オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  2. SALF本部

  3. 【果冠祭】閉幕festival

【果冠祭】閉幕festival 雪芽泉琉

形態
イベント
難易度
普通
価格
1000(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
251~25人
予約人数
10010100
基本報酬
100000G
100SP
1000EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
5
締切
2019/09/04 20:00
完成予定
2019/09/24 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●地中海に浮かぶ

 ナイトメアによって壊滅し、国という形を維持するのすら困難な『エオニア王国』
 国を背負う幼い王女は、考えた。
 途絶えている祖国伝統のお祭りを復活させられないか、と。
 国主が前に出て、明るい話題を供する事が大事なのだ。
 この国の未来は続いていくのだと示す必要があるのだ。

 もともとの祭りと同じものは出来ない。
 例えば、果物を大勢でぶつけ合うメインイベント。食べ物を無駄に出来るほど、国の財政は豊かではない。有り体に言えばむしろ貧乏だ。


 ――ぶつけるものは、ペイント弾。
 使われるはずだった果実は、沢山の料理に変えて皆で食べればいい。

 ――ここは今やSALFの前線基地。
 古きに拘らず彼らにとっても楽しいものにするべきだ。

「我と共に、全員が参加者になれる楽しい祭りを作っては貰えませぬか」


●小さな願い
 伝統的な祭事を復活させる。
 王女パルテニア──パティがそう告げた時、母は嬉しそうに目を細めた。

「……またミーベルステファノスが見られるなんて、嬉しいわね」

 母が笑う所を久しぶりに見た。いつもは顔色が悪いのに、今日は少しだけ明るい。それがとても嬉しかった。

 パティは10歳。まだ幼いが、重い責務を背負ってきた。
 5年前の襲撃で、父を亡くし、母も寝たきり。幼い弟は我が守らねばと。
 でもそれは自分だけではなく、国民もみな同じだ。この5年この国は必死に歩いてきたのだ。
 だからこそ、そろそろ明るい未来を供したいと願ったのだ。

「あねうえ。ライセンサーがお祭り、してくれるの?」
「ええ」
「僕ね、ライセンサー大好きなの。強くて、カッコよくて、えいゆうだってみんな言ってるんだ」

 無邪気な笑顔を浮かべる弟の頭を、パティはそっと撫でる。

 国中に作られたSALFの軍事基地が、この国を守ってくれる。
 いずれアフリカの敵と戦うための前線基地。彼ら、彼女らが、この国に平和をもたらしてくれる英雄。

 ──しかし、それだけでいいのだろうか? 守ってもらうだけで、与えてもらうだけで。

 財政の厳しいこの国が、ライセンサーに差出せる物など何もない。それでも、何かお礼をせねばならない。幼心なりに、パティはそう思うのだった。



●festival
 王女の秘書兼家庭教師のエレクトラの言葉に、パティは小首を傾げた。

「ふぇす?」
「はい。海外から多くのアーティストを呼んで行う大音楽祭を、外国ではそう呼ぶらしいのです。海外からの観光客も増えて、外貨を稼げるかもしれません」
「それは……とても素晴らしいが、その……我が国でできるのか?」

 貧乏の言葉を飲み込むのは王女の矜持だ。

「海外からアーティストを呼ぶのは難しいですが、ライセンサー達にステージに出てもらおうと思うのです」
「ライセンサーは、そんなこともできるのかえ?」

 ナイトメアと戦う人だと思っていたので、思わず目をパチクリ。
 おそらく、パティだけでなく、多くの国民がライセンサーは英雄であり、戦士だと思っているだろう。
 彼らに、平和な日常が、家庭が、趣味が、当たり前にあるのだとも知らずに。

「兼業ライセンサーも多いのですよ。アイドルやミュージシャンと。踊りに、歌に、演奏に達者な方々が」
「なるほどな……舞台を用意したらライセンサー達も喜ぶのか?」
「ネット動画にあげて、知名度アップと歌えば、きっと喜ばれると思いますよ」

 ならばやろう。
 国民も、ライセンサーも、等しく楽しめる祭りの終焉に。共に手を携えて歩く未来へ向けて。
 それに国民がライセンサーをもっと身近に感じる良い機会だから。

 そうと決まれば……エレクトラは大急ぎでSALFに連絡した。祭りへの協力を頼む為に。
 エオニア王国が用意できるものは、土地だけであるのだから。
 そうして瞬く間に準備は整い、祭り当日を迎えるのであった。



●終わりの始まり
 輝く太陽、照りつける日差し。夏の終わりの砂浜は、太陽の光は熱いけれど、海風は心地よくカラッとしていた。
 そこが地中海風なのだろう。

 海をバックに砂浜の上には特設ライヴセットが作られている。照明や音響、スクリーンまでついた、実に立派なものだ。ほぼSALFが用意したものなのだが。
 立派に作れたのはメインステージだけで、他のステージはただの海と砂浜。……それでもこれは芸術フェスだ!! と言い張って告知した。

 すでに会場内はエオニア王国の伝統舞踊と、開幕パレードで使用された曲が交差し、伝統と新しい文化が入り混じっている。
 この後あちらこちらで、ライセンサーが集まって、色んな芸術が披露されるはずだ。


 砂浜には屋台が並び、ミーベルを使った氷菓や料理が、異国の見知らぬ料理が良い香りを漂わせ、人々の心を捉えて離さない。
 エオニア王国の民は、しばらく海外料理を楽しめるほどに、余裕がなかったから。楽しみで心が浮き立つ。


 夏だから、海だから、水着や、それに近い露出度高い服装の客が多かった。
 フェスが何かもわからない。ただ楽しく、踊って、歌って、色んな出し物があるのだろう。
 ミーベルステファノスの間中、いろんな所でライセンサー達が働く姿を見た。
 きっと今日も、凄いことをやってくれるのだろう。そういう期待ばかりを膨らませ、砂浜に座り込む。
 娯楽に飢えていたから、新しい刺激に、わくわく、ドキドキ、笑顔を浮かべて。


 さあ、祭りの終わりを始めよう。明日から続く、この国の未来を紡ごう。
 エオニア王国の国民と、ライセンサーが手を取り合って、新しい道を歩む。そんな未来に向かって……跳べ!

●目的
 閉幕festivalの成功

●行動
 祭りを盛り上げる為、パフォーマンスか屋台に協力してください。

 歌、踊り、楽器、演技など、パフォーマンス内容は自由。屋台で料理を作って振る舞うも可
 ネット上に動画が公開されれば宣伝効果もあるかも

 場所はエオニア王国の海岸の砂浜。
 砂浜の上に作られた大掛かりな野外ライブ用の特設セットが設営されている(OP画像をイメージしてください)
 観客は立ち見か、砂浜に座って屋台で買った食べ物を食べながら見る。椅子は用意されない


 以下の三つから、選択肢を一つ選んでプレに書いてください。

・【メイン】
 メインステージ、フェスの目玉。照明、音響、スクリーンを駆使した演出が可能
 一つしかないが、時間を区切って複数グループの使用は可

・【サブ】
 サブステージ。海と砂浜以外何もありません。マイクやスピーカーや楽器を持ってきて置くのはできる
 海でパフォーマンスもOKですが、客は砂浜から見物するので、海中や沖に出ると見えない

・【屋台】
 祭りに因んだミーベル料理だけでなく、広く色んな国々の料理の出店可能。地中海では物珍しい料理も喜ばれるでしょう
 【果冠祭】の他依頼で作られた料理が出てくるかも


●NPC
・スタッフ×50
 イベント当日、地元の一般人スタッフが、裏方仕事専門で手伝ってくれます。指示が無くても、PCのサポートに徹する
 迷子案内、会場誘導、事前告知、備品の手配等、告知、宣伝など裏方は全てスタッフがやります


●状況
 時間は昼の12から日没の18時まで。
 衣装は自由。客は水着など露出度が高い、解放的な服が多く、夏の海にふさわしいファッションの方が似合う
 ショーの演出でわざと海に合わない服を着るのも問題ない

※演者の応援がしたい方もいると思うので、裏方禁止ではありませんが、優先度は低い
 メイン>>屋台=サブ>>>>>>>>裏方

※不明点はお気軽に質問をどうぞ

 「フェス」の定義など知らない雪芽泉琉です。楽しければ細かいことは気にするな。

 【果冠祭】連動も最終日。ライセンサーは「フェスの顔」目立ってなんぼ、最後に弾けて遊んで終わりましょう。

 他依頼と緩く連動しております。深く考えず、自由に楽しく行きましょう。
 どうぞ祭りの締めに相応しいお祭りを楽しんでください。

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

アドリブ&絡み◎
チョータローのライブの手伝いができればいいと思っていたのに
何故か共演者にステージ上に引っ張り出されて歌うことに
「歌ったこと…ないん、だけど…。聞くだけで、十分、なのに……
飛び入りで経験もないのでパフォーマンスは出来ない
音感はいい方なので何とか周りと合わせるけど腹から声が出てない
シルヴァがとりあえず「勢いが大事」って言ってるので勢いで
(母さんが見たら…すごく笑うだろうな…)

【Fin】参加
最後までなんとなくステージの上に立つ
やっぱりここがピアノの音が一番聞こえるので
ステージに立つのは自分の持ってる物を全て見せなければならない気分がして自分から立てる人はすごい

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

【メイン】
◆行動
向日葵飾りは肩、青と黄のアロハシャツ
「集まった果物を、女王は国中で分け合って
思い出は種と残りました
想いを込めてその種を埋め
さあ、音楽と言う名の魔法をかけてみせましょう!」

電子鍵盤を演奏
自身はプリモにて桜壱(la0205)さんと連弾
(大丈夫、フォローはするからね)
侃さん(la1158)、ひまりさん(la3290)、佐々音さん(la0165)の其々のパートに合わせ伴奏
明るく、楽しく、輝くようなPOPS
盛り上がり直前、ローワンさん(la0255)の方を見て合図
重なる全てを一つに纏め
「ここに想い出が大樹の如く咲き、未来へ続きますように!」
皆いるから、冠戴く君は決して1人じゃないから——どうか笑って!

【Fin】
◆共通
最後に希望者全員で作る一曲
メインステージへ上がるも他の場所から何かするも良し
穏やかで優しい歌曲
続く未来へ祈りと感謝を込めて

◆個人
歌詞は侃さんに依頼、当日はスクリーンに出して貰う
バラードを心を込めて演奏
「歌も手拍子も是非。皆で楽しい一曲にしよう!」観客や女王へ促す

ステージも盛り上がってるけど、こっちでもたくさん盛り上げましょう!
美味しいドリンクとストンプで楽しんでくれるといいわね

【DSP】
チューブトップにホットパンツ、髪はポニーテールにまとめる
主に接客とクロダのサポート
お触りとナンパはごめんなさい、怖いオニイサンにマドラーを刺される前に逃げた方がいいわよ?
…ところでレオ、そのシャツは自画像なのかしら?よく似てるわ

余興の際はレオのカンテに合わせて自身も歌いながらストンプ
派手に動いて人目を集め、手拍子で合わせるように客を煽る
ハイタッチのように手を打ち合わせたり、膝や腿を素早く打ち鳴らして魅せる
練習の成果、しっかり見せましょ!

アドリブ称号歓迎

【心情】
夏だ!海だ!イルカの季節だ!イーリュンも一緒だぁ!

【準備】
青と黄色の衣装に向日葵のコサージュを胸につけて
頭の上にはイルカのぬいぐるみのイーリュンをオン!

