オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】辺獄のフロントライン

連動 【堕天】辺獄のフロントライン ガンマ

形態
ショート
難易度
難しい
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 バトル  
参加人数
103~10人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
4
締切
2019/07/17 20:00
完成予定
2019/07/30 20:00
機体使用
関連シナリオ
-

●沈め

 ――ロシアインソムニア『ネザー』を攻略せよ。

 ニュージーランドでの戦いから矢継ぎ早ではある。だが既に一刻の猶予すら悪夢共にくれてやる道理なし。
 大きな戦いがまた始まる。人類は今度こそ、奈落へと挑む。

 ネザー周辺は不毛なる荒野と果てていた。そこには至る所にナイトメアが跋扈し、既に人類の生存圏はない。
 かの地が奈落、地獄ならば、さながらここは辺獄か。

 ――戦闘の音が響く。近付いてきた人間を、悪夢は容赦しない。

「進め! 進め!」

 人類は進む。この一歩が未来に繋がると信じて。銃火器が吼える。白兵武器が閃く。鋼鉄の巨人が、歩兵が、荒野を駆ける。
 かくして彼らの前に、やはり、あの怪物は現れるのである。

「ようこそ、ネザーへ」

 奈落の主、ロシアインソムニア司令官、エルゴマンサー『エヌイー』。
 だがその姿はいつもの人の形ではなく。
 まるでアサルトコアのような、巨大な人型兵器に搭乗していた。

「対人兵器ナイトギア。皆様のイマジナリードライブの力で動くアサルトコアを、エルゴマンサーが操り人形のように動かすもの、とでも説明しましょうか。
 ……従来のものはどうも、燃料の出力が不安定だったんですけれどもね。それを皆さんが解決してくれました。アサルトコア:ダンテ――強い精神力による、煩雑と不安定なエネルギーの束ね方。やはりナイトギアを皆さんに見せて良かった」

 燃料にライセンサーを入れることで、強いイマジナリードライブを軸に高出力を安定させる。
 かのナイトギアの中には、人間が生体燃料として収められている。おそらく――拉致された者達が。
 
 かくして、夜の名を冠した悪夢の兵器は攻勢を始める――。



●挑め
 エヌイーと遭遇した部隊が壊滅的な被害を受けている、とナイトメア掃討戦中の君達の部隊に通信が入った。通信主はソラリス(lz0077)だった。
『我々の部隊で、負傷者の救助と周辺ナイトメアを抑えます! 皆様はエヌイーを――1分、1分でいいです、1分だけ抑えて下さい!』
 君達の部隊とソラリスの部隊は、ちょうどエヌイー出現地点から近い部隊だった。
 ソラリスの部隊――歩兵とアサルトコアの混成部隊――が先に駆ける。彼女らはナイトメア共を攻撃し、君達が進む道を切り開いてくれる。

 君達は駆けた。そして――
 ――辿り着いた。ナイトギアに乗った、奈落の主の前に。

 アバドン。それは破壊の場、滅ぼす者、奈落の底。翼と蠍のような尾を持つ異形。
 エヌイーは半壊したアサルトコアから、ナイトギアの尾のような武装を引き抜くと、君達を見る。

「戦争、ですね」

 鳴り続ける戦いの音が遠くに静まり聞こえるほどの、殺気。
 絶対的な敵が、いずれ必ず倒さねばならない怨敵が、そこにいる。

「侵略者として、皆さんに挑戦します。いざ、生きるか死ぬか、切磋琢磨しましょうか」

 エヌイーが構える。
 君達も構えることだろう。同時に、通信機からソラリスの声が聞こえた。

「――必ず、皆で……生きて戻りましょう! この地獄のような場所から……!」

 願うような、叫びだった。
 悪夢の根源に踏み込む彼女は、恐ろしくて堪らないのだろう。そして悔しくてならないのだろう。ナイトギアを完成させる為の存在としてエヌイーに利用されたことが。
 けれどソラリスは君達を信じている。君達を信じ、奮い立ち、流せぬ涙を飲み込んで、次の戦いに繋げる為、君達の作戦の邪魔をするようなナイトメアを払い、負傷者を救助せんと手を伸ばす。

 さて。
 君達は何を信じ、どう戦う?

このシナリオでは限定的に「生身での参加」を許可。
ACに乗らない場合、プレに【非搭乗】と明記すること。
【非搭乗】者はACに乗らず終始生身で任務に参加しているとして扱う。
宣言のない者はAC搭乗者として扱う。

●目標
6ターン耐久orナイトギアに一定のダメージ蓄積
サブ:ナイトギアの情報収集

●登場
エヌイー/ナイトギア
 人型兵器ナイトギアに搭乗。
 非常に堅牢。特殊抵抗超高。飛行可能。
 武装は二つ。
・白熱する鞭のようなモノ。知覚。距離長。直線。
・長い尾のようなモノ。物理。近接。単体、周囲。命中対象に「防御低下(5)」付与。

↓スキル

・イマージュの鎧
 イマジナリーシールドを転用したダメージコントロールシステム。部位破壊を常に無効化する。

・疾風怒濤
 超出力による機動。最大三回の行動ステップを持つ。

・アバドン
 エヌイーのスキル『腐食する白銀』をナイトギアに応用したもの。
 自身から半径10sq以内の対象の防御値を常に三分の一少ない者としてダメージを算出する。
 同時に、毎ターン開始時に範囲内対象へ「免疫低下(6)」付与を試みる。

・自動浄化
 不利な変調を、生命1d6消費ですぐさま回復。

・高度学習体
 回避されるごとに、その対象に対する命中補正が上昇していく。

・奈落の主
 パッシブ。ネザーのナイトメアからいかなるダメージを与えられることはない。

・巨体
【非搭乗】者はあらゆる手段で移動を妨害できず、移動sq上に【非搭乗】者がいる場合、踏みつけによる物理大ダメージを与える可能性がある。また、【非搭乗】者による射線の妨害を無視する。

etc…

アサルトコア『ダンテ』
 AC搭乗者はプレに【ダンテ】と記載することで、ダンテに搭乗しているとして扱う。
 装備は搭乗者のAC装備を装備しているとして扱う。
 パラメータやスキルは特設ページ参照。

●状況
 荒野。広い。
 負傷部隊および周辺ナイトメアは、ソラリス率いる部隊が対応&救助中、手助け不要。
 ターン開始前に、一つだけバフスキル使用可能。

●MSより
 こんにちはガンマです。
 リンボでリンボー。
 よろしくお願い申し上げます。

言うまでもねぇ
信じて貰ったなら行動で示すだけだ!

正直エヌイーに思う所はある、ありまくる
弄んだ命の数数えたら腸煮えくり返る思いだ
だけどな…!私怨で動くのはヒーローのする事じゃねぇ
今は他を救う為に力振るい、こいつをぶっ飛ばす!
勝負だ、侵略者!

