オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【3C】ワルキューレの騎行

連動 【3C】ワルキューレの騎行 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
3C 特務  
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/04/23 20:00
完成予定
2020/05/03 20:00
機体使用
関連シナリオ
-


 ゼーゲン社の研究所に、ワーグナーオペラ・ワルキューレの騎行が流れる。優雅な音楽が響く中、榎木津とアルバーノはワルキューレ用の兵装の相談をしていた。

「レオポルド社の兵装はワーグナーのオペラからネーミングしてるのか」
「ワルキューレに相応しい名前にしました」

 天空の騎士でエインヘリヤル、黄金の城でヴァルハラと読ませる所は、厨二臭を感じさせる。

「ゼーゲン社側は、ジャミング、スマッシュビート。……普通で無難で面白みに欠けますね」
「兵装のネーミングに面白さなど求めないだろう」
「その割に音楽用語が混じってる気がします。命名者の趣味でしょうか?」
「いや……まあ……」

 以前アサルトコアに乗って、歌いながら戦う・戦略的音楽隊という企画に、榎木津は協力したことがある。音楽が好きなライセンサーもいると知ったから、彼らのために良い装備を作りたいという気持ちが命名に影響を与えた。

 アルバーノは最近のお気に入り、ワサビチップスを囓りながら、極甘珈琲を喉に流し込む。この鼻にツンとくる刺激の後に、甘さをガツンとキメるのが癖になる。

「そういえば、今日SALFから研究員が来るらしいですね」
「ああ、南米のジョゼ者でメアリーを開発したエンジニアだ」

 その話を聞いた時、榎木津は歓喜した。
 メアリーの設計を見ただけでわかる。この開発者は搭乗者の安全を第一にしている。そういう常識と実績を持ったエンジニアなら、レオポルド側の無茶苦茶なデザインに意見してくれる。そうしたら、もっとまともで良い性能の機体を作れる。
 そう、思っていたのだ。



 数日後、SALFから派遣されてきた来栖 由美佳はゼーゲン社の研究施設を訪れた。

「初めまして。来栖 由美佳です。よろしくお願いします」
「ようこそゼーゲン社へ。榎木津です。よろしくお願いします」

 榎木津はさっそくワルキューレの開発状況を説明していく。
 ゼーゲン社に転職する前から、榎木津が長年研究を続けた補助デバイスの説明が特に力が入った。

「IMDのエネルギーをこのデバイスに注ぎ、増幅することで、瞬間的に防御やシールド修復能力を高めることができる」
「先に拝見した設計図にはありませんでしたが?」
「操作性の問題で、腕につけた方が効率が良いのだが、機体の重量バランスが悪すぎてつけられなかったのだ」
「なるほど。ではこのデバイスを小型軽量化し、さらに機体のバランスを調整しましょうか」

 スムーズに相談が進み、まともな研究者で良かったと、榎木津が胸を撫で下ろしていたところで、アルバーノが「うがー!!」と奇声をあげた。

「どうしたのです?」
「浮力でバランスを取るため再設計しているんだ。ブースターは小型化して見えない位置に仕込めば、デザインを左右しないけれど、ホバーはどうしても面積が大きくて目立つんだ。足元にホバークラフトを設置するのは、美しくないと社長からOKがでなくて……」

 デザインよりも性能をと、アルバーノが訴えても社長が納得しないらしい。

「……でしたら、足下ではなく背面にホバーをつけるのはどうでしょう? 大きな肩当てで吊してマント風にすれば、騎士をイメージするデザインを損ねないですよね」
「なるほど。日本のアニメにあったファンタジーロボか。うん。アニメのロボ資料を集めて、社長に提示してみます!」

 アルバーノがご機嫌でアニメを発掘し始める横で、榎木津は腰を抜かしていた。

「マント? アサルトコアにマント? いや、ちょっとそれはどうなのか……」
「性能さえ良ければ、見た目は何でも良いではありませんか」

 由美佳の基本的な設計思想は「搭乗員の生命確保」であり、その点は榎木津に近い。
 だが一方で個人的な好みは、ピーキーでも強力な機体というアルバーノ側に軍配が上がる。

 それに榎木津は知らない。
 由美佳はゼーゲン社の社長から、レオポルドのデザイン案はできる限り尊重して貰いたいと頼まれていることに。
 だからハイヒール案も、そのまま採用されることになった。



