オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  3. 【甘薔】ランテルナの1日

【甘薔】ランテルナの1日 猫又ものと

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
冒険 恋愛 日常 
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
180000G
180SP
1800EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2020/02/16 12:00
完成予定
2020/03/02 12:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

 エオニア王国。
 地中海に浮かぶ美しい島国である。
 その国は一度、ナイトメアの襲撃を受けて崩壊ししたものの、紆余曲折を経て再び国としての復興を目指し歩み始めた。
 今日、ライセンサー達が足を踏み入れようとしている場所も、復興の一環として作られた場所であった。


 ――時は少し遡る。
「あーー。疲れたわ」
「そーねー。こうも戦い続きじゃねえ……」
「戦い過ぎてもー。関節の潤滑油を注さないとギコギコ音鳴るっすよ……」
「ヴァルキュリアも大変だな。……って、どうした? お前包帯だらけじゃないか」
「ああ、この子ねえ、ちょっとこの間の依頼で頑張りすぎちゃったのよね」
「あははは……。失敗しちゃいました……」
 いつもと変わらぬ賑やかなSALFのオフィス。SALFのオペレーターがその一角でぐったりとしている一団に声をかける。
「皆さん、こんにちは! どうしました? 元気ないですね」
「ちょっとねー。お兄さん達さすがにお疲れ気味なのよ」
「本当、ナイトメアってキリなく沸いてくるものねえ」
 オペレーターの問いに、肩を竦めるライセンサー達。それに、彼女も納得したように頷く。
「大規模作戦や、細々したナイトメアの対応や、困っている人たちを助けたり……本当、毎日色々ありますものね。お疲れ様です。……そうだ。皆さんお疲れみたいですし、いっそ、今日これから休暇にしちゃったらどうです?」
「ん? でも、依頼もあるしな……」
「お休みして、体調を整えるのもお仕事のうちですよ? 疲れ過ぎたら力も出ませんし。たまに1日くらい休んだってバチ当たりませんよ。ね?」
「そうね。たまにはいいかもね……」
 オペレーターの労いにうんうんと頷くライセンサー達。
 彼女はにっこりと笑うと、1枚の紙を彼らに差し出す。
「はい! そんな皆さんに朗報です! エオニア王国のランテルナでバレンタインの催しがあるそうですよ!」
「へ? エオニア王国? ランテルナ??」
「はい。以前ナイトメアに襲われて、一度壊滅した国なんですが、復興も進んでいて……ランテルナも、その一環で作られたリゾート施設なんです」

 国賓がやって来ても良いようにと作られた白壁に青いドーム屋根のコテージには天蓋付きのベッドがあるゆったりとした寝室、天窓のあるタイル張りの大きな風呂があるらしい。
 また、ローズガーデン1年通してバラが咲き乱れ、その一角には石造りの遺跡も存在する。
 そんな薔薇の香り溢れる場所でオイルマッサージやエオニア古式マッサージ、薔薇をたっぷり使った風呂に入るなどのサービスが受けられる……。
 そんなオペレーターの説明に、ライセンサー達の身も自然と前に出る。

「随分と素敵な場所なのね」
「でも薔薇じゃ腹は膨れないよなぁ」
「ちょっと! 何でそういう色気のないこというです!?」
「あはは。そう仰ると思いました! セントラルキッチンでは、バレンタインにちなんだメニューが沢山出るそうですよ。食いしん坊さんにもばっちりです」
 おおお……! と感嘆の声をあげるライセンサー達にオペレーターの女性はパチンとウィンクをした。
「ランテルナのスタッフの皆さん、皆様のお越しをお待ちしているそうなのでご都合がつく方は是非、遊びに行って差し上げてください! 行かれる方はここにお名前書いてくださいね!」
 オペレーターから差し出された紙を見つめて、どうしようかなと考えるライセンサー達。
 仕事も終わったし、ランテルナでのんびり羽根を伸ばすのもいいかもしれない――。
 ハンターは羽ペンを手に取ると、自分の名前を書き込んだ。

