オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  3. 【果冠祭】空と海と大地の交わるところ

【果冠祭】空と海と大地の交わるところ 茶務夏

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
日常 
参加人数
83~8人
予約人数
10010100
基本報酬
180000G
180SP
1800EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/08/31 20:00
完成予定
2019/09/12 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●地中海に浮かぶ

 ナイトメアによって壊滅し、国という形を維持するのすら困難な『エオニア王国』
 国を背負う幼い王女は、考えた。
 途絶えている祖国伝統のお祭りを復活させられないか、と。
 国主が前に出て、明るい話題を供する事が大事なのだ。
 この国の未来は続いていくのだと示す必要があるのだ。

 もともとの祭りと同じものは出来ない。
 例えば、果物を大勢でぶつけ合うメインイベント。食べ物を無駄に出来るほど、国の財政は豊かではない。有り体に言えばむしろ貧乏だ。


 ――ぶつけるものは、ペイント弾。
 使われるはずだった果実は、沢山の料理に変えて皆で食べればいい。

 ――ここは今やSALFの前線基地。
 古きに拘らず彼らにとっても楽しいものにするべきだ。

「我と共に、全員が参加者になれる楽しい祭りを作っては貰えませぬか」


●コショウと伝統料理

 十世紀から十一世紀にかけての医学者にして科学者にして哲学者であるイブン・スィーナーの博物学的著作に、エオニア島でわずかに産するコショウを贅沢に用いた料理についての記述がある。レシピなどの詳細は不明だが、鳥と魚と野菜を材料とするその煮込み料理は「空と海と大地の交わるところ」という名で呼ばれていると記されている。
 また十四世紀の大旅行家イブン・バットゥータは地中海を旅した折にエオニア王国に立ち寄り、王家に伝わるコショウをふんだんにふりかけた料理「空と海と大地の交わるところ」を振る舞われたと旅行記で述べた。

 大航海時代以前、ヨーロッパで珍重され時に同量の黄金と同じ価格がついたともされるコショウだが、エオニア島では少量ながら栽培に成功していた。ただし少量すぎて流通には至らず、王国宮廷内での料理に使用されるばかりだった。
 名のみ知られるその料理「空と海と大地の交わるところ」は、やがてコショウが広く普及すると共に、エオニア王国の名物料理になっていった。
 しかし細かなレシピが確立されていたわけでもなく、何らかの鳥肉と何らかの魚と何らかの野菜が入っている煮込み料理で最後にコショウを振りかければよいというアバウトな形で発展している。野菜に南米原産のトマトを使ったものはもはや珍しくもないし、変わり種ではトウガラシをたっぷりぶち込んだ上にコショウを山と振りかける代物なども。

 一方、王宮庭園にてそのコショウの木は代々植え継がれていたが、五年前のナイトメア襲来でへし折られた。
 しかし直後、生き延びた造園家が挿し木の処置を行ない……生きながらえたその枝は、今年から実を結ぶようになっていた。



「この『王宮のコショウ』の復活を祝し、パルテニア王女が『空と海と大地の交わるところ』を作成し披露するという運びとなりました」
 まだ二十代と思われるクールな印象の美女が君たちに説明する。
「動画配信し、多少なりとも王国の収入になればと考えてます。ということで、よろしくお願いいたします。私は王女の秘書兼家庭教師のエレクトラと申します」

 そして当人が姿を見せる。
 背中まで伸ばした緩やかな癖のあるハニーブロンドを、ハーフアップのツインテールにしている。豪奢なドレスに小さい王冠が、彼女の立場を雄弁に示していた。
「食材の収穫から調理・実食まで、我が一通り取り組みます。皆様にはそのお力添えをいただければ幸いに存じます」
 十歳のパルテニア王女は君たちに向かって、片足を引き背筋は伸ばしたままもう片足の膝を曲げる跪礼(カーテシー)を披露した。緊張しているのかややぎこちないながらも、その挙措自体はよく慣れて自然なものと思われた。


●王のあり方

「我は、料理には詳しくありませぬ。この『空と海と大地の交わるところ』を食べた経験も数えるほどしかなく、しかも食べるたびに食材も調味も異なり、記憶も定かとは言い難い」
 声が、微妙に揺れる。
「しかしそれは、かくあらねばという固定観念には囚われていないということでもあるかと。様々な意見を取り入れて、良いものを生み出せればと願っております」

