オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【甘薔】穏やかに刻む日々に

【甘薔】穏やかに刻む日々に 石田まきば

形態
ショート
難易度
普通
価格
1500(EX)
ジャンル
恋愛 防衛 日常 
参加人数
113~15人
予約人数
10010100
基本報酬
180000G
180SP
1800EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
3
締切
2020/02/18 08:00
完成予定
2020/03/09 08:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

 エオニア王国内にあるリゾート施設「ランテルナ」は、昨年末に正式営業を開始したばかり。
 モニターを依頼したり、意見を募集したりと立ち上げからライセンサーには縁のある場所でもある。
 正式営業を開始してからだって、ライセンサーとの縁がきれているわけでもなく……むしろ何かあれば進んで本部へと依頼を出すくらいには密接といえるかもしれない。

●コテージ

「わぁ……!」
 見上げる先に広がる純白の壁もドーム屋根の青も、陽射しを照り返し輝いている。
「折角のバレンタインデートだし、ここなら喜んでもらえると思って」
 予約しておいたんだ、と微笑んで告げる恋人に、ありがとうと微笑み返す女性。
「でも私、チョコレートくらいしか返せるものがないわ?」
 少し困ったように首を傾げる女性は、確かにいつもより大きめの鞄を下げている。きっとそこに彼女が恋人の為に選んだチョコレートが入っているのだろう。
「それって、お返しに何かをねだったら叶えてくれるってこと?」
「え……」
「なんてね。一緒に過ごしたくて僕が勝手に手配したんだよ、君が僕が期待した通りに喜んでくれて、出来れば僕と一緒に時間を過ごしてくれたら、それが一番だ」
 笑顔が欲しいな、と微笑みを深める恋人に、女性も満面の笑みを浮かべた。

●フロント

「ご案内は必要でしょうか?」
 コンシェルジュの微笑みに促され、是非と答えればよどみない、けれど耳に心地よい説明が紡がれていく。
 一年中薔薇の花が見られるローズガーデンは、常に甘やかな香りに、様々な彩りに溢れている。
「コテージからも花色を楽しむことは出来ますが、もしお時間がありましたら。今の季節に相応しい、チョコレートに似た香りをもたらす品種を探してみてはいかがでしょうか」
 色は他の薔薇とそう変わりなく、やや淡い紅色だそうだけれども。目を閉じれば薔薇のチョコを口にした時のようにその甘さを感じることができるとか。
 また、ガーデンを歩いた先、端の方へ行くとランテルナ遺跡の外観を楽しむことができるらしい。昔を思わせる石造りの建物につる薔薇が絡みついている様子は、絵画の一部を切り取ったかのような美しさだとか。
「入れない場所にはそれとなく目印がありますので、その点だけはご注意くださいませ」
 古いものなので、崩れやすい場所などには配慮がなされているとのこと。
「浅い場所になら入れるようになっています。別の世界に、もしくは過去の次代に。出かけたような感覚を楽しめるかもしれませんよ」
 コテージ内の寝室には天蓋付きのベッドがあるし、タイル張りの大きなお風呂は天窓があるおかげで昼は陽射し暖かく、夜も天候次第では星空がのぞめるとか。
「オイルマッサージやエオニア古式マッサージ、薔薇風呂のサービスもございますので、ご希望の場合はお申し付けくださいませ」
 そして、今いる管理棟。このフロントに辿り着くまでにもロビーが広く取られていて、待ち合わせにも使えるよう座り心地の良いチェアセットが配置されている。
 セントラルキッチンで作られた料理はコテージでも食べられるが、ここに併設されたレストランでも楽しむことができる。魚介中心の地中海料理はもちろん、ミーベルを使ったデザートもメニューに並んでいる。飲み物も豊富だ。
「売店もご自由にご覧になって下さいね」
 コンビニ程度の品揃えではあるが、最低限の必需品が揃うということでもある。遊びに来る際に荷物の心配が減る利点は大きい。今はまだ開発中だが、将来的にはランテルナ土産も並ぶらしい。
「今の時期はオフシーズンということもあり、私達スタッフ一同も穏やかに過ごさせていただいております。コテージには十分な空きがございますので、宿泊を希望される場合は改めてお声掛けくださいませ」
 それでは、穏やかな時間をお過ごしくださいませ……

*状況
ランテルナでバレンタイン当日を過ごしましょう

表向きは「ランテルナの警備依頼」という形での来訪なので報酬が出ます
王国はナイトメアが出る土地の為、
ライセンサーとして「いるだけで警備が強化される!」という扱いです
自由行動前提の為、報酬額は少ないです(かわりにサービスが受けられます)

警備も戦闘もプレイングにて準備必須ではありません
ライセンサーの皆さんは(大前提として)リプレイで描写されない部分で警戒等をしていたのです

*日時
2月14日

*場所
ランテルナ各施設
・コテージ
・管理棟(フロント、待ち合わせロビー、売店、セントラルキッチン、救護室など、一部は入れない場所がある)
・ローズガーデン(ランテルナ遺跡)

*恋愛事情の諸注意
告白したりされたりする思い出を正式な形に残したい方もお待ちしております
ですが、石田はあくまでも執筆担当です
お相手のプレイングにお返事が記載されていない場合はマスタリングにより有耶無耶になります

*ワーカホリックな方向けのナイトメア情報
精神型
背中にピンクの翼を生やしたバクの姿
ぬいぐるみ系ヴァルキュリアっぽくて可愛い
特に恋愛系の心の動きを食べたがるグルメな甘党
甘そうな感情とか強い想いでもふわふわ寄ってくるかも
とても弱いです
強いて呼称をつけるなら「シュカ」です
(プレイングで指定が無ければ出現しません)

*迷子防止にご協力ください
グループタグなども是非ご活用ください
特に関係や呼称が特殊な場合、プレイングか、文字数的に難しければ交友欄にてしっかり設定しておいていただけると、非常に助かります
出来ればピックアップもしていただけると助かります、人数が多いと見つけるまでに時間がかかるのです

*NPC
関連付けていますが、万が一何か疑問があった時のための対応用です

*白紙はリプレイに描写できません、ご注意ください
参加したらとりあえず『ランテルナを満喫する』とだけでも送信しておきましょう

こんにちは、それともこんばんは、石田まきばです。

バレンタイン当日仕様のフリーアタックです。
ランダムでの交流描写は予定しておりません。
参加者様ごとの個別描写対応となりますので、あらかじめご了承いただけますと幸いです。

スケジュール調整の都合で、リプレイの納期を延長しています、申し訳ありませんがご了承くださいませ。

それでは、よろしくお願いします。

同行
橘 六花la0083

心情
バレンタインくらいは、な。
仕事の名目ではあるが

行動;ローズガーデンを警護する
六花と一緒に行動
「薔薇な……」
背中にツヴァイヘンダーを背負って、警戒の意識は残しつつ周囲を見て回る
本数によっても、色によっても、花言葉が変わる大層な花だよな
しかし、コテージも併設とは……とんでもなくカップル施設だ
バレンタインデーにオフシーズンっつーのは、そういう施設なのに大丈夫なのかと疑問を抱かざるを得んが

