オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】Be Together

連動 【堕天】Be Together 佐嶋 ちよみ

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 バトル 
参加人数
148~14人
予約人数
10010100
基本報酬
210000G
210SP
2100EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/09/04 23:00
完成予定
2019/09/17 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-


 ロシア某所。
 ネザー跡地より東へ150kmほどの針葉樹林地帯で残存ナイトメア掃討戦が展開されていた。
 範囲攻撃スキルが炸裂するごとに木々は薙ぎ倒される。

「行け、そこだ! 吹き飛ばせぇぇぇ!!」

 ――という状況で。 
 TVカメラを肩に、派手な身振り手振りで声援を送る巨漢がいる。
 名はソコロフ、かつて『【LBC】壁・対・壁』のイベントで大成功を収めたノヴァ社社員だ。
 彼もライセンサーであり、戦いを前にすると血沸き肉躍り鍛え上げられた胸板のボタンも弾け飛ぶ。
 『奈落を崩し~勝者たちの足跡~』
 というドキュメント番組fromノヴァ社、撮影班として同行していた彼だが、恐らく映像はブレッブレで使い物にならないだろう。
 それこそがリアル! と言ってきかないので、他スタッフも諦めモードである。
 いざという時に自衛でき、戦闘風景を間近で撮影できるのが企画班にソコロフしかいなかったので仕方がない。
 命を賭して戦うライセンサーたちへカメラマンを依頼するわけにもいかない。
 スタッフたちは肩をすくめ、流れ弾に当たらない事だけを祈った。




「戦場に慣れたようだな」
 SALF支部長に声を掛けられ、ムーン・フィッシャー(lz0066)は弾かれたように顔を上げた。
 フィッシャー社・社長の娘であるムーンは、ノヴァ社のあるロシアにおいて腫物のような扱いだった。
 これでまだ、ライセンサーとして腕が立つのなら違ったのだろうけれど……。
 ムーンは食い下がり、足掻き、周囲の力を借りながら、ここまで生き延びてきた。
 意気込みだけではない姿を、支部長も多少なりとも認めたようだ。
「支部長のお陰です。私を追い返すことなく、戦いの機会を与えてくれました。ロシアで成長できたことに感謝します」
 前へ出て敵を倒すことが重要だと、ムーンは思っていた。
 力を制御できず、味方すら傷つける・周囲へ迷惑をかける自分を情けなく感じていた。
 そんな中、後方支援がどれだけ大切か。戦場で立ち続ける意義。誰も倒れさせないための『ちから』。
 なぜ、ライセンサーとして戦うのか。
 どうすれば、攻撃力を制御できるのか。
 ひとつひとつを、共に戦う仲間たちから学んだ。
 そんな雑談を交わす余裕が生まれた頃。

 戦場中央の、空間に歪みが生じた。




 針葉樹林が放射状に倒れる。土埃の中、その中心に、ひときわ高い恐竜の頭が覗いた。甲高い咆哮が響く。
 高所から地上へ吐き出される稲光と共に小規模な爆発が起こる。
「うわっ、なんだ! 噛まれた!」
「これは……まさか」
 動揺するライセンサーたちの声が聞こえるばかり。
 巨大な恐竜の他に、小型のナイトメアが現れたようだ。
 ライセンサーたちは、新たな敵の出現により東西に分断されてしまった。

「ごきげんよう、お元気だったかしら?」

 そして。
 ゆったりとした三つ編みの金髪を胸元へ流す、碧眼の女。その手には斧槍。
 白い薄衣は豊かなボディラインを明確にしている。
 首、腕、太もも――露出された肌は、銀の鱗。爬虫類のそれを連想させた。
 エルゴマンサー・ヘヴン。服装こそ変わったが、見間違えようがない。
 巨大な恐竜の背に乗っている。

「……倒したはずでは」
 ムーンの声が震えた。
「ええ。ええ。たしかに『わたくし』は命を落としましたわ」
 悠然と微笑むエルゴマンサーはムーンを見遣り、己の左脚へ指を伸ばした。
 不可避の連撃で、鱗ごと抉られたはずだった。左肩もそう。
 しかし今は傷跡一つ、ない。
「わたくしは『ヘヴン』。至高天たる『エンピレオ』であり、その分体。エンピレオ在る限り、幾度でも生まれましょう」
「特撮の、倒したと思ったら巨大化するアレか!」
「それは存じ上げませんけれど」
「仮にここで貴様を倒しても無意味ということだな」
 ムーンを庇う形で、支部長が前へ出る。
 インソムニア『エンピレオ』の分体、とは。ヘヴンの言葉をすぐに理解することは難しい。
 とにかく、ネザーのエルゴマンサーは倒しても無限に再生すること。そこだけは確認をとった。
「『わたくしたち』全てが見ていましたわ、奈落の底を」

 悠長な会話をしている合間にも、ヘヴンが連れて来たナイトメアは戦場を荒らしている。
 恐竜を模した姿が2種類。初めて見る形だが、動きにはムーンも覚えがあった。
(トリケラトプスは……レピドに似ている。ブロントサウルスは、プィリソースか?)
 小回りの利く体で遠近両用の攻撃を繰り出す小さな恐竜は、かつての狼に似ていて、
 4mはあるだろう長さの首に大きな胴体、その場から動くことなく遠距離雷撃を放つ恐竜は奈落の底で見た塔のようだ。
 確かに彼女は『見て』いたのだろう。そして手勢をブラッシュアップしてきた。
「データ引継ぎ周回プレイ、か……時代の流れとはいえ、我は邪道と考える派だ」
「それは存じ上げませんけれど」
「我々のデータは一度きりの人生だ!!」
「そこまでいうのなら、見せて頂戴? 一度きりの生で、天の高みへ至れるか」
 ヘヴンは、斧槍をくるりと旋回し地上へ降り立った。
「及ばぬのなら、連れて行ってあげる――天の国<ヘヴン>へ」
 からの、突進。
「負けぬ……!!」
 ムーンは盾を突きだし、攻撃に備える。――が。

「ごはんよ、サンダドラゴン」

 斧槍を盾のフチに引っ掛け、少女ごと後方高く放り投げた。

「はぁあああ!?」

 放り投げられた先に、あんなに遠くに見えたブロントサウルスの口がある。
 大きく開かれた口に、少女は抗う間もなく投入された。




『こちらムーン・フィッシャー。咀嚼されることなく敵の胃袋へ侵入成功』
 ほどなく、ノイズ交じりでEXISインカムから声が届いた。
『胃液に準ずるものは無いが、胃袋内に小さな牙があり咀嚼を試みておる。イマジナリーシールドの前には文字通り歯が立たぬし、こちらは回復スキルにも余裕がある』
 心配は無用。ただし巻き込み系スキルは勘弁されたし。
『ここなら誰かを巻き込むことも、技の暴発も恐れることはない。タイミング指示を頼む。一度だけ、内側から我が力を解放しようと思う』
 ムーンの指には、フィッシャー社によるアイテム強化技術テストで攻撃力が過剰に上昇された指輪が輝いている。
 制御ができず怯えが強かったけれど、それでも戦場で外すことはできなかった。それくらい、ムーンには大切な宝物。
(パパ……私に勇気を)
 少女は祈る。本当は怖い。でも気持ちで負けるわけにはいかない。
 成功するイメージを強く強くもつ。
 どかーんと、ズガーンと、大爆発だ。この薄暗い空間から、輝かんばかりに登場してやる。




「盛り上がってきたぞぉ!!」
 白熱するソコロフをその場に残し、他の撮影隊はライセンサーに保護され撤退していた。
 カメラ、音声、実況解説。全てを一人でこなしながら、ソコロフは身の安全を確保しつつ現実を記録し続ける。
 生中継へ切り替えたTVカメラは、何を収め、ロシア国内へ届けるだろう。


「さぁ皆さん、チャンネルはそのままで!!」





 死の恐怖は、死なぬ者にはわかり得ないだろう
 人は死ぬ
 放浪者も同じく
 ヴァルキュリアにもまた終焉はある。
 故に。
 足掻き、立ち向かう強さを持つ。



ヘヴンの撃破or撤退
撤退条件:ヘヴンを圧倒的不利へ追いこむ
敗北条件:PC全滅

●フィールド
ザックリ位置関係
戦闘フィールドは東西南北40スクエア程度

西ラ□□□ラ東
 イ□□□イ
森セ□■□セ森
林ン□★□ン林
地サ□□□サ地
帯|□□□|帯

■…雷龍
★…ヘヴン
騎士は常時移動につき割愛

初期配置『西』『東』指定可能、偏り不問
指定無ければプレイングからMSが判断し配置


●敵情報
ヘヴン
エルゴマンサー、武器は斧槍(射程2)
移動力の範囲内で、攻撃後もう一度移動+通常攻撃が可能
基本的に『雷光』射程内で行動
[物理]
三連撃 3回攻撃 対象1
貫通  体当たりと刺突 直線範囲3 命中時、状態異常【回避低下】(3)付与
旋風  武器を旋回させる 自身を中心に範囲(2)
[対抗]
昇天    超回避上昇
カウンター 回避時、攻撃してきた相手が武器射程内であれば通常攻撃で反撃

