オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  2. SALF本部

  3. 【甘薔】スイート・ランテルナ

【甘薔】スイート・ランテルナ 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
恋愛 日常 
参加人数
126~12人
予約人数
10010100
基本報酬
0G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/02/15 20:00
完成予定
2020/02/28 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●Lanterna
 地中海に浮かぶ美しい島国エオニア王国。
 5年前にナイトメアの大襲撃を受け、一度崩壊したが、今は全域を取り戻した。
 戦火の爪痕が残る国を復興する為、様々な事業が行われている。その一つが外国人観光客が滞在するリゾート宿泊施設・lanterna(ランテルナ)だ。
 エオニア王国の中央にある小高い丘の上にあり、一年を通じて花が咲く美しいローズガーデンと、白壁にドーム型の鮮やかな青い屋根が特徴の円柱形のコテージが点在していた。
 温暖な気候のエオニアだが、冬は観光オフシーズン、どうしても客が減ってしまう。クリスマス前に開業したばかりの新しい施設だから、まだ世界的知名度も低い。

「ようこそlanternaへ」

 若き女性実業家のオルハ・バートンが、お辞儀をして出迎えた。

「ライセンサーへ依頼があると聞いてきたのですが……」

 アイザックは受け取った書類に困惑する。『1泊2日VIPプラン6組12名様ご招待』と書かれていた。

「ランテルナは将来的に国賓を招く為の施設を目指してます。世界中の国賓を招くとなると、施設だけでなく、最高のサービスを行う従業員も欠かせません。しかし……」

 ランテルナは襲撃によって仕事を失った国民の、雇用先としての役割もある。
 その為に若手を多く採用したが、若い故に経験も少ない。だから国賓を招く練習の為、ライセンサーにモニターをしてほしいようだ。

「せっかくのバレンタインです。最高のサービスを楽しんでお帰り頂ければ、それこそが若い授業員の勉強になります」
「ライセンサーである必要があるのですか?」
「国外から来たお客様が楽しめるサービスである必要がありますので。ライセンサーは色んな国々、いえ異世界のお客様もいらっしゃるのでしょう? それに王女様のお願いでもあるので」

 10歳の王女パルテニアは、この国の為に頑張ってくれているライセンサーを労いたいと、オルハに頼んだそうだ。

「2名様づつスイートルームでご宿泊頂く事になります。バレンタインですし、最高級のデートプランです」
「同じ部屋というのは、困る人もいると思うのですが」
 アイザックは苦笑しつつ注文をつける。恋人といっても2人で1つの部屋で寝泊まりするのは、ハードルが高い人もいるだろう。
「シングルを2部屋用意する事も可能ですが、お部屋のグレードが下がってしまいます」
「そこは宿泊者の希望でお願いします」
 いくつか打ち合わせた所で、オルハ問いかける。
「せっかくですから、アイザックさんも泊まりませんか?」
 日頃から「休暇をとれ」とよく言われるし、たまにはリゾートでのんびりするのも良いかも知れない。
「お願いします」
「どなたかご一緒がよければお招きできますが」
「1人でいいです」
 誘いたい相手が思い浮かばない。それに1人の時間をのんびり楽しむのも好きなアイザックだった。


●スイートルーム
 宿泊日当日、アイザックがlanternaの入口に到着すると、ポーターがやってきて荷物を運んでおくと言われた。
 フロントでコンシェルジュが希望を聞いてくれ、ベルボーイの案内についていく。薔薇園の奥にある鉄扉の向こうは、セキュリティがしっかりしたVIPエリアだ。
 扉の向こうに、整えられた庭が続き、離れの二階建てメゾネット式スイートコテージに続く。中に入ると、想像以上に天上が高く広々としていた。
 1階は天蓋付きのベッドが2つと、半露天の大きな風呂。樹木でしっかり守られ、外からは見えない。
 2階にあがるとリビングで、ゆったりソファに、エオニア伝統文様のカバーがつけられ、木の大きなテーブルは芸術的な彫刻が施されている。
 レースのカーテンを開けると、ベランダから見える景色は絶景だ。lanterna全体を一望でき、ローズガーデンの美しさと、空の青さに目を奪われた。
 薔薇の花園の向こうに残された古代ローマ時代の遺跡も見える。遺跡につるバラが絡む姿は、まるで古代から時間が止まったようだ。

「後で行ってみようかな」

 古代遺跡に大いに興味のあるアイザックは、楽しみで自然と笑みが浮かぶ。
 ルームサービスを確認すると、夕食は管理棟のレストランに食べに行っても、セントラルキッチンで作られた料理を運んで貰う事もできるようだ。
 ウィスキーのソーダ割りとビールを頼みつつ、室内をぐるりと回ると本棚が目に入った。
 並んでいたのはエオニアの歴史書、薔薇の図鑑、星の本。ギリシャ神話の星座の本を手に取った。

「エオニアってイタリアとギリシャ文化の影響があるんだったね」

 古代から続く歴史を感じつつ、まったりお酒を飲んで、のんびり読書タイム。


●レストラン
 ディナータイムにアイザックはレストランへやってきた。
 今はオフシーズン。窓際の眺めの良い場所にだけテーブルが並び、中央はダンス用のスペースに空いている。この広さなら、国賓を招くパーティーも出来るだろう。
 広々とした空間に、エオニアの若手の音楽家達のクラシック生演奏が流れている。

 席についてメニューを確認。若手シェフが腕を振るって用意したらしい。
 豪華なコース料理もあれば、エオニアらしく魚介を中心にした地中海料理もある。ミーベルやチョコのデザートも豊富だ。
 お酒はワインがおすすめらしいが、ソフトドリンクの品揃えも多い。

「世界各国からお客様をお招きするのですから、お客様の好みに合わせて多様な料理を用意させて頂いております」

 若いウェイターが丁寧な説明を聞き、コース料理とワインを頼んだ。
 食前酒に口をつけると、桃に似た濃く瑞々しい甘みが口の中に広がった。高級なミーベルリキュール・女神の雫を使ったカクテルらしい。

「お酒も、料理も、美味しいね」

 料理の美しさと美味しさに、思わずアイザックの表情も緩む。
 新鮮な野菜と白身魚のサラダ、海老のポタージュスープ、ホタテと鯛のソテー、トマトと野菜のソースがかかった地中海風ビーフステーキ、ミーベルジェラートとチョコムースの乗ったデザートプレートをゆっくり味わう。
 もちろん合間に、白ワインと赤ワインを両方楽しむのも欠かせない。

 食後の紅茶を楽しむ頃には、気づけばレストランの中央で、音楽に乗ってカップルが社交ダンスを踊っていた。 


●カフェバー・Lunaria
 食後にカフェバーLunaria(ルナリア)にふらりと立ち寄った。
 Lunariaは硝子張りの温室に作られたカフェだ。中央の花壇には、店名の由来になったルナリアの花が植えられ、それを囲むようにテーブルが並んでいる。
 夜空には星が輝き、薔薇園はライトアップされていて、とても綺麗だ。

 バーカウンターに座って、若いバーテンダーにお任せでカクテルを頼む。
 カクテルもソフトドリンクも種類豊富で、バレンタインの時期らしく、チョコのデザートも色々ある。

「トリュフチョコなら酒にも合いそうだね」 
「デザートは部屋までお持ち帰りも可能です」
「寝酒のブランデーのおつまみに、後で部屋で貰おうかな」

 そう言いつつカクテルに口をつけ、硝子越しに星を眺め、気まぐれに星座を探してみる。
 皆の幸せそうな様子を感じつつ、飲むカクテルも美味しいなと思いながら。

 薔薇とミーベルとチョコの甘い香り、カップル達の甘い空気が漂うlanterna。
 スイートルームで、スイートな時間を過ごしてみませんか?

