【ゆうドラ】サブフェーズ 1フェーズリプレイ一覧

  1. テルミナスをやっつけろ!<平和>(PC参加)

1.テルミナスをやっつけろ!<平和>(PC参加)

●俺自身が作戦方針だ!
「うほほほほうほほ。うほほほううほ。ほほう? ほうおうほううほう」
 クララ・グラディス(la0188)は一心不乱に踊っていた。
 数分前、澄ました顔で「ゴリラになります」と宣言してからというもの、ずっとこの調子だ。
「ドゥフwwドゥフwwwwwwキャッキャコキャッキャコキーィッ! キーィッ!」
 その部分はゴリラじゃなくてサルの方では?
「テルミナス……テルミナスはどこだ?」
 ヨハネス・リントヴルム(la3074)はひとり、剣を手に途方に暮れていた。
 彼は人類の宿敵であるエルゴマンサーと戦うためにこの“アンノウン・アイランド”にやってきた。
 しかし、どうにも周りの様子がおかしいのだ。
「気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!気合っす!」
 繰り返し叫んでいるのは那由汰(la0347)だ。
 彼はこの島に上陸してからというもの、自分でも理解不能な衝動に突き動かされている。
「任せるっす!! ……何を?」
 一瞬我に返るも、また彼は「気合っす!」を20回連呼するルーティーンへと戻った。
「な、何が起きているんだ……」
「……お。もしかしてまともな人か?」
 困惑するヨハネスに声をかけたのは、具合の良さそうな岩の上に座り込んだ九十九里浜 宴(la0024)だ。
「きみは話ができるようだな。ここで何をしているんだ?」
「ボーーーーーーーーーっとしてる。青い空、白い雲……たまには何もしないのも……悪くねえな」
 宴は儚げな笑顔を浮かべてから、この場所について教えてくれた。
 ここは“自分自身が作戦方針になる”という剛毅な者たちが集まった作戦方針らしい。
「これで準備万端ね、じゃあ早速降霊するわ……かぁーーーーーーっ!!!!」
 アンヌ・鐚・ルビス(la0030)はこの世界から旅立ったという某社長の遺物を触媒とし、“フィッシャーの降霊”に挑んでいた。
「イタコとして、死した社長の魂をこの身に宿す! 儀礼にはあと桃と柳が必要だけど……無いわね。しょうがないので干しぶどうとユーゴが縛られた木で代用ね」
 別にフィッシャーはまだ死んでいなかったが、特設ページTOPの画像左側に薄っすらと写り込んでいることにおわかりいただけたのかもしれない。
 ここに来てはじめてユーゴの縛られた木の付近であることに気づき、彼に視線を向ける。
 ユーゴは縛られたまま、更に包帯でグルグル巻きにされたり、なぜか女性に詰め寄られたり、カップ麺をカツアゲされたりしていた。
「ライセンサー本人の出動? アサルトコアは使用できない? ならば俺自身がアサルトコアだ!」
 坂本 雨龍(la3077)が走る。
「僕は……僕はね、人間じゃないんだよ。アサルトセブンなんだ! ぽろんぽろん、じゃっじゃーん――デュワッ!(巨大化)」
 具体的には描写できないあの手順を経て、雨龍は巨大化した――つもりらしい。
 いや、彼の瞳には確かに写っているのだ。巨大化した自分自身と、そこから見下ろす世界が――。
「誰か戦っている者はいないのか!?」
 見れば、ようやくマンティスと絡んでいる者がいるではないか。
 加勢しようと駆け寄ってみると、どうも様子がおかしい。
「はいそこ! 鎌はもっと大きく振りかぶる!」
 ジュリア・ガッティ(la0883)は戦っているのではない。
 何故かマンティスをスケッチしながら、ポージングを指図しているのだ。
「儚く散る定めなんて書かれて悔しくないの!? イメージアップして見返すわよ!」
 今回、“マンティスと仲良くなりたい”“マンティスがかわいそう”というプレイングはけっこう多かった。
 彼女は親マンティス派の一角に過ぎない。
「トンチキイベントとは言え、ルールはルール。全員ちゃんとおやつは300円以内を守っているか確認させてもらう!」
 袈裟丸・鉄王(la2843)はナイトメアではなくライセンサーを取り締まっている。
「干しぶどうなら1キロまで。カップ麺なら3個までだ。それ以上は没収とする! ……む、バナナ2房か。これは……セーフだな。行って良し!!」
「おやつ……? トンチキイベント……? ま、まさか……!」
 右を見ても左を見ても(さすがにこの作戦方針ほどはひどくないが)、阿鼻叫喚の地獄絵図。
「気づいてるんだろ。ここがギャグ時空だって」
「なに……? グロリアスドライヴはシリアスなWTRPGではないのか……!?」
 強いられている感じの集中線がヨハネスを襲う!
 そう! ここはギャグ時空! 何が起きても不思議ではないのだ!!
「ダメだ……あまり長くここにいては、わたしの中のシリアスがここのコミカルと反応して大爆発を起こしてしまう! に、逃げねば……!」
 なぜ爆発するのかはわからないが、ひとつだけ言える事がある。
 それは、彼もとっくにギャグ時空に巻き込まれていた、ということだ。


