オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  3. ハーデースの地下神殿

ハーデースの地下神殿 九里原十三里

形態
イベント
難易度
普通
価格
1000(EX)
ジャンル
冒険 バトル 
参加人数
141~25人
予約人数
10010100
基本報酬
100000G
100SP
1000EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
3
締切
2020/04/21 20:00
完成予定
2020/05/01 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●ハーデースの地下神殿と王女パルテニアの思い
 エオニア王国の北部から中部に位置する村「ノルトブローゼ」はローマ時代の遺跡を今も数多く残す、歴史ロマンにあふれた土地である。
 有名なのはリゾート施設「ランテルナ」のローズガーデンの奥にある「ランテルナ遺跡」だが、他にもノルトブローゼには素晴らしい遺跡がいくつも存在する。
 しかし、それらの多くはナイトメア襲撃の影響などで発掘が進まず、放置されたままになっていた。

 ライセンサー達は前回、エオニア王国から要請を受け、そんな未発掘の遺跡の1つである「デーメテール神殿」の調査に参加した。
 その結果、持ち主や年代を特定できる指輪「インタリオリング」や女神に捧げる祭り「テスモポリア祭」の様子を描いた壁画などが発見され、遺跡の神殿がギリシャ神話の女神「デーメテール」を祀ったものに間違いない事が確認された。
 エオニア王国の国主である王女パルテニア・ティス・エオニス(lz0111)もノルトブローゼの考古学者アグネテ・ディエスからその報告を聞き、ノルトブローゼの遺跡に強い関心を持ったようだった。
 そして今回、ノルトブローゼのとある遺跡を訪れるパルテニアに同行すべく、ライセンサー達に「護衛」の任務が下された。

『ノルトブローゼにある、「ハーデース地下神殿」に我を連れて行って欲しいのです』
 パルテニアはグロリアスベースにいるライセンサー達に対し、オンライン通話越しにそう言った。
 この遺跡はノルトブローゼの南にある自然の洞窟の中にある遺跡で、エオニアがナイトメアの襲撃を受ける以前に入り口が土砂に埋まった状態で発見された。
 地元の言い伝えなどをもとに行われた調査の結果、内部にはギリシャ神話の神「ハーデース」の名を刻んだ祠が確認された事などから洞窟全体がこの神を祀った地下神殿であることが確認され、その後は地元民の手で大切に守られてきた。
 ハーデースはギリシャ神話では冥府、つまりあの世の神である。
 パルテニアの望みはこの神の神殿に花や酒、果物などをお供えし、静かに祈りを捧げる事だった。

「ノルトブローゼには、『死んだ人は皆、ハーデースの治める死者の国に迎え入れられ、洞窟に祀られた神の前で祈りを捧げればその声をあの世にいる大切な人に届けてもらえる』という言い伝えがあります」
 エオニアに到着すると、アグネテがライセンサ―達にそう説明した。
「私がパルテニア様にノルトブローゼの遺跡について説明に上がったところ、陛下はこの言い伝えに大変興味を持たれました」
 パルテニアがこの言い伝えに興味を持ったのは、亡くなった父親、つまり先代のエオニア国王が理由ではないかとアグネテは考えた。
 しかし、ハーデースへの信仰はノルトブローゼ独自のものであり、パルテニアの父王の魂がハーデースの元へ行ったかどうかは分からない。
 神殿へ行ってもパルテニアの声が父王に届くことはないかもしれない。
 だがアグネテがそう話すと、パルテニアはこう言ったという。
(それでも我は、この地下神殿に行ってみたい。ハーデース様のもとに父上がいなくとも、大切な人を亡くしたのは我だけではないのだ。エオニアで死んだ民が、ハーデース様のお世話になっているやもしれぬ)
 ならばエオニアの国主として、ハーデースに挨拶をすべきだろう。
 パルテニアはそう考えていた。

●知られざる地下の世界
 エオニア王国がナイトメアに襲撃された際、ハーデース地下神殿は地元民の避難先となったという。
 だがそうして防空壕のような役割を果たしたのは一時的な事だった。
 実は地下神殿には「陸の入り口」と「海の入り口」が存在し、「海の入り口」から侵入したと思しきナイトメア達が内部をあっという間に占拠してしまったのだ。
「ノルトブローゼの言い伝えでは『神殿は北に向かって深く深く続き、やがて海へと繋がる』といわれています。でも、『海の入り口』がどこにあるのかは分かっていません」
 アグネテはそう、ライセンサー達に言った。
 そこで今回、パルテニアの神殿参拝とは別に、洞窟の深部を調査するチームが組まれていた。
「君たちがライセンサーか、会えて光栄だよ。今回の調査に参加させてもらうことになった、デル・ベックマンだ。専門は洞穴学や地質学だがまぁ……本業はほぼ『洞窟探検家』だな」
 デルはイギリスを拠点に活動する地質学者だが、今回は文化人類学者でSALFの協力者でもある弓長十斗(lz0084)の紹介により、専門家として洞窟に入る事になったという。
 彼はまず、今回調査する洞窟内についてこんな風に説明した。

「ハーデース地下洞窟はアグネテ嬢がノルトブローゼに任する以前にも考古学的な調査が行われ、洞窟の深部約4km地点までの地図が作られている。だが、俺の考えだとはさらにその3倍の長さに渡って続いている可能性がある」
 そう言って、デルはノルトブローゼ全体が収まった白地図を開いた。
 地図上にはデルの手で、ハーデース地下神殿の入り口から北に向かい、リゾート施設「ランテルナ」の敷地の地下を通ってそのまま北側の海岸に抜ける予想ルートが記されていた。
「ノルトブローゼの東には大きな海岸、砂丘があり、この辺りは既に調査が行われたが、洞窟のようなものは見つかっていない。『海の入り口』があるとすればその北側にあるリアス海岸地形の入り江だろうな」
 デルはそう言いながら地図の上に印をつけていく。
 さらに、今まで「海の入り口」が発見されなかった理由として、デルは「1.潮の満ち引きで現れたり消えたりする場所にあること」もしくは「2.その名の通り海の中にあること」のどちらかがあるだろうと言った。
「デルの予想通り洞窟が12kmも続いているとすれば大変な道のりですが、『神殿は北に向かって深く深く続き、やがて海へと繋がる』という言い伝えが本当ならば、過去にそれを確かめたことがある人がいたという事になります」
 十斗はそう言った。
 ならば、現代の自分達も頑張ればその「海の入り口」までたどり着けるという事になるのだが……。
「ですが問題は……洞窟内部に潜んでいる可能性のあるナイトメアの存在です。調査が進んでいる『陸の入り口から4km』までは現在ほぼ安全が確認されているようですが、その奥は全くの未知の世界です。人間は知らなくても、ナイトメアが『海の入り口』を使っている可能性は十分にあります。すみませんが、今回も僕たちに皆さんの力を貸していただけますか?」
 
 ライセンサーは今回、以下の2チームに分かれて行動する事になった。

【A】パルテニアの護衛
 ・行くのはハーデースの祠まで(地上の入り口から100mくらい)
 ・参拝にはパルテニア・ティス・エオニス(lz0111)のほか、パルテニアの侍女が2名同行

【B】洞窟調査チームの護衛
 ・最大で12kmまで洞窟内を進む(調査が済んでいる4km地点より奥)
 ・チームのメンバーには文化人類学者弓長十斗(lz0084)、地質学者デル・ベックマン、考古学者アグネテ・ディエスが同行

 両チームの任務は難易度の差こそあれ、どちらもライセンサーにとっては重い責任を伴うものだ。
 パルテニアの望みを叶えるため、そして洞窟の謎を解明するため、ライセンサー達はそれぞれ準備を整えハーデース地下神殿に向かった。

 以下の<メイン目標>の達成がシナリオの「成功」の要件となります。
 <サブ目標>は達成しなくても「失敗」にはなりません。

【A】
<メイン目標>「パルテニアを祠まで護衛する」
<サブ目標>「ハーデースに何か祈る」

【B】
<メイン目標>「洞窟調査チームを5km以上進ませる」(ナイトメア【1】【2】の討伐が必要)
<サブ目標>「神殿の『海の入り口』を見つける」(ナイトメア全ての討伐が必要)