 王女が活動しやすい服装へ着替えに行った後、エレクトラが補足するように君たちへ言う。
「王女と言っても、実際に国政を好きにできるわけではありません。当人もそこはよく承知しております」
 好きにできたら、それはそれで困るが。
「気がついたらスポーツチームのファンクラブの終身名誉会長になっていたみたいなものですね。そんなの知るかと最低限の義理だけ果たす手もあったでしょうが、王女はチームをしっかり応援する道を選びました。果冠祭の復活を提案した時のように」
 妙な比喩ではあるが、その声音は真摯なものだ。五年前に父王や王宮勤めの多くの者を失った王女の過去を思い出したか、オペレーターのソアリリが目にハンカチを当てる。
「その応援の支えになっていただければと願います。それと、動画が評判になるくらい面白ければ外貨獲得の一助になると思いますので、そちらの工夫も。王女もネタになる覚悟くらいはできています」
「本当ですか……?」
 ソアリリが一転、エレクトラにじっとりした視線を向けた。

●任務
 エオニア王国の名物料理を作成するパルテニア王女の手伝い。具体的には食材(何らかの鳥、何らかの魚、何らかの野菜)の収穫、調理、味見などの補助。あるいはそれらの動画撮影も可能。


●状況詳細
 晴れていて天気が崩れる心配はなし。
 王女による狩猟・漁獲・収穫・料理などの際、入院を要するほどの怪我・顔に一生残る傷などはNG。それより軽いなら問題なし。
 キッチンは、仮王宮のものを使用可能。よほど特殊な調味料や器具や設備でなければ一通り揃っている。
 料理「空と海と大地の交わるところ」は「煮込んでコショウをかける」以外に定番の食材やレシピはほぼないため、PCの提案は大いに採用される(ただし見るからにやばそうな時は、ストップがかかる・王女に食べさせないなど制限もありうる)。複数種類を作っても良い。

(※秋雨MSによるミーベルデザート開発シナリオ、雪芽泉琉MSによる閉幕イベシナとゆるく連動。開発されたミーベルデザートと共に、屋台料理として登場する可能性あり)


●場所詳細
山・岩山→地中海に生息するタイプの野鳥を獲れる(かもしれない)
鶏小屋→鶏が入手可能で、かなり大きく鶏の数も多い

池・川→地中海に生息する淡水魚を釣れる(かもしれない)
浜辺・海→地中海に生息する海水魚を釣れる(かもしれない)
生け簀→養殖のタイが入手可能で、かなり広く魚の数は多い

畑→地中海で栽培可能な各種野菜が入手可能

市場→鳥・魚・野菜・その他食材などが、ヨーロッパにおいて特殊なものでなければ入手可能


●NPC
パルテニア王女:狩り・釣り・料理は教えてもらえればそれなりにできる。辛い料理を食べるのは少し苦手。適合者ではない。愛称はパティ。

エレクトラ:父は五年前の王宮料理長(故人)。本人も料理の腕はそれなりに達者で、今回の料理の最終防衛ライン。適合者ではない。

こんにちは、茶務夏です。【果冠祭】連動企画、私は王女との交流&料理ネタで参加いたします。秋雨MSと雪芽MSのアイデアに乗らせていただき、軽く連動もしております。
どんな料理になってどんな動画に結実するかを楽しみにしております。

  • 魔女殺し
    Ashen Rowanla0255
    人間31才|ネメシスフォース×スナイパー

『空と海と大地の交わるところ』か
あらゆる自然の恵みの享受を意味する言葉だな
しかし肉と魚を入れた煮込み料理とは珍しい
存在しない訳ではないが、数もそう多くはあるまい

>行動
提案と各種作業のサポート
隻腕ではあるが、力仕事含めた雑務くらいは出来る

■動画
撮影、編集の類は不慣れ故、基本他のものに任せる
ただこれが外の国へのアピールならば、料理の来歴や王宮の胡椒の木の絵も入れた方が分かりやすいだろう
後はそうだな、山や川、畑などの調達シーン毎に適した服装に変えるべきだ
その方が受けが良い、きっと
詳しくはない、服装選別は他の者に任せる
だが帽子は被れ、陽射しが強い

