●迎撃網を突破せよ 【小隊「狂騒曲」】の 月居 渉(la0081)はHN-01を駆り、アサルトランス「マフルート」を腰だめに構えさせた。 スラスターが展開され、猛烈な勢いで機体が突進する。 「やーってやるぜ!」 方向転換をしようとしたマンティスの側面から、猛烈な勢いでチャージを叩き込んだ。 マンティスの腹部装甲とアサルトランスの穂先が激しく火花を散らし、やがて急激に軽くなる手応えとともにHN-01とマンティスが交差する。 再びスラスターをふかせHN-01はその場を離脱する。 「危ねぇ!」 一拍遅れて砲弾とレーザーの飽和射撃が降り注ぐ。 コックピットの渉が機器を操作し、一気に操縦桿を押し込んだ。 星河一天に換装したHN-01が射撃姿勢を取った。 満点の夜空から降り注ぐ無数の凶星の如く、猛烈な勢いでレールワームやロックたちに弾丸をばらまく。 倒したナイトメアの残骸を壁に利用し、複数体によるオールレンジからの飽和攻撃だけは阻止する。 HN-01のコックピットの中で、ロレンタ(la0408)はモニターに映るレーダー情報を見つめていた。 「このナイトメアの布陣には、きっと意味があるはずです……」 レーダーには数えるのも馬鹿らしくなるほど大量の赤い点が、インソムニアの周囲を中心に広がっている。 だがそのナイトメアを示すマーカーは、場所によって濃淡という形で差が現れていた。 入口がある南東端が一番濃い。確か培養施設は入口近くにあったはずだ。 それをじっくり眺めたロレンタは、渉にインカムの通信を繋いだ。 「エルゴマンサーたちが出払っている今、インソムニアに残ったナイトメアたちが意図的に戦力を偏らせる理由はそんなに多くないはずです」 「なるほど。前衛は任せろ、守ってやる」 「お願いします」 ロレンタが通信を行う。 パイロットシートの背もたれに身を預ける【ぐろりあすしXXX支店】の 夜来野 遥久(la2984)は迫るストームシープたちを見据える。 「……始めるとしましょうか」 遥久の手がコックピットの各種装置の上を滑り、入力する。 ストームシープたちはビッグリーグ球育成ACを見咎め、突進を仕掛けようとしている。 タイミングを計りつつ、ストームシープたちが動くのに合わせ、遥久は一気に操縦桿を押し込んだ。 エンジンが一気に回転速度を増し、スラスターから熱気に満ちた高圧のガスが噴き出した。 急加速したビッグリーグ球育成ACが、構えたデュエリングシールドでストームシープを殴りつける。 その間も遥久はコックピットでの操作を続けている。 瞬く間に盾が収納され、代わりにマウントされていた天雄星の槍が飛び出す。 ビッグリーグ球育成ACが素早くその柄を掴み取り、猛烈な勢いでチャージを仕掛けた。 只野玄子(la2982)はひだるまのコックピット内でモニターのレーダー情報を注視し、インソムニアを防衛するナイトメアの出現位置とその密度を調べていた。 「やはり……」 レーダーに映るナイトメアを示す赤いマーカーは、全体的に散布している。 だが、ある程度時間をかけて全体の動きの変化を見てみると、入口部分に集中しそれが全体に大きく広がっていく形になっていた。 (ナイトメアは今もなお培養施設から吐き出され続けているということでしょう) 「報告。突入経路の候補について情報共有願います」 インカムで急いで全体に伝えると、玄子は思案を続ける。 玄子は操縦桿を動かし、いざとなればひだるまで出入口を封鎖できるよう、突破組に合流させた。 FF-01のパイロットシートからシートベルトが許す範囲で半ば身を乗り出し、【傭兵団『アントヒル』】の リオ・カッツ(la0049)は機体のモニターを睨みつけていた。 向かってくるナイトメアの数や位置分布を可能な限り把握しようと努めている。 だが戦場のただ中でそれを行うことは簡単ではなく、ナイトメアの攻勢をいなしながら行わなければならない。 砲撃とレーザーはリオのFF-01まで狙ってきていた。 「この程度、妨害の内には入りません!」 操縦桿を握り、ぐっと強く引き込むと機体が急激に後退を開始する。 さらに横へ操縦桿を傾け、機体を旋回させて回避運動を取らせた。 