オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 落ちた吊り橋

落ちた吊り橋 三田村 薫

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
バトル 
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2020/03/22 12:00
完成予定
2020/04/03 12:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●Suspension Bridge Is Falling Down
 アメリカ合衆国某州。
 山でよくわからない動物に襲われた、という通報が入り、地元警察が出動した。吊り橋を渡って逃げてきた通報者と合流し、その「よくわからない動物」の様子を見に行った彼らは目を剥いた。
「レールワームだ!」
 ということで、吊り橋を戻ってSALFに通報した。その間も、のっしのっしと足音高くこちらへやってくる。吊り橋の向こうに見えたところで、応援に駆けつけた陸軍の隊長が言った。
「吊り橋を落とそう」
「お言葉ですが、結構重量がありそうなので、吊り橋渡っている間に落ちるんじゃないでしょうか」
 巡査が意見するが、警部補が苦い顔で首を振った。
「いや、落ちたら落ちたで、川に流された連中を探して討伐するのが大変になる。先に吊り橋を落として、あの場に留めておいた方が良い。どこかに行っても足跡で追える」
 協議の結果、米軍が吊り橋を爆破して落とした。緊急事態なので仕方ない。だが、レールワームは元々遠距離の撃ち合いに強い種類だ。進行を妨害したこちらを敵と見なして攻撃してくる。隊長の帽子とその上の枝が、粒子砲を受けて吹っ飛んだ。
「ぐわー!?」
 悲鳴を上げて倒れる隊長。
「隊長ー!」
 部下が慌てて駆け寄った。揺さぶられて、すぐに隊長は我に返り、
「……はっ! 当たったと思って気絶してしまった……私は無事なのか……」
「帽子が召されました」
「私の身代わりになってくれたのか……」

●ジョハリの窓
 エマヌエル・ラミレスは、たまたま一緒になった田郷洋介と一緒に現場に向かっていた。十五メートル挟んで先にいる対岸の敵を討て、と言う指令である。エマヌエルはライフルを、洋介は弓を、それぞれ担いでいる。
「グラップラーって、目の前の相手をぶちのめすクラスなんだよな」
 エマヌエルは目を細めて呟いた。洋介も困った様な顔で、
「ゼルクナイトも、射程が長いスキルあるっちゃあるんですけど、俺まだ取れてないんですよ」
「でもお前、弓使うんだろ?」
「そっすね。弓道部だったんで。適性はゼルクナイトでしたから、サブでスナイパー取りました。メインがスナイパーが良かったなぁ」
「ま、そう言うもんだよ。才能って、望み通りのものは手に入らなかったりするんだよな」
「ジョハリの窓って感じですよね」
 ジョハリの窓ってなんだよ、とエマヌエルは思ったが、尋ねる前に到着してしまった。ぼろぼろの帽子を被っている軍人がいる。隊長であるらしい。
「お待ちしておりました」
「何だその帽子……」
「奴らにやられました」
 と、言っている間に粒子砲が飛んで来て、隊長の帽子を落とした。洋介がびくっと身を竦める。
「今ので状況はよくわかった。退避してくれ」
 エマヌエルは、拾った帽子を隊長の胸に押しつけて、今しがた自分が来た道を親指で指した。

●目的
レールワームの撃破
※射撃攻撃による戦闘RP推奨シナリオです。

●ライセンサーは吊り橋が落ちた事を知っている?
説明中に米軍から連絡が入り、オペレーターから伝えられていますので、知っている前提で装備を整えてもらって結構です。

●敵は逃げない?
逃げません。好戦的な態度から、逃げないとあたりをつけてもらって大丈夫です。

●敵情報
レールワーム×5
遠距離での撃ち合いは無類の強さを誇る。(ワールドガイドより)
幼態なので威力はそれほどでもないが、防御と射撃命中が高い。
乗用車くらいの大きさがひしめき合っている。
射程10の知覚射撃攻撃を行なう。
向こう岸の1スクエア内に雁首を揃えている。

