オープニング詳細|WTRPG11 グロリアスドライヴ
  1. グロリアスドライヴ

  2. SALF本部

  3. ナイエジーク

ナイエジーク 絢月滴

形態
ショート
難易度
普通
価格
1000
ジャンル
バトル 
参加人数
83~8人
予約人数
10010100
基本報酬
200000G
200SP
2000EXP
おまけ報酬
20SP
相談期間
5
締切
2019/06/21 20:00
完成予定
2019/07/06 20:00
機体使用
-
関連シナリオ
-


 日本、東京、西部。
 ヴェレイ(lz0073)は長い長い坂道を一定のテンポで歩いていた。沈みゆく夕日がヴェレイの影を長く長く伸ばしている。舗装された綺麗な道。それに沿うようにこれまたおしゃれな店が続く。少し奥まった場所には広い庭付きの戸建てが並んで居た。けれど人の気配は全くない。それもそのはず、今この地域には避難勧告が出ているからだ。その理由は――もちろん、ナイトメアだ。
 最初に事件が起こったのは、夜だった。
 道を歩いていたサラリーマンが襲われた。何かに吹き飛ばされたかのように、全身を強く打った。幸い一命はとりとめたものの、まだ意識は戻っていない。
 次は、昼間だった。
 近くにある学校の校庭で遊んでいた小学生達が、上空から襲われた。生き残った子の証言から、鳥の姿をしたナイトメアであることが判明した。が、その数は分かっていない。ヴェレイが此処にやってきたのは主に調査――あわよくば事件解決――の為だった。人手不足なんだ、分かってくれ、ヴェレイくん。余分な人員は避けないんだ。もし君の力だけで済むのであればそうしてくれて構わないから。そう言っていた事務官の顔をヴェレイは思い出した。ヴェレイは反論しなかった。
 事前にダウンロードしたこの地域の地図と被害があった地点が描かれた地図を重ね合わせ、ヴェレイはナイトメアがやってきたであろう方角を計算する。その方角には林があった。此処に潜んでいるのかと、ヴェレイは中に足を踏み入れる。どんな小さな情報も逃さないように、最大の注意を払いながら進み――ふと、木立の向こうに人影を見た。
(住民は全員、避難しているはずです)
 人に化けたナイトメアとも限らない、とヴェレイは念のため杖型EXISを握る。木の影からそっと様子を伺うと――。
「な、なんだお前っ?」
 そこには褐色の肌を持つ、一人の少年が居た。
 少年の周りには、畑や池、粗末な小屋――いいや、屋根があってかろうじて雨がしのげるくらいの――がある。
「避難勧告が出ています。どうして逃げていないのですか。もしかして、知らないのですか」
「し、知ってるってーの!」
「じゃあ何故此処に」
「こいつらが居るから、だ!」
 少年がびし! と池を指さす。ヴェレイはその中を覗き込んだ。魚が泳いでいる。どれもペットとして流通している魚だ。
「餌の心配をしているのですか。だとすればこの魚の主食は虫です。虫ならば、この林には多く生息しています。放っておいても、落ちてくる虫を食べると思います」
「餌だけじゃねえよ」
「他に何が? 魚は犬と違って散歩の必要もありませんし」
「だーーーーーーー心配だから様子見に来たんだよ! ナイトメアって鳥なんだろ? 万が一にもこいつらが食われでもしたら」
「困るのですか? また買えば」
「そういう問題じゃねえっつーの! ていうか、お前本当に何なんだよ!」
「すみません」
 ヴェレイは軽く頭を下げた。
「私はヴェレイ。SALF所属のライセンサーです。ナイトメアの調査に来ました」
「何だお前ライセンサーか。……ってことは、開陽姉ちゃんの知り合いだな!」
 にか、と少年が笑う。