 ゼーゲン社の研究所敷地の一角。広々と平らな土地が続く試験場に、ライセンサー達は集まった。
 新型アサルトコア、ワルキューレのテスト運転に手伝うためだ。

 よく晴れた青空の下で、日差しを浴びたワルキューレは黄金のように輝いた。メインカラーはレモンイエロー、局所的に配置された金とペールグリーンのアクセントが効いている。
 前回よりも腕やウエストを細くして軽量化し、胸部や腰回りなど局所的にボリュームを出す。メリハリの利いたボディラインが女性的な美しさを醸し出していた。
 頭には羽根飾りのような意匠があり、大きな肩当てと、右腕には小型のラウンドシールド型補助デバイス。それはワルキューレの伝承の姿に相応しい出で立ちだ。
 背面にマント型のホバークラフトと、ハイヒールブーツがどうしても目立つ。
 世界を間違えてないだろうか? と思うほどにファンタジー感が漂う奇抜なデザインだが、前回よりもずっと安定感のある機体に仕上がっていた。


 今回の実験の主導者である由美佳が、ライセンサー達に説明を始めた。

「皆さんには実戦に近い形での実験に協力していただきます。今ワルキューレが立っているここをスタートラインとして、あちらをゴールと定めます」

 150m先にあるゴールには巨大な固定砲台が設置されていた。EXISとしては射程が長い大型のキャノン砲だ。

「私とアルバーノ君が皆さんの妨害役として参加します」

 由美佳はあの固定砲台から攻撃を続け、アルバーノはアサルトコアで動き回りながら攻撃を仕掛ける。

「砲台からの攻撃を受け止めたり、回復したりつつ、ゴールを目指してください。攻撃テストはアルバーノ君へ」
「僕の心配は必要ありません。一定の損傷を受けた時点で撤退します」

 もし怪我をしてもゼーゲン社の医療チームがバックアップをしてくれる安全仕様。

「今回はワルキューレに実装予定の7つの兵装のテストがメインです」

 7つの兵装(スキル)の中から、1機につき3つまで選ぶ。参加者全員で分担し、7つの兵装を全部試して欲しい。
 武器はアサルトランス「マフルート」とB02アサルトライフルが用意されている。どちらを選ぶかも選択制のようだ。

「ワルキューレの特徴は運用のしかたで、大きく変わる機体ところです。『黄金の城』という兵装は、移動に使うIMDを防御に回すことで、瞬間的に障壁を固くすることができます」

 機動力を犠牲にしてピンポイントで壁役になれる。

「こちらの『スマッシュビート』は射撃攻撃を武器で殴って反射させます」

 アルバーノは手に持った杖を、野球のバットの如くフルスイングして見せた。つまり飛んできた攻撃を、武器で打ち返すのだ。

「上手く使えばノーダメージで攻撃を無効化できるだけでなく、防御を攻撃に転じることが可能です」

 その一方で回復や攻撃兵装は機動力を損ねない。
 例えば攻撃兵装『ジャミング』はIMDを電磁波に変換して、敵のフィールドに干渉しノイズを発生させ、敵を妨害する射撃攻撃だ。
 遊撃的に戦場を走り回り、敵の妨害や味方の回復で、戦場全体の生存能力を向上させる。


 由美佳はぐるりとライセンサーを見回し、微笑んだ。

「今回のテスト結果を元に、ワルキューレの最終調整に入ります。ぜひ協力をお願いしますね」

●目的
ワルキューレの試運転

●NPC
来栖 由美佳
 SALFの研究員。
 射程150mの固定砲台を使用。威力は高い。

アルバーノ・サンマルチノ
 レオポルト社技師。
 ワルキューレで妨害役をする。武器はライフル。使用兵装はジャミングとトーンコントロール。

榎木津
 ゼーゲン社の研究員。一般人なので戦闘には参加せず、裏でデータを取ってる。

●状況
 場所はゼーゲン社研究施設の敷地。
 PCは全員ワルキューレに乗る。PC全員で手分けし7つのスキル全て試しつつ、スタートからゴールを目指してください。
 医療スタッフが待機していますので、怪我人が出てもすぐに治療可能。
 リプレイはPCがワルキューレに乗ってスタートするところから始める。
 試運転後にNPCに話しかけるのはOK。