●PCのスタート場所
レールワームの対岸。目の前にはかつて吊り橋だったものがぶら下がっている。吊り橋は米軍が爆破して落とした。
対岸まで3スクエアぽっかり開いている。下は川。
敵は対岸の一番外側のスクエアに並んでいるので、最低でも射程4あれば届く。

●NPC
エマヌエル(グラップラー×ネメシスフォース)
ライフル持参。スキルはハイフォース、咲き乱れる赤、受け流し。

田郷洋介(ゼルクナイト×スナイパー)
弓道部なので普通に射程4が出る弓を持ってきている。
スキルはポイントショット、ウォールスキン。

こんにちは三田村です。お気楽戦闘シリーズです。
普段使わない武器やスキルを試す機会にいかがでしょうか?
それにしても乗用車サイズの敵が吊り橋の前でギチギチにひしめき合いながらこっちに粒子砲撃ってくる絵面ってめちゃくちゃシュールですね。
ご参加お待ちしています。

目的は敵の殲滅。

立ち位置は相手の射程外に当たる11以上の場所に距離をとっておく。

最初に相手が密集しているところにデスペラードを使用して射程を伸ばし雁首揃えてるところをまとめて鴨撃ちする。

まとめてダメージを与えたらそのまま相手の射程外からロングレンジスナイプやポイントシュートなどの射程を伸ばすスキルで反撃を食らわないようにしながら一体ずつ撃ちぬいていく。

ダメージを負ってるのを味方と連携して集中して攻撃して一体ずつ確実に倒していく。

逃げる心配がないのでじわじわと削り取っていく。
相手の射程外からなのでたまに挑発するなどして敵の意識を向けさせておく。

  • もふもふ救命士
    トーヤla0375
    ヴァルキュリア10才|グラップラー×セイント

橋を落としたのは、時間稼ぎとしてもいい判断だと思うよ
アドリブ歓迎

「レールワームと撃ち合いすることになるとはね。私はグラップラーなんだが」
一か所に留まって集中砲火を受けない様、岸、樹の影、樹上など射撃場所を変えながら一射一射ジャベリックスロアを撃ち込む
直射だけでなく、弓だからできる曲射も混ぜて撃ち、上からも矢を降らせる
戦闘前に明鏡止水の心、受け流しを使用。効果が切れたら、再使用
1匹ずつ集中して撃ち込んでいく
「普段はああいう輩は接近して砲身を破壊するところからなんだが、今回は仕方ないか」
「さすがにアレらとまともに撃ち合いをするつもりはないからね」
「まずはあの個体から撃ち込んでいくとしよう」
「洋介、せっかくだ。一緒に射掛けるとしようか」
「弓だからできる撃ち方もある。この状況ではあまり意味はないかもしれないがね。練習も兼ねてね」

味方のダメージが蓄積されてきたなら、ヒール、ハイヒールで回復
「シールド残量が減ってきたら言ってくれ、回復させる」
味方が対岸へ渡ろうとするなら前に出てラ・ヴァで援護
爆炎で視界と態勢を崩す
「飛び込むかい?なら援護する。その隙に行ってくれ」
対岸への移動が成功したなら、こちらへ引きつけるために、より苛烈に攻撃
「残りも少なくなってきた。一気に決めてしまおう」

「中々いい経験になったよ。普段と違うやり方もやってみるものだね」


  • ロベルla2857
    人間23才|ゼルクナイト×スナイパー

【心情】
吊り橋が落とされておりますわね…激しい撃ち合いになりそうですわ
わたくしは元より遠距離魔術や射撃に特化しております。撃ち合いはお任せ下さいませ
レールワーム…撃ち込み甲斐のありそうな装甲ですわね

