オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【金乱】轟嵐磊落、樹海の糸

連動 【金乱】轟嵐磊落、樹海の糸 佐嶋 ちよみ

形態
ショート
難易度
危険
価格
1000
ジャンル
金乱 バトル 
参加人数
86~8人
予約人数
10010100
基本報酬
250000G
250SP
2500EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/05/04 23:00
完成予定
2020/05/18 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-


 約束は果たされた。
 永い永い痛みの雨は、終わった。
 優しく甘いだけ霧が、この身を包む。終わらぬ夢を、見せてくれる。




 中国、河南省、南陽市。
 そこにインソムニア『酒池肉林』が広がっている。
 対ナイトメア戦の力をつける前に占領されたその地は、これまで踏み入ることさえできなかった。
 ――黄金の霧の地へ…… 
 ライセンサーでさえ入りこめないその場所へ、一般人をいざなう魔性の声。都市伝説。
 ナイトメアを崇めるレヴェルたちによる行動と判明したが、その本意は?


「そこへ行くと、優しく甘いだけの霧が身を包んでくれる。苦しみも悲しみも屈辱もない、幸せな夢を永遠に見ていられるわ」
 醒めなければ、夢は夢じゃない。現実と同じだ。
 黒竜江省での戦いで捕縛されたレヴェル・ヨウリンは、問いへ淡々と答える。
 拘束を受けてから逃げるそぶりは見せず、妹をナイトメアに喰われたことについては『あなたたちが妹を殺した』と返すのみ。
「私が霧の地へ行かない理由? 私は満たされているから。夢を見なくても夢の中にいるから。だから、苦しむひとびとを楽土へ案内することが『彼』へ報いることになるの」
 『彼』――命を救われたという、エルゴマンサー。スティーヴ(lz0110)。
 それまでスティーヴが中国で活動したとは確認されていないが、報告書にないだけで行動はあったのだろう。
 スティーヴが『酒池肉林』へどのような形で関わっているかはわからない。
 ナイトメアたちへの貢献は、まわりまわって彼にも及ぶというのがヨウリンの考えらしい。
 人を喰わせたナイトメアに、楽土を目指す人々を乗せて移動させる。それがヨウリンのやり方だった。
 満腹状態のナイトメアであれば不必要に命を奪うことはないから、と。
 方法はともかく『戦う力を持たぬ一般人が、インソムニアへ入る』術はたしかにあるらしい。
 すなわち『インソムニア内に、意図的に集められた一般人がいる』わけだ。

 先行し潜入した者たちから、少なからず情報ももたらされた。
 現地調査。
 一般人の救出。
 インソムニア陥落に向けて、固めるべき土台はシンプルだが困難を極めるだろう。
 霧の地は、甘い夢をもたらすだけではないという情報もある。
 霧が深く遠くが見えない。漂う甘い匂いは嗅覚を妨害する。
 『闇』ではなく『霧』、意図的に発生させられていることを考えれば容易に振り払えるものではないことも明白だ。
 どれほどの広さで、どれだけのナイトメアを相手取らなくてはならないのか。
 一度の潜入で、そこまで調べることはできるのか――
 山積する懸念事項に絡めとられていては、どこへも動けない。




 かくして。
 先発・後発の2隊編成で、ライセンサーたちがインソムニアへ侵入を試みた。
 霧の壁の手前、その上空に彼らを乗せてきたキャリアーが滞空している。
 命の危機に及んだ場合は速やかに帰還するよう言い渡されている。


 視界を塞ぐ霧を除けば、進行を妨げるような地形ではないように思う。
 黄金色の風景を進む。
 時折り、幸せそうな寝顔の人々が寄り添い合う塊りがある。
 先発隊の一人が、膝をついて声を掛けるが反応はない。
 いつナイトメアと遭遇するかもわからない状況で、一般人を抱き上げ同行することは躊躇われた。
 程なくして――見えぬ霧の先から雷撃が襲い掛かった。

「敵影確認!!」

 一つや二つではない。
 赤黒い肌の小鬼――と表現すべきか。1mと少しばかりの体長のナイトメアが、黒槍を手に前方から現れた。
 先発部隊が交戦を開始する。
 視界が確保できる範囲での狙撃、前線での白兵戦。
 少し押し返した……かに、見えた時。
 傷ついた小鬼の一体が、他方向で眠る人々に手を出した。
 瑞々しい桃を貪るかのように、口にする。手も口も顔も真っ赤に汚しながら。