●目的
 VIPな一日を過ごす


●場所
 エオニア王国のリゾート宿泊施設・lanterna(ランテルナ)
 基本2人1組で描写されます。プレで同行者指定をお願いします
 下記、3カ所から2つくらいを選び、どのように過ごすかプレに指定ください。絞った方が描写は濃くなります

・スイートルーム
 2人用の豪華なスイートコテージ。シングル二部屋が良ければプレ指定をどうぞ。その場合普通の部屋になります
 室内でのんびり過ごしても良いし、遺跡のある薔薇園を散歩もできます。防寒用のケープの貸し出しや、水筒に詰めたホットドリンクの用意も可

・レストラン
 広いホール内にあるレストラン
 コース料理の他、魚介系のパエリアやピッツァ、パスタ、ブイヤベースなど地中海料理も堪能できます
 飲み物は珈琲、紅茶、ローズティー、ミーベルジュースや、ミーベルアイスティー。お酒はワインやミーベルのカクテル
 生演奏に乗って、社交ダンスも可

・カフェバー・Lunaria(ルナリア)
 温室カフェバー。室内に花壇がある
 飲み物:カクテルの種類豊富で、バーテンダーにお任せもできる。レストランと同じソフトドリンクも
 お菓子:チーズとほろにが珈琲の香りのティラミス、杏の代わりにミーベルジャムを使ったザッハトルテ、洋酒を効かせたトリュフチョコ


●状況
 時間は午前中から夜までの一日(泊まりですがリプレイの描写は夜まで)
 OPの「●スイートルーム」以降は、リプレイと同じ時間軸
 アイザックの受けているサービスは、全部PCが体験可能

 1人参加の時は、相談卓で友人や初対面の方と、極力2人1組を作ってください
 どうしても2人1組が出来ない場合、4人以上のグループを作るのも可ですが、偶数でお願いします。(奇数は1人ぼっちが発生する為)
 アイザックの出番は助けが必要な時に、アドリブでフォローする程度

※不明点は質問卓でご質問お願いします

 お砂糖書きたい、雪芽泉琉です。バレンタインという事で2人の世界で、ゴージャスにデートする依頼にしてみました。
 宿泊自体が報酬なので、報酬なしにしています。
 抽選が発生し、カップルの片方しか参加できなかった場合は、相談卓で一緒に行動する方を探して頂く事になります。
 素敵なプレイングをお待ちしております。

▼心情
たまには、こういう場所でのんびりするのも良いよねぇ?

▼同行者
幼馴染の水無瀬 奏

▼行動
二人用のコテージを選択
同じ部屋でよいかと奏に聞かれ
「……別に構わない、けど

基本的にはスイートルームでのんびり
ベッドの上で本を読みつつ、ゴロゴロして、酒を頼んだりしてゆっくり過ごす
煙草は、室内が禁煙なら、休憩時に外で吸う←

奏の動画配信の手伝いを
主にカメラで撮ったり配信したりする
動画配信終えたらレストランへ
「んー? まぁ、腹は減ったし、一緒にレストランへ行くかねぇ?
(本を閉じて
「まぁ、旨い酒もレストランでも飲みたい、し?

社交ダンスに誘われ気だるそうだが断りはせず
「……はいはい、仕方ない、なぁ

夜は奏に誘われ二人で薔薇園へ
「……確かに静かだし、雰囲気は違う、な

チョコレートを手渡され
「……これ、喰えるの?(苦笑しつつ受け取る
「んー? まぁ、特定の誰かが居ないうちは、受けとる、さ。さすがに居たら他の人からは貰えない、しな?(奏の頭を撫でつつ

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】「わぁ、ステキな場所だね!
目的】幼馴染の鳴くんとリゾート施設を満喫!
同行者】鳴くん(la0075
行動】2人用コテージに宿泊「幼馴染だし、同じ部屋でもいいよね…?
せっかくステキなリゾートに招待して貰ったんだから、ここの良さを広く宣伝したい!
鳴くんに手伝って貰い、ホテルの許可得て動画配信
「エオニアチャンネルぅ! エオニアのよさをチャンネル。今回は薔薇園がステキなリゾート宿泊施設のlanternaに来ています!
コテージや室内の調度品、薔薇園等映して施設の良さをレポート

動画配信終えたらレストランへ
「本ばかり読んでいないで、レストランにいこうよ!
「その土地のおいしい料理を食べることは、旅行の大きな楽しみの一つだよ!
社交ダンスの様子見て
「ねぇねぇ、私たちもダンスしてみようよ!

夜、鳴くんを誘い薔薇園へ
「夜の薔薇園も昼間とは雰囲気がちがっていいね
「はいっ、この前、料理教室でチョコを作ったの!
「来年はもっとよいものをつくるから、またもらってくれる?
「むー、私のチョコは安くないよ!(むくれ
「うんっ、なってあげるから、ちゃんとチョコ食べてよね!

同行者:梓君(la2064)

久しぶりのオフということで彼女に誘われ依頼がてらリゾート地へ。
よくよく考えたら仕事なのかオフなのか分からんがまぁいいか、最高級だしね。
可能なら2泊ぐらい取れたらもっと余裕が出るが、流石に望みすぎというものか。
ともかくも荷物を置いたらバラ園に出掛けよう。こういった散策も、滅多にないことだしね。

・スイートルーム
昔は人生これ旅行…まぁ文明がファンタジーだったから逆に家事とあまりやらなかったりの。
いっそホテルに住むのもいいかもしれないがお金がかかると…秘密の貯金を使えばゴホンゴホン。
これだけ高級なリゾートであればマッサージ施設もあるだろうに…しかし、それはそれ。これはこれかね。

・カフェバー
思い出のカクテルも懐かしき…あの時の梓君はどことなく堅い雰囲気もあったけれども、今では緩やかに感じる。
時間の流れを感じながらも、カクテルの味を楽しむ。
もたれかかられたら肩を抱いて支えては、静かで大切な今を噛み締める。

@心情
リゾート地ですか~…
私最近休暇しか取っていないような気がするのですが、いいのでしょうか~…?
@目的
リゾート地で楽しい思い出を作る
@同行者
フェリシテさん
@行動
薔薇園を散策するとのことで~…この時期に薔薇とは少々珍しい気もしますが~…ふふ、楽しみですね~…♪
おやおや、防寒用のケープやホットドリンクもあるようですが~…
あぁ、そうですね~…風邪を引かないようにしないといけませんからね~…ケープを掛けてあげましょう
全体的な行動の流れは~…、雰囲気に任せるとしましょうか~…♪

散策が済んだ後はカフェでのんびり過ごすそうで~…
ティラミスと紅茶を頂きましょうか~…きっと美味しいのでしょうね~…
おや、フェリシテさんの頼んだものも美味しそうですね~…♪

旅は良いものですね~…毎回ここまで快適でなくても良いですが~…
たまにはこうしてただのんびりと過ごす時間があったとしても、バチは当たらないでしょう~…♪

  • 戦場のActress
    三代 梓la2064
    人間34才|スピリットウォーリア×グラップラー

◆同行
シンさん (la0754) 夫
そろそろ結婚1周年が見えてきた(気がする)

◆行動と動機
バタバタと忙しい日が続いていたけど、オフで二人の予定も合ったのでこれ幸いと応募
新しい日々を楽しく過ごしていくことを改めて誓いつつ、ゆっくり羽根を伸ばしたい

・スイートルーム
旅行の何がいいって、家事しなくていいことよね……
嫌いじゃないけど、楽できるならたまにはって思うのは許してくださいな
庭園でバラの香りに包まれて、ゆっくりアフタヌーンティと日光浴
ローズオイルがあるならお互いにアロママッサージなんてしてみるのも好いかもしれないわ

・カフェバー
想い出のカクテルがあるので、それを今日は自分じゃない方に作ってもらいましょうか
ほら、シンさんも座って座って
シンさんが「スカーレット・オハラ」、私が「ミモザ」……だったわね
一つ、作ってくださる?
ボックス席で隣り合ってゆるゆるとお酒と音楽を楽しんで、酔った振りしてもたれかかったりして

