オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. 【堕天】インヘルノ

連動 【堕天】インヘルノ ガンマ

形態
イベント
難易度
危険
価格
1000(EX)
ジャンル
堕天 バトル 特務  
参加人数
251~25人
予約人数
10010100
基本報酬
125000G
125SP
1250EXP
おまけ報酬
10000G
相談期間
5
締切
2019/08/07 20:00
完成予定
2019/08/27 20:00
機体使用
関連シナリオ
-

※このシナリオでは限定的に「生身での参加」を許可。
アサルトコアに乗らない場合、プレに【非搭乗】と明記すること。
【非搭乗】者はACに乗らず終始生身で任務に参加しているとして扱う。
宣言のない者はAC搭乗者として扱う。
プレイングに【ダンテ】と記載することで、ダンテに搭乗しているとして扱う。
装備は搭乗者のAC装備を装備しているとして扱う。パラメータやスキルは特設ページ参照。


●奈落を貫く流星

 2024年、ロシアのカティリクに巨大な光が落ちた。
 それは町一つを飲み込むほどの大穴を開け、周囲一帯を焦土に変えた。
 悪夢が無尽蔵に現れるその穴の名を、ネザーという。

「――ツァーリ・スヴェート、投下せよ!」

 北方部隊長ハシモフ・ロンヌスの号令で、ノヴァ社が神速で完成させた超大規模閃光弾が落とされる。
 それは意趣返しでもあるか。かつてエヌイーが、この地に光を落としたように。今度は人類が、その頭上に星を落とす。
 そして作戦時間通りだった。凄まじい光が、辺り一帯を塗り潰す。

「行くぞ、お前達! 降下開始ィッ!!」
 片手でアサルトコアのパーツに掴まり、片手に巨大なガトリング砲を担ぎ、軍装のハシモフが先陣を切った。
 次から次へ、アサルトコア達が降下していく。そのパーツには数人のライセンサーが掴まり、共に奈落へ落ちるのだ。

 ――ミチオール作戦、開始。

 ある部隊はネザーのふちに降下し、ある部隊はネザー内部で、またある部隊は空中で。
 戦いが始まる。
 いざ、奈落を踏破する時。
 終わらぬ深淵の悪夢を、克服せねばならぬ時。


●Nether
 見上げ、手を伸ばし、渇望し、足掻き、進み、求め、際限と充足と停滞に離別を告げ続けること。
 それを侵略対処や同胞らは『悪趣味』または『変な考え』と評した。
 オカシイ? 狂っている? この私が? それも一つの側面なのだろう。一面的な存在などこの世にいない。
 しかして止まる理由にはならぬ。
 ナイトメアとは喰らう者。
 しからば己のまた、喰らう者。
 もっと知りたい、解き明かしたい――渇望を胸に、知識と真理を喰らうモノ。
 それは『底無しの穴』のように。

 ――待ち侘びていた。
 ――星々を見ていた。

 どんな世界でも大抵は星というものがあり、それは美しい。
 数多の世界、数多の星々を見てきた。そして食い尽くし、滅ぼした。

 見つめ続ける。
 何かが来る。彼らは来る。必ず来る。己の策を食い破るような一撃と共に。
 どのように? それらを千々に予想しながら。
 地上から? あれだけ防衛が為に巡らせたナイトメアの壁を一瞬で突破して? 彼らの戦力を見るにありえない。
 地下から? 穴を掘って進むなどあまりに手間がかかるだろう、現実的でない。それに掘り始めたなら一気に崩落させて圧死させればよい。
 空中から? テンペストの機動力、バーシニャの対空射撃は、彼らの空中対策を凌駕する。キャリアーやアサルトコアの大群で飛んできたところで、ここに着くまでにあまりにも消耗することだろう。
 テレポート? そのような技術は未だ確立されていないはず。次元潜行? 以下同文。

 なのに――『彼らは来る』と確信があるのだ。
 どうやって? 分からない。なればこそ、期待に沸き立つ己がいる。

 何を見せてくれる?
 次は何をしてくれる?

 見て聴いて嗅いで触れて味わって、「この体」が崩れてでも、全てを知りたい。体験したい。

 そうして。
 地の底は突如として、戦場一帯が丸ごと、太陽が落ちてきたような光に包まれたのだ。


●嘆きの河を血に染めて

 君達の部隊は友軍を横目に、まだまだ深くへ降下していく。

 もちろん、その道を切り開いてくれるのは友軍部隊だ。
 君達は決死隊。奈落の主を討つ使命を課せられた、この作戦内で最も生存率の低いチーム。『死刑宣告』を言い渡された、不運な――あるいは幸運な――もしくは勇気ある、あるいは蛮勇を携えた、希望と呪いに満ち満ちる『人間共』。
 それでも君達は、ここへ来た。今も尚、地獄の底へと落ちている。

 そうして辿り着いた。
 見上げる先に、一際うず高く積まれた鉄くず達。
 その天辺に、ナイトギアが立っている。二つの手に武器を構えて。
 そこに搭乗しているのはエヌイーだ。ネザーの主、奈落を冠する破壊の者。

「ようこそネザーへ。最も深き不眠城(インソムニア)へ。……素晴らしい、大胆な作戦です」

 争乱の音が響いている筈、なれど、ぞっとするほどの静寂が、奈落を包んだような気がした。
 ナイトギアが君達の前に降り立つ。たった一機、なれど本能が叫ぶほどの威圧がある。
 同時に周囲から溢れるナイトメア達を阻んだのは、ハフモフ隊長の部隊だった。これまでずっとずっとずっとずっと――気が遠くなるほど、血濡れたロシアでエヌイーと戦い続けてきた、古傷塗れの古強者だ。体のあちこちを失い、友を喪い、家族を喪い、故郷を失い、得られぬ勝利に冷笑され、後悔と共に老いていくしかなく、それでも尚と戦場に立つ、愛すべきウォーモンガー共。

「行け! 進め! そして討て、奈落の主を! 乗り越えるのだ、絶望の波濤をッ!」

 ハシモフが銃声を響かせながら、大きく声を張る。

「この俺が貴様等に命令する! 地獄に落ちて尚――生還してみせよッ!」

 その声と共に、君達は銘々に身構えることだろう。
 たとえ天から堕ちたとしても。
 たとえ七難八苦に泣き叫んだとしても。
 這って、足掻いて、生き残らねばならぬ。
 命を懸けて、命を燃やせ。
 燃えながら絶対零度を突き進む、あの星のように!

「生きるか死ぬか。さて、地獄を始めましょうか」

 そして、そんな『侵略者』を前にして。
 奈落の悪夢は、恐悦至極なる殺気を全開にする。
 生命の叫び声が、軋むほどの絶唱となった。

●目標
エヌイー撃退

●登場
エヌイー/ナイトギア
 人型兵器ナイトギアに搭乗。
 非常に堅牢。特殊抵抗超高。飛行可能。視覚的死角なし。
 武装は二つ。
・白熱する鞭。知覚。距離長。直線。
・長い尾。物理。近接。単体、周囲。命中対象に「防御低下(5)」付与。

↓スキル

・イマージュの鎧
 イマジナリーシールドを転用したダメージコントロールシステム。部位破壊を常に無効化する。

・疾風怒濤
 最大三回の行動ステップを持つ。

・アバドン
 自身から半径10sq以内の対象の防御値を常に三分の一少ないものとしてダメージを算出する。
 同時に、毎ターン開始時に範囲内対象へ「免疫低下(6)」付与を試みる。

・自動浄化
 不利な変調を、生命1d6消費ですぐさま回復。

・高度学習体
 回避されるごとに、その対象に対する命中補正が上昇していく。

・奈落の主
 パッシブ。ネザーのナイトメアからいかなるダメージを与えられることはない。

・巨体
【非搭乗】者はあらゆる手段で移動を妨害できず、移動sq上に【非搭乗】者がいる場合、踏みつけによる物理大ダメージを与える可能性がある。また、【非搭乗】者による射線の妨害を無視する。

――以下はナイトギア破損時の本体情報――

 やや防御型。基本バランス型。特殊抵抗高。広範囲制圧型。
 自動浄化、高度学習体、奈落の主は引継ぎ。

・イマージュスナッチ
 パッシブ。あらゆる攻撃に微量の生命力吸収効果を持つ。

・みずがねの体
 パッシブ。部位破壊無効。最大三回の行動ステップを持つ。

・腐食する白銀
 複数回行動をしない場合のみ使用。相手の防御値を半減してダメージを算出すると同時に、命中対象に「免疫低下(5)」付与。


●状況
 ネザーの底。平面。足場や明暗ペナルティなし。
 周辺のナイトメアはハシモフ率いる部隊が対応しているため、PCはエヌイーとの戦闘専念可能。戦闘不能者も彼らが避難させてくれる。

●状況(続き)
【フロントライン・ドクトリン】
 ハシモフの前線指揮官としてのパッシブユニークスキル。
・PC全員の能力を常に上昇:命中回避+10%、抵抗+2
・「気絶」するかどうかの判定時、ダイス+1D6

●MSより
 こんにちはガンマです。
 VSエヌイー。ハシモフさんがソラリスみたいな目に遭うことはないのでそこはご安心を。
 解説とか本文の文字数カッツカツですおのれエヌイー
 よろしくお願い申し上げます。

【ダンテ】

遂にきてしまったわ……ナイトギア鹵獲タイムが!
☆6エメラルド級のお宝が、今、この手に。
ハイパーぶんどりタイムの始まりよ。

それはさておき、エヌイーの力量は理解してるつもりだけど……
この戦力比ならやり方次第で十分イケると思ってる。
敵の気質からしてガチの削り合いに付き合ってくれそうだし、
あとは各機が役割をもって連動できるかどうかね。

そんなワケで私は射撃要員として機能。
死角を不利としない相手なのは承知の上で、あえて死角へと回る動きを。
対応が出来ても、それが楽かどうかは別問題。
多対一の有利を活かして、エヌイーの注意が常に分散するよう仕向けるわ。

終わらせましょう。

「……ね、ざー…、……えぬいー………撃破、対象…、……ん、斃す。私が……私の力で……」

行動
【非搭乗】
常に味方アサルトコアの肩に搭乗した状態。落ちないように基本四つん這い姿勢で固定して
基本的には常に変調を与えるスキルを連発し浄化回数を稼がせる。
なるべく【アシッドチャージ】は目立たせて使用。厄介なものに思わせる
逆に【青】は目立たないように、少しでもボカシを残させて味方のサポートに
浄化の限界値を発見出来ればよし


搭乗させてもらっているアサルトコアに【因果】付与
アサルトコア同士の接触時に他のアサルトコアに飛びうつることで敵に狙われ憎くする

  • 竜殺し
    七瀬 葵la0069
    放浪者14才|ネメシスフォース×セイント

■役割
 近接白兵戦

■行動
「……ん、人型は、関節構造上、攻撃の前兆が、見切りやすい」
鞭や尾は「振る」必要があり、ノーモーションの攻撃は出来ないので、攻撃に合わせて盾を使い防御
回避は基本的にせず、受け止める事を前提に行動。また【FBa-01セーフティ】を使いバリアも張る

「……ん、トドメは他の人に、任せて、削る事を、優先」
攻撃は盾や姿勢で拳を隠してからの【システマナックル】を使った近接白兵戦
【ストームファング】を打ち切ったら【ファングブースト】に切り替え、スキルは常時使用

射撃や他の人の攻撃の邪魔にならないよう、位置取りは留意

アドリブ称号歓迎

▼心情
……めんどくさそうな敵、だねぇ!