大火力を目指す
わたくしは元々、魔力の最大出力に偏向した能力を持ちますわ…。ならば、更なる高みを目指してみたいですわね

エマヌエル様、洋介様…常に、得意分野で戦えるとは限りませんわ。わたくしも同様です
最近は零距離での強力な魔術も解禁されたようですわね…方向性の多様化も検討中ですわ

【目的】
敵全滅

【準備】
小虎様が向こう側の崖へ飛び移りやすいよう、飛び移るタイミングに合わせて敵へ撃ち込む

【行動】
開幕は盾装備で精密狙撃発動、以後そのまま。敵砲撃来たら防御
(魔術による不可視照準、構成。精度向上を…)

その後、束ね連なる因果を近くの仲間へ→射程4まで近づいて大剣の光り眩む白発動
疑似ライヴス増幅…我が魔力の更なる昂ぶりを感じますわ…!
ナイトメアを分解せよ、光の波動!ラ・リュミエール!

残った敵へは大剣のアシッドキャノンや、咲き乱れる赤を撃ち込む
猛毒の魔力弾は悪夢をも蝕み、屠る…貴方に耐えられまして?
ナイトメアを焼き尽くせ、浄化の炎!フラム・フルール!

  • 竜殺し
    杉 小虎la3711
    人間18才|グラップラー×ゼルクナイト

「お米の国の方も下手を打ちましたわね。橋を残しておいてくれれば対岸まで駆けて行ってぶちのめしてやれましたものを」
などとしきりに残念がっているのは武闘派脳筋お嬢様の杉 小虎である。
回避が鬼つよなので面白ポーズで対岸まで駆け抜ける気満々だったのがみえみえだ。
そしてその方が敵が逃げた場合でも殲滅可能だったのに本当に困りましたわ、ちらっちらっ
(逃げないのは承知の上ですがそんなの分からないじゃないですか)
それでも射撃戦の準備をいそいそと始める小虎であった。

今日のために用意した武器は2種類。
一つはギターケースに偽装した爆炎器「ラヴァ」。ケース側面には有名イラストレーターに描かせた火を噴くドラゴンのイラストがババンと描かれている。武器よりむしろこっちに金がかかっているぜ(最新のシングルピン参照だ)

もう一つは射程に余裕のあるジャベリックスロアである。弓を2重に配した変態チックな強弓である。そのまま投げ槍投擲機言って差し支えないような矢をぶっ放す代物である。

まずは対岸に仁王立ちして敵の攻撃を一身に引き受けて全回避する。
「スローな砲弾すぎてあくびが出ますわ。悔しかったら当ててみてご覧あそばせ」
スーパーお高く留まって敵を挑発して統制を乱す。

あとは映画「デスペ〇ード」で見たかっこいいポーズでラヴァを撃つんだけれど飽きて普通にブッパして対岸のを火の海に変える。

  • Homme Fatale
    柞原 典la3876
    人間29才|セイント×ネメシスフォース

▼スキル使用時武器
鉢特摩、神恵の雨雫:ナイフ
咲き乱れる赤:魔導書

望み通りの才能は手に入らんての、よう分かるわ
俺の適正がセイントって、ギャグか思うたしなぁ(遠い目
まさにunknown self…俺も誰も予想してへんて
ジョハリの窓って、会社の研修とかでやっとるのやろ?
適当に誤魔化してblindにして「わぁ、自分こんなですかぁ」てするやつ(笑
実際はhiddenばっかやとしても

とか、悠長に喋ってられるんも、まぁ単純な攻撃しか敵さんも出来ひんからよなぁ
俺のポジションは横列真ん中
全員に回復届いた方がええやろし
いくら知覚に強い言うても砲撃に当るんは嫌やし、体勢は低く
且つ、転がったりの回避行動も取り易い片膝立ちくらいで

