オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. G線上のメリークリスマス

G線上のメリークリスマス 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
160000G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2020/01/03 20:00
完成予定
2020/01/17 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-


 エオニア王国支部司令・ヨルゴス・アンドレースは、椅子に深々と座り、アイザックを見上げ、重いため息をついた。

「ケイン君。私は休暇を取るようにと言ったはずだがね」
「昨日は運動に読書に実に有意義な休暇でした」
「訓練室に潜り込んで射撃訓練をしたり、資料室に忍び込んで事件資料を読み込むのを、私は休暇と認めない。家にも帰っていないのではないかね?」
「僕の家はイギリスで遠いですし。SALFの支部は良いですね。制服、食堂、宿泊設備。衣食住揃って、その上通勤時間は0ですから」
「支部は君の家ではない!」

 つい叫んでしまって、こほんと咳をして胃を押さえた。
 アイザックがエオニア支部に所属して1ヶ月。実に優秀な人材であり、同時に面倒な人間である事に、ヨルゴスは胃を痛めていた。
 勝手に仕事をし続けるのだから、放っておけばよいのに、つい部下の体調管理まで口出ししてしまう苦労性である。

「ウィーンの事件が大変だったのは確かだ。だが君1人で抱え込む必要は無い。休みたまえ。我が支部でクリスマス休暇をとっていないのは、君だけだ」
「皆さんクリスマスくらい家族と過ごしたいですよね。僕は墓石と一緒にクリスマスをしても意味がありませんので」
「そ、そうか……」

 一瞬アイザックは寂しげに見え、死んだ家族の事を思い出させてしまっただろうかと言葉につまる。

「あ、ここサインをお願いします。こちらの資料も確認を……」

 何事もなかったようにテキパキ仕事を進めるアイザックに丸め込まれ、今日もまたヨルゴスの気苦労は徒労に終わった。

「アイザックさんわざとですよね。人の良い支部長なら、ああ言われたら黙るしかないって」
「支部長、毎日胃薬飲んでません?」
「そろそろ限界ですかね」

 支部職員達は相談した。これ以上アイザックが休まないと、支部長の胃が心配だと。
 こうして『休暇任務の監視役』という奇怪な依頼が、SALFの支部に張り出される事となった。




「僕のせいで変な任務に付き合わせてごめんね」

 そう言いつつ万年筆で書類にサインをし、入力作業をし、部下に指示をだす。アイザックは今日も大忙しだ。

「監視役って言っても難しい事じゃない、僕と一緒にクリスマスを過ごしてもらいたいんだ」

 どういう事だ? と首を傾げる皆に、部下が口を挟んだ。

「アイザックさん、『休んだ』って嘘ついてズル出勤するんで、支部の外で休暇をとったか監視役が必要なんです」

 アイザックはあははと笑って誤魔化した。
 ズル休みならぬ、ズル出勤。実に斬新だ。アイザックと一緒に休暇を過ごすだけの楽な仕事と聞いてほっと一安心。

「せっかくの休暇だし、クリスマスパーティーをしようかなって。夏のバカンスで作ったカフェバーでね」

 カフェバー『止まり木』は、エオニア支部のライセンサーで賑わう店だ。
 夏にアイザックが作ったが、忙しすぎて手が回らない。アイザックは名前だけ店長で、実質は非番のライセンサーが交代で店番をしているそうだ。
 名物はパンケーキやミーベルを使った料理だったが、店番が頻繁に変わるせいで、その他にもメニューが増えているらしい。
 ヨーロッパにおけるクリスマスは、日本の正月に近く、家族と過ごす日に、仕事をしたい人間もいない。
 だからクリスマスは『止まり木』も休みになった。

「せっかく場所が空いてるから、皆でパーティーしようよ。何故か給料が減らずに貯まる一方だし、奮発して僕の趣味で暖炉作っちゃた」

 何故かも何も、支部で寝泊まりして、休暇を取らなければ、給料が貯まるのは当然である。
 アイザックはふっと仕事の手を止めて、万年筆を弄りながら昔話をした。
 暖炉の前で皆が集まって、子供はマシュマロを焼き、大人は酒を飲み、家族団らんで過ごす、暖かくも優しいクリスマスの想い出話。

「なんか懐かしくてね。日本ではクリスマスって恋人達の祭りなんだってね。ふふ。それもロマンティックで素敵だと思うけど、僕は家庭的な暖かいクリスマスが良いなって思うんだ」

 パーティーに参加する皆が、家族のように和気藹々とするような、そんなパーティーにしようと。既にツリー用のもみの木も買ってあるらしい。

「申し訳ないけど、こんな状態だから昼間の準備は手伝えないけれど、夜のパーティーまでには行くから。お詫びに皆のイメージでカクテルや紅茶をいれるよ。ああ……イチジク入りのクリスマスプティングだけは焼いてあるよ。あれは早く焼いて寝かせておいた方が美味しいからね」
「家に帰ってないのに、いつのまに作ったんですか?!」
「え? 昨日の夜、食堂の厨房を借りたけど?」
「もう! 休暇だけでなく、睡眠も取らないなんて、支部長に怒られますよ」

 職員に怒られ、大丈夫だよと笑っているが、アイザックの目の下にクマができている。いつもの彼らしからぬ無理だ。
 こそっとアイザックの部下が皆に言った。

「アイザックさん、自分への処分が軽すぎると気にしてるんですよ。その分仕事を頑張らないとって、ちょっと根を詰めすぎな所もあって。本当は以前より仕事量減ってるはずなのに」

 レヴェルと裏取引をしたにも関わらず、アイザックの処分はエオニア支部への異動だけで終わった。
 今までの功績と、優秀な人材を遊ばせておく余裕はSALFにないからなのだが、本人は未だ納得いかないらしく、ちょっと思い詰めているようだ。

「聞こえてるよ。これ、届けてきてくれる?」
「す、すみません!」
「処分が軽すぎると思ってるのは確かだよ。反省はしてるけど、後悔はしていない。処分を受ける覚悟で、それでもやるべきだと行動した僕は確信犯だから、その罪は軽くはないはずなのにね」

 苦笑いを浮かべ、休憩しようと立ち上がる。パソコンで音楽を再生し、窓を開けた。ヴァイオリンが奏でる『G線上のアリア』の音色が、窓の外へ吸い込まれるように消えていった。
 ヨーロッパの中でも、温暖なエオニアだが、冬はそれなりに寒い。街を歩く人々もコートの襟を締めて足早に歩いている。
 それを眺め、ぽつりと呟いた。

「この世界のどこかで、常に戦いは存在し、誰かが泣いている。けれど誰にも等しくクリスマスは訪れる」

 クリスマスは家族や友人、恋人達の為だけではない。
 戦場で戦うライセンサーにも、大切な人を失って悲しむ被害者達にも、悲しみの底にいる人にさえ、幸福な時間はやってくる。

「毎年クリスマスはあるが、今年のクリスマスは1度きりだからね、僕らは僕らのクリスマスを楽しもう。日付は31日。年越しクリスマスっていうのも良いよね」

 ──We Wish You A Merry Christmas & Happy New Year

 アイザックはクリスマスキャロルを口ずさみながら、仕事に戻った。ちょっと調子っぱずれな歌声は、まるでクリスマスを待ち望む子供のようだ。

 ──We Wish You A Merry Christmas & Happy New Year


 エオニア王国の片隅に、ひっそりと佇むカフェバー『止まり木』。丁寧に修繕されたアンティークの家具があり、簡易ステージの横にはピアノが置かれ、木彫りの王女のフィギュアが店を見守っている。
 今は冬仕様。暖かな暖炉に火がくべられ、もみの木もある。
 
 休むために立ち寄って、快適な時間を過ごす為の店。だから『止まり木』だ。
 貴方もちょっと、羽を休めてみませんか?

