【ゆうドラ】サブフェーズ 2フェーズリプレイ一覧

  1. クリスマスに終止符を打て!<平和>(PC参加)

1.クリスマスに終止符を打て!<平和>(PC参加)

●ステージで出し物をする
「おどります!!!!!!!!」
 パーティーを盛り上げるステージはバーリトゥードの様相を見せていた。
 侃(la1158)アル(la3937)の二人はステージの上をねっとりと歩き回るコミカルな動きを披露する。
 ダンス……というよりは宴会芸に近い気がするが、実際宴会だし当人たちは楽しそうなのでよいだろう。
(また新たな躍りを知ってしまった……!)
 つけヒゲを装着したアルはしたり顔で決めポーズ。
 一方その頃、侃は剣にサンタクロースの人形を突き刺していた。
「出張版寓呂利亜演芸場です、本物の演芸場もどうぞよろしく……」
 暗山 影次(la2543)は後輩の長宗我部 鬼親(la2639)と共にステージに上がっていた。
 彼らが披露せんとしてるしているのは落語である。
「兄ぃさん……流石にここでやるのは恥ずかしいのですが……」
「なぁに気にすることはねぇさ。意外とお仲間がいるもんだ」
 そう。実はけっこう、ここに来て漫談や落語を披露するというライセンサーは他にもいたのである!
 普通そういう発想になるものだろうか。
「とはいえ俺らは本業。ここは譲れんだろう」
 二人が気を入れて噺を始める一方、広いステージの上では色々なお話がありまして……。
「隣の生垣に囲いができたんだって? (E)……かっこいー」
 杉 小虎(la3711)はダジャレを繰り出していた。
 当人いわく武芸百般・落語術「絶対すべらない話」とのことだが、つまりダジャレであった。
 踊っている人、歌ってる人、演奏してる人、話している人……。
 皆思い思いにステージを利用しているので統一感はまったくないが、各人自由にお楽しみいただけばよい。
「歌うのはいつぐらいぶりでしょうか。 ~~~♪」
 レーヴェン メディルファム(la3495)は小隊メンバーを引き連れてクリスマスソングを歌う。
 特に上手いわけでも下手なわけでもなく淡々と歌う様子は、周囲の様相も相まって忘年会のカラオケのように見えなくもない。
「が、がががんばって、うたい、うた……歌います!!!!」
 それでもステージの上、人々の注目を浴びていることに違いはなく、千日紅 レン(la2672)は緊張しっぱなしだ。
(しまった声が震える……トライアングル係にでも立候補しておくんだった……)
 途中で役目を投げ出すわけにも行かずにオロオロしていると、さり気なくレーヴェンが隣に立った。
 相変わらず抑揚無くマイペースに歌うレーヴェンを見ていると、なんとなく気持ちが落ち着いていく。
(皆で歌うの、楽しいな。そうだ……上手いかどうかじゃないんだ)
 そう。楽しむのが大事である。
 ここは誰にとっても、自分のためのステージだ。
(それはそれとしてレーヴェンさん、意外と美声……!!)
 ステージがだんだん盛り上がっていくと、シン・グリフォリシア(la0754)がユーゴの肩を叩く。
「よし、ユーゴ君!!!! 俺達のツープラトンを見せつけてやろうぜ!!!!!」
「え? な……なんで?」
「ユーゴバスターーーーーー!!!!!」
「なんで俺ばっかりこんな目にーーーーーーー!?!?!」
 リプレイ上でAAを描写することはできませんので、心の目でご確認ください。
「さぁ~寄ってらっしゃい見てらっしゃい! サンタ王選手権始まりますよ♪」
 神埼 夏希(la3850)が司会を務めるサンタ王選手権。
 サンタの中のサンタ、つまりサンタ王を決める選手権とのことで、優勝者にはサンタ王の称号が与えられるのだという。
「参加者全員に“1日がんばったで賞”もプレゼントです♪」
 考えてはいけない。感じるのだ。
「いや感じるだけではどうにもならないだろう……」
 審査員として招かれたのは何故か水月ハルカ(lz0004)とテス・ルベラミエだった。
 参加するのは問題ないのだが、「サンタの中のサンタ」の定義がわからない。
「何をもってしてサンタとするのか自分の中でも答えが出ていないのだが……」
「そうですわね。こういうイベントは学園長の方が向いていると思いますが……任されたからには精一杯務めさせていただきますわ」
 デュエル開始ィイイイイイイイ!!