あっち側に味方いてへんから、巻込み気にせんで済むのは助かるわ
赤どーんと遠慮のう叩き込む
赤撃ち終えたら鉢特摩
これだけはセイントでも性に合うとるんよなぁ
標的は他が狙うとる個体に、集中攻撃で早期撃破して数減らしてこ
攻撃スキル仕舞い後は、スナイパーライフルでちまちま狙撃
煙草(点火は近くの人次第)咥えのんびりリロード
撃ってはリロードの繰り返しで、別にサボってへんよー、銃の仕様でーす
おー流石硬いな、物理銃じゃこないなもんか

味方被弾でダメージ増えれば神恵で回復
よっぽど離れてへん限り全員範囲に入るやろ、多分

●落ちた吊り橋
「レールワームと撃ち合いすることになるとはね。私はグラップラーなんだが」
 トーヤ(la0375)は自分の三倍近くの長さがある弓・ジャベリックスロアを担ぎながら対岸を見た、ライフルを持ったエマヌエルが肩を竦め、
「わかるぜ。ま、適性によって使える武器に制限が掛からないのはありがたいな」
「常に、得意分野で戦えるとは限りませんわ。わたくしも同様です。最近は零距離での強力な魔術も解禁されたようですわね……方向性の多様化も検討中ですわ」
 エリーヌ・ペルグラン(la3172)は慎ましくそう言った。彼女の青い瞳は対岸のレールワームを見据えている。
「わたくしは元より遠距離魔術や射撃に特化しております。撃ち合いはお任せ下さいませ。レールワーム……撃ち込み甲斐のありそうな装甲ですわね」
「お米の国の方も下手を打ちましたわね。橋を残しておいてくれれば対岸まで駆けて行ってぶちのめしてやれましたものを」
 と、悔しがっているのは杉 小虎(la3711)。彼女もまた近接戦闘を得意とするグラップラーである。彼女自身、回避が鬼の様に高いため、吊り橋が無事であれば、面白ポーズで対岸まで駆け抜けてぶちのめす気満々だったのである。
「そしてその方が敵が逃げた場合でも殲滅可能だったのに本当に困りましたわ」
 後でわかったことだが、このレールワームたちもまた脳筋であり、戦闘中逃げる素振りは一切見せなかった。とは言え、到着時点での小虎たちにそんなことがわかるはずもなく、逃げやしないかと彼女はちらっちらっと対岸を見やるのであった。
「橋を落としたのは、時間稼ぎとしてもいい判断だと思うよ」
 トーヤが取りなすように言うと。エマヌエルが肩を竦め、
「お前さん冷静だな。俺も橋があった方がありがたかったけど、ま、しょうがねぇな! やるか!」
「ええ、仕方ありません。やりましょう」
 と、小虎がいそいそと取り出したのは……派手なギターケースだ。中身はギターではなく爆炎器「ラ・ヴァ」。エマヌエルが目を剥き、
「ノリノリじゃねぇか」
「何のことでしょうか」
 小虎はすっとぼけた様に首を傾げると、ギターケースを肩に担いで仁王立ちになった。ちなみに、もう一つ射撃武器の準備があって、弓を二重に配した変態チックな強弓……と、彼女が思っているジャベリックスロアだ。対岸への射撃戦と聞いていたため、態度に反して準備は万全なのである。

「望み通りの才能は手に入らんての、よう分かるわ」
 魔導書を膝の上で開いて言ったのは、柞原 典(la3876)だった。知覚攻撃への高い耐性を持ち合わせる彼だが、別に積極的に撃たれたい訳ではないので姿勢は低く取っている。
「俺の適性がセイントって、ギャグか思うたしなぁ。まさにunknown self……俺も誰も予想してへんて」
 遠い目をして首を振る。
「……セイントをどう解釈するかにもよるよな……ただお優しい聖人って意味だけじゃねぇし……」
 エマヌエルが何気なく言ってから、ちらりとこちらに流し目を寄越す典から全力で目を逸らす。口元だけで笑った典は洋介を見上げ、
「ジョハリの窓って、会社の研修とかでやっとるのやろ? 適当に誤魔化してblindにして『わぁ、自分こんなですかぁ』てするやつ。実際はhiddenばっかやとしても」
 初対面の洋介は無難に、
「そっすね。大学のキャリア講座でやりました」
 などと、悠長に話をしていられるのも、対岸でぎちぎちにひしめいているレールワームが砲撃しかしてこないからである。
「わたくしは元々、魔力の最大出力に偏向した能力を持ちますわ……。ならば、更なる高みを目指してみたいですわね」
 目を輝かせながら、エリーヌは手順を考えていた。