●装備
試作品アサルトコア『ワルキューレ』
 防御型AC。前回より安定感は抜群によくなり、バランスを崩す心配は必要なし。武器は槍か銃。移動力は7とする。
 7つのスキルから3つまで選択できる。

・特殊兵装『ジャミング』:攻撃
直線範囲3スクエアに物理射撃攻撃を行う。命中時【命中低下】を付与

・ブリュンヒルド:回復
指定した1体の生命を回復し、バッドステータスを解除

・ニーベルンゲンの歌:回復
射程内の対象3体に【活性】を付与し、生命を回復

・トーンコントロール:回復
自身に【継続回復】を付与

・スマッシュビート:対抗
武器で敵の射撃攻撃を跳ね返し、指定した対象に攻撃を当てる。射程内に対象が存在しない場合攻撃は無効となる。白兵武器のみ使用可能

・天空の騎士:対抗
5スクエア以内の味方が攻撃を受けた時、同じスクエアまで移動し、防御と抵抗を上げて代わりにダメージ判定を行う

・黄金の城:通常
防御時にカット値+50。次ターン移動力を-5する。白兵武器のみ使用可能

※質問卓設置可。質問は由美佳が答えます。

 こんにちわ、雪芽泉琉です。
 影絵MSから由美佳さんをお預かりする事になりました。同じにはできませんが、近づけるように努力します。

 今回はワルキューレに実装予定のスキルを試して貰います。
 解説のスキルは、まだ実装前の性能です。テスト結果によって、実装時に数値や性能に変更が入る可能性があります。

 よろしくお願いします。

  • 王国の猛将
    ラルフla0044
    放浪者15才|ゼルクナイト×セイント

前回の動きと比較しつつテスト
スキルはジャミング、ニーベルンゲン、スマッシュビート
ジャミングは味方を識別可か、射程あるか(ネメフォのレールガン的な?)、判定関係
ニーベルンゲンは1人を複数回対象に出来るか、対象2人以下の時の挙動、後射程
スマッシュビートはジャミング(範囲)に効果あるか、判定いるか
ビートで攻撃をアルバーノへ投げつつ進軍、状況に合わせ攻撃や回復
連携時の動きや他の人の様子見ての動きや使ってないスキルの様子確認
最後辺り脱出装置のテストも

感想?まずジャミングが射程ゼロ直線3なら前〜中距離想定で良いのかな?
ステはスマッシュ判定あるなら判定に使う物(白兵命中?)は高い方が。後防御や体力の耐久面も
スキルは、ジャミングは命中や効果値重点で仕上げ希望。範囲、射程増や判定無付与とかは無理かも知れんが可能なら?
後難しいだろけどニーベルンゲンの歌の効果は微妙かなと。ブリュンヒルデが使い易いし
類似でSJ-01のエスコートシールドがある、カバーしない場合用なのかも知れんがタンクの自分には使えず他三体指定となるとちょっと?重ねれてもその分効果増幅とかはないだろし。歌要素?とエスコートと差別化の為だと思うけど、残る機体にあっても価値が薄そう?
他防御型との差別化自体は城スマッシュトーンの3種で出来てる思う。他は注視や強化による囮、拠点防衛系、こっちは追従支援とか中心で

★アドリブ・絡み可
〇心情
「名前にスキルに、ビジュアルは結構好きだけれど…性能はどうなってるのかしら?
前回の報告書も目は通しているため惨憺たる状態も(一応)確認済

〇目的
新AC試運転

〇使用スキル
ブリュンヒルド/天空の騎士/黄金の城
槍装備

〇行動
最初から飛ばしてゴールを目指すわ。
なるべくならわざと突出して、攻撃の目を引ければ嬉しいわね。
黄金の城で防壁の強度を上げて、どれだけ耐えれるか試せるもの。
欲を言えばロードリーみたいな相手の目を引き付けるようなスキルも欲しいけど、そこまではちょっと難しいかしら。
もしくは、SJ-02Sのスポットライトあたりと組み合わせろ…ってことかしら。