最近思い詰めた雰囲気のある楓とさくらを誘った
さくらは一人で考えたいことがあると別行動(【甘薔】ランテルナの1日)
明日は三人で行動予定

生まれた時から知ってる仲とはいえ男女同じ部屋はどうなんだとシングルにするつもりだったが、スイートルームの魅力には抗えなかった(
薔薇園や半露天の風呂、エオニア伝統文様にテンションが上がる。バーやレストランは何時でも行けるがスイートは滅多に無いと、夜はルームサービスで酒と料理を注文し乾杯

「最近思い出した事があるんだ。さくらとの誓約は、元々父さんが俺に話していた言葉と同じだった」
“士道とはそれをして己を捨てず、人を生かす道だ。ゆえに誰かを救う刃となれ。誰かを救う刃であれ”
以前あるエルゴマンサーは【貴様は、本当に誰かを救いたいのか?】と俺に問いかけた
「最初に救いたかったのは楓だった。誰かじゃなくお前を救いたかったんだ」
けど楓は目の前で殺されかけた
長く苦しむように、肋骨を一本一本折られ、肝臓を傷つけられて
今度こそ救いたい誰かを救えるよう、強くなろうと思って必死に修行してきた
「お前が俺の始まりなんだ」
俺は役立たずだ。それでもお前に償いたい。今度こそ間に合うように必ず守り抜く
その為にあいつとの誓約を貫き通す

楓の言葉に胸倉を掴み「俺にそんな価値はねえよ」
「死ぬなんて言うな…言わないでくれ」
寄りかかる楓に「俺もだ」と呟き手を添える

子供の頃のように仙火がはしゃいでいるから嬉しくなる
君の母上は海賊船を模した海上ホテルのスイートルーム(船長室)で父上にプロポーズしたらしいけど絶対気にしてないよね…なんて事を考えて緊張に気付かない振りをする

仙火の言葉に息を詰め、償いたいという言葉には首を横に振る
「償うべきなのは僕だ。僕は君の為に死んであげる事が出来なかった」
君も君の家族も僕を大切にしてくれた
でも周囲は僕を君の影武者だと思っていたし僕もそう信じていた
今思うと末端の僕が本家に近しい事への妬みだったのかもしれないけど
「君が助けに来てくれて本当に嬉しかったんだ」
これからずっと君の身代りで在りたいと思った。守りたいと思った
でも体は性別の違いを突き付けて僕の望みを否定する
(…本当に身代りや親友で在りたいのなら落ち込むだけだろう。けどそうじゃなかった)
(君に必要なのはさくらの方だ。その事に内心嫉妬している)

生まれた時から一緒。お互いの事はお互いより分かっていた筈だ
泣きそうな仙火に、きっと彼は僕が望めばどんな関係にでもなってくれると分かった
だって僕も同じだから
(だけど僕は君に意識して欲しい。好きになって欲しい)
君が前を向いて歩き出すまでは何も言わないけれど
掴まれた胸倉そのままに体を寄せ、肩口に額を押し当てる
「君を守るよ」
「何があっても、僕はずっと君の味方だ」
それが僕の償いであり望みだから

○同行者
天野一羽(la3440)

○スイートルーム
イオニアのリゾートにご招待ということで来てみたら、まさかスイートルームにふたりで泊まることになるとは思わなかった模様。部屋変更の申請を出していなかった。
「……その。一羽くん、どうしましょうか。」

○ローズガーデン
「その、ごめんなさいね。変なことになっちゃって。」

「遺跡と薔薇園が一緒というのも珍しいですね。」
「地中海の薔薇と言えば、ローズオイルのトルコなんかが有名ですけど、こちらも綺麗ですね。」
歴史・文化・芸術系が好きなので、こういった場所の鑑賞も好きな模様。

○スイートルーム(再)
「疲れちゃいましたし、お夕飯はお部屋で食べましょうか。」
「ギリシャあたりだと、お魚は大抵焼くか揚げるかですよね。(パエリアやブイヤベースを前に)」
ご当地モノを食べるのが好きなので、地中海の魚料理系やワインを頼む。

「あらあら。それじゃあ、お誕生日は夕ご飯にワインでも開けましょうか。」
「お誕生日って、いつなんですか?」
ワイン初チャレンジしてみれば?程度の話にも聞こえるけど、誕生日のデート予約とも取れることを平気で言ってくる人。
誕生日を訊くのも、普通の流れにも意味深にも聞こえる。天然って怖い。

「……そういえば、カップルのお客さん、多くありませんでした?」
今更。企画がカップル向けだというのも、まるっと見落としている模様

  • 深まる由縁
    フェリシテla3287
    ヴァルキュリア17才|スナイパー×セイント

■同行
ニムさん:最愛の恋人
■心情
素敵な場所ですね
ここでニムさんと二人で過ごせるなんて夢のようです(うっとり)
■目的
ニムさんと素敵な時間を過ごす
■準備
紫色のワンピースドレスでちょっとおめかし
■行動
☆コテージの薔薇園散策
綺麗ですね
こんな素敵な場所をニムさんと二人で独占してしまっていいのでしょうか
あの……手を繋いでもいいですか?

人間さんには肌寒いですか? どうかフェリシテで暖を取ってくださいませ(腕に抱きつく)
……誰も見ておりませんから、ね?(キスをする)
えへへ、大好きです

☆カフェバーで一休み
すごいです、花壇があります
可愛らしいお花ですね

フェリシテはストレートティーとザッハトルテをいただきましょう
ん、美味しいです

ニムさんとこんなに素敵な場所へ一緒に旅行できて、とても幸せです
ありがとうございます

ニムさんと初めて出会ったとき、旅行をしたいと仰っていましたよね
今日のおかげでフェリシテも旅行が好きになりました

同行:冬呼殿(la3621
本業でお疲れゆえ労いにと誘った…のは建前に丁度良かったからだが
ダークスーツ着用
冬呼の常とは違う雰囲気の恰好を褒める
「とても綺麗だ

チョコ作り教室(日方MS)で覚えた手製の日本酒ガトーショコラ持参
カットし飲物と共に部屋へと従業員へ依頼
「上手く出来ていると良いのだが
まずは部屋でゆっくり寛ぐ

レストランでディナー
コース料理と共にワインを楽しむ
「冬呼殿、踊って頂けるか?
生演奏に思い立ちダンスに誘う
故郷の立場(地球の王族相当)上、難なくリードし踊れる程度は心得あり
「お上手だ
耳元で楽しげに語りつつ

夜、薔薇園を散歩
冬呼が体を冷さぬよう確り防寒対策
「秋も一緒にこの庭園を歩いたな…手を、冬呼殿
以前と同様に手を差出すもエスコートに手を預かるではなく、握り『繋ぐ』
(心拍の速さが伝わらねば良いが…)
薔薇好きな彼女の説明を微笑ましく、前回より愛しげに耳を傾けて
タイミング計り
「冬呼殿、聞いて欲しい話がある(真っ直ぐ見つめ
「貴女も知っての通り、俺はいつ再び転移するか分からぬ身で、それゆえ『特別』を望むべきではないと考えていた。だが幾人もの方々に背中を押して貰い…心を決めた
すっと片膝つき手を差出し
「貴女が好きだ。結婚を前提に恋人になって欲しい。俺は地球で貴女と生きたい
返事に微笑み立上り、抱きしめそっと額にキス
「不確かなこの身は未来を約束出来ず…されど貴女を望んでしまうが、心は生涯添い遂げることを誓い約束する。きっと俺は貴女に出会う為に世界を越えたのだ(幸せそうに微笑
故郷の風習で心を誓う

脱力し座込んだ冬呼に、跪き持参のペンダントをつけ
「つけていてくれると嬉しい
薔薇を模ったトップにアウイナイト一粒デザインを贈る

そのまま部屋までお姫様抱っこで連れ帰り
「ゆっくりおやすみ
頬に口づけ返し、大切に大切に抱きしめ共に眠る

  • 気付いてないでしょう?
    天野 一羽la3440
    人間20才|ネメシスフォース×セイント

【来るにあたって】
え、ちょっと。これってカップル向けの依頼じゃ……。(←気づいた時には遅かった)
これ、いつものヤローチカが気づいていないパターンかも……。

【スイートルームで】
あ、いや……えっ?
2人で一部屋!?
その、ヤ、ヤローチカ……。
(↑流石に違うところで寝ることにした模様。スイートルームが広くて助かった。)