 時はバレンタイン。ライセンサー達の、ランテルナでの1日が始まる。

さて、今回は事件ではありません。
厳しい冒険の合間。
エオニア王国のランテルナでのひと時をお楽しみ下さいませ。
晴れた空に釣られてお散歩に行くもよし、用意されたチョコレート菓子を食い倒れるもよし。
薔薇のお風呂に使って隅々までお手入れするのもよし。
遺跡に遊びに行ってみるのも手です。
お友達に会いに行ったり、恋人とデートをするのも楽しそうですね。
明確にやりたいことがある方向けの自由度の高いシナリオです。

ランテルナ内部にある場所であれば基本どこでも行けますが、支配人室など入れない場所あります。
また、行先を複数書かれると全て描写しきれない可能性がありますので、どこか1点に絞って戴けるととても助かります。

■描写について
同行指定などがない限り、お一人様づつ区切って描写します。
また、同行される方がいらっしゃる場合、その方のIDと、【友人】【恋人】など関係性をお書き添え戴けると大変助かります。

■ご注意
白紙は描写できませんのでご注意ください。
依頼に参加した時点で「ランテルナで過ごすよ!」などと一言プレイングを送信しておくことをお勧めします。

お世話になっております。猫又です。

グロリアスドライヴよ! 猫又は戻って来た!! ←

という訳でですね。雪芽さんにお誘い戴きまして、急遽【甘薔】連動参戦と相成りました!
今回はバレンタインのフリーアタックシナリオをお届けします。
冒険ではなく、猫又版ノベル的なリプレイです。
バレンタインの日、ランテルナで皆様はどんな1日を過ごされるのでしょうか。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|ネメシスフォース×スナイパー

「ランテルナ、ね。どんなところかしら」
恋人へのチョコレートを選びにランテルナに到着。
自分で作ってもいいんだけど、今回はそんな時間無かったし。
作ってあげるにしても参考に買うのもありよね。マンネリは避けないと。
やっぱりプロのつくるのは参考になるしね。
まあ全部言い訳だけど・・・
そんなわけで彼には声をかけずに一人でやってきたわ。
そのままあちこち回ってみる心積もりで。

その上で始めてくる場所だからのんびり観光と洒落込むわ。
「特産品とか何があるのかしら・・・」
彼を一番として優先しつつ、小隊の弟分妹分の顔を思い浮かべながらお土産選び。
丸くなったものね、と自分の心境に驚きながら丁寧に選んでいく。
彼以外の男には基本茶目っ気のあるジョーク品だけれども。
チョコレートや目に付くものをお土産として買い込む為に色々お店を冷やかして回ってたけれど、お風呂に目がつく。
「薔薇のお風呂か…素敵ね」
どんなものか経験していきましょう。
薔薇のお風呂で自分をしっかり磨いていかないとね♪

これなら彼も誘えばよかったかしら・・・
まあ、いいわ。
しっかり磨いて綺麗になって驚かせてやるわ。

  • もふもふ救命士
    トーヤla0375
    ヴァルキュリア10才|グラップラー×セイント

こうして復興しているところを直に楽しむのはいいものだね
アドリブ歓迎

神上・桜(la0412)と同行。【部隊長】【友人】
桜のチョコ菓子食い倒れに付き合う
「まあ、残念だったね。私で申し訳ないが付き合おう」
「ふむ、色々あるね。これなら紅茶やコーヒーの振る舞い甲斐があるというものだ」
キッチンの責任者に許可をもらい、キッチンにあるものをブレンドなどして、其々のお菓子に合う飲み物を桜や他の客に振舞う
評判がよければ、レシピを渡す
「こちらの我儘を聞いてもらいありがとう。よかったら使ってくれ」
「バラが一年中咲いているなら、香り付けに使うだけじゃなく、食用のバラも育てて、花びらのチョココーティングとかお菓子にも活かせるといいんじゃないかな」
可愛さ+紳士とイケボを振りまく

桜が温泉に行くときに別れ、ローズガーデンへ
バラと空の青さなどの景色を楽しむ
子供などに纏わりつかれても笑って宥めながら対処
「ここまで復興させるのは並大抵なことではなかったろうに。大したものだ」
「こらこら、引っ張るのはやめてほしいかな」
泣いている女の子などいれば、目線を合わせバラを一輪さしだし(ちゃんと買ったもの)
「レディ、泣かないで。涙より笑顔の方が素敵だよ」
可愛さ全開で
周囲の癒しになれるなら道化もあり

「さて、うちのお姫様は機嫌が直ったかね」
「こういった事が当たり前になるくらい頑張らないとね」

  • 寡兵よく大群を破る
    神上・桜la0412
    人間10才|ネメシスフォース×セイント

・小隊員のトーヤl(a0375)と共に行動。
チョコレート菓子の食い倒れに向かう。
全種類制覇しようと意気込みつつ、美味しそうなお菓子から順番に食べていく。
取り敢えず食べられるだけ食べて文字通り食べすぎて倒れそうになったり。
最後に、隊員用にお土産のチョコを購入。
一個だけは何か特別っぽかったとか何とか。
「ふ、何やらばれんたいんとかいう催しの関係でちょこれーとが食べ放題(違)のようじゃな。ならば行くしかなかろう!全てを食べ尽くしてくれるわ!(無理」
「我のような美少女がこの程度のちょこれーとに負けるわけにはいかぬのじゃ…!うう、じゃがそろそろ限界が近いのじゃ…」
「今日来てない者達の為に何か買っていくかのぉ。まあ皆同じでよかろう。…む、この一つは自分用じゃ。別に誰か一人だけ違うのを渡すとかはないのじゃ。本当じゃぞ!」

・その後、トーヤとわかれ一人で風呂へ。
お風呂があったら入らないわけにはいかないとまったりとする。
「これだけは外せなかったからのぉ…。うーむ、生き返るのじゃ…」

  • 幸せ探索者
    クゥla0875
    放浪者16才|ネメシスフォース×セイント

「わあ、とってもいい天気だとクゥは思います♪」
「何故でしょう?何か…ええと?よくわかりませんがとっても嬉しい気持ちです」
「(目を輝かせ空を見つつ)…もしかしたらクゥはほんの少し成長したのかもしれません」

【行動】
晴れた空の下、お散歩しながら恋の歌を。

【恋の歌】
シマリスはこの時期は恋のシーズン(発情期)。
まだ見ぬ番となる相手へ恋の歌を歌います。
クゥはまだ幼いので番の相手を見つける事はありませんが、
初めての訪れた「恋の季節」に少なからず影響を受けます。
クゥに「恋の歌」を歌わせて下さい。
歌詞はMS様へ一任致します。

キーワード的な…
・好きな物は果物とどんぐり
・この世界に来て自分だけの幸せを探している、でもまだ見つからない
・恋や愛は難しくてよくわからないけど、何故かわくわくどきどきする
・仲良しのお友達がいる、どんぐりとどっちが好きかはわからない
・狼は怖くないってこの世界にきてわかった

※アドリブ可

●心情

「オイルマッサージ・・・ちょっと興味・・ありますね・・。」

●行動

マッサージの予約をした後、時間になるまで
ローズガーデン→民芸orお土産屋の順に移動して散歩&買い物

「まずは・・ローズガーデンに・・行ってみましょうか・・・。」

ローズガーデンに到着後、庭園内を散策
咲き乱れる薔薇を鑑賞しつつ探索したり
露店を覗いたり、薔薇の香りを楽しむアイスを購入したりする等
じっくりたっぷりと堪能

「薔薇のアイス・・ですか・・・・一つ・・頂けますか・・?」
「薔薇の精油・・・お土産に・・買っていきましょうか・・・」


民芸orお土産屋では、主にローズオイル等の薔薇を使った
民芸品などを含めたお土産等を購入したり
民族衣装を試着したりする

「薔薇のオイル・・・お土産に・・買っていきましょうか・・・お風呂の時に・・使うと・・よさそう・・ですね・・。」

※2「えっと・・・どう・・ですか・・・?」

時間になったら、マッサージ店に移動
施術着に着替えて、施術を受ける
マッサージ後は、薔薇風呂につかり
リラックスタイムに突入

「それでは・・よろしく・・お願いします・・。」
「ふふ・・良い匂い・・ですね・・。」

気分転換にと仙火に誘われましたが一人で考えたいことがあったので別行動
今頃楓と何を話しているのでしょうか…同室、でしょうか?(【甘薔】スイート・ランテルナ)
明日は三人で行動予定

二人の絆が羨ましい
二人は大人で、私はまだ子供で、焦燥感があって…もふら(NPC)に助言を求めました
仙火に必要なのは楓なのでしょう。その事について考えると焦燥感が酷くなる
ですが望んでいるのは――『代わり』では無い
心を落ち着けて私が編んで来た絆について思い返したい

セントラルキッチンで薔薇を眺めながらチョコレート菓子を味わう
(…私はあの男を、私の都合で引っ張り回しているだけです)
あの男に失望して、それでも諦めきれず絆を欲した
でなければあの父子に勝つために必死に修行をし、世界を越えるため幼い頃からした努力も想いも否定されてしまいます
しかし約束を思い出し私の出自と努力を知れば、あの優しい男は後悔に苛まれてしまう
私があの男の枷になる。そんな事は御免です
ならば一人の剣士として戦って勝つと、それまで何も話さないと決めました
考える程私の悪あがきでしかなくて気持ちが沈んでいく
(本当は嫌がっているのでは…命の恩人だから従っている?)
私はあの男に、誓約以外のもっと別の何かを望んでいるのでは?
黙々とチョコを口に運ぶ
ミーベルリキュールを使ったチョコが美味しく、明日三人で食べたいと思う
素敵な場所で暗い顔ばかりするのは良くないでしょう。楽しまなければ

「……残念だったね」
「何がじゃ?」
 セントラルキッチンへと向かう道すがら、小首を傾げる神上・桜(la0412)に、黒い円らな瞳を向けるトーヤ(la0375)。
 気のせいでなければ、彼女には想い人がいると思うのだが、もしかして無自覚なのだろうか……?
「いや、心当たりがないならいい。私で申し訳ないが付き合おう」
「うむうむ。何やらばれんたいんとかいう催しの関係でちょこれーとが食べ放題と聞いた。これは行くしかなかろう! 往くぞトーヤ! 全てを食べ尽くしてやろうぞ!」
 咆哮と共に催し物場へと突撃していく桜。トーヤはキッチンの奥……紅茶や珈琲のある棚に目が釘付けになっていた。
「ふむ、色々あるね。これなら振る舞い甲斐があるというものだ」


「へえ。ここがランテルナ……。なかなか綺麗なところじゃない」
 白亜の建物の中を独り歩く橘 六花(la0083)。
 目指す場所はセントラルキッチン。今日は恋人の為にチョコレートを選びに来たのだ。
 ――勿論自分で作っても良かったのだが、ここのところ依頼で立て込んでいたし。
 手作りをするのにも、新たな知識というものが必要だ。
 今までも、これからも繰り返しあげるものだからこそマンネリは避けたいし、プロの作るものは参考になるし……。
 そこに香って来るチョコレートの甘い香りが、六花に、目的地に到着したことを教えてくれた。
「あら。薔薇の形のチョコレート? 綺麗だし、良く出来てるわね……」
 所狭しと並べられた、まるで宝石のようなチョコレートたち。
 その中で一際目を引いたのは美しい薔薇だった。
 ピンク色のチョコレートで花弁が作られ、1枚1枚丁寧に重ねたそれは、まるで本物のようで、六花の顔が綻ぶ。
 ……そういえば、ランテルナには薔薇園があると聞いた。
 ということは、ここの特産品は薔薇ということなのだろう。
「ご試食いかがですか?」
「ありがとう。戴くわ」
 店員に勧められるままに、花弁を口にする彼女。
 苺のチョコレートのようだが、甘さ控えめで上品な味だ。
 綺麗だし美味しいし。買って行って、彼と一緒に食べようかしら……。
 そんなことを考えていた六花の目に、ハンマーや刀の形をしたチョコレートが飛び込んで来た。
「あら。これ、あの子達が喜びそうね」
 呟く六花。その脳裏には、小隊の弟分や妹分達の顔が浮かぶ。
 ――こんな風に誰かのことを思い、品を選ぶなんて、以前の自分からは考えられなかったことだ。
 随分丸くなったものね……。
 この変化に一番驚いているのは自分自身かもしれない。
 仲間の為に丁寧に品を選び、会計を済ませる六花に店員が声をかけた。
「お客様。この先に、薔薇のお風呂があるんですよ。入って行かれませんか?」
「あら、そうなの?」
「はい! オイルマッサージのサービスもございますし、是非お立ち寄りください」
「そう、素敵ね……」
 店員の笑顔にきらりと目が輝く彼女。
 ――どうせなら彼も誘えばよかった、なんて思っていたけれど、これはいい機会だわ。
 薔薇のお風呂とマッサージで徹底的に磨いて、綺麗になって驚かせてあげましょう。
 あの人がどんな顔をするか楽しみだわ……!
 六花は軽い足取りで、お風呂へと向かって行った。


「わあ……とっても綺麗なところです。それに、とってもいい天気です♪」
 晴れた空の下、白い建物と色とりどりの薔薇が続く。
 こういうのを、きっと春の陽気と言うのだろう。
 柔らかに吹く風は、微かに薔薇の香りがして……クゥ(la0875)がそれを胸いっぱいに吸い込むと、何だかソワソワした気分になって来た。
「何故でしょう? 何か……ええと? よくわかりませんが、とっても嬉しい気持ちです!」
 自然と足どりが軽くなるクゥ。大きなシマリスの尻尾をゆらゆらと揺らして、湧き出る想いを口ずさむ。

 ――青いお空は綺麗で好き。薔薇も綺麗でとっても好き。
 果物は甘くて好きだし、どんぐりもカリコリしてて好き。
 仲良しのお友達は一緒にいると楽しいから好き。
 狼さんはずっと怖いと思ってたけど、怖くないって分かって好きになれそう。
 でも、でもね。
 お友達とどんぐりの『好き』がどう違うのかよく分からない。
 でも、きっと違うんだっていうのは、少しだけ分かるの。
 恋も愛も、知っているのは言葉だけ。良く分からない。
 それでも、何だかとってもわくわくどきどきするの。
 このキモチは何だろう? 名前があるのかしら?
 このキモチを教えてくれる誰かに会えるのかしら?
 クゥは知りたい。もっともっと知りたい。この世界も、クゥの気持ちも。
 クゥは会いたい。この気持ちを教えてくれる貴方に。
 そうしたら、きっと。何もかもが違って見える。そんな気がするの。
 今よりきっと、素敵な誰かに出逢えるように。
 わくわくどきどきを探して、歩いて行こう――。

 歌い終えて、ほっと溜息をつくクゥ。
 思いつくままに歌ったから、自分の胸に宿るこの気持ちが、どういうものなのかハッキリとは分からない。
 ただ、1つだけ分かるのは、今までの自分と、少しだけ違うということ。
「……もしかしたら、クゥはほんの少し成長したのかもしれません」
 空を見上げて、目を輝かせるクゥ。
 この青い空の下にいるであろう誰かを探す為に。
 大人になる為の一歩を、彼女はぴょん、と軽く踏み出した。


「……桜、大丈夫か?」
「ぐぬぬぬ! 我のような美少女がこの程度のちょこれーとに負けるわけにはいかぬのじゃ……!」
 テーブルにぷっつぷしている桜に声をかけるトーヤ。
 彼女はセントラルキッチンに並んだ全てのお菓子を制覇すべくずっと食べ続けていて……とうとう胃袋に限界が来たらしい。
 トーヤは労うように、桜の目の前にティーポットを置いた。
「カモミールティだ。消化を助けてくれる。飲むといい」
「おー……いつもすまんのう」
「それは言わない約束だ」
 どこかで聞いたようなやり取りをする桜とトーヤ。
 やたら行動が紳士だが、このヴァルキュリア、何を隠そうもっふもふである。
 こうしている間にも、トーヤの尻尾にしがみついているお子様がいて、彼はかくりと首を傾げた。
「そこの君。ちょっとお手柔らかにお願いできるかな」
「………!!」
 可愛いカワウソの着ぐるみから、とんでもないイケボが聞こえてきて固まる子供。
 桜は出された紅茶を啜りながらトーヤをちらりと見やる。
「トーヤ。お子様をビビらせるでない」
「驚かせているつもりはないんだがね……」
「その見た目でその声は充分ビックリできるじゃろうが」
「だからと言って喋らない訳にはいかんだろう。……桜。何故またチョコを食べようとしてるんだ?」
「トーヤのお茶のお陰で口がサッパリしたから行けるんじゃないかと思ってのう」
「やめておきなさい」
「ぐぬぬ……!! ちょこれーととやらに負けた訳ではないからな!!?」
 窘められて吠える桜。トーヤは最早保護者の体である。
 そこに、幼子の泣き声が聞こえて来た。
「む? なんじゃ、おぬし。どうしたのじゃ」
「ママがいないの……」
「ふーむ。迷子かえ?」
 ぐすぐすとすすり泣く幼子の背を撫でる桜。
 そこにスッと一輪の薔薇が差し出されて、幼子が顔を上げた。
「やぁ。レディ、泣かないで。君のような可愛いレディには涙より笑顔の方が似合うと思うよ」
 コミカルな動きでぺこりとお辞儀をして見せるトーヤ。
 可愛いカワウソから聞こえた渋い声とのギャップも相俟ってか、幼子が微笑む。
 トーヤは頷くと、『失礼、レディ』と声をかけて幼子を抱き上げた。
「僭越ながら、私が母御を探してあげよう。大丈夫、すぐに見つかるからね。……桜、1人にしても大丈夫かな?」
「勿論。そろそろお風呂に行こうと思っておったところじゃ。トーヤもゆっくりして来るがいい」
「分かった。この子を母君のところに送り届けたら、ここに戻って来るよ。スタッフの人に紅茶のブレンドを教えて欲しいと頼まれたものでね」
「うむ。ではここで落ち合おう。……おぬし、母御もきっと探しておろう。トーヤがおれば大丈夫じゃ」
 幼子の頭を撫でる桜。トーヤの腕の中で、幼子はにっこりとほほ笑んだ。


「ここが……ローズガーデン……でしょうか……」
 ゆったりとした足取りで石畳を歩く秋姫・フローズン(la2694)。
 彼女は薔薇のオイルでマッサージをしてくれるサービスに興味を持ち、予約を入れたのだが、案内されるまで結構な時間があると察した店員に、こう言われたのだ。
「お客様、お時間まで、是非ローズガーデンでお過ごしください。薔薇も美しいですが、薔薇のお菓子なども置いてございますよ」
 美しい薔薇に薔薇のお菓子……そのキーワードはいたく秋姫の心に響き、勧められるままに薔薇の園を目指した。
 白い石造りの噴水。その周囲を囲むように、赤や白、黄色、ピンクの薔薇が咲き乱れている。
 まるで絵画のような景色に、秋姫は目を細める。
「……美しいですね。カメラを……持ってくればよかったでしょうか……」
 白い石で作られた建造物と空の青、鮮やかな薔薇の花という、この目に映る景色を出来ることなら切り取って取っておきたい。
 そうですね……。売店に行けば、写真や絵ハガキが買えるでしょうか……。
 そんなことを思い立ち、薔薇を愛でつつ歩く秋姫。
 見えて来た売店。その店頭に、色々な写真がプリントされたはがきがあるのを見つけて、微かに口角を上げる。
 どの写真の景色も素晴らしく、どれにしようか迷っていると、ふわりと薔薇の良い香りが漂って来て振り返る。
 そこには、淡いピンクの綺麗なボトルが置かれていた。
「……綺麗、ですね……。これは……香水でしょうか……?」
「いえ、そちらは薔薇の精油なんです。ランテルナ産の薔薇の花をふんだんに使っているので、とても香りがいいんですよ。どうぞお試しになってください」
 にこにこと笑顔を浮かべる店員。勧められるままにオイルを1滴垂らすと、それだけで豊かな薔薇の香りがして……秋姫は目を丸くする。
「……とても……良い香り……ですね……」
「そうでしょう? このオイル、この先にあるサロンのオイルマッサージにも使用するんです」
「……それはいいことを聞きました……。後で、マッサージを受ける予定なんです……」
「本当ですか? お客様、お肌綺麗でいらっしゃるから、ますます磨かれて綺麗になられますよ!」
「……ありがとうございます……。こちらのボトルは……ローズウォーター、ですか……? 確か精油を作る際……副産物として出来るんですよね……」
「お客様、良くご存知ですね! そうなんです。オイルマッサージの後のお肌潤い補給にいいですよ」
「……こちらも……とてもいい香り……ですね……」
 店員と会話を楽しみつつ、店内を巡る秋姫。製油とローズウォーター、そして何枚かの絵ハガキを手にした彼女は、ふと店内の張り紙を見つめる。
「……薔薇のアイスに、民族衣装の試着……ですか……。こちらも行ってみませんとね……」
 ちらりと時計に目をやる秋姫。大丈夫。予約までの時間はまだある――。
 彼女の探索は、まだまだ続く。



 日暮 さくら(la2809)は、セントラルキッチンでチョコレートをつまみながら、独りで遠目に見える薔薇の花を眺めていた。
 ……いや、薔薇の花は実際目に入っていないかもしれない。
 彼女の頭の中は、別行動をしている友人達のことでいっぱいだったので――。

 ……私はあの男を、私の都合で引っ張り回しているだけです。

 あの男に失望して……それでも諦めきれず、絆を欲した。
 そうでなければ、あの父子に勝つために必死に修行をし、世界を越えるために幼い頃から続けて来た努力も想いも否定されてしまう。
 それでも、約束を思い出し、私の出自と努力を知れば――あの優しい男のことだ。
 きっと後悔に苛まれるだろう。
 あの男の枷になる。それはどうあっても嫌だから。
 ならば一人の剣士として戦って勝つと。
 それまで何も話さないと、そう決意した。

 その決意は揺るがないし、後悔もないはずなのに……こんなに暗い気持ちになるのは何故なのだろう。

 ――本当は嫌がっているのでは。
 ――命の恩人だから従っているのだろうか。
 もしかして、私は――あの男に、誓約以外のもっと別の何かを望んでいるのでは?

 ふと顔を上げるさくら。
 その脳裏に、友人達の顔が浮かぶ。

 ――二人の絆が羨ましい。
 二人は大人で、私はまだ子供で……そのどうしようもなく埋めがたい差。
 彼に必要なのは自分ではなく、彼女なのだろうと考えると――別行動を申し出たのは自分なのに、今頃2人は何をしているのだろうと、何とも言えぬ焦燥感に苛まれる。

 ――背伸びはええけどな、おんなし目線なったからておんなし絆は無理やで?
 ――いっぺん振り返ってねーちゃんが編んで来た絆っちゅーんを思い返してみいや。

 先日相談に乗ってくれたもふらの言葉。
 私が編んで来た絆は、一体どれくらいあるのだろう。
 分からない。分からないけれど。
 私は誰かの『代わり』ではなく。『私』として彼に見て欲しいのだ――。

「……このチョコレート、美味しいですね。明日2人にも勧めてあげなくては」
 独り言ちるさくら。
 重ねて来た時間と絆を思い返しながら口に運ぶチョコレートは、ほんの少しほろ苦かった。


 桜がお風呂から戻って来ると、トーヤは子供達に囲まれて、ちょっとした人気コーナーになっていた。
「待たせてすまない、桜。子供達が放してくれなくてね」
「なに、構わん。買い物を済ませておったゆえな」
「……お土産かい? 随分買い込んだね」
 ようやく戻って来たトーヤに笑みを返す桜。
 沢山の紙袋を丸い円らな瞳で見つめられて、彼女はアワアワと慌てる。
「こ、この一つは自分用じゃ。別に誰か一人だけ違うのを渡すとかはないのじゃ。本当じゃぞ!」
「荷物が多そうだから、持とうかと思っただけだよ?」
「そ、そうか! うむ! 頼んだ!」
 思わず自爆してしまい、頬を染める桜に、ククッと低く笑いを漏らすトーヤ。
 彼女から荷物を引き受けると、美しい薔薇園と、それを眺める人達が視界に入って……。

 ――こういった事が当たり前になるくらい頑張らないとね。
 
 このカワウソの着ぐるみは、考えることもどこまでも紳士だった。

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参加者一覧

  • 桜の相棒
    橘 六花la0083
    人間17才|
    ネメシスフォース×スナイパー
  • もふもふ救命士
    トーヤla0375
    ヴァルキュリア10才|
    グラップラー×セイント
  • 寡兵よく大群を破る
    神上・桜la0412
    人間10才|
    ネメシスフォース×セイント
  • 幸せ探索者
    クゥla0875
    放浪者16才|
    ネメシスフォース×セイント
  • カウンターの妙手
    秋姫・フローズンla2694
    人間19才|
    ネメシスフォース×セイント
  • 春宵
    日暮 さくらla2809
    放浪者19才|
    グラップラー×スナイパー

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