オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. エオニアのBTRPG酒場「ドレシド」

エオニアのBTRPG酒場「ドレシド」 瀬川潮

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1000
ジャンル
冒険 バトル 日常 
参加人数
63~6人
予約人数
10010100
基本報酬
180000G
180SP
1800EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/01/29 20:00
完成予定
2020/02/15 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●ここは西欧、エオニア王国
「これでアンタも……ハロワ行きよっ!」
 森の中で深夜百世(lz0083)が拳銃の一撃で至近距離にいた小鬼ナイトメアを倒した。
 なかなかカッコいいのだが、目の仇のように狙われ味方の射撃で敵多数を倒してもらい、最後の一匹だけを間近で射抜いているわけなのであまり戦力になってないともいえる。
 で、大丈夫と寄って来た味方が聞くのだ。
「無事でよかったけど……どうしてハロワ行き?」
「だってナイトメアの持ってた武器がつるはしやハンマーだったでしょ? まるで働いてるみたいだったから社畜の墓場に送ってやろうかなって」
 ハロワ、えらい風評被害。
 ともかく、ここヨーロッパの島国「エオニア王国」での今回の小規模戦闘はおしまいだ。
 戦場となった東部の森林から離れ港のある南部の首都へ向かう。今回の作戦はSALF支部からの派遣なので報告はそこにする必要がある。
「あ、そうだ」
 ここで百世、ピンときた。
「あの……戻ったらお酒飲みに行きたいな。私、こう見えて二十歳だけどちゃんとお店でお酒飲んだことなくて……。この前、作戦の後でホットワイン飲んで美味しかったから、またみんなと飲んでみたいな、って……」
 もじもじと上目遣いのお願い。
 もちろん、ほかの作戦参加者も打ち上げは歓迎である。
「どうせ飲むならSALFメンバーの行きつけじゃない、ご当地の酒場が良くない?」
「そうだな、現地の店の開拓もしなくちゃな」
 というわけで、首都に戻って比較的観光客の多い、珍しい店で飲むことになった。

●首都の変わった酒場
 でもって、入ったのがバー「ドレシド」。
 何でも「バートークRPGバー」というのが売りらしい。特殊な営業形態のようだ。
 で、入店。
「いらっしゃいませ。RPG酒場『ドレシド』へようこそ」
「ドレシド?」
 バーテンにそういわれて聞き返す百世。
「幅広く、という意味です。ウチはこのルールブックを使用してます。幅広く遊んでほしいですね」
 差し出されたのは一枚の紙だ。

▽▽▽以下、ルルブ▽▽▽
■BARトークRPG「ソード・シング・ソング」(SSS)
 ここは剣と魔法の世界。突如実体化して人々を襲う「無魂(むごん・パントマイム)」から、「音斧(おんぷ)」の魔法武器や魔法媒体で武装した「魔奏者(まそうしゃ・キャスト)」が立ち上がる。「魔奏協会(まそうきょうかい・オペラ)」に所属し人々を、王国を守れ!
 魔奏者が魔奏能力を発揮するにはPLの瞬間的な「酩酊」状態が必要だ。
 魔奏者(PC)の背後(PL)たちよ、いざ酒を飲まん!(20歳未満はプレイ禁止)

※簡易ルールでは
・PCの能力は決めず、PLの飲酒能力に合った職(ジョブ)をロールする
・PCの攻撃、攻撃魔法、補助魔法(味方に飲ませるために自分も飲む)をするたびに飲酒が必要
・必殺技や範囲魔法など強力な攻撃をPLが望めば、一度に飲む酒の量を増やすことで許可する
・PLはダイスロールが必要な判定ごとに飲酒する

 敵「無魂」は各種形状があるが、無言が基本。倒すと消える。通常武器では歯が立たず、二つの音符(ド・レなど)を組み合わせて生成した魔法の武器や道具「音斧」でないとダメージを与えられない。したがって、現時点で実体化する敵は弱いものである(強いとすでに世界崩壊)。
 武器や装備の形状は個人サイズなら問わない。威力は音符の数により、初期の音符は二つだけ。