▼同行者
幼馴染の水無瀬 奏(la0244)

▼行動
SJ-01に搭乗

奏と連携重視で後衛に位置して行動
基本的にメイン武器をメインで戦うがタイミングやリロード次第で中距離の位置からサブ武器に切り替えて戦う

メイン武器は敵を射程内におさめることを心掛けつつファルコン・スナイプ発動→射撃

仲間や奏とタイミングを合わせながらウィークネスショットを撃ち込む

奏と連携して2方向からタイミングを合わせながら射撃

リロードは仲間の攻撃時に行っておき、射撃タイミングは見逃さない

  • 人魚の揺り籠
    そよぎla0080
    人間15才|ネメシスフォース×セイント

「おじちゃーん(手ふりふり)」
ひーちゃんもちょっと、今日はいっぱい一緒にガンバルの
いっくよー!


機体:ひーちゃん(飛燕)

戦闘
初手ベヒモス砲で遠距離攻撃
次手ランス持ち移動攻撃or通常攻撃→後退
時折ブースターの飛行加え立体的に
接近と後退を繰り返し、近接範囲一掃を避ける

フラッシュリロード:遠距離攻撃時。温存せず
アクセル・モード:近接戦時優先。高度学習体が一度でも発動した後から

地獄で最も重い罪は何か、それは裏切り。そして
Продукт Новы никогда не предаст нашу Родину.
(ノヴァの製品は決して祖国を裏切らない)

前衛白兵・ダンテ組援護
槍射程程度の距離保ち、周囲包囲配置
DEF・思念装甲組合せて友軍庇い、序盤被害担当
特に攻撃の要・ダンテの666同期攻勢まで彼らを護衛
全体として1機1Tでも長く戦場に留まらせ、積算火力稼ぐ

敵機破損後、対本体時は後退
射撃主体に切替、味方射線確保に配慮
包囲突破の頭を抑えるよう、自機・弾着で封止
友軍総被害と相談、継戦困難と判断時は敢えて包囲開放
脱出の選択肢を与え思考誘導、退却に追い込む

【ダンテ】
敵との距離7~9sq保ち、鞭対象ならぬ様側面背後に回り銃撃。
コードの使用時全周から攻められるよう各ダンテ散開しておくこと提案。

合図に合わせコード666使用。
他ダンテの攻撃から追撃する形で銃撃→槍で刺突。
敵飛行時は槍に持ち替え追尾。
バリアと槍の受け流しで攻撃いなし、他味方と連携し複数方向から攻撃。

効果終了後は使用前と同様に。
イマージュの鎧切れ次第槍持ち替え尻尾切断かコックピット破壊狙う。

鞭来たら掴み取り動き止める

  • 太陽の守護者
    吉良川 奏la0244
    人間17才|スピリットウォーリア×グラップラー

心情】
「人を燃料にして動かすなんて許せません!
目的】
エヌイー撃破
行動】
全体方針は範囲攻撃を特に警戒
鞭直線攻撃対策に敵中心に周囲を囲み敵から見て重なる位置に立たない
尾の周囲攻撃対策で一部前衛以外は遠距離戦

私はアバドン範囲外の後衛でバズーカをフラッシュリロードで連射攻撃し敵に確実にダメ与え
射線や視線確保の為、必要時飛行
追撃時必要なら全力移動で
敵接近時剣に持替えDペネトレで攻撃し敵機背後に抜け
シールド消失で四肢尾切断
敵機破壊後エヌイー本体も同戦術で戦う
戦闘終了後生体燃料のライセンサー確保(死んでても

・ナイトギア戦闘時
アバドン射程内からメイン武器装備してナイトギアに攻撃
メイン武器→リロード→攻撃を繰り返す
敵の攻撃に合わせて射撃して射線逸らしたりを試みる。命中低い場合・味方にあたる場合はなし。
味方と攻撃合わせて連携を図る。
・ナイトギア破壊後
アサルトコア搭乗
エヌイーを射程外から狙って攻撃
基本戦法ナイトギア戦闘時と変わらず

スキル使用
スキル1→敵攻撃回避に使用
スキル2→リロードしてる時間がない場合に使用

心情→「……行きます!生きる為に!」

覚悟を決めましょうか。

○行動
【ダンテ】
事前に作戦行動を打ち合わせ。
味方機と直線状に重ならない様に注意。

近接戦闘を主眼に行動。
近づけない場合は射撃攻撃。

コード666の使用は可能な限り多くのダンテとタイミングを合わせる。
サブ武器で近接攻撃を挑む。

戦闘行動が可能な限り、攻撃を続行。

アクセサリーのファゲットのスキル『バリア』を使用。

敵の近接攻撃時、ダメージの軽減が期待できるのならば、ライフルを盾代わりに使用して攻撃を受ける。
ライフルがロストしても構わない。

敵が生身になっても攻撃を続行。撃破を目指す。
味方の生身の邪魔にならない様に注意。

敵が射程外に離脱するなら、一度スキルを解除。
攻撃可能範囲に入り次第、スキル再発動して攻撃。

敵が飛行しようとする場合、相手に組み付きを試み、阻害を試みる。

周辺状況の把握に留意。
何か変わった兆候がある場合、周囲に伝達。
機体でも生身でも拾えるデータは全て拾う。
弱点になりそうな動きがないか観察し、その様なものがあればそこを突く。

敵の隙が作れるならば、相手の注意を引き付け味方に攻撃してもらう。

【心情】
「ようやく対面できたわ、エヌイー…」

【目的】
エヌイー撃退
ナイトギアから人間を救助する

【準備】
インカムによる情報共有

【行動】
☆共通
普段は敵を包囲するように射程11以上から銃撃。敵飛行時間合い詰める
尻尾警戒、味方機と近づきすぎない
一斉攻撃参加し、補正狙う
リロード時間合い離す
ファングブースト使いきる
「射程外から撃ちまくりよ!ペネトレイト・バレット!」

銃撃が見切られ始めるか接近されたら、接近戦も行う
剣の近接攻撃は敵地上時のみ狙い、Aトルネードを叩き込む
ヒット&アウェイ、味方機巻き込まないように
「咲き誇る薔薇の棘で引き裂くわ、エヌイー!シャルル・マルラン!」

敵が生身になったら、壊れたナイトギアの部位切断を試みる
切断成功時パーツを全力移動で持ち去る
「中の人間を救い出せれば…」

本体戦は密着しての大渋滞を避ける為、離れての銃撃メイン

全員回復能力切れ、生命力1/3以下目安に撤退

降下直後は射程ギリギリからレヴィヤタン砲で味方の接近を援護しつつ、有効な属性か確かめる
その後ウィークネスショットをレ砲で撃ち、効くなら使い続ける
その後15sq射程限界の離れた位置でYOKOZUNAに武器変更しファルコンスナイプ
装甲を貫通する有効な射撃であったならば、その後は敵がこちらに向かってこず、リロードが完了している時に再度スキル使用
有効でない場合はスキルを使わずに手数重視

万が一スナイピング誤射した場合一撃で味方を戦闘不能にしかねないので、射線エリア上の味方に位置情報にて通知する

エンジンの声をスピーカーで流されても気にしない。むしろ砲撃でシールドを削り気絶させる

  • スターゲイザー
    エドウィナla0837
    放浪者12才|ネメシスフォース×セイント

【ダンテ】
「星は掴むものじゃない、と言ったはずだがな」
「辿り着くべき場所。見据え、目指し、いつか至るべき境地。そんなところかな」
「勝ったらで良い。貴方が見ている星が何なのか教えてくれ、エヌイー」

最初はライフルで射撃
相手の飛行時はソードに持ち替え飛行しコード666
或いは他のダンテとコード666のタイミングを合わせる、その場合もソードに持ち替え飛行
「お互いに堅実だと……結局、力押しになるよなぁ!」
損傷が大きいかナイトギア撃破後はライフルで射撃に戻る
煉獄の意地は暴走以外のBS・変調を積極的に解除

ナイトギア撃破後ACでは何か不都合かつもし可能なら、乗り捨てて生身でスキルを見舞う

【非搭乗】
■心情
人類の痛みを知れとは言わない
どうせ理解できないだろうからね
ここでただただ死にな
■目標
エヌイーにトドメを差す
■行動
ナイトギア損傷前は、味方ACの陰に隠れ目立たないように
死角がないなら作ればいい
本に持ち替えFロード、ダンテの攻撃の直前に目眩ましとして

ナイトギアが損傷しエヌイー本体が出てきたら接近
爪翼装備で回避しつつ攻撃を重ねる
回避を見切られかけたら受け流し使用
それでも危なくなったら飛雀幻舞も併用
「あんたがあたしを学習するなら、あたしはより強いあたしになるまでさ」

  • 白の守護者
    音切 奏la2594
    放浪者17才|ゼルクナイト×セイント

FF-01搭乗
近接戦闘担当
仲間の射線を塞がぬ様に通信を密に行う
近接戦闘同士で敵の攻撃を交代で対応し継続戦闘力を意識
シールドで敵の射線妨害&防御で後衛守る
敵の気が逸れた隙にファングブーストでダメージ重ねる
仲間が攻撃する際プラズマシューターで気を逸らす

エヌイーの気を逸らすために話を振る
「私達は貴方を侵略者と呼びます。貴方自身は自らを何と称しますか?」
「私は自らを姫と称します。故に地獄でも貴方の前に立ち続けるのです。
民の思い(攻撃)を届けるために、民の命を守るために。」
どんな殺気の中でも気高さを失わずに微笑んで見せましょう
この世界でも姫であり続けると決めた自分に恥じぬように