■調理
複数種類作ることを提案
オリジナルに近いもの、エオニアの特産をふんだんに使ったもの、一般の材料で作ったもの
その国でしか食べれないという希少価値も魅力だが、手近な材料で作れるのもまた同様だ
ミーベルを使うのも面白いだろう。甘酢餡掛けのように『甘酸っぱい』『甘辛い』系統は好む者も多い

後は動画とは別にレシピを公開するのも良いだろう

【目的】
名物料理を作成するパルテニア王女の手伝い。

【心情】
立派な王女様ね。喜んでお手伝いさせて頂くわ。

【行動】
「汽水域には海と川の魚、両方が生息してるわ」
「栄養も豊富だから、生き物が集まってきやすいの」
「ところで王女様、魚を直接、捕まえたことあるかしら?」
「足元がぬかるんでるから気をつけっー!(大転倒)」
「…き、気をつけないとこうなるから、ね?」
食材の調達のうち魚を担当、海と川の境目、汽水域の
魚を狙って釣りと水深の浅い場所で掴み取りに挑戦する。
釣果は釣りの方が良さそうだが、動画としての面白さは
掴み取りの方が楽しい。何より本人も楽しめそう。
自身も水に入って、一緒に掴み取りにチャレンジする。
足を滑らせて盛大にコケて、ズブ濡れのオチもご愛嬌。

「新鮮な食材だし、味付けはシンプルな方が良いかしら」
「魚や鳥、野菜を可愛いイラスト風に描いてみたわ」
「王女様の料理中に、イラストを周りで踊らせてみる?」
後半は調理の補助と、撮影した動画の編集を手伝う。
料理はシンプルに、魚のアラで出汁をとって鳥と野菜を
煮込んだモノに塩・コショウで味を足して味付けする。
動画には収穫や料理のシーンに、美術感覚でイラストや
画像を挟んで彩りを加えて、楽しそうな雰囲気を出す。

  • 宇宙系マスコット
    てくたんla1065
    放浪者10才|セイント×グラップラー

「なんや長い名前の料理やなー…“空と海と大地の交わるところ”かいな?
“肉野菜炒め”とかじゃあかんの?」

【心情】
「ほんほんふーん(激しく頷く)、いけるんちゃうん?
ここにいるにーちゃんねーちゃんらはみーんな頼りになるライセンサーやで。
泥船に乗ったつもりでどーんと任せとき!」

【準備】
「うちが近くにおんねん、心配なんてあらへんよ?自由にしいやー」
>隠密1
>話術1
王女の護衛役兼サポート
可能なら小さな体を活かしリュックのフリして背中に引っ付いていく
難しい場合は可愛い荷物入れ用の小さなキャリーカートをひいてもらい
その中に身を隠す

【行動】
「きばりやー。女は度胸やでー」
王女が様々な体験をするのを近くで見守り&不審者等が近づいた場合の守り
大きな怪我等しそうな場合は盾になったりクッション代わりになったりと
不審者が来るようであれば本の角(ゴエティア)で応戦

「どうやった?料理もそうやけど、楽しめたんちゃうん?」

※アドリブ可

  • 常在料理人
    森野 紫苑la2123
    放浪者26才|スピリットウォーリア×グラップラー

「郷土料理を再現してみようってわけか、そういう企画は嫌いじゃないぞ。」

この国に馴染み深い食材の情報をピックアップしておく

行動:パルテニア⇒王女さん エレクトラ⇒そのまま名前で

食材調達には護衛を兼ねて同行
順調に獲れているようならエレクトラと打ち合わせをして食材を絞り込む
「国民に馴染みの深い料理なら野鳥を使うって線は薄そうだし、肉は鶏肉で間違い無いだろうと思う。逆に魚は地元で獲れる物を使うだろうってことで養殖鯛はパス、食材の相性を考えて、野菜はこの辺りかと考えている」自分がピックアップした食材の詳細を見せる

魚介類の入手が肝になるので釣果が芳しくないようなら王女の目の前で海に入り水中でブラッディゲイザーを炸裂 派手な水飛沫を上げる 浮かんできた魚を掴んで「というわけで、これがこの海で獲れる魚だ(時間短縮」

