オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【金乱】金色濁乱停滞楽土

連動 【金乱】金色濁乱停滞楽土 ガンマ

形態
ショート
難易度
危険
価格
1500(EX)
ジャンル
金乱 冒険 特務 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
250000G
250SP
2500EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/04/22 20:00
完成予定
2020/05/12 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●ようこそ
 黄金の霧の地――南陽インソムニア『酒池肉林』。
 その本格的な現地調査に向けて、君達は先行調査隊として選抜されたライセンサーである。

 君達の任務は、一つでも多くの情報を持って、生きて帰ること。
 大人数では向こうに動きを察知され易い。そもそもが濃霧のせいで集団行動が難しいと予想される。ゆえに少数精鋭での作戦となる。
 また、発見したナイトメアと片っ端から戦闘していては即座に消耗してしまうこと、侵入を向こうに気付かれる危険性がある。なので君達は「戦闘は必要最低限」「戦闘回避推奨」と指示されていた。

 かくして、君達は黄金の霧の地へと踏み込んだ――。


●酒池肉林
 黄金の霧の閉ざされたそこは、一面に浅く薄く水が張っており、疎らに木々が生えている。遠くには水墨画に見られるような山々が薄らとだけ見えた。視界はあまりよくない。
 空気には甘い香りが広がっている――それは足元の水から立ち昇っていることに気付けるだろう。
 水も、木々も、大地も、空気も、メッキでも施されたかのように豪華絢爛な黄金色。
 全てが金色に彩られたそこは、まさに伝承に伝わる『桃源郷』や『極楽浄土』のようであった。

 幻想的な光景ではある。
 だが。
 その霧は、君達の精神を侵蝕する。どことなくリラックスした心地に想像の盾が満たされる一方、極端に抵抗力が落ちていたのだ。

 そんな中、君達は目撃する。
 数人規模の人間らが、その身を寄り添い合わせ――まるで冬眠する虫のように――眠っている。
 それはあちらこちら、ぽつぽつと散見することができた。一見して外傷はなく健康状態は良く見える。だがそれよりも君達が気になったことは、誰も彼も、幸福で安らかで満たされた顔であることだ。

 ――まるで幸せな夢を見ているかのよう。

 君達の中には彼らを起こそうとした者もいるだろう。だが彼らは目を覚ますことはなかった。このインソムニア外に出せばあるいは、目覚めるやもしれぬ。
 君達はSALFだ。目の前に不眠城に囚われている者がいれば、救出すべきと考えることは至極当然だ。

 だが。

 足音が響く。君達は振り返る。それは山が動いた、のかと思った。違った。
 あまりにも巨大なナイトメアが、長い触腕を蠢かせる途方もない異形が、霧の彼方より君達の方へと明確な敵意を持って近付いていたのだ。
 一歩が大きく速い――アサルトコアを前提とするような巨大個体だ――良く見渡せば、そんな個体がそこかしこにいる――結果的にその場の救助は果たすことはできなかった。これが本格的な戦闘任務ならまだしも、今は戦闘によってむやみに蜂の巣をつつく訳にはいかない。ましてや救助と並行するならばことさらだ。……悔しいのはきっと、誰も同じだろう。

 君達は霧の中を進む。同じような光景ばかり。ナイトメアの気配を避け、警戒し――
 ふと。
 前方に、四肢を折りたたんだ白亜の異形が鎮座している姿が見えた。
 その上には『人間の姿をした存在』が座っている。大柄な男で、豪華絢爛な黄金の装飾を全身に纏っていた。
 長煙管を咥えたそれは、片方だけ目を開ける――君達と目が合った。

「はぁ……遠路はるばるご苦労さん。……エンピレオを殺したんだって? やるねぇ……」

 溜息のような言葉と共に、口から零れるのは――あの黄金の霧。
 明らかにヒトではない。ヴァルキュリアでも放浪者でもない。ではコイツは何か?

「質問が面倒なんで先に言うけど……ここの管理人、エルゴマンサーのバルペオルだ」

 至極面倒そうに、この地の『元凶』はそう言った。
 ひとまず戦意は全くなさそう、ではある。白い玉座の上で半ば微睡んでいる。
 奴がどう出るか。君達に緊張感が走ったことだろう。
 君達が注視する中――ソイツは両目を閉じ、うつらうつらと眠り始めていた。まるで人間の相手が面倒臭いと言わんばかりに。

 話しかければ目を開けるだろう。言葉を交わせば情報が手に入るかもしれない。
 眠りこけているのならば、これ幸いと奇襲をしかける手段もある、が――たった10人で、情報皆無のインソムニア司令官級エルゴマンサーと戦うことは、危険を通り越して無謀であると理解すべきだ。一方で、交戦すればそれだけデータを得られるメリットはある。

 さて――どうする?
 

●目標
情報を持ち帰る。持ち帰る情報が多いほど成功度アップ。
生還する。


●登場
エルゴマンサー『バルペオル』
 能力未知数。
PL情報/
【無明已無】パッシブ。視界内の『敵』と認識した存在の生命を、毎ターン終了時に「最大HP分の10%」失わせる。
【有漏晩餐】パッシブ。全ての攻撃に『継続ダメージ(大)』が付随。
etc…

「あの人間? 人間の方から寄ってくるだけ。俺のこと好きな連中が勝手に集めてきたのもいるけど。ちょっとハッピーな夢を見ながら寝てるだけ」
「この霧? 俺の権能」
「人間を連れ出す? 却下。これが俺の仕事だし」
「死んだ殺した言うなら、そっちもナイトメア殺してるじゃん」
「俺個人は、人間と上手く共生できればなぁと思ってるよ」
「このインソムニアはほっといてくれない? 俺は侵略とかしないし。ザルバに『荒事以外でどうにかならない?』って言ってやるから。そしたら今後とも何もしないよ、俺はね」
「戦いたい? 好きにしたら」
「帰りたいならとっとと帰ってくれ」
「質問はダブらないように打ち合わせろよ」
/PL情報


●状況
インソムニア『酒池肉林』内部。

▼黄金の霧
甘い香りがする。嗅覚による判定に多少のペナルティ。
また、霧による視界ペナルティ。
0~5sq:ペナルティなし
6sq~10sq:命中30%ダウン
11sq以上:見えない。

霧の中にいると、PC達に以下のステータス変化が常に適用される。『変調』ではない。
【快楽堕落】抵抗-50%、毎ターン終了時に生命を5%回復。

PL情報/
霧の中にいると、ナイトメア・エルゴマンサーは以下のステータス変化が常に適用される。『変調』ではない。
【無辺天眼】???
【金色楽土】???
/PL情報