●目的
 年越しクリスマスをする

●NPC
アイザック・ケイン
 ワーカーホリックなライセンサー。酒好き英国人。時間があれば酒飲みたい。
 手作りのイチジク入りクリスマスプティングを持ってくる。
 紅茶orカクテル希望の方は、プレに一言記載ください。その方のイメージに合わせて1杯アイザックが何かいれます。


●行動
 パーティーの場所はエオニア王国のカフェバー「止まり木」
 『休暇任務の過ごし方』で修繕されたテーブルや椅子、タペストリー、クロス、エプロン、コルクボード、ピアノ、ダーツ、チェス、ポラロイドカメラの用意あり。
 さらに暖炉が追加された。店内にクリスマスツリー用の、もみの木も置かれている。

 31日の昼間に準備。夕方からパーティー開始。アイザックは夕方に到着します。
 パーティーの準備は主に店内の飾り付けと、料理制作。
 飾りや食材などはスーパーなどで買える物なら自由だが、費用はアイザックのポケットマネーなのでお手柔らかに。
 必要な機材は可能な範囲でアイザックが手配します。

 他にもパーティーでやりたいことがある人は、自由にプレにどうぞ。


●補足
 当日は晴れ。夜はちょっと寒いが、綺麗な星空が見える。
 毛布や寝袋も用意されていて、パーティーの後、アイザックは店に泊まり込む予定。PCも泊まり込み可。
 ミーベル:エオニア王国の名産。桃の様に甘く柔らかい果実。種は柿程度に小さい。


※質問卓設置可

 年越しクリスマスというネタが思いつき、クリスマスの定義がゲシュタルト崩壊した雪芽泉琉です。
 グロリアスドライヴだからGの戦場だ(メタ)

 今回の任務はアイザックと過ごす時間の方が重要なので、パーティーがメイン、準備はおまけくらいのつもりでお願いします。

 アイザックの希望が家庭的なクリスマスなので、参加者みんなで仲良く過ごせる一日になりますように。素敵なプレイングをお待ちしております。

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

プレゼント交換に日本茶葉セットを用意
オープン準備をした時のようにエオニアのクリスマスや年末年始をイメージした刺繍飾りを作る
作った後に飾り付けを手伝う
桃簾とピアノの練習
曲は「歓喜の歌」だが音を減らしたり連弾用に弾きやすくした楽譜を用いる
「今は、ちょっと…弾いてみたいかなーって
「まあ、なんとなく…なら、簡単なやつ、なら……弾ける

「ワタルと、サラ……で、『狂騒曲』だー…。トウヤ、も。料理……楽しみ
「後で、レシピ…欲しい
料理をリスのようにもぐもぐし、知り合いのモニカがゲームやってる所を見ながら適当な時間になったらピアノを弾き練習の成果を見せる
クリスマスに見合った楽しく盛り上がる曲
初めて披露する場且つ初めての連弾だが合わせるように練習できたので無事通せる
お互いの健闘を称え合った後アイスを貰う
「アイス…なんで?
布教とかよくわからないが貰った物は食べないと勿体ないのでちゃんと食べる

アイザックの紅茶を希望
「ちゃんと、休んだ方が…いいよ。勝手に、眠くとか…ならないの?
祭莉は勝手に眠くなりその時はちゃんと寝てしまうタイプ
パーティが終わった後も眠くなり自然と泊まり込む事になる

  • 夢見る力で世界は動く
    月居 渉la0081
    人間18才|ネメシスフォース×グラップラー

●準備
事前にプレゼント交換を提案
各自1つずつ持ち寄りもみの木の下へ置く。くじ引きで贈り物が決定(ランダム)
俺は「クリスマスカラーのハーバリウム」を用意
サンタ帽子とトナカイカチューシャ、調理用にバイト先からダッチオーブンも持参

準備はマスター(笹良)たちと料理を担当
クリスマスといえば!憧れのローストチキン!
暖炉があるので暖炉で焼ける、最高じゃん…とダッチオーブンで挑戦
「中には野菜を詰めてヘルシーにしました(ドヤ顔)味付けはマスターなのでとても安心」
他にカナッペとかピンチョスみたいな手軽に摘めるものを用意
お酒飲む人多いならおつまみ系がいいよね
プディングがあるので、桃さん用に桐生さん提案のドーム型アイスケーキを作る
アイスって溶けるからカロリーゼロなんでしょ、テレビで見た見た

アイザックさんにはノンアルのカクテルか、ホットドリンクを作ってもらう
みんながお酒楽しんでるのがちょっと羨ましいけど、まだまだ我慢
余興は桃さんと祭莉くんのピアノにグラスハープで参戦
ワイングラスを借りて、マスターと半々で担当して演奏する
実は合間を見て合わせ練習しただけなのでちょっと不安だけど、まーなんとかなるよね!

勿論お泊まりで、日付変更と同時にあけおめ!のご挨拶とハイタッチ
星空を見上げながら、楽しいことたくさんの一年になるように願う
それとアイザックさんは程々にお休みもとってね!

プレゼント交換の案に乗る
品:天然石のサンキャッチャー
日差しが恋しい季節だからこそ楽しんで欲しいもの

わたるん(渉)のダッチオーブンに納得顔
なるほど、借りたいと言ってたのはこの時のためだったのね!
料理担当で今日は主に味付けや下処理を請け負う
若い人たちの顔を立てたいわ
「野菜の他に1つだけ一口サイズのボール型チーズを入れてるわぁ」
ついでにアイスケーキにも星形の小さなチョコを1つだけ忍ばせておく
「ラッキーな一口が当たった人はクリスマスクッキーを贈呈よ♪」
そのクッキーも詰め合わせのため、皆で分け合っても良し、土産に持ち帰っても良し

ワタシとは初めましてね、アイザックちゃん
どうぞサラちゃんと呼んでちょうだい
お近づきの印にワタシにも一杯、お任せでいただこうかしら?
いつもうちの子がお世話になって…とお礼を兼ねて返杯

余興では渉に誘われ、閉店後や定休日に少しずつ練習したグラスハープ
これ、テレビで見て憧れてたのよねぇ!
コツをつかんで音が鳴らせるようになるとハマるのよねぇ…ふふ
渉と音階分のグラスを半々に分けて担当
多少のミスはご愛敬、楽しんで楽しんで!

後は若い人同士で…と遠慮しようとしたけど酒が入ってたわね☆
ここまで車で来たのだったわ
じゃーお泊まり会にお邪魔させてもらおうかしら
次の一年がみんなにとって心浮き立つものとなりますよーに!

★アドリブ歓迎
■準備
お料理はパスタやコンポート、カプレーゼ…先日カフェの準備をした時に作ったもの
ミーベルのアイスも忘れずに
手が空いたらクロスなどでテーブルの飾り付け

■パーティ
暖炉の側でアイスを楽しみながら
ピアノに耳を傾け聞き入り、ダーツなどは観戦者として眺める
ゆっくりする方は暖炉で楽しむ用にマシュマロも用意がありますよ

アイザックさん、チェスのリベンジをお願いしても?
貴方の淹れた紅茶をお供に、ひと勝負如何でしょうか
あれから少し練習しましたので、ハンデは無しでも大丈夫ですよ(ふふんと自信ありげに)

夜も更けたら眠っている人に毛布を掛け直して
小さく歌を口ずさみながら、暖炉の薪を調整
こうしたお泊りは初めてです…私にも良い休暇になりました
が…つい、屋敷の事も考えてしまうのは職業病でしょうね
今年は色々ありましたね…また新しい一年が、どうか皆さんに幸せを運びますよう

