オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【3C】GEUX~あるいは勝軍の幻想~

連動 【3C】GEUX~あるいは勝軍の幻想~ 九里原十三里

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
3C バトル 防衛 
参加人数
105~10人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2020/03/27 20:00
完成予定
2020/04/06 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-


「人間は過去の栄光の記憶に思いを馳せる事を好む。過ぎ去りし輝かしき日々に、そして手の届かぬ英雄の姿に」

 はい、おとうさま。
 にんげんはえいゆうをあがめます。

「そして、往々にして英雄とは美化されるものだ。人間が悪徳とするはずの欲に溺れる姿や蛮行は語り継がれども無視される。人間が見たいのは美しく輝くものだけなのだ」

 はい、にんげんはみにくいものをむしします。
 おとうさま、にんげんはうつくしいものがすきなのです。

「賢い我が息子、『ウィルヘルムス』よ海へ出よ。そして、過去の英雄の姿を演じて欲しい。お前は愛する父のいう事が聞けるよい子だね?」

 はい、おとうさまのおおせのままに。
 わたしのなまえはウィルヘルムス。
 ウィルヘルムスはえいゆうをえんじます。
 だから、きょうふにうちふるえている、このなさけないおとこはたべてしまってもよいのでしょう?


●過去の英雄と、生きている帆船
 フランス語のGEUXは「ゴイセン」、つまり16世紀にスペインによる圧政およびプロテスタントへの弾圧に反発したオランダの貴族、そしてカルバン派信徒の集団をさす。
 オランダ独立戦争当時、スペインから派遣された総督フェルナンド=アルバレス=デ=トレド――「血の評議会」で有名なアルバ公の恐怖政治により亡命して海上に逃れた者達は「ゼーゴイセン (海乞食) 」と名乗り、「海賊」と恐れられた。
 彼らはイギリスやオラニエ公ウィレム1世の援助を受け、スペインの貿易船の拿捕や海岸近くのカトリック教会の襲撃など、残虐の限りを尽くしたのである。
 
 エオニア王国の海上に現れたその帆船はまさしく、大航海時代の絵画から抜け出したような姿をしていた。
 朝霧の漂う中、帆船は静かにエオニア王国の島へと近づく。
 学術的に復元された船か? それともどこかの会社が企画した観光船か?
 いや――この海域が今そんな悠長な事ができるような平和な状態ではないことは誰もが知っている。

『木製でマストが3本……大航海時代の「ガレオン船」に似ていますね』
 通信越しに、弓長十斗(lz0084)の声が言った。
 エオニア本島の港で待機しながら、船の姿を見ているようだ。
『ですが、帆の動きが不自然です。風を受けているはずなのに全く膨らんでいないし、波も荒いはずなのに船体が全く揺れていない……まるで「自然現象を無視して」進んでいるようです』
 動力が電気や蒸気機関などの「見せかけの帆船」であるにせよ、あまりに異様だと十斗は言った。
 船にはありえない不自然な動きをする帆船――大航海時代からタイムスリップしてきたようなコレは「何」なのか。
 SALFは既に確信していた。
 これは人間ではなく、ナイトメアの船なのだ。

 この海域には、真珠貝を養殖するための木製の筏(いかだ)が設置されていた。
 丸太で木枠を四角に組み、方眼紙のマス目のように張り巡らされたその筏の間を通り、不審な帆船はエオニアの港へと近づこうとしている。
 ライセンサー達の船はその前方から回り込み、拡声器で帆船に向かって「止まれ!」と警告を発した。
 すると、帆船の中から現れたのは大きな丸い襞襟(ラフ)を付け、大航海時代の礼装をした姿の男だった。 

「そこをどいてくれたまえ。わたしはねーでるらんとのえいゆうウィルヘルムス。われわれはしんぐんしなければならない。わがおうとわがそこくにしょうりのえいこうをもたらすために」
 ライセンサー達の警告に対し、船の上の男は言った。
 島から望遠鏡越しにその姿を見ていた十斗も、船上の彼の姿に「まさか」と声を漏らしていた。
『この格好……一昨年に公開されたオランダの映画「GEUX」の主人公「ウィルヘルムス」にそっくりです。一体どうして……?』
 故国の勝利のために戦い、大勝をもたらした「英雄」でありながら、最後は勝利のために行った数々の残虐行為の代償を払う形で非業の死を遂げる「悪役」――映画の中でウィルヘルムスはそう描かれていた。
 船の男の姿はまるで映画の中から飛び出してきた「ウィルヘルムス」さながらに雄々しく、その声もまた、映画の中の英雄さながらに迫力ある響きを持っていた。
 だがその言葉はどこか芝居じみて、セリフを棒読みしているような――あるいは吹き込まれた言葉を一字一句違わずに再生しているかのように聞こえた。

「いざゆかん、われらがしょうりのために!」
 男がサーベルを抜き、構えると、帆船に設置された大砲が火を噴いた。
 砲弾は周囲の筏に命中し、丸太でできた木枠を破壊した。
 この真珠貝の養殖筏は、ナイトメアの襲撃で荒廃した国土を復活させる資金を得るため、エオニアの人々がその望みを託して設置したものだ。
 これ以上、あの「ウィルヘルムス」を名乗る男の好きにさせてはならない。
 ライセンサー達は船から養殖筏に飛び移り、そしてそれを足場に勇ましく帆船へと乗り込んでいった。

