オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】R.Red-B.Black

連動 【堕天】R.Red-B.Black 佐嶋 ちよみ

形態
ショート
難易度
危険
価格
1500(EX)
ジャンル
堕天 バトル 防衛 
参加人数
128~12人
予約人数
10010100
基本報酬
230000G
230SP
2300EXP
おまけ報酬
20000G
相談期間
5
締切
2019/07/18 23:00
完成予定
2019/08/02 23:00
機体使用
-
関連シナリオ
-

●Rhythm RED
 シベリア方面某所。
 ナイトメアの集団に襲撃された小さな集落。
 廃墟の頂点に、黒いローブの女の姿がある。緩い三つ編みが冷たい風に揺れていた。
「相変わらず脳筋のようだのう、ヘヴンや」
 地上から声をかけるのは赤髪紫眼、黒コートの少年だった。
「ライカ、戻ってきたの? 日本で新規開拓をするというから、わたくしの船を1つ貸して差し上げたのに」
「こちらが気になっての」
 『紅蓮の猟犬』ライカ。日本・飛騨市のナイトメア事件へ深く関わっていたエルゴマンサーだ。外見は16歳程だが、口調は年寄りじみている。
「こちらへ転移する際にインソムニアを使用させてもらった恩義がある。エヌイーが表へ出てくるとは意外じゃて」
 ロシア語で『猟犬』の意味を持つライカを名乗る理由は、この世界へ降り立った地域が関係していたらしい。
「『わたくしたち』は負けないわ。より強大な存在へ進化する。そのためのステップよ」
「こんな寒村を襲って?」
「……生きていれば、食事は必要でしょう?」
 気まずそうに、ヘヴンは蒼い瞳を逸らす。
「そうさな。『人類』も、それなりに成長しているらしい」
「ええ、ええ、その通りよ。この子たちだって、食事を重ねればわたくしたちのような力を得られるというのに」
 周囲で人間をむさぼっているドラゴンやエンジェルを見遣り、ヘヴンは散っていった手勢を思い浮かべた。
 種の最上級へ至る前に死するとは、なんともったいない。
 巨体のハイドラゴン。小さな体躯のエンジェル――名に似合わず姿はティラノサウルスである――ヘヴンの手勢を観察し、ライカは提案した。
「一石を投じるならば、日本で育ててきた手勢を少し分けよう。船を借りている礼じゃ」
 額に角を持つ暗紫の狼、レピド。
 それはライカが最近、成長させた手勢の1つであった。
 高機動力の獰猛な獣は、きっとへヴンのフットワークを活かす働きをするだろう。
「周囲の様子を見回ったら、わしは日本へ帰るよ。食料はあちらが豊かでのう」
「『あなた』は好きにすればいいわ。レピド、ね。ありがとう、可愛がるわね」




 時を同じくして、SALF支部。
「標的を人間へ戻したか」
 ヘヴンより奇襲を受けて一時は壊滅状態まで追い込まれていた支部の長は、直近の報告を受けて渋面を作る。
 交戦地域を抜けて来たヘヴン一行は、これまで『ライセンサー』を狙ってきた。
 一度目は、拉致対象として。
 二度目は、捕食対象として。
 いずれも撤退へ追い込み続けた結果、力の蓄えに向かったらしい。
 点在している小さな集落が続けざまに襲われている。それは、この支部より東側。エルゴマンサーの拠点とも呼べるインソムニア『ネザー』より離れた地域。
 退くつもりも、そのまま捕食を続けるつもりもないだろう。
 先の戦いで、彼女は言ったのだ。
『認めましょう、あなたたちの強さを。わたくしの奢りを謝罪しますわ』
 強さを認めた相手と戦うには、更に力をつける必要がある。
 彼女たちを纏めている司令官・エヌイーはネザーにて待つかのような宣戦布告をしたが、別行動をとる者もいるということか。
「可能なら、ネザー攻略前に脅威は1つでも減らしておきたいな……」
 エルゴマンサー・ヘヴンが力を蓄えているというのなら、それが完全となる前に、撃破する。
 ニュージーランドではエルゴマンサーの撃破は成らなかったらしいが、エルゴマンサーと言えど強さには個体差がある。
 少なくともヘヴン戦では、手ごたえを得てきた。
 機は、皆無ではない。決して。




 かくして、作戦は進められた。
 他支部にも呼びかけ、住民の避難を徹底させる。これ以上、ヘヴンたちに捕食させないためだ。
 その間に支部の周囲に空堀を造る。幅が広く深さもあり、勢い任せに突進し墜落したなら這い上がるにも時間がかかる。
 ライセンサー側は徹底迎撃の形となるが、奇襲を受けるより招いて叩く方が勝機はある。
 ――もしも前線を抜かれ、支部を破壊されてしまえば一巻の終わりではあるが――


 集落の被害報告が絶えた頃、空堀の用意も完了した。

 支部長は所属ライセンサーたちを集め、作戦概要を語る。
「これまで確認されていないナイトメアの情報も入った。日本から交戦記録を回してもらっている」
 日本で活動しているエルゴマンサーの手勢が、なぜロシアへ?
 疑問とも不安ともつかぬ感情が一同のどよめきから見て取れる。がしかし、今はそれどころではない。


【作戦概要】
・支給品
EXISインカム 貸与申請不要、参加メンバーと通信可能

・勝利条件
ヘヴンの撃破

・失敗条件
SALF支部への敵接触

・敵情報
ヘヴン
エルゴマンサー、武器は斧槍(射程2) 首や手首など、部分的に鱗に覆われている
基本能力:移動力の範囲内で、攻撃後もう一度移動のみ可能
[物理]
三連撃 3回攻撃 対象1
貫通  体当たりと刺突 直線範囲3 命中時、状態異常【回避低下】(3)付与
旋風  武器を旋回させる 自身を中心に範囲(2)
[対抗]
昇天    超回避上昇
カウンター 回避時、攻撃してきた相手が武器射程内であれば通常攻撃で反撃

ハイドラゴン(略称:竜)
攻撃型 成態 飛行不可 体長3m
[知覚]
ブレス 直線範囲4
火球  任意の位置で炸裂 射程5周囲(1)

アークエンジェル(略称:天使)
万能型 成態 体長1.5m 1体1スクエアで個別行動
[物理]
毒牙 命中時、状態異常【継続ダメージ】(3)付与
[知覚]
粘液 射程4対象1 命中時、状態異常【移動不能】(2)自動付与(変調対抗ステップ無視)

レピド(略称:狼)
攻撃型・成熟態 体長1.5m ヘヴンの補佐行動
基本能力:1スクエア跳躍(空堀を飛び越え可能)反応・抵抗値高
[物理]
牙 威力大、爪 2連続攻撃
[知覚]
氷雪 直線範囲・射程6 氷雪に似たエネルギー波、額の角から放つ
冷波 範囲(3)     事前行動無しで放つ、可視の冷風



「足場を用意することで空堀に入り狙撃も可能だが、推奨はせん。敵の接近を許せば逃げ場は無く蹂躙されるだけだ」
 支部に土嚢の用意はあり、使用することは可能だが……。
 バリケードの類は強度を考えればナイトメアに対抗可能なものは無く、自分たちの視界を遮るのみとして却下していた。
「以上。では質問を受け付ける」
「はい!」
 ムーン・フィッシャー(lz0066)が元気よく挙手。
「対エルゴマンサー戦へ参加させてください。盾として、回復手として、必ず力になります……!」
「何度も言わせるな、子供の遊びではないのだぞ」
「ノヴァ社は度重なる苦しみの上に『ダンテ』を作り上げたと聞きました。アサルトコアだけではない……あらゆるEXISに、様々なメガコーポの、開発者や携わる人々の思いが込められています」
 ムーンは、力の制御が出来なくて怯えていた。
 力の制御が出来なくても、戦う方法があると戦友が教えてくれた。
 強くなっているよ、見守る友がいてくれる。
「ロシアへ来て、私は多くの戦友から学びました。怯えているだけでは進めません。戦うことで報いたいのです」



●Beat BLACK
 張り巡らされた空堀を前に、ヘヴンは上機嫌に鼻を鳴らした。
「守りたいものがわかりやすくて、良いわね」
 罠にしてはわかりやすい。
 これが最善の策だと?