ナイト(略称:騎士) 16体
攻撃型・成態 体長1m 姿はトリケラトプス 反応・抵抗値高
4体がヘヴンの補佐、残りは東西へ対応
[物理]
角  突き刺し+地面へ叩きつける 2回ダメージ
[知覚]
疾風 直線範囲・射程6 頭部の襟飾りから可視の冷風を放つ

サンダドラゴン(略称:雷龍) 1体
防御型・成態 体高7m 姿はブロントサウルス 1スクエア占有
移動0、回避0、物知ともに高防御
[知覚]
雷光 射程10対象1、着弾点は十字型に爆発し範囲攻撃(1)を伴う 360°発射可能
轟雷 威力大 自身中心・範囲(3)の散弾型光弾


●NPC
ムーン・フィッシャー
雷龍の腹の中、捕食の恐れは不要
PC指示タイミングで内側から大爆発を起こし、雷龍の腹を割いて脱出
※腹を割くだけでは雷龍は倒れませんが与ダメ大
齟齬の無いよう、指示は1名が記載してください
指示がない・PC全滅・展開が指示通りとならないなどの際は任意で爆発
力を出し切った反動で、その場で回復不可の気絶となります


支部ライセンサー&ソコロフは考慮不要

不足と感じる点がありましたら、OP・解説から推察ください


こんにちは、佐嶋です
非常に緊迫した場面です
これまで登場した敵と同系統ですが、ヘヴンを含め微妙に改変されています
撃破する前に撤退される可能性が高いですが、それもまた一つ。
カメラは回り続けています
ソコロフは、きっと良い仕事をしてくれるでしょう
世界が目にするのはエンピレオの恐怖か、ライセンサーの勇姿か!!

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

アドリブ◎
【全体】追従
西側始動
前衛に射線封鎖してもらう位置取りを意識
合図タイミング探るためインカムで両側の情報を共有
雷光射程外で可能な限り多く騎士を撃破
ムーンに遠慮して雷竜に攻撃できないと思わせムーンの爆破を悟らせないように
対象を識別し騎士優先で銀
雷光射程内に騎士移動→遠距離から追撃し攻撃を集中させる、
雷光射程内に入る→雷光に巻きまれないよう前衛と距離を取り射程内へ
ヘヴン襲来→突出しない、射程外で留まるなら東側に報告
銀回数0→銃に持ち替え通常攻撃、リロード間に合わない程に敵接近時千鳥装備し敵の動きを生かし斬る
ムーン爆破後本装備し雷竜へ白
白0になれば銀0と同じ行動
回復が足りないorムーン回収時に敵が邪魔する→味方回復敵攻撃と識別し審判
>ムーン大爆発
爆破合図担当、気絶の際は予備1の赤羽(la0774)に代替
雷竜への攻撃を妨害をされないよう騎士の大半を撃破後
但し戦況不利なら気絶者続出前に強行
「…今だ、爆破して
爆破後すぐに必要なら全力移動使用し回収へ
安全圏へ運ぶが不可能なら桜壱に守ってもらいながらすぐ傍で庇い戦闘続行

「どーもどーも、普段はネットから皆に笑いを届ける君野エミル、今日はテレビで出張出演だ。今日は謎の復活を遂げたエルゴマンサーを撃退するぜ!」
カメラ目線で自己アピール。こんな時だからこそ、普段のペースを崩さずに余裕をもって臨む
「あ、もし気に入ったらチャンネル登録とか宜しくね」

>前半
東班に配置
前衛として敵に攻撃して気を引いたり、突破を試みる敵を斬撃もしくはボディブロックで阻止
「さて、遊んでいこうぜ騎士さんよ。」
自分含む味方の生命が半分切ったらヒールで回復
火力を出すのは後衛に任せよう

ムーンが大爆発したら作戦スイッチ
「いや派手な花火だなー。なんだかんだ彼女も太ぇメンタルしてるぜ」

>後半
ヘヴンに対応
エヌイー復活の情報はあったし、まぁこいつも生き返っててもそこまで驚きはしない
「よう、いっぺん“死んで”頭は冷えたかエルゴマンサー?それとも頭カッカさせたままもっぺん死ぬか?」
「俺はどっちでもいいぜ、まぁ精々楽しくやり合おうじゃねぇか!」

ヘヴンの攻撃を食い止める事を優先しつつ、自分を含む体力が減った味方の生命を半分以上に保つ事を重視
敵が距離を離したら、追い縋ってデュエルナイトソードに持ち替え、宵闇斬で足を止めにかかる
「ツレねぇだろうが、遊ぼうぜヘヴン!」
火力を後衛に任せるというスタンスは前半と変わらない、自分はヘヴンの意識をこちらに向けさせることに集中する

  • 竜殺し
    七瀬 葵la0069
    放浪者14才|ネメシスフォース×セイント

■配置:東側
■役割:後衛アタッカー
 優先目標
 ・ムーン大爆発前:騎士
 ・ムーン大爆発後:騎士>雷竜>ヘヴン

「……ん、露払い、専念」
「……ん、後衛は、お任せ。火力を、ぶつける」

■基本方針:遠距離からスキル連打、八咫烏をメイン使用。命中が厳しい場合、レクセルに切替
 ◆スキル優先順位
 1:レールガン:敵を1体以上巻き込める場合(通常攻撃代わり、多数巻き込めるなら多数)
 2:氷閉ざす銀:敵が2体以上効果範囲に居る場合
 3:朽ち果てる黒:敵が倒せそうな状況かつ2スクエア以内に敵がいる場合
 ○:ハイヒール:シールド半減程度で使用。対象が複数の場合、よりシールドが減っている方

「……ん、複数巻き込む、基本」
「……ん、シールドも、直せる」

■戦闘方針
 1:自分を狙っている騎士からは離れて、前衛に狙いが行くように移動
 2:騎士や雷竜の範囲攻撃に巻き込まれないよう、位置取りには十分に注意する
 3:複数対象を巻き込めるように移動
   →敵に狙われると防御面が紙な移動砲台

■その他
「……ん、制約は、インソムニア1個に1人、だけ、かな?」
「インソムニアが、本体。インソムニアを消滅させれば、エルゴマンサーも、消える?」
 →制約がなければエルゴマンサー大行進

「……ん、お腹の中は、生臭そう。お風呂、推奨」

「……ん、ムーンちゃんは、プリンを、食べてる?」

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

「一度倒した! 今ここで凌げない訳はない!!」

◆指針
スキル:本
基本:V-70
リロで撃てない時の予備:ライフル
恭弥さんの全体方針に則す
重体者は逐次回収し追撃と人質化防止

◆行動
初期配置:西
騎士メイン攻撃し頭数を減らす
東側と連絡を取り合い数の偏りや状況を共有
出来るだけ直線範囲状に入らず隣SQ後方から攻撃
複数敵が連携し逃げ射線を塞がれたら
その時だけ前に出てでも最優先で撃破し回避先を開く
包囲を警戒し近くにいる者から各個撃破
1度の移動で2体以上の巻き込み可ならレールガン
敵が広く散開するなら銀で複数を攻撃
速やかな撃破を目標
突出は出来るだけ避ける

騎士の数が偏るorヘヴンが突出しどちらかへ攻勢時
それが東→銀をメインに即時騎士を倒し雷龍へ
西→通常攻撃とレールで陣形を崩さない様堅実に撃破
ヘヴンが一撃離脱攻撃を行う場合攻撃順をヘヴン直後へ遅らせ
戻った所を追撃する
当たらなければ斧でキーンエッジ
ヘヴンが雷龍前で固定砲台時挑発
「前のあんたの方が、少なくとも勇敢だったね」

◆ムーン大爆発
騎士の数半数減時or開始まで近くなったら
少しずつ雷龍へ5SQ以下に距離を詰める
行動順を合図に合わせ爆発直後ムーンさんを回収
可能なら移動攻撃で近付き攻撃をせず抱え残りの移動力分即時退避
「絶対に助ける! 連れて帰るんだ、俺は!!!」
雷龍及びヘヴンの追撃を警戒、ヘヴンが来るなら斧でキーン
他者が回収した場合は付近のヘヴンと雷龍+居れば他敵へ銀
回収者の退避をフォロー