地面が爆裂し、土砂を噴き上げる。 一瞬レールワームやロックの姿が見えなくなるが、それはFF-01の姿が隠れるのも同じこと。 コックピットの機器を操作したリオはボタンを叩くように押し込んだ。 「そこですっ!」 マウントされていたB02アサルトライフルをFF-01が抜き放ち、肩部装甲にストックを押し付け引き金を引いた。 轟音が響き、銃口から吐き出された弾丸がロックの強化された装甲を打ち砕いた。 FF-01のコックピット内で振動に揺られながら、月影 瑞希(la1099)はパイロットシートに身を預けていた。 その目はモニターに向けられている。 モニターには取得したインソムニアのデータが表示されている。 とはいえインソムニアを崩壊させるための資料としてはまだ不十分だ。 「データが足りないわね。もっと欲しいわ」 インカムを掴み取り、通信する。 「突入予定の各機へ。インソムニア内に突入したらなるべく多くの地理データを送ってください。構造から効率的な解体順序を調べます」 煎谷 六(la2870)はHN-01のコックピット内で、モニターのレーダー情報を凝視していた。 戦場全体の立ち位置としては、後方に位置している。 「今のところ敵影はないけど……油断大敵だよね♪」 突入と破壊を試みる味方の背後を守り、挟撃の警戒に当たっているのだ。 ●インソムニアに取り付け マイクに向けて【独立機械化歩兵小隊【Заря】】の イリヤ・R・ルネフ(la0162)は大号令を発した。 「全機飛行機動開始!」 NV-01bis ロージナのコックピットで、両手の指が目まぐるしく機器を操作する。 フットペダルを踏みながら操縦桿を押し込むと、NBs-01スヴァローグが点火され、膨大な推進力を生み出し機体を空中に押し上げた。 機体の飛行中も機器を操作するイリヤの手は止まらない。 「Давай, давай! 足を止めるな、一気に最奥まで斬り込めッ!」 レバーを下げて武装をホワイトドワーフに換装し、ソーディアンシールドに空中格闘戦闘を仕掛けた。 スラスターが展開され、姿勢制御を行い速度を増したNV-01bis ロージナが突撃する。 ソーディアンシールドは剣群の一斉射撃で応戦した。 イリヤもさらなる加速を行う判断を下し、降り注ぐ剣群に機体のイマジナリーシールドを削られながらも肉薄し、撃墜した。 だがイリヤの手は動きを止めない。 操縦桿を下に向けて押し倒し、同時にフットペダルを踏む足の力を弱め降下すると、即座に反転して脚部につけられたFRo-02αシャトルランでレールワーム目掛けて滑走し、至近距離から装甲を砕き穿つ強烈な一撃を叩き込んだ。 美玖・ルフ(la3520)のハリケーンバウに装着されたNBs-01スヴァローグに火が点る。 「ズバッと突入して、ズバッと一掃でし!」 機体のコックピット内で美玖は機器を操作し操縦桿を深く押し込んだ。 疾走するハリケーンバウの足が大地から離れ、上昇を始め大空に舞い上がる。 猛烈なスピードで飛んでいくハリケーンバウも、降り注ぐ剣群に襲われた。 当たり所が悪く、被弾を知らせるアラームが鳴り響きコックピットを照らすランプが真っ赤に点滅する。 だがそれでも、ハリケーンバウは健在だ。 「まだ飛べるでし!」 意識を通して機体の推進力を攻撃の瞬間に高めた美玖は、素早く正確に機器を操作した。 マウント部からダンダン・ウィリクを引き抜いたハリケーンバウが、スラスターを展開しソーディアンシールド目掛け空中から体当たり気味に穂先を突き出して突っ込む。 着地後は反転するNV-01bis ロージナを残し、ハリケーンバウが壁への攻撃に加わった。 定期的にフットペダルを踏み込み、ロレンタもプレーンブースターを小刻みに噴射させHN-01に長い跳躍を繰り返させる。 死角の補強を重視し、HN-01を進ませた。 【F.A.Lucifer】小隊長の ユリア・スメラギ(la0717)はパイロットシートに背を預けていた。 繊手が舞うようにパネルの上を走り、様々なスイッチを小気味いい音を立てて押していく。 機体のモーターが駆動し、エンジンに火が入りスラスターが展開され、燃焼室で燃焼が始まる。 「さあ、行くわよ!」 