「サンタ王に、私はなるよっ!」
 トップバッター水無瀬 奏(la0244)。
 ミニスカサンタ姿で歌やダンスを披露する!
「歌や踊りはサンタらしいのか?」
「お待ち下さい水月様! あれは……!」
 奏は歌いながらステージを降り、観客にプレゼントを配っている!
「聞いてくれてありがとう~! 皆に夢と希望とプレゼントを届けるよっ!」
「プレゼントを配るのはサンタポイント(SP)高いのでは?」
 奏はライセンサーからも応援が多く、盛り上がりも最高潮だ。
「とっても素敵だよ、奏! よーっし、私も張り切っていくよー!」
 お呼ばれしたエミリー・ルイーズムもミニスカサンタで参加。
「ところで、ミニスカートであることに意味はあるのだろうか……?」
 続いて雪ノ下晴成(la3051)!
「ドラドラ~♪」
 ドラゴンの着包み+サンシンというOKINAWA STYLEで登場だ!
「一応クリスマスソング演奏なのか……」
「沖縄のお菓子を配って盛り上げるドラ~♪」
「オキナワとはなんでしょう?」
 金剛明(la0352)はゴリラになりきっている!!
「盛り上げるウホ♪」
「サンタはゴリラだったのか?」
「雲行きが怪しくなってまいりましたね」
 女の子のライブは盛り上がった様子だが、それは果たしてサンタの中のサンタだったのだろうか?
 サンタが夢や希望を届けるという定義なら、サンタらしいのかもしれない。
 ジュリア・ガッティ(la0883)はステージに横断幕を広げ、大きな筆で「くりすます。」と描いていく。
「何を描いてるかって? ハルカがクリスマスに終止符を打てって言ってたじゃない」
 Christmasの最後に打つ「.」 is Finish。
「クリスマスに終止符を打ったわよー!!」
 お後がよろしいようで。


●料理を食う/あるいは作る
「ようこそ、パーティー会場へ。すしやは君たちを歓迎する!」
 ざんまい的なポーズで来場者を導くのはA・R(la3033)だ。
「クリスマスといえば? ……そう、カツカレーだ! カレーが欲しくば私に打ち勝ってみせろ!」
「くりすます……カツカレー……うっ頭が」
 点喰 縁(la3038)は大鍋に注がれたカレーを混ぜ続ける。
 なぜ自分がカレーをませることになったのかよくわからなかったが、小隊方針だし仕方ないね。
「さあ、クリスマスといえばカレーという風習を根付かせるのです!(文化テロ)」
 愛らしい笑顔で物騒な一言コメントのフィノシュトラ(la0927)はライス担当。
 通常、サフランライス、ハバネロライスの三通りを用意し、窯から好きなものを選んでいただく方式だ。
「さあ、たっぷり食べてくださいなのです!」
「クワァァァァァァ!!!!!!!!!
 鴨(la3453)はカツカレーとなった。
 カツカレーの着包みなるものを着用し、白ごはんの上にそっと横たわる。
「さあ! お食べ!!!!!!!!! かも!!!!!!!!!」
「あーーーっ、ごはんがーーーー!? せっかくきれいによそったのにーーー!」
 それよりもカツカレーの着包みってなんやねん。
「やるよみんな! あっと言わせる料理を作るんだから!」
 ナナシ(la2638)の掛け声で【百鬼夜行】が作り始めたのは特大のクロカンブッシュだ。
「クロカンブッシュとはシュークリームを積み上げたデザートである……ってことだけど、参考写真の見た目はたこ焼きっぽい!」
 抹茶チョコを使って青のり、カスタードクリームでマヨネーズを再現してみるのも面白そうだ。
「想像力を鍛えるのも大事だよね!」
 それはそれとして、とにかくでかい。
 ヨランダ=エデン(la3784)は身長を生かしてクロカンブッシュを高所まで積み重ねていく。
「計算上はまだ伸ばせるはず……もはや建築」
「登って飾るゾ!!」
 巨大化に連れて背が低いクラブ=カッティ(la2816)ではもはや届かなくなってくる。
 するとヨランダはクラブを抱え、シューの設置を手伝った。
「はい、高い高い~」
「一番上に星型のドーナツは欠かせないゾ!」
 飛び跳ねながら小さなシューを積み重ねていくワナパク(la2874)。
「聖誕祭がもう一度楽しめる訳だの。いざ存分に遊んでくれようぞ!」
 もはやクロカンブッシュと呼んでいいのかもわからなくなってきたが、何にせよみんなで作るのは楽しいものだ。
「此れぞ百鬼夜行の妖怪たわーぞ!」
 クリスマスツリーと見紛うほどに巨大化したクロカンブッシュ。
 言われてみると確かに大きなたこ焼きの集合体に見えないこともなかった。
「いらっしゃーい! 歳末福引き……じゃなくて、縁起の良い……も、違う。なんだこれ?」