  • 牙持つ闇
    花咲 ポチla2813
    放浪者14才|ネメシスフォース×スナイパー

◆全体作戦
前回と同じく敵を中心に散開
鞭の直線範囲攻撃対策で
直線で重なる位置取りをしない

ナイトギア撃破後は
エヌイー本体との戦闘を想定

◆注意
イマージュの鎧が切れたら
敵機体を壊す事が可能になるはず
燃料の人達を救うため
胴体は狙わず手足と尾を斬ってダルマにし
戦闘後に解体して救う

◆個人行動
エンハンスドDEF発動

今回は近接機が多いので
尾の範囲攻撃が最も味方の総ダメージが大きくなるため
敵の背後から尾を抱きかかえる様につかみ抑えつけ
できる限り敵が尾の攻撃をできないようにする

自身での攻撃は不要
尾をつかみつつ可能ならガードポジションも使用し味方を護る

「どうですか、エヌイー?
今回集まった方々なら、きっと貴方にも喜んでいただけると信じていますわ」

◆機体撃破後
本体もここで倒す
敵本体が壊れた機体(PC&NPC問わず)を乗っ取る可能性を注意して阻止
隠し通路や隙間などから逃げられないように
戦闘中も十分周囲を確認

「もちろん――ここで貴方を倒すために来たのですから。
まさか、この誘い。お受けいただけないわけではありませんわよね?」

ニッコリと微笑もう

おのれエヌイー!(あいさつ

序盤は距離を取り最大射程で砲撃。
味方の負傷が大きくなってきたら下がる隙を作るため、前に出て槍で攻撃。
味方と一直線に重ならないように位置取り。

なあ、せっかくだし教えてくれないか?
どっからどこまでが対人戦略のうちだったのか。

まあ、別に俺自身あんたから直接被害を受けたわけじゃないが…
あんたに利用されたヴァルキュリアと、シチーの分ぐらいは、ぶん殴ってやらないと気が済まなくてな!

AC搭乗にて戦闘
「いつぞやの雪辱を果たさせてもらいましょうか、エヌイー

ナイトギア戦は最大限に距離取りつつフラッシュリロード使用して間断無く射撃し続ける
ナイトギアに損傷が見られたらその箇所を重点に狙撃
「その厄介な代物からまず破壊させて貰いましょう

ナイトギア破壊しエヌイー本体が出てきた際は即座に味方に一旦離れる事を通達し提案
自身も銃の射程を最大まで生かせる位置まで下がり出来る限り味方機を盾や遮蔽物にされる事を防ぐ
「皆さん、エヌイーの大きさからすればACは格好の盾や壁です。利用されない様に一度エヌイーから距離を取った方が良いかと

以降はダイブモード使用し命中上げて狙撃し続ける

アドリブ絡み歓迎

「地獄か…素晴らしい。ここに神はいない、好きなだけ暴力を振るえるな…!進め、『ヘクセンヤークト』ッ!
「また会ったな。その不細工なマシンもお前もこれで見納めだ
「殺してみろエヌイー!お前の敵がここにいるぞッ!

今回は白兵戦を仕掛け後衛の被弾を減らすため
包囲を崩さないよう意識して立ち回る
飛行時はブースターで追いすがりストームファング
ストームファングが切れたらファングブースト使用
生命半減でSRp-01源内のヒールを使用し
以降は盾に持ち替えて可能な限り粘る

アドリブ・絡み歓迎
HN-01で出撃

「今度こそあの水銀スライムのすまし顔を歪めてやるのです!」

アバドンの範囲内外9~12Sqを行き来しつつバズーカで攻撃しながら近接組の支援として牽制を行う。
前衛味方に攻撃しようとしていたら直撃狙いで攻撃。
それ以外は当てる気ではあるがエヌイーの動きを阻害するように砲撃を撃ちこむ。

「デッドライン上で踊ってやるのです!」

エヌイー(生身)には極力手を出さず、逃がさないように牽制に徹する

『オーダー、了解』
【行動】
メイン武器の射程ギリギリの位置に陣取る。可能な限り味方をエヌイーの範囲攻撃に巻き込まない位置に。
基本的にメイン武器で攻撃。リロード必要時にフラッシュリロード使用。
エヌイーの攻撃にはダイブモード使用。回避を行う。
ナイトギアがアバドン範囲外の後衛に向かおうとしたら、サブ武器に持ち替え立ち塞がる。
ナイトギアが飛行し、他に抑えがいない場合のみ自らも飛び、抑えとなる。
ナイトギア破損後も基本メイン武器。前衛の援護を行う。

前衛として、射撃班や生身班やダンテが狙われないよう行動するよ
盾で押し込んで行動や移動を妨害したり
AC用スキルはあまり取得してないんだけど、思念式展開装甲や盾を使って
誰か1人が集中攻撃を受けないよう、ダメージが分散するように動ければ

エヌイーは会話を好むようだから、隙を作るためとか、態勢立て直しの時間稼ぎにでも
(他の人を集中攻撃しているなら、気を逸らすためなど)
「あなたは何故、ソラリスさんを生かして返したのか……尋ねても?」
不和を生む作戦なのか、生きようともがいた強い精神力に対する報酬なのか、単なる気まぐれなのか……?
知的好奇心が旺盛で、悪意のようなものは無さそうなんだけどね

【非搭乗】
目標は、撃破じゃなくて、撃退ってことは……
機体壊して追い払えばおっけーってことなのかな
でも、せっかくなら倒しちゃいたいよね
そしたらたくさんお金をもらえそうだし……
それに……ロシアの人に、ネザー退治は任せてねって約束したから

非搭乗でふらふらしてたら、狙われたり人質にされたりしそうだから
はじめのうちは、ハシモフ部隊に混じって、救助活動のふりをしているよ
戦況を確認して、ナイトギアが破損しそうになったら少しずつ接近して

エヌイーって、撤退用の乗り物とか用意してるのかな?
逃げそうになったら全力移動で接近して
逃走のため背中を見せたりした隙に、ディープフォースを撃ち込むよ

【ダンテ】
後衛として射撃メインで行動

前回はコード666がなければ命中しなかったけれど
今回は機体数が多いから
同時攻撃や波状攻撃等で命中できるかしら

無理そうなら、出し惜しみせず、2~3ターン目からコード666を使うわ
もたもたしていたら、前衛がどんどん傷ついてしまうから
速攻で倒すわよ

エヌイーは唾棄すべき相手だけれど
前回会話した感想としては
自信家で、理性的なことはすぐに答えが帰ってきたけれど
感情的な部分では、自分で自分の気持ちを理解していないような……
そんな印象を持ったわ
「あなたはナイトメアという種に深く囚われていて……本当は自由を渇望しているのではなくて?」

【ダンテ】
「あれがナイトギアね……」

エヌイーを中心に囲むように散開
敵から見て直線で重ならない位置取りを心掛ける

基本11sqの距離を保ちつつ攻撃時前(かつ射線を取れる位置)へ移動
攻撃は出来る限り射程いっぱいから行い、可能毎ターン出来る限り攻撃を当てる
リロード時は11sq下がる
敵の行動をよく観察し尾の予備動作などあれば味方へ伝達
此方の形勢が整った時点で狙えれば666使用→他にする者がいない場合合図し複数で行う
その際攻撃はなるべく近接しリーネア
効果ターン終了後は離れる

防御低下をかけられた者が下がる際フォロー射撃
→この対象が狙われている場合飛行→攻撃で囮になる
敵破壊可能になったら人が囚われている燃料部への攻撃を避ける
目視などで燃料部の割り出し

離脱時、可能な限り有人>無人機体を回収
声を上げできる限り仲間を鼓舞
だって意識があるうちは、負けなんて決まってないだろうよ

●Nether 01

 悪夢が起動する。疾風のように、命を糧に、何者よりも速く。
 奔る光は三条。白熱の武装が、ライセンサー達のイマジナリーシールドを波打たせ、打ち据えていく。

 人型ゆえの動作、事前動作、etc――多くの者が視覚的情報から考えていた。『攻撃される前に隙をつけば』。
 だが、『見切る回避』『カバーアップや防御』と、『アクティブな動作を割り込ませること』『瞬間的に武装を持ち替えること』はまた別だ。攻撃などをかのナイトギアの動作に割り込ませて妨害することはとても追いつかず、また、武装の変換も間に合わない。
 もう一つ、襲い来る鞭を掴み取ろうと試みる者も多数いた。だが鞭は物体というよりもエネルギー状、掴めるものではなく、そもそも超速でうねるそれを掴み取るのはほぼ不可能だ。
 それだけナイトギアは速い。あるいはそういった行動は、ただのナイトメアや時と場合によれば有効であるのかもしれないが。

 厄介な相手。しかし、今の連撃で戦闘不能になった者はおらず。
 アバドン――『破壊の場』によるシールド腐食があるとはいえ。

 人類はここまで来たのだ。
 成さねばならない時が来た。

 ライセンサーの行動は迅速だった。即座に一同は展開し、あるいはアバドンの範囲から飛び退いた。
 25人で重ならないように散開――これだけの人数では流石に無理があったか。どこかに必ず重なるところはできる。だが何も意識しないよりは、紙一重でもマシだろう。

 多人数による包囲網。先駆けるように奈落の底にて瞬いたのは、後衛部隊によるアサルトコア用バズーカ砲の連続砲撃である。幾つもの光の軌跡が迸り、轟音が木霊する。

「……めんどくさそうな敵、だねぇ!」
「人を燃料にして動かすなんて、許せません!」
 吉良川 鳴(la0075)、水無瀬 奏(la0244)の声が重なった。SJ-01『シャングリ・ラ』、MS-01J『ソードブレイカー』、それぞれが構えるアサルトコア用バズーカ砲が火を噴いた。二人は幼馴染。鳴は地上で、水無瀬はLBs-01スパードによって空中の遠方から。息の合ったコンビネーションである。