耐久戦
近中距離主体
突きと鈍器扱いのぶん回し
立ち位置は敵正面で味方と直線、斜めで重ならない
敵とは槍の射程範囲の距離維持
長尾の射程を見極めなるべく範囲外に
積極攻勢は味方と交代し前に出る時のみ
前に出る時はストームF使用
突進力を生かし全力突きで注意をこちらに
槍は物理と知覚を使い分け
どちらの方が効果があるかも見ておく!
至近距離は柄を短く持ち対処

手の届く味方のカバーは可能な限り
常に行動順を調整しエヌイの味方への集中攻撃は文字通り横槍を入れ妨害
ファングブースト使用でぶち抜く!

源内の緊急修理はポチとか最後まで立てる奴に
使う時は範囲攻撃の警戒し行動順を調整
修理対象が俺の修理後の次に動けるように
最低でも自分が倒れる前に使用

敵の攻撃は飛行時は回避優先
他は避けれないと推測し槍で攻撃を受け流し
急所からは逸らして致命傷負うのを避ける事に全力!
そして殴り返す!それだけ!
機体の限界が近く、攻撃が尾なら敢えて貫かれ掴んで固定
振り回すパワーがあるか見るついでに重しに!
最悪機体は放棄し脱出
全力移動で避難を!

  • 人魚の揺り籠
    そよぎla0080
    人間15才|ネメシスフォース×セイント

おじちゃーん(手ふりふり)
また会えて嬉しいのー


目標
6ターン耐久


機体:ひーちゃん(飛燕)

対処
尾による範囲、防御低下懸念:味方散開
範囲・射程の早期見極め目指す
味方ダウン:機体損傷なら掌に本人乗せ回収


戦闘
初動
ランスで接近戦
高度学習体の命中上昇に合わせるように、
通常回避→+ダイブモード→+アクセルモードでこちらも回避を上げていく
回避時都度状態確認
余裕の有る無し、その状況により次手を判断
通常回避・ダイブモードでの回避に余裕なければ前倒し、でなくばアクセルモード終了後に後衛へ
初動からぎりぎりでの回避という状態はつくらない様

後衛
最大射程よりベヒモス砲
アバドン範囲から出る
飛行での立体移動加え、回避予測難しく
攻撃時は+ダイブモード使い切り
リロードタイミングは極力仲間と重複避ける

残アクセルモード:~5Tに1度、6T(~)用に1残す

  • スターゲイザー
    エドウィナla0837
    放浪者12才|ネメシスフォース×セイント

【ダンテ】搭乗
「まずはおめでとう、と言うべきか。いや、素直に称賛するよ」
技術・発想としては成程素晴らしい
「で、ザルバ君のウケはどうなんだ?」

コード666は飛行時のみ使用
煉獄の意地は暴走以外のBS・変調を積極的に解除

ナイトギアの出力は常に安定しているのか、スキルや飛行全てを併用できる余裕があるのか
また、ライセンサー接近時にお互いへの干渉等が起きないか気を払う

初めはライフルで狙撃
味方の攻撃の間を埋めるように、牽制を主とする

飛ぶ理由が欲しいので2ターン目終了時に飛ぶように誘ってみる
「なぁ、念の為確認するが。それ、飛べないなんてことはないよな?」
「地上ばかりでは、どうにも気分が盛り上がらん。ダンテとしても本領には遠いな。」
「先に飛んで貰えると有難い。言い訳もだが、何よりその方が『腹が立つ』」
エヌイーが飛んだならばソードに持ち替え飛行・接敵
「ああ、やっぱりお前は最高だよ」
ーー許すな。
上から見下ろすアイツを。
地に足付けた現状を。
縛り付ける理不尽を。
高さを。速さを。壁を。敵を。
超えるべき、全てをーー
「ぶっっっっ潰す!」
互いの飛行中はとにかく全力で最大火力を叩き付ける

「いや、なに。ただ……やっておきたかった、んだ」
「……それに。1人で10秒稼げれば御の字、だ」

  • 戦場のActress
    三代 梓la2064
    人間34才|スピリットウォーリア×グラップラー

◆心情・台詞
「まったく憎たらしいわね──でも!
余裕があるエヌイーの物言いは苛立たしい
一方で切磋琢磨の必要性も理解できて心中は複雑

◆目的
生存&情報収集
移動力/射程/行動の癖/動力源位置/鎧の仕様など

◆行動
「手堅いのね。その目論見が崩れたら、貴方の仮面も剥せるのかしら?
部位破壊でも変調でもなく、単純に物理的に行動の拘束・阻害を狙う
バズーカ砲の爆風や、可能なら鋼線を持込み関節部に絡みつける

「IMDの活用…ぞっとしないわね
長射程を活用し、遠距離から妨害行動を意識
スナイピング付与し命中・威力底上げ
武器射程の最大付近に陣取り味方と連携しての包囲を基本
範囲攻撃、連続行動でまとめて攻撃されぬよう心がける
背面・側面とれた場合は敵の体幹部狙い、バランスを崩させて楽に行動させない

「生憎とここで死ぬわけにはいかないのよ
接敵時は盾に持ち替え、後退しながら時間を稼ぐ
盾で視界を遮りつつ特殊兵装使用し攻撃・防御両立させる

自身が狙われた場合にはブースターで飛行し、敵の意識を上空に向けさせる
地上からの味方攻撃を期待/通信にて依頼

鞭は白熱部に触れぬよう、尾は先端を突き刺されぬように盾や腕で弾く・潜り込むなど直撃を避ける
無理に回避しようとせず、致命打を受けないこと意識

ソラリスは様子見、彼女の行動見極める


  • VMP∴Sla2374
    ヴァルキュリア62才|スナイパー×グラップラー

任務、対象「エヌイー(以下甲)」に対し
主行動「対象甲への攻撃」「友軍機の存命」の為に時機を盾とし射撃>近接戦闘を主体として行動
基本行動「散開」した状況から後方に友軍機を護る位置取りをキープして行動
副行動「甲の情報収集」攻撃時の稼働 パターンの記録 感熱センサーを利用した甲機の保有する駆動熱の変化等を撮影し記録し情報の送信 共有を行う
常に情報をオンラインで共有し 後に自機が大破した場合でも情報が潰えぬ様に処置
防御行動
甲の範囲攻撃に対し後方に友軍機を置き 自機を壁として活用「思念式展開装甲」を展開し
多少耐久値の足しにする
攻撃行動
甲に対して攻撃「射撃>近接」友軍機の行動のフォローとしての射撃
波状攻撃等攻める際の足並みは揃えて動く 接近された場合近接装備へ換装
剣を盾替わりに利用 甲の攻撃に耐える
尾の打撃に対し”掴み取る”事で行動の阻害を狙う
自機の破損に対して留意せず行動を取り友軍機の継戦延命へ繋げる事に重きはある