【ローズガーデンで】
スイートルームに2人で泊まって、こういう所を歩いてって、カップル向けでも夫婦とかフィアンセ同士で来るやつだよね、これ……。

あ、いや、誰が悪いとか、そういうことは……。

その、ヤローチカ、こういう所好きなんですか?
うん、すごく綺麗で……。
やっぱり学生だし、こういう海外ってなかなか……。
(↑と言いかけて、ジェラート・ラプソディや真夏の夜の夢の時、海外で彼女に何回も会ったことを思い出す。今回は2人きり……。)

【夜のスイートルームで】
(2人きりで食事というのも、もちろん初めて)
美味しい、けど、それより色々気になっちゃう……。

ああ、ワインはその、まだ19歳なんで……。
……えっ!? えっと、9月だから、まだ半年以上先で。

  • 比翼の鳥・連理の枝
    神取 冬呼la3621
    人間16才|ネメシスフォース×グラップラー

同行:アウィンさん(la3388
教授職の繁忙期を乗り越えたころ合いに誘われ休息と
他の事にもちょうど良いと思い同行

服装は袖に透け感ある紺色のワンピースドレス
真珠のネックレス、真珠と翡翠のイヤリング

行動
始めは少し恰好をゆるめ、部屋で寛ぐ
「手作りなんだ…わ、美味しい
アウィンさん手製と聞いて驚きつつ
一息入れるお供にとケーキをもらう
「私からも、日頃の感謝ということで
それだけではないチョコ味の手製マドレーヌを渡す

髪を纏め上げて装飾品を付けレストランへ
「やっぱり飲まないとね
ディナーの後ダンスに誘われ
「ブランクがかなりあるけど、それでも良ければ
色々な人と接する手段として嗜んだのも十ん年前
緊張しながら手を取るがリードのおかげですんなりと踊る

装飾品を外し、薔薇園へアウィンさんと散歩に
「ありがとう
エスコートの時に手を握られ、ドキリとしてしまい
こっそり深呼吸して落ち着こうとする
「冬もね、結構咲く薔薇があるんだよ
秋に続き冬も見事な薔薇を前に喜々として歩く

「うん
呼び止められ真剣な様子に向き合って聞く
「!…一緒にいられる時間が人より短いかもしれない。
それでも、私も貴方が好き、一緒に歩いていきたい…!
帰る場所があることは聞いていた。それでもと望まれたことに
嬉しさのあまり涙を浮かべつつも心からの笑顔で答える

そのあと緊張などのせいかぺったり座り込み
「…嬉しいことでも腰は抜けるんだね
恥ずかしくなりうつむき気味で
贈られたペンダントに「貴方の色だね、嬉しい
と笑む

横抱きで部屋に運ばれた後
「お休みなさい
と頬へ口づけをしてから一緒に眠る


 二人で一室のスイートコテージと説明され、水無瀬 奏(la0244)はちらりと吉良川 鳴(la0075)を見た。
「幼馴染だし、同じ部屋でもいいよね……?」
「……別に構わない、けど」
 子供の頃から親しい仲とはいえ、年頃ともなると照れもでる。しかし鳴はまったく気にしない雰囲気だ。
 落ち着いた調度品が並ぶ室内を、奏はぐるりと見渡した。
「わぁ、ステキな場所だね!」
「たまには、こういう場所でのんびりするのも良いよねぇ? 酒も、色々あるんだねぇ」
 ルームサービスの一覧表を見て、ミーベル酒を頼んだ。
 室内で喫煙可らしいが、匂いが籠もると奏が嫌がるかもしれない。ベランダに出てのんびり一服。

「ねぇ、動画撮影手伝ってくれない? せっかくステキなリゾートに招待して貰ったんだから、ここの良さを広く宣伝したい!」
「んー? いいけど」
 ホテルの許可得て動画撮影の準備。鳴がカメラを持ち、奏はアイドル衣装に着替え、カメラの前でにっこり撮影開始。
「エオニアチャンネルぅ! エオニアのよさをチャンネル。今回は薔薇園がステキなリゾート宿泊施設のlanternaに来ています!」
 薔薇園をゆったり歩きつつ手を伸ばし、カメラの向こうへ美しさを届ける。
「冬なのに薔薇が綺麗ですね。lanternaは古代遺跡と薔薇を一緒に楽しめる庭です!」
 本を読んだランテルナ遺跡の知識を披露し、視聴者達に魅力を伝えていく。共有スペースを撮影したら、スイートコテージへ。
「今回はlanternaのスイートコテージを特別公開です! ソファもふっかふかで流石スイートですね」
 ソファの座り心地や、スプリングの効いたベッドの寝心地まで、その魅力を余すことなくレポートし撮影終了。
 煙草を咥え動画データを確認し、鳴はBGMの選曲を始める。
「ほむん? 動画編集して、配信しておくねー」
「ありがとう。私、着替えてくるね」
 編集も配信も慣れたもの。ささっと終わらせて、ミーベル酒を飲みつつ、ベットでゴロゴロ、まったり読書。放っておいたら、そのまま一日が終わりそうだ。

 着替えてきた奏がぐいぐいと袖を引く。
「本ばかり読んでいないで、レストランにいこうよ!」
「んー? まぁ、腹は減ったし、一緒にレストランへ行くかねぇ?」
 やれやれという感じで本を閉じ、けだるげに鳴は歩き出す。意地悪だけど、奏を大事に思っているから、今日はワガママに付き合ってもよいかなと。
 奏が先に歩き、振り向きながら唇をとがらせた。
「その土地のおいしい料理を食べることは、旅行の大きな楽しみの一つだよ!」
「まぁ、旨い酒もレストランでも飲みたい、し? それも、良いかも、ね」
 席についてワインとミーベルジュースで乾杯。二人で料理を分け合って舌鼓を打つ。
「このブイヤベース、具だくさんで美味しい。鳴くん食べてみて!」
「はいはい。交換ねー」
 食後のデザートを食べ終わる頃、奏はキラキラ輝く瞳で、社交ダンスの様子を眺めた。
「ねぇねぇ、私たちもダンスしてみようよ!」
「……はいはい、仕方ない、なぁ」
 気だるそうに返事を返し、奏の手を取った。アイドルで鍛えた舞踏技術で、社交ダンスもお手の物。
 音楽の波に乗って楽しげに踊る奏の動きに任せ、鳴もステップを踏む。
「鳴くん。シャンデリアがキラキラ輝いて、綺麗だね!」
 明るい奏の笑顔を間近に眺め、こういう一日も悪くないと思う。

 食後は二人で薔薇園をのんびり散策。ライトアップされた風景は幻想的だ。
「夜の薔薇園も昼間とは雰囲気がちがっていいね」
「……確かに静かだし、雰囲気は違う、な」
 ゆっくりと二人で見て周り、休憩用のベンチに座って、奏はラッピングしたチョコを差し出した。
「はいっ、この前、料理教室でチョコを作ったの!」
 奏の料理の腕前を知っている鳴は、苦笑しつつ受け取って箱を開けた。
 まるで近代アートのような凄い見た目に、呆れまじりの苦笑いを浮かべた。
「……これ、喰えるの?」
「パティシエさんに手伝って貰ったし、美味しいよ」
 なら良いかと、パクリと一口。確かに見た目はアレだったが、味は悪くない……気がする。謎の癖があるが、食べられないほどではない。
「来年はもっとよいものをつくるから、またもらってくれる?」
「んー? まぁ、特定の誰かが居ないうちは、受けとる、さ。さすがに居たら他の人からは貰えない、しな?」
 子供をあやすように、奏の頭を撫でた。いくら幼馴染みとは言え、互いに恋人ができたら遠慮する。それを少し寂しく感じながら、苦笑した。
「ん、努力して毎年食べるとするかねぇ? 仕方ないから」
「むー、私のチョコは安くないよ!」
 むくれる奏の顔を覗き込んで、鳴は思わずぶはっと噴いた。
「……プライド高い返し、なのに、むくれてる、し」
 くすくす笑いつつ、頷いた。ポニーテールの一房へ手を滑らせ髪をすく。
「そうだな。じゃあ、お前がずっと、俺にチョコレートをくれる、特定の誰かになってくれると、嬉しいんだけど、な」
「うんっ、なってあげるから、ちゃんとチョコ食べてよね!」
 鳴の言った言葉に含まれた意味を理解してるのか、してないのか。奏の返事は無邪気で明るく、その笑顔は輝いていた。