●テルミナスと遊ぶ
「ええい、何を遊んでいるのですかマンティスの皆さん!」
 テルミナスは困惑していた。
 マンティスと戦おうというライセンサーもいないわけではなかったが、真剣に戦う者はこの場において少数派である。
「前から思っていたが、マンティス。お前たちの造詣は良いと思う」
 白鐘 吟(la0402)の眼差しはまっすぐで、そこに裏表は感じられない。
 彼は真剣にマンティス(イラスト:kuratch!)をスケッチしていた。
 一方、描写対象であるマンティスもまんざらでもないのか、身動きもせず完成の時を待っていた。
「……よし、これでいい。マンティス、俺の絵を受け取ってくれるだろうか?」
 そっと差し出してみるも、マンティスの両手は鎌であった。
 マンティスは人と手を繋げない。自らが怪物であるという事実に打ちのめされてか、悲しげな鳴き声と共に吟に背を向けた。
「マンティス……」
「………………いや、何やってるんです!?」
 見ればマンティスに乗り込んで走り回ったり、マンティスと抱き合っているやつとか、マンティスに楽器演奏を聞かせているやつとかもいる。
「いいですねパイ投げ。そこはかとなく対話のにおいがします」
 だんだんよくわからなくなってきたテルミナスが悩んでいると。
「テルミナス! この期に及んで悪だくみとは、許せん! こうなれば、かつての仲間直伝のラップバトルで貴様を打ち倒すほかない!」
 マキシマム・プライス(la3360)はおもむろに胸部にカセットテープを差し込み、軽快なBGMを流しだす。
「WAR WAR 争いはSTOP IT!」
「え?」
「私の名前はマキシマム・プライス 止めるよお前の犯罪(クライム) 少しはマシになるこの場所(プレイス)」
「……私も望んでいるのは平和(ピース) 誰も傷つかないくらいの勝利(ピースサイン) 暗い世の中満ちてる叫び(クライ) 命の価値はプライスレス」
 お互いに満足したのか、握手をして二人は別れた。
「さあ、次の相手は誰ですか!」
「俺だ!」
 名乗りを上げたのは高河 水晶(la3171)だ。
 いそいそとテルミナスの前に座り、そこにオセロ板を設置する。
「テルミナス! オセロで勝負である!」
「正気ですか?」
 スっとテルミナスは着席。
「外見的に白黒でオセロが強そうなこの私に対して勝負を挑むとは……愚かな!」
「いざ参る! お前が勝ったら俺が恋人になるし、俺が勝ったら結婚してやろう」
「え?」
 真剣にオセロするテルミナスに志多 龍一(la2673)は不敵な笑みを浮かべる。
「そういやあいつぁ頭の弱いやつだったな……?」
 取り出したるはタピオカミルクティ。
「テルミナス、対話するならこれを飲みながらだ」
「はあ。なんです、これ」
「タミオカミルクティだ。今巷で大流行のスイーツだから、これがあれば誰とでも対話できるんだぜ。ちょっと指定されがちな連中もニコニコ笑顔でシノギするくらいだからな」
「へー、そうなんですか。でもなんか見た目がカエルの」
「おっとそれ以上は戦争になるぜ」
 龍一は内心ほくそ笑んでいた。
 決してテルミナスに流行のスイーツをごちそうするのが目的ではない。
 こうして彼女を惹きつけ時間稼ぎをするのが目的だった。
「おい、なんでそこ空いてんのに置かないんだよ。オセロヘタクソかよ……オレに貸してみろ」
「ずずずずず……っ! ちょっと、やめてください! 婚姻かかってるんですよ!」
 なぜか水晶と龍一の対決をタピリながら横で見る格好のテルミナス。
 そこへ遠くからNoname(la1052)が駆け寄る。
「テルミナス殿ー! 遊びに来ましたぞー! お元気ですかな!? われとっても元気ですぞー!」
「ずずずずず、ずず、ずずず」
「この島はなんとも綺麗で素敵なワンダホーですな! 巷では二月の海が流行りの様子!テルミナス殿もレッツ援助―イですぞー!!」
「ずずずずず……あ、ちょっ」
 Nonameは海へと駆け出した。そして彼の笑顔は青空にうっすらと浮かび上がる。
「ダピってて全然お話できませんでした。展開が早い……」
「テルミナス! 悪事は見逃せませんわ!」
 オフィーリア アシュクロフト(la2756)は燃えていた。
「そう……この女神オフィーリアの前に悪事が成立するはずがないのですわ! 特にその胸! 男性を蠱惑するその胸はギルティですわ!」
 オフィーリアが指差したのはテルミナスの胸だ。だが、テルミナスは落ち着いた様子でストローから口を離す。
「人違いでは? クライン様ならともかく、ご覧の通り私はそこまでではありません」
「じゃあ、テルミナスのバストサイズおーしえてっ♪ ……この機会を逃したらもう公式で聞けないかもしれないし」
 どこからか割り込んできたclover(la0874)がいい笑顔で問いかけると、テルミナスは瞳を見開く。
「わかりません!」
「えー? もしかして測ったことないの? でもねー、俺の目測によると……」
「そんなもの、触ってみればわかる話ですわ! 明らかに胸を強調するデザインのこのスーツ……は……?」
 その時、オフィーリアに衝撃が走った。
「……………………硬い」
「あっ(察し)」