 ――無理にでも起こしておけば
 ――背負い、撤退していれば

 ライセンサーたちに後悔の念がよぎるけれども、もう遅い。
 食われた人々は、もとより彼らの届かぬ場所に居た。
 振り向く小鬼は、それまでの傷を鮮やかに修復していた。
 それどころか、近づくところへ弾丸を撃ち込んでも効かなくなっている。
 正しく言えば、ダメージを受けたそばから回復している。
「……う、うそだ」
 一時は壊滅まで持ち込んだと思ったのに。
 小鬼たちは次々と『桃』を口にし、再びの戦いを挑む。
「撤収、撤収――……!!!」
 敵の懐で長期戦は無理だ。
 更にナイトメアが増えないとも限らない。戻れる力が、あるうちに。




 消耗の多い先発隊が撤退に専念し、情報共有に留まっていた後発隊がしんがりを引き受ける。
 こちらからは命中率の下がる遠距離から放たれる攻撃が、とかく厄介だ。
 災難はさらに続く。

「えー。なになに、お前ら来てたの?」

 朗らかな青年の声が、霧向こうから届いた。
 エルゴマンサー・スティーヴ。
「ここさあ、面白いよね。俺はまだ、喰ってないけど……メッチャクチャ強くなるのな」
 黒髪に日に焼けた肌、緑眼の青年の姿が徐々に見えてくる。
「逃げるのかー。残念。じゃあ、せめて本当に逃げ切れるかハードル上げてやるよ」
 悪意のない笑顔。
 雷が小鬼たちへ落ちる。仕掛ける『ブースト』、小鬼たちは【暴走】状態に入った。
「迷うような樹海じゃない、一本道だ。罪なき人間を放置して、全力で逃げなよ」
 追い立てるように、スティーヴはパンッと手を叩いた。

「そうでもしないと、鬼が喰っちまうぜ」

 言うまでもなく、彼もまた『鬼』として追い掛けるつもりたっぷりだ。



●任務内容
3T敵を引き付けたのち、撤退

●敵情報
インソムニア『酒池肉林』の影響で、通常時とは比べ物にならないほど強化されている
撃破は狙わず戦線から抜けることが望ましい

魍魎×6体
攻撃型 成熟態 【暴走】(2)・自力解除不可
2mほどの槍を手にしている
・槍による物理攻撃・射程2
・槍から雷撃を放つ知覚攻撃、射程10・直線範囲

スティーヴ
青年エルゴマンサー、武器は使わない格闘技スタイル
[判明能力]
・同戦域ナイトメアへ【暴走】(2)付与
・視野に死角なし
・蹴り、突きを交えたデフォルト3連攻撃
・3射程以上の攻撃へ、疾走してカウンター攻撃・同時攻撃にも対応
・2射程以内の攻撃は往なして和らげる
・変調やBSを受けた場合、瞳が赤く変化する・詳細不明

●南陽インソムニア『酒池肉林』
▽黄金の霧
甘い香りがする。嗅覚による判定に多少のペナルティ。
また、霧による視界ペナルティ。
0~5sq :ペナルティなし
6sq~10sq:命中30%ダウン
11sq以上 :見えない。

霧の中にいると、PC達に以下のステータス変化が常に適用される。『変調』ではない。
【快楽堕落】抵抗-50%、毎ターン終了時に生命を5%回復。

霧の中にいると、ナイトメア・エルゴマンサーは以下のステータス変化が常に適用される。『変調』ではない。
【無辺天眼】霧による視界ペナルティを受けない。知覚に関する判定にボーナス。
【金色楽土】毎ターン終了時、HP回復大。


●状況
インソムニア出口まで、あと500m程
魍魎との距離:5スクエア、スティーヴとの距離:8スクエア
周囲には行動を妨げる障害物はない
先発部隊は合流済み、撤退に専念中(加勢要請不可、援護考慮不要)


不明瞭な点はOPで読みとれる範囲で解釈・推察ください

こんにちは、佐嶋です
にげるしかない。

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

「惑わされるな、今は全員帰還だけ考えろ」

●目標
全員で帰還

●指針
【W】
直線攻撃対策にW字型を保つ
立ち位置は退路側後方、中央
味方との距離は目視可能な範囲を保ち突出はしない
通信機にて常時情報共有
スキル使用時:本
遠距離時:V-70