市場では目当ての食材を、選び方のコツの蘊蓄を交えながら調達
不意に王女にクイズを出してみたりする「さてこの真っ赤なトマトだが、どっちを選ぶべきか判るかな?」

料理:説明を交えつつ下処理を進め、メインの調理は王女にやってもらう
過度に口出しはせず、要点を絞ってアドバイス

鶏・地元の海産物・地場野菜と胡椒を使ったブイヤベース風の煮込み料理を提案予定

出来上がった料理に、「日本のライセンサー」とコラボということで米を加えてリゾット風にアレンジしてみたものを作成

  • Magic Caster
    茅野 敦la2650
    人間14才|ネメシスフォース×スナイパー

アドリブ/絡み/歓迎

◆目的
パティの手伝い

◆心情
ナイトメアで壊滅した国の復興…故郷の復興か‥他人事じゃねーよな。
王女様ならさらに多くの国民の事も考えてんだろーな。俺の出来る限り、力になりてーぜ!

◆行動※他PCの行動の妨げにならないように要注意
まずは自己紹介!
「俺ぁ敦だ!よろしくなっ!パティ♪」

基本的にパティと行動を共にする。補助目的(その事柄の素直なリアクションを王女に伝える:祭りの準備自体も思いっきり楽しむ)

やっぱり楽しさって伝わるもんだと思うんだよな…やってる方が楽しめば参加してる人、見てる人、全員がその楽しさに巻きも有れてくと思うんだ!何よりこんだけ国民の事を考えてる王女様が楽しんでる所を見るのはみんなが望んでる事だと思うしなっ☆

公の場では一応王女扱いするが、基本友達感覚。
「うはっ失敗してやんの~パティだせーなw」
「見た目はちょい…なんつーの?…アレだけど…味は美味ぇよっ♪」

すっげぇ怖い思いをした…それを忘れる事なんてできやしねぇ…でも、それを乗り越えて笑顔で居る事は出来る!…笑顔にさせる事もできる…皆を思ってるパティには絶対にできるぜ!!

『頑張って、一緒に、鳥捕る。』
【行動】
パルテニア王女や他の人と共に、山へ向かい鳥の狩猟を行う。
銃で狩猟しようと思うが、戦闘がないという理由で、普段使ってる銃を置いてきてしまい、少し慌てる。
山へ登る際は、登りなれてない人のサポートをする。
聞いたやり方にならって、あたふたしながらも女王を補佐する。
モニカと共に鳥を追い詰めたりする。慣れない捕り方で捕り逃がしたりも。
挟み込んで捕まえようとしても逃げられて衝突したり、動画映えになりそうなことも。
無事鳥を捕まえることが出来た場合、猟師か、やり方を知ってる人に聞きながら持ってるナイフで捌く。
捕まえれなかった場合は、大人しく鶏小屋に行き、数羽貰う。
狩猟が終わった後、料理のときに邪魔にならないように気を付けながら手伝う。
味見とかは積極的に。つまみ食いはしたいけど我慢する。

その幼い身に国という重きものを背負う
俺も地球で言えば王子の立場だが――所詮は二番手、補佐に過ぎん
ならば補佐らしく一時でも、微力でも、王女の背負うものに力添え出来れば

■行動
王女には敬語会話
挨拶にボウアンドスクレープで自然に答礼
「微力ながら尽力させて頂きます

撮影用カメラを借り、動画撮影をメインに担当
材料調達時全般、必要なら調理時も撮影
撮影しつつ安全配慮にも気を配り、王女に危険がないよう
獲物が暴れ過ぎれば、そっとカーズミストで動きを制限
調達担当する者に近辺は任せるが、いざとなればいつでも走り込む心づもり(カメラは死守

材料調達は市場以外へ先に赴き、調達成果次第で野菜を中心に肉魚と市場の買物を増減

★市場
買物は『王女の市場リポート』を提案
「エオリアの民の様子や王女との交流風景を世界へ発信出来るかと
「ですので頑張って王女の愛しき民を紹介してみましょう
荷を運ぶコロ付カートを手配
それを引きつつ市場の様子、何を探すか、食材について等を王女の言葉で語って貰う
時々質問事項のカンペを見せたりサポート『旬の野菜は?』等

★動画
王女や市場店主の台詞は字幕を(各国版を作成
エオリアらしいBGMや料理「空と海と大地の~」の説明、SE等も組入れ編集

  • プロサバイバー
    モニカla3729
    人間20才|スナイパー×セイント

「野鳥を、獲りに行きたいと思います!」
手を上げて宣言
やっぱり郷土料理ならジビエだよね

欧州の登山家仲間を頼って猟師にコンタクト
「えっとつまり、はい、うん、そっかなるほどー、ありがとうございますっ」
「捕まえ方はばっちりです、山に行きましょう!」
お肉を入れるクーラーBOXも持っていざ山へ