◆ムーン回収後
ヘヴン+補佐敵を銀or通常攻撃
前半同様並ばずやや後方を陣取る
雷龍狙いの味方へ攻撃がいかない様に引きつけ戦力を削り続ける
敵数が充分に減り、かつヘヴンに攻撃が当たらない時近接し本でキーン
「良いのか。倒す手筈だって、俺達はちゃんと整えてるんだぜ?」

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

西側から行動
基本は円盾を用い同班味方への射線妨害/防御を優先(防御可能な味方がいない場合は回避を試みる
防御位置から離れず殴れる場合は盾で殴打
範囲回復時は極力多く味方を回復できる様に立ち位置調整の上2人以上が以下条件で使用
福音:生命6割以下
神恵:生命4割以下
ツインは自身or味方生命が3割切った時点で使用
複数要回復要員がいる場合は火力高くスキル残が多い後衛を優先

騎士討伐時はネメ/スナと敵中間に立ち敵攻撃の邪魔をする
叩き付けられた際攻撃が残っていれば目を狙う
疾風は可視直線である事から盾(円/大で自身後方へのダメージは防げないか試みる
ヘヴンが雷光外まで追ってきた場合は敵にまとわりつく形で敵の後衛陣への接近の阻止を試みる

爆発時はムーンさん回収に動く
回収人が自身以外にもいるなら特にヘヴン/轟雷による追撃防御に
いない場合は抱えて行動ステップも移動に回し味方範囲内に一気に逃込む
爆発後も回復残なら盾持ち防御優先
回復が切れたら電ノコに持替え雷龍>騎士>ヘヴンの優先度で攻撃
攻撃命中の低さを極力補う為、接近密着した状態で既にある傷を抉る様に回す

  • 無銘の流派
    鬼 迅衛la0556
    人間21才|グラップラー×スピリットウォーリア

初期位置:西。後衛の前、敵寄りの位置

方針は赤羽のプレ記載の【全体】を参照
エネミーの範囲攻撃を警戒し、密集陣形にならないように注意

・騎士
突出する12体は雷光範囲外にて対応
弱っている者>後衛に迫る者>距離が近い者の優先順で撃破

・雷龍
ムーン爆発後、即時撃破兼畳み掛けの為に集中攻撃
旋空連牙・心を一度のみ使用

・ヘヴン
雷龍へ集中攻撃後、ヘヴン対応に移行
初手、旋空・心使用。その後バトルアクターに持ち替えて通常攻撃
後衛へ攻撃が向かないよう常にヘヴンの射程範囲内で戦闘
対抗は無拍逆襲撃。使い切ったor生命ゼロになる場合は幻影幻舞使用

ヘヴン対応中に雷龍の雷光や轟雷を受け、回避成功した際に可能なら状況を利用
服飾のサングラスで閃光を遮断しつつヘヴンに攻撃を仕掛け、致命打を狙う
巻き込まれダメージは受けずとも、光による視界の制限はあると予想

  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

目標:ヘヴンを撤退させるため、騎士・雷竜の撃破と、ヘヴンへのダメージを狙う。

班分け:西班

行動方針:
可能な限り雷竜の射程外で騎士と戦闘。
束ね連ねる因果で味方の火力支援を行いつつ、密集して範囲攻撃を食らわないように
位置取り、適時スキルを使用しつつ騎士を一体ずつ倒していく。
ヘヴンの周囲にいるもの以外の騎士を撃破後、
雷竜の射程内に。

ムーンが雷竜の中で爆発を起こした後は、騎士が残っているようであれば
騎士の掃討を目的に行動。
騎士撃破後、まだヘヴンが先頭を続行するようであれば、ヘヴンの対応に当たる。

雷竜の射程外にヘヴンが出てこちらに突っ込んできた場合、
注意を引くように弾幕を張りつつ、もう一方の班に意識が向かないように
移動経路をふさぎつつ全力で抑え込みにかかる。

〇行動
東班
前衛を務め、可能な限り多くの敵を引き付け捌く
敵の連携を妨害することを念頭に、時に強引に前に出て調子を崩し、時に銃に持ち替え敵に慣れを与えない
仲間の攻撃が敵の側面を突くよう誘導し、意識を他に向けた敵に距離を詰め痛打を与え、トドメは仲間に任せ自分の役割に従事する
3対以上の敵に狙われた際は回避を優先し、攻撃は牽制のみに止める
騎士の【角】は構えたら直線からは避けるよう移動し、隙があれば横っ面を殴る
【疾風】に予兆があるなら銃&【ポイントショット】で襟飾りを狙い妨害or狙いを逸らせるか試す
生命半分で【勇猛なる行軍】使用
余裕がある場合は、こちらの意図をぼかす為にわざと雷龍の射程に入り攻撃を誘発させ大袈裟に避け、忌々しい顔でヘヴンを睨む
「ちっ、厄介な……」

後半は対騎士
変わらず前衛を務め、絶えず動き狙う敵も変え、可能な限り攻撃を引き付ける
後衛を狙わせないことを優先し、こちらから意識を逸らした敵に当てる優先で攻撃
こちらを無視しヘブンの援護に向かう場合は斧に持ち替え容赦なく背中から叩き潰す
「騎士が背中を見せるなよ」

騎士が片付いたら対ヘヴン
満身創痍の演技ではない演技で吶喊し、【キーンエッジ】で首を狙い、金髪を落とす
反撃で崩れ落ちた後、隙を見て【仁王立ち】で力を振り絞り、最後の【ポイントショット】で隙を作る
「避けてみろ。いや、避けろ。そして死に体を晒せ」

  • 創造の旗を掲げた者
    赤羽 恭弥la0774
    放浪者23才|スナイパー×スピリットウォーリア

【全体】方針
騎士数削減後に雷竜撃破とヘヴンへ痛打
雷竜はムーン大爆発と時機合わせ一斉攻撃
騎士は可能な限り雷光の射程外に誘引
ヘヴンが東か西に攻勢の際、反対側が雷竜撃破担当

◆個人方針
初期西側
射撃攻撃、個人行動より連携重視
爆破合図:予備1担当

◆行動
壁役の後方で敵射程外をなるべく維持
森林地形を利用、射撃後に必ず移動し木陰や茂みで隠密。敵意識が他(壁役だと良)に向いた隙を狙い狙撃
後方の味方に最接近する騎士を標的、周囲に呼び掛け同時射撃及び集中攻撃による早期撃破を試行
「容易に集中が可能なのは射撃の優位性だ、狙いをつけて順に落としていこう
適宜状況を確認、後方味方への敵攻撃を警戒、早期撃破困難なら中頃に出て一時壁役兼任

騎士優先だがヘヴンの攻勢が厳しい場合は森林内隠密よりAスナイプからのLRスナイプの狙撃。痛打と警戒心の誘起を試行
西側にヘヴン接近時は時間稼ぎを重視、後退し誘引しつつの迎撃を提案
雷竜撃破後に攻勢

・ムーン大爆発
常陸の爆破合図方針の記載に従う
雷竜集中攻撃に参加、破裂した箇所から体内狙う
時機は常陸と通信し確認

・状況
通信で東側に適宜状況報告
特にヘヴンの動きは確認し報告。自身の視界外なら報告を依頼

◆攻撃
ST-1優先使用
弾切:高速装填使用、後に武器持ち替えで連続攻撃
全武器弾切:拳銃継続使用(但しヘブンはST-1
射程不足時はLRスナイプ

◆他
・以下を前提に行動
雷龍という火砲を要とした構成。挟撃の形だが手勢が多く戦線が2できるのみで優勢ではない
騎士数を減らし挟撃効果を発揮出来る状況を構築すれば優勢に傾くと推察
但し友軍は壁役が敵騎士数に対し不足気味、味方後衛へ突撃しての崩しや集中攻撃が懸念される。そこへヘブンが加わる状況は避けたいため味方と標的を合わせ集中攻撃で早期に撃破を狙う
必要に応じ一時的に自身が中衛での壁役担う

【全体】方針に従う


はじめは東班後衛として行動し
爆発後は雷龍班後衛として行動予定だ

騎士は雷光の射程外へ誘引したいということで
騎士の最大射程6よりも遠くから遠距離攻撃を行えば、誘き寄せられないだろうか
ロングレンジスナイプを使って引き撃ちを行い、誘引を試してみることにしよう