私より先行した人が攻撃を受けるなら、天空の騎士で一気に動いて盾になるわ。
黄金の城→天空の騎士、って繋げられると綺麗よね。
バッドステータスを貰ってしまっても、ブリュンヒルデで回復よ。
そうじゃなくても、今回は砲撃がちょっと痛いから純粋に回復としても有用よね。
立ち止まって壁になる、ってより動いて目を引き付けて壁になる使い方が楽しそうね。
それだけじゃなくて回復もあるから、組み合わせによっては持久戦に強いんじゃないかしら。

  • 夜明け告げる者
    高柳京四郎la0389
    人間28才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

使用スキル
ブリュンヒルド
ニーベルンゲンの歌
天空の騎士
「防御型って事だしな、この辺りのスキルの有効性は確認しておいた方が良いだろ

主に攻撃を受ける形でテストを行う予定の味方の援護を重点に行う
アルバーノ機のジャミングを受け命中低下を受けた機体が出ればすぐに駆け寄りブリュンヒルド使用
余裕があれば自機でわざとアルバーノ機のジャミングを受けて自己回復でのブリュンヒルド使用も試してみる
またダメージを受けた機体が範囲内に2機以上あればニーベルンゲンの歌で活性付与し回復
「修復と共に、それぞれデバフの解除とバフの付与か。なかなか変わった回復スキルだな
「ニーベルンゲンの歌…3つまで効果を与えられるようだが…まぁ、とりあえず2機以上の複数相手に試してみるって感じかね

上記2スキルの試用をしつつ固定砲台やアルバーノ機の攻撃で範囲内の味方が狙われれば天空の騎士で代わりに受けて防御性能を確認
「防御型らしいスキルだな…問題はスキルで防御力をどこまで上げられるかと言う感じかねぇ

味方がスマッシュビートを使う際は注視しておき
もしも跳ね返した先に味方機があれば割って入るか天空の騎士でカバーできるように備えておく
「スマッシュビート…スキルの用法的に、射線上に味方が居ればそっちにあたる可能性もあるな
。いわゆる識別不可ってやつか…一応警戒しておくか

  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

選択スキル:天空の騎士 黄金の城 トーンコントロール
「さて、防御、護衛型の構成になるのかね、これ。」

選択武装:アサルトランス「マフルート」

行動方針:前回難のあった機動性を中心に、性能を可能な限り細かくテストする。

行動:味方を天空の騎士の射程内に収められるように位置と距離を確認しつつ
スタート地点より進軍。固定砲台の射程内に入れば黄金の城を使用し砲撃を誘う。
また、黄金の城を発動したうえで味方機を天空の騎士で守り、その際、黄金の城の効果は乗るのか、など防御性能と使い勝手の確認を行う。
また、その後トーンコントロールを使用し、回復能力の効果量、および効果継続の時間などをチェック

アルバーノ機は味方のブリュンヒルドのBS解除のテストが無事に終わるまでは
牽制程度にとどめる。

一通りスキルのテストが終われば、味方機のうち防御能力を持ってきたいない
機体を天空の騎士でフォローしつつゴールに向かう。

  • シスターズ銀河帝国建国者
    美玖・ルフla3520
    人間18才|ネメシスフォース×ゼルクナイト

「で、これは高機動型でしか?それとも防御系でしか?それとも補助機でしか?」
思ったことを素直に口にするのが美玖テイスト。基本メカ戦でしか動かない人なので事メカに関しては厳しめだ。で、本日はぜっさん風邪っぴき中だ。パイスー着てヘルメットかぶっておけば、
ウイルスは外に漏れないだろうってことで。
「まさにワルキューレの奇行でし。」
そうひとりごちてワルキューレに乗り込んだ。
美玖の試験短答範囲は被破壊試験。どんだけのムチャやラかしてもダメコンできるかどうかの
チェックだ。熱で某っとしているのでめんどくさいこと考えたくない模様。
持ってくスキルは
トーンコントロールとブリュンヒルデと、二―ベルン毛の指輪だ。トーンコントロールは「ラインの黄金」とかに命名変更を強く希望。名称はワグナす方面で統一してもらいたい。