 瞬間。

 けたたましい鳥の声。
 そして、近づく振動。

 ヴェレイは少年の手首を握った。そして走り出す。
「おい、ちょ、待て!」
 少年の文句には耳を貸さず、ヴェレイは冷静に状況を確認する。上空、そして地面の下。ヴェレイは少年ごと、大きく前に跳んだ。数秒後、その場所から何かが飛び出してくる。その姿を見て少年が声を出した。
「で、でかい……モグラっ?」
「なるほど。傷から見て”下から”来たものだとは予測していましたがモグラですか。想定外です」
「冷静に言ってないでどうにかしろよ!」
「はい」
 ヴェレイはインカムに手を添える。なんとか坂道まで出れた。だがこのまま下り続ける訳にもいかない。この先はこことは比べ物にならないくらい建物が密集しているのだ。いくら人は居ないとは言え、そこに被害があってはならない。
「こちらヴェレイ。●●市においてナイトメアと遭遇。増援をお願いします」

成功条件:ナイトメアの殲滅
失敗条件:ナイトメアに最終ラインを突破されるor少年が負傷する

◆戦闘場所
 ☆……鳥型ナイトメア(移動力3)
 ★……モグラ型ナイトメア(移動力1)
 ●……ヴェレイと少年(移動力2)

  ABCDEFG
1| ☆☆ ☆☆ |
2|  ★ ★  |
3|       |
4|       |
5|       |
6|       |
7|       |
8|   ●   |
9|       |
10|       |
11|       |
12|       |
13|       |↓こちら方向に下る。
 ▼▼▼▼▼▼▼▼←最終ライン

 現場にはヘリコプターで急行します。
 プレイングに開始位置の明記をお願いいたします。
 なお、ヴェレイは少年と逃走することに専念しています。戦闘には参加できません。

◆ナイトメア
 鳥型  ……攻撃型。サイズS。通常攻撃(物理:範囲1、射程1)。飛行状態(高低差1)
 モグラ型……攻撃型。サイズS。通常攻撃(物理:範囲2、射程1)。特殊スキル「潜行」所持。

◆特殊スキル
 急降下……射程3、範囲1の知覚攻撃。
 潜行 ……射程2、範囲1の物理攻撃。3ターンの間、動かなかったPLを標的にする。

 例:1ターン目→B12。2ターン目→C12。潜行の標的とならない。
   1ターン目→B12。2ターン目→B12。潜行の標的になる。
   この場合モグラ型ナイトメアはB12をターゲットにして潜行を発動させる。

◆ヴェレイと少年
 最終ラインに向けて逃走中です。最終ラインを超えるまで、彼らはナイトメアの標的となりえます。

◆不明点
 ヴェレイが答えます。

初めてシナリオマップ(A1とか指定ができる)を解説に書いた気がします。
こんにちは、絢月滴です。

イメージはボーイミーツガール(ヴェレイは性別不詳ですが)。
ヴェレイとこの少年の物語が続くかどうかは、皆様次第です。

それでは。
皆様の華麗なるプレイングをお待ちしております。

「さあて、まずは確実に保護しないとね」
ディレイが頼りにならないわけではないが、やはり保護対象は確実に確保してから任務にあたるのが筋道というものである。
であるからして彼らの近傍E8に降下して任務開始とする。
ディレイらと合流することで、敵の様子を伺い情報共有する。
その後は、他の仲間らと連携し、ナイトメアの駆除に当たる。
本日背負うはノヴァ社のロゴ。以前のとある任務での手痛い失敗により、必勝祈願の
フィッシャー社のロゴを封印している身としては次善の対象ではあるが、
どの企業だって負けることは許されていない。コマーシャリングを成功させるためにも
一段と気合を入れてことに当たる。

まずは敵の制空権を奪うべく、合流地点に陣取って、鳥から相手にする。
これは前衛にて敵の足止めに当たる仲間への支援であり、ディレイに追いすがる敵を追い散らすための作戦でもある。
「スナイピング」にて羽を撃ち、飛行を邪魔することで、追撃目標から注意をそらす。
距離が詰まれば取り廻しの悪い狙撃銃は引っ込めて、愛用の拳銃による「ワンポイント」で
的確に敵の防御の弱そうなところを攻めて撃破する。