【行動】
【メイン】で化野さん、桜壱さん、桜小路さん、侃さんたちと一緒に行動
私は桜小路さんと侃さんと共に歌を唄う
歌はパートを分けてそれぞれがメインで唄えるように
唄ってる時は演奏に合わせて楽しく唄う
他の人が唄っている時はダンスで盛り上げる
「イルカ的アイドルの佐々音 紗緒なのです!さぁ、盛り上がって行きましょう♪

【Fin】に参加
ステージに上がって唄う
ゆっくりと未来へ繋がっていく一曲にする

【屋台】
同行者:モニカ
何故か鳥を手にふらついてる所を、奥で鳥を火にかけ、出来たら合同屋台として一緒に売ること条件に看板娘として強引に雇用。
「よう嬢ちゃん、ちょっと手伝ってくれないかい?なに、その可愛さを振りまいて客を釣るだけの簡単なお仕事だよ」

かき氷屋台。出来る限りメインステージに近い場所に設置。
雪の様なふわふわかき氷が作れる機械と大量の氷、そして苺、レモン、ブルーハワイ、みぞれ、コンデンスミルクと各種カラフルなシロップを用意。セルフサービスかけほーだい。
各自好きなかき氷を作ってもらうスタイル。
このクソ暑い中水分と涼を同時に撮るならこれだろ。
フェスとステージの熱気にやられないよう、一人1杯買って行くといい。

大人組には隠しメニューのみぞれ酒も進めよう。
そう、凍らせた酒をかき氷にしたものだ。病みつきになるぞ。
日本酒や洋酒系、ワインと各種用意してある。
話題のエオニアの鳥と合わせて食えば天にも昇る心地さ。後悔はさせないよ、保証しよう。

そんな感じでフェスのライブをBGMにかき氷を売りさばく。
【Fin】も同様に眺めるのみ。

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

「(かちんこちん)

練習たくさんしたので!が、頑張ります!
ピアノ練習1年目
大きなステージは始めて

青と黄色のアロハ衣装に
向日葵の飾りを胸に
…と、心の準備!を!

電子鍵盤で先生と連弾
低音側(セコンド)
大丈夫でしょうか、大丈夫でしょうか…!
最初は楽譜を必死で追いかけるように
ミスしてしまった時はぱにくるが、先生の笑みに徐々にまた落ち着いて演奏に戻る
「(ちゃんと弾けてるでしょうか、楽しんでもらえてるでしょうか…)
拍手をもらえたら、きっとその時楽しかったとすとんと落ちるのかもしれない

【Fin】
一山乗り越えた表情で、大きく声を張り上げて
「音は、楽しいものなのですねっ…!

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「歌って踊るだけがアイドルじゃないよ!
目的】王女様とメインステージの司会進行務める
準備】これまでの果冠祭の内容や参加者調査
行動】【メイン】参加
各演者が舞台上がる時各演者を端的に紹介「クールな中に熱いハートの持ち主〇〇さん!
他の【果冠祭】参加の人はその事も紹介
パフォーマンスの合間に王女様と共にこの国や果冠祭の成果や屋台を宣伝
「あのお店は先日ライセンサーのみんなで考えた料理を提供してるんです!
【Fin】に私は歌とダンスで参加「アイドルらしい所も見せないとね!

  • Cirque du fee
    黒田la0245
    ヴァルキュリア26才|スピリットウォーリア×セイント

【DSP】
レオーネ様にゴリラ柄のTシャツ用意
いえ、必要だと伺いましたので。
自身はダークグレーのハーフパンツに黒無地のTシャツ

屋台:
客人が飲み終わったグラスやプラカップの回収や
カクテルやジュースに使う原液や酒を用意して渡す、あるいは果物のカットなど
裏方作業をメインとする
バレーノ様がもみくちゃにされればそっと回収
屋台運営を手伝いつつ、迷子や暑気あたりらしき人を見かければ救護班に連絡

ストンプ:
合図を元に水を入れたグラスをプラスチックのマドラーで叩いたり
屋台の天板を手で打ち鳴らして音楽に参加
いつもの作り物めいた笑顔も、常より柔らかい

大勢と何かをするのは楽しいものですね

  • 魔女殺し
    Ashen Rowanla0255
    人間31才|ネメシスフォース×スナイパー

【メイン】【Fin】
……偶には魔法使いの真似事も良いだろう
■行動
化野の演奏及び【Fin】の演出の一部に参加

IMDは想像力を形にする
ならばスキルもまた想像力次第でその形を変えられる筈だ
……少しは舞台に花を添える事も出来るだろう

事前にスタッフと参加者に許可取り
舞台袖から行使
■演出
歌や演奏に合わせ選択
青ではオーロラ、銀では煌めく星
赤では花や鳥、女神や騎士を焔の色合い変え形作る等

【DSP】
共通
【屋台】【Fin】
ドリンクバー
未成年はジュース、成人にはカクテル等
屋台営業中に余興としてストンプ披露で楽しませる

個人
黒のハーフパンツ・陽気なパイナップルが描かれたTシャツ着用
「やあ、冷たいドリンクはいかがかな?」
レオと一緒にシェイカーを振り、アルコールやミックスジュースを振る舞う
ミーベルのスムージーもおすすめだね、フローズンカクテルもできるよ

ステージの合間、レオのカンテを合図に全員でストンプ
ちびっ子たちは一列で手や足を打ち鳴らし踊り、ミラは歌を
俺とミスタ・クロダは酒樽やグラス、バケツやサンダルを打ち鳴らして盛り上げよう
この一時、お楽しみ頂ければ幸い

【DSP】アドリブ歓迎
黒のハーフパンツに何故かご用意されていたゴリラTシャツ
てめーら…
髪は下で結びマゼンダピンクのバンダナを巻く

「青い海に青い空、心踊らす陽気な音楽!足りてないのは何だ?
そう、ごきげんなドリンクさ!」
さぁさ、一杯やっていきなと声掛け客寄せ
ローリーと一緒にドリンクを振る舞い
ついでに他店も勧める
お前らのアツいバナナ推し…(でも飲む

時機を見てカンテ(歌)&パルマ(手拍子)でストンプ開始の合図
アリーの手拍子に寄り添いつつ
ステージからのコール&レスポンスの誘いに乗る形で
観客を巻き込みながら歌や手拍子で掛け合いするのも楽しい

さ、喉が乾いたらもう一杯どうだ!

  • 健気baby’s breath
    アリーチェla0626
    ヴァルキュリア10才|セイント×スナイパー

【DSP】
青のキュロットと、白のノースリーブブラウス…で、参加

お酒は作れない、から、ミックスジュースやスムージーを作るお手伝いをする、ね
ミーベルをたっぷり使って、ミキサーでシェイク
マンゴーと合わせたり、バナナとかヨーグルトと合わせても、おいしい、みたい
「ミックスベリー、も、いいね」
小さな子たちに渡したり、店員さんの真似をするの、楽しい

賑やかなステージの合間に、ここでストンプ、をするんだって
(動きのプログラムは組みこんだけど、それだけじゃだめ、って言ってた)
パパの手拍子とミラの歌に合わせて、手や足を叩いて楽器みたいに鳴らしてダンス
みんなも、自分も、楽しいと笑顔になる、ね

  • 陽だまりsunflower
    バレーノla0627
    ヴァルキュリア10才|ネメシスフォース×ゼルクナイト

【DSP】
さすがにボクは洋服は着られないからねー
南国風な柄のスカーフでよろしく☆

アルコールはおっさん連中に任せてー、ボクたちは呼び込みとジュース作りだね!
アリーやミラに怪しい手を伸ばしてくるやつはガードしなくちゃね
…まあ、その前にローリーがマドラー投擲してるんだけどさ
うん、それとボク何回も言ってるけど、ゆるキャラとかマスコットじゃないんだよう
店員なの!うわーんまたもみくちゃにされる~

気を取り直してストンプで楽しませるよ
たくさん練習もしたし、ボクらなら息もぴったりさ
向かい合って両手を打ち合わせたり、ステップだってお手の物
踊りたい人は一緒にどう?即席ステージの始まりだよ!

同行:ヤナギ・エリューナク(la1009)
【メイン】参加
概要はヤナギのプレに準じる
担当:歌
衣装:2人共に黒いゴシック系の服。上から艶やかな打掛けを羽織る

演出
白いライトの中、ヤナギの演奏とシルエットだけから始まり暗転
爆音と同時にライトアップ

歌唱
華奢な身体に似合わず力強く、けれど透明感と抑揚を持たせた歌声
何処か妖艶で夏の最後に火照る身体は増々熱くなるよう
歌詞(一部抜粋
『ぶつかり合う 視線と視線 舞い散る花弁
『キミは咲く そう 夜空に大きく瞬くように
『キミは咲く そう 胸打つ鼓動が早鐘と化して往く

【fin】参加
GtVoとして参加

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

【サブ】
瑛士la2663と同行
紺地に花火柄の浴衣着用

酒等の木箱並べ簡易ステージ作成要請
櫓代りにし段ボールと麻紐で作った太鼓二張設置
祭が終わってもこの国の民が楽しめるよう、調達が容易な材料を敢えて使用
「この国の民が気に入ってくれたなら、有る物で手軽に楽しめる方が良いでしょう?

法被の瑛士と共に、浴衣袖襷掛けで太鼓演奏し客寄せ
「さあ、異国の音楽とダンスはいかが

客寄せ出来たところで本命の盆踊り
世界的にも耳馴染みあるような曲を盆踊りアレンジし使用
櫓中央に更に木箱乗せ、踊り見本のお立ち台
踊る時は襷は外す
瑛士に観客を輪に引込んで貰いながら、皆で踊ろうと盛上げる
「簡単ですので――はい、そこの貴方!ようこそ(指さし笑顔で指名
「はい、右、左、ぱぱんがぱん♪
太鼓も自由に叩いて貰う
「堅苦しい作法などありません。楽しむことが一番です

瑛士には懐かしく、わたくしやエオリアには新しい風
楽しんでくれたらと思います
わたくしも地球で言えば王女の立場
パルテニア王女の重責は…多少なりと分かりますので力となれたでしょうか

空き時間に屋台巡り
氷菓目当て

【Fin】観客側で歌う

同行:ケイ・リヒャルト(la0743)/腐れ縁
「ケイと何か演るのも久々、だな
【メイン】
ケイとユニット『Rot Schmetterling』で音楽参加
担当:Ba(他楽器は打込みで用意済
音楽の方向性:ハードロック

演奏
腹の底に響く何処かメロディアスなBaで始まる
他楽器が合わさってきた所で一度音は止み、再度ハード且爆音で始まる
「かかって来い…っ!
疾走感と身体…魂に響くような音が観客を違う世界の入口までご招待
絡み合うBaとケイの歌声は何処か夏の夜のように妖艶で激しい
ソロ部分では速いビートを刻んだり、メロディを織り込んで煽ったり
「暴れよーゼー

【fin】参加

  • 春を誘うダンス
    la1158
    人間19才|グラップラー×スナイパー

【メイン】
鳥太郎先生・ひまりちゃん・紗緒ちゃんと揃いの衣装で踊って(主)歌って!

大型水鉄砲を、背中と腕に一つずつ持ちステージへ
《種を蒔き水を浴び 胸に1つ大輪の花を咲かそう
今日を思い切り生き抜き咲き誇れ!》
踊りのベースはヒップホップ+ジャイブの足捌き。一気に全身を弾ませて跳ね踊るよ
水着客が多くいる所を狙って水鉄砲発射!
「まだまだ盛り上がれるね!!?」

【Fin】
「祭の最後を彩る歌詞を作ってほしい」と鳥太郎先生から依頼を受け
全ての催しを巡り話を聴き、完成させた

《女神の冠に戴く黄金の果実が 海の向こうへ沈む夕刻
波や風達が 優しく祝福する声が聞こえるかい
メロディを乗せよう 高い空へ
リズムを刻もう 広い地へ
どんな怖い夢だって 朝になれば終わるから

耳に残るは 誰かの歌の欠片
「おやすみ、またね」
月明かり照らす帰り道

肌に残るは 誰かの踊りの名残
「さよなら、またね」
星々またたく帰り道

瞼に残るは 誰かが祈る横顔
「おはよう、元気?」
明日へと繋がる帰り道

「おはよう」》

【サブ】
【Fin】
桃簾(la0911)と同行
お手製の段ボール太鼓となぜか渡された法被をTシャツの上に着て
もう傍から見ればやる気高い勢に見えるが本人ちょっと気恥しい
桃ちゃん楽しそうだからいいか
浴衣も様になる桃ちゃんに引っ張られながら太鼓で演奏しつつ
桃ちゃんが皆を巻き込む手伝い
徐々に流れが出来たら僕もその輪に混じっていく
そういや盆踊りって最後にやったの何年前だ?