「……ね、ざー……、……えぬいー………撃破、対象……、……ん、斃す。私が……私の力で……」
 ミラ・R・Ev=ベルシュタイン(la0041)は、歩兵部隊としてそよぎ(la0080)の駆るMS-01J『ひーちゃん』の肩の上にいた。振り落とされないようにしがみつきつつ、機体に掌を触れて施すのは束ね連なる因果である。
「おじちゃーん」
 そよぎはコックピット内でエヌイーへと手を振った。彼が操るひーちゃんは、巨獣の砲を構えている。
「ひーちゃんもちょっと、今日はいっぱい一緒にガンバルの。いっくよー!」
「狙い定めて……外さない!」
 砲声が重なる。五百枝春樹(la0360)の駆るMS-01J『サジタリウス』が、アサルトコア用大口径バズーカを撃ち放った音だ。
 立て続け。シン・グリフォリシア(la0754)のSJ-01『Last One』が放つのはレヴィアタン砲だ。知覚、物理、様々な攻撃がナイトギアに向かったが、物理と知覚の防御性能に差はないように見える。
「おのれエヌイー!」
 詠代 静流(la2992)のMS-01Jが挨拶代わりに放つのは砲弾だ。
「今度こそあの水銀スライムのすまし顔を歪めてやるのです!」
 いせ ひゅうが(la3229)のHN-01『重装射撃支援機【CIWS】』もまた、YOKOZUNA-189で砲撃を。牽制目的で放ったが、あの怪物に果たしてどこまで『牽制』が効果を発揮するかどうか。
「ようやく対面できたわ、エヌイー……」
 FF-01『ディース』のユリア・スメラギ(la0717)は、凛と敵機を見澄ました。
「射程外から撃ちまくりよ! ペネトレイト・バレット!」
 ユリアは構えるギガントスナイパーにありったけの想像の力を流し込む。放たれる砲弾は突き立てられる牙のような推進力と共に、遠方よりナイトギアを強襲するのだ。それは防御を突き詰めた生身のライセンサーが一撃で木端となるほどの火力である。

 砲撃武器は総じて射程の長いものが多く、結果としてアバドンの射程外から攻撃が行うことができる。そもそもバズーカ自体が火力も高い。一発毎にリロードを要さねばならぬ点はあるが、攻撃力は折り紙付きだ。

 陣形でいえばバズーカ部隊を後衛と呼称するのならば、その砲撃に連なる銃弾達、銃撃部隊は中衛か。

『オーダー、了解』
 フェーヤ・ニクス(la3240)はMS-01J『ヴォールク』の中、合成音声にてそう答えた――ハシモフ隊長の「生還せよ」という命令に対して。
 アサルトコア用のライフル銃を向け、引き金を引く。
「いつぞやの雪辱を果たさせてもらいましょうか、エヌイー」
 MS-01J『シルバーナイト』のリゥ=センジュ(la3040)も動作は同じく。
 ケヴィン(la0192)のダンテもまた、B02アサルトライフルをナイトギアの背後より放つ。後ろを取ることがどれほど効果的かは不明ではあるが。
「遂にきてしまったわ……ナイトギア鹵獲タイムが! ☆6エメラルド級のお宝が、今、この手に――ハイパーぶんどりタイムの始まりよッ」
 ア・ドライグ・ゴッホW964を手にしたダンテのコックピット内、アンヌ・鐚・ルビス(la0030)は不敵に笑んだ。
 アンヌは死角(人間の構造上における観点)から射撃を試みたが、特にエヌイーが対応に困難しているようには見えなかった。そもそもエヌイーは『人間の形をした何か』である。『見た目としての眼球』は前面についているが、それと視野については全くの別問題。エヌイーにとって『顔についている二つの目』は『ただ飾り』だ。それは幾つもの報告書において証明されている。死角はない、と。
 エヌイー及びナイトギアに、これといった弱点はない。部位狙いも、死角を突いた奇襲も効果はない。
 そこに感じるのは力量差だ。アンヌはそれを理解しつつも、絶望はなかった。
「この戦力比ならやり方次第で十分イケるハズよ。後は気合と努力次第ってワケね。さあ、終わらせましょう」
「あれがナイトギアね……」
 六波羅 愛未(la3562)が乗るのもまたダンテだ。手にしたライフルの銃口からは既に、発射後の煙が立ち上っている。

 そして、猛射を浴びたナイトギアもまた、爆煙に包まれていた。それを切り裂いたのはナイトギアの尾だ。イマージュの鎧――ナイトギアの生体エンジンより生み出される命の壁が、ナイトギア本体への被弾を防いでいる。
 先日、エヌイーのナイトギアと相対したことがある者らは、即座に理解することだろう。あの時よりも更に堅固になっている。なぜ――理由はすぐ察することができる。『燃料』を増やし、シールドの出力を増したのだろう。まさに決戦仕様というわけか。
 同時に想像が嫌な方に及ぶ。サイズはそのまま燃料を増やした、それはつまり――人間をより多く詰め込めるように、例えば四肢を削ぐなどの『処置』をした可能性が高い。

「星は掴むものじゃない、と言ったはずだがな」
 エドウィナ(la0837)はG37アサルトライフルを構えたダンテの中、じっとエヌイーを見据えている。
「辿り着くべき場所。見据え、目指し、いつか至るべき境地。そんなところかな。……勝ったらで良い。貴方が見ている星が何なのか教えてくれ、エヌイー」

 その言葉に。
 エヌイーがナイトギアの中で口角を吊ったような気がした。
 あるいは何か、言葉を紡いだのかもしれない。だがそれは、戦いの音に掻き消される。

「地獄か……素晴らしい。ここに神はいない、好きなだけ暴力を振るえるな……! 進め、『ヘクセンヤークト』ッ!」
 ヨハネス・リントヴルム(la3074)のFF-01『ヘクセンヤークト』が、剣を手にナイトギアへと吶喊する。
「覚悟を決めましょうか」
 クラーク・アシュレイ(la0685)はLBa-02ファゲットによるバリアに包まれたダンテを発進させる。ヘクセンヤークトと共に振り下ろす剣はイマージュの鎧にぶつかり、悲鳴のような火花を上げた。
 いいや、実際に悲鳴なのだ。燃料にされ、使い潰されている人間達の。
「……ん、トドメは他の人に、任せて、削る事を、優先」
 七瀬 葵(la0069)のFF-01『ペインコート』が続く。ペインとは「イタい」方の悪ノリ的意味合い、しかし中身はアサルトコアとして本物だ。FBa-01セーフティによってバリアを展開しているペインコートは、システマナックルによる牙のような右ストレートを叩き込む。
 そこに重ねられたのは、音切 奏(la2594)のFF-01『グラジオラス』が至近距離から展開する特殊兵装『プラズマシューター』だ。
 エヌイーに『攻撃されて気が逸れる』ような素振りは見られない。どこまでも隙がない。それは死角という物理的な面であり、隙や集中力の乱れが一切ないという精神的な面でもある。奴はエルゴマンサー、それもインソムニアを統べる怪物の中の怪物、人間の常識的な精神論が全く以て当てはまらないと判断すべきである。
 それでもと、音切はその怪物との対話を試みるのだ。
「私達は貴方を侵略者と呼びます。貴方自身は自らを何と称しますか?」
「やはり侵略者が最も当てはまるでしょうね。次点で捕食者、征服者でしょうか。では、貴方は?」
「私は自らを姫と称します。ゆえに地獄でも貴方の前に立ち続けるのです。民の思いを、その刃を届けるために、民の命を守るために」
 神経がひりつくような死地。奈落の底、向けられるのは殺気。それでも彼女は気高く優雅に微笑んでみせる。この世界でも姫であり続けると決めた、己自身に恥じぬように。

 怒涛の、波濤がごとき猛攻。
 だが攻めるだけではない。彼らを護り、支える者達もまたいる。

 花咲 ポチ(la2813)のHN-01『磐長姫』もその一機。
 直線攻撃である鞭から庇うことはできないが、違う攻撃ならば。巨躯はナイトギアの尾を掴み取らんと肉迫し手を伸ばすが、流石に困難か。するりと尾は磐長姫の手をすり抜けると、ナイトギアごと身を翻す。
「どうですか、エヌイー? 今回集まった方々なら、きっと貴方にも喜んでいただけると信じていますわ」
「ええ、実に。……やはり皆さんは素晴らしい」
 エヌイーの声は、どこまでも期待に満ち満ちていた。
「あなたはなぜ、ソラリスさんを生かして返したのか……尋ねても?」
 そう言ったのは、シールド・ヤヌスを構えるHN-01のグザヴィエ・ユリエル(la3266)だった。
「ナイトギアは長らく未完成でしてね。その突破口を得るべく、人類に見せてみようと思ったのです。人類なら何かしら解いてくれるのでは、と。それに、あのようにすれば、ナイトギアを壊さずに回収してくれるでしょう?」
 物言いから、『不和を生む作戦』『ソラリスが気に入ったから』という側面はなさそうだ。前者についてはオマケ程度に考えていたのかもしれないが。かつ、気紛れではなく『未完成だったナイトギアを必ず回収させる為』という理由がメインのようである。ソラリスを選んだ理由については偶然だろう。
(知的好奇心が旺盛で、悪意のようなものは無さそうなんだけどね)
 グザヴィエは苦笑を噛み殺した。そう、だからこそこの怪物は手に負えないのだ。
 まさに侵略者。まさに――害獣。
「地獄で最も重い罪は何か、それは裏切り。そして――」
 イリヤ・R・ルネフ(la0162)はNV-01Mbis『ロージナ』を一歩、前へ。

「Продукт Новы никогда не предаст нашу Родину.
 (ノヴァの製品は決して祖国を裏切らない)」

 NV-01にとって『末っ子』であるダンテを護るように立ちはだかりながら、突き出すのはブランディストックOM。それは蠍の尾と交差し、奈落に火花の星を散らした。
 ここは奈落の底、凍てついた地獄。

 戦いは未だ、始まったばかり。



●Nether 02
 ナイトギアは前衛の面々に狙いを定めたようだ。ダメージを分散させるよりも確実に落としに来たか、もう一点として防御役が進ませまいと立ち塞がっているのもある。
 そんな前衛の一同へ、蠍の尾による周囲攻撃が三度と襲いかかる。範囲的な攻撃は庇うことも難しい。尾の毒は彼らの想像の盾を蝕み、脆くしてしまう。アバドンの効果も相まって、前衛面子のダメージは大きい。
 まるで暴風、文字通りの『破壊の場』。それを食い止めんと第二弾の射撃砲撃が行われる、が、バズーカリロード性ゆえに先程よりは弾幕が薄い。
 しかしながらおぞましいほどの耐久性だ。あれだけのバズーカの一斉砲撃に加え、数多の攻撃を浴び切っても尚、ナイトギアは健在である。一体どれだけの命を犠牲に、その耐久性は成り立っているのか。

「くッ……ちょ、ちょっとぐらいは後ろから撃たれて焦りなさいよっ」
 アンヌは弾幕を途切れさせないように弾丸を放ち続けながら、嫌な汗が伝うのを感じた。多対一で相手の注意を分散できやしないかと想定していたのだが、
「こういった戦況は、何度も経験しているのですよ。侵略者歴も長いものですから」
 エヌイーはそう言った。このような多人数戦闘は初めてではなく、ゆえに対策もしているようだ。だからこそ死角などの対策もしているのだろう。
 だとしても。
「なによアンタ……正体はでっかい脳味噌だったりするワケ!?」
 アンヌは歯噛みする。そう、異様だ。異様すぎる。エヌイーの情報処理能力は、あまりにも異形じみている。全方位の視覚情報を同時に即座に処理し、自身も超高速での連撃を行う――いかにエルゴマンサーとはいえ、常軌を逸している。頭がいいとか、勘がいいとか、目がいいとか、なんだかそんな次元ですらないとアンヌは直感する。