最後にぐっと操縦桿を押し込めば、ディースは軽快に加速を開始した。 高圧ガスを噴き出すスラスターで姿勢制御を行いながら、ディースは機体に内蔵された発射装置からグレネード弾を撃ち出した。 イメージの雷撃がストームシープやマンティスの真ん中に突き刺さり、高速で拡散する。 その様子をモニターで眺めつつ、ユリアはレバーを引いた。 SBs-01白鳥が点火し、ディースを空中へと押し上げる。 ソニックブームを巻き起こす勢いで、ディースが高速空中機動を開始した。 目指すはインソムニア外壁だ。 月鏡 由利菜(la3027)は移動するテール・プロミーズのコックピットの中で振動に揺られていた。 パネルを操作した手はそのまま各種レバーを次々に引いていく。 操縦桿を握り締めると、由利菜は大きく前へ押し倒した。 「突貫いたします!」 テール・プロミーズのスラスターから高圧ガスが噴き出し、進行速度を押し上げる。 ぐんと速度を増したテール・プロミーズはさらにNBs-01スヴァローグに点火し最高速度を一時的に突破した。 抱えるアサルトランス「マフルート」が突進するマンティスに凄まじい勢いで突き刺さり、激しくせめぎ合う。 だがあっさりと突破され、風穴を開けられてテールプロミーズを見送った。 続くストームシープたちの間をすり抜け、発生したソニックブームで薙ぎ払いながら、由利菜はパネルを操作し、高速機動型に設定していたNBs-01スヴァローグを飛行型に切り替える。 揚力を得たテール・プロミーズがふわりと空に浮き上がる。 残りの敵を飛び越え、インソムニアを目指し翔け去っていった。 ソードブレイカーのコックピット内で、【幻夢守護協会Danann】の 水無瀬 奏(la0244)は冷静にモニターの映像を見つめていた。 その間も手元は機器を触り、様々なボタンやレバーを動かして機体を操縦している。 インソムニアまでもう少しだ。 操縦桿を傾けると、ソードブレイカーが旋回して回避行動を取る。 ロックのレーザーが危ういところで地面に突き刺さった。 「もう一度、切り返して……!」 奏は素早く逆方向に操縦桿を傾けた。 強引にイマジナリードライブの伝達状況を一時的に高めることで、奏は意思を素早く伝えられるようにし機体の反応速度を上昇させた。 S字機動で急激な弧を描き、ソードブレイカーはレールワームの砲撃も避け切った。 「今っ!」 操縦桿を押し倒し、奏は全神経を突破に集中する。 LBs-01スパードが点火され、猛烈な推進力を得て機体を空中に飛翔させた。 「スラスター展開! ……行って、ソードブレイカー!」 B02アサルトライフルを連射し縦横無尽に撃ち抜いていくソードブレイカーが、バレルロールを行い鮮やかにソーディアンシールドの剣群一斉射を避け翔け抜けていった。 朝霧 唯(la1538)は操縦桿を握り締める。 「そこを退いてくださぁい!」 左手で機器を操作し、最後にレバーを引いてフットペダルを踏み込む。 プレーンブースターに点火して加速する白猫が、マウントされていたG37アサルトライフルを引き抜く。 操縦桿を前に倒しながら側面のボタンを押し込むと、機体の指が引き金を引いた。 銃身側面のラインに赤い光が走り、輝きを纏った弾丸を飛ばす。 次々に連射しつつ、唯は操縦桿を小刻みに動かしソーディアンシールドの剣群一斉射の範囲に入らないよう白猫を操縦する。 高度が下がって一度地面に着地すると、再びフットペダルを踏み込み機体を空へ持ち上げた。 発生する急激なGを耐える。 「着きましたぁ!」 銃弾を全弾撃ち込んで道を開いた。 高速機動するクォーツのパイロットシートでGを堪えながら、高河 水晶(la3171)は機体を操縦する。 ある程度は減らしたとはいえ、それでもまだ周囲はナイトメアの敵影で溢れている。 だが、インソムニアの外壁が見えてきていた。 「俺とクォーツなら、抜けられるであるよ!」 道を塞ぐように上空から降り注ぐ剣群をイマジナリードライブの伝達状況を一時的に高めることで回避しきる。 意思を素早く伝えられたクォーツがスラスターから凄まじい量の排気を行い、強引な姿勢制御で最短距離を抜けていく。 