 なお、繰り返す。
 攻撃や魔法発動時、ダイスロール時には【宣言後に必ず酒を飲むこと】!
 一口でもいい。酒場で酒を飲まないのは不義理であり、そうしないのであれば別の場所で別のゲームを楽しむべきだ。
 また、経験値の保存やデータの保管は、PLのキープしたボトルに掛けるタグを使うといい。そうしないのであれば以下略である。
 もちろんゲームの展開に関係なく普通に飲んでもいいがいざという時に飲む余力を残しておくべきだ。
△△△ルルブ、以上△△△

「初めての方なら私がGMを務めましょう。何かの打ち上げですか? 乾杯の後に早速、小さな農村を襲った野犬使い鬼を倒しに行きましょう。特産のミーベル酒やブランデーなどの各種水割りが揃っております」
 マスターはそういってサイコロを取り出すのだった。
 早速乾杯してキャラメイクをする。

※お酒の飲めるPC推奨
 小物のナイトメア討伐後、打ち上げで訪れた酒場でお酒と酒場専用のテーブルトークアールピージーを楽しんでください。

 ゲームの魅力は
・PCが実際に酒を飲んでゲーム内PCが敵と戦う
・弱い敵がたくさんなのはわざと。連続討伐して連続飲酒に挑戦してもらう
・酒に弱い人は頑張って酒を飲んで味方を応援しよう(補助魔法)
・戦いとは別に戦況を分析し(その都度酒を飲む)、味方に有利な情報提供をしよう
 など、みんなで協力して酒を飲むもとい、ゲームを有利に進めることです。

 今回は簡易ルールで遊ぶので、ゲーム内PCの名前だけ決めて能力値はPC情報に基づく感じで行きましょう。ただし、PCの飲酒能力によりゲーム内PCの強さが変わるでしょう。

 ゲーム内ゲームの依頼は小物討伐です。
戦場:民家の密集した農村。農場は民家の周りに。
時間:休日の昼食時間。農民はほぼ民家にいます。
戦況:ゲーム内PCは野犬調査を依頼され農村を訪れますが、村の南に到着した時に村の北部から襲撃が始まったところ
敵:以下。いずれも近接物理攻撃。
・野犬×多数(雑魚)
・小鬼×少数(弱い。野犬使い)
・大鬼×1(リーダー。強い。数ターン後に村到着)

 この店のミーベル酒は甘いピーチツリーフィズみたいなカクテルにしています。
 ほかは水割りがメーン。カクテルはまあ、それなりに。

 以下、深夜百世の現段階のキャラシート
名前:モモヨ・モモ(18歳・魔奏使い)
武器:桃色の縄跳び(音斧=シ・ド↑)
行動:お酒を飲む魔法少女。戦闘では味方に付いて行って防御魔法「身代わりカーテン」で味方を守るよ(酒+1)。攻撃魔法は「縄跳び音波」(酒+1)。射程は短いから弱いお酒ね。敵を早期に探すためにもお酒飲む。これだけ飲んだらもうふらふらかな(汗。お酒は甘くてカラフルなカクテル希望です。

 ふらっと、瀬川です。

 個人的にはエオニア王国での初依頼。百世に酒を飲ます依頼をここにくっつけます。
 ついでにオリジナルのバートークRPGも。

 ゲーム内ゲームでは酒を飲んでサイコロを振って、野犬であれば数が大きいほど派手に倒れ敵が強いほどダメージが多く通ります。頑張ってたくさん酒を飲んでサイコロを振っていざ武勇伝を。
 でもって、美味しくお酒を飲みましょう。

【心情】
「あら…百世ちゃんもアルコールに興味のあるお年頃?」
「あたしは普段はあんまり飲まないけど、年齢的には問題ないわよ」
「あたしはぶどうのポリフェノールを含む赤ワインね。銘柄は2級のコンテス、あるなら1級のラトゥールを頼むわ」