  • 牙持つ闇
    花咲 ポチla2813
    放浪者14才|ネメシスフォース×スナイパー



◆全体作戦
耐久戦を挑み情報収集に努める
範囲攻撃を特に警戒
鞭の直線攻撃対策に敵を中心に周囲を囲み
敵から見て重なる位置に立たない
尾の周囲攻撃対策で一部前衛以外は遠距離戦
全体の総ダメージを減らして最後に誰かが立っていれば良い

◆情報収集内容
鞭と尾の射程と威力どの距離まで攻撃が届くのか

3回行動の発動条件
特定の行動や攻撃時に回数が減る時はあるか
よく見て数えている

敵機体の材質の考察
流体金属などならば押した時の感覚で判る
部位破壊に何故意味が無いのか理由が判るかも

敵の機体に死角は存在するか
味方が背後から攻撃した時の挙動はどうか

生体燃料の位置推測
機体の各部署の体積と
ソラリスの機体での位置からの推測で良い
できれば推測位置を殴った時の反応も見たい

情報収集は一見効果が無くても
効果が無かった事を知る&次の戦いに役立つの精神で

◆個人行動
HN-01の磐長姫で出る
ターン開始前にエンハンスドDEF発動

前衛として敵正面に
盾を構えて敵をゼロ距離からグイグイとひたすら押す
直接的なダメージよりも敵の体勢を崩したり
攻撃の邪魔をするのが目的
たぶんパワー負けするが
大質量の存在に纏わりつかれる鬱陶しさを教える

邪魔だと思われ自分を攻撃されるのは大歓迎
基本的に全て盾防御
味方前衛が単発攻撃を受けそうならガードポジションで守る

◆その他
「そうですわね。わたくしの役割は貴方への嫌がらせです」
ニッコリと微笑んで

防御型対策への対策はシンプルにさらに硬くなれば良い

「わたくしが貴方に勝つ必要はありませんもの。
この世界のヒト達は大したものですわ。
ほんの少しだけ手助けをすれば貴方にだって勝てるようになる。
わたくしはそう信じているのです」

「皆さん、声が硬いですわ。
この程度の危機は全力で、そう全力で笑い飛ばして差し上げなさい」

アドリブ絡み歓迎

自分の芯である復讐を肯定するダンテを親友と思っている
「やあ、久しぶりだねダンテ。また会えて嬉しいよ
「名前はもう考えてあるんだ。『ローゼンロート(Rosenrot)』…数多の人類、数多のナイトメアの血と屍を踏みしめて立つきみにぴったりの名だろう?
「さあ行こう。僕ときみを巡り会わせたことを後悔させてやる!

「お前がエヌイーか…!
「ライセンサーを食らって同じ力を得る、か…ふん、白雪姫のお妃のような話だが、ナイトメアの突然変異は既に確認されている…強ち不可能な話でもないんだろうさ。だが、強くなってどうする?ナイトメアに外敵がいるとでも?
「そうかい…まあいい、元々ナイトメア風情にまともな倫理観なぞ期待はしてないし、僕も人のことは言えないだろう
「ただ僕は…ナイトメアであるだけで憎い、それだけだッ!
「復讐の一撃をくらえ!

全体方針に従い
範囲攻撃を減らすため味方とは距離を取り
なおかつエヌイーからも極力離れ射程ぎりぎりから攻撃
それでも被弾する際はセーフティのバリアで対応
状態異常2つとも受けたら回復
らしくもない戦い方だが次に繋げる為

無事に離脱可能そうなのを確認した5ターン目にコード666使用
威力を高めた知覚攻撃で燃料のありそうな胴体を狙う
(機体は無事なんだろうが…『燃料』はどうだ?たとえば、熱にはどこまで耐えられる…?先に絶命できるなら、或いは…

『大丈夫。ソラリス。必ず一緒に帰る。』
【行動】
帰るために死ぬ気で耐久し、次へ繋げる。
範囲攻撃に巻き込まれないように散開、包囲。味方をフォローできる位置から攻撃。
攻撃及び回避するたびにダイブ・モード使用。
リロード必要なときにフラッシュリロード使用。
エヌイーの抑えが必要な場合のみ、サブ武器に切り替えて近接攻撃に移行する。
戦闘不能になった味方に範囲攻撃を巻き込まないように立ち位置に注意しながら戦闘を行う。
敵の攻撃は基本回避。回避が無理なほど命中補正が高い場合は回避しない。
エヌイーが空を飛んでる場合かつ、近接攻撃をするときのみプレーンブースターを使い飛行状態へ。
尾が突き刺さった時、掴み抜かせないように試みる。


色んな部位を攻撃し、どこの装甲が薄く、ダメージが通りやすいかを可能な限り確認する。
生き残ることを優先。深追いなど無理はしない。

【ダンテ】

後方からの固定砲台として行動

命中が低いようだけど、コード666不使用でも、回避されないか試してみる
エヌイーが他の方向を向いているタイミングや、攻撃を行うタイミングに被せたり、当てる工夫はする

部位破壊できなそうなので、当てやすい箇所にダメージ蓄積させる
可能なら重傷の味方への攻撃を逸らせたり

中盤~後半に生命に余裕あり/起死回生を狙わねば負ける等の状況で、コード666を使用


前回は初依頼で、不甲斐ない結果に終わってしまった……
今度は同じ過ちを犯さない
怒りに我を忘れぬよう、唇を噛み締めながら
冷静にこの場を切り抜けなければ……

楽しく会話は無理でも、少しでも情報を引き出さなければ……
劣勢時なら、会話で時間稼ぎや戦闘中断ができれば

声が震えないように、吐き気を堪えながら

「ナイトギアの中には、何人のライセンサーが……?」(燃料の仕組み)
「あなたは研究者? あなたひとりで開発したの?」(内部情報、連携度、信頼関係)
「ナイトメアは、死への恐怖や、仲間を失う悲しみといった感情はないの?」
「もし人間が抗うことを止めて絶望に沈んだら、あなたはどう感じるの?」
「色んな性格の人間がいるように、色んな考え方のナイトメアもいると思うけど……あなたは侵略者としての責務と、研究者としての人間への興味……どちらかを選ばなければならなかったら、どちらを選ぶの?」

●Limbus 00

 機械の乙女はこう言った。
 必ず皆で、この辺獄の最前線から生きて帰ろうと。

『大丈夫。ソラリス。必ず一緒に帰る』
 MS-01J『ヴォールク』のコックピット内、フェーヤ・ニクス(la3240)は端末の機械音声で答えた。
 向けられる感情の名は信頼。緊急のオーダーは「1分間エルゴマンサーとの戦いを耐え切れ」。
 言うまでもねぇ、とFF-01内のルージュ・遠山・リオン(la0037)は操縦桿を握り直す。