操縦桿を最大まで押し倒したままで、水晶は右横の壁に設けられているスイッチの防護ガラスを右の拳槌で叩き割り、そのまま押し込んだ。 「リミッター解除!」 限界を超えた出力上昇に速度計が凄まじい勢いで右に寄って振り切るのを確認しつつ、水晶が別のレバーを引けば、クォーツがマウントされていたアサルトソード「リーネア」を引き抜く。 「さあ、行くであるよ!」 次の瞬間コックピット内に鳴り響くリミットオーバーの警報とともに、クォーツの姿が凄まじい勢いで消え、ナイトメアたちが斬り刻まれていった。 空中にクォーツの姿が現れる。 【極楽電脳無軌道小隊『オフ会』】 の五月女 真央(la0802)はパイロットシートに身体を押し付けられ、胃が裏返るような感覚を味わいながらGに耐えていた。 「このくらい、どうってことありません!」 手を伸ばして機器を操作した真央が、力強くレバーを引き、操縦桿側面のボタンを押し込む。 マウントが解除されたB02アサルトライフルを真央スペシャルHN-01が引き抜き、スラスターをふかして姿勢制御を行うとストックを肩部装甲に押し付け引き金を引いた。 味方機の隙間を縫ってナイトメアに命中したことを確認し、真央は再び操縦桿を強く押し込む。 銃撃の最中一瞬減速していた機体が再び加速して飛び出していった。 残月で味方機を後方から追いかける三十日 香奈子(la0702)は、コックピットの制御装置を次々作動させ、機体に行動をインプットさせていく。 「行ってください。お淑やかに飛んで参ります」 最後に操縦桿を両手で支えれば準備完了だ。 「包囲される前に、さよならですわ!」 NBs-01スヴァローグが点火され、タクラマカンの風を砂嵐のように乱射していた残月が勢いよく空に舞い上がる。 スラスターを展開し、残月はたちまち姿勢を制御するとナイトメアたちを置き去りにした。 【S&A】 三代 梓(la2064)は振動とGに耐えながらSJ-01を操縦する。 回避行動で揺れるコックピットの中、真剣な表情で機器を操作していた。 降り注ぐ剣群をセンサーが捉え、コックピットに警報が鳴り響く。 梓の指がいくつかのスイッチを弾き、レバーを引いた。 操縦桿を小刻みに動かすと、SJ-01が降り注ぐ剣群を避け、あるいは耐えつつ、一瞬の間を縫ってストックを肩部装甲に押し付けて照準を固定し、レティセンスM695を発砲する。 イメージの力で燃え上がった火炎弾が外壁に着弾した。 延焼こそしなかったが、見た目の派手さは十分だ。 「さあ、炎に集う蛾のように掛かってきなさい。返り討ちにして差し上げます!」 飛行を可能とするブースターを搭載していないのでドーム上空には行けないものの、代わりにヒットアンドアウェイを駆使して常に動き回り、照準を絞らせない。 FF-01のコックピットで、マルティーノ=ヴェラルディ(la2584)はモニターを注視する。 モニターにはインソムニアの破壊を妨害せんと集結してくるナイトメア群が映し出されていた。 「邪魔をしたいのだろうが、そうはさせぬよ」 マルティーノの手がパネルを操作し、レバーを引いて操縦桿を押し込む。 スラスターを展開され、同時にガイカクランスのマウントが解除された。 FF-01のアームがランスを手に取る。 穂先を前方に向けてしっかり腰を落として構えると、スラスターから高圧のガスを噴き上げ、戦場を駆け抜けていく。 操縦桿が横に倒された。 先頭のストームシープに強烈なチャージを叩き込みつつ、押し寄せるナイトメア群に呑み込まれないようFF-01は急旋回し離脱する。 フェリス(la1483)はFF-01のコックピットパネルを操作しレバーを押し込んだ。 アサルトランス「マフルート」の柄が飛び出し、ロックが解除される。 また別のレバーを引いてモードを切り替えると、FF-01がアサルトランスの柄を力強く掴み、小脇に抱えた。 一気に操縦桿を押し込む。 「私が、切り開いてみせるっ!!」 スラスターが展開され、機体の全身のモーターが唸り、一気にFF-01は疾走する。 敵と敵の間をすり抜け、避け切れない敵に対しては全力でチャージを仕掛け、猛烈な反撃に遭いながらもフェリスのFF-01はインソムニアの外壁に取り付くことに成功した。 