 こんにちはガンマです。
 今回のボスです。
 名前ややこしいですが、BAるPEおるです。
 よろしくお願い申し上げます。

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

■心情
楽園のように語られるがその楽園により傷ついた少女を見た
ここが楽園とは思えない
ここの支配者含め酒池肉林がどんなものか知りたい
■行動
>質問
対話中のバルペの様子を見て応答するやる気を観察
強い興味を示す話題があるか見る
「…ここ、作った人…?…なら、なんでここ作ったか、わかる?人を…閉じ込めるだけ、なら…気分良くして転がす以外で、いいはず
「エンピレオ…エヌイーの名前、出した。知り合い…?
「そういえば、エヌイーを狂信する…天の灯火、だっけ。他にも、黄金の霧の地…恐らく、ここの名前出したレヴェル…いた。どんな、関係?
>戦闘
全員の質問が終わってから武器と発言で戦意を示し仕掛ける
「共生は、無理。ここ、壊したい。ごめんね
セレブロ装備→2番
知覚攻撃の耐性と遠距離攻撃への対応及び反撃確認
味方がバルぺから攻撃受ける→継続ダメの存在を確認次第Hライト、天佑
他が使うならそちらを優先
1,2T経過で即撤退
戦闘不能者は抱え撤退の支援を受け全力移動で脱出目指す
防犯ブザーを茂みに投げ取り巻きの視界、思考能力確認
脱出中に敵に近づかれたら13番で吹き飛ばし
銃弾数0→本装備

本来なら即撤退くらいの条件が揃っちゃってはいるんだけど――――
金ピカのファッション、長煙管、やる気なさげな態度……etc
私の勘が告げているわ……バルペオル、こいつはお宝を持ってるタイプのエルゴマンサー!
多少の危険は覚悟で話を聞いておく必要があるわね。

対話を試みる前に、インカムが正常に機能するかはチェック。
道中は稼働したかも知れないが、霧の影響が男の能力によるものならば、
酒池肉林の内部に至ったことで、通信系に異常が見られる可能性もあるしね。
その上で対話に応じてもらえるのであれば、以下二点について問いを投げる。

「ここにあるもので、貴方が最も価値があると考えるものは何?
 貴方自身や、平穏や静寂といった概念的なものじゃなくて、物品限定として」
「面倒事を代わりに引き受けてくれる部下はいないの?」

他の人の対話内容からも、男の気質や司令官としての在り方を分析。
どのようなタイプの敵なのかを抑えておくことは、決定的な場面で絶対に役に立つ。

皆が話し終わった段階で帰り支度を始めたいところ。
バルペオルに仕掛ける面々とは距離を取り、とんずら準備。
敵は明らかに搦め手でくるタイプだし、霧の中に長時間居続けることも避けたい。
植物と土をサンプルとして収集しつつ、撤退を。

追撃が無ければそれで良し。
万が一追われる状況となった際は、全員がついて来れているかをインカムで把握。

  • ブラッディロザリア
    野武士la0115
    人間23才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

[心情]
イケメンかしら?イケメンの調査ね!
話を聞いてる内に興味が失せると、一気に冷める。
(…でも、人が寄ってくる能力…あれ欲しいわね…)
と違う事考えつつ、周りに居る人の救助は「そのうち」と考える。
情報を持ち帰る。イケメンの情報は重要。手記も抜かりない。
[行動]
侵入時に逃走経路も確認。通信手段がどの程度生きているか留意。
質問は軽く。『人間と共生するってコトは、結婚とかも興味あるのかしら?』
ある、ないでテンションが大分変るけど、その後の流れで冷める。
撤退時は「全力移動」で撤収!
[戦闘]
『どうせだから、挨拶代わりにアタシの女子力を受けてみるのはどうかしら?』
自信があるならガード無しでいいわよね?と、戦う前にシールド残量には留意。
『いっくわよー!!女子力クロス!!』デモニッシュクロスを打ち込む。
極端に減っている等の自身の変化に留意
『ぇっ!?アタシのシールド…減りすぎ…!?』
と言いつつ『物足りないなら、もう2、3発お見舞いしてあげるわよっ!』
内心(…これは…不味いわね?)と冷静な気もしなくもない。
[戦後]
『さぁて、全力で逃げるわよっ!!』と元気だったらこんな感じ。

無事に帰るまでが偵察、行きで退路確保
霧中環境利用しレーザポインタ持込
経路と平行に点灯残置、軌跡で方向指示
周辺地形を見える範囲で、大雑把に手帳へスケッチ
敵・要救助者の位置・数・特徴等記入

接敵後、意図方針等一通り対話情報収集(PC情報化)
その上で
勝手に寄ってくると言うが逃がす気はない
侵略しないと言うが既に此処を占拠している
という点で矛盾指摘、十年前と随分違うネ?

人を集めて何する心算か
単に仕事でやってるだけか(本人利益の有無)
エンピレオを知っていて何故何もしなかったか
他インソムニアが全滅したらどうするか
回答次第では、配下含め本当に「何も」しないなら放置検討可
=殺すのは最後にしてやる

お喋りして帰るだけなら外交官で十分
仕事道具担いできた以上、兵士として得られる情報は全て得る
悪いケド、これが僕らの仕事だからネ

交戦班と退路確保班に分かれ威力偵察
目的は戦闘力調査、各種スキル確認出来れば十分
視界範囲、「敵」の概念範囲、【無明已無】と【快楽堕落】の効果重複の有無等
攻撃は通常射撃でソコソコに、反撃射程の確認
Hライト・雨雫で生存最優先、2T程度経過で全力移動退却開始
帰路の周辺敵行動変化にも留意記録

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

▼質問
質問は真っ直ぐ元気よく、ピンと手を挙げて!
「はい、はい、はい!お休み中申し訳ありません、質問しても良いですか!
「あの人達は、貴方が命令して集めさせたのですか?
「寝ているだけ…。でも、人は睡眠だけでは生きられません。あのまま寝てるだけでは死んでしまうのではないですか?
「このインソムニアから出せば目覚めると思考しますが、その、連れて帰っても良いです?
「この霧や甘い香りは、全部バルペオルさんの力ですか?
「…もしかして、Weがこのインソムニアに入った時から、気づいて見てらっしゃいましたか?
「金キラ、とても好きなのです?
「…成程。酒を以て池となし、肉を懸けて林となす
足元の水は酒、そこかしこにいる人間は肉、なのですね
「貴方が荒事よりも現状維持を好むのは、面倒くさがり故ですか?
「でもお仕事はしっかりしてるのです、お仕事好きなのです?
▼戦闘
目標:敵パッシブの把握
自身目標:攻撃を受けることでダメージ/物魔/異常系効果の確認
全員質問終了後、自身の戦闘意思を宣言
プロテクトは宣言と同時に自身へ使用
戦闘開始から2T経過or行動不能者2人以上→全力移動で撤退開始、行動不能者は担いで行動
幻想之壁:1T目→常陸・野武・イリヤを対象に使用、2T目も同様に。1t目で撤退する場合は人を抱えて撤退可能な生命余剰ある人を対象に使用
フィール:幻想後自身に
幻想中、フィール回復量をダメージが越える場合は生命の高い人から順に対象から外す
道中は退路確保陣を頼りに進み、自身は後方からの行動不能者への追撃の阻害、及び後方のナイトメア動向の確認を行う

