オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
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  2. SALF本部

  3. 【果冠祭】休暇任務の過ごし方

【果冠祭】休暇任務の過ごし方 雪芽泉琉

形態
ショート
難易度
易しい
価格
1500(EX)
ジャンル
日常 
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
160000G
160SP
1600EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/08/27 20:00
完成予定
2019/09/10 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●地中海に浮かぶ

 ナイトメアによって壊滅し、国という形を維持するのすら困難な『エオニア王国』
 国を背負う幼い王女は、考えた。
 途絶えている祖国伝統のお祭りを復活させられないか、と。
 国主が前に出て、明るい話題を供する事が大事なのだ。
 この国の未来は続いていくのだと示す必要があるのだ。

 もともとの祭りと同じものは出来ない。
 例えば、果物を大勢でぶつけ合うメインイベント。食べ物を無駄に出来るほど、国の財政は豊かではない。有り体に言えばむしろ貧乏だ。


 ――ぶつけるものは、ペイント弾。
 使われるはずだった果実は、沢山の料理に変えて皆で食べればいい。

 ――ここは今やSALFの前線基地。
 古きに拘らず彼らにとっても楽しいものにするべきだ。

「我と共に、全員が参加者になれる楽しい祭りを作っては貰えませぬか」


●休暇任務
 ヨーロッパから「至急帰還せよ」とアイザックに連絡が入った。
 ニュージーランドで大規模作戦の後処理に忙殺されていたが、即座に仕事を部下に任せ、ヨーロッパへ飛び帰った。
 ヨーロッパは故郷であり、父や兄、ケイン家の家族が守り続け、アイザックもまた長年守り抜いてきた因縁の土地だ。アフリカから北上するナイトメアの強さも身にしみて知っている。
 だから急いで駆けつけたのだが……。



「一ヶ月の休暇任務ですか? えっと……意味がわからないのですが」

 アイザックは困惑を隠せない。
 至急帰還せよというなら緊急事態かと急いで帰ってきてみれば、そんな事はなかった。
 平和ならそれでいい。だがしかし、休暇任務とはいったい?

「これ、君の勤怠記録。間違いないよね? 働きすぎ」

 元々ワーカーホリックなアイザックだが、昨年日本での仕事を開始して、ヨーロッパと日本を行き来することとなり、仕事量が増えた。結果ほぼ休みがなくなった。
 アイザックは突きつけられた勤務記録に目を通し、にっこり微笑んだ。

「ヨーロッパにいる間は、休みをとっていませんでしたが、日本では休暇を頂いてましたから。

 その数少ない休みを、カフェsinoでバイトしてた事は黙っておく。

「ニュージーランドが落ち着いたとはいえ、まだ他の地域は油断ができず、一ヶ月も休んでいる時間はありません」
「確かに世界的にみればどこかが常に危機的状況だ。これをすぐ解決できる程ナイトメアは弱くない。戦争が長期化するならば、適度な所でしっかりと休暇を取る必要がある。君が働きすぎるのを真似して、他の人間まで働きすぎで組織が疲弊したらどうする」

 アイザックの誤魔化しを、長年の付き合いで見抜いた上司は突っぱねた。
 ぐうの音も出ない正論に、アイザックも諦めざるを得ない。

「ひとつだけ条件がある。一ヶ月の休暇任務はヨーロッパ内にいて欲しい。万が一アフリカから北上する敵への対処が足りない時は呼び戻す」

 追加条件を提示され、アイザックは苦笑いを浮かべた。
 仕事が気になって休む気になれないとならないように、本当に危機的状況なら呼び戻すから、連絡がなければ安心して休んでいろという事だ。



 降って湧いた休暇任務を前にアイザックは途方に暮れた。さて、何をしよう。

「日本だったらカフェsinoでバイトできるんだけどな……」

 休暇中にバイトというワーカーホリックぶり。
 とはいえ、ただ仕事が好きなわけではない。カフェsinoで働いた日々がとても楽しかったのだ。

 ライセンサーは人の涙を減らす仕事で、カフェは人の笑顔を増やす仕事だ。
 ライセンサーとして戦場で生きる事に何も躊躇いはないが、時には笑顔を作る側になりたいと思う。



 支部の掲示板の前を通りかかり、『エオニア王国』のチラシが視界に入った。
 『ミーベルステファノス』という果実を使ったお祭りを行うようだ。

 5年前、大きなナイトメアの侵攻によりエオニア王国の首都エオスは壊滅した。
 今はSALFとEUの支援を受け、なんとか国を復興中だったはず。

 なぜアイザックがそれを知っているかというと、襲撃後のエオニア王国の各所に、SALFの軍事基地が作られたからだ。
 アフリカ大陸への偵察任務の際に、アイザックは何度もエオニア王国へ行った。
 国中に深く残る襲撃の傷跡を見るたびに、もう二度とこの悲劇を繰り返してはならないと思っていた。
 やっとお祭りができるほど、余裕が出てきたのかとホッとする。

「……ん。そうだ!」

 ぱちんと指を弾くと、笑顔で歩き出した。



●カフェでバカンス
 個人的な頼み事がある。そうアイザックが言ったので、ライセンサー達が集まった。

「来てくれてありがとう。一人では何から手をつけていいか困ってたんだ」

 昔アイザックがエオニア王国に来た時、飲みに行く場所が少なくて困った。
 ないなら作ろう。ライセンサーが気軽に遊びに来られる、カフェバーがあっても良いじゃないか。
 1ヶ月の休暇任務中に、アイザックが臨時で店をやり、軌道に乗りそうなら人に任せて続けてもらえば良い。


 しかし、どんな店にするか、何も考えていないし、店のコンセプトも特になく、店名だって決めてない。
 祭りにちなんでミーベルを使った料理もあったほうがいいかな? というくらいだ。


「カフェsinoでアルバイトはしていたよ。とはいえ料理はほとんど東雲さんが作っていたのを、温め直したり、盛り付けるだけだったから、料理に詳しくないんだ。あ、パンケーキだけは練習したから上手くなったよ。ドリンクは任せて。紅茶はもちろん、珈琲も勉強したし、カクテルを作るのも好きだね。せっかくの休暇だし、久しぶりにシェーカーの練習でもしようかな」

 自分の店なら、酒を飲みながら接客しても良いだろうか? とクスクス笑ってアイザックは瞳を輝かせた。
 久しぶりのプライベートのせいか、いつも以上に楽しげで、リラックスしている。

 それはいい。楽しいことは良いことだ。
 しかし用意された借家には、なぜか壊れた椅子やテーブルばかり。座るとギシギシいう椅子や、ちょっと穴の空いたテーブルだ。

「直せばまだ使えそうな物をもらってきたんだ。勿体無いし、僕は古いものを大切に使うのが好きなんだ。実家にもあったよ。何度も直して、ボロボロになるまで使い倒した椅子が」

 英国人は良いものを長く使うのを貴ぶ気風らしい。
 さらに店の中を見回すとピアノ、ダーツの的、チェス台まであった。ダーツとチェスはアイザックの趣味らしい。

「ピアノは調律済みのを借りてきたんだ。まあ、僕は弾けないからしばらくは飾りになりそうだね。聞くのは好きなんだけど。食べ物以外に娯楽があったほうがいいと思うんだ。もっと良いものがあれば教えて欲しいかな」

 この店を開くのは、アイザックの息抜き。
 ついでに前線基地で勤務するライセンサー達へ、息抜きの場所も作れたら最高だ。
 誰もが適度な所でしっかりと休暇を取る必要があるのだから。


「よかったら皆の休暇の過ごし方も教えて欲しいな。次のバカンスに、何をしたらいいかわからない、とならないように、皆のバカンスの話を聞いてみたいんだ」

 売り上げなんて気にしない、客が少なくても構わない。だってこれはアイザックのバカンスであり、ライセンサー達のバカンスだから。
 一日くらい飲んで、食べて、歌って、遊んで、楽しい時間を過ごしてもいいだろう。
 何も決まってない、見切り発車のバカンスカフェを作ろう。

