オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】怪物に他ならず

連動 【堕天】怪物に他ならず ガンマ

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 特務 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/09/04 16:00
完成予定
2019/09/19 16:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●Take it easy 01
 著名人、権力者、名立たるVIPを集めたパーティ会場。
 ロシアインソムニアが一つ『ネザー』が陥落し、悪名高きエルゴマンサー『エヌイー』は討たれた。
 今夜は華々しき活躍をした者らへの感謝、激励の為のパーティ……のようなものだ。

 君達はSALF隊員として会場にいる。今日は防具ではなく礼装を、手には武器ではなくシャンパングラスを、未成年の者にはもちろんノンアルコールの飲み物を。
 今夜はパーティだ。流石に武装の持ち込みは許可されていない。VIPに囲まれて落ち着かないかもしれないが、そこはまあおいしい食事で我慢して欲しい。

 周囲を見渡せば賑やかなものだ。北方部隊長ハシモフ・ロンヌス、ノヴァ社社長アルビナ・ルーシーらの正装した姿も目に映る。許可証を付けた記者達が、熱心にVIP達へカメラを向けている。君達もいくつかインタビューをされ、撮影をされたことだろう。

 ――ここはサンクトペテルブルク、これは勝利に浮かれた夜の出来事。


●Take it easy 02
 一人のウェイターがトイレにいた。用を済ませ、手を洗っていた。
 次の休暇のことを考えながら、彼の視線は自分の両手に落とされている。
 その時だった。蛇口からどろりと流れてきたのは、銀色の物体。
 目を見開いた瞬間、彼の目の前は真っ暗になる。


●Take it easy 03
「こういう場は落ち着かん」
 隆々とした体をお堅い正装に押し込んで、ハシモフは控えめに溜息を吐いた。
「諦めなさいな。これも上に立つ者の務めですわ」
 隣のアルビナはパンツスタイルのパーティドレスだ。華美でこそないが、優雅さと品がある。
「お前はいいな酒が得意で」
 ハシモフの再びの溜息に、アルビナはくつくつと笑いながらシャンパンをあおった。ハシモフがこの顔このナリで『カルーアミルク一杯で吐く』ほどド下戸というのはごく一部の者のみが知る事実である。
 と、二人の元へウェイターがトレイ片手にやってくる。シャンパンのおかわりだろう、ハシモフは首を横に振り、アルビナは手を伸ばす。

 が。

「……!」
 二人が違和感に気付いたのは同時。
 ウェイターの顔色は真っ青で、口は堅く閉ざされ、体は震え、冷や汗を流している。見開かれた瞳には涙が浮かび、怯えたように視線を彷徨わせていた。
 瞬間である。
 彼の口が大きく開かれ、その口から、鼻から、どろどろずるずると――銀色の物体が溢れ出てきたのは。
「なッ――!」
 ハシモフの行動は速かった。片手でアルビナを引っ張り下げて庇いながら、もう片手は服の内に仕込んでいた拳銃を引き抜く。そしてたちまち人間ほどの大きさになっていく銀の物体へ、ありったけ引き金を引いた。

 グラスの割れる音。そして銃声に、誰もが振り返る。あるいは悲鳴を上げる。
 視線の集まる先には銀色の物体。それは緩やかに人間の形になると、涼しい笑顔の男となった。

 ――ネザー司令官、エヌイーである。

「彼なら無事ですよ。体の中に隠れさせて貰っただけですから、殺してはいません」
 それはペッと口から金属の球体を吐き出した。ハシモフが撃ち込んだ弾丸を体内で圧縮したものが、気絶しているウェイターの傍に転がった。
 悲鳴が会場を包む。エヌイーの青い目がドアへ殺到する人間らを見渡す。しかしドアは開かなかった。エヌイーの銀色に伸びる片腕が床を這い、ドアに張り付き、開けることを許さないのだ。

「Добрый вечер(こんばんは)」

 エヌイーは目の前のハシモフへ、ニコリと笑む。ハシモフは動けなかった。溶ける怪物の体の一部が、彼の手首に指に絡みついていた。イマジナリーシールドによって肌に直接傷がつくことはないが、文字通り左手を指先一つ動かすことができないでいる。
 そしてエヌイーは、君達へと振り返るのだ。

「私は『ネザー=エンピレオ』。長いので引き続きエヌイーと呼んで下さい。先日はお見事でした」

 それは、あの奈落にて倒されたはずの存在だった。
 なのに、目の前にこうして存在している。

「エンピレオ、だと……!」
 ハシモフはシールドから伝わる圧迫感に歯列を剥きつつ、眼前の怪物を睨んだ。
「我々はエンピレオ。偽物でもコピーでもありません。私はエンピレオの分体。奈落で討たれた私もそう。我々は大きな一つ。インソムニアであり、エルゴマンサーであり、プラントにしてゲートであり、ブレインにしてラボであり、兵士であり兵器である。まあ、あまり想像が付かないと思いますが」
「……こんなところまでわざわざ、何の用だ」
「今夜はネザーを踏破した皆様に、宣戦布告に参りました。今度はこちらから攻め込みます、どうぞよろしく。備えて下さいね」

 ――周囲は恐慌に満ちている。
 君達の目の前にはエヌイーとハシモフ、じりじりと後ずさるアルビナ。そして背後には、ドアの周りでパニック状態となった人々。周囲には、状況とはあまりに不釣り合いなほど豪華な会食。
 一体どうすれば? 今、君達に武器はない。実質ハシモフと人々を人質に取られているような状況だ、戦闘は無謀すぎる。
 エヌイーの体の一部が、割れてしまったグラスを拾い上げる。切っ先から滴るアルコールを、怪物はしげしげと眺めていた。

「さて――直々に、大々的に宣戦布告をすることだけが目的でしたから。これからどうしましょうかね。少し話でもしますか?」

 エヌイーはさっさと帰るつもりはないらしく、そしてナイトメアである以上、誰かを捕食する可能性もある。
 さあ、どうする。君達に何ができるか。
 手法は数多あれど、ゴールは一つ。
 エヌイーを『どうにかして』、穏便にこの場から去らせることだ。

●目標
死者を出さない

●登場
エヌイー
 仕掛けられない限り、自ら戦闘は行わない。軽い手合わせの申し込みならばその限りではない(悪意的に解釈しない)
 が、気が向いたら2~3人ほど捕食しようかとは考えている。リプレイ開始時点で「どうしようかな」程度なので、PCの対応によってやる気変動。
(捕食的な意味ではなく)食事については可能。
(PL情報:ある程度満足するか、時間が経過すれば退場する。何もアプローチしなければ一般人を捕食し始めるし、君達にも危害が及ぶだろう)

君達
 立場はパーティに招かれたSALF隊員。
 ドレスアップ済みorSALF制服(礼装)。非武装。武器、防具、装備品はシナリオ内で非所持として扱う。

アルビナ・ルーシー
 ノヴァ社社長。非武装。

ハシモフ・ロンヌス
 北方部隊長。武装は護身用拳銃ひとつのみ。丸腰が落ち着かないのでコッソリ忍ばせていた。破損済。
 リプレイ開始時、左手をエヌイーに絡めとられている。