●射程外から
 アシュレー・ウォルサム(la0006)はレールワームから五十メートル以上距離を取った所に潜伏していた。
「ふうん、相手の射程がここまでなら、ここからなら相手の反撃を受けずにうち放題できそうだね。安全を確保してうち放題なら気が楽だね」
 涼しい顔で言いながら、マスケット銃に似た金と銀の装飾を施されたライフルを構える。見た目はレトロだが、性能は紛れもなく近代兵器。銃身を支え、引き金に指を掛けた。先ほどまでの軟派な態度とは打って変わって、真剣な眼差しでスコープを覗く。青い目が、そのまま射抜きそうな程の鋭さを湛えた。
 味方の準備が整ったところで、デスペラードによる広範囲射撃をお見舞いした。レールワームたちは、見える範囲にいない敵からの射撃に驚いたようで隙ができる。そこに、前にいる仲間たちが咲き乱れる赤を撃ち込んだ。スコープの中で岸が燃えている。
 察しの良い一体が、アシュレーの位置を特定したらしい。粒子砲を容赦なく撃ち込んでくる。しかし、アシュレーは意に介さず弾丸を装填していた。何故この位置にいるのかというと、レールワームの射程外であることがわかっているからである。読み通り、木の枝をへし折りながら飛んで来た粒子砲は、アシュレーの前で威力を失った。他は、挑発している小虎や見えている他のライセンサーたちに攻撃しているらしい。酷い悲鳴は聞こえてこない。威力はそれほどでもないようだ。あるいは仲間たちが回避しているか。
『アシュレー、無事かい?』
 トーヤから通信が入る。
「ああ、無事さ。射程外にいる。今のは届いてないよ」
『なら良かった。引き続き頼む』
「任せてくれ」
 装填を終えて、再び構える。
 小虎が担いだギターケースから焼夷弾をぶっ放している。レールワームにギターケースがわかるとは思えないが、どちらかというとエマヌエルのテンションを上げているように見えた。
『我が魔力の更なる昂ぶりを感じますわ……!』
 インカムからエリーヌの高い声が聞こえる。どうやら一発、どでかいのを叩き込むらしかった。アシュレーは様子を見た。
『ナイトメアを分解せよ、光の波動! ラ・リュミエール!』
 まばゆい光が……それこそレールワームの粒子砲と比べものにならない光が一体に叩き込まれた。目視できない。光が止むと、そこにいたはずのナイトメアはいなくなっていた。
 アシュレーはすぐに標的を切り替えると、間髪入れず、ロングレンジスナイプで銃撃を加える。ドロレスの射程は四十五メートル。だが、スキルを使えば六十メートルまでは射程が出せる。遙か向こうからの銃撃は、確実にレールワームたちにダメージを蓄積していった。