雷龍については、一斉攻撃の際はワイルドスナイパーを使用

負傷者が多発するなどして戦線を立て直す必要がある時は、心射撃で行動不能状態にし、時間を稼ぎたいところだ





「至高天たる『エンピレオ』であり、その分体。エンピレオ在る限り、幾度でも生まれましょう」
「『わたくしたち』全てが見ていましたわ、奈落の底を」
……か
もとは1つのもので、記憶や知覚が共有されているならば
エルゴマンサーを1体捕らえて、脳など解析してみたらば、その共有情報を取り出すことができるのだろうか……?
インソムニア内部を覗きこむことができるだろうか
(などと考えつつも、エルゴマンサーを捕らえるという第一ハードルがまず高すぎ、さらに脳を解析できる技術があるかも分からず、我ながら突飛でエグい考えだな……とひとり羞恥を覚えるのであった)

エルゴマンサーたちの言ってること、よくわかんないけど
単に目の前にいるエルゴマンサーを倒すだけじゃダメってことなんだね
どういう仕組みになってるんだろうね
便利な仕組みだよね、死なないで戦えるなんて羨ましいなあ
わたしはまだまだ弱いから
壊れることを警戒しなくていいくらいに、強くなりたいな


作戦は全体方針に従うよ

まずは西の騎士の対応をして、爆発後は雷龍の相手をするよ
後衛として動くね

騎士に対しては
纏めて攻撃できそうならレールガンを
そうでない時は、ハイフォースを使って、みんなで同一個体を狙って各個撃破していくかんじ?
喉元とか……口内とか……狙えたら狙ってみようかな

雷龍は固いみたいだから
アシッドシュートやディープフォースで継続ダメージを狙っていくよ
すごい首が長いよね
足元とか見えるのかな
体長のわりに、足が短くてバランス悪そうだな
脚の根元とか狙ってみようかな
自重を支えられなくなって崩壊させるかんじ
転がしちゃえば、目とかも狙いやすくなりそうだしね

全体方針に沿って行動するわ

後衛・回復として動くつもりよ

序盤は東で騎士対応の人の回復を
後半は雷龍対応の人の回復をメインに行うわね

回復スキルは、負傷者の人数や距離によって使い分けるわね(範囲回復、遠距離回復)

スキルの回数も限られているから
回復スキルを使わない(負傷者が少なく温存する、他のヒーラーと交代で回復する等)ターンは、微力ながら、フィッシャーM800LTRで攻撃にも参加するわ

攻撃を行う際は、騎士は目を狙っていこうかしら
雷龍は、爆発で腹部が割けているなら、内部を攻撃しやすそうね
胃袋があるということは、内臓があるということよね……
鱗の無い内部の方が、少しは防御が薄いかもしれないわ

回復を使える人は複数いるようだから
もし重体者が出たときは、回復は他のヒーラーに任せて
重体者を盾で庇いながら安全地帯まで移動させるわ
(↑ムーン以外のPCが対象)


それにしても……
撃破されたはずのエルゴマンサーたちが、また現れるなんて
ロシアの人々の安寧を取り戻したと思っていたのに……なんということなの
彼らは知識も視覚もすべて共有しているの?
要塞の分体……?
要塞自体が生命体なのかしら
調べなければならないことが多すぎるけれど
いまは一先ず、ヘヴンを撃退することが最優先ね……

又と会ったなァ!糞悪夢ァ!逢いたかったぜェァァ!!!

【目的】
騎士・雷竜の撃破及びヘヴンへ「正義」をブチ込む

【行動】
前半戦は東班にて行動、騎士へ速攻を仕掛ける
ムーン大爆発後の後半戦は対ヘブン戦へ

【戦闘】
騎士とは可能な限り雷光の射程外で戦闘
騎士の直線範囲攻撃に対し位置取りに注意
後衛に付きライフルを使用、『精密狙撃』発動し『ツインラビット』を撃ち切る
『ツインラビット』掃射後も傾注状態は維持し攻撃続行

後半戦移行時に傾注状態を解除し移動力を復旧
(この時ヘブンがムーンちゃんに向かおうとした場合『エリアスナイプ』発動し囮として突撃)
引き続き後衛を担当、ヘブンの射程内に入らぬ様留意
『PASS-GL1』装備、爆発属性の攻撃でヘブンを乱すヘイト攻撃を敢行
生命半分にて回復を依頼

雷龍討伐成功にて形勢当方に有りと判断
『精密狙撃』発動し傾注状態を維持、更にショットガンに持ち替え準備完了
ショットガン射程まで接近し攻撃続行

※諸々アドリブOKですの

  • 羽ばたく導きの鳥
    白野 飛鳥la3468
    放浪者21才|グラップラー×セイント

「撃破の報を聞いていただけに…。いつまでも復活されるのはいただけませんが

○行動
初期:東
方針は赤羽さん(la0774)の【全体】参照

基本行動
連絡事項はEXISインカムにて
接近戦は雷刀「千鳥」
距離有時A&H FD5Aや和弓「鳴弦」
敵攻撃及び味方無差別範囲攻撃は極力回避
生命4割以下or残り1・2撃で倒れる人にヒール
対象者が範囲内に複数いる場合神恵の雨雫
味方リロード時援護

初手騎士狙い
騎士粗方片付いたら雷龍へ
「ムーンさん、もう少し待っていてください

対騎士
雷龍『雷光』射程外>近くの騎士>他
1体集中攻撃、撃ち漏らし防止

対雷龍
銃や和弓で射程4以上を保ち攻撃
一斉攻撃の際旋空連牙・力(雷刀
大爆発後も生存時にはムーン回収時に旋空連牙・力で気を惹く
その後撃破orムーン回収完了まで攻撃を続行

対ヘヴン
襲撃時に対応
補佐の騎士優先撃破
銃や和弓基本攻撃
接近の際雷刀で対応

ムーン大爆発後、周囲警戒・ムーン回収担当者の撤退含めた援護
ヘヴンがムーン及びムーン回収担当者へ襲撃時足止めと共に挑発
「一度きりの生で、と言ったが
「ヘヴンの名を持つ驕りか、それとも何度も死ななければ至れない道を辿ったか、エルゴマンサー




 突如として現れた、エルゴマンサー・ヘヴン率いるナイトメアの集団。
 それにより針葉樹林帯は広くなぎ倒され、視界を遮るもののない巨大なリングへと変化した。

 ナイトメア出現の影響により、ライセンサー部隊は東西へ二分されてしまった。
 その中で、ヘヴンを含めた主力へ対応するのは14名。東西7名ずつに分かれている。
 敵は3種類。
 中央に、固定砲台たるサンダドラゴン(という名の、プロントサウルス)
 その周辺を動き回るエルゴマンサー・ヘヴン。
 機動力に長けるナイト(どうみてもトリケラトプス)は4体がヘヴンの傍近く。残るはサンダドラゴンの射程ライン辺りを動き回っている。


 どうするライセンサー、立ち向かえライセンサー!!



●スタートライン side East

「どーもどーも、普段はネットから皆に笑いを届ける君野エミル、今日はテレビで出張出演だ。謎の復活を遂げたエルゴマンサーを撃退するぜ!」
 ソコロフの回すカメラへ、キメポーズと共にアピールを欠かさないのは君野 エミル(la0035)。
 いわゆるVRストリーマー、電脳空間の住人だけれど出血大サービス拡大番だよ。よろしくな!!
「あ、もし気に入ったらチャンネル登録とか宜しくね」
 派手に宣伝したからには無様な姿は晒せない。
 首刈り大鉈を携えて、エミルは敵集団を不敵な笑みで迎え撃つ。
 エミルと双璧を為す、もう一人の前衛はマサト・ハシバ(la0581)だ。
(やることは多い。しかし目標はシンプルだ)
 手には極限近く強化した大太刀。
 後衛からの攻撃を得手とする仲間が多い分、マサトとエミルの立ち回りが鍵になるだろう。
 2人が倒れれば、戦線は一気に瓦解する。
「……ん、露払い、専念」
 マサトの後方から、ポツリと少女が呟く。七瀬 葵(la0069)、誰が呼んだか『移動砲台』。
「……ん、お腹の中は、生臭そう。お風呂、推奨」
『確かに。居心地も良くはないぞ』
 EXISインカム越しにムーン・フィッシャーの様子を伺えば、苦笑いの声が返る。
『油断は禁物だ、我の心配はいらぬ。存分に戦ってくれ』
 こくり。七瀬は頷いた。
「撃破の報を聞いていただけに……。いつまでも復活されるのはいただけませんが」
 こちらはエミルの後方、中衛という位置取りで。弓を構え、白野 飛鳥(la3468)は敵との接触タイミングを計っている。
(仮説ですが……、死を迎える度に少しずつ強くなる仕様だとしたら……)
 以前は、攻撃後は移動のみだった。それが通常攻撃を振るえるようになっている。厄介だ。
(『至高天たる『エンピレオ』であり、その分体』……か)
 飛鳥とは別角度で思案しているのはヴァシリー(la2715)。
(もとは1つのもので、記憶や知覚が共有されているならば。エルゴマンサーを1体捕らえて、脳など解析してみたらば、その共有情報を取り出すことができるのだろうか……?)
 インソムニア内部を覗きこむことができるだろうか。
 ――いや。
 『エルゴマンサーを生け捕りにする』、第一ハードルがまず高すぎる。
 加えて、脳を解析するまで技術は発達しているのか――。
(我ながら、突飛でエグい考えだな……)
 ヴァシリーは、言葉なく頭を振るばかりである。
「要塞の分体……? 要塞自体が生命体なのかしら。彼らは知識も視覚もすべて共有しているの?」
 撃破されたはずのエルゴマンサーたちが、また現れるなんて。
 倒し、ロシアの人々の安寧を取り戻したと思っていたのに……。
 回復役を担うマリオン・ミィシェーレ(la3309)は、これまで参加してきたロシアでの任務を振り返り吐息を漏らす。
「調べなければならないことが多すぎるけれど。いまは一先ず、ヘヴンを撃退することが最優先ね……」
 といった面々の中で。

