オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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【甘薔】青い海と王国の未来へ 九里原十三里

形態
イベント
難易度
普通
価格
1000(EX)
ジャンル
冒険 恋愛 日常 
参加人数
81~25人
予約人数
10010100
基本報酬
100000G
100SP
1000EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
3
締切
2020/02/19 20:00
完成予定
2020/02/29 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●リゾートで過ごすのも楽しいけれど……
 バレンタインの余韻が残るその日、ライセンサー達は朝のエオニア王国「ランテルナ」にいた。
 lanterna(ランテルナ)――ラテン語で「手提げランプ」の意味を持つこのリゾート施設の設立には、オープン前からライセンサー達も関わってきた。
 その仕事は主に「モニター」として施設やサービスを体験し、いろいろな提案をしていく事である。

「おはようございます、ライセンサーの皆様。昨夜はよく眠れましたか? それではバスの方へお乗りください。港へと出発します」
 ランテルナの総責任者オルハ・バートンがライセンサー達に声をかける。
 マイクロバスに乗り込み、ライセンサー達がやって来たのはランテルナから少し離れたエオニアの港だった。
 そこに停泊していたのは船体に「lanterna」の文字と施設の意匠が描かれた小型のクルーズ船だった。

「こちらは、今後ランテルナが運行する予定のリゾート専用船になります。本日は皆様にこちらにご乗船いただき、ランテルナの『モニタークルーズ』にご参加いただきたいと思います」
 オルハに案内されライセンサー達が船内に入ると、中はまるで高級ホテルのパーティールームのような内装になっていた。
 3階建ての船内にはゆったり座れるソファーの船室の他、50人もの人々がパーティーやダンスを楽しめる大きなフロアと、食事を提供するためのキッチン、カクテルを楽しめる小さなバーが備わっている。
 さらにデッキに出れば、海風を感じながら開放的なクルーズ、釣りやダイビングをなどを楽しむこともできる仕様になっていた。
「それでは出港しましたので、皆様に船内のご説明をします。皆様のお席がある船室は1階、2階から3階が吹き抜けのパーティールームとなっております。お外に出られるデッキは2階。2階船尾には温水のプールとシャワー施設があります」
 船はエオニアの港を出て、青い海原へ漕ぎ出していた。
 天気も良く、波も穏やかだ。
 今はまだ少し泳ぐのには寒いかもしれないが、夏のシーズンならば「ああ、海に入って水着で泳ぎたい!」と思うお客もいるに違いない。
 ダイバースーツがあれば今のシーズンでもダイビングやシュノーケリングを楽しめるだろう。
 そんな時のために、海から上がった人たちが身体を洗えるよう、プールとお風呂代わりのシャワーが備わっているのだ。

「確かに、海外の高級リゾートとかだと、ホテル滞在者向けに日帰りツアーやアクティビティプランがあるよね!」 
 1人のライセンサーがそう声を上げた。
「ランテルナもローズガーデンや『ランテルナ遺跡』があるけど、あの施設の中だけじゃなくて、エオニア王国を楽しめるプランがあったらもっと楽しいよね!」
「はい、その通りです」
 オルハが大きく頷いた。
「ランテルナに滞在されるお客様の多くが、エオニア王国に初めて来ていただいた方々です。ですから私どもも、エオニア王国に何があるのかを全く知らずに来られる方をおもてなしするのが大前提になります」
「そうだな。俺達もまだエオニア王国のことよく知らなかったりするし、観光客なんかを呼び込んで国を活性化させるのにも、まずは知ってもらわないといけないよな」
 未だ復興途中のエオニア王国を知ってもらい、また復興のための原動力となる「外貨」を落としてもらうためにはランテルナからエオニア王国の魅力を「発信」していくことが大きく力になるかもしれない――ライセンサー達の中にもそう感じている者が多いようだ。
 そのために、こうしたクルーズなど「エオニア王国を楽しめるプラン」を考えて欲しい。
 今回オルハがライセンサー達に依頼したのは、そんな仕事だった。

●船内パーティーやシュノーケリングを楽しみながら
「あちらに見えますのが、エオニア王国の東側のエリアになります。ランテルナのある中央部から北部のエリアとはちょうど反対側になりますね。あの緑の大きな畑はミーベルの畑になります」
 船でエオニア王国のある島の周囲を回りながら、オルハはそんな風に説明する。
 エオニア王国が今どのような状況にあるのかはおおむね以下のようなかたちだ。