「リンクス兄さん、そんなに飲めるの…?」
「斬華姉さん!?しっかり~!」
「飛鳥ちゃん、ついていけそう?」

【目的】
ゲームを楽しむ
百世ちゃんにお酒の飲み方を教える

【準備】
携帯品:赤薔薇の模様が刻まれたワイングラス

希望クラス:フェンサー
「スピードとテクニック重視型な軽剣士の美女ね」

【同行者】
深夜百世

【行動】
うわばみ1使用、普段は少しずつ飲み上位クラスチェンジ狙う

途中、ワインの合う料理(ステーキ&チーズ、野菜のマリネ等)を頼む
「百世ちゃん、水割りしましょ」
「お酒は料理にも良く使われるわ。代表的なのは肉類ね」

☆進行
先にザコ敵を幻想之刃で一掃、早めにボスを孤立させる
ボスは舞うように翻弄しながら攻め、最後超必殺技で決め

☆必殺技
通常:セットした技を1種類ずつ使用
超必殺技:飲酒量を増やし、セットした3スキルを連続発動
「TRPGなら…普段できないことをやってもいいわよね?」
「まずは…レッド・クイーン!」
「更に!ブラックバカラ!」
「とどめ!クリムゾン・グローリー!これが、ル・ムヴマン・フィナールよ!」

【心情】
えっ!?酒を飲むほど強くなれるゲームがあるんですか!?
【目的】
たくさんお酒を飲みゲームを楽しむ

【行動】
兎に角お酒を飲みまくりましょう
ゲーム前から誰彼構わず何度も乾杯を繰り返し…
始まってからはうわばみも使って強いお酒もどんどんといきましょう
他の方が辛そうだったらそのお酒も肩代わりしたり
途中でチェイサーも挟みつつダウンしないよう注意してとことん楽しみましょう

【キャラシート】
名前:レイ・フカミ(24歳・魔奏師)
武器:魔奏管(トランペット) 雪風(音斧=ソ・ラ)
行動:寡黙でKOOLな魔奏師。後衛職として敵の射程外で行動する。
敵に対しては移動阻害魔法「マッド・スライド」や単体攻撃魔法「スティンガー」を放ち、味方には防御付与魔法「エンジェル・ウィング」や強化魔法「サムライ・ロック」を使う。 また、索敵の為に探知魔法「アラウンド・ザ・ワールド」も使用する。
射程を長くする為にも強いお酒をどんどん飲んで、量も飲んで乱れ撃ち…みたいな?

  • 首があるなら刈ってみせる
    紅迅 斬華la2548
    人間25才|セイント×ネメシスフォース

打ち上げはとても楽しみにしていたのですが、お酒ですか!?

目的
TRPGを遊ぶ

行動
「お酒は飲んだことないのですよね…。大丈夫かしら?百世ちゃんは飲めるの?」
ゲーム中最初はちびちび飲んで補助魔法を使ってみんなをサポート
弱いので段々酔ってくる
「むむむ…。甘くて美味しいですけど、ふらふらしますね???」
流石にまずいので、紅迅の身体操法を使用し発汗により急速に体外にアルコールを排出
「ふぅ…。これでなんとか…♪」
攻防の隙を見て大量飲酒し範囲攻撃でまとめて首を刈る

その後はアルコールの除去に少し時間を使う為、またちびちび飲んでみんなを補助
「もう少し毒を排出する修業もしておくべきでしたね…。未熟です♪」
盤面の状況を見て火力か補助かを判断
必要ならば飲酒して補正を高めてスキルを使用

ゲーム終了後はぐったり
「慣れない技は使うものではありませんね…。鍛えておきます…。」

しばらくすればすぐ元気になるので百世ちゃんと世間話
依頼の話や恋バナなど
「この間首のないナイトメアが出てすごく腹が立ったんですよ!百世ちゃんは最近なにかありましたか?」


  • 陽波 飛鳥la2616
    放浪者22才|スピリットウォーリア×スナイパー

TRPGか・・面白そうね!
初めての右も左もわからない初心者だけど
TRPG動画とかは良く見て憧れてたのよね、面白そうで(ワクワク

楽しく遊びたいな

ルール遵守

お酒は苦手だから、酔い過ぎない程度に控えめに戦えるキャラにしようかな?
そうなると支援系が良いのかしら、ヒーラーとか
私は物理攻撃特化だからその辺を考慮して体格が良い子にしよう
でも、支援系でも違和感が出ないように・・こんな感じかな?