やることは敵の攻撃をよけずに全部受けまくって回復系で回復を繰り返すというものだ。
だから機体がどんなに壊れても頓着せずにバキバキ壊していく。

戦闘での役どころは前衛の壁役である。皆と連携はするがむずかしいことはかんがえたくな・・・・。

二―ベルン毛が自分に使えないってのはただの度忘れ。でももしかしたら使えるかもしれないからテストするでし。

「これはぼろぼろでしが、美玖の事はよく守ってくれたので合格でし。壁系でしね。」
そしてぶっ倒れる。

「まだ違和感あるなー…。もうちょっと反応速くないと…」
気分は『新しいおもちゃをもらった子供』。
滅多にやらない操縦方法でやるため、歩かせて調整。

〇スキル選択
・トーンコントロール
・スマッシュビート
・特殊兵装『ジャミング』

ある程度足並み揃えて前進。
スキルのテストがある程度済む(天空の騎士やブリュンヒルドの効果確認)までは防御寄りの立ち回り。

「そろそろいいかな?じゃ…いくよっ」
攻勢に出始めたら生き生きと。
トーンコントロールを使用した上でスラスター全開にして突っ込む。
アルバーノにジャミング使った射撃撃ち込み、更に踏み込んで格闘戦に持ち込む。
「…踏み込みの反応は悪くないね。普段操縦方法ならもう少しじゃじゃ馬でもいいかな。」

砲台、アルバーノ機どちらからでも射撃はスキルの続く限りスマッシュビートでアルバーノに打ち返す。
「いいね、これ。」
僕好みだ。と、楽しげに笑う。


テスト終了後、所感を提出しておく。
「スキル構成でアタッカーとしての運用も可能になるのは(`・ω・´)b
防御型の宿命ではあるけど、運動性もある程度欲しいところ」


 美玖・ルフ(la3520)は絶賛風邪っぴき中。パイロットスーツにヘルメットで風邪を移さない対策済みだが、熱でふらつく。
 ふらふらしつつ、バンデラス湾の作戦で顔を合わせた由美佳の元へ行き、問いかける。
「で、これは高機動型でしか? それとも防御系でしか? それとも補助機でしか?」
「分類上防御型です」
「トーンコントロールは『ラインの黄金』に変更を希望するでち! 名称はワグナす方面で統一してもらいたいでし!」
 思ったことを素直に口にするのが美玖テイスト。熱烈な要望を聞いて担当の榎木津は頷く。
「回復スキル三種の名前を統一か。それも良いな。名前を変えるのは簡単だしのう」
 要望が採用されて満足な美玖は試験に向かう。アサルトコアの任務が多い美玖は機体には厳しめだ。きっちり性能を確かめる。
「まさにワルキューレの奇行でし」
 そうひとりごちて美玖はワルキューレに乗り込んだ。

 高柳京四郎(la0389)は腕を組んでゆったりと構え、ワルキューレの周りをぐるりと見て歩く。前回提案したブースターも、さりげなく追加されていた。
「防御型って事だしな、この辺りのスキルの有効性は確認しておいた方が良いだろ」
 より良い機体になっていそうで楽しみである。

「あら、この前のエオニア以来ね」
「ああ、あの牛の時の。奇遇だな」
 白神 凪(la0559)とミラ・ケートス(la0103)は先日エオニアの任務で一緒になったばかりだ。
 凪は前回の惨事と比べ格段によくなったと言いつつ、軽く溜息をついて頭を掻いた。
「……ま、ちょっと独特だがかなりまともになったな」
「報告書を読んだけど、前回は酷かったらしいわね。名前に兵装に、ビジュアルは結構好きだけれど……性能はどうなってるのかしら?」
「さて、防御、護衛型の構成になるのかね、これ」
 難のあった機動性を中心に、性能を可能な限り細かくテストしたいと凪は語る。
 ミラは柔らかく微笑んで、一つ提案した。
「よかったら、兵装を交互に使ってみるのはどうかしら? 繋げられると綺麗よね」
「黄金の城で落ちた移動力を、天空の騎士で補い合うのか。それは面白そうだ」
 ミラと凪は互いに守りを重点的に試したかい点も一致していた。連携して実験しようと相談した。

「じゃ、行ってくるよー」
 ジル・メイフィールド(la3775)は新しいおもちゃをもらった子供のような気分で、ウキウキとワルキューレに乗り込んだ。
 防御型と聞いているが、ワルキューレの攻撃面を試してみるつもりだ。
 愛機のコックピットはジル用にカスタマイズしてあるから操縦桿とフットペダルを使ったオーソドックスな運転に慣れない。
 本格テスト前に試しに歩いてみるが気になる。
「まだ違和感あるなー……。もうちょっと反応速くないと……」
 何度も試し歩いて、ようやく納得いく動きができてジルの笑顔が輝いた。