「又と会ったなァ! 糞悪夢ァ! 逢いたかったぜェァァ!!!」

 むき出しの殺意を隠そうともしない一名。十八 九十七(la3323)、狙撃銃を構え接敵を待ちわびている。
 ヘヴンが襲来した戦闘で面識があるが、それっきりだった。
 風の噂で倒されたと聞いていた。それが蘇ってくるとはここで会ったが百年目。今度こそ『正義』をぶつけてやろうではないか!
 ありとあらゆる戦闘能力を引き出してぶっ放す『正義』という名の狂気については、西班へ分かたれた友人へ伝えてある。
 いざという時は心置きなく大暴れできる。
 胸糞悪夢との対決は眼前の恐竜たちをブチコロ後。それまで倒れるわけにはいかない。



●スタートライン side West

(雷龍という火砲を要とした構成か)
 ナイトメアたちにとっては『敵陣ど真ん中に登場』という形だが、奴らは何を勝機と考えている?
 西へ分かたれた赤羽 恭弥(la0774)は、考察を整理する。
 開幕へ至る前に、ムーン・フィッシャーなる少女がサンダドラゴンの胃袋へ放り込まれるアクシデントが発生している。
 彼女は無事・更に内側から爆発させるとすら言うが、だからとノンビリもしていられないだろう。
(騎士の数を減らして、挟撃効果を発揮出来る状況を構築すれば優勢に傾くはず)
 プラスの事だけを、考えるならば。次いで、マイナスを考えるならば?
(但し。前線を抜いて後衛が襲われる危険性はぬぐえない。そこにヘヴンが戦闘へ加わることがあれば――)
 『壁』を担える要員が少ないことは否めない。
 無論、前衛が文字通り壁の如く密集し隙間なく待機しない限り、敵はいつでもどこでも隙を作り出して抜くときは抜いてくる。
 今回のように広い戦闘フィールドにおいて、『前衛が全ての攻撃を引きつけ、守る』という防御陣形を望む方が難しい。
 ゆえに『ヘヴンが東か西に攻勢の際、反対側がサンダドラゴン撃破を担当』という作戦を共有するに至る。
 ヘヴンが雷龍のもとへ戻るなら、挟撃して火力をぶつけられる。
 ヘヴンが東西どちらかの殲滅へ注力するなら、その間に何が何でも雷龍を撃破する。
 そこへ至るまでにナイトの数も減らしているから、あとはヘヴン戦へ専念できるはず、だ。

 仮に手勢を壊滅させても、ヘヴンが無傷であればいつまでも武器を振るい続けるだろう。
 この認識は仲間内で共有している。
 『手勢戦』に全てを注ぎこむわけにはいかない。
 手勢を束にしたようなモノがエルゴマンサーなのだから。
 一度は撃破したといえ――撃破したからこそ。手心なく敵は掛かってくるだろうことを、失念してはいけない。

(倒してもよみがえってくるとか、面倒な。……ネザーってのは奴らにとって実験場でしかなかったってことか……)
 ヘヴンとは人類へ姿を見せた時に。雷龍のモデルとなっているであろうプィリソースとは奈落の底で。
 それぞれ交戦経験のある白神 凪(la0559)は、状況を飲み込んで嘆息する。

「くくっ、ぞろぞろと雁首そろえておるわ。食いでがありそうではないか」
 西班最前線で、鬼 迅衛(la0556)は戦意充分。群れなすナイトも、強大なエルゴマンサーも、彼にとっては楽しみでしかない。
「…………」
 迅衛と共に前線を担う桜壱(la0205)は、盾を構えたまま少しだけぽーっとしている。
「桜壱さーん?」
「はっ。……I、大切な人達を、精一杯守ります!」
「うんうん、恐竜はカッコいいよねぇ」
 桜壱の目が、好奇心で煌めいている。察した化野 鳥太郎(la0108)は責めるでなく同意を示した。
「恐竜は……浪漫……なので……」
「戦いが終わったら博物館へ行ってみようか。たくさんの種類の恐竜がいるところにさ」
「!!」
「……チョータロー、フラグって言葉……、知ってる?」
「やめて」
 ホンワカし始めた2人へ、常陸 祭莉(la0023)が釘を刺した。五寸釘くらいの太いやつ。
「エルゴマンサーたちの言ってること、よくわかんないけど。単に目の前にいるエルゴマンサーを倒すだけじゃダメってことなんだね」
「らしいな」
 どこか浮世離れした雰囲気を纏うスカーレット・フォーサイス(la3308)の確認へ、凪がぶっきらぼうに応じる。
「本当に幾度でも甦るのか、この場で仕留めてみればわかるやもな」
 迅衛の言葉は本心だ。逃がしてやるつもりなどない。
「死なないで戦えるなんて羨ましいなあ」
 スカーレットは純粋無垢そのもの。他意も悪意も、そこには無い。

(さぁて、高速装填で――……あれ?)
「赤羽さん?」
「…………」
 戦う時は事前準備を入念に行う。それが恭弥の信条だ。普段通り、動き出す前の最終確認を――
「赤羽さん?」
 異変を感じた鳥太郎が2回呼びかけたところで、恭弥は現実を認めた。

「スキルセット、間違えた」

 セットしたはずの、高速装填とロングレンジスナイプがない。
 代わりにオーバーストライクと全力移動。エリアスナイプはセットしてある。
 長距離狙撃銃を連射できないのは痛いが、ここで嘆いても仕方なし。
「ここから先、主にアドリブで行く。悪いようにはしない!」
 いくつもの世界を渡り歩きしトレジャーハンター、不測の事態も乗り越えてみせよう。
「……期待……、してる」
「画的には美味いな」
 把握した祭莉と迅衛が茶化しつつ、フォローの意を伝える。
「その分、火力が期待できるし足もあるんだろ。案外と悪くないかもしれねぇ」
 凪が恭弥の背をトンと叩いた。



●東へ来たる

 接敵は東班が早かった。

 最前線のマサトが銃も携行しているため、敵の遠距離攻撃へもタイミングを計って先手を取れる。
 森林地帯を背に、荒野と化した中央戦線へ向かう。
「さて、遊んでいこうぜ騎士さんよ」
 挑発するエミルに、可視の冷風が吹き抜ける。
「オーケーオーケー。回復は自分でイケる、後ろのみんなは攻撃へ専念してくれ!」
 防御力で補える、不安があるとすればイマジナリーシールドの耐久力自体。それも自身で補えることを後方へ伝える。
 多少、ボロボロになっても俺に構わず敵を撃て。
「……部位狙いとしての効果は期待できなさそうか」
 ワンポイントで首元を狙ったマサトだが、手ごたえの無さを感じる。
 トリケラトプスの、いわゆる首飾り『全体』から冷風を発動しているので、ピンポイント攻撃では妨害にならないようだ。
 飾り自体を落とすくらいなら、首を落とした方が手間は無いだろう。
「寄ってきましたね。集中攻撃を受ける前に落としきりたいです」
 マサトの攻撃へ軌道を重ね、同一個体へ飛鳥が矢を放つ。小さくともトリケラトプス、装甲はなかなかだ。簡単に撃破とはいかない。
「言ってる傍からおいでなすった!」
 重々しい足音を揃え、後続のナイトが群れをなして距離を詰めてくる。
 サンダドラゴンの射程から距離をとるようライセンサー側は注意しているが、ナイトメアたちにそんな配慮はない。
 走れる限り走り、射程ギリギリであれば冷風を。突撃可能であれば角による突進を。
(ここで抑えられれば、後ろがどうにかしてくれる)
 正面・側面から迫る鋭い角を軽く躱すマサトの、2度目の着地点。
 視界に入っていたがタイミングが悪すぎた。冷風によりシールドが大きく削られる。
「ははっ。1人だったら流石に耐えられなかったね」
 遠距離攻撃を立て続けに受け止めたエミルは不敵な姿勢を崩さない。
「なんだかんだ、彼女も太ぇメンタルしてるぜ」
 エミルは塔の如きサンダドラゴンへ視線を投じ、その腹の中から爆発を起こすと言いきった少女へ考えを巡らせる。
 彼女が無事に爆誕できるよう、場を整えてやらねば。
「……ん、後衛は、お任せ。火力を、ぶつける」
「回復は任せて」
 葵が、マサトへ群がるナイト2体と、後方1体へ肆式攻性魔導彈を降らせる。直近1体を撃破!
 その間にマリオンがマサトへロングヒールを飛ばし、体勢を立て直す。
「糞悪魔を撃ち落とす前に倒れるなんて、笑い話にもなりませんの!」
 精密狙撃で射撃能力を上昇させておいた九十七は、ツインラビットで葵の打ち漏らしを掃討した。
「……俺たちが動けば、敵も動く。至極当然のことだな。相手は置物じゃあない」
 サンダドラゴンを中心に動く様子が無ければ誘引を、とも考えていたヴァシリーだったが。
 ナイトの最大射程は6だというが、自分たちの移動力もだいたい同じようなもので、つまり遠距離攻撃を撃つ間に距離を詰められる。逆も然り。一方的など、まずありえない。
 エミルの後方へ駆け付け、ロングレンジスナイプで彼の正面にいるナイトへ先手を撃ちこむ。
「とにっっかく、確実に撃破していくだけだなっ!」
 エミルは、ヒールで自身のイマジナリーシールドを修復した。
(後方の火力をどれだけ活かせるか。そのために、俺は立ち続ける)
 