暗くなるまで見て回った後、管理棟のセントラルキッチン・レストランに行く
日が落ちたらオフでいいだろうよ
席は選べるなら、多分あるだろう窓際のカウンター席に横に並んで座る
「聖ワレンティヌスが愛に生きて愛に死んだらしいな」
愛を止めろと言われても、愛を説いて、愛を持ち続け、その前日ですら愛を抱き、そして階段を上った。
料理を待つ間
こんな日に言うのもあれだろうが
「……俺も、この性分を変えることはおそらくできねぇ」
「それでも、俺はお前に999本の薔薇を贈りたいと思ってる。」

食事が終わったら帰るぞ
いつもの家に、な

  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

★心情
警備依頼なのにこんなにのんびりできるって、何だか得した気分だね。

★同行
ラック(la3613)
気心の知れた友人。呼び捨てタメ口

★服装
私服+最低限の武装

★行動
ローズガーデンを散策しながら、ラックとのんびり過ごします。
ここしばらく激しい戦いの連続で気を張っていたので、ちょっと気が抜けている雰囲気です。
楽しい時間なので笑顔多めで、普段は見せない外見相応の少年っぽい一面も見せます。

あまり目が見えないラックを気遣いながら、彼の話す薔薇の花言葉を興味深く聞いて、相槌を打ったりして。
「花言葉を沢山知ってるの、ちょっと意外かも」
薔薇の色を聞かれたら、心配そうにじっと目を見つめながら答えます。
「赤だけど……もしかして、見えてない?」
「他は見えるのに、赤だけなんだ。見えるようになると良いね……。」

一緒に心休まる時間を過ごしてから、最後に伝えます。
「これからも一緒に色んなところに行って、色んな物を見よう。
何か思い出せるかも知れないし、一緒に思い出も沢山作りたいしね」
記憶が無い、という不安は僕には理解し切れないところがありますが。それでも、何か彼の力になれたら良いなと思いつつ。

アドリブ歓迎

  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|ネメシスフォース×スナイパー

同行者:朏魄 司(la0008)
関係:夫婦


司と一緒に警護。
「頼りにしているわ、旦那様」
くすくす微笑みつつ仕事は丸投げで。
バラを眺めて楽しんでるわ。
もちろん自分も戦いになったら仕事はするけれど、今は必要ないかしら。
司がいれば何も問題ないわ。
あるのは絶対の信頼。
からかったりもするけれど、ね

ここに来る数日前には薔薇のお風呂で自分を磨いてきたから最近薔薇尽くしね。
司は気づいてくれるのかしら?

終わったらレストランに二人で。
席に着いたらまずはグラスを合わせましょうか。
「お疲れさま。乾杯」
ロマンチックな雰囲気だけれど目の前の人には無縁かしら。
まあ、それもいつものこと、だったんだけど・・・

珍しく語りだした彼の言葉に軽く目を見張りつつ聞いている。
999本・・・何度生まれ変わっても、ね・・・
「・・・もう・・・不意打ちはずるいわ」
嫌になるわ。
口上は私の得意分野と自負してたのに。
こんなとき、何も返せないなんて・・・頬が熱い、目を合わせられない。
自分の顔がどうなってるか、なんて考えたくもない。
「大好きよ、旦那様。ええ、どこにいても何があっても
私は貴方のモノだわ。」
はにかみながら伝えよう。

ーええー
私はもう、この人から離れられないのだから。


  • 88la0088
    人間33才|セイント×ネメシスフォース

連れ:紅迅 斬華(la2548)
関係性:友人
目的:慰労

「今日はおとなしく観光でもしておけ…行きたいところに行けばいい」

売店物色しているのを壁に寄りかかりつつ
「特に土産を買う相手もいないからな‥自分が買いたいのを買っていけばいいだろう」
肩をすくめつつ、楽しそうにしているのを後ろから眺めている

昼食後は手を引かれて遺跡散策についていく。なんというか、負傷者の付き添いみたいな感じだな、と思いつつ。
「綺麗かどうかに興味はないが、史跡自体は興味はあるな。少なくとも過去からここにいた証、というものでもあるし。何より、歴史から学べるものは色々とある」
隙を見て、横からアイスを一口奪う

夕食を2人で楽しみつつ
「…地中海といわれてもパエリアぐらいしか思いつかないんだが。いや、あれはスペインか。国としての知識はあるが、料理自体は全くわからんぞ。違いがあること自体を今知ったのだが」
食事=栄養補給という概念による意見の相違は溝が深かった

夜は一緒に外でお茶を。軽く星空を眺めつつ
「まあそれなりにいいお湯だったが…湯冷めはするなよ?傷に響くぞ」
念のため持ってきたジャケットを一枚肩にかけておき、部屋まで送る

帰りは手作りチョコを貰い
「…ああ、そうか。バレンタインだったな。今年も有り難くいただこう。礼をそのうちしないといかんな」

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

◆同行
桜壱さん

◆戦闘
桜壱さんに前に出て貰い
スキルを使いつつ後衛から攻撃、速やかに

◆部屋
練習用に電子ピアノを持ち込んでいる
はしゃぐ桜壱さんを微笑ましく見つつ
運指練習したりのんびりと過ごす

◆星を見る
特に何もせず一緒に星を眺める
「ランテルナの空は日本とはちょっと違うね」

桜壱さんの幸せを願っている。それが何なのかはわからないままに
ただ、幸せになるために必要そうなものを考えて
少しでも渡していけたら良いとだけ
(彼らは、あの2人の姿は)
(俺達の姿ではなかったか——?)
俺が選ぶこの未来の先で、桜壱さんは幸せになれるのか
それが今、何だか少しだけ怖い

「桜壱さんはすごく強くなったね。今日の戦闘も安定してた」
「…………あのさ。戦うのは、前よりは慣れた? 怖くなくなった?」
「俺はヴィランだから。なんていうか、多分。……同じにはならない方がいいよ」

「あ、そうか今日バレンタイン……!」
「チョコレートありがとうね。いただきます」

バレンタイン?恋人の日?お相手さま??そんなことはどうでもいいんだ。
俺ぁ誰にも何にも邪魔されない、穏やかなバカンスを楽しみに来たんだよ(切実(

ランテルナを心往くまで楽しむ。
先ずは宿泊の為コテージの確保と、ランテルナ古式マッサージの予約。
マッサージは夕方以降に。昼は遺跡を見に行きたい。

昼間はガーデンを抜けて遺跡群まで。美しい風景をスマホに収める。
前も来たことがあるけど、じっくり見れはしなかったからね。

一通り眺めて満足したらコテージに戻り、一休みしてから古式マッサージへ。
折角なので全身コースの一番いい奴をチョイス。
軽く動いた後のマッサージは最高だな…心身ともに癒される気分だ。
思えばこうして一人静かなバカンスを満喫するのも随分久しぶりだからね。少々感慨深いものがある。

その後はコテージで夕食を楽しみ、備え付けの風呂に入ってひと心地。
電子煙草を手に、のんびり夜空を眺めていよう。
‥‥また来れる時があればいいね。

  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|セイント×ゼルクナイト

どーん!ばーん!と一緒に先生la0108と戦闘
しっかりお仕事できた事に満足しつつお部屋へ!
天蓋付きベッドにはわわしつつダイブ
一頻りはしゃぎ終えたら、一緒に星と薔薇の海を見に行く
「先生先生!日本では見えない星座もありますよっ

「んふふ…(褒め言葉に嬉しそうに頬をむにむにとして
「(左目の桜がくるりと回り)…そうですね。鍛錬もして、経験も積みました
でもそれは、慣れではありません
学習したことです

「戦闘はいつも状況が違うので、怖いのはきっとずっと続きます
要救助者の有無、敵の数や能力の違い、人間の協力者への対応…
一つ一つ指折り数えつつ
「でも、怖いのはきっと続きます
この前も、Iは躊躇いました
状況的に敵の討伐を優先した方が良いと理解はできても、人を助ける行為を優先しない事を悩みました
これからもきっと、思い考えてしまうのです

少々弱気な発言に表情を覗き込み、ん!と膝上を占拠して
「せんせ、はい!バレンタインのチョコです!
と、ちょっとだけお高めのラズベリーチョコをあーんする
「美味しいです?