 さて――のるかそるか。

 こんな緊張感は、嫌いじゃない。



PCは複数ある部隊のうちヘヴン戦を担当
戦闘開始前に『能力上昇系スキル』に限り1つ事前使用可能(1T消費扱い)


●フィールド
実際は東西へ更に広がっていますが、PCの戦闘受け持ちは下記範囲
L以南へ敵の侵入を許すと『任務失敗』

□…1スクエア
■…幅・深さ5mの空堀 抜け出すには1T消費
※H以南は事前に土嚢を積んで塹壕とし、狙撃行動可能(ハイリスク)
 その際も地上へ出るには1T消費

Aア□イ□ウ□エ
B□あ□★□い□
C□□う□え□□
D□□□□□□□
E□□□■□ b□
F■□a □□□■
G□□□□□□□
H□■■□■■□
I□□□□□□□
J□□□■□□□
K■□□□□□■
L□□□□□□□
1234567


★………ヘヴン
a,b……竜
ア~エ…天使 ※これまでよりパワーアップ、要注意
あ~え…狼

PCの初期配置を、I~Lの範囲で座標指定をお願いいたします(例:L1)
・塹壕使用時はH列2,3,5,6指定可
・1スクエアに2名まで可
・指定なければプレ内容から判断しMSが配置


●同行NPC
ムーン・フィッシャー セイント×ゼルク Lv.13
装備:盾、移動力相殺靴、攻撃力超特化指輪
[特記]
★防御特化、攻撃命中は尋常じゃなく低い ※心理的なもの、即座には修正不可
★0距離で殴る以外の攻撃はしない、0距離でも当たるとは限らない
前線での盾・ないし回復役希望 ただし指示があれば従う
基本セットスキルは以下、変更希望があれば対応可能 齟齬の無いよう、1名が記載してください
攻撃系スキルは一切不可、『審判の雨雫』含
・ロングヒール
・天佑の雨雫
・フィールキュア


★留意事項
OPで読みとれる範囲で解釈・推察ください
OP熟読・MS雑記一読推奨
「(MS的な意味で)最高難度」の「危険」であり、重体判定が多く出る意味合いはありませんが覚悟の装備はよろしくお願いします

●その他
レピドは『紅蓮の猟犬、いとのさき』にて確認可能、読まなくとも作戦に影響はありません

こんにちは、佐嶋です
解説が長くてオープニングへ食い込んでいます、ご注意ください
エルゴマンサー撃破戦なんだからエルゴマンサーに専念させろよ!
というところでめんどくささMAX地形でお送りいたします
敵もそれなりに学習して乗り込んできております、よろしくどうぞ!

  • 凪の果てへと歩むもの
    常陸 祭莉la0023
    人間19才|ネメシスフォース×セイント

アドリブ絡み◎
J1開始竜天使対応
空堀に落ちないよう場所は常に落とし込む
範囲攻撃警戒し回復を受けられる程度に散会
敵を空堀へ押し出す、真上にいる時に撃ち落とすように攻撃
連携を取りやすくするため通信機で行動内容と移動箇所を味方に宣言

初手は狼、ヘヴン行動終了後に開始
I2に移動→竜を中心に積極的に狼、ヘヴンを巻き込むよう同時に赤
味方巻き込み厳禁
以降竜、天使を中心に赤で掃討
どこ狙っても味方巻き込む→竜、天使を優先に対象に選び銀
但し狼がH列突破しそう→狼優先
ヘヴン、狼対応者の負担減のため前に出て早期撃破
可能なら盾役に射線妨害してもらう位置取り
天使を狙いながらヘヴンが担当者に気が向いてる間にヘヴン逃走防止に支部と反対側に移動

スキル攻撃時本装備
ヒールは回復が足りなくなった場合に使用し基本は攻撃主体
白以外の攻撃スキル残り0→M800装備
敵接近リロード間に合わない→千鳥装備
>ヘヴン
取り巻き撃破後対応
白で味方と同時に多角的に攻撃を仕掛け回避率を下げる
逃走を図るなら立ち塞がり武器の柄掴んで白
>ムーン
J6開始竜天使対応
回復メインで射線妨害による後衛への負傷軽減を依頼
脱落しないよう突出し過ぎないでもらう

▼心情
ヘヴン、か。さすがに厄介な相手、だねぇ?

▼行動
初期位置K3
ヘヴン&狼対応班の狼対応
事前にエリアスナイプ発動
仲間が識別不可のスキル放つ時は巻き込まれないよう放った後で行動
続けて心射撃使用し射程内に入り突出してくる狼を優先に射撃
特に防衛ラインであるHまで突出して来そうな狼は最優先で排除
「悪いけど、先には行かせない、よ!

心射撃残量0で通常射撃で狼に射撃

狼が全滅した後もしくは不足の事態でヘヴンが突出して来た場合
ヘヴンを射程内に捉えて、エリアスナイプを発動
続けて支援射撃を使用しヘヴンを可能なら2回目の移動後を見計らい背後から射撃(厳しそうならヘヴンが行動した後に即射撃
「さぁ、ヘヴン! 受け取ってもらおう、か!

銃を使用している間はリロードに注意
仲間と連携し仲摩が攻撃している隙にリロードは完了させておく

もし、自身が敵の攻撃でシールドを大幅に傷つけられた場合は仲間から回復してもらえる位置まで移動して回復してもらう

仲間とは連携欠かさず
後方に位置している間は周囲の状況をよく観察して把握し仲間に指示を飛ばす 
特に仲間の位置取りは常時確認を怠らない

  • 戦場のピアニスト
    化野 鳥太郎la0108
    人間39才|ネメシスフォース×スピリットウォーリア

◆指針
スキル使用時:本
H軸を越えた敵を瞬時に迎撃
少しでも長く生き残る
「この先に、守るもんがあるからな」

◆行動
初期位置:L6
初手行動を祭莉さんローワンさんと合わせ
I5へ移動しD5へ咲き乱れる赤
この時空堀へ避難するかよく観察し前衛味方へ周知
もし初手の敵ターンでHを突破された場合はL位置から銀に変更
以降は最南の敵より南に射程を取りつつ動きHより北へは行かない
H軸を越えた敵最優先攻撃→複数いる場合凍り閉ざす銀、狼>ヘブン>それ以外
H軸を越えない時、防衛線を超えた時最速で対応する為行動順を全敵行動後まで遅らせる
それも無ければ射程内かつ相対する味方の損傷率が激しい敵を攻撃
待機ターンは無くす
「一体でも多く倒れりゃ、その分味方が楽になる」

基本攻撃はフォースアロー
レールガンはフォースと同様に使い、その上で直線範囲が狙える時のみ奥敵も狙う
上記2種スキル切れでM-9V持替し通常攻撃
赤は敵複数を含み味方を範囲に含まない場合積極使用
銀は複数敵がHを越えた時に温存→敵数3割時に積極攻撃使用へ切り替え
移動不能時も射程を活かし同様に攻撃を続ける
上記条件を達成しつつ付近仲間の範囲回復時は範囲内に動く
常に敵をよく観察し「此方へ向かう意思」を見逃さないように
また敵に大きめの攻撃予備動作、
空堀に隠れる、別エリアへの離脱等仲間へ伝達