 佐和 千昂(la3236)は首を捻っていた。
 小隊方針ということで神社の御神籤的なものを作ったので、せっかくだから呼び込みを担当しているというのはわかっているのだが。
「今年最後の運試し……違うか。とにかく何が食べられるか籤の神様次第。運を天に任せてやってみませんかー?」
「当たりが出れば豪華な物が食べられます。これが世界の由緒正しいクリスマス!」
 千種 樹生(la3122)も通りすがりの人々に声をかけてまわる。
 ガチャというのは特に理由がなくても楽しいもので、意外とこのパーティー会場では好評だったり。
「歳末の福引きじゃないかって? 細かい事は気にしないでください」
「これで時間が進む……とは思えないが、いいか」
 籤を整理しながら白(la3638)がぼやく。
 クリスマスを終わらせるのなら新年の行事を取り入れるべき……という話だった気がするが、今となってはもはや単純に籤で遊んでいる感じだ。
「クリスマス、とは……」
 人前に出るのが苦手な月斗・クゼ(la3640)は料理の盛り付け担当。
 解せぬ様子ではあったが、籤引きは盛り上がったので良しとしよう。
「お願いがございます。わたくし達の仲間のパーティーに来て頂けませんか?」
 というエリーヌ・ペルグラン(la3172)に導かれ、キキ・モンロとエミリー・ルイーズムはテーブルについた。
 ユリア・スメラギ(la0717)率いる【FAL】はイタリア料理のフルコースを用意している。
「キキちゃんとエミリーちゃんも大歓迎よ。料理もライブも、楽しんで!」
「ありがとうなの~! キキ、美味しいもの大好きなの~♪」
 果たして“イタリア料理のフルコース”という概念が理解してもらえているのかは不明だが、喜んでいるのは間違いない。
「キキさん、せっかくですしクリスマス料理の大食い勝負などいかがでしょう?」
「んむ~? 大食い……?」
「たくさん食べることです」
「こんなに食べてるのにまだ食べていいの……? キキ、幸せ過ぎてなんだか怖くなってきたの……」
 小刻みに震えながらも食べる手は止めないキキと並び、エリーヌも料理を更に取り始める。
「エミリーちゃんは私とダンスなんてどうかしら? たくさん食べたらその分運動もしなくちゃね♪」
「もちろん、お誘いは受けるよ! キミ、なかなか出来るタイプみたいだしね?」
「フッフッフ……」
「うふふふ……」
 二人は笑い合いながらステージへと歩き出した。
 ステージは飛び入り歓迎、誰が何度上がっても問題はない。
「今夜は踊り明かすわよ!」
 終わらせる為に始めたパーティーだったが、当分熱が冷めることはなさそうだ。


●フトゥールム・スクエアを探検する
「時間が止まってる、ねえ……面妖なこともあるのね」
 パーティー会場はすこぶる賑やかだが、少し離れてしまえば無人の学園は静寂が支配する。
 月明かりを頼りに歩く御蔵 因(la3637)は、学園内を調査する一人だ。
「時空系の異常って、そのうち世界から修正受けて崩壊するー……なーんてSFだとよくあるしね。そういっても知識やアテになる何かを見たわけじゃないんだけど」
 暗がりを一人で歩いていると自然と独り言が多くなってしまう。
 “学校”というシチュエーションもあり、結構雰囲気があるのだ。
「じんぐっべーじんぐっべーサンタはどこじゃ~♪」
 闇の中をももぴー・スターライナー(la2851)は徘徊していた。
「クリスマスと言えばもちろんサンタ狩りだね! どこかに潜んでいるトナカイとおじいを見つけて~プレゼントゲット! それこそが聖夜の醍醐味!! 新ハントシステムが今、はじまるよ!! いっくぞ~~!!!!」
 今年のクリスマスに検討したいと思います。
 サンタクロースを探して倒す的なプレイングがけっこうあったので、今この学園内ではサンタ狩りが頻繁に行われていることでしょう。
「時よ進めなのです」
 白(la4079)は敷地内の時計という時計を片っ端から操作していた。
「時を繰り返すのは異世界転移の時差ボケで時計がちゃんと仕事をしていないのが原因なの。だから時計の針を進めて回るの。そうすれば時計の目も覚めるなの」
 という理屈である。
 時にまつわる問題である以上はそれを指し示す時計にも何か関係があってもおかしくはないだろう。
「この学園……広すぎる!」
 延々と続く廊下をカメラ越しに睨み、ホリィ・ホース(la0092)が思わず叫んだ。
 クリスマスループの謎を解き明かそうと学園調査に乗り出したが、今の所成果はない。
「あたしはおもしろいPVが撮れればそれでいいんだけれどね」
「だから言ったろ相棒、何も見つかりっこないって」