 閑話休題。

「テルミー! あーそーぼーっ♪ ……うわっ、どないしたんこの二人!?」
「なにか失礼な感じがしたので暴力を使ってしまいました。なお、先述のシーンはIFですのであしからず。あと戦闘用スーツなので普通硬いですよね?」
 よくわからなかったが、泉(la3088)は見なかったことにした。
「ウチ、前にテルミーとお友達んなりたいていうたやろ? だから……じゃーん! へっへー♪ ウチ、テルミーに生チョコいうん作ってきたんよ」
「チョコですか?」
「そっか、そこからやな。バレンタインデーっちゅーニンゲンが作ったイベントがあるんや。この場合、友チョコになるんやろか」
「その理屈だと私の方からもなにか送らなければ不自然では? そうですね……ではひとまずこれで」
 泉は飲みかけのタピを手渡された。タッピタピ。
「なかなか美味ですよ」
「良かったらチョコも食べてくれへん?」
「特に断る理由がありません」
 開封したチョコを口に放り込むテルミナス。
 アンタレス(la2909)はその手首に注目していた。
(前回切断された手首……気になるのよね。すぐ生えたって話だけど、今も切れ目とかあるのかしら?)
 ずっと監視していたが、とりあえず今の所危険行動はみられない。
 良くも悪くもライセンサーはテルミナスの封じ込めに成功している。
(ああ……手首が気になる。見て触って舐めて確かめてみましょう…………うん?)
「テルミナスちゃ~ん! ハッピーバレンタイン! 首頂戴☆(あいさつ)」
 紅迅 斬華(la2548)は猛烈に駆け寄り、そして豪華な包を手渡した。
 ラッピングからして、泉と同じくチョコレートの類だろう。
「さあ、開けてみて! お姉さん今日の為に頑張ったんだから~♪」
「は、はあ……」
 包を開いた時、誰もが凍りついた。
 なにか歪な黒い物体がオブジェのようにそそり立っている。
 その正体にいち早く気づいたのは、いつの間にか近くで覗き込んでいたアンタレスだ。
「これは……もしかしてテルミナスの■■?」
「そうそう! 本人の■■を愛とチョコで包んで……あれ? なにこの、なんか黒いのが……」
「サイコすぎて描写できないんですよ」
「素敵ね……味も見ておくべきかしら?」
「ヒェッ!」
 アンタレスがぽつりと呟くと、テルミナスは猫のように大きく背後に跳んだ。
「私には泉のがありますのでそのチョコレートはよかったら差し上げますね! それでは!」
「テルミナスちゃん、行っちゃった。そんなに喜んでくれたのね♪」
「チョコ■■と本物の■■を比較したかったのに……残念」