 東:かつてナイトメアに襲撃されて王国が崩壊した際、一番多くの国民が避難したエリア。農家の多いエリア
 西:東と同じく農家の多いエリアだが、戦火の爪痕もまだ色濃く残っている
 南:港を擁する首都。SALFの施設も多くある。近郊の町は全てナイトメア被害に遭い、今も復興中
 北:遺跡の多く残るエリア。王国の崩壊時は多くのSALF前線基地も作られた
 中央:小高い山と森が広がるエリア

 クルーズ船はさらに沖へと移動し、サンゴ礁のあるエリアで停船した。
 周囲には砂州と浅い海が広がり、船から降りてシュノーケリングが楽しめるエリアになっているようだ。
「現在はナイトメアの出現もないエリアであることが確認されてますので、今年からはお客様にアクティビティを楽しんでいただけると考えています」
 ここはまだ一部のダイバーしか知らないダイビングスポットなのだとオルハは言った。
 ダイビングの本格的な装備は今日は用意されていないが、ウェットスーツとシュノーケルが貸し出されるため、泳ぎに自身がない人でも十分にきれいなサンゴ礁や南洋の魚たちを楽しめるという。
 一方、船内には軽食や飲み物が用意され、ちょっとしたパーティー気分で楽しい時間が過ごせるようだ。
 サンドイッチやピンチョス、カナッペなど気軽に食べられる料理のほか、王国の特産品である桃のような果実「ミーベル」を使ったスイーツやジュース、ワインなどももちろん用意されている。

「そういえば、ライセンサーの皆様の中にはご結婚されている方もいらっしゃるとお聞きしています。中には海外のホテルやリゾートでの結婚式を挙げられた方もいるのではないでしょうか? ですがまだ、ランテルナで挙式された方はいらっしゃらなくて」
 オルハはこれからランテルナで予定しているというウェディングプラン、カップル向けプランのパンフレットを広げて見せた。
 今後はランテルナにカップル旅行や新婚旅行で訪れたり、ランテルナの中で結婚式を挙げたいというカップルが増えてくるだろう。
 バレンタインのシーズンである今ならば、そうした「カップル、ウェディング向けアイデア」がライセンサー達からも出やすいのではないか――オルハはそんな事を考えているようだ。
「皆様にはそうした『カップルやご夫婦でエオニアに来た時に何を楽しみたいか』という目線でアイデアもぜひ頂きたいんです。今回のクルーズやダイビングがそういったアイデアのヒントにもなれば幸いです」
 だからまずは、今日のアクティビティを楽しんでほしい。
 そう、オルハは言った。

 もちろん家族や友人同士、お1人様の旅行もランテルナでは歓迎される。
 オルハは主にランテルナの外でのツアーやアクティビティを考えているようだが、ランテルナの施設内でのプランをアイデアとして出してもいいだろう。
 ランテルナが必要としているのは主に以下のようなアイデアだ。

 1.ランテルナの滞在者向けの日帰りツアーやアクティビティ
 2.カップル、ウェディング向けのプラン
 3.家族や友人同士、お1人様の旅行向け日帰りツアーやアクティビティ

ランテルナ滞在者向けの「日帰りツアー」をライセンサー達から提案しよう! というのが今回のシナリオになります。

オルハやランテルナスタッフ達は将来的に、ランテルナ発信のエオニアでのツアーを海外に発信し、「エオニア行ってみたい!」「ランテルナで結婚式挙げたい!」「新婚旅行はエオニア王国がいい!」と……いう感じに盛り上げていきたいと思っているようです。
そんなアイデアがもし皆さんの中から頂けたら幸いです。

また、「何にも思いつかないよー!」という感じの方は、今回参加したクルーズの感想や、今後の船の活用方法などをいただければと思います。
今オルハやランテルナの考えているものを発展、「プラスアルファ」していいものを作っていくという手もありますよね!
恋人や家族、お友達と参加される方は「目の前の大好きな人をどうやってエオニアで楽しませてあげたいか」という事を考えるとアイデア出やすいかもしれませんね!(今回は皆さんの「愛の見せ所」ですよ!)

●クルーズのコースについて
 船が進むのは、北部~南部~東部~ダイビング向きなサンゴ礁(ナイトメアの出現がない安全なエリア)辺りです(島一周はできません)
 シナリオ内で皆様が滞在するのはランテルナの敷地内と、主に「海からの景色」です。
 内陸のほう(首都の街中とか)は行かれませんのでご注意ください。

何でもないときにはいくらでも思いつくのに「さぁアイデアを!」って言われると真っ白になることありませんか? 
私はあります!