●西が迎える

「来たか」
「まだ引き付ける必要があるな」
 サンダドラゴンを中心とし円状に群れていたナイトのうち、西側へ面した6体が一斉に駆けてくる。
 盾を構え守備に専念する桜壱と回避特化・近接戦闘の迅衛が前衛を担う西班では、ある程度まで敵を引き寄せてからでなければ戦闘開始は難しい。
「今のうちに結んでおくぞ」
 凪が、迅衛へ連なる因果を結ぶ。初手で大きな威力を見込めるはずだ。
「I、受け止めます!!」
 あと1歩。敵の射程圏内が見える。桜壱が足に力を込めた。
「桜壱さん!!!」
 6体全ての疾風攻撃を受け止め切った桜壱。シールドの損傷は著しいけれど、当人に傷は無い――が。
 見るからに鳥太郎の顔色が変わる。
「悪い恐竜に慈悲は無いぜ」
 男の足元には、星空色の黒い炎。それは全身を覆うように下から上へと立ち昇り――果ては天より、怒りの槍が降り注ぐ!
「……ボク……チョータローに、比べて……怒りが足りない」
 一撃でナイト3体を木っ端みじんにした鳥太郎。
 対して祭莉は同じスキルを発動しながらも瀕死の重傷までしか届かない。いや、祭莉も充分に怒っていると思う。
「ひとりで全てを背負う必要はないぞ」
 自分も前線に居たというのにスルーされるとはどういうことだ。
 迅衛は迅衛で、別種の怒りを抱いている。グイと踏み込み、手負いの1体を大剣の錆にした。
「そのための後衛だ。少ない手数で済ませられるに越したことはないが」
 次いで凪の弾丸がもう1体を倒す。
「容易に集中が可能なのが射撃の優位性だ」
「わたしはまだまだ弱いから。壊れることを警戒しなくていいくらいに、強くなりたいな」
 それが『死の恐怖』なのだろうか? スカーレットは『死の恐怖』より『死なない仕組み』への興味の方が強い。
 興味はあっても、自分はヴァルキュリアだから。壊れてしまうから。今は壊れたくないから。
 恭弥の狙撃へハイフォースを重ね、祭莉の攻撃射程圏外であった残る1体を撃破した。
「まずい」
 ナイトの早期殲滅達成に喜ぶ間もなかった。晴れた視界の先に、恭弥は白い背中を見つける。


「――ヘヴンが向かった! 東だ!!」





 ヘヴンが向かった

 EXISインカムを通して東班へ情報がもたらされたのは、ナイト1体を撃破するかどうかの頃だった。
 引き付けて引き付けて迎え撃つ西班より、東班が敵中央へ接近していたこと。
 ナイトとの交戦に時間が掛かっている様子だったこと。
 その辺りから、判断したのかもしれない。

 <固定砲台の射程外で、出来る限り他の敵を掃討する>

 奈落の底で勝利を収めた作戦だ。
 それを『見ていた』と彼女が言うのなら。
 ライセンサーたちが、同様の策をとってくるという予測をしていても不思議はない。

 
 <基本的に『雷光』射程内で行動>

 それが事前に伝えられていたヘヴンの情報だ。
 しかし、ヘヴンは固定砲台ではない。
 周辺の手勢を倒され、中央へ攻め入られるのを、指をくわえて待っているだろうか?
 否。


 嵐は東へ駆ける。
 これまでの経験をもとに。撃破されたことすら糧に。『見ていた』情報も携え。
 これは宣戦布告だ。
 人類は、どこまで成長した?
 ナイトギアを改変し新たなる機体を生み出し、その先は?
 『生身』の強さは、どれほど?
 思考、結束、それらは『エンピレオ』へ挑戦しうるまで至ったか?


 ナイトとの攻防を繰り広げる東班。眼前の敵後方から、風の速さで急接近する白い影。
「よう、いっぺん『死んで』頭は冷えたかエルゴマンサー? それとも頭カッカさせたまま、もっぺん死ぬか?」
 迎え撃つエミルへ、エルゴマンサーは笑みを崩さない。
「あなたたちの、強さを見せて?」
 斧槍から繰り出される衝撃が、エミルの体勢を崩す。彼女へ並走していた2体のナイトが、立て続けに冷風でエミルを襲った。
 相乗効果でイマジナリーシールドが割れる。更に深く可視の冷風は切り込む。
「まだまだぁ!!」
 気を失うギリギリのところでエミルは立ち続けた。
「ここで崩れるわけには行きません……!」
 掬い上げるように、飛鳥がヒールを飛ばして援護する。
「……来たか」
 事前情報から、及び腰かと思ってみれば。
 マサトは青の左目でエルゴマンサーを睨みつけた。



●東嵐

 予想しなければならないパターンはいくつもあった。
 『自分たちの行動が全て成功する』なんて楽観的観測は捨てて、幾重にも不測の事態に対する網を張る必要があった。
 たとえば『自分たちの行動が全て成功』したなら、敵はどう動くだろう?


 幸い、敵前線と後衛陣は離れている。
 ここでマサトやエミルが踏み込み、敵を引き付ければ後衛の火力へ繋げられるはず。
「避けてみろ。――いや、避けろ」
 そして死に体を晒せ。
 手負いの獣が牙をむく。
 あらゆる防御行動を許さない、命を削る刃。
「――ッ」
 首を狙った大太刀の軌跡は、ヘヴンの金の髪を肩口から切り落とした。柔らかな金の三つ編みは、地に落ちるなり灰となる。
「面白いわね」
 ヘヴンは間髪入れず斧槍の衝撃波をぶつけてくる。マサトは重体の淵を耐えきり、仁王立ちでこらえた。
 2撃目を繰り出すことなく、ヘヴンは後退し距離を取る。興味深げに、マサトの様子を眺めているようだ。
「鬼気迫る……というのかしら? 少しでも助けになるかしら」
 マリオンがロングヒールを重ねる。
 その間も、ナイトの猛攻は止まらない。前線の2人を押しつぶしにかかる。
 回避を得手としているマサトだが、先のヘヴンの攻撃により動きは鈍らされていた。
 冷風に視界を奪われた直後、直進してきた個体に角で高らかに突きあげられる。
 ――隙があれば
 エルゴマンサーに統率されたナイトメアに、隙らしい隙を見出すことはできなかった。
 立っているのがやっとの状態だったマサトは、仁王立ちすら許さない強烈な力で地面に叩きつけられた。
「ツレねぇだろうが、遊ぼうぜヘヴン!」
 エミルが叫ぶ。
 この状況はまずい。まずい。己の身ではない、部隊の状況をエミルは案じる。
(俺たちが壊滅したら――……)
 西班が全力でサンダドラゴンへ向かっている様子は伝わっている。
 固定砲台を倒し、なおヘヴン撤退まで……彼らだけで成せるか?
 側面から襲い来るナイトの角を押さえつけるも、シールドを貫いて体を抉る。
「――たのんだ」
 託すしかない。
 エミルの掠れた声が、東班へ送られる。
(視聴者へ無様な姿はさらせない――……)
 最後の気力で、カメラに向かい笑顔でサムズアップ。
 ここでエミルの意識は途絶えた。