……甘ったるい。

目標
情報収集
ライセンサーの生還


探索・追跡2応用し道中及び撤退時の道筋・方角の把握
撤退は道中残した痕跡活用しつつ全移で
ナイトメア避け移動したことから帰路も同様の展開は起こり得ると

方針に沿い非戦闘組
口を開く気はあまりなく原則後方で黙している
影は薄い方がよいので。ですが
……。道中、人の姿を見ました
このナイトメアの言う共生とは、アレのことでしょうか
返答も、概ね想定出来そうですが
交戦時は移動+狙撃銃の射程分最大とし距離置く
能力が広範囲に及ぶ可能性と
戦闘音やエルゴの指示等によりナイトメアが集ることは警戒
周囲の気配探ることと後方からの戦況把握主に
戦闘組が戦闘不能に陥る・陥りそうな場合、又撤退が困難な場合に限り金糸雀で介入
ライセンサー・バルペオル間を撃ち移動。中てない
自ら尾を踏んでおきながら、誠に申し訳ありませんが。と、一礼
彼らは生かして返さねばなりませんで。回収します
他敵とも交戦避けるが最悪全移での囮誘導も視野に

  • 雛鳥の紅緒
    ツギハギla0529
    ヴァルキュリア18才|セイント×ゼルクナイト

〇道中
通信機が使用可能かと抵抗半減が切り上げかを確認
木の枝を折り回収
ウォッカの中身を捨て水と霧を回収

〇会話
桜壱と手分けしPL情報の会話を引き出す質問する
自分は上三つ以外担当

「多くの犠牲を出して何が目的なの、化物!
「口ではどうでもいえるわ、化物!共生の為に何をする気なのかしら?
ザルバへの提案を聞いたら混乱
「ごめん、少し考えさせて

思考後
「私達はただの偵察隊だから不可侵条約を結ぶとかは無理よ。でも貴方の言葉を上に伝える事はできる。だから確認するけど私達と取引をする気はある?例えば私達はここを放っておくから代わりに貴方は俺のこと好きな連中に人間を集めさせるのを止めさせるとか。取引可能なら貴方は交渉相手になると報告するわ
「それと共生を望むなら私達を無事に帰して
「あと貴方の戦闘力を確認したいのだけどいいかしら?貴方にとっても示威行動になるから悪くないと思うのだけど?

戦闘前に守味光

〇戦闘
初手に誘敵灯を使用し効くか確認
敵の攻撃を受けて威力確認
確認後全力移動で撤退

〇帰還後交渉可能時
「私的には化物は全部壊したいけど一度交渉してみるべきだと思うわ。まぁ、壊すのを最後に回すぐらいはいいんじゃない?

〇目的
情報取得
全員帰還

〇準備
油性ペン
ロープ
レーザーポインタ
ホイッスル

〇行動
迷子にならぬ様全員で行動
スマホがカメラ&ボイスレコーダーが通常通り作動するかすぐ確認

☆目印
入口→バルペオルの所迄ロープ&レーザーポインタ木に結ぶ
眠っている人達の服にペンで来た方向を矢印+歩数とグループ数記入
→人数情報取得の為
戦闘回避優先、敵が妨害しそうならしない
内部撮影

質疑応答中スマホボイスレコーダーポケット中で起動
会話の記録と此方が洗脳等受けても正しい情報を得られるよう念の為
周囲警戒しつつ来た方向に爪先向け此処迄の歩数を記憶

戦闘非参加、開始時戦闘視認できる範囲で後退
撤退時敵が追撃を仕掛けるようなら盾構え間に入り戦闘不能者の回収と撤退サポート
そのまま後方から撤退支援、戦闘不能者が多い場合自身も一人担ぎポケットにスマホ託す
「やりたい放題でごめんなさい。お暇させていただくわね

目印辿り全力移動で撤退
ペンでの目印を辿る場合→他目印付けた人と情報照合し撤退路確保
基本盾で味方守り、弓と剣で支援攻撃
囲まれたらEt facta est lux使用
ホイッスル音で囮可能→時間稼ぎで囮に

生命力半分低下でヒール使用
全員帰還自身も仲間も欠けさせない

【心情】
眠っている犬は寝かせておけと言いますが…それがケルベロスだとなおのことですねぇ…
【目的】
情報を持って無事に生還する
【準備】
長い丈夫なロープの束とケミカルライトの束を持ち込む
【行動】
友軍と常に行動を共にする
潜入開始時、入口付近にロープを結んで道中の木々にガイドのように結び伸ばしながら進む
その際、別にケミカルライト(持ち込めなかった場合はペンライト)もその木々に結んでおく

ベルペルオ遭遇時、距離を取りつつ両手を挙げて敵意が無いことをアピール
毒気を抜くように「あっ!一つだけ……写真を撮っても良いですか?」と聞く
許可が出ればベルペルオをスマホのカメラで撮影、出なければ何もしない
また、「早く帰りたいので、安全で早く帰れる出口なんてあります?」とも聞きインソムニアの構造把握を狙う

戦闘が開始された際、視界のギリギリまで下がり観察と周囲の警戒を行う
ナイトメアが視界内に接近した場合友軍に警告
許可が下りていればその様子を写真と動画で残す

撤退時、もし戦闘不能者がいる場合は肩に担ぎ上げ目印を頼りに撤退
目印が使えない場合は他の方の誘導に従う

  • 小さきアトラス
    佐和 千昂la3236
    放浪者12才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

本人が幸せならそれでいいじゃない…とは言えないんだよね
ナイトメアが『これだけ』で満足するんだろうか?
いずれは絶望していない人も意図的に絶望に追い込んで集めることになる可能性は高いね
だって天の灯火という『人間』が絡んでるもの
自分を『特別』とか『被害者だから』という口実を持った人間程面倒なものはない
正直、ナイトメアを自分の都合の良いように解釈してそれを他人に押しつけてる
(ロシアでのことを思い起こしつつ)

必要な情報はエルゴマンサーの事だけとは限らない
この『酒池肉林』自体の情報も出来るだけ取りたいところ
歩いている間一般人やナイトメアを目印代わりに歩いた歩数や方向を記憶しつつ状態を観察
一般人とナイトメアそれぞれの配置がどうなっているか
ナイトメアは一般人の様子を監視して居るだけで自分が積極的に動かそうとはしないみたいだし
本物かどうかもわからない木々より確実な目印になるかな

エルゴマンサーに質問
・人間が勝手にやってる事ならその人間がどうなっても知ったことでは無い?
・言ってみてザルバに拒否されたらどうする?
・この程度の収穫で満足か?