  • ちょっとだけ現実主義
    桐生 柊也la0503
    人間15才|セイント×スナイパー

年越し…クリスマス…大掃除しか思い浮かばないな(こいつも大概)
今年は一軒家からアパート暮らしになったお陰で楽だったけど

準備・料理担当
1・ドームアイスケーキ
2・唐揚げ
・材料 卵、生クリーム、バニラエッセンス、グラニュー糖、パンケーキ、
果物(出来ればミーベル、お高ければジャムでも良し)
・先ずアイスを作って冷凍庫へ、それからボウルにラップを敷いて切ったパンケーキを敷き詰め
アイス、小さめに切ったミーベル又はジャム、アイスと詰めて丸く平たいパンケーキで蓋
冷凍庫へ
ケーキを冷やしている間に唐揚げ(モモ)を作る
下味は塩胡椒・葫と生姜・酒、醤油・ごま油少々
衣は小麦粉と片栗粉(卵は使用しない)、低温→余熱→高温の二度揚げ

パーティが始まったらゲーム等に参加するより取り皿を用意したり適当に皿を洗ったり…
?お前何しに来たかって?(人の事言えますか)
報酬貰うんだからこのくらい良いでしょう
昔からこうだったし、こっちの方が落ち着くし
あのー、ケインさんが処罰の対象になるなら
わかってて協力した僕らも同罪みたいなものじゃないですか
それに…ナイトメアがやってる事って殆ど人間が人間にやってきたことでしょう?
いちいち処分がーって言ってたら何も出来ませんよ
わかったら皆のところに戻ってくださいねー

プレゼントは苺栽培キット
実が付くのも楽しいけど花も可愛いです止まります

【心情】
「私も実家には帰らないし、ここで年越しさせてもらうわ」

【目的】
年越しクリスマスをする

【準備】
プティングへのお返しに、自身はパネトーネを作っていく。
昼間は飾り付け、クリスマス用のオーナメントをモミの木に飾る。
スター、カラーボール、天使人形、雪結晶、ゴールドベルに電飾を、
絵画で養った美術感覚で綺麗に配置する。「…よし、これで良いわね」

【行動】
「A Very Merry Christmas!ちょっと遅くなったけどね」
「プティングにガレット・デ・ロワ、パネトーネが並ぶなんてね」
「モニカ、スナイパー同士、ダーツで勝負よ!」
アイザックの到着に合わせ、パーティを開始する。パーティ中は
皆で用意した料理を味わったり、ピアノ演奏を聞いたりして過ごす。
また、モニカ(la3729)らと店内にあるダーツでゲームを競う。
プレゼント交換にはオーナメントと一緒に買った、エオニア王国の
ミーベル畑を描いたミニ絵画を用意する。

(…家族に会いたい気持ちはあるけど、戻りにくくなりそうだしね)
当日は泊まり込み、寝付くまでの時間を使って家族あてに手紙を書き、
無事に過ごしていることとモミの木の枝を1本、手紙に同封しておく。

>モニカ
今年は色々ありがとね。来年もまた、よろしく。

>アイザック
今日はもう笑い話で済ませるけど、決まった休暇は消化しなさいよ。

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

皆とパーティーで楽しい時間を過ごしましょう
ズル出勤に負けず、わたくしも直接のアイス布教は休んでの搦め手でズル布教しますね

■行動
準備は飾り付けを手伝う
紬が届かないところは任せなさい

故郷は常春で暖炉はなかったので初暖炉
わくわくそわそわと無邪気に暖炉に喜んで、作って貰ったアイスの数々を堪能
「暖かい火の傍で何と贅沢な美味しさでしょう
作ってくれた者達に礼を

祭莉とピアノ連弾
曲は年末らしく『歓喜の歌』
イタリアで初めて弾いてから約10ヶ月、少しずつ上達はするも独学で拙さは残る
初心者向けアレンジの譜で拙くとも楽しそうに
「ふふ、一緒に弾くというのも楽しいものですね
弾きながら歌も口遊み
演奏後は健闘をたたえ合いアイス贈呈

パーティー中は時々ポラロイドカメラで撮影
壊れないのが嬉しくて張り切る←
ダーツの様子なども
写真はまた店の壁に飾る

■アイザック
カクテル希望
「そう言えば、アイスの作り方をわたくしに教えてくれたのは貴方でしたね
つまり止まり木はアイス教エオニア支部とも言えるし
アイザックは名誉顧問兼支部長とも言えるのではという強引な理論で任命
「ロトルア支部では忍にも手伝って貰いました(先輩を引き合いに
「…罪悪感があるならば、ライセンサーのこういう酔狂にでも付き合いなさい(微笑
ロトルア特産はドーナツピーチアイス
「エオニアはミーベルアイス推しで行きましょう(ぐっ
ズル布教なので直接の布教はしない
布教するのはアイザックですと期待の眼差し(

店に泊り込み
綺麗な声で故郷の子守歌(異郷の言葉で理解は出来ない)を歌う
「わたくしの子守歌で眠れないとでも
アイザックに寝ろ圧

■プレゼント
ドライフラワーが散りばめられたボタニカルサシェ

  • 止まり木店員
    点喰 紬la2065
    人間11才|ネメシスフォース×スナイパー

準備として
エオニア独特の飾りがあるか調べて、あれば取り入れ
無ければ小箱をラッピングしたオーナメントなどで飾ったリースを作り
ドアに飾り付け

「わあ、おいしそうー!
料理に目を輝かせるが、はっとしてはしゃぎ過ぎたかと恥ずかしそうにする
乾杯の後にもきゅもきゅと食べる
結構食べる口だけど量と周りのペースは気にする

「ダーツが気になってたんですが、やり方わからなくて
在る程度もきゅったら
遊ぶお二人に混ざりルールや投げ方を教えてもらいチャレンジ
「結構難しい…!

プレゼント交換の中身は手編みのマフラー
どんな人でも使えるよう、短めでボルドー色
「お友達にプレゼントを編んでから、編み物にはまったので

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

パーティの準備
ツリーにリボンを飾る
木のてっぺんに大きくふんわりとリボンを結び、端を長めに垂らす
残りは木の枝を飾るようにリボンを結ぶ

アイザックが到着後、挨拶や食事が一通り済んでから
アイザックのペンを分解・メンテナンスする
「あの日出来なかった分を、今日させてもらいたいと思って

食事で汚れた皿を一旦下げつつ準備
カウンター席の一席に汚れないよう一枚布を広げ
持ち込みの巻型のツールバックを広げるとルーペやスポイト、他に特殊な工具が沢山
部品のはいった細かい間仕切りのケースを置き
幾つかの透明なプラスチックカップに水を張る

アイザックにペンについての思い出話を聞きつつ、あの後のペンの症状を診察(5分程度
「今までケインがお爺さんと大事に育ててきたペンです。ちょっと緊張します
「あとは、ケインがみんなと遊んでる間に仕上げてみせます

大事にしてるペンだと知っているから慎重に、大事に
首軸を分解、水を張ったコップに入れ、インクカスを掃除してオーバーホールと部品チェック
小さな一部の部品は代用出来ても、軸やペン先に代わりはないので丁寧に
最後にインクを入れ直し、元の姿でアイザックに渡す
「書き味、大丈夫ですか?
「ご贔屓が特にいらっしゃらないなら、なにかの機会にまた見させてください

メンテナンスが終わったら、仲間に加わってしっかり遊び仲間の余興を楽しむ
これでもON・OFFはしっかり分けて

  • プロサバイバー
    モニカla3729
    人間20才|スナイパー×セイント

祭莉、ジュリア、桃簾は友人

「またきたよ、エオニア王国ー!」
フランス以外の年末年始ははじめて、てっきり今年は日本かGBだと思っていたけど楽しそうなので参加した
復興のお仕事にも少し参加して思い入れはけっこうある

サラちゃんクッキングで
もしあたりがでたら素直に喜ぶ
その時はみんなにわける

プレゼント交換はクッカーのセットを用意
お仕事で使えそうかなって

アイザックくんはドリンクづくり得意なんだね、あたしお酒飲めないから…
よかったら紅茶、いれてほしいな
それとね、GBのバーでミーベルを紹介してみたら美味しそうなレシピ聞いたんだ
よかったらあたしのかわりに試してみて
メロンリキュール
クランベリージュース&ウォッカ
ミーベル&生クリームを3層にして…
緑、赤、白のクリスマスカラーカクテルだよ!