●行動
初手
陣形を崩されないことを意識し敵数が集中する所へ攻撃し、
逃げる素振りを見せないようにしつつ後方へ下がる
3T目の行動を最遅迄下げ鳴神(前衛が下がる隙を作る、良い距離を保てていたら地面へ使用し砂埃をたてる)
4T目に全力移動で後方へ逃走
以降可能な限り全力移動で離脱を目指す
出口までのルートの確保、聴覚併用で良く周囲を注視
ルート上の異変、違和感は常に共有
障害物となり得るものがあれば光眩む白
一般人が障害になる場合は率先し引きはがす
余裕あれば地面へ攻撃をし痕跡を残し方向感覚を保つ
中央地点から味方突出をよく確認しばらけないように情報共有を行う

敵の此方側への回り込み、先回りを警戒し発見時は最優先で鳴神
殿への集中攻撃乃至包囲時、追加詠唱+ゼロブラストで敵の一体をギリギリまで押し下げる
通常攻撃の攻撃先も、殿1名への集中狙いを防ぐ為適宜意識を向けさせるように努めて
万一近接で迫らせたらゼロブラ
必要が無い限り攻撃行動はせず前方注視
スティーヴは位置を確認し共有、此方から攻撃は極力しない
但し此方の隊列の分断、乃至味方への行動の阻害があれば追加詠唱+ゼロブラ

出口迄辿り着いたら殿組を遠距離援護
使用可能な攻撃スキル/V-70+追加詠唱で味方に近い敵から狙撃

仕事は威力偵察、またの名を命懸けのピンポンダッシュ
ついこないだ這う這うの体で帰って来て、ナンデまたやってるんですかネ
…そういう星の巡り合わせカナ

W字型本隊と別行動の分隊配置
2T目まで、出口方面に向かいつつ本隊からも離れるように移動
本隊から11sq未満の距離を確保しつつ囮役として行動
魍魎を狙ってSMG・GL等で通常射撃し誘引
捕食回復を防ぐ為、損害を与えることを目的としない
スティーヴには触れないが、本隊を追っても此方に来ても想定内
後の距離確保の為、射程一杯程度まで距離を取っておく

3T目、前者の場合はスティーヴにライフルでCスライド攻撃
反撃を誘発し至近まで誘引、祝福で耐えつつ入れ替わるように移動
元居た場所に置き去りにする形で本隊へ合流
後者の場合は単純に全力移動で脱出開始

以後、出口へ向けて全力脱出開始
使用回数が切れたら、前方へ向けてCスライド
隊形の意図通り、味方と前後直線に乗らない配置

  • 魔女殺し
    Ashen Rowanla0255
    人間31才|ネメシスフォース×スナイパー

不快だな
咽るような甘ったるい香りも
怠惰と安寧を謳うこの箱庭も
──そしてあの男も

武陵桃源、或いは阿片窟と言った所か
……知っている。それが1つの幸福であることも、救いとなることも
だが。夢は覚める。夢の終わりは必ず来る(シガリロ燻らし)
■行動
W側魍魎対応
後衛。敵との間合は基本5sq
視界内に敵半数以下なら間合詰め。槍の間合は避ける
雷撃備え前衛と直線上に並ばぬよう意識
戦線崩れそうなら前出て攻撃数手引き受け

初手は最大数狙い失意の軛
次手は『変調解除or付与失敗』の敵2体以上なら再度軛。それ以外は届くなら最遅行動で男に冒し蝕む金、でなければ魍魎にカーズミスト
三手目は状況見て。魍魎と男、脅威度高い方にカーズミスト

軛は可能なら男も巻き込み
但しBS優先度は移動妨害>命中低下で上書き避け
三手目以外はW側離れ過ぎず

後方で以下観察
1.敵異常回復のトリガー
2.同回復の変調への影響
3.変調付与時の男の変化
3は即座か一定数累積時の変化か。身のこなしと速度に重点置き観察
1は先発隊の情報より。人を喰らい発揮しだしたのであれば

「……桃は中国に置いては不老長寿の果実。つまり人は肉林の『肉』であり桃源郷の『桃』であると、そういうことか

尋ね、反応見る
3T後は全力移動で撤退。行動不能の味方は担ぐ
追撃振り切れぬなら軛・カーズミスト

「言われなくても。仕事が終わったら帰るよ」

□目的
全員無事で生還

□行動
全員と戦域情報を常時共有
回復やバフスキルの射程内に留まり過度に分散しない


・役割
殿担当。最前線で敵の足止めと後衛への突破阻止

・1~3t
範囲攻撃を警戒し味方と縦軸を合わせないよう展開
敵、特にスティーブの動向に注視
彼の後衛への突破及び魍魎との挟み撃ちの状況は全力回避
受け流しを使用、回避重点で行動
必要があれば軽功+全力移動で位置調整や仲間のフォローに入る
軽功は逃走用に1回は温存
全員の後退に合わせ徐々に戦線を下げる
自身はギリギリまで残って突破阻止を継続
囲まれて退路遮断を受けないように留意
緊急時は温存した軽功や全力移動を切ることで対応