「……蕩かす、毒よ……」
 ミラはひーちゃんの肩の上、ナイトギアへと掌を向けてアシッドチャージを放つ。毒の魔弾はナイトギアのイマージュの鎧にぶつかるが、それがかの悪夢を蝕むことはできなかった。凄まじく特殊抵抗が高いらしい。
「これならどーだっ!」
 そこへ吶喊するのは、ひーちゃんを駆るそよぎだ。犀角槍エラスモテリウムラムを構え、巨獣がごとき突撃攻撃をお見舞いする。
 切っ先が命の鎧とぶつかった。
 火花を上げる命の向こう、そよぎは――『星/夢』を追うヒトを見る。
「だったら……全力でっ!」
 飛び退きながら、そよぎは身構える。白兵と砲撃を繰り返す作戦なのだ。
(この世界の星を、人を、おじちゃんは気に入ってくれてるかな。……そうだといいな)
 それでも、そよぎの目には殺意や敵意、というものはなく。
(望むものを、きっとあげられないけれど、少しでも、君が――)

 大きな砲声が響く。

「鳴くん、今の内にリロードを!」
 水無瀬がフラッシュリロードによって高速装填したバズーカを放った音だ。「ありがとう!」と鳴は通信機越しに幼馴染に礼を言いながら、エレファントノーズの装填を行う。先ほどウィークネスショットを放ったものの、行動妨害効果は自動浄化によって打ち消されてしまったようだ。
(だけど……今は、数ミリでも相手を削らないと……!)

 フラッシュリロードによる連続砲撃は絶えることなく響き続ける。

「……行きます! 生きる為に!」
「その厄介な代物からまず破壊させて貰いましょう」
 春樹の、リゥの砲撃が連なる。
「これなら、どうだ?」
 シンはもう一丁のバズーカ砲に武装を持ち替えると、ウィークネスショット――本来なら弱点部位を狙うものだが、弱点らしい弱点もないので真っ向からの砲撃だ――をナイトギアに叩き込む。流石にLast Oneの出力による牽制砲撃は効果を発揮する。だがそれは自動浄化で即座に解除される。
(が、効く)
 消されても効いている。そしてナイトギアは、不調を打ち消すことに微量でも体力を使う。塵も積もれば、だ。ならば積もらせるしかあるまい、塵だろうと山になる。
 砲声銃声に紛れて耳に届くのは、イマージュの鎧の生贄にされている者らの悲鳴だ。だがそれに心を痛めて刃を砲を鈍らせるわけにはいかない。まことに同情心があるのならば、最大火力で彼らの気絶を祈るのみだ。
(中の人間を救い出せれば……)
 ユリアはギガントスナイパーの装填を行いながら、悪意的な兵器を睨む。あのイマージュの鎧が消えれば、部位狙いも有効になるはず。そうなれば、上手く燃料とされている人間を救い出せるかもしれない。

(もたもたしてる時間は、ない――)
 マリオン・ミィシェーレ(la3309)はダンテのコックピットの中、表情を凛と引き締める。手にしたバズーカ砲は既に発射済みだ。
 このままであれば長丁場になりそうだ。そして前線の者らはどんどん疲弊していくことだろう。
(だったら、速攻で――!)
 マリオンは武装をスクリームM53に持ち替えると。
「コード666、起動ッ……!」
 ダンテに刻まれた獣の数字を解放する。軋むほどに迸る力を束ね、マリオンは破壊の場へと踏み込むのだ。向ける銃口の先には唾棄すべき敵――なれど。
 思うのだ。先日、エヌイーと対話を試みた感想。アレは自信家で、理性的なことには即答するのだけれど、感情的な部分になると思考を挟むように見える。まるで自分で自分の気持ちを理解していないような……。
「あなたはナイトメアという種に深く囚われていて……本当は自由を渇望しているのではなくて?」
「それを言うのならば。貴方もまた、貴方自身の種族に囚われているのではありませんか? 私はナイトメアに生まれたことに、不自由や嘆きを感じてはいませんよ」
 自由を求めているというよりも、よりよくなることに快感を覚えている、と表現すべきなのだろうか。この怪物が求めているのは、ナイトメアという種族としての進化という本能なのだ。
「……そう。よかった、『かわいそうな』相手じゃなくって」
 どこまでもエヌイーはナイトメアなのだ。どれだけ理性を纏っても、感情のような表現をしても、根本はナイトメア。侵略し、喰い尽くし、星を滅ぼす者。そしてその性質を、エヌイーは是としている。
 ならばどうあっても、足掻き続けてでも、この怪物を止めねばなるまい――マリオンは引き金を引いた。

 悲鳴の銃が弾丸を吐いたのは、リロードを終えた面々が再度バズーカを撃ち放ったのと同時だった。

「デッドライン上で踊ってやるのです!」
 ひゅうがはリロードを終えるなりバズーカを発射する。ナイトギアの狙いが前線の面々に向かっていることもあり、後衛面子に攻撃が及ぶことはない。
 だが前衛面子は、ことごとくがシールドに大きなヒビが入っていた。
 葵もその一人。バリアを張りながら戦っているが、それでも損傷は決して小さくはない。シールドが傷付く反動が、シールドを蝕む毒が、その身を蝕めど――
「……ん、戦闘続行」
 まだ戦える。何度だって葵は自らの拳に想像の力を込め、握り締めるのだ。
「……ん、ファングブースト起動……蝶のように舞い、蜂のように……刺す」
 ノックアウトされるにはまだ早い。システマナックルで武装した拳に貫通の意志を込め、葵は何度でも何度でもエヌイーの鎧を打ち据えていくのだ。

「そろそろやるかい」

 通信機によって、仲間達にそう合図を送ったのは愛未だった。
 一同は一つの作戦を決めていた。それはすなわち――ダンテ部隊による一斉コード666起動による、同時強襲。
 出し惜しみをしている場面でないことは明白、誰かが落ちる前に使うべき必殺だ。このまま消耗覚悟でジリジリ戦いを続けるよりも、突破力を突き詰めるべきなのだろう。
「了解。……やるか」
 ケヴィンは鋼の腕で操縦桿を握り直した。
「……行きましょう、ダンテ。力を貸してくれますね?」
 クラークは亀裂の入ったバリア越しに見える敵を見る。彼の背には、誉れ高き【クラーク駆逐隊】の皆の想いが乗っている。
「見えるか、ダンテ。アレがお前の生みの親達の……仇だ」
 エドウィナにとって、ダンテは乗り慣れた相棒だ。この【堕天】事件を最初から追い続け、遂に終わる時が来るのだろうか。
「フ。あは。楽しませて貰おうかな」
 愛未は凶笑を浮かべた。装備している武装はシールド・ヴァレッタとシュトライヒェンM061。引き続きこの銃がメインウェポンとなるだろう。
「ほう。――コード666ですね」
 人類が何をするのか、エヌイーは察知した。奴は一度、ダンテと交戦済みの個体である。
 ならばとナイトギアはダンテを狙おうとする。だがそれは、かの悪夢を取り囲むイリヤ、ポチ、グザヴィエの機体が許さない
「させない。進ませないよねぇ。……我らがノヴァ社の最新作、可愛い末っ子の見せ場なんだから」
「あなたとしても、ダンテの必殺技を受けるとどうなるか、興味が湧きませんか?」
 イリヤ、グザヴィエが柔和に――なれど容赦なく、微笑んだ。
 そしてポチも同様。ニッコリと優雅に笑むその口元からは、人ならざる鋭い牙が覗いた。
「もちろん――ここで貴方を倒すために来たのですから。まさか、この誘い。お受けいただけないわけではありませんわよね?」
 幾度目か、ポチの腕が遂に蠍の尾を掴む。おそらくすぐに振り払われるだろう――だからコンマ1秒でも稼げるのなら、万金に値する価値がある。
 ポチの動作を後押しするように、布陣するアサルトコアの間隙から精確に銃弾を命中させたのはフェーヤのヴォールクだ。ダイブ・モード――潜るように沈むように、狼の牙は敵対するモノに容赦をしない。友を傷付け蹂躙したモノを、許しはしない。逃しやしない。
 その同時、圧砕する猛獣の牙がごとく、ナイトギアのイマージュの鎧に突き立てられたのはひと振りの剣――音切のグラジオラスが力の限り突き下ろした、リーネアである。
「負けられません……退くことはできません……貴方に、もう、これ以上……!」
 ブーストをかける。想像の力を加速させる。切っ先が、ナイトギアの鎧に沈んでいく。
「だって私は、世界で一番強くなければならないのですからッ!」
 音切奏は姫である。姫でなければならないのである。姫であり続けると、決めたのである。
『……行って』
 装填の動作に入りながら、フェーヤの合成音声がダンテ部隊に告げた。
 刹那である。

「――コード666、起動ッ!」

 声が重なる。想いを乗せて。
 倒すべき敵がいる。倒さねばならない敵がいる。
 ゆえに、人類は――ダンテはここまで来たのだから。
 命を燃やせ。あの星のように。

 ――ここに知恵が必要である。
 賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。
 数字は人間を指している。そして、数字は666である。



●Nether 03
 ケヴィン、クラーク、エドウィナ、愛未の四機のダンテがエヌイーへ襲いかかる。
 白兵武装を構えるのはクラーク、エドウィナ。射撃武器はケヴィン、愛未と、既にコード666を起動していたマリオンだ。