敵がJ以南にいる時、南へ回り込み抑える
この際スキルが切れていたら斧に持ち替え
掴みかかり、押さえ込み、足を掴んででも
意識がある限り絶対に離さない
「此処には俺達しか居ねえのに、負けてたまるかよ!!」

いつまでもフィッシャーさんじゃよそよそしいし、ムーンって呼ばせてもらおうかな。
今回はムーンも一緒に戦えるわね。
頑張って証明しましょう、相手がエルゴマンサーでもやれることがあるってことを。
いつぞやも同じ言葉を言ったわね…『大丈夫、私たちならできるわ!』

事前にH列の空堀に幾らか土嚢を積んで、人が隠れられそうな空間をいくつか作る。
そしてその中にスマホを仕込み、誰かから別のスマホを借りて所持しておく。

初期配置はL1。
まずは戦闘開始直前にエリアスナイプを使用。
開戦したらドロレスで竜aを狙撃。

以降はミネルヴァ装備でオーバストライクを使用。
竜と天使を出来るだけ多く巻き込めるように位置を調整して。もし狼も巻き込めるなら一緒に撃つ。
仲間の攻撃の邪魔にならないよう注意。必要があれば行動順を遅らせる。

ヘヴンがH列の空堀の近くにいる時に、中に仕込んだスマホに、借りたスマホで通信して着信音を鳴らす。
堀の中に伏兵として誰か隠れているかもしれないと思い込ませ、ヘヴンでも他の敵でも良いので攻撃を無駄撃ちさせるのが狙い。

竜と天使を全て倒したら、ヘヴンと狼の対応に加わる。
銃は弾を撃ちきったら別の銃に持ち替え。全て使い切ったらドロレスをリロードしながら使う。
敵が少なくなってきたら、ヘヴンに対して心射撃。…前回みたいなことはそう続かないと思うけど。

  • 命、咲き誇る
    一本柳 凛咲la0214
    人間20才|スピリットウォーリア×グラップラー

「敵指揮官に面識はないが、状況の重要さ位はわかる」
支部に到達されればどれだけの被害が出るだろう
非戦闘員もいよう。被害により止まった機能でさらに出る被害は多かろう
相手は強大と聞くがそれでもやらねばならぬ事は変わらない
起点I4
狼対応
味方の範囲攻撃の後狼の元へ
近場にまとまっているならブラッディゲイザー
接敵の距離が足りないなら味方巻き込みに注意して大嵐屠
無命殺は狼狩りが完了した後ヘブンに攻撃する用
手近な者からなるべく後方へ抜けられぬように行動するが
抜けられた者は味方を信用して戦線を崩すほどは追わない
後ろの連中も歴戦の猛者達なのだから大丈夫だ
味方の支援が届かぬ程の前進はなし。孤立は絶対だめだ
「将を射んとすればだ。さっさと平らげさせてもらおう」
範囲ついでにヘブンも巻き込めたらいいが固執はしない
狼狩り終了後対ヘブンへの援護へ
生命に余裕があれば耐え忍んでいた者と交代
スキルに残りがあれば出し惜しみは無しだ
私自身余り打たれ強くはないが少々の無茶は通さねばならない相手だろう
退く気はないぞ、相手が退く分には最悪はいいがこちらの撤退は全体への被害が尋常ではない
「後ろにあるものを考えるなら寝ている暇はない」

  • 魔女殺し
    Ashen Rowanla0255
    人間31才|ネメシスフォース×スナイパー

──アレは『魔女』ではない
故に契約に従い排除するだけだ

■概要
狼>竜・天使の優先度で対応
初期位置L6
以下スキルは【】で記載

■行動
初手は化野・常陸と足並み合わせI行(自身はI6)移動し【赤】
狼中心に可能な限り敵巻き込むよう放つ

敵の前進・後退に合わせI〜L行移動し距離保つ
直線攻撃対策として孤立しない範囲で可能な限り味方と列ずらし
敵複数撃墜の機にはリスク恐れず前へ

二手目以降は基本【青】で複数狙い妨害
敵撃破可能そうな場合は攻撃優先
複数狙える&味方巻き込まないなら【赤】、でなければ【銀】使用

行動起こす際は可能な限りヘヴン・竜の視界外で
驚異として狙われる確率を減らす
味方を壁・ブラインドとして利用するよう意識し立ち回る

空堀突き落とされぬよう注意
生命の危機のみ緊急避難で飛込む

■狼・天使排除後
【ミスト】優先度は竜>ヘヴン
効果ない場合他スキル優先
目立たぬよう敵死体などに身隠し行動
視界または意識外からの不意打ち狙う

■準備
前回ヘヴン戦で活躍したソレイユとマクガフィンから情報入手
特にマクガフィンとはそれを元に攻撃時の連携構築
戦闘直前に受け流しを発動。適宜再使用

■行動
対ヘヴン班、位置はI3
味方の範囲攻撃発動まで待機後、ヘヴンに即座に接近
常時張り付いて攻撃を行い移動や連携を阻害
また回復役を担う仲間への突破を全力で妨害
終始ヘヴンの対処に集中し他は仲間に委任
敵戦力が減るまで足止め

・序盤
正面から仕掛け長物の不利となる至近距離へ
カウンターを恐れず全て見切るつもりで積極的に攻撃
バトルアクターの形状を様々に変化させ攻撃を単調化させない
マクガフィンにヘヴンが側背面を晒すよう立ち回り相互に連携・援護
ツギハギや立華の回復を信じ傷ついても攻め手は緩めない

・終盤
形勢が傾き次第明鏡止水を発動し攻勢
周囲の味方からの攻撃で一瞬でも隙ができたら連牙・心を使用
機動力を削ぎ逃走を防ぐべく脚を潰す

エルゴマンサー。見た、顔ですね。
名は憶えていませんが。


方針に従い、ヘヴン抑え→補佐
初期配置I7

敵味方の位置は常に意識
手番ヘヴン・狼より後
初動全範囲攻撃終了後に回す
ヘヴン攻撃後の移動に合わせ移動先揃え、
相手の眼前か側面位置取り
常誰かしらが行手塞ぎ&後衛をヘヴンの死角に置く状況作る
武具、刀>拳銃
+旋空連牙
味方攻撃による回避行動見、その上で一撃目に回避先絞らせ二撃目
回避は前回同様、基本は斧槍振るう動き見て
必要に応じ刀添わせ往なす
旋風>カウンターで飛雀

竜&天使組の合流に合わせ後退
逃走懸念、全体で囲むよう移動、後衛
武具 狙撃銃に切替
手番通常通り
狼残存しているならば、先手取れる際に限り狼狙う
ヘヴンに関しては、注視・行動不能に類する状態異常付与時はその隙を
それで捕らえられぬのは解っております。故に
照準 次手の回避先縛るように
以降のライセンサーの攻撃で

  • 雛鳥の紅緒
    ツギハギla0529
    ヴァルキュリア18才|セイント×ゼルクナイト

初期位置I5

〇初手
範囲攻撃組の行動より後かつ竜より早いならF4まで移動しロードリー
「私を狙いなさい、化物!
ヘヴンが範囲内でも対象外に
無理なら基本行動

〇基本行動
生命力半分以下の味方にヒール
「死なせないわよ、戦友!
複数いる時福音の雨雫
「まとめて癒すわ、近寄って!
※どちらも他の回復役が行動可能で任せた方が効率がいい時は任せる

I列以南にヘヴン以外の敵が3匹以上侵入時
侵入した敵をなるべく多く巻き込める位置に移動しロードリー
「行かせないわよ、化物!