戦闘には非参加
戦意がなさそうでも状況が変わればどうなるか解らないし周囲もどう動くか
防御を強化しつつ目印が使えないなら暗記した状況を逆に辿って撤退
戦闘不能者が出たら抱えて行くが全滅の危険があるなら自身の撤退又は撤退できる人を支援

●怠惰の悪魔 01

 黄金の光景。
 噎せる甘香。
 微睡む怪物。

 ――ライセンサー達は互いの顔を見合った。

「本来なら即撤退くらいの条件が揃っちゃってはいるんだけど――」
 アンヌ・鐚・ルビス(la0030)は『酒池肉林』管理者、バルペオルを一瞥する。まとう黄金、長煙管、怠惰な態度、etc……。
「私の勘が告げているわ……バルペオル、こいつはお宝を持ってるタイプのエルゴマンサー!」
 なので多少の危険は覚悟で、意思疎通を試みるべきだと提案した。それからそっとインカムを確認する。特に機器に異常は見られない。それはアルバ・フィオーレ(la0549)が用意したスマートホンやボイスレコーダーも同様だった。この霧に機械類を不調にさせる効果はないらしい。
「眠っている犬は寝かせておけと言いますが……それがケルベロスだとなおのことですねぇ……」
 レイヴ リンクス(la2313)は白亜の異形に座した『とびっきりの化け物』を見上げる。いつもと変わらぬ表情だが、そこに隠した心は任務開始時から『苦虫を100匹ぐらい噛み潰した感じ』である。
 西の兵士はそう思い、奇しくも東の兵士も同じような気持ちだった。イリヤ・R・ルネフ(la0162)は眉根を寄せて小さく溜息を吐く。
「偵察兵は基本ビビり。でないと生き残れない……それでいきなりコンニチハは結構クるネ。ホントはも少しこそっとやりたかったケド」
 オーダーキツいのはいつものことだっけ。レイヴの言葉に同意を示すように、肩を竦める。
 一方で野武士(la0115)のテンションは高い。
「イケメンかしら? イケメンの調査ね!」
 嬉々とバルペオルを見上げ、目を凝らし、その顔を見る……。バルペオルは浅黒い肌で、頬に翼のようなフェイスペイントがあり、スキンヘッドで、その頭部には黄金絢爛の装飾がふんだんに飾られている。顔はまるで麻薬中毒者のような影がある。全体的にごつくて無骨で――人間の美的感覚からすると、スマートで涼やかなエヌイーの方が『イケメン』系ではあった。バルペオルはいわゆる『ハシモフ系』の男である。
「うーん……?」
 ジャッジに少し考える士。「いやでも中身がイケメンかもしれないし」などブツブツ言っている。