目的地まではしっかり登山をサポート
王女様に荷物なんて持たせられません、全部あたしがっ
てくたんのカートが通りづらいところはちゃんと持ち上げるよ

「アウィン君、しっかり撮影お願いね」
王女様、フェーヤと、きいたとおりに追い詰めて…
「ひあああ、そっちいったー!?ま、待ってそっちじゃないよっ」
説明は聞いてても、慣れない捕獲であたふたあたふた
ひええ、やっぱり撮らないでー!

「そっちからせーのでいくよ、フェーヤちゃん…!せーのっ」
するりと逃げられて、べしゃっと衝突…するが、
エモノは王女の足元に
「そっち、それ、つかまえてくださーい!」

やりきった笑顔で野鳥を抱え記念撮影

「ナイフ上手いね、さすが…そこ、あ、もうちょっとこっち」
フェーヤのサポートに回り、お肉は処理していく
「うぐ、登るのは慣れててもサバイバルは大変だぁ」
クーラーBOXにいれて帰る

材料集めの間、撮影についていって賑やかし担当
応援したり、軽いサポートに

「王女様が捕まえたとりだよ!美味しく仕上げてね!」

●打ち合わせ

「なんや長い名前の料理やなー……“肉野菜炒め”とかじゃあかんの?」
「もっともではあるが、それで後々まで言い伝えられるかは疑問だな」
 てくたん(la1065)の言葉に、アウィン・ノルデン(la3388)が応じる。名付け、権威、象徴性。現物を置き去りにする危険はあるが、それらは時や場所を超えて物事を伝わりやすくもする。
「あらゆる自然の恵みの享受を意味する言葉だな」
 Ashen Rowan(la0255)もまた、その名に意味を見出していた。
「しかし肉と魚を入れた煮込み料理とは珍しい。存在しない訳ではないが、数もそう多くはあるまい」
 ローワンが付け足したその呟きに、森野 紫苑(la2123)が反応する。
「まずは、何を使うかをある程度決めておきたいな。国民に馴染みの深い料理なら野鳥を使うって線は薄そうだし、肉は鶏肉で間違いないだろうと思う」
「野鳥を、獲りに行きたいと思います! やっぱり郷土料理ならジビエだよね」
 そこへモニカ(la3729)が、手を上げて宣言した。フェーヤ・ニクス(la3240)も賛同し、隣でこくこくと肯いてみせる。
「両方作ればよかろう」
 ローワンが提案した。
「エオニアの特産をふんだんに使ったもの、一般の材料で作ったもの、二つともあっていい。その国でしか食べれないという希少価値も魅力だが、手近な材料で作れるのもまた同様だ」
「それもそうね。私は野鳥を使った料理を考えてみるから、紫苑は鶏の方をお願い」
 ジュリア・ガッティ(la0883)が提案に乗る。
「それでいいと思うぜ」
 茅野 敦(la2650)も肯いた。
「ミーベルを使うのも面白いだろう。甘酢餡掛けのように『甘酸っぱい』『甘辛い』系統は好む者も多い」
「おう。となると、最初から味付けに組み込むか、個々で使うたれやソースみたいにするか……まあ、流れを見ながら考えとくか」
 ローワンのさらなるアイデアに、紫苑は思案を巡らせる。
「調達の順としては、鳥や魚の調達を試みてから市場へ行くのがよさそうだな。入手に失敗しても挽回できる」
 アウィンが意見を述べていると、王女が戻ってきた。