※アルビナ、ハシモフは状況を把握しており、PCを邪魔するような(シナリオ失敗に繋がるような)行動はとらない。
 PL情報:エヌイーは両者について「戦略的にはここで殺すことが正解だけど、人類の作戦展開や技術進歩面では不正解なので、ここで殺すのはもったいないなぁ」程度に考えている。同時にザルバへの言い訳も考えている。

一般人
 開始時、パニック状態。
 エヌイーとしては自分が健在であることをもうアピールできたので、別にどうなってもいい。
 エヌイーへ交渉すれば素直に外に解放するだろう。アルビナ、ハシモフについても同様。

●状況
 ロシア、サンクトペテルブルク某所、高級ホテルの会場。
 広い。テーブルには会食。
 時間帯は夜。窓からは夜景が見える。

 こんにちはガンマです。
 お待たせしました。
 戦闘抜きでエヌイーとゆっくり話せるシナリオです。

 質問するネタを複数人で被らせるよりも、手分けして色んなアプローチをした方がよいでしょう。
 質問事項、アプローチ方法の事前相談をオススメします。

 よろしくお願い申し上げます。

パーティに参加するわ。

山吹色のパーティドレスに身を包んで、髪は結い上げて。
何しに来たって言われたら、そりゃあもちろんキャビアを食べに来たのよ。
養殖のチョウザメじゃなくて、天然百点満点のベルーガのやつをね!
ライ麦パンにたーっぷり乗せて、むしゃむしゃむしゃむしゃー。これが最高&最強。

だからもうエヌイーなんか来ちゃった日にはがっかりなのよ。
周りもわちゃわちゃし始めて、せっかくの食事が台無しなんで、まずは場を落ち着かせたい。
なのでエヌイーには、どうせならごはんを食べながら話しましょうってこととー
騒がしいのもアレなんで帰りたい人は帰ってもらって、のんびり話そうってことは言っておくわ。
ごはんはこう……誰にも邪魔されず……穏やかな気持ちで食べなきゃだめなのよ。

その上でここからはセルフサービスで食事タイムね。
遠慮なく瓶からキャビアをてんこもりですくって食べ続けるわ。
エヌイーにはなんか好きな食べ物はないか聞いておくし、
プラス、豪華なディナーの前には、適度な空腹状態を保っておいた方が、
舌から胃までじっくり美味を堪能できるってことを伝えたいかな。

心ゆくまでキャビア乗せパンを堪能したら、本題中の本題に入らせてもらうわ。
つまり、ネザー=エンピレオに対し、なにかお宝は持ってないかを聞く!
宣戦布告は分かった。また付き合ってやってもいい。
その代わり今度またこっちが勝ったら、貴方が有するそれを寄越しなさい。

そう、人が真の力を発揮するのは物欲ブーストがかかったとき!
人間は苦しめるよりも、ご褒美を用意した方がずーっとやる気を出すのよ。
良いものをもってないのなら探してきてもいいし、他のエルゴまんに貰ってもいい。
これは誓って言うけど、エヌイーのことを思ってのアドバイスだから。
そこんところよろしく頼むわね。

「……戦闘……じゃ、ない………?んっ、…なら……警戒………食べる?」

行動
いつでも襲いかかれる状態で肉を頬張りながらエヌイーに接触

特に話す内容もないから正面近い位置でひたすら肉を頬張りながらじっと見
「…………美味、しい…、……いる?」
一応ひたすらばれない程度に薄く薄く透明にした【青】を展開し一般人との距離感を屈折させておく

「……かい、ほー…?……、…きょー、み……ない………、……けど、……離し、て…くれ…るなら………あげる」(骨付きチキン差し出しながら
一応解放要望してみる。(食べながら
とにかく一般人に被害を出さないように



仮にエヌイーが襲いそうになったり、戦闘になるなら率先して飛び込み応戦する
「……ま、…てた、……やっつ、ける………!!」口角を吊り上げ

戦闘になったら全力の【青】付与、攻撃を【幻影幻舞】で回避
基本的立ち回りとして常に密着するようにして、初手から【アシッド】をブッパする。その後は刀で対応
エヌイーの行動
攻撃してきたらひたすら回避し反撃
攻撃しずに受け流す感じなら警戒多めで攻撃少なめに

「めんどー……必要、ない!いま、仕留めれば………未来を、楽しみなっ!!」


戦闘意識する前に不意討ちしてきたら射線妨害かもしくは【アロー】で行動妨害を図る

  • メシのメシア
    モーリーla0149
    放浪者18才|セイント×ネメシスフォース

■目的
エヌイーに穏便に帰ってもらう
ボクの話術で満足してもらう

■準備
SALF制服で参加
一般人対応は仲間に任せるよ

■行動
エヌイーにフレンドリーに話しかける
ボク達を殺すつもりなら奇襲なりしてとっくに殺ってるさ
そうしなかったのは……いまその気はないからだ
いまはね
「はじめまして、ボクはモーリー。誇りあるノコノコ族の戦士だよ!」
もし、他の個体と記憶を共有しているのであれば、はじめましてではないかもね

今日、ボクはエヌイーを優秀な戦士として遇するよ
ノコノコ族はたとえ敵でも、優秀な戦士には敬意を払うんだ
「堂々たる宣戦布告。さすがはネザーを統べるエヌイー。ボクは感服したよ!」

「先日の戦闘で、ボク達地球人類により興味を持ったかと思うんだけど。どうかな?」
「戦場ではないけど、この場でも学習する事はたくさんあると思うんだよ?例えば、ボク達の食事とかね。一口どう?」
パーティーの料理を勧めてみる
「肉料理には赤ワインが合うよ。ボクは未成年だから飲めないけどね」

「戦士ならこう考えるはずだよ。『次は万全の状態のSALFを倒す』とね。
万全の状態なSALFを殲滅する事で地球人類は絶望するだろう。エヌイーにはその自信もあるんでしょ?
だからいまは、ボク達には手を出さない」

「もちろん、ボクも負ける気はないよ。次に戦場で会う日が楽しみだよね」(ゴゴゴ……)

「‥‥随分と場違いな場に呼ばれたと思ったが、こういう展開なら悪くない。生身では初めましてだったかな」
服は礼装。飲み物はノンアルオンリー。

先ずは一般人及び社長とハシモフ君の解放を優先。
「此処はただのパーティー会場で、ライブカメラが回ってる訳じゃない。彼らを逃がして今の顛末を派手に宣伝してもらった方が、あんたの目的は果たせるんじゃないのかい」
なんならハシモフ君を拘束した状態の写真も撮っておく。
いっそ全員で記念撮影でもするかい?これで万全だよ。エヌイーも欲しければ1枚送るとも。アドレスかライン教えてくれたらね(

以後残った飯で会食しながら会話。生ハムメロンとかお勧めだよ。
個人的にはそう、あまりにも俺の世界の敵と似ている点が多くて聴いてきたいことも多い。

おそらく「エンピレオ」はネザーのシステム名を指していると思うんだが合ってるかな。要は実際に「生きて」いるプログラムなのか、そういう特性を持ったネザー型のエルゴマンサーなのか。
他にもそういった意志あるネザーは存在するのか。

エルゴマンサークラスの殻にそれぞれのAIを入れた、戦闘や研究の駒みたいなものがエヌイー始め他の連中だと解釈しているが、あれ便利だよね。何で量産しないの?