「信じて貰ったなら、行動で示すだけだ!」

 そんな一同に相対するのは、エルゴマンサー『エヌイー』。
 かのインソムニア『ネザー』を統括する怪物、それがナイトギアなる禁断兵器に搭乗した姿である。

 エヌイー。その名を聞くと、マリオン・ミィシェーレ(la3309)の苦い記憶が蘇る。
 先日はマリオンの初任務だった。それはエヌイーとの遭遇戦になり、大きな被害を受けてしまった。
(今度はもう、同じ過ちを犯さない……!)
 込み上げる怒りに唇を噛み締めながらも、マリオンは冷静さを忘れないよう自分に言い聞かせる。今はどうにかしてこの場を切り抜けなければ。

「おじちゃーん」
 対照的に、そよぎ(la0080)はMS-01J『ひーちゃん』のコックピット内でエヌイーへと朗らかに手を振った。
「また会えて嬉しいのー」
「おや。来て頂けたのですね」
 答えるエヌイーの声音は穏やかだ。
 その声に、三代 梓(la2064)はコックピット内で眉根を寄せる。余裕ぶったその言い方は苛立たしい。
「まったく憎たらしいわね──でも!」
 奴が口にする切磋琢磨。その必要性も理解できてしまう己に、梓は複雑な思いと共にSJ-01で身構える。

 ――緊張感。

 それを踏破するかのように、ノヴァ社最新作アサルトコア『ダンテ』が一歩、前に出る。
「まずはおめでとう、と言うべきか。いや、素直に称賛するよ」
 コックピットの中にいるのはエドウィナ(la0837)だ。見据える先にはナイトギア。技術・発想としてはなるほど素晴らしい、とエドウィナの言葉は本心である。
「で、ザルバ君のウケはどうなんだ?」
「これからのPR次第ですかねぇ。私やザルバ君のような司令官クラスよりも、末端のエルゴマンサーの戦力補強として活用されれば良いのですが」
 その言葉に、花咲 ポチ(la2813)はHN-01『磐長姫』の機体内で「へえ」と頷いた。
「PR? なるほど。であれば――そうですわね。わたくしの役割は貴方への嫌がらせとなりますわ」
 ニッコリと微笑んで、ポチはイマジナリードライブのリソースを全て防御へと回す。エンハンスドDEFシステムだ。
「――start-up……」
 VMP∴S(la2374)もまた、HN-01『Ex-At』で身構えた。
 戦いが始まる。『怨敵』を前に、ダンテがどこか炯々としているのをヨハネス・リントヴルム(la3074)はコックピットで感じていた。
「やあ、久しぶりだねダンテ。また会えて嬉しいよ」
 操縦桿をなぞる指先には愛着を。ヨハネスにとって、己の芯である復讐を肯定するダンテは親友だ。
「名前はもう考えてあるんだ。『ローゼンロート(Rosenrot)』……数多の人類、数多のナイトメアの血と屍を踏みしめて立つきみにぴったりの名だろう?」
 薔薇の鮮紅。そう名付けた復讐の化身と、ヨハネスは心を重ねるのだ。

「さあ行こう、『ローゼンロート』。あいつに――僕ときみを巡り会わせたことを後悔させてやる!」



●Limbus 01
 ライセンサーの駆る鋼の巨人達は、即座に散開してナイトギアを取り囲んだ。肉迫よりも距離を置き、相手の攻撃を散らす作戦だ。
 戦意は十二分、率直に言ってしまえばエヌイーという巨悪に対する憤怒や憎悪も十二分。なれど今は、ここは、決戦の地ではないことを誰もが理解していた。この戦いは、傷付き倒れた者らを一人でも救う為の時間稼ぎだ。

 真っ先に行動を開始したのは、流石の機動力を誇るMS-01Jシリーズだ――そよぎ、フェーヤの二人である。

『行こう。волк。群れと共に。帰る為に』
 フェーヤが操るヴォールクが、アサルトコア用ライフルのア・ドライグ・ゴッホW964をナイトギアへと向けた。敵対者を狩る狼は、赤き竜の引き金を引く。放たれる銃弾は――ナイトギアが纏うイマージュの鎧に隔てられる。
「……!」
 フェーヤは即座に理解した。あれはナイトギアの燃料として囚われた人間から搾取される命の壁だ。それはダメージコントロールシステムであり、弱点や防御の薄い場所というものを露呈しない。
「いくよー、っ」
 銃弾が爆ぜた熱が冷めるよりも早く、そよぎの操るひーちゃんがアサルトランス「マフルート」を手にエヌイーの背後からと吶喊する。
 がきん、と硬い音が響いた。ナイトギアの蠍のような尾が、マフルートの穂先と交差し防御したのだ。
 拮抗――至近距離にて、そよぎはエヌイーへと懐こい声で話しかけた。
「前にネザー攻略できたらみんな開放してくれるって言ったよね、約束だよー? ナイトギアの燃料の人もだよ?」
「もちろんです。その代わりこちらが勝てば、今度はロシア全土を頂きますよ」
 その言葉に対し、烈火の物言いで答えたのはルージュだ。
「ンなこと、させるかよッ!」
 FF-01に想像の力を漲らせ、ルージュはナイトギアの真正面からダンダン・ウィリクを突き出した。悪夢が張る命の壁に、絶望の槍が突き立てられる。
「――ッ……」
 堅い。だがイマジナリーシールドがそうであるように、受ければ幾らかは削れているはず。だが削れているのは……燃料である人間の命なのだ。
 込み上げる感情を、ルージュは噛み殺す。正直エヌイーに思う所はある、ありまくる。奴が弄んだ命の数を数えたら、腸が煮えくり返る思いだ。
(だけど……! 私怨で動くのはヒーローのすることじゃねぇ……!)
 今は他を救う為にこの力を揮い、この悪夢をぶっ飛ばす!