●できる事
【A】パルテニアの護衛
・ライセンサーが常に2人以上いればナイトメアは出ません

【B】洞窟調査チームへの護衛
・【1】~【3】を倒すことでより深くまで進めます

【1】メメ(20体)
 ・コウモリのような翼が生えた黄色いゴムボールのような幼体(通常物理もしくは知覚攻撃「20」以上を命中させれば一撃で倒せます)
 ・短い牙で襲ってくるが、ライセンサーにはダメージなし
 ・体長30cmくらい
 ・移動5

【2】ヌヌ(4体)
 ・コウモリのような姿で、翼と角が生えたオレンジ色の成体(通常物理もしくは知覚攻撃「50」以上を3回命中、もしくは「150」以上を1回クリティカルさせれば倒せます)
 ・鋭い牙を持ち、咬まれると抵抗に失敗した相手には1回「60」のダメージに加え【行動不能】(2)が発生
 ・体長120cmくらい
 ・移動5
 
【3】ズズ(1体)
 ・ドラゴンのような姿で、翼と角が生えた金色の進化体(通常物理もしくは知覚攻撃「50」以上を10回命中、もしくは「250」以上を2回クリティカルさせれば倒せます)
 ・【2】と同様の攻撃に加え、毒霧を吐き、空気に反応して無毒化するまで2ターン効果が続く(ほかの行動をしなければ毎ターン吐く)
  ズズから3スクエア以内で毒霧を吸引し、抵抗に失敗した相手には【移動不能】(3)が発生。
 ・体長300cmくらい
 ・移動4

●洞窟内部
 ほぼ「縦×横=1スクエア×1スクエア」以内の空間が約12km続く

【A】はほぼ日常シナリオと同様です。パルテニアと話したり、地下神殿を見学したり、自分も何か祈ったりといった行動ができます(今回、発掘はないです)
【B】は倒せば倒すだけ進めるバトルルートです。今回だけで地下神殿を全部を攻略できるかどうかは皆様次第! 頑張ってくださいね!

  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

【B】
「ダンジョン踏破、って感じでワクワクしますね」

調査チームメンバーの近くで護衛
洞窟なので視界が悪い可能性を想定、適宜暗視スキルやペンライトで補正し突然の敵襲来にも対応できるように構えておく
物々しい雰囲気になりすぎないよう、可能なら適度に雑談なども交えたい

敵出現時は調査メンバーの側を離れず、遠距離攻撃で近付かれる前に撃破を狙う
基本は通常射撃、敵が複数の時は凍り閉ざす銀で複数攻撃
敵回避が高いと感じたら命中の高い光り眩む白
調査メンバーに攻撃が向いたらアリーガードで庇う

ズズとの戦闘時は調査メンバーに毒霧の影響が出ないよう、撃破完了まで退がって貰う

アド絡み歓迎

▼心情
姫さんの護衛、か。姫さんが気負わず行けるように心掛けよう。

▼同行者
幼馴染の水無瀬 奏

▼行動

【A】
無理してそうな姫さんには頭撫でつつリラックスさせる
「……まぁ、無理はしない程度に頑張ろう、かね?

侍女が許すなら、奏と左右にならんで姫さんと手を繋いで進む
「……転ばないように、な

護衛終わったらハーデースに祈る
「……多くの犠牲になった者が居る。その者たちをどうか宜しく。俺や奏や仲間は、まだまだ犠牲にはなるつもりはない。そこは、ね?

終わったら煙草でのんびり一服しつつ色々物思いにふける

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

【A】
心情】「エオニアのために頑張っているパルテニアちゃんのこと、少しでも助けられるといいなぁ
目的】パルテニアちゃんを祠まで護衛/ハーデース様に祈る
同行】幼馴染の鳴くん(la0075
行動】王女様は国主の責務を全うしようと頑張ってると思うけど少し無理してる様にも見えるんだよね…。できればもう少しほかの人に頼っていいんじゃないかな…?
一応ナイトメアが出るかもなので侍女さん達が許してくれるなら鳴くんと王女様の左右に並び手を一緒に握って進むよ「(王女様にこっそり耳打ち)これなら怖くないよね
早くに父王をなくし母后も臥せっているそうだから、少しでも両親のかわりみたいな事ができるといいかな…?

護衛終わったら祠の前でハーデース様に祈るよ
「死は誰でも平等に訪れるものだけれど……私も鳴くんもまだ貴方の元に行くわけにはいきませんから!
「助けられなかった命が多くあるけれど…せめて彼らが安らかに眠れるように亡くなった皆さんのこと、よろしくお願いします…

  • 夜明け告げる者
    高柳京四郎la0389
    人間28才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

A参加
王女の護衛行う
敵出現時はオーラで惹き付けアリーガードで侍女達含め死守し幻想之刃で撃退

道中王女と会話
話術1使用しなるべく穏やかに話しつつ個人として父に伝えたい事があると予想し後押しする
「失礼…聞いたんだが、国主としてハーデースに挨拶しに行くって事らしいな
「素晴らしい事だと想うんだが…個人として届けたい声ってのは無いのか?
「俺も妻を失っててな…まだまだしたかった事や話したかった事が山ほどあって困る。
「…王族も庶民も、そうした大事な人を亡くした辛さには立場なんて関係ない。もし伝えたい想いがあるなら…民が世話になってる礼を言うついでに、自分の伝えたい事も言って良いんじゃないか?

  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

【B】洞窟調査チームの護衛として参加。
「未知の洞窟、か。安全のためにも奥まで行きたいところだな。」

行動:
護衛対象の位置に気を付け、いざというときには下がらせたり
攻撃をブロックできるように位置取りに注意しつつ進む。
暗視スキルや、ペンライトなどでナイトメアを刺激しないようにしつつ
視界を確保する。

メメはツインラビットや、氷閉ざす銀で複数まとめて倒していく。
ヌヌは残っていれば複数対象攻撃のスキルを併用しつつ、
攻撃を一体ずつ集中させて順次落としていく。
ズズに関しては武器の射程ぎりぎりを保つようにしつつ攻撃を行う

【心情】
王女様、あたし達が護衛に就くわ
由利菜ちゃんに、カナちゃん達もよろしくね

…あたしも大切な弟を失ってる。王女様のパパや国民を思う気持ちは分かるつもりよ

祈り
あたしがギリシャの神に祈ってもいいのかしら…?
(エオニアに真の平和が訪れ、王女様や国民が穏やかに暮らせますように…
その為に、あたしもできることをさせてもらうわ)

【目的】
王女様の護衛
祈りを捧げる

【準備】
A班
地図の確認
遺跡やハーデースに関する情報を調べる

【同行者】
A班

【行動】
王女様を護衛しながら、ほこらへと連れて行く
話術3を使い王女様と会話
途中道が分かりにくくなったら方向感覚3を信じる

【心情】
「神殿も魅力的だけど未知の洞窟も見応えありそうね」

【目的】
【B】洞窟調査チームへの護衛

【準備】
懐中電灯・携帯食・飲料水

【行動】
「(時計を見て)ここは安全そうだし、少し休憩しない?」
数時間の行程になると考え、【準備】の道具を用意する。
延々と景色の変わらない洞窟は、時間の経過で注意力が
散漫になるので適度に小休止、水分補給して切り替える。

「正面を照らして!まとめて撃ち落すわ!」
護衛戦闘は確実性を重視し、自動拳銃を主に使用する。
多量に相手取る場合にライフルで『オーバーストライク』、
至近に複数が接近された際に『ツインライビット』を使う。
『高速装填』は緊急用。

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

海の入口、発見した後も同様に侵入されぬよう、何等かの対策は必要でしょうね
まずは見つけることが先ですが

■準備
ヘッドライト借用申請
海近くなれば滑る可能性考慮、靴に滑り止め施す

■行動
十斗や冬呼の話を興味深く聞きながら進行
「成程、洞窟も奥が深いのですね。…物理的な話ではなく
「何かあれば哀しむ者がいるのですから、無理はせぬよう(微笑
揶揄うように冬呼に言い置き、前方へ
狂化随時発動

探気で潜伏敵発見
複数敵はBクロス、単体はバトアク通常攻撃
飛行敵は薔薇鞭で絡め叩き落す
「先日のノノと鳴く物の進化体でしょうか
ズズは狂化の上でBクロス

目利き1で壁面判別
神殿入口なら装飾等ある?