【心情】
エリちゃんの方からあたしを誘いに来るなんて、珍しいわね
可愛い後輩の誘いなら、無視はできないわよ

【目的】
ランテルナでの語らい

【同行者】
エリーヌ・ペルグラン

【行動】
☆食事中
そう言えば、こういう時っていつもあたしが奢ってた気がするわ

☆提案
ウェディングプランで、オルゴールをプレゼントする
エリちゃんの案と似た感じだけど、もう一歩踏み込んで…

…エリちゃんも苦労してるのね
エリちゃんがいなくなったら、あたしも寂しいかな…
でも、今更そんなこと考えてもしょうがない。会える機会、大切にしましょ

(エリちゃん…今までより、ちょっと素直になったかしら?)

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

実はですね!先日重体の療養も兼ねてデートに誘ってくれた方がいまして…実際行ってきました♪
なのでデートコースはばっちりですよ!

ローズガーデン観光を中核とした地中海料理を楽しむ日帰りコースを提案

午前中は買い物を楽しみ、昼食はスペイン系・イタリア系・ギリシア系地中海料理から選択
その後はローズガーデンへの観光に行き、休憩を挟み(お茶など)薔薇風呂に入る
その後夕食は午前に選択しなかった地中海料理か、全ての種類を食べられるビュッフェスタイルを選ぶ※ビュッフェは素材のグレードは落ちる

「なんてどうでしょう!とっても素敵だと思います♪まぁ実際似たようなことしたので!

景色を楽しむ


  • 陽波 飛鳥la2616
    放浪者22才|スピリットウォーリア×スナイパー

『カップルやご夫婦でエオニアに来た時に何を楽しみたいか』・・か
ミーベルの畑のお手伝い体験、とか出来るのかな、とか(
個人的にちょっとやってみたいな・・という興味があったのと(
カップルや夫婦で自分たちで収穫を手伝ったミーベルを食べたら、良い思い出になるかも、などと・・

ミーベルのスイーツやジュースを頂きつつ、思う
うん、とても美味しい・・

【心情】
ユリア…今回は特別に、貴女を招待しましたわ。わたくし、暇でしたもので

【目的】
クルーズを楽しみながら提案

【同行者】
ユリア・スメラギ

【行動】
ユリアと食事中
…あなたにいつも奢られてばかりでは、ペルグランの名が泣きますわ

☆提案
オルゴールを鳴らす
聞く方々に、懐かしさと新しい思い出を刻み込むのですわ

…嘗て英雄と共にあった日々は、とても幸せでした
いずれ、元の世界に戻る日が来たとしても…善き世界であったと振り返りたいものですわね
…ユリアのことも、たまには思い出してさしあげますわ

もうクルーズは終わり…もう少し楽しみたかったですわ
…エオニアには又訪れたいですわね

同行
ラシェルla3428

▼船内散策
豪華な内装に目を輝かせる
「はっ。はしゃいだらダメ。こういう場所ではお淑やかに…」
「ラシェル、ミーベルのスイーツがあるの♪」
パッと目を輝かす

▼船上から景色を眺める
「わぁ♪」
「広い!青い!綺麗!」
「あそこ、魚がいたの!」
兄見てニコニコ

ミーベル狩りと聞き桃のような実が畑に生っている感じを想像
「焼きたてパンに作りたてのジャム…溶けたバター…絶対おいしいの!」
「ミーベル堪能プランだの♪」

▼若葉&凪と合流し食事
「みんなはどんなプランを考えたの?」
「私は…」
ウェイクサーフィンで遊びミーベルデザートを食べてまったりするプランを話す

同行
ルシla3427

▼船内散策
「言ったそばからはしゃいでないか?」くすりと笑み
楽しそうな妹が微笑ましく自然と顔も綻ぶ
「あぁ、行ってみるか」

振舞われたミーベルのスイーツ食べ、ミーベル畑が思い浮かぶ
「…ミーベル狩りは、どうだろうか?」
採ったミーベルでジャム作り体験
そこで食事も楽しめるように…焼き立てのパンなど提供してもいいかもしれない

▼船上で景色を楽しむ
大空を見上げ大きく伸び
「風が心地いいな」
妹が示す方を見て
「今、跳ねたな。あれは…イルカか?」

▼若葉と凪と合流し食事
皆の話に耳を傾け楽しい時を過ごす
「ミーベルランタンなら、自分達で作ってもいいかもしれないな」

  • これからも隣で
    珠興 凪la3804
    人間20才|スピリットウォーリア×ゼルクナイト

同行
若葉la3805

▼船内を散策しながら、船上で式を挙げるとしたら…を若葉と一緒に考える
パーティールームへ
「披露宴をするには十分な広さだね」
「若葉、踊れるの?」
驚きつつ手をとる
「本番までに教えてもらわないといけないな」