ナイトギアや使徒を始め、食料を別目的で使い潰す趣旨の研究が多いね。まあそれはいい。
使徒の研究進捗教えてホシイナー。どうだい意志ある使徒くらい作れるようになったのかい?(

‥まあ色々聴いたが、要は大元のネザーを潰せば全て解決だ。
次も殺すよ。次があればその次も。この世界は必ずあんたらを「本当に」殺しきる所まで辿り着く。楽しみにしていると良い。

  • 雛鳥の紅緒
    ツギハギla0529
    ヴァルキュリア18才|セイント×ゼルクナイト

反射的にエヌイーに仕掛けようとするが悲鳴を上げる人々を見て思い止まりエヌイーに声をかける
「それはシャンパン、人類が生み出した偉大な発明にして、他の発明を産む発想の手伝いをした偉大な飲物酒の一種よ。折角だから飲んでみる?

無事なグラスをエヌイーに渡す
「話す前に希望者以外を解放して頂戴。捕食はお勧めしないわ。ここにいる彼等は貴方への憎悪を糧にネザーを陥落させた立役者よ。今は混乱しているけど帰ったら必ず今回の屈辱を胸に更なる作戦と技術で今度こそ貴方を殺すわ

解放後は礼を言い食事を勧める
「ありがとう。どうせなら料理も食べてみたら?捕食とは違った美味しさを味わえるわよ

戦闘を仕掛けたものがいるならエヌイーと戦闘者の双方を回復
「停戦に合意してくれた以上筋は通すわ

質問
「分体についてもう少し詳しく教えてもらっていいかしら?貴方は姿を変えられるようだけど、例えば今のエルゴマンサーからラボになったりできるの?
「何にでもなれる銀色の物体の集合体が貴方で、今みたく手が必要な時は切り離して行動してる?そして貴方は一欠けらでも残っていたら捕食を繰り返して再生可能なの?
「つまり貴方を殺すには全ての貴方を消滅させないといけないの?

最後まで捕食されなかったらエヌイーに抱き着き頬にキスし耳元で囁く
「最後まで紳士的に振舞ってくれてありがとうね。お礼に次は完全に完璧に滅ぼしてあげるわ、化物

  • スターゲイザー
    エドウィナla0837
    放浪者12才|ネメシスフォース×セイント

初めに本能的な焦燥。次に状況を理解したがゆえの驚愕。
そして続けて沸き起こるのは
「――いや、いいや。また、貴方に会えて嬉しいよ、エヌイー。相手の居ない勝負なんて、退屈なだけだしな」
上がる口角を抑えられない程の、歓喜。

開き直って状況を楽しむ、終始上機嫌

折角なので流星作戦の話を振る
「折角ネザーを攻略したのに、一番その話をしたい相手が居なくなっていることに気付いてな。その機会が回ってきて、ホッとしてるのさ。――どうだった?」
「聞いたときは馬鹿だと思ったし、最高だと思ったな。正直、テンション上がりっぱなしだった」
「しかし、倒されても問題なかったというのはこうして理解したが。良くもまぁ、すっかり伽藍にして待てたな?」
「そういえばネザーを攻略すれば云々の約束はどうなった。あれか?同じものである以上、エンピレオまで落とさなきゃダメか?」

それは手の届かぬ憧憬。いつか至るべき境地。目を逸らし得ない輝き。故に。
「貴方を、見ているからな」

  • 牙持つ闇
    花咲 ポチla2813
    放浪者14才|ネメシスフォース×スナイパー

スキル『話術』&『聴覚』発動


エヌイー登場直後
すぐ周囲に目を走らせ
民間人の位置と味方の武装状況を確認

ほぼ全員が非武装なのを確認し
エヌイーを戦闘で撃退する案を破棄

過去の戦いからエヌイーが会話を好むのは知っている
失敗すれば自分達が無防備に攻撃を受ける事を覚悟した上で
くちプロレスを開始
以後エヌイーから目を離さないので
避難状況と周囲の味方の動きは聴覚によって把握する

◆目的
扉の開放による民間人の避難
ハシモフの開放


ドレスアップ済

最初に、にっこり微笑みながらエヌイーの前に出て語り掛け
彼を倒した者達がここに居る事を示し
彼の興味を自分達に集中させる

「先日ぶりですわねエヌイー。
まさか、またお会いできるとは思いませんでした」

優雅に一礼

「歓迎はいたしませんが、おもてなしはいたしましょう。
貴方に味覚があるか判りませんが、ニンゲンの作る料理も悪くはありませんわ」

テーブルの上に乗った料理を説明しながら大皿ごと次々に差し出す
どうせ余るので全部食べさせて問題無い

「ハシモフさん含め、ここに居る方々を食べられてしまいますと、
今後の戦術や技術開発的な意味でも、
貴方が喜ぶような進化ができなくなってしまうかもしれませんので、
今回はヒトの文化で好奇心を満たすという事で見逃していただけませんか?」

◆質問内容
「そういえば、先日貴方を倒したご祝儀という事で。
いくつか知りたい事があるのですが、教えていただけませんか?」

1.インソムニアを攻略しない限りエヌイーは何度でも復活するのか
2.エルゴマンサー『エヌイー』として同時に複数体出て来られるのか
3.ナイトギアは進化したか
4.エヌイー達が最初に攻め込む場所は何処か

「今後の予定を教えていただけるなら、わたくし達も十分な準備を整えて、
 全力を持ってお相手いたしましょう」

アドリブ絡み歓迎
アルビナにダンテのお礼を言いに参加しただけ
用が済んだのでひたすら飲んでた酒豪
「僕たちがあんなに必死になって倒したエヌイーも、初めからただの水銀の湖の一掬いでしかなかったというわけか
「実際のところそんなに驚いてないんだ。以前からお前の態度には必死さが無い…替えがきくなら納得できる
「それで?このまま帰るなら出口はあっちだが?
「…今この状態で死人が出たら、ライセンサーはまず間違いなく逆恨みを買うだろうな。どうして力ある者がついていながら助けなかったのかと。心の弱い人間の考えは手に取るように分かる…
「そうなれば少なくともSALFのイメージダウンには繋がる。僕はお前がここで捕食しようというのが不思議なんだ。進化した僕たちを食いたいんだろ?自分の手で進化を妨げていいのか?
「へえ!ザルバがか!アハハハ…こいつは傑作だ!お前ほどの化け物にも逆らえない奴がいるとはな!
「ザルバへの言い訳が必要なら、考えてやろうか?これでも一応作家だから作り話は慣れたものさ
「それじゃあ、こういうのはどうだ?一般人には逃げられたが要人は捕食した、しかしそれは影武者だった…そういう事にするのは
「或いはいっそ、来訪が察知されていて待ち構えられていた事にするとか…未知の物質(酒)を摂取させられてつい口が滑り、情報漏洩の危機だった…なんてのも面白いな!ははは、本当にそうなるか試してみるか?