 さてバルペオルであるが、そんな人間らの声など意に介さず、うつらうつらと微睡んでいる。
 どうするか――では、とレイヴがバルペオルに呼びかけた。

「あの~! 一つだけ……写真を撮っても良いですか?」
 毒気を抜くように飄々と、両手を挙げて敵意がないことを示しつつ。そうすれば、バルペオルが片眼だけゆるりと開けた。
「好きにしたら」
「ではご好意に甘えまして」
 レイヴはスマートホンを取り出した。カメラアプリを起動し、内心ヤケクソ気味に――「Say whiskey!」放った言葉にナイトメアは無反応だった。ぱちり、と電子のシャッター音。
「ついでに質問なんですけど」
「どうぞ」
「早く帰りたいので、安全で早く帰れる出口なんてあります?」
 念のためにもう数枚撮っておきつつ、レイヴはバルペオルに尋ねた。
「真っ直ぐ行けばいい。見ての通り、複雑な作りじゃねぇからよ」
 存外にアッサリ話すものだ。同時に、この『酒池肉林』が戦略的なものを意図して作られたものではないことをレイヴは察し取る。ネザーの時のようにラボや工場の側面もないらしい。
 自然と質問をする流れを作ることができた。ならば、と手を挙げたのは桜壱(la0205)だった。
「はい、はい、はい! お休み中、申し訳ありません、質問しても良いですか!」
 質問は真っ直ぐ元気よく、ピンと手を挙げて。怪物が目を桜壱の方に向ける。
「……手短にね」
「ありがとうございます! ええと……あの人達は、貴方が命令して集めさせたのですか?」
「あの人達……? ああ肉林ね。勝手に寄ってきたのと……俺のこと好きな連中が勝手に集めてきたのと。別に、ちょっとハッピーな夢を見ながら寝てるだけだよ」
「寝ているだけ……。でも、人は睡眠だけでは生きられません。あのまま寝てるだけでは死んでしまうのではないですか?」
「エサならやってるさ。お前だって、花を摘んだら水に挿すだろ」
「でも……水に挿してるだけでは、お花は」
「……鉄臭い……お前、機械人形か。お前にだって寿命があるだろ。花も肉も鉄も同じだ」
「あう……」
 どこまでも淡々と続けられる言葉にたじろぎつつも、桜壱はがんばって言葉を続けた。
「人々はこのインソムニアから出せば目覚めると思考しますが、その、連れて帰っても良いです?」
「却下。これが俺の仕事だし。お前らがナイトメアを殺すのが仕事なのと、一緒」
「……この霧や甘い香りは、全部バルペオルさんの力ですか?」
「そ」
 ふーー。バルペオルが咥えた煙管から煙を吐く。金色の、甘い霧を。桜壱は黄金に消えていくそれを目で追いつつ、ふと気づいた疑問を投げかける。
「……もしかして、Weがこのインソムニアに入った時から、気づいて見てらっしゃいましたか?」
「管理者なんだから、侵入者に気付くのは当然の義務だろ」
「どうやって――」
「科学的には知らん。俺は科学には疎いんだ」
「では……金キラ、とても好きなのです?」
「綺麗なもんは好きだよ。『欲望』を引き寄せるからね」
「……なるほど。酒を以て池となし、肉を懸けて林となす。足元の水は酒、そこかしこにいる人間は肉、なのですね」
 桜壱の言葉に、バルペオルは虚ろに口角をもたげた。目には何の感情もないが。虚ろでガランドウ――エヌイーのような『異常な好奇心』『ピンで刺した虫を観察するよう』とはまた異なる。その気質を想像しつつ、桜壱は続けた。
「貴方が荒事よりも現状維持を好むのは、面倒くさがりゆえですか?」
「変わらない日々ってのは、退屈かもしれんが、結局は一番居心地がいいんだよ」
「でもお仕事はしっかりしてるのです、お仕事好きなのです?」
「分かってねぇな……」
 バルペオルは溜息を吐いた。
「現状維持の為に最低限の仕事をする。そうすれば仕事は最低限で済む。面倒だからって何もしないと、それこそ面倒ごとが起きるだろう?」
 その言葉に――ずいと前に出たのはツギハギ(la0529)だった。人造の顔で怒りを表し、電子の声を人のように荒げる。
「最低限だろうとなんだろうと、実際に被害が発生している。――多くの犠牲を出して何が目的なの、化物!」
「食事」
 非常に簡潔だった。ナイトメアにとって、これらは食事の一環。それ以上もそれ以下もない、と。
「それに……犠牲って言うなら、そっちもナイトメア殺してるじゃん。俺個人としてはあんまり、派手な戦争とか侵略とか興味ないわけ。お互い争いもなく共生できれば万々歳じゃない?」
「口ではどうでもいえるわ、化物! 共生の為に何をする気なのかしら?」
「要らない人間を貰ってやるよ。ろくでもねえ犯罪者、安らかに命を終わらせたい連中、社会的な金食い虫。そういうのを永続的にちょいとくれるなら、まあ、ザルバに話つけてやらんこともないよ」
「なッ――」
「俺は知ってるぜぇ……愛と勇気と希望だけじゃ解決できねえことがあるって。国レベルの金が絡んだどうしようもねえことがあるって。お前らSALFじゃ、助けきれないモノがあるってよう……時には心を鉄にした方がうまくいくこと、あるんじゃねぇの」
「……ごめん、少し考えさせて」
 ツギハギは目を閉じる。幾許か、電子の脳を猛烈に働かせ――目を開ける。
「私達はただの偵察隊だから、不可侵条約を結ぶとかは無理よ。でも貴方の言葉を上に伝えることはできる。だから確認するけど、私達と取引をする気はある?」
「暴力は好みじゃなくてね」
「OK。じゃあ……例えば私達はここを放っておくから、代わりに貴方は『俺のこと好きな連中』に人間を集めさせるのを止めさせるとか。取引可能なら貴方は交渉相手になると報告するわ」
「確約できるなら善処するよ」
 相変わらず、なんの感情も滲ませない声だ。だが質問をすれば無視せず応対はする。本人が言うように「面倒事を避けるために最低限のことをする主義」なのだろう。
 ならば、と今度は常陸 祭莉(la0023)が口を開いた。この『楽園』のせいで傷ついた少女のことを思い出し――「ここが楽園とは思えない」と考えながら。
「……ここ、作った人……? なら、なんでここ作ったか、わかる? 人を……閉じ込めるだけ、なら……気分良くして転がす以外で、いいはず」
「言ったろ、奇麗なものが好きなんだよ」
「エンピレオ……エヌイーの名前、出した。知り合い……?」
「まあね。前しか見てない変な奴だった。死んだけどな」
 その物言いに悲嘆などは皆無である。祭莉は言葉を続けた。
「そういえば、エヌイーを狂信する……『天の灯火』、だっけ。他にも、黄金の霧の地……恐らく、ここの名前出したレヴェル……いた。どんな、関係?」
「俺のことが大好きみたいでね……お前にもいるんじゃないの、ファンの一人や二人」
「……いないと思う……」
「そう。気楽でいいな」
 どうやらバルペオルはレヴェル達に指示を出してはいないらしい。
 とはいえ、だ――佐和 千昂(la3236)は内心で眉を顰める。
(本人が幸せならそれでいいじゃない……とは言えないんだよね)
 ナイトメアが『これだけ』で満足するんだろうか。いずれは絶望していない人も意図的に絶望に追い込んで集めることになる可能性は?
(……だって、天の灯火という『人間』が絡んでるもの)
 バルペオル自身に仮にその気がないとしても、なのだ。千昴は知っている。自分を『特別』とか『被害者だから』という口実を持った人間ほど、面倒なものはないことを。それに千昴からすればあのレヴェル共は、【堕天】事件でもそうだったが、ナイトメアを自分の都合の良いように解釈してそれを他人に押しつけてるようにしか見えない。
 ゆえに、千昴はバルペオルを見上げた。
「人間が勝手にやってることなら、その人間がどうなっても知ったことではない?」
「俺は母親じゃねぇ。人間個々人の人生に口出しするのもなぁ……」
「ザルバに話を……って言ってたけど、ザルバに拒否されたらどうする?」
「たらればで話されてもな。承諾するかもしれないだろ?」
「……この程度の収穫で満足?」
「俺は満足してるよ。……お前らがゴッソリ持って行ったりしなければね」
 無表情で牽制している。手を出せば相応に対処する、と。
 イリヤは溜息を吐いた。
「勝手に寄ってくると言うが逃がす気はない……侵略しないと言うが既に此処を占拠している……矛盾してると思うんだケド、十年前と随分違うネ?」
「……お前軍人だな。振る舞いとにおいで分かるよ。兵隊なら……上からの命令に逆らうと面倒なのは分かるな?」
 イリヤは特に答えず、曖昧に肩を竦めた。そのまま質問を続ける。
「人を集めて何する心算? 単に仕事でやってるだけ?」
「仕事。ホントだったら俺だって安全な場所でエサだけ食って寝ててぇよ」
「エンピレオを知っていて、ナゼ何もしなかった?」
「助けてって言ってこなかったから。手伝えって言われたら手伝ったよ。でもアイツ、自己完結スライムだから。昔からね、誰も頼らない。自分で何でもやった方が効率的って思ってる。ほんと上から目線の傲慢粘菌だよな」
 バルペオルは鼻で笑った。何の感慨もなく。隣人を慈しむ、という感情はないらしい。
 イリヤは最後の質問をなげかける。
「他インソムニアが全滅したらどうするおつもりで?」
「ンなもん撤退するに決まってんだろ。上から徹底抗戦しろって言われなきゃね」
 なるほど、と傍らで聴いていた士は手元のメモに今までの応答を記入していく。質問を受け継いだ。
「人間と共生するってコトは、結婚とかも興味あるのかしら?」
「意義が見出せない。だから俺達ナイトメアに恋愛なんてモンがないんだろうよ」
 そう言って、ふと、バルペオルは考えるような間を開けた。
「人間。お前は同種の雄個体に性的な興奮を抱いたことがあるのか? 生殖行動の経験は?」
 ナイトメアナイズされているが、ようは「お前は恋したことがあるのか」と聞きたいらしい。
「……質問が最低すぎるッ!」
 とはいえ言い方が最悪すぎた。士は顰めた顔を逸らした。
 アンヌは内心、士に同情しつつ――話題を逸らすように別の質問を。
「ここにあるもので、貴方が最も価値があると考えるものは何? 貴方自身や、平穏や静寂といった概念的なものじゃなくて、物品限定として」
「ない」
「な、ないって……」
「ない。色即是空ってこった」
「そう、……。面倒事を代わりに引き受けてくれる部下はいないの?」
「いない。他のエルゴマンサーは、ここで自由に遊ばせてやってるがね」
「なるほどね……」
 アンヌはこれまでの応答と態度、この酒池肉林の様子から、バルペオルという存在について考察する――

 怠惰だが、一方で効率的に安寧を守るための最低限の努力は惜しまない。
 感情的ではない。それは理性的という意味ではなく、極めて虚無的なのだ。だが馬鹿ではない。人間の心理や社会や事情をよく把握している――恋愛沙汰や人情というモノを除いて。
 だが根本は人間への興味や関心はゼロだ。しかし侮って馬鹿にしているようにも感じられない。代わりに尊敬もないが。
 黄金絢爛な「綺麗なものが好き」と言うが、物欲関連は皆無と見える。執着心が極端に希薄に感じる。
 このインソムニアが戦略的な構造をしていないことからも、バルペオルは戦闘には能動的で積極的な気質ではないと考察できる。つまり作戦を考えるとか戦略を練るとか、そういう軍師的・司令官的能力は高くはない……と思われる。