・3t以降
軽功+全力移動で急速離脱
その後も後方警戒を続け、脱出まで殿を務める
仮に伏兵などがいた場合は全力でそちらに急行
退路遮断や挟み撃ち・側面攻撃の阻止に全力を
後方組が安全圏(インソムニア外)に到達したら自身も脱出
仮に重傷等で戦闘が困難な状況の場合は味方に負担をかけぬよう早期離脱
「じゃあね」

黒髪、緑目。……ああ。
スティーヴ、ですね。認識しました。


方針に沿いW字の方へ
攻撃最低限に、回避優先

引付
徐々に後退しつつ対処
手番最後に
1,2手目は攻撃を加えない
全体の攻撃力が金色楽土による回復量を超えないよう注意
その上で可なら3手目軽く斬り付け
撤退時、手番通常
全力移動含み、他と足並み揃える
可能ならW字の端の方に
雷撃対策、陣崩れても縦に複数並ばないよう心掛ける
武具 原則小太刀。近接主体
対魍魎
攻撃往なす際槍は跳ね上げ
遠距離射撃は拳銃>狙撃銃、距離により調整
対スティーヴ
飛雀使用。またリーチから外れる形で回避行動を取る
応戦時、極力距離2を維持。拳銃試す
有事は金糸雀で介入
相手が魍魎の場合魍魎に
スティーヴの場合対象とせず隣接sqに着弾

分隊、2人沈むなら代わりに加わる
1人沈むなら戦闘不能者移すため一時的に
他が加わるようなら自身は無し
戦闘不能者はW字側で運べたらと
これが運べればよいのですが、体格差次第で

  • 必殺ビンタ
    アンタレスla2909
    放浪者20才|グラップラー×スピリットウォーリア

「ここで噂の強敵格闘バカ登場とは面倒ね…場所が悪いし逃げの一択だけど」

【行動】
獣靴基本装備、分隊に配置、無線での味方との位置把握は密に
先発の撤退完了までの3Tは敵の攻撃を捌きながら徐々に後退
魍魎に対しては敵の軸に対し味方と位置化被らないようにして雷撃気を付け、逆に敵の射線に敵を持ってくるように位置を移動する
槍の近接攻撃は刺してきたところへ逆に距離を詰め手や獣靴で穂先を逸らし懐に入り可能なら重心の下の下半身を掴み反対方向へ投げ飛ばして距離をとる
無理なら手首や腕の関節を蹴飛ばして槍を落とさせるか握りを緩くし敵のいない方へ蹴り飛ばす
霧の回復以上のダメージは民間人を喰われるのでダメージより遅延行動優先
「やりづらいったらこの上ないわね!」

スティーブの攻撃は特に注意し回避一択
死角はないが格闘攻撃なら人体の可動域にしか来ないのを意識し敵攻撃範囲を予測
敵の攻撃軌跡を予測して体をずらす・手や足で払って避ける・艇の攻撃に合わせて蹴りこんでその威力を貰って後方へ飛ぶ等
体勢を崩す・魍魎の攻撃などで回避が難しい場合は陽炎使用
離れた味方危険時は神銃で敵のカウンター誘発し引き付け

3T経過後は味方と合わせ全力移動で交代を開始
殿役なので味方の最後尾に来るよう調整し敵の攻撃を引き付ける
スティーブへ暗闇使用し離脱

  • 小さきアトラス
    佐和 千昂la3236
    放浪者12才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

又このヒト()何がしたいんだ
元のというかこの姿と名前を元々持っていた人は色々あったと想像できるけど
ナイトメアに「救われた」のか、それとも抵抗して喰われたのか
行動の方向性がバラバラに見えるのはナイトメア自体の性向なんだか、喰った人間の影響なのか
或いは両方が上手く調和できて無いのか
…もっとも生きて帰れなかったら考える意味は無いし
出来たての家族(猫)を残して死にたくもないし

W陣形の側で3Tの間は他の人と歩調を合わせて少しずつ出口側に移動しながら小鬼に警戒
主に出口方向10T以内に小鬼が見えたら青が効くかどうか試みライフルで狙撃
ダメージは大したことなくてもそこにいることに危険を感じて道を開けさせられたら上等
暴走状態がどう作用してるかこれも未知数だけど
3T過ぎたら全力移動で逃げるつもりなので出来るだけ出口への道は開けておきたい