 エオニアのリゾートにご招待と聞いて、ヤロスラーヴァ・ベルスカヤ(la2922)と天野 一羽(la3440)が案内されたのが、まさかのスイートルーム
(え、ちょっと。これってカップル向けの依頼じゃ……これ、いつものヤローチカが気づいていないパターンかも……)
 と一羽が気づいた時には遅かった。二人で泊まる事になるとは思わず、部屋変更の申請をし忘れた。
(スイートルームに二人で泊まって、こういう所を歩いてって、カップル向けでも夫婦とかフィアンセ同士で、来るやつだよね、これ……)

 どうしようと途方に暮れていると、ヤロスラーヴァが困ったように問いかける。
「……その。一羽くん、どうしましょうか」
「あ、いや……えっ? 二人で一部屋!? その、ヤ、ヤローチカ……」
「いや……ですか?」
「イヤじゃないです!」
 慌てて訂正して、わたわたしつつ、結局二人でスイートコテージに泊まる事に。

 ひとまず薔薇園を見に行こうかと、並んで歩くが、ヤロスラーヴァは申し訳なさそうに頭をさげる。
「その、ごめんなさいね。変なことになっちゃって」
「あ、いや、誰が悪いとか、そういうことは……」
 何度もそんなやりとりをして、ヤロスラーヴァの気持ちも落ち着いたのか、のんびりと景色を眺めて楽しみ始める。
「遺跡と薔薇園が一緒というのも珍しいですね」
「その、……ヤローチカ、こういう所が好きなんですか?」
 おっとりと微笑むヤロスラーヴァが眩しくて。愛称で呼んで欲しいと言われていたが、年上の女性を愛称で呼ぶのに未だに慣れない。
「はい、好きです」
 その言葉も意味深に聞こえてドギマギ。
 ヤロスラーヴァは歴史・文化・芸術が好きで、遺跡鑑賞も好きだ。スイートルームに関連書籍が置いてあった。後で読むのが楽しみだと、一羽の気持ちに気づかずマイペース。
「古代ローマ時代の大浴場だったのですね。エオニアはイタリアとギリシャの中間ですし、交易路の拠点として、栄えていたのでしょうか」
「さすが……詳しいですね」
 ヤロスラーヴァの語る言葉を、一羽はうんうんと頷くことしかできない。それでも語りを聞いているだけで楽しい。
「地中海の薔薇と言えば、ローズオイルのトルコなんかが有名ですけど、こちらも綺麗ですね」
「うん、すごく綺麗で……。やっぱり学生だし、こういう海外ってなかなか……」
 と言いかけて、春のイタリアのお祭りに、初夏のフランスの森でのお祭りに、海外でヤロスラーヴァと何回も会った事を思い出す。
 最近の任務は三人が多かったけど今回は二人。憧れのお姉さんと二人きりで、VIPなデートスポットでお泊り。純情坊やには、とんでもなくハードルが高い。

「疲れちゃいましたし、お夕飯はお部屋で食べましょうか」
「は、はい!」
 ヤロスラーヴァの提案にぎこちなく頷き、コテージに料理を届けて貰って、二人で夕食。
 パエリアやブイヤベースなど、美味しそうな地中海料理の数々に、ご当地モノが好きなヤロスラーヴは目を輝かせる。
「ギリシャあたりだと、お魚は大抵焼くか揚げるかですよね。エオニアもそれに近い食文化なのでしょうか。とても美味しいですよ。一羽くん」
「お、美味しいですね」
(美味しい、けど、それより色々気になっちゃう……)
 お祭りのように野外ではなく、部屋に二人きりで食事というのも、もちろん初めてで。
 緊張のあまり一羽はミーベルジュースをごくごく。
「一羽くん。ワインも……」
「ああ、ワインはその、まだ十九歳なんで……」
「あらあら。それじゃあ、お誕生日は夕ご飯にワインでも開けましょうか。お誕生日って、いつなんですか?」
「……えっ!? えっと、九月だから、まだ半年以上先で」
 ヤロスラーヴァ的には、ワイン初チャレンジしてみれば? 程度の話のつもりなのだが、誕生日のデート予約とも取れる。
 誕生日を訊くのも、普通の流れにも意味深にも聞こえる。そういう事を平気でさらっと言ってしまう天然って怖い。
「……えっ! えっと……、ワイン、よ、よろしくお願いします」
 一羽はそう返事をするだけで精一杯だ。

「……そういえば、カップルのお客さん、多くありませんでした?」
 今更なことを言うヤロスラーヴァは気づいてない。企画がカップル向けだというのも、まるっと見落としている。
 いつもの彼女らしいマイペースぶりに、一羽はドギマギしてしまって。
(やっぱり気づいてなかったんだ。ど、どうしよう。同じ部屋には眠れないな……二階のリビングのソファで寝ようかな……)
 物理的に距離をとってみても、すぐ近くでヤロスラーヴァが寝ているというだけで、ドギマギしすぎて。結局一睡も出来ずに、一羽ソファでゴロゴロするしかなかったのは仕方が無い。



「リゾート地ですか~……私最近休暇しか取っていないような気がするのですが、いいのでしょうか~……?」
 エオニアは初めてのニム・ロココ(la1985)は、スイートコテージの豪華な雰囲気に目を丸くする。
 その隣に立つのは、紫色のワンピースドレスでちょっとおめかしたフェリシテ(la3287)だ。ニムさんに少しでも、可愛いと思って貰いたい乙女心。
 二階の窓から外を眺め、美しい景色に、ほぅと溜息をつく。
「綺麗ですね。こんな素敵な場所をニムさんと二人で独占してしまっていいのでしょうか」
「植物が好きなフェリシテさんに、ぴったりな場所ですね~……行ってみましょうか」
「はい」
 嬉しそうな笑顔を浮かべて頷く。いそいそとコテージを出るところで、フェリシテはニムの袖を引いた。
「あの……手を繋いでもいいですか?」
「ふふ、もちろんですよ~……♪」
 うっとり夢見る乙女の顔をしたフェリシテへ、手を差し出す。ニムに手を引かれ、二人で散歩にでかけた。
 はしゃぐフェリシテを微笑ましく思いつつ、ニムは落ち着いてエスコートする。途中で宿泊者向けのサービス所を発見。
「おやおや、防寒用のケープやホットドリンクもあるようですが~……あぁ、そうですね~……風邪を引かないようにしないといけませんからね~……」
 ニムそう言って、フェリシテへケープを掛けてあげた。
「あ、ありがとうございます。では、このホットチョコレート入りのバスケットを、お願いします」
 サーモマグに入れた熱々ドリンクを持って、薔薇園へ。

「素敵な場所ですね。ここでニムさんと二人で過ごせるなんて夢のようです」
 暖かな日差しを浴びながら、のんびり散歩をして、美しい薔薇を眺める。
「この時期に薔薇とは少々珍しい気もしますが~……ふふ、楽しいですね~……♪ あ、あそこにベンチがありますね~……座りましょうか……♪」
「はい」
 にっこり笑顔で二人並んで、ホットチョコレートを飲む。くしゅんとニムがくしゃみをすると、フェリシテはその腕に抱きついて、優しく包み込む。
「人間さんには肌寒いですか? どうかフェリシテで暖を取ってくださいませ」
「フェリシテさんがいるから大丈夫ですよ~……♪」
 フェリシテの甘えを、ニムは穏やかに受け止める。その頼もしさにフェリシテはうっとりと微笑んで顔を近づけた。
「……誰も見ておりませんから、ね?」
 そう囁いて、小さくキスをした。
「えへへ、大好きです」
「えぇ、えぇ、私もですよ~……♪」
 チョコの暖かな甘さと、薔薇の甘い香り、そして二人の醸す甘い空気が辺りに漂っていた。