あ、チェスもあるんだね、やろう!
→めっちゃ弱い

だ、ダーツなら…!
→はじめてやるけど、ポイントショットとか応用できるかな…?

演奏は聞く
みんな楽器できるの?すごいなー、あたしは全然…
あ、でもみんな知ってる曲だ!
Wem der große Wurf gelungen!
ドイツ語はできるので歌であわせる
んー…そーだ。紙とペンあるー?
ドイツ語をカタカナで書いて、演奏してない人に配ってみる

時計は気にしておいて
「みんなー、あと30秒だよー!」
日付変更前に皆に声かける


「またきたよ、エオニア王国ー!」
 夏に復興の仕事もしてエオニアの思い入れは深く、モニカ(la3729)の声が弾む。今日は友人のジュリア・ガッティ(la0883)も一緒だ。
「イタリア近いし、実家に帰らなくてもいいの?」
「今年は私もここで年越しさせてもらうわ」
「やったー! 一緒に年越しだね」
 二人で出かけたいと話していた矢先に渡りに船。

 家庭的なパーティーと聞き桐生 柊也(la0503)は首を振る。
「年越し……クリスマス……大掃除しか思い浮かばないな」
 今年は一軒家からアパートへ引っ越したお陰で楽だった。そう考えてしまうあたり大概だ。
「年末は大掃除よね。わたるんがお店手伝ってくれたから助かったわぁ」
「家に帰ってオヤジと過ごすより、店にいた方が楽しいし!」
 月居 渉(la0081)は笹良 権之介(la0137)が経営する酒場の住み込み店員で、柊也は常連である。笹良は柊也へ頭をさげた。
「最近は挨拶もできなくて、ごめんなさいね」
「いえ。食堂のおばさんに、いつも良くして頂いてます。試作品のいももちも美味しかったです」
「直接聞くと嬉しいね。ありがとー!」

「……問題なさそうでよかったぁ」
 点喰 紬(la2065)は家具を点検し、ほっと胸をなで下ろす。家の名に恥じない仕事をしたはずだが気になっていた。
「紬は良い仕事をしたのです。自信を持ちなさい」
 桃簾(la0911)に太鼓判を押され、はわわと照れて俯きつつ微笑んだ。
「またここに来られて嬉しいです。今日も楽しい一日になると良いですね」
 来栖・望(la0468)が懐かしそうに目を細めると、桃簾は嬉しそうにカメラを手に取る。
「わたくしが写真を撮ります。またここに張りましょう」

 常陸 祭莉(la0023)はエプロンの山を取り出しぼんやり眺める。とても大事に使われている。それが密かに嬉しい。
 都築 聖史(la2730)は店に置かれたレシピノートをなぞった。夏よりレシピが増え、ボードに常連客の写真やメモも増えている。店の想い出は、日々想い出が積み重なっている。



 祭莉がエオニアの女神の刺繍飾りを作り、望が店内を飾っていく。
 紬はエオニアの文化を調べミーベル付きのリース作り。紬の手が届かない時は桃簾が手伝い、扉を飾り付け。
 聖史は脚立に乗ってツリーのてっぺんに、大きくふんわりとリボンを結び端を長めに垂らす。
「上の方は私がやります」
「私は下の方を。空に見立てて雪結晶や天使人形も上に……」
 絵画で養った美術感覚で綺麗に配置できる様、ジュリアはオーナメントの位置を指示する。カラーボールと、ゴールドベルも結んで、電飾とリボンもあしらって完成だ。
「……よし、これで良いわね」
「綺麗ですね」
 満足げに頷くジュリアの隣で、聖史は可愛い天使に触れて微笑んだ。

「クリスマスといえば! 憧れのローストチキン! 暖炉で焼ける、最高じゃん……」
「なるほど、借りたいと言ってたのはこの時のためだったのね!」
 渉からダッチオーブンをやると聞き、鍋を持ってきた笹良は納得顔だ。モニカはジュリアをちらりと見て頷く。
「せっかくのエオニアだし、あれ作りたいよね」
「作りたい物があるの? 味付けや下処理は任せて」
「ありがとー! よし、プロがいるなら大丈夫」
 モニカや渉を見守り笹良は微笑む。若い人達の顔を立てたいから今日は裏方に。
「中には野菜を詰めてヘルシーにしました。味付けはマスターなのでとても安心」
 ドヤ顔の渉を微笑ましく思いつつ、笹良はボール型のチーズを一つ加える。
 渉がカナッペ、ピンチョスと手軽に摘めるおつまみ系を用意し、望はパスタやコンポート、カプレーゼを作った。桃簾の為にミーベルアイスも忘れない。
 柊也が一つ提案する。
「ドームアイスケーキも作りましょうか?」
「アイスって溶けるからカロリーゼロなんでしょ、テレビで見た見た。俺も一緒に作ります」
「では、僕がアイスを作るので、パンケーキを焼いてもらえますか?」
「……アイスは、カロリー、高い……?」
 柊也がスルーした渉のボケに、こっそり祭莉は突っ込んだ。
 アイスを作り、パンケーキ冷ましたら、丸いボウルにラップを敷いてパンケーキを敷き詰めた。ミーベルを小さめにカットしアイスと共に詰めていく。
「ついでにこれも一緒に入れてちょうだい」
「わかりました」
 笹良が入れたのは星形の小さなチョコ。パーティーを楽しくする隠し味だ。
 最後に丸いパンケーキで蓋をし、冷凍庫へ入れて待つだけ。
 次に柊也は唐揚げ作りを始める。塩胡椒、ニンニク、生姜・酒、醤油・ごま油。衣に卵を使わず小麦粉と片栗粉で仕上げるのが柊也流。
 パーティーの始まる直前に二度揚げで、かりっと仕上げる予定。



 夕暮れが近づく頃にアイザックが到着。店内に料理の香りが漂っていた。
「みんな、遅くなってごめんね」
「おかえりなさい! ちょうど料理できた所だよ」
 モニカの言葉に、アイザックは嬉しそうに笑った。
「……ただいま。あれ? 海と空と大地のまじわるところ?」
「アイザックくん、知ってたの?」
 ジュリアとモニカが初めて一緒に仕事をした時の想い出の一品だ。ジュリアが目を細めて料理を見つめる。
「ついこの間の事なのに、懐かしく感じるわね」
「この料理色んなアレンジがあるよね」
「そう。私のは鶏ガラベース」
 アイザックがプティングを取り出すと、ジュリアもパネトーネを隣に並べる。
「これプティングへのお返しに、作ってきたわ」
「ありがとう。これはアイスケーキかな」
「当たりがあるらしいわ。ガレット・デ・ロワみたいよね。プティングやパネトーネと並ぶなんてね」
 各国のクリスマスケーキが集まったのは感慨深い。

 笹良は小さく頭をさげ、アイザックに挨拶。
「ワタシとは初めましてね、アイザックちゃん。どうぞサラちゃんと呼んでちょうだい」
「初めまして。サラちゃんだね。うん、よろしく」
 見た目は渋くダンディ、言葉はオネエという濃いキャラだが、アイザックは初対面でもすんなり受け入れる。
「あら、驚かないのね」
「皆の個性を尊重したいんだ」
「良い心がけね。素敵」