今居るのもエヌイーか、落ち着け何か意図が有るはずだ

SALF制服着用

発言の被りに注意だ

協力
アルビナ・ルーシー

アルビナ社長の警護だと言い張る為口裏を合わせて貰う
パニック状態の一般人を落ち着かせて見せれば信じるはず
落ち着い貰えなければ対話にならない

落ち着いて貰い一般人に攻撃をさせない

落ち着いてください
周りが聞き取れるほどの音量で叫ぶ
エヌイーが襲う為に来たとは限りません
余計な事さえしなければ今は無害です
社長、あなたからも言って下さいますか
(あたしが貴方の警護だと口裏合わせて貰えませんか?
エヌイー一般人の解放をお願いします
多すぎるのは邪魔が入るかも知れない

アプローチは避難を済ませてからな。

ナイトギア
対抗技術
について尋ねる

整備士だったから客には、失礼何だけど砕けた言い方にする
ナイトギアの現在の総数は幾つだアンタの所だけで良い
それで燃料いやエンジンは何機有る。
ナイトギアにも種類があるのか
スキルみたいな物は
巨人やテンペストとの違いは何なんだ

備えろと言ったのなら聞かせて貰えるよな
対抗技術はどの様な実験が行われているんだ
敵・味方の識別のやり方は免疫とかに近いのか
ソラリスは研究に必要が無くなったから返して貰えたのかな
シールドに関して何か研究が成されていないか
リジェクション・フィールドに近いのはシールドだし突かれたら驚異だ

現れたエヌイーに驚きながらも、生きていたことには驚かず、彼の態度から戦闘は基本ないと判断し、無駄になりそうな料理の中でつまみになりそうな料理などを見繕い開いている皿に適当に料理を盛り付けてエヌイーの下に運ぶ。
「あの陰険水銀スライムやっぱり生きてやがったのですよ、あんな潔くくたばるなんてやっぱりなかったのです」(頭痛を耐えるように頭を押さえながら」

今までのエヌイーとの対峙した記録から考察し
「というか【宣戦布告】に【備えろ】ですか、それに他に目的が無いとなるとこの場で殺りあうつもりは無いようなのですね、あのスライム基本口に出したことだけは嘘や誤解はないのですから」

「話するなら飯でも食いながらが一番なのですよ、後扉を開けてほしいのです、話するにしても外野がうるさいのでさっさと彼らには外に出てってほしいのです、」

持ってきた摘みを食べて自分用に持ってきた日本酒を飲みながら(年齢?ヴァルキュリアには関係ない)ふと疑問に思ったことを問う。
「そういえば、素朴な疑問なのですが、ロシアのエルゴマンサーはエンピレオの分体という話なのですが。分体には決まった型でもあるのです?それともエンピレオが適宜状況ごとに最適な個体を設計して放出するのですか?実は同じに見えてもアップデートされた性能向上、新機能搭載型!とかないのです?」

●邂逅

 狂乱、悲鳴の渦、どこかでグラスの割れる音。

 ツギハギ(la0529)の『人に造られた機械』としての電子の脳は即座に反応を示した。
 人を護らねばならない=人の敵を排除せねばならない。それは反射であり、本能である。その為には武器が必要で――いつもEXISがある場所に伸ばした手は、虚しく空を掴んだ。
 そうだ。今は武器を持っていない。今のライセンサー達は警備員でも護衛でもなくVIPの一員だ。戦いでは何の役にも立たないドレスと洒落たヒール、そしてかんばせを彩るメイクだけが、ツギハギの『装備品』だった。褐色の肌を鮮やかに彩る白と、ゴールド。レースの長手袋が継いで接いだ機械の手を隠している。

 同刻、花咲 ポチ(la2813)もまたすぐさま周囲に目を巡らせていた。状況把握。そうして瞬く間に結論を下す。戦闘による撃退は不可能だ、と。
 ツギハギも同じ結論に到達する。戦闘姿勢を解除し、ポチを始め他の面々とアイコンタクトを交わした。誰もが同じことを思っていたようだ。目標を共有する。ライセンサーは戦い以外でこの場を切り抜けねばならない。無論、失敗は犠牲を生むだろう。無防備な体を怪物が挽肉に変えることだろう。一般人、ライセンサーの区別なく、だ。

「……あの陰険水銀スライム、やっぱり生きてやがったのですよ、あんな潔くくたばるなんて、やっぱりなかったのです」
 花模様を艶やかに飾った着物姿、髪には豪奢なかんざし一つ。いせ ひゅうが(la3229)は頭痛に耐えるように頭を押さえた。
 驚いた――だがそれはあくまでも状況についてであり、エヌイーの再来への驚愕はなかった。
 それはエドウィナ(la0837)も同様だった。本能的な焦燥、状況理解がゆえの驚愕に次いで、彼女の胸を突いたのは――
「――いや、いいや。また、貴方に会えて嬉しいよ、エヌイー。相手の居ない勝負なんて、退屈なだけだしな」
 上がる口角を抑えられないほどの、歓喜だった。
 振り返る怪物は、人の形をした涼やかな男の顔を緩やかに笑ませた。どこか嬉しそうな色を滲ませて。
「お久し振りです、皆さん」
 その言葉に、片眉をもたげたヨハネス・リントヴルム(la3074)は、空になったグラスをテーブルに置いた。黒尽くめのタキシードに身を包み、アルビナへダンテの礼を述べる以外は用事もなかったひとときに、まさかの展開だ。
「僕たちがあんなに必死になって倒したエヌイーも、初めからただの水銀の湖の一掬いでしかなかったというわけか」
 ヨハネスの呟きは、パーティ会場の騒乱に掻き消える。
 ひゅうがは重い溜息を吐いた。
「というか『宣戦布告』に『備えろ』ですか、それに他に目的がないとなると、この場で殺りあうつもりはないようなのですね。……あのスライム、基本口に出したことだけは嘘や誤解はないのですから」
 正直思い出したくもないが、ひゅうが今までのエヌイーとの接触記録を電子の脳から引っ張り出し、そう言った。
 うんうん、と頷いたのはモーリー(la0149)だ。SALF制服をキッチリ着込んだ彼女もひゅうがと同意見である。
「ボク達を殺すつもりなら、奇襲なりしてとっくに殺ってるさ。そうしなかったのは……いまその気はないからだ。『いまは』、ね」

 今ライセンサーが最優先でなすべきは、一般人についての対応だろう。パニック状態の彼らは、申し訳ないが不確定要素の塊でしかない。
 雫の滴る音が小さく鳴った――それはエヌイーの体の一部が摘まんでいるガラス片より滴るアルコールの音だ。