○キャラシと大まかな行動

名前:ユラセ・カホ(18歳・魔奏使い)
武器:カホの身の丈ほどもある銀色の大剣(=ド・レ)
行動:筋骨隆々で体格の良い女子。
見た目はいかついが、慈愛溢れる優しい性格の乙女。脳筋で考えるのは苦手。
立派な魔奏使いになる為に幼少時から身体を鍛え続けてきたが、
攻撃系魔法の適正があまり無かったらしく、主にヒーラーとして働くマッチョウーマン
戦闘では仲間に付いて行って回復魔法「慈愛の咆哮」(酒+1)で仲間を回復する
攻撃魔法は「乙女のベアハッグ」(酒+1)
お酒は苦手なので甘くて弱いお酒が良いなぁ

○飲酒で酔ったら
目をトロンとさせてぽやんとする
深夜さんをじーっと見つめて、かわいい・・友達になりたいとか呟いたり(
紅迅さんを見つめて、かわいい・・人柄含めて憧れと言ったり(
ユリアさんを見つめて、かっこいい、太陽みたいな人って言ったり(
普段言わない本音が出る

  • ノリノリライバー
    田村 ケイla3000
    放浪者24才|スナイパー×ゼルクナイト

お酒は大好きです!酒飲みながらゲームはもーーーっと好きです!!ひゅーーー!!!

TRPGはよく分からないけど、つまりボードゲームね?
美味く酒を飲みながらやれる良いシステムだと思うわ。
お酒は大好きだし普通に強いわね!日本酒の熱燗でよろしくぅ♪

【キャラシ】
名前:タムラビッツ(20歳魔奏者)
タイプ:重戦士
武器:超合金製巨大一升瓶

行動:重厚な鎧に身を包み、大剣サイズの一升瓶で敵をぶっ飛ばす。
足が遅いって?いざとなったら転がればいいじゃない!!(
単体攻撃(飲酒+1)
一升瓶をぶん回し+衝撃波で範囲攻撃(飲酒+2)
他者への攻撃カバーリング(飲酒+1)
直線移動かつ無差別攻撃の自爆系ローリングアタック(飲酒+2)
ろぉーどりー☆オーラっ!(注視技:飲酒+1)

索敵してくれた所にローリングで突っ込み、最前線で敵を惹きつけみたいな感じね。
ろぉーどりー☆オーラっ!で敵の進行を止めつつ単体攻撃や範囲攻撃。後方への攻撃はカバーリング出来たらいいな感!
なるべく敵進路真正面を止める位置取りになるかしらね。たぶん!
後はノリと雰囲気でいい感じに上―――イしていくわね!(