「お互いに堅実だと……結局、力押しになるよなぁ!」

 鋼の翼に炎を灯し、エドウィナは空からナイトギアを強襲する。過負荷に伴う想像の力を込められた剣が、イマージュの鎧に傷を残す。
「弱点をそのままにしておくなんて、悪手ですからね。真正面からの殴り合いはシンプルでいい。強い方が勝つのですから」
 銃撃を、砲撃を受けながら、エヌイーはエドウィナを見上げた。
「へえ、涼しい顔して脳筋なんだな」
「ナイトメアは大体は脳筋ですよ、平和主義なら侵略なんてしません」
「ふ、それもそうか」
 エドウィナは翼を翻し空に飛びあがる。間合いを開き、再度構える。
「私が見ている星が何か――」
 ナイトギアの頭部部分は空のダンテを、その肩越しに見える夜空を見上げている。だが視点においてその身に隙がないことは明白だ。そのままエヌイーは、最初にエドウィナに問われた「貴方が見ている星が何か」についての返答をした。
「――憧憬なのでしょうね。未知への、見果てぬ進化への、絢爛たる栄華への」
 なれど。
 ナイトメアが口にする『憧憬』が、他者から奪わねば成り立たないモノであることを、クラークは理解していた。
「……まさに、コンキスタドールですね」
 徹底的な略奪者。会話はできるが和解はできず、ゆえにもう戦い切るしか手段はない。
 ああ、でも、その方が助かる。変に哀れな事情があり、こちらの心情が揺らいで士気が乱れる方がよほど面倒だ。
 敵意を研ぎ澄ませ、ぶつければいい――コード666によってかかる精神負荷、破壊衝動の発露に、クラークは怜悧な理性を持ったまま魂を委ねる。自分のシールドの損傷具合は自分が一番把握している。エヌイーはライセンサーがカバーリングを用いることを見越して範囲攻撃を徹底している。前線に立った時間だけ被弾は多い。シールドの損傷によるバックファイア、コード666の過剰負荷、心が体が軋んでいる。長くはもたない――だからこそ、一撃でも多く!
「届かせてみせます!」
 この悪夢という波濤を切り開いてみせる。その決意にダンテは答えるのだ。赤き単眼の堕天使は、怨敵の鎧を剣にて抉る。

 少しずつ、少しずつ、ナイトギアのイマージュの鎧が磨滅していく。
 あまりにも堅牢、なれど無限ではない。

「その不細工なマシンもお前もこれで見納めだ。殺してみろエヌイー! お前の敵がここにいるぞッ!」
 ヨハネスのヘクセンヤークトが、シールド・アイギスの大質量でナイトギアを殴りつける。彼もまた損傷の激しい前衛面子の一人だが、SRp-01源内によってシールドを保ち、盾によって粘り続ける。
 ヨハネスはより多くのナイトメアに死と苦痛を与える為に戦っている。すぐに倒れてなるものか。ナイトメアの前でみっともなくやられるなんてとんでもない。
「私にとっては、人類は全て敵ですとも」
 エヌイーが言う。それは挑発や嘲りではない、だが――人類に対しそのような意志すらないことが、ナイトメアという絶対者の傲慢。
「ナイトメア……ナイトメアァッ……!」
 ヨハネスは歯列を剥く。その身は竜鱗や角のような幻影で覆われている。一撃の度に復讐の火が弱くなることはない。寧ろごうごうと燃え上がる。ヨハネスにとって、視界にナイトメアがいるだけで魂が復讐の業火に包まれるのだ。きっと彼が心から穏やかに笑えるのは、世界中のナイトメアの駆逐を完全に終えた時なのだろう。
「ナイトメアは――死ねェッ!!」
 それは苛烈なる想い。
 対照的に、葵はやはり、フラットに無表情に。
 だが少女は無感情ではない。少女の中には等身大の少女がいる。だって中学生、花も恥じらう乙女なのだ。ナイトメアを狩るのはご飯の為、それ以上でも以下でもない――が、
「……ん、普通に考えて、負けるのはイヤ」
 負けず嫌いとかそういう訳ではないけれど、勝負ならやっぱり勝った方が気持ちがいい。
 悪夢に蝕まれて、ボロボロのシールド。だけど葵はいつも通り、あくまでもどこまでも平然に、戦場に臨むのだ。
 ストームファングは撃ち切った。次はこれだ、と拳を握り込み――叩きつける、ファングブースト。

 少しずつ削っている。確信がある。
 一瞬の静けさを感じたのは、バズーカのリロードタイミングゆえか、エヌイーの殺気か――。

 ――砕け散る音が響いた。

 それは前衛の面々のシールドであり、機体であり。
「っ……」
 グザヴィエは眉根をよせた。彼の機体のシールドはほとんど残っていない。バックファイアに体が軋む。蝕む毒に頭が痛み、吐き気のような不快感が込み上げる。
「参ったね……」
 グザヴィエは独り言ちた。盾を持った面々、前回の戦いでのポチの堅牢さという脅威を知ったからこそ、エヌイーは単体狙いの攻撃を使って来ない。徹底して庇うことができない近接周囲攻撃を連続し、前線の者をまとめて消耗させていく行動に出ていた。

 上手く護れない――だとしても、前線に立ち続けて、後ろに行かせないことには価値がある。

「皆、一歩下がって!」
 幾人かの前衛面子が倒れた瞬間、声を張り上げたのはユリアだった。
「ディースは弟の形見の機体……姉に扱えないはずがないわ。私に力を貸して頂戴!」
 ユリアが操るのは赤と青、ツギハギの機体。そこにありったけ込めるのは、必勝の誓い。仲間が一歩下がった瞬間、ディースが一直線にエヌイーへと飛び込んだ。

「咲き誇る薔薇の棘で引き裂くわ、エヌイー! シャルル・マルラン!」

 カットラス・ドレイクによる一撃の瞬間、解放された力が竜巻のように周囲に吹き荒れた。アグレッシブトルネード。無差別攻撃というデメリットと引き換えに、触れしもの全てを引き裂く破壊の嵐。
「全く以て、どこまでも不倶戴天――ならば容赦はしない。アイドル部メンバーらしく、アサルトコアでも派手に舞ってみせるわ!」
 嵐の余波が舞う中、ユリアは凛然と言い放つ。
「これはなんと、素晴らしい火力ですね」
 エヌイーは言いながら、意識を向けるのは、堅牢なる防御役の者だ。彼らの存在によって、悪夢が誰か一人に狙いを絞って攻撃することはできない。つまり厄介な相手を集中狙いし即座に落とすことはできないのだ。
「いやはや。ふふ。ハハハ――ははははははははははははははははははは」
 一同からは見えないだろうが。笑うエヌイーは、全く顔も動いていなければ体も動いていなかった。口すら開いていなかった、瞬きもしていなかった。追い詰められ、動作をする余裕がないから? 違う。『見えていないし別にいいか』程度にしか考えていない。仕草など、エヌイーにとっては趣味に過ぎない。
「こういう時、人間はこういう感情表現をするんですよね。ああ、全く、そうこなくては」
 それはあくまでも、憧憬。またの名を最も理解から遠い感情、無垢すぎるほどの悪意。

 リロードを終えたバズーカ部隊が、幾度目かの砲撃を行う。イマージュの鎧に火煙が上がる。
 並のナイトメアであればとっくに木端になっている。いや、そこいらのエルゴマンサーでも、生身でこれだけの大火力を浴び続ければただでは済むまい。向こうが手数を武器にするように、こちらも人数という手数を武器にしているのだ。

 ――なのにまだ、動いている。あの悪夢は、まさに『悪夢』として人類に立ち塞がり続ける。
 爆煙の中、ナイトギアの真紅の瞳が二つ煌めく。征服者、侵略者、捕食者、本能的な恐怖をもたらす色彩。

「これ以上、好きにさせるかよッ……!」
 なればこそ、乗り越えねばならないのだ。ケヴィンのダンテは武装をブランディストックOMに持ち替える。コックピットの中には彼以外誰もいない。ゆえに彼の表情は、いつもの飄々とした笑みではなく――『必死』であった。
 敗残兵。それがどういうものなのか、どういう目で見られるのか、ケヴィンは知っている。目の前のこのおぞましいバケモノに負ければどうなるのかもまた、理解している。その場で死ねれば運がいい。運が悪ければ実験動物以下として使い潰され、味方を殺す兵器の燃料にされてしまうのだろう。獣の数字のもと、ダンテはパイロットに問いかけ続ける。「お前の恐怖は何か」と。
「おらッ!」
 ダンテの各所に配置されたブースターに火を点けて、ケヴィンは爆発的な機動力を以てナイトギアとの間合いを詰める。吶喊の勢いのまま、ナイトギアの壁に深々と槍を突き立てた。火花が散る。悲鳴を伴って。
 そんな中でも、遠くから聞こえてくるのだ。ハシモフ隊長率いる者らの勇猛な声が。彼らの部隊のアサルトコアが、倒れた仲間を即座に回収してくれている。一瞬だけ目が合った隻眼の老兵、ハシモフが、何か口を動かした。

 ――『勝て』!

 ケヴィンには分かるのだ。老兵の叫びが。かつての己と同じ雄叫びが。
 何もできず、ただ無力だった。だからこそ今、ここが、抗い覆す一戦となるのなら。
「……オーダー了解。命を賭けるに十分すぎるさ」

 恐ろしい。だからこそ、勇気は尊い。

「ここで頑張らないと……カッコ悪いよなッ」
 静流のMS-01JはLBs-01スパードによって空を飛び、ナイトギアの直上、砲から持ち替えた槍を構えた。
「『神風』展開――!」
 特殊兵装『神風―KAMIKAZE―』。ブースターをありったけ噴かせ、静流はエヌイーへと突撃する。火を噴きながら落ちるその様は、さながら流星か隕石か。
 武器は白兵、なれどその魔的な力は、ネメシスフォースとして静流には馴染み深いもの。扱い慣れた十八番。
 着地は二の次、何よりも速く何よりも強く、全力で!
「うォらァああああああッッ!!」
 火花が散る。ナイトギアの鎧が大きく削れていく。かかる重圧にナイトギアが尾を振るった。飛び退いた静流は、着地と共にくるりと回した槍を構える。
「なあ、せっかくだし教えてくれないか? どっからどこまでが対人戦略のうちだったのか」
「ソラリスさんのことでしたら、グザヴィエさんにお答えした通りです。……使徒しかり、ソラリスさんしかり、疑念の毒で1でもそちらが揺らげば戦略としては成功ですよ。確実ではないものの、根深いですから」
「当たればラッキー程度、ってか」
 ――そんなことの為に、彼女は、人々は、あれだけ苦しむ羽目になったのか。
「まあ、別に俺自身、あんたから直接被害を受けたわけじゃないが……」
 きっと静流が知らないだけで、もっともっともっともっと、名前の知らない人々が苦しめられ、悲しんで、そして死んでいったのだろう。その全部を救えるわけじゃない、静流の手はそんなに強くないし大きくもない、分かってる、分かり切ってるさ、だとしても。