引きつけの2Tが過ぎたらフィールディング使用
3Tで主武器を風韻旋棍に変えて動き易くし出口へ全力移動
道が空いていればとにかく走り邪魔がいたら殴る
ダメージ関係なく少しでも下がらせて走り抜ける

夢は覚めなければ現実と同じ?果たしてそうかな?
「与えられた夢」は自分じゃなく与えている側の都合のまま
勝手に変えられるのも最悪の形で終わるのも
ここの夢は麻薬に溺れるのと同じ
溺れさせて肥える売人は満足する線なんて無い
そこに『人』が介在するのだから

  • 羽ばたく導きの鳥
    白野 飛鳥la3468
    放浪者21才|グラップラー×セイント

「余計なことを……。……今は、生還を

○行動
3T引き付け、その後撤退
生還

基本行動
W字のイメージで陣形組み、魍魎中心に引き付け
自身は中央或いは中央付近に位置(フォローし合えるように)
近~中衛&回復フォロー
接近戦は日本刀「黒帳」
距離有時はピンクスパイダーやセレブロ
敵攻撃は可能な限り回避
インカム通して味方状態把握
敵の判明事もインカム通して知らせる
生命5割以下or残り2撃以下で倒れそうな時ロングヒール
複数人いる場合赤蛍火で回復
視界不良の為味方への誤射と敵攻撃により注意(スティーヴへの誤射も含む

初手はスティーヴの情報をインカム通じて(特にスティーヴ相手の分隊に)簡単に伝えつつ魍魎引き付け(積極的攻撃というよりも援護中心
3T目までは突出しないよう、かつじわじわ後退(通常移動
なるべくなら敵位置の把握も

3T過ぎた後全力移動で撤退
武器は日本刀を所持
途中戦闘不能者が出たor出そうな場合は残っているスキルで回復へ
気絶等動ける状態でない者は担ぐ


 ――罪なき人間を放置して、全力で逃げなよ
 『鬼』が笑う。無駄に爽やかに。

「言われなくても。仕事が終わったら帰るよ」
 殿に立つアグラーヤ(la0287)も、準備運動とばかりに体を慣らして言い返す。
「今回は遠慮なく頼ってね。あいつらは通さないよ」
「ありがと。俺も援護するからね」
 退路後方、中央に位置する化野 鳥太郎(la0108)は、努めて落ち着いた声でアグラーヤへ答えた。
 【堕天】の戦いで、大勢の想いを繋ぎロシアの地を――彼女の故郷を守る盾となった鳥太郎の姿を、アグラーヤは知っている。
 彼の音楽へ、敬意と感謝を。
 同じ戦線で戦うことは少ないが、『何かを守るため』に発揮される彼の力には信頼を寄せている。
 ゆえに。
 霧の向こうに点在する、眠る人々を案じているだろうことも想像できた。
(惑わされるな、今は全員帰還だけ考えろ)
 ――放置して
 こちらの気持ちを弄ぶような語り掛けだ。罠だ。わかっている。鳥太郎は言い聞かせる。
 眠る彼らを助けようと動けば、小鬼に捕まりエルゴマンサーに蹂躙されるのは明白だった。
 情報は撤退しながら拾える分で良い。自分たちが倒れれば、先に撤退している部隊まで潰れかねない。
 冷静になれ。
「余計なことを……。……今は、生還を」
 鳥太郎と同じく、後方中央寄りでサポートを担う白野 飛鳥(la3468)もまた、現状を現実的に受け止めるべく呼吸を整えた。
 今回のメンバーで、回復能力を持つ者は2人しかいない。そして、本隊にいるのは飛鳥だけ。
 敵の攻撃へ対応しながら、どれだけ味方のフォローができるか。作戦成功率は飛鳥の動きに掛かっているとも言える。
(不快だな)
 Ashen Rowan(la0255)は、緊迫した状況を一言で切り捨てた。
 咽るような甘ったるい香りも、怠惰と安寧を謳うこの箱庭も。
(──そしてあの男も)
 接触には僅かな距離がある、が一足で詰め寄られる可能性もあり油断はできない。