ゲストへのお礼
「ランテルナはローズガーデンも有名なんだよね?」
薔薇を使うのはどう?
例えばローズティーとか

式の最後にミーベルランタンを飛ばすのを想像し笑顔に
「いい案だね。きっとすごく綺麗だよ」
微笑み返す

▼ルシエラ達と合流し食事
「手作りジャムは家族向けに良さそうだね」
「たくさん作るのは大変だから、新郎新婦が飛ばす分を作るっていうのもいいかも」

同行
凪la3804

▼船内を散策し、船上で式を挙げるとしたら…を凪と一緒に考える
パーティールーム
「これだけ広いとダンスもできそうだよ」
一曲どう?と手を差し伸べ
「少しだけね」
二人だけのダンスを楽しむ

「ゲストに何かお礼もしたいね」
ミーベルのスイーツでおもてなしとか?
「それもいいね」
ミーベルのスイーツにローズティー…皆の笑顔、想像し笑む

ランタンを夜空に飛ばすお祭りがあるんだって
「式の最後に願いを込めて皆で夜空にランタンを飛ばそうよ」
どうかな?と微笑んで

▼ルシエラ達と合流し食事
皆で談笑し楽しく過ごす
「思いっきり遊んだ後のデザート…格別だろうなぁ」
「俺達はね…」

●優しい日々を夢見て
「エリちゃんの方からあたしを誘うなんて、珍しいじゃない?」
 ユリア・スメラギ(la0717)がグラスを手にし、真っ白なテーブルクロスの上に掲げる。
 まぁたまには、と返事し、エリーヌ・ペルグラン(la3172)が乾杯に応えた。
「今回は特別ですわ、ユリア……わたくしも、暇でしたもので」
 シャンパングラスの中の小さな泡がきらきらと輝き、テーブルに飾られた銀梅花(マートル)の花が海風に揺れる。
 地中海風の青い縁取りの絵皿に盛られたアラカルトの白身魚には、エオニア産の野菜のピクルスと生胡椒をあしらって。
 穏やかなクルーズの時間が流れている。
「あなたもお誘いして良かったんですの? 忙しいのかと思っていましたわ」
 エリーヌがそう言うと、ユリアはそんな事ないわ、と笑った。
「それに、せっかくエリちゃんが声をかけてくれたんだもの。可愛い後輩の誘いなら、無視はできないわよ」
「ならよかったですわ……いつもいつもあなたにいつも奢られてばかりでは、ペルグランの名が泣きますもの」
「そうね、確かにこういうお食事をする席ではいつもあたしが奢ってた気がするわ」
 クスクスと笑いながら、ユリアは楽しそうに食事を口に運ぶ。
 船内にはピアノの音が響き、コントラバスの傍らではエオニア人の歌手が歌っている。
 いずれ、ランテルナで結婚式が本格的に行われるようになったら、彼らは専属の音楽家になる――オルハはライセンサー達にそう説明した。
「歌ってるの、ウェディングソングよね? そういえば……このお花もなんだか花嫁さんのブーケみたい」
 ユリアはそっと、テーブルの上のマートルの花に触れた。
 ヨーロッパの王室では、このマートルの花を必ず婚礼の花束に加えるという。
 きっとランテルナで行われる結婚式では、ローズガーデンのバラとともに花嫁の胸元を飾るのだろう。
「こういう生演奏の華やかな音楽もいいですが、わたくしは結婚式の席で、オルゴールを鳴らすのもいいと思いますわ」
 そう、エリーヌが口にした。
「オルゴールの音色は聞く方々に懐かしさを与えるもの……式に列席した方々の胸に、昔を思い出す、その懐かしさとともにお祝いの日の新しい思い出を刻み込むのですわ」
「だったら、そのオルゴールは式に参加した人たちにプレゼントできたほうがいいわよね」
 ユリアはグラスをゆらゆらと揺らしながら言った。
「どんな曲がいいかしら。ランテルナで用意できるかしらね?」 
「……嘗て英雄と共にあった日々は、とても幸せでした」
 おもむろに、エリーヌがそう語り始めた。
 遠い過去の事を、ぼんやりと思いだしたのだろう。
「そうね……エリちゃんも、苦労してるのよね」
 シャンパンを飲み干し、ユリアが船内係に声をかける。
 自分とエリーヌの分の新しい飲み物を注文したようだ。
「きっといずれ、元の世界に戻る日が来るのですわね……わたくし達は」
 グラスの中にぼんやりと浮かぶ海の景色を眺めながら、エリーヌはそう言った。
「もしそうなっても、善き世界であったと振り返りたいものですわ、この世界を」
「そんなぁ、エリちゃんがいなくなったら、あたし寂しいわよ」
「……ユリアのことも、たまには思い出してさしあげますわ」
「あらひどい、たまになの? でも、今そんなこと考えてもしょうがないわよ。今はこうして会える機会、大切にしましょ」
 この子今までより、ちょっと素直になったかしら? ――そんな事を思いながら、ユリアはエリーヌに微笑みかけた。