あとはちょっと酔いがつらそうな人に、お水やタオル渡したりとか。
無理はよくない。クラっと来たら一休みも大事よ。お水飲ものも。アイスも食べよ。


 ダウンなライト。落ち着いたBGM。
「ハウスワインなどは時間制限の飲み放題です」
 ドレシドのバーテンが丁寧な口調で説明した。紫のクロスが掛けられたテーブルにダイスなどが置かれる。
「まるで占いの館みたいね~」
 ほへ~、と深夜百世(lz0083)がきょろきょろしながら感心する。
「すごく雰囲気があって面白そうじゃない」
 陽波 飛鳥(la2616)は興味津々だ。
「TRPGはよく分からないけどつまりボードゲームね?」
 田村 ケイ(la3000)はバーテンからステータスシートを受け取りながら言う。
 その横で。
「お酒は飲んだことないのですよね……。大丈夫かしら? 百世ちゃんは飲めるの?」
 紅迅 斬華(la2548)がそわそわしてるぞ?
「分かんない」
「……打ち上げはとても楽しみにしていたのですが、大丈夫でしょうか?!」
 百世が自爆体質かもしれないと判断した斬華、だれか止めたがりーな人はいませんかーな視線を周囲に向け助けを求める。
 が、しかし。
「お酒は楽しいですよ。とっても美味しいですし」
 レイヴ リンクス(la2313)がにこにこしながら請け合った。
「まさか依頼先でバーの新規開拓ができるとは思いませんでした。兎に角飲みまくりましょう。そして楽しくやればいいんです」
「た、楽しく……ですか? たとえばどういう風に……」
 食い下がって聞いた斬華。
 が、しかし。
 まさかその言葉でむしろ窮地に立たされるとは思ってもみなかった!
 一体、何があったのか。
「お酒は大好きです! 酒飲みながらゲームはもーーーっと好きです!! ひゅーーー!!!」
 ケイである。立ち上がっている。
「え……その……」
「こういう風に盛り上がればいいのよ」
 うろたえる斬華にケイがまったく世話が焼けるなぁな感じに。っていうか、さっきまでクールな感じはどこ行った。
「ケイさん、いいですねぇ。酒を飲むほど強くなれるゲームなんてサイコーですっ!」
 ひゅー、とまでは言わなかったがレイヴリンクスも一緒に盛り上がる。
「百世ちゃんもアルコールに興味のあるお年頃?」
 立ち上がった二人の下で、こそっとユリア・スメラギ(la0717)が百世に耳打ち。
「うんっ。ちょっと飲んで甘いお酒もあるって分かったから」
「甘い……お酒? 百世ちゃんが飲むなら……」
 ううん、と悩ましげに身もだえる斬華。どうやら諦めたようだ。
「お酒は苦手だから酔い過ぎない程度に控えめに戦えるキャラにしようかな? そうなると支援系が良いのかしら」
 あ。
 テーブルでは飛鳥が待ち切れずキャラメイクを始めてるぞ?
「そうですね。飲酒で対話するゲームなので最初はその方がいいです」
 マスターの説明に頷く飛鳥。
「あ。僕はお酒たくさん飲みますがゲームバランス崩すようなら能力を全然削って下さい」
 レイヴも慌てて席に戻ってキャラメイク。
「……いきなりハンデを自らに課す人も珍しいですね」
 バーテンは苦笑するが、とにかくこうして準備は整うのだった。