●目的
カフェバーの準備
バカンスを楽しむ


●NPC
アイザック・ケイン
 ワーカーホリックなライセンサー。酒好き英国人。時間があれば酒飲みたい。
 カフェsinoのバイト経験で、基本的なホールの仕事は可能で、ドリンクは上手い。英国人なので紅茶好き。
 得意料理はパンケーキ。
 調理経験は少ないが器用な方。レシピを見ながらなら、料理はそこそこ美味しくできるが、慣れてないので手際が悪く時間はかかる。
 開店中は時間がないので、開店前に調理して、作り置きを出す方が無難。


●場所
 エオニア王国にある借家。
 壊れかけの椅子とテーブル、調律済みのピアノ、ダーツ、チェスあり。
 壁には何も装飾はなく、看板もない。


●行動
 準備期間1日と、前夜祭1日の2日間の任務。
 カフェバーの開業資金や、PCへの報酬はアイザックのポケットマネー。道楽なので、できるだけコストは抑えたい。
 必要な機材は可能な範囲でアイザックが手配します。


・準備
 店名を考える。
 家具の修理、アイザックへの調理指導、店のインテリアなど分担してください。
 準備期間中にアイザックと自由にお話可。


・前夜祭
 開店前日に貸切パーティー。店で出すメニューの他にも好きに料理可。ピアノも自由にどうぞ。
 1日貸切ですので、食べたり、喋ったり、遊んだりして、バカンスを楽しみましょう。


●補足
 椅子やテーブル:木で作られた古いが良い品が多い。少しだけ壊れている。
 ミーベル:エオニア王国の名産。桃の様に甘く柔らかい果実。種は柿程度に小さい。ミーベルを使ったお祭り中。

 リプレイ中にPCとアイザックしか登場しません。開店前ですので客はいません。
 開店後は基本アイザック一人で営業するので、アイザックにできないメニューなどは避けてください。

 ※アイザックが何ができて、何ができないのか、わからないと思いますので質問卓設置可。アイザックが答えられる範囲で回答します。

 こんにちわ、雪芽泉琉です。
 文化祭当日より、準備期間の方が楽しいよねという雪芽の趣味で、準備だけの依頼にしてみました。

 ワーカーホリックなアイザックに休暇任務が出されるくらいです。皆さんもバカンスを楽しみましょう。
 店名やコンセプトなど、店の基本部分は相談して擦り合わせしておいた方がいいでしょう。
 素敵なプレイングをお待ちしております。

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

アドリブ◎
「何も、しないと落ち着かない…わかる
こちらも何もないなら寝るか何かするかしかないだけでかなりのワーカホリック
●準備
用意可能なら
自前のミシン
布類は大きめの物から余り物サイズまで使えそうな物を
仕立て道具
●行動
チョータローがいるのでピアノに興味津々

・家具・内装の修繕
アイザックの手が空くまではこちら
どこを直せばいいのか、手を加えればいいのか詳しいテンジキに聞きながら工具を借りる
修理はあまり経験ないが店長たちがやってた感じを参考に
・アイザックと相談して制服・エプロンの設計と仕立て
材料と時間が足りなければ制服上下一式は作らずにエプロンだけデザインして作成
エプロンは店のトレードマークを刺繍
「止まり木」なので鳥と枝木にミーベルの果実を付けるのが適当か
看板のデザインを参考にしてもいいかもしれない
「シルヴァが…これ、『イカス』って…
作成が完了し時間が余れば飾り用にエオニアをイメージした刺繍を作る
切れ端や小さな布はノゾミに渡してパッチワークの素材にしてもらう
・インテリアの配置他力と手先の器用さが必要な仕事
こちらも指示に応じて実行
身長もあり男だから力はある方なので役に立つことが多いだろう

前夜祭では料理のレシピを元に一品でも作ってみる
ピアノを聞くのがとても楽しみ

  • 人魚の揺り籠
    そよぎla0080
    人間15才|ネメシスフォース×セイント

「アイザックくーん(てこてこ」
お手伝いにきたのよー
楽しいいっぱいにしよーねっ!(るんたった

あのね、僕はお料理できないので、インテリアのお手伝いするの!
アイザックくんが英国の人なので、ええと…
英国のカフェ?とか、ハ、ハブ?…ぁ、パブ?っぽいの、足せると良いなと思ったり

お祭りでミーベルが出てるんだよね!
ほふ、ちょっと分けて貰えないか聞いてくるのー!(てってけ
偽物だと、飾りにも使えるけど、あるかしら、ないかしら?
本物は、メニューに使えたら素敵っ!

運んだりとかもがんばるのよ
僕ね、もう14歳なので!おにーさんなの(きりり(無い筋肉をむきっとさせる

前夜祭は飲み物もらうの、ふたつね、ふたつもらうの
いっこはアイザックくんにあげる!アイザックくんが用意してくれたのなら……うん!アイザックくんにあげる!
(ちょこり座って)アイザックくーん
おやすみしてる?おやすみしてるかしらー?(足ぷらぷら
いっぱい嬉しい、ありますよーに!かんぱーい!

  • 夢見る力で世界は動く
    月居 渉la0081
    人間18才|ネメシスフォース×グラップラー

●準備
・レシピ各種(バインダーに挟む。バラで使用可)
・ポラロイドカメラ(フィルムは多めに)

●行動
店名案は「clap!」
楽しいとき、嬉しいときにお互い笑顔で手を打ち鳴らす、そんな場所になってほしい

アイザックさんは不慣れそうなので、今回はレンチンや混ぜるだけという簡単レシピを用意
「桃モッツァレラみたくミーベルモッツァレラとミーベル生ハムはいけるはず…」
ミーベルのおつまみとして提案
昼間は食事したい人もいるだろうから、レンジでできるキーマカレーを提案
「この分量をボウルに入れてレンチンするだけ!」
一日10食限定とかにすれば仕込みも楽だね
バゲットやクラッカー用のサーモンディップにひよこ豆ディップ、ピーマンともやしのナムル
めんつゆ使って煮卵も意外といける、日保ちするし
飲めない人もノンアルカクテルなら大丈夫だね

合間にカメラで皆の準備風景や奮闘するアイザックさんを撮影しボードに貼る
お客さんが書けるミニカードも用意
写真でもカードでも、記念に貼ってもらおう

前夜祭は提案した料理の他、皆と一緒にあれこれ調理
「紬ちゃんもお疲れ様!職人さんだったねー」
修繕を本格的に頑張ってた彼女にジュース差し出し乾杯
鳥太郎さんのピアノに合わせ。マイシューズでタップダンスも披露

最後はアイザックさんを真ん中に皆で記念撮影。これもボードにぺたり
アイザックさん、たくさん楽しんでね

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

◆準備
○修理
「わ、紬さん本格的だね。こういうの得意なの?」
道具、絵の具やカラーマーカー持ち込み
主に力仕事で手伝う
鋸使うとか布を張って押さえとくとか
手分けする所を積極的に
余裕あればピアノ周りを簡易ステージに
弾ける人は自由に弾いて貰っても良いかも

○看板
店名決定後、修繕で出た余り木板を組みアンティーク調で看板を作る
店名に、因むものやドリンク、ピアノの絵などを描き目印になるように
防水のニスで仕上げ

○他制作
・カメラの使い方、壁に貼っていい事を絵で説明したボード
・その椅子や家具に纏わる話
 修繕時のエピソード等絵付きで描いたカード
カードは各テーブルに置き、待ち時間に読める様に
「バラバラな家具を見る楽しさに繋がるし
何かあって時間が開いても、楽しんで貰えるよね」

◆ 前夜祭
動画を撮りSNSにアップして宣伝
○食
祭莉さんの料理を食べる
「美味しい、腕を上げたね」「ミーベル食べてみたかったんだ」
「アイザックさん、なんかドリンク作って! ノンアルコールで!」