 呆れたように言いながら、しかしモー(la1404)の機嫌は悪くなかった。
 相棒のホリィに付き合っているのだから仕方ないし、何より二人での休暇は久々だ。
(あたしは脚であいつは頭、たまには脚がリードしてもいいだろうさ)
「やっぱり隅々まで学園を調査するのは無理だよねー」
「結局何を探してんだ?」
「“この時間に行けない場所”だよ」
 時間が繰り返されていることにはきっと意味がある。
「ループする時間に興味はあるけれど、それを望んでいる存在はどこか別のところにいそうだ。そいつが隠れてるんなら、この時間の中では触れられない場所にいると思ってね」
 そんな場所がないか訊いてみたのだが、結局学園とこの島そのものを隅々まで調査しきれたわけではない。
 もう少し目星を絞らないと発見は難しそうだ。
「学園を探索しに行かない?」
「いいね、どこ行こうか?」
 と、1ターンのやり取りで探検に繰り出した珠興 凪(la3804)と皆月 若葉(la3805)の二人。
 一緒に楽しくお出かけしたのはよかったが、ふとした瞬間に若葉は気づいてしまった。
(……あれ? これって……デートではっ?!)
 そう。デートであった。
「誰も探してなさそうな、人気の無い所がいいんじゃないかな!」
 数分前に凪が爽やかな笑顔で言っていた言葉が脳内でリフレインする。
 二人きりで人気のない図書館に来てしまった。しかも仲良く手を繋いで。
 最初は騒ぎから逃れるためという話だった気がするが、夜の学校は静寂に包まれている。
 まさに格好のデートスポットだったのだ!
「クリスマスがまた来るなんてお得ですわね?」
「ああ。たまにはこういったのも悪くないな」
 華倫(la0118)と陸道 空(la0077)はイチャイチャしていた。
 腕を組んだりその腕に胸を押し付けたりしながら歩く姿はまさにリア充。
(リア充爆発対策も万全ですわ)
 闇の中、華倫の眼光が鋭く光る。
 こういう時には邪魔者が現れるのが定石。爆破される前に爆破してしまえばよいと、得物は手放せない。
「やっぱり人が少ないと冷えますわね……」
「無人で暖房もついていないからな」
 そっと華倫が空の手を取ろうとした――その時。
『ウゥ……ゥォォォァァァァァ……』
 まるで地の底から響くような唸り声に二人はとっさに武器を構える。
 だがこれは――本当に人の声だろうか?
「気をつけろ華倫。何かが……廊下の奥に……」
 暗闇に目を凝らす。そこに見えたのは、黒い影――。
「……今、何か聞こえなかった?」
「そうか? 気のせいだろう」
 風花雪乃(la2627)とアストレイト・風花(la1857)も教室でデートしているカップルだ。
 二人はせっかくなので学園の制服に着替えていた。
 制服は色々あってキャンペーン用にたくさん用意されていたのでサイズも問題なし。
「制服似合うね。高校で一緒だったら、こんな感じだったのかな?」
「だな。今も昔も、一番大好きな人と過ごせるのは幸せだ」
 放浪者カップルである二人にとって、出会いそのものが奇跡のようだ。
 パーティー会場でもらってきた料理をつまみながら、小さなキャンドルの灯りを頼りに語り合う。
「手を繋いでいい?」
「もちろん――」
『アァァァァァ……』
 手を繋ぐ、というより掴んだアストレイトが雪乃をかばうように身構える。
「……なんだ、今の声?」
「えっ? 何か聞こえたの?」
「ああ、いや……」
 一瞬妙な気配を感じた気がしたのだが……今はもう何も感じない。
 アストレイトは手を放し、改めて優しく握り直した。
「お客様の中に勇者様はおりませぬかー」
 そんなかんじであちこちにカップルがはびこる中、レティシア・シャンテヒルト(la3554)は一人で闇を徘徊していた。
 つらい。ただただつらい。
 カップルを避けるように建物の奥へ奥へと進んでいく。
「これはナイトメアの仕業ですね……誰でもいい、この悪夢に終止符を……お?」
 足を止めたのは、誰かが廊下に立っていると気づいたからだ。
 “それ”はモヤのような曖昧なものだったが、不思議とレティシアには比較的はっきりと存在が感じられた。
「あの……こんなところでお一人でどうしたのでしょう? ……うぐっ!」
 言葉のブーメランに突き刺されながら問いかけると、影は応じる。
「貴様……我が見えるのか?」
「ええ、まあ、なんとなく……」
「そうか……」
 姿は見えなかったが、抱いた印象は“迷子”だった。
 街角で見かけた捨て猫のような――。
「あ」
 次の言葉を探している内に、気配は小さくなり、やがて消えてしまった。


●俺達が作戦方針だ!