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

あら♪弓長博士♪最近よくお会いしますね♪皆さんの護衛はお任せ下さいな♪

行動
「狭いですね…♪使う首刈術は吟味しないと♪」
可能な限り射線を遮り守りながら先頭を歩く
大剣が得物な為、仲間の隙間を抜い突きを主体に戦う
複数巻き込めるなら1スクエア直線を全域カバーできる鋼穿を主体に使用
「ここじゃ回避できませんよね♪」
鋼穿0で断頭酷死か禍津使用
識別可能スキルは味方と洞窟を識別

壁面や天井に武器が触れて弾かれないように注意
強度確認しておき、そのまま壁面ごと斬り避けるなら斬る
「お姉さんにとってはバターと同じです♪」

生命200以下でフィールキュア

敵攻撃は大剣で叩き落とす

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

■準備
ペンライト2本
(一本は胸元あたりに入れて移動に使用、一本は洞窟の壁等照らして道と周囲を確認
調査チームのマッピングの手伝いになれば

■行動
「本格的に調査できるようにしっかり掃除しますよ

【B】洞窟調査
前寄りの中衛
前方から抜けた敵を後方の調査チームNPCに通さないよう努める
範囲攻撃使用者が効率的に攻撃しやすく、敵が範囲内にまとまる様に立ち回り

残生命5割ヒール
中衛付近に敵複数で審判の雨滴(攻撃>回復(使用時「明日への希望」換装

敵対応後等、一定間隔で前方の様子を探気で確認(仲間から見える範囲で先行しつつ
他の使用者と重複しないよう考慮
スキル範囲外にも敵がいると考える

  • 月下の姫騎士
    月鏡 由利菜la3027
    放浪者21才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

【心情】
パルテニア王女、侍女の方々の護衛を務めさせて頂きます
高柳さん、吉良川さんもご一緒ですね。よろしくお願い致します

違う世界でも、同じ神々が認識され、信仰もされている…
(私の世界との分岐点は…やはり、ナイトメアの存在でしょうか)

祈り
宗教は、相互に影響を受け合っているものです
(どうか、この世界の人々に安らぎを…)

【目的】
パルテニア王女と侍女二人の護衛
祠まで向かい、祈りを捧げる

【準備】
A
万一に備えアリーガードや幻想之壁の準備

【同行者】
A

【行動】
侍女達を中心に護衛しながら談話
話術3でエオニアにおける神々の扱いや、遺跡から出土した品について聞いてみる

  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|ネメシスフォース×グラップラー

「洞窟遺跡ねー。日本の寺社にも同類のがあったりするねぇ
あと、変わり種だと昔から人が住んでいる大きな都市だと、地下がこうなってたりさ
油断はせずとも引き続きワクワク感をもって洞窟を進む

交戦時位置位置取りは護衛対象と敵の間にかばうように

戦闘はスキルは識別行使
レールガン光るので撃つときは声をかけ行使「びゃっといきますよー
狙いはモデルになった生物の急所
ズズは厄介な口に向かって銀行使

  • Homme Fatale
    柞原 典la3876
    人間29才|セイント×ネメシスフォース

【B】
フリーハンド可能なヘッドライト、クリップライト、据置き可能なランタン型懐中電灯
申請してどれか用意してもろて視界確保
沖縄で生身の仕事は受ける言うたしなぁ、有言実行っちゅーことで(笑
お参りは宗教違いやから、敵さん殴っとくわ

…て言うても俺より強い人ばっかやし、先陣は任して調査隊の直掩くらいの位置で
メメ、ヌヌは接近してきた個体を叩く
地上は太刀でIブロウ、飛行はナイフで銀or拳銃射撃(射線注意
間に合わん時はとりあえず覆い被さって咬まれんよう庇うとこ、一般人よりは遥かに頑丈やしな
ズズは銀で後方から援護
調査隊は毒霧吸わん位置で待機さす

負傷者は神恵で回復

やっと外かぁ…多分?

  • 力持つ者に問う
    桃李la3954
    人間22才|ネメシスフォース×グラップラー

アドリブ、絡み歓迎
【B】チーム

王女様の護衛か洞窟探索?うーん…面白味があるのは洞窟の方かなぁ…
皆の出方を見て必要そうなら学者先生方の護衛も兼ねるつもりだけど、必要ないなら討伐優先
(大きい蝙蝠見て)ナイトメアって、一般的な生物と同じ大きさのもいるけど、圧倒的に巨大化してる奴の方が多いよねぇ…
『暗視』『アンチボディ』で自己強化しつつ、鉄扇での白兵戦がメインかな
索敵は『探気』を使用
討ち漏らしが無いよう念の為ね
ちょっと距離があるなら、『フォースアロー』で射抜くつもり
洞窟にドラゴンかぁ…
御伽噺なら、ドラゴンを倒した先にお宝が…て感じになるんだけど…(面白そうに笑って