少し小さい頃の懐かしい雰囲気を想い出しつつ
きっといつかこの日が桃ちゃんも懐かしく想える
そんな想い出に成ればいい

空き時間があれば屋台も見て回る
かき氷食べたさそうにしてるし

誰かとの夏ってのは結構楽しいもんだ

  • 鰹の中のかつおみ
    加倉 一臣la2985
    人間50才|スナイパー×グラップラー

【屋台】
姪っ子のように可愛がっている煌奏(la3037)ちゃんと共に
クレープアイスの屋台を出店
生地の用意は彼女に任せ、ミーベル等の果物の皮むきやカット、
揃いのカフェエプロン準備、ガーランドで屋台をデコなど

おっ、手付きがいいね!
煌奏ちゃんが上手にクレープで巻いていく様子に目を細める姿は
完全に親戚のおじさんのそれ
冷たくて甘いデザートはどう?と人懐こく観客へ声をかけていく

二人で食べる分は最初からそっと残しておき
一息ついたら片付けてCLOSEDの札
「もちろんだとも、俺もそれが今日の本命だからね」
共にクレープを楽しみつつ他の屋台を巡ったり
彼女を誘って浜辺から【Fin】に参加

  • ぜんぶ燃やしますね?
    吉野 煌奏la3037
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

【屋台】
臣小父様(加倉 一臣(la2985))と一緒にクレープアイス屋出店
「片手で食べられる冷たいものですし、何より私が食べたいですし♪」

事前にある程度生地は焼いて冷ましておく
「だいじょぶだいじょぶ。残れば私が食べますから」
ベースはバニラアイス
お客にはトッピング(追加料金有)で選んでもらう
「苺にチョコソース、バナナなんかも冷たくても美味しいですし、葡萄もいけますよ?」
変わった果物もあるんです?じゃ、それもトッピングの種類に追加で

「臣小父様、ひと段落したら煌奏さんと一緒に他の屋台を見に行ってくれます?」
出店だけじゃつまんない。デートしましょ?小父様!
本命そっちですもん♪

ストリート式打楽器教室や、現地スカウト(王女にも声を掛ける)で子供を中心に人材を集めておく。バチ持ちと打ち方を念入りに
現地打楽ッカーには開幕に続いて協力をお願い

素人同然。だが祭りを取り戻す祭りに彼らがいないのはな

メインステージ
祭りの中程に諸共に登壇。衣装は現地スタッフ任せで

始まりは和太鼓で
和太鼓の国の春の花の歌を一小節、子供らに
途中で加わり一曲締める

楽器は現地の物に
ミーベルの曲があればそれを、なければこの国の歌を
慣れ親しんだ曲だ。子供らに主導権を委ねながらも、軽妙さでもってこの国を表現

この後のメインが君らの目標だ。

【Fin】
叩く。この国で刻んだ優しさで以っ

【メイン】
お気に入りの拡張器マイク、夏空色とレモン色の衣装
トレンドマークのリボンでポニーテールに
チームお揃いの向日葵のコサージュを付けたスカートを揺らし
可愛く!楽しく!弾けるように唄って踊りまくる。

唄うは甘酸っぱく、そしてちょっぴり苦いレモン。奏でるは爽やかな青春の日々
真っ直ぐ前に進むような歌声は、まさにレモンのような女の子
でも、青春は明るく爽やかなだけじゃない
時々大人っぽさも唄にのせ

煌めく夏の欠片をリュックいっぱに詰め込んで
貴方と一緒に浜辺を駆け回った、そんな日々に
足跡を残すようにキスをしましょう

【Fin】
みんなに伝えられる精一杯のありがとうを!
「いつか、あなたがひとりぼっちだとか、そんな風に思う日が来たら思い出してほしい。
今日、みんながここにいたこと。
うちの背中を押してくれたこと。
みんながここに居てくれるから、うちは全力で唄を、踊りを届けられる!
だから…最後の最後まで楽しんでってな!
今日を振り返った時、あなたの踏み出す1歩の、きっかけになるように!

頭の先からつま先まで全力で!
最高のフェスにしちゃる!
ほな、行くで!最後の1曲!」

【DSP】
ふおお、人がいっぱいいますなの!
うーたちもたくさん頑張りますなの!

服装は兄(ルーク)とお揃いの短パンにノースリーブのゴリラ顔柄Tシャツ
「いらっしゃいませなの!おいしいミーベルジュース飲みませんかなの!」
スムージーは特におすすめですなの
ミーベルとバナナのジュースはレオにもあげるの。バナナ多めだからおいしいの
決してゴリラTシャツのせいではないの

ストンプはお任せくださいなの!いっぱい練習したの!
ふんす、と鼻息荒く一列に並び、歌と手拍子に合わせてパチパチと手足を鳴らす
どんどん動きが速くなっても慌てない
楽しいと思ったらきっとうまくいくの!
満開笑顔で最後は決めポーズ!

【DSP】
弟・うー(ウェスペル)とお揃いの服装
ゴリT強そうですお、うほうほ!(ドラミング)

うーたちが呼び込みしてる間、ごきゅごきゅぷはぁ…と
満足げな顔でミーベルジュースを飲み干している
…はっ!えっと、とってもおいしいですお、いかがですかお!
アルコールだけじゃなく、ジュースもたくさんありますお!
レオもバナナジュースどうぞですお
と、Tシャツのゴリラに話しかける

ストンプ、たくさん練習したお!
うーの隣で楽しそうにキャッキャと手を打ち鳴らしたり
膝を叩いたりで音を生み出していく
多少ずれても気にしない、楽しむことが最優先!
他の仲間や、観客の子ともハイタッチしたり歌にも参加♪

  • プロサバイバー
    モニカla3729
    人間20才|スナイパー×セイント

【屋台】
『海と空と大地のまじわるところ(簡易版)』を作ろうと
下処理済みのとりを持ってきたが―獲るのに夢中で屋台の手配を忘れていた
途方に暮れていると、ケヴィン(la0192)に強引に捕獲される

「え、ちょっと、あたしは料理を――わ、わかったよ、手伝うから、場所かしてね」

涼しげでスポーティな水着に着替え
かき氷を売りながら火にかける

「かき氷ですよー、ふわっふわですよ!」
ちらっ、ちらっ、と鍋の様子をみながら

隠しメニューの売れてくる時間には
とりも仕上がってくる

「これ、セットで売っちゃう?」
お酒に合うよう、やや濃い味付けに

「エオニアのとりはお酒にもいいよ、どうですかーっ

●フェス開始
 夏の暑さより、熱いイベントがエオニア王国の海辺で始まる。
 夏フェスだ!

 祭りの始まりを告げるのは、エオニア王国の音楽家が演奏する『決意へ捧ぐ果冠のアリア』だ。
 果冠祭の始まりに作られたこの曲は、この国で早くも親しみ深い曲となっていた。
 演奏が終わった所で、壇上に王女パルテニアと水無瀬 奏(la0244)が登場する。
 ミーベルカラーのドレスとアイドル衣装を身に纏った二人は、伝統と最新の流行の共存を象徴するかのようだ。
 王女の頭上に花冠が咲き誇り、海風が白い薄衣のベールを揺らす。

「皆さん、こんにちわ!」

 元気よく挨拶をして奏はステージの上から手を振る。今日はイベントの司会を務めのだ。輝く笑顔と余裕はアイドル業で鍛えた賜物。

「み、皆のもの、祭りを、た、楽しんでるかえ……ますか」

 王女も司会をするがパニック中。頑張って微笑むが、言葉はしどろもどろ。
 人前に立つ事が多いとはいえ、それは王女としてで、イベントの司会などやったこともない。それに何せ10歳だ。
 でも、このイベントが成功し、海外から注目されれば、外貨が稼げる。
 キャンバスに描いたご馳走だけじゃ、お腹はふくれない。そう教わったから。自分の出来る事を精一杯頑張ると決めた。
 一生懸命な王女に奏は声をかける。

「ここは私に任せて。歌って踊るだけがアイドルじゃないよ!」
「た、頼りにしている」

 奏の袖をぎゅっと掴んで、王女は顔をあげた。
 そこから奏は軽快なトークで場を温め、観客の期待をあげて行く。
 さあ、メインステージの開幕だ!

「トップバッターは夏より熱く激しいこの二人『Rot Schmetterling』」



●Rock 'n' Roll
 スモークが焚かれ、白いライトが灯る。ステージの上に二人のシルエットが見えた。視線を絡め、笑みを浮かべる。

「ケイと何か演るのも久々、だな」
「そうね。……腕が錆びついてないと良いけど」

 ケイ・リヒャルト(la0743)のSっ気を含んだ挑発に、ヤナギ・エリューナク(la1009)は嗤った。当たり前だと言うように。
 腹の底にズドンと響くようなベースの重低音と、メロディアスな旋律に、会場は一瞬で静まる。
 舞台の照明がパッと消えた。
 直後、雷のように激しい爆音が響き、赤いライトが灯る。
 ステージの上にケイとヤナギの姿がくっきりと浮かび上がった。
 黒いゴシック衣装の上に、艶やかな打掛けを羽織った姿は、まさに和パンク。異国情緒と最新ファッションが混じり合い、エオニア王国の人々は見たこともない演出に度肝を抜かれた。
 ヤナギのベースにケイのギターが重なり、ハードロックなビートが、会場の空気を熱く塗り替えて行く。自然と歓声が湧き上がった。

『ぶつかり合う 視線と視線 舞い散る花弁』

 ケイの歌声が遠くまで伸びる。二人は激しくぶつかる様に見つめ合い、バックスクリーンに花弁が舞う。結い上げた頭に飾られた黒い蝶が揺れ、紫のレースがケイの黒髪を彩る。

『キミは咲く そう 夜空に大きく瞬くように』

 ケイの表情はクールに、ミステリアスに、しかし歌声は華奢な身体に似合わず力強く、けれど透明感と抑揚が効いていて、人々の心に自然と染み込んでいく。
 ケイは歌い、ギターを奏でる。ヤナギのベースと掛け合い、競合い、海辺を駆け抜けて行く。
 二人の演奏に合わせるように、あらかじめ打ち込みで用意していたキーボードとドラムの音が響き、音が溶け合う。
 そこで、急に音がやんだ。

「かかって来い……っ!」

 ヤナギの叫びと共に、ハードな爆音が鳴り響く。その挑発に、ケイは妖艶な笑みを浮かべて応えた。

『キミは咲く そう 胸打つ鼓動が早鐘と化して往く』

 真夏の夜の如き、暑さと妖艶さを含ませた声が、心を、身体を火照らせ。
 ベースの音が、歌が、絡み合い、溶け合い、観客の身体中に響き渡り、熱く魂を滾らせる。
 日差しとライティング、激しい歌と演奏に汗がステージに飛び散った。
 それでも二人は止まらない。圧倒的な疾走感と熱さで、皆の心を別世界の入口まで引きずり込んで行く。
 歌声が途絶えると、ベースソロの時間だ。

「暴れよーゼー」

 ヤナギは激しく体を揺らしながら、時に早いビートを刻んで翻弄し、時にメロディを織り込んで音で魅了し、心を煽りたてた。
 奏でながらケイに目で合図した。もっと、もっと、熱く激しい歌を聞かせろと。ケイの歌はこんなもんじゃないだろと。
 もちろんと唇の端を釣り上げ、ケイは叫んだ。