「実はですね! 先日、任務で重体になっちゃったんですけど、その療養も兼ねてエオニアデートに誘ってくれた方がいたんです!」
 食事を楽しみながら、紅迅 斬華(la2548)がそう言って声を弾ませた。
「で、実際いろいろ行ってきました♪ なのでもう、エオニアのデートコースはばっちりですよ!」
「エオニアデート、いいわね。どの辺り? ここから見えるかしら? ねぇ見て紅迅さん。あれ、首都のお城じゃない?」
 陽波 飛鳥(la2616)は船の手すりから身を乗り出し、エオニアの島影を指さした。
 太陽の下で輝くのはエメラルドグリーンのドーム状の大屋根と、三角形のいくつもの尖塔。
 エオニア王国の王女、パルテニア・ティス・エオニスとその家族の住む城である。
「お城は大きいからここからでも見えるのね。本当にいい景色……こうやって、船から景色を眺めてるだけでも素敵よね。ねぇ今、もしかしてシャッターチャンスかしら?」
 飛鳥がスマホを手にし、構える。
 斬華が「撮りましょう!」と声を上げた。
「あ、あの塔、エオニアの旗が上がってますよ! なるほど……海からはこういうふうに見えるんですね! あ、飛鳥ちゃんうまく撮れました?」
「バッチリよ。紅迅さん、ほら見て」
「わぁ、素敵です! このまま絵葉書にできそう!」
「故郷に帰った時のいいお土産ができたわ。……直接、この景色を弟には見せてやれないのが勿体ないかな……こんなに素敵な場所があるのにね」
 この景色は異世界に持って帰れない――飛鳥はそう、少し寂しげに言った。
 暫く船が進むと、景色はだんだんとまた違った様子に変化し始めた。
「お待たせいたしました。ミーベルのコールドプレスジュースです」
 船内係が可愛らしいグラスを飛鳥と斬華に差し出す。
 今回のクルーズではランテルナのセントラルキッチンで試作されたという「ミーベルとピスタチオのマカロン」と、グラシエ(アイス職人)の自信作だという「ミーベルのアイスケーキ」もライセンサー達に好評だった。
「うん、とても美味しい……」
 飛鳥もアイスケーキを口に運び、大きく頷く。
「このスポンジと下のムース生地はアイスなのね。美味しいコーヒーや紅茶ともよく合いそう。流石、作った人が自分で推すだけあるわ」
「はい! 甘酸っぱさもちょうどいいです。あの、このゼリーみたいなの何ですか?」
 斬華が船内係にそう聞くと、「ラベンダーのジュレです」とのことだった。
 ミーベルの味を生かし、華やかさを持たせるため、エオニアの職人たちの間でも試行錯誤がなされているようだ。
「ねぇ紅迅さん、あそこに見えるの、ミーベルの畑よね?」
 不意に、飛鳥がエオニアの島影を指さした。
「オルハさんは、『カップルやご夫婦でエオニアに来た時に何を楽しみたいか』を考えて欲しいって言ってたけど……ミーベルの畑のお手伝い体験、とか出来るのかしらね?」
「もも狩りとか、りんご狩りみたいにですか? 確かに、ミーベルの収穫時期に合わせて農家さんにお願いしたりできればそういう事もできそうですよね」
「うん。個人的にちょっとやってみたいな……っていう興味があって。それに、カップルや夫婦で、自分たちが収穫を手伝ったミーベルを食べたら、良い思い出になるかも、って思うんだけど……」
 船からはかなり広いミーベルの畑が見えていた。
 ナイトメアに壊滅させられたエオニアを復興するため、島民たちも頑張っているのだろう。
「私はやっぱり、ランテルナのローズガーデン観光を中心にした、エオニアの地中海料理を楽しむ日帰りコースを提案したいな、って思うんです」
 斬華はミーベルのジュースを飲みながら、自分の考えたプランをそう飛鳥に話した。
「まず午前中はエオニアの街で買い物を楽しみ、昼食はスペイン系・イタリア系・ギリシア系地中海料理から選択してもらいます」
「買い物……確かに、お城のある首都『エオス』なら復興も進んでお店もありそうだし、地中海料理に使う魚介類もたくさん手に入りそうよね。さっき大きな港が見えたわ」
「でしょでしょ! その後は、ランテルナのローズガーデンの観光をして、ティータイムで休憩を挟んだら、コテージで薔薇風呂に入るんです」
「薔薇風呂……そうね、ランテルナに泊まると薔薇風呂に入れるのよね」
「で、その後の夕食はお昼に選択しなかった地中海料理か、全ての種類を食べられるビュッフェスタイルを選んでもらいます! 贅沢すぎるようだったら、ビュッフェのグレードは少し落としてもいいと思うんですが」
 楽しそうにそう話しながら、斬華はアイデアを膨らませる。
 気が付くと、オルハがテーブルの横に来てにこにこしながら話を聞いていた。
「……なんてどうでしょうオルハさん! こういうの、とっても素敵だと思います♪ まぁ実際、この間似たようなことしたのですが!」
「ええ、実際にエオニアを歩いて見ていただいた方のご意見は大変参考になります。飛鳥さんのおっしゃっていたミーベルの収穫体験のご提案も、きっとランテルナでやりたいといえば、そういった契約をしてくださる農家さんもいらっしゃるでしょう」
 ライセンサー達のアイデアはすぐにでも会議にかけ、形にできるよう動いていきたい。
 そう、オルハは口にした。