 船に乗り移ってすぐに、ライセンサー達は船内に設置された大砲が火薬や砲弾を装填することなしに、自動で砲撃をしていることに気づいた。
 帆船は大きく右に旋回をはじめ、船体の前方、そして左右に設置された大砲は一斉に砲撃を始めた。
 周囲にはライセンサー達が乗って来た船が何艘もある。
 船は邪魔なライセンサー達、そして周囲の船を振り払い、無理やりエオニア王国に乗り込もうというのだろう。

 まさか――この帆船自体も「巨大なナイトメア」なのか。
 ライセンサー達は、帆船の船首にある悪魔の像が動きだし、兵士を鼓舞するような歌を歌うのを聞いた。
 マストにはためく「旗」にも同じ悪魔の顔が描かれ、ケタケタと笑い続けている。
 車輪のような形をした舵(かじ)の操作部もまた、勝手に回っている。
 間違いなく、この船は生きているのである。

「わたしとたたかうきか! よかろう! かかってきたまえ!」
 ウィルヘルムスは二振りのサーベルを構え、威風堂々とライセンサー達の前に立ちはだかった。
 二刀流なのだろう。
 言葉は芝居じみているが、剣の腕は「本物」かもしれない――彼にはそんな雰囲気があった。

 船内には「ウィルヘルムス」の他に、何人もの中世の服装をした者たちがおり、ライセンサー達が大砲に近づくと、それぞれサーベルを抜いて抵抗を始めた。
 彼らはどうやら人間のようである。
 ウィルヘルムスの部下として乗り込んでいるのだろうか?

 かつてゼーゴイセン達が敵地に対して行った行為は、まさに筆舌に尽くしがたいほどの野蛮かつ残虐なものだったと伝えられている。、
 船上のウィルヘルムスを倒し、そしてこの船の進行を止めなければ、エオニア王国で再び当時の略奪さながらの光景が繰り広げられ、それがナイトメア側の勢力拡大に繋がってしまうかもしれない。
 悲劇は決して繰り返してはならない。
 エオニアの青い海の上で、ライセンサー達の戦いが始まった。

本シナリオの目標は以下のようになります。
事件の解決を目指し、動いてみてください(サブ目標の達成失敗で成功度が下がることはありません)

・メイン目標:「ナイトメア『ウィルヘルムス』の討伐」「帆船の機能の停止」
・サブ目標:「船員の捕縛」「『おとうさま』の情報を得る」

●ウィルヘルムス
・過去の映画にでオランダ人俳優が演じた「ウィルヘルムス」に似たナイトメアで、人の言葉は話していますがほぼ「棒読み」です。知能の発達程度など、完全なエルゴマンサーなのかどうなのかはちょっと怪しい雰囲気です。
・サーベル二振りを持って、二刀流で戦います。魔法的な特殊攻撃はしてきませんが、複数人を相手にできるような相応の剣術を身に着けており、スピード感のある剣を繰り出します。また負傷に強く、スタミナもあります。
・彼は「おとうさま」という存在を口にしていますが……?

●帆船
・船首に悪魔の像がついたガレオン船型のナイトメアです
・大砲が前方、左右の合わせて6つ存在し、本物の大砲と同程度の破壊力を持った攻撃をします(船に付属しており、大砲自体に独立した意思はありません)
・大砲や舵の操舵部など単体での破壊も可能ですが、「弱点」を見つけて壊すことができれば砲撃やエオニアへの進行を一発で止めることができます

●船員
・人間です。船体の破壊阻止に回ってきます。
・サーベルを持っており、全員で6人います
・一般人が相手にするには十分な脅威ですが、ライセンサーが苦戦するほど強くはないです(サーベルでえい、ってすれば切れるんだな、と思ってる程度の腕前)

●養殖筏(いかだ)
・丸太を組んでできた真珠貝養殖のための木枠で海に浮いています(カキやホタテの養殖に似た感じです)
・大砲が命中すれば壊れますが、ライセンサー達が筏を足場にする等の利用は可能なくらいの強度があります。

●NPC
 弓長十斗(lz0084)はライセンサーではないため戦闘には参加しません

復興の進むエオニア王国に新たなるナイトメアの脅威の足音が。
国土の再生と、元の生活が戻る日を信じるエオニア国民の命を皆さんの手で守りましょう。

  • 星々を結ぶ絆
    水樹 蒼la0097
    人間20才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情
これからエオニアは復興していく場所です!これ以上傷つけさせるわけにはいきません!