「それはシャンパン、人類が生み出した偉大な発明にして、他の発明を産む発想の手伝いをした、偉大な飲物酒の一種よ。折角だから飲んでみる?」
 ツギハギは卓上から無事なグラスを取ると、雫が落ちる様を目で追っていたエヌイーへ差し出した。
「おや、これはどうも」
 エヌイーはニコリと笑んでそれを受け取った。そのままずるずる伸びた細い銀色が、シャンパンの中に。たちまち水位が下がり、飲み干してしまう。
(うわっ……きもすぎるのです……)
 見るんじゃなかったとひゅうがは目を逸らした。あの細くてウネウネしたものを見続けていると、しばらく麺類を食べられなくなりそうだ。
 一方でツギハギは動じることはなく、淡々とエヌイーへこう言った。
「話す前に希望者以外を解放して頂戴。捕食はお勧めしないわ。ここにいる彼等は貴方への憎悪を糧に、ネザーを陥落させた立役者よ。今は混乱しているけど、帰ったら必ず今回の屈辱を胸に、更なる作戦と技術で今度こそ――貴方を殺すわ」
「ああ、俺の希望も同じだ」
 会場の隅、片手を挙げたのはケヴィン(la0192)だ。礼装を着込んだ傍ら、卓上に置いたグラスはノンアルコールである。
「……随分と場違いな場に呼ばれたと思ったが、こういう展開なら悪くない。生身では初めましてだったかな」
「ケヴィンさんですね。先日ぶりです」
「どうも。言いたいことはまあ、そこの美人のねーちゃんが言ってくれたんで大まかに割愛。ただ、ここはただのパーティー会場で、ライブカメラが回ってる訳じゃない。彼らを逃がして今の顛末を派手に宣伝してもらった方が、あんたの目的は果たせるんじゃないのかい」
 ケヴィンがドアの周囲で狼狽している人々をあごで示す。
 彼らの近くには、SALF礼装用制服を着たエイラ・リトヴァク(la3147)がいた。
(今いるのもエヌイーか……落ち着け、何か意図があるはずだ)
 逼迫した状況。エイラは自らに冷静を敷きつつ、華美な装いの人々へ大きく声を張った。
「皆様、どうか落ち着いてください!」
 その声に視線が向いたところで、エイラは続けた。
「エヌイーが我々を襲う為に来たとは限りません。余計なことさえしなければ今は無害です。――社長、あなたからも彼らへお願いできますか」
 エイラは視線をアルビナ社長へと向ける。「あたしが貴方の警護だと口裏合わせて貰えませんか?」――眼差しはそう語る。アルビナはすぐさま、エイラの意図を汲み取った。
「その子の――我が社自慢のヴァルキュリアの言う通り。皆様どうか冷静に。悪夢を前にして狼狽えてどうするのです。我々こそ威風堂々とあらねばならないのです」
 厳かな声と圧倒感のある眼差し。メガコーポの社長の肩書はダテではない。
 エイラの働きかけによるそれが功を奏した。人々は徐々に落ち着きを取り戻していき、ざわめきは鎮まり始める。ひとまずは安堵しつつ、エイラはエヌイーへ向いた。
「エヌイー、私からも……一般人の解放をお願いします」
「ふむ。しかしそう言われると、侵略者としては逆のことを成したくなりますね」
「侵略者としては、ですか」
 言葉を継いだのはポチだ。彼女は優雅に微笑み、怪物の前に一歩出る。瀟洒に礼をしてみせる。露出の少ない黒のロングドレスは、貴婦人のような気品がある。
「先日ぶりですわねエヌイー。まさか、またお会いできるとは思いませんでした」
「こちらこそ、ポチさん」
「貴方を歓迎はいたしませんが、おもてなしは致しましょう。貴方に味覚があるか判りませんが、ニンゲンの作る料理も悪くはありませんわ」
 黒いレースの手袋で覆われたポチの手が、テーブルに乗った贅沢な料理の数々を指し示す。
「ハシモフさん含め、ここに居る方々を『侵略者として』食べられてしまいますと、今後の戦術や技術開発的な意味でも、貴方が喜ぶような進化ができなくなってしまうかもしれませんので――今回はヒトの文化で好奇心を満たすということで、見逃していただけませんか?」
 過去の戦いから、エヌイーが会話を好むことをポチは知っている。そして人間に良くも悪くも興味と関心を持っていることも。
「話するなら飯でも食いながらが一番なのですよ。あと扉を開けてほしいのです、話するにしても外野がうるさいので、さっさと彼らには外に出てってほしいのです」
 率直にひゅうがも言葉を重ねる。言いながら、彼女は背伸びをして一生懸命手を伸ばして、卓上の料理をお皿に盛――れない(ミニマム身長80センチ)ので、「任せて!」と胸を叩くモーリーに抱っこしてもらった。
「ほら、食べるですよ。どうせこの料理、このまま廃棄されてしまうのです。もったいないのです。責任とりやがれです。食べたのなら了承ということなのですよ。オーケー?」
 モーリーに抱っこされたまま、ひゅうががお皿を差し出す。

「素晴らしい」

 エヌイーが微笑んだ。それは料理に対するものではなく、状況を即座に理解し、なすべきことを見抜き行動をしたライセンサーの機転への感想である。
 そして、エヌイーが不意に『表面』を揺らめかせる。次の瞬間には人々を模倣して、上品な礼服となっていた。同時にハシモフや扉への拘束を解除する。そうすればドアが開いて、人々がワッと溢れ出し始めて――アルビナがハシモフの首根っこを掴んだ。「私達は彼らの護衛と誘導を」と、二人は人々と共に退室の動作を始める。
「無理はするなよ! いいな!」
 倒れたウェイターを抱え、ハシモフはライセンサー達に命じた。

 ――ドアが閉まる。そうすれば、静寂だ。

「……無理……は、しない……。命令、受諾……」
 もごもごとローストビーフを頬張りながら、スリットの入った蒼銀のロングドレス姿をしたミラ・R・Ev=ベルシュタイン(la0041)が頷いた。
「……戦闘……じゃ、ない……? んっ、……なら……警戒……」
 もしも戦いが起これば嬉々と飛び込むつもりではいたが、それはあまりにもあまりにも無謀だろう。そもそも装備がない。回避力も防御力も何もかもが落ちている。この状態では回避は全く機能しないと断言してもいいだろう。そして防具もなしに攻撃を受けてしまえば……一撃で再起不能もあり得る。
 ここでエヌイーを斃せるなど、ここにいる10人の屍を代価にしても、不可能だ。奇跡が起きる余地すらない。
 とはいえそれはミラが警戒を解く理由にはならない。あくまでも油断はなく、ミラはずいとエヌイーの正面に来る。
「……かい、ほー……? ……、………きょー、み……ない……、……けど、……離し、て……くれ……た、から……あげる」
 そう言って、骨付きのローストチキンをエヌイーの皿に盛ってやる。
「肉料理には赤ワインが合うよ。ボクは未成年だから飲めないけどね」
 そう言ったのはモーリーだ。エヌイーの近くの卓に、ワインボトルとグラスとを置いてみる。
「ありがとう、こっちの言い分を聞き入れてくれて。……戦友達も言ってる通り、どうせなら料理も食べてみたら? 捕食とは違った美味しさを味わえるわよ」
 ツギハギが言葉を重ねる。モーリーが頷いた。
「先日の戦闘で、ボク達地球人類により興味を持ったかと思うんだけど。どうかな? 戦場ではないけど、この場でも学習することはたくさんあると思うんだよ? 例えば、ボク達の食事とかね。一口どう?」
「そうそう。皆に便乗して『ごはん食べろ』って言っておくわ」
 更に言葉を重ねたのは、山吹色のパーティドレスに身を包んだアンヌ・鐚・ルビス(la0030)だ。髪を結い上げ、メイクもバッチリ、豪奢ないでたちだ。ラグジュアリーなゴールドネイルで飾った指先は――キャビアがこれでもかと盛られたライ麦パンを手にしている。
「ごはんはこう……誰にも邪魔されず……穏やかな気持ちで食べなきゃだめなのよ。折角静かにしてくれたことだし、ね」
 言いたいことは凡そ仲間達が言ってくれた。一般人の対応についても無事に終わった。豪華な料理に舌鼓をドコドコフェスティバル連打していたアンヌにとって、ひとまずガッカリ気分から気も持ち直せた。食事が台無しにならないようで一安心である。
 さて、多くのライセンサーから食事を勧められたエヌイーはというと。
「では、そのように」
 エヌイーはひゅうがに差し出された皿を手に取った。右手にフォーク。躊躇いのない動作で、エヌイーは料理を口に運ぶ。行儀は良い。ただ咀嚼がなく、嚥下の気配もない。しかも食事と同時に、モーリーから渡されたワイン入りのグラスに細く伸ばした体の一部をつけて飲んでいる。
 思えば、ナイトメア――エルゴマンサーが人間のように、人間の真似をして人間の食事をする風景など、とんでもない貴重映像なのかもしれない。
(……これ撮って研究者あたりに売りつけたら、超高く売れただろうな……)
 ケヴィンは内心そう思った。撮影機材はさっき、記者ごとドアの外に行ってしまった。ついでにハシモフの写真や記念写真でも撮れたものを。

 10人の人類とヴァルキュリアが、エルゴマンサーの捕食ではない食事を見守っている。
 そして誰もが思ったことだろう。

 ――コイツ、味覚はあるのか?