「すっごぉ~い! これ、お船の中なんて信じられないの!」
 ルシエラ・ル・アヴィシニア(la3427)は船内中央の大階段を早足で上がりながら、そう声を弾ませた。
 2階のパーティールームに上がると、そこではピアノと管弦楽の生演奏が響き、歌手がウェディングソングをメドレーで歌っている。
「わっ、見て見ておっきなシャンデリア~!! はっ。はしゃいだらダメ。こういう場所ではお淑やかに……」
「そうだな。フォーマルな場所なんだろうし、もしここでパーティーが開かれるなら、お上品なドレスとタキシードで来たほうが良さそうだな」
 ルシエラの後を追いかけながら、ラシェル・ル・アヴィシニア(la3428)は微笑ましそうにしている。
 デッキに出られるパーティールームの向こうには、飲み物や食事が準備されていた。
 パーティールームの中央で給仕をしていた船内係が、「いらっしゃい」と2人を呼ぶ。
「そろそろ、デッキのお席でお茶にしませんか? 今日は天気がいいですし、気持ちがいいですよ」
「そういえばそろそろお茶の時間なの。見てラシェル、ミーベルのスイーツがいっぱいあるの♪」
 パッと目を輝かし、ルシエラが飛びついたのは色とりどりのケーキやゼリー、マカロンやエクレアなどミーベルを使ったアフタヌーンティーのお菓子だった。
 これをサンドイッチやスコーンと一緒にアフタヌーンティースタンドに乗せ、テラスの席まで運んでもらえるようだ。
「こらこらルシ、お淑やかにするんじゃなかったのか?」
 楽しそうにしている妹を見て、ラシェルが笑う。
 ルシエラは「だってだって」と言って白いテーブルクロスと花で飾られた席を指さした。
「これ、好きなの選んであそこで食べられるの! ラシェルも早くケーキ選ぶの!」
「分かった分かった。じゃあ、ルシの好きなの選ぼうな。どれがいい?」
 2人はお茶を楽しむためアフタヌーンティーのお供を選び、席についた。
 ちょうど船は浅瀬に錨を下ろして停泊しており、サンゴ礁を泳ぐ魚たちがよく見えた。
「わぁ♪」
 ルシエラは船の手すりから身を乗り出し、エメラルドグリーンの海を覗き込んだ。
 スズメダイの仲間だろうか。
 コバルトブルーの小さな魚たちが群れて泳いでいる。 
「海、広い! 青い! 綺麗!」
「ああ、風が心地いいな」
 兄妹は海風の吹くテラスで大きく伸びをし、笑い合う。
 その足元は、熱帯魚の住む海の楽園だ。
「あそこ、今、おっきな魚がいたの!」
 ラシェルを見て、ルシエラがニコニコ笑う。
 不意にその向こうに、大きな影がばしゃんと跳ねた。
「わっ、何?! ラシェル、今おっきいの!」
「ああ、跳ねたな。あれは……イルカか?」
「えっ、ホント! イルカ?!」
 沖合に消えた影を探す2人。
 するとそこへ、紅茶とさっき選んだスイーツが運ばれてきた。
「イルカはね、大きな船の後を追いかけてくるんですよ」
 給仕係の船員が言った。
「帰りに船尾で見ているとまた会えるかもしれません。では、温かいうちにお茶をどうぞ」
「わぁ、とっても美味しそうだの♪」
 紅茶の甘い香りが鼻をくすぐり、ルシエラがいそいそと席に着く。
 可愛らしいティーセットはランテルナのオリジナルなのだろうか、白地にミーベルの花と果実がデザインされている。
 ラシェルはミーベルのフルーツサンドを手に取り、「そういえば」と口にした。
「さっき来るときに、船から島のミーベル畑が見えたよな……ランテルナの日帰りプランは、ミーベル狩りは、どうだろうか?」
 採ったミーベルでジャム作り体験などができて、そこで食事も楽しめるようなプランはどうか、とラシェルは言った。
 収穫と料理、両方を楽しむのだ。
「作りたてのジャムと、それから焼き立てのパンも一緒に食べられるようにしてもいいかもしれないな……」
「焼きたてパンに作りたてのジャム……溶けたバター……絶対おいしいの!」
 ルシエラはミーベルのマカロンを手に、うっとりとミーベルの畑を思い浮かべた。
 桃色の果実が畑いっぱいに実り、きっと桃畑のような美しい景色になっているに違いない。
「ミーベルを摘んで、ジャムも作って、ミーベル堪能プランだの♪」