●冥府の神に祈る
「今日はパルテニア王女とお2人の護衛を務めさせて頂きます、よろしくお願い致します」
 月鏡 由利菜(la3027)はパルテニア・ティス・エオニス(lz0111)とその侍女たちにそう挨拶した。
 対するパルテニアは丁寧に挨拶を返し、侍女たちはスカートの裾を持ち上げ、カテーシーの礼を由利菜に返した。
 主人であるパルテニアが親しく付き合う相手として、ライセンサー達は礼を尽くすべき相手と思ったのだろう。
「この神殿、自然の洞窟なのよね? だったら、私と鳴くんで王女様の手を取らせてもらってもいいですか?」
 水無瀬 奏(la0244)はそう、侍女たちに尋ねた。
 神殿の入り口付近はナイトメアの気配はない。
 だが万が一のことがないとも限らない。
 それに、足元も不安定で幼い王族のパルテニアには少々危ないかもしれない。
 若いほうの侍女が「いかがいたしますか?」と声をかけると、パルテニアは「では」と言って奏に手を差し出した。
「お言葉に甘えさせていただきます、奏様」
「……転ばないように、な」
 吉良川 鳴(la0075)も奏とは反対側に回り、パルテニアの手を取る。
 パルテニアは「はい」と頷きその手を鳴に預けた。
 奏と鳴はパルテニアの両腕を支え、一歩ずつゆっくりと神殿の奥へ進んだ。
「高柳さん、吉良川さん、では王女のご案内をお願いします」
 由利菜はそう言って2人の侍女の護衛についた。
 ハーデースの祠までは少し距離がある。
 万が一の事を考えて身を守る準備をしつつ、この2人と話もしてみたいようだ。
「由利菜ちゃん、侍女のお2人をよろしくね。王女様のエスコートはカナちゃん達にお任せして……あたしは王女様を先導させてもらおうかしら」
 ユリア・スメラギ(la0717)は地図を手に、そう言って歩き出した。
 遺跡の中がどうなっているかは事前に調べて来たようだ。
「この遺跡は海へ続いている、という話もあるし、地下水が染み出したりして滑りやすいところも多いの。無理せずゆっくり行きましょうね」
 ユリアはそうパルテニアに声をかけた。
「王女様はノルトブローゼの遺跡に来るのは初めてかしら?」
「はい。この村には素晴らしい遺跡がたくさんあるとアグネテ殿から聞いているのですが、まだ見たことはないのです」
 公務が忙しくて来る機会がなかった。
 そう、パルテニアは答えた。
「お2人はパルテニア王女をお世話する方なのでしょうか? エオニアにおける神々の扱いや、遺跡から出土した物のことなどはご存じですか?」
 由利菜がそう聞くと、2人の侍女のうち年上のほうの侍女が「今はまだ勉強中でございます」と答えた。
 とはいえ、パルテニアに質問された時などのために、最低限の事は知識として身に着けているようだ。
 今回もパルテニアに仕える何人もの侍女の中から、歴史や文化に詳しい者がついて来たようである。
「エオニア王国の中でも、パルテニア様や王家の皆様は首都エオスにお住まいです。ここノルトブローゼは、首都とは少し異なる歴史の歩みや神々への信仰を持っているとお聞きしています」
 年上の侍女は言った。
「特に、ノルトブローゼで発掘されているローマ時代の遺跡にはここでしか見られない特色が多くあるようです。わたくしはいずれ、この洞窟のすぐ裏にある『エイロースの館跡』もパルテニア様にお目にかけたいと思っております」
「この洞窟の近くに別の遺跡があるのですね。どんな遺跡なのですか?」
 由利菜は洞窟の奥へ歩きながら興味深く侍女の話を聞いた。
 どうやら「エイロースの館跡」からはたくさんの素晴らしい彫刻が出土しているようだ。
「エイロースは大変財力を持った人物だったといいます。わたくしも一度、出土品を拝見したことがありますが、本当ならば大きな美術館に展示されるような素晴らしいものがたくさんあるのです」
 年上の侍女はそう、うっとりと語った。
 だが話を聞いていた年下の方の侍女は少し不安げな顔だ。
「わたくしは……『あの彫刻』をパルテニア様にお見せしていいものか少々心配でございます。確かに素晴らしい芸術品ではありますが、その……」
「その話ならば心配いらぬと申したではないか。もう『どういうものか』はアグネテ殿から聞いておる。写真も見た」
 会話が聞こえたらしいパルテニアが振り返って笑った。
 自分は子どもではない、と言いたげな口調だった。
「エオニアの芸術をしっかり理解せねば立派な国主にはなれぬと言ったのはそなた達ではないか。我が見た女神様の像はそれはそれは美しかったぞ。我も大人になれば、あんな美しい女性になれるだろうか?」
「あらあら、王女様がそう言うなんて、いったいどんな女神様なのかしらね。あたしも見てみたいわ」
 先を歩くユリアもそう言って笑う。
 話題に上がっている「エイロースの館跡」がどういうものなのかは――いずれライセンサー達も知ることになるだろう。
「……けっこう中は寒いんだな。それに、思ったよりも暗い」
 鳴がそう、声を漏らした。
 侍女達が明かりを用意していたが、それでも洞窟の中は暗く、不気味な冷たさがあった。
「大丈夫、これなら怖くないよね」
 奏はそっとその小さな手を握り、パルテニアに声をかけた。
 子どもらしい「不安」をかみ殺しているのが分かったのだ。
 だが奏が声をかけると、パルテニアは笑顔を浮かべ「ありがとうございます」と口にした。
「我はいつもエオスの城におります。ですから、こういう場所は歩き慣れていないのです」
 それは、奏には精一杯「国主らしく」見せようという態度をとっているように見えた。
 小さな王女は、王族の礼儀作法として相手の「好意」を上手に受け止めるように教育されているのだ。
(やっぱり、王女様は国主の責務を全うしようと頑張って、無理してるんだ)
 パルテニアの精一杯な様子が、奏の目には健気で、そして少し痛々しく映った。
 この子はあまり、人に「頼る」という事ができないのではないか――と。
(……姫さんの護衛としては、気負わずに行けるようにしてもらいたいもんなんだが)
 鳴もまた、パルテニアが必死に「国主」であろうとしているのを感じ取っていた。
 時に笑顔を浮かべ、ライセンサー達にも親しく話しかける。
 だがそれすらもパルテニアが「望ましい姿」を演じているのではないか――鳴にはこの小さな王女がそんな風に見えたのだ。
「この辺りにはナイトメアの気配はないな」
 高柳京四郎(la0389)は周囲を見回しながら洞窟の中を下っていく。
 ライセンサー達の気配を恐れているのか、幸いな事にここまでナイトメアは姿を現していない。
 王女を先導して歩いていたユリアも方向さえ間違わなければ問題ないと判断していた。
「あったわ。この壁の彫刻は昔の人が明かりを灯していた燈台の跡なんですって。ここからはこれをたどっていけば迷わないはずよ」
 ユリアは洞窟の壁面に掘られたアザミの葉の彫刻を指さす。
 全部で24基の燈台を数えた先に、ハーデースの鎮座する祠はあった。
「すごいわね……想像していたよりもずっと大きいわ」
 そう、ユリアが声を漏らす。
 ハーデースの祠は、洞窟内の石灰岩をそのまま掘り抜いて作られた素晴らしい1つの彫刻だった。
 地獄の番犬であるケルベロスや、冥界の様子、そしてハーデースの妻となった冥界の女王ペルセポネー、ハーデースの息子であるザグレウスの姿も彫り込まれている。
 今は参拝する人の絶えたこの神殿に、かつて人々の熱い信仰が注がれていたことが窺える光景であった。
(あたしがギリシャの神に祈ってもいいのかしら……?)
 彫刻の力強さに圧倒されながら、ユリアは祠の前に立った。
 そして目を閉じ、心の中に祈りを思い浮かべる。
(エオニアに真の平和が訪れ、王女様や国民が穏やかに暮らせますように……その為に、あたしもできることをさせてもらうわ)
 古代の人々も恐らくそうしたであろう場所に立ち、ユリアは祈る。
 ナイトメアとの戦いがない、平和な世界になるように――と。