『爆ぜろ 吠えろ 理性なんて吹き飛ばせ 前を向け 咲き誇れ 心を解き放て』

 この国は復興の只中だ。だからと言って暗い顔して、我慢してばかりで良いはずがない。時には熱狂に身を任せ、明日へ進む活力を生み出せ。
 そんな魂の叫びが観客の心に熱を刻みつけて行く。ライセンサーだけが英雄ではない。自分の人生は自分が主役なのだと。
 観客達も自然と音楽に乗って、体を揺らし、腕をふって声援を送り出す。

『キミは咲く そう 誰もがHERO』

 余韻を残しケイの歌声が宙へ消えて行く。ヤナギのベースが、最後の一音まで響き渡った。
 一瞬音が途絶えた。あまりの衝撃に観客は声を失ったのだ。この国で、生のロックを聞いたものは少ない。ネットではないライブは、こんなに刺激的なのかと。
 そして直ぐに大きな歓声が沸き起こった。

 ステージ裏の楽屋で、二人はミーベルドリンクを一気飲みして一呼吸。夕方のライブまで休憩して体力を回復しないと持たない。
 ヤナギは煙草を咥え、紫煙を燻らせ、目を伏せる。

「相変わらず、良い歌だな」
「ふふ、ヤナギの音も、熱くてよかったわ」
「一杯やりたい所だが……」
「夜に付き合ってあげるわ」

 まだライブは終わってない。最後まで全力で歌いきる為に、喉を労る歌姫だから。



●アイドル中継
 奏はステージから砂浜へと歩きつつ、眩しい笑顔をカメラに向けた。
 流石に人混みの中、王女が歩くわけにもいかず、ステージで待機中。

「ミーベルステファノスの話題をみなさんにご紹介します」

 果冠祭で起ったイベントは事前調査済みだ。祭りの様子をカメラで撮影し、編集してネットにアップし、祭りの賑わいを世界中に届けたい。
 エオニア王国を世界に紹介する。それもまたアイドルの仕事だから。

「祭りのゆるキャラマスコット、ミーベルちゃんです。こちらはナイトメアでない着ぐるみなので、ご安心を」

 ミーベル型に円らな瞳と手足の生えたゆるキャラマスコット。
 祭りにゆるキャラ風の敵が出没する珍事件があった。あの敵より、ずっと可愛いミーベルちゃんが子供達に手を振る。
 次に奏は砂浜の特設スペースに飾られた、3枚のペイントアートの前に立った。
 ライセンサー達が水鉄砲や絵筆をとって書いた絵だ。
 咲き乱れる花々。躍動感あふれる馬、そして王女とエオニア国の人々とそれを守るライセンサーが並ぶ。どれもイキイキと鮮やかに描かれていた。

「この絵のように、この国の皆さんを、ライセンサーは守ります」

 ナイトメアの襲撃が起こった危険な国というイメージを払拭し、世界の人々にこの国へ訪れて欲しいというアピールとなるだろう。
 最後に奏は屋台が並ぶ砂浜を歩き始める。
 エオニア王国らしい風土料理だけでなく、祭りの最中にライセンサーが考案した菓子が並んでいた。

「あのお店は先日ライセンサーのみんなで考えた料理を提供してるんです!」

 ミーベルのムースやヨーグルトプリン、タルトにフルーツポンチ、ミーベルとヨーグルトのアイスバー。どれも美味しそうだ。
 試食レポートと、奏がはむっとアイスを齧った。

「どれも美味しいです」

 カメラ目線でアイドルスマイル。



●屋台・前半
 少しだけ時を遡る。
 モニカ(la3729)は祭りの為に、山へ分入った。山を遊び場として育った野生の感と、登山家としての技術を駆使して、獲物を追って、野鳥を獲って、即座に下処理も済ませて。
 大量の獲物を持ってフェス会場に到着し……そこで気づいた。
 獲るのに夢中で屋台の手配を忘れていた。
 鳥を両手に持って、さてどうしようと立ち止まる。そんなモニカに声をかける物がいた。

「よう嬢ちゃん、ちょっと手伝ってくれないかい? なに、その可愛さを振りまいて客を釣るだけの簡単なお仕事だよ」

 営業スマイルを浮かべケヴィン(la0192)が手招きをしている。
 どこかであった事があっただろうか? 果たして信用して良いのだろうか? 躊躇っているうちに、ぐいぐい背を押される。

「まあまあ、それほど難しく考えず、合同屋台って事で、肉を売るついでに、かき氷も売ってくれれば良いから」
「え、ちょっと、あたしは料理を──わ、わかったよ、手伝うから、場所かしてね」

 売り場に困ってたのは確かである。渡りに船かもしれない。
 狩りで汚れた衣服から、華麗に水着に着替えて売り子でゴー。涼しげでスポーティな健康的な水着姿は、人々の目を引いた。

「その鳥で何を作るんだ」
「『海と空と大地のまじわるところ』を作ろうかなーって」

 『海と空と大地のまじわるところ』とはエオニア王国の幻の料理だ。先日の任務で王女と一緒に、この料理の復活を手伝った。
 レシピは複数考案されたが、今回は鳥ガラで出汁をとって、肉と野菜を煮込んで塩胡椒で味付ける、簡易版を作るつもりだ。
 一方ケヴィンはかき氷の為に、大量の氷とシロップを用意。雪の様なふわふわかき氷が作れる機械も借りた。

「このクソ暑い中、水分と涼を同時に取るならこれだろ。フェスとステージの熱気にやられないよう、一人一杯買って行くといい」

 苺、レモン、ブルーハワイ、みぞれ、コンデンスミルクと各種カラフルなシロップが並べられると、どれを選ぼうか迷うくらいだ。さらに今話題のミーベルかき氷もメニューに加えて。
 これだけ氷菓が揃った店を、アイス教徒が見逃すはずもなく──

「瑛士。かき氷を食べましょう」
「桃ちゃん、アイスバー食べたばかりだよね?」
「アイスとかき氷は別腹です」

 当然でしょうという顔をする桃簾(la0911)を見て磐堂 瑛士(la2663)は諦めの境地だ。
 売りがいがありそうな客の登場に、ケヴィンはすぐ食いついた。

「隠しメニューのみぞれ酒もどうだい。そう、凍らせた酒をかき氷にしたものだ。病みつきになるぞ」

 日本酒、洋酒、ワインと、種類も豊富に揃えて準備万端。
 酒を凍らせるという、新たな氷菓との出会いに目を輝かせ、桃簾は瑛士の袖をグイグイ掴む。

「あ、未成年だし、普通の……」
「じゃあ、こっちのシロップから、セルフサービスかけほーだい」
「かき氷ですよー、ふわっふわですよ!」

 モニカの差し出す削り氷を受け取って、瑛士は何をかけるか悩みだす。
 氷を削りつつ、火にかけた鍋の様子をちらっ、ちらっ、と確認するモニカ。肉も野菜も柔らかくなって食べ頃だ。
 仕上げに粒胡椒をガリガリ潰してかけると、食欲をそそる香りがふわりと漂う。

「これ、お酒とセットで売っちゃう?」
「そりゃ良いな」

 それではお酒に合うよう、やや濃い味付けにしよう。ぺろりと味見して、塩気をたした。
 鳥料理の準備は整った。販売開始だ。

「エオニアのとりはお酒にもいいよ、どうですかーっ」
「話題のエオニアの鳥と合わせて食えば、天にも昇る心地さ。後悔はさせないよ、保証しよう」

 二人の元気な売り文句が、暑い砂浜に響くと、人々が集って買いにくる。
 ケヴィンが小さな女の子にかき氷を手渡すと、嬉しそうに受け取った。

「はい、お嬢ちゃん」
「ひんやり美味しい」
「『海と空と大地のまじわるところ』ってこんな料理なのか」
「他にも色々ありますよ!」
「今度家で作ってみるよ」

 モニカの楽しげに笑顔を浮かべると、客もにっこり。
 ケヴィンはライブをBGMにかき氷を売りさばきつつ、時折、視線をメインステージへ滑らせた。




 別の屋台では、吉野 煌奏(la3037)と加倉 一臣(la2985)がクレープアイス屋の準備中。
 一臣は屋台にビタミンカラーのガーランドを飾り。煌奏は空きスペースに果物型のランタンを置いた。
 果冠祭のランタンを川に流すイベントで作られ、余った物を分けてもらったのだ。

「はい、煌奏ちゃんエプロンこれで」
「臣小父様とお揃いですね」

 一臣が用意したのは、ダークブラウンに果物の刺繍がさりげないカフェエプロン。副業でデザイン業務をするくらいにセンスが良い。
 煌奏は手際よくクレープの生地を次々と焼いて冷ましていく。

「片手で食べられる冷たいものですし、何より私が食べたいですし♪」
「おっ、手付きがいいね! しかしずいぶん生地を焼いたな」

 姪っ子の様に可愛い煌奏の調理姿を、目を細めて見守る一臣の姿は、完全に親戚のおじさんのそれ。

「だいじょぶだいじょぶ。残れば私が食べますから。変わった果物もあるんです? じゃ、それもトッピングの種類に追加で」

 甘いものは大好物だ。この国の果物ミーベルにも興味がある。屋台のどこかにミーベルデザートコーナーもあるらしい。
 一臣は果物の担当だ。手際よく皮をむいて、小さくカットし、トッピング用に分けて行く。
 準備がひと段落した所で、調理は煌奏に任せ、呼び込みを始めた。

「冷たくて甘いデザートはどう?」

 人懐こい笑顔で声をかけられると、みな思わず立ち止まってしまう。
 冷たいデザートの言葉を、アイス教徒センサーは聞き逃さない。

「瑛士。アイスが乗ったクレープです」
「今かき氷食べたばかりでしょ!」

 瑛士の嘆きは、暑い日差しに溶けて消えた。
 かき氷という言葉を耳にして、煌奏は心の中で微笑む。
(甘くて冷たぁいものが食べたいですねぇ♪)
 後で臣小父様とのデートで食べに行こうと脳内メモ。
 桃簾がお財布を用意すると、煌奏は営業スマイルでメニュー表を指し示す。

「追加料金でトッピングも増やせますが、どうですか? 苺にチョコソース、バナナなんかも冷たくても美味しいですし、葡萄もミーベルもいけますよ?」

 思わず全部と言いかけて、ぐっと思いとどまった。食べすぎたら、この後の盆踊りに差し障りがある。

「プレーンに、バニラアイスマシマシで」
「はあい。そちらのお兄さんは?」
「バナナチョコ、アイス抜きで」

 もうアイスは遠慮したい。
 一臣が料金を受け取って、煌奏は機嫌よく、手際よく、二人分のクレープをくるくると巻き、バニラアイスを乗せた。

「お待ちどうさまでした」
「ありがとうございました」

 親子の様に仲の良い二人に見送られながら。
 客足がひと段落した所で、煌奏は一臣を見上げてにっこり。

「臣小父様、ひと段落したら煌奏さんと一緒に他の屋台を見に行ってくれます? 出店だけじゃつまんない。デートしましょ? 小父様! 本命そっちですもん♪」
「もちろんだとも、俺もそれが今日の本命だからね。早めに売りさばいて出かけよう」

 煌奏と一臣のクレープ屋は盛況で、あっという間に売り切れて、クローズと書かれた紙が屋台の上におかれた。



●向日葵とレモンのステージ
 メインステージの舞台裏で、桜壱(la0205)は、かちんこちんに固まって、じっとステージを見ていた。
 青と黄色のアロハ衣装に向日葵の飾りを胸に、腕をぐるぐる回して肩慣らしと、心の準備! を!