 そうしてルシエラとラシェルがお茶の時間を楽しんでいた頃、珠興 凪(la3804)はパーティールームにいた。
 中は2階から3階までが吹き抜けになっている。
 いろいろなパーティー、あるいはコンサートなどのイベントにも使えそうだ。
「ねぇここ、披露宴をするには十分な広さだと思わない?」
 凪はそう言いながら、階段を上がって3階に向かった。
 天井はガラス張りになっており、明るい自然光が差し込んでいる。
 白いドレスに身を包んだ花嫁や、タキシード姿の花婿の姿もこれならよく映えるだろう。
「本当に広いなぁ。これだけ広いとダンスもできそうだよ」
 皆月 若葉(la3805)はそう言って、戯れに凪に手を差し出した。
 そして2階のピアニストに向かって、「さっきの曲もう1回!」と声をかけた。
 すると若葉が何をする気か察したらしいピアニストが歌手とヴァイオリンの奏者に声をかける。
 歌手は凪と若葉にっこり微笑むと、「いくわよ」と言ってマイクを手に取った。
 そしてピアノが軽やかなリズムを刻み、ヴァイオリンがメロウでロマンチックな旋律を奏で始める。
 どうやら、ジャズアレンジのようである。
「ほら、歌ってくれるって。凪、一曲いいでしょ?」
「え、だって若葉、踊れるの?」
 まさかの演奏付き――ノリノリで音楽を奏で始めた音楽家たちの姿に驚きながら、凪が若葉の手を取る。
 すると、若葉は凪の手を引き、その場でリズムに乗って踊り始めた。
 ほかのライセンサー達には内緒の、2人だけのダンス――。
 寄り添って、このひと時を楽しめば、正しいステップはその次でもいい。
 そんな空気が流れていた。
「え、待って若葉! 早いよ!」
「平気平気、踊れてるから」
「ふふっ、これ絶対アドリブでしょ?」
 パーティーの夜には、エオニアの人々もこういうダンスを楽しむのかもしれない。
 演奏者たちのリズムが徐々に早くなり、歌手が凪と若葉のためだけのアドリブの歌詞を歌い綴る。
そのまま生演奏に乗せて一曲踊り終えた凪と若葉は、最後は手を取り合いながら大笑いしていた。
「あははは! けっこう激しいダンスだったね! 凪、最後足がついてってなかったよ!」
「だって、こんなのやったことないよ。あーあ……本番までにちゃんとダンスを教えてもらわないといけないな」
 お腹が痛くなるくらい笑いながら、凪と若葉は演奏者たちに礼を言ってパーティールームを後にした。
 デッキに出ると、涼しい海風が2人の髪をさらった。
「式の最後にはさ、ゲストへのお礼もしたいよね」
 船の手すりに背をもたれながら、若葉がそう口にした。
 サンゴ礁観察の時間が終わり、船は再び沖へ漕ぎ出した。
 今度は行きとは別のルートを進み、港へと戻るようだ。
「例えばなんだろ……ミーベルスイーツのおもてなしとか? 後は何かなぁ」
「うーん、ランテルナはローズガーデンも有名なんだよね?」
 薔薇を使うのはどうか、と凪は言った。
 もともと、ランテルナはローズガーデンをメインに作られた施設である。
 ゲストも当然、あのローズガーデンを目にするはずだ。
「例えばローズティーとか……どうかな?」
「それもいいね。ミーベルのスイーツにローズティー、きっとみんな、喜ぶはずだよ」
 ミーベルのスイーツにローズティー……それから集まったゲストたちの笑顔。
 そんな光景を思い浮かべ、若葉は微笑んだ。
「そういえば去年から、エオニアではランタンを夜空に飛ばすお祭りが始まったんだって」
「ランタン?」
「そうそう。エオニアの女神さまに採れた果実を届けるお祭りでね、去年はミーベルや、みんなの好きな果物のランタンを作って飛ばしたんだって」
 王女パルテニアが主催し、ライセンサー達もその夜を楽しんだ祭りだ。