 全員揃ってパーティー開始。
 アイザックは乾杯用にミーベル酒の炭酸割と、ミーベルのサイダーを用意。全員にグラスが行き渡ったた所で乾杯。
「今日は皆集まってくれてありがとう。Merry Christmas」
「A Very Merry Christmas! ちょっと遅くなったけどね」
 ジュリアが声をあげ、皆が口々にMerry Christmasと返しパーティーが始まった。



「わあ、おいしそうー!」
 紬は料理に目を輝かせ、はっと気づいて両手をぎゅっと握りしめた。はしゃぎ過ぎたかと恥ずかしそうに俯く。そこへ柊也が揚げたての唐揚げを持ってきた。
「もし足りなければまた揚げます」
「……美味しそう。トウヤ、の、料理も……楽しみ」
「はい、どうぞ」
 料理への期待で祭莉の喉がごくりと鳴った。同じ店で働く同僚だから、柊也の料理の腕前をよく知っている。熱々の唐揚げを噛みしめると、じゅわっと肉汁が広がった。
 美味しそうに食べる祭莉を見て、紬も我慢できずにもりもり食べ、サイダーもくぴくぴ。
「ローストチキンもできたよ!」
 渉が鍋の蓋をあけると、ふわりと蒸気が浮かび、美味しそうな匂いが漂う。桃簾は料理の写真を撮り、アイスケーキを凝視。
「こちらも切り分けましょうか」
「頼みます。柊也。暖炉の前のアイスは初めてで、楽しみです」
 望のミーベルアイスを片手に、わくわくそわそわ暖炉の前へ。桃簾の故郷は常春で、暖炉が無かったので新鮮だ。
「暖かい火の傍で何と贅沢な美味しさでしょう。ありがとう、望」
「そう仰って頂けると作りがいがあります。これも暖炉であぶって食べるそうですよ」
 望が取り出したのは、串に刺したマシュマロだ。
「焼きマシュマロ!」
 紬は串を受け取って、ウキウキ気分でマシュマロをあぶる。
 桃簾と紬と望。肩を並べて暖炉の前で、猫談義をしつつアイスやマシュマロを、もぐもぐ。

 笹良はローストチキンを取り分け配った。
「はい、祭莉ちゃん」
「……ん……ありがとー」
 熱々チキンと野菜にはふはふ。リスのようにもぐもぐほっぺ。
「……美味しい。後で、レシピ……欲しい」
「マスターの味付けが良いから、美味しいねー!」
「わたるんの詰め込みが良かったのよ」
「……あ、これ」
 フォークに刺さったチーズを見つけ、祭莉は首を傾げた。
「あら、当たりね。ふふふ。おめでとう。ラッキーな一口が当たった人は、クリスマスクッキーを贈呈よ♪」
 笹良のクッキー詰め合わせと聞き、モニカはじーっと見てしまう。
「いいなー」
 そう言いつつアイスケーキをフォークで切ったら、星チョコがぽろり。
「モニカちゃんも、当たりね」
「わーい! みんなで食べよ」
「……これも、分ける。一人で、食べきれない……」
 皆に幸運のお裾分け。

 ジュリアは手作りパネトーネを気って、聖史へ手渡す。
「このサイズで良いかしら?」
「ありがとうございます」
「ジュリア君のパネトーネ楽しみだったんだ。珈琲淹れようか?」
「今日は紅茶にするわ」
 モニカがぱっと手を上げた。
「アイザックくんはドリンクづくり得意なんだね、あたしお酒飲めないから……よかったら紅茶、いれてほしいな」
「もちろん。良いよ。ジュリア君も同じ物で良いかな?」
 ポットに四人分淹れて、カップと一緒に暖炉の前へ。
「フランスではフレーバーティーが人気だから、アールグレイにしてみたよ」
「へー。アールグレイってフレーバーなんだ。良い香りだね」
 華やかな香りを楽しみつつ、四人でまったりティータイム。
「アールグレイはアイスティー向きだし、水筒に詰めて山の上で飲んでも美味しいんじゃないかな」
 これからも紅茶を楽しめる様に。その気遣いにモニカは微笑んだ。
 聖史はプティングを見て問いかける。
「プティングも切った方がいいですか?」
「それは後のお楽しみ。クリスマス交換は英国式で行こうと思って」
 聖史の問いに答えながら、パネトーネを食べ、ワインをぐびぐび。聖史も一緒に食べつつ、ちらり。
「ケイン。後で万年筆を借りても良いですか?」
「いいよ。何に使うの?」
「あの日出来なかった分を、今日させてもらいたいと思って」
 この店で前に見た時は、あくまで応急処置。改めてメンテナンスをする為に、道具も持ってきた。アイザックは飛びきり良い笑顔を浮かべた。
「ありがとう。とっても嬉しいよ」
 モニカがカクテルを作って帰ってきた。
「グロリアスベースのバーでミーベルを紹介してみたら美味しそうなレシピ聞いたんだ。よかったらあたしのかわりに試してみて。……緑、赤、白のクリスマスカラーカクテルだよ!」
 メロンリキュール、クランベリージュース&ウォッカ、ミーベル&生クリームを3層のカクテル。
「綺麗だね。三層のカクテルは作るの難しいのに。とても美味しいよ」
 リラックスしてるアイザックに、ジュリアは優しく微笑んだ。
「今日はもう笑い話で済ませるけど、決まった休暇は消化しなさいよ」
「そうだね。休めるときに休まないと、仕事に支障が出る」
 結局仕事か。ジュリアはモニカにも微笑みかける。
「モニカ。今年は色々ありがとね。来年もまた、よろしく」
「こちらこそ、よろしくね!」

「アイスの次は、アイスです」
 アイスケーキを受け取って暖炉に戻る桃簾とは反対に、紬は暖炉を離れ渉の元へ。紬なりにパーティーを楽しんではいたが、年上ばかりで実は若干緊張気味だった。
「ローストチキン、美味しかったです。大きくて、肉汁たっぷりで」
「暖炉で丸ごと焼けるのが、やっぱよいね。あ、パスタも食べる?」
「食べます!」
 紬が食べやすいように、渉は料理を取り分ける。親戚のおにいちゃんのような安心感を感じ、遠慮無く甘える。まるで雛鳥に餌をあげる親鳥のような微笑ましさだ。

 アイザックはカクテルを作って桃簾へ運ぶ。
 ラム、ストロベリーリキュール、ライムジュース、いちご、氷。ミキサーで砕いて混ぜ、飾りに苺をのせ、フローズンストロベリーダイキリ。
「桃簾君なら冷たい物でしょ」
「当然です。とても綺麗な色ですね」
 甘酸っぱくひんやりとした液体が喉を通り過ぎる。
「鴇色には色が濃いかな?」
「わたくしの為に選んだのでしょう? ありがとう」
 裾を掴み、隣に座りなさいと椅子を叩く。
「アイスの作り方をわたくしに教えてくれたのは貴方でしたね」
 あれはアイス教の歴史的に大きな一歩だった。
「ロトルア支部では忍にも手伝って貰いました」
「東雲さんに?」
 懐かしい名前にアイザックが食いつくと、かかったとばかりに畳みかける。
「ズル出勤に負けず、わたくしもズル布教をします」
「……ズル布教?」
「止まり木をアイス教エオニア支部にし、貴方を名誉顧問兼支部長に任命します」
 アイス教の歴史に貢献したのだから当然という強引な理論。
「僕にはアイス教がよくわからないよ」
「教えます。エオニアはミーベルアイスで行きましょう」
 熱くアイスの魅力を語ろうとし止められた。
「ノートに書いて貰えないかな? アイス教の全てを。理解できたら支部長に」
 客への布教やアイザックの勉強用に、止まり木に置く。つまり経典。明日ノートを買い経典を作らねばと桃簾は決意した。
「罪悪感があるならば、ライセンサーのこういう酔狂にでも付き合いなさい」
 優しく微笑の桃簾を見て理解した。仕事を詰めるばかりでなく共に楽しもうと。
「ありがとう」