インカムに向けて【New Divide】小隊長の グール・シック(la1212)は叫んだ。 「今だ、俺に続け!」 小隊のアサルトコア各機が追いかけてくるのをセンサーで確認しつつ、グールは手元のパネルを操作し機体のスラスターを展開させた。 叩きつけるように燃焼ボタンを押し、高圧ガスを発生させる。 ぐんと速度を増した機体を操縦桿で操作しつつ、また別のレバーを引いて武器のロックを解除した。 飛び出してきたア・ドライグ・ゴッホW964をアームで掴み取り、モニターに映るマンティスやストームシープに銃撃しつつ、奥へと斬り込む。 奥にロックとレールワームの群れが見えてきた。 「次だ! 合わせてくれよ!」 スラスターを全開で噴かせたまま肉薄する。 ヘッドフォース・マキシマムのコックピットに、マキシマム・プライス(la3360)が待ち望んでいたグールからの通信が届いた。 「さあ、行くぞ!」 機体に組み込まれたかのような状態でパイロットシートに座った状態のマキシマムの頭部の目の部分に光が入り、連動してヘッドフォース・マキシマムの頭部の目も輝く。 先行するグールを追いかけんとするマキシマムの意思に応じてパネルが点灯し、全身のモーターが唸りを上げた。 ヘッドフォース・マキシマムのスラスターが展開されたのを確認し、マキシマムはレバーを引いた。 燃料が燃焼室に送り込まれ、高圧ガスがスラスターから噴き出す。 ロケットのように飛び出したヘッドフォース・マキシマムが、カバネライチョウを追いかけていった。 モーリー(la0149)はモニターを注意深く見つめ、突破組が走り出したのに合わせノコノコZ-RRを動かした。 装置を次々切り替えていき、操縦桿を前に思い切り倒す。 展開されたスラスターから高圧ガスが噴射され、姿勢制御を行いつつ一気に加速し追走した。 「ノコノコ族は、任務を頑張るよ!」 目標はインソムニア及びインソムニア内の培養施設の破壊だ。 迎撃に集まってくるナイトメアたちは無視し、味方機の陰に隠れてやり過ごしながら進み、プレーンブースターを点火して跳躍する。 地上のナイトメアたちをそうしてスルーすると、そのままインソムニアを目指した。 ●他ナイトメア施設からの援軍に対応せよ 向かってくるナイトメアの数や位置分布を可能な限り把握しようと努めていたリオだからこそ、それに気付けた。 「高エネルギー反応が後方、側面から多数接近しています! 警戒してください!」 モニターのレーダー情報を凝視すると、悲鳴のような声音で報告した。 警戒が功を奏し、六は集まってきたナイトメアたちの迎撃に間に合った。 コックピットにアラームが鳴り響く。 だが怯えることなく、六は機器を操作し操縦桿を掴んだ。 「ここは敢えて攻めるよ!」 スラスターが展開され、凄まじいGに六の身体がパイロットシートに押し付けられた。 HN-01がアサルトソード「リーネア」を掴む。 レールワームの砲撃が降り注ぎ、舞い上がる土砂がHN-01の姿を覆い隠す。 装甲を一時的に増幅させたHN-01が砂埃の中から飛び出し斬りかかった。 同時に滞空していたソーディアンシールドから剣群が降り注ぐ。 六がレバーを引き、機体の武装を換装した。 ソーディアンシールドへG37アサルトライフルの銃弾が連続で飛んでいく。 「後方よーし! さぁ、サクッとやっちゃって☆」 爆散するレールワームとソーディアンシールドの背で、HN-01が魔法少女っぽいポーズを取った。 遥久は残骸を簡易壁として利用し余裕を持って対処していた。 操縦桿を握りつつ装置を切り替え、飛んでくる羊毛を盾を掲げて受け止めさせる。 続くストームシープの突進は着弾点の装甲を一時的に増幅したビッグリーグ球育成ACに受け止められていた。 「アサルトコアには、こういうのもあるのですよ……!」 背後の味方を庇うという意味でもちょうど良かった。 入口からの突入に少し遅れ、インソムニアの壁があちこちで破壊され、各所から突入が始まった。 玄子はインカムで中の友軍に通信する。 「……侵入防止のため余分な穴は一度塞ぎます」 ひだるまを操縦し、脱出経路以外の外壁の穴を瓦礫で埋め始めた。 