 こうしてテルミナスは無事に撃退されたのだった。


●コラボキャラに絡む
 陽波 飛鳥(la2616)は修羅となった。
 コラボ異世界人の皆様は皆(胸が)大きい。
 みんなそのおっぱいに導かれキャッキャウフフしているが、自分はその輪に入れない……いや、あえて入らない。
「胸部の差が戦力の決定的差でないことを、教えてやるんだからぁあああ!!」
 生命を燃やして飛鳥は駆ける。その勢いたるや、ほっとけばだいたい敵を片付けてくれそうな勢いだ。
「オレサマ、ちっちゃいのも好きなのだぜ? 貧乳はステータスで希少価値だっていう名言もあるし☆」
「うああああーーーー! 貧乳っていうなあああぁぁぁっ!」
 意図せず止めを刺してしまったメメ・メメルも魔法を乱射しマンティスを次々に吹き飛ばす。
「うーむ、本当に小さいのもいいと思うのだぜ? メメたんわぁ~、大きいのも小さいのも全てを愛してるぞ☆」
 本人はそう言うが、身長142cmオフィシャルロリ巨乳のメメたん(太ももはちょっとむっちり)の戦力は圧倒的だ。
「かわいい!!!!!!!」
 日ノ宮 雪斗(la3893)は一心不乱に一眼レフのシャッターを切る。
「なんだこれ。異世界人可愛い。天使では??」
「おっすおっすー。応援ありがとー☆ よくわかっているチミは優先的に描写してもらえるように運営に頼んであげよう!」
「うえーい!! 帰ったらポストカード作りだ!」
 雪斗は割と個人的な目的で撮影しているが、ホリィ・ホース(la0092)は異世界人とのコラボ動画を撮影し、PVにするつもりである。
「お客様はかわいく! 自分はかっこよく! PV撮影はwin-winだね! はいみんな、はいってはいってー。チーズ!」
 カメラを向けられる度、メメルは器用にポーズを変えて目線も送っている。
 その一瞬のスキに魔法を放ってマンティスも葬っていた。
「メメたん、おっすおっすー! 俺様ナカーマ! なぜなら、俺様も俺様だかーら!」
 両腕を広げ、雨月 氷夜(la3833)が躍り出る。
 ちょっと胡散臭い感じの笑顔を顔に貼り付けたまま、氷夜はノリに身を任せていた。
「一人称にエンパシー感じちゃわない? 一緒に遊ぼうゼ!」
「えぇ~! メメたんわぁ~、一人称メメたんの時もあるからぁ~☆」
「オーケーオーケー。俺様も一人称氷夜たんの時あるから(適当)」
 何かが通じ合ったのか、二人はニッコリと握手を交わした。
「YOU殺ッちゃいなよ!」
「メメたんは言われなくてもつい殺っちゃうんだ☆」