「では、皆さんは魔奏協会に野犬退治の依頼のあった農村へ向かうことになりました。野犬は『無魂』ではない可能性もありましたが……今回は「無魂」の仕業だったようです」
「ほへ? なんでいきなり分かったの?」
 ゲームスタート直後のマスターの説明の途中で百世がいきなり突っ込んだ。
「百世さん、ここはゆっくり説明を待ちましょう。かんぱ~い」
 レイヴ、すかさず百世と乾杯すると杯を傾け場を和ませる。
「リンクス兄さん、そんなに飲めるの……?」
 この様子にユリアは赤薔薇の模様が刻まれたワイングラスに手にしたまま首を傾げたり。
 そのユリアのマイワイングラスにもカチンと杯を合わせ乾杯するレイヴ。またも飲んでそれを無言の返事とする。ユリア、額に手をやり「やれやれ」。
「……それでどーなの?」
 でもって、ケイは熱燗の日本酒……に似た味の白ワインを優雅に傾けて続きを促す。
「簡単です。皆さんが村に到着したと同時に襲撃があって、村人の放った弓がほぼ効果がなかったからです」
 マスターは冷静に返したがすでにこの時、今夜の運命は決まってしまっていたといっても過言ではなった。
「えっ!? そんなの酷い。もっと情報が欲しい」
「むむ? 飲めば情報がもらえるんですか?」
 なにやらゲームの村人に感情移入してしまった飛鳥、苦手なお酒を一生懸命飲んだ。それに釣られた斬華もお酒弱いくせにちょっと多めに飲んでしまった。
「いや、飲まなくても普通に情報は出ますから……皆さんは村の南から到着したばかり。森に近い村の北方面から悲鳴が響き助けを呼んでます。ある程度の被害はすでに避けられません。急ぐ必要があるでしょう」
「じゃあ急いで助けに行く」
 マスターの説明に頷いたそばからまた酒を飲む飛鳥。
 一刻も早く助けたいのだ。
「百世ちゃん、急ぎましょう」
「うんっ! 私の『モモヨ・モモ』を急がすね。……ええと、斬華さんのキャラは?」
 飛鳥に続いて飲み、百世に飲ませた斬華だが改めて聞かれて少し迷った。
 が、返事は早い。
「『紅迅 斬華』……ですね。飛鳥は?」
 どうやらそのままらしい。追及されたくないので飛鳥に振る。
「あ、ヒーラーにしたんだった」
 飛鳥のPC、『ユラセ・カホ(18歳・魔奏使い)』は前衛職ではなかった。
「もう敵の野犬数匹は目の前ですよ?」
「ええーっ! とにかく桃色の縄跳び(音斧=シ・ド↑)で攻撃よっ!」
 マスターの指摘に百世が即答し、飲酒。
「大丈夫?」
「このミーベル酒、甘いから平気!」
 心配する飛鳥、百世が少したくましく映った。
「そ、それじゃあカホも。……見た目はマッチョでいかついけど、慈愛溢れる優しい性格の乙女。脳筋で考えるのは苦手」
 飲むしかないよね、と飛鳥も戦う。甘いのですっと飲めた。
「魔奏少女の鞭はイタいよっ!」
「立派な魔奏使いになる為に幼少時から身体を鍛えた技が……『乙女のベアハッグ』!」
 モモヨが縄跳び音波で野犬を跳ね上げ、そこをカホが突撃して身の丈ほどもある銀色の大剣(音斧=ド・レ)で……斬らずに魔法発動。何やら物理で野犬の背骨を締め上げているようだがあくまで魔法だ。だいしゅきホールドに見えたとすればそれはきっと酒のせい。
 この時、近くにいた弦楽器奏者が一節をのびやかに奏でた。
「見事にシドドレの音が鳴り響きましたね。一体撃退です。」
 マスター、にっこり。どうやら音斧、こういう使い方もするようで。
「でも敵は多いですよ。この間に二人とも野犬複数に囲まれて攻撃を受けてますね」
「ほへ、手ひどくやられたの?」
「し、失敗したかな……」
 びくっとする百世にしゅんとする飛鳥。
 そこに、斬華が割り込んだ。
「そ、その間に入り込めないかしら?」
「一応できますが」
 これを聞いた斬華、決心した。仲間を救うため、それまでちびちびしか飲んでいなかったミーベル酒をくいっといった!
「……っ。こ、これで範囲攻撃。まとめて首を刈りますね」
 しかし、マスターは難しい顔をしたまま。カットインはできたが「まとめて」の部分の判断か。
「じゃあ……」
 ここで横から助け船。
 ウイスキーをロックで飲んでるレイヴであるッ!
「僕の『レイ・フカミ(24歳・魔奏師)』が『魔奏管(トランペット)雪風(音斧=ソ・ラ)』で、移動阻害魔法『マッド・スライド』を使います」
「いいでしょう。ダイスロールを」
 マスター、可能性が高まったと判断した。
「この首刈り大鉈なら……」
 斬華、改めてミーベル酒を飲み振る。
 で、奇跡の6ゾロ。
「……ちょうど二人が敵にやられて地に伏したところ、レイの支援魔法により敵の足元がぬかるみとなり移動を阻害しました。この一瞬の隙に斬華が接近。地を這わせるようにスイングした大鉈が綺麗に野犬の首筋に入ります。踊るように回転してこれを繰り返す斬華。野犬の首が次々に宙に舞い二人の窮地を救います」
「何、この首狩りフェスティバル……」
 百世、飛鳥にすりよりガクブル。
「ただ」
 ここでマスターの一声。
「やられ方が派手な分、増援がすぐに来ちゃいましたね。野犬使いの小鬼と野犬どもです」
 新手のようだ。
「今度は賢いようですね。犬に斬華さんを狙うように見せかけて、小鬼が斬華さんの武器を狙っています」
「すぐに首を……」
「予想されてましたね。狙いが分かるので初撃は防がれました。そこからの勝負です」
 完全に狙われた形だ。
 ピンチである。