優先順はロードリー>回復

手番時回復条件もロードリー条件も満たしてないなら行動遅らせる
最後まで遅らせても満たさないなら狼>竜>天使>ヘヴンの優先順で攻撃
武器の優先順は斧>銃

味方を常に回復できるような位置取りを心がける
特に他の回復役の範囲内にいない味方を範囲に入れるよう動く

ヘヴンに狙われたら防御に専念(可能なら味方が後ろから奇襲できるよう移動する

ヘヴンが撤退の素振りを見せた時味方に余力があるならロードリーをかける
「もう少し遊んでいきなさいよ、ヘヴン。それともトカゲらしく尻尾を切り捨てて逃げる?

目標:ヘブンの撃破
作戦:ヘヴン&狼を抑えつつ、竜&天使を先に倒し合流
対応:ヘブン
行動:
初手狼の範囲攻撃に対して神恵の雨雫で多くを癒やす
もし集中砲火される人がいればムーンさんに回復要請
味方爆撃後ヘブン対応へ
戦闘中直線的に並ばないように注意
混戦で配置調整が難しい場合
ヘブン前衛を回復できるよう3スクエア以内をキープを最優先
できればヘブン側面など狙い難いよう位置取り
もしこちらを向けば他の人にその隙を突いてもらう
味方生命5割以下でヒール使用
旋風に巻き込まれたら神恵の雨雫使用
射程2範囲内に前衛と狼その他の敵を捕らえることができれば審判の雨雫で迎撃と回復
審判の雨雫ではヘヴンのカウンターを警戒し攻撃しない
ヘブンがヒーラー狙いに来たらジャイアントシールドに換装
合流までは耐え忍ぶことを第一に立ち回る
合流後ヘブンを囲い逃走経路を断つ
回復スキルが切れるまではヒーラー
回復スキルが切れればエナジーガンに換装
敵に回避行動を取らせ次に繋げることを意識
人体の中心線など回避しにくい攻撃を行う

  • 小さきアトラス
    佐和 千昂la3236
    放浪者12才|ゼルクナイト×ネメシスフォース

この前の狼と更に前のおば…(やめた)

先制できる優位性を敵が無駄にすると思えないので事前にウォールスキン使用

指揮官と構成が違う分動きも違うか、それとも基本同じか?
前回ヘヴンは前方に集中しすぎて背後から斬り付けられているので今回はその隙を無くす様に行動してくるのではないか
狼の先制で露払い→ヘヴン、背後を狙われない様に竜と天使が援護という形が基本になるんだろうか
狼の先制は防衛線の向こうからの氷雪と飛び込んできて冷波の組み合わせが有力だろうか?
狼は空堀を飛び越えられる、ヘヴンも多分越えるか避けるか
では天使と竜は?

初期位置J7からI7を竜の火球や狼の動きを見つつまず狙いは竜b
当面の目的は敵の注意を攻撃力の高い者に1点集中させない事
前に味方がいなくて狼が氷雪で自分を先制又は天使が前進してくるようならE7狙って咲赤
狼が冷波や近接を使って先制してくる又は竜bが前進ならbと狼二体(天使が前進したなら天使二体優先)に凍銀
狼対応が動き出したら竜と天使に目標を絞りスキルが切れた場合距離があるなら銃で射撃
I列を動きつつE~Hの空堀を正面に見える位置でなるべく攻撃
敵が空堀で動きを鈍らせる隙を狙う
他の人の邪魔にならないように注意
防衛線に接近してきたら剣か槍に持ち替えてそれ以上進ませない・ヘヴンの援護を阻害
移動不能になったらその場で敵との距離で銃か剣を選んで攻撃を続ける


  • 江風 陸la3622
    放浪者16才|スピリットウォーリア×ネメシスフォース

開始地点K5
行動:対竜、天使への攻撃を主にしつつ乱戦、特殊状況の場合前線維持優先
H行を防衛指標として特殊時以外移動はI行まで
開始は盾を発現、機動力に優れる相手の初動へ備える
他武器への切り替えは狼の行動次第としそれまでは盾(防御はせず知覚耐性目的

・対竜、天使
フォースアローによる間接攻撃を放ちつつ配置を守り防衛線とする
集中攻撃時は味方の手番と合わせ可能な限り対象集中
初動はaへの集中が望ましいが、味方配置が1~3列に集中する場合本へ変更し対象bへ攻撃、注意を引き分散を狙う(以後本
5~7列側へ敵集中かつ狼対応手の手が回らない場合跳躍等による侵入に備えJ行まで前進し流入を警戒
接近する敵は刀へ切り替え勇猛なる行軍を使用し耐久しつつ迎撃

・特殊状況
ヘブン、狼が距離を取りながら一撃離脱を繰り返し味方中央が釣られた場合
最大G7まで前進し中央の被包囲に対抗し圧力

狼の機動予測として、仲間を跳躍で越え、背面を取る・布陣の中央に入られる事を想定
刀へ切り替え優先しブラッディクロスで迅速な処理を目指す
自身が飛び越えられた場合も背面ごと薙ぐ

ヘブン対応前衛に欠員が出た場合盾を発現、前進妨害、耐久の補完とする


 背水の陣、という言葉がある。
 今回、背後にあるのはSALF支部であり防衛の要。
 ライセンサーの撃破へ血眼になるエルゴマンサー・ヘヴンにとって、これ以上ない『美味しいエサ』のはず。
 敵の最大の利点である機動力を潰すよう配置した空堀による迎撃で、一発逆転を狙う作戦だ。
 何としても防衛しなければいけない。
 これまでの交戦情報を活かし、ヘヴン撃破を狙いたい。
 ロシア各地で、多様なエルゴマンサーの活動が報告されている。
 インソムニア『ネザー』へ乗り込んだなら、彼ら彼女らが駆け付けるだろうことは想像に難くない。
 ゆえに、脅威を一つでも取り払う。それだけのちからが今の自分たちにはあると――強く信じる。




 奇襲を受け続けて来たこれまでと違い、今回は比較的余裕がある。
 打ち合わせを終え、各自が持ち場へと向かってゆく。
「――なるほど」
 アグラーヤ(la0287)は、ヘヴンが初めて姿を見せた際に一戦交えたことはあるが今と状況が違う。
 先の戦いで接触のあったマクガフィン(la0428)とソレイユ・フラム(la0139)から詳細を聞き、戦い方や思考パターンを解釈する。
「マクガフィン。ヘヴンの抑えに向かうなら、私は正面から行くわ。あちらの側背面が空くよう立ち回りを狙ってみるから次手を任せていいかな」
 行動タイミングを合わせるという意味であり、絶対的なものではない。
 常に、連携を意識し相手の回避しにくい一撃を狙っていく。
「……承りました」
 顔を布で隠す女性の声は、心を隠すかのように本心が見えない。
 静かで、深く、しかし嘘はないようだ。アグラーヤの申し出へ、マクガフィンは応と答える。
(懸念があるとすれば―― いえ、今は集中いたしましょう)
 眼前の成功へ集中しなければ、取り逃してしまう相手だ。
 マクガフィンは不安の芽を胸の中へしまい、前線へ向かう。