「練習たくさんしたのでIが、頑張ります!」

 ピアノ練習1年目。大きなステージは始めてだ。先生が一緒なのは心強いが、それでも緊張する。
 そんな相棒を微笑ましく見守るのは、青と黄のアロハシャツ姿の化野 鳥太郎(la0108)だ。

「桜壱さんなら大丈夫だよ。舞台を楽しもう」
「はい! これを!」

 化野の肩にお揃いの向日葵飾りを、安全ピンでくっつけた。エオニア王国の伝統模様の布を、つまみ細工の様に加工して作ったのだ。

「これも桜壱さんが作ったの? この前のも良かったけど、この向日葵も綺麗だね」
「今回の幼女もこだわりました!」
「だからナンデ?? 幼女??」

 思わず顔が宇宙猫顔になりそうだ。パレードの時にも聞いたが、未だに意味がわからない。
 常陸 祭莉(la0023)はそんな二人のやりとりをぼんやり見ながら、ポツポツと呟く。

「歌ったこと……ないん、だけど……。聞くだけで、十分、なのに……」

 チョータローのライブの手伝いができればいい。そう思っていただけなのに、いつの間にかステージに上がる事になってしまった。
 練習もしていない飛び入りで、音楽も経験もない。パフォーマンスなんて出来ない。そう思うのだけど、腕の相棒シルヴァは『勢いが大事』と訴える。
 桜壱が差し出す向日葵の飾りを受け取って、そっと握った。
(母さんが見たら……すごく笑うだろうな……)
 それでも友達と一緒だから、少しだけ勇気を出して。お揃いの向日葵を胸に。


 一方舞台の上には、戻ってきた奏と王女の姿が。
 Ashen Rowan(la0255)は舞台裏で演出担当として、スクリーンや照明の操作をしつつ、じっと王女の姿を見ていた。
 王女と一緒に任務で料理を作った。あの時もそうだが、今回も無理をしすぎではないだろうか?
(幼子は……本来、無邪気に祭りを楽しむべきだ──楽しませるのは大人の役割だろう)
 とんとミーベルちゃんの肩を叩いて、舞台を指し示す。
 壇上に上がったミーベルちゃんは、観客に手を振りながら王女にそっと伝言を伝えた。
 もう、舞台裏に下がって良いと。
 ミーベルちゃんと入れ替わりで、舞台裏に戻ってきた王女に、桜壱はかき氷を差し出す。

「Iの作ったかき氷ですっ!」

 ヨーグルトと牛乳を使った氷で作られたかき氷が、とても美味しそうだ。
 緩みかけた頬を引き締めて、王女らしい言葉遣いで感謝を述べる。

「お気遣い感謝いたします」

 汗だくで、火照った体にひんやりが嬉しい。一口食べて、強張っていた顔に笑顔が浮かんだ。

「美味しい!」

 王女ではなく、10歳の少女らしい、あどけない笑みを浮かべて、夢中でかき氷を食べる。急いで食べすぎて、頭がキーンとする程に。

「スムージーもどうぞ♪」

 佐々音 紗緒(la0165)が差し出したミーベルスムージーを、コクコク頷いて一口。ほうっと息が溢れた。

「イルカ的アイドルの佐々音 紗緒なのです! さぁ、盛り上がって行きましょう♪」

 ここからは自分達に任せて、王女様には特等席でご観覧を。
 そういう思いを込めて、仲間達と手を重ね円陣を組む。

「ファイト! おー!」

 紗緒と桜小路 ひまり(la3290)の二人は夏空色のワンピースでお揃いに、レモンのラインが爽やかに。向日葵の飾りもつけて。
 侃(la1158)も二人と同じデザインだが、ダンス用にホットパンツだ。

 大切な相棒である、イルカのぬいぐるみイーリュンを頭に乗せ、紗緒はステージの向こうの海を眺める。

「夏だ! 海だ! イルカの季節だ! イーリュンも一緒だぁ!」

 壇上に立つ奏はアイドル部のリーダー。
 アイドルとして同じステージに立てるのは嬉しいから。元気よく舞台へとびだせ。


「……偶には魔法使いの真似事も良いだろう」

 Rowanはライトを絞って、ステージを暗くし、メンバーが配置につくのを待っていた。
 IMDは想像力を形にする。想像力で演出を彩れないかと考えたが、スキルを自在に操る事はできなかった。
 せめてライトやスクリーンの映像で演出をと、試行錯誤する。

「それでも……少しは舞台に花を添える事も出来るだろう」

 輝く様な演者達を、影で支える魔法使い。


 暗い舞台の上で、一箇所スポットライトがつく。奏が観客に手を振った後、舞台の中央を指し示した。

「爽やかな海、夏の激しさ、甘酸っぱいレモンのような、パレードでも活躍したこのグループ」

 奏が観客に紹介している間に、化野がピアノの席に着くと、桜壱も隣にうんしょと座った。今日は二人で連弾だ。
 セコンド担当の桜壱だが、楽屋で緩んだ緊張の糸が、いざ本番とカチコチに。

「大丈夫でしょうか、大丈夫でしょうか……!」

 小声で呟く桜壱に、プリモ担当の化野は、鍵盤の上に手を滑らせ微笑む。
 さあ、一緒にと誘う様に、音合わせの一音。
 ぽろんと溢れる音に合わせ、恐る恐る桜壱も一音。
(大丈夫、フォローはするからね)
 そう思いを込めて、息を吸って前奏曲を奏で、朗々と語る。

『集まった果物を、女王は国中で分け合って、思い出は種と残りました。想いを込めてその種を埋め、さあ、音楽と言う名の魔法をかけてみせましょう!』

 化野の奏でる魔法の様なメロディーに合わせ、桜壱も思い切って弾き始める。
 ピアノの音色をバックに、侃は大型水鉄砲の引き金を引いた。

『種を蒔き水を浴び 胸に1つ大輪の花を咲かそう。今日を思い切り生き抜き、咲き誇れ!』

 言葉と共に放たれた水は、シャワーの様に舞台に降り注ぎ、ひと時の清涼感を演出する。日差しを浴びて虹色に光った。


 前奏曲を終えると、海辺に似合う、爽やかで透明感のある、明るい曲が紡がれる。
 Rowanの操作でライトは青に変わり、スクリーンに青空と海が映る。セットの後ろの海の景色と重なって、まるで舞台が海の上の様だ。
 イーリュンを抱え紗緒は跳ねた。その踊りは海面を飛ぶイルカの様に、生き生きと楽しげで。キラキラ輝く。
 紗緒は歌う。伸びやかに、爽やかに。
 ひまりは仲良しイルカの様に周りで踊り、祭莉はイルカの鳴き声の様なコーラスを。
 事務所仲間の侃は、水鉄砲で紗緒の上に雨を降り注かせる。暑さがちょっと苦手な紗緒には、涼しい雫が癒しで、観客から見れば、水飛沫の演出に見える。
 最後に大きくジャンプして、歌を終えた。


 次は侃だ。スクリーンはオーロラを写し、青から銀へ、煌めく星の様に、ライトが瞬く。
 体をゆったりスイングし、弾けるステップを踏みながら、陽気なジャイブの足捌きで踊る。時にはひまりの手をとり、くるりとターンを決めて見せ、快活な笑顔を浮かべて。

 ピアノのテンポはアレグロに、疾走感を増していく。侃のステップも、どんどん加速する。
 音に乗って、激しさとキレの良さを出しながら、体全体を使って、ダイナミックに躍動する。
 夏の暑さの様に、情熱的に、風の様に、駆け抜ける。侃の笑顔はどこまでも陽気で、苦しさを感じさせない。

 ──速度が頂点を増した所で、一気に全身を弾ませて跳ね、音と踊りがピタッと止まった。

 その圧倒的なパフォーマンスに、観客が盛大な拍手を送った。それを受け一礼し、仲間へ振り返って、一緒に踊ろうと手招きする。

 曲調が明るく、楽しく、輝くようなPOPSが弾けるヒップホップに変わり、侃をセンターに4人が踊りだす。ゆったりと、リズミカルに歩く様な振り付けだ。
 踊りやすい振り付けだが、踊りなれてない祭莉は、ステップを間違えぬ様、侃の足元ばかり見てしまい、うつむきがちだ。
 隣のひまりがこそりと囁いた。

「間違ってもええんよ。楽しく、笑顔やで」

 間違っても良い。そう言われ顔を上げれば、観客は楽しそうにこちらを見ている。少しだけ不安が消え、祭莉の顔に微かに笑みが滲んだ。
 スポットライトが、踊る4人を追いかける様に照らした。
 4人で歩く。観客も歩こう。未来に向けて、みんなで。
 

 ライトがレモンイエローに変わり、スクリーンに青空が広がった。
 ひまりは弾ける様に飛び出して、お気に入りの拡張器マイクを片手に、軽やかに踊り、唄う。
 桜色混じりの金髪を、トレンドマークのリボンで結い上げ、ポニーテールが風に靡き、向日葵の飾りが付いたスカートが軽やかに揺れる。

 初めは優しく囁き、小鳥の囀りの様に愛らしく。
 甘酸っぱさを込めて微笑み、宙の彼方に羽ばたく歌声は、まさにレモンのような女の子。

『煌めく夏の欠片をリュックいっぱに詰め込んで』

 紗緒の声が重なり、侃は低音のコーラスで支える。3人の歌声が伸びやかに響いた。

 化野は一人一人のパートに合わせ、細やかに演奏を調整し、音が優しく寄り添う。
 さあ、楽しい音楽の時間だ。歌っておいでと後押しする様に。

 唄う。唄うよ。甘酸っぱく。奏でるは爽やかな青春の日々。
 でも、青春は明るく爽やかなだけじゃない。甘酸っぱさの中に、ちょっぴりほろ苦い大人っぽさものせて。

『貴方と一緒に浜辺を駆け回った、そんな日々に』

 楽しくて仕方ないとひまりの声は弾む。紗緒がぴょんとイーリュンと一緒に跳ねる。
 祭莉も3人に合わせ、一生懸命歌う。音感は良い方だから、何とか周りと合わせている。しかし腹から声が出ていない為に、声は小さい。
 周りのエネルギッシュな歌や、踊りや演奏に、圧倒されて掻き消されそうになりながら、それでも祭莉なりに懸命に歌う。

 桜壱もまた必死に楽譜を追いかけていた。瞳の桜が目まぐるしく点滅し、歌に、踊りに合わせようと、鍵盤の上を指が跳ねる。
(ちゃんと弾けてるでしょうか、楽しんでもらえてるでしょうか……)
 ただただ、弾くだけでいっぱいいっぱいで、観客の様子がわからない。不安で揺れる感情プログラムが、指の動きを狂わせた。

「あ……」

 一音間違えた。ミスしてしまったとぱにくって、あわあわとするうちに、どんどん音が狂っていく。
 その時、派手に高い一音が鳴り響いた。
 はっと気づいて隣を向くと、化野が微笑んでいる。それを見て落ち着きを取り戻した。
 大丈夫、一人じゃない。先生が一緒だ。
 それからやっと化野の音を聞いて合わせ、次第に慣れて余裕が出てきた。化野の優しい演奏にリードされ、桜壱の表情は生き生きし始める。
 二人の連弾が盛り上がってきた所で、Rowanlaはスクリーンを切り替え、映るは青空に舞い散る焔の桜吹雪。はらはらと舞う桜の花びらの映像が、桜壱と化野のセッションを彩った。
 楽しそうな歌声に合わせ、ピアノの音をそっと乗せる。
 人を支える事、助ける事、それが桜壱に課せられた使命であり、演奏もまた同じ事なのだから。


 連弾に一区切りついた所で、化野が舞台袖のRowanlaに視線で合図すると、スクリーンの映像がガラリと変わった。
 青空から赤へ。爽やかさから、燃える様な激しい恋へ。赤の焔が次々に色合い変える。花咲き乱れ、鳥が羽ばたく賑やかさで。
 ひまりの指先が未来を指し示し、ステップが跳ねる。地面に強く跡を残す様に。