 ――あくまでも予想だ。だが敵がどのようなタイプなのかを抑えておくことは、きっと決定的な場面で絶対に役に立つはずだ。

「……」
 マクガフィン(la0428)は後ろの方で状況を見守っていた。己はあくまでも端役なれば、と存在感を殺していた。
(……甘ったるい)
 唇を引き結ぶ。本来であれば沈黙を貫きたいが、現状は言葉をかけてあの怪物から情報を引き出すことが優先だ。ならばとマクガフィンは、雫を落とすようにぽつり、発声する。
「……。道中、人の姿を見ました。このナイトメアの言う共生とは、アレのことでしょうか」
「そう。生きたくない奴に安らかな最期を。俺達に供給を。最低限さえあれば、俺はエンピレオみたいに町に穴ァ開けたり生体兵器を野に放ったりしないよ。……エンピレオを倒すまでに、お前ら、どれだけの犠牲を払ったよ? 何人死んだ? 『どれだけ護れなかった』?」
「……」
「あんな面倒事、お前らだってもうたくさんだろ」

 ――それでも。

 そう口にしたのは、ツギハギだった。
「護れないことを恐れていては、護れるものも護れない」
 キッと、乙女は怪物を見澄ました。
「まず。共生を望むなら私達を無事に帰してくれるかしら」
「真っ直ぐ歩けば出られるよ」
「あと貴方の戦闘力を確認したいのだけどいいかしら? 貴方にとっても示威行動になるから悪くないと思うのだけど?」
「無事に帰せって言ってるのに俺と戦いたいのか? 変な奴らだな」
 片眉をもたげるバルペオルに対し、答えたのはイリヤだ。
「お喋りして帰るだけなら外交官で十分。仕事道具担いできた以上、兵士として得られる情報は全て得る――悪いケド、これが僕らの仕事だからネ」
「ははあ、なるほど。俺のことが知りたい、と」
 ライセンサー達のシールドは十二分だ。士は勝気な眼差しでバルペオルを見る。
「どうせだから、挨拶代わりにアタシの女子力を受けてみるのはどうかしら?」
「好きにしたら」
「たいそうな自信ね。それだけ自信があるならガードなしでいいわよね?」
「そもそも俺、防御型でも回避型でもねぇよ」
 頬杖を突き、両目をのたりと開けたバルペオルは人間を見下ろした。戦闘を仕掛けると宣言した瞬間から、ライセンサー達は銘々に自己強化や後退などを行っていた。
「いいよ。こんなに喋ったの久し振りだし。ちょっと新鮮な気持ちになったし。お礼に相手してやるよ。たまには運動しないとね」

 瞬間、であった。

 ふうっ。――この場の10人が攻勢に出るより先に、バルペオルが金色の煙を吹いた。それはたちまち辺りに広がり、甘く煌めき、10人を包んだ。
「!」
 攻撃? だが空気レベルに広がるこれは、回避でどうこうなるものではなく――ならば違う能力で対抗を要求するものであり――
「これ、は……!」
 幻想之壁を展開して、祭莉・士・イリヤを守った桜壱は目を見開く。その視界に強烈なノイズが走った。

 今の攻撃でダメージは一切発生していない。だがそれは一同の抵抗力を問うものであり――抵抗力の弱ったライセンサーの思念の力が、冒される。猛烈な倦怠感と共に、シールドがボロボロと崩れ始める……!

「シールド継続損傷……侵食が早い! それに、これはッ――シールド修復機能が一時的に失われている……!?」
 ツギハギは戦慄する。修復機能阻害の効果時間はそうは長くはなさそうではあるが、そのたった数十秒が致命的すぎる。あっという間にシールドが溶けていく――!
「く……!」
 ぐらつく視界の中、ツギハギは誘敵灯を展開する。誰かが壊れる所をもう見たくない――そんな鉄の乙女の願いは、しかし、鎮座する悪魔には届かない。
「共生は、無理。ここ、壊したい。ごめんね」
 ならば。祭莉は白銀の回転式拳銃「セレブロ」をバルペオルへと向けた。救済とは何か、自問する。「生きてさえいれば」と地獄の生を押し付けることか。きっと違う。ならば正義とは何か、自問する。「何も考えずに死ねる場所に逃げたい自分」を許さないことだ。
 律する。その想いは竜の姿へと具現する。黄金の霧に竜の咆哮が響く――弐の手は怜悧に、天の眼が射殺す。蒼焔の閃光がバルペオルを貫く。
 それに続くのは士だ。構えるセイクリッドスピアに、その魂をくべて燃やし、一歩。

「いっくわよー!! 女子力クロス!!」

 身を焦がすほどの血の沸騰。深紅の衝撃が十字に、バルペオルと白亜の悪夢を刻んだ。
「どうだッ――」
 祭莉の攻撃も、士の攻撃も、いずれも強力な一撃だ。生半可なナイトメアならば今の攻撃だけで大損害を受けていることだろう。

 だが――

「……損傷皆無。冗談ですよネ?」
 イリヤは顔を引きつらせるように笑ませた。バルペオルは相変わらず怠惰に座っている。両目を閉じて微睡んでいる。その体にも足元の異形にも一切の傷がない。
「幻覚……? いや、違うッ……手応えは確かにあったわ……!」
 士は茫然と怪物を見上げる。彼女の言葉は、祭莉も同様だった。
「……命中、と、攻撃の……感触はあった。……幻覚とかじゃ、ない、これは……」

 まるで水面を切るような。切った水面が、すぐ『水面』に戻るような。

「瞬間回復……いやいやちょっと規格外すぎでしょう……!」
 レイヴはじりじりと後退しながら敵影を見る。
 バルペオルは目蓋を開けていない。しかし、確かに見られている心地が――全てのライセンサーにあった。眼球など飾りである可能性が大いにある。
「お前らも、仕事とはいえ大変だよなぁ……こんなところまで派遣されてよ……たった10人で……」
「それでも、無事に帰るまでがお仕事なんですヨ」
 イリヤはキッパリと答えつつ、ホーリーライトを具現する。たった一人にしか付与できないことが口惜しいが――タンク役である桜壱へと施した。シールド修復不能までは治せないが、継続損傷については除去できる。

 直後だ。祭莉、士、イリヤ、桜壱以外の面々のシールド損壊が更に発生する。シールドの薄い者なら既に半分近く、そうでない者でも三分の一近くが持っていかれる。ツギハギやアルバのようなシールド容量の多い者ならば五分の一近くだろうか。
 どれだけ距離を取っても意味がない。『捕捉』され、敵対者と認識されている。その間はシールド損傷が更に発生するようだ。
 バルペオルはまだ暴力的な行動は一切していない。まるで歯向かう無明を已むを得まいと諭すかのように。ここは外道の皿の上。あるいはアギトの只中か。