○ピアノを弾く
「いいピアノだね。素直な音だ」
渉さんがタップダンスするなら合わせる
曲はゆったりとした温かな旋律の創作Jazz
英詞で歌を乗せ楽しそうに弾く
『偶には振り返っても良いんだ。思い出して
帰る場所がある
これは君が、その手で守る星の物語!』
曲名は店名を貰いたい

アドリブ歓迎

■準備
お料理の準備と飾り付け中心
・料理
僭越ながら調理指導をさせて頂きますね
此方、私からのレシピのメモ一覧です…纏めておきましたのでご活用ください
パンケーキに沿えるシャーベットやコンポートも、ミーベルで作ってみましょう
お酒にも合いますよ

・インテリア
エオニア伝統の柄や模様などが入った余り布を街で訪ねながら集め
少しずつ、心を繋がるように縫い合わせ
パッチワークのタペストリーやクロスを作り、壁とテーブルを飾ります
エオニアに咲くお花も添えて
夜にはキャンドルを灯しましょう

・アイザックさん
準備も兼ねてお料理などをしながらお話も
この夏、私は海に行きました
海に入るよりも、浜辺をのんびりと散歩するのが好きで
波の音はとても癒されますし、アイザックさんも時間を忘れてゆっくりして頂きたいのですが
…きっと、貴方はいつだって、誰かの為に在るのでしょうね
例えそれがどんな形でも
アイザックさんなりの強さや優しさの礎なのだろうかと、私は思います
…素敵なお店にしましょう、皆が笑顔になれる場所に

■前夜祭
作ったミーベルのアイスを頂きながら
紅茶は私も普段屋敷で淹れていますが、お酒は嗜む機会が少ないので新鮮です
…アイザックさんがシェイカーを振る様子も見せて頂けるでしょうか?
その様子もポラロイドカメラで一枚撮影し想い出のひとつに
遊戯はチェスなら嗜み程度に出来ますので、何方かお相手が必要ならお付き合いします

  • ちょっとだけ現実主義
    桐生 柊也la0503
    人間15才|セイント×スナイパー

ロシアには依頼で行ったことがあるけど地中海の方は初めてですね
ヨーロッパからアフリカに掛けては小国が多くて消えて行った国もあるそうだけど
ここは特産の果物共々に残ったんですね

主に料理関連
まずは作り置きしてそこそこ保存も出来、色々と応用も利くジャムから
パンケーキは勿論、バニラアイスや紅茶に入れても美味しい
ミーベルが桃に似た果実なら桃を使う要領で行けますね
皮を剥いて種を抜き細かく切った果実と砂糖を混ぜて余分な水を抜き
レモン汁を入れて煮詰める間に保存用の瓶を煮沸消毒

あと、ミーベルにシロップと白ワインを加えて夜のデザートにしてもいいかも
煮詰めるのと同時進行でシロップを作る
ジャムもシロップも作り方自体はシンプルなので慣れればどうと言うことはありません
桃のジュースは日本酒と相性が良くて美味しいカクテルに出来るという話ですが
ミーベルを使っても行けるでしょうか?
残念ながら未成年なので酒の味見は出来ないんですよ
(アルコール系は成人の誰かに味を見て貰う)
バニラアイスは酒を掛けてもよく合うらしいのでこれもちょっとした夜のデザートになりますね

バカンスと仕事の区別なんてはっきりしなくてもいいと思います
sinoのバイトだって楽しいからやってたんですよね?
健康を害したりしてない訳ですし、他人の基準は気にしなくて良いんじゃないでしょうか
ケインさん自身の気持ちの問題ですし

  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|グラップラー×スピリットウォーリア

息抜きで店を作ろうなんて貴方らしい
ならば全力で楽しみましょう

■店名案
平仮名で『わ』
どんな意味だと来店の話題にも
話、羽、和、輪
語らい、次へ飛び立つ糧、平和、調和、協力加算の解、繋がる縁
わ♪と楽しい音、様々な意味を込め、且つ覚え易く簡単に
皆の案も褒める

■メニュー
「桃に似た果実でしたらアイスでしょう(ふんす
単品、パンケーキに添えて、飲物に使用等々用途も多いと力説
但し己は作れず望の調理を見学(ガン見)し覚えたい

■行動
準備はインテリアを主に
アイザックの仕入れルートや近隣の店、住人等を訪ね、無料か格安で布調達
伝統模様の端切れ等あれば嬉しい
貼合わせて使うのでサイズや形は問わない
併せて開店したら来てくれと宣伝

★掲示板
『~あげます』『~求む』などファンタジー酒場風
★壁に写真やメモ
客と共に作り続けていく場所に
記念写真や風景、誰かへの言葉など様々に
「こんな絵も(謎生物描いたメモ
「猫です
★インテリアプレート
板に端切れを組合せ接着し壁に飾る
アクセントになり模様替えも簡単

折をみて紬を手伝う
「頑張っていますね(微笑

前夜祭はアイス堪能、ご機嫌
ピアノも以前よりは上達したので演奏(子犬のワルツ(但しゆっくりめ
「この店の誕生祝はどうです?
本番は明日だろうが、決定した店名入れてバースデー歌を皆でと誘い演奏
ぼんやりな紬にあれこれ食べ物与え構う

  • 止まり木店員
    点喰 紬la2065
    人間11才|ネメシスフォース×スナイパー

「が、頑張ります…!
目的
家具をしゃんと直して開店に備える

準備:持込可なものを木製の道具箱に入れて持込む
出来ない場合、端材、不用品から現地調達、それもダメなら購入依頼
ミニアイロン
木製ハンマー
彫刻刀
丸や角型の木端材
(ここまで、できれば持込
接着剤
ぼろ布
紙やすり
家具用のオイル

行動
店名の案は『止まり木』
皆が気軽に寄って休める場所として

ヘアゴム、ヘアピンで前髪をぐっと上げて作業開始
「みんな、どんな風に使われ来たのかな?
携帯品ペンライトで光を当てながら家具を検分
使用する際に困る軋みや凹凸と、木目等で分かれば木材種類を確認

「実家は指物屋ですけど、洋家具も直したりするので…!
家で聞いたやり方だと、皆さんにも伝えつつ作業
家具のひっくり返しなどもお手伝い依頼

大きな凹み傷は濡らしたぼろ布とアイロンを当てて膨らませて
紙やすりで軽く削ってからオイルで拭く
穴は接着剤を付けた木材片をはめ込み(必要ならハンマー使用
ある程度接着剤が乾いたら彫刻刀で削って仕上げる

「ふわぁ…
初日作業後は体力と緊張の糸が切れ倒れる(寝落ち
前夜祭もぽやーっと燃え尽き気味ながら楽しむ

  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|セイント×グラップラー

家具を直すのは得意な人に任せます(私だと変に拘って作業進む気がしない
せめて、家具を配置する力仕事の時は手伝います

なので、料理を一緒に考えます
一人でも色々出来て、美味しくて、昼も夜も使える物…ベーコンかな?
ベーコンは薄いスライスなら焼いて食事系パンケーキに添えて、
厚切りは焼いて、角切りはクリームチーズと混ぜておつまみにできます
切り方変えるだけなので事前の準備も楽です
茹でたソーセージもそのまま保温しておけば、後は出すだけですし昼夜両方使えます

パンケーキが作れるなら、カフェはそれで食事とお菓子を賄いましょう
お菓子系は桐生(la0503)の作るジャムやアイスを添えて、
食事系はスクランブルエッグとベーコンを一緒に添えれば軽食には十分かな

お酒はミーベルとフルーツでサングリアはどうでしょうか?
ワインに果物入れるだけですし、朝に準備すれば夜には出せます
「名産品を使うと、それで話が弾むかもしれないですよ?