『足跡を残すようにキスをしましょう』

 紗緒が『キスをしましょう』とリフレイン。少女特有のコケティッシュな色気を含んで。
 皆の声が重なり合って、溶け合った所で歌が終わった。


 唄が終わった所で、舞台に静けさが落ちる。一呼吸置いて、化野は桜壱に目で合図。
 スクリーンの焔が色合い変え、幻想の焔で描かれる女神が現れた。
 大きく深呼吸をし、想いを込めて、優しく鍵盤に指を滑らせる。
 重なる全てを一つにして、願うはただ一つ。

『ここに想い出が大樹の如く咲き、未来へ続きますように!』

 子供らしく純粋に目を輝かせ、舞台を見つめていた王女パティは、はっと気がついた。
 その言葉が、舞台から届く視線が、自分に向けられているのだと。
 パレードの時にも言われた。肩の力を抜いて楽しんでねと。あの時の曲も素敵だった。
 化野の顔を見ると、瞳が雄弁に語りかける。
(皆いるから、冠戴く君は決して1人じゃないから——どうか笑って!)
 思わずぎゅっと裾を握りしめた。
 頑張らなきゃ。母を、弟を支えて、自分がなんとかしなければ。そう必死だったが、手を差し伸べてくれる人がいるのは心強くて。嬉しさで泣きそうだ。
 でも、ここは笑おう。ありがとうという気持ちを込めて。

 曲の終わりに拍手が鳴り響く。
 それを聞いて桜壱はすとんと落ちた。言語に置き換える事が難しいが、ちょっと体温が上がる様な、足をぴょこぴょこ弾ませたくなる様な。
 これが『楽しい』という事なのかもしれない。
 演奏が終わる事を惜しむ声を聞き、水着客が多くいる所を狙って、侃は水鉄砲のシャワーを降らせた。

「まだまだ盛り上がれるね!!?」

 そうだ、まだ祭りは終わらない。ここからが本番だ。


●ドリンク&ストンプ
 ロレンツォ・オルジャーニ(la0377)はイケメンと呼ばれる部類の男である。見た目も整っているし、穏やかで礼儀正しいフェミニスト。
 しかし致命的な欠点があった。服のセンスが壊滅的な事だ。

「画伯Tシャツがエオニア王国で買えるなんて知らなかったよ、しかも限定なんてこんな嬉しいことはないよね!」

 水色の瞳を細めて、うっとりと微笑む。パイナップルを抱えたオスゴリラ女神コスTシャツを着てご満悦。

「ちゃんとみんなのサイズ分買っておいたからねえ、レオにはもちろんピンクだよ、最高だろう?」
「……」

 今回も衣装調達担当の黒田(la0245)から渡された、ピンクのゴリラTシャツに、レオーネ・ベラルディーノ(la0378)は思わず絶句した。
 オスゴリラが女神ってどういう事? まさかの7色展開? ツッコミが追いつかない。

「なんで……ゴリラなんだ黒田」
「いえ、必要だと伺いましたので」
「さすがにボクは洋服は着られないからねー。南国風な柄のスカーフでよろしく☆」

 ぬいぐるみ型である事を生かしたバレーノ(la0627)は早速逃げに走る。

「……すごいTシャツね!」

 そう言いつつ用意されたゴリTを、受け取り拒否したミランダ・ディアス(la0134)の顔は引きつっていた。

「……レオ、そのシャツは自画像なのかしら? よく似てるわ」
「ゴリラ似合ってるの」
「流石ゴリラだお」
「ゴリラじゃねぇって、何度言ったらわかるんだ、てめーら……人ごとだと思って!」

 キレ気味で振り返ると、ウェスペル・ハーツ(la3417)とルーキフェル・ハーツ(la3418)は、お揃いの短パンにノースリーブのゴリTを着ていた。

「るーのお気に入りだお。部屋着にしてるお」
「うーは緑色にしましたの、ブロッコリー色ですなの!」

 ふんすふんすと喜ぶ姿は本気で気に入ってるのだろう。

「ゴリT強そうですお、うほうほ!」
「うほうほ!」

 ルーとウーは二人仲良くゴリT姿でドラミング。その横でアリーチェ(la0626)は困った様に首を傾げた。

「みんな……お揃い、だから、着なくちゃ、ダメ?」
「いや、いや、いや。俺の天使には最高に可愛い服を用意しただろ」
「レオが着たくないっていうから仕方がない。アリー着てくれる?」

 笑顔でレオをチラ見しつつローリーは問いかける。もちろん最初からアリーに強制する気はなく、こう言えばレオが着るだろうという読みである。

「……わかった。着る。代わりにアリーとミラには着せるなよ」

 盛大にため息をついて、レオは黒のハーフパンツにピンクのゴリTを着た。髪は結んでマゼンダピンクのバンダナを巻く。
 アリーは青のキュロットと、白の清楚なノースリーブブラウスにお着替えだ。
 ミラは情熱の赤いチューブトップにホットパンツ。ポニーテールの下のうなじが健康的な色気を漂わせてる。

「……ここは天国か? 常夏の楽園か? 天使が眩しすぎるんだが。ミラも綺麗だぜ」
「パパ、ありがと」
「ありがと。レオも似合ってるわよ」

 美しき女性陣に満足し、サイズがなかったバレーノは仕方ないとして、野郎みんなゴリTか……と思ったら、黒田はダークグレーのハーフパンツに黒無地のTシャツだった。

「何で黒田は無地なんだよ」
「……えっと」

 困った黒田に助けるべく、バレーノが間に入る。

「クロダはイケメンだからね。イメージダウンで売り上げに響いちゃうといけないしね。レオは元からゴリラだから、イメージぴったりだよ」
「ワンコ……ゴリラじゃねぇって、言ってんだろ!」

 そんな風にわいわい言いつつ、皆で屋台の準備を進める。
 ローリー達が開くのは、新鮮なフルーツを生かしたドリンクスタンドだ。
 祭りのメインであるミーベルはもちろん、レモン、オレンジ、マンゴスチン、スターフルーツ、いちじくと、カラフルな果物の紙製ランタンを、飾り付けていく。

「可愛い、わ。南国のフルーツ、いっぱい、ね」
「バナナもあるですお!」
「ゴリラならバナナなの!」
「まだゴリラネタかよ……」

 果冠祭の最中にゴリラ型ナイトメアが出現したり、異世界からやってきたゴリラと謎のスポーツが行われたり、最近のこの国ではゴリラな話題が多く、謎のゴリラブームが一部界隈で起こってる……らしい。

「ふおお、人がいっぱいいますなの! うーたちもたくさん頑張りますなの!」

 ウーはドリンクを両手に抱え、歩く人々に元気よく声をかけて回る。

「いらっしゃいませなの! おいしいミーベルジュース飲みませんかなの! スムージーは特におすすめですなの!」
「できたてスムージーだよ!」

 バレーノはミキサーに果物を放り込んで、作りつつ呼びかけた。その隣で、アリーも皮剥きのお手伝い。

「アルコールはおっさん連中に任せてー、ボクたちは呼び込みとジュース作りだね!」
「お酒は作れない、から、ミックスジュースやスムージーを作るお手伝いをする、ね」
「ボクはミーベルを飲んでみたいな」
「私も。ミーベルたっぷりに、マンゴーや、バナナとか、ヨーグルトと合わせても、おいしい、みたい」

 どれにしようかな……と指差し迷うのも、また楽しい。

「ミックスベリー、も、いいね」

 小さな指先でベリーを摘んで、ジューサーに。その可憐な仕草に、どうせなら可愛い女の子からもらいたいな……という男性客がよってきたり。
 そこへさっと遮るのは、ひまわりの騎士・バレーノだ。

「アリーやミラに怪しい手を伸ばしてくるやつはガードしなくちゃね」

 愛くるしい肉球付きの手を振り上げた所で……それが触れる前に、マドラーが飛んできて、男の手に当たった。ローリーの投擲がクリーンヒット。

「……まあ、その前にローリーがマドラー投擲してるんだけどさ」

 飛距離を物ともせず、笑顔で『うちの子に手を出すな』オーラを漂わせた。笑顔さえもかなぐり捨てて、全力で殴りかかりそうな親バカの腕を掴んで引き止めながら。
 ミラをナンパしようとした男にも、同じくマドラーを投げつける。
 
「お触りとナンパはごめんなさい、怖いオニイサンにマドラーを刺される前に逃げた方がいいわよ?」

 パチンとウインクと共に発せられる警告は、ちょっと遅かったようだ。
 アリーはそんな様子に気づいてないかのように、微笑みながら、小さなお客さんにスムージーを渡していく。

「店員さんの真似をするの、楽しい、ね」

 みんなで一緒だから、もっと楽しい。

「青い海に青い空、心踊らす陽気な音楽! 足りてないのは何だ? そう、ごきげんなドリンクさ! さぁさ、一杯やっていきな!」

 レオの掛け声に、思わず客が立ち止まった。
 ローリーが柔らかな微笑みを浮かべ、巧みにシェーカーを振ってカクテルを作ると、お嬢さん達へ差し出した。

「やあ、冷たいドリンクはいかがかな?」
「い、いただきます」
「他にもミーベルスイーツの店があるらしいな」

 ドリンクを渡しながら、レオは他の店の話題を口にする。

「ミーベルのスムージーもおすすめだね、フローズンカクテルもできるよ」

 ローリーが明るくドリンクを売る間、黒田は飲み終わったグラスやプラカップの回収し、カクテルやジュースに使う原液や酒を用意し、果物をカットして補充する。
 女性客が黒田と話したそうにしてるのに、気づかずに裏方仕事に専念していた。見かねてローリーが声をかける。

「あちらのお嬢さん達に、飲み物を運んでね」

 了承して、トレーにスムージーを乗せ、女性客に差し出した。

「どうぞ、楽しい祭りのひと時を、お楽しみください」

 ice princeの一言に、女性客は頬を赤く染めた。
 そんなこんなでドリンクバーは大盛況……だが。

「うん、それとボク何回も言ってるけど、ゆるキャラとかマスコットじゃないんだよう。店員なの! うわーんまたもみくちゃにされる~」

 バレーノは子供達に大人気。引っ張られ、人混みに引き寄せられ、人々の間でぎゅうぎゅうだ。

「バレーノ様」

 そっと黒田が声をかけ、素早くバレーノを回収。
 迷子を見かければ誘導し、具合が悪い人がいれば救護班に連絡する。小まめに気遣い、冷静に裏方に徹した。
 仲間達が頑張っている間に、ルーはちょっと休憩中。

「ごきゅごきゅぷはぁ……」

 満足げな顔でミーベルジュースを一気に飲み干した。そのあまりの美味しそうな様子に、子供達がじっと見つめる。

「……はっ! えっと、とってもおいしいですお、いかがですかお! アルコールだけじゃなく、ジュースもたくさんありますお!」

 サボってるんじゃないよ。これもお店の宣伝だよ。
 アリーに頼んで、ミーベルとバナナのジュースを作ってもらうと、ルーとウー。二人掛かりでグイグイとレオに押し付けた。

「レオもバナナジュースどうぞですお」
「ミーベルとバナナのジュースはレオにもあげるの。バナナ多めだからおいしいの」

 レオと言いつつも、ルーとウーの視線はゴリTで、ゴリラに向かって話しかけている。

「お前らのアツいバナナ推し……」

 ゴリラ、ゴリラと言われれば不満だが、暑いし、喉はカラカラだし、ありがたくジュースを飲み干した。
 その隣で、ミラも水分補給と、スムージーを口にする。

「ステージも盛り上がってるけど、こっちでもたくさん盛り上げましょう! 美味しいドリンクとストンプで楽しんでくれるといいわね」
「そうだな。そろそろか」

 メインステージが一息ついて、休憩中。
 この辺りが頃合いかと、レオはパン! とパルマを打って合図した。
 朗々とカンテを歌い出すと、人々の視線がそちらに向く。
 ミラと黒田は客を誘導し、ドリンクスタンド脇のスペースをさっと開ける。