「勝負だ、侵略者!」
「素晴らしい。その戦意に祝福を」

 ナイトギアが動き始める。人間の命を踏み躙りながら。
 幾重もの叫びが悪夢の機体から聞こえた気がした。発狂すらも顧みられず精神負荷をかけられ、泣き叫ぶ人々の命が燃えていく音だ。
 エヌイーはまず正面にいるルージュへと間合いを詰めた。速い。直後に蠍のような尾が彼女のFF-01へと振り下ろされた。
「ぐッ――!」
 イマジナリーシールドに直撃。バックファイアが乙女の体を軋ませる。同時にナイトギアの尾から染み出るのは毒だ。それはルージュの想像の盾を冒し蝕み、強度を下げてしまう。なによりも――
「く、う、ンの野郎ぉおおッ……!」
 シールドが、自らの精神が毒で冒される心地に、ルージュは吐きそうになる。筆舌に尽くしがたき不快感だ。操縦桿を握り締める手が震える。思わず片方の手で口を押えた。
 その間にもナイトギアは異常な出力で更に攻撃姿勢を取っていた。二度、振るわれるのは白熱する鞭めいた武装。それは二機のダンテ――エドウィナとヨハネスへと襲いかかり、そのシールドを痛烈に打ち据えていく。
「ふむ、なるほど。素晴らしい戦略ですね」
 エヌイーが感心の声を漏らした。
 ライセンサー達の散開作戦は上手くいったようだ。直線攻撃である鞭の被害は最小限に抑えられている。また、尾の射程もランスよりは短いようだ。

 とはいえ。
 ナイトギアによって出力を高められたエヌイーの権能が、周囲のライセンサーの想像の盾を腐食し蝕んでいる。アバドン、それは破壊の場を意味する言葉である。
 それでも一撃で窮地に陥らなかったのは、アサルトコアの頑丈さに助けられたか。生身で受ければ、防御に相当自信のあるトップクラスライセンサーならばいざしらず、大抵の者はシールドと血肉の合挽ミンチに変えられてもおかしくはない。

(優先して狙うのは……その圏内、なのね)
 マリオンはダンテに搭乗しているが狙われなかった。アバドンの圏外に立っているからか。もしマリオンがエヌイーでも、狙うのならば防御低下している対象を狙うだろう。理に適っている。
 ならばとマリオンはエレファントノーズを最大射程から向けた。アサルトコア用大口径バズーカが放たれる――だがそれはナイトギアに回避されてしまう。流石に、ダンテの命中精度をエルゴマンサー級に対して安定させるには、『奥の手』が必要か。
 爆煙漂う中、マリオンはダンテの中よりエヌイーに問うた。声が震えないように、吐き気を堪えながら。
「ナイトギアの中には、何人のライセンサーが……?」
「それは流石に、企業秘密です」
「あなたは研究者? あなたひとりで開発したの?」
「そうですよ。ネザーのものは全て私が造り上げました」
 流石にナイトギアの仕組みについて詳細は教えてはくれないようだ。一方で「ネザーのものは全てエヌイーが一人で作った」とエルゴマンサーは述べた。部下と協力して、とは言わなかったのだ。
 部下が信用できないから――? いや、エヌイーの慎重さを加味すれば、そもそも信用できない存在を配下に置くだろうか? しかし一方で、ネザー所属のエルゴマンサーは多数報告されている。そして彼らが別段エヌイーを憎んだり不信がったりしているような言動もまた、報告されていない。つまりエヌイーが仲間への不信感からワンマンオペレーションを行っているとは考えにくい。
 だが、こんなナイトギアという大規模な技術開発、更には使徒などナイトメアの改造を始め、そんなことをたった一人でできるものなのだろうか? いや、実際問題、『できている』から現実になっているのだが――。
「まさに一騎当千、と」
 エドウィナはそう言いながら、G37アサルトライフルより流星のような弾丸を放つ。牽制の弾丸だ。追随するような炸裂音は、Sによるアサルトコア用大口径バズーカの発射音だ。
 立て続けに銃声が響く。ヨハネスのダンテ、ローゼンロートが構えるスクリームM53の銃口から奏でられる音色だ。
「お前がエヌイーか……!」
 銃の射程距離限界ギリギリの立ち位置、ヨハネスはおぞましき怪物を睨め付ける。
「ライセンサーを食らって同じ力を得る、か……ふん、白雪姫のお妃のような話だが、ナイトメアの突然変異は既に確認されている……あながち不可能な話でもないんだろうさ。だが、強くなってどうする? ナイトメアに外敵がいるとでも?」
「外敵? いるではありませんか」
 ナイトギアが、人間を指で示す。
「無敵であったリジェクションフィールドを中和し無効化する、イマジナリードライブの使い手。インソムニアを陥落せしめた、我々にとってのバケモノ――それが皆さん、人類ですよ」
 そこに慢心も嫌味もなかった。であるからこその嫌悪感をヨハネスは感じるのだ。
「そうかい……まあいい、元々ナイトメア風情にまともな倫理観なぞ期待はしてないし、僕も人のことは言えないだろう」
 今更分かり合おうだの、そういうつもりも毛頭ない。既に火蓋は切って落とされているのだから。
 悠然と立ちはだかる悪夢。だがその横合いから、まるでこちらを向けと言わんばかりに突撃する巨影がある。シールド・ヴァレッタを構えたのポチの磐長姫だ。
 無論、それは攻撃の為の行動ではない。妨害の為の行動だ。両機のイマジナリーシールドがぶつかり、火花を上げる。流石に押しやることはできないが、壁としてはあまりにも十二分。
「おやおや――これは」
「ふふ。わたくしが貴方に勝つ必要はありませんもの。この世界のヒト達は大したものですわ。ほんの少しだけ手助けをすれば貴方にだって勝てるようになる。わたくしはそう信じているのです」
 そんな思いを、ポチは磐長姫に流し込む。ノヴァ社が造り上げた重厚なアサルトコアは故郷ロシアの大地を踏みしめ、夜の悪夢に相対するのだ。
 最中にもポチはナイトギアを注意深く観察している。

 ナイトギアは一撃でアサルトコアを大破炎上せしめるような超火力は有していないと見える。もっとも、防御低下能力を乗せた上で一人にその手数を集中させれば言うまでもないが。
 命中精度はそれなり、回避性能はダンテのオリジナルと呼ぶべき存在からか、あまり高くはなさそうか。その代わりと言うべきか、堅い。とにかく堅い。
 その防御力で耐久しながら、範囲や直線攻撃、複数回攻撃で周囲を削る戦法をとる機体、と判断できるだろう。加えて部位破壊の無効化による『人型』という脆弱性の克服。徹底的な弱点潰し。小細工など通用せず、策略での逆転劇を許さない。なるほど対人兵器、インソムニアという拠点防御用か。

「手堅いのね。その目論見が崩れたら、貴方の仮面も剥せるのかしら?」
 凛と言ったのは梓だ。彼女の操るSJ-01はアサルトコア用バズーカ、ヘルピットホールを最大射程より発射する。照準補正プログラムことファルコン・スナイプを起動したその射撃は的確に、ナイトギアのイマージュの鎧に着弾する。
 流石に銃の煙やらで視界の阻害は難しいか。むしろ向こうが周囲を認識できないほどの煙を焚けば、今度は自分達が敵の姿をロストしてしまうだろう。
 銅線やらを相手の関節部に絡みつかせる、という戦法も理想的だが、理想的過ぎて現実的ではない。相手は動く。戦闘不能の機能停止状態ならばいざしらず、動き回る相手をいきなり即座に縛り上げるなどほぼ不可能だ。