モグラについても注意は怠らない。上見て足元からこんにちはなんてシャレにならないので、モグラの姿が消えたら、反射的に足元に銃撃して牽制。
そのまま近畿りょり銃撃に持ち込んで仕留める。重傷者が多いので役割振は臨機応変。

  • 夜桜佳人
    アキレイアla2618
    放浪者16才|グラップラー×スピリットウォーリア

ボクは初期位置C4からスタートだな。
ヴェレイ達が最終ラインを突破するまでは、敵の妨害役に徹しよう。
鳥型の方が移動力があるから、優先的に狙っていくか。
ヴェレイ達を狙っている鳥型の同一スクエアへ移動して、上空へ斬撃を飛ばすように。
ボク自身を狙ってくるのであれば、回避に専念して時間を稼ごう。
回避中に、敵の攻撃パターンを覚えておきたいところだな。

ヴェレイ達が最終ラインを突破したなら、攻撃重視に切り替えさせてもらう。
急降下や潜行に対しては、『無拍逆襲撃』を重ねたい。
敵が密集しているなら、『ブラッディクロス』で巻き込もう。
生命が半分以上削られ、仲間のヒールが届かない場合は『勇猛なる行軍』を使わせてもらうか。

<心情>
わぁ~んっ!、戦闘依頼で騎士の中の騎士らしく活躍しようと思ったのに!
ヘタレマンサーに背中から切りかかって重体になってしまいました!

<行動指針>
安全第一!

<服装>
ボロボロの鎧に包帯ぐるぐる巻きミイラ女

<行動>
「君たちを攫いに来た。騎士の中の騎士、ファム・ファタールだっ!」
D8、二人の後ろに降り立ち自信満々に!
「私が来たからには安心するといい・・ちょ、ちょっと待って!」
怪我してるから移動遅い
全力移動で追いかけて、出来たら二人を両脇に抱えて南に全力移動だっ!
安心するといい。
私は少年少女を既に何人もこうして攫って(助けて逃がして)いる!

だが、ヴェレイ。
少年が尊いからと触ってはいかんぞ!
YESショコタンNOタッチの精神だ!
健康的な半ズボン姿を少し離れた所で見てハァハァするだけにしておくといい!
ヴァルキュリアだからな、そうやって正しい作法を学んでいくといい!

  • 必殺ビンタ
    アンタレスla2909
    放浪者20才|グラップラー×スピリットウォーリア

「どうして子供って素直に言うこと聞かないのかしらね…振り回されるコッチはいい迷惑だわ」
ま、お説教なんかは他の人に任せてナイトメア退治に勤しむとしましょうか

【行動】
攻撃はビーストレガースで届かない場合は龍震虎砲→ショットガンの順で攻撃
F4からスタート
初手は味方のロードリーオーラを待って少年達の方へ向かう敵がいないか警戒
少年達へ向かったら迎撃に向かい攻撃でヘイトを稼いでこちらを狙わせる
「此処から先はアンタ等は侵入禁止よ!通りたければ命置いてきなさい」

退避完了するまでは跳んで跳ねて大げさに回避し敵を引き付け時間を稼ぐ
退避完了後は殲滅行動へ、防衛ラインを突破されない様つねにラインと敵の間に位置するよう意識

モグラを優先して狙い鳥は少年達を狙った場合に優先する
攻撃の際はモグラの腕部を狙い潜行能力を封じようと試みる
モグラが潜行したら標的になると思われる動いていなかった味方に注意を喚起
自身も狙われる可能性がある際は地面に手を付けて振動で感知できないか試す
避ける際は追撃の距離が短いと思われる横に跳んで危険時は幻影幻舞使用
「モグラはおとなしく土の中で虫でも食べてろ!」

鳥の急降下には無拍逆襲撃でカウンター攻撃
オーバーヘッドキックや踵落しの様に地面に向かって蹴りつけて敵が上空に戻るまでの時間を多くする
「蹴り飛ばすにはいいサイズね、何回蹴れば壊れるかしら?」