>休暇の過ごし方
「依頼以外の時…店番…(家庭の事情

フルアーマーバトルの世界大会とか見に行ってみたいです(願望1
あと、ドイツ。戦闘状態が落ち着いたら、万年筆の有名な工房に行ってみたいです(願望2
「でも、お店あるから行けない…(落ち込む

  • 月下の姫騎士
    月鏡 由利菜la3027
    放浪者21才|ゼルクナイト×スピリットウォーリア

【心情】
「エオニア王国の果冠祭、ですか」
「…私にも、手助けさせて頂けないでしょうか」

【目的】
前夜祭の成功

【準備】
木材、彫刻刀、カッター、紙やすり、敷物
「アイザックさん、エオニアの王女殿下の写真はありますでしょうか?」
「大半は100均で揃えました。本来は工具をもう少し用意したかったのですが…」

【同行者】
アドリブ

【行動】
☆準備
店名
「私も『止まり木』、良い名だと思います」

彫刻1を使い、エオニアの王女の木彫りフィギュアを制作、店に飾って貰う
1日で作れなければ翌日持ち越し
「せっかく、彫刻の作り方を覚えましたので…この機会に、やりたいことをやってみたいのです」
「…生じた汚れは、私が責任を持って掃除致しますので!」

フィギュア作りが停滞している時は、家具運びやインテリアの飾り付け作業を手伝う
「邪魔にならない範囲で、お手伝い致します」

☆前夜祭
出された料理を味わいながら、果冠祭について語らう
「私は好きですよ、この雰囲気」
「次の機会があれば、私もミーベルを使った料理に挑戦したいです」


「お祭りでミーベルが出てるんだよね! ほふ、ちょっと分けて貰えないか聞いてくるのー!」
 そよぎ(la0080)はてってけと店を飛び出した。
 入れ替わる様に桃簾(la0911)と来栖・望(la0468)が帰ってくる。アイザックが楽しそうに荷物を受け取った。
「お疲れ様。買い出しありがとう」
「息抜きで店を作ろうなんて貴方らしい」
「楽しそうだなって思ったんだよね」
「ならば全力で楽しみましょう」
「エオニア王国の伝統模様の布を頂きました、とても綺麗ですよ」
 望は布を一枚手に取って、翡翠の目を細めた。
 少しずつ、心を繋がるように縫い合わせ、パッチワークにするのだ。
 常陸 祭莉(la0023)もエプロンに使えそうな布を物色する。
「何も、しないと落ち着かない……わかる」
 寝るか仕事かと両極端なワーカホリックの祭莉だから、ぼんやりとわかる気がしたのだ。
「制服……エプロン……必要……?」
「毎日店に立つし予備のエプロンを多めに作ってもらえるかな」
「……わかった」
 こくりと頷きデザインをどうしようか考え始める。

 点喰 紬(la2065)は瞳を見られるのが苦手だ。日に透かした蜂蜜色の瞳は、日本人には珍しく、子供の頃にイジメられた。普段は分厚い前髪で隠してしまう。
 けれど今日は髪を縛り、ヘアピンで前髪をぐっと上げた。
「が、頑張ります……!」
 実家から借りてきた道具箱から、必要な道具を取り出して行く。
 ミニアイロン、木製ハンマー、彫刻刀、丸や角型の木端材。
 化野 鳥太郎(la0108)は思わず作業の手を止めて見入ってしまった。
「わ、紬さん本格的だね。こういうの得意なの?」
「実家の手伝いで、すこしだけ……」
 実家『梅丸屋』の職人半纏をぎゅっと抱きしめて俯く。道具と一緒に半纏も入っていたのだ。
 自信無さげな紬の様子に、桃簾はおっとりと問いかけた。
「どうしたのです、紬?」
「桃簾さん! おじいちゃんに、これ着てやってこいって……」
 『梅丸屋』の名を背負って家具の修繕をしてこいという事だ。
「……それは確かにどうしよう、ですね。でも紬なら出来る、大丈夫だと思って託されたのではなくて?」
「託された……はい! できること精いっぱい頑張ります……!」
 緊張で手が震えながら、半纏の袖を通した。

「家具を直すのは得意な人に任せます。力仕事の時は手伝いますよ」
 都築 聖史(la2730)は筆記具の修理の仕事をしている。手先が器用な方だ。
 だからこそ変に拘って作業進む気がしないし、料理を担当しようと考えた。両親の不在時に家事をこなしてきたから得意だ。
「料理なら僕も」
 控えめに立候補しながら桐生 柊也(la0503)はミーベルを手に取った。
「ロシアには依頼で行ったことがあるけど地中海の方は初めてですね。ヨーロッパからアフリカに掛けては小国が多くて消えて行った国もあるそうだけど、ここは特産の果物共々に残ったんですね」
「一時期は大変だったけどね。今もまだ復興途中だから」
 アイザックの語る言葉には、長年アフリカと戦い続けた重みがある。
 柊也は以前アイザックと任務を共にした事があるが、その時とだいぶ印象が違うと思った。

「エオニア王国のミーベルステファノス、ですか」
 月鏡 由利菜(la3027)は王女パルテニアに興味を覚えた。
 自らの身に宿りし半身、蒼の女騎士もまた国を再興したいと願ったから。王女と重なって思えるのだ。
「……私にも、手助けさせて頂けないでしょうか」
「助かるよ。ありがとう」
「アイザックさん、王女殿下の写真はありますでしょうか?」
「この国の有名人だからネットに画像は沢山あるよ」
 スマホで写真を選んでプリントアウト。王女の木彫りフィギュア作りだ。
「大半は100均で揃えました。本来は工具をもう少し用意したかったのですが……」
 木材、彫刻刀、カッター、紙やすり。買ってきたものを並べるが、少し足りない気がする。
 それを見て紬が紙やすりを指し示す。
「これを少し分けていただけますか? 工具は少しお貸しできると思うので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」

「ただいま!」
 そよぎが荷物を抱えて元気よく帰ってきた。るんたった、るんたった。動物の耳の様な黒髪を揺らして飛び跳ねる。
「アイザックくーん。お手伝いにきたのよー。楽しいいっぱいにしよーねっ!」
「こちらこそよろしくね。楽しいがいっぱい……ふふ、それは良いね」
「あのね、僕はお料理できないので、インテリアのお手伝いするの! それで、これ……」
 ずずいと差し出したのは、英国酒メーカーのポスターだ。酒屋で貰ってきた。
 英語のポスターがあるだけでも、英国の雰囲気が出そうだ。
「アイザックくんが英国の人なので、ええと……英国のカフェ? とか、ハ、ハブ?……ぁ、パブ? っぽいの、足せると良いなと思ったり」
「ああ、なるほど! それは良いね。英国のエールも店で扱おうかな」
 アイザックの喜ぶ顔を見て、そよぎはるん、るん、らー♪ と嬉しそうに歌い出す。ご機嫌な様子は、周りに花が咲いたようだ。