「…先生が望む答えではないかもしれませんが
Weは恐らく、同じにはきっとなりたくてもなれないのです
「大発見です、…とてもしょもっとします!
「でもI、先生の事大好きなので、同じでなくても一緒に居たいです
「たくさん見てきたお星様の中で、1番先生のきらきら星を見てたいです!

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

はちさんはちさん!ローズガーデンですって!きっと綺麗ですよ♪後で行きましょー!

目的
重体の療養を兼ねてゆっくりランテルナを楽しむ

同行
88 la0088

行動
「色々ありそうですね♪まずどこに行きましょう!(そわそわ)」
ナイトメアを刈りたくてうずうずするが重体なので我慢

売店でお土産の物色※帰りにスムーズにお土産を買う為!
「これも良さそうですねー!こっちもいいなぁ!はちさんは何か無いのです??」

昼食は軽めに※スペイン系地中海料理
「やはり遊びに来たら美味しい食事ですよね!食事!」

その後ローズガーデンへ
ミーベルアイスを食べつつ手を繋ぎ散策
「わぁ…。綺麗…。って言ってもはちさん興味なさそうですけどね(笑)というか遺跡と薔薇が一緒になっているのですね♪不思議な感じ!」

夕食はイタリア系地中海料理を楽しむ
「地中海料理も地域によってかなり違いますよね♪お姉さんはイタリア系が一番好き~♪はちさんはどう?」

食事後コテージでくつろぐ※別室
薔薇風呂を楽しみ、88を誘ってお茶しに行く
「お風呂凄くいい香りしませんでしたか?最高でした♪」

翌日土産を買い、帰りに手作りチョコを渡す
「少し遅くなったけど、いつもありがとう!これからもよろしくね♪」

「今日の目標は!恋人(仮)っぽく、デートすることやで!」

●同行者
ユウジ・ラクレット(la3983) 
恋人(仮)の関係、友達の延長線ぐらい
呼び方は「ユーくん」

●服装
霞んだピンク色のニットに黒のタイトスカート。可愛さを包み込むような茶色のチェックコート
●行動
・待ち合わせ
支度に時間がかかってしまい、ロビーには15分遅刻で到着。
「びゃー!遅刻してもうてかんにんなっ!!」
されど、今日の自分は可愛い。自信いっぱい!
だって恋人(仮)らしく、少女漫画みたいな甘酸っぱいドキドキをしてもらう為にうんとおめかししたのだから、可愛くないはずは無い。
「なあ、なあ。ユーくん。
今日はたっくさんドキドキさせてみせるさかい、うちから目を離したらあかんでっ。」
更にいえば自信満々の自分はもっと可愛いのだ!
・ローズガーデン
様々な薔薇を鑑賞しつつ、チョコの香りのする薔薇を見つけようと散策。
微かにチョコの香りがし「これかも!」と思ったら相手の手を引っ張って連れ回しちゃおーっと!
薔薇のジャムとかあるって聞いたけど、お土産にそういうのもあるんかいなっ。
そう言えば、薔薇の花言葉ってなんやったけ…?
・レストランでディナー
(一応)お嬢様なので食事のマナーはばっちり。慣れない手つきの相手にこそっとサポートし。ちょっとお姉さんぶってもいいかもしれない。だってうちはユーくんの先輩やしね!

  • 寡黙な翡翠
    LUCKla3613
    放浪者29才|グラップラー×ゼルクナイト

同行者
愁(la0034)
仲の良い友人。気も息も合う。名前呼び

「依頼とは名ばかりだ。解っていて来てるだろう、お前も」笑って

服装は私服
バイザー代わりに特殊な眼鏡。ディモルダクスのみ帯刀
依頼での疲れを友人と過ごして癒す。普段の機械っぽさはどこかへ行っている
笑顔と穏やかな表情が多い

愁と共にローズガーデンを散策
何故か知っている薔薇の色別の花言葉の話等しながらのんびり雑談
「興味があるか。…何故知っているのかは俺も知らん。多分どこかで読んだ」本で
「黄色い薔薇には『友情』という花言葉がある。…が、『嫉妬』という言葉もあるので、誰かに贈るなら気を付けると良い。有名だな」
「オレンジがあるな。これは『無邪気』。紫は…『誇り』『尊敬』だったか」
「もし黒薔薇を贈ってくる相手がいれば気をつけろ。『貴方はあくまで私のもの』『死ぬまで憎みます』など、恐ろしい花言葉が多いからな」

しかし赤い薔薇の前で困惑して立ち止まる
「…あぁ、いや……愁。…この薔薇は、何色だ?赤か?白か?」
聞かれれば一瞬口籠ってから見つめ返し、問う
普段のバイザーでない、日常用の特殊な眼鏡では赤色だけが認識不能
「赤……あぁ。赤色だけが、見えていない。抜けたように、白く見える。他の色は、判るんだが」
「技師をちょっと詰めるか。戦闘外なら別にいいかと放っておいたが…ちゃんとした物を作らせなければ、こういった時困るな…」ぼそ(

暫く二人でのんびりして、最後にこちらからも伝える
「お前と遊ぶのは、やはり楽しい。だからお前の行きたい所に、どこへでも誘ってくれ。俺も、俺の行きたい所にお前を誘うから」
「その思い出がもし俺の記憶の手掛かりになれば、僥倖と言う他ないな」

〇行動
・待ち合わせ
さて、お仕事お仕事。と言っても何かほぼ遊んでていいらしいけど……まあ、ちゃんと見回りくらいはしないとな
で、荷物置いて準備してロビーに集合って事だったけど、ひまり先輩まだかな?
(暫くして)……パイセン、何で遅れたんです? とりあえずにっこり笑ってお説教
媚びてもダメです。というか似合わないんで。そうそう、そうやって奇声あげてこその先輩ですよ

・ローズガーデン
はー、すっごい。辺り一面薔薇だらけ。まるで漫画の世界だな
確かチョコ味の薔薇があるんだっけ? あれ、匂いだけだっけ?
ところで、ひまりんセンパイ道分かってます? 行き止まりなんですけど。本当に大丈夫です?
目当ての薔薇が見つかっても見つからなくても、日が落ちる前には戻りましょう
ほら、パイセン。帰りますよ。ほら、手。どっか行かないように繋いでおくんで

・ディナー
一仕事終えてレストランで夕食
けど、俺こんな店初めてで、テーブルマナーとか分からないんだけど?
えっと、ナプキンって首んとこに突っ込むの? え、ナイフとフォーク沢山あるけどナニコレ?
ひまりちゃん先輩に教えて貰って、彼女が本当にお嬢様だったんだと再認識