 正気を失った飛鳥と合わせて三人で頑張っている頃……。
「はじめまして。更級 翼といいます。テスさん、テルミナスと名前が多少被っているようなのでお困りでしょう。よろしければ、僕と一緒にテルミナスをやっつけませんか」
「はあ……。私はそれほど困っていないのですが」
 この頃テルミナスはオセロをしていたので、テスは手持ち無沙汰気味だった。
 更級 翼(la0667)が声をかけると、少し困ったように首をかしげる。
「ややこしくありませんか? テス・ルベラミエとテルミらっ……ス」
 翼はゆっくりと膝をついた。
「やっぱり……ややこしいですね……(溜息)」
「あの……よくわかりませんが、元気を出してくださいね?」
 テスは優しかった。そして、この混沌とした状況の中でも正気であった。
 ガルシア・ペレイロ(la0370)は身だしなみを整えつつ、機を見ていた。テスをお茶に誘おうと心に決めていたのだ。
(23歳は合法。35のオッサンが声をかけても問題ないはず……)
 あくまで外見年齢に過ぎないことは注意が必要だが、それはそれとして12歳差はセーフなのだろうか。
 ガルシアは意を決し、テスに声をかける。
「クク……お嬢さん、俺とお茶……しませんか?」
「え? お茶……ですか?」
 当人に悪気はなかったが、ガルシアの笑顔は女性を誘うのには向かない。
 だが、テスは特に気にする様子もなく笑顔を返した。
「構いませんが、後でよろしいでしょうか? 今はこんな状況ですから」
「…………だな」
 特に! 何も! 起きなかったのである!
 ガルシアの顔が怖くても気にされなかったし、普通に戦闘が終わるまでお茶どころではなかった!
「あ、え、エノガルド……?」
「はい?」
 そんなテスの手をしっかりと握りしめたのは弾道寺 タキ(la0723)。
「オレはSALFのライセンサー、弾道寺タキだ! エノガルドガールがいれば百人力だぜ!」
 突然の自己紹介に困惑するテス。
 それも仕方がない。タキはテスを自身のアサルトコアの関係者だと勘違いしているのだ。
 ……のだ。そんなことある?
「行くぜエノガルドガール! ファイアーブレスだ!」
「ただでさえややこしいのに更にややこしい名前が……くっ」
「よくわかりませんが、燃やせばよろしいのでしょうか?」
 なんだか得体のしれないものに間違えられるというまあまあ失礼な状況においても、テスは落ち着いた様子だった。
 タキの瞳はキラキラと輝いている。悪いやつではないということは、テスにも伝わっていた。