「今回はムーンも一緒に戦えるわね」
 東の後衛――絶対に抜かれてはいけない・仲間たちのサポートへ専念できる――を任されたムーン・フィッシャーへ、西の後衛へ向かうソレイユが呼びかけた。
 いつまでもフィッシャーさんじゃよそよそしいでしょ? 能力制御へ悩むムーンへ、共感し、励まし、寄り添い続けたソレイユは、照らす太陽のように微笑む。
「頑張って証明しましょう、相手がエルゴマンサーでもやれることがあるってことを」
「……うむ!」
「いつぞやも同じ言葉を言ったわね……『大丈夫、」
 ――私たちならできるわ!
 少女たちは、声を重ねた。
 緊張する場面でも。慄く場面でも。仲間を信じ、立ち続けることで120%勇気だ。やりきるしかないである。
「ソレイユ……。がん、ばろう! 皆で、乗り切ろう!」
 SALF支部長へ啖呵を切ったが緊張はあった。
 ソレイユから勇気を分けてもらい、ムーンは友の両手をぎゅっと握った。
 全てが終わったら、また握り合えるよう。
「ボクも……西へ、行くけど…………」
 少し距離を置いて見守っていた常陸 祭莉(la0023)が、去り際にムーンへ。
「……要は、守ってくれれば、いい。代わりに、敵狩って、守るから」
「? ……!! なるほど!」
 敵を狩って、守る。とは。
 祭莉の言葉を、ややあって理解したムーンはポンと手を打つ。
 攻撃は最大の防御。後衛へ敵の手が回らぬよう、狩ることで『守る』。
「自分の受け持ちは把握しておる。しかし戦場とはいつどう動くか見えぬもの……。何かあれば、我も祭莉殿の背を守りたく思う」
「……うん」
 変化の乏しい表情で、祭莉は軽く頷いた。
「また会えたね。……頼りにしてる」
「アグラーヤ殿!!」
 ――無理と無謀は、しちゃだめだよ
 以前、姉のように、ムーンを案じ言葉を掛けてくれたアグラーヤ。
 当時と今は違う。アグラーヤは『共に戦う仲間として』、ムーンへ言葉を贈る。
「担当作戦分野は違えど、我もアグラーヤ殿を頼もしく感じている。存分に力を発揮できるよう、後方はしっかり守るぞ」
 一戦とはいえアグラーヤはヘヴンと対峙をしており、ムーンは間近で見ていた。
 混戦が予想されるものの、集中して取り組んだなら彼女の長所は十二分に発揮されるだろう。
「心も体もどんどん強くなっているわね。ふふ、追い越される日も近いわね」
 メンバーが一通り配置に着いた頃、様子を見守っていたツギハギ(la0529)が歩み寄った。
「頼りにしてるわよ、戦友」
 先の戦いでは回復役の要として前線を支え続けたツギハギ。今回は人数が多い分、分担して各方面を支援することとなる。
 ムーンのつたない成長を見守り、時に促してきた彼女へ、ムーンは子犬のような表情で振り返る。
「もし、我が強くなれているのならツギハギ殿のお陰だ」
 どうすればいい? そう思い悩む時に、前を向けるアドバイスをくれた。目指す指針を見せてくれた。だから。
「……今回は無理と無茶をしなきゃ勝てない相手だけど。死んじゃ駄目よ、ムーン」
「っ……!」
 ふわり。ツギハギがムーンを抱きしめたのはほんの一瞬。軽く、包み込みように。
「あなたも一緒、だ。戦友」
 ツギハギから初めて『戦友』と呼ばれた時、とても嬉しかった。戦う者として認められたと感じた。
 今、初めて名を呼ばれて、どうしてか震えた。これから迎える戦いが、どれだけ危険であるのか現実味を帯びたからかもしれない。


 それは無論、ヘヴンと交戦経験のある者に限ったことではなく。
「敵指揮官に面識はないが、状況の重要さ位はわかる」
 防衛部隊最前線。中央に立つのは一本柳 凛咲(la0214)。
 濡羽色の髪をなびかせ、剣を構えて敵襲に備える。
 もし、自分たちがナイトメアの集団に敗れSALF支部が襲われたなら――
(非戦闘員もいよう。被害により止まった機能で、さらに出る被害は多かろう)
「相手は強大と聞くが、それでもやらねばならぬ事は変わらない」
 呼吸を整える。イメージを強く持つ。
 凛咲も無策で防衛ラインの要に立っているわけではない。




「──アレは『魔女』ではない。故に契約に従い排除するだけだ」
 感情の見えぬ声音でAshen Rowan(la0255)が告げると、肩を並べる化野 鳥太郎(la0108)が微かに喉を鳴らす気配がした。
 巨大な2体のハイドラゴンが最前線へ到達し、後方には敵将ヘヴンと狼レピド、そしてティラノサウルス――ヘヴン曰く『エンジェル』――が控えている。
 Ashenは鳥太郎を黙殺し、魔導書を手に機を伺う。
 未だだ。
 狙えばすぐにでもハイドラゴンを襲える。しかし、それだけではだめだ。
 敵の数。能力。自軍の数。能力。それらを天秤にかけ、最善の『間』を焼かねばならない。
 子供の姿が目立つ戦場へ無意識に苛立ちながら、Ashenは視野を広く取った。
(ヘヴン、か。さすがに厄介な相手、だねぇ?)
 後衛から敵陣営を眺め、吉良川 鳴(la0075)はエリアスナイプを発動する。
「この前の狼と、更に前のおば……」
 佐和 千昂(la3236)は素直な感想を言い掛けてやめる。無意識の挑発が届く距離ではない。
 レピド。ロシアでは初顔の個体だが千昂は交戦経験がある。こんなところで目にするとは思わなかった。
(指揮官と構成が違う分動きも違うか、それとも基本同じ?)
 ――起点となる指揮個体は見当たらない
 ――エルゴマンサーが指示をセットしていったか
 それがレピド戦で同行したメンバーの見立てだ。
(……狼? ……ああ……そういう事ですか)
 マクガフィンもまた、交戦経験者。そしてレピドの主人が『紅蓮の猟犬』を名乗ることも知っている。それがロシアにて合流した、と。
 だからどう、ということのない点と点が繋がった。
(エルゴマンサー。見た、顔ですね。名は憶えていませんが)
 斧槍を構える金髪黒ローブの女性を遠目に、マクガフィンは『情報』だけを記憶の縁から引き揚げて照合する。
 紅蓮の猟犬との繋がりまでは知らない。そこまで知る必要はないだろう。
 誰とどう戦い、どのような情報を得たか。その共有が重要だ。
「はて、龍とはああであったか……?」
 ヘヴンのローブの下は、龍を思わせる鱗の皮膚だという。
 江風 陸(la3622)は、遠方のエルゴマンサーが『人型』であることに少なからず驚いた。
 最前線のハイドラゴンは、わかりやすく龍なのだが。
 片や、『天使』を冠する敵も……陸の考える天使とは、少々違う。
(という世界、なのだな。ここは)
 龍を統べる者の姿がヒトであるのなら――陸にとっては武人を相手にすることに近い。
「さて、如何な立ち回りとなるか」
 陸が相手取るのは、ヘヴンではなく周囲のハイドラゴンとエンジェル。これらを早期殲滅することにより、総大将を討ち取りやすくするのだ。
「目標は、撃破。……悲劇は繰り返させません」
 西端の前線にて決意を固めるのは立華 あやめ(la3152)だ。
 ヘヴン襲来時の、初期対応に当たったライセンサーたちの状況を目の当たりにしている。
 あの時の自分たちは、ヘヴンを足止めし追いすがり、拉致寸前のライセンサーを救うことに手いっぱいだった。
 けれど、今回は違う。
 奇襲を許さない。
 ここで、悪夢の一つに幕を引く。


 これまでに敵各種と交戦経験のある者も多く、回復手もムーンを含めて3名。
 空堀は敵の足止めとして活用し、前線ラインを整えて。
 守るべきものを背に、打ち砕くものを前に。
 退けぬ、逃さぬ、戦いが幕を開ける。