「ここで噂の強敵格闘バカ登場とは面倒ね……。場所が悪いし、逃げの一択だけど」
 アンタレス(la2909)は軽く首を横に振り、一団から少し離れた場所へ動く。
 逃げ足には自信がある、孤立していると見せかけて敵を引きつけ、メンバーの撤退を援護することが目的だ。
「又このヒト……何がしたいんだ」
 三度目の顔合わせとなる佐和 千昂(la3236)は、驚きより呆れが強い。
 初回は近畿地方。次は東京お台場。中国黒竜江省での事件で彼を感じさせる存在の供述があったことも知っているが……
(行動の方向性がバラバラに見えるのは、ナイトメア自体の性向なんだか、喰った人間の影響なのか)
 或いは両方が上手く調和できて無いのか。
「……もっとも、生きて帰れなかったら考える意味は無いし。出来たての家族を残して死にたくもないし」
 お台場での戦いで、千昂は家族を得た。やんちゃなキジトラ猫が、少年の帰りを待っている。
 甘えているのか命令しているのか判別の難しい鳴き声は、離れていても再生可能だ。
「『黒髪』『緑目』。……ああ。スティーヴ、ですね。認識しました」
 黒竜江省で対峙した記憶と、その際に救出した少年の言葉をすり合わせて、マクガフィン(la0428)は対峙する相手が何者かを理解する。
 あの時マクガフィンは強烈な一撃を受けて深手を負ったが、それに対する怨恨は微塵もない。
 仕事であるのだから。
「命懸けのピンポンダッシュですネー」
 アンタレスと別方向へ移動しながら、イリヤ・R・ルネフ(la0162)は苦笑い。
 本隊が視界に収まるギリギリの距離を保ちながら、単身で囮を担う。


 マクガフィン、千昂が殿の両端を。中央にアグラーヤ。
 撤退方向側へ飛鳥・Ashen・鳥太郎が控える。
 『W』を描く形で、直線からの攻撃を避ける隊列だ。
 彼らと離れて敵の分散を狙う別動隊は、アンタレスとイリヤ。
 

 一触即発の空間に、そぐわぬ甘い香り。
 救いを求める者には蜜を。害なすものには束縛を。
 楽土に広がる、不可視の蜘蛛の糸。
 鬼の糸は、すぐそこまで迫っている。




「ナイトメアは同士討ちがないのよね」
 アンタレスは魍魎の雷撃をひらり躱し、敵の斜線が重なるよう誘導するけれど、それ自体には然して意味がないことを思い出す。
 ナイトメアが周囲に展開する『リジェクションフィールド』を破れるのは、EXISだけ。逆を言えば、ナイトメアの攻撃はナイトメアのリジェクションフィールドで無効化される。
 3体目。突進してきた魍魎の槍を躱し、腕の関節を狙って蹴り飛ばす。
 人間ならば骨が折れてもおかしくない感触だった。が、魍魎の腕は逆方向へ曲がったと思えばすぐに戻る。
「人型だけど、中は人間と同じ造りってわけではないのかしら」
(でも、ダメージを与えすぎると民間人が喰われるのよね)
 この超回復というか超人外な反応も、『酒池肉林』の人間を既に喰っているからかもしれない。
「やりづらいったらこの上ないわね!」
 忌々しく声にして、アンタレスは次の敵の動きに備える。

 他方、同じく単独行動をとるイリヤ。
「ついこないだ這う這うの体で帰って来て、ナンデまたやってるんですかネ」
 サブマシンガンを派手にぶっぱなし、魍魎の意識を引き付けていた。
(……そういう星の巡り合わせカナ)
 アンタレスの様に回避に優れているわけではないし、銃を手にしているから盾による防御上昇もできない。というか盾は持ってきていない。
 サブクラスはセイントだが回復スキルのセットはなく、本隊にいる飛鳥のロングヒールも届かない距離。
 引付は短期間、シールドが持つ限り立ち続ければいい話。
 逃げも隠れもしない、正面から受け止める覚悟を決めれば敵の攻撃も微々たるもの――……
「無理しないでください……!!」
 とはいえ、それを放置できる飛鳥ではない。魍魎3体に囲まれたイリヤを救援できないか、隊列から動くか逡巡するも、