「まてまてー! 干しブドウよこせぇぇぇぇ!」
 そしてコルネ・ワルフルドはというと、なぜかライセンサーに追い回されていた。
 理由は色々あるが、【V@LKNIGHTS】の面々は主に干しブドウを狙っている。
「いえーい! まてまてー!」
 もはや追いかける事自体が目的になりつつあるモナ美(la0646)。
「二つのでっかい干しブドウ!(意味深) ディーちゃが嫉妬するのもわかるよ」
「教育上よくなさそうなボリゥム感への嫉妬なぞではなく噂の干しブドウはもしやの仙人の豆的なアイテムやもしれぬので! 総員であのけしからん二つの巨峰げふごふ干しブドウをゲッツなのです! 作戦名は全員突貫!」
「それ作戦って言うのかな~? 走るのダルいよディーちゃ……」
 小隊長のディエスフィデス(la2755)はまたちょっと違う目的のようだが、クーラ・スサ・ルァフ(la2696)は特に諌めずに付き合うのみだ。
「いやー、こんなに干しブドウの需要があるなんてねー! アタシとしては嬉しいばかりだけど、追い回されるのは困っちゃうなー……んっ?」
「未知ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」
 エイン・デイア(la2841)はひょっとすると正気を失っていたのかもしれない。
 或いは、一度に発見された「未知」が多すぎて未知許容量(?)を超えてしまったのだろうか。
「アレも未知! コレも未知! この草は既知……この木は未知ィ!! あのあたりの人物がまとめて未知ィ!!!!!!!!!!!!! さあ語れ! 私たちの知らない知識を! 世界を! 語れ! 速やかに!!!」
「コルネ・ワルフルド殿ー! 初対面で申し訳ござらんが、思いっきりモフらせてほしいでござる!」
 神楽 出雲(la3351)はブドウになど興味はない。
 走るコルネのおしりで揺れる、ふさふさの尻尾がお目当てだ。
「頼むでござる!(土下座) 貢物のブドウ(おやつ)をあげるでござるから!」
 走りながら勢いよくスライディング土下座する出雲に後続のエインがつまづき、二人はもみくちゃになりながら地べたを転がった。
「未知未知未知ィィィィィィィィああああああああ!?!?!?」
「モフううううううううううっ!?!?」
 どんがらがっしゃーん!
「なんかたまに変な人も混じってるなー。こっちの世界の人って個性的だよね」
 えっほえっほと軽やかに走るコルネにライセンサーたちはなかなか追いつけない。
 しかし、なんかもう小隊プレイングからしてコルネを追うことにしか興味のない【V@LKNIGHTS】は人海戦術で包囲を完成させんとしていた。
「はあはあ……まったくもって……けしからん大ブドウなのです……はあはあ」
 ほくそ笑むディエスフィデスにグレタ・アンドロミカ(la0867)がふと告げる。
「干し葡萄1kgは3000カロリーですからラージサイズのピザ一枚分です。男性の一日の必要カロリー2千弱より多めですが……良いのでしょうか?」
 みんな同時に「うっ」とした。
 コルネを捕まえて干しブドウを手に入れたとして、それでどうなるというのだ?
 食べたとて、痛むのは己の腹(意味深)ばかり。……誰も得をしないのでは?
「ちなみに、アタシは運動してるから太らないよ♪」
「つまり干しブドウがブドウになって、またブドウで……ブドウ……うっ、頭が……」
「あ。ディーちゃ、現実に耐えきれずに倒れた」
 こうして【V@LKNIGHTS】の野望は潰えた。めでたしめでたし。
 丁度いい運動になったな~、くらいの様子で汗を拭いながら歩くコルネに桐江 梓(la0229)が笑顔でケーキを差し出す。
「異世界から転移してきた干しブドウ、美味しかったですっ! お菓子やお料理にも使えそうだと思って……これ、よかったら」
「わぁ~!? 干しブドウを使ったケーキだねっ☆」
 この世界に流星のごとく降り注いだ干しブドウ。それをただ食うのでは芸がない。
 むしろ干しブドウというKIZUNAで2つの世界を結ぼうと、ブドウ料理をこしらえたり地球の干しブドウを用意するというライセンサーはたくさんいた。
「お口に合えばいいんですが……」
「ん……おいしーっ! みんなアタシたちを歓迎するために頑張ってくれたんだね。ありがとう☆」
 にっこりと笑顔でウィンクするコルネ。
 まだナイトメアとの戦いは続いていたが、ここにブドウによるKIZUNAが結ばれたのだ。