 危険地域とはいえ、どんな土地でも『人類』は生活してきた。
 それを襲い、喰らい、ヘヴンは拠点『ネザー』から離れた場所でも活動を続けてきたわけだが――
「守りたいものがわかりやすくて、良いわね」
 急激に、集落は移動を始めた。ライセンサーの護衛を伴って。
 手を出しあぐね、思いついたのがこのSALF支部。到着してみれば案の定、ヘヴンを待ち受ける布陣が整っていた。
 ナイトメアの足止め用に、張り巡らされた空堀。
「その建物が、自分たちの命よりも大切と言えるのかしら」
 ヒュンと斧槍を軽く振り、ヘヴンは全体を見渡した。既に戦闘が始まっている箇所もあるが、彼女と正対する部隊は動きを見せない。
「全力には全力を。礼をもって応じましょう」




 ヘヴンの一声に応じるかのように、レピドが動き出す。
 先行したのは東の2体。距離を保ちつつ、それぞれが額の角より氷雪のエネルギー波を走らせる。
「大丈夫、戦友!?」
「なるほど、なかなか……」
「こちらは心配ない!!」
 ツギハギ、陸、ムーンが立て続けに攻撃を浴びるも耐性の強いメンバーだ。ダメージは微量であることを発声し、陣形を崩さない。
(さすがに速いわね!!)
 前もってエリアスナイプを発動していたソレイユは、そこでレピドではなくハイドラゴンを狙い撃つ。
「では化物退治と参ろうか」
 陸が続き、フォースアローを放った。大きな胴体ゆえに当て放題だ。
 敵の連携へ割って入れるならレピドを狙う選択肢もあっただろう。
 しかし、ここは敢えて連携へ水を差すことで――

「きちんと集中していて?」

(……脳筋、ゴリラ……釣れた)
 口にはしないが。突撃してきたヘヴンに対し、祭莉は胸中で呟いた。
(あ――ッ!!)
 他方、派手に旋回された斧槍の軌道にソレイユが悲鳴を飲み込む。
 陽動に使えたら、と仕込んだスマホのある辺りだ。余波で吹き飛ぶパーツが見えた。だいじょうぶ、データはバックアップしてある痛くない。
 真正面から飛び込んで振るわれた旋風。
 アグラーヤは受け流し、凛咲は仁王立ちで耐えきる。ツギハギは続けざまの攻撃を受け止め切れず、イマジナリーシールドが割れた。
「ツギハギ殿……!!!」
 ムーンが悲痛な叫びをあげる。膝を折った彼女の背を支えに行きたい、しかしそれより速くレピドの追撃が重なる。
「ご主人様のボディーガード、かしら」
 西側に従っていた2体のうち、1体がヘヴンが退いた先へ駆けつけ冷波を放つも回避へ集中しているアグラーヤの敵ではなかった。
「……ご主人様、から……離れたら……だめじゃない?」
 もう1体は、空堀の手前から西端前線を狙ってくる。こちらが空堀を利用する時、敵もまた空堀を利用する。小癪な。
 祭莉とあやめが被弾するも、こちらも知覚攻撃への耐性は強い。
 ライセンサーサイドは敵の情報をある程度集めているが、向こうは手探りだ。誰に何が有効かなどわからぬまま、がむしゃらに撃つしかない。
 ライセンサーに分があるのは、『情報』だ。
「――もう少し、だから」
 祭莉は、東後方をちらりと見遣った。声は届かずとも、様子が気になった。
 東端のハイドラゴンが火球を吐きだし、マクガフィンとムーンを呑み込んだ瞬間だった。
(本当に反省をしているのなら、単独で抜いてくるとは思いませんが)
 派手な光景に反し、ヒラリと躱したマクガフィンは淡々と思考を続ける。
 空堀を東西へ広く巡らせている地形をヘヴンが抜くなら位置は限られている。
 現に中央へ攻撃を仕掛け、手勢も中央へ集めつつある。

 今回は多くの手勢を連れて、ヘヴンはライセンサーへ挑むに違いない。

「いくぞ」

 Ashenの声が、爆炎の跡に静かに響いた。




 おそらく、ヘヴンは単独行動を取らないのではないか。
 つまり、周囲に手勢を引き連れているのではないか。
 それは。
 それは。

「竜……奇遇、参考に……したかったんだ。鱗、剥げばいい?」
「守るものってのは、きっとわかりやすい方が強いんだぜ」
「……」

 ヘヴンを巻き込み、レピドを巻き込み、ハイドラゴンを巻き込んだ炎の花が、同時に3カ所で咲き誇る。
 えげつない攻撃三重奏の後に、完全撃破できたのはヘヴンの東を固めるレピド1体のみであったが他のナイトメアも深手を負っていることは見てわかる。
「反省した、と言ったってね。でも、変わってないよ。『自分が上』と信じて何の疑いも無い――お前を殺すのは、その驕りだ」
 終盤まで取っておくつもりだった技、しかし今こそ機ではないか。
 アグラーヤは、主を守るレピドの側面を抜けて空いた東側へ回り込むと、拳に仕込んだ刃でもって連牙・心にて斬りつける!!
「信じて疑わないのは、事実だからよ。どれだけ強くなっても、あなたたちはわたくしに勝つことは無いわ」
 足元を狙った攻撃、二撃目は避けられた。アグラーヤの攻撃はローブを裂き、しかし血肉を覗くには至らない。
「お話中のところを、失礼いたします」
 マクガフィンが告げた頃には既に小太刀は振るわれ、ヘヴンは回避し、カウンター攻撃を更にマクガフィンが回避した。
「停止している場合じゃないわね。まとめて癒すわ、近寄って!」
 気絶から回復したツギハギは、何事も無かったかのように福音の雨雫で周囲のシールドを回復させる。
「感謝。これで憂いなく動けるぞ。――将を射んとすればだ。さっさと平らげさせてもらおう」
 凛咲はスタートから敵将撃破に固執するつもりはない。事前の打ち合わせ通り、厄介と聞く狼狩りを最優先する心づもりでいた。
 が。
 眼前に双方揃っているのだ。狙うしかない。
 集中力が高まり、体中の血が沸騰するかのよう。
 攻撃すべき対象を定め、力を爆発させる!!
「――っ」
 ヘヴンは回避したものの、護衛していたレピドが消し炭になった。
 ダメージは西のハイドラゴンにも及んでいる。
「まだまだ終わらせませんっ ムーンさん、全ての攻撃が終えたらサポートをお願いします!!」
「承知!」
 回復、第二弾。あやめが神恵の雨雫を注ぎ、ダメージの残る凛咲とツギハギの状態を万全にする。
(大丈夫)
 ツギハギの気絶を目の当たりにしてムーンは酷く動揺したが、なんとか持ち直した。
 大丈夫。
 それぞれが、それぞれの戦い方をして。守って。支えて。そうすれば。