 そのランタンには、エオニアの復興の願いも込められていた。
「式の最後に、そうやって願いを込めて、皆で夜空にランタンを飛ばそうよ。お祭りの夜みたいに、この船からさ」
どうかな? と微笑む若葉に凪も大きく頷く。
「いい案だね。きっとすごく綺麗だよ」
 式を終え、夜を迎えたエオニアの海へ、船から一斉にミーベルのランタンを放つ。
 そんな光景を思い浮かべ、凪も笑顔を浮かべた。
 するとそこへ、2人を呼ぶルシエラの声が聞こえた。
「凪と若葉も一緒にお茶にするの♪ 2人とも、アイデア何か思いついた?」
「あ、美味しそうだね。実はこういうミーベルのスイーツを結婚式のゲストにお礼のおもてなしにできないかなって言ってたんだけど……」
 そう言いながら、若葉も凪と一緒にルシエラとラシェルの隣に座る。
 お茶を淹れなおし、スイーツを楽しみながら4人はランテルナの新しいプランや結婚式の内容を考えた。
「海がきれいだから、ウェイクサーフィンで遊んだらいいなって思ったの」
 ルシエラはほら見て、と海を指さす。
 波が穏やかで、海のレジャーにはふさわしいような景色が広がっている。
「そうやっていっぱい遊んだら、あとはミーベルのデザートを食べてまったりするの」
「思いっきり遊んだ後のデザート……格別だろうなぁ。あ、これ美味しそう」
 若葉はそう言いながら新しく運ばれてきたスイーツに手を伸ばす。
「俺達は、この船でウェディングができたらな、って話してたんだ。それで最後はあの、ミーベルの祭りの夜の……」
「そうか、あのランタン飛ばしだな。ミーベルのランタンなら、自分たちで作ってもいいかもしれないな。祭りの夜は、小さい子供も自分で作ってたから、難しくないし」
 ラシェルはそう言いながら、凪にもスイーツを勧めた。
 凪は半分に切ったミーベルのコンポートが乗ったパイを見ながら、「この形かぁ」と首をひねる。
「たくさん作るのは大変だから、新郎新婦が飛ばす分を作るっていうのもいいかもね……ラシェルのアイデアは?」
「ミーベルの収穫と、あとはジャムづくり体験のプランだな」
「手作りジャムは家族向けにも良さそうだね」
 実現したら、どれもきっと楽しいものになるに違いない。
 そう思いながら4人はクルーズを最後まで楽しんだ。

●夕日の海に別れを告げて
「もう終わりなんて、少し寂しいですわ」
 船尾に立つエリーヌが暮れてゆく夕日を眺めながらそう呟いた。
 そろそろ港が近づいてくる。
 クルーズの終わり――夕日の色に染まった海を見ながら、ライセンサー達の胸には「名残惜しい」という思いがこみ上げていた。
「きれいな海……またこうして、エオニアを訪れたいですわね……」
「ええ、いつでもいらしてください。お待ちしております」
 オルハがそう言ってエリーヌに頷く。
「本日は本当にありがとうございました。皆さんからいただいた提案はこれからまとめてランテルナでの会議にかけ、採用して形にできるようにこれから私達も試行錯誤させていただきます。形になりましたらいずれまた、皆さんにモニターのご相談などさせていただきますね。私だって、ライセンサーの皆様とここでお別れなのは寂しいですし、すぐにまたお会いしたいです」
 それに、とオルハは続けた。
「皆様がこのエオニアを訪れ、そして『また戻ってきたい』と言ってくださること……それが何よりもの、この国が歩み続ける強い力になるのですから」
 一人でも多くの人々に愛される国になるために。
 エオニアはこれからも、ランテルナとともに復興の道を歩んでいく事だろう。

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