行動
帆船機能停止対応、前衛
味方と連携し船員の妨害をかいくぐり、大砲の破壊あるいは弱点破壊による帆船停止を試みる
ウィルヘルムス対応班が対応していてもこちらに来る可能性もあるため、その点は注意を払う

まず、自由に船を動かせなくするため操舵輪の破壊を狙う
船員の妨害があれば殺さないよう、可能なら避けたいが手足の骨折程度は許容範囲として手加減して戦闘。武器を奪い、拘束などして邪魔されないようにし、その後は船の弱点を捜索
ふいに船を動かされバランスを崩さぬように注意

候補として、悪魔の顔がある旗>船首の悪魔像の順番で怪しいと考察(悪魔像はあとから動き出したため)
旗は高い位置にあるため、ブラッディ―ゲイザーを使用して地上から攻撃し反応を確認しつつ撃破狙う
旗が弱点出なかった場合、船首の悪魔像を狙って攻撃
(操舵輪含め)悪魔像のような動かない近接攻撃可能な対象を攻撃する際は、 旋空連牙・技を使用して早期破壊を狙う

また、弱点破壊の人手が足りていたり、明確な弱点がわからず時間がかかりそうな場合は大砲の破壊も試みる

船舶停止後、船員を捕縛したまま連れ出して情報共有できるように
また、ウィルヘルムスが捕縛した船員を殺害しようとする可能性も考慮してその際は妨害を図る

★アド絡み可
過去の英雄を演じるのはいいけれど、色々とお粗末じゃないかしら…
そも、彼を演じるってことは行き着く先までなぞるってことかしら?

なんにせよ、エオニアの人の想いを繋ぐためにもやらせはしないわ。
彼を撃破して船を止め、船員を陸に戻しましょう。
あと、できれば「おとうさま」の情報も聞きたいわね。

と言っても、やることは帆船をどう止めるかよ。
ナイトメアである以上イコール壊すってことだけど。
船員はシオンさんと&望さんに任せて、まずは大砲ね。
真珠にとって一番の脅威だもの。
次に船の命…操舵部と旗、それから船首像。
味方と攻撃を重ねて壊すのよ。
どれも弱点じゃなかったら、”彼”のしたことを手掛かりに。
たしか”彼”は略奪とかしてたのよね…?
貨物庫とか、負の遺産そのものじゃないかしら。

ウィルヘルムスと戦う方々がちょっと危ないなら、微力ながら加勢するわ。
基本は剣を持つけど、遠距離とか回復が足りないならそっちね。
剣撃を飛ばせば、遠距離はできるでしょうし。
騎士として、英雄様と手合わせ願えるかしら?

船が沈没しそうなら、船員を抱えて下がりましょう。
溺れて死なせるなんてこと、させないんだから!

【心情】
物語の存在をナイトメアにすることで結果として貶める事になったと思い苛立ちと悲しさを覚えている
【行動】
ウィルヘルムス対応
方針:「おとうさま」の情報を聞きつつ攻撃
基本行動:ウィルヘルムス対応者の近接メンバーの間隙を補うようにスキル使用
移動は出来ればこまめに、スキル攻撃範囲に常に捉えるように
スキル:ディープフォース→紫閃→ロングフォース
の順使い切り移行
回復は生命5割以下の者が出た時、どの行動よりも優先して行う
使い切り後は敵より一マス開けての攻撃
被ターゲット時はカットするように防御行動

【声掛け】
指針:「おとうさま」の姿や形、焦点を絞るように、感情を逆立てるように聞く
(情報ロック)
「誰が、貴方に襲えと命じたの?
「『おとうさま』。ならお父様は、随分と、馬鹿よね
「人間は。英雄を愛するし、怪物だって愛して、崇めるよ。
だけど。だけど。
「それは物語だから。物語だから――人間は英雄に思いを馳せるの。
「だから。そんなことも理解していないあなたの「おとうさま」は馬鹿よ。
「どんな姿か、名前かも知らないけれど。きっと馬鹿馬鹿しい存在なのでしょうね

貴方も、そう言う風に産まれて、演じさせられるなんて。
「本当に。本当に……

目的:ウィルヘルムスと果し合い(白兵戦)
「ウィルヘルムス相手にとって不足無しです。いざ、尋常に勝負!」
・攻撃時ヘビィバッシュ
・防御時アイアンシールド
・被弾時勇猛なる行軍で攻撃+回復
・他の白兵担当と足並みを揃え、遠距離攻撃担当とも連携
・大砲の動きに注意し、そちらからの攻撃が激しい場合は遠距離攻撃を行っているPCに援護をお願いする。
情報収集
・ウィルヘルムスの言うお父様は実在するのかそれとも彼の妄想か?
「お父様とは誰ですか?ナイトメアに血の繋がりを持った者がいるとでも?」
・ウィルヘルムスの言葉に反論する
「人間は確かに醜い側面を持ちます。私は異世界でもそれを見て…私自身もそこに溺れかけた。だけど、私は決してそこから目を背けはしない…それに人間は英雄になどならずとも輝くことができます!」
船員対処
・妨害に来た場合、気絶させて縛り上げ、戦闘の邪魔にならない場所に運ぶ
「ウィルヘルムスはあなた達を食料としか考えていませんよ、考え直してください!」
・帆船破損時、船員に危険が及ぶ場合は帆船から運び出す
・船員たちがナイトメアの意志で従わされていたのか、それとも自らの意志なのかについて問いただす
・ウィルヘルムスの言うお父様について知っているか、ウィルヘルムス以外にリーダー的な存在がいたかを尋ねる