「ふははは、俺こそは各種イベントを網羅した鬼サンタ。季節の境を恐れるな!」
「メリー……ヒナマツリ? どうして……」
 自ら作戦方針になってしまうという剛毅な者の集いなので、クリスマスに鬼くらいいてもおかしくはないのだ。
 シオン・エルロード(la1531)は鬼サンタとなり豆・ひなあられ・チョコを振りまくのである。
「おっと、子供が汚れたお菓子を食べて腹でも壊しては大事だ。当然ながら梱包済みだぞ」
「素敵な雛祭り……どうしてこうなったの?」
 そびえ立つ雛壇をじっと見つめる来栖・望(la0468)。まあ、自分で作ったのですが。
「ふっ、知れたこと……子供達に季節の行事の大切さを説く為だ」
「解りました。私もシオンさんとひなあられを配ります。伝統行事を守るのも仕事です」
 本当にわかったのか、それも仕事なのかはちょっとわからなかったが、二人が幸せならばそれでいいと思う。
「そう! ひな祭りよ! クリスマスにはひな祭りをぶつけることで相殺できるわ! 謎はすべて解けた!」
 こちらは別の理論でひな祭りやるしかなくね? となったアンヌ・鐚・ルビス(la0030)。
「知らず知らずの内に会場を3月へと変えてあげる。このひな祭り力でクリスマス力を……打ち消すっ!!!」
「クリスマスが終わるなんてやだよー! 明日も明後日もずっとずっとクリスマスがいい! その方が楽しいよ!」
 蓮華(la0001)はほんわか笑顔で自分なりの答えに辿り着いた。
「クリスマスに終止符を打とうとするひとに終止符をうつよ! みんなクリスマスツリーの飾り付けになっちゃえ!」
「安心しなさい。クリスマスが終わってもひな祭りが始まれば問題ないはずよ!!!!」
「やだー! もっと遊ぶ!!」
「いいや。クリスマスは終了のお知らせだ」
 アシュレー・ウォルサム(la0006)懐かしい感じのマスクをつけ懐かしい感じのノリで叫ぶ。
「しっとの心は父心! 押せば命の泉沸く! の合言葉とともにいちゃいちゃしてるカップルとかを襲撃だーー! カップルはみんな滅びればいいんだ、ジーク嫉妬!!」
「カップルを滅ぼしたくらいでクリスマスが消せると思ったら大間違いよ!!」
「カップルは消してもいいけどクリスマスは消しちゃやだー!!」
 もはや収拾がつかない様子を君野 エミル(la0035)はカメラに収め続ける。
「いやー、これ大丈夫? 事故ってない?」
「ダンシングオールナイトまたはグロリアスナイトフィーバー……踊るか」
 エミルと共にやってきた【極楽電脳無軌道小隊『オフ会』】メンバーより、踊りだす九十九里浜 宴(la0024)。
「撮影の合間にドサクサに紛れてイケメンに抱きついたり匂いかいだりそれと一言セリフ続き)同じ小隊エミルっちにもセクハラしたいです!」
 欲望を隠す気配がまったくない五月女 真央(la0802)がエキサイトする中、三十日 香奈子(la0702)は黙々と配信を試みていたのだが。
「危惧していた通り、やはりストリーミング配信は正常に行えないようですわ」
「あちゃー、やっぱり? 俺の方もうまく設定できないんだよね」
 この島に入ってから、一部の記録装置が正常に動作しなくなっている。
 これはかつてテルミナスも同じ問題に直面したのだが、ライセンサーに知る由はない。
「配信は無理でも、保存はできるかも。ちょっとやってみよう」
「最後には思い出が消えるとしてもか?」
「消えるとしても、ですの」
「それでもこの「楽しかった」という感情を残そうとすることに意義があるはず……俺はそう思うんだよね。――って、あれ?」
 カメラから顔を上げ、エミルが振り返る。そこには同じ用にカメラを見ている香奈子しかいない。