 空いた皿を下げ洗い、皿を補充する。柊也がテキパキと仕事を続けていた所へアイザックが。
「柊也君もパーティーを楽しんだら?」
「報酬貰うんだからこのくらい良いでしょう。昔からこうだったし、こっちの方が落ち着きます」
 暗に働き過ぎのアイザックに釘を刺す。
「柊也君が落ち着くなら。僕もここで」
 一人にしないよと見守る構え。洗い物の手を止め口を開く。
「あのー、ケインさんが処罰の対象になるなら。わかってて協力した僕らも同罪みたいなものじゃないですか」
「ごめん。巻き込んでしまって」
 そうじゃないと伝える為にアイザックをじっと見た。
「……ナイトメアがやってる事って、殆ど人間が人間にやってきたことでしょう? いちいち処分がーって言ってたら何も出来ませんよ」
 自国の利益の為に他国を侵略する。それが人間の歴史だ。
「その通りだね。ナイトメアより酷い人間もいる」
 それは柊也の知らない誰かを責めてるようだった。
「柊也はしっかりしてるね。初めて会った時、似てるなって思ったんだ」
「誰にですか?」
「僕に」
「似ていませんよ。僕は平凡ですから」
「平凡とは思わないよ。でも似ているようで、何かが違うんだね」
 それはそうだと心の中で柊也は思う。自分が家族の思い出を笑顔で語る事はないだろう。
「ありがとう。僕を心配してくれて」
 素直に頭を下げたので、少しは伝わっただろうかとほっと息をつく。
「わかったら、皆のところに戻ってくださいねー」

 アイザックがカウンターに立つと笹良達がやってくる。
「お近づきの印にワタシにも一杯、お任せでいただこうかしら?」
「俺もカクテルを一杯。ノンアルでお願いします」
「……ボクも、紅茶を……」
 渉と祭莉の顔を見てクスリと微笑む。
「まずは笹良君から」
「若い子達を先にしてあげて」
「レディーファーストだよ」
「やだぁ。アイザックちゃん、紳士」
 赤ワインとミーベルシロップを混ぜ、ミーベル、苺、オレンジをいれミントの葉を飾って。
「サングリア。綺麗だし、果物は美容に良いんじゃないかな」
「美容に良いのは嬉しいわ」
 笹良が美味しそうに飲んでるのを、渉は羨ましそうに眺める。
「みんながお酒楽しんでるのが、ちょっと羨ましいな……でもまだまだ我慢」
 そんな渉を見てミントの葉、ライム、サイダーを注いで混ぜカクテルを作る。
「バージン・モヒート。初めてのモヒートっていう意味。いつか本物が飲めるといいね」
 爽やかな味に渉はにっこり笑顔。
「さっぱりして飲みやすい。大人になるの楽しみにしてます」
 次に祭莉の顔を見て、どうしようかと悩みつつ選んだのは春摘みダージリン。色が紅茶にしては淡く、香りが爽やかだ。
「ちょっと苦しいけど、シルバーチップという茶葉が入ってるんだ」
「……シルヴァ」
 そう呟き腕を見た。腕輪の中のシルヴァも喜んでる気がする。ドリンクを入れ終えた所で、すっと笹良がワイングラスを差し出した。
「いつもうちの子がお世話になって……とお礼を兼ねて返杯」
「ありがとう」
 カチンとグラスを当てると、渉も一緒に乾杯。
「モヒートありがとう。それとアイザックさんは程々にお休みもとってね!」
 渉の気遣いに、アイザックは頷いた。



 モニカはチェス盤を見つけて、ぱーっと笑顔を浮かべる。
「あ、チェスもあるんだね、やろう!」
 アイザックにハンデをつけてやってみたが……完敗。しょんぼり肩を落とした所でジュリアが声をかけた。
「モニカ、スナイパー同士、ダーツで勝負よ!」
「だ、ダーツなら……! ……はじめてやるけど」
 ポイントショットの応用はダーツを壊しそうで諦めた。
 各自三投づつする。正々堂々勝負。
 先にジュリアが投げるとボードのど真ん中に。負けじと投げたモニカのダーツはやや逸れて6点。
 次のジュリアの一投は7点。逆にモニカはど真ん中。
 ここまでの点差はわずか1。
「これは最後が勝負だね。負けないよ!」
「ええ、遊びは本気が楽しいわ」
 二人はキリリと引き締めて投げる。結果は……二人とも6点。
「負けた……」
「良い勝負だったわね。楽しかったわ」
 健闘を称えあう姿を、桃簾がぱしゃり。カメラなのに壊れないの偉い。楽しい。
 紬がやってきて、勇気をだして声をあげる。お腹いっぱい食べた後は、遊んでみたい。
「あの、ダーツが気になってたんですが、やり方わからなくて……」
「教えるわ。最初は少し前からの方がいいかしら」
「ダーツはこう持って、腕はこんな感じで振って」
 ジュリアとモニカにアドバイスを貰いながら投げると、ギリギリ的に当たった。
「結構難しい……!」
「慣れだよ。頑張って」
 三人でわいわいダーツ大会。

 次にチェス台の前に座ったのは望。
「アイザックさん、チェスのリベンジをお願いしても? 貴方の淹れた紅茶をお供に、ひと勝負如何でしょうか」
「喜んで」
「あれから少し練習しましたので、ハンデは無しでも大丈夫ですよ」
 ふふんと自信ありげな望に、アイザックは意地悪な笑みを浮かべた。
「じゃあ僕も手段を選ばず……」
「ズルはダメですよ」
 くすくす笑みが零れる。気安さからの冗談だとわかっているから。
 アイザックが淹れたのは、スペインで飲んだキャンブリックティー。甘いミルクと蜂蜜が寒い冬にはぴったり。
「懐かしいですね。あの頃より強くなれたでしょうか?」
「強いよ。一対一で戦ったら僕が負けるくらいに」
「そんな事はありません」
 お茶を飲みながらチェスを差す。去年のクリスマスは一緒に菓子を作ったとか、思い出話に華を咲かせながら。
「今日の料理、あの時と同じだね」
 夏の止まり木で作った料理。その想い出を共有したい。想いが伝わったと気づき望は微笑んだ。