「違う世界でも、同じ神々が認識され、信仰もされている……不思議な感覚ですね」
 由利菜は祠の前に立ち、両腕の欠けたハーデース像を見上げた。
(私の世界との分岐点は……やはり、ナイトメアの存在でしょうか)
 宗教は、相互に影響を受け合っているものだ、と由利菜は思った。
 ふと見ると、農耕の女神ともいわれるペルセポネーの彫像の腕にはエオニアの果実「ミーベル」が抱えられていた。
 この地でローマの信仰がノルトブローゼ独自の形に飲み込まれていった証だろう。
(どうか、この世界の人々に安らぎを……)
 由利菜は目を閉じ、祈りを捧げた。
 パルテニアもその傍らで祭壇の前に跪き、用意してきた果物や花などを供え、祈りの言葉を口にした。
 この国でナイトメアの犠牲になった者達、そしてすべての死者達が安らかにあるように。
 そう祈るとすぐに、パルテニアは立ち上がろうとした。
「失礼……聞いたんだが、ここには国主としてハーデースに挨拶しに来たんだよな?」
 京四郎はそう、パルテニアに声をかけた。
 パルテニアは「ええ」と返事し頷いた。
「この洞窟はずっと、エオニアの人々から忘れられてしまっていました。でもその間もずっとずっと、ハーデース様は死んだ人達をお守りくださっていたはずです。我は国主としてそのお礼と、これからもよろしくお願いしますという気持ちをお伝えしなければいけないと思ったのです」
 王女はそれだけを祈り、帰るつもりのようだった。
 だが京四郎はそれ以外にパルテニアが伝えたいことがあるのではないかと感じていた。
「国主として国を代表して……か。それも素晴らしい事だと想うんだが……個人として届けたい声ってのは無いのか?」
 京四郎はそう、パルテニアに問いかけた。
 亡くなった父親に、何か伝えたいことがあるのではないか――と。
「王女は父親を亡くしていると聞いた。実は俺も、妻を失っていてな……」
「奥様を……亡くされているのですか?」
「ああ、まだまだ一緒にやりかった事や、話したかった事も山ほどあった。困った事にな」
 そう京四郎が言うと、パルテニアは何と声をかけていいのか分からない顔をした。
 だが彼女が何か言葉を発する前に、京四郎はこう続けた。
「……王族も庶民も、そうした大事な人を亡くした辛さには立場なんて関係ない。王女、そうは思わないか?」
「ですが、京四郎様……我は」
「エオニア国主、そうだな。それはもちろん分かる」
 パルテニアの目を見て、京四郎は言った。
「だけど、もし自分があの世にいるお父さんに伝えたい想いがあるなら……ハーデース神にエオニアの民が世話になってる礼を言うついでに、自分の伝えたい事も言って良いんじゃないか?」
 暫くの間、パルテニアは黙っていた。
 だがやがて口を開くと、ぽつりぽつりと自分の思いを語り始めた。
「……我が悲しい顔をしたり、不安な顔をするのを見せてはいけないと、とある国の偉い方からいわれたのです」
 パルテニアはぽつりと、そう口にした。
「エオニアを率いる国主ならば、我は全ての民の母でなければならないのだと。その方は、亡くなった父上や、伏せっている母上の代わりに教えてくださったのです」
 それは恐らく、EUやヨーロッパ圏から来たエオニアを支援する王族の誰かなのだろう。
 上に立つ者の宿命と心得――その言葉は幼いパルテニアの心に深く突き刺さっていた。
「ですが、神様だけは国の王が甘えるのを許してくださるともいわれました。どうしてもさみしくて、かなしくて、つらくて、にげたくなったら、無理に我慢をしなくとも、その気持ちは神様がその大きな懐で受け止めてくださると」
「神様が……? その人は、王女様に、パルテニアちゃんにそう言ったの?」
 奏がそう言うと、パルテニアは大きく頷いた。
「我が泣けば、不安になるのは小さな子供だけではありません。我よりも何倍も年を取った大人の国民も、我が泣けば不安になるのです。父上は亡くなり、母上もご病気で、弟もまだ小さくて……」
 もしかしたらパルテニアが自分の本音を誰かに話したのは初めてだったのかもしれない。
 堪え切れなくなったように、パルテニアは言葉を吐き出し続けた。
「ヨーロッパのEUの国の皆様や世界中の国の皆様が、エオニアが元に戻れるようにたくさん、たくさん応援してくださいます。でも……昔から弱った国は他所の大きな国のいいようにされてしまうともいいます。我が恐ろしいのは、ナイトメアだけでは――」
「パルテニア様、それ以上はいけません」
 年上の侍女がそう、彼女の言葉を制した。
 国主として超えてはいけないラインを超えてしまう、そう思ったのだろう。
「すまぬ……今日は周りにいるのがライセンサーの皆様ばかりでつい話していい気持ちになってしまった」
 大丈夫だ、とパルテニアは侍女に言った。
 そしてこう、言葉を続けた。
「ハーデース様は、時に病気や死を与えるともいわれる冥府の恐ろしい神様ですが、どんな人でもハーデース様の死者の国に受け入れてくださるといいます。だから……」
 パルテニアのその小さな瞳に、涙が光った。
「もしも、父上がハーデース様の元にいるのならば、父上に、我を見守ってくださいと、そしてどうかまだ母上やみんなを連れていかないで下さいと……ずっとずっと先に、我がそちらに行くるかもしれない遠い未来まで、お見守りくださいと……」
「ありがとう、パルテニアちゃん。話してくれて、よかった」
 奏はパルテニアの傍に寄り、ぎゅっと抱きしめた。
 亡くなったパルテニアの父や、そして病気の母の代わりにその気持ちを受け止めたい。
 そう、思ったのだ。
「頼っていいのは神様だけじゃないよ。パルテニアちゃんには、私達がいるんだから」
 嗚咽を上げて泣くパルテニアを抱きしめ、奏は言った。
「王女とライセンサーじゃなくていいんだよ。ただの奏とパルテニアちゃんとして……苦しい時には無理せず、お姉ちゃん達に頼ってくれていいんだよ」
 パルテニアは奏の腕の中で、何度も頷いた。
 その姿に、ユリアはきっとこうしてずっと泣きたかったのだろう、と感じていた。
(……あたしも大切な弟を失ってる。その悲しみは分かるわ)
 ユリアはそっと目を伏せた。
(だけど……国民を思うあまり、パパを思って泣きたいだけ泣くことができなかったのね……自分はみんなのために、強くなくちゃいけないと思っていたのね)
 ずっと、パルテニアは泣きたかったのだ。
 そして、子どもらしく、思い切り泣かねばならなかったのだ。
 祠の上から見下ろすハーデースの像はただそこに立ち、パルテニアの思いを受け止めているようだった。
 パルテニアはひとしきり泣いて落ち着くと、顔を上げてちょっと照れくさそうな顔でこう言った。
「ありがとうございます。我がここで泣いたのは、エオニアの民には内緒にしてくださいね……兄さま、姉さま達」
「……まぁ、無理はしない程度に頑張ろう、かね?」
 鳴がそっと手を伸ばし、パルテニアの頭を撫でる。
 するとパルテニアは「はい」と子供らしい笑顔を見せ、大きく頷いた。
「死は誰でも平等に訪れるものだけれど……私も鳴くんもまだ貴方の元に行くわけにはいきませんから!」
 奏はそう、ハーデースの像に向かって声を上げた。
「助けられなかった命が多くあるけれど……せめて彼らが安らかに眠れるように亡くなった皆さんのこと、よろしくお願いします……」
「……多くの犠牲になった者が居る。その者たちをどうか宜しく」
 鳴もそう、奏の言葉に添えるように祈りを捧げた。
「……俺や奏や仲間は、まだまだ犠牲にはなるつもりはない。そこは、ね?」
 ふと傍らを見ると、まだ手を繋いだままの奏とパルテニアが笑い合っていた。
 その姿に柔らかく笑みを浮かべると、鳴は煙草に火をつけ、1人離れて歩き出した。
(……奏は、ちょっとは成長したみたい、だな)
 くゆる煙の向こうに、洞窟はさらに奥まで続いていた。
 鳴はそれを見つめ、暫し物思いに耽った。
(……冥府の神、ハーデースの神殿か)