「いくつか、見た顔があるかな」

 鋭い風が、本隊を襲った。




 本体中央へ一足飛びに移動してきた、エルゴマンサー・スティーヴ。
 地表から上にかけて半円状に繰り出した鋭い蹴りは、刃のようなエネルギー波となって周囲に広がる。
「来ると思った! カピバラの仇!!」
 いつでも動けるよう、受け流しを発動していたアグラーヤは正対しながらも直撃を回避する。
「今のはカポエィラ……でしょうか?」
 中衛で攻撃をしのいだ飛鳥が、自身の知識から似たようなものを引っ張り出す。
 しなやかかつ鋭利な蹴りは、空手やボクシング・軍隊格闘とは違う。
 躍るように、楽しむように、ただし命を懸けて。
 初遭遇時は空手の印象が強かったけれど、飛鳥は『こちらの格闘技にあたるもの』を使う可能性を当時から考えていた。
 警戒していたマクガフィンも回避、千昂は首の皮一枚で立っている。
「こちらに来ましたか……。簡単に倒れませんよ、俺たちは」
 範囲攻撃。これまでの情報にはなかった。
 物理攻撃であると手ごたえから判断し、飛鳥は情報を共有しながら赤蛍火で本体メンバーのシールド修復を。
「……桃は中国においては不老長寿の果実。つまり人は肉林の『肉』であり桃源郷の『桃』であると、そういうことか」
 後方から、技を放ち終えた男を見据えてAshenが問う。
「へーー。あんた、頭いいね! そうそう、それ。『俺たちの桃源郷へようこそ』だね。最終的に人間たちは喰われるけど、一度に全てじゃないし。それまでは良い夢みれるし。なんなら喰われる恐怖も痛みもないし」
 みんな幸せじゃない?
 Ashenは眉間の皺を深くする。
 ――風に散る白。失意の軛。八度焼けども尚残るモノ。
 詠唱と同時に灰が散る。
 それはスティーヴの背後で、アンタレスをとりまく魍魎の周囲で。
 最大多数を範囲に含めた『失意の軛』。幻想の模倣、価値の喪失、獲物を捉える力の減退。
 即座に、スティーヴの瞳が鮮紅へ変化する。
(――これは)
 なんの意味を持つ、変化か。




 アンタレスやイリヤを含め、全体的に出口へ向かい徐々に後退している。
「大体タネは割れてきたネ。あの無尽蔵な回復力のカラクリ。コイツらは『夢喰い』、 眠り続ける人の夢と血肉を力に変えてるんだ」
 槍に持ち替えた魍魎に囲まれた状態で、イリヤが考えをまとめる。
(このインソムニアを潰すには、囚われてる人々を救出するしかない……)
 攻略の前に、大規模な救出作戦が要るんだと思う。
 できる・できないではない、『やるしかない』。
 そのためにも、今は自分たちが帰還することが大事であって。
 アンタレスと二手に分かれて魍魎を引き付けてるため、本体はスティーヴを相手取ることに集中できているようだ。

「夢は覚めなければ現実と同じ? 果たしてそうかな?」
 フィールディングで防御力を上昇させた千昂は、スティーヴの攻撃が後衛へ届かないよう盾役を担う。
 飛鳥が回復役へ徹しながら、細やかな情報を流してくれるお陰で専念しやすい。
「『与えられた夢』は自分じゃなくて、与えている側の都合のままでしょ。勝手に変えられるのも、最悪の形で終わるのも。この夢は麻薬に溺れるのと同じ。違う?」
 ここの夢は、麻薬に溺れるのと同じ。溺れさせて肥える売人に、満足する線なんて無い。
「武陵桃源、或いは阿片窟と言った所か」
 Ashenが千昂の言葉を継ぐ。
(……知っている。それが1つの幸福であることも、救いとなることも)
 そして、Ashenはもう1つの事実を知っている。
 夢は覚める。夢の終わりは必ず来る。
「……歯がゆいな」
 後衛から援護らしい援護を繰り出せず、鳥太郎は歯噛みする。
 長距離攻撃へのカウンター攻撃を放つスティーヴへ、後方からうかつに手を出すことはできない。
 ならばといっても、アンタレスもイリヤも遠すぎる。
 その分、退路の確保――行く手に障害となるものはないか、魍魎の回り込みはないかなどへ意識を回していた。
 視覚と嗅覚は影響を受けやすいが、聴覚は信用できそうだ。もっとも、この戦闘音の中でどれだけ異変を聞き取れるか、だが。

(命中精度はやや下降、攻撃力は上昇……かな)
 以前、自身が受けた一撃を思い出しながら飛鳥は思考する。
 あの時、掛けたBSは注視だった。今回は、命中低下。
 今回の初撃と、瞳が赤化してからの攻撃の風圧。
 それらから『瞳の赤化』による影響を考える。
 命中率低下は、Ashenが付与した技によるもの。
 ならば――
『変調、BS、そういった効果を受けることにより瞳の色が変化、攻撃力と命中率が上昇すると思われます』
 冷静に。冷静に。戦況を見極めながら情報を流す。
「うわ」
 聞いた千昂が、露骨に嫌そうな顔をした。BSの類が、やたらと効きやすいと思ったら。
「逆手に取ればいいだけだ」
 Ashenは動じることなく、冒し蝕む金をスティーヴに仕掛ける。
 敵の行動に悪影響を与える術は多岐にわたる。
 そして、もう間もなく先発部隊も無事に脱出するはず――……