「あんたに利用されたヴァルキュリアと、シチーの分ぐらいは、ぶん殴ってやらないと気が済まなくてな!」

 ――そして。
 始まるのは、熾烈なまでの削り合い。

 シールドや機体の破損する音――飛んだ誰かの破片がミラのシールドを掠めていった。
 束ね連なる因果を肩に乗せて貰っているアサルトコアに再付与し、ミラは奈落の底の最前線、倒すべき敵を見澄ますのだ。
 感情、というものがどういうことか、ミラには良く分からない。だけど、この世界を守り続けることこそがやらなければならないことだと思っている。それは大切な人を守るため、大切な人がいるこの世界を守るため。
 そして、彼女の世界を、目の前の敵が脅かすというのなら。
「……容赦、は、しない……」
 何度でも、ミラはあの悪夢へと魔法をぶつけていく。持てる術を、ありったけ。

 一人を取り囲んで皆で攻撃する。そよぎは、もし自分が『一人』の側だったら嫌だなぁと考える。
 でも、こうしないといけない。エヌイーを相手取るならば、こうでもしなければマトモに戦うこともできない。突き立てる槍から感じる『悪夢めいた』堅固さにそう思う。
(きっと、『かわいそう』なんて思うことは……)
 他ならぬエヌイーが鼻で笑うのだろう。『鼻で笑う』なんて仕草を知っているかどうかは分からないが。
 短い間に深呼吸をする。操縦桿を握り直す。
「ひーちゃん、アクセル・モード起動――!」
 前衛の者らへ振るわれる破壊の尾を、流し込む想像の力による機動で、寸でのところで回避する。

 あと一押しだ。
 ナイトギアのイマージュの鎧は火花を散らし、限界が近いことを示している。
 これまでのライセンサーの一撃一撃は全て無駄になってはいないのだ。
 たった一秒が長く長く感じる。けれどその間に、どれだけの者が倒れたか。
 ダンテのコックピットの中では、コード666の効果時間のカウントダウンが残りわずかに迫っていた。

「あははははっ!! そうだよ、これが生きているってことだ!」
 愛未はダンテのコックピットの中、けらけらと笑う。コード666によって刺激される衝動が、暴力的な闇を心の奥から連れて来る。ゆえに愛未はそれに魂を委ねるのだ。それはとても心地よかった。
 銃を向け、引き金を押し込み続ける。弾がなくなるまで。弾丸の一つ一つに愛未の衝動が込められている。ダンテはパイロットの心を全て肯定する。従順なほどに。あるいは、自分の出力を引き出すにはちょうどいいと利用して使い捨てるかのように。ああ、まさに堕天使様。
「ここで折れてしまうのは、あまりにももったいないぜ」
 男は口角を吊った。楽しい、楽しい、楽しい。死に瀕することが、まだ生きていることが、あまりにも強い絶望が。
「意識があるうちは、負けなんて決まってないだろうよ!」
 声を張り上げるのだ。透明で綺麗な感情でなくっても、ここにいる人間は全員、生き足掻くことが義務付けられているのだから。
「まだ戦える――ああ、そうだ、僕らは未だ、戦えるんだ!」

 そして、そして――
 ――イマージュの鎧が、あの悪夢の壁が、遂に、砕け散る。

 その途端である。
 降り注ぐ弾丸、砲弾、刃が、ナイトギアの全身に突き刺さった。
 それでも動くナイトギアが今一度尾を揮い、前衛の者らへ強打を行う。なれどそれが限界だった。
「素晴らしい」
 二歩、三歩、悪夢がよろめく。
「遂にナイトギアを……砕くとは」
 エヌイーの声は、憧憬に満ちていた。
「ああ、本当に素晴らしい」

 そして、ナイトギアの体に亀裂が広がり――。



●Nether 04

「ここまで耐えてくれたのであれば十二分です」

 そんな言葉と共に、ナイトギアは『内側から砕けた』。
 ナイトギアという殻を食い破って現れた銀色の間隙、ライセンサー達は一瞬だけ見たことだろう。四肢を始め燃料として搭載するに不要なパーツを丁寧に削ぎ落され『軽量化』された、数多の人間。その絶望の顔。それらが一瞬で銀色に圧し潰されて見えなくなったのを。
 そうして顕現したそれは、最早ヒトの形をしていない。銀色の大樹とでも呼ぶべきか。おぞましく、名状し難く、巨大なそれ。天に手を伸ばす焔、あるいは枝、あるいは掌。ぞわぞわと奈落の底にてそびえる、正真正銘の……怪物。

「第二ラウンドと行きましょうか。さて、私は強いですよ。死力を尽くして下さいね」

 人の形をとっていた時、あれは加減していたとでも言うのか。そしてこの人の形ですらない姿こそ、エヌイーの『本気』なのだろう。蠢く物体は口もないのに声を発した。その声は奈落の底に風のように響き渦巻く。

「……どこまで……どこまで、人間を馬鹿にするのですか……ッ!」
 ひゅうがはエヌイーを見上げ、震えるほどに歯噛みする。
 ナイトギアが破損すれば、燃料にされていた人間を救えるかもしれない。ナイトギアを鹵獲できるかもしれない。そういったことを考えていた。――エヌイーはそれを見越していたのだろう。
 理には適っている。用済みになった燃料を自らの餌として力にすること、製造した兵器を敵側へ渡さないこと。合理的だ。だからこそ――
「この、ド腐れ外道ッ……!」
 ひゅうがは重量級バズーカを向ける。逃がさないように牽制を――そうは思うが、嫌な思いが電子の脳を過ぎるのだ。

 アレはそもそも、撤退をするつもりなのか?
 逃げる為なら小さな人間の姿である方が便利だろうに。
 あの姿は――まるで――。

「……。なるほど、……逃げる意思はない、と?」
 イリヤは今にも崩れそうなシールドの中から、エヌイーに問うた。
「なぜだと思いますか?」
 口もないのに声が響く。試すような質問に、イリヤはかすかに眉をひそめた。
「正直に言うと、……こちらの被害によってはあえて包囲を解放して、あなたをわざと脱出させ退却させることも作戦の一つにあったんだ。人類からすれば、あくまでも目的はネザーの陥落。そこに『エヌイーを必ず殺すこと』は含まれていないからね。無駄に損傷を重ねるのはナンセンスだ」
 なのに、エヌイーは逃げるつもりは毛頭ない様子を見せている。
「徹底的に、徹頭徹尾、人類に損傷を与えることが目的。……ここで必ずSALFに勝てるというよほどの自信があるのか、あるいは……ここで死んでも構わない、そんな思考か。貴方なら後者かな。でも、だからこそ妙だね……」

 エヌイーほどの合理主義者が「ここで死んでも構わない」と考えるなんて。
 武人のような気質なら納得がいった。『もっと見たい知りたい』にしたって、ここで退いた方が結果的にライセンサーのことを見聞きできるだろうに。

「あなたも僕も技術者だ……、自分で言うのもなんだけど、技術者の損失は組織にとって大きい。その技術者が優れているほど――」
 考えるほどに納得がいかない。何がある? この怪物は、まだ何か奥の手を隠している?
 どこまでも見えない。まるで深淵そのものだ。改めて、エルゴマンサーというものがどこまでもバケモノであることを思い知る。
 そして、そんなバケモノを――死ぬまで戦うつもりらしいこの災害を――どうにかしなければならないのだ。この損傷と疲弊の蓄積した戦力で。やるしかない。イリヤはバズーカを向け、バケモノへと発射する。

 序盤に前衛に出た面子はほとんどが戦闘不能に追い込まれていた。だがエヌイーのあの姿を見るに、もう前衛も後衛もないだろう。なぜなら、その場から動かず、手の届く範囲全てに攻撃を繰り出してくるのだから!

「っッ――」
 銀色の触手はあまりに鋭い刃となって、戦場中に吹き荒れる。リゥはシルバーナイトのシールドが大きく削られた反動に柳眉をひそめた。ナイトギアの時よりも精度が上昇している。
「皆さん、ここが正念場です。向こうが不退転ならば、もう――戦うしかありません。戦い切るしか、エヌイーをどうにかすることはできません」
 リゥにとってエヌイーの行動はまるで想定外だった。その上、イリヤとのやりとりから察するに何かがある。
「シルバーナイト、ダイブ・モード起動――撃ち続けなさい、我々はかの怪物を討たねばなりません」
 彼はシルバーナイトを後退させながら、ア・ドライグ・ゴッホW964を撃ち続ける。アレが生身――と呼んでいいのか分からない外見だが――である以上は、堅固な装甲に人間の命で護られたナイトギアよりも耐久性は低いはず。
 リゥの表情は静かながら、心は烈火の怒りを携えていた。ナイトギアの燃料にされていた人間は、効率の為か小柄な存在を使っていた。そこにはまだ子供だろう若い者も。玉座の肘掛けにて、リゥは筋が浮かび白むほど手を握り込む。怒りを弾丸に込め、放つ。

「負けるものですか……!」
 春樹は歯を食いしばる。その身に伝わるのはシールド損傷による反動だ。頭が痛む。体から力が抜ける。サジタリウスのコックピット内は甚大な損傷具合を伝えるアラートが鳴り響いている。
「サジタリウス――まだ、戦えますね?」
 ダイブ・モードでは間に合わない。結果的に被ダメージが大きくなってしまう。
 何度もあの攻撃を喰らうとまずい。ならどうすればいいか? やられる前にやるしかない。たとえ自分が倒れても、残った仲間達が戦い続けてくれると信じて。
 まとうイマジナリーシールドから火花を上げながら、サジタリウスはヒポポタマスマウスのリロードを完了させる。
「……もう少し。あと少しだけ、僕と一緒に頑張って下さい……サジタリウスッ!」
 サジタリウスとは射手座の意。弓の名手の名を冠する。射撃主体の機体としてチューンナップされた機体は、パイロットの想いに応えるように精確な砲撃を行うのだ。

「もうひと踏ん張りだ、ラストワン」
 シンの行動は変わらない。撃って、リロードして、撃ち続ける。それだけだ。砲撃の振動がコックピットに伝わって来る。流星のような超重量級の砲弾がエヌイーに着弾し、火柱を上げる。
 男は一撃に懸ける。撃ち放つ全ての攻撃に、己を懸ける。愛するひとのもとへ戻る為に。最愛なる日常の為に。愛の為に。

「っ……鳴くん、大丈夫?」
 削れたシールドのバックファイアに声を濁らせながら、水無瀬は幼馴染の機体の方をすぐに見た。
「……生きてるよ、まだ戦える」
 鳴は砲のリロードをしながら水無瀬に応える。そのまま彼女の方をちらと見た。水無瀬の機体、ソードブレイカーのシールドはまだ大丈夫そうだ。
 だけど――傷付けられた。目の前で、大事なモノを。彼女のシールドに残った生々しい引っ掻き痕に鳴は唇を噛む。ドス黒い感情が鳴の心の奥からじわじわと立ち昇って来る。
「……鳴くん?」
「アイツは、俺が殺す」
 ずいとソードブレイカーの前に出て、シャングリ・ラは装填を終えたバズーカ砲を銀色のバケモノへと向けるのだ。
「うん、二人で……皆でエヌイーを倒そう。私だって、アイツが許せないよ……!」
 彼の隣に水無瀬が並ぶ。同じように砲を構えながら。
 やることは変わらない。二人で協力して撃ち続けるのみ。