●香りは呼び起こす

 周囲へ走らせる朏魄 司(la0008)の視線が、その眼光が緩められることはない。それは警備の為でもあるが、橘 六花(la0083)をいつでも守れるように、動けるようにという意図も含む。
 幼馴染で、相棒で、何より妻で。
「頼りにしているわ、旦那様」
 その唯一無二の存在に微笑まれれば、司が仕事に本腰を入れないわけがない。
(バレンタインくらいは、な)
 仕事が名目ではあるけれど、二人の時間をとる方が重要だ。

 ローズガーデンの警護についていく六花は、司の背を頼もし気に見ながら考える。
(最近薔薇尽くしね)
 数日前の自分磨きで薔薇のお風呂を利用したのだ。ほのかに香る薔薇の香りはもう消えてしまっていたけれど、こうして咲き誇る薔薇達の中を歩く今、また香りを纏った気分になって。
「薔薇な……」
 司の呟きが聞こえる。あの日、抱きしめてくれたときのことを思い出したのだろうか?
(だとしたら、嬉しいわね)
 今日だってきっと、自分の為にこの仕事を受けたのだろうから。
 もちろん六花も戦いは参加するつもりだけれど。早々ナイトメアに会うものでもないらしい。出ても司だけで片が付く可能性だってある。
 のんびりと薔薇を愛でる時間なんて、優雅に過ごすのが良さそうだ。

(本数によっても、色によっても、花言葉が変わる大層な花だよな)
 警戒は解かぬまま視線をめぐらせる。ついでに鼻をきかせてしまって、少し前に感じた六花の香りが脳裏を占める。
 仕事中に妻の事ばかり、というのはどうかと思うのに。気付けば周囲の警戒に重ねて、チョコレートの香りの薔薇を探している。六花を喜ばせるためだ。
(コテージも併設とは……)
 施設方針と、今がオフシーズンという事実に首を傾げた。新規の施設であることと、エオニアが復興途中の国であることで、将来に期待という所に落ち着いたけれど。

「日が落ちたらオフでいいだろうよ」
 ナイトメアには会わなかった、けれど討伐数が求められる仕事でもなく明確な時間の区切りも示されず。件の薔薇も見つけ出せて、充分に薔薇園を堪能した六花は司のその言葉に頷きレストランへと歩んでいく。
 さりげなくエスコートしてくれるその手に笑みがこぼれて。
「そうね……香りも十分に纏えたわ?」
 そう思わない? 顔を覗き込むように見上げれば、司の喉が鳴った。

 窓際のカウンター席からは見える夜景は仄かなものだ。屋内、つまりレストラン内の照明も落ち着いたもので、既に暗くなった屋外の、薔薇園の景色が淡く浮かび上がる程度。
 あえて六花に希望を確認せずに、カウンター席へとエスコートしていく。
 今の六花を直視する余裕がないからだ。エスコートする程度、手が触れる程度の距離だというのに、六花がそう口にしたからか、薔薇の香りが妙に気になるのだ。
 六花はこの仕事がデートを兼ねていることを理解しているから、デートという形で身支度を整えて来てくれていた。
 妻が、自分の為に着飾って。
 このバレンタインデーと呼ばれる日に、薔薇の香りを纏う。
(……直視できる気がしない)
 その後の自分を信用できない。
「聖ワレンティヌスが愛に生きて愛に死んだらしいな」
 料理を待つ間、退屈させないためにと用意しておいた話題を口にする。けれどそれもまた司の意思を揺らがせる。
(愛を止めろと言われても、愛を説いて、愛を持ち続け、その前日ですら愛を抱き、そして階段を上った……か)
 ただ耳を傾ける僅かな動きで、ふわり、薔薇が香る。隣合う席もまた、危険なことには変わりなかったと思い知る。
 ドリンクが届いて、中断された事に少し安堵を覚えてしまった。

 グラス二つが奏でる音は澄んでいる。
「お疲れ様、乾杯」
 ほんの少し身を寄せるだけで肩がぶつかるほどの近さ。予想していたよりもロマンチックな雰囲気に、司の気遣いを感じて、愛は更に深くなる。
 いつもならもっと、武骨だと言っても差し支えの無いこの人は、今日はどうして。問うべきか迷う六花に気付いたわけではないだろうけれど、司が再び唇を開く。
「……俺も、この性分を変えることはおそらくできねぇ」
 濡れた唇に、つい視線が向かってしまう。目を見張ってしまうことくらいは許してほしい。
 こんな日に言うのはどうかと思うが、なんて呟きは気にもならなかった。近い距離で、他の誰にも聞こえない、六花だけに紡がれる言葉は間違いなく愛が籠もっていると分かるから。
「それでも、俺はお前に999本の薔薇を贈りたいと思ってる」
 この人が花言葉を持ち出してくるなんて。
(……何度生まれ変わっても、ね……)
 息を飲む。いつもなら気の利いた言葉を返せていたはずだ。むしろ自分の得意分野の筈なのに。
 合わせられない視線に熱がこもっているのかもしれない。頬が熱い。見上げられない。私が貴方の前で今どんな顔をしているか、自覚なんてさせないで。
「……もう……不意打ちはずるいわ」
 ほんの少しいつもと違うだけだと思っていたのに、こんなサプライズに動揺する自分が恥ずかしい。けれど何も答えられないなんて、そんな自分は嫌だから。
「大好きよ、旦那様」
 吐息に熱がこもっていることを、自覚している。
「ええ、どこにいても何があっても」
 今は勿論、未来を願うわ。来世だって望みましょう。前世もきっと、そう在ったのだと思うから。
「私は貴方のモノだわ」
 いつもよりも、紡ぎ出すのはぎこちないかもしれないけれど。貴方ならきっと受け止めてくれるのでしょう?
(そうよ、私はもう、この人から離れられないのだから)

 頬を染める六花から香るのは薔薇よりも、チョコレートが強くなったような気さえする。一説には媚薬とも扱われていた、今は菓子としてその地位を獲得した、甘くて苦味を抱く香り。
 喉を鳴らしそうな己を理性で懸命に押し込める。コテージの貸し出しを頼まなくてよかったと、司は過去の自分を褒めて意識を逸らす。
 昔、まだ自分が今のように鍛えていない本の虫だったころの知識。それが妻のこの表情を引き出した。それは喜びであり、けれど同時に都合が悪い。
「食事が終わったら帰るぞ」
 まだ前菜も届いていないけれど、それはもう決定事項。
(いつもの家に、な)
 時間も、視線も、何も気にしない場所で、確かめ合う為に。


●迷いなく黄色

「こんなにのんびりできるって、何だか得した気分だね」
 LUCK(la3613)にそう告げれば、笑みが返される。
「依頼とは名ばかりだ。解っていて来てるだろう、お前も」
「そうなんだけどね」
 きっと同じように笑い返しているのだろうと瞳を見上げた霜月 愁(la0034)は、予想通りの自分の顔がレンズに映っていると気付いて、小さく吹きだした。
「面白いことを言ったか?」
 妙におかしい気分が勝って、涙が滲んだのを軽く拭う。
「いいや……そうだなあ、違和感があってね?」
「お互いにな」
 警備だけれど、場の雰囲気を損なわないための服装。そうやって選んだのは互いにラフな私服だ。最低限の武装だけれど、心もとない、なんて気持ちは起きなかった。