外壁周辺でも激しい戦いが続いていた。 既に渉はHN-01のエンハンスド・システムを起動させ、攻撃能力に割いているイマジナリードライブの出力を下げ、その分シールドの出力を強化しており、さらに着弾点の装甲を一時的に増幅させ、衝撃を吸収させ耐え凌いでいる。 「気を付けろ! 囲まれるぞ!」 それだけでも厳しいというのに、HN-01のコックピットではけたたましく敵襲の警報が鳴り響いていた。 周辺のナイトメア施設から集まってきた増援だ。 パイロットシートにもたれかかるV・V・V(la0555)は今の状況を予測していた。 モニターには背後から押し寄せてくるナイトメア群が映し出されている。 インソムニア内に侵入されたら突入した友軍が狙われるだろうし、この状況でインソムニア側から敵が湧き出してきても面倒なことになる。 「帰って来る者達の為の、花道を準備してやらねば、な♪」 インソムニアの穴を塞ぐために行っていた残骸集めを一時中断し、ナイトメアの援軍に対応するため迎撃に回る。 「我も動くとしよう」 尊大な笑みを浮かべたV・V・Vがパイロットシートから身を乗り出し、踊るような手つきで機器を操作していく。 レバーを引いて操縦桿を押し込むと、カルディナールがC-203アサルトバルカンを速射しながら移動を開始した。 攻め寄せるストームシープやマンティスの突進を迎撃しつつ、さらにV・V・Vの両手が機器の上で踊る。 手品のようにアサルトランス「マフルート」がカルディナールの手元に現れ、その手に収まる。 操縦桿が押し倒され、機体のモーターが駆動音を奏でた。 「カルディナールよ。我とともに舞おうぞ!」 スラスターが展開され、急激に速度を増したカルディナールが反転して飛び出していった。 GAinerの機体の中、コックピットでこももんが(la0183)はふんぞり返っていた。 「ないとめあでみたらし団子しちゃうきゅぃ!」 小さな手で機器をてしてし叩き、ボタンを押しながら操縦桿を身体ごと押し付けて倒す。 アサルトランス「マフルート」の柄を抱えて穂先を前方に突き出したGAinerがストームシープを貫き、その勢いのまま突っ込む。 踏ん張ろうとするストームシープだったが奇襲気味に放たれた一撃に反応が遅れた。 こももんがはまた身体ごと操縦桿を引っ張りアサルトランスを引き抜き機体を旋回させた。 放たれた羊毛が投網のように広がるものの、捕まらない。 他のナイトメアにくっつかないのを確認しつつ、貫いたストームシープごと別のマンティスにぶつかり、それを続けて三連重ねにするとインソムニアの穴に突撃し、串を抜くようにアサルトランスを引き抜く。 既に一連の攻撃でそのナイトメアたちは全て沈黙しており、そのまま穴を塞ぐ防壁となった。 「頑張るきゅぃ!」 操縦桿にぶら下がるような格好になりつつ、器用に操作してGAinerにC-203アサルトバルカンを連射させ、くるりと回転してぽふりとパイロットシートに収まった。 ●ナイトメアの増殖を防げ 培養施設は入口から入ってすぐ近くにあった。 広大な敷地で、装置だけでもかなりの面積を占めているのが分かる。 美玖はコックピットの機器を操作し操縦桿のボタンを両手で押し込んだ。 機体に内蔵された専用装置から光弾が発射され、培養施設の装置群を焼き払う。 「どんどん行くでし!」 培養されていたナイトメアたちが撃ち抜かれ、火に巻かれ、目覚めることなく破壊されていった。 奏が操縦桿を押し込んだ。 「徹底的に破壊して、向後の憂いを断ちます!」 間をすり抜けながらソードブレイカーがアサルトソード「リーネア」振るい、施設を破壊していく。 唯が機器を操作すると、白猫がアサルトライフルをマウントに戻し代わりにアサルトランス「マフルート」を引き抜いた。 「しっかり破壊させて頂きますよぅ!」 叩きつけるようにボタンを押して、操縦桿を倒す。 イマジナリードライブの伝達状況を一時的に高められた白猫が電光石火の勢いで突っ込み、培養装置の一つを突き壊した。 水晶は操縦桿を操作する。 「徹底的に破壊しつくすであるよ!」 クォーツがアサルトソードを振るうたび、装置が破壊されていった。 