「お店作りか、なんかわくわくするね。店の名前って決まってるんですか?」
 月居 渉(la0081)の問いにアイザックは首を横に振る。絶賛募集中らしい。
「『clap!』っていうのはどうです?」
 そう言ってパンっと手を叩いた。拍手という意味だ。
「楽しいとき、嬉しいときにお互い笑顔で手を打ち鳴らす、そんな場所になってほしいな」
「いくつか候補を出して、アイザックさんに決めて頂きましょう」
 望はそう言って、少し悩む風に首を傾げた。
「『COMODO』皆さんの、気楽で心地の良い空間にしたいです」
 桃簾は掌を合わせて目をキラキラ輝かせた。
「どちらも良い名ですね。わたくしも一つ『わ』はどうです?」
 話、羽、和、輪。語らい、次へ飛び立つ糧、平和、調和、協力加算の解、繋がる縁。一つの音に色んな意味を込めて。
「どんな意味だと話題にもなるでしょうし『わ♪』という音には気軽さや楽しさがあります」
「わ♪」
 そよぎが楽しそうに口に出してみる。
 紬が控えめに、おずおずと手をあげて口を開いた。
「『止まり木』はどうでしょう? 皆が気軽に寄って休める場所として」
「……止まり木。ん……良いと、思う……」
「私も『止まり木』、良い名だと思います」
 祭莉と由利菜が賛成し、皆の視線がアイザックに向かった。どれが良いかと問う様に。
「迷うね。僕の好みで選ぶなら、止まり木かな。木の温もりが好きだよ。でも他のも良い名前だから、何かに使いたいな」
「それならカードに入れてみるかい?」
 化野は提案する。
 客が待ち時間に読める様、テーブルにカードを置こう。椅子や家具に纏わる話を絵付きで描き、店名候補や意味も入れようと。
「バラバラな家具を見る楽しさに繋がるし。何かあって時間が開いても、楽しんで貰えるよね」
「お客さんが書けるミニカードがあっても良いね。写真でもカードでも、記念に貼ってもらえる様に」
 ポラロイドカメラを手に持った渉は、皆の写真を撮った。今日の記念を形に残そう。



「みんな、どんな風に使われて来たのかな?」
 紬はペンライトで光を当てながら、壊れた家具を丁寧に検分する。
 軋みの原因や目視できる凹凸を探し、木目で木材種類を確認。
 道具の使い方を学ぼうと、横で見ていた由利菜は感心の声をあげた。
「凄いのですね」
「実家は指物屋ですけど、洋家具も直したりするので……!」
 テーブルの大きな凹み傷は、濡らしたぼろ布とアイロンを当てて膨らませ、紙やすりで軽く削ってからオイルで拭く。
 穴は接着剤を付けた木材片をはめ込む、上手くはめ込めない時にはハンマーで叩いて。ある程度接着剤が乾いたら、彫刻刀で削って仕上げる。
「邪魔にならない範囲で、お手伝い致します」
 木屑が散らばる床をささっと掃除して、由利菜は作業に取り掛かった。
「何を作るのですか?」
「王女のフィギュアを。せっかく、彫刻の作り方を覚えましたので……この機会に、やりたいことをやってみたいのです」
 物を直すのではなく、0から生み出すのは、指物屋とはまた違った作業だ。
 写真を見ながら、集中して木を削って行く由利菜の手際を見て、紬も張り切って家具の修復に取り組んだ。


 望は柄布を組み合わせてパッチワークにし、タペストリーやクロスを作っていく。
「エオニアに咲くお花も添えましょう」
 夏真っ盛り、花屋に一際目を引いたのが、鮮やかなピンク色のブーゲンビリア。鉢植えで買ってきて日が当たる窓際に置いた。

 化野は木板のあまりで看板作りに精を出す。
 バーに似合いそうなアンティーク調に、小鳥の絵も書き足して、防水のニスで仕上げる。
「シルヴァが……これ、『イカス』って……」
「イカスか、そりゃよかった」
「ミーベルの偽物あったよ。飾りにも使えるかしら?」
 木製のミーベルの模型を手に取ったそよぎは、看板の下に吊るした。
 出来上がった看板を眺め、祭莉はポツリと呟く。
「……チョータローは、絵も上手い」
「上手い下手より、味だよ」
「味……」
 こくりと頷いて、エプロンに施すトレードマークを紙に書き化野に見せた。鳥と枝木にミーベルの果実だ。
「これ、どう……?」
「へぇ、こりゃいい、完成が楽しみだね」
 祭莉はぼんやりと、かすかに微笑んでエプロンを手に取った。看板に合わせてダークブラウンの生地に刺繍をする。
 そよぎは仕事を探して、きりりと(無い筋肉を)むきっとさせる。
「運んだりとかもがんばるのよ。僕ね、もう14歳なので! おにーさんなの」
「そりゃ凄いね。ピアノ周りに簡易ステージを作りたいんだ。手伝ってくれるかい?」
「はーい!」
 そよぎと化野がステージ作りを始めると、チクチク縫いながら祭莉はそわそわ。
(チョータロー、ピアノ弾く……?)
「ボクも、手伝う」
 紬に工具の使い方を教わって、木材を切って見た。店長たちがやってた感じを思い出しながら。

 桃簾は掲示板作り。
 ファンタジー酒場風のデザインのコルクボードに『~あげます』『~求む』のカードを貼った。
 桃簾画伯の最新絵も添えて。
 パシャリと音が聞こえて振り向くと、渉が作業風景をポラロイドカメラに写していた。
「カメラ興味あるんですか?」
「撮ってみたい、とは思います」
 努力家な桃簾だが、電化製品ブレイカーという弱点を抱えていた。インスタントしか使った事がない。
「アナログ式だから大丈夫。フィルムも多めに持ってきたし、撮影できるよ、やってみようよ」
 勧められ恐る恐る手に取って、シャッターを切る。ゆっくりプリントされた写真が出てきてホッとした。
「大丈夫そうだね。ここに貼って……これ何?」
「猫です」
 謎の軟体生物らしきイラストに渉が首を傾げると、真顔で即答。
 ちょっと、だいぶ、かなり前衛的で、わからないね。

 祭莉が工具を返しに来ると、夢中で作業する紬が目に入った。
 呼吸すら忘れそうな勢いで、真剣に家具に向き合う姿に声をかけるタイミングを失う。
 しばらく観察して、一呼吸ついた所で声をかけた。
「……頑張ってる?」
「『梅丸屋』の名前を背負ってますから」
 紬の表情は恥ずかしげだが、瞳はイキイキと輝いていた。
 その横で由利菜が黙々と王女のフィギュア制作。一番重要な顔の部分が終わってホッと一息つく。
 優しさ、子供らしい可愛らしさの中に、瞳に意思の強さを感じる。良い表情になった。
「手伝い、必要?」
 祭莉に声をかけられ、慌てて立ち上がる。
「……生じた汚れは、私が責任を持って掃除致しますので!」
 床をささっと掃除し、胴体部分の制作へと取り掛かった。




 アイザックへの料理指導時間。
 柊也はミーベルの皮の剥き方から保存方法まで、丁寧に説明していく。
「まずは作り置きしてそこそこ保存も出来、色々と応用も利くジャムから。ミーベルが桃に似た果実なら桃を使う要領で行けますね」
 皮を剥いて種を抜き、細かく切ったミーベルと砂糖を混ぜて、余分な水を抜く。
「パンケーキは勿論、バニラアイスや紅茶に入れても美味しいです」
「ジャムを紅茶に入れるとロシアンティーかな」
「レモン汁を入れて煮詰める間に、保存用の瓶を煮沸消毒を」
「保存用の瓶は煮沸消毒。なるほど、化学的でわかりやすいね」
 ジャムを煮詰めるのと同時進行で、ミーベルシロップも作っていく。複数の作業を効率よく進める方法も、店をやって行くなら覚えておいた方がいい。
「ジャムもシロップも作り方自体はシンプルなので慣れればどうと言うことはありません。あと、ミーベルにシロップと白ワインを加えて夜のデザートにしてもいいかも」
「お酒のデザート! それは良いね。僕も食べてみたいな。甘い物も嫌いじゃ無いんだ」
「桃のジュースは日本酒と相性が良くて、美味しいカクテルに出来ると聞いた事があります。ミーベルを使えるでしょうか?」
「日本に行った時に、日本酒は飲んだ事あるけど、カクテルはないな。試しに作ってみようかな」
 お酒と聞いて、目を輝かせるアイザックを見て、柊也は苦笑いを浮かべた。
「残念ながら未成年なので酒の味見は出来ないんですよ」
「そうだね。他の人に頼んでみようか」
 アイザックが周囲を見回し、聖史と目があった。一区切りつくまで待っていたのだ。
「ジャムできました?」
「柊也君のおかげで、上手くいったよ」
「パンケーキが作れるなら、カフェはそれで食事とお菓子を賄いましょう。お菓子系は桐生のジャムやアイスを添えて、食事系もあると良いですね」
「パンケーキ一つで菓子も食事もできるのは良いね。お勧めは?」
「一人でも色々出来て、美味しくて、昼も夜も使える物……ベーコンかな? スクランブルエッグとベーコンを一緒に添えれば軽食には十分かな」
 ベーコンを取り出し包丁で切る。
「ベーコンは薄いスライスなら焼いて食事系パンケーキに添えて、厚切りの角切りはクリームチーズと混ぜておつまみにできます」
「お酒が進みそうだね」
「切り方変えるだけなので事前の準備も楽です。茹でたソーセージも保温しておけば、後は出すだけですし昼夜両方使えます」
 アイザックは万年筆を取り出し、ノートに行程のメモをする。思わず万年筆を見てしまったのは職業病だ。
「ずいぶん古いものですね」
「祖父が使ってたものでね。でも最近書き味が悪くて」
 丁寧に手入れして使い込まれた風情の万年筆だ。
「お祖父さんですか?」
「軍人だったんだ。SALFができる前の話だけど」
 故人の話なのだろうと、それ以上聞くのを辞めた。
「後で見ましょうか? 部品が無いので直せるかわかりませんが」
「助かるよ。愛用してる物だから、できるだけ大切にしたくて」
 聖史も物を大切に長く使いたいタイプなので、微笑んで頷いた。