 聖史はカウンターに布を広げ、万年筆をじっくり観察。巻型のツールバックの紐を解くとルーペやスポイトと工具が沢山でてきた。
 細かい間仕切りのケースを置き、幾つかの透明なカップに水を張って、ペンの症状を診察し問いかける。
「このペンの想い出聞いても良いですか?」
「僕が子供の頃に父に貰ったんだ」
 父は使ってなかったが形見のペンだから、大事に手入れがされていた。
「僕が生まれる前に死んだ祖父の万年筆が使えるって不思議だね」
「万年筆は持ち主が自分で育て上げるんです。だから今はアイザックのペンです」
「祖父から僕の物になっていくんだね」
「今までケインがお爺さんと大事に育ててきたペンです。ちょっと緊張します」
 大事な物だと知ってより慎重に。首軸を分解し水を張ったコップに入れると、インクの汚れが水に溶けた。
 金のペン先の調整は特に丁寧に。一部の部品は代用出来ても、軸やペン先に代わりはないのだから。
「あとは、ケインがみんなと遊んでる間に仕上げてみせます」
 離れるのに迷ったアイザックに、少し意地悪かなと思いつつ微笑みかける。
「私が作業していることが気になりますか? 今、貴方が気にしている同じことを、同じ様に支部の皆が気にしているんですよ」
 一緒に働く人達が、アイザックを心配しているのに気付いて欲しい。
「そうだね。任せるよ」
 そう言って立ち上がる。
 汚れたインクが除去されたのを確認し、布でしっかり水気を切って、最後にインクを入れ直す。じっくり作業して終わる頃にアイザックが戻ってきた。
「書き味、大丈夫ですか?」
「凄い。ずいぶん滑らかだ」
「ご贔屓が特にいらっしゃらないなら、なにかの機会にまた見させてください」
「うん。聖史君はこのペンの主治医だね」
 医者に見立てられると気恥ずかしいが、万年筆の修理のプロとして、期待に応えられる腕でいたい。修理が終わって緊張が緩んだら、急に喉が渇いた。
「私も一杯もらっても良いですか?」
「うん。聖史君のイメージか」
 アイザックの表情がぴりっと緊張したのに聖史は気づいた。
 グラスに赤いベルモット、緑のシャルトリューズ、白のジンを入れ、3層の宝石の様に美しいカクテルのできあがり。
「上手くいってよかった……。ビジュー。この三色がルビー、エメラルド、ダイヤモンドなんだって」
 口をつけると薬草のリキュールの独特な香りが広がった。
「とても綺麗です。でも難しかったのでは?」
「うん。途中で色が混ぜないのがね。聖史君が真剣に万年筆を直してくれたから」
 真剣には真剣な誠意を返したい。
 ゆっくりカクテルを楽しんだ後は、遊びに行こう。ダーツにチェスに、仕事の後はしっかり分けて楽しむのだ。



 イタリアで初めて弾いてから約10ヶ月。桃簾はピアノの練習を続けていた。少しずつ上達しているが、拙さは残る。一人だとやや心許ない。
 そこへ祭莉が連弾を提案した。
「ピアノを弾けるのですか?」
 祭莉が弾くのを見たことが無く、レア度が高い。
「今は、ちょっと……弾いてみたいかなーって、まあ、なんとなく……なら、簡単なやつ、なら……弾ける」
 それで二人で練習をし、上手く弾ける様になってから本番だ。
 クリスマスに見合った楽しく盛り上がる曲にと、祭莉が選んだのは歓喜の歌。初心者用に音を減らし連弾用にアレンジした楽譜だ。
 ピアノを弾くと聞き、モニカは感嘆の声をあげた。
「みんな楽器できるの?」
「……少しだけ……練習した」
「すごいなー、あたしは全然……どんな曲?」
 簡単に弾いて見せるとすぐわかった。
「あ、みんな知ってる曲だ! んー……そーだ。紙とペンあるー?」
 演奏に合わせて皆で唄おうと、ドイツ語の歌詞をカタカナで書いて配った。わくわく期待に胸を弾ませ、皆が耳を傾ける。

 二人は一瞬目を合わせ、すぅっと深く呼吸をし、鍵盤に指を滑らせた。
 桃簾は懸命にプリモを弾き、祭莉は主旋律に寄り添うセコンド。初めての連弾だから、合わせられるよう事前に練習した。
「ふふ、一緒に弾くというのも楽しいものですね」
「……ん。楽しい」
 慣れて楽しくなって機嫌良く走る主旋律を、必死に支える祭莉の顔にも薄らと笑みが浮かぶ。
 そこへふわっと優しげな音が重なった。水の入った沢山のグラスが並べられ、その淵を渉と笹良がなぞっている。音階分のグラスを半々に分けて二人で演奏するグラスハープだ。
「ワタルと、サラ……で、『狂騒曲』だー……」
 祭莉は二人に譲る様にピアノの音を小さくする。グラスから響く繊細な音が部屋中に広がった。
 優雅な演奏に見えて難しい。渉が誘い閉店後や定休日に少しずつ練習し、合間を見て合わせ練習しただけ。
 ちょっと不安そうな渉に、演奏しながら笹良は囁く。
「多少のミスはご愛敬、楽しんで楽しんで」
 緊張して固かった音がまあるくなって、ピアノの音と溶け合っていく。音を楽しみ、渉の顔に笑顔が滲む。歌のパートが始まる前に演奏を終え、ほっと安心して渉は囁いた。
「まーなんとかなるよね!」
「これ、テレビで見て憧れてたのよねぇ! コツをつかんで音が鳴らせるようになるとハマるのよねぇ……ふふ」
 楽しげに笹良が笑った所で、モニカの弾む歌声が聞こえた。
「Wem der große Wurf gelungen!」
 それに続き歌詞を見ながら皆が歌い出し、桃簾達も弾きながら歌を口ずさむ。
 ピアノの音に歌が重なり、曲が盛り上がっていく。
 唄う皆の顔に笑顔の華が咲き、暖かな空気が部屋を包み込んでいく。皆の想いが一つになっていく。
 友人同士ではしゃぐのとも違う。心の底がほんのり温かく、くすぐったい様な、不思議な感覚に柊也は思う。
(……温かい。これが家族のクリスマスなのかな)
 演奏を終えた所でわぁっと声があがり、拍手が鳴り響いた。

「……楽しかった」
「良い演奏でした」
 桃簾は祭莉の健闘をたたえアイスを差し出した。
「アイス……なんで?」
「アイス教徒足る物、どんな時にも布教を忘れないのです」
 祭莉は布教がよくわからない。だが貰った物は食べないと勿体ない。一口食べると演奏で火照った身体に、ひんやり染みた。



 演奏会の後は、おまちかねのプレゼント交換タイム。
「くじ引き作ったよ!」
「渉君、ちょっと待って貰える?」
 アイザックがそう言って蝋燭に火をつけ、照明を消した。
 薄暗くなった室内で、固唾を飲んで見守る中、プティングに酒をかけ火をつけた。
 プティングが燃える。フランベだ。うわっと声があがった。
「これも英国式。この火が消えないうちに引いて」
 大慌てで箱に手をいれ引いていく。ゆっくり選んでる暇もない。照明を付け直した時には、皆に籤が行き渡った。

 紬がドキドキしながら開けると鉢植えが。柊也が用意した苺栽培キットだ。
「これで、苺ができるのですか!」
「実が付くのも楽しいけど、花も可愛いです」
 苺の花が咲くのを思い浮かべ頬が緩む。大切に育てよう。
 柊也のはワイヤーで石が連なるオブジェ。
「これは?」
「あら! それはワタシのね。天然石のサンキャッチャーよ」
 そう言って笹良が窓際に吊して見せる。太陽光を浴びたらキラキラ輝くだろう。
「日差しが恋しい季節だからこそ楽しんで欲しいもの」
「天気の良い日が来るのが楽しみになります」
 柊也は傷つけないように、大切にしまいなおす。
 笹良の分は、祭莉の用意した茶筒に入った日本茶。
「それ、ボクの。……店員に、お勧め、選んでもらった……」
「まあ、色んな茶葉が入っているのね」
 祭莉のは細長い硝子ボトル。中には赤、緑、白のクリスマスカラーの花達が、冬の寒さの中で咲く。
「俺の、俺の! クリスマスらしいハーバリウムにしてみたんだ!」
「……綺麗……」
 両手で大切に持って、祭莉はじーっとボトルを眺めた。
 渉のは上が星型の小さなタルト菓子。
「僕が作ったミンスパイだね」
「アイザックさんの手作り菓子?」
「英国のクリスマスでは、サンタへの贈り物なんだ。渉君がサンタかな」
 数日おいた方が美味しいらしい。笹良の日本茶と一緒に帰ったら店で食べよう。

「紅茶ですね! これはアイスと一緒に飲みましょう」
「良い香りのサシェですね。よく眠れそうです」
 望と桃簾が同時に開け、ん? と二人で見つめ合い贈り物を見せ合う。クマのマスコット付きティーパックセットと、ドライフラワーが散りばめられたボタニカルサシェ。互いに仲良く交換こ。