●咲き乱れるグレネード
「スローな砲弾すぎてあくびが出ますわ。悔しかったら当ててみてご覧あそばせ」
 小虎がスーパーお高くとまってレールワームを挑発している。その頭上を超えて、アシュレーのデスペラードが飛んだ。弾丸がばらまかれる。
「あっち側に味方いてへんから、巻込み気にせんで済むのは助かるわ」
 典が間髪入れず咲き乱れる赤を放ち、対岸に火の手が上がる。
「俺も俺も!」
 エマヌエルも後に続いた。咲き乱れる赤を、巻き込みに注意せず好き放題に打ち込める絶好のチャンスだ。
(魔術による不可視照準、構成。精度向上を……)
 エリーヌは精密狙撃で攻撃の準備を整えている。
「普段はああいう輩は接近して砲身を破壊するところからなんだが、今回は仕方ないか。さすがにアレらとまともに撃ち合いをするつもりはないからね」
 トーヤは木の上に登って弓を引いた。頭上で予期しない音がする。あっと思った時には遅く、手を離した途端、上で枝が折れた。弦に巻き込んだらしい。
「トーヤさん大丈夫ですか!」
「失礼。ああ、大丈夫さ」
 洋介も、現場では実力に関係ない失敗が起こる可能性が大体五パーセントあると言うことは知っているが、実際に起こると慌ててしまう。だが、当のトーヤの方が冷静だった。一箇所に留まっていると撃たれる可能性がある。ぴょん、と木の幹を伝って飛び降りると、新しい矢を取り出して番えた。その間に、レールワームは一番目立つ小虎、エマヌエル、今しがた動いたトーヤに向かって粒子砲を放つが、三人ともグラップラーで高い回避能力が持ち味だ。トーヤは受け流して、するりと砲撃の隙間を縫って移動する。
「遅すぎましてよ!」
「小虎様」
 なおもお高くとまって挑発している小虎に、エリーヌが束ね連なる因果を施した。
「ありがとうございます、エリーヌ様。さ、爆炎器『ラ・ヴァ』、本体よりお金の掛かっているイラストが火を吹きましてよ」
 小虎がギターケースを肩に担ぎ直した。レールワームはギターケースが何なのかを理解していないため、ギターケースから焼夷弾が飛び出すことがどれだけ盛り上がるかも理解していないだろうが、それでも攻撃されることはわかっているらしくて身構えている。燃え盛る焼夷弾が射出され、分断された岸を飛び越えて着弾する。爆発が起こった。
「ヒュー! 良いぞ良いぞ! ぶっ飛ばせ!」
 エマヌエルが指笛を吹きながら、自分も咲き乱れる赤を飛ばしている。典は沈黙の預言を白い指先でめくりながら、
「落ち着きないなぁ。落ちても知らんで」
 自分も同じスキルで追撃した。
 燃え盛る対岸! 炎の中の異世界生命体! 特撮もかくやという眺めである。消えゆく炎の中から、粒子砲で反撃するレールワームたち。やはり一番目立っている小虎に撃ちまくるが、やはりかすりもしない。見ている方もあくびが出そうだ。
 一体が、アシュレーの居場所に向かって砲撃を叩き込む。枝の折れる音が立て続けに聞こえた。トーヤが確認したところ、射程外に陣取っている彼には届いていなかったようだ。
「アシュレーは無事だ。射程外にいるらしい。届かない事も証明されたから、こちらも安心して攻撃に専念できるね」

●一射
 新たな矢をつがえたトーヤが洋介へ声を掛けた。
「洋介、せっかくだ。一緒に射掛けるとしようか。弓だからできる撃ち方もある。この状況ではあまり意味はないかもしれないがね。練習も兼ねてね」
「はい!」
 アサルトコアの初陣で面倒を見てくれたトーヤに、洋介は信頼を覚えている。トーヤは弓を横にして、弓を引き絞った。洋介もそれに倣って引き分ける。
「今だ」
 同時に手を離す。洋介は直射で、トーヤはやや上に向けた放った曲射で、翻弄するように射掛けた。グラップラーの戦い方そのものは活きているのかもしれない。
「疑似ライヴス増幅……我が魔力の更なる昂ぶりを感じますわ……!」
 エリーヌの声に気迫がこもっている。彼女は七剣星・オルタナを目の前に突き立てた。対岸を見据えて、叫ぶ。