メイン装備:杖&盾
船員対応>帆船の破壊>ウィルヘルムス

■船員
必要以上に傷つけない、決して殺さない
シオンさんの背を護り、盾を使用し協力しながら味方の邪魔をさせないように妨害していく
『貴方たちは、彼の部下ですか…?何故この船に?』
サーベルを叩き落とし、抵抗する場合は気絶させるに留めてから捕縛しておき帆船破壊の補助へ
船を一定以上破壊し終えて、大砲の脅威が無くなったと判断したら沈む可能性も考慮し、筏を伝って無事な船へ移動させる

■帆船
杖に持ち替え、「物語の路標」で大砲を順に破壊し、筏の損傷を可能な限り防ぐ
ウィルヘルムス対応の様子も確認しながら、破壊の進行具合やタイミングは声かけしながら調整
弱点を発見したら共有して集中的に叩く

■補助
ウィルヘルムス対応から要請があった場合など
味方のシールド損傷が激しいときにはロングヒールで回復
戦闘サポートが必要であればフレイムロードで補佐

  • 胸に抱いた覚悟
    白神 凪la0559
    放浪者18才|スナイパー×ネメシスフォース

行動方針:船員及び船の停止班として参加。繊維の無力化と高速。船型ナイトメアの進行停止を目的として行動する。

行動内容:船の弱点の探索や砲台の撃破を目的として単独行動をとらないように注意しつつ船内を探索。

船員と遭遇すれば、体を直接狙わず足元や武器に弾丸を撃ち込みひるませたり、取り押さえて
無力化。ロープを持ち込むことができれば、手足を拘束するなど行動をとれないようにする。

また、船型ナイトメアの進行停止と無力化を狙い
船主の悪魔像や船の帆をスキルも併用して射撃攻撃で打ち抜き破壊する。
それでも停止しない場合は、船内に怪しい場所がないか確認しつつ、砲台を破壊して
無力化を行っていく。

【心情】
ハロー、ナイトメア・ウィルヘルムス。あたしはユリア・スメラギよ
あなたが英雄なら、あたしは悪の女騎士ってところかしら?

【目的】
ウィルヘルムスの撃破
「おとうさま」のことを聞く

【準備】
班:ウィルヘルムス
念の為縄や手錠申請

神恵の雨雫発動優先度目安
あたしは攻撃も行うから、回復スキル発動優先度は後になるかな。あたしが一番効率よく回復できる状況なら、あたしがやるわね

【同行者】
ウィルヘルムス班

【行動】
メイン剣、サブ盾&銃
向こう側が英雄を演じている為、悪の女騎士を演じ戦う
基本的に前衛で張り付き剣攻撃
剣の腕は本物みたいね…!

爪の宵闇斬で敵動き止め、剣クルエルラッシュを叩き込んだり、動けない隙に下がって回復したりする
黄薔薇の蔦、アートを描け!グレイスランド!
クリスマスローズの花弁舞う剣、猛毒を吐き散らせ!ヘレボルス・ニゲル!

話術3でウィルヘルムスから話聞き出し狙う。文室君の会話に合わせる
…人は、様々な矛盾を抱えながら生きてるわ。あなたの「おとうさま」だったら、人の矛盾を消した上で再構成し、演じさせることもできたはずだけど
なら…「おとうさま」はなぜ、あえて矛盾を残したと思う?あたしには、あなたの進化を促す為に見えたんだけどね

もし船員が来たら武器でサーベル折り、素手取り押さえ縄や手錠で捕縛
話術3で、どこから連れられたか情報聞き出し狙う

心情
「借り物の言葉で英雄を語るではない」
自らの意思から出た想いにこそ魂が宿る
心の籠らぬ存在など塵芥にも劣る
仮にも英雄を名乗るならば戦いの矜持を学んでおけ

目的
船員を捕縛し身の安全を守る
帆船を破壊し周囲の破壊を止める

行動
初手は帆船・船員対応
船員の様子を見て正気か確認する
船の進行先の構造物を把握して優先的に破壊する大砲に目星を付ける
戦況・周囲の構造を把握して情報を各自へ伝える
Lオーラで多くの船員を引き付ける場所へ全力移動で行く
船員の剣を海へ弾き飛ばす&縄で縛り無効化
捕縛した船員は安全を確保する
移動攻撃で効率良く攻撃を与える
船員>大砲>旗>竜骨の優先順位で攻撃する
味方が帆船の撃破し易いように立ち回る
周囲の損傷から効率良く回復する
基本的に盾を持ち戦闘を行う
大砲破壊が遅い時は銃で破壊する
戦闘後に怪我をした船員を治療して敵に協力した理由を聞く

台詞
「勝利を得るための準備もせず得られる程に甘くはないぞ」
「役割を演じさせられているだけの愚者ならば失せろ」
船員に対する警告
『迅速に大砲を無力化して周囲への破壊を止めねばな……』
「英雄を騙るには未熟すぎる。清濁を呑み込む度量ぐらい身に付けよ」
「役者は二流であったが喜劇として観れば十分な配役であろう」
「民の生活を破壊する者が英雄のはずがなかろう」

目的:
敵を倒し、船を破壊し、情報を聞き出す。
船の上で戦うとか気分はカリブの海賊だ!相手は海賊ではないけど!