 動きやすさ重視のオーバーオールにスニーカー。ツインテールの片方の根元には、オリーブ型の金の髪飾りを着けている。
「微力ながら尽力させていただきます」
 アウィンは右腕を前で曲げ左腕を横に伸ばす、ボウアンドスクレープで敬意を示す。
(俺も地球で言えば王子の立場だが――所詮は二番手、補佐に過ぎん。ならば補佐らしく一時でも、微力でも、王女の背負う重きものに力添え出来れば)
「俺ぁ敦だ! よろしくなっ! パティ♪」
 アウィンとは対照的に、敦は気さくに声を掛けた。
(ナイトメアで壊滅した国……故郷の復興か……他人事じゃねーよな。王女様ならさらに多くの国民のことも考えてんだろーな。俺のできる限り、力になりてーぜ!)
 しかし王女に対し、思うことは限りなく近い。
「ほんほんふーん。いけるんちゃうん? ここにいるにーちゃんねーちゃんらはみーんな頼りになるライセンサーやで。泥船に乗ったつもりでどーんと任せとき!」
「……泥船では沈むのでは?」
 王女の周囲を一回りして言うてくたんに、王女は一応ツッコミを入れてみる。
「後はそうだな、山や海など調達シーンごとに適した服装に変えるべきだ。その方が受けが良い、きっと」
 ローワンが抜かりなくエレクトラに指摘した。
「詳しくはない、服装選別は他の者に任せる」
「準備しておきましょう」
「だが帽子はかぶれ、陽射しが強い」
「お気遣い感謝いたします」
 王女は、隻眼の者の鋭い眼差しに若干射竦められたようになりながらも礼を述べた。

 登山帽をかぶった王女の背に、てくたんが引っ付く。小さな体を活かし、リュックのふりで護衛とサポートを試みる。
「うちが近くにおんねん、心配なんてあらへんよ? 自由にしいやー」
 十キロと聞くと重たげだが、一歳半の赤ん坊がだいたいこれぐらい。
「転ぶ時はなるべく背中が下になるようにしときー。後頭部を打たんように顎は引くんやでー」

「隻腕ではあるが、力仕事含め雑務くらいはできる。だが撮影、編集の類は不慣れゆえ、誰かに頼みたい」
「私が撮影を受け持とう」
 ローワンの言葉を受けて、アウィンがカメラを借りた。王女の安全配慮にも気を配るつもりだ。
「外の国へのアピールならば、料理の来歴や王宮の胡椒の木の絵も入れた方がわかりやすいだろうな」
「それは私が。魚や鳥、野菜も可愛いイラスト風に描いてみるわ」
 絵の得意なジュリアが引き受ける。
「では円陣を組み、気合を入れよう」
「アウィン君って見かけによらず体育会系だよね」
 モニカが言う横では、敦がパティのことも誘う。
「ちょっとしたチームみたいなもんだ。一緒にがんばろうぜ」
「せやなー」
 てくたんにも背中から押され、王女は輪の中へ。
「ま、参りましょう!」
 ぎこちない掛け声に、八人が力強く返事を返した。


●捕まえる

「そっかなるほどー、ありがとうございますっ」
 まずはモニカが、欧州の登山家仲間を頼って猟師にコンタクト。
「捕まえ方はばっちりです、行きましょう!」
 クーラーボックスも持ちいざ出発。山はモニカのホームグラウンド、目的地までしっかり登山を補佐する。
 一方、こちらも登り慣れない人に手を貸しながら、フェーヤは少し慌てていた。戦闘がないと聞き、普段使ってる銃を置いてきてしまったのだ。
 それでもライセンサーの運動能力に一縷の望みを託す。
『がんばって、一緒に、鳥捕る』

 聞き込んだ場所に到着すると、鴨やヤマシギが大量にいた。渡りはせずに留鳥となっている群れだ。
「ここ数年はろくに狩猟されなかったので、かなり繁殖していますね」
 エレクトラが説明する。

「アウィン君、しっかり撮影お願いね」
 モニカは王女とフェーヤと共に、聞いた通りに鴨を追い……
『挟み込んで、追い詰めて……あっ』
「ひあああ、そっちいったー!? ま、待ってそっちじゃないよっ」
 説明は聞いてても、慣れない捕獲であたふた。相手は鳥なので飛びもする。
「ひええ、やっぱり撮らないでー!」
「NG集なども親しみが持てるものだし面白いかもな?」
「……弓矢使った方が早くねぇか?」
 敦がつい突っ込む。

「そっちからせーのでいくよ、フェーヤちゃん! せーのっ」
 するりと逃げられて、三人でべしゃっと衝突。王女はてくたんをクッションにして受け身も取り、頭を打つのは回避する。

『上手く、捕まえれない。難しい』
 楽しくはあるが、仕事は果たせてない。おとなしく鶏小屋に行き数羽もらうべきかともフェーヤは考える。
 そこでアウィンが、手頃な獲物にそっとカーズミスト。鴨とヤマシギが一羽ずつ、王女の足元にこてんと転がる。
「そっち、それ、つかまえてくださーい!」
 恐る恐る捕まえた王女を助け、確保。やりきった笑顔で野鳥を抱え記念撮影。