培養装置を破壊してしまいたいアサルトコアと、それを防ごうとするナイトメアの間で戦闘が発生する。 そのせいで、予定していたよりも装置の破壊は進まなかった。 コックピットの中、マイクに向けて真央は叫ぶ。 「破壊するのは何も僕達の手だけじゃないです。敵を利用してやりましょう!」 同時に操縦桿を小刻みに位置調整して真央スペシャルHN-01の立ち位置を変え、ストームシープやマンティスを優先して攻撃しつつ、さりげなく壁や培養装置を盾にするように動いた。 少し遅れて培養施設に突入した香奈子は、真っ先に電源系や孵化器などの装置の場所を確認する。 「そこですわね!」 パイロットシートから身を乗り出した香奈子の手が動き、機体を制御する。 次々に引かれたレバーで機体の状態を示すライトの点灯と消灯が入れ替わり、機体のロジックが遠距離戦仕様から近距離戦仕様に切り替わった。 「参りますわよ!」 エラスモテリウムラムを小脇に抱えた残月が突撃を開始する。 人類出現以前に存在していた巨大なサイの角をイメージして作られたランスによるチャージは、装置にもナイトメアに対しても平等に凄まじい破壊力を生み出した。 「当たりませんわ」 反撃すらも予測済みで、死骸や建造物に遮られ残月には届かなかった。 培養施設に到着したユリアはにんまりと笑みを浮かべ素早く機器を操作し、操縦桿を握った。 「違法建築物の解体、強制執行よ! ディース、全力で駆け抜けなさーい!」 ロックが解除され飛び出してきた柄にアームを伸ばして掴んだディースが、増幅されたイメージをカットラス・ドレイクに纏わせ、衝撃波として放つ。 由利菜はパネルを操作しながら操縦桿を押し込む。 「悪意のシンボル、インソムニアを破壊します!」 テール・プロミーズが縦横無尽にアサルトランスを振り回し、培養設備を破壊していく。 培養施設に到着したモーリーは、パネルをタッチしてレバーを引く。 ノコノコZ-RRがアサルトソード「リーネア」引き抜き、スラスターを噴射させながら突進する。 モーリーの意識を通して、推進力がさらに高められた。 振るわれたアサルトソードが培養装置を斬り裂き、破壊していく。 「邪魔はさせないよ!」 散発的に現れるマンティスやロック、レールワームなどを駆逐しつつ、作業を進めていった。 あらかた破壊されたことを確認し、培養施設全体も沈黙したのを見届け、撤退を始めた。 ●柱を砕け 戦闘は味方に任せ、集まるデータを整理しながら瑞希はコックピットで計算を続けている。 孤立を避けるために操縦桿を握り操縦こそしているものの、武装の展開や戦闘機動は行わず、完全に頭を働かせることに全神経を集中させていた。 どの部分をどうやって破壊したら自重で崩壊するかを算出しているのだ。 「できたわ。これでいけるはず」 モニターには解析されたインソムニアの図面と、それを支える柱が表示されていた。 上部の崩壊で下までぶち抜けるようにするため、破壊するべき柱がマーカーで赤く塗られていく。 戦場全体でデータが共有された。 「ビル爆破解体の応用よ。自重で崩壊させましょう」 効率的な柱の破壊が始まった。 【強襲部隊アダマント】の 神無月 零(la0616)はインソムニアを支える柱に注目した。 「これよりインソムニアの破壊を行う」 操縦桿回りの装置の状態を零は次々切り替えていく。 HN-01がマウントされていたブランディストックOMを引き抜いた。 柄の先の真ん中に大きな穂先が、その左右両側に針状の小さな穂先がそれぞれ飛び出て、エネルギー刃で形成された三叉槍になる。 零が操縦桿を強く握り締めると、連動してHN-01がブランディストックの柄を握り締めロックした。 薙ぎ払い、突き穿ち、柱を傷付け破壊する。 ただの柱だけではなく、インソムニアの構造を支える大黒柱をも壊す。 むしろそれこそが本命だ。 「どんどん行くぞ。人海戦術だ」 柱の破壊を続ける零だったが、妨害に出てくるナイトメアはそれほど多くない。 どうやら、先に始まった培養施設での戦闘に手を取られているようだ。 「この隙を逃すな。壊し尽くせ」 マイクに向けて叫びながら、それでも操縦桿を操作する手は止めない。 天井からパラパラとインソムニアを構成する物質の破片が落ちてきた。 