●そんなことよりカップ麺だ!
 そして戦場から少し離れたところで、ライセンサーたちは一心不乱にカップ麺を食べていた。
「ラーメン作った俺!!!!!!!!裸で喰われた俺!!!!!!!!マンティスに食わせるタンメンはねぇ!!!!!!!!マンティスティーテスティーラーメンにしてやるぜ!!!!!!!!」
 おっと、すまない。シン・グリフォリシア(la0754)が映り込んでしまった。
 ちょっと何を言っているのかわからないが、気にしないでほしい。
「かぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷめんかぷ」
 おっと、田村 ケイ(la3000)も映り込んでしまった。
 この作戦方針はずっとこんな感じだったので許してほしい。
「醤油か味噌か塩か豚骨か……ええい、カップ麺は奈落の入り口だ」
 アシュレー・ウォルサム(la0006)はやかんを片手に4種類のカップ麺と向き合っていた。その様子は真剣そのものだ。
「……まて? おやつは300円だからこれはお弁当ということにすれば全味もっていってもよいのではないだろうか?」
 アシュレーはこの狂気の空間において、かなりまじめにカップ麺を食べようとしていた一人。むしろ少数派である。
「おぉー……」
 4種のカップ麺すべてにお湯を注いだアシュレーの様子をいつの間にか吉野 雪花(la0141)が瞳を輝かせながら覗いていた。
「……どれか一つ食べてみる?」
「いいの? 僕、かっぷめん? っていうの食べたことないんだぁ」
「どの味もおすすめだよ。これはお弁当だから実質0円なんだ」
 カップ麺を分かち合うNO BORDERな優しい世界が広がっていく一方。
「カップ麺はそのまま食べても美味い。干しブドウもそのまま食べても美味い。だが、そのふたつが力を合わせたら……?」
 各所でオリジナルカップ麺の開発も激化していた。
 涅槃(la2201)は独自の理論により、カップ麺に干しブドウをIN!
「これこそが真のコラボ、レーズンカップ麺でござる! 干しブドウの食感がアクセントとなり、更なる高みへとカップ麺を導くのでござる!」
 ハントシステムのドロップ品に追加してもいいでしょうか?
「アイス×カップ麺の可能性を追究しましょう。アイスは勿論左です(キリッ)」
 どうやって攻めるのかはわからないが、桃簾(la0911)は新たな味の探求に余念がない。
「美味とされるアイスとラーメンのマリアージュです。これぞ究極……いいえ、まだまだ可能性は無限のはず! いでよ! 雪見●いふくカレーソフトクリーム醤油ラーメン!」
 実際のところどうなのかはぜひお試しください。
「なにやら方方で盛り上がっているようじゃが、とりあえずユーゴを助けておくかのう?」
 そんなわけで龍 天華(la0350)は囚われのユーゴを助けに行ってみた。
 そこで彼女が見たのは、なんかもみくちゃになって悲惨なユーゴの姿だった。
「こ、これは……何があったのじゃ?」
「他の方針からも女どもに色々されたんだよ……もうお嫁にいけない……」
「ギャグ時空故に詮無きこと……。ところでユーゴはこれからどうするのじゃ?」
 縄をほどいてもらい、ようやく自由になったユーゴ・ノイエンドルフはサムズアップする。
「決まってるだろ? ……俺もカップ麺を食う!」
「そう来ると思っていたのじゃ」
 すっと天華から手渡されたのはカップ麺。
「カップ麺……」
「カップ麺じゃ」
「へへ……カップ麺!」
 こうしてユーゴはついに念願のカップ麺を手に入れたのであった!



「ずるずるずる……ずるっ!!! もふ~~!! 僕の真っ白なもふ毛に汁が飛んだでふ~~!! 染み付いて格好悪いでふ!」
 あわててのたうつパウロ(la3198)を横目に、カララク(la3376)は伸びたカップ麺を握りしめていた。
「目の前にはカップ麺がある。だが、俺の身体に食物を摂取する機能はない」
 食べてもらえなかったカップ麺は、ただ無慈悲にお湯を吸い込んで伸びていくのみだ。
「……何故俺はこの方針を選んだ?」
 やがて戦いは終わるだろう。だが、カララクがカップ麺をすする瞬間は決して訪れない。
 待てども待てども、この混沌の中だからこそ、孤独と虚しさが重くのしかかるのみだ。
「カップ麺……」
 手に入らないからこそ――美しいものもある。
 カララクはそっと蓋を閉じた。

リプレイ執筆
クラウドゲート

リプレイ監修
クラウドゲート

文責
株式会社フロンティアワークス
  1. テルミナスをやっつけろ!<平和>(PC参加)