「ナイフ上手いね、さすが……そこ、あ、もうちょっとこっち」
 フェーヤがナイフで捌くのをモニカが手伝い、肉を処理していく。
「うぐ、登るのは慣れててもサバイバルは大変だぁ」
 クーラーボックスに入れて帰還。


●すなどる

「ここは汽水域。海と川の魚、両方が生息してるわ。栄養も豊富だから、生き物が集まってきやすいの」
 ジュリアは河口部の干潟に王女を案内した。
(立派な王女様よね。喜んでお手伝いさせていただくわ)
「ところで王女様、魚を直接、捕まえたことあるかしら?」
 問われ、乾きやすいラッシュガードやレギンスに着替えた(さすがにてくたんも降ろした)王女は首を振る。だがその顔は、初めて姿を見せた時の身構えて澄ました様子とは違い、次の楽しさにわくわくしているとわかる。
「じゃ、掴み取りといきましょう。足元がぬかるんでるから気をつけっー!」
 自身も水に入ったジュリアだが、滑って盛大にコケ、水柱を上げズブ濡れに。
「……き、気をつけないとこうなるから、ね?」

 注意はするが、初めてのこと。王女もしばしば転んでびしょ濡れになる。
「うはっ失敗してやんの~パティだせーなw」
 手伝いながら敦が笑うが、その声音に嘲りの色はなく、友達への親しみを込めた憎まれ口とは誰の耳にも明らかだ。
「今度はうまくやる!」
 ほっぺを膨らませるその表情を怒っていると見て取る者はいまいと、撮影しながらアウィンは感じた。

 がんばった甲斐あって何匹かは捕まえたが、小さくて料理に使うには物足りない。
「そろそろ釣りに切り替えた方がいいかしらね」
「王女さん、それにジュリアたちもちと下がってくれ」
 紫苑が他の皆を浜へ上がらせると、ざぶざぶと胸元くらいまで踏み入った。
 そして放つはブラッディゲイザー!
「カサゴにメバルに鯛か……というわけで、これがこの海で獲れる魚だ。後は貝やエビも欲しいところだな」
 派手な水飛沫の後に浮かんできた魚を手に、時間短縮に成功した紫苑は笑う。


●お買い物

「きばりやー。女は度胸やでー」
 今回てくたんは、ジャンパースカートに着替えた王女が引く小さなキャリーカートの中に身を隠していた。
 野菜などは市場で調達、ついでに王女によるリポートもしてもらう。
「エオリアの民の様子や王女との交流風景を世界へ発信できるかと。ですのでがんばって王女の愛しき民を紹介してみましょう」
 アウィンはまず望遠で撮影、声は襟元に隠したマイクが拾う。
 髪にマドンナリリーの花を挿したり鳩のブローチを身に着けたりしている女の子らがはしゃいでいる市場。遠くからは祭が盛り上がり過ぎて起きた火災跡の焦げ臭い匂いも漂ってくる。
 お金を渡し、品物を受け取る。気づかないのか、敢えてなのか、店の人たちは王女を普通の客として扱った。「お使いかい? 偉いねえ」などと声を掛けられ、「ありがとう」としどろもどろに返事する。
 品をカートに詰めていき、てくたんは緩衝材みたいなことになっていく。
 オリーブ油やハーブ類などを揃え、野菜を残すのみとなったところで紫苑が近寄った。アウィンやローワンも来て、ここからはまた趣向を変える。
 アウィンが『旬の野菜は?』とカンペを見せた。
「旬の野菜としては、そろそろナスの時季であろうか。トマトも、気温が高くなりすぎないこれからの方がよいと聞いたことがある」
「ほう、学があるもんだ。ではこの真っ赤なトマトだが、どっちを選ぶべきかわかるかな?」
 紫苑が不意に王女にクイズを出した。
「む……?」
 視線をさまよわせた王女は、ある一点に目を留めて、困惑しきり。
 やけになったように店頭の隅に手を伸ばした。
「こ、こ、この、青く萎びたものを!」
「おいおい、奇を衒いすぎだって。こういう時は張りのあるものを――」
 解説しようとした紫苑だが、王女の視線を追って言葉が止まる。
「……こういうものではないのか」
 ローワンが、『ここでボケて』というフリップを持っていた。
「ここは没かねえ」
「……いや。編集してここまですべてのやり取りを余さず伝えれば、無茶振りに応えんとする懸命な姿が好感を持たれるのでは」
 紫苑とアウィンが話す横で、モニカやフェーヤは王女をねぎらった。