 砲撃と、銀色とが交差する。
 ナイトギアの時とは違う、全方位への超射程攻撃。空間を埋め尽くすほどの銀の棘。
 一撃の火力はナイトギアが上だ。だがエヌイー本体の攻撃は、とにかく『この場にいる全員』を狙う、規格外も規格外な強襲。
 エヌイーはナイトギアと比較すれば、本体の方が防御も生命も低いのだろう。だがそれを補うのがエヌイーの特性、イマージュスナッチだ。あらゆる攻撃に微量の生命力吸収効果を持つそれは、多人数戦闘において最も凶悪な真価を発揮する。

 つまりは、泥沼の削り合い。

「はッ。……最初からナイトギアなんて不要だったのではなくて?」
 ポチが皮肉った。そしてナイトギアが、その堅牢さゆえに先に相手の強力な攻撃を出し切らせるための装置であると察する。ライセンサーと違ってナイトギアの纏う鎧は他人の命だ。どれだけ削れても文字通り本体は「痛くも痒くもない」のである。
「あとは遮二無二な殴り合い……最後に立っていた方が勝者、ですか。ふふ、そういう愚直な泥臭さ……嫌いではなくってよ」
 いかなる時もポチは優雅さを忘れない。操縦桿をひとつ撫でた。
「磐長姫、さあ、まだまだ戦いましょう。夜は私達の時間、ですわ」
 ポチを始め、防御に徹した面々の功績は決して無駄ではない。彼らという存在のプレッシャーが、エヌイーに『腐食する白銀』を始めとする必殺級単体攻撃のカードを切らせなかったのだから。

 銀色が迸る。
 そろそろ頃合いか、と――満を持して、スカーレット・フォーサイス(la3308)はハシモフ部隊から飛び出し、老兵らに「頑張って来いよ」と背を押され、戦線に合流した。
 彼女はアサルトコアには搭乗していない。それはスキルという自由度はあるが、身を護る装甲が一つもないリスクもある。ゆえに彼女はずっと、ハシモフ部隊に交じって救助活動の手伝いをしていたのだ。
「初めまして、こんばんは。撃退って聞いたんだけど、これは撃破しなきゃいけない感じなのかな」
 うん、とスカーレットは一人合点するように頷いた。
「でも、せっかくなら倒しちゃいたいよね。そしたらたくさんお金をもらえそうだし……それに、」
 スカーレットのかざす掌に、赤い魔力が渦巻いていく。それは槍と見紛うほどの矢となって、銀のバケモノの方を向くのだ。

「ロシアの人に、ネザー退治は任せてねって約束したから。約束は、守らないといけないんでしょ?」

 あの時、ロシアの市民らから振舞われたあったかいシチー。消化できないから食べても血にも肉にもならなかったけど、記録は確かに電子の脳に。センサーで感じ取った温度と味、目にした楽し気な笑顔、耳にしたバラライカとアコーディオン、それらを機械ゆえ、スカーレットは寸分違いなく鮮明に思い出せるのだ。
 一閃、真紅の矢が悪夢に突き刺さる。
 怪物が蠢く。それが痛みから来るものなのか、重なるダメージによるものなのか、判別はできない。
(ここまでかな、)
 エヌイーの攻撃をかわしきる自信はない、苛烈な攻撃を耐え切ることもまた。まあ一発殴れたからいいか、とスカーレットは迫る銀に目を細めた。
 目の前が真っ暗になる。
(……あれ、)
 スカーレットは自分が無傷であることに気付く。ポチの磐長姫の両手がドーム状にスカーレットを隙間なく包み込んでいた。通常、範囲攻撃は庇えない。なれど、これだけサイズ比がある特殊な状況ならばそれも可能だ。
「戦闘、続行ですわ」
『……戦おう。まだ、私達は戦える』
 鼓舞するように、フェーヤが人工の声で仲間達にそう告げた。
 ヴォールクの損傷は酷い。シールドは砕け、腕の装甲は剥げ、火花を上げている。そんな腕で、ヴォールクはまだ、銃を向けるのだ。
『我らは狼。群れを脅かす者、領分を侵す者らを狩る者』
 肩に抱いた狼の紋章は、汚れ傷付こうと気高く吼え、牙を剥く。
『エヌイー。お前を狩りに地獄へ来た、極北の狼だ――!』

 奈落の主に鉄槌を。群れと共に、この地獄を踏破する。

 ヴォールクが引き金を引いた。銃声が奔る。
 ここで死ぬつもりはない、これは明日を生きる為の足掻きなのだ。皆で帰って、皆で生きる為ならば、フェーヤは何だってできる。ボロボロになっても、絶望的な地獄の底でも、戦い続けることができる。フェーヤには――帰る場所がある。待っている人が、いるのだから。

「そうさ、あたしらはあんたを殺しに来たんだ」

 悪夢のような銀の茨――幾重ものそれを飛び越え、掻い潜り、あるいはその上すら駆けて、戦場に走る赤い風があった。
 それはヴァルヴォサ(la2322)その人である。
 彼女は待っていた。ナイトギアが壊れ、エヌイーが出て来るその時を、仲間のアサルトコアの影に隠れ、ずっとずっと待っていた。彼女はアサルトコアには乗らず、その身を武器に、銀の怪物へと間合いを詰めていく。
 奔る。走る。銀の棘が数多に幾重に三千世界に襲いかかる。跳ぶ。屈む。翻す。掠る。往なす。走る。奔るッ!
「人類の痛みを知れとは言わない。どうせ理解できないだろうからね。だから、ここでただただ――死にな!」
 間合いゼロ。大鷲の爪翼がはばたき、エヌイーの体に傷をつける。
「……素晴らしい!」
 エヌイーは感心した。あまりにもあまりにも、ヴァルヴォサは速い。捉えきれない。分析と学習が間に合わない――!
「あの時のあたしと思うなよ」
 銀の巨躯を蹴り飛ばし、そのまま後方に宙返る。着地点を予測した棘が雨霰と降り注ぐが、それが貫いたのはヴァルヴォサの残像だ。トップスピードで、彼女は駆け続ける。
『14時! 次、跳べッ!』
「あいよッ!」
 通信機から聞こえるハシモフの指揮。最前線の戦闘教義が、ヴァルヴォサの回避にさらに磨きをかけていた。
 凄まじい速度である。共に立ち戦う者らもただただ驚嘆したことだろう。同じライセンサーとして、あのような身のこなしが可能なのか、と。
 なぜこんなことができるのか。
 どうしてこんなことができるのか。
 答えはシンプルだった。

「あんたがあたしを学習するなら、あたしはより強いあたしになるまでさ」

 あの日、苦い敗北を知ってから。
 ヴァルヴォサは磨き続けた。己を信じ、進み続けた。昨日より今日、今日より明日と。
 心に灯る怒りの炎。それが彼女の魂に火を点ける。熱く激しく際限なく、だけど冷たく冷静に、容赦なく。



●Nether 05

 ――どれだけ戦った?

 気付けば砲声も消え、静かになっていた。
 立ってるのはヴァルヴォサ一人だけだった。
 かわし続け、運に魂全てをベットして、幸運の女神すら味方にして、何度も何度も何度も何度も攻撃を続けて。
 目の前には人の姿に戻ったエヌイーがいた。
「いや、はや、本当に――素晴らしい。やはり、この世界の人間は、今までの世界とはまるで異なりますね」
 手を広げ、怪物は涼しく笑う。なれどもう戦う力が残っていないことは明白だった。
「ああ、一発だけでも当てられたのならば、こちらの勝ちだったのですが」
「そうさ。だから、当たる訳にゃいかなかった。……あたしらの粘り勝ちだ」
「残念。もっと早く出ていて下されば、学習が間に合ったのに」
「ハッ。あんなデッカイのと生身で戦うなんて気が触れてるね」
「対策をしていたエルゴマンサーに、その分野で挑むのも凄いことですよ」
 エヌイーは心から称賛していた。そして「お見事」と呟いて。
「次は何を見せてくれるのか」
「次なんてないよ、永遠にね」
 ヴァルヴォサは拳を握った。疲れ切って、筋肉が悲鳴を上げている。そんな腕を振り上げて、涼しく笑う怪物の顔を力の限り殴り飛ばした。
 殴り飛ばされたエヌイーは押しやられてよろめき――踏み止まろうとした足がぐしゃりと溶ける。そのまま怪物はくつくつと笑いながら、口から目から銀色を溢れさせて……崩れて消えていく。
 それを見届けて――ダメージはない、だがそれ以上に疲労が限界で、ヴァルヴォサはふらりとよろめいた。
 彼女を支えたのは、ハシモフ隊長の太い腕だった。
「ご苦労。……よくやった」

 負傷者多数、被害はどう見ても甚大だ。
 だが死傷者はおらず、再起不能になった者もいない。迅速に応急処置を施されたことで、一同の傷の具合もぐっと良くなった。深手を負った者もノヴァ社やハシモフ隊長らから最優先で手厚く治療され、結果的に重体を免れることができた。こういった支援がなければ、重体者だらけの死屍累々だったろう。あるいは戦闘不能になった者が戦場に放置されたままならばエヌイーから追撃され、再起不能や死亡者が出ていたかもしれない。

 そうした努力を積み上げて、辿り着いた勝利だ。

「……――、」
 フェーヤが目を覚ませば、前線拠点の救護室だった。
 名前を呼ばれた気がした。知っている声。ソラリスの声。
 ぼやける視界が徐々に鮮明になる。フェーヤを覗き込んでいる誰かが居た。
「フェーヤさん……!」
 それは剥き出しの機械だった。だけど、自分の手を握り締めているそれが誰か、フェーヤにはすぐ分かった。だからフェーヤは微笑んで、唇の動きでこう伝えたのだ。

 大丈夫。ソラリス。一緒に帰ろう。



●Nether 06

 エルゴマンサー『エヌイー』撃破。
 ロシアシンソムニア『ネザー』陥落。

 人は地獄を乗り越えて、凍える悪夢を克服する。

 星が沈み、太陽が昇る――この世界にまた、朝が来る。暗い場所を、太陽が照らしていく。



『了』

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