「いいこと教えてやろうか……俺はな、ここにいる限りは負けねぇよ」
 虚ろに言う怪物が長煙管の先を揺らした。そうすれば立ち上る霧が集まり、凝固し、数多無数の針となる。
「はぁ……こういう攻撃は得意じゃないんだ、ガッカリすんなよ……」
 針先が金色に光る、瞬間――雨のように針が降り注ぐ。一本一本は細くて脆い神秘的攻撃、ダメージ総量は絶望的ではない、だが代わりにその面状攻撃でとにかく当てることに特化していた。そして当たればどうなるか。またシールド継続損傷が始まる。だけではない、グッドステータス解除能力も……!
(捉えられた――)
 マクガフィンは片膝を突く。彼女のシールドはボロボロでわずかしか残っていない。そのわずかなシールドには痛々しいほどに黄金の針が無数に突き刺さっていて、まもなく霧散した。
「……彼らは英雄であらせられます。それに――いえ。とにかく、返さねばならない、理由があります」
 それは半ば、己へ命令するかのように。マクガフィンはシールド修復不能の毒を思念の力へ焼き払う。非常に厄介なシールド修復不可の毒だが、抵抗は絶望的な難易度ではない。……それでもライセンサーに大打撃を与えるには十二分。
 マクガフィンは立ち上がり、疾風のごとく駆けた。その先にはアンヌが、毒に冒され危険な状態でいる。シールドの損傷は続いている。修復も不可能な状態でいる。
「ごめん、もうダメかも……ッ!」
 顔は青ざめ、呼吸は苦しげだ。
「やっぱり予想通り、搦め手タイプかぁっ……! このぉ……!」
「ご安心を。皆様が生きて帰るためにこそ、これはおりますれば」
 そう言って、マクガフィンはアンヌを背負った。そうして寸の間にバルペオルを見る。
「自ら尾を踏んでおきながら、誠に申し訳ありませんが。彼らは生かして返さねばなりませんで」
 一礼と共に走り出す。それは他のライセンサーも同様だった。
 だけど、あと一発。士は今一度、得物に渾身の力をこめる。桜壱の幻想之壁によって、士のシールド損傷はデモリッシュクロスと謎の損傷浸蝕だけで済んでいた。
「物足りないなら、もう2、3発お見舞いしてあげるわよっ!」
 血潮の一撃が再び。だが手応えは相変わらずなかった。
(これは……不味いわね?)
 見上げる先、黄金の煙がたゆたい、悪魔が口角を緩く吊る。

「――ここは停滞と怠惰の桃源郷。進まず歩まず変わることなく、凪の安寧を甘んじる不眠城」

 空虚な黄金に彩られた地獄にして楽園。
 諦念と絶望を苗床に、虚無を咲かせる永眠魔境。

 是即ち金色濁乱停滞楽土、『酒池肉林』也。

「まあ、遠慮しねぇでゆっくりしていってもいいんだぜ」

 それは途方もない。
 それは圧倒的すぎる。
 それは人類にとっての悪夢にして、怪物だ。

 ――勝てない。

(いいえ、それでも……)
 状況を静かに見守り続けてきたアルバを始め、ライセンサーは思うのだ。

 何か、何かあるはず。
 あのエンピレオとて、弱点はあった。

 ――何かこの『ギミック』を打ち崩す為の手段が、必ずあるはず――!

「今は作戦がない。だから、それをこれから考えるためにも……」
 生きて帰らなければならないのだ。千昴の呟きは、誰しも抱いた思いだった。
「確かにここは危険も、痛みも、苦しみも無い楽土かもしれない。でもIは人が作った物で、人が好きで、守りたい」
 幻想之壁はもうない。ここからは全員被弾する可能性が高い。それでも、桜壱は凛然と怪物を見やった。
「守るに値する存在で在って欲しい、怠惰に眠りこける存在であって欲しくない。だからIは、貴方の楽土から人を叩き出したいです!」
「――残酷だねぇ……」
 バルペオルがわずかに首を傾げた。
「やりたい放題でごめんなさい。お暇させていただくわね」
 アルバがその声に毅然と答え。そしてその頃にはもう、ライセンサーの影は霧の向こうへと。
「さぁて、全力で逃げるわよっ!!」
 士は一心に走る。全員がきちんと全力移動の準備をしてきたがゆえに、歩調を合わすことができている。
 その時だ。
「……しかけるなら逃げるなよ……つまんないだろぉが……」
 声が響いた。バルペオルの声だ。姿は見えないはずなのに、耳元で聞こえた。
 シールドの損傷が続いている。それは継続損傷に加えた損傷で、酒池肉林の『加護』による修復を上回っている。祭莉、イリヤ、桜壱、アルバが協力して仲間を治療している只中、またあの金の針がライセンサーを追い立てるように降る。継続損傷の毒が、また始まる。
「ぐ、うッ……!」
 バキ、と千昴のシールドが削げ落ちていく。視界が眩み、少年は顔をしかめる。まずい、もちそうにない。ゆえに、その前に。
「いいですか? よく聴いて――」
 その暗記力で完全に記憶していた、入り口までの具体的な歩数と方向。それはアルバも同様の手段でカウントしていたが、千昴のそれは彼女のカウントとピタリと一致する。信頼性は限りなく高い。
 一方で、だ。
「目印が、消えてるわ……!」
 アルバは歯噛みした。ロープ、ペンライトなどの痕跡は消されている。一般人の服に道しるべを書いたのだが、その服も切り裂かれている徹底ぶりだ。
「そらそうだろ。敷地内の掃除も管理人の仕事だからな」
 また霧の中からバルペオルの声がする。直後だ。レイヴが仲間たちに警告を飛ばす。
「周囲に敵影確認――真っ直ぐ来ますね。これは、多分……霧の視界不良関係なしにこちらを補足しているかと」
「バルペオルに捕捉されているもの。彼が、ナイトメア達に指示してると思うのだわ」
 アルバは盾を構えて鋭く言う。バルペオルが指示しているとなれば、音や光による誘引は無駄だろう。バルペオルが指示していない状況であればまた変わってくるかもしれないが。
 一方でバルペオルからの攻撃は止んだ。射程外になったのか、面倒になったのかは分からない。……おそらく後者だ。この霧の中が、その気になればバルペオルの射程内と考えるべきだ。だが代わりにナイトメアをけしかけてきた。

 かくして巨影の悪夢が迫る。巨大な一歩が、ライセンサー達を踏みつぶさんと振り上げられた。

「私に構わず行きなさい!」
「私に構わず進んで!」

 奇しくも二つの声が重なった。ツギハギと、アルバ。はたと二人の視線がぶつかった。二人とも、いざとなれば自らをしんがりという生贄にする心算だった。それで時間稼ぎができるのならと思っていた。では生贄が被ってしまえばどうする? ジャンケンで決める暇も話し合うする猶予もあるまい。よもや二人して特攻するのも愚策の極み。
「ふ、あははっ」
「うふふ」
 こんな時だけど、笑い声。乙女二人はウインクを交わす。どっちも「誰かが死ぬ」を許せないのなら、お互いの『死』を阻止するのみだ。
「死なせないわ、戦友」
「ええ。死なせないのだわ」
 そう、だから、