 薔薇園の後はカフェバー・Lunariaへ。店の名前の通り、温室カフェの中央にはルナリアの花が咲いていた。
 小さく可憐な花を見て、フェリシテは頬を緩める。植物世話用に創られたから、植物には興味がある。でも……それ以上にニムが気になる。
「すごいです、花壇があります。可愛らしいお花ですね」
「おやおや綺麗ですね~……フェリシテさんのようです~……♪」
 にこにこと語る言葉に、フェリシテの頬がぽっと赤くなった。二人は花壇がよく見える席に座ってメニューを開いて、どれにしようか相談する。
「ティラミスと紅茶を頂きましょうか~……きっと美味しいのでしょうね~……」
「フェリシテはストレートティーとザッハトルテをいただきましょう」
 運ばれてきたケーキが美しく、わっと目を輝かせ。ゆっくりと味わう。
「ん、美味しいです」
「おや、フェリシテさんの頼んだものも美味しそうですね~……♪」
「よかったらどうぞ。あ〜ん」
 差し出されたザッハトルテを、ニムはぱくりと口にする。

 お菓子の甘さを堪能し、紅茶でほっと落ち着いて、のんびり花壇を眺めた。
「ニムさんとこんなに素敵な場所へ一緒に旅行できて、とても幸せです。ありがとうございます」
 ニムへの感謝の気持ちを込めて、小さく頭をさげる。
「喜んでもらえて、よかったです〜……旅は良いものですね~……毎回ここまで快適でなくても良いですが~……たまにはこうしてただのんびりと過ごす時間があったとしても、バチは当たらないでしょう~……♪」
 ニムが楽しそうにリラックスしてる姿が嬉しくて、フェリシテは、はにかむような笑みを浮かべて想い出に浸る。
「ニムさんと初めて出会ったとき、旅行をしたいと仰っていましたよね。今日のおかげでフェリシテも旅行が好きになりました」
「ふふ、それは良かったですね~…♪」
 二人が付き合い始めたのが昨年の四月。もうじき一年となる。長いようであっという間な時間。
 互いに楽しい日々を過ごしているが、こんな時間が永遠に続きますように、そう願わずにはいられなかった。




 忙しい日々に追われていたシン・グリフォリシア(la0754)だったが、久しぶりのオフという事で依頼がてらランテルナへやってきた。
 二人の予定が合うオフだからと、これ幸いと三代 梓(la2064)が応募していたのだ。
「よくよく考えたら仕事なのかオフなのか分からんがまぁいいか、最高級だしね」
「そうね。今日はゆっくり羽根を伸ばしたいわ」
 受付で説明を受けてコテージへ向かう。豪華な調度品を眺め、どっしりとソファに座った。
「良い場所だな。可能なら二泊ぐらい取れたらもっと余裕が出るが、流石に望みすぎというものか」
「スイートは今日一泊だけだけど、他の部屋なら空いてるかも知れないわね。オフシーズンだし。せっかくならのんびりエオニア観光もよいわね」
「ああ、それは良いな」

 コテージに荷物を置いて、二人は薔薇園へ散歩に向かった。
 薔薇園の中に東屋があり、カフェから出張で届けられた菓子でアフタヌーンティを楽しめる。
「こういった散策も、滅多にないことだしね。昔は人生これ旅行……まぁ文明がファンタジーだったから逆に家事とかあまりやらなかったりの」
「旅行の何がいいって、家事しなくていいことよね……嫌いじゃないけど、楽できるならたまにはって思うのは許してくださいな」
「いっそホテルに住むのもいいかもしれないがお金がかかると……秘密の貯金を使えばゴホンゴホン」
 うっかり秘密を話しかけて、梓は苦笑い。
「無理しなくても、こういう贅沢はたまにだから良いのよ」
 薔薇の香りに包まれて、チョコ菓子と紅茶を飲みつつ、暖かな日差しを浴びる。実に贅沢で優雅な時間だ。だが二人で過ごす穏やかな時間こそ、何よりの贅沢なのだろう。
 何も言わずとも、手を伸ばせば手を重ねられ、幸せに包まれるのを感じながら。


 一度コテージに戻って、せっかくだからと半露天のお風呂に、二人でゆっかり浸かる。
 外の空気を吸いながら景色を楽しめる開放的な湯船だが、美しく整えられた生け垣で囲われ、他人に見られずにのんびりできる。
 小さな庭には可憐な野の花や薔薇が、ひっそりと植えられていた。
 備え付けのローズオイルの香りを堪能し、梓は微笑みかけた。
「ローズオイルがあるなら、お互いにアロママッサージなんてしてみるのも好いかもしれないわ」
「これだけ高級なリゾートであればマッサージ施設もあるだろうに……しかし、それはそれ。これはこれかね」
「シンさんの肩を揉ませてくださいな」
 オイルを手の中で伸ばして、湯船に浸かるシンの首や肩の凝りをほぐすようにしっかり揉む。
「ああ……これは確かに気持ちが良いな。梓君にも」
 そう言って梓の手を引いて、湯船に浸からせる。ローズオイルを梓の手になじませ、優しく丁寧に撫でた。
「ふふ。やっぱり愛情が籠もったマッサージの方がリラックスするわよね」
 お湯の温かさと、愛の温かさに、体の芯まで温めて。二人きりの時間を堪能。


 食事を終えてから、カフェバーLunariaにやってきた。広々ゆったりしたボックス席に座った梓は、隣をぽんぽんと叩いた。
「ほら、シンさんも座って座って」
「ああ……」
 シンはそう返事をしつつ、ゆっくりバーカウンターを眺めて思い出す。
 梓がやっているBARにシンが客として訪れた。
 それが二人の出会いで。だからBARでカクテルを傾けることは多いのだが、梓の店ではないのが新鮮である。

「想い出のカクテルがあるので、今日は自分じゃない方にお願いしましょうか。一つ、作ってくださる?」
 梓が頼んだのは、鮮やかな赤が美しい『スカーレット・オハラ』と爽やかな黄色の『ミモザ』だ。
 カクテルのレシピは数あれど、作る人間によって、味わいも見た目も違う。
 二人でカクテルグラスを手にとって、軽く乾杯。落ち着いて一口含み、しっとりその味を楽しむ。
「思い出のカクテルも懐かしき……あの時の梓君は、どことなく堅い雰囲気もあったけれども、今では緩やかに感じる」
「そうね。こんな穏やかな日々を過ごせるのは、シンさんのおかげ」

 緩やかに流れるジャズに耳を傾けつつ、緩やかな時間の流れを感じながら、カクテルの味を楽しむ。
 その空気に浸って、酔ったように梓はもたれかかる。シンはしっかり肩を抱いて支えた。こうしていつでも自分を受け止めてくれる。その安心感が何よりも幸福だ。
 幸せをくれる人へ、感謝の気持ちをこめて。シンの胸に手を添え、その目をじっと見つめて。
「新しい日々を楽しく過ごしていく。そう改めて貴方に誓うわ。シンさん……愛してるわ」
「俺も梓君を愛してるよ……」
 梓の耳元で囁き、耳に唇を落として抱きしめる。
 二人の前に並べられたカクテルの意味は『情熱』と『秘密の恋』。皆に交際を告げる前に、二人きりで愛を誓った想い出の刻。
 あの誓いは、まだ二人の胸の中に炎の様に揺らめいて。燃え上がる愛は消える事無く、二人を照らし続けた。
 そのまま順調に愛を育み、二人はジューンブライドの頃に結婚した。
 カクテルを味わいながら、今、こうして静かに大切な時間を過ごせる、平和の尊さを噛み締める。