 薔薇園を歩きながら、隣を歩く愁の気配が緩むことを確認する。
 楽しそうに視線をめぐらせる様子を追いかけ、どんな表情をしているのかを気にかける。
「興味があるか」
 その一言で、愁の意識がLUCKに向いたのがわかる。警備と言う建前は忘れていないが、その警戒意識をほんの少し愁に向けるだけで感じとれる。
「例えばその黄色。『友情』と言う花言葉がある」
 何故か知っている。多分いつかどこかで、きっと本か何かで読んだのだろう。理由は今どうでもいい、その言葉を思い出したことに意味がある。
「だが『嫉妬』という言葉もあるので、誰かに贈るなら気を付けると良い。有名だな」
「例えば僕がラックに贈ったら、嫉妬だと思う?」
「いいや、思わないな」
「じゃあ大丈夫じゃないかな」
「そうだな」
 愁の視線が別の薔薇に向かっている。
「オレンジか。これは『無邪気』」
 まさに今の状況と同じだな、と思うが口にしない。
「この紫は?」
「『誇り』と『尊敬』だったか」
「……本当にすぐに出てくるね」
「なんだ、試していたのか?」
「そんなつもりはなかったけど。これだけポンポン出てくると、面白くなってきちゃって」
 のんびりするためにきたのに、つい? なんて素の言葉が続いている。
「あとね。ラックが花言葉を沢山知ってるの、ちょっと意外かも」
 秘密を打ち明けるみたいな響きだ。
「ちょっとだけだよ? 仕事中のラックを知っていると、つい」
 警備中ではあるのだが。建前だと、お互いに分かっているのでいちいち話題にはあがらない。
「……何故知っているのかは俺も知らん」
「そうかあ」
 ただの相槌。
「でも、素敵なことだよね」
「愁が言うなら、そうなんだろう」
「僕基準でいいんだ」
「そういうものだろう」
 まだ別の色はあるだろうか、と花言葉を思い出そうとする。気恥ずかしいという自覚はLUCKにはないけれど、話題を戻すタイミングだと思ったのだ。
「もし、だ。今後、黒薔薇を贈ってくる相手がいれば気をつけろ」
 見つけ出した情報を伝えて、愁が秘められた意図に気付かず絡めとられるなんて事態は望まないと、そう思ったからでもある。
「『貴方はあくまで私のもの』や『死ぬまで憎みます』など、恐ろしい花言葉が多いからな」
「わあ」
 一度立ち止まって、軽く身を震わせる愁。怯えさせただろうかと考えて、けれど必要なことだと考え直す。
「綺麗なだけじゃないって、花言葉でもわかるものなんだねえ」
 勉強になるなあ、なんて笑う気配に安堵する。

 立ち止まるLUCKを見上げる。眼鏡の向こうの瞳が射抜く薔薇を探しだそうと見つめれば。
「ラック?」
 それまでのやり取りが嘘だったかのように、困惑を見せる様子に心配が募る。
「……あぁ、いや……愁」
 ゆっくりと指さされたのは、一輪の薔薇。愁には何の変哲もないように見えるから。
「この薔薇は、何色だ? 赤か? 白か?」
 眼鏡越しに見つめ返してくる視線に、返答が遅れてしまった。
「赤だけど……」
 薔薇と言えばこの色、とばかりにポピュラーすぎて、LUCKの意図が読めなかった愁にゆっくりと理解が降りてくる。
「もしかして、見えてない?」
 私服にはいつものバイザーはあわないからと、眼鏡をかけている。不慣れがあるせいだろうか。
「赤……あぁ。赤色だけが、見えていない」
 どこか防戦としたような、感情を押し殺すような声音に感じる。
「白に見えるってこと?」
 先の言葉を思い出して問う愁に、確かめるように繰り返すLUCK。
「抜けたように、白く見える。他の色は、判るんだが」

 当たり前にあるはずの赤い花が無いと、気付くのに遅れたのはそれだけ今のこの時間が穏やかだったからだろうか。
 実際の花を示しながら花言葉を思い出し、愁の反応を待つ、そのやり取りに浸っていたからか。
「他は見えるのに、赤だけなんだ。見えるようになると良いね……」
 そんな心配そうな顔をさせたいわけではなかったのだが。
 知識を紐解く過程で、全く赤が見当たらないことに気付いた。そして妙に白が多いとも。
「技師をちょっと詰めるか。戦闘外なら別にいいかと放っておいたが……ちゃんとした物を作らせなければ」
 小さく、こういった時に困ると続ける。折角の時間に水を差された気分が抜けそうにない。

 夕焼けに染まる薔薇達を見ながら、この変化も今はわからないのかもしれないと、想像してみる。陽は落ちようとしていて、暗くなり始めていて。見えている世界の色はそのまま、陰る程度なのだろうか。
「ねえ、ラック?」
 隣を見上げれば、丁度ラックも愁を見つめようとしていた所だった。
「これからも一緒に色んなところに行って、色んな物を見よう」
 唐突に思うだろうか。けれど、思いついたその時に伝えておこうと思ったのだ。
「お前と遊ぶのは、やはり楽しい。だからお前の行きたい所に、どこへでも誘ってくれ。俺も、俺の行きたい所にお前を誘うから」
 目を細めて笑ってくれる。同じことを考えていたと分かって、愁も笑みを浮かべた。
「それにさ、何か思い出せるかも知れないし」
 愁が勝手にそう思っているだけかもしれないけど、どこか不安に感じていることを知っている。会話の節々で、記憶にないのに知っている、その事実に感情が追い付いていないような様子が時折見えるような気がする。
「一緒に思い出も沢山作りたいしね」
 記憶を作ればいい、とも思う。
「その思い出がもし俺の記憶の手掛かりになれば、僥倖と言う他ないな」
 また互いに笑いあった。


●この距離が普通

「はちさんはちさん! ローズガーデンですって! きっと綺麗ですよ♪」
 声だけを聞いている分には元気いっぱいだが88(la0088)は知っている。このはしゃぎ続けている紅迅 斬華(la2548)の状態は万全ではないということを。
「こら、はしゃぐな」
「だーいじょうぶですってばー!」
 ぐらり。
「言ってる傍から」
 振り返る斬華がよろけたところをすぐに支える。
「……」
「あ、あははー?」
 じとりと見れば、誤魔化し笑いが返ってくる。ひとまずは、と真直ぐ立たせなおして手を離す。
「今日はおとなしく観光でもしておけ……行きたいところに行けばいい」
 ただし油断はするな、と言い含める。
「ご迷惑をお掛けします?」
「そこは気を付けるとか、大人しくするとか台詞が出るもんだろう」
「せっかく来たんですから楽しまないといけないじゃないですか!」
「それは止めないが」
「急がないと時間も無くなってしまうじゃないですか!」
「だからどうしてそうなる!?」
「色々ありそうですね♪ まずどこに行きましょう!」
「……聞く気ゼロかよ」
 既に売店へと向かっているので追いかける。
「まあ、付き合うけどな」
 連れて来たのはこっちだしなと、軽く肩をすくめた。