 一瞬にして、前衛2名が倒れた。もはや前衛も後衛も言っていられない。
「……ん、複数巻き込む、基本」
 敵を、倒さなければ。
 肆式攻性魔導彈。
 表情を変えることなく葵は攻撃を降らせ、射程に含めた1体を撃破。
「少しでも時間稼ぎになるか……?」
「まだ!! ブッ斃れる時間じゃありませんのォ!!!」
 ヴァシリーは敵と距離を保ちながら移動し、別の狙撃銃へ持ち替えて心射撃を試みる。
「効かない……か」
 敵の抵抗値も相まって、成功率は高くない攻撃だ。効いたとしても足止めできるのはわずかな間。
 九十七もまた、ショットガンによるツインラビットで、同一の敵を狙い撃つ。これでもう1体を撃破。
「諦めるつもりは無い、が」
 状況はどう見ても厳しかった。


「ムーンさん、もう少し待っていてください」
 声に焦りが出ないよう努め、飛鳥はインカム越しに伝える。
「一度きりの生で、と言ったが」
 銃へ持ち替え、直近のナイトへ銃弾を浴びせながら声を上げた。
 できればヘヴンを補佐する個体へダメージを与えておきたかったが、そちらとは距離が離れていた。
「ヘヴンの名を持つ驕りか、それとも何度も死ななければ至れない道を辿ったか、エルゴマンサー」
「『わたくしたち』と『あなたたち』を、同列に考えることが間違いなの」
 捕食者と被捕食者。それだけではなく。
 飛鳥の問いかけへ応じながらも、ヘヴンの狙いは大火力を誇る葵へ向けられる。
 体勢を崩す、斧槍の衝撃。
 耐えた七瀬に、マリオンがロングヒールを飛ばす。
「……ん、インソムニアが、本体。インソムニアを消滅させれば、エルゴマンサーも、消える?」
(制約は、インソムニア1個に1人、だけ、かな?)
 そうでもなければ、エルゴマンサー大行進となるだろう。エンピレオ一つで地球は制圧できてしまう。
 何らかの『制約』があるはず、と葵は考える。
 考える間にナイトが押し寄せ、真っ向から受け止める・ギリギリで躱すを経て、まだ立っている。
「……ん、やるしか、ない」
 葵が肆式を叩きこむ、2体撃破に至った。
 その間に、ヴァシリーは装填を。九十七は精密狙撃を再発動する。


 これで、残るはナイト1体とヘヴンのみ。
 ライセンサーは後衛系の5名。
 形勢は、有利か不利か。



●西走

 敵を迎え撃ってから、サンダドラゴンまでの距離が遠い。
 西班は、回復・装填・全力移動を交えながらひたすらに戦場を走る。
 サンダドラゴンの射程圏内がどうのも言っていられない。
 インカムを通し、東班の状況が流れてくる。
 エミルの声。九十七の叫び。声にならないマサトの呼吸。
 それらが、途絶える。
「……掠り傷、へーき」
 雷光の爆撃で軽くシールドが損傷するも、祭莉の足を止める理由にはならない。
「時間がない。火力を上げていくぞ」
 走りながら、凪は総攻撃に向けて迅衛とスカーレットへ因果を結び直す。
「雷龍は固いみたいだね」
 先手を放つのはスカーレット。アシッドシュートで継続ダメージを浴びせる。
 その間に、祭莉は全力移動でサンダドラゴンの懐へもぐりこんだ。
「絶対に助ける! 連れて帰るんだ、俺は!!!」
 鳥太郎が叫ぶ。声量から、祭莉は距離を測る。行ける。

「……今だ、爆破して」
『了解!!』

 合図と同時に、鈍色のサンダドラゴンの腹部が光りはじめた。中のムーンが、エネルギーを集束しているのだろう。

『う、あぁああああああああ!!!!!』

「桜壱さん、みちゃだめ」
 鳥太郎は桜壱の目元を手のひらで隠した。


 腹を破られた衝撃に、サンダドラゴンが長い首を振り回し咆哮する。
 巻き込まれてはならないと、祭莉は気絶しているムーンを抱き上げ再び全力移動で退避。
「大丈夫……気を失ってる、だけ。……攻撃、続けて……ボクもすぐに戻る、から」
 駆けつけた他部隊のライセンサーへムーンを託し、祭莉はメンバーへ告げる。
「やっこさんも錯乱してるな。たしかに、イメージできないよなぁ」
 サンダドラゴンが混乱している今が集中攻撃のチャンスだ。
 鳥太郎の氷槍を皮切りに、スカーレット、凪、恭弥も続く。
「まだ倒れぬか! 根比べしている場合ではないのだがな」
 連撃を叩きこんだ迅衛が唸る。
「っと、こちらにも回って来たか」
 ヘヴンの供をしていたはずのナイト、4体のうち2体が姿を見せた。
 向こうは余裕とでも?
 技を繰り出し終えた迅衛に疾風の集中攻撃をするも、しなやかな動きで全てを回避する。
 ――そのタイミングで、轟雷。
「だいじょうぶ、ですかっ」
 桜壱が駆け寄る。
 避けそこなった迅衛に、シールドをほぼ全快させる雨雫が降り注ぐ。
「少しでもあちらから引き離せたか……なれば僥倖」
 体勢を整えていま一度、迅衛が太刀を振るった。下から上へと払った刃が、ボロボロになったドラゴンの巨体を遂に崩した。



●カメラは止まらない

「そこの貴方。しっかりと記録しておいて頂戴ね?」
 斧槍を旋回し、ヘヴンは望遠レンズで撮影中のソコロフへ蒼い瞳を向ける。
「人類と『わたくしたち』の力量差が、どれだけのものか。ね」


 ヘヴンが地を蹴る、風の速さで間合いを詰める。
 防御面は紙と自称する葵だが、物理防御に関していえば飛鳥をもしのぐ。
「油断はしないと決めたの。失望させないで」
 手負いの葵へ、躊躇なく念入りに、斧槍が突き立てられた。シールドを割り、体へ深く深く。
 熱を帯びた血がエルゴマンサーの頬へ跳ねる。
 少女が声を発することすらできず倒れると、血まみれの穂先は次いで飛鳥を襲った。
 袈裟懸けにシールドごと叩き割る。
 こちらは重体程の深手ではないものの、しばらく意識は戻らないだろう。
「ここまで、とは思いたくないな」
 ヴァシリーがロングレンジスナイプを放つのと同時に、距離を詰めたナイトが疾風を起こす。
「……障壁のない平野で狙撃戦なんてするものじゃない」
 シールドが割れる。痛みを感じる間もなく、ヴァシリーの意識は切れた。
「胸クッッソ悪夢ァァアアアア!!! 地獄へ道連れだぜェェァアアア!!」
 グレネードランチャーへ持ち替えた九十七が銃口を向ける。
 しかし糞悪夢は流れる風のようにヒラリと弾丸を避け、九十七とマリオンの間へ滑り込む。血に濡れた斧槍を旋回する。
「やらなくてはいけないこと、……まだ……たくさん、あるのでしょう……?」
 巻き込まれ、吹き飛ばされ、マリオンのか細い声は旋風に流れて散った。


 ここから西方、中央戦線で。
 サンダドラゴン撃破の光が瞬いたのと、ほぼ同じ頃だった。




●Get Wild

 切り込んできたナイトを倒し、ヘヴンより先に反転するそれらも倒し。
 西班の7名が荒れ果てた地を駆ける。今日は走ってばかりのような気もする。
 全力移動を積んでてよかったと恭弥が思ったかどうか定かではないが、後方射撃組ゆえに前線に追いつくまで時間がかかることを考えれば結果オーライだったかもしれない。

「一度倒した! 今ここで凌げない訳はない!!」
 
 鳥太郎が、士気を上げるべく声を発する。
 返り血に染まった薄衣を纏うヘヴンが、はっきりと視認できる位置へ近づいている。
 残るナイトは4体。強大なサンダドラゴンも倒した。それでも指揮官は退かない、不利と感じていない。
 なぜなら、彼女はほとんど無傷なのだ。
 首筋にうっすらと斬りつけられた傷跡、それに沿うように肩口で切り落とされた不揃いな金髪が揺れている。
 彼女が受けたのはマサトの一撃。それだけだった。
「逃がすつもりはない故、そのつもりでおった方が良いぞ?」
 遊び甲斐がある――迅衛にとって、それが強者の存在。
 