「それじゃ、ちゃちゃっと済ませますか」

初期配置:D6

前衛の交戦開始後、敵を引きつけて下がってくるのに合わせて後退。
出来る限り多くのナイトメアを射程内に収めるよう動く。
狙撃による支援が主行動。攻撃対象は前衛の攻撃に合わせて適宜変える。

鳥型については狙撃で確実に撃ち落とす。
モグラ型は、わざと足を止めて誘い出す。
「習性さえわかっちゃえば、後は文字通りのモグラ叩きよ、っと!」
潜行からの攻撃は、爪翼でカウンターを取る。
仕掛けてくるタイミングを計るのは、経験に裏打ちされた勘と足元の振動。
「狙撃屋やってると、敵さんの接近には敏感になるモンよ」

脇を抜けてヴェレイ達を襲おうとする敵を優先して攻撃。
「こっちはなんとか抑えるわ。前押し留めるのに集中して!」

弱っている敵はエリアスナイプを使って畳みかけ、前衛が標的を他に移しやすいようフォロー。
ヒールとロングヒールは距離で使い分ける。


殲滅後、ヴェレイや少年の相手は若いもんに任せて、保護用の車両なりヘリなりの要請と受け入れ準備。

【心情】
「ナイトメアの事件…わたくしの手で解決致しますわ」
「あの方は…グロリアスベースの画廊で、よく見かける方では?」

【目的】
ヴェレイさんと少年の避難後、敵全滅
「敵はわたくしが処理します。ヴェレイ様とその男子は、救出班の方々に従ってお逃げ下さいませ」

【準備】
初期F9

【行動】
後衛、敵とは射程ギリギリまで距離を取る
普段は本装備、範囲攻撃メインに敵をガンガン攻撃
移動力高い鳥を優先的に落とす
他の仲間との連続攻撃によるダメージ補正を狙う
潜行攻撃を避けるため常に動く
「熾烈な攻撃こそ、このエリーヌ・ペルグランの持ち味でしてよ」

開幕、前衛に束ね連なる因果(アンタレスさん、)
「想像力の拡張を!イマジナリーセンス!」

主力は凍り閉ざす銀による複数体攻撃
「乱舞せよ、氷の剣!ディープフリーズ・トロワ!」

直線上に複数敵いるか、銀回数0時レールガン
「稲妻が悪夢を打ち抜く!サンダーランス!」

単体敵はハイフォース(左手の人差し指から放つ)
「黄金の魔弾、発射!」

完全スキル切れ時は銃撃、リロードあり

【依頼後】
ヴェレイさんと少年へ
「危機は去りました。改めて…ご機嫌麗しゅう。わたくし、ライセンサーのエリーヌ・ペルグランと申しますわ」
「よく見かける割に、ヴェレイさんのこと、わたくしは殆ど知らないのです。色々、話し合いたいですわね」

  • Aura Battler
    アイナla3228
    放浪者17才|グラップラー×ゼルクナイト

「久々の空挺降下、滾るねぇ」
「そいじゃ、みなさんいきましょうか!!」


●目的
敵の殲滅と要救助者の安全確保

●準備
初期位置:D1

●行動
初手でロードリーオーラが届く範囲に居る敵全てを対象として使用、次の手番でD4辺りまで後退し武器をデザイアアックスに持ち替えつつ迎撃、以降、鷹代さんから射程4SQ以内の位置での戦闘を心がける
被攻撃時、敵の攻撃の予兆を探り、飛雀舞踊を使用し攻撃をいなしたり動き回りながら避ける
鳥が攻撃の予兆を見せたり急降下攻撃を仕掛けてきたら攻撃後の硬直を見計らって斧を翼や首に叩きつける
モグラは音や振動で位置を把握し、地面から出てきたら腹の下に斧の刃を差し込み、梃子の原理と相手の重量を利用して切り上げる
攻撃の予兆を見切れた場合、周囲の人達に情報を共有
鳥にはエクストラバッシュ、モグラには攻撃スキル不使用で攻撃、
敵の注視が切れたら、再度ロードリーオーラを出来るだけ多くの敵を対象に使用
戦闘終了時、怪我人に医療セットで応急手当を施す
後は、ヴァレイさんや少年に顔見せがてら挨拶と自己紹介、少年にはチョコバーをプレゼント