準備:
・作戦
ナイトメア対応と船対応に別れて行動。
ナイトメア対応は相手が剣術メインであるため、
敵に対して複数方向から近接担当が交戦し、
抑えているところを遠隔担当が狙撃を行う事で着実に削っていく。
船対応は船内ないし船外から船の施設を攻撃。
特に弱点と思われる個所や砲台等を中心に破壊活動。
どちらの班も一般人については殺害ではなく無力化で対処。

・準備
海に投げ出される可能性を考慮し、ライフジャケットを用意。
また、各班連絡用に無線機を用意。

行動:
ナイトメア対応として行動。遠隔担当として行動。
基本的には遠隔スキルないし遠隔武器で削っていく。
船員が前衛に張り付きそうであれば、手加減した範囲攻撃で一気に無力化を図る。
また、前衛が苦しいようであれば前衛にスイッチして斬った張ったを受け持つ。
その際は注視スキルで注意を集めつつ状況に応じて勇猛なる進軍を使用する事で、
少しでも長く前衛の立て直しの時間稼ぎを行う。
無論問題が無ければそのまま討ち果たす。

  • 友情は我が力
    文室 優人la3778
    人間22才|グラップラー×スピリットウォーリア

ウィルヘルムス(以外『ウィル』)相手を担当

人間が邪魔になる場合、ヒノキソード用い、相手の斬撃に合わせ小手打ち
操られているならサーベルを叩き落とす威力に抑え、突き飛ばして突破し対応する仲間に任せる
自らの意思で従っているなら速度優先、手首を砕き無力化

「英雄の剣か…いざ勝負!」
ウィル戦は仲間との連携重視、別方向からの攻撃でニ刀の動きを制限、素早いなら序盤から明王練気で当ててみせて揺さぶる
体力が三割以上減っていたら、仲間の攻撃の隙など当てやすい好機に勇猛なる行進を放ち回復しておく
体力危機や近接役が多く手狭になるなら下がって龍振虎咆で対応

ウィルと会話
他の人の会話が終わってから聞き出し
「そのおとうさまに、英雄になれって言われたのか?」
英雄を望むことや人の醜さに対する想いが聞き出せたら
「…でもお前のその役英雄じゃないよな?」
「最後は悪役として処罰されたぞ。むしろそいつが英雄でも悪役でも、人の醜さをちゃんと見つめて描いた作品じゃないか」
歌姫の件の報告書は読んでる。こいつもそうなら…
「本当に知らないのか?お前が『喰った』中の知識にあるんじゃないのか、その物語の結末」
「普通に英雄が英雄で終わる話もあるのに、なんでそいつを演らせたんだ?そのおとうさまが何考えてるか…お前はどういうことだと思う?おとうさまってのはどういう考えなんだ?」