「やられる前にやる!」

 先手必勝。
 刃がぶつかり合うその前に、鳥太郎は射程を最大限に活かして踏み込み、氷槍でヘヴンとナイト1体を穿つ。
「……うん、倒れたら、役目……果たせない」
 祭莉にとって当初の役目は『ムーンの救出』だった。
 祭莉自身、別の任務でナイトメアに飲み込まれ重体に陥ったことがある。
 別個体ということもあるだろうが、ムーンには負傷の形跡がなかったことに安堵している。
 その他方、今の役目は。
 最後まで戦場に立ち、エルゴマンサーを追い払うこと、だ。
(……立ってるの、は。ボクじゃなくても良い……けど)
 事前に確認し合っていたように、ヘヴン自身へ痛手を負わせない限り撤退は無いようで。
 自分の体(命とは言ってない)を引き換えにしてでも、大打撃を与えなければいけないわけだ。
 巻き込めるナイトが居ない分、鳥太郎のやや後方から祭莉もまた氷鎗を繰り出す。
「こういう時に、足の速さがものをいうな……」
 悔しくも、斧が術ではヘヴンへ初手を浴びせられない。
 その代わりに、迅衛は接近しつつ手負いのナイトを始末した。

「お久しぶりね。変わりないようで嬉しいわ」

 祭莉や鳥太郎は、ヘヴン撃破戦に参加している。
 その顔を覚えているようで、負傷しながらもヘヴンはニコリと笑って見せた。揶揄するものではない。
「……どういう仕組みで蘇るのか知らねぇが……何度だろうとぶっ倒して進むしかねぇんだよ、俺たちは。生きることを、あきらめない以上はな」
「ありがとう。ここへ来た甲斐があったわ」
 凪のことも、もちろん覚えている。
(きれいな色だな)
 斧槍を伝う赤。金髪を濡らす赤。それらを見て、スカーレットはボンヤリと考える。
 ……それはそれとして。
「帰ってもらわないとダメ、なんだよね?」
 初撃は、継続ダメージを狙ってアシッドシュート……避けられる。が、その機を利用し凪がワンポイントで的確に追撃を浴びせる。
(もう少し……)
 恭弥はエリアスナイプを発動し、タイミングを伺っていた。


「やられる前にやる……そうね。一理あると思うわ」
 軽やかに踏み込んだヘヴンは鳥太郎と祭莉を射程に収め、斧槍で刺突する。衝撃波は後方まで届き、2人を一撃のもとに倒した。
「!!!!」
 桜壱が、声にならない悲鳴を上げる。思考が停止しそうだ。
 倒れてしまった2人に駆け寄り、必至に言葉を掛けるも返事はない。
 ひとならきっと、こういう時に涙を流すのだろう。けれど桜壱にその機能がない。悲しみが爆発しそうだ。
「倒してしまえば、良かったのね」
 彼らには散々、煮え湯を飲まされた。思い出しながらも感傷には浸らない。ステップを踏むように続けて迅衛を斬りつける。
「……あら」
「遠慮はいらん。とくと遊んでゆけ」
 斧槍の一撃を回避した迅衛が踏み込む、連撃を繰り出す。
「楽しませてくれそう、ね」
 ヘヴンもまた躱す、返す刀で迅衛を襲うも――避けられる。
「でも、これで終わりよ」
 体勢を整える前に斧槍の衝撃波を迅衛に当てる、これでついぞ迅衛が倒れ伏す。
 ヘヴンは更に踏み込んで凪を斬りつけた。
「――ッ」
 たった一撃でシールドが割られ、凪がその場に倒れる。
「最悪のパターン……なんて言ったら仲間たちに失礼だな。作戦を成功に導く。それが『チームとしての最大効果』だろっ!!」
 恐らくスピード戦になる。装填する時間も、能力上昇へ割く時間も無い。
 エリアスナイプによる狙撃銃での最大火力攻撃は、これ一度きりと心を定めて。
 ほんの少しでもヘヴンの気が逸れるタイミングで恭弥はトリガーを引いた!!
「当たらないと、ダメージにならないからね」
 やわらかい場所。要となる場所。
 当たったなら致命傷を与えられるだろう『部位狙い』は、狙撃の難度も問われる。
 今は賭けに出るより、確実性が必要とされている。
 スカーレットは、ハイフォースをヘヴンの胴体めがけて放つ。恭弥と別角度から繰り出した一撃は、的確に負傷させるに至った。


 冷たい風が血の匂いを運ぶ。
 たいせつなひとたちが流した、赤い血。まだ暖かい。
(まだ)
 鳥太郎も祭莉も昏倒しているだけ。生きている。
 そして、恭弥とスカーレットは戦場に立っている。
 ――では、桜壱は?

「……Iはっ! 護ります!!」

 ヘヴンの後方から突出してきたナイト2体を、身体を張って押し留める。仲間たちを傷つけさせない。
「そういう強さ、良いわね」
 ヘヴンが標的を桜壱へ定める。
(いや、これは――……)
 遠距離から戦況を見定めていた恭弥は、彼女の負傷度合いを測っていた。
 鳥太郎や祭莉の初撃。凪の的確な狙撃に、恭弥の一撃とスカーレットの側面攻撃。
(体力を回復している様子はない。ダメージ全てが蓄積しているのなら、もう一押しじゃないか?)
 一度は撃破した相手だ。理不尽な能力ではないはず。ならば――諦めさえ、しなければ。
「とても美しい方で、とても良いご趣味だと思考します! ですが……通しません!!」
 桜壱の左目が、不屈の色に染まる。
 三連撃を受け止め切る。
「強い子ね」
 意外だ。それを隠さず称賛し、ヘヴンは標的を変える。
「あなたは? 壊れるのは、はじめてかしら」
「……わたしは」
 スカーレットの意識は、そこで遮断された。

「そこまでだ!!」

 脇腹をめがけた、オーバーストライク。
 2つめの狙撃銃での一撃。
 深紅の花が、薄衣に咲いた。





「カメラは回っているかしら」
 滴り落ちる血をそのままに、ヘヴンはソコロフを振り返る。
「人類は『わたくしたち』へ至ることができて? 自信があるのなら……待っているわ」
 不揃いの髪が、軽やかに揺れた。


 撤退の動きを見せるヘヴンを、桜壱も恭弥も追うことはできない。
 もしかしたら、あと一撃で――そんな思いが無いわけではないが、繰り出す力が残っているかと言えば難しい。
「!!」
 背を向けるヘヴン。
 しかし気を抜くには早い。反射的に桜壱は横へ飛び出していた。盾を前面に構える。しかし冷風のいくらかは恭弥を傷つけた。
「だだだだいじょうぶ、ですかっ」
「え。あ。……掠り傷だ、こんなの」
 今度こそナイトたちがヘヴンに追従し撤退したことを見届け、桜壱が恭弥のもとへ駆けつける。
「きょうは! 救急治療セット、持ってます!!」
 桜壱、ぬいぐるみしか所有していなかったあの日を忘れていない。


「……ミッションコンプリート。重体者2名、戦線離脱者10名、生還2名。死者・再起不能はナシ。以上、スタジオへ返すぜ」
 恭弥はソコロフに向かい、指をパチンと鳴らした。



●after

「うう……俺の役割だろ、それ……?」
 担架で運ばれながら、エミルは恭弥の衣服を握りしめた。
「オレに言われてもね……?」

「初手から正義は発露すべきでしたねぃ……」
「……アリかもしれないけど、たぶん回収する人が戸惑うんじゃないかな……」
 気絶から覚めた九十七の反省に、鳥太郎が言葉を濁す。

「考えることが、いっぱいね。この戦いは、少しでもエンピレオのエルゴマンサーに関する情報収集に役立てたのかしら」
「そうあることを祈るだけだな」
 体が軋んで身を起こすことはできないなりに、マリオンとヴァシリーは互いの考えを交換し合った。

「……ん、ムーンちゃんは、プリンを、食べてる?」
「うむ……。しかし、しかしな……。寝る前に食べるのが良くないのだろうか」
 今のところ、効果は感じられない。
 力を使い果たしたムーンも、担架の上である。少女たちはロシアの空を見上げながらポツリポツリと言葉を交わした。
「あとで、差入れに行く。美味しいプリンを売ってる店を見つけたのだ。葵殿の評を聞きたい」


「…………」
 意識は回復したものの、マサトは何を言うでなく。ジ、と搬送車の天上を見つめていた。






 リアルタイムで放送を視ていた人々からは、様々な意見が寄せられた。
 不安・期待、そして支援。
 つくりものではないリアルを通し、ライセンサーたちの過酷さが伝わった。
 彼らが十全に戦えるように。負傷者たちが、一日も早く回復するように。
 彼らによって人々の生活が守られていることへの感謝と共に。



 何度でも立ち向かえライセンサー、君たちならできる!!


 ~ソコロフより~



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