【心情】
「危機に瀕した少年少女。そこに助太刀に現れる俺達。
…いいじゃないか、なかなか燃える状況だ」

【目的】
ヴェレイと少年の救助
ナイトメアの殲滅

【開始地点】B4

【行動】
序盤は嬢ちゃん達の避難が優先だな
とにかくナイトメアを後ろへ抜かせないことが最重要だ
初手はアイナのロードリーオーラで注意が引けなかったやつが最優先
次点でアイナに群がってる敵のどれかって感じかね、集中攻撃されるのは目に見えてるしな

あと、俺がモグラの標的になってアイナの邪魔になるのも良くないんで
射程内に戦闘状態じゃない敵がいない、もしくはそもそも敵がいない場合は
こまめに移動を挟んで狙われないようにしときたいな

嬢ちゃん達が逃げきれたら殲滅優先…とはいっても対処法はあんまり変わらないが
鳥型はミンネザングに持ち替えたフォースアローで迎撃
もし墜落してくるようなら近付いてビーストネイルナイフに持ち替えた旋空連牙・力を叩き込む

モグラの居場所が分からなくなったら一旦足を止める
自身を潜行の対象にすることでとにかく位置確認だな
ただ攻撃を喰らうのも嫌なんでこの時は特に回避に集中しとこうか

モグラがアイナに攻撃してるならアイナに攻撃した瞬間を狙って攻撃を叩き込む
射程内で回数が残ってるならやっぱり旋空連牙・力が一番火力出るかね

●二人を救え!
「もうそろそろ、増援要請があった●●市上空です」
 ヘリの操縦士の声を聞きつつ、ホリィ・ホース(la0092)は窓の外を見た。
「さあて、まずは確実に保護しないとね」
 要請をしてきたライセンサー、ヴェレイが頼りにならないという訳ではない。それはよく分かっている。が、やはり保護対象は確実に確保してから任務にあたるのが筋道だ。今日背負っているノヴァ社のコマーシャリングを成功させるにも。
 ホリィの正面に座るアキレイア(la2618)は目を閉じていた。その胸の中で密かに堪能の炎を燃やしていた。これから起こるであろう戦闘はどんな風に楽しめるのだろう。
「わぁ~んっ! 戦闘依頼で騎士の中の騎士らしく活躍しようと思ったのに!」
 ファム・ファタール(la2825)は悔しさを全身で表現しながら叫んだ。
「ヘタレマンサーに背中から切りかからなければー!」
「後悔しても遅いわよ。……それにしても、どうして子供って素直に言うこと聞かないのかしらね……」
 はあ、とアンタレス(la2909)は溜息をついた。振り回されるコッチはいい迷惑だ。
「ま、お説教なんかは他の人に任せるわ」
 鷹代 由稀(la2999)は煙草に火をつけようとして――いや降下後にしようと考え直す。ちゃっちゃと済ませますか、と唇の端を上げた。
 ヘリが更に現場へと近づく。窓際に座るエリーヌ・ペルグラン(la3172)はその青い瞳で救出対象を確認した。
「あの方は……グロリアベースの画廊で、よく見かける方では?」
 もう一度、エリーヌは彼らを見る。確かにそうだ。グロリアベースの画廊で見かけるヴァルキュリア――ヴェレイだ。ヴェレイのことをエリーヌは殆ど知らない。色々話し合いたい。その為にも
「このナイトメアの事件……わたくしの手で解決いたしますわ」
 エリーヌの隣に座る月代 憐慈(la3530)は目を細めて、呟く。
「危機に瀕した少年少女――そこに助太刀に現れる俺達」
 そしてごくごく小さく笑って。
「……いいじゃないか、なかなか燃える状況だ」
「――皆さん、現場に到着しました!」
 操縦士の声がそれぞれのヘッドフォンの中に響く。逃げる二人、追うナイトメア。ヘリがぎりぎりまで降下する。ヘリ横のドアが開いた。ぱん! とアイナ(la3228)は拳を鳴らした。
「久々の空挺降下、滾るねぇ――そいじゃみなさん、いきましょうか!!」