 ダメージの蓄積した西のハイドラゴンが、後退しながら火球を放つ。
 回復した傍から祭莉は再び被弾し、掠り傷の頬を手の甲で拭った。


「狼は空堀を飛び越えられるって情報だけど……ヘヴンは越えてこないのかな」
 高機動を謳い文句にしているのだから、それくらいやってのけると思ったけれど。
 千昂は敵の動きをじっとチェックしていた。対策として事前に警戒していたことも無駄ではない。
(前回、ヘヴンは前方に集中しすぎて背後から斬り付けられているから、背後を狙われない様にするとは思うけど)
 後方に控えるエンジェルたちが動き始める。
 ヘヴンを抑え込むため最前線に位置するアグラーヤとマクガフィンへ粘液が次々と吐き出される。
「……射程には入らないか」
 長く見ていたい絵面でもない。
 少年は氷槍を降らせ、直近のレピドと東のハイドラゴンを襲う。撃破には足りない。
「悪いけど、先には行かせない、よ!」
 一足飛びに空堀を超え、ライセンサー陣営へ入ってきかねない西端のレピドへ、鳴はとっておきの一撃で引導を渡した。
「アグラーヤ殿、頼むである……!」
 スキル発動により消耗したシールドへ、ムーンがロングヒールを飛ばした。
 アグラーヤや凛咲は、強大な一撃と引き換えに己のシールドを削る。
 不意の攻撃を受けた時に耐えられるよう。常に最善手を選べるよう。離れていても、全力で支えるのだ。




 初回の激突で、警戒していたレピドは残り1体となった。ライセンサーようしゃない。
 容赦などしている余裕はない。
「天国が、悪魔の一匹も摘み出せない?」
 笑い、アグラーヤはヘヴンの瞳を覗き込む。
 バトルアクターの仕込みを刃から爪へと変えて、逃がさない一撃を。
 防衛ラインを背にするよう移動したアグラーヤ、続いてマクガフィンが0距離へと踏み込む。
 連撃は回避されるも、カウンターもまた当たらない。
(これで良い)
 今すぐに功績をあげることを、マクガフィンは考えていない。
 敵の焦りを引きだせば、自然とミスが増えてくる。
 仲間たちは確実にエルゴマンサーの配下を減らしており、それもまた敵を焦らせる。
「新機種へ変えようと思っていたから丁度良かったわ!!」
 スマホの恨みー!
 ソレイユの放つ逆恨みのオーバーストライクは、安全地帯へ逃げ込んで距離を置こうとしていたらしきハイドラゴンを吹き飛ばした。
「……怒りの、力……すごい」
 すごい。
 四散するハイドラゴンを見送った祭莉は、インカムを通じ味方へ自身の考えを伝える。
(……危険、かもしれない……けど)
「よせ、祭莉さん!!」
「祭莉殿!?」
 鳥太郎とムーンが反射的に顔を上げる、そちらへ駆け出そうとする。
「追い詰めすぎも……よく、ない……よね」
 祭莉が咲かせた赤い花は、北方から接近するエンジェルを標的に。
 動こうとした鳥太郎の足元を、残るレピドが放つ氷雪が撃ち抜いた。

 エンジェルは足止め要員、パワーアップしたという情報はあるが攻撃を担うドラゴンたちに比べれば脆い。
 そして攻撃手であるレピドもハイドラゴンも、残るは1体ずつ。
 ヘヴンはライセンサー陣営へ深入りしていない。
 次の手で、残る配下ナイトメアを殲滅させたら――

「また……負けて、また逃げるの? その程度?」

 防衛ラインからわずかに北上していた祭莉が、ヘヴンへ聞こえるよう声を上げた。
「何を……っ」
 抑え込みに回っていたアグラーヤが、予期せぬ挑発に表情を変える。
(何を――)
 Ashenもまた憤り、次の瞬間の光景を予感した。
『ムーン……脱落しないよう、突出し過ぎないで』
 インカムを通し、祭莉の声がムーンの鼓膜を震わせる。
「だめだ、だめだだめだ!! 祭莉殿!!!」
 戦場の端と端、ムーンの支援は届かない。鳥太郎やAshenより速く、アグラーヤとマクガフィンの抑えを躱し。
 悪鬼の表情をしたヘヴンは、容赦なく少年の身体へ斧槍の三連撃を打ち込んだ……!!
「挑発するくらいなら、もっと噛み応えをつけなさいな」
 穂先の血を払い、ヘヴンはやや北へ後退する。
 ぐたりとした姿から、傷の深さは誰の目にも明らかだった。シールドの修復ではどうにもならない。
「皆!! 気をしっかり持て!」
 叫んだのは凛咲だ。
「早急に終わらせよう」
 ライセンサーの回復スキルでは傷は治せない。今の状況では、重体へ陥った祭莉の応急処置すらできない。
 グイと踏み込み、凛咲は魂を燃やす。
 レピドもハイドラゴンもヘヴンも巻き込んで、再びのブラッディゲイザー!
 ハイドラゴンの撃破を確認したAshenは、標的を正面にとって惑い映す青を仕掛ける。
 ――灰が象徴するは『残存価値』、転じて『価値の喪失』。故に。
 獲物刺す眼はかすみ、強く靭やかな躯は動くこと能わず、
「『──風に散る白、喪失の影』」
(惑い)
 それは、誰の。


「……できることは、各個撃破だな」
「するしかないですね」
 陸は西を、千昂は東の配下を狙う。
 陸のフォースアローが、エンジェルの1体を撃破する。
 千昂は空堀の位置を利用し、敵が『後方へ抜けない』位置から氷鎗を。
「うわ……これは気持ち悪い」
 前線へ出た分、倒しきれなかったエンジェルの粘液により動きを止められた。
 まともに喰らってしまった千昂と凛咲だが、移動できないならそれなりの戦いをするまで。手は考えてある。
「一体でも多く倒れりゃ、その分味方が楽になる」
 押し殺した声で、鳥太郎はフォースアローで最後のレピドを貫いた。
(プライドは捨てた。恐怖も殺した。俺にあるのは理不尽へ抗う為の理想、守るべきものだけだ!)
 身を挺したヘヴンの足止めが祭莉の意思だったとしても、鳥太郎は祭莉を守りたかった。
 守れなかった自分へ、きっと祭莉は気にしないでというのだろうけれど、それでも。
「死なせないわよ、戦友!」
「過剰であっても万全に、です」
「絶対に……作戦は成功させる!!」
 ツギハギ、あやめ、ムーンが回復に奔走する。
 ヘヴンを撤退させないためには、彼女から戦闘意欲を奪ってはいけない。撤退を選ばせてはいけない。

 その逆鱗に、触れてでも。




 戦場は荒涼としていた。
 ハイドラゴンもレピドも全滅した。
 エンジェルが後方に3体ばかり。
 悪夢の牙と呼べるのは、エルゴマンサー・ヘヴンのみ。
 唯一にして絶大な力の持ち主。あとどれだけ攻撃を重ねれば撃破できるのかわからない、不気味さをまとっている。
「……こればかりは、認めるわけに行きませんの」
 Ashenの仕掛けた命中低下を振り払い、ヘヴンは移動を止められた千昂へ斧槍を突き立てた。
「……ッ」
 一撃目はウォールスキンで耐える。二撃目でシールドを割られ、三度目は柔らかな体を貫いた。
「退かせるか!!」
 角指へ切り替えたアグラーヤが、バックステップで距離を取るヘヴンへ追いすがる。
 北中央の空堀を挟む形で、マクガフィンは銃へ持ち替えるとヘヴンの側面を狙う、回避、更に凛咲が回り込む!
(正直に言えば、強敵相手は心が躍る)
 これは任務だ。ここは戦場だ。凛咲もわきまえている。しかし、武術家の本音でもあった。
(余り打たれ強くはないが、少々の無茶は通さねばならない相手だろう)
 今までは距離を置いた攻撃だった。敵の狙いも、別にあった。けれど今度は。
 1対1の間合いへ詰め寄り、凛咲が放つは無命殺!!
「筋は悪くないのだけれど」
 舞うように回避され、容赦ないカウンターが凛咲を見舞う。シールドの半分以上を一度に削られた。
「……退く気はないぞ」
 後ろにあるものを考えるなら寝ている暇はない。
 ――その、側面を。
 それまで遠距離攻撃ばかりだったエンジェルが、距離を詰めて牙を立てた!
 毒牙はシールドを貫き、凛咲の肩口深く噛み砕く。
「う、ぐ……、私、は!」
「『次』があるといいわね」
 薄れゆく凛咲の意識の中で、金髪のエルゴマンサーが悠然と微笑んだ。