 酒好きのアイザックの為に、つまみメニューを考えたのは渉だ。
「桃モッツァレラみたく、ミーベルモッツァレラとミーベル生ハムはいけるはず……」
「それはワインが飲みたくなるね」
 レシピをプリントアウトして、バインダーに挟んでアイザックに渡す。分量、加熱時間、細かく書かれていてわかりやすい。
「昼間は食事したい人もいるだろうから、レンジでできるキーマカレーどうですか。この分量をボウルに入れてレンチンするだけ!」
「レンジでカレーが作れるんだ。凄いな。カレー美味しいよね」
「一日10食限定とかにすれば仕込みも楽ですね」
 バゲットやクラッカー用の、サーモンディップにひよこ豆ディップの作り方を見せ、ピーマンともやしのナムルは、材料を切って調味料と一緒に合えるだけ。
「めんつゆ使って煮卵も意外といける、日保ちするし、これだけつまみがあれば食事代わりになりますよ。飲めない人もノンアルカクテルなら大丈夫ですね」
「煮卵は日本の居酒屋で食べたけど美味しいね。めんつゆがあれば簡単に作れるんだ」
 日本からお取り寄せリストに、日本酒とめんつゆを追加した。

 望はおっとり微笑み、丁寧に綴られたメモを差し出す。
「僭越ながら調理指導をさせて頂きますね。此方、私からのレシピのメモ一覧です……纏めておきましたのでご活用ください」
「綺麗に書いてあってわかりやすいね」
「パンケーキに沿えるシャーベットやコンポートも、ミーベルで作ってみましょう。お酒にも合いますよ」
 氷菓と聞いて、桃簾はキッチンに飛んできた。
「桃に似た果実でしたらアイスでしょう」
 ふんすと鼻息荒く力説するが作り方は知らない。調理を見学(ガン見)して覚えたい。子供の様に目を輝かせ、キッチンの隅っこでじっと眺める。
「コンポートもジャムに近いのですが、加熱時間を短めにして、果肉を大きめに残します」
 バニラアイスの材料にミーベルの果肉を混ぜ、冷凍庫を開けた所で、桃簾ががっかりした。
「やはり……冷凍庫を開ける人がいないと、一人では作れないですね」
「冷凍庫を使わないアイスか……あるよ」
「あるのですか!!」
 アイザックの言葉に前のめりで詰め寄る。
「氷に塩をかけるとすぐ溶ける。その過程で急速に周囲の熱を奪うんだ」
 北国では除雪の為に塩を使う。その応用だ。
 空き缶にアイスの材料を入れ、塩をかけた氷の中に入れ、ぐるぐるとスプーンでかき混ぜると、アイスが出来上がった。
「塩の量が最初は難しいかもしれない。失敗しても今日は人も多いし」
「アイスに失敗はありません。等しく尊いものです」
 アイス教徒の教義ですね。
 アイスをクーラーボックスに詰め、作る。その繰り返し。アイス製造機と化した桃簾。
 望は次に料理の作り方を説明する。
 フードプロセッサーで混ぜて作るソースは、パスタやグリルに和えるだけでOK。
 野菜やチーズ、魚を切って飾れば綺麗、カルパッチョやカプレーゼなど、前菜も。
 作りながら、目を細めて語り出す。
「この夏、私は海に行きました。海に入るよりも、浜辺をのんびりと散歩するのが好きで」
「散歩も良いね。この国の海はまだ歩いた事なかったな」
「波の音はとても癒されますし、アイザックさんも時間を忘れてゆっくりして頂きたいのですが……きっと、貴方はいつだって、誰かの為に在るのでしょうね」
「誰かの為?」
 驚いたように目を瞬かせた。
「自分勝手だと思うんだけどな」
 ナイトメアを撃破する事がアイザックの目的で。しかし一人では達成できない。仲間が必要だ。
 仲間が戦いやすい環境を整え、力を発揮してくれれば、目的へ近づく。
「僕は僕の為にやってるんだよ。このカフェも、仕事もね」
 情けは人のためならず。しかしそれを自分勝手というのは、何か違う気もする。
「例えそれがどんな形でも、アイザックさんなりの強さや優しさの礎なのだろうかと、私は思います……素敵なお店にしましょう、皆が笑顔になれる場所に」
「ありがとう。望君」

 調理の合間に聖史は洗い物。料理より掃除の方が得意だし、裏方の方が性に合う。エプロンが水で重くなった。
 替えを探していたら祭莉の作ったエプロンが目についた。
 小鳥とミーベルの刺繍が可愛い。祭莉はのんびり問いかける。
「……使う?」
「良いのですか?」
「予備、たくさん、作ってる」
 祭莉の周りはエプロンがいくつも並んでいた。
「お借りします」
 心の中でこっそり喜びながらエプロンを身につけた。

 望の調理指導の次は、聖史と柊也の指導の再開だ。
「お酒はミーベルとフルーツでサングリアはどうでしょうか? ワインに果物入れるだけですし、朝に準備すれば夜には出せます」
「サングリアか。人気があるよね。良いな」
「バニラアイスは酒を掛けてもよく合うらしいので、このサングリアにアイスを加えても、ちょっとした夜のデザートになりますね」
 柊也も意見を加えて行く。
 食材の管理法、調理器具の手入れなど、細かな解説を加えられるのは、主婦の様な家事スキルならではだろう。
 皆が用意したレシピも、ノートに書き綴ったメモも多く、1ヶ月カフェメニューに困る事はなさそうだ。
「ミーベル料理たっぷりになりそうだ」
「名産品を使うと、それで話が弾むかもしれないですよ?」
「そうだね。エオニア王国に初めてくるライセンサーには、良い話題になりそうだ」
 この店に集う客を思い浮かべ、アイザックは楽しそうに笑った。




 翌日。カフェバー『止まり木』は完成間近。
 紬が「気になる所があるので、もう少しだけ」と最後まで直し続け、由利菜が「仕上げまで丁寧にやりたいので」と王女像を磨き続ける。
 化野は料理の写真や動画を撮ってSNSにアップ。
 そよぎがカメラの使い方、壁に貼っていい事を説明した手作りの絵をボードに設置。
 祭莉はアイザックに教わりながら、パンケーキを焼いてみた。
 望がパスタを、渉がつまみやカレーを作る。パンケーキに聖史がスクランブルエッグを、柊也がジャムを乗せていく。桃簾はひたすらアイスをかき混ぜ続けた。