 あっという間に空になった皿を見て、エヌイーはこう言った。
「おいしいと思いますよ」
「……本当にそう思ってるのか?」
 エドウィナが片眉を持ち上げた。
「厳密に言うと味覚というより、成分分析による情報取得ですかね。糖度が高いな、とか、グルタミン酸が豊富だな、といった心地です。人間がおいしいと感じる成分が多いので、『おいしいと思う』と言いました」
 エヌイーはすらすらと言う。ナイトメアには個体差がある為、こいつの感想が全てのナイトメアに当てはまるとは限らないが。
「しかし、なんていうか……」
 アンヌは相変わらずキャピア――養殖モノではなく天然の最高級品ベルーガ・キャビア――を痛風上等とムシャムシャモリモリ食べながら、エヌイーの方を見る。
「……飲み物は口をつけて飲んだ方がいいと思うし、チキンの骨は残していいのよ……? あとは、そうね、モグモグとゴックンの動作があると、より人っぽいと思うわ」
 折角見た目もこの場に相応しいものに変身したんだし、と付け加える。
「咀嚼……、時間がかかりませんか?」
「あーそう考えちゃうかー」
 エヌイーは人間に興味があるだけで、人間オタクではないらしい。またエヌイーが関心を向けているのは技術面であり、食事文化や芸術面には興味が薄いようだ。その為か「おかわり」などとは言ってこない。それはさておきポチが大皿ごと持って来るし、モーリーも酒のボトルを並べるのだが。
 ミラはその様子をじっと眺めている。話したいないことは特になく、ローストビーフを頬張るのみだ。
「……おい、しい……、……いる?」
 そして、ローストビーフをスッと盛っておく。
「生ハムメロンとかお勧めだよ」
 ケヴィンもまたそう言って皿を寄せた。
「なんか好きな食べ物はないのかしら?」
 もう人目もないのでと、アンヌは自分の為にキャビア乗せパンの量産を始めつつ、怪物に問うた。
「皆様のような、知的生命体です」
 エヌイーは淀みなく、そして悪意なく答えた。「うわぁ」とアンヌはしょっぱい顔をした。
「何卒、人間以外で……」
「味覚的な意味合いですか? 特にこれといってありません」
「そう。じゃあ一つ人類の一人としてアドバイスだけど――豪華なディナーの前には、適度な空腹状態を保っておいた方が、舌から胃までじっくり美味を堪能できるわ」
「そう思うと、我々ナイトメアとは永劫の飢餓状態なのかもしれませんね」
 そして、エヌイーを始めナイトメアが、人間と同じ食事で満たされる存在でないことは明白だ。
 キャビアを飲み込んだアンヌは、本題を口にする。
「ズバリ貴方に聞きたいことがあるわ、ネザー=エンピレオ。――なにかお宝は持ってないの!?」
 ビシ、と臆することなくパンくずのついた指先を突き付ける。
「宣戦布告は分かった。また付き合ってやってもいいわ。その代わり、今度またこっちが勝ったら、貴方が有するそれを寄越しなさい。そう、人が真の力を発揮するのは物欲ブーストがかかったとき! 人間は苦しめるよりも、ご褒美を用意した方がずーっとやる気を出すのよ」
 アンヌにそうまくしたてられ、エヌイーはしばしの考える様子を見せた。手遊びなのか、触手でスープを奇怪に飲んでいる。
「それは物品的な意味ですか? それとも?」
「この思い出こそが一番の宝物でした……なんていうオチでお茶を濁すのはちょっとみみっちいんじゃない? 良いものをもってないのなら探してきてもいいし、他のエルゴまんに貰ってもいい」
「できれば物品的な意味、と。なるほど」
「これは誓って言うけど、エヌイーのことを思ってのアドバイスだから。そこんところよろしく頼むわね」
 アンヌにそう言われ、更にエヌイーは考え込む。
「人間が喜びそうな物品。金銭、食料と思い付いたのですが、おそらく今回は違うでしょうね。あ。土地なんていかがです。私を倒せばバイカル湖周辺は人類のものですよ」
「ぶ……ブレないわね……いや、まあ、確かに奪還できたら嬉しいけどね!? 土地は財産だけどね!?」
「然様ですか。ならば私の死体を。人間にとっての貴金属に似ているので、悪くはないと思いますが」
 そう言って、エヌイーは傍らの大皿の料理を一口食べた。やっぱり咀嚼と嚥下の動作がない。
「エンピレオを倒せば死体が残るのか?」
 質問を継いだのはケヴィンだ。エヌイーは「残すようにしましょう」と答えた。ならばとケヴィンは続けた。
「へえ……。エンピレオっていうのはネザーのシステム名を指していると思うんだが合ってるかな。要は実際に『生きて』いるプログラムなのか、そういう特性を持ったネザー型のエルゴマンサーなのか」
「遠からず近からずといったところでしょうか。まずエンピレオは本部、ネザーは支部といった関係性が近しいです。その上で、エンピレオとは大きく多々ある我々を束ねる根幹。自己改造と研鑽と進化を繰り返した果ての、エルゴマンサーとしての一つの結論にして過程」
「……他にもそういう、意志あるインソムニアは存在するのか?」
「そこは秘密です。それに、これから誰かが進化してそうなる可能性もありますからね」
「エルゴマンサークラスの殻にそれぞれのAIを入れた、戦闘や研究の駒みたいなものがエヌイー始め他の連中だと解釈しているが――」
「増殖し、切り分けたエンピレオの中に、エンピレオの精神をインストールした、という表現が近しいです。とはいえそのままではありません。精神、人格とは多面性があるでしょう? 今のケヴィンさん、戦場でのケヴィンさん、友人の前のケヴィンさんは、同じだけれど違う――そういった思考的多面性が、私であり彼らである。進化の為には分岐による試行錯誤が大切ですから」
「だったらなぜ、エルゴマンサーを量産しない?」
「人間はなぜたくさん子供を産んでライセンサーをたくさん作らないのですか?」
「……あー。あーそういう。作るにしてもそれなりのコストや手間がかかる、と」
「『私』については一番手間がかかっているのですよ。情報処理するコストもね」
「まさにとっておきってわけか。……ナイトギアや使徒を始め、食料を別目的で使い潰す趣旨の研究が多いね。まあそれはいい。使徒の研究進捗教えてホシイナー。どうだい意志ある使徒くらい作れるようになったのかい?」
「兵器に意志を持たせるメリットとは? 貴方のEXISが弾丸も含めて全て意志があるとして、それは便利ですか?」
「……」
 ケヴィンは眉根を寄せた。残酷なほど合理的である。確かに銃が戦闘中に「気が乗らない」と使い物にならなくなれば? 放つ為の弾丸が「死にたくない」と泣き叫んだら?
「……まあ色々聴いたが、要は大元を潰せば全て解決なんだろ。次も殺すよ。次があればその次も。この世界は必ずあんたらを『本当に』殺しきる所まで辿り着く。楽しみにしていると良い」
 ケヴィンにとってエヌイーは、嫌な意味で懐かしい。前の世界で戦っていたのは、そんな風なモノだった。だが殺せた。殺せたのだから、この怪物もきっと――殺せるはず。
 エヌイーは「励んでくださいね」と笑んだ。次に質問をなげかけたのはツギハギだ。
「分体についてもう少し詳しく教えてもらっていいかしら? 貴方は姿を変えられるようだけど、例えば今のエルゴマンサーからラボになったりできるの?」
「自己改造をすれば不可能ではないでしょうが、物凄く時間がかかりそうですね……」
「何にでもなれる銀色の物体の集合体が貴方で、今みたく手が必要な時は切り離して行動してる? そして貴方は一欠けらでも残っていたら捕食を繰り返して再生可能なの?」
「概ねその通りです。まあ、流石に『一欠片』になってしまえば、元通りになるのには酷く時間を要するでしょうが」
「つまり貴方を殺すには、全ての貴方を消滅させないといけないの?」
「理論上はその通りです。頑張って下さいね。ロシアに存在する『私達/全てナイトメア』を駆逐できるかどうか」
 ネザー=エンピレオに関するナイトメアは、大なり小なりエンピレオの欠片が宿っているらしい。途方もない無尽蔵の怪物――聞きたくなかった真実に、ひゅうがやヤケっぱちめいて日本酒をあおる。外見年齢は幼女だが、ヴァルキュリアゆえその辺りは問題ない。そしてつまみを齧りながら、ふと思ったことを問う。
「そういえば、素朴な疑問なのですが、ロシアのエルゴマンサーはエンピレオの分体という話なのですが。分体には決まった型でもあるのです? それともエンピレオが適宜、状況ごとに最適な個体を設計して放出するのですか? 実は同じに見えてもアップデートされた性能向上、新機能搭載型! とかないのです?」
「ふむ、ヴァルキュリアのように型番号、という意味合いでしょうか。エルゴマンサーについては特に定まっていませんよ。ケヴィンさんにお伝えしたように、エルゴマンサーの私達はエンピレオの数多の思考的側面です。アップデートについては、我々はナイトメアですので、個体差はあれど進化はしますよ。『私』については前回より性能面をアップデートしました」
「うわー……」
 ひゅうがは渋い表情を隠しもしない。
 その間にエヌイーは料理を食べていく。表情は悠然としているが、どこまでも淡々と。
「先日貴方を倒したご祝儀ということで。わたくしからも幾つか知りたいことがあるのですが、教えていただけませんか?」
 残された食事を廃棄の道から救うべく、ポチはせっせと大皿を運びつつ、エヌイーへ視線を据えている。
「まず、インソムニア『エンピレオ』を攻略せねば、エヌイーが何度も復活することは理解しました。その上で、エルゴマンサー『エヌイー』として同時に複数体顕現することは可能なのですか?」
「ボディだけならば可能ですが、操作面となると。『私』ほどの情報処理を要する個体は二体以上は無理ですね。ピアノを弾きながらヴァイオリンを弾けないような感じです」
「演奏の為の手が足りない、と。では次の質問ですが、ナイトギアは進化しましたか?」
「もちろん。ネザーの時に敗北したスペックをそのまま引っ提げるなど愚策です」
 エヌイーは『喋りながら』グラスをあおる。口が発声の為の存在ではなく飾りなのだと理解させられる不気味な光景だ。
 ナイトギアといえば、と質問を重ねるのはエイラだ。
「ナイトギアの現在の総数は幾つだ、アンタの所だけで良い。それで燃料――いや、エンジンは何機ある」
「そこまでは流石にお教えできませんね。これ戦争ですので」
「……ナイトギアにも種類はあるのか。巨人やテンペストとの違いは何なんだ」
「各エルゴマンサー用カスタマイズはありますよ、そう言った意味で種類は複数あります。ナイトメアとの違いは、我々エルゴマンサーの決戦用の防具にして武器とでも言いましょうか。より長く戦えるようにする為のね」
「備えろと言ったのなら、聞かせて貰えるよな。対抗技術はどのような実験が行われているんだ。敵・味方の識別のやり方は免疫とかに近いのか」
「うーん……地球の言葉で適切に説明する為の表現が思い浮かびません。表現できたとして、皆さんにとっては概念レベルで意味不明な羅列になるかと」
「じゃあ……、ソラリスは研究に必要がなくなったから返して貰えたのかな」
「ナイトギアを操作できそうで、死にたくない思いが強い、ガッツのある人材がちょうどいたので」
「イマジナリーシールドに関して、何か研究が成されていないか」
「目下研究中です。一応、ユニークスキルの範疇ですが、皆様のシールドを限定的に侵蝕する方法なら既に私が発明済みです。あとは汎用性を持たせるだけですが、これがなかなか難しい」
 そう言って、エヌイーは溜息らしい動作を見せた。
「ああ、他のエルゴマンサーの皆さんが、もうちょっとナイトギアの利便性を理解してくれると大いに助かるんですけどね。ザルバくんとか――あ、そういえば。戦果……どうしますかね。手ぶらで帰るとまたお小言を言われそうな」
 エヌイーが視線を巡らせた。対し、会場の隅で顛末を眺めていたヨハネスが口を開く。
「実際のところそんなに驚いてないんだ。以前からお前の態度には必死さがない……替えがきくなら納得できる。それで? このまま帰るなら出口はあっちだが――まだ食事を続けているのなら、僕からもいくつか」
「どうぞ」
「まず……今この状態で死人が出たら、ライセンサーはまず間違いなく逆恨みを買うだろうな。どうして力ある者がついていながら助けなかったのかと。心の弱い人間の考えは手に取るように分かる……そうなれば少なくともSALFのイメージダウンには繋がる。僕はお前がここで捕食しようというのが不思議なんだ。進化した僕たちを食いたいんだろ? 自分の手で進化を妨げていいのか?」
 その上で、とヨハネスは続ける。
「ザルバ――あのザルバにどうたら言われることをお前は危惧している、と。アハハハ……こいつは傑作だ! お前ほどの化け物にも逆らえない奴がいるとはな!
「ナイトメアって、存外に縦社会なのですよ。ほら……弱肉強食な種族ですので。特に私は中間管理職ですからね。人もナイトメアも、中間管理職が大変なのは同じだなんて、不思議ですね」
「はッ。……ザルバへの言い訳が必要なら、考えてやろうか? これでも一応作家だから、作り話は慣れたものさ。――それじゃあ、こういうのはどうだ? 一般人には逃げられたが要人は捕食した、しかしそれは影武者だった……そういうことにするのは。
 あるいはいっそ、来訪が察知されていて待ち構えられていたことにするとか……未知の物質――アルコールを摂取させられてつい口が滑り、情報漏洩の危機だった……なんてのも面白いな! ははは、本当にそうなるか、もっと試してみるか?」
 そう言って、ヨハネスは卓上のボトルを徐に手に取って、エヌイーへと投げた。あわよくば頭にでも当たれと放ったそれは、片手で受け止められる。そのままエヌイーはボトルを握り潰した。滴る雫はその体に吸収され、乾き切ったガラス片だけがパラパラと落ちた。
「残念、酔えないんですよ。ザルバくんへの言い訳は適当に考えます。……貴方はお酒に強い方ですか?」
「教えない。以上」
 ヨハネスにとってはナイトメアと会話をしているだけでもストレスなのだ。
 では、と会話を途切れさせない為に、モーリーがエヌイーへ話しかける。
「改めまして――はじめまして、ボクはモーリー。誇りあるノコノコ族の戦士だよ! ……もし、他の個体と記憶や視点を共有しているのであれば、はじめましてではないかもね」
「モーリーさん、お久し振りです。握手でもしますか」
「いいよ!」
 あくまでもフレンドリーに……そう心掛けつつ、モーリーは差し出されたエヌイーの手を取った。感触は人間らしい外見を裏切らない。だが冷たい、金属のようだ。だが臆さない。モーリーは今日、エヌイーを優秀な戦士として遇する心算なのだ。
「ノコノコ族はたとえ敵でも、優秀な戦士には敬意を払うんだ。――堂々たる宣戦布告。さすがはネザーを統べるエヌイー。ボクは感服したよ!」
「どうも。尤も、ネザーは落とされてしまいましたがね。残存戦力もどれだけもつか」
「でも、負ける気はないんでしょう? 『エンピレオ』は」
「もちろん」
「戦士ならこう考えるはずだよ。『次は万全の状態のSALFを倒す』とね。万全の状態なSALFを殲滅することで、地球人類は絶望するだろう。エヌイーにはその自信もあるんでしょ? だからいまは、ボク達には手を出さない」
「その通り。……正直、要人暗殺による侵略は飽きたのですよね。得られるものがあまりにも少ない」
 最初に見せたエヌイーの能力を思えば、なるほど暗殺に本気を出せばおぞましい存在だろう。そしてモーリーに言ったエヌイーの言葉は、地球ではそのような暗殺は行わないこと、それに関する対策は不要だということを言外に示していた。
「もちろん、ボクも負ける気はないよ。次に戦場で会う日が楽しみだよね」
 モーリーは凛とエヌイーを見据えた。少なくとも今この瞬間、気持ちならば負けてはいない。そんな意志を、眼差しに込める。