 ナイトメアが出るなら刈りたいが、お目付け役の視線を掻い潜ることは難しいのでひたすら我慢の時なのだ。
(はちさんの視線が外れませんよ?)
 うずうずする身体をどうにか抑えつけて商品棚に視線を走らせる。壁に寄りかかったまま此方を眺めているだけの88の視線に隙はないのだろうか。
「これも良さそうですねー! こっちもいいなぁ!」
 とりあえずエオニア王国土産とポップにあるものを適当に手に取った。
「はちさんは何か無いのです??」
 さあ興味を別のところに!
「特に土産を買う相手もいないからな……自分が買いたいのを買っていけばいいだろう」
 全く釣れないのである。肩をすくめる仕草がむしろ恨めしい。
「そうですけど。あっアイスコーナーがありますね!」
 丁度食べたいと思ってたやつがあるんです、と駆けよっていく。
「おぃ、走るのは」
「すぐそこですから大丈夫ですよー」
「土産を買うんじゃなかったのか?」
「今買っても荷物になりますからね、帰りに時間をとらないための作戦ですよ!」

「わぁ……綺麗……」
 薔薇達を前に感激の声を上げている斬華なのだけれど。
「食べるか眺めるかどっちかにしたらどうだ」
 その口元は忙しくミーベルアイスを頬張っているのである。行儀が悪いと思いはするが、これがまた姿勢がいいものだから妙に突っ込めないのである。
 せめて立ち止まって食べればいいと思う88だが、昼食後から先導するように引かれる手を、押しとどめる為だけに引くのもなんだか躊躇われる。
 なにせ向きをかえるだけでふらつくことがあるくらいだ。今、アイス片手に進む斬華を引き寄せたとして……
(惨状しか浮かばないというのもな)
 お互い転ぶくらいならば想定の中ではマシな方だ。問題はアイスの行方である。落すなり吹っ飛ぶなりが起きたら目も当てられそうにない。
(それにしても、負傷者の付き添いみたいな感じだな)
 実際に斬華は負傷者である、行動がそう見えないだけで健康ではない筈である。万全の状態の身体能力が高すぎて、今は少し運動が苦手な程度の枠に収まっているだけである。
「はちさん興味なさそうだから、親切にも早めに進んでいるんじゃありませんか」
「いや、綺麗かどうかに興味はないが、史跡自体は興味はあるな」
 目を丸くする様子に失礼な、と視線で返す。
「少なくとも過去からここにいた証、というものでもあるし。何より、歴史から学べるものは色々とある」
「遺跡と薔薇が一緒になっているのでしたね♪ 不思議な感じです!」
 納得した様子を見せている斬華は今、アイスを持つ手元が疎かだ。
 はぐっ。
「って、はちさーん!?」
 そのアイスを一口齧り取る。口にしたものは返さんとばかりにしっかりと味わって、ニヤリと笑い返してやった。
「ふっ飛ばして無駄にするよりいいだろう」
「何の話ですか!?」

「まったく。はちさんは味音痴なのかと思ったじゃないですか」
 私のアイス返してください、とジト目を向ける斬華の対面で88もお茶のカップを傾けている。
「……地中海といわれてもパエリアぐらいしか思いつかないんだが。いや、あれはスペインか。国としての知識はあるが、料理自体は全くわからんぞ」
 思っていたよりも饒舌に語る様子はなんだか新鮮だ。
(まさか食事を栄養補給と捉えているなんて思っても居ませんでしたけどね!)
 昼食はスペイン系、夕食はイタリア系でメニューを別のものに決めた斬華に、どっちも変わらないと言った、その時の表情を思い出す。
「違いがあること自体を今日知ったのだが」
「仕方ないので今日はそれくらいで許してあげます。遊びに来たら美味しい食事、これは鉄板ですよ!」
 なお斬華はイタリア系が好きなので、豪華になるだろう夕食にそちらを選んだと言うしっかりした理由もあった。それを熱く語ったところ、呆れた視線も向けて来たのでそこでも温度差は深い溝を作っていた。
「……まあ、いいです。それじゃあお風呂はどうでした? 凄くいい香りしませんでしたか?」
 薔薇園では様々な香りに包まれたけれど、その中でも厳選して配合されたのだろう香りはすっと身体に染みこむようで。
「最高でした……♪」
 笑顔で空を見上げる。今は湯上りに火照った体を少しだけ冷やすためのお茶の時間だ。コテージのデッキでのんびりとした時間を過ごす今、星空が二人を見下ろしている。
「まあそれなりにいいお湯だったが……湯冷めはするなよ?」
 傷に響くぞと言いながらジャケットをかけて別室まで送ってくれる。心配性だと思うけれど、これはこれで悪くない。女性扱いと言うのがくすぐったくもあるけれど。

「ほんの一口分の代価が、新しいアイス一個とは」
「勝手に食べたはちさんが悪いんですよ?」
 土産の会計を済ませて帰路につく前。ミーベルアイスを差し出してくる88の手に、斬華は手作りチョコの包みを乗せた。
「少し遅くなったけど、いつもありがとう! これからもよろしくね♪」
「……ああ、そうか。バレンタインだったな。今年も有り難くいただこう」


●隣あえる今を望む

 あの見た目ばかり可愛らしいナイトメアは。何を目印にやってきたのだろうか。
 桜壱(la0205)の背中越しに見たシュカは皆、化野 鳥太郎(la0108)の紡ぐ歌声に誘われるようにゆっくりと目を閉じていった。
 鯨の背に揺られて、歌声に微睡むように。

「すごいです、ふっかふかで沈みます! ふっわふわで飛べちゃいそうです!」
 スプリングをきかせたマットの上でぽよぽよと揺られながら、楽しくてたまらないとばかりに声が続いている。
「桜壱さん、休むならもう着替えようか?」
 微笑まし気に見つめている鳥太郎の身体は、ゆったりと腰かけられるソファーに半ば沈んでいる。その手は、指は、無意識に運指練習をしているし、即興のメロディが浮かぶこともある。常とは違う場所、というだけで何かが刺激される気さえする。テーブルの上にちょっとしたメモ帳を見つけて、手を伸ばした。
「はっ!」
 いそいそと体勢を整える桜壱に振り向いて、穏やかに微笑むことで安心してもらおうと、告げる。
「大丈夫、急かすつもりはなかったんだよ」
 ただ着替えた方がリラックスできるだろうと思っただけだ。
「先生は、いつも通り……です?」
 会話しながらも手を止めることのない様子に首を傾げる桜壱に、気にかけてしまったかなとまた笑って。
「そう見える? なら、来てよかった」
 いつもと同じ行動をしようと、頭の片隅で考えている。その自覚は表に出さないようにして、電子ピアノの鍵盤に指を走らせた。

「もういいの?」
 鳥太郎が一通りの練習メニューをこなしたのを確認してから、袖を引いて誘い出す。
「もういい、ではありません。これからです!」
「……これから?」
「しっかりお仕事できたご褒美ですよ!」
 だから行きましょうと、改めて腕を引く。
 警備で訪れた薔薇園は、戦いの合間にゆっくり楽しめなかった。良い香りだと、これまでに記憶した情報を元に、近いものを感知して……きっと、鳥太郎にとっても安らげる何かがある筈だと思ったから。
 空に広がる星の海を。地上に広がる薔薇の海を。ふたつの海に挟まれた世界で、大好きな人と過ごす時間は、きっと。
「先生先生! 日本では見えない星座もありますよっ!」
 覚えた星を一つずつ見つけ出す、ただそれだけで楽しい。
「ランテルナの空は日本とはちょっと違うね」
 引かれるままについてきてくれた鳥太郎の浮かべる笑みに、どうして儚いと、そんな言葉を思い浮かべてしまうのだろう。