「「いきましょう」」

 生きるために、行こう。
「いやいや死なれたら作戦上とーっても困るんですけどネ?」
 イリヤが苦笑した。祭莉は「ばか」と乙女二人に呟いた。桜壱はおろおろとして、士に「落ち着きなさい」と肩を竦められる。
 直後にナイトメアの足が振り下ろされ、衝撃波が全員を襲った――戦闘不能状態のアンヌを抱えたマクガフィンは、アンヌにこれ以上の傷が及ぶと深刻な事態になることから死に物狂いで回避した。衝撃にシールドを砕かれ遂に倒れてしまった千昴を、レイヴがすぐさま抱えて走る。
「全員、無事ね!?」
 アルバはすぐに被害状況を確認しつつ、両手を祈るように組んだ。

「――それでも私はこの世界の花の魔女だもの」

 この両手に届く範囲、狭い世界でいい。光あれ。霧を裂いて降る光は仲間たちのシールドを修復し、同時にナイトメアを拒絶する。
「……どいて、……!」
 同時、祭莉が呼んだ具現の黒竜が牙を剥く。伸ばされた少年の拳が、巨影の足に触れる。死は壱拾参より、最果てに這え――強烈なエネルギー放射が悪夢を押しやった。傷は……ない。バルペオルのように、たちまち修復している……!
「嘘でしょう、まさか、ここのナイトメア全部が、あの自己再生能力を……!?」
 アルバは戦慄した。信じられない。なんというインソムニアだ。

 だが悪夢はそいつだけではなくて。

「諦めるには早すぎますヨ! 走って!」
 イリヤは神恵の雨雫を展開しながら仲間を鼓舞する。回復不能状態はとうに皆自力で克服したが、バルペオルによる毒がまだ継続している。そこにぞろぞろとナイトメアの嫌がらせ。ライセンサーのシールドは、まるでジェットコースターのように、損傷と回復を繰り返していた。

 精神が軋む。甘い匂い。眠っている人々を救っている暇などない。今はライセンサーが生き延びることに精一杯すぎる。走った。攻撃がくる。また一人倒れた。見捨てずに担ぐ。そのことで移動力が少し落ちることになっても。視界がぐらつく。治癒の光が瞬く。どこもかしこも夢幻のように黄金だ。バルペオルはまだ見ているのか? 霧の向こうで気配を感じる。ナイトメアが来る。逃げることしかできない。攻撃してもたちまち修復されて意味がない。勝てない。勝てない。勝てない。倒せない。逃げ続ける。どうかこっちに来ないようにと祈りながら。

 インソムニアを次々と撃破し、快進撃を続けていた人類は、遂に思い出す。
 かつて人間は、悪夢に成す術もなく、逃げることしかできなかったことを。
 圧倒的な力。圧倒的な強さ。絶望の権化。

 ――これが悪夢だ。本物の怪物だ。

 それでも……
 それでも、だ。

 必ず勝算はあるはずなのだ。どれだけ恐ろしくとも、醒めぬ悪夢はないのだから。
 希望を捨ててはならない。諦めてはならない。立ち止まってはならない。絶望に屈するには早すぎる。

 なぜならば――
 足掻き続けて足掻き続けて、人類は遂にここまで来たのだから。

 ――そうして気が付けば、ライセンサーは酒池肉林外で倒れていた。途中からの記憶が曖昧だ。とにかく死に物狂いで、滅茶苦茶で、我武者羅で。どうやってここまでたどり着けたのか不思議だが、それでも、ライセンサー達は確かに酒池肉林から脱出することができていた。

「ぜ、全員、いますね……?」
 桜壱はオーバーワークから装甲の隙間から煙が立ち上っている。それでも一人一人数えた。桜壱を合わせて10人、無事だ。ものの見事に誰一人としてシールドは残っていないし傷だらけだが。

 何か一手でもミスしていれば、何かを見誤っていたら、回復が足りていなければ、帰ることはできなかっただろう。それほどにギリギリだった。

 ――それでも全員、この未知だらけのリスクの中で、帰ってこれたのは事実である。


●報告
 ボイスレコーダー、酒池肉林内部およびバルペオルの撮影記録、歩数をもとに作られた簡易なマップスケッチ及び当時の人・ナイトメアの配置状況。もっともナイトメアは流動的に行動するので何とも言い難い。種類についても実に多種多様であった。
 そういった、ライセンサーが努力でかき集めた資料は全て無事にSALFへと提出された。

「サンプルとして採取してきた枝、土、水、霧なんですけれど――」
 アンヌは報告書を手に、SALF北方部隊長ハシモフ・ロンヌスに任務の結果を述べる。
「枝、水、霧は消滅。……ええ、まるで夢幻のように、酒池肉林から出た途端にフッと消えたました。よって正体不明。霧については体や衣類に甘い匂いが残ることもありませんでした。一方で土だけは完全に残存を確認」
 アンヌはビニール袋に詰められた少量の土を提示する。
「解析の結果、『全く以てただの土』ということが分かりました。成分内容的には酒池肉林外周辺の荒野のそれです」
 そうすれば次に、ツギハギが口を開く。
「私的には化物は全部壊したいけど、一度連中と交渉してみるべきだと思うわ。まぁ、壊すのを最後に回すぐらいはいいんじゃない?」
「……」
 ハシモフは少しの間その隻眼を閉じ、そして開いた。
「まず『破壊を後回しに』については、リスクの方が大きすぎる。今この間にも、レヴェル共によって危険なほどに広告されたことで『注目』されてしまっている。それに――なんだ、俺はこういうのはあまり言いたくはないのだが」
 重い溜息の後に続ける。中国の者、国境付近のロシアの者にしてみれば、「なぜ我が国の恐ろしいインソムニアを放置するのか?」「我々を見捨てるのか?」と、SALFの信頼を裏切る行為になりかねない。
「一方で、だ。今後行われる調査任務でバルペオルと遭遇した場合、いくらか交渉することは禁止はしない。奴が飲むかは甚だ謎だがな。本当に有益で確かな取引であればこちらも考慮する」
 傍らで聴いていた千昴は、それはおそらくよほどの奇跡でもない限りは起こり得ないのだろうな、と静観していた。それほどまで、あの酒池肉林は悪意的に感じた。人の心を冒す毒のよう。そうだ。あの酒池肉林は――

「……毒でしかないね」


『了』

成功度
成功
拍手数
10

現在の拍手ポイント:0

あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
拍手1回につき拍手ポイントを1消費します。

MVP一覧

MVPはいませんでした。

重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧

リンク参加者一覧


スレッド一覧

スレッドタイトル(レス数)最新投稿日時