 帆船を守れ、と命じられているのだろう。
 船員たちはサーベルを構え、ライセンサー達の行く手を阻もうとするように動いた。
「俺はウィルヘルムスを止める! 船員たちの捕縛は頼む!」
 文室 優人(la3778)はそう声を上げると、行く手を阻まんとする者たちのサーベルを振り払いながら強引に船の奥へと押し進む。
 その勢いに船員たちが怯む様子を見せると、その隙に水樹 蒼(la0097)がデザイアアックスを手に船の操舵輪の方へと走った。
(ナイトメアでないならあまり傷つけたくはありませんし、まずは船が自由に動かせないようにするのが先ですね!)
 とはいえ、相手は自分達を殺す気で来ている。
 蒼にも、船員達が向かって来たらその時は多少の怪我くらいは仕方がないという思いはあった。
(ふうん……英雄・ウィルヘルムスねぇ? いいわ、そっちがその気なら……!)
 ユリア・スメラギ(la0717)は氷華の大剣を抜き、優人の後を追ってウィルヘルムスの元へ。
 ライセンサー達はウィルヘルムスに挑まんとする者、そして帆船そのものを止めようとする者に分かれて動いていた。
「貴方たちは、彼の部下ですか……? 何故この船に?」
 来栖・望(la0468)は機工・天磐盾を手に船員たちの前に立つ。
 すると彼らは「そんなの分かるだろう!」と声を上げた。
「あんたがライセンサーならな! こっちにはこっちの事情があるんだよ!」
「成程、悪党には悪党の事情があると抜かすか……」
 シオン・エルロード(la1531)は魔盾「フォスキーア」を手に前へ出た。
 そして盾を振りかざし、一番近くにいた船員の手にしていたサーベルを海へと叩き落して見せた。
「だが、勝利を得るための準備もせず、望むものが得られる程に甘くはない。役割を演じさせられているだけの愚者ならば失せろ」
 やる気か、と船員たちが気色ばむ。
 しかし彼らが動く前に、ツヴァイヘンダーを手にした雪室 チルル(la2769)が飛び出した。
「気分はカリブの海賊? あれ、ここ地中海だっけ? ま、とにかくそっちが戦る気なら、ありったけの夢を詰めこんでドーン! よ!」
 チルルが刃を振り抜くと同時に、船上には立て続けに爆発音が轟いた。
 パスチャライゼーションの氷爆発に巻き込まれた船員たちは悲鳴を上げ、甲板に倒れる。
「あなた達がなぜ彼に従い、この船に乗っていたのかは後で聞きます」
 コレット・アストレア(la0420)は倒れた船員に近づき、声をかけた。
 チルルは手加減したようだが、相手はその一撃で戦意を失うには十分なダメージを受けたようだった。
「ですがこれだけは先に言っておきましょう。ウィルヘルムスはあなた達を食料としか考えていません。考え直してください!」
「そういうことだ。痛い目に遭いたくねえならそこを退いてもらおうか」
 白神 凪(la0559)はそう言うと、銀の魔弾「セレブロ」を構え、まだ立っている船員達の足元に向けて銃弾を放った。
 硝煙の匂いと、銃弾の後から燻る煙を見つめ、船員たちは顔面を蒼白にした。
(例えるなら、あの船員たちは「エキストラ」……この帆船も、なんだか映画のセットみたい)
 クララ・グラディス(la0188)は白槍「コレオグラフ」をぎゅっと握りしめた。
(何者かがウィルヘルムスの物語の存在を、そのままナイトメアに貶めたんだわ)
 これを「造った」のは誰なのか――。
 ミラ・ケートス(la0103)はツヴァイヘンダーFEを振りかざし、大砲の根元に向けて突き立てた。
(この船の大砲は全部で6つ……船員たちはシオンさんや望さんに任せて大丈夫よね!)
 ギイン、という音が響き、火花が散った。
 砲身が支えの台から外れ、煙を砲口から噴きながら傍らに転がった。
(まずは1台。あと5台、まずは壊さないとね。真珠にとって、一番の脅威だもの)
 ミラがその硬い砲身を懸命に破壊しようとする間にも、他の大砲は砲撃を続けていた。
 そして、甲板の奥ではウィルヘルムスがライセンサー達を待ち構える。
「英雄の剣か……いざ勝負!」
 優人は剣を手にし、ウィルヘルムスに向けて斬りかかっていく。
 だがウィルヘルムスはそれを受け止めると、一方の剣で勇人の剣を押し返し、さらにそのままもう一方の剣で鋭く斬りつけた。
(動きが……早い!)
 ウィルヘルムスも優人を相手に様子を見たのだろう、その傷はあまり深くならなかった。
 だが1人で立ち合っても早々敵わない相手だと、優人はその一太刀ですぐに理解した。
「ハロー、ナイトメア・ウィルヘルムス。あたしはユリア・スメラギよ」
 ユリアは大鷲の爪翼を振りたて、優人とは別方向から斬り込んでいく。
「あなたが英雄なら、あたしは悪の女騎士ってところかしら?」
 相手の動きを止めることを狙い、ユリアは勇ましくウィルヘルムスに挑んでいった。
 だがウィルヘルムスはユリアの攻撃をいなすと、そのまま勢いよく此方へ踏み込んだ。
「ウィルヘルムスのものがたりには、おんなのこのきしはいないよ」
「……っ!」
 斬撃の威力に、ユリアが思わずよろめく。
 しかしそこを狙ってウィルヘルムスがさらに斬りかかろうとしたその時、コレットが別方向から飛び出し、その剣を阻んだ。
「ウィルヘルムス、相手にとって不足無しです。いざ、尋常に勝負!」
 ヘビィバッシュの威力を込めたブレイズソード「ビクトリア」がウィルヘルムスに向かって振りかざされる。
 ウィルヘルムスはそれを片方の剣で受け止めると、強引にコレットの間合いに踏み込んだ。
「ああっ……!」
 斬りつけられたコレットがよろめく。
 危ない――そう感じたクララはウィルヘルムスの次なる攻撃を阻むべく、ディープフォースの矢を放った。
「誰が、貴方にエオニアを襲えと命じたの?」
 不意を突かれたウィルヘルムスの動きが一瞬鈍るのを見たクララは、ウィルヘルムスに向かって声を上げた。
「『おとうさま』。ならお父様は、随分と、馬鹿よね」
 ウィルヘルムスの感情を逆立てるように。
 クララは声を上げる。
「人間は。英雄を愛するし、怪物だって愛して、崇めるよ」
 映画でも、演劇でも。
 だけど。だけど。
「それは物語だから。物語だから――人間は英雄に思いを馳せるの」
 ウィルヘルムスは理解しているだろうか。
 クララはウィルヘルムスに向かってさらに投げかける。
「だから。そんなことも理解していないあなたの『おとうさま』は馬鹿よ」
 この言葉でウィルヘルムスはどんな反応を示すだろうか。
「どんな姿か、名前かも知らないけれど。きっと馬鹿馬鹿しい存在なのでしょうね」
「私もあなたに聞きたいです。お父様とは誰ですか? ナイトメアに血の繋がりを持った者がいるとでも?」
 コレットがそう、クララの言葉に重ねる。
「人間は確かに醜い側面を持ちます。私は異世界でもそれを見て……私自身もそこに溺れかけた。だけど、私は決してそこから目を背けはしない……!」
 人間は英雄になどならずとも輝くことができる。
 コレットはそう叫ぶ。
 すると、ウィルヘルムスから返って来たのはこんな反応だった。
「わたしはあたまがよくないから、きみたちのいっていることはむずかしい」
 ウィルヘルムスはそう、ライセンサー達に向かって声を発した。
「だけど、おとうさまはわたしにいった。『賢い人間を食べれば賢くなれる、強い人間を食べれば強くなれる』って。だからきみたちをたべれば、わたしは……」
 ぺろり、と赤い舌が口元から覗く。
 そしてウィルヘルムスは床板を蹴ると、一気に跳躍し、クララとの間を詰めた。
「それから、これだけはわかった。きみはおとうさまのわるくちをいった。きみをいちばんにたべれば、おとうさまはきっとよろこんでくださるはずだ」
「!」
 襲い掛かってくる気配を察し、クララが身構える。
 しかしその前に、周囲のライセンサー達が動いた。
「させるか!」
 優人は明王練気の荒ぶる力を刃に込め、ウィルヘルムスの身体に叩き込む。
 さらにその反対側から放たれたユリアの黄色い蔓薔薇が、ウィルヘルムスの身体を絡めとった。
「黄薔薇の蔦、アートを描け! グレイスランド!」
「なっ……!」
 飛び出そうとしたウィルヘルムスの身体が甲板に縫い付けられ、動きを奪う。
 優人はその間に剣を構えなおし、ウィルヘルムスにこう問いかけた。
「おとうさまが、おまえに英雄になれって言ったのか?」
「そうだ」
 ウィルヘルムスは薔薇を引きちぎろうとしながらそう返事した。
「わたしにうつくしいものをえんじろといった。わたしはそれにしたがっている」
「……でもお前のその役、英雄じゃないよな?」
 それを理解しているのか、していないのか。
 優人はウィルヘルムスの表情を読む。
「最後は悪役として処罰されたぞ。むしろそいつが英雄でも悪役でも、人の醜さをちゃんと見つめて描いた作品じゃないか」
 ライセンサー達の前に「おとうさま」の命令を受けて現れたナイトメアはウィルヘルムスが初めてではない。
 ならば――。
「お前が『喰った』中の知識にあるんじゃないのか、その物語の結末が」
 ウィルヘルムスの「中」に。
 優人はそう問いかける。
「普通に英雄が英雄で終わる話じゃなくて、どうして『GEUX』を演らせたんだ? おとうさまが何考えてるか……お前はどういうことだと思う? おとうさまってのはどういう考えなんだ?」
「おとうさまはわたしのうみのおやだ」
 投げかけられた言葉の、分かるところだけに反応した。
 ウィルヘルムスはそんな様子で返事を返した。
「わたしはおとうさまのためにえいゆうをえんじる」
「……人は、様々な矛盾を抱えながら生きてるわ」
 ユリアがじっとウィルヘルムスを見つめる
「あなたの『おとうさま』だったら、人の矛盾を消した上で再構成し、演じさせることもできたはずだけど」
 本当に分かってないの?
 ウィルヘルムスを見つめ、ユリアも言葉を続けた。
「なら……『おとうさま』はなぜ、あえて矛盾を残したと思う? あたしには、あなたの進化を促す為に見えたんだけどね。人間を食べる以外で、あなたを成長させられる可能性を見ていたんじゃないの?」
「おとうさまはわたしにえおにあのしまにいるにんげんをさらってこいとのぞんだ。わたしのはじめてのしごとだ」
 決められた台本を読むように。
 ウィルヘルムスは言葉を発した。
「きみたちのいうむずかしいことはわたしにはわからない。でも、じゃまをするならころさなきゃいけない」
「……すくなくとも、その『おとうさま』が妄想の産物というわけではないようですが」
 コレットはウィルヘルムスの姿にその本質を見た気がした。
 ここにいるのは「おとうさま」の描いた台本通りに動く、空っぽで未完成の役者なのだ――と。
「……貴方は、そういう風に産まれて、演じさせられるだけの存在なのね」
 中身のない人形のようなウィルヘルムスの姿に、クララはそう声を漏らした。
「本当に。本当に……」
 悲しい「ひと」。
 目の前にいる男の姿は、クララの目にそう映った。