●vs鳥 vsモグラ
 ざ! と大きな音を立ててファムは保護対象――ヴェレイと少年――の後ろに立った。そこから少し離れた場所にエリーヌ、そしてホリィが降り立つ。
「君たちを攫いに来た。騎士の中の騎士、ファム・ファタールだ!」
 ファムは自信満々に名乗る。それに対して、少年は瞬きをし、ヴェレイは表情を一つ変えなかった。
「増援ありがとうございます」
「ふふ、私が来たからには安心するといい」
「敵について分かっていることを教えてもらえる?」
「はい。鳥の姿をしたものは、移動力があります。何度か追いつかれそうになりました。モグラは移動力はありませんが、地中に潜り突如として攻撃をしてきます。一か所にとどまっているのは危険です」
 ヴェレイの言葉に、ホリィはありがと! と返事をする。それなら鳥から相手するかと、オートマチックXR7を構えた。スナイピングで羽根を狙った。敵がうまく躱す。やるね、と思わず零した。まだ相手はヴェレイと少年を狙っている。させるか――とホリィは手に力を込めた。
「敵はわたくしが処理します。ヴェレイさんとその男子は救出班の方々に従ってお逃げ下さいませ」
「分かりました。では、ここはお願いします」
「あ……ちょ、ちょっと待って!」
 走りだした二人をファムは慌てて追いかける。
 一方、アイナは鳥型ナイトメアの中央に降り立った。すぐさまロードリーオーラを発動させる。アイナの足元から発生した赤黒い霧がナイトメアに向かって伸びていった。四体居る鳥型ナイトメアの内、二体がアイナへその嘴を向ける。残りの二体とモグラ型ナイトメアは進行方向を変えることはなかった。こちらに向かってくる鳥型ナイトメアに対し、憐慈はフォースアローを放つ。想像力の矢は鳥型ナイトメアのシールドにその威力を削られながらも、その翼を貫いた。が、墜落はしなかった。憐慈は眉根を寄せる。堕ちてくれればよかった。
 こちらに向かってくるモグラ型ナイトメアに向け、アンタレスは龍震虎砲を放つ。凝縮された力はモグラ型ナイトメアの左足を掠めた。
「此処から先はアンタ等は侵入禁止よ! 通りたければ命置いていきなさい」
 モグラ型ナイトメアが唸り声をあげる。ワタシを攻撃対象にしたわね……とアンタレスは改めてビーストレガースを装着した足に力を入れ、迎撃の体勢を取る。アンタレスに向けて、エレーヌが束ね連ねる因果を発動させる。
「想像力の拡張を! イマジナリーセンス!」
「一応、お礼を言っておくわ」
 アンタレスとちょうどシンメトリーになる位置に降り立ったアキレイアは鳥型ナイトメアに向かった。攻撃が当たる位置まで移動して、上空へ斬撃を飛ばす。鳥型ナイトメアは攻撃対象をアキレイアにしたようだ。潰れた声で彼女を威嚇する。アキレイアは無意識に頷いた。ヴェレイと少年が逃げ切るまでは回避に専念しよう。
 由稀は煙草に火をつけて、咥えた。立ち昇る紫煙を見ながら、アキレイアと対峙している鳥を狙撃をする。皆と同じように翼を狙っているのに中々堕ちてくれない。モグラ型ナイトメアの片方がこちらに向かってくる。先程ヴェレイからもたらされた情報から、足を止めれば誘いだせるはずだと由稀は判断した。鳥の相手はアキレイアと憐慈が居る。それならあたしはこっちだ。わざと動かない。モグラ型ナイトメアが地面に潜った。よし、これで相手はこっちにくるはず――!
 二体の鳥型ナイトメアと対峙するアイナは飛雀舞踊を発動し、彼らからの攻撃を避けていた。赤黒い霧を纏った、高速回避。が、全て避けきれる訳ではない。シールドに小さな傷を二つ、三つと負いつつ、アイナはエクストラバッシュで鳥型ナイトメアを攻撃した。刃にまとった深紅のオーラが敵に向かって飛んでいく。命中。シールドが砕け、翼の根元がばっさりと切れた。その体が地面へと落ちる。