●深く巣食う者たち
「ここから先は未知の洞窟、か」
 白神 凪(la0559)は真っ暗な洞窟の奥に目を凝らす。
 地図を開くと、凪の今いる場所から先は全くの白紙になっている。
(こういう調査の仕事も久しぶりかもしれんな)
 ボールペンで書き込みがされた白地図をペンライトで照らして見ながら、凪は自分のいた世界の魔物討伐の仕事を思い出していた。
(遺跡とはいうが、今はここは奴らの縄張り……あまり刺激したくはないが)
 デルが計算してだいたいのルートに「当たり」をつけてきてはいるが、その通りになるとは限らない。
 思わぬものが待ち構えている可能性があるのだ。
「今、歩き出して数キロというところか」
 凪は白地図を閉じ、顔を上げる。
 夜目の効く凪だけでなく、周囲の仲間もそろそろ暗がりに目が慣れてきているようだ。
「安全のためにも無事に奥までたどり着きたいところだな」
「そうだねぇ。王女様はあの祠までしか入らない予定なんだっけ? だけどやっぱり、こうやって奥まで来られたほうが面白いよねぇ」
 桃李(la3954)はそう言いながら、十斗(lz0084)やアグネテの方を時々見ている。
 周囲のライセンサー達は洞窟調査チームの護衛をしながら洞窟内に残るローマ時代の痕跡を探し、興味深そうに見学している。
 だが、桃李はそれよりも洞窟内に巣食っているかもしれないナイトメアの方に興味があるようだ。
「5年前とかはここ、ナイトメアに占拠されてたんだよね? だったらまだきっと、いるよねこの奥に」
 桃李がそう言うと、アグネテは「その可能性が高いですね」と返事した。
 洞窟内にナイトメアの姿が見えて以後、彼らと遭遇する危険性が高いとされた洞窟の奥には誰も踏み入っていない。
 そのため、完全に彼らのテリトリーとなっていてもおかしくないのだ。
「まだ一匹も姿は見てないけど、ここはナイトメアの巣窟になってる可能性もあるんだねぇ。だったら、俺は学者先生たちの護衛よりそっちの討伐に集中させてもらおうかなぁ」
 護衛要員は十分そうだし、と桃李は口にした。
 その向こうで柞原 典(la3876)も「せやなぁ」と口にした。
「俺もギリシャの神さんのお参りは宗教違いやし、敵さん殴っとくわ。沖縄の飲み会の時に弓長兄さんに『生身の仕事は受ける』言うたしなぁ」
 有言実行っちゅーことで、と笑いながら典はヘッドライトを洞窟の奥へ向ける。
 何十年、いや少なくとも何百年もの間ずっと人が立ち入っていないハーデース地下神殿に挑むにあたり、洞窟調査チームは大きな洞窟作業用の照明を用意していた。
 そしてチームを護衛するライセンサー全員にもヘッドライトが配布され、歩き出して暫くはかなり順調に調査が進んだ。
「それにしても弓長博士、最近よくお会いしますね♪」
 紅迅 斬華(la2548)がそう、十斗に声をかけた。
 十斗は「そうですね」と笑顔を返す。
「今回も何かあったらよろしくお願いします、斬華さん。この洞窟、ずっと誰も入っていないので、本当にこの先はまったく未知の世界ですし、我々一般人だけではどうしようもないでしょうから」
「もちろんです♪ 皆さんの護衛はお任せ下さいな♪」
 そう話す斬華は若干、ここでナイトメアに遭遇するのを楽しみにしているようにもみえた。
 洞窟は上がったり下がったりしながら、細長くどこまでも続く。
 もはやここは人の住む世界ではない――そんな雰囲気が洞窟内には満ちていた。
「狭いですね……♪ 使う首刈術は吟味しないと♪」
 斬華は七剣星「オルタナ」を手に先頭を歩きながらナイトメアの姿を探す。
 調査チームはその後ろを、洞窟内の記録をとりながらついていった。
「ベックマンさん、マッピング作業の時間取らなくて大丈夫ですか?」
 都築 聖史(la2730)がそう、デルに声をかけた。
 洞窟内はほぼ一本道に見えた。
 だがところどころ、別のルートが口を開いている。
「ああ、ありがとう、助かるよ。今のところ、GPSがちゃんと仕事してるから、だいたい事前に計算した通りの場所を歩けてれば大丈夫なはずだ」
 デルはそう言いながら白地図に印を付けていく。
 聖史はペンライトで地図を照らしながら、一緒に現在地を確認した。
「今……もしかして『ランテルナ』の敷地の地下に入ってますか?」
「ああ、もうちょっとでバラ園の下だぜ。この上掘ってったら、オーナーのオルハさんがびっくりするだろうなー」
「そうすると、もう歩きはじめてから5kmくらいは来てますよね」
「多分それくらいだな。海を目指すルートから離れそうなら引き返さなきゃいけないが……順調にたどり着きたいものだぜ」
 進むにつれ、洞窟の全容は徐々に明らかになって来た。
 ジュリア・ガッティ(la0883)は時計を見ると、「少し休憩しない?」と周囲の仲間に声をかけた。
「ランテルナまで来てるなら、もうかなり歩いてるはずよ」
 まだまだ先は長い。
 延々と景色の変わらない洞窟を進むなら、気分転換は大事だとジュリアは言った。
「水分補給したり、おやつを食べたりしたほうが注意力散漫にならなくていいはずだわ。だって、もうみんな結構疲れてるでしょ?」
「確かに、マラソンでもそうですけど、ずっと景色が変わらないところを進んでいると疲れますよね」
 アグネテがそう言って頷く。
 一行はここで小休止をとり、先へ進むことになった。
「この上がランテルナなんですね。この雰囲気、ダンジョン踏破、って感じでワクワクしますね」
 霜月 愁(la0034)はペンライトを手に足元の泉の中を観察している。
 地下水の溜まった場所には小さなエビや、洞窟に棲む盲目の魚など、暗い場所にある独特の生態系があった。
 この場所は「遺跡」であると同時に自然の洞窟としても面白い場所のようだ。
「向こう、洞窟が別の方向にも続いていますね。ここを上がっていくともしかしてランテルナに出られたりするんでしょうか……?」
「そうかもしれませんね。でも十斗さん、いきなりナイトメアが飛び出してくるかもしれないのであまり1人で離れて行かないでくださいね」
 あまり物々しい雰囲気になってもいけないけれど――愁は十斗が分かれ道の向こうを覗き込むのを見てそう声をかけた。
 今のところナイトメアの気配はないが、思わぬ場所から奇襲されないとも限らない。
「この洞窟に海の入口があるのなら、発見した後はナイトメアに侵入されぬよう、何等かの対策は必要でしょうね」
 桃簾(la0911)はそう口にした。
「でも、まずは見つける事が先でしょうか……ここまだ歩きやすいですが、さっきのように地下水が染み出していたりして滑りやすい場所もありそうです」
 一応靴が滑りにくいようにしてきたけれど、と桃簾は口にする。
 この先はこれまでよりも厳しい道のりになるかもしれない。
「それにしてもこれは立派な洞窟遺跡だねー。日本の寺社にも同類のがあったりするんだけどね」
 神取 冬呼(la3621)はライトで周囲を照らし、ローマの人々が手を加えた後を観察する。
 ほぼ自然の洞窟の姿を留めてはいるが、よく見ると内部には人が岩壁を掘って幅を広げたような跡も見られた。
「デルさん、さっきの地図見せてくれますか? 入り口はノルトブローゼの住宅地で……今この上がランテルナか」
 ふーん、と言いながら冬呼は自分たちのいる場所を確認する。
 印のついている洞窟のルート上には他の遺跡がいくつも点在している。
 今その場所は果樹園や森、リゾート施設の敷地などになっているが、ローマの時代には全く違ったのかもしれない。
「変わり種の遺跡だと、昔から人が住んでいる大きな都市の地下がこうなってたりするんだよね」
「成程、洞窟も奥が深いのですね。……物理的な話ではなく」
 桃簾がそう言ってほほ笑む。
「この洞窟も、祈りの場以外の役目もあったのかもしれませんね」
「そうかもね。この先に何があるのか楽しみだねぇ」
 ナイトメアの奇襲に備えて油断してはいけないが、とは言いつつ冬呼もそう言って頷く。
 ライセンサー達も任務の傍ら、洞窟探検を楽しんでいるのだ。
「それにしてもここ、何百年も人が入ってないのよね。彫刻のあるあの神殿も魅力的だったけど……ほら見て、すごいわよ」
 ジュリアは携帯食を口にしながらライトで天井を照らす。
 何本もの鍾乳石が垂れ下がり、独特の景観を形作っている。
 現代の人々にとってここは、全く未知の洞窟なのだ。
 休憩を終えてしばらく歩くと、少し広くなった空間に出た。
 明らかに人為的に岩壁を削った跡があり、古代の言葉で刻まれた文字や素朴なレリーフのようなものも描かれていた。
「何て書いてあるんだろうねこれ。こっちの壁画は人の手と楽器かな? こういうのが出てくるとワクワクするねぇ」
 冬呼がライトで壁面を照らす。
 文字は「古典ラテン語」で書かれた祈りの言葉だろう、とアグネテは言った。
「若干訛りというか……誤字があるので読みにくいのですが多分、こうですね」