(少なくともこれで自由に舵は切れなくなるはず……!)
 回る操舵輪の軸に向けて、蒼は旋空連牙・技の威力を叩き込む。
 しかし、舵を根元から叩き折ってもまだ、砲口は火を噴き続けていた。
(これで2台目ですね。ここを壊せば、向こう側の筏への砲撃は止まるはず!)
 望の手にしたエスペランサがきらりと光り、「物語の路標」の燈火が大砲の砲身を照らす。
 砲台の支えが壊れ、砲筒がデッキの上に転がった。
「揺れるから気を付けて! 周りの船から持ってきたライフジャケット使って!」
 チルルは仲間にそう声を上げる。
 シオンは攻撃を受けて倒れた船員たちに応急処置を施すと、「立て」と促した。
「ろくな活躍もできずに終わるのは不本意であろうが、貴様らの出番はこれで終わりだ。まぁ、役者は二流であったが、喜劇として観れば十分な配役であろう」
 船員は観念した様子でシオンに従った。
 彼らはこの船に乗っていた理由について、単純に「金のためだった」と口にした。
「俺達は『おとうさま』から金を貰ってウィルヘルムスの世話を任された。おとうさまの『作品』たちは台本通りにしか動けないからな」
「言葉通り、生まれながらの『役者』って事か」
 凪は船のロープで縛り上げた船員を立たせ、周囲の船へと乗り込ませた。
 帆船を派手に破壊するのに巻き込まないためだった。
(この醜悪な劇にこれ以上付き合ってられねえが……壊しようによっちゃ、沈むだろうしな)
 銃を手にした凪は銃口を船首で歌う悪魔像に向け、その頭部を撃ち抜く。
 だがその歌声は止まったものの、船はまだ動いていた。
(これが弱点ってわけじゃねえのか……)
 凪の後ろではミラが3台目の大砲を破壊した。
 残りは半分。
 だがその時、ミラは船が少しずつエオニアの方へ進んでいるのに気づいた。
「蒼さん! 船が風に流されてるわ! 急いで止めないと!」
 ミラはマストのそばにいた蒼に向かって声を上げた。
 その声に、蒼も「急ぎましょう!」と返す。
「あの旗を落とします。あの笑う悪魔が、もしかしたら……!」
 蒼はデザイアアックスを手にすると、頭上にはためく悪魔の顔に狙いを定めた。
(エオニアはこれから復興していく場所です! これ以上傷つけさせるわけにはいきません!)
 放たれた「ブラッディゲイザー」の十字が真上にある旗を切り裂く。
 その時、周囲に響いていた大砲の音が止まった。
「船が……! 皆さん、残りの船員達を早く周りの船へ!」
 望は仲間に向かってそう声を上げた。
 帆船が大きく傾き、少しずつ海に沈み始めていた。
「あの旗がこの船の弱点だったというわけか。竜骨を破壊して沈めるまでもなかったな」
 シオンは残っていた船員を立たせ、周囲の船へと移動させる。
 それを見たミラも船員たちにライフジャケットを着せ、安全確保に加わった。
(前に色々あったし、シオンさんは苦手だったけど……お仕事の時はさすがね)
 ミラはそう、シオンを頼もしく思っていた。
(それはそれ、これはこれだし……なにより、多少まるくなったみたい。今のシオンさんには前ほど嫌悪感はないかもしれないわ)
 沈みゆく帆船。
 その中で、ウィルヘルムスはライセンサー達を相手に剣を振り続けていた。
 だが彼の物語はもうここで終わる――戦いはそんな様相を帯びていた。
(このままだと、俺達も危ないな……!)
 優人は傾く船の中で足場を確保しながら、ウィルヘルムスの間合いへと踏み入る。
 勇猛なる行軍。
 あと一息、というその高揚が優人のシールドを回復させた。
「クリスマスローズの花弁舞う剣よ、猛毒を吐き散らせ! ヘレボルス・ニゲル!」
 氷華の大剣を振りたて、ユリアがその反対側からウィルヘルムスに斬りつける。
 さらに、チルルがウィルヘルムスに立て直す余裕を与えぬよう、ツヴァイヘンダーGFを手に加勢する。
「そろそろ選手交代してもいいんじゃない? あたいに任せろー!」
 アイシクルピッチの氷の矢がウィルヘルムスへと襲い掛かる。
 立て続けの攻撃に遭い、ウィルヘルムスがバランスを崩す。
 そこへ、コレットがブレイズソード「ビクトリア」を振り下ろした。
(偽りの物語は、ナイトメアのウィルヘルムスは終わる……ここで)
 真っ赤な血が傾いた甲板を流れていく。
 だがウィルヘルムスは二振りのサーベルを手に、まだ抵抗する様子を見せた。
 その姿に、クララは改めて悲しさを覚えた。
(あなたをそんな風に……「おとうさま」は、やっぱり馬鹿よ)
 ディープフォースの矢がウィルヘルムスの身体を貫く。
 彼は最後まで「英雄」を演じようとする態度だった。
 しかしやがて、こんな言葉を残して息絶えた。
「ああ……いちどだけでも、おとうさまのいちばんになりたかったな……」