「ふわぁ……」
 最後の仕事を終えた瞬間、体力と緊張の糸が切れた紬は倒れた。昨日も寝落ちで、睡眠不足気味。
 キャンドルに照らされた店内は落ち着いていて、思わずうとうと。
「紬ちゃんもお疲れ様! 職人さんだったねー」
 渉は修繕を頑張った紬を労う為に、ミーベルジュース差し出し乾杯。
 二人は初対面だが、親同士が知人だから、親近感がある。
 並んで座って、渉の肩に寄りかかり、紬はぽやーっと燃え尽きた、ジュースを飲む。桃簾がせっせとパンケーキを与えると、少しづつ力が戻ってきた。
 やり遂げた達成感で味わうお菓子は美味しい。そう心の中で思いながら。

 そよぎはピースサインで、アイザックに飲み物を頼む。
「飲み物ふたつね、ふたつもらうの」
「誰かと一緒に飲むのかな? はいどうぞ」
 ミーベルジュースとソーダを混ぜてミントを浮かべたドリンクを渡すと、一個は返された。
「いっこはアイザックくんにあげる! アイザックくんが用意してくれたけど……うん! アイザックくんにあげる!」
 そよぎ式の労いなのだ。素直に微笑んで受け取った。ちょこりと隣に座って顔を覗き込む。
「アイザックくーん。おやすみしてる? おやすみしてるかしらー? いっぱい嬉しい、ありますよーに!かんぱーい!」
 とても楽しそうに乾杯とグラスをぶつけた。カウンター席の椅子は高かったようで、足が床につかずにぷらぷら。
「ありがとう。皆と過飲むお酒は嬉しいよ」
「アイザックくんが休暇中にやるんだよね? あのね、そしたら楽しいは勿論なんだけど、アイザックくんがリラックスできそうな雰囲気があると良いと思ったの」
 生まれた国の雰囲気、ちょっとでもあれば落ち着かないかしら……英国とエオニア足して割って、どっちも素敵な雰囲気にならないかなぁ。
 そんな風にそよぎなりに考えた結果、英国のパブ風になったのだ。
「僕がリラックスできる様に考えてくれてありがとう。そよぎ君の髪って柔らかそうだね。触っても良い?」
「いいよー!」
 大人しく頭を撫でられながらそよぎは祈る。アイザックも、お客さんも、皆が幸せに過ごせますように。


 柊也の隣の席に渉は腰掛け話しかける。
「お兄さん、うちの店によくきてくれてるよね。おばちゃん達の噂になってるよ」
「ああ、あの酒場の方ですか」
 渉の店に何度も柊也は訪れていたが、落ち着いて話す機会はあまりなかった。
「……ボクも、チョータローも、客」
「賑やかで楽しい店だよね」
 祭莉と化野も加わって、食事をしながら自然と話が盛り上がる。
 化野は祭莉の焼いたパンケーキを頬張った。ミーベルアイスとコンポートが添えられている。
「綺麗に焼けてる。腕を上げたね。祭莉さん」
「……そう、かな」
「ミーベル食べてみたかったんだ」
 美味しそうに食べる化野の姿を眺め、祭莉の食べる手が止まった。
「祭莉さん、このキーマカレーも美味しいよ。もっと食べて、食べて」
「チョータロー……盛りすぎ、食べきれない……」
 山のようなカレーを前に、首を横に振った。


「桃簾さんのアイス、美味しいですね」
「望のシャーベットも美味しいです」
 望と桃簾は交換して食べ比べ。膨大に作られたアイスの大半は、桃簾の口にブラックホールの様に消えた。
「冷たくて、美味しくて、気持ちいい!」
 紬の疲れた体にアイスが沁みる。ここに毛深い兄妹がいたら、もふもふでもっと癒されたかも。
 そこへアイザックが温かい紅茶を淹れてきた。
「はい、冷たい物食べると体が冷えちゃうしね」
「ありがとうございます!」
「ありがとう。アイス教徒には不要の心配ですが、気遣いは嬉しいものです」
「紅茶は私も普段屋敷で淹れていますが、お酒は嗜む機会が少ないので新鮮です。アイザックさんがシェイカーを振る様子も見せて頂けますか?」
「いいよ」
 望はカクテルを作る姿をカメラで撮影する。
 グレープフルーツジュース、ミント、ライチを加え、軽くシェイク。トニックと一緒にグラスに入れて軽くステア。ミントの緑が美しいカクテルが完成。
「名前はフェアリー。望君と出会った任務を思い出してね」
 英国の湖水地方での任務から1年もたってないが、だいぶ昔のようだ。
「とても美味しいです。お礼にチェスなら嗜み程度に出来ますので、お付き合いします」
「わぁ、嬉しいな。僕、結構強いよ。ハンデをつけようか。ふふ、王女殿下に試合を見届けていただこうか」
 クイーンの駒をとってグラスの隣に置く。
「それはハンデがありすぎでは?」
 クイーンは最強の駒だ。自分も何か駒を減らして……頭をよぎるのは主の顔。だが流石にキング抜きではチェスにならない。ナイトの駒をグラスに並べた。
「では、私は主に見届けていただきます」
 お酒を楽しみながらのんびりチェスタイム。


 チェスが終わって一休み。アイザックはバカンスの話に耳を傾ける。
「バカンスと仕事の区別なんてはっきりしなくてもいいと思います。sinoのバイトだって楽しいからやってたんですよね?」
 柊也の問いかけに頷いた。臨時の手伝いのつもりがハマった。
「健康を害したりしてない訳ですし、他人の基準は気にしなくて良いんじゃないでしょうか。ケインさん自身の気持ちの問題ですし」
「そっか……うん。ありがとう。スッキリしたよ。やりたい事が仕事なら、それも休暇なんだね」

「依頼以外の時……店番……」
 バカンスに何するかと考え、聖史は家業の店の心配が過ぎる。
「仕事がなかったら……ですが、フルアーマーバトルの世界大会とか見に行ってみたいです」
「金属がぶつかり合う音が迫力あってカッコよいね」
「フルアーマーが好きですか?」
「歴史とロマンを感じるね」
 思わずグッと握手し、こほんと咳払い。バカンスの過ごし方の話だった。
「戦闘状態が落ち着いたら、ドイツの万年筆の有名な工房に行ってみたいです」
「マイスターの国だからね」
「でも、お店あるから行けない……」
 いずれは家を継ぐつもりだが、その前に西洋剣術の世界大会に参加したい。適合者では参加できないだろうかとぼやく。
「EXISを装備していない適合者は、一般人と運動能力変わらないし、参加できないのかな?」
「そうか……今度調べてみます」
「店を大切にしたい気持ちも、やりたい事も、諦めなくて良いんじゃないかな」
 両立は難しいかもしれないが、不可能ではないのだから。


 由利菜は料理を味わいながら、ミーベルステファノスについて語り出す。
「私は好きですよ、この雰囲気」
 エオニアの白い家屋と青い空は、クレタ島を思わせる。
 由利菜の戦闘スタイルは、想像の力を魔法陣にする。その時ギリシャ語を使うせいか、ギリシャ風の国は少し親近感を感じる。
「次の機会があれば、私もミーベルを使った料理に挑戦したいです」
 家事も特技の一つで、料理も好きだ。
「またいつでも遊びにおいでよ。任務を共にできたら嬉しいな」
 この国は今もなお、平和とは言えないから。
 店の守り神の様に、壁に飾られた王女のフィギュアを眺め、アイザックが目を細める。
「良い表情だね。王女様に会ったことはないけれど、一緒に飲んでる気分かな。ふふ」
 国を再建しようとする王女の話を聞いた時、由利菜は大切な蒼の女騎士の故郷を思い浮かべた。
「私の大切な人との約束……と言えばいいでしょうか。その人の住んでいた異世界も、ナイトメアとは異なる魔物達の侵略で滅んで……」
 異世界同士が手を繋ぎあう世界の実現が夢であり、その夢に至る為の道を今も歩いている。
「私は、再興の力となる為にその世界への道を探している最中です」
「騎士の誓いかな。凛々しくて勇ましいね」
 大切な人の話と、思わず熱弁したくなる気持ちをグッとこらえる。
「アイザックさんは何の為に戦ってるのですか?」
「家が代々軍人の家系で、それが当然だと思って育ったから」
「当然ですか」
 桃簾は穏やかな微笑でアイザックを見た。
 貴族の姫と生まれたなら統治者になるのは当然であり、今なお姫として果たすべき務めの為に、必ず帰らなければならないと心に決めている。
 そこに疑問はない。そういう事なのだろう。
「でもライセンサーになってなかったら、考古学者も良いね。もしカイロを取り戻せて、ピラミッドが残ってたら、調査したいな」
「アイザックさんにも夢があるのですね。それでアフリカに拘りが?」
「それだけじゃないんだけどね」
 アイザックは万年筆を弄ぶ。その表情は少し憂いを帯びていた。
「色んな思いが……あるのですね……」
 紬はぽつりと呟く。両親に好きなことを見つけてこいと言われ、ライセンサーになってみたが、一人一人違う生き方をしてるのだなとしみじみと思った。