 生ける者に実りと栄えを与えし母なるペルセポネー
 死せる者に安らぎと眠りを与えし父なるハーデース
 我らは果実とチーズ、ワインを捧げ祈る

 現代語に訳すとそんな意味になるらしい。
 では、傍らのレリーフはどういうものなのだろうか?
「これは……もしかしたら『楽譜』のようなものなのではありませんか?」
 そう、桃簾が口にした。
 洞窟の壁に彫り込まれていたのは、人の手とローマの木管楽器だった。
 もしかしたら何らかの曲を現しているのかもしれない、と桃簾は言った。
「きっとそうです。楽譜のように、笛のどの穴を押さえて音を出すかを描いているのでしょう」
「だとしたら、隣の詩のようなものは歌詞かもしれませんね。解読できて、いずれみんなで歌えたりすれば面白いですね」
 十斗はそう言って洞窟の撮影をする。
 知り合いの学者や音楽に詳しい者に見せれば楽器の種類や音階、曲がどういうものかを再現できるかもしれないと考えたようだ。
 洞窟内には他にも、ワインを寝かせていたと思しき大きな素焼きのツボなどが残っていた。
 暫くの間、そうした発見もありつつ洞窟探索は順調に進んだ。
 しかし、地上の入り口から約8km進んだ地点に差し掛かった時だった。
「来ましたね……何かが近づいてくる羽音が聞こえます」
 桃簾が気配を察し、十斗とアグネテを後ろに下がらせた。
 現れたのは「メメ!」と鳴く翼を持った黄色いナイトメアだった。
 人間の匂いに惹きつけられたのか。
 何体もの「メメ」が一斉にこちらに向かってくるのが見えた。
「これは……先日の『デーメテール神殿』で遭遇した『ノノ』と鳴く個体によく似ていますね。進化体かもしれません!」
 桃簾はバトルアクターを構え、群れに向かって振りかざした。
 ブラッディクロスの威力が数体を巻き込む。
 だが攻撃をすり抜けたメメの何体かは洞窟内を巧みに飛び回り、ライセンサー達の背後に庇われていた十斗やアグネテらの方にも容赦なく向かってきた。
「ディエスさん、私より前には出ないでください。大丈夫、ここからが重要な場所ですからね……本格的に調査できるように、我々でしっかり掃除しますよ」
 聖史はアグネテにそう声をかけ銀色の小さなナイフを手にすると、桃簾の攻撃をすり抜けた敵に狙いを定めた。
 その手元に「明日という希望」が眩く輝き、洞窟内に審判の雨雫が降り注いでいく。
「ナイトメアはこの奥から出てきましたね……その窪みに下がって、頭を低くしてください」
 庇われる者たちが前へ出て攻撃する仲間の妨げになってもいけない。
 聖史は調査チームのメンバーに小さくまとまるよう声をかけた。
「正面を照らして! まとめて撃ち落すわ!」
 オートマチックXR7を手にしたジュリアはそう声をかける。
 そして周囲のライトがメメの姿を照らすと、数体をまとめて落とすことを狙い、引き金を引いた。
(群れでまとまって向かってくるのがあのナイトメアの戦術なのね……気を付けないと)
 メメは個体同士が連携し、隙あらばライセンサー達に一気に襲い掛かってくるような様子を見せた。
 いざとなれば、素早く装填して落とさないとあっという間に距離を詰められ、噛みつかれるだろう。
 ジュリアは奇襲を警戒し、銃を構え続けた。
「大きさ……カラスくらいかな」
 桃李は周囲を飛び回るメメを見てそう口にした。
 翼を広げた大きさがだいたい30cmほどだろうか。
 南国にいるオオコウモリの類と同じくらいかもしれない。
「ナイトメアって、一般的な生物と同じ大きさのもいるけど、圧倒的に巨大化してる奴の方が多いよねぇ……」
 双蝶【鳳】を開いた桃李は扇面を向かってくる群れに向けて翻し、メメを迎え撃つ。
 2枚の鉄扇は微かに鱗粉の輝きを舞わせながら、鋭くメメの翼を斬りつけた。
(おっと……ちょっと噛まれたかな。でもこれくらいなら大したことはないね)
 メメは桃李の体に牙を立てようとしたようだった。
 だが、ライセンサーが問題にするような傷にはならず、翼を切られて地面に落ちた。
「ふふ、ずいぶんこの狭い空間には慣れているようですが、こうされたら回避できませんよね♪」
 斬華はメメの群れが岩壁の狭い窪みに入り込んだのを見ると、岩ごと貫く勢いで鋭い突きを撃ち込んだ。
 陳氏太極拳の纏絲勁(てんしけい)の応用である。
 全身の関節の動き――完全連動から繰り出されるイメージの刃の螺旋はその威力を増幅され、ナイトメアの群れに襲い掛かる。
 そして彼らを逃すことなく捕らえると、容赦なく巻き込み、切り裂いていった。
「岩壁で身を守れば安全だと思いましたか? 残念♪」 
 斬華はクスリと笑う。
「お姉さんにとってはバターと同じです♪」
 首刈術伍式「鋼穿」の威力を受けたメメは翼やあるいは首を失い、バラバラと地面に落ちていった。
 群れが一掃されたのだろう。
 斬華に斬られた個体を最後に、周囲からメメの姿はなくなった。
「皆さん、怪我とかしてないですか? まだ回復しなくても大丈夫ですよね、この程度なら♪」
 周囲の仲間が無事なのを確認し、斬華は先へ歩き出す。
 だが弱いナイトメアの血の匂いを嗅ぎ付けたのだろう。
 洞窟の奥から新たに、メメよりも明らかに大きな羽音が聞こえてきたのである。
「ほーら、来るで来るで。バッサバサいうてるわ。あれ、さっきよりデカいのと違う?」
 次の敵も飛んでくる。
 そう察した典は銀色の小さなナイフを握りしめ、洞窟の奥に目を凝らした。
 暗がりから飛び出し、ヘッドライトの明かりの中に飛び出したのは「メメ」を4倍にし、角を生やしたようなナイトメアだった。
 オレンジ色の体毛を生やしたそのナイトメアは鋭い牙をガチガチと鳴らし、「ヌヌ」という唸り声を上げながらライセンサーに迫って来た。
「あれ、噛まれたら痛いで。下がっといてや」
 典は周囲に向かってそう言うと、十斗やデルを背後に庇いながら天井付近を飛び交う「ヌヌ」に狙いを定める。
 そしてその頭上から氷の槍を降り注がせた。
 凍り閉ざす銀は攻撃態勢をとっていたヌヌの出鼻をくじかせた。
 だがまだ、向こうも諦めてはいないようだ。
「……と、一発じゃあかんかったわ。今回来てんの俺より強い人ばっかなんやし、あと頼むで」
 典はそう言うと、背後にいる調査チームの方に下がった。
 ヌヌは頭上を旋回しながら、隙あらば飛び掛かってくるような動きをしていた。
 その攻撃パターンは先ほどの「メメ」とよく似ていた。
 だが、ヌヌの体の大きさから考えても攻撃された時の威力はメメとは比べ物にならないはずだ。
(あんま離れたらあかんやろな……こっから走って逃げるのも無理やろし、間に合わん時はとりあえず覆い被さって咬まれんよう庇うとこ。俺も一般人よりは遥かに頑丈やしな)
 典はそう思いながら武器を構え、ヌヌの動きを注視する。
 メメほど小回りは効かないようだが、それでもヌヌはこの狭い洞窟内で驚くほど機敏な動きを見せた。
「すっげぇな……こんなのが住んでたのか。まるで恐竜だぜ」
 デルはライセンサーの後ろに身を隠しながら、そう声を上げる。
 愁は銀の魔弾「セレブロ」を構えながら、「頭を上げないでください!」と声を上げた。
 そして背後に彼らを庇いながら引き金を引いた。
(逃げる時はかなり素早い……だったらこれで!)
 洞窟内が一瞬まぶしく照らされ、1体のヌヌのオレンジ色の体を「光り眩む白」が撃ち抜いた。
 だがまだ洞窟内には3体の姿が確認できた。
(できれば複数まとめて倒したいけど、さっきの小さいやつのようにはいかないかもしれないな)
 愁は調査メンバーの傍を離れないようにしながらヌヌの動きを警戒した。
 3体は連携し、集まったり離れたりしながら洞窟の天井付近を飛び回り、人間たちに奇襲をかけるチャンスを窺っている。
「コウモリの急所は……やっぱりあの翼かな?」
 冬呼は調査チームを背にしながらピカトリクスを開く。
 メメやヌヌの元になったのはやはり、洞窟に棲むコウモリなのだろうか。
 ならば飛行能力を失う事は命取りになるはずだ。
「さっきの愁さんのみたいにまた私のも光りますからね! 目を瞑っててくださいねー。びゃっといきますよー」
 冬呼はそう言うと、ヌヌが一か所に集まったところに狙いを定め、凝縮したイマジナリードライブの塊を飛ばす。
 強烈な「レールガン」の輝きはヌヌのオレンジ色の被膜に大穴を開けた。