 穏やかな時間を迎える度に、考えることがある。
(桜壱さんの幸せを願っている)
 具体的な形は見えないまま。ただ、幸せと呼べそうなものを、幸せに近づけそうだと思ったものを、必要ものだと捉えて。少しずつでも渡して、桜壱の中に幸せの欠片として積み重ねていってもらえればと思っている。
(彼らは、あの2人の姿は)
 思い出すのは、似ていると思っていた、けれど、鳥太郎の願うような形を迎えなかった、ある2人の紡いだ物語であり、その結末。
(俺達の姿ではなかったか……?)
 漠然としたまま、今まで通りに歩いていってもいいのか。
(俺が選ぶこの未来の先で、桜壱さんは幸せになれるのか)
 つかみどころがないのは前からで、当たり前で、けれどそれが今、何だか少しだけ……怖い。
「桜壱さんは、すごく強くなったね」
 今日の戦闘も安定していた。迷いは見えなかった。その背を見ながら、眩しいと思った。
「んふふ……」
 両の掌を頬に当ててむにむにと、嬉しい時に、照れた時の仕草が返ってくる。
「……あのさ」
 今、これを聞くのはずるい大人のやることだけれど。
「戦うのは、前よりは慣れた? 怖くなくなった?」
 瞬きのかわりに、液晶の中の桜がくるりと回る。
「……そうですね。鍛錬もして、経験も積みました」
 それは近くで見ていたから、知っている。だから鳥太郎は頷く。
「でもそれは、慣れではありません。学習したことです」
 望むIになるために選んだことですよと、続いて。
「先生も、教えてくれたじゃないですか?」

「俺はヴィランだから。なんていうか、多分。……同じにはならない方がいいよ」
 反面教師にしろということだろうか。他でもない、Iの大好きな先生が、そう言うのか。
 でも先生の言葉はきっと正しくて、Iはそれを聞かなければいけなくて、それから、それで……
「……戦闘は。いつも状況が違うので、怖いのはきっとずっと続きます」
 桜壱の思考が戻ったのは、問いに、持ちうる全ての答えを返していないと思い出したから。
 指を折りながら数える。要救助者の有無、敵の数や能力の違い、人間の協力者、それら変化していく情報を前にした臨機応変な対応……
「でも、怖いのはきっと続きます」
 繰り返すことで、桜壱自身の中で答としての居場所を作り出す。
「この前も、Iは躊躇いました」
 理解が出来ていても。被害を増やす可能性のある敵を放って、人を助ける行為を優先しない事に、その葛藤に溺れて。
「これからもきっと、思い考えてしまうのです」
 答えはひとつではない、という答えに辿り着くまで、まだもう少し、足りない。

 もう自分は、先生なんて要らない程じゃないかと思う。少し伏せた視線を、桜壱が覗き込み、見上げてきている。
「せんせ」
 膝の上に慣れた重みが、声が届けられて。
「はい! バレンタインのチョコです!」
「あ、そうか今日バレンタイン……!」
 忘れていた、と呟く間に包装が解かれて、一粒、ラズベリーチョコが差し出されている。
「ありがとうね。……いただきます」
 あーん、と。甘さと酸味と、淡い苦味が広がっていく。
「美味しいです?」
 まだ口の中で楽しんでいる間に、桜壱は続けることにする。
「先生が望む答えではないかもしれませんが」
 Weは、これだけ一緒に居ても。Iが、どれほど同じになりたいと願っても。
「恐らく、なれないのです」
 頭上に手が乗せられる。
「大発見です……とても、しょもっとします!」
 ふれあいの喜びと、発見へ喜びと、事実への悲しみが混ざりあっているけれど。
「でもI、先生の事大好きなので、同じでなくても一緒に居たいです」
 今までだってそうだった。これからも変わらない。
「たくさん見てきたお星様の中で、1番。先生のきらきら星を見てたいです!」


●贅沢探訪ひとりゆえ

 薔薇はあくまでも背景の一部で、遺跡に繋がるその道の方がメインだ。現代に生きる者の目を楽しませる為に植えられた薔薇の並びから、徐々にかつての姿を思わせる古きものへ、自然と人の手の混じり合うような雰囲気へと変わっていく。
(前も来たことがあるけど、じっくり見れはしなかったからね)
 スマホのカメラレンズ越しに眺めて、時に自身の目で眺めて。ケヴィン(la0192)は何とはなしに考える。警備の名目だ何てこと忘れてしまっても問題ないと思えるほど、この地は平穏に見える。
「休めて給料も出る、いいんじゃない?」
 しかも、泊まりこみで警備に携わるなら宿泊費もサービス料もタダ! コテージもマッサージも確保するとしたものだろう。
(そのうち混むのかねぇ……)
 確かにデート向きの場所だろうと判断は出来る。そんな客層を狙おうとしている様子も伺える。思い浮かんだだけで、長く考える気はないのだが。
(どうでもいいね)
 今、ケヴィンは一人の時間を、バカンスを楽しめている。それだけでいいじゃないか?
 この空気の綺麗な世界を楽しむ日に決めたのだ、他の煩わしい全ては忘れるに限るというものだ。

 軽い散策を終えてコテージへと戻る。4人まで快適に過ごせる一戸を一人で独占というのは中々に愉快な気分になれる。どこに何があるかの確認を兼ねて部屋を全て周り、ここが今日の寝床だと覚えてからの一休みだ。疲れたというわけではないが、絶対に誰の目にも触れない時間、人目を完全に遮断した空間に安堵を覚える。
 すぐに夕方だ、頼んでいた古式マッサージは折角だからと全身コースだ。
「軽く汗を流しておくか」
 そう言えば案内で聞いたなと思い出す。水分の所在も確認したケヴィンは、浴室へと向かっていった。

 程よい疲れと緊張を得た全身が少しずつ解されていく。
「……ぅぁ……」
 特に肩と首まわりの開放感。義手との付き合いは長く、ケヴィン自身慣れているという自負はあった。しかし実際に解されてみれば予想以上で、痛みを超えて快感に近い。気を抜けば瞬時に睡魔に取りこまれそうだ。
 どうにかストレッチまで終えたが眠気が引いていかない。幸いにも仕上げの足つぼで激痛に出会い意識ははっきりと戻って来た。
「ぐ、でも効いてる実感がすごい」

 シャワーだろうが風呂だろうが独り占めで使い放題だ。マッサージ後も軽く汗を流すにとどめていたけれど、夕食を終えた今ならもう何の予定も入っていない。
「好き勝手、さいこー……」
 天窓の向こうに見える星空を眺めて、電子煙草を一吸い。心身を休めるための時間も、ちょっとした興味を満たすための時間も、全て気が済むまで堪能したのだから何かに追われる必要もなく。
 一応、翌日も軽くこの地で過ごすつもりではあるけれど。きっと今日よりも軽い気持ちで過ごせるだろう。
 夕食は勿論美味しかった。マッサージで解れて温まった体に冷えたジュースも良く沁み渡った。今また広い風呂に身を沈めて温めて……己の体温変化を楽しむ。
「……また来れる時があればいいね」
 零れる吐息に混じる言葉。その時はいつ、どんな風に。