「そろそろか。撤退する」 めぼしい柱を全て破壊し終えると、速やかに零は後退を始めた。 天城 初春(la3083)はパイロットシートに背を埋めモニターを見つめた。 モニターにはインソムニアを支える柱が無数に映っている。 「さて、とりあえず脱出するまで崩壊しない程度に抑えんといかんな」 コックピットの装置を弄り、ボタンを押すとモニターに武装の一覧が表示された。 操縦桿で一つを選択し、決定する。 G37アサルトライフルのマウントが解除され、グリップ部が露出した。 「よしよし」 頷きつつ、壁のレバーを引き下ろす。 機体のアームが動き、グリップを掴んで抜き放った。 操縦桿を繊細な力加減で操作して獣鎧機:狐太刀丸に銃撃姿勢を取らせると、しっかり肩部装甲と頬部装甲でがっちりアサルトライフルをロックしていることを確認し、操縦桿のボタンを一つ押し込む。 アサルトライフルにかかっていた機体の右手人差し指が動き、引き金を引いた。 エネルギーによる銃撃が行われる。 確実に柱に損傷を刻んだことを確認し、第二撃、第三撃と叩き込んでいった。 「とはいえ、どこの柱を残すべきか。ううむ」 悩む初春に通信が入り、全体を破壊するために壊さなければならない柱の詳細情報が送られる。 「なるほど、承知した!」 喜色に満ちた返事を返した初春が、獣鎧機:狐太刀丸を退却させながら発砲する。 インソムニアを支えていた柱が崩れ落ち、不穏な振動を響かせ始めた。 危険を感じ取った零がインカムで中にいる者たちに撤退を促した。 ●崩れ落ちるインソムニア シールドの消耗を代償に強行突破を果たしたグールは、インソムニア外壁に辿り着いていた。 パイロットシートに縛り付けられるほどの強いGからようやく解放される。 操縦桿のトリガーを引いた。 「欠片も残さずぶっ壊せぇ!」 味方の退路が残るように注意しながら銃撃を浴びせる。 次々に重ねられる攻撃に、インソムニアの外壁に罅が入っていく。 カバネライチョウを援護しつつ、ヘッドフォース・マキシマムがインソムニア外壁にC-203アサルトバルカンを掃射する。 操縦桿を操作するマキシマムは、邪魔をしようとするソーディアンシールドにもバルカンを叩き込んで牽制しつつ、カバネライチョウと攻撃先を合わせていく。 「こんなものは、この世界に必要ない!!」 合わさった力が、罅割れた外壁を粉砕していった。 マルティーノはパネルを操作して機体の武装を換装する。 外壁を背にしてインソムニアへの誤射を期待しつつ、デュエリングシールドを掲げながらFF-01が味方のいない方向へ敵を誘導していく。 攻撃を盾でいなして外壁にぶつかってくれれば御の字だったものの、そこまで馬鹿ではないようだ。 柱の崩壊による振動が、マルティーノがいるコックピットにまで伝わってくる。 「崩落したインソムニアに巻き込まれぬようにせねばね──」 戦闘を中断し、機体に距離を取らせた。 パイロットシートから身を乗り出し、フェリスは両手で握る操縦桿を全力で前に倒した。 アサルトランスの穂先を突き出したFF-01が脆くなったインソムニアの外壁に突撃する。 脆くなった外壁を突き破ったFF-01は内部壁まで到達すると、不幸にも居合わせたマンティスを巻き添えにして戻ってきた。 フェリスがパネルを操作し、スラスターの出力を上げる。 「数が多いなら、頭を使わなくちゃね!」 高圧ガスを噴き出しながら、FF-01が飛び出しナイトメアを集めて戻ってくる。 一列に並んだところで一気に串刺しにした。 ついでに壁を壊し、本格的な崩壊が始まる前に距離を取る。 アサルトコアたちが次々に脱出してくる。 しばらく待ち、通信でも逃げ遅れがいないことを確認した梓は、コックピットでレバーをを切り替えた。 ヘルピットホールのロックが解除されSJ-01の肩部にせり上がった。 「止めの一撃は華やかにしましょう」 操縦桿のトリガーを引いた。 轟音とともに砲弾が発射され、がくりと梓はパイロットシートに身体を押し付けられる。 反動によるGが掛かったのだ。 弧を描いて飛んでいく砲弾が、インソムニアに直撃する。 やがて、不気味な音を立ててインソムニア全体が崩落を始めた。