「そろそろ部屋に戻るとしようか」
「そうね。せっかくのスイートルーム。シンさんとの時間をたっぷり楽しむわ」
 立ち上がった梓の腰に手を添えて、ぴたりと体を寄せ合って、気持ち良く酔った気分に浸りながら、二人の愛の巣へ。
 二人の時間はこれからも続く。



「流石スイートルームだな。二階から見える薔薇園が凄い綺麗だな! 露天風呂も気持ちよさそうで、このクッションカバー、エオニア伝統文様か? 旅行に来てるって感じで良いな!」
「そうだね。のんびりできそうだよ」
 スイートコテージの豪華な設備に不知火 仙火(la2785)のテンションが上がる。子供の用にはしゃぐ仙火を見て、不知火 楓(la2790)は嬉しそうに微笑んだ。
(まるで子供の頃のようだな)
 生まれた時から知ってる幼馴染みとはいえ、男女同じ部屋はどうなんだ? とシングルにするつもりだったが、スイートルームの魅力には抗えなかった。
 忙しなく探索を続ける仙火と、ソファでのんびりな楓。内心、引っかかっている。
 仙火の両親は海賊船を模した、海上ホテルのスイートルームでプロポーズしたらしい。
(そんなこと、絶対気にしてないよね……)
 あれこれ考えを巡らせ、緊張に気付かない振りをした。

 酒と料理を部屋に運んで、二人で夜は飲み明かす。それはいつもの事で、しかしスイートルームの雰囲気が特別で。
「……乾杯」
 静かに、囁くように、口にして、しんみりと料理を楽しんだ。

 今、ここにいるのは二人きり。だがエオニアへ誘った三人目がいる。
 なんだか最近思い詰めた雰囲気の二人が放っておけなくて。気分転換になればと。
 今頃、ランテルナの何処かにいる存在を、二人はどうしても意識してしまう。

「最近思い出した事があるんだ。あいつとの誓約は、元々父さんが俺に話していた言葉と同じだった」
「うん」
 楓は仙火の隣で、グラスの水面を見つめながら頷く。隣は居心地が良いけれど、目を合わせられない。
 もしあの子なら仙火の向かいに座って、まっすぐに顔を見て話すのだろう。楓にはできない。そこに仄暗い感情を抱く。

 “士道とはそれをして己を捨てず、人を生かす道だ。ゆえに誰かを救う刃となれ。誰かを救う刃であれ”

 その言葉の重みを仙火は強く意識している。あるエルゴマンサーは『貴様は、本当に誰かを救いたいのか?』と問いかけた。
「最初に救いたかったのは楓だった。誰かじゃなくお前を救いたかったんだ」
 血を吐くように重い言葉は、楓の心に波風を立てる。

 楓は仙火の目の前で殺されかけた。仙火の身代わりと偽って守ろうとし、仙火も楓を守る為に立ち上がったが返り討ちにあって。
 今も瞼を閉じると鮮やかによみがえる光景。
 長く苦しむように、肋骨を一本一本折られ、肝臓を傷つけられて。痛いだろうに、楓は必死に食いしばって声を漏らすまいとした。
 跡取り息子の名に傷をつけない振る舞いをしなければと。

 その楓の献身に報いたい、自分の弱さが悔しい。今度こそ救いたい誰かを救えるよう、強くなろうと必死に修行した。

「お前が俺の始まりなんだ」
 そう呟き、楓をまっすぐに見る。
「俺は役立たずだ。それでもお前に『償いたい』今度こそ間に合うように必ず守り抜く。その為にあいつとの誓約を貫き通す」

 仙火の言葉に息を詰め、償いたいという言葉に、首を横に振る。
 まっすぐな姿が眩しくて、顔を合わせる事もできず、ただワインの水面を見つめる。その色が濁った血に見えた。
「償うべきなのは僕だ。僕は君の為に死んであげる事が出来なかった」
 『死ぬ』の言葉に、仙火は思わず胸倉を掴んで叫んだ。
「俺にそんな価値はねえよ!」
 楓の命より、自分の命の方が重い。そんな事あるわけがない。そう言い切って。

 しかし楓は譲らない。仙火の為に死ねなかった。心に影を落とす、大きな過ちだ。
 仙火もその家族も楓を大切にしてくれた。だが周囲は楓を影武者だと思っていた。末端の楓が本家に近しい事への妬みだったのかもしれないが、自身もそう信じていた。
 ただの影武者の自分に、優しさをくれた。

「君が助けに来てくれて本当に嬉しかったんだ。これからずっと君の身代りで在りたい、守りたい」

 けれど楓の願いとは裏腹に、体は性別の違いを突き付けて、細やかな望みを否定する。年を経るごとに、仙火と楓の容姿は離れ、男女の違いを否応なく突きつける。
 いつの間にか二人の想いに隔たりができていた。
(……本当に身代りや親友で在りたいのなら、落ち込むだけだろう。けどそうじゃなかった)
 ただの幼馴染み、身代わり、親友。そんな関係では飽き足らない想いを抱いてしまった。
 それに気づいたのはあの子のせいかもしれない。

「死ぬなんて言うな……言わないでくれ」

 仙火の悲痛な嘆きに、微かな喜びと、ちりちりと胸を焦がす想いに苛まれる。 
(きっと仙火は僕が望めばどんな関係にでもなってくれる。だって僕も同じだから)
 恋人になってくれと言えば、仙火は『楓の望みを叶える為に』頷くだろう。それではダメだ。
(僕は君に意識して欲しい。好きになって欲しい)
 仙火が恋愛に積極的になれないのは、己の問題に悩まされ、踏み切れないからと解っていた。だから前を向いて歩き出すまでは、何も言わない。そう決めている。

 掴まれた胸倉をそのままに体を寄せ、肩口に額を押し当てた。
「君を守るよ」
 ──僕の命を捧げて。その言葉を楓は飲み込んだ。
「俺もだ」
 寄りかかる楓に手を添えて、仙火は囁き返す。
 ──大切な存在を何一つ失わせない。そう覚悟を決めて。
 同じ刻を過ごし、同じ言の葉を口にして、されど想いはすれ違う、同床異夢。

 楓が殺されかけたからこそ、仙火は思う。誰かの為に犠牲になるのは、その誰かに重荷を背負わせるのだ。
 自己犠牲ではなく、自分を守り、大切な人も守れる程に強くならないといけない。
 今の自分には大それた望みかもしれないが、努力する事を忘れてはいけない。尻込みもできない。
 それがあいつとの誓約だ。

 楓は思う。今、自分の顔はきっと、醜い感情をさらけ出しているだろう。
(君に必要なのはあの子だ。その事に内心嫉妬している)
 仙火は前を向こうと思い始めている。そのきっかけを作り出した、あの子。
 彼女が仙火の特別になって、自分は隣に立つことさえ許されなくなるのかもしれない。

「何があっても、僕はずっと君の味方だ」
 それが僕の償いであり、望みだから。



 神取 冬呼(la3621)が教授職の繁忙期を乗り越えた頃、お疲れ様の労いにどうかとアウィン・ノルデン(la3388)に誘って、やってきましたランテルナのスイートルーム。
 今からきっちり決めすぎては疲れると、少し恰好をゆるめて、部屋でのんびり寛ぐ。
 そこへ従業員がワインと一緒に、日本酒ガトーショコラを持ってきた。アウィンが先日の任務で作ったチョコを、預けてあったのだ。
「上手く出来ていると良いのだが」
「手作りなんだ……わ、美味しい」
 手作りと聞いて驚く冬呼は知らない。ガトーショコラを作る時、想いが溢れすぎて、ガチな念がこもる勢いで、修羅な乙男と化していたことを。
 冬呼が口に合うのか、緊張で冷や汗をかきそうなくらいなのに、表情はいつも通り淡々と。
 ぱくりと食べたガトーショコラは、口の中で溶け、香りが広がる。
「美味しい。日本酒がふわっと香るんだね」
「冬呼殿の口にあってよかった」
「私からも、日頃の感謝ということで」
 ラッピングした箱を取り出した。日頃の感謝と言いつつも、密かに恋心を忍ばせている。アウィンが大切に受け取って、中を開けるとチョコ味の手製マドレーヌが入っていた。
 ふっと表情を緩める。
「とても美味しそうだ。ワインとも合うだろう」
 グラスにワインを注いで、乾杯して、酒と共にチョコの甘さを堪能した。