●ドキドキは迷子

「さて、お仕事お仕事」
 ロビーの椅子に座り気合を入れてみるが、全くそんな気分にならないユウジ・ラクレット(la3983)である。
(ほぼ遊んでていいらしいからなあ)
 警備の仕事が名目にしか思えないのだ。
(まあ、ちゃんと見回りくらいはしないとな)
 既に荷物も預けてあるので、あとは施設を回るだけといった状態なのだけれど。
「ひまり先輩まだかな?」
 待ち合わせ相手が来ないのである。時刻を確認すれば、約束より15分経ってしまっていた。
「遅刻してもうてかんにんなっ!!」
 声に顔をあげれば、早歩きに見えなくもない速度で歩いてくる桜小路 ひまり(la3290)が見えた。

 黒のタイトスカートは走るのに向かない。霞んだピンクのニットは甘すぎず女性らしさを演出して、茶色のチェックコートがキュッと包んで纏めてくれるから。
(今日の自分は可愛い!)
 考え抜いたコーディネイトとヘアメイクの完成度を損なわないように気を付けて進みユウジの前に辿り着けば、立ちあがってて迎えてくれる。じっと見つめてくれる様子に気分が躍る。これは上目遣いのチャンスでは?
「……パイセン、何で遅れたんです?」
 にっこり笑顔に嬉しくなったところで、落ちてきたのはお説教の声音。
「なあ、なあ。ユーくん」
 しかし今日はデートなのである。恋人に(仮)が付く期間限定の関係だけれど、甘酸っぱいときめきを感じてもらおうと準備したのだ。支度に時間がかかったことで遅刻になったわけだけれど……最初からムード行方不明なんてそんな事、避けたいに決まっている。
「今日はたっくさんドキドキさせてみせるさかい、うちから目を離したらあかんでっ」
 自信満々に言い切って、じっと見つめる。ジト目にも負けない。今日の自分はいつも以上に可愛いのだから!
「媚びてもダメです」
「びゃー!?」
「というか似合わないんで」
「なんやてー!?」
「遅刻するからですね」
「う、うぅぅー」
「そうそう、そうやって奇声あげてこその先輩ですよ」

 意識しなくても、甘い香りが鼻腔を擽ってくる。
「はー、すっごい。辺り一面薔薇だらけ。まるで漫画の世界だな」
 チョコの香りを探そうと、きょろきょろと動き回らないように気を付けているのだけれど。
「確かチョコ味の薔薇があるんだっけ?」
 ユウジの声を聞いているとなんだか面白おかしくて、ついくすりと笑ってしまう。
「あれ、匂いだけだっけ?」
「ユーくん、説明もう忘れちゃったんかいなっ」
 えへん、と胸を張って教えてみる。少し淡い紅は、濃い桃色とも取れるかもしれないと、少しだけひまりの予想も添えて。
(今日の服にきっと合いそうな薔薇やないかな)
 チョコの香りというだけでも随分と気を惹かれたのだけれど、俄然見つけ出す意欲が沸くというものだ。
「ところで、ひまりんセンパイ道分かってます?」
「?」
 微かな香りを捉えた、その直感を信じてユウジの手を引いていた。目を伏せがちに、視覚を制限して嗅覚を研ぎ澄ませようとしていたのだけれど。
「行き止まりなんですけど。本当に大丈夫です?」
「えぇーっ!?」
 確かに、あと数歩。蔓薔薇の絡みついたオブジェにぶつかりそうになっていた。
「……まったく。見つかっても見つからなくても、日が落ちる前には戻りましょう」
 つられて空を仰げば、少しずつ紅色に染まっている。来た道を戻る時間を考えたら、今が引き返し時だろう。
「ほら、パイセン。帰りますよ」
 さっきまではひまりが引いていた手を、今度はユウジが引いていく。
「なあ、ユーくん」
「……?」
「薔薇のジャムとかあるって聞いたけど、お土産にそういうのもあるんかいなっ」
「早く戻れたら、売店を見るとか」
「そうやなっ、なら早く行こか!」
 夕焼けに照らされた赤い薔薇がいくつか、淡い紅に見えるようになった中を戻っていく。
(そう言えば、薔薇の花言葉ってなんやったけ……?)

(俺こんな店初めてで、テーブルマナーとか分からないんだけど?)
 そう考えるユウジは困惑を表情に出さないようにして、自分がこうなのだからひまりは大丈夫だろうかと視線を向ける。
 エスコートという言葉は知っている。それに男としては格好悪い姿を堂々と晒したくないという理性も働いている。
(えっと、ナプキンって首んとこに突っ込む……あ、違う?)
 手に取ったナプキンをどうすべきか、そのまま固まっていたユウジに、ひまりが目だけで微笑んで。視線を自分の手元に移していく様子につられるように追いかける。折ったナプキンは膝の上だと、ゆっくりとした動作で教えてくれる。
(ナイフとフォークも沢山あるけどナニコレ?)
 ホールスタッフが並べていくカトラリーは、少しずつ違うだけでその使い道に差があるなんて思えない。こればかりは料理が来るまで分からないな、と眉が下がる。
 口にして聞くのはどこか恥ずかしい、と思っているユウジのそのプライドはひまりに伝わってしまっているのだろう。
(ひまりちゃん先輩の笑顔が……)
 微笑みは微笑みなのだけれど、どこか胸を張っている時のそれに近い。褒めてと言わんばかりの、きっと尻尾があったら勢いよく振っているだろうその様子。
「だって、うちはユーくんの先輩やしね!」
 張りのある声は、小さくてもユウジの耳によく響く。
「……助かってます」
 少しだけ悔しい気分なのは、いつもの様子と違う仕草のせいだと思う。いつも自然体で、ユウジにあわせて振舞っているようには感じないというのに。
 料理が運ばれてくる度に、ちらりとひまりの手元を伺う。真似をすればいいと許可を貰っているのだ、それに向かい合って座っているのだからじっくりと見ることができる。
 左右の差くらいはなんてこともない。
(なるほど、外側から使っていくのか)
 それを理解したころには、メイン料理のタイミング。ユウジの指がソースで汚れても、実際には汚れていないのにさりげなく口元を拭うふりをして見本を見せてくれるくれるひまりから、気遣いを感じる。
(本当に、お嬢様だったんだなあ)
 門外漢だという自覚の有るユウジでもわかる。洗練されている所作、というのはこういうものなのだろう。
「今なんか、失礼なこと考え」
「ひまり先輩の気のせいじゃないですか?」
 勿論、口にすることはないけれど。

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MVP一覧

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重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧


  • 朏魄 司la0008
    人間19才|
    ゼルクナイト×グラップラー
  • 未来をその瞳に
    霜月 愁la0034
    人間16才|
    ゼルクナイト×ネメシスフォース
  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|
    ネメシスフォース×スナイパー

  • 88la0088
    人間33才|
    セイント×ネメシスフォース
  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|
    ネメシスフォース×スピリットウォーリア
  • 金の炯眼
    ケヴィンla0192
    放浪者37才|
    セイント×スナイパー
  • 人を助けるヴァルキュリア
    桜壱la0205
    ヴァルキュリア10才|
    セイント×ゼルクナイト
  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|
    セイント×ネメシスフォース
  • 春を招く唄
    桜小路 ひまりla3290
    人間17才|
    スピリットウォーリア×グラップラー
  • 寡黙な翡翠
    LUCKla3613
    放浪者29才|
    グラップラー×ゼルクナイト
  • 愛の唄に花を
    ユウジ・ラクレットla3983
    放浪者17才|
    ゼルクナイト×セイント

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