「練習の成果、しっかり見せましょ!」
「かしこまりました」

 バレーノは木樽の上にのり、アリーと目線を合わせた。

「ストンプ、たくさん練習したお!」
「ストンプはお任せくださいなの!いっぱい練習したの!」

 アリー達の隣に、ふんす、と鼻息荒くルーとウーも一列に並び、楽しそうにキャッキャと手を打ち鳴らす。

「この一時、お楽しみ頂ければ幸い」

 ローリーがそう挨拶をして、サンダルでバケツを蹴って、リズムを刻んだ。
 さあ、さあ、楽しいストンプの始まりだ。
 
 ドンドン、トン、ドンドン、トン。

 ローリーはバケツをカン! と蹴り、黒田がストローでグラスを叩くと、キン! と高い音が。
 ミラは赤いポニーテールを海風に靡かせ、艶やかな唇から歌の雫が溢れ出す。情熱的に叫ぶように、歌うと音が風に乗る。
 歌いつつ、膝や腿を素早く打ち鳴らしストンプ。

 ルーとウーが仲良く手拍子を初め、バレーノはステップを踏んで、樽を蹴る音で彩っていく。この日の為に練習してきたかいがあって、実に巧みだ。

「たくさん練習もしたし、ボクらなら息もぴったりさ」

 そう言って、バレーノはアリーを誘うように手を伸ばす。
 アリーもともだち達の真似をして、手拍子を打つ。
 賑やかなステージの合間に、ここでストンプをする。そう聞いていた。
 ストンプとは、楽器を使わずに、手拍子で、足踏みで、叩いて、楽器みたいに鳴らすダンスだ。
(動きのプログラムは組みこんだけど、それだけじゃだめ、って言ってた)
 これで大丈夫なのだろうか? と気になる。
 すると隣に並んだレオが、愛娘の顔を覗き込み、手拍子をして見せる。それを真似すると、レオの笑顔が輝いた。
 ミラの歌声に合わせ、アリーが拍子をすると、バレーノがそれで良いんだとばかりにハイタッチ。
 なんだか、わくわくしてきて、自然とリズムが楽しげになり、そんなアリーの小さな拍手に、寄り添うようにレオの力強い拍手が重なる。
 ミラの真似をして、アリーが小さく歌う。賑やかな音に掻き消される、小鳥のような囀りを、レオだけは聞き逃さず、心の中で密かに歓喜していた。

 ドンドン、トン、ドンドン、トン。

 全員の息がピッタリあったリズムと、楽しげな雰囲気に、魅入られ、ドンドン人が集まっていく。
 ルーとウーが両手に砂浜の砂を抱え、バッ! とバレーノに撒き散らすと、観客は大笑い。バレーノはぶるると身を震わせ砂を落とすと、強くステップを踏んだ。
 樽の上に巻かれた砂を、すり足で擦ると、ザッ、ザッ、という独特の音が混じり、さらに楽しげなストンプになっていく。これも演出かと観客は感心した。

 黒田がストローでグラスを叩きつつ、屋台の天板を手で叩く。リズムに乗って叩く表情は、いつもの作り物めいた笑顔より、ずっと柔らかく、思わず言葉が口から零れ落ちた。

「大勢と何かをするのは楽しいものですね」

 その姿を見て、ローリーも隣でグラスを叩き、笑みを浮かべた。
 黒田に祭を楽しめと言うと、コマンドとして受け取って実行しようとしてしまう。
 命令ではなく、自然と祭を楽しんで欲しい。そう願うから。

 ミラは軽快に踊り、激しく動き回って、観客達をひらひらと手招き。
 情熱の乙女の陽気な歌が、人々の心を興奮に導き、白魚の指先が踊りの世界に誘う。
 注目を集めた所で、手拍子をして、また手招き。

「あら? 踊らないの?」

 客に視線を合わせて、手拍子で煽る仕草をした。

「踊りたい人は一緒にどう? 即席ステージの始まりだよ!」

 バレーノが呼びかけると、ミラはハイタッチのように手を打ち合わせ、音を刻む。レオに視線で誘うと、任せろとばかりに、歌が返ってくる。
 二人の歌が掛け合い、アリーとバレーノが仲良く手拍子を打つ。
 ルーとウーも膝を叩くのだが、どんどん音が加速していくと、少し音がズレていく。
 それでも慌てない。多少ずれても気にしない、楽しむことが最優先!

「楽しいと思ったらきっとうまくいくの!」
「ふぉー! うまくいくお!」

 きゃっきゃとはしゃぎながら、元気よく体全部を使って、大きく踊り、膝を手を叩く。
 そんなルーとウーの姿を見て、アリーは目を細める。

「みんなも、自分も、楽しいと笑顔になる、ね」

 ルーとウーは叩きながら、こくこく頷いた。
 その楽しげな様子に観客の子供達が、そわそわしだすと、双子の二人は元気に飛び出して、両手を大きく掲げた。
 子供達は嬉しそうに、その手にハイタッチし、そのまま真似して、膝を叩き出す。

 子供に釣られるように、大人もまた手拍子を打ってストンプを始め、興奮した歓声が混じり出す。

 ドンドン、トン、ドンドン、トン。

 演者と観客が一体となって、皆の心が繋がって、明るく、楽しく、音が刻まれていく。
 最高に盛り上がった所で、一旦お終い。
 双子達は人々の中心で、満開の笑顔を浮かべ、最後の決めポーズ!

 暑い日差しの中で、手拍子を打ち、踊り、ちょっと疲れた所で、レオが明るい声をあげた。

「さ、喉が乾いたらもう一杯どうだ!」

 汗をかいた後のドリンクは、最高に美味しい。

 黒田は賑やかな人々の姿を写真に撮る。今日の想い出を形に残す為に。しかし撮ってばかりでは、黒田は映らない。それでは『皆』と言えないだろう。
 ミラがカメラを取り上げて微笑む。

「クロダ。お客さんに、頼んで撮ってもらいましょ。貴方も入らないとダメよ」
「……よろしいのでしょうか?」

 客に申し訳ないような気分で、戸惑いつつ、仲間達の輪の中へ。一緒に揃って記念に一枚。



●太鼓&盆踊り
 砂浜の一角で、ストリート式打楽器教室が開かれていた。講師はもちろんゴルジュ・ラストスタンド(la3043)だ。
 パレードで親しくなった現地打楽ッカーに、打楽器に興味がある人々を、集めってもらえる様に頼んでいた。

「ミーベルの曲はあるかの?」
「こういうのは?」

 子供がこの国で馴染み深い童歌を歌って見せると、それに合わせてゴルジュは太鼓を叩く。わっと歓声が上がった。
 まずは慣れ親しんだ曲から始める。子供達に主導権を委ねながらも、要所要所で適切なアドバイスをしていく。
 軽妙なリズムで、明るくカラッと、エオニア王国らしさを表現した。
 子供からお年寄りまで、小さな太鼓に、大きな太鼓。ゴルジュを真似て、拙いが楽しげに、叩く姿を目を細めて見守った。

「素人同然。だが祭りを取り戻す祭りに彼らがいないのはな」

 祭りが終わった後に、この国の人々だけで楽しめる、何かを残したい。練習の後は本番の舞台もある。

「この後のメインが君らの目標だ」

 ちらりと横を見ると、木箱並べて作られた簡易櫓があった。その上には、段ボールと麻紐で作られた太鼓二張置かれている。
 桃簾もまた、祭りの後を考えて、調達が容易な材料を敢えて舞台を用意したのだ。

「この国の民が気に入ってくれたなら、有る物で手軽に楽しめる方が良いでしょう?」

 そう言いながら、瑛士に法被を渡した。桃簾は紺地に花火柄の浴衣に着替えている。花名の友人に教わって、着物の着付けにも慣れた。
 桃簾の艶やかな浴衣姿を横目に、瑛士は肩を竦めた。
 傍から見ればやる気高い勢に見えるのだろう。それがちょっと気恥しい。そう思いながら、瑛士はTシャツの上から法被に腕を通す。

「桃ちゃん楽しそうだからいいか。そういや盆踊りって最後にやったの何年前だ?」

 照れ臭い笑みを浮かべつつ、小さい頃の懐かしい雰囲気を想い出す。祭りの賑やかさに、胸を躍らせた日々を。

「瑛士? どうしました?」
「いや、ちょっと昔を思い出して。きっといつかこの日が桃ちゃんも懐かしく想える。そんな想い出に成ればいいね」
「夏の想い出ですか?」
「誰かとの夏ってのは結構楽しいもんだ」
「そうですね。では、太鼓をお願いします」

 法被の袖を引いて、櫓の上の太鼓へ導く。瑛士は打楽器教室を遠目に見つつ、肩慣らしにどどんと叩いた。
 賑やかな太鼓の音に惹かれ、人々が集まってくると、桃簾は優美にお辞儀し、微笑んでみせた。

「さあ、異国の音楽とダンスはいかが」

 瑛士に目配せすると、盆踊りに合わせて、太鼓の音が変化する。
 櫓の下でゴルジュも合わせ、太鼓のリズムを変える。生徒達もそれに続いた。

「ふむ。なるほどな。で、あれば、あ、そーれ!」

 太鼓のリズムに合わせ、桃簾は盆踊りを舞う。背筋を伸ばし、笑みを浮かべ、白魚の指先で客の一人を指差した。

「簡単ですので──はい、そこの貴方! ようこそ」
「え? 私?」

 客は驚きつつ櫓の前に立ち、桃簾を真似て踊り出す。

「はい、右、左、ぱぱんがぱん♪」
「ぱぱんがぱん♪」

 子供が楽しそうに真似をし始め、少しづつ盆踊りの輪が大きくなっていく。

「おーい!」

 櫓の上で太鼓を叩いていた瑛士に、ゴルジュが声をかけた。太鼓を交代しようと。
 ゴルジュに太鼓を任せ、瑛士も盆踊りの輪に混じって、桃簾と一緒に客を踊りに招き入れる。
 子供に踊りの振りを教えつつ、一緒に踊った。

「そうそう。上手いもんだ。その調子」
「堅苦しい作法などありません。楽しむことが一番です」

 そう話す桃簾の笑顔が、何より楽しげで、瑛士も釣られて笑みを浮かべた。
 二人並んで踊りながら、ポツリと桃簾は囁く。

「わたくしも地球で言えば王女の立場。パルテニア王女の重責は……多少なりと分かりますので、力となれたでしょうか?」

 遠くメインステージに目をやって、パレードの日に見た王女の姿を思い浮かべる。
 とても緊張していた。でも飴を差し出した一瞬、頬を染めた表情は子供らしい愛らしさで。

「桃ちゃんの気持ちは伝わったと思うね。なんとなくだけど、あのパレードより、今日の方が、もっと気楽な感じだし」

 パレードは伝統の復活であり、このフェスは新しい時代の幕開けなのだ。
 この盆踊りも、そんな現代的な流行の始まり。

「瑛士には懐かしく、わたくしやエオリアには新しい風。この祭りを最後まで楽しんでくれたらと思います」
「そうだな」

 ゴルジュのダイナミックな太鼓の音を聞き、子供が真似して小さな太鼓を叩く。
 大人が楽しげに手を打ち、腕を振るって、盆踊りを踊る。
 みんなで輪になって、仲良く、くるり、くるりと回れ回れ。過去と未来を繋いで、新たな時代へ風よ吹け。