 仲間達がエヌイーと会話していたその間――エドウィナはひたすら料理を食べていた。エヌイーは彼女に目を留め、「貴方からも何かありますか?」と問う。エドウィナは「これを飲み込んでから」とジェスチャーを返した。
「……ふう。アレだ、他の連中が居ない今こそチャンスだからな。それに、残したらこの後。廃棄されるだけだろう?」
 飲み込んだ後、エドウィナはそう言った。折角なら高級品をとキャビアを探したが、残念ながらアンヌに絶滅させられていた。残念。
「……正直な。VIPだの記者だのがわんさかいる状況より、今の方が落ち着くんだ。ああいうキラキラした雰囲気は好かん」
 口元を拭い、さて――エドウィナは怪物へと向く。
「折角ネザーを攻略したのに、一番その話をしたい相手が居なくなっていることに気付いてな。その機会が回ってきて、ホッとしてるのさ。――どうだった?」
「素晴らしかった!」
 珍しく感情らしいものを滲ませた声でエヌイーは答えた。
「数十年前の適合者練度では想像し得ない作戦でした。あれは素晴らしかった」
「ああ。聞いた時は馬鹿だと思ったし、最高だと思ったな。正直、テンション上がりっぱなしだった。……しかし、倒されても問題なかったというのはこうして理解したが。良くもまぁ、すっかり伽藍にして待てたな?」
「ああした方が、戦いやすいでしょう。私も、人類も」
「まあ――余計なことを考えなくて良い、と言えばそうか。よほど全力が欲しかったのだな。ああ、まあ、貴方はそういう存在だったか」
 エドウィナは肩を竦めた。「そういえば」と言葉を続ける。
「ネザーを攻略すれば云々の約束はどうなった。あれか? 同じものである以上、エンピレオまで落とさなきゃダメか?」
「その通り」
 シンプルな返答だ。エヌイーは見た目だけは上品に、本質はどこまでもおぞましく、微笑んでみせる。
「次はこちらから攻め入ります。徹底的に」
「……どこに、ですか?」
 ポチが静かに問うた。エヌイーは手を広げた。
「『あちらこちら』に。今この瞬間も、もう我々の侵攻は始まっていますよ。そして――『私』はこのサンクトペテルブルクにもう一つの奈落を作りましょう。覚えておられますか、私が初めて地球に来た時、何をしたか。何があったか。貴方達人類は、何を目撃しました?」
 エドウィナは目を細めた。
「光……」