 あの格闘バカに死角はないというけれど、格闘攻撃であれば人体の可動域にしか攻撃範囲は来ない――と、アンタレスは思いたい。
 が。
 注意したいのは、ナイトメアたちは『擬態』しているのであって『人間の肉体になっている』わけでは、ない。
 魍魎は骨折相当のダメージを与えようが両腕で槍を振るうし、このエルゴマンサーだって首を180度回転するかもしれない。
 同士討ち狙いもそうだ。『人間であれば、こうなる』を、ナイトメアは越えてくる。そういった理屈の外にある。
「ずいぶん、そちらでお楽しみみたいね」
 魍魎の相手は掠り傷程度で済ませ。
 タン、と地表を軽やかに蹴り包囲を抜けて、アンタレスはスティーヴの背後へ向かう。
 受け流されるのは予測済み。『受けやすいよう』重心のやや下を狙う、案の定軽くあしらわれ――『毒針』の一撃を仕込む!
「そろそろ時間ですカ」
 イリヤも撤退に掛かる。
 本隊からできる限り離れていた理由。魍魎に囲まれても平気でいた理由。
 文字通り逆転の一手を供えていたから。
 ライフルへ持ち替え、最大射程の狙撃を――放つ弾丸に、イメージの鎖が連なる。
 チェーンスライド。
 着弾点へと引っ張られるようにイリヤが移動……する、はずだった。刹那の間に、カウンターでスティーヴも駆けてくる。
 中間地点で衝突し、強烈な膝蹴りがイリヤの腹部に入った。
「面白い技だね、今の。飛んで火に入ってきた?」
 累積していたダメージもあり、大いなる祝福をもってしても守り切れない。
 その場でイリヤは崩れ落ちる。おびただしい血が周囲に広がる。

「!!!」

 眼前の惨状に、鳥太郎は言葉を失くす。
 察したAshenは彼を制し、その腕でカーズミストを放った。かかりやすいよう下準備をした、行動不能の霧。
「今だ、走れ!」
 男が、珍しく声を荒げる。
 返事をすることなく、女は音も風もなくスティーヴの隣へ瞬時に移動を。
 撤退に備えて軽功でフットワークを軽くしていたアグラーヤは、スティーヴとイリヤの間へ入り込み青年を担ぎ上げた。
「……これが運べればよいのですが」
「だいじょうぶ。……そっちの相手を頼んでいいかな」
 アグラーヤはマクガフィンへ囁く。それが仕事だと、マクガフィンは頷く。すなわち、スティーヴの抑え。
「このままっ、逃げられるわけがないだろう!!!」
 鳥太郎は叫び、魍魎たちの雷撃を避けようともせず、エルゴマンサーへ駆け寄る。
「全員で生還する! 誰も見捨てない!!」
 追加詠唱を乗せたゼロブラストで、スティーヴを吹き飛ばす!!
 次いで、下がりながら追走曲『鳴神』による牽制を。
 そこから、一行は全速力で全力移動を開始した。




 倒せなくとも、一瞬の時間稼ぎができる。
 その一瞬があれば、仲間たちは撤退できる。
 銃による援護射撃で、鳥太郎は殿を担うメンバーをアシストした。
「ごめんな……っ、助けてやりたいけど……」
 何もない黄金色の地表。霧で霞む景色の中、いくつもの幸せそうな人々の姿を見てきた。
 今、自分たちは彼らを救うことはできない。
 鳥太郎は歯を食いしばり、仲間の到着を待つ。
「ありがとう、鳥太郎。……行こう」
 イリヤを背負ったアグラーヤが到着する。鳥太郎の表情を一目見て、優しい彼の内心を察した。
 気持ちはわかる。けれど今は、一刻を争う。

「じゃあね」

 追いすがるエルゴマンサーへひらりと手を挙げ、最後の一人――アグラーヤが黄金の霧から抜け出した。

「楽しかったよ。またね」

 瞳が平時の緑に戻ったスティーヴは、今はもういないライセンサーたちに向けて手を振り返した。



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