 なおこの少し前、ユリア。
「まさか料理が置いてないとはね~」
 酒を飲むのだからとワインに合う料理を求めてカウンターまで来ていたが、ここにはつまみ程度しかないと知りため息をついていた。
「ま、チーズやナッツがあるだけ助かったけど」
 席に戻るとゲームはピンチで、百世も飛鳥も斬華もペースが早すぎぐったり。
「百世ちゃん、水割りしましょ」
「ほへ?」
 すでに酔っている百世、素直にユリアの差し出した酒を飲む。
「お酒は料理にも良く使われるわ。代表的なのは肉類だけど……チーズもいいわよ」
 ユリア、酒の飲み方をそれとなく教える。
「むむむ…。美味しいですけど、ふらふらしますね???」
「斬華姉さん!? しっかり~!」
 なんだかほわほわしている斬華を励ましたりも。
「途中でチェイサーも挟みつつ飲むといいですよ」
 ここでレイヴが斬華にお冷を差し出す。
 一方のユリア、飛鳥に見つめられているのに気付く。
「……かっこいい、太陽みたいな人」
「飛鳥ちゃん、ついていけそう?」
 こっそりそんな評価を口にされているがスルーしてゆさゆさ。はっと我に返る飛鳥。
「あ、ユリアさんは何をしてた扱いかな?」
「そうねぇ……途中の場所で真っ先にザコ敵を幻想之刃で一掃、ね」
 どうやら斬華と同じく名前は『ユリア』のようで。
「一掃ですか?」
「そう。魔奏の力で……このくらいかしら?」
 マスターに問われ、ワインをしっかりと飲んだ。これを見てダイスを一つ増加するマスター。ロールして無事に大きな目が出てユリア方面の敵は無事に殲滅できた。
 しかし、すぐに最前線の援軍には加わらなかった。
「ほへ? なんで」
「飲酒のペースは守ること」
 百世にそう教える。
「流石にまずい」
 その横では斬華が呼吸を整えていた。
 しばらくうつむいていたがすぐに顔を上げた。
「ふぅ……。これでなんとか♪」
 どうやら独自の身体操法でアルコールを抜いた様子。発汗などを促したらしい。
「……かわいい。人柄含めて憧れ」
 あ。
 飛鳥がそんな斬華を見詰めてうるうるしている。酔うと本音がおもわずぽろりしちゃう人ですね。
「それじゃ、増える敵に対応しきれないということで皆さんダメージのチェックを……」
 マスターがジャッジを進めようとした時である。
「おーまたせー♪」
 ケイが一升瓶を手に戻って来た。
「ケイさん、どこに行ってたんです?」
「日本酒を仕入れて来たの。店内を観察してたらキープボトルに大吟醸があるじゃない。ほかの店員に聞いたら少しだけあるって。日本酒の話をしたら特別に出してくれたわ♪」
 聞いたレイヴに……というか、杯を差し出したレイヴに酌をしながらケイが答える。
「ゲームそっちのけで……」
「あら、ちゃんとキャラメイクしてるわ」
 百世に突っ込まれシートを見せる。
 名前は『タムラビッツ(20歳魔奏者)』。重戦士で武器は超合金製巨大一升瓶だ。
「重厚な鎧に身を包み、大剣サイズの一升瓶で敵をぶっ飛ばす。足が遅いから今更の登場ね」
 ケイの申告にマスターは頷く。
「でも抜け目ない野犬一匹が襲ってきましたよ?」
「一升瓶の分厚い瓶底で一撃。……知ってると思うけど、分厚いわよ?」
 ダイスを渡され飲んで振るが、3と少ない出目。しかし、「分厚い」にボーナスが付いたようで無事に討伐。