 ――2024年。
 ロシアのカティリクに『巨大な光』が落ち、インソムニア『ネザー』となる。

 ――2032年。
 バイカル湖周辺に『巨大な光』が出現。
 光は周囲一帯を光線で薙ぎ払い、灰燼に変えた後、バイカル湖の湖底に沈んだ。
 この光こそ、エンピレオ。

「なるほど、な……!」
 エドウィナは口角を吊った。
 光が来る。このサンクトペテルブルクを目指し、破壊の星が来る。
 その星の名はエンピレオ。全てを薙ぎ灰に変える、至高天の悪夢。

「――然らば、わたくし達も十分な準備を整えて、全力を以てお相手いたしましょう」

 それでも、ポチはどこまでも優雅に、大胆不敵に笑んでみせる。
 負けるわけにはいかない。退くつもりはない。恐れはしない。それは他の者も同じくだ。
 眼前にある圧倒的な存在。エドウィナは想う。それは手の届かぬ憧憬。いつか至るべき境地。目を逸らし得ない輝き。ゆえに――

「貴方を、見ているからな」

 星を見る者(スターゲイザー)は、見据えている。
 奈落の主は、至高天の悪夢は、そんな彼女を眩しそうに見つめ返すのだ。憧憬。そしてナイトメアの本能、食い尽くしてしまいたいという独占的食欲。豪華絢爛な料理には見せもしなかった表情で。
「さて、さて。今夜はありがとうございました。引き続き、よろしくお願いします」
 エヌイーの服が元に戻る。一歩下がろうとしたそれに、ふと近寄り情熱的とも言える動作で抱き着いたのはツギハギだ。その頬にリップ音を立てて口付けを落とす。そのままエヌイーの耳元で、彼女はこう囁いた。

「最後まで紳士的に振舞ってくれてありがとうね。お礼に次は完全に完璧に滅ぼしてあげるわ、化物」

 優しく、そして容赦のない声だった。
 離れたツギハギの手を今度はエヌイーが取る。その手の甲に、返答として、人間を真似て恭しく口付けを。

 そして、次の瞬間だった。銀色が閃き、照明が砕かれる。
 寸の間に暗闇。一同の目が慣れた頃、そこに怪物の姿はどこにもなく。

 ――弱肉強食の戦争、その閉幕は未だ遠く。



『了』

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