鳴り響く。
 研ぎ澄ましに研ぎ澄ましを重ね、満を持して解放された一撃必殺のイメージで撃ち出された弾丸が、奏が開けた僅かなスペースを針の穴に糸を通すような正確さで通り、バルアスの胸元の宝石を撃ち砕いた。
 鳴は一度範囲外に下がると同時にイメージを研ぎ澄ませ、きっちり発動をすかさせてから再度狙撃位置に着いていたのである。
 移動ができるからこその、妙手。

「馬鹿な……! こんなことが、こんなことがあってたまるかぁあああああああああああ!」

 発動が妨害され、動けなくなったバルアスの手から寸前で勝利が零れ落ちていく。

『早く来い。住民の収容と確認は終わらせておいたぞ』
『皆それどころじゃなくなっちゃったし、私たちで頑張ったよ!』

 キャリアーからアーサーとカンナが通信を送ってきた。
 二人と他のライセンサーたちが、避難誘導を進めてくれていたのだ。

『急いでください! 走って!』

 オペレーターが撤退を呼び掛ける。
 支援に出てきたライセンサーたちの助けも借りて、各自負傷者を担いでキャリアーへ逃げ込む。
 重傷者多数なれど、死者は奇跡的に零名。
 身元不明の死体はなく、行方不明者も当時から外出していたことが発覚し後日別の街で生存が確認された。

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