「はぁ、はぁ……追いつい、た!」
 全力移動でヴェレイと少年を追いかけていたファムは二人を両脇に抱えた。
「ちょ、なんだよ?」
「何をするのですか。これは非効率です」
 ヴェレイの言葉をファムは聞こえないフリをした。
「私は少年少女を既に何人もこうして攫っている! 私に任せろ!」
 全力移動でファムは逃げる。敵と戦っている仲間たちの姿が遠のく。ここまで来れれば安全です、というヴェレイの呟きにファムは今度はきちんと返事をした。インカムを通じて仲間達に告げる。こっちは大丈夫だ、と。それを聞いたアキレイアは刀を握り直した。気持ちが上向く。ああ、と息を零した。多分今、ボクは笑っている。鳥型ナイトメアが煩いくらいの声を出して急降下してきた。先程から何回か見ている攻撃。その中の何発かは受けてしまった攻撃。もう見切った。無拍逆襲撃を使って、後の先を読む。避けた。下から上へ切り上げる。敵のシールドに大きなひびが入った。そこに、憐慈のフォースアローが撃ち込まれる。シールドに大きな穴が開いた。もう少しだ。
「っと!」
 地面から勢いよく出てきたモグラ型ナイトメアに対し、由稀は大鷲の爪翼でカウンターを狙った。が、少し失敗してしまった。相手の肩あたりを掠める。自身のシールドも少々傷がつく。だがこれで、習性は分かった。
「後は文字通りのモグラ叩きよ、っと!」
「その通りね」
 アンタレスは地面に手をつけた。自分は先程から動いていない。おそらくモグラ型ナイトメアが狙うのは自分だ。――分かる。地面が震えている。――来る!
 アンタレスは横に跳んだ。数秒前に彼女が居た位置にモグラが顔を出す。
「モグラはおとなしく土の中で虫でも食べてろ!」
 ビーストレガースでアンタレスはモグラ型ナイトメアの腹部に一撃を加える。敵のシールドがぴきぴきと音を立てた。その攻撃に重ねるようにエレーヌが左手の人差し指からハイフォースを放った。
「黄金の魔弾、発射!」
 エレーヌの攻撃がモグラ型ナイトメアのシールドを貫通する。あと少しで押し切れそうだ。
 ホリィは愛用の拳銃を構え、鳥型ナイトメアを攻撃した。攻撃を繰り返して、何とか敵の意識をこちらに向けることが出来たことに安心しつつ、再度引き金を引く。ワンポイントを使用した威力の高い攻撃。流石に通った。銃弾が相手のシールドの一部を破壊して、翼の根元を貫通する。堕ちた。
「まずは一体!」
 先程墜落させた鳥型ナイトメアに止めをさし、アイナはもう一体に向かっていく。傷を負ったアイナに向けて、由稀はロングヒールを発動した。アイナのシールドが回復する。
「これで終わり」
 アキレイアが鳥型ナイトメアを落とす。ビーストネイルナイフに換装した憐慈が旋空連牙・力を叩き込む。鳥型ナイトメアは絶命した。
「モグラ叩きもそろそろ終わりにしますか!」
 自身にエリアスナイプを発動させ、由稀はモグラ型ナイトメアに攻撃した。研ぎ澄まされた一撃が敵のシールドを完全に破壊する。
「ワタシも――いい加減、飽きたわ」
 シールドが無くなり、剥き出しになったモグラ型ナイトメアの脇腹をアンタレスは蹴り上げる。上空に舞ったその体にエレーヌは凍り閉ざす銀を放った。
「乱舞せよ、氷の剣! ディープフリーズ・トロワ!」
 いくつもの氷の剣に貫かれ、モグラ型ナイトメアは活動を停止する。皆の攻撃を見ながら、ホリィは弾のリロードを行った。相手は落ちてその翼を醜く動かしている。そこに全て銃弾を撃ち込んで――。
「よし、こっちも片付いたよ!」
 ホリィが叫ぶ。
 それとほぼ同時に、アイナが最後のナイトメアを倒した。