 ――遠くで爆発音、銃声が聞こえる。仲間達がナイトメアと戦っている音だ。飛行型ナイトメアが空を切る音が戦場をつんざく。
 九機のアサルトコアの眼前には、未だエルゴマンサーが立ち塞がる。



●Limbus 02
 ナイトギアの尾が再び振るわれた。それは周囲にいるルージュ、ポチへと毒を以て襲いかかる。二度の鞭はそよぎ、フェーヤのアサルトコアを急襲する。
 ポチは強烈な尾の一撃を、その砦のような頑健さでしのぎ切る。だがルージュは、先ほど与えられた防御低下も相まって、シールドが半壊してしまう。
「ぐァあッ――!」
 反動と毒に脳を裂くような頭痛。ルージュの呻き声が、通信機を介して皆の耳にも届いただろう。
「ルージュさん……!」
 梓を始め、皆に緊迫がどうしても走る。
 なれどその渦中で、ポチは悠然と笑んでみせた。強固な盾で、嫌がらせとしてナイトギアを殴りつけながら。
「皆さん、声が硬いですわ。この程度の危機は全力で、そう――全力で笑い飛ばして差し上げなさい」
「ッふ、! 当然ッつの!!」
 ルージュは勇猛に笑んでみせた。飛び下がって間合いをミドルレンジに保ちながら、槍での一撃をナイトギアへと叩きつける。その大きさと重さを活かした殴打だ。
 シールドを損傷したルージュのFF-01の前には、SのEx-Atが敵の攻撃に対する壁として現れる。アリーガードのアサルトコア版スキルをEx-Atは有していない、ゆえに守るならば射線の妨害しかできないが、これをしようと思えば相手と護衛対象の斜線上にいなければならず――直線をまるごと知覚攻撃で焼き払う鞭の一撃に対しては難しそうだ。また、同様に周囲を薙ぎ払う尾の制圧攻撃についても。
 だが一人狙いの尾の一撃からは護ることはできる。Sのオーダーは「生命ある者の存命の為の防衛」だ。Sの自己概念はあくまでも機械、消耗品。彼は――否、それは語らず、表情を変えることもせず、戦いという場に臨む。

 ルージュが飛び退いたのと同時に、そよぎも攻撃姿勢に入る。流石に相手は強敵――生半可に回避はさせてくれないか。ゆえにダイブ・モードは起動済み、からのアクセル・モードで先程の攻撃は強引に回避してみせたのだ。尤も、その戦略一辺倒で太刀打ちできない相手であることは理解している。それでも今は、一撃でも回避することに価値があるのだ。
「うん。ひーちゃん、いいこっ……!」
 頑張ってくれた自機を褒めてあげながら、そよぎは武装をベヒモス砲に持ち替えると、その機動力で一気にナイトギアとの間合いを取った。アバドンの射程外、ダイブ・モードによって急上昇させた伝達速度の下、巨獣の名を冠したバズーカが轟と吼える。ナイトギアのシールドが大きく波打つ。
「おじちゃんのこと、嫌いじゃないもの。嫌いではないのだけどもね」
 そして、そよぎはそれでも、にこにことした表情を浮かべているのだ。
「おじちゃん、この前ニュージーランドに来てたよね。お友達がぼろぼろになって帰って来たの。ねぇ、おじちゃん。どうして?」
「我々は戦争をしているので、双方に被害が出ることは仕方のないことです。こちらとしても……ラディスラヴァとヘクターに対して『どうしてあんなことを?』ということになりますしね。可哀想に、おしおきされるのではないかとあんなに怯えて」
「むー。うん、でも、そうね。僕、それでも、ちょっと怒ってるかしら」
 ぷく、とそよぎは頬を膨らませてみせる。
 エヌイーは人間と同じように物を言う。なれどどこまでもどうしようもなく分かり合えず、そして残虐な侵略者であることは、既に自明の理。
「IMDの活用……、」
 梓はナイトギアの纏う命の鎧に、底寒いものを覚える。一瞬だけ戦場が静まり返ったのは、アサルトコア用バズーカを装備している者ら――梓、マリオンがリロードを行っているからだ。攻撃は、ここでは疎かになっていい。手数が少なくなろうとも、アバドンの射程外にいることは生存に繋がるのだから。
 もちろん、全くの手つかずな状況は作り出さない。
 フェーヤの赤い隻眼が、ヴォールクの中よりナイトギアを射抜く。ダイブ・モードを起動したライフルは猛烈な破壊の意志を帯びて、かの悪夢の盾を削り取るのだ。
「ナイトメアは、死への恐怖や、仲間を失う悲しみといった感情はないの?」
 銃声の間隙である。エヌイーへ問うたのはマリオンだ。
「ふーむ……」
 先程は淀みなく答えていたエヌイーが、しばし考える素振りを見せた。
「死にたくないなとは思いますが、それは生物として当然の本能であるように感じます。次に仲間の喪失については……もしザルバ君が殺されてしまったら、せめて仇は取ってあげたいなと思いますよ」
「もし人間が抗うことを止めて絶望に沈んだら、あなたはどう感じるの?」
「侵略が楽に進むので、手間が省けて助かります。研究者として得られるものが少ないのは残念ですが」
「色んな性格の人間がいるように、色んな考え方のナイトメアもいると思うけど……あなたは侵略者としての責務と、研究者としての人間への興味……どちらかを選ばなければならなかったら、どちらを選ぶの?」
「おや、それは難しい。そうですね。責務を果たしつつ、コッソリと興味を並行させ、上にバレて怒られたら、興味による成果を謝罪代わりにしましょうか」
 それは言外に「自分が行うことは無駄なことだと思わない」と言い切っていた。エヌイーは何かしら、本人なりに何か次に繋がる行動を選択しているようである。それは言い換えればあくなき探求心か。

 ライセンサー達は一つでも多くの情報を得ようと試みる。それはマリオンのような対話であったり、観察であったり。

 Sは一連の状況を映像として撮影している。感熱センサーによって相手を分析できればよかったのだが、流石に特殊な機材を急に用意することはできなかった。
 マリオンの言葉に「企業秘密」と言ったように、エヌイーがナイトギアの動力源の場所を悟らせるような行動はしない。同時に目視でも判別付け難い。機体の体積、過去にソラリスが乗っていたナイトギアの構造からある程度は場所の予想はできるが――尤も判明したところで、イマージュの鎧によるダメージコントロールシステムがある為、「動力炉を狙って攻撃する」作戦は有効ではないだろう。そのことをエヌイー自身が理解しているので、どこを攻撃されても庇ったり狼狽えたり、という挙動を一切見せない。