「今誰か……俺たちの間にいなかった?」
 首を横に振る香奈子。宴は踊(ダンス)ってるし、真央はイケメンを追いかけている。
 不可解な気持ちは残ったが、気のせいと結論づける他なかった。
「こういうのを待ってたんだよ! もう! 公認ちゃんのイジワル!」
 四天王寺 薫(la2620)は気合を入れていた。
 花がないのでチューリップフライドチキンを手にキメ顔を作る。
「終わらないクリスマス……それはキミとボクの為に引き起こされた一夜のミラクル……」
「マジでヤベェぞ、お前ェら。小隊作戦方針を“自分のナンパをサポートしろ”って設定したあの男、俺達の隊長だ」
「告白して相手を怒らせて攻撃される、なんていう事はないだろうけど……面識ないのに、凄いよね……?」
 通りがかりの女性にフライドチキンを差し出す隊長を遠巻きに眺める【漢軍団】隊員たち。
 久我 勇悟(la2624)と五十鈴 アキ(la2621)が見守る中、薫は無事1回目の玉砕を終えた。
「あ、立ち上がった。ヤッバい、まだ行くの? 勇者よね?」
「大丈夫! 行けるよ、かおるんなら! 自信を持って真剣にアタックすれば絶対に応えてくれるってば!」
 ノンビリ応援する神楽 結鶴(la3963)。八重垣 那緒(la2626)は応援しているわけではなく煽っている。玉砕するとこが見たいだけである!
「薫の頭、今のヘンな状況でおかしくなった? うまく行くはずないんだからやめろよ恥ずかしい!」
「小隊員として恥を晒すワケにゃいかねェ。サポートしろって言われたが阻止だ! 行くぞお前ェら!」
 姫鹿野 真如(la2629)と勇悟が同時に襲いかかり、吹っ飛ぶ薫。
 その様子を四天王寺 晶(la3967)は物陰からジっと見ていた。
「……お兄ちゃんは私の」
 兄に近づく女がいれば邪魔してやろうと画策していたが、残念なことにその心配はなかったようだ。
 フライドチキンを出した時点で概ね勝負は決まっていた。
「いやいやいやいや、ちょっと待てぇ!? ……これだ。今求められているのはギャグではなくツッコミ!」
 その真理に辿り着いてしまったのは赤羽 恭弥(la0774)。小隊【遠距離攻撃特化部隊「LRA」】の方針は、ボケではなくツッコミだ。
「ツッコミが足りないからって集団ツッコミってあれですかケツバット的な?」
「ボケてはいけないクリパ24時……LRAのツッコミ(狙撃)が火を吹く」
 澤口 颯哉(la3728)とアウィン・ノルデン(la3388)が企画意図をいい感じに解釈。
「だいたいあってるんだけど、そのコメントが既にちょっとボケっぽいから気をつけてな?」
「そんなこと無い! ……とは言い切れん」
「年末のあのバラエティ番組ってこっちでもやってるんすかね……?」
「ツッコミにはハリセンが欲しいけど、ないのなら仕方ありません。ここは手刀でツッコミを入れます!」
 努々 キミカ(la3017)は練習のためと言って樹に向かってチョップを繰り返す。
「なんでやねん! なんでやねん! なんでやねん!」
「おーい、小隊方針読んでくれた? 俺たちツッコミだからな?」
 任せろと言わんばかりに握りこぶしを作る小隊員たち。……不安である。
「よし行くぜ! SALFの品位は俺たちにかかっている!」
「「「おーーーーーー!!」」」
 無慈悲にも雛壇が爆発したりクリスマスツリーの格好をした男たちに囲まれたり巨大ケーキの飾りにされたりする未来を、彼らはまだ知らない。

リプレイ執筆
クラウドゲート

リプレイ監修
クラウドゲート

文責
株式会社フロンティアワークス
  1. クリスマスに終止符を打て!<平和>(PC参加)