「こちらは心配無用! 追って、へぶんの対応へ向かう!」
 陸が西側最後のエンジェルを撃破すると、ソレイユはヘヴンを狙い心射撃を放つ。
「前回みたいなことはそう続かないかっ」
「確実性最重視、だねぇ」
 相手はこちらの、リロード時間もスキル発動時間も待ってはくれない。
 命中率と引き換えの状態異常よりは、より確実に『当て』なければ始まらない。
 距離を詰めエリアスナイプを発動し、鳴はヘヴンの動きに集中した。




 配下の殆どを喪ったが、ヘヴンは戦意を喪っていないようだ。
 祭莉、千昂、凛咲と確実に戦闘不能者を出していることで立て直したらしい。
(これ以上、自由にさせない)
 張りつくアグラーヤだが、わずかの差で先手を許す。隙をついて抜けられる。

 狙いは、前衛へ回復スキルが届くようにと北上していた、あやめだった。
「ごきげんよう? 可愛い方」


 叫び声は、誰のものか。


「さぁ、ヘヴン! 受け取ってもらおう、か!」
 迷いのない、真っ直ぐな鳴の弾丸が北方へさらに退くヘヴンの左肩を穿った。




 血の海を、マクガフィンは全力移動で駆ける。
 逃がすわけにはいかない。
 回避されることは織り込み済みで、トリガーを引く。
 最北へ回り込んだアグラーヤをサポートできる位置をとる。
 
 それを、Ashenは遠くから見届けるしかできなかった。
 手の届かない、場所に。なにもかも。
 届くのは――
「悪あがきはそこまでだ」
 凛咲を襲ったエンジェルへ、裁きの槍を。

「俺は! こんなところで立ち止まってる場合じゃないんだ!!」
 焦る心を見透かすように、たった1体残ったエンジェルに浴びせられた粘液で移動を封じられた鳥太郎が吠える。
 守りたい存在へ手が届かなかった。
 彼らが守ろうとしたものを守らなくちゃいけない。
 鳥太郎は拘束を振りほどき、フォースアローで最後のエンジェルを撃破する。
「……立ち止まっちゃいられないが、ここを守るのが俺の仕事だ」
 攻撃をしなければダメージを与えられない。
 それは当たり前のことで、
 攻撃を当てるためには、武器やスキルが届く位置まで近づかなければいけない。
 これも当たり前のこと。
(……釣られ始めておる、か?)
 鋭い攻撃をしては北へ退がるヘヴン。彼女を攻撃すべく、ライセンサーたちもおのずと北上していた。
 そのことに陸は気づいて、盾へ持ち替えると作戦段階で取り決めた『防衛ライン』の死守へ向かう。
 鳥太郎やツギハギも、中央を割らせないよう陣取っている。

「逃げ道は、もうないよ」
 明鏡止水の心。
(私は、怨嗟の代行者。天を穿つ悪魔)
 これまで倒れた仲間を。蹂躙された人々を思うと沸騰しそうな感情を攻撃へ変え、冷静に敵の動きを見極める。
 アグラーヤは回避先さえ予測して、不可避の連撃をヘヴンへ叩きこむ!!
 左脚、鱗の皮膚をも深く裂き、黒いローブがじわりと濡れる。
「もちろん、逃げるつもりはないわ?」
 左肩を撃ち抜かれ、左脚を抉られ、それでもエルゴマンサーは余裕を崩さない。
 アグラーヤへ笑顔と、そして背を向ける。
「!」
 マクガフィンが後を追った。
 それまではヒット&アウェイで移動力を半々に使っていたヘヴンが、南下へ全振りしてきた。
 鳥太郎の側面を抜き、防衛ライン中央、回復役として――そう。
「もう少し遊んでいきなさいよ、ヘヴン。それともトカゲらしく尻尾を切り捨てて逃げる?」
 ツギハギの挑発へ、ヘヴンは血まみれの斧槍で応じる。
「もう……誰も傷つかせぬ!!」
 後ろへ回り込んだムーンがツギハギを支え、すぐさまフィールキュアを掛けた。
「私たちなら! 絶対に倒せる!!」
 ソレイユが背面からオーバーストライクで援護を。


「此処には俺達しか居ねえのに、負けてたまるかよ!!」
 鳥太郎が声を絞り出す。このラインは、絶対に絶対に越えさせない。
「天国へ向かう準備は済んだか」
 淡々とAshenが告げる。

 ここで、止める。必ず。

 ありったけの思いをのせた、2人の銀の氷槍がヘヴンを貫いた。





 エルゴマンサー・ヘヴンの撃破に、周囲は沸いた。
 指揮官を喪ったナイトメアは散り散りに。その背を討つのは容易かった。


 重体者4名を出しながらも、勝利へ導いたライセンサーたちは喝采を浴びたが……
「止血用の包帯が足りねえ! 骨折の添え木ならこっちでどうにかする、ああ、ありがとな! あ、ローワンさん、こっち押さえててもらっていいか」
「……」
「ろーわんさーん」
「うるさい、叫ぶな、聞こえている」
 自主的に応急処置に駆け回る鳥太郎へ、Ashenは巻き込まれていた。
 おかしい。言葉を交わす気は毛頭なかった。
「盾に……なれなかった、な」
 仲間すべてを守りたかった。鳴はポトリと呟く。
「……ああ」
 気持ちは鳥太郎も同じだ。
「でも、もしも吉良川さんが襲われて重体になっても……俺は悲しむよ」
「……うん」
 逆の立場でも、鳴だってそうだ。誰が倒れても誰かを悲しませる。
 己を盾にして誰かを守る。
 それは、スキルの問題ではなくて。気持ちだけでどうにかなることでもなくて。
 むずかしい。
「傷薬と包帯の追加だ、これで足りるか?」
 一気に通夜ムードになったところへ、陸の明るい声が届いた。


「苦しませない方法であれば、幾通りか存じているのですが」
「苦しんででも乗り越えなくちゃいけないのよ、戦友」
 ツギハギが持ち合わせていた救急治療セットで、女子班も動いている。
 綺麗な言葉で恐ろしげなことを告げるマクガフィンへ、ふふ、とムーンが笑う。
「傷跡なんて、絶対残らないようにね。女の子なんだから」
 あやめの白い肌へ、ソレイユが包帯を巻く。
「手伝いたい、けど、私が触れると壊しそう……」
 戦場に離れている、応急手当の知識もそれなりに。しかし、儚げな少女たちを前にするとアグラーヤは家事等の不器用さを思い起こしてしまう。
「傷は深いが大丈夫……。大丈夫」
 祈るように、ムーンは処置を終えた凛咲の手を握った。

 ヘヴンから撤退の選択肢を奪った祭莉。
 東側を守り続けた千昂。
 中央で、常に攻撃を仕掛け続けた凛咲。
 後衛から前線を支えた、あやめ。

 誰が欠けても、作戦の成功は無かった。
 重体となり意識が回復しなくても、心臓は確かに脈を打っている。赤い血が、確かに体を巡っている。
 生きている。生きている。



 戦いは、これで終わりではない。
 敵の本拠地『ネザー』へ乗り込む、大きな一歩を踏み出したまで。
 奈落を破壊し、人々へ安寧を。
 更なる激戦が待ち受けていることは必定だが、今日という日が得難い糧になると信じる。




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