「だいぶ動きが鈍ったな。あれなら、纏めて片付けられるだろう」
 凪は退いてくれ、と周囲のライセンサー達に声をかけると、銀の魔弾「セレブロ」を構える。
 被膜を破られたヌヌはどうにか飛行力を保ちながら、洞窟の奥へと逃げ込もうとしていた。
 だが、ここで逃がすわけにはいかない。
(洞窟の安全確保のためだ。撃ち漏らしはしない)
 凪が狙いを定め、イマジナリードライブの槍を放つ。
 残った3体の身体を天井から降り注いだ「凍り閉ざす銀」が貫く。
 留めの一撃を浴びたオレンジ色のヌヌの体は叩きつけられるようにして地面に落ちた。
「先に進むなら、ここから先は少しライトを落としたほうがいいかもしれないな。奴らの本拠地だとすれば、刺激すると危険だ」
 凪は銃を構えたまま、周囲のライセンサー達や調査チームに声をかける。
 一行はあと1kmと少しで海へ出るところまで来ていた。
 道さえ間違えなければ、もう少しでゴールできるはずだ。
「静かに……何か聞こえる」
 暫く歩いた先で、凪がそう言って一行の歩みを止めた。
 何か大きな獣が喉を鳴らすような音と、金属がこすり合うような音が聞こえた。
 気配を伺いながら近づいていくと、そこにはこれまでとは全く姿の異なる巨大なナイトメアがいた。
「あの唸り声の主はこいつか……」
 凪が声を漏らす。
 それは、全身が金色に輝く翼と角が生えたワニのような姿のナイトメアだった。
 メメやヌヌの進化体なのか、よく見るとその面影がある。
 だが「ズズ」と低く喉を鳴らすそのナイトメアは洞窟を塞ぐほどに巨大な個体だった。
「どうやらあれがボスのようですね」
 武器を構えると、桃簾は「冬呼」と呼びかけた。
「前へ出すぎてはいけませんよ。何かあれば哀しむ者がいるのですから、無理はせぬよう」
 桃簾はそう揶揄うように冬呼に言うと、前へ飛び出し、捨て身で「ズズ」に飛び掛かっていった。
 冬呼はその後ろでちょっとビクッとして「……はーい」と答えた。
 明らかにこれまでより「ヤバいやつ」の出現に、いざとなれば調査チームを身を張って庇おうとしていたらしい。
(この巨体ならば……こんな狭い場所ではそう簡単に回避もできませんね!)
 振りかざされた桃簾のバトルアクターがズズの身体を捕える。
 だがブラッディクロスの威力がその金色の身体に叩き込まれるのと同時に、ズズは桃簾に向けて勢いよく毒霧を浴びせかけた。
「……っ!」
 周囲に鼻を突くような臭気が蔓延し、桃簾が表情を歪める。
 ズズはさっきまでの個体と明らかに違った性質を持っていた。
「毒霧です! 頭を上げないでください!」
 聖史が調査チームのメンバーを庇いながら声を上げる。
 幸い、毒霧はあまり遠くまで飛散するものではないようだ。
「あまり近づくとあの霧を吸ってしまうわね……でも、ここからなら!」
 ジュリアは自動拳銃をスナイパーライフル「ドロレス」に持ち替え、構える。
 そしてズズから十分な距離を取りながら引き金を引いた。
(あまり、あれには近づいてこられたくないわね……!)
 放たれたオーバーストライクの威力が突進してこようとするズズの飛行を阻む。
「あのおっきなコウモリが進化するとこうなるのか……これはもうほぼドラゴンだね」
 桃李はそう言って面白そうに笑った。
「洞窟にドラゴンかぁ……。御伽噺なら、ドラゴンを倒した先にお宝が……て感じになるんだけどね」
 こいつは何を隠し持っているのか――。
 フェアリーテイルのページを開き、桃李はジュリアの攻撃に重ね、ズズの体へとイマジナリードライブの矢を叩き込んだ。
 どうやらこれが決定打なったらしい。
 ズズは天井に向けてカッと口を開き、最後に多量の毒霧を吐きだしたかと思うと、その場にドッと倒れ、動かなくなったのだ。
「……死んだね。まだ毒がありそうだから、動かないほうがいいよ」
 桃李がそう、背後の仲間に声をかける。
 洞窟はズズのいた場所からさらに奥へと続いている。
 その先はこれまでとは景色が違い、かなり広い空間が続いているように見えた。
「はいお疲れさん。調子悪そうなんは桃簾嬢さんだけみたいやな。ほか大丈夫?」
 典はそう言って神恵の雨雫を降らせる。
 暫くすると、ズズに吹きかけられた毒も効果を失ったようだった。 
「ナイトメアの気配はもうなさそうですね……典、ありがとうございます」
 ズズの毒から解放され、気を取り直した桃簾が大きく息をつく。
 聖史はここから先も用心して進もう、と周囲に声をかけた。
「気配は消えましたが、外からまた新たに近づいてくる可能性もあります。私が先に行きましょう」
 そう言うと、聖史は他の仲間より少し先を歩きだした。
 奥へ進むにつれ、洞窟内には波の音が響き始めていた。
「あっ、見えました! 出口です!」
 愁がそう声を上げる。
 長い洞窟の終わりに見えたもの――それは地元の人々も知らない、静かで美しい潟湖(ラグーン)だった。
「やっと外かぁ……? うわ、まぶしっ! なんやこれ……」
 典が思わずそう声を上げた。
 まず目に飛び込んできたのは、日差しを跳ね返す真っ白な砂浜、そして海の深い碧だった。 
 針葉樹の生い茂った砂州にぐるりと守られた小さなラグーン内にはたくさんの南洋の魚達も泳いでいる。
「なんて綺麗なんでしょう……私達、すごいものの発見者になっちゃいましたね♪」
 斬華が波打ち際へと歩き出し、その素足を水につける。
 その後、見つかったラグーンはハーデースの美しい妻の名に因み、「ペルセポネーの入り江」の名で呼ばれることになった。
 さらに安全確保のため、「ハーデース地下神殿」には外からナイトメアが入り込めないように対策がとられるという。
 そして今後、調査や安全管理がさらに進むことにより、神殿、そして発見された美しいラグーンを多くの人が見学できるようになる日もくることだろう。

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    霜月 愁la0034
    人間16才|
    ゼルクナイト×ネメシスフォース
  • シルバーバレット
    吉良川 鳴la0075
    人間24才|
    スナイパー×セイント
  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|
    スピリットウォーリア×グラップラー
  • 夜明け告げる者
    高柳京四郎la0389
    人間28才|
    ゼルクナイト×スピリットウォーリア
  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|
    スナイパー×ネメシスフォース
  • 魅惑の紅月
    ユリア・スメラギla0717
    人間22才|
    ゼルクナイト×セイント
  • GLORIOUS DRIVE
    ジュリア・ガッティla0883
    人間20才|
    スナイパー×ネメシスフォース
  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|
    グラップラー×スピリットウォーリア
  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|
    セイント×ネメシスフォース
  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|
    セイント×グラップラー
  • 月下の姫騎士
    月鏡 由利菜la3027
    放浪者21才|
    ゼルクナイト×スピリットウォーリア
  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|
    ネメシスフォース×グラップラー
  • Homme Fatale
    柞原 典la3876
    人間29才|
    セイント×ネメシスフォース
  • 力持つ者に問う
    桃李la3954
    人間22才|
    ネメシスフォース×グラップラー

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