(貴方は、物語の結末を存じていたのでしょうか。もし知らずに……「英雄」の物語だけを刷り込まれていたのなら)
 望は沈みゆく船を悲しげに見つめ、目を伏せる。
 そして顔を上げると、戦いから戻って来た仲間にハイヒールを施した。
「心を持たぬ役者の末路か」
 英雄が何たるかも知らないままウィルヘルムは終わったのだ、とシオンが呟く。
 その向こうでは、ミラが捕縛された船員たちを治療しながら話を聞いていた。
「あの男の正体はよく分からない。だけど、『おとうさま』は人間じゃないな」
 1人の船員がそう話した。
 彼らは捕まった以上、できる限り正直に証言したほうが後の罪状が軽くなると算段しているようだった。
「男性型のエルゴマンサー……では、ウィルヘルムス以外のリーダー的な存在はその『おとうさま』だけですか?」
 コレットがそう聞くと、船員たちは普段はそうだが今回は例外だったと返事した。
 エオニアに来たのは「おとうさま」の気まぐれだったのだ、と。
「カイロの司令官エルゴマンサー『パラノマイ』に協力したと言っていた。それがウィルヘルムスを『試す』機会になるなら、自分にも利益があるって」
 船員たちは他にも「おとうさま」に命じられ、映画の「ウィルヘルムス」を演じた俳優を拉致した事を証言し、その死が明らかになった。
 こうして帆船によるエオニアへの襲撃は阻止された。
 そしてSALFでは引き続き、「おとうさま」に関連した事件発生への警戒が行われることとなった。

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