「この店の誕生祝いにどうです?」
 開店は明日からだが、止まり木の誕生を祝う一曲を。桃簾はピアノの前に座り化野をちらりと見た。
 以前よりは上達したが、プロの前で弾く自信はない。深呼吸をして動揺を抑え、自分は前座と覚悟する。鍵盤に白魚の指先を置いた。
 奏でるのは子犬のワルツ。間違えないように、ゆっくりと丁寧に。
 弾き終えて桃簾が顔をあげると、アイザックが拍手した。
「桃簾君凄いね。ピアノが趣味なのは知らなかったよ」
「いえ、最近勉強し始めたばかりです」
 ただ愚直に練習を続けるのみだ。
「僕もバカンス中に練習してみようかな。せっかくピアノがあるんだし」

 ピアノが弾きたくて堪らない化野と、ピアノが聞きたくてそわそわする祭莉がやってくる。
 次は化野の番だ。試しに和音を一つ奏でる。
 ポロン。綺麗に店内に響いた。
「いいピアノだね。素直な音だ」
 何を弾こうか考えながら、肩慣らしに適当に弾いてみる。それだけで店内の空気がガラリと変わった。
 祭莉は化野の顔が見える位置に座る。
(チョータロー、楽しそう……)
 生き生きとピアノを弾く姿を、こっそり見るのが好きだ。
「鳥太郎さん、Jazzをリクエストしてもいいですか? マイシューズ持ってきたんで、余興で踊って見たくて」
 渉が履くのはタップダンス用の靴だ。
「そりゃぁいいね。じゃあこういうのはどうだい」
 ゆったりとした温かな旋律の創作Jazzを奏でると、渉はステップを踏み始めた。
 タタ、タタン、タン、タタン。
 靴底と木の床が擦れる音が、リズミカルに楽しげで。ピアノも軽快な調子に変化して行く。
 思わず歌い出したくなって、踊る渉に目で合図すると、呼吸を合わせるようにタップのリズムが変わった。
『偶には振り返っても良いんだ。思い出して、帰る場所がある』
 流暢な英語の歌が始まって、思わずアイザックは目を見張る。
 皆が目を瞑ってピアノとタップと歌声の奏でるハーモニーを楽しんだ。
『これは君が、その手で守る星の物語!』
 最後の一音まで余韻を残し、手を止めた。
「この曲に止まり木の名前を貰いたいんだけど良いかな?」
「もちろん」
 アイザックが頷くのを見届けてから、祭莉の顔をみる。
「次の一曲、祭莉さん弾いてみる?」
「無理……ボク、弾けない」
「でもさっきからずっとピアノ見てない? 教えるよ」
「……聞くのが、良い」
 そう言って祭莉は化野の背中側に回り込む。
 ピアノの椅子に寄りかかる様に座り込み膝を抱える。背中合わせで、ピアノの音に耳を澄ませた。
 何度も繰り返し歌ううちに、皆、自然と歌詞を覚える。
 皆で『止まり木』の誕生日を祝って歌い、前夜祭は大いに盛り上がった。


 楽しい音楽の時間を終え、化野はカウンター席に突っ伏した。
「アイザックさん、なんかドリンク作って! ノンアルコールで!」
「俺もお願いします」
 歌とピアノとタップダンスで、化野と渉の喉はカラカラだ。
 二人の為に作ったのはサラトガクーラーinエオニア。
 ライムジュースとジンジャーエール、それにシロップを入れるが、ミーベルシロップを使うのがエオニア風。
「甘さ控えめだから食事にもあうし、汗かいた後は爽やかなのが良いよね」
「美味い!」
 ごくごくと飲み干しながら渉はポラロイドカメラを取り出した。
「皆で記念撮影しませんか。アイザックさんが真ん中で」
「僕が? 良いの?」
「「もちろん」」
 皆が頷いた。だってアイザックが始めた店で、ここにいる皆で作り上げた店だから。
 セルフタイマーをセットして、笑顔を浮かべ、みんなでぱしゃり。

 集合写真をボードに貼り付け、渉は言った。
「アイザックさん、たくさん楽しんでね」
 今日が終わってしまうのは残念だが、アイザックのバカンスはこれからだ。
「ありがとう。実は皆にお土産を用意してるんだ」
 取り出したのはお酒の瓶。『女神の雫《2059》』のラベルが。
「エオニア王国の名産ミーベルのリキュールだよ。アイスにかけても美味しいね」
 アイスの言葉に桃簾が瞬時に栓を開けかけ、思い止まった。これはお土産だ。
 紬は困った様に俯いた。お酒が飲めない未成年だから。アイザックは床に膝をつき目線を合わせ微笑んだ。
「焼き菓子の香りづけに使っても良いけど、栓を開けなければ何年でも持つから。大人になるまでとっておいて」
「大人になる……まで、保存する」
 祭莉はそう呟いて、帰ったら保存方法を母に聞いてみようと思った。
 今日の楽しかった時間の想い出と一緒に、酒を寝かせよう。数年後、栓を開けたときに、今日を思い出せるように。

 その後アイザックは1ヶ月のバカンス中、楽しく店を営業した。
 エオニア王国に滞在するライセンサー達に大変好評で、もったいないから、バカンスの後も店を残そうと、人を雇う事になった。
 止まり木の名の通り、休むために立ち寄って、快適な時間を過ごす。ピアノが流れ、楽しげな拍手が鳴る。

 人々を見守るのは木彫りの王女のフィギュア。その温かみのある雰囲気は本物よりも親しみがあった。
 ボードの真ん中にいつも前夜祭の集合写真が貼ってある。

 これがエオニア王国の片隅に、ひっそりと佇む、カフェバー『止まり木』の始まりの物語。

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重体者一覧

重体者はいませんでした。

参加者一覧

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|
    ネメシスフォース×セイント
  • 人魚の揺り籠
    そよぎla0080
    人間15才|
    ネメシスフォース×セイント
  • 夢見る力で世界は動く
    月居 渉la0081
    人間18才|
    ネメシスフォース×グラップラー
  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|
    ネメシスフォース×スピリットウォーリア
  • 未来へ導く聖女
    ノゾミ・エルロードla0468
    放浪者22才|
    セイント×グラップラー
  • ちょっとだけ現実主義
    桐生 柊也la0503
    人間15才|
    セイント×スナイパー
  • アイスの女神
    桃簾la0911
    放浪者22才|
    グラップラー×スピリットウォーリア
  • 止まり木店員
    点喰 紬la2065
    人間11才|
    ネメシスフォース×スナイパー
  • 転生のタンザナイト
    都築 聖史la2730
    人間22才|
    セイント×グラップラー
  • 月下の姫騎士
    月鏡 由利菜la3027
    放浪者21才|
    ゼルクナイト×スピリットウォーリア

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