 聖史が箱を開けると小さな額に入った絵が。ジュリアが買った夏のミーベル畑のミニ絵画だ。爽やかな青空の下に実るミーベルが瑞々しい。
「とても綺麗ですね」
「私が見たのは冬の畑だったから、夏にまた来たいわ」
 ジュリアは野外調理用のクッカー。モニカがぱっと笑った。
「お仕事で使えそうかなって思ったんだけど、ジュリアに当たって嬉しい」
「モニカの贈り物なのね。大切にするわ」
 モニカが箱を開けると、聖史の用意した球体の水晶がついた根付が。
「綺麗。これストラップ?」
「根付です。日本の伝統的ストラップと言っても良いかもしれません」
「わあ! バックに付けよう。きっと太陽の下だともっと綺麗だよね」

 アイザックが箱を開けようとして紬の声が震えた。
「誰でも使えるように……短めにと、思ったのですが……」
 紬の贈り物はボルドー色の手編みのマフラーだ。アイザックに似合わないのではと俯いてしまう。
「凄いね。これ紬君が作ったの?」
 顔をあげると、既にアイザックはマフラーを身につけていた。
「お友達にプレゼントを編んでから、編み物にはまったので」
「手作りはとても嬉しいよ。ありがとう。大切にするね」
 その言葉にお世辞の色はなく、本当に喜んでみえて、紬はほっとした。思わず頬が緩んでふにゃりと笑ってしまう。



 夜遅くなってきたので、テーブルや椅子を片付け、床に毛布や寝袋を敷く。
「後は若い人同士で……」
 そう笹良が遠慮しようとして、皆の残念そうな顔が見え、くすりと微笑む。
「あら、酒が入ってたわね☆ ここまで車で来たのだったわ。じゃーお泊まり会にお邪魔させてもらおうかしら」
「わぁ!」
 最後まで皆で過ごせると知り、仲良く雑魚寝の準備中。
 ジュリアはカウンター席に座って、家族宛の手紙を書いた。一緒にクリスマスを過ごせなかった事を謝罪する文を書きかけ辞めた。
(……家族に会いたい気持ちはあるけど、戻りにくくなりそうだしね)
 代わりに無事に過ごしている事、クリスマスを祝う気持ちを込めて、モミの木の枝を1本手紙に入れた。

 時計を気にして、ちらちら確認していたモニカが声を上げる。
「みんなー、あと30秒だよー!」
 その声に全員が部屋の中央に集まる。
 チッチッチッ、ポーン。
「あけおめ!」
「次の一年がみんなにとって心浮き立つものとなりますよーに!」
「Happy New Year」
「また新しい一年が、どうか皆さんに幸せを運びますよう」
 思い思いの言葉を掛け合って、挨拶と共にハイタッチ。
 ひとしきり騒いでから、渉は窓の外の星空を見上げた。流れ星が見えた気がして、慌てて『楽しいことたくさんの一年になるように』と願う。

 眠る前のおしゃべりタイム。
「このまま眠るの、なんだかもったいないね」
 夜更かしたい気分のアイザックに祭莉は問いかける。
「ちゃんと、休んだ方が……いいよ。勝手に、眠くとか……ならないの?」
「仕事で徹夜に慣れちゃったかな」
 祭莉は勝手に眠くなり、ちゃんと寝てしまうタイプだ。徹夜に慣れるというのがよくわからず首を傾げ、そのまま眠りの淵に落ちていく。
 紬は「ちゃんとお休みしてるのかなー」と気になって、ちらちらとアイザックを見てしまう。迷って悩んで、そっと声をかけた。
「えっと……気持ちが焦ったり、頑張ろうってなっても、体が、追い付かないってなったら、大変ですっ」
 紬が勇気を振り絞ってかけた言葉に、アイザックは目を見開いて微笑んだ。
「そうだね。ちゃんと休めるうちに休まないと、いざという時に、体が持たないね」
「でも夜更かししたい気持ちはわかるわ。恋バナや秘密を打ち明けて過ごす夜も良いわよね」
 笹良の言葉に、柊也はふと思う。アイザックには秘密がありそうだ。先ほども何かわけありげだった。
「アイザックさんの秘密は何ですか?」
 期待するように皆に見られ、時計を見てふふっと笑った。
「……今日27になった事かな」
「「「誕生日!」」」
 何でそんな大事な事を黙ってたんだ。プレゼントを用意したのにと騒ぐ声に、小さく首を振る。
「今日は誕生日よりもクリスマスを祝いたかったんだ。それにプレゼントはもう貰ってるから」
 もう一度家族と過ごすクリスマスがしたい。その願いは叶った。それが最高のプレゼントだ。


 皆が眠りについた頃、望は小さく歌を口ずさみつつ、暖炉の薪をくべていた。火を絶やさぬよう管理するのもメイドの勤め。
 眠っている人達の毛布を掛け直していて気づいた。
「アイザックさん、眠れないのですか?」
「うん。楽しすぎたのかも」
「では眠くなるまで、宜しければ、一緒に星を見ませんか」
 良い眠りが訪れるように望はホットバタードラムを作った。マグカップに淹れて差し出し、毛布を羽織って窓際に移動する。
「体が温まる美味しさだね」
「先程の紅茶のお礼です」
 眠ってる皆を起こさぬよう囁きながら言葉を交わす。
「こうしたお泊りは初めてです……私にも良い休暇になりました。が……つい、屋敷の事も考えてしまうのは職業病でしょうね」
「僕もつい仕事の事考えちゃう」
「困った時はお手伝いしますし、休暇にはこうして駆け付けます。また新しい年を、共に過ごしていきましょう」
 ぐっと握りこぶしを作って望は微笑む。アイザックが何をしても揺るがぬ信頼だ。
「ありがとう。クレタの時も、今日も、僕の味方でいてくれて。皆のおかげで道を踏み外さずにすむ」
「アイザックさんが道を踏み外すなんて」
「『地獄への道は善意で舗装されている』正義の為に重ねた罪が、いつか悪の道へ繋がるかもしれない」
 レヴェルと通じるSALF関係者が、悪の道へ転がり落ちていくのを見てきた。だから踏みとどまらなければと自分に厳しくしていた。
「それでも……己への罰を重くしては駄目ですよ?」
「うん。今日気づいた。皆が僕を想ってくれた言葉が星なんだね」
 星を指さし語る。昔の人は道に迷ったら星を道標に旅をした。
「皆の期待を裏切らずに生きようとすれば、道を踏み外さずにすみそうだ」
「罪は消えないからこそ動く糧になりますが、貴方の尽力で救われたひとも沢山います」

 深夜に桃簾が目を覚ました時、暖炉の前にアイザックが座っていた。
「まだ寝ていなかったのですか?」
「もう少し起きてたくて」
 いい加減寝なさいと叱る母親の如く、ぐいぐいと毛布に寝かしつける。
「わたくしの子守歌で眠れないとでも」
 桃簾の圧力に大人しく目を閉じると綺麗な子守歌が響いた。言葉はわからないが桃簾の故郷の歌なのだろう。哀愁漂う響きが懐かしい想い出を呼び起こす。
「……帰りたいな」
 何処へかは解らない。でも帰れない場所なのは解った。
「歌を聴けば帰れます。夢の中で」
 その言葉に安堵し眠りについた。寝たふりをしていないかと顔を覗き込み、ふと思い出す。
「まだフィルムが残っていましたね」

 翌日、朝寝坊のアイザックが起きて目にしたのは、ボードのど真ん中に張られた自分の寝顔写真だった。
 慌てて剥がそうとして皆に笑いながら止められた。
 ボードの上の写真達は、店の歴史の一つである。

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