●屋台・後半
 エプロンを外して煌奏はお出かけ服にお召し替え。一臣に買ってもらったお気に入りの服だ。胸を張って、上目遣いで笑みを浮かべた。

「どうだー! 煌奏さん可愛いでしょー? えっへん!」
「いやぁ、すっごい似合ってる! すごい可愛い!」

 一臣は可愛くて仕方がないとばかりに、笑みを浮かべ、煌奏に手を引かれて歩いた。
 残してあったクレープを、煌奏は美味しそうに食べ終え、次へと誘う。

「臣小父様。次はかき氷にしましょ! 煌奏クレープ作り頑張ったんで、ご褒美くださいなっ」
「ああ、もちろん。かき氷だけじゃなく、何だか肉の美味しそうな匂いがするね……」
「あっ! ケヴィンさん」
「吉野さんもきてたのかい。どうだ、かき氷の一杯。そちらさんは、酒がイケる口なら、酒のかき氷を」
「それは良さそうだね」
「一緒に鳥料理はどうですかー! エオニア王国伝統料理『海と空と大地のまじわるところ』だよ!」

 モニカは元気よく鍋から鳥肉をよそる。仕上げに胡椒をさっとかけると、食欲をそそる匂いが漂った。
 煌奏はそれを受け取って、にっこり笑顔。

「臣小父様♪ あーん!」

 可愛い煌奏に差し出されれば、口を開けないわけがない。ズボッと突っ込まれたその肉が、火傷しそうな程に熱くても。

「……あっ、あふあふ!」
「ふふっ! 私は冷めてからいただきますね。猫舌なので。熱いなら、氷で冷やしましょうか」

 熱々の一臣の口の中に、かき氷の塊をズボッと。頭がキーンとしそうな量で、別の意味で悶えそうになりながら、酒の香りがするかき氷を味わった。

「楽しそうですね。……ケヴィンさん?」

 モニカはケヴィンの意識がメインステージに向いてる事に気がついた。何だか楽しそうに見える。
(化野君のピアノ、良いよね)
 メインステージの音が良く聞こえるから、ここに屋台を作ったのだ。
 日が傾き始め、太陽と海はキスしそうな程に近い。もうそろそろ祭りも終わりなのだろう。ステージの曲もクライマックスに向けて盛り上がっている。
 ピアノを弾く化野は、遠目に見ても楽しそうだ。

「お友達ですか?」
「友達? 違う、そんなんじゃ……」

 言いかけたその時、化野がピアノを弾きながら、ケヴィンに向けて楽しげに手を降った。

「ステージの途中で……」

 呆れた顔で手を振り返すケヴィンの様子に、やっぱり友達じゃないのかな? とモニカは思った。



●finish
 祭りが始まる前に、化野は侃に一つ依頼をしていた。
 穏やかで優しい歌曲を弾いて見せ、これに歌詞をつけて欲しいと。

「伝統から、未来へ祈りと感謝を込めて。祭りが終わっても、続く明日へ向けた歌を」
「明日へ向けた歌か……うん、凄く良いね」

 口の中で、メロディを口ずさみ、侃の思考は歌詞へと移る。祭りの間中、エオニア王国を巡り、全ての催しの話を聴いて歌詞を書いた。


 そんなfinishの曲に向け、盛り上げる為にステージの上でゴルジュが和太鼓を叩く。
 胸にさらしを巻いて、法被を着て、日本の伝統で持って、エオニア王国の新しい道のりを祝福する、春の花の歌を。打楽ッカーと一緒になって、叩く、叩く。
 ドドン、ドドン!
 青からピンクへ、空の色が変わっていく中で、太鼓のリズムと、掛け声が、観客の心が、一つに溶け合って。
 楽しさと、祭の終わりを惜しむ寂しさが、波のように行ったり来たり。
 激しく振り下ろす撥の音が多彩に変化し、太鼓から溢れる腹に響くような振動が、エネルギッシュに木霊する。

「この国で刻んだ優しさで以って、ここに魂を刻む!」

 これが終わりではなく、ここから始まるのだと決意を込めて。
 太鼓の余韻に浸りながら、観客は大きな拍手を送った。やり遂げた達成感で、打楽ッカーと笑い合いながら。


「とっても名残惜しいのですが、次が最後の曲です!」

 奏の言葉に、ええー! と悲鳴が起こる。まだ終わりたくない。もっと聞いていたい。そう思う程に楽しい時間で。永遠に祭りが続けば良いのにと思う程に。
 舞台袖で見ていた王女パティもまた、心細かった。祭りが終わってしまったら、ライセンサーがいなくなってしまうから。
 それでも……。もらった楽譜を胸に抱きしめる。
 パレードで捧げられた『決意へ捧ぐ果冠のアリア』と、そしてこの祭の最後を締めくくる一曲。
 最後の曲に名前をつけて欲しい、そう言われて一生懸命考えた。

『女神の祝福<エウロギア・テアース>』

 世界共通語とエオニア王国で使われるギリシャ語。二つで一つ。この国と世界は繋がっているのだと。
 思わず自然と笑みが溢れて、この曲が始まるのが待ちきれずに、そわそわしてしまうほどに嬉しい。
 そんなパティの様子を横目に見て、Rowanは小さく頷いた。
 そう、それで良いのだ。国を背負って重圧に苦しむより、明日の希望を夢見て目を輝かせる、無邪気な子供でいいのだと。
 舞台袖から操作して、スクリーンに歌詞を映し出す。観客も一つになって歌えるように。


 曲の始まりを待ちつつ、祭莉はぼんやり今日を振り返った。
 結局、最後までなんとなくステージの上に立ってしまった。やっぱりここがピアノの音が一番聞こえるから。チョータローが楽しそうに弾く姿が見えるから。
 今日、ステージに立っていた仲間達を思い浮かべ、ただ純粋にすごいと思った。
 ステージに立つのは、自分の持ってる物を、全て見せなければならない気分がして。尻込みしてしまうのに、自分から立てる人はすごいと。
(……チョータローは、こんな場所で、あんなに、良い笑顔で、いられるんだ……すごい)
 ただピアノを聞くだけでは、わからなかった世界が、少しだけ見えた気がした。


 惜しむ観客達に奏へ語りかける。観て楽しむだけでなく、一緒に音楽を楽しもうと。

「私も一緒に歌いますよ。アイドルらしい所も見せないとね! だから皆さんも一緒に!」

 ひまりも一生懸命訴えた。みんなに伝えられる精一杯のありがとうを! そういう想いを込めて。

「いつか、あなたがひとりぼっちだとか、そんな風に思う日が来たら思い出してほしい。今日、みんながここにいたこと。うちの背中を押してくれたこと」

 小さなひまりの体から、絞り出すような声が人々の胸を打つ。

「みんながここに居てくれるから、うちは全力で唄を、踊りを届けられる! だから……最後の最後まで楽しんでってな!」

 振り返れば、仲間達が笑ってくれて、支えてくれると信じられて、だから舞台の上で、伸び伸びと輝けるのだ。
(1歩踏み出す勇気をくれてありがと。今度はうちが、きっかけを作る番や)

「今日を振り返った時、あなたの踏み出す1歩の、きっかけになるように! 頭の先からつま先まで全力で! 最高のフェスにしちゃる! ほな、行くで! 最後の1曲!」


 化野が確認するように桜壱を見つめると、こくりと小さく頷いた。準備万端。もう大丈夫と。

「最後まで音を楽しもう。歌も手拍子も是非。皆で楽しい一曲にしよう!」

 そう観客や王女へ促しながら、心を込めてバラードを奏で始めた。
 ケイの刻むギターのビートとヤナギのベースの重音が、ピアノと共に合わさって音色を豊かにしていく。
 ピンクからオレンジへ、空が染まっていく。熟れた果実の様な太陽が沈む刻に、ふさわしい歌が始まる。

『女神の冠に戴く黄金の果実が 海の向こうへ沈む夕刻 波や風達が 優しく祝福する声が聞こえるかい』

 歌詞は消えない。今日のこの日の夕焼けを、浜風を、潮騒を、楽しかった想い出を、歌う度に思い出せるように。

『メロディを乗せよう 高い空へ リズムを刻もう 広い地へ どんな怖い夢だって 朝になれば終わるから』

 悪夢──ナイトメアの襲撃に怯えた人々を、優しく宥めるように、励ますように。

『耳に残るは 誰かの歌の欠片「おやすみ、またね」月明かり照らす帰り道』

 ケイの透明さと妖艶さを合わせ持った歌声が、優しく『おやすみ、またね』と囁く。
 紗緒も仲間達と一緒に唄う。ゆっくりと未来へ繋がっていく想い出の一曲になるように、想いを込めて。
 奏は紗緒と背中合わせで笑いあい、アイドルらしく踊って、伸びやかな歌声を披露した。
 舞台だけでなく、観客席からも聞こえてくる歌声に耳を澄ませ、侃は歌を彩るように優しいステップを踏む。
 踊りで、歌詞の意味を表現する。言葉を、音楽を、目で見える形で残す。それもまた芸術である。

『肌に残るは 誰かの踊りの名残「さよなら、またね」星々またたく帰り道』

 盆踊りを終えて、メインステージのよく見える観客席にやってきた、桃簾と瑛士が歌い出すと、釣られたように、他の人々も歌い出す。
 さざ波のように、その歌は広がって行った。一臣と煌奏達も浜辺から、ステージを見つめる。
 煌奏の視線の先はひまりへ。頑張れと応援するように、小さく歌を口ずさんで。
 一臣も一緒に微笑みながら歌った。

『瞼に残るは 誰かが祈る横顔「おはよう、元気?」』

 気づけば王女も小さく歌を口ずさんでいた。司会をしていた時には、舞台の上が怖くて仕方がなかったが、今はあの仲間に入りたいと、体がうずうずしてしまう。
 そんな気持ちに気づいたように、Rowanlaはとんと、その背中を押した。
 あの中に行きたいなら、行ってこいと。

 王女が舞台に上がると、観客達がみんな歌っているのが見えた。
 国民の前に立つ時、いつも緊張してしまって、ちゃんと顔を見られなかった。でも今はわかる。嬉しくて、楽しくて、仕方がないという笑顔に。
 侃が王女の手を引いて、舞台の中央に立たせると、その隣に演者達が並んで、歌い続ける。

『明日へと繋がる帰り道「おはよう」』

 歌い終えた時には、喜びと、切なさと、何か暖かで大切なものが、祭りに参加する人々の心に残って。不思議な静けさが漂った。
 祭の余韻を味わうように。
 しばらくして、拍手が鳴り始める。初めは小さく、次第に大きくなる拍手は、いつまでも降り注ぐ。

 それを聞きながら桜壱は、一山乗り越えた表情で、大きく声を張り上げた。

「音は、楽しいものなのですねっ……!」

 音を、楽しむ、音楽祭。フェス。それがエオニア王国で、これからも続くのだろう。
 明日から続く、この国の未来を紡いで。



●祭りの後に
 こうして果冠祭『ミーベルステファノス』は終わりを迎えた。
 伝統を感じさせるパレードから始まり、国のあちこちで、賑やかで楽しい日々が続いた。
 国のどこかに小さなカフェバーが生まれ、ミーベルの冷たいデザートが人々を甘く蕩かし、夜空に浮かんだランタンの灯りが国を照らす。
 ゴリラの不思議な異邦人との、パッション溢れる異世界スポーツは度肝を抜いた。
 ゴリラやゆるキャラのナイトメア達の登場だって、今となれば笑い話。
 王女が体を張って作り出した伝統料理は、家庭の味として親しまれ。
 ペイントパフォーマンスで描かれた絵は、今もなお国民の間で愛されている。
 祭りの間に生み出された歌を、国民は歌い継ぐ。踊りを、太鼓を、味を、伝えていく。

 祭で撮影された動画は、奏や侃が事務所の協力を得て、ネットで拡散された。
 動画の最後に王女は感謝のメッセージを残す。

「ライセンサーの皆様、我の願いを叶えてくださって、感謝いたします。国民もみな、喜んでいるのです。ありがとう!」

 無邪気な子供のような笑顔を見せるその姿は、人々にエオニア王国への親近感と好意的な印象を与えたという。

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