●お料理

「俺が考えているのはブイヤベース風だ。地場の野菜と海産物に、鶏肉を加える感じだな」
 獲った魚はひれに毒があったりするので、まずは紫苑が下処理。
「私はシンプルに、小魚や魚のアラで出汁をとって野鳥と野菜を煮込んだものに塩・コショウで味付け。新鮮な食材だし、素材の味を活かす感じね」
 ジュリアの案を聞き、アラをジュリアの調理スペースに渡した紫苑は王女に向き直る。
「さ、メイン調理は王女さんの出番だぜ。煮込み料理だから手早い段取りがどうこうとか焦る必要もない。わかんねえとこは教えるよ」
「は、はい!」
 紫苑たちは過度に口出しはせず、要点を絞ってアドバイスする。
「王女様が捕まえた鳥だよ! 美味しく仕上げないとね!」
『味見、する』
 モニカが鴨とヤマシギを取り出した。フェーヤは王女を手伝いながら、小皿を手に取る。
 やがて一区切りがついた。
 ハーブが香り立つ紫苑の教えた鍋。魚や野菜、そして野鳥の風味が濃く漂うジュリアの教えた鍋。
「どっちもええ匂いやなー」
 今は椅子にちょこんと腰掛けて、てくたんが言う。
 敦は汗を拭って一息ついたパティの笑顔をスマホに撮った。
(すっげぇつらい思いをした……それを忘れることなんてできやしねぇ……でも、それを乗り越えて笑顔でいることはできる! 笑顔にさせることもできる……皆を思ってるパティには絶対にできるぜ!!)
 SNS内の、企画と関連付けた公式アカウントに投稿する。題名は「希望の象徴」。

「編集をある程度進めておくか」
「動画とは別にレシピを公開するのも良いだろう」
 アウィンとローワンが話し合う。
「王女様の料理中に、イラストを周りで踊らせてみる?」
 ジュリアは収穫や料理のシーンに、イラストや画像を挟んで彩りを加え、楽しそうな雰囲気を出してみせた。
 アウィンはエオリアらしいBGMや料理「空と海と大地の交わるところ」の説明、SE等も挿入して編集していく。
「動画が評判になってエオニア王国と王女様への支援が増えてくれたらうれしいわね」

「これは俺の個人的な工夫だが」
 完成した料理の一部に紫苑は米を加えてリゾット風にアレンジしてみた。


●いただきます

 和やかな夕食となった。
「ちなみにデザートは別のライセンサーの方々が考案した品を。いずれもミーベルを使った、かき氷にタルト、フルーツポンチにアイスバー、ムースやヨーグルトプリンです」
 エレクトラが紹介する。
 そして二種類の料理は、王女が自ら各自の皿に盛り分けた。
「見た目はちょい……なんつーの? アレだけど……味は美味ぇよっ♪」
 真っ先にぱくついた敦が、盛り付けに失敗したと顔を赤らめていた王女に、堂々と言う。はっきり言われることでむしろ空気はさっぱりした。
「れ、練習す……くしゅんっ!」
(どんなに苦しくてもがんばって立ち上がる人たちがいる。力のあるなしじゃねぇ、必死な姿は皆が応援してぇよな♪……もちろん、俺も)
 コショウをかけ過ぎたかくしゃみするパティに微笑みながら、少年は思った。
「うん、この鴨おいしいね! ミーベルのソースも合う」
「おかわり、できないのが残念」
 モニカとフェーヤが笑う横で、ジュリアも舌鼓を打つ。
「リゾットもおいしいわね。さすが紫苑」
「王女さんの手柄だって」
 相反するいくつもの感情を抱きつつ、ローワンも今は静かに料理を味わっていた。
「そうだ、王女たちの台詞には字幕がいるな。なるべくなら各国版を作成したい」
 アウィンは浮かんだ案をメモする。
「どうやった? 料理もそうやけど、楽しめたんちゃうん?」
「はい!」
 てくたんに問われ、王女は気持ちよく笑みを浮かべた。

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