 鞭の射程については未だ不明だが、アバドンの射程を鑑みれば少なくとも10スクエアはあると考えて良いだろう。尾についてはアサルトコアの槍より短い、おそらく3スクエア前後か。双方の火力に大きな差はないように見えるが、尾に関しては範囲攻撃よりも単体攻撃の方が強力そうだ。
 死角、というものもまた見当たらない。エヌイーが素の状態の時からそうだったが、おそらく同様と思われる。ナイトギアのコックピットがどのようになっているかは不明だが、全天投影式コックピットならば360度を見渡せるだろう。だがこの「全方位知覚」はエヌイーの特性である為、人間のように「目で見る」タイプのエルゴマンサーならば、もしかしたら死角からの攻撃は有効かもしれない。

 エヌイーの傾向及び行動の癖としては以下のように見える。
 戦闘開始時、ひとまず相手の出方がなんとなく分かるまでは目の前の相手を『小手調べ』のように優先――正面のルージュをまず狙ったことから。
 次いで興味と好奇心――ダンテや、一度会ったことのある者を狙ったことから。
 その上で戦略的に有利になる相手――防御低下を被っているルージュを続けて狙ったこと、アバドン射程外の者は狙わないことから。

 更にポチはそこから観察と考察を重ねる。
 移動力に関しては不明だが、ダンテと起源を同じくするならばかなりあると思われる。
 ナイトギアの材質については不明だが、アサルトコアのような金属に見える。液体金属のようには見えない。
 3回攻撃の発動条件については、過去の資料も考察するに、これは完全にエヌイーの気紛れと思われる。つまり1~2回しか攻撃しない時は手加減しているか、あるいは様子を窺っているか、だ。一方で生身の時にこういった複数行動を捨てて必殺の一撃を放つことが報告されている。それは「機動力を全て攻撃リソースに割いている」と考察できる。
 ナイトギアでのそういった『必殺』は未だ見られない。もしかしたら『できない』のかもしれない。ナイトギアは液体金属状ではなく、エヌイーそのものではないため、エヌイーという個体が有するユニークスキルを全て使えるわけではないらしい。

 エドウィナもナイトギアにはつぶさに視線を向けていた。かの機体の出力は安定しているように見える。
 ダンテがそうであるように、ナイトギアもまた戦場に出られるほどの目途が立ったということなのだろう。

 だからこそ、負けられない。譲れない。

「なぁ、念の為確認するが。それ、飛べないなんてことはないよな?」
 エドウィナは煉獄の意地を胸に、破壊の場がもたらすシールドの不調を強引に解除しつつシールドを修復する。
「地上ばかりでは、どうにも気分が盛り上がらん。ダンテとしても本領には遠いな。――先に飛んで貰えるとありがたい。言い訳もだが、何よりその方が『腹が立つ』」
「空中戦、良いですね。ちょうど私もナイトギアの空中戦のデータが欲しかったのですよ」
 そう答え、ナイトギアは翼のようなユニットを展開した。命の灯火が、巨体を空へと舞い上がらせる。
「ああ、やっぱりお前は最高だよ」
 エドウィナはダンテと共に、地上から敵を見上げる。

 ――許すな。
 上から見下ろすアイツを。
 地に足付けた現状を。
 縛り付ける理不尽を。
 高さを。速さを。壁を。敵を。
 超えるべき、全てを――

「ぶっっっっ潰す! コード666――起動せよ、ダンテッ!!」

 ダンテの赤き単眼が空を睨む。獣の数字に光が灯る。飛べない鉄翼に科学の力で強引な推進力を生む。
 砂煙を舞い上げて、報復の魔人は夜の悪夢と相対する。

 見上げるだけでいられるものか。

「支援するわ!」
 梓、マリオンが飛び上がったナイトギアにバズーカを向ける。
 空中ならば、いかにナイトギアでも地上より態勢が崩れるはず。ポチ、そしてリロード中のそよぎとヨハネスはコックピットの中から空を見上げた。

 砲撃と、ナイトギアの揮う三つの光が交差する。

 一つはエドウィナのダンテへ、一つはルージュへ――ナイトギアが飛行したことで、Sが巻き込まれることはなかった――もうひとつはフェーヤへ。
 ダンテの、FF-01のシールドが削られ、光が散る。ヴォールクはダイブ・モードによって今度こそ紙一重で回避してみせると、反撃の銃口を遠吠えるように突き付けるのだ。
 ルージュは衝撃にぐっと歯を食いしばると、Sの機体が遮蔽代わりとして立ってくれている間に、修復装置SRp-01源内によってシールドを緊急修復する。狙ってくるならば上等だ、と空の悪夢を睨め付ける。

 かくして。

「エヌイーィイイイイイイッ!!!」

 打ち上がるロケットのごとく、灼熱の噴火のごとく、エドウィナのダンテがナイトギアを下方から強襲する。
 その剣に乗せるのは革命の意志、叛逆の憤怒。明日という星を信じ見据え続けるスターゲイザー。
 突き立てられた剣先がイマージュの鎧にぶつかり、亀裂を生み、切っ先をめりこませる。あれだけ強固だったナイトギアのシールドに、ここまでのダメージを与えられるのは――ダンテという機体がその為に生まれたからだ。そしてエドウィナというパイロットの意志が、心の力が、それを遂げたのだ。
「素晴らしい」
 損傷し火花を散らすシールドに、エヌイーは感心の声を漏らす。
「多くの人間を束ねたナイトギアよりも、たった一人のダンテで、ここまでの出力を――」
 ゆえにこそ、エヌイーは眼前の機体を脅威と認識する。
 逆光、光を塗り潰す蠍の尾が、黒々とダンテへ向いた。



●Limbus 03

 ――もう少しで救助が完了しそうだ、と通信が入った。
 時間にしてあと20秒。

 シールドが完全損傷し、機体に大きな傷ができ、機能停止したダンテの中、エドウィナはその声を聞いていた。
 墜落したダンテを受け止めたのはS、HN-01は奇しくもダンテの兄にあたる機体だ。負傷者を下げながら、Sは無言だ。なれどエドウィナはどこか、無茶な突撃を咎められているような気がして、ぐらつく意識の中で呟く。
「いや、なに。ただ……やっておきたかった、んだ。……それに。1人で10秒稼げれば御の字、だ」

 強烈な単体攻撃、それを三度。破壊の領域に防御低下も合わさって、エドウィナのダンテは戦闘不能になってしまった。だがエドウィナが言ったように、この場において万金よりも貴重な10秒を稼ぐことができたのは事実。あまりに無茶無謀が過ぎる、諸手を挙げて褒められた行為でこそないけれど。
 エヌイーは次いで、アバドンのレンジ外にいたマリオンのダンテへと目を向けた。飛行態勢のまま後衛へ吶喊しようと――したところを、同じく飛び上がり立ち塞がったのはフェーヤのヴォールクである。