 前回よりもだいぶマシになったが、ラルフ(la0044)はまだ色々要望したかった。期待が大きいからこそ、よりよい機体にして欲しい。
「ニーベルンゲンの歌の効果は微妙かな……ワルキューレは壁役になるだろうし、自分に使えないのが惜しい」
 榎木津は首を横に振る。自分も回復対象に含めると、大幅に回復性能を落とさないと出力が持たない。
「実際に使ってみないと、三体指定のメリットがピンと来ないのだろうのう」
 そう言われて乗ってから要望を出した方が良いと考え、ラルフも機体へ乗り込んだ。



 実験開始の合図と共に、真っ先にミラは飛び出した。
「最初から飛ばしてゴールを目指すわ。なるべくならわざと突出して、攻撃の目を引ければ嬉しいわね」
 耐久実験だから攻撃して貰わないと困る。
 先頭に飛び抜け、槍を前に構えて体勢を整え、黄金の城を発動する。IMDが生み出す障壁が分厚くなっていくのを感じた。
 そこへ砲台から弾丸が飛んでくる。ぐっと堪えて耐えてみたが存外被害は少ない。
 装甲の厚さと引き換えに、がくりと落ちた機動力で仲間達に抜かれていく。
 凪も黄金の城で守りを固めた所で、後ろを走るミラを襲うアルバーノの攻撃に気づいた。天空の騎士でミラの元へ素早く駆けつけて庇う。
「機動力が低下していても、射程は問題なさそうだな」
「ありがとう。次はこっちの番ね」
「さっき相談した奴だな。次は俺を攻撃してくれ。交互に試したい」
「わかりました」
 凪が由美佳へ注文をつけると、砲撃の照準が二人を狙い始める。
 凪が前へ進む間に、ミラが黄金の城を使う。凪に攻撃が来れば天空の騎士で庇うためミラも前へ進める。その逆もしかり。二人は流れるように交互に前へ進んで行く。
「これ、二つ組み合わせると気持ち良いわね」
「ああ、それにちゃんと二つ分防御力は向上するんだな」
「そうね。組み合わせた方が攻撃が和らいだわ」
 ミラはブリュンヒルド、凪はトーンコントロールを使って修復。
「今回は砲撃がちょっと痛いから純粋に回復としても有用よね」
「一気に直すか、じわじわ直すか。使い分けもできるな」
 防御兵装のおかげでダメージが抑えられてる分、今の所回復は追いついている。弱い敵の攻撃が延々続く時は、こっちの方が便利だと思った。

 ジルは攻撃に回りたくなるのを、うずうず押さえて足並みを揃えて待っていた。防御性能のテストを終えてから、反抗に移るのが楽しみだ。
 そこへ飛んできたジャミングが的中。すかさずミラのブリュンヒルドが飛んできて、ジルの機体からノイズが消えた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
 修復を終えると、すぐにミラは耐久テストに戻っていった。

 美玖もずんずん前に出る。
「どんだけのムチャやラかしても、ダメコンできるかどうかのチェックでし」
 熱でぼうっとしているので難しいことは考えたくない。
「ぐわー」
 防御兵装なしで砲撃が当たるとなかなか痛い。トーンコントロールを使うと障壁がじわじわ修復された。
 回復量は控えめだが効果が途切れるまで手が空く。他の回復兵装と重ねる事も可能だ。
「便利でしね」
 美玖は攻撃を受けまくってばんばか回復実験を続ける。どんなに壊れても頓着せずにバキバキ壊していく。
 アルバーノからわざと攻撃を貰うのもどんとこい。
 痺れてもブリュンヒルデで自己回復を試みて二種の回復量を比較してみる。
「こちらの方が、少し多い……でち?」
『武器しか装備しておらんから、差は少なく感じるかもしれん』
 トーンコントロールは固定だが、他二種は防御に比例して増えると榎木津は補足した。
「榎木津氏、ありがとでし。それは装備ガン積みが楽しみでち」