「でも、足が遅かったらこっちの援軍には……」
 百世の不安な声。
 しかしッ!
「足が遅いって? いざとなったら転がればいいじゃない!!」
 無茶言った!
 でもPCは酒飲んでないから酔いが回ることはない!
「転がって敵陣突入! 一升瓶をぶん回し+衝撃波で範囲攻撃」
「じゃあ私も。TRPGなら普段できないことをやってもいいわよね?」
 ああっ!
 ケイとユリアがぐいぐいやり始めた!
「転がるのは目が回るし、普段できないことは一人では……」
「対バステにもなる強化魔法『サムライ・ロック』と防御付与魔法『エンジェル・ウィング』でどんどん飲みましょう」
 マスター、レイヴの飲酒宣言を承認。
「『ろぉーどりー☆オーラっ』!」
「あら、羽根が生えたように軽いわね……まずは『レッド・クイーン』!」
 ケイのタムラビッツが転がり突入で敵の度肝を抜きイニシアチブ奪取。でもってユリアが赤薔薇の魔法陣を生み出しそこから赤薔薇の魔法弾を美しく斉射。もちろんぐびりぐびりと酒が進む。
「いい位置取れた? 後ろを庇いたいんだけど」
 飲んで聞くケイ。頷くマスター。
「でも新しい小鬼と野犬が別方向から来てますよ?」
「探知魔法『アラウンド・ザ・ワールド』で気付いて味方に知らせてみましょう」
 ロールの結果、レイヴのレイが気付く。奇襲は避けられた。
「気付いた私が『ブラックバカラ』!」
 ユリアの飲みっぷり、いい。今度は黒薔薇を剣に纏わせ犬どもを斬った!
「……かわいい」
「飛鳥さん、私たちも援護~っ!」
 百世に見惚れていた飛鳥、当人にいわれてはっと気づく。で、ちびっと飲む。
「じゃ、乙女に回復魔法『慈愛の咆哮』」
「……カホさん、声もマッチョ」
「私も……補助魔法『首斬らせ』」
「斬華さん、代理執行人探ししないでーっ!」
 なんか百世、突っ込みまくりで飲む暇がない。
 そんな支援を受けユリアが舞う!
「とどめ! 『クリムゾン・グローリー』! ……これが、ル・ムヴマン・フィナール(最終楽章)よ!」
 響き渡るシャッター音とユリアのグラビアイメージ写真……チャイナ、水着、そして赤薔薇のドレスッ!
「小鬼は倒れましたがラスボスの大鬼が……」
「大丈夫! 後はノリと雰囲気でいい感じに上―――イしていくわね!」
 マスターのラスト合図にケイが顔を上げる。そして杯を高々掲げると皆がはっと気づいて乾杯!
「字に書いたような盛り上がりですね」
「絵になるようにも盛り上げるわよ。さっきの羽根、薔薇、斬首、乙女と鞭、全部いくわよ!」
 音頭を取ったケイはもちろん一升瓶だ!

「あー、アイスが美味しい」
 ゲームはうまくいったようで、ケイは満足してデザートをぱくついている。
「楽しかったね~」
「うん、友達になれる……」
 百世と飛鳥はぐったり。
「鍛えておきます……」
 斬華も仲良くぐったり。
「楽しいお酒ならなにより」
「その通りですねぇ」
 ユリアとレイヴはまだ飲んでいる。
「慣れたら店で卓を立ててもいいですからね」
 マスターからは最高級の誉め言葉をもらうのだった。

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