●そして改めて初めまして
 由稀は新しい煙草に火をつけて、深く深く吸ってからSALFの本部に連絡を入れた。あの少年の家が何処にあるかは分からないが、保護用の車両をよこしてもらって、送るのがまあ筋だろう。無意識に由稀は胸のポケットを探る。煙草の箱を手にして――。
「あ、もうないな。任務も終わったし、買いに行くか」



「……うん、今回も楽しかった」
 刀についた汚れを落とし、アキレイアはぽつりと呟く。次もまた、こうした戦いがあればいい。いや、出来ればもっと、ぎりぎりの戦いを――。
「どっちにせよ、ボクは戦うだけだ」



「皆さん、改めて増援に感謝します」
「あ、ありがとう!」
 深々と頭を下げたヴェレイと少年に対し、憐慈はいやいやと手を振った。
「こっちこそ、燃える状況を楽しませてもらった」
「燃える状況? それは」
「ヴェレイさん」
 エレーヌが憐慈の一歩前に出る。
「危機は去りました。改めて……ご機嫌麗しゅう。わたくし、ライセンサーのエリーヌ・ペルグランと申しますわ」
「私はヴェレイです」
「よく画廊でお見掛けしますが、ヴェレイさんのこと、わたくしは殆ど知らないのです。何処かのタイミングで、お茶でもご一緒しましょう」
「はい」
「私はアイナ。よろしくねぇ、ヴェレイさん!」
「はい」
 アイナはヴェレイと握手を交わす。と、唐突に少年が声を上げた。彼はホリィが来ているジャンパーのロゴを見ていた。
「それ、ノヴァ社のロゴだろ? かっこいいな!」
「へえ、あんた知ってるんだ」
「もちろん! だって、揺光(ヨウコウ)姉ちゃんの会社のロゴだからな! もしかして揺光姉ちゃんに会ったことがあるのか?」
「いや、残念だけど」
「そっか。最近会ってないからさ」
「そういえば、まだ貴方の名前を聞いていませんでした」
 ヴェレイが少年に問いかける。あ、と少年が声を出す。彼は少しだけ照れたような表情を浮かべ、一つ咳払いをして……。
「俺は天機。四ノ宮天機(シノミヤ・テンキ)っていうんだ。よろしくな」
 少年――天機がヴェレイに笑いかける。それに対してヴェレイは一つ、頷いた。
 その様子を見て、ファムがヴェレイに耳打ちする。
「――少年が尊いからと触ってはいかんぞ!」
「尊い? 何ですかそれは」
「YESショコタンNOタッチの精神だ!」
 ファムはぎゅ、と拳を握る。
「健康的な半ズボン姿を少し離れた所で見てハァハァするだけにしておくといい!」
「それはどういう意味ですか?」
「少年を愛でる時の正しい作法だ! ヴァルキュリアだからな、そうやって学んで――」
「変なことを教えない方がいいと思うわよ」
 興奮するファムにアンタレスが釘をさす。う、とファムは言葉を詰まらせた。そうだこれ、とアイナは天機にチョコバーを渡す。四本示した内の二本を天機は受け取った。をありがとう、とお礼を言ってすぐにそれらを食べる。
 不意に、車の走行音が聞こえてきた。
 由稀が手配してくれた車両だ。
 ヴェレイが口を開く。
「皆さん、帰投しましょう」

成功度
成功
拍手数
3

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  • ヴェレイlz0073
    ヴァルキュリア14才|
    ネメシスフォース×スピリットウォーリア

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