 ラルフはジャミングを試すべく、アルバーノに照準を合わせた。射程内に味方もいたがアルバーノだけに当てる意識をする。
 発射されたエネルギーがまっすぐに飛びアルバーノに的中。敵味方を区別できると確認できた。
 反撃にアルバーノは、京四郎とラルフへ纏めて電波妨害を放つ。
 すぐに京四郎はラルフにブリュンヒルドを放った。味方の援護を重点に行いたい。ラルフに纏わり付くノイズが消え、障壁のヒビが消えた。
「修復と共に、それぞれデバフの解除とバフの付与か。なかなか変わった回復スキルだな」
 京四郎は自分にもブリュンヒルドをかけてみる。
「ニーベルンゲンと回復量を比較してみたいなぁ」
「これ、同じ対象に二回できるのでしょうか?」
 ラルフがニーベルンゲンの疑問を口にすると、京四郎は答えた。
「……三つまで効果を与えられるようだが……まぁ、とりあえず二機以上の複数相手に試してみるって感じかね」
 ラルフは試しに仲間二人へ向け発動してみる。回復の光が遠くの味方と間近の味方に同時に着弾。片方に二回かける意識もしたが、一回しか当てることはできなかった。だがメリットがわかった。
「あ……なるほど。こういうことか!」
 範囲は味方が一カ所に固まってこそ最高の効率を生かせる。しかし実戦では敵味方共に動き続け、回復の為に集まれない事もある。
 回復を受けた京四郎は感嘆の声をあげた。
「なるほど。自分を中心にずいぶん広い範囲をカバーできるようだね。ブリュンヒルドより回復量も多いな」
 装備なしでも実感できるなら、装備次第で劇的に差が出る。
 京四郎は試しに離れた三人を選んだ。自分を中心に前方40m、左舷20m、後方30m。味方へ回復が飛んでいく。
「これは凄いね」
 味方の位置がバラバラでも、射程範囲内なら確実に三人回復させられるのは大きい。

「皆と連携はするがむずかしいことはかんがえたくな……」
 美玖は高熱でふらつき、ニーベルンゲンが自分には使えないのをすっかり度忘れしていた。
「でももしかしたら使えるかもしれないからテストするでし」
 やはり発動しない。仲間へ試みれば発動する。
「つまり……残されたブリュンヒルドとトーンコントロールが命綱でし?」
 ガンガン攻撃を食らって回復で凌ぐ作戦だから、そういう事だ。
 弱った美玖へアルバーノの攻撃が襲う。それを京四郎は天空の騎士で庇った。
「邪魔して悪いが、防御兵装の実験がしたくてね」
「助力感謝するでし!」
 おかげで障壁を修復する時間が稼げた。
「防御型らしい兵装だな……防御力をどこまで上げられるかと言う感じかねぇ」
 味方の援護を好む京四郎向きの機体かもしれない。

 防御や回復系の実験がすんだ所で、ジルは笑みを浮かべた。事前にトーンコントロールを使っておき、手を止めずにすむ用にしておく。
「そろそろいいかな? じゃ……いくよっ」
 水を得た魚の如く生き生きと操縦し、出力全開で飛び出した。
「せーのっ!」
 アルバーノに向けて思いっきりジャミングを放つと機体をノイズが包む。おかげでアルバーノは照準が合わせづらくなった。
 続いて槍に持ち替え、雪崩混むように格闘戦へ。
「うわぁ!」
「……踏み込みの反応は悪くないね。普段の操縦方法ならもう少しじゃじゃ馬でもいいかな」
 突然の体当たりでも転倒しなかった。安定性が良くなった印だ。
 アルバーノが放った電磁波を、ジルはスマッシュビートで勢いよく跳ね返す。アルバーノがギリギリで躱した所で、ジルは砲撃を打ち返し、またアルバーノへ。今度は直撃。
「いいね、これ。僕好みだ」
 槍をぶんぶん振って楽しげに笑う。愛機はダンテだから、攻撃的な立ち回りの方が好きだ。
 ジルの様子を観察していて、京四郎はふと気づく。
「今二回連続で使った……のか?」
「そうだね。回数さえあれば、一斉射撃を受けても耐えきれるかも」
「……スキルの用法的に、射線上に味方が居ればそっちにあたる可能性もあるな。……一応警戒しておくか」
 味方に攻撃が当たるようなら、京四郎は天空の騎士を使うつもりでいた。だが、それは杞憂に終わった。
「……誰もいないと当たらない?」
 ラルフがアルバーノに届かない状態で、砲撃を撃ち返すと何もない空間に跳ね返された。
 一方ジルは、どんどんアルバーノに当てる。
「これ、よく当たるね。失敗しそうにない、使い心地だよ」
 狙ってない相手に当たる誤射は今の所0。ジルはご機嫌に回数を使い切って、銃に持ち替えた。