「ナイトメアを分解せよ、光の波動! ラ・リュミエール!」

 強い光線が撃ち出された。弱っていた一体を貫く。強い光で、対岸は一瞬、何も見えなくなった。
 その光が止んだとき、今しがたエリーヌが撃ち抜いたレールワームは消えていた。彼女の言葉通り、分解されてしまったかの様である。
「おお」
 エマヌエルが目を瞠る。だが、敵はまだ四体残っていて気は抜けない。後方からアシュレーのロングレンジスナイプが飛び、小虎もそれに合わせてグレネードを射出する。
 典の咲き乱れる赤は五パーセントの不運に見舞われた。一瞬だけ火は上がるが、不発に終わる。彼は目を細めて本を閉じると、刀身が光るナイフを抜いた。

●反撃の対岸
 レールワームたちはかなり好戦的だった。逃げる素振りも見せず、小虎に、エリーヌに、典に砲撃を加える。小虎は宣言通り全て回避したし、エリーヌと典も今更知覚攻撃に怯むことはないが、
「やったからには覚悟出来とんのやろ?」
 典がナイフの刃越しに見据える。冷気の刃が飛んだ。血に似た赤い花弁が吹き出すように飛び、風に乗って川に落ちていく。
「これだけはセイントでも性に合うとるんよなぁ」
「そういうところだぞ」
「なんのことやろか」
 冷気に怯んでいる隙に、エリーヌがアシッドキャノンを撃ち込んだ。
「猛毒の魔力弾は悪夢をも蝕み、屠る……貴方に耐えられまして?」

「さて、次の手ですわね。投げ槍投擲機と言うべき強弓の一矢……受け止めてご覧なさい」
 ラ・ヴァが弾切れした小虎は、次にジャベリックスロアを取り出し、背筋を伸ばして堂々たる姿勢で引いた。鋭く飛んで行く矢は、レールワームが咄嗟に避ける。
「はい、おかわりな」
 典が再び鉢特摩を飛ばした。傷口を抉るようにアシュレーが射撃で追い打ちを掛ける。
「残りも少なくなってきた。一気に決めてしまおう」
 対岸の様子を確認しながら、トーヤが告げると、エリーヌが頷いた。
「お任せくださいませ」
 紅蓮のエリーヌ、面目躍如と言うところか。突き立てたオルタナの柄をしっかりと握りしめる。対岸へ響かせるように声を張り上げた。

「ナイトメアを焼き尽くせ、浄化の炎! フラム・フルール!」

 爆発。炎の花が対岸で大きく開く。散った花弁が空気を炙っている。衝撃で弾け飛んだレールワームの装甲が、地面に落ちる前に焼けた。

●下山
 しばらく待っていたが、レールワームたちは起き上がる気配は見せなかった。任務終了と見なして良いだろう。
「レールワームの丸焼き一丁上がりですわね、食べる気にはなりませんけど」
 小虎はそれを確認すると、弓とギターケースを片付け始める。始終ノリノリであった。
「ふいー、お疲れさん」
 エマヌエルが長い息を吐く。トーヤは弓を片付けながら、
「中々いい経験になったよ。普段と違うやり方もやってみるものだね」
「そっすね。弓道ってあんまその場から動かないんで、移動するのも手かぁって」
「一箇所に留まるのが良い時もあるし悪い時もある。状況次第だね。手の一つさ」
「お疲れ様。早く済んで良かった」
 枝の鳴る音と共に、アシュレーがドロレスを肩に掛けて木立の間から出てきた。何事もなかったかのように飄々としている。
「アシュレー様も」
 エリーヌが突き立てたオルタナを引っこ抜きながら微笑み掛けた。

「ところで」
 帰り道、エマヌエルは典に声を掛けた。
「お前が欲しい才能って、クラスだったらどれだったんだ?」
「どうやろなぁ」
 典はくすりと笑う。エマヌエルもそれ以上は聞かなかった。

 名も知らぬ花の、ひとひら。川に落ちて消えた。

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