『私と踊ろうか、エヌイー。付き合ってもらう』
「では、フェーヤさん。是非とも」

 あの霧の中で名乗った名前を、悪夢は憶えていた。
 ヴォールクは灰の剣エペ・チェネレを構える。
 危険は承知だ。ダイブ・モードは終了している。シールドにも損傷がある。それでも。あと20秒。たった20秒。死ぬつもりは、ない。生き残ることしか、考えていない。
 剣と尾がぶつかり合う――ひりつくような死の気配をまといながら。

(皆で、帰るんだ――)

 振り下ろされる尾がシールドに穴を開け、そのバックファイアと毒が少女の心身を蝕む。
 振り払うように剣を一閃、ナイトギアの命の壁が波打つ。
 蠍尾の二撃目。シールドが砕け散る。青い空にキラキラと輝く。
 ならばとヴォールクは手を伸ばし、その尾を掴み取った。
 足掻いてみせる。不格好でも。牙が届かずとも。信じている。味方を、ヴォールクを。背負った狼の名を。
 次へ繋げる為に。帰る為に。

『今は無理でも、いずれは届かせる。待ってて、エヌイー』

 重力流転――
 尾を掴んだヴォールクごと、ナイトギアが急速降下する。華奢な機体が、地面にぐしゃりと叩きつけられる。
 土煙。それを払うように、ナイトギアをすぐさま取り囲むのはルージュとポチだ。
「ああ、飛行しながらの戦いは流石に消耗しますね」
「そーかい、そのまま燃え尽きてくれても構やしねぇんだぜッ!」
 ブチ抜いてやる。ルージュは構えた槍の切っ先にそんな思いをありったけ込めた。物理、知覚、どちらも同じぐらいの防御力と見た。ならば得意の知覚攻撃。吶喊、ストームファング――嵐のごとき牙となる。オーラの旋風をまとう槍が、痛烈なほどナイトギアのシールドを戦慄かせた。
「がんばれー……! 僕もがんばるー……!」
 そよぎはリロードを終えるや否や、ベヒモス砲の最大射程より砲撃を。爆音と衝撃に紛れるように、Sが倒れたフェーヤのピックアップに走る。それを援護するように、磐長姫の壁のような盾がゼロ距離でナイトギアを妨害するのだ。
「防御型対策への対策は、シンプルに更に硬くなれば良い――そうは思いませんこと?」
「素晴らしい。ことさら遅延戦闘において、それほどの最適解はないでしょう」
 防御に特化しているということは、攻撃に特化するリソースを防御に回しているということ。特化された防御を突破できるのは特化した攻撃だろう、だが「防御特化は往々にして特化した攻撃力を有していない」。つまりナイトギアは、この歩く要塞がごとき磐長姫を容易く撃破できないということ。
「ダンテもまあ悪くはないと思いますが、HN-01もなかなかやるでしょう?」
 ポチがくつくつと笑う。

 その背後では――

「ローゼンロート、残りわずかだ。後ろでもじもじしてるだけなんて、きみには似合わないし、僕らしくもない――そうだろう?」
 ヨハネスは炯々としながらも仄暗い目をしたまま、口角を吊った。
 そしてマリオンも、ダンテの操縦桿をぐっと握って、一瞬だけ目を閉じる――思い出せ、あの苦い経験、呪わしい失敗、おぞましい敵のことを。
「このままでなんか、いられない――いたくない……仲間がどんどん傷付いていくのを見てることしかできないなんて、弱いままなんて、悔しくてたまらない! ダンテ……力を貸して……!」

 復讐を。
 報復を!

「ただ僕は……ナイトメアであるだけで憎い、それだけだッ! 復讐の一撃をくらえ!」
「負けたままなんて嫌――! 思い知らせてやりたいの!」

 ――コード666、起動せよ。

 残り10秒。

「生憎とここで死ぬわけにはいかないのよ……私も、仲間達もね……!」
 梓のSJ-01が砲撃を行う。それに合わせてルージュが槍を強烈に揮い、ポチが盾で圧し、ナイトギアを押しやる。
 奇しくも、ヨハネスとマリオンが向けた銃の名は『悲鳴』を冠していた。
 謎に包まれたナイトギア。小賢しくも人間の命で盾を張る悪夢。そのシールドが、未だに中の人間が生かされていることを物語る。

 赦せるものか。

 二つの弾丸が、ナイトギアの堅牢なシールドに大きな傷を残す。
 と、その時であった。

『救助が完了しました! 援護します、撤退を!』

 通信機から入ったのはそんな声だった。
 途端に援護の銃弾が飛んで来る。ライセンサー達の行動は速かった。倒れた機体を支え、一同は即座に撤退を開始する。
 ナイトギアが追ってくることはなかった。一同が撤退するのを見るや、かの機体もナイトメアを壁にして後退し、そして見えなくなった。



●Limbus 04

「ソラリスは?」

 異変に真っ先に気付いたのは梓だった。撤退の最中、そこにソラリスがいなかったのだ。
 答えたのは救助された者だった。
「前々から怪しいと思ってたんだ。あの女は俺達の作戦場所を知っていた……前に出て戦線を押し上げる遊撃部隊、孤立しやすい部隊と知っていた……そこにエヌイーが現れたんだ、アイツがエヌイーに密告したんだ!」
「救助を呼んだにしたって、エヌイーの前に餌を連れてきたのよ! エヌイーはつい先日、ライセンサーの拉致をしてたじゃない!」
「ネザーから無事に戻って来ただなんて、見えてる罠じゃないですか。尋問するか、バラした方がいいですよ。我々SALFに危機が及ぶ前に」

 その声を遮ったのは、フェーヤの合成音声――無機質なのに冷え切った声だった。

『彼女をどうしたの』
「機体を破壊した。ナイトメアのいい囮になってくれた。おかげで救助がうまくいったよ」
『――……』
「アイツはネザーのスパイだ、俺達の敵だったんだ」
「何か確たる証拠はございますの? 例えば明確にSALFを裏切ったと断定できる音声ログなどは?」
 ポチが言葉を引き継ぐ。返答は一瞬沈黙するが、そこからの口々のざわめきが「ネザーから生きて戻って来たことが疑わしいので」が概ねの見解であると語っていた。

 疑念の種は生死に関わる窮地において急成長し、不和の花が大きく開く。
 本当にソラリスはスパイだったのか? 人間同士の軋轢を生む為にエヌイーはソラリスを生かしたのか? であるならばどこまでがエヌイーの計算なのか? それとも全ては偶然なのか?
 振り返る戦場は土煙に隠れて既に見えず。
 何が真実で、どこまでが疑念なのかを、覆い隠していた。



『了』

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