 実験が終了する頃にラルフは脱出装置のテストも試みるも、作動しない。
「誤作動しない為に、機体の危険時以外、脱出装置はロックしてます」
 由美佳が返事を返した直後。美玖のぼろぼろな機体が倒れ、脱出ポットが落ちた。クッションのおかげで衝撃は少ない。
「脱出テストも問題ないでし……これはぼろぼろでしが、美玖の事はよく守ってくれたので合格でし。壁系でしね」
 満足げに頷きばたりと倒れる。すぐに救護室へ運ばれた。怪我より風邪の方が問題だ。



 試験が終わってラルフは気になったことを、由美佳に伝える。
「スマッシュは命中とか耐久の補正が欲しいです」
「攻撃の対象を確実に変えるので、兵装の性能を上げても意味がないですね」
 AからBへの攻撃をAからCに変更する。攻撃が当たるかどうかは、AとCの問題となる。
 京四郎は気になった事を質問した。
「スマッシュで狙った相手に当たらずに、他の人が巻き込まれる事は?」
「どんな射撃攻撃も敵が回避したら、他者に当たる可能性はあります」
 スマッシュは攻撃の対象を変えるだけで、狙われた相手が回避を選ぶ事はできる。その先はいつもと同じだ。
「……ってことは、味方の攻撃を跳ね返したりできますか?」
「できますよ。確実に攻撃を流せるのに、味方の攻撃で使うのは勿体ない気もしますが」
「範囲攻撃にも使えますか?」
「範囲も単体も関係なく自分の分だけ跳ね返せます」
 範囲自体を打ち消すことはできず、スマッシュを使ってない対象は攻撃される。
 次にジャミングの要望もあげる。
「命中や妨害の威力があがると良いですね。できれば射程も」
「……ふむ、性能を下げずに射程を伸ばせるかもしれんな」
 榎木津は言う。白兵のつもりで開発していたが、射撃武器に変更したから調整できそうだと。
「ならブリュンヒルデも行動不能を解除できるといいです」
「それは……出力の関係で、変更すると回数が減りますね」
「単純な回復としても優秀だったから、回数は減らしたくないわね」
 横で聞いていたミラは、そう口にした。
「立ち止まって壁になる、ってより動いて目を引き付けて壁になる使い方が楽しそうね。回復もあるから、組み合わせによっては持久戦に強いんじゃないかしら」
「はい。持久戦向きの性能だと思います」
「味方を引きつける兵装があれば更に良いのですが……」
 そう渋るラルフへ、ミラはぽんと手を叩いて笑顔になった。
「SJ-02Sのスポットライトあたりと組み合わせろ……ってことかしら」
 ワルキューレで全てやるのではなく、他の機体との連携次第で可能性が広がる。
 ミラは改めて機体を見て微笑む。見た目による戦意高揚の重要性を、個人的には高く評価している。
「騎士のイメージにとってもぴったりな機体、よね!」
「まあマントも慣れたら違和感なくなるだろうな」
 凪はもともと魔術のある出身世界だ。マントに効果を付けた防具もあったので、そういうものもあるだろう、と気にしていない。
 乗ってみて性能は良い機体だと解った。凪は満足そうに頷いた。

 ジルは試験を終えて「楽しかった!」と機嫌良く由美佳へ、ぐっとサムズアップ。
「運用次第でアタッカーとしての運用も可能になるのは(`・ω・´)b 防御型の宿命ではあるけど、運動性もある程度欲しいところね」
「機動型には勝てませんが、回避も悪くない性能だと思います」
「予想より身軽で良かったね。火力は控えめだけど、他は何でもできそうかな」
 格闘戦をしたジルだからこそ、運動性能への考察も鋭い。

「皆さん、ご協力ありがとうございました。頂いたデータを元に、より良い機体に仕上げますね」
 そう由美佳は皆に礼を言う。
 ここからはエンジニアの仕事だ。近々完成したワルキューレをお披露目できるだろうと告げて。

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