 この二人、これだけ甘い空気を醸しているのに、未だに互いの思いに気づいてない。じれったい両片思いの間柄だった。

 二人はドレスアップして夕食へ向かう。
 袖に透け感ある紺色のワンピースドレスに身を包んだ冬呼は、長い髪を纏め上げ、真珠のネックレスと真珠と翡翠のイヤリングを合わせる。
 フォーマルな装いの冬呼を見て、アウィンは目を細めた。
「とても綺麗だ」
「アウィンさんも、さすが似合ってるね」
 きっちりダークスーツを着こなす姿は、育ちの良さが隠せない。
 互いに見慣れない新鮮な格好良さに見とれかけ、目を逸らす。レストランに向かう間、互いの事が気になってしかたなくて、手も触れられずに沈黙したまま歩く。

 レストランの席に座ってやっと緊張がほぐれた。選んだのはコース料理と、‘16年の赤ワイン。以前ランテルナに来た時にお勧めされたワインだ。
「あの時のワインも美味かったが、今日も格別だな」
「ここに来たら、やっぱりワインを飲まないとね」
 デザートまで口にして、ほろ酔い気分にのって、アウィンは立ち上がり手を差し出す。
「冬呼殿、踊って頂けるか?」
「ブランクがかなりあるけど、それでも良ければ」
 手に手をそっと重ね、立ち上がってホールの中央に進んだ。

 冬呼が色々な人と接する手段としてダンスを嗜んだのは、十ん年前。無事踊れるか不安があった。
 しかし故郷では王族並の立場だったアウィンのリードは実にスマートで、緊張していた冬呼もすんなり踊れた。
 上手く踊れた喜びで、自然と笑みが浮かぶ冬呼の耳元に、楽しげに囁いた。
「お上手だ」
「……あ、アウィンさんのリードが上手だから!」
 赤くなる頬を隠したくて、アウィンの胸に顔を埋めた。心の中で『この天然紳士め』とぼやきながら。


 冬呼がネックレスやイヤリングを外している間に、アウィンが防寒用ケープを借りてきて、そっと肩にかけた。
「ありがとう」
 過保護なアウィンの対応に慣れた冬呼は、素直に礼を言って、そのまま二人は夜の薔薇園で散歩を始める。

 二度目の来訪に懐かしさを感じつつ、のんびりと歩いた。
「秋も一緒にこの庭園を歩いたな……手を、冬呼殿」
 差し出された手に手を重ねると、先ほどと違いしっかり握られて、そこに『繋がり』を感じて、冬呼はこっそり深呼吸して落ち着こうとする。
 スマートにエスコートしてるように見えて、アウィンの心拍数は危険水位なぐらいに早くなっていた。
(心拍の速さが伝わらねば良いが……)

 冬呼もまた、緊張で胸が張り裂けそうで、自分の気持ちを誤魔化すように、明るく語り出す。
「冬もね、結構咲く薔薇があるんだよ」
 見事な薔薇を喜々として眺め、楽しげに語る冬呼の様子を、アウィンは微笑ましく、愛しげに耳を傾けた。
 秋にも薔薇好きな彼女の説明を聞いたが、その時はまだ自分の気持ちを自覚してなかった。
 恋心に気づいた今は、愛しさが募るばかり。

 薔薇園の真ん中で頃合いを見計らい、アウィンは立ち止まった。
「冬呼殿、聞いて欲しい話がある」
「うん」
 真っ直ぐ見つめるアウィンの瞳はどこまでも真剣で、だからこそ、きちんと向き合わねばと冬呼は深呼吸して、覚悟する。
「貴女も知っての通り、俺はいつ再び転移するか分からぬ身で、それゆえ『特別』を望むべきではないと考えていた。だが幾人もの方々に背中を押して貰い……心を決めた」
 すっと片膝つき、手を差出す。目を逸らさずに、ただただ冬呼だけを見つめる。

 ──薔薇も星も目に入らない程に、貴方だけを見てると想いをこめて。一世一代の覚悟で、まっすぐに告げた。

「貴女が好きだ。結婚を前提に恋人になって欲しい。俺は地球で貴女と生きたい」

 愛の言の葉に冬呼は息を止め、その想いを噛みしめた。
 帰る場所があると聞いていた。いずれ彼は元の世界に帰らなければいけないかもしれない。その不安に彼が悩んでいたのを良く知っていたから、それでもと望まれた事に冬呼は驚きを隠せない。
 冬呼も色んな事情で、恋心を告げるのを躊躇い続け、今日告げようとやっと決心していたのだ。
 まさか先を越されるとは思わなかった。

 見つめ合ったまま、二人の間に沈黙が横たわった。

 沈黙は一瞬、されど永遠に感じるほど長く、まっすぐに見つめながら、冬呼の返事を恐れた。
 緊張で震え、涙を浮かべる冬呼の姿に、やはり迷惑だっただろうかと、アウィンの表情はせつなく曇る。
 だがそれは杞憂だった。嬉しさのあまり涙を浮かべたが、すぐに心からの笑顔を浮かべる。

「! ……一緒にいられる時間が人より短いかもしれない。それでも、私も貴方が好き、一緒に歩いていきたい……!」
 想いの籠もった冬呼の返事を聞いて、アウィンの不安は吹き飛ばされた。
 喜びのあまり立上って、優しく抱きしめ、そっと額にキスをした。

 ──それはアウィンの故郷カロスでは生涯を誓う意味。自分の全てを捧げる覚悟を示す。

「不確かなこの身は未来を約束出来ず……されど貴女を望んでしまうが、心は生涯添い遂げることを誓い約束する。きっと俺は貴女に出会う為に、世界を越えたのだ」
「世界を超えて……嬉しい」

 微笑んでゆっくり離れると、冬呼は幸せのあまり緊張が緩んで、ぺったり座り込んでしまった。
「……嬉しいことでも腰は抜けるんだね」
 情けない姿に恥ずかしくなって、うつむいてしまう。そんな冬呼の前に跪き、華奢な首筋に触れた。
「つけていてくれると嬉しい」
 首に付けたのは、薔薇を模ったトップにアウイナイト一粒デザインのペンダント。永遠を誓う覚悟の印として用意していた。
 青い石を見て、冬呼は穏やかに笑みを浮かべる。
「貴方の色だね、嬉しい」
 可憐に微笑む冬呼に、ペンダントは良く似合っていた。
 真珠のネックレスは仕事用に仕方なく買った物で、あまりアクセサリーを身につけたいと思わなかった。
 でもこのペンダントは、初めて心から身につけていたいと思う。
「あまり座り込んでいては体によくない」
 そう言って、冬呼をお姫様抱っこ抱えた。
 いつもなら慌てて制すのだけど、もうそんな遠慮も必要ない。だって恋人同士なのだから。嬉しさと甘さに酔って、大人しく胸に寄りかかる。
 そのまま部屋に戻り、冬呼をベッドに寝かせ離れようとして、アウィンはその顔を引き寄せられた。
「お休みなさい」
 そう囁いて頬に唇を落とす。アウィンもそれに返す様に頬に口づけを返す。
「ゆっくりおやすみ」
 壊れ物を扱うように、冬呼を大切に大切に抱きしめて。そのまま横になる。
 瞼を閉じても、互いの温もりを感じて、その幸せに浸って眠りについた。

 雨の紫陽花で生まれた恋の蕾は、甘い薔薇園で花開く。二人の幸せな刻が、永久に続きますように。


 チョコレートと薔薇の甘い香りに包まれたコテージに、いくつもの想いが紡がれる。
 爽やかさ、初々しさ、可憐さ、色っぽさ、切なさ、甘さ、様々な恋の花が、ランテルナに咲き乱れる。
 もうじき冬が終わり、春が訪れる。
